(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-27
(54)【発明の名称】レーザパッケージおよびレーザパッケージを動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/0225 20210101AFI20231020BHJP
G09G 3/02 20060101ALI20231020BHJP
H01S 5/40 20060101ALI20231020BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20231020BHJP
H04N 9/31 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
H01S5/0225
G09G3/02 A
H01S5/40
H04N5/74 A
H04N9/31
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523601
(86)(22)【出願日】2021-10-11
(85)【翻訳文提出日】2023-04-18
(86)【国際出願番号】 EP2021078056
(87)【国際公開番号】W WO2022084087
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】518010049
【氏名又は名称】ルムス エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
【住所又は居所原語表記】8 Pinchas Sapir Street, 7403631 Ness Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨハイ ダンジガー
(72)【発明者】
【氏名】アン ラッセル
【テーマコード(参考)】
5C058
5C060
5C080
5F173
【Fターム(参考)】
5C058BA05
5C058EA05
5C060HC22
5C080CC02
5C080CC03
5C080CC04
5C080DD05
5C080DD07
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5C080DD26
5C080DD27
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5F173MA10
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5F173MF27
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5F173MF40
(57)【要約】
レーザパッケージが記載されており、このレーザパッケージは、第1の色の光ビームを放出する少なくとも2つのレーザダイオードを有する少なくとも第1のレーザダイオードセット、第2の色の光ビームを放出する少なくとも2つのレーザダイオードを有する少なくとも第2のレーザダイオードセット、およびビーム結合器を含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザパッケージであって、該レーザパッケージは、
第1の色の光ビームを放出する少なくとも2つのレーザダイオード(8)を有する少なくとも第1のレーザダイオードセットと、
第2の色の光ビームを放出する少なくとも2つのレーザダイオードを有する少なくとも第2のレーザダイオードセットと、
ビーム結合器(3)とを含み、
前記第1のレーザダイオードセットの前記少なくとも2つのレーザダイオードによって放出された前記光ビームは、異なる偏光で前記ビーム結合器に入射し、当該ビーム結合器によって第1の非偏光結合光ビームに結合され、
前記第2のレーザダイオードセットの前記少なくとも2つのレーザダイオードによって放出された前記光ビームは、異なる偏光で前記ビーム結合器に入射し、当該ビーム結合器によって第2の非偏光結合光ビームに結合される、レーザパッケージ。
【請求項2】
前記レーザダイオードセットの各々の前記少なくとも2つのレーザダイオードは、プリズム(14)の異なる側面に配置される、請求項1記載のレーザパッケージ。
【請求項3】
前記プリズムの同じ側面に配置された異なるレーザダイオードセットの前記レーザダイオードは、前記プリズムに対して異なる高さに配置されている、請求項2記載のレーザパッケージ。
【請求項4】
前記レーザダイオードセットの各々の前記少なくとも2つのレーザダイオードは、異なる位置で前記ビーム結合器に入射する光ビームを放出する、請求項1から3までのいずれか1項記載のレーザパッケージ。
【請求項5】
偏光修正素子が、前記レーザダイオードセットの各々の前記少なくとも2つのレーザダイオードの少なくとも1つの前記光ビームのビームパスに配置され、前記偏光修正素子は、前記ビーム結合器の入力側に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のレーザパッケージ。
【請求項6】
円柱レンズ(19)が、前記レーザダイオードセットの各々のレーザダイオードの光ビームのビームパスにおいて、前記ビーム結合器の入力側に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のレーザパッケージ。
【請求項7】
前記ビーム結合器は、選択的に反射する前面(42)と、少なくとも選択的に反射する後面(44)とを有する、偏光ビームディスプレーサ(4,28)またはプレート(40)を含む、請求項1から6までのいずれか1項記載のレーザパッケージ。
【請求項8】
前記レーザパッケージは、付加的に、複屈折プリズムおよび/または複屈折レンズ(50A,54)を含む、請求項1から7までのいずれか1項記載のレーザパッケージ。
【請求項9】
前記ビーム結合器の一部は可動である、請求項1から8までのいずれか1項記載のレーザパッケージ。
【請求項10】
前記レーザパッケージは、ビーム結合器としての偏光ビームスプリッタ/結合器プレートと、前記レーザダイオードによって放出されたレーザビームの速軸/遅軸等化のための円柱レンズとを組み合わせたプリズムを含む、請求項1から9までのいずれか1項記載のレーザパッケージ。
【請求項11】
レーザパッケージを動作させるための方法であって、
前記レーザパッケージは、第1のレーザダイオードと第2のレーザダイオードとを含む少なくとも2つのレーザダイオード(8)を有する第1のレーザダイオードセットを含み、
前記第1のレーザダイオードセットの前記第1のレーザダイオードおよび前記第2のレーザダイオードの各々は、動作した場合、第1の色の光ビームを放出し、
前記第1のレーザダイオードセットの前記第1のレーザダイオードは、動作した場合、調整可能な第1の強度を有する第1の光ビームを放出し、
前記第1のレーザダイオードセットの前記第2のレーザダイオードは、動作した場合、調整可能な第2の強度を有する第2の光ビームを放出し、
第1の強度範囲(302)と第2の強度範囲(306)との間の遷移強度(304)が予め決定され、前記第1のレーザダイオードセットによって放出される第1の発光強度にて割り当てられ、
前記第1の発光強度が前記第1の強度範囲にある場合、前記第1のレーザダイオードセットの前記第1のレーザダイオードが動作しかつ前記第1のレーザダイオードセットの前記第2のレーザダイオードは動作しないか、または前記第1のレーザダイオードセットの前記第1のレーザダイオードは動作せずかつ前記第1のレーザダイオードセットの前記第2のレーザダイオードが動作し、
前記発光強度が前記第2の強度範囲にある場合、前記第1のレーザダイオードセットの前記第1のレーザダイオードおよび前記第1のレーザダイオードセットの前記第2のレーザダイオードの両方が動作する、方法。
【請求項12】
前記レーザパッケージは、画像領域上で前記レーザパッケージにより放出される光の走査によって少なくとも第1の部分領域(318,319,320)および第2の部分領域(318,319,320)を有する画像領域(317)を照明するために使用され、前記第1の部分領域についての遷移強度は、前記第2の部分領域についての遷移強度よりも高い、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記レーザパッケージのすべてのレーザダイオードの光ビームよりも少ない光ビームが、前記第1の部分領域を照明することができ、レーザパッケージのすべてのレーザダイオードの光ビームは、前記第2の部分領域を照明することができる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記レーザパッケージは、第1のレーザダイオードと第2のレーザダイオードとを含む少なくとも2つのレーザダイオード(8)を有する第2のレーザダイオードセットをさらに含み、
前記第2のレーザダイオードセットの前記第1のレーザダイオードおよび前記第2のレーザダイオードの各々は、動作した場合、第2の色の光ビームを放出し、
前記第2のレーザダイオードセットの前記第1のレーザダイオードは、動作した場合、調整可能な第1の強度を有する第1の光ビームを放出し、
前記第2のレーザダイオードセットの前記第2のレーザダイオードは、動作した場合、調整可能な第2の強度を有する第2の光ビームを放出し、
第1の強度範囲と第2の強度範囲との間の遷移強度が予め決定され、前記第2のレーザダイオードセットによって放出される第2の発光強度に割り当てられ、
前記第2の発光強度が前記第1の強度範囲にある場合、前記第2のレーザダイオードセットの前記第1のレーザダイオードが動作しかつ前記第2のレーザダイオードセットの前記第2のレーザダイオードは動作しないか、または前記第2のレーザダイオードセットの前記第1のレーザダイオードは動作せずかつ前記第2のレーザダイオードセットの前記第2のレーザダイオードが動作し、
前記第2の発光強度が前記第2の強度範囲にある場合、前記第2のレーザダイオードセットの前記第1のレーザダイオードおよび前記第2のレーザダイオードの両方が動作される、請求項11から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記第1の発光強度に割り当てられた前記遷移強度および前記第2の発光強度に割り当てられた遷移強度は異なっている、請求項14記載の方法。
【請求項16】
レーザパッケージを動作させるための方法であって、
前記レーザパッケージは、第1のレーザダイオードと第2のレーザダイオードとを含む少なくとも2つのレーザダイオード(8)を有する第1のレーザダイオードセットを含み、
前記第1のレーザダイオードセットの前記第1のレーザダイオードおよび前記第2のレーザダイオードの各々は、動作した場合、第1の色の光ビームを放出し、
画像フィールドが、前記レーザパッケージにより、前記画像フィールド上で前記レーザパッケージの光の走査によって照明され、
前記画像フィールドは、第1の領域(212a,212b)および第2の領域(210)を有し、
前記第1の領域が照明される場合、前記第1のレーザダイオードかまたは前記第2のレーザダイオードのみが動作し、前記第2の領域が照明される場合、前記第1および前記第2のレーザダイオードの両方が動作し、
前記第1の領域が照明されるときの前記第1および前記第2のレーザダイオードのレーザダイオード強度は、当該第1の領域が照明されるときに動作しない、前記第1および前記第2のレーザダイオードのレーザダイオードから電力不足を補うように増加される、方法。
【請求項17】
前記画像フィールドは、付加的に第3の領域を有し、
前記第1の領域が照明されるとき、前記第1のレーザダイオードのみが動作され、
前記第3の領域が照明されるとき、前記第2のレーザダイオードのみが動作される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記第1の領域と前記第3の領域とは、互いに点対称に配置される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記画像フィールドは、前記第1の領域と前記第2の領域との間に、前記第1および前記第2のダイオードレーザによって放出される光の強度が緩やかに変化する遷移領域を有している、請求項16から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
レーザパッケージを動作させるための方法であって、
前記レーザパッケージは、第1のレーザダイオードと第2のレーザダイオードとを含む少なくとも2つのレーザダイオード(8)を有する第1のレーザダイオードセットを含み、
前記第1のレーザダイオードセットの前記第1のレーザダイオードおよび前記第2のレーザダイオードの各々は、動作した場合、第1の色の光ビームを放出し、
前記レーザダイオードの光ビームは、走査フィールド曲率を生成する1つまたは複数の走査ミラーを使用して走査され、
前記走査フィールド曲率とは異なる光学フィールド曲率を生成する光学系が、前記レーザダイオードの光の光路に配置され、
前記第1のレーザダイオードセットの第1および第2のレーザダイオードは、1つまたは複数の走査ミラーに関して異なる焦点距離に配置され、
前記第1のレーザダイオードおよび前記第2のレーザダイオードの一方は、前記レーザパッケージの光が第1の領域上で走査される場合に動作し、前記第1のレーザダイオードおよび前記第2のレーザダイオードの他方は、前記レーザパッケージの光が第2の領域上で走査される場合に動作し、それによって、前記走査フィールド曲率と前記光学フィールド曲率との間の不整合が最小化される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許出願第63/093,350号明細書、同第63/105,308号明細書、同第63/146,034号明細書、同第63/149,704号明細書、第63/154,730号明細書、および同第17/444,079号明細書の優先権を主張し、それらの開示内容は参照により本明細書に含まれるものとする。
【0002】
本開示は、レーザパッケージおよびレーザパッケージを動作させるための方法に関する。レーザパッケージは、例えば、プロジェクタで使用することができる。換言すれば、投影システムとも表記されるプロジェクタは、レーザパッケージを含むことができる。
【0003】
少なくとも1つの実施形態によれば、レーザパッケージは、少なくとも2つのレーザダイオードの少なくとも1つのセットを含む。少なくとも2つのレーザダイオードのセットは、以下ではレーザダイオードセットとも表記され得る。好適には、レーザダイオードセットは、同じもしくは実質的に同じ色の光を放出する2つ以上のレーザダイオードのセットを含むかまたはセットである。したがって、レーザダイオードセットは、レーザダイオードセットのすべてのレーザダイオードによって放出される光の合計によって定めることができる発光色により定義可能である。「同じもしくは実質的に同じ色」とは、例えば、レーザダイオードセットのレーザダイオードの各々から放出されたそれぞれの光を知覚する人間の観察者が、レーザダイオードセットのすべてのレーザダイオードが同じもしくは実質的に同じ色の光を放出するという印象を持つことを意味し得る。これは、例えば、レーザダイオードセットのレーザダイオードが同じもしくは実質的に同じ色軌跡を有する光を放出することを意味し得る。所定の実施形態によれば、これは、レーザダイオードセットのレーザダイオードが、同じまたは類似もしくは実質的に類似のスペクトル成分を有する光を放出することを意味し得る。
【0004】
さらなる実施形態によれば、レーザパッケージを動作させるための方法において、少なくとも1つのレーザセットは、レーザダイオードの少なくとも1つが、および所定の好適な実施形態ではすべてのレーザダイオードが光を放出するように動作される。本明細書で説明するすべての特徴および実施形態は、レーザパッケージおよびレーザパッケージを動作させるための方法に等しく適用される。
【0005】
さらなる実施形態によれば、レーザパッケージは少なくとも2つのレーザダイオードセットを含み、ここで、各レーザダイオードセットは、少なくとも2つのレーザダイオードを含む。したがって、レーザパッケージは、第1の色を放出する第1のレーザダイオードセットと、第2の色を放出する第2のレーザダイオードセットとを含むことができる。第1の色および第2の色は、好適には相互に異なる。これは、特に、第1の色および第2の色が人間の観察者によって異なる色として知覚されることを意味し得る。さらに、レーザパッケージは、第1の色を放出する第1のレーザダイオードセット、第2の色を放出する第2のレーザダイオードセット、および第3の色を放出する第3のレーザダイオードセットを含むことができる。第1の色および第2の色および第3の色は、好適には相互に異なる。例えば、レーザパッケージは、赤色の光を放出する第1のレーザダイオードセット、緑色を放出する第2のレーザダイオードセット、および青色を放出する第3のレーザダイオードセットを含むことができる。したがって、レーザパッケージは、いわゆるRGBレーザパッケージであり得る。各レーザダイオードセットは、以下でより詳細に説明するようにレーザパッケージのいわゆるカラーチャネルを形成することができる。
【0006】
「レーザダイオードセット」または「カラーチャネル」の特徴および/または特性が説明全体にわたって説明されている場合、それらの特徴および/または特性は、少なくとも1つのレーザダイオードセット/カラーチャネルに適用され、好適には、レーザパッケージのすべてのレーザダイオードセット/カラーチャネルに適用される。
【0007】
さらなる実施形態によれば、レーザダイオードは、少なくとも1つのサブマウントに取り付けられる。それに応じて、レーザパッケージは、少なくとも1つのサブマウントを含むことができ、ここで、少なくとも1つまたは複数のレーザダイオードが、サブマウントに取り付けられる。さらに、少なくとも1つのサブマウントは、例えば接続パッドによって形成される1つまたは複数の導体を含むことができる。その上さらに、レーザパッケージは、複数のそのようなサブマウントを含むことができ、ここで、1つまたは複数のレーザダイオードは、それぞれサブマウントの各々に取り付けられる。したがって、レーザパッケージは、1つまたは複数のレーザダイオードがサブマウント上に配置される1つまたは複数のいわゆるチップオンサブマウントアセンブリ(COSA)を使用して構造化されてよく、パッケージは、アレイを形成する1つまたは複数のサブマウントを含むことができる。
【0008】
さらなる実施形態によれば、レーザパッケージは、少なくとも1つのビーム結合器を含む。少なくとも1つのビーム結合器は、レーザダイオードセットの各レーザから放出されるそれぞれの光ビームを結合するために使用され、それによって、レーザダイオードセットのすべての光ビームを含む結合された光ビームがビーム結合器から放出される。ビーム結合器は、好適には、入力側と出力側とを有する。入力側では、レーザダイオードセットのレーザダイオードの光ビームがビーム結合器に入力される。特に、レーザダイオードセットのレーザダイオードの光ビームの各々は、異なる位置でビーム結合器に入力される。換言すれば、レーザダイオードセットに対して、ビーム結合器の入力側には、レーザダイオードセットのレーザダイオードと同数の光点が存在し得る。さらに、出力側では、好適には、レーザダイオードセットの1つの結合された光ビームのみが放出される。好適には、ビーム結合器は、2つ以上の、または特に好適にはすべてのレーザダイオードセットのレーザダイオードのそれぞれの光ビームを結合するために使用され、それによって、ビーム結合器の出力側で、各レーザダイオードセットに対して、それぞれの結合された光ビームが放出される。したがって、レーザパッケージが例えば3つのレーザダイオードセットを含む場合、3つの結合された光ビームが、ビーム結合器の出力側から放出される。
【0009】
例えば、レーザパッケージは、n個のレーザダイオードセットを有することができ、各レーザダイオードセットは、m個のレーザダイオードを有することができ、ここで、nおよびmは、それぞれ1より大きい整数であり、ここで、mは、レーザダイオードセットの各々について同じであるかまたは異なることも可能である。mが各レーザダイオードセットについて同じである場合、n×m個の光ビームが入力側でビーム結合器に入力され、n個の光ビームが出力側でビーム結合器から放出される。したがって、レーザダイオードセットの数に対応する複数の結合された光ビームを生成するために、単一のビーム結合器を使用することができる。レーザダイオードセットの結合された光ビームは、出力側の異なる位置から、または出力側の部分的に重なる位置から、または出力側の同じ位置から放出され得る。
【0010】
好適な実施形態によれば、少なくとも1つのビーム結合器は、偏光ビームディスプレイサ(PBD)とすることができる。PBDは、多くの場合、非偏光光ビームを相互に平行な2つの直交偏光された出力光ビームに分離するための偏光ビームスプリッタとして使用される。一方の偏光は、通常の偏光とも表記され、PBD本体をまっすぐに透過し、それに対して、他方の偏光は異常な偏光とも表記され、PBD本体を通過する間に通常の偏光を有する光ビームから離脱する。PBDは複屈折材料に基づくことができ、ここで、一方の側からPBD本体に入射する2つの直交偏光(S偏光およびP偏光)を有する平行ビームは、他方の側からそれらが出射するときに収束する。直交偏光ビームを結合するために、本明細書に記載されるレーザパッケージでは、ビーム分割のために使用される方向と比較して逆方向にPBDが使用される。
【0011】
さらなる実施形態によれば、ビーム結合器は、選択的に反射する前面と、少なくとも選択的に反射する後面とを有するプレートを含むかまたはそのようなプレートであることが可能であり、ここで、前面は1つの偏光を有する光を反射し、それに対して他の偏光を有する光は、後面から透過および反射させることができる。さらに、前面および後面は、2つの別個のプレートの要素とすることができる。この場合、例えばビームの重なりを改善するために、プレートの1つが可動であれば有利となり得る。さらに、前面および背面の少なくとも一方は、プリズムの一部とすることができる。さらに、前面は、1つのプリズムの一部とすることができ、それに対して、後面は、別のプリズムの一部とすることができる。この場合、プリズムの1つが可動であれば有利となり得る。
【0012】
レーザダイオードによって放出される光は、通常、少なくとも部分的に偏光された光である。レーザパッケージは、1つまたは複数のレーザダイオードから放出される光の偏光の修正を意図してそのために具体化された偏光修正素子(PME)を含むことができる。特に、PMEは、光ビームの偏光を直交偏光に、すなわち、P偏光をS偏光に、またはその逆に変更するように構成されている。PMEは、例えば、1つまたは複数の波長板を含むかまたはそのような波長板であり得る。好適な実施形態によれば、レーザダイオードセットのレーザダイオードのうちの少なくとも1つまたはそれ以上であるがすべてではないレーザダイオードの光ビームは、PMEを通ってからビーム結合器に送信され、それに対して、レーザダイオードセットの残りのレーザダイオードの光ビームは、レーザダイオードとビーム結合器との間でPMEなしでビーム結合器に送信される。好適には、レーザダイオードセットの半分のレーザダイオードの光ビームは、PMEを通って送信される。直交偏光を有するレーザダイオードセットの少なくとも2つのレーザダイオードの光ビームを結合することによって、レーザパッケージは、レーザダイオードセットの各々について、少なくとも部分的な非偏光結合光ビーム、または実質的な非偏光結合光ビーム、または完全な非偏光結合光ビームを放出することができる。
【0013】
さらなる実施形態によれば、レーザパッケージは、少なくとも1つの制御要素を含む。この制御要素は、制御ユニットまたは制御ユニットの一部を形成し、レーザドライバを含むかまたはレーザドライバであり得る。特に、レーザパッケージは、レーザダイオードセットの各々についてそれぞれの制御要素を含むことができる。好適には、レーザダイオードセットのすべてのレーザダイオードは、単一の制御要素によって制御される。換言すれば、n個のレーザダイオードセットを有するレーザパッケージは、n個の制御要素を有することができ、ここで、これらの制御要素の各々は、レーザダイオードパッケージのうちの1つに対して専用である。上述したように、レーザダイオードセットの各々は、レーザパッケージのカラーチャネルとも、あるいは単にチャネルとも表記され、そのため好適には、各チャネルは専用の制御要素によって制御可能である。
【0014】
先に説明した実施形態に従って、またさらなる実施形態に従って、レーザパッケージは、以下の特徴のうちの1つまたは複数またはすべてを含むことができる:
-少なくとも第1のレーザダイオードセットであって、ここで、第1のレーザダイオードセットは、第1の色の光ビームを放出する少なくとも2つのレーザダイオードを有することができる。第1のレーザダイオードセットは、レーザパッケージの第1のチャネルを形成することができる。
-少なくとも第2のレーザダイオードセットであって、ここで、第2のレーザダイオードセットは、第2の色の光ビームを放出する少なくとも2つのレーザダイオードを有することができる。第2のレーザダイオードセットは、レーザパッケージの第2のチャネルを形成することができる。
-少なくとも第3のレーザダイオードセットであって、ここで、第3のレーザダイオードセットは、第3の色の光ビームを放出する少なくとも2つのレーザダイオードを有することができる。第3のレーザダイオードセットは、レーザパッケージの第3のチャネルを形成することができる。
-ビーム結合器であって、ここで、第1のレーザダイオードセットの少なくとも2つのレーザダイオードによって放出された光ビームは、異なる偏光でビーム結合器に入射することができ、当該ビーム結合器によって第1の非偏光結合光ビームに結合することができ、さらにここで、第2のレーザダイオードセットの少なくとも2つのレーザダイオードによって放出された光ビームは、異なる偏光でビーム結合器に入射することができ、当該ビーム結合器によって第2の非偏光結合光ビームに結合することができる。
-プリズムであって、ここで、レーザダイオードセットの各々の少なくとも2つのレーザダイオードは、当該プリズムの異なる側面に配置することができる。
-プリズムの同じ側面に配置された異なるレーザダイオードセットのレーザダイオードは、プリズムに対して異なる高さに配置することができる。
-レーザダイオードセットの各々の少なくとも2つのレーザダイオードは、異なる位置でビーム結合器に入射する光ビームを放出することができる。
-偏光修正素子であって、ここで、偏光修正素子は、レーザダイオードセットの各々の少なくとも2つのレーザダイオードの少なくとも1つであるが好適にはすべてではない光ビームのビームパスに配置することができる。
-偏光修正素子は、ビーム結合器の入力側に配置することができる。
-円柱レンズであって、ここで、円柱レンズは、レーザダイオードセットの各々のレーザダイオードの光ビームのビームパスにおいて、ビーム結合器の入力側に配置可能かまたは直接そこに配置可能である。
【0015】
さらなる実施形態によれば、レーザパッケージは、例えばディスプレイシステムであり得るプロジェクタに使用される。前述のように、各レーザダイオードセットは、レーザパッケージの、したがってプロジェクタのチャネル、好適にはカラーチャネルを形成することができる。赤、緑、および青の光をそれぞれ生成する3つのレーザダイオードセットの場合、RGBディスプレイシステムのようなRGBプロジェクタを実現することができる。例えば、ディスプレイシステムは、ニアツーアイ(near to eye)プロジェクションを提供することができ、例えば、拡張現実(AR)および仮想現実(VR)ディスプレイシステムのようなニアアイディスプレイシステムとすることができる。例えば、そのような3次元(3D)拡張現実や仮想現実を支援するニアアイディスプレイシステムでは、ユーザー体験を決定する中心的な要因は、いわゆるアイボックスに関連するものである。アイボックスとは、一連の所定の基準や閾値に関して、眼が許容可能な画像の視認性を受け付ける容量を指す。ニアアイディスプレイシステムのようなニアツーアイレーザビーム走査について、例えば、スペックル(コヒーレンスによる)やアイボックス内の画像不均一性(偏光による)などの問題を緩和するためにマルチリッジレーザを使用することによって改善されたシステム撮像を達成することができる。しかしながら、そのようなマルチリッジベースのシステムでは、最初のテスト後少なくとも24ヶ月の通常の開発期間で、5つ以上のレーザドライバに対するドライバスペースにおいて考慮されていない要求が存在する。
【0016】
記述したビーム結合器を二次光学系として組み込むことにより、例えば、現在市場で入手可能な3つのレーザドライバのみを使用して、6つの無相関、非偏光のレーザビームを導出することができる。レーザパッケージの二次光学系は、上述したように、好適には2つの異なる偏光を結合してそれらを1つのスポットに統合する偏光ビームスプリッタなどのビーム結合器を含むかまたはビーム結合器である。代替的に、上述のようなビーム結合器の別の構成も可能である。ビーム結合器の使用は、例えば、偏光解消されたRGBレーザ光の3つのスポットを生成するために3つのドライバを使用してR+R、G+G、およびB+Bレーザダイオードセットを同時に動作させるレーザパッケージを動作させるための方法を可能にする。したがって、本明細書に記載されたレーザパッケージは、長いドライバの開発を待つことなく、今日利用可能な改善された撮像を可能にする。
【0017】
ディスプレイシステムは、例えば、メーカーのような企業だけでなく、一般消費者や生産者/個人消費者(「自給自活者」)向けのVRまたはARグラス用に実装可能であるか、またはそのようなグラスであり得る。
【0018】
さらなる実施形態によれば、以下において、レーザパッケージおよびレーザパッケージを動作させるための方法のさらなる実施形態および特徴が説明される。上述したように、レーザパッケージは、少なくとも2つのレーザダイオードを有する少なくとも第1のレーザダイオードセットを含むことができる。少なくとも2つのレーザダイオードは、例えば、第1のレーザダイオードおよび第2のレーザダイオードと表記することができる。第1のレーザダイオードセットの第1のレーザダイオードおよび第2のレーザダイオードの各々は、動作した場合、第1の色の光ビームを放出する。特に、第1のレーザダイオードセットの第1のレーザダイオードは、動作した場合、第1の色を有し、調整可能な第1の強度を有する第1の光ビームを放出し、第1のレーザダイオードセットの第2のレーザダイオードは、動作した場合、第1の色を有し、調整可能な第2の強度を有する第2の光ビームを放出する。その結果、レーザパッケージによって放出される第1の色を有する光は、第1のレーザダイオードセットのレーザダイオードのいずれが動作されるかに依存して、第1の光ビームおよび/または第2の光ビームを含むことができる。特に、第1のレーザダイオードセットによって、したがって、レーザパッケージによって放出される第1の色を有する光は、第1の光ビームおよび第2の光ビームの強度に依存する第1の発光強度を有する。
【0019】
さらなる実施形態によれば、第1の強度範囲と第2の強度範囲との間の遷移強度が予め決定され、第1のレーザダイオードセットによって放出される第1の発光強度に割り当てられる。換言すれば、下方の強度範囲の上限であり、かつ上方の強度範囲の下限である遷移強度を定めることによって2つの強度範囲が定義される。第1の発光強度が第1の強度範囲にある場合、すなわち、遷移強度よりも小さい場合、第1の発光強度が透過強度に到達して、その後透過強度を越えるまで増加すると、第1の発光強度は、第2の強度範囲に入る。同様に、第1の発光強度が第2の強度範囲にある場合、すなわち、遷移強度よりも大きい場合、第1の発光強度が透過強度に到達して、その後透過強度を越えるまで減少すると、第1の発光強度は、第1の強度範囲に入る。
【0020】
さらなる実施形態によれば、第1の発光強度が第1の強度範囲にある場合、第1または第2のレーザダイオードのいずれかが動作され、それに対して、他のレーザダイオードはスイッチオフされる。換言すれば、第1の発光強度が第1の強度範囲にある場合、第1のレーザダイオードセットの第1のレーザダイオードが動作しかつ第1のレーザダイオードセットの第2のレーザダイオードは動作しないか、または第1のレーザダイオードセットの第1のレーザダイオードは動作せずかつ第1のレーザダイオードセットの第2のレーザダイオードが動作する。
【0021】
さらに、発光強度が第2の強度範囲にある場合、第1のレーザダイオードセットの第1のレーザダイオードおよび第1のレーザダイオードセットの第2のレーザダイオードの両方が動作する。換言すれば、第1の発光強度が第1の強度範囲にある場合、すなわち、遷移強度よりも小さい場合、第1のレーザダイオードの第1の強度または第2のレーザダイオードの第2の強度のいずれかを増加させることによって第1の発光強度が透過強度に到達して、その後透過強度を超えるまで減少すると、第1の発光強度は、第2の強度範囲に入り、第1の強度範囲で動作しなかった第1および第2のレーザダイオードの他方がスイッチオンする。
【0022】
例えば、第1の発光強度が、最初に、第1の強度範囲にある場合、第1のレーザダイオードセットの第1のレーザダイオードが動作され、第1のレーザダイオードセットの第2のレーザダイオードは動作されない。この場合、第1の発光強度は、第1の強度範囲から第2の強度範囲へ遷移強度を越えて増加され、第1のレーザダイオードセットの第2のレーザダイオードは、第2の強度で動作するようにスイッチオンされる。好適には、第1の強度は、第2の強度と等しくなるように低減される。他方では、最初に、第1の発光強度が、第2の強度範囲にある場合、第1および第2のレーザダイオードが動作され、その後、第1の発光強度が、第1および第2の強度を低減することによって第2の強度範囲から第1の強度範囲へ遷移強度を越えて低減される場合、第1のレーザダイオードセットの第2のレーザダイオードはスイッチオフされ、それに対して、第1の強度は、所期の第1の発光強度になるまで増加され得る。
【0023】
さらなる実施形態によれば、第1のレーザダイオードセットは、複数の第2のレーザダイオードを含み、ここで、第2のレーザダイオードの各々は、発光強度が第2の強度範囲になるように設定される場合、同じ第2の強度で動作する。
【0024】
さらなる実施形態によれば、レーザパッケージは、画像領域を照射するために使用され、好適には、レーザパッケージを含むプロジェクタに使用される。特に、レーザパッケージによって放出された光は、例えば、ミラービームスキャナとも表記され得る1つまたは複数の走査ミラーを使用することによって、画像領域上を走査することができる。画像領域は、照明された表面が観察者によって知覚され得るように、表面上を光で走査することによってレーザパッケージの光により照明される表面であり得る。画像領域は、少なくとも第1の部分領域と第2の部分領域とを有することができ、ここで、第1の部分領域についての遷移強度は、第2の部分領域についての遷移強度よりも高くなり得る。これは、第1の発光強度が、第1の部分領域の第1の強度範囲および第2の部分領域の第2の強度範囲にある値を有する場合、レーザパッケージの光が第1の部分領域を照明するとき、第1または第2のレーザダイオードのいずれかが動作し、それに対して、レーザパッケージの光が第2の部分領域を照明するとき、第1および第2のレーザダイオードは一緒に動作することを意味し得る。第1の部分領域は、例えば、低解像度領域、すなわち、より低い解像度および画像品質が許容可能な領域とすることができ、それに対して、第2の部分領域は、高解像度領域、すなわち、高い解像度および画像品質が望まれる領域とすることができる。さらに、例えば、レーザパッケージのレーザダイオードのすべてよりも少ない光ビームが第1の部分領域に到達することができ、レーザパッケージのレーザダイオードのすべての光ビームは、第2の部分領域に到達することができる。
【0025】
レーザパッケージによって放出された光を、例えば1つまたは複数の走査ミラーを使用して走査することにより、以下では走査フィールド曲率とも表記されるフィールド曲率を生成することができ、それに対して、走査ミラー後方の光路における光学系は、以下では光学フィールド曲率とも表記される別のフィールド曲率を生成することができる。このフィールド曲率は、光軸に対して垂直な平坦な対象を平坦な像面上に適切に焦点合わせすることができない光学収差を記述するものである。通常、走査フィールド曲率と光学フィールド曲率とは重ならないので、投影された画像は部分的にぼやける可能性がある。さらなる実施形態によれば、第1のレーザダイオードセットの第1および第2のレーザダイオードは、走査ミラーに対して異なる焦点距離に配置され、結果として、異なる焦点面において走査フィールド曲率が生じる。第1の発光強度が第1の強度範囲にある場合、すなわち、レーザダイオードセットの第1のレーザダイオードまたは第2のレーザダイオードのいずれかが動作する場合、第1のレーザダイオードおよび第2のレーザダイオードのうちの一方は、レーザパッケージの光が第1の領域上を走査するときに動作するのに対して、第1のレーザダイオードおよび第2のレーザダイオードのうちの他方は、レーザパッケージの光が第2の領域上を走査するときに動作し、それによって、走査フィールド曲率と光学フィールド曲率との間の不適合が最小化される。
【0026】
先に説明した本方法の特徴および実施形態は、第2の色を放出する少なくとも2つのレーザダイオードを有する第2のレーザダイオードセットにも適用することができる。その結果、第2のレーザダイオードセットは、第1のレーザダイオードおよび第2のレーザダイオードを含むことができ、ここで、第2のレーザダイオードセットの第1のレーザダイオードおよび第2のレーザダイオードの各々は、動作した場合、第2の色の光ビームを放出し、それによって、第2のレーザダイオードセットの第1のレーザダイオードは、動作した場合、調整可能な第1の強度を有する第1の光ビームを放出し、第2のレーザダイオードセットの第2のレーザダイオードは、動作した場合、調整可能な第2の強度を有する第2の光ビームを放出する。第1のレーザダイオードセットに関する説明と同様に、第1の強度範囲と第2の強度範囲との間の遷移強度が予め決定され、第2のレーザダイオードセットによって放出される第2の発光強度に割り当てられる。第2の発光強度が、第1の強度範囲にある場合、第2のレーザダイオードセットの第1のレーザダイオードが動作しかつ第2のレーザダイオードセットの第2のレーザダイオードは動作しないか、または第2のレーザダイオードセットの第1のレーザダイオードは動作せずかつ第2のレーザダイオードセットの第2のレーザダイオードが動作する。第2の発光強度が、第2の強度範囲にある場合、第2のレーザダイオードセットの第1のレーザダイオードおよび第2のレーザダイオードの両方が動作される。第1の発光強度に割り当てられた遷移強度と第2の発光強度に割り当てられた遷移強度は、同じであることが可能であり、あるいは異なることも可能である。
【0027】
レーザパッケージのさらなる特徴、利点、および適切さは、図面と組み合わせた例示的な実施形態および特徴の以下の説明から明らかになるであろう。図面に示されている実施形態、特に、それぞれ説明された特徴は、図面に示されている特徴のそれぞれの組み合わせに限定されるものではない。むしろ、図示の実施形態、ならびに単一の特徴は、すべての組み合わせが明示的に説明されていない場合であっても、相互に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1A】様々な実施形態によるレーザパッケージを説明するブロック図である。
【
図1B】様々な実施形態によるレーザパッケージを説明するブロック図である。
【
図1C】様々な実施形態によるレーザパッケージを説明するブロック図である。
【
図1D】様々な実施形態によるレーザパッケージを説明するブロック図である。
【
図2A】さらなる実施形態によるレーザパッケージを説明するブロック図である。
【
図2B】さらなる実施形態によるレーザパッケージを説明するブロック図である。
【
図2C】さらなる実施形態によるレーザパッケージを説明するブロック図である。
【
図2D】さらなる実施形態によるレーザパッケージを説明するブロック図である。
【
図3A】さらなる実施形態によるレーザパッケージを説明するブロック図である。
【
図3B】さらなる実施形態によるレーザパッケージを説明するブロック図である。
【
図3C】さらなる実施形態によるレーザパッケージを説明するブロック図である。
【
図4】さらなる実施形態によるレーザパッケージを説明するブロック図である。
【
図5】さらなる実施形態によるレーザパッケージを説明するブロック図である。
【
図6A】さらなる実施形態によるレーザパッケージを説明するブロック図である。
【
図6B】さらなる実施形態によるレーザパッケージを説明するブロック図である。
【
図7】さらなる実施形態によるレーザパッケージを説明するブロック図である。
【
図8】さらなる実施形態によるレーザパッケージを説明するブロック図である。
【
図9】さらなる実施形態によるプロジェクタを説明するブロック図である。
【
図10】さらなる実施形態によるレーザパッケージを動作させるための方法の様々な特徴および態様を説明する図である。
【
図11】さらなる実施形態によるレーザパッケージを動作させるための方法の様々な特徴および態様を説明する図である。
【
図12】さらなる実施形態によるレーザパッケージを動作させるための方法の様々な特徴および態様を説明する図である。
【
図13】さらなる実施形態によるレーザパッケージを動作させるための方法の様々な特徴および態様を説明する図である。
【
図14A】さらなる実施形態によるレーザパッケージを動作させるための方法の様々な特徴および態様を説明する図である。
【
図14B】さらなる実施形態によるレーザパッケージを動作させるための方法の様々な特徴および態様を説明する図である。
【
図15】さらなる実施形態によるレーザパッケージを動作させるための方法の様々な特徴および態様を説明する図である。
【
図16】さらなる実施形態によるレーザパッケージを動作させるための方法の様々な特徴および態様を説明する図である。
【
図17】さらなる実施形態によるプロジェクタを説明するブロック図である。
【
図18】さらなる実施形態によるプロジェクタを説明するブロック図である。
【0029】
以下では、一般的なディスプレイシステムのようなプロジェクタ、特にサイドバイサイド走査レーザビームに基づくニアアイディスプレイシステムに使用することができる、レーザパッケージおよびレーザパッケージを動作させるための方法の様々な実施形態が説明される。図示の構成は、簡単に実装することができ、高い光学的透明性を有する。例として、必ずしも明示的に示されていない場合であっても、描写された実施形態によるレーザパッケージは、それぞれ端面発光レーザダイオードによって形成される2つのレーザダイオードを各々有する3つのレーザダイオードセットを含むことができる。その結果、例として、6つのレーザダイオードを、図示の実施形態によるレーザパッケージにおいて使用することができる。しかしながら、レーザダイオードセットの他の数およびレーザダイオードセットあたりのレーザダイオードの他の数も可能である。
【0030】
基本的には、各々単一の偏光を提供し、赤、緑、および青(RGB)の光を生成するための3つのレーザダイオードは、フルカラー画像の生成のために使用可能なRGBシステムを形成することができる。あらゆる色について2つのレーザダイオードを使用することにより、すなわち、2つのRGBシステムを形成する6つのレーザダイオードを走査ミラーと組み合わせることで、6つの走査点を生成することができる。同じ色を有するレーザが2つとも直交偏光を有する場合、生成される画像は非偏光にすることができる。非偏光照明は、特にニアアイディスプレイ用の導波路を透過した場合、均一な高品質画像を生成する。しかしながら、異なるビーム位置を有する6つの走査点、すなわち、各レーザダイオードに入射される異なる画像を電子的に管理することは、扱いが面倒である。このような例示的に6つの(またはそれ以上の)レーザ構成の駆動チャネルを低減するために、本明細書に記載のレーザパッケージでは、実質的に同じかまたは少なくともほぼ同じ波長および直交偏光を有する2つのレーザダイオードの対を、それぞれの単一ビームに結合することができ、ここで、単一の偏光結合素子を使用してすべての色(RGBおよびそれ以上)を結合することができる。したがって、少なくとも2つの同じ色に関連する光ビームは、同じ素子によって結合される。その結果、あらゆる色を単一のチャネルによって駆動することができる。それゆえ、本明細書に記載のレーザパッケージは、記載されたRGB構成において、6つの駆動チャネルから3つのチャネルのみにすることを可能にすることができる。代替的に、少なくとも2つの色が単一の結合器を使用して結合され、別の部分が2つの偏光のための別個のビームを有する限り、同じ色に関連する光ビームの一部のみが結合されることも可能である。
【0031】
以下では、レーザダイオードを参照数字8で表記し、これに対しては、例えば、視認方向に依存して、例えば「L」または「R」または「_blue」、「_green」、「_red」のようなさらなる情報を付加することができる。これに関して、例えば複数のレーザダイオードを、配置特性を示すために1つの図面では「レーザダイオード8L」または「レーザダイオード8R」と表記することができ、それに対して、同じ複数のレーザダイオード、例えば1つの図面に示されているレーザダイオード8Lを、それらのレーザダイオードの色特性を示すために別の図面では「レーザダイオード8_blue」「レーザダイオード8_green」および「レーザダイオード8_red」として表記することができる。
【0032】
図1Aは、偏光ビームディスプレーサ(PBD)4によって形成されたビーム結合器3の側面
図2である。このPBD4は、例えばシフト偏光ビームスプリッタ(PBS)とも表記でき、本明細書に記載のレーザパッケージに使用されるビーム結合器3の例であり、このPBD4は、複屈折材料に基づくことができ、ここでは、入力側とも表記される一方の側から入射する2つの直交偏光(破線矢印で示されたS偏光および実線矢印で示されたP偏光)を有する平行ビームが収束され、出力側とも表記される他方の側から出射されるものである。寸法、特に、ビーム結合器3の本体の長さまたは長さや幅、ならびに入射ビームの距離を適切に設定することにより、2つのビームは、異なる光路を通りながらも出射側で重なるように出射される。
【0033】
図1Bは、
図1Aに示されているPBD4によって形成されたビーム結合器3と結合されたサイドバイサイド対向レーザ構成を有するレーザパッケージの側面
図6である。このレーザパッケージの正面
図15は
図1Cに示されている。レーザダイオードは、基台12に取り付けられたサブマウント10に配置されている。レーザダイオードは、基台12上のプリズム14の対向側に、3つのRGBレーザの2つのセットを形成する。プリズム14の左側のレーザダイオード8Lは、それぞれ赤、緑、青の光を放出し、1つのRGB構成を形成し、それに対して、プリズム14の右側のレーザダイオード8Rは、別のRGB構成を形成する。これらのRGB構成の1つは、
図1Cに見ることができる。特に、ここで示されているRGB構成のレーザダイオードは、「8_blue」、「8_green」および「8_red」として表記されている。
【0034】
同じ色を放出する2つのレーザダイオード8L,8Rの各対は、上記で説明したようにカラーチャネルとも表記されるレーザダイオードセットを形成する。レーザダイオードは、発散光ビームをプリズム14の反射面に伝送し、P偏光を有する反射ビームは窓16を通過する。プリズム14の左側のレーザダイオード8L(左側のRGB構成を表す)は、波長板17によって形成された偏光変調素子(PME)を透過する。波長板17は、PMEについての一例であり、例えば、半波長波長板とすることができる。プリズム14の両側の他の構成も、出力が線形的で直交する限り可能にすることができる。PMEは、ビーム偏光をS偏光に回転させる。レーザダイオードからのすべてのビーム、すなわち、P偏光を有する右からのレーザダイオードビームおよびS偏光を有する左からのレーザダイオードビームがPBD4に入射すると、それぞれのレーザダイオードセットの光ビームは、図示のように収束し、重なって発散する結合光ビームとしてPBD4から出射される。
【0035】
図1Cに見ることができるように、レーザダイオードによって放出された光ビームは、上方に反射される(プリズム14は図示せず)。任意選択的に、光ビームは、速軸ビーム発散を低減するために、それぞれ円柱レンズ20b,20gおよび20rによって部分的に平行化することができる。マイクロレンズであり得るこれらのレンズは、例えば、窓16上に配置することができ、例えば、速軸および遅軸ビーム発散を等化するために、PBD4の出力側に配置された円柱レンズ19と共役して作動することができる。窓16を通過した後、すべての光ビームは、PBD4によって形成された同じビーム結合器3を通過する。
【0036】
ビーム結合器3とは無関係に、すべての円柱レンズ20b,20rおよび20gは、単一波長を透過し、それゆえ、レンズ20b,20rおよび20gと単一レンズ19とを含む速軸補償光学系の色収差を補償するように設定されている。したがって、同じ窓に作成可能または配置可能なマイクロレンズ20b,20rおよび20gは、各レーザダイオードの発散度に従って、各々異なる光出力と異なる開口とを有する。
【0037】
図1Dは、スポット
図18を示す。左方には、記載された6つのレーザダイオードによって放出された6つのレーザスポットが存在し、これらのレーザスポットのうちの3つのレーザスポット(「8L_red」、「8L_green」、および「8L_blue」によって表記される)は、波長板17のすぐ後、すなわちビーム結合器3の入力側に存在し、ここで、それぞれの色によって表されるすべてのレーザダイオードセットは、(プリズム14の両側に)2つの対向側レーザダイオードを有し、2つの同じ色の光ビームの対は対向偏光(両方向矢印)を有する。PBD4によって形成されたビーム結合器3の出口側では、あらゆる色の2つのレーザビームが、重畳された偏光を有するレーザビームに結合され、結果として、3つのスポット「赤」、「緑」、および「青」によって表される(実質的に)非偏光のレーザビームが生じる。
【0038】
図2Aは、ビーム結合器3の波長依存性を側面
図20で概略的に示しており、ここではR(赤)、G(緑)、およびB(青)と称する異なる波長を有する光ビームが、異なる角度で収束している。したがって、P偏光ビームとS偏光ビームとの間で異なる初期間隔を有する異なる色の光ビームであれば、同じビーム結合器による異なる色の光ビームの重なりを実現することができる。
【0039】
図2Bは、これがどのように達成可能であるかを側面
図22で示す。レーザダイオード8_red,8_greenおよび8_blueは、それぞれのサブマウント10上の異なる高さに配置され、それにより、これらは、プリズム14からの反射後、
図2Dのスポット
図24に示されるように異なる間隔を生成する。
図2Dにおいて、レーザダイオードのスポットは、ビーム結合器3に入る直前では異なる位置を有し、それに対して、ビーム結合器3を出た後は、同じ色チャネルのそれぞれのビームが重なる。
図2Cは、異なる色のレーザダイオードが異なる高さに配置された対応するレーザパッケージを正面
図23で示す。ただし、円柱マイクロレンズ20b,20rおよび20gへの光路は、高さの変更に伴って実質的に変化しないことが
図2Bからも明らかである。
【0040】
図3Aおよび
図3Bは、ウォラストン偏光子または(ほぼ同等の)ロション偏光子に基づくPBD28によって実現されるビーム結合器3についてのさらなる例を側面
図26および27で示す。このビーム結合器タイプにおける横方向のシフトは、
図3Aと比較して
図3Bに示すように、ビーム結合器へのエントリーポイントに依存する。
【0041】
図3Cは、ビーム結合器3としてのPBD28の、先に説明したようなサイドバイサイドレーザパッケージへの実装を側面
図30で概略的に示している。光ビームは、
図1Bに描写された実施形態とほぼ同等に結合される。ここでは、PBD28は、所要ビーム角度を得るために修正される。代替的に、レーザダイオード8は、それらの各サブマウント10に配置されたときに傾斜させることができる(図示せず)。PBD28の横方向シフト32は、各レーザダイオードセットについて両方の偏光が重なる最終スポットを得るための較正を可能にする。本実施形態でも示されているように、プリズム14は、面取りすることも可能である。
【0042】
図4は、同じサブマウント10に配置された同じ色のレーザダイオード8についてのPBD4の実装を側面
図34で示す。図示されているサブマウント後方の他のサブマウント上にある他の色チャネルのレーザダイオードは見えない。
図3A~
図3CのPBD28は、この構成においてビーム結合器3としての適用も可能である。
【0043】
各色チャネルの対向するレーザ光ビームを結合するための別のアーキテクチャは、
図5に側面
図35で示されている。ここでは、右方のレーザダイオード8Rは、描写された色チャネルの左方のレーザダイオード8Lよりもプリズム14からさらに離れて配置されている。両レーザダイオード8L,8Rからの光ビームは窓16を透過し、左方のレーザダイオード8Lからの光ビームは半波長波長板17によりその偏光が90°回転している。代替的に、他の光ビーム偏光を回転させて直交させることも可能である。先に説明した実施形態とは対照的に、
図5に示されているビーム結合器3は、選択的に反射する前面42と少なくとも選択的に反射する後面44とを有するプレート40を含むかまたはそのようなプレート40によって形成されている。右方のレーザダイオード8Rからの光ビーム(実線矢印)は、プレート40のコーティングされた前面42に当たる。この前面42は、このビームの偏光でもって光を反射するように実施されている。換言すれば、前面42は、一方の偏光については反射し、それに対して、他方の偏光は透過する。したがって、左方のレーザダイオード8Lからの光ビーム(破線の矢印)は、前面コーティングを通過し、後面44からは反射される。この表面は、好適には、プレート40内での多重反射を防止するために、ミラーや対向偏光反射器によってコーティング可能である(図示せず)。プレート40の厚さは、両レーザダイオード8L,8Rからの中央光ビーム(一点鎖線で示す)がプレート40から出射する際に重なるように設定される。右方のレーザダイオード8Rのプリズム14からの距離41は、左方のレーザダイオードからのビームがプレート40内を通過しなければならない付加的な光学距離を等化するために、対応するレーザダイオード8Lの距離よりもわずかに大きい。その結果、両側からのレーザダイオードのビームは、同じ光学系によって同じスポットに集束されることになる。そのような横方向レーザダイオードのシフトは、2つの偏光の光路を等化するために、すべてのカラーチャネルに、および先に説明したすべての構成に適用可能である。
【0044】
しかしながら、例えば、
図1Cに関連して説明したようなマイクロレンズが、すべてのレーザダイオードから予め定められた距離に配置されなければならない場合に、
図5に関連して説明したようなレーザシフトを実施できない可能性が起こり得る。そのような場合、レーザダイオードのビームは、
図6Aの側面
図36に示されているように、同じ焦点面上で同じ焦点距離まで集束しないであろう。例えば、P偏光ビーム(破線矢印)およびS偏光ビーム(実線矢印)を異なる光学距離から受け取るレンズ50Aおよび50Bが使用される場合、それらはビームを異なる位置52Pおよび52Sに集束することになる。単なる例にすぎないが、ここでは2つの偏光が異なる平行化特性を有することを明確にするため、光学系が2つのレンズとして概略的に描写され、ビームは単に焦点を合わせるように示されている。
【0045】
この問題を解決し、異なる焦点距離を管理するために、例えば、
図6Bの側面
図37に示されているように、レンズ54の1つとして複屈折材料を使用することが可能である。この複屈折材料は、例えば、2つの直交軸について屈折率1.55および1.54を有する水晶とすることができる。これらの軸をビームの偏光軸(SおよびP)と重なるように設定することで、2つのビームは異なる光出力を経験するようになる。非複屈折レンズ50A(負の出力も可能である)と複屈折レンズ54との間で光出力を分割することにより、焦点56の等化を達成することができる。代替的に、2つの偏光間の焦点距離の予め定められたシフトを微調整することも可能である。さらに代替的に、複屈折レンズである1つのレンズだけを使用することも可能である。
【0046】
付加的に、
図6Bにも示されているように、プレート44を支持し、複屈折材料で作成可能なプリズム58を使用することが好適である可能性もある。この複屈折プリズム58は、プリズムを通る一方のパスでは(後面44からの反射の前後で)2つの偏光のうちの1つに対して光路差を導入することにより相対的な焦点距離の修正を行うこともでき、それに対して、他方のパスでは2つのビームは光路差を経験しない。プリズム58は、付加的に、相対的な光出力の修正をさらに強化するために、レンズ54との組み合わせに相当する曲面を有することも可能である。
【0047】
複屈折材料は、例えば、1つの偏光ビームの光路に付加された波長板17についての補償のためにS偏光およびP偏光に対して異なる非点収差補正が必要な場合に、円柱レンズ19(
図1C参照)において代替的または付加的に実装することも可能である。
【0048】
図7は、先の複屈折レンズ54有り/無し、かつ/またはプリズム58有り/無しの複数の実施形態に従って、複数のビームとこれらのビームの重なりとこれらのビームの相対的な焦点面位置とを最適化するために、移動可能でかつ(傾斜/シフト方向を表す矢印60によって示されるように)シフトおよび/または傾斜が可能である別個のプレート46上の、先の実施形態のプレート40の第2の表面44に対応する表面45を含んだビーム結合器3を有することによって、PおよびS偏光ビームと焦点面との重なりを調整するためのさらなるやり方を側面
図38で示す。プリズム58は、先の実施形態のプレート40の前面42に対応する表面47を含む。
【0049】
図8は、ビーム結合器3に関するさらなる偏光プリズムのアプローチを側面
図39で示す。ここでは、ビーム結合器3は、PBSキューブを形成する2つのプリズム62a,62bを含み、それらの間にはエアギャップまたは他の屈折材料が伴っている。両偏光からの光は、偏光が直交するように変更されたプリズムの他の端部から反射される。プリズム62a,62bの長さは、相対的な焦点面を調整するために必要とされる場合には異ならせることができる。プリズム62a,62bは、偏光ビームの重なりを改善するために(傾斜/シフト方向を表す矢印64によって示されるように)傾斜またはシフトが可能である。付加的に、反射レンズをプリズムの後方に挿入することができ(図示せず)、これによって、レンズ50A,50Bの必要性をなくすか、または(それらの)出力を低減させることができる。
【0050】
例えば、ニアアイディスプレイシステムのような投影システムは、投影画像を生成するために、走査されたレーザビームを使用する。画像は、出力0から最大レーザ出力までの広い出力範囲にわたってレーザ出力の変化により生成される。
【0051】
前述の実施形態に関連して説明したように、本明細書に記載のレーザパッケージでは、同じ色の2つ以上のレーザダイオードが、照明のための各色チャネルに使用される。各色チャネルの2つのレーザダイオードのビームは、基本的には、1つのスポットを生成する単一のビームに結合することができ、または2つの別個のスポットとしてフィールドを照明することができる。色チャネル毎に少なくとも2つのレーザダイオードのビームを使用することによって、より多くの出力を生成し、解像度を向上させ、最終画像の偏光解消のために使用することができる。
【0052】
図9は、6つのレーザダイオード8R1,8G1,8B1および8R2,8G2,8B2のビームを結合するプロジェクタのための例を概略
図96で示し、ここでは、2つのレーザダイオードの3つの対が、同じ色:赤(R)、緑(G)、および青(B)を放出するそれぞれの色チャネルを形成し、結果としてRGBレーザパッケージが生じる。レーザダイオード8R1,8G1,8B1からのビームは、ビーム結合器によって同じ偏光の単一ビームに結合され、レーザダイオード8R2,8G2,8B2からのビームは、さらなるビーム結合器によって、レーザダイオー8R1,8G1,8B1からのビームと直交するように波長板17によって回転された同じ偏光の別の単一ビームに結合される。ビーム結合器3、例えば
図8に関連して説明したような偏光ビームスプリッタ(PBS)により形成されたビーム結合器3は、これら2つのビームを結合させる。結合されたビームは、光学系116により、ミラービームスキャナ118A,118Bを通して像面122に集束される。像面122は、ビームを拡大するためのディフューザまたはマイクロレンズアレイ(MLA)を含む。次いで、拡大されたビームは、光学系124により出力開口126上で平行化される。
【0053】
PBS4に対して代替的に、ビーム結合器3は、他のいずれかの実施形態に関連して説明したように実施することができる。例えば、レーザパッケージは、
図1A~
図4に関連して説明したような反射プリズム14および複屈折偏光ビームディスプレーサ4を含むことができ、あるいは
図6A~
図8に関連して説明したような偏光ビームスプリッタ/結合器プレート40および/または1つもしくは2つのプリズム58,62a,62bを含むことができる。
【0054】
レーザダイオードは、発光を開始してレーザ出力ビームを生成する前に高い電力閾値を有する傾向がある。
図10は、同じ色の光を放出する2つのレーザダイオード(「レーザ1」、「レーザ2」)を活性化させるための線形的アプローチを示す。プロット100は、総光出力対個々のレーザダイオード光出力を示す。ここでは、両方のレーザダイオード、実線によって示されるレーザ1、および破線によって示されるレーザ2が、所要公称出力を生成するために、それらの個々の光出力を線形的に増加させ、これは結果として、一点鎖線によって示される個々の光出力の合計を生じさせる。また、単一のレーザダイオードの各々についての最大出力(「単一レーザ最大出力」)、ならびにレーザダイオードの対(「二重レーザ最大出力」)も示されている。プロット102は、そのような動作に必要な総電力を示す。両方のレーザダイオードは、同じやり方で活性化される。初期閾値電力を超えることが必要であり、少なくとも明確化するために本明細書で使用される簡素化された近似では、電力におけるほぼ線形的な増加が、光出力における線形的な増加のために必要である。一点鎖線のグラフ300は、2つのレーザダイオードに印加される電力の合計を表す。
【0055】
サイドバイサイドのカラーレーザ配置は、例えば、ニアアイディスプレイやヘッドアップディスプレイのようなプロジェクタに適したコンパクトな光学セットアップである。
図11では、3つの異なるレーザダイオードによって生成される3つのレーザスポットが、スポット
図104に示されている。ここでは、スポット200R,200Gおよび200Bは、赤色発光レーザダイオード、緑色発光レーザダイオード、および青色発光レーザダイオードのセットによって生成されるスポット配置を示す。これらのレーザスポットは、同じ走査ミラーセットにより、画像フィールド全体にわたって走査される。画像フィールドは、例えば、レーザパッケージを含んだプロジェクタによって照明される投影スクリーン上の領域を指す。その結果、レーザダイオードの走査されたフィールドは、画像フィールド
図106に示されているように部分的な重なりを有する。領域204は、重なりフィールド(薄い点状部分)を示し、領域206は、画像が投影されない非重なり領域である。この図、ならびに以下の図においても、高速な走査は水平方向で行われ、それに対して、垂直方向の走査は低速であることを前提としている。換言すれば、プロジェクタは、画像フィールド上で次から次へと走査している。スポット
図108に示されているように、より多くのレーザダイオードが使用される場合、画像フィールド
図110に示されている、画像が投影されるさらに小さな重なり領域208が存在する。ここでは、非結合レーザダイオードビームのスポット201R,201G,201Bおよび202R,202G,202Bの2つのRGBセットが使用される。
【0056】
上述したように、レーザパッケージにおける色チャネル毎の2つ以上のレーザダイオードの使用は、あらゆる色について非偏光光ビームを生成するために使用することができる。さらに、色チャネル毎の2つ以上のレーザダイオードの存在は、以下の実施形態に関連して説明するように、より良好な画像品質でより低い電力消費を達成するために、これらのレーザダイオードの逐次的な活性化を可能にすることができる。以下では、例として、レーザパッケージが、3つのレーザダイオードセットによって形成される3つのカラーチャネルを含み、ここで、レーザダイオードセットの各々は、それぞれ同じ色を有する光を放出する2つのレーザダイオードを含む。第1のレーザダイオードおよび第2のレーザダイオードの2つのレーザダイオードを有する例示的なレーザダイオードセット/カラーチャネルに関連する以下の説明は、各カラーチャネルに適用される。
【0057】
レーザダイオードセットの第1のレーザダイオードおよび第2のレーザダイオードの各々は、動作した場合、同じ第1の色の光ビームを放射する。特に、第1のレーザダイオードは、動作した場合、調整可能な第1の強度を有する光ビームを放出し、第2のレーザダイオードは、動作した場合、調整可能な第2の強度を有する光ビームを放出する。ここでは、および以下において、「強度」および「出力」は、同義に使用され得る。レーザパッケージの例示的なカラーチャネルによって放出される光は、レーザダイオードのうちのいずれが動作されるかに依存して、第1の光ビームまたは第2の光ビームまたはこれらの両方を含むことができる。
【0058】
レーザパッケージのカラーチャネルのための電力消費を低減するために、低電力要件では、1つのレーザダイオードのみが使用され、それに対して、より高い電力では、両方のレーザダイオードを活性化可能にすることができる。より高い電力への移行は、以下に説明するように、両方のレーザダイオードが同じ光出力を放出するように、第1のレーザ出力は低減し、第2のレーザ出力は増加させることに基づかせることが可能である。そのような動作モードでは、画像の利点、例えば解像度、非偏光などが、特に、両方のレーザダイオードが活性化した場合に、すなわち、中~高出力動作モードにおいて利用可能となる。
【0059】
図12に関連して以下に説明するようなレーザパッケージの動作方法については、各色チャネルについて、第1の強度範囲302と第2の強度範囲306との間の遷移強度304が予め決定され、それぞれ各色チャネルのレーザダイオードセットによって放出される発光強度に割り当てられる。
図12のプロット112は、第1の強度範囲302によって表される低出力では、「レーザ1」と表記されるカラーチャネルのレーザダイオードの一方だけが画像のために必要なすべての出力を生成し、それに対して、「レーザ2」と表記されるレーザダイオードの他方は非活性化され、そこに電力は印加されないことを示している。所要電力が増加して遷移強度304を上回る第2の強度範囲306になった場合、矢印308によって示されるように、レーザ1の強度は低減され、それに対して、レーザ2は、レーザ1と同じ強度で光を放出するように活性化される。この強度において、すなわち、遷移強度304を上回る発光強度について、両方のレーザダイオードが、好適には同じ光出力で活性化されるので、解像度の向上および非偏光などのすべての付加的利点が適用可能となる。両方のレーザダイオードは、遷移強度304から最大出力まで活性化される。プロット114は、両方のレーザダイオードに印加される電力を実線および破線で示す。一点鎖線のグラフ309は、両方のレーザダイオードによって消費される総電力を示す。
【0060】
図13のプロット116は、リニアモード、すなわち
図10のグラフ300における総電力の組み合わせを実線で示し、低減された電力モード、すなわち
図12のグラフ308を一点鎖線で示す。低電力における、すなわちレーザ1のみを動作させた第1の強度範囲302における電力差310は、レーザ2を活性化するために必要とされない余分な閾値電力によって与えられる。
【0061】
概略的画像レイアウト例118によって示されているように、画像フィールドであり得る画像領域317が、レーザパッケージの光による表面上の光の走査によって照明され、それによって、照明された表面が観察者によって知覚可能となる。画像領域317は、複数の画像部分領域、例えば少なくとも第1の部分領域と第2の部分領域とを有することができ、ここで、第1の部分領域に対する遷移強度は、第2の部分領域に対する遷移強度より高くなる。これは、発光強度が、第1の部分領域の第1の強度範囲および第2の部分領域の第2の強度範囲にある値を有する場合、レーザパッケージの光が第1の部分領域の一部を照明するとき、第1かまたは第2のレーザダイオードが動作し、それに対して、レーザパッケージの光が第2の部分領域の一部を照明するとき、第1および第2のレーザダイオードが一緒に動作することを意味し得る。第1の部分領域は、例えば、低解像度領域、すなわち、より低い解像度および画像品質を許容できる領域にすることができ、それに対して、第2の部分領域は、高解像度領域、すなわち、高い解像度および画像品質が望まれる領域にすることができる。さらに、例えば、レーザパッケージのレーザダイオードのすべて未満の光ビームが第1の部分領域に到達し、レーザパッケージのレーザダイオードのすべての光ビームが第2の部分領域に到達することが可能である。したがって、概略的画像レイアウト例118に示されているように、同じ画像領域317において、異なる解像度および品質のオブジェクトまたは画像部分領域318,319,320を定義することが可能である。高解像度および高画質の画像区分318では、電力消費のコストで、あらゆる色チャネルの1つよりも多くのレーザダイオード、すなわち2つ以上またはすべてが動作される。低解像度画像区分319では、遷移強度を下回る発光強度のために1つのレーザダイオードのみが動作する。色選択性解像度要求(例えば、緑色の高解像度のみを必要とする場合)のために、さらなる画像区分320において、1つの色のみが両方のレーザダイオードを用いてすべての強度で生成され、それに対して、他の色は、低解像度画像区分319と同様に、すなわち、所要強度が遷移強度を下回る場合に単一のレーザダイオードを用いて生成される。2つのレーザ出力活性化への移行、すなわち遷移強度の決定は、各色チャネルについて独立した異なる画像区分の局所的な要件に適合化させることができる。色チャネルに対して3つ以上のレーザダイオードが使用される場合、同じ低減されたレーザ出力アプローチを適用することができる。
【0062】
先に説明した動作モードに対して代替的または付加的に、以下に説明するような同様の手段を使用してフィールド幅の最適化を実行することができる。画像フレーム全体にわたるレーザ活性化の最適化されたプロファイルは、スキャナによって生成される全角度範囲の照明を可能にする。これは、非重なり領域に起因するフィールド損失の最小化によって達成される。
【0063】
図14Aの画像フィールド
図120では、
図11に示されているスポット
図108とは異なって配置された赤色スポット203Rおよび205Rのみの照明フィールドを有する照明画像フィールドを示す。好適には、レーザパッケージのすべてのレーザダイオードセットによって生成されるスポットは、スポット図において点対称に配置される。これは、スポット図、すなわち、すべてのレーザダイオードセットのすべてのレーザダイオードを動作させたときにレーザパッケージによって生成されるスポットパターンが、点対称性を提示することを意味する。
【0064】
領域210は、両方のスポット203R,205Rによって照明可能な対応する重なりフィールドであり、それに対して、領域212a,212bは、スポット203R,205Rの一方によってのみ到達され得る非重なりフィールドである。以下で説明するように、非重なり領域212a,212bは、先に説明した動作モードに基づく画像を生成するために照明することも可能である。レーザパッケージによって生成されるスポットパターンの点対称性に起因して、非重なり領域212a,212bは、互いに点対称に配置することも可能である。
【0065】
プロファイルプロット122aは、画像フィールド
図120の線213に沿った強度の断面を示し、画像フィールド
図120と横方向に位置合わせされている。レーザダイオードからの総所要出力は、線214で示されている。出力は、画像領域の縁部に向かって低減する。なぜなら、レーザダイオードの走査速度が縁部近傍で低減するからである。
図14Aでは簡素化のために、これらのプロットは、線形的な勾配を持たせて簡素化され、それに対して、例えば
図14Bに示されているようなより曲線的なプロファイルが実際には実装される。最適な性能は、両方のレーザダイオードの出力が、線214によって表される光出力を生成するために合計される場合に達成される。領域210では、各レーザダイオードの強度は、所要光出力のほぼ半分であり、そのため、両方のレーザダイオードは、ほぼ同じ強度を有する光を放出し、一緒に線214によって表される所要光出力を一緒に生成する。代替的に、異なる出力分布は、所要光出力を生成するためにも可能である。解像度は、両方のレーザダイオードが同じ領域を走査しているので、領域210において最適化される。
【0066】
部分205RPによって示されるように、非重なり領域212bにおいて、スポット205Rを生成するレーザダイオードの強度は、プロファイルプロット124aによって示されるように、スポット203Rを生成するレーザダイオードから電力不足を補うように増加される。プロファイルプロット126aは、領域212aにおいてスポット203Rを生成するレーザダイオードによって行われる同じ補償(部分205RPに対応する部分203RP)を示す。
【0067】
説明した出力補償は、画像フィールドの縁部では、レーザダイオードから要求される出力がより低いので可能である。しかしながら、解像度も、1つのレーザダイオードのみがそれぞれの領域を走査するので、領域212a,212bではより低くなるであろう。
【0068】
(例えば
図120の線215に沿った)画像フィールドの上面および底面において、また、線214によって表される所要光出力プロファイルに適合化させるために、1つのレーザダイオードのみが活性化されるべきである(この例ではスポット205Rを生成するレーザダイオード)。この領域は、解像度の低減を経験し、線214によって表される所要光出力プロファイルが最大出力を要する画像フィールドの中央において、出力が制限される可能性がある。走査方向に対してスポット図におけるスポットのわずかに傾斜した配置に起因して、非重なり領域212a,212bは、
図120に描写されたようにL字形状にすることができ、それにより、これらの非重なり領域212a,212bは、重なり領域210の2つの対向する隅部または側面において2つの点対称フレームを形成することができる。
【0069】
領域210と212a,212bとの間のより緩やかな移行は、解像度または出力において観察可能な急激な変化を防止するためにも好適である。そのような緩やかな変化は、
図14Bに示されており、ここで、プロット122b,124bおよび126bが
図14Aのプロット122a,124aおよび126aと同等である。ここでは、これらのプロットは、(プロット内でマークされている)遷移領域が滑らかな画像の知覚を可能にする、強度において好適で緩やかな変化を示している。
【0070】
図15は、スポット
図128に示されるようなスポット203B,203G,203B,205R,205G,205Rの配列を生成するすべてのカラーチャネル、したがってすべてのレーザダイオード上の先に説明した動作モードの実装を示す。両頭矢印は、走査速軸を表す。上述したように、これらのスポット203B,203G,203B,205R,205G,205Rは、好適には、点対称方式で配置され、走査軸に対してわずかに傾斜している。
【0071】
画像フィールド
図120は、スポット203R,205Rを生成する赤色発光レーザダイオードに割り当てられ、赤色チャネル用の重なりフィールドを表す領域210を有する
図14Aに示されている画像フィールド
図120に対応する。画像フィールド
図130は、緑色チャネルの重なりフィールドを表す領域211を有するスポット203G,205Gを生成する緑色発光レーザダイオード上の対応する実装を示す。画像フィールド
図132は、青色チャネルの重なりフィールドを表す領域212を有するスポット203B,205Bを生成する青色発光レーザダイオード上の対応する実装を示す。すべての3つの色チャネルを結合することは、画像フィールド
図120,130,132を領域210,211,212と重ならせることに対応し、画像フィールド
図134によって示されるような画像フィールドにつながる。枠線216は、すべての色が存在する領域、すなわち、各色チャネルの少なくとも1つのレーザダイオードのスポットによって照明可能な領域を表しかつ取り囲み、それに対して、領域208は、すべてのスポット203B,203G,203B,205R,205G,205Rによって照明可能な領域を示す。
図14A、
図14Bに示されているプロファイルプロット122a,124a,126aまたは122b,124b,126bに対応する出力プロファイルを有するスポットを生成するレーザダイオード配置
図128を使用することによって、(枠線216によって表される)照明可能な総画像フィールド領域は、重なりフィールドを表す領域208よりもはるかに大きいことが明らかである。
【0072】
スポット
図136は、横方向の被覆率を最適化するスポットの別の配置を示す。基本的に、最大被覆率のためには、スポット
図128および136に示されているようなスポット配置の側面、特に走査速軸によって定められる左右側面に各色のスポットを有することが好適となり得る。スポット
図138は、レーザダイオードのスポットの非傾斜垂直配置(走査軸の一方に対応する垂直方向)を示し、これにより、水平方向(走査軸の他方に対応する水平方向)のより大きな横方向フィールドを取得することができる。これは、垂直方向の被覆率の低減につながるが、ただし、
図14Aの線215に関連して説明したように解決することができる。スポット図を90°回転させることにより、水平方向の配置が、垂直方向におけるより大きな横方向フィールドに関する同様の効果を伴って取得され得る。走査軸からの偏差、すなわち、上述した例において示されているスポット配向の傾斜は、画像フィールド
図134に示されている非矩形隅部218につながる、最適な矩形形状からのいくつかの偏差を伴う可能性がある。
【0073】
例えば、
図9に示されているミラービームスキャナ118A,118Bとして1つまたは複数の走査ミラーを使用することによって、レーザパッケージによって放出された光を走査することにより、走査フィールド曲率を生成することができる。付加的に、
図9に示されている光学素子としての光学系124は、光学フィールド曲率を生成することができる。フィールド曲率は、光軸に対して垂直な平坦な対象を平坦な像面上で適切に焦点合わせすることができない光学収差を記述する。多くの場合、走査フィールド曲率と光学フィールド曲率とは重ならないので、投影された画像は部分的にぼやける可能性がある。
【0074】
図16は、逐次的なレーザ活性化が、どのようにしてこのフィールド曲率の不適合を大幅に低減することができるかを概略的に示している。
【0075】
図140は、
図9に示されている光学素子としての光学系124に関連するフィールド400を示すのに対して、フィールド402は、
図9に示されているビームスキャナ118A,118Bとしてのレーザ走査に関連する。フィールド400,402は、多くの用途において最も重要な領域である像フィールド中央においてのみ重なるが、像フィールドの縁部では実質的に逸脱しており、それゆえ、縁部における画像品質は低減される。
【0076】
この効果を低減するために、レーザダイオードセットの第1および第2のレーザダイオードは、走査ミラーに関して異なる焦点距離に配置され、結果として、異なる焦点面において走査フィールド曲率が生じる。
図142は、同じ色を有するが異なる焦点面404Aおよび404Bを有する2つのレーザダイオードに関連するフィールド曲率を示す。異なる焦点面は、例えば、第1のレーザダイオードの光が、第2のレーザダイオードの光が経験する光路とは異なっているレーザダイオードから走査ミラーへの光路を経験するように、レーザダイオードセットのレーザダイオードを配置することによって達成することができる。換言すれば、レーザダイオードセットのレーザダイオードは、共通の開口を表す走査ミラーに関して、異なる光路に設定される。
【0077】
特に、レーザダイオードセットの第1のレーザダイオードまたは第2のレーザダイオードのいずれかが動作する場合の動作モードでは、第1のレーザダイオードおよび第2のレーザダイオードのうちの一方は、レーザパッケージの光が第1の領域上を走査するときに動作するのに対して、第1のレーザダイオードおよび第2のレーザダイオードのうちの他方も、レーザパッケージの光が第1の領域上を走査するときに動作し、それによって、走査フィールド曲率と光学フィールド曲率との間の不適合が最小化される。
【0078】
その結果、図示の例では、フィールド404Aを生成するレーザダイオードは、レーザパッケージの光が中央領域406A上を走査するときに活性化されるのに対し、フィールド404Bを生成するレーザダイオードは、画像フィールドの縁部領域406Bに向けられた走査のときに活性化される。
図144において、線404Cは、逐次的なレーザの活性化によって生成される実際のフィールドを示し、これによって、単一のレーザダイオードのフィールド402と比較して、光学系のフィールド400との不適合が生じることは実質的に少なくなる。
【0079】
熱的な変動や許容誤差に起因する変動は、領域406A,406Bの定義に変化を引き起こす可能性がある。極端な場合、光学系のフィールド400に最も近似する1つのレーザダイオードのみが活性化される可能性さえあり得る。レーザダイオードの逐次的な活性化は、好適には、画像内の不連続性を防止するために緩やかである。前述したことは、光学系のフィールド400が、その曲率の点で、レーザダイオードのフィールド402と同じ向きを有する場合にも適用可能である。
【0080】
図17は、
図6Bに示されているレーザパッケージと同様のレーザパッケージを、
図9に示されている光学系116、ミラービームスキャナ118A,118B、像面122および光学系124と組み合わせて構成したプロジェクタの
図170を示す。レーザダイオード8L,8Rからの光は、プリズム14によって反射され、ビーム拡張の速軸と遅軸とを等化する第1の円柱レンズ412を通過する。共役円柱レンズ414は、この等化を完成させるために使用される。安定性および製造性のために、プリズム415がレンズ412と414との間のビームパスの窓16上に配置され、レンズ414と偏光ビームスプリッタ/結合プレート40の両方を支持する。この単一ブロック設計は、光学系の堅牢な統合と小型化とを可能にさせる。レーザダイオード8L,8Rの配置とプレート40の厚さとが
図16に関連して説明したように、レーザダイオード間の最適な焦点差を決定する。さらに、レーザダイオード8L,8Rからのビームは、第2の円柱レンズ414を通過するときに重なる。したがって、最小限の収差のみが導入される。さらに、円柱レンズ412と414との間のレーザダイオード8Lからの光の光路は、前述の2つの円柱レンズの間のレーザダイオード8Rからの光の光路よりもわずかに長い。したがって、円柱レンズ412は、このレンズではレーザビームが重ならないので、レーザダイオード側毎に1つずつ、2つの別個のレンズの組み合わせによって形成することもできる。
【0081】
図18は、
図17のプロジェクタの代替的構成の
図171を示し、ここでは、レーザパッケージの簡略化された図において、プレート40が第2の円柱レンズ414の下流側に配置されるが、他のすべてのコンポーネントは
図17で説明したように配置される。この場合、光学コンポーネント412,414および40を本来の位置に保持するために、機械的な配置が使用されるべきである。レーザダイオードのそれぞれの焦点面は、レーザダイオードの位置とプレート40の厚さとによって、
図17のように定義される。図示の構成では、両方のレーザダイオード8Lおよび8Rからの光ビームの光路は、円柱レンズ412と414との間の長さを有しており、そのため、これらのレンズは、両方のレーザダイオードについて同じである。
【0082】
上述したレーザパッケージおよび様々な動作モードを用いることにより、以下の特徴および効果が所定の実施形態に従って好適となり得る:
-横方向にシフトした発散レーザビームについて1つのビーム結合器を同時に使用することにより、特に、非偏光ビームを生成するために、同じ色を有するレーザビームの少なくともカップルを結合する。
-偏光結合されたレーザビームの軸方向シフト。
-同じ色チャネルのレーザダイオードの結合されたレーザビームの同時変調。
-補償のためにシフトされたレーザダイオードを伴う傾斜された偏光板。
-同じ窓上に生成される隣接する円柱レンズは、異なる光出力と異なる開口とを有し、各々が同じ色チャネルのレーザビームを集光するのに対して、異なるレンズは異なる色チャネルのレーザビームを集光する。
-ビーム結合器と1つまたは複数の複屈折レンズとの組み合わせ。
-可動式反射器を含んだビーム結合器。
-例えば2つのプリズムによって形成される偏光ビームスプリッターキューブを含んだビーム結合器。
-同じ色の光を放出する2つのレーザダイオードを有する色チャネルを含んだレーザパッケージを使用したレーザ投影、ここでは、1つのレーザダイオードのみが低出力で活性化される。
-第2のレーザダイオードの出力が必要な場合に、第1のレーザダイオードの強度を低減するかまたは一定に維持することができ、それによって、両方のレーザダイオードは同じ強度で光を放出する。
-第2のレーザダイオードが必要であるという要件は、走査投影中の画像フィールドの領域に依存させることが可能である。
-第2のレーザダイオードが必要であるという要件は、色チャネル毎に異なる可能性がある。
-レーザダイオードによって放出される光の強度は、同じ色チャネルの他のレーザダイオードによって照明できない画像フィールド領域において増加させることが可能である。
-同じ色チャネルのレーザダイオードは、わずかに異なる距離に焦点面を有することができ、そのため、このレーザダイオードは、所要のフィールド曲率に最良に近似するように活性化可能である。
-レーザパッケージは、偏光ビームスプリッタ/結合器プレート40と、カラーチャネルのレーザダイオードによって放出されたレーザビームの速軸/遅軸等化のための円柱レンズとを組み合わせたプリズムを含むことができる。
【0083】
特に明記しない限り、「実質的に」という言葉の使用は、正確な関係、状態、配置、向き、および/または他の特性を含み、さらに当業者によって理解されるようなそこからの逸脱を、そのような逸脱による開示された方法およびシステムへの影響が重大とならない程度含むように解釈されたい。
【0084】
本開示の全体を通して、名詞を修飾するための冠詞「a」および/または「an」および/または「the」の使用は、便宜上使用され、特に明記しない限り、名詞修飾の1つ、またはそれ以上を含むように理解されたい。用語「含む」、「含有する」、および「有する」には、包括的にとらえるべきとの意図が含まれ、挙げられた要素以外の付加的要素も存在する場合があることを意味する。
【0085】
図面に関連して説明した特徴および実施形態は、すべてのそのような組み合わせが明示的に説明されていない場合であっても、さらなる実施形態に従って互いに結合させることも可能である。さらに、図面に関連して説明した実施形態は、全体部分の説明に従って、付加的および/または代替的な特徴を有することができる。
【0086】
本開示の実施形態についての前述した説明は、例示および説明を目的として提示されたものである。それらは網羅的とすべきこと、または本開示を開示された正確な形態に限定すべきことを意図したものではない。多くの修正および変化形態が、本開示に照らして可能である。本開示の範囲は、この詳細な説明によってではなく、むしろ本明細書に添付された特許請求の範囲によって限定されるべきであることが意図される。
【符号の説明】
【0087】
2 側面図
3 ビーム結合器
4 偏光ビームディスプレーサ
6 側面図
8,8L,8R レーザダイオード
8_blue,8_green,8_red レーザダイオード
8B1,8B2 レーザダイオード
8G1,8G2 レーザダイオード
8R1,8R2 レーザダイオード
8L_red,8L_green,8L_blue スポット
8R_red,8R_green,8R_blue スポット
Red,Green,Blue スポット
10 サブマウント
12 基台
14 プリズム
15 正面図
16 窓
17 波長板
18 スポット図
19 円柱レンズ
20 側面図
20b,20g,20r 円柱レンズ
22 側面図
23 正面図
24 スポット図
26 側面図
27 側面図
28 偏光ビームディスプレーサ
30 側面図
32 横方向シフト
34 側面図
35 側面図
36 側面図
37 側面図
38 側面図
39 側面図
40 プレート
41 距離
42 前面
44 後面
45 表面
46 プレート
47 表面
50A,50B レンズ
52P,52S 位置
54 レンズ
56 焦点
58 プリズム
60,64 傾斜/シフト方向
62a,62b プリズム
96 図
100 プロット
102 プロット
104 スポット図
106 画像フィールド図
108 スポット図
110 画像フィールド図
112 プロット
114 プロット
116 光学系
118 概略的画像レイアウト例
118A,118B ミラービームスキャナ
120 画像フィールド図
122 像面
122a プロファイルプロット
124 光学系
124a プロファイルプロット
126 出力開口
126a プロファイルプロット
130,132,134 画像フィールド図
140,142,144 図
170,171 図
200R,200G,200B スポット
201R,201G,201B スポット
202R,202G,202B スポット
203R,205R スポット
203RP,205RP 部分
204,206,208 領域
210,211,212 領域
212a,212b 領域
213 線
214 線
215 線
216 枠線
218 隅部
300 グラフ
302,306 強度範囲
304 遷移強度
308 矢印
309 グラフ
310 電力差
317 画像領域
318,319,320 部分領域
400,402 フィールド
404A,404B 焦点面
404C 線
406A 中央領域
406B 縁部領域
412,414 円柱レンズ
415 プリズム
【国際調査報告】