(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-27
(54)【発明の名称】金属製品のための引込ユニット及びその方法
(51)【国際特許分類】
B21D 43/08 20060101AFI20231020BHJP
B21F 23/00 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
B21D43/08
B21F23/00 B
B21F23/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521174
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 IT2021050299
(87)【国際公開番号】W WO2022074692
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】102020000023467
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592060639
【氏名又は名称】エム・イー・ピー・マシーネ・エレトロニーチェ・ピエガトリーチ・エス・ピー・エイ
【氏名又は名称原語表記】M.E.P. MACCHINE ELETTRONICHE PIEGATRICI SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】デル ファブロ、ジョルジョ
【テーマコード(参考)】
4E070
【Fターム(参考)】
4E070AA01
4E070AB06
4E070AC01
4E070CA04
(57)【要約】
金属製品を引き込むユニット(10)は、1つ以上の長尺金属製品(P1、P2)を支持し、送り軸(X)に沿って移動させるよう構成された1つ以上の電動ローラ(12、13)と、それぞれの回転軸(F1、F2;F3、F4)を中心にアイドリング回転するよう構成されるとともに、1つ以上の電動ローラ(12、13)とは反対側に配置された2つ以上の対向ローラ(15、16;17、18)とを備える。本発明は、長尺金属製品(P1、P2)を引き込む方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の金属製品(P1、P2)を送り軸(X)に沿って移動させる引込ユニット(10)であって、前記引込ユニット(10)は、2つ以上の対向ローラ(15、16;17、18)を備え、前記2つ以上の対向ローラ(15、16;17、18)は、それぞれの回転軸(F1、F2;F3、F4)を中心に回転するよう構成されるとともに、前記送り軸(X)に関して1つ以上の電動ローラ(12、13)とは反対側に配置され、前記2つ以上の対向ローラ(15、16;17、18)は、前記回転軸(F1、F2;F3、F4)に実質的に平行な横方向移動軸(T)に沿って前記1つ以上の電動ローラ(12、13)に対して選択的に移動可能である引込ユニット(10)。
【請求項2】
前記2つ以上の対向ローラ(15、16;17、18)は、実質的に互いに向かい合い、実質的に同軸である、請求項1に記載の引込ユニット(10)。
【請求項3】
前記2つ以上の対向ローラ(15、16;17、18)は、同一の電動ローラ(12、13)に対向している、請求項1または2に記載の引込ユニット(10)。
【請求項4】
前記引込ユニット(10)は、前記1つ以上の電動ローラ(12、13)が動作可能に関連付けられたベース(11)と、前記対向ローラ(15、16;17、18)が動作可能に関連付けられた第2支持部(22)とをさらに備え、前記第2支持部(22)は、前記横方向移動軸(T)に沿って前記ベース(11)に対して選択的に移動可能である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の引込ユニット(10)。
【請求項5】
前記2つ以上の対向ローラ(15、16;17、18)は、前記第2支持部(22)に対して、前記送り軸(X)に直交する第1移動軸(A)に沿って前記1つ以上の電動ローラ(12、13)の方向に選択的に移動可能である第1支持部(21)に関連付けられている、請求項4に記載の引込ユニット(10)。
【請求項6】
前記2つ以上の対向ローラ(15、16;17、18)は、前記第1支持部(21)に対して、互いに独立して、前記第1移動軸(A)に平行な方向に選択的に移動可能である、請求項4に記載の引込ユニット(10)。
【請求項7】
前記引込ユニット(10)は、前記送り軸(X)に実質的に平行な方向に互いに隣接し、かつ前記送り軸(X)に関してそれぞれの電動ローラ(12、13)とは反対側に位置する、対向ローラ(15、16;17、18)の2つ以上のペア(19、20)をさらに備え、異なるペア(19、20)の対応する対向ローラ(15、17;16、18)は、前記第1支持部(21)に関連付けられたそれぞれの対向支持部(23、24)に対して回動される、請求項5または6に記載の引込ユニット(10)。
【請求項8】
前記引込ユニット(10)は、前記ベース(11)に対する前記第2支持部(22)の距離を監視するよう構成された変換器(26)をさらに備える、請求項4乃至7のいずれか一項に記載の引込ユニット(10)。
【請求項9】
1つ以上の金属製品を引き込む方法であって、前記方法は、1つ以上の電動ローラ(12、13)によって、長尺金属製品(P1、P2)を送り軸(X)に沿って移動させる引き込み工程であって、前記送り軸(X)に関して前記電動ローラ(12、13)とは反対側に、それぞれの回転軸(F1、F2;F3、F4)を中心に回転する2つ以上の対向ローラ(15、16;17、18)が位置する前記引き込み工程と、前記2つ以上の対向ローラ(15、16;17、18)と前記1つ以上の電動ローラ(12、13)との間の往復位置を、前記回転軸(F1、F2;F3、F4)に実質的に平行な横方向移動軸(T)に沿って調整する1つ以上の調整工程とを備える方法。
【請求項10】
前記2つ以上の対向ローラ(15、16;17、18)は、実質的に互いに向かい合い、実質的に同軸である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記2つ以上の対向ローラ(15、16;17、18)は、同一の電動ローラ(12、13)に対向している、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記引き込み工程において、2つ以上の金属製品(P1、P2)が同時に引き込まれるとともに、前記2つ以上の対向ローラ(15、16;17、18)の第1対向ローラ(15;17)は第1金属製品(P1)のみに作用し、前記2つ以上の対向ローラ(15、16;17、18)の第2対向ローラ(16;18)は前記第1金属製品(P1)とは異なる第2金属製品(P2)のみに作用する、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記調整工程は、前記2つ以上の対向ローラ(15、16;17、18)を前記横方向移動軸(T)に沿って前記1つ以上の電動ローラ(12、13)に対して移動させる、請求項9乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記調整工程は、前記金属製品(P1、P2)の公称直径(Φ
1、Φ
2、Φ
3)に応じて行われる、請求項9乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建築業用の補強材の製造に使用可能な種類である長尺金属製品を加工する機械に供給する引込ユニットに関する。
特に、本発明による引込ユニットは、限定されるものではないが好ましくは、一度に2つ以上の棒材、丸材または金属ワイヤを同時に加工する機械に対して適用され、実質的に均一な、協調された、同時の供給を行う。
【背景技術】
【0002】
例えば、限定するものではないが、建築業用の補強ブラケットを作成するために、ロールワイヤ、丸材、またはプレカットバーなどの長尺金属製品が供給される加工機械が知られている。
【0003】
これらの機械は、スターラップ製造機械とも呼ばれる曲げ/成形機械であってよく、生産性を最適化するために、一度に2つ以上の金属製品が一般的に供給される。
また、加工される金属製品を供給するために、加工機械の上流に引込ユニットが配置されることも知られている。
【0004】
従来技術で知られている引込ユニットは、金属製品を引き込むために、金属製品の送り軸に関して互いに反対側に位置する複数のローラを備える。通常、これらのローラのうちの1つまたは複数のローラは電動式であり、他のローラは、金属製品に対向する位置に配置され、対向ローラとして機能してよい。
【0005】
いくつかの場合では、互いに向き合いかつ互いに拘束されていない一対の対向ローラは1つの電動ローラに対向して配置されてよく、対向ローラの各々は、金属製品に対して電動ローラの方向に特定の圧力を加える。
【0006】
この対照的な動作は、金属製品と電動ローラとの間に十分な摩擦を確保することで、均一な引き込み動作を得ることを意図している。
公知の引込ユニットの1つの欠点は、いくつかの場合では、対向ローラの圧縮動作が失敗し、加工される1つまたは複数の金属製品が滑るという問題を引き起こし、したがって、無駄または他の非効率性を発生させることである。例えば、2つの金属製品が引き込まれる場合、金属製品の1つが、電動ローラの1つに対向する両方の対向ローラと干渉し、したがって、2つの金属製品に対する協調された引き込みに必要な摩擦を制限することが起こり得る。
【0007】
金属製品は一般に熱間圧延サイクルの終わりに得られるとともに、外側に複数のリブを有するので、この問題は特に頻繁に起こることに留意されたい。金属製品は、リブを有しつつ圧延によって製造されるので、これにより、金属製品の断面は完全な円形ではなく、リブに対応する長軸と、長軸から約90°だけ角度的にずれて数ミリメートルだけ低減された短軸とを有する楕円形断面になる。したがって、引き込み中の金属製品の配置は、この干渉を引き起こす可能性がある。例えば、長軸が送り軸およびローラの回転軸に対して垂直に配向された状態で配置された第1金属製品は、両方の対向ローラと干渉する可能性があり、例えば第1金属製品に対して約90°ずれて配向された第2金属製品に加えられる圧力を制限する。
【0008】
別の欠点は、既知の引込ユニットが、対向ローラおよび/または電動ローラに対する金属製品の正確な位置決めを必ずしも確保しないことである。特に、いくつかの場合では、金属製品は、対向ローラおよび/または電動ローラの側縁部の近くに位置することがある。これは、対向ローラおよび/または電動ローラに大幅な曲がりを引き起こし、金属製品の滑りを促進する可能性がある。この問題は、平坦な横方向輪郭を有するローラの場合に特に頻繁である。
【0009】
この種類のローラの場合、最適な位置合わせは、対向ローラの横方向輪郭の中心に金属製品を配置する位置合わせである。
上述した欠点は、引込ユニットによって引き込まれ得る金属製品の寸法範囲を制限し、実際には、その使用の柔軟性を減少させる。
【0010】
特許文献1は、第1ローラのグループと第2ローラのグループとを備え、各第1ローラは対応する第2ローラに個別に対向する、金属棒のための引込装置を記載している。第1ローラのグループおよび第2ローラのグループは、互いに対向する第1ローラと第2ローラとの間に形成される通過路を調整するために、異なる方向に移動可能である。
【0011】
特許文献2は、アーク溶接機用のワイヤを供給するための装置を記載している。
したがって、従来技術の欠点の1つ以上を克服することができる金属製品のための引込ユニットおよび対応する引き込み方法を完成させる必要がある。
【0012】
特に、本発明の1つの目的は、引き込む金属製品の滑りを制限できる引込ユニットを提供することである。
本発明の別の目的は、金属製品の直径が変化する場合であっても、金属製品に対する適切な圧力を確保できる引込ユニットを提供することである。
【0013】
別の目的は、電動ローラおよび対向ローラに対する金属製品の正確な位置決めを可能にする引込ユニットを提供することである。
出願人は、先行技術の欠点を克服すとともに、これらならびに他の目的および利点を得るために、本発明を考案し、試験し、実施した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0065736号明細書
【特許文献2】米国特許第3447730号明細書
【発明の概要】
【0015】
本発明は、独立請求項に特徴が記載される。従属請求項は、本発明の他の特徴または主たる発明思想の変形例を記載する。
上記の目的に従って、最新技術の限界を克服するとともに、存在する問題を解消する、金属製品を引き込むユニットが説明される。
【0016】
引込ユニットは、1つ以上の金属製品を送り軸に沿って移動させるよう構成された1つ以上の電動ローラと、それぞれの回転軸を中心にアイドリング回転するよう構成され、1つ以上の電動ローラとは反対側に配置された2つ以上の対向ローラとを備える。
【0017】
本発明の一態様によれば、1つ以上の電動ローラおよび対向ローラは、対向ローラの回転軸に実質的に平行な横方向移動軸に沿って、互いに対して選択的に移動可能である。
本発明の別の態様によれば、2つ以上の対向ローラは、実質的に互い向かい合い、実質的に同軸である。
【0018】
本発明の別の態様によれば、2つ以上の対向ローラは、同一の電動ローラに対向している。
好ましい実施形態では、2つ以上の対向ローラは、横方向移動軸に沿って1つ以上の電動ローラに対して選択的に移動可能である。
【0019】
有利には、この解決策は、対向ローラと1つ以上の電動ローラとの間の往復位置を横方向に調整することを可能にする。この調整は、例えば、加工される金属製品の公称直径に応じて、あらゆる状況において金属製品とそれぞれの対向ローラとの間の正確な位置合わせを達成するよう実行されてよい。これにより、同じ金属製品が、1つ以上の電動ローラに対向してペアを形成する両方の対向ローラと干渉することを防止することができる。
【0020】
さらに、対向ローラは、送り軸および横方向移動軸に直交する移動軸に沿って、1つ以上の電動ローラに向かって選択的に移動可能であってよい。
本発明はまた、1つ以上の長尺金属製品を送り軸に沿って移動させる、すなわち引き込む引き込み工程を備える、金属製品を引き込む方法に関する。上記の引き込み工程は、1つ以上の電動ローラであって、それぞれの回転軸を中心にアイドリング回転する2つ以上の対向ローラが電動ローラの反対側に位置する電動ローラによって行われる。
【0021】
本発明の一態様によれば、本方法は、対向ローラと1つ以上の電動ローラとの間の往復位置を、対向ローラの回転軸に平行な横方向移動軸に沿って調整する1つ以上の工程を備える。
【0022】
本発明の別の態様によれば、上記の引き込み工程において、2つ以上の金属製品が同時に引き込まれるとともに、上記のように、2つ以上の対向ローラの第1対向ローラは第1金属製品のみに作用し、2つ以上の対向ローラの第2対向ローラは第1金属製品とは異なる第2金属製品のみに作用する。
【0023】
本方法のいくつかの実施形態では、調整工程は、対向ローラを横方向移動軸に沿って1つ以上の電動ローラに対して移動させる。
好ましい実施形態では、対向ローラと1つ以上の電動ローラとの間の往復位置を横方向移動の軸に沿って調整する工程は、加工される金属製品の公称直径に応じて行われる。
【0024】
本発明のこれらならびに他の態様、特徴、および利点は、添付の図面を参照して非限定的な例として記載されるいくつかの実施形態の以下の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本明細書に記載される実施形態による金属製品を引き込むためのユニットの正面図。
【
図2】異なる使用状況における
図1の引込ユニットの側面図。
【
図3】異なる使用状況における
図1の引込ユニットの側面図。
【
図4】異なる使用状況における
図1の引込ユニットの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
理解を容易にするために、可能な限り同じ参照番号を使用して、図面内の同一の共通要素を特定している。一実施形態の要素および特徴は、さらなる説明なしに他の実施形態に適宜組み合わされ得るか、または組み込まれ得ることが理解される。
【0027】
次に、本発明の可能な実施形態を詳細に参照するが、その1つまたは複数の例が、非限定的な例示として添付の図面に示されている。本明細書で使用される表現および用語もまた、非限定的な例を提供するためのものである。
【0028】
図1を参照すると、10は、数十ミリメートルに達し得る直径を有する棒材、丸材、またはロールワイヤなどの長尺金属製品P1、P2を加工するための機械(図示せず)に供給するよう構成された引込ユニットを示す。特に、引込ユニット10は、加工機械の上流であって、入口において金属製品P1、P2を引込ユニット10に供給するよう構成された供給ユニット(図示せず)の下流に配置されてよい。
【0029】
いくつかの場合では、加工機械は、建築業用の補強ブラケットを製造するために優先的に使用されるブラケット曲げ機械であってよい。
引込ユニット10は、1つまたは複数の電動ローラ12、13が動作可能に関連付けられ得るベース11を備えてよい。電動ローラ12、13は、既知の種類の駆動部材によってそれぞれの回転軸M1、M2を中心に回転する。
【0030】
使用中、電動ローラ12、13上には、電動ローラ12、13に対して接線方向である送り軸Xに沿って、引き込まれる金属製品P1、P2が配置されかつ支持されてよい。
この特定の場合、引込ユニット10は、送り軸Xに沿って隣接して連続して配置されるとともに平行なそれぞれの回転軸M1、M2を有する2つの電動ローラ12、13を備えてよい。
【0031】
2つの電動ローラ12、13は、使用中、対応する方向に回転するよう構成される。
引込ユニット10はまた、送り軸Xに関して電動ローラ12、13の反対側に1つまたは複数の対向ローラ15、16、17、18を備えてよい。
【0032】
1つまたは複数の対向ローラ15、16および17、18は、電動ローラ12、13に対応することなく、使用中に回転するよう構成される。
対向ローラ15、16、17、18は、それぞれの回転軸F1、F2、F3、F4を中心に自由に回転するように、引込ユニット10にアイドル状態でヒンジ結合されてよい。
【0033】
対向ローラ15、16、17、18は、金属製品P1、P2を引き込むのに必要とされる適切な摩擦力を電動ローラ12、13と金属製品P1、P2との間で確保するために、金属製品P1、P2に対して電動ローラ12、13の方向に圧力を加えるよう構成される。
【0034】
好ましい実施形態では、対向ローラ15、16、17、18と電動ローラ12、13との両方が、金属製品P1、P2に対する接触の横方向輪郭を有しており、輪郭は実質的に滑らかである。いくつかの場合では、電動ローラ12、13の横方向輪郭は、金属製品P1、P2との摩擦を増加させるよう構成されたグリッピングゾーン14を有してよい(
図2乃至
図4を参照)。
【0035】
対向ローラ15、16、17、18は、対向ローラ15、16、17、18の回転軸F1、F2、F3、F4に対して直交する第1移動軸Aに沿って電動ローラ12、13の方向に移動可能な、引込ユニット10の第1支持部21に関連付けられてよい。
【0036】
第1支持部21は、ベース11と動作可能に関連付けられた引込ユニット10の第2支持部22に摺動スライダによって接続されてよいとともに、既知の種類の移動手段によってスライダに沿って移動可能であってよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、実質的に互いに向き合い、互いに拘束されず、互いに独立している対向ローラ15、16および17、18の1つ以上のペア19、20を、1つまたは複数の電動ローラ12、13に対して対向させてよい。
【0038】
特に、送り軸Xに関して各電動ローラ12、13とは反対側に対向ローラ15、16および17、18のそれぞれのペア19、20を位置させてよい。対向ローラ15、16および17、18のペア19、20は、実質的に互いに向き合い、実質的に同軸であり、互いに拘束されておらず、互いに独立している2つの対向ローラ15、16および17、18を各々に含む。特に、同一のペア19、20の2つの対向ローラ15、16および17、18は、その回転軸F1、F2およびF3、F4に実質的に平行な方向に連続して配置される。さらに、実質的に互いに向かい合い、実質的に同軸であるということは、同一のペア19、20の対向ローラ15、16および17、18の回転軸F1、F2およびF3、F4の間に、数センチメートルまでの遊びが許容されることを意味する。
【0039】
この特定の場合、引込ユニット10は、対向ローラ15、16および17、18の2つのペア19、20を備えるとともに、各ペアは、それぞれの電動ローラ12、13に対向している。この構成は、下流の加工機械が一度に2つの金属製品P1、P2に対して動作する必要がある場合において特に適している。
【0040】
対向ローラ15、16および17、18の2つのペア19、20は、送り軸Xに平行な方向に互いに隣接して配置される。
いくつかの実施形態によれば、
図1を参照すると、異なるペア19、20の2つの対応する対向ローラ15、17および16、18は、第1支持部21と動作可能に関連付けられた単一の対向支持部23、24にヒンジ結合されてよい。この特定の場合、引込ユニット10は、2つの対向ローラ15、17および16、18が、送り軸Xに沿って連続的に隣接して、それぞれにヒンジ結合される2つの対向支持部23、24を備えてよい。さらに、2つの対向支持部23、24は、その間に対向ローラ15、16および17、18のペア19、20を形成するように、実質的に互いに向かい合って配置されてよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、対向ローラ15、16、17、18は、第1支持部21に対して第1移動軸Aに実質的に平行な方向に選択的に移動可能であってよい。各対向ローラ15、16、17、18は、独立して移動可能であってよい。
【0042】
他の実施形態では、対向支持部23、24が、第1支持部21に対して第1移動軸Aに実質的に平行な方向に選択的に移動可能であってよい。例えば、ペア19、20をそれぞれ形成する対向ローラ15、16および17、18は、第1移動軸Aに実質的に平行な方向に、互いに独立して移動可能であってよい。
【0043】
この構成により、第1支持部21を移動させることで対向ローラ15、16、17、18を互いに接近させる第1移動と、第1支持部21に対して各対向ローラ15、16、17、18または各対向支持部23、24を独立して移動させる第2調整移動とを行うことができる。この構成は、2つの金属製品P1、P2を引き込む際に特に有利である。実際には、ペア19、20の各対向ローラ15、16、17、18は、各金属製品P1、P2専用に使用されてよい。
【0044】
本発明の一態様によれば、電動ローラ12、13および対向ローラ15、16、17、18は、対向ローラ15、16、17、18の回転軸F1、F2、F3、F4に実質的に平行な横方向移動軸Tに沿って、互いに対して選択的に移動可能である。
【0045】
有利には、このようにして、横方向移動軸Tに沿って、対向ローラ15、16、17、18と電動ローラ12、13との間の相対位置を調整することが可能である。
特に、この特定の場合、対向ローラ15、16、17、18が動作可能に関連付けられている第2支持部22は、横方向移動軸Tに沿ってベース11に対して選択的に移動可能であってよい。より具体的には、第2支持部22は、1つ以上の摺動スライダ27によってベース11に結合されてよいとともに、既知の種類の移動手段25によって選択的に移動可能であってよい。例えば、第2支持部22は、モータに接続されたねじ28を備えてよいとともに、ねじ28を収容するよう構成されためねじ要素29は、ベース11に一体的に接続されてよい。したがって、スライダ27に沿った第2支持部22の移動は、ねじ28の回転に対応することが明らかである。回転の向きは移動の向きに一致する。いくつかの場合では、移動の程度は、金属製品P1、P2の公称直径Φ1、Φ2、Φ3に依存してよい。
【0046】
有利には、この構成によって、対向ローラ15、16、17、18、金属製品P1、P2、および電動ローラ12、13の間の最適な位置合わせを常に確保するように、横方向移動軸Tに沿って、対向ローラ15、16、17、18と電動ローラ12、13との間の相対位置を調整することが可能になる。これにより、金属製品P1,P2とペア19,20の両対向ローラ15,16,17,18との間の干渉を防止することができる。
【0047】
例えば、
図2を参照すると、金属製品P1、P2は、第1公称直径Φ
lを有するとともに、ペア19の対向ローラ15、16は、2つの金属製品P1、P2のうちの一方が両方の対向ローラ15、16と干渉することを防止するように、横方向移動軸Tに沿って位置決めされる。このようにして、金属製品P1、P2の正確な位置合わせおよび引き込みが確保される。続いて、
図3を参照すると、加工される金属製品P1、P2の種類は、例えばフォーマット変更のために異なってもよく、第1直径Φ
1よりも大きい第2直径Φ
2を有してよい。この場合、図示のように、本発明の引込ユニット10は、金属製品P1、P2の正確な位置合わせを回復するよう、横方向移動軸Tに沿って対向ローラ15、16、17、18を移動させてよい。別の使用状況では、
図4を参照すると、引込ユニット10に、第2直径Φ
2よりも大きい第3直径Φ
3を有する金属製品P1が供給されてよい。この場合、対向ローラ15を金属製品P1に位置合わせするために、対向ローラ15、16を横方向移動軸Tに沿って再度移動させてよい。したがって、引き込まれる金属製品P1、P2の直径に応じて対向ローラ15、16、17、18の横方向の位置合わせを可能にする本発明の引込ユニット10の利点が明らかである。これにより、引込ユニット10を非常に柔軟に使用できる。
【0048】
いくつかの実施形態では、引込ユニット10は、移動、すなわち、ベース11に対する第2支持部22の距離を監視するよう構成された変換器26を備えてよい。実際には、変換器26は、第2支持部22とベース11との間の距離に比例する電気信号を生成するよう構成されてよい。この解決策によって、電動ローラ12、13に対する対向ローラ15、16、17、18の往復位置の良好な調整が可能になる。換言すれば、移動手段25の機能が、変換器26によって生成された信号に応じて調整可能になる。
【0049】
本発明はまた、金属製品P1、P2を引き込む方法に関する。方法は、電動ローラ12、13によって送り軸Xに沿って長尺金属製品P1、P2を引き込む引き込み工程であって、送り軸Xに関して電動ローラ12、13とは反対側に、対向ローラ15、16、17、18が位置する引き込み工程を備える。対向ローラ15、16、17、18は、それぞれの回転軸F1、F2、F3、F4を中心にアイドリング回転するよう構成される。
【0050】
そのような引き込み工程において、2つ以上の金属製品P1、P2が同時に引き込まれるとともに、対向ローラ15、16の第1ペア19の第1対向ローラ15は第1金属製品P1のみに作用し、第1ペア19の第2対向ローラ16は第2金属製品P2のみに作用することが好ましい。さらに、対向ローラ17,18の第2ペア20の第1対向ローラ17は第1金属製品P1のみに作用し、第2ペア20の第2対向ローラ18は第2金属製品P2のみに作用する。
【0051】
一態様によれば、本方法はまた、対向ローラ15、16、17、18と電動ローラ12、13との間の往復位置を、対向ローラ15、16、17、18の回転軸F1、F2、F3、F4に実質的に平行な横方向移動軸Tに沿って調整する1つ以上の調整工程を備える。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、調整工程は、対向ローラ15、16、17、18を横方向移動軸Tに沿って電動ローラ12、13に対して移動させる。
好ましい実施形態では、電動ローラ12、13と対向ローラ15、16、17、18との間の往復位置の上記調整は、毎回、例として前述したように、金属製品P1、P2のそれぞれの公称直径に応じて行われる。
【0053】
有利には、このようにして、全ての状況において、金属製品P1、P2に対する十分な圧力を確保することが可能であることで、従来の種類の引込ユニットに典型的な滑りの問題を解消する。
【0054】
特許請求の範囲によって定義される本発明の分野および範囲から逸脱することなく、上述した引込ユニット10および方法に対して、部品または工程の変更および/または追加がされてよいことは明らかである。
【0055】
以下の特許請求の範囲では、括弧内の参照記号は読みやすさのみを目的とする。したがって、参照記号は、特定の請求項で主張される保護の範囲に関する限定的な要素と見なされるべきではない。
【国際調査報告】