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特表2023-545367バソプレシン受容体拮抗薬療法の副作用を管理する方法
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  • 特表-バソプレシン受容体拮抗薬療法の副作用を管理する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】バソプレシン受容体拮抗薬療法の副作用を管理する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/06 20060101AFI20231023BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 7/12 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 3/12 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/16 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P13/12
A61P13/02
A61P7/12
A61P3/12
A61P43/00 121
A61K31/55
A61K31/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518097
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-05-08
(86)【国際出願番号】 US2021055003
(87)【国際公開番号】W WO2022081858
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】63/091,334
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.LABRASOL
(71)【出願人】
【識別番号】504391260
【氏名又は名称】エモリー ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】サンズ,ジェフ,エム.
(72)【発明者】
【氏名】クライン,ジャネット,ディー.
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA20
4C084NA06
4C084ZA811
4C084ZA841
4C084ZC412
4C084ZC422
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC32
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA06
4C086ZA84
4C086ZC42
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206GA12
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA06
4C206ZA81
4C206ZA84
4C206ZC41
4C206ZC75
(57)【要約】
この開示は、バソプレシン受容体拮抗薬療法の副作用としての多尿を管理する方法に関する。ある種の実施形態では、この開示は、バソプレシン受容体拮抗薬療法の副作用としての多尿を治療又は予防する方法であって、バソプレシン受容体拮抗薬を、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の有効量の活性化剤と組み合わせて、ヒト対象に投与することを含む方法に関する。ある種の実施形態では、対象は、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)と診断されている。ある種の実施形態では、対象は、多尿と診断されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バソプレシン受容体拮抗薬療法の副作用としての多尿を治療又は予防する方法であって、バソプレシン受容体拮抗薬を、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の有効量の活性化剤と組み合わせて、ヒト対象に投与することを含む方法。
【請求項2】
前記対象が、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)と診断されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象が、多尿と診断されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記バソプレシン受容体拮抗薬が、トルバプタンである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記AMPK活性化剤が、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)又はその塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
バソプレシン受容体拮抗薬療法の副作用としての多尿を治療又は予防する方法であって、トルバプタンを、有効量の1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)又はその塩と組み合わせて、ヒト対象に投与することを含む方法。
【請求項7】
トルバプタンが、1日あたり30~100mgの量で経口的に投与され、且つ1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)又はその塩が、1日あたり10~3,000mgで投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)を治療する方法であって、トルバプタンを、有効量の1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)又はその塩と組み合わせて、ヒト対象に投与することを含む方法。
【請求項9】
トルバプタンが、1日あたり60~100mgの量で経口的に投与され、且つ1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)又はその塩が、1日あたり10~3,000mgで投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
バソプレシン受容体拮抗薬と、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化剤と、薬学的に許容し得る添加剤とを含む医薬組成物。
【請求項11】
前記バソプレシン受容体拮抗薬が、トルバプタンである、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記AMPK活性化剤が、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)又はその塩である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
バソプレシン受容体拮抗薬と、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化剤とを含む、腎機能低下の治療及び多尿を予防することに使用するための医薬品の生成。
【請求項14】
腎機能低下の治療及び多尿を予防することに使用するための、バソプレシン受容体拮抗薬と、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化剤との組み合わせ。
【請求項15】
低ナトリウム血症の治療及び多尿を予防することに使用するための、バソプレシン受容体拮抗薬と、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化剤との組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月14日に出願された米国仮特許出願第63/091,334号の利益を主張する。本出願の全体を、あらゆる目的のために、参照によって本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
背景
バソプレシン受容体拮抗薬は、低ナトリウム血症、すなわち、血清ナトリウム濃度の低下を治療することが報告されている。低ナトリウム血症は、時として、腎疾患と関連している。バソプレシンV2-受容体拮抗薬、トルバプタンは、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)が進行するリスクがある成人における嚢胞発生及び腎不全の進行を遅らせることが示されている。トルバプタン療法のある副作用は、異常に大きい体積の希釈尿の産生、すなわち多尿である。したがって、トルバプタン療法中の多尿を管理する方法を特定する必要性がある。
【0003】
Efeらは、メトホルミンが、腎性尿崩症を有するげっ歯類における尿濃度を向上させることを報告している。JCI Insight. 2016, 1(11): e88409。
【0004】
Sands et al., Physiological insights into novel therapies for nephrogenic diabetes insipidus, Am J Physiol Renal Physiol, 311: F1149-F1152, 2016;米国特許第9,827,222号及び同第8,623,897号、米国特許出願公開第2016/0367516号;及び国際公開第2018/144570号も参照のこと。
【0005】
本明細書に引用された参考文献は、従来の技術を承認するものではない。
【発明の概要】
【0006】
概要
この開示は、バソプレシン受容体拮抗薬療法の副作用としての多尿を管理する方法に関する。ある種の実施形態では、この開示は、バソプレシン受容体拮抗薬療法の副作用としての多尿を治療又は予防する方法であって、バソプレシン受容体拮抗薬を、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の有効量の活性化剤と組み合わせて、ヒト対象に投与することを含む方法に関する。ある種の実施形態では、対象は、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)と診断されている。ある種の実施形態では、対象は、多尿と診断されている。
【0007】
ある種の実施形態では、バソプレシン受容体拮抗薬は、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)、コニバプタン、リキシバプタン、及びサタバプタン、プロドラッグ、誘導体、又はその塩から選択される。
【0008】
ある種の実施形態では、この開示は、バソプレシン受容体拮抗薬療法の副作用としての多尿を治療又は予防する方法であって、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)などのバソプレシン受容体拮抗薬を、有効量の1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、プロドラッグ、誘導体、又はその塩と組み合わせて、ヒト対象に投与することを含む方法に関する。
【0009】
ある種の実施形態では、この開示は、腎疾患、肝硬変、うっ血性心不全(CHF)、癌、又は抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)に関連する低ナトリウム血症を治療又は予防する、及びバソプレシン受容体拮抗薬療法の副作用としての多尿を予防する方法であって、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)などのバソプレシン受容体拮抗薬を、有効量の1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、プロドラッグ、誘導体、又はその塩と組み合わせて、ヒト対象に投与することを含む方法に関する。
【0010】
ある種の実施形態では、この開示は、バソプレシン受容体拮抗薬と、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化剤とを含む医薬組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面の簡単な説明
図1】AMPK活性化剤治療に伴う尿浸透圧増大を示すデータを示す。トルバプタン(10mg/kg/日)は、強制摂食によって毎日送達される。AMPK活性化剤は、合計で最大14日間、2.5、5、及び10mg/kg/日で与えられ、浸透圧決定のために尿を毎日収集した。明色バー:トルバプタンのみを受けたラットにおける浸透圧。黒色バー:治療されたラット。平均値±標準誤差、n=より低い用量については4~5、10mg/kg/日については8~10、*=p<0.05。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本開示を、より詳細に説明するに先立って、この開示が、記載された特定の実施形態に限定されず、それ故に当然、変動し得ることが理解されるべきである。本明細書で使用される用語法が、特定の実施形態を説明するためのものであるにすぎず、限定的であることは意図されないことも理解されるべきである。なぜなら、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることとなるからである。
【0013】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び科学用語は、この開示が属する分野の技術者によって共通に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似又は等価のあらゆる方法及び材料を、本開示の実施又は試験において使用することもできるが、好ましい方法及び材料を、ここで記載する。
【0014】
この明細書に引用したすべての刊行物及び特許を、あたかも、それぞれ個々の刊行物又は特許が参照によって組み込まれることが具体的に且つ個々に示されるがごとく、参照によって本明細書に組み込み、また、これらの刊行物がそれに関して引用された方法及び/又は材料を開示及び説明するために、参照によって本明細書に組み込む。あらゆる刊行物の引用は、出願日よりも前のその開示に関するものであり、本開示が、先行開示という理由でこうした刊行物に先行する権利を有しないことを認めるものであると解釈されるべきでない。さらに、提供される刊行物の日付は、実際の刊行日(これは、個別に確認する必要がある可能性がある)と異なる可能性がある。
【0015】
この開示を読んだ際に当分野の技術者に明らかとなるであろう通り、本明細書に記載及び例示された個々の実施形態のそれぞれは、本開示の範囲又は趣旨から逸脱せずに他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴と容易に分離する又は組み合わせることができる、別の構成要素及び特徴を有する。列挙されたあらゆる方法は、列挙された事象の順序で、又は論理的に可能である他のあらゆる順序で実施することができる。
【0016】
様々な実施形態を記載することに先立って、以下の定義が提供され、他に指示されない限りこれらが使用されるべきである。さらに、本明細書で提供される見出しは、便宜のためにすぎず、特許請求の範囲の範囲又は意味を解釈するものではない。
【0017】
本開示の化合物は、1種以上の塩、互変異性体、溶媒和物を形成することができるか、又は1つ以上のキラル中心を含有し、異なる光学活性な形態で存在する。化合物が、1個のキラル中心を含有する場合、化合物は、鏡像異性体を含む。本開示には、塩、立体異性体、鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は溶媒和物の混合物が含まれる。鏡像異性体は、結晶化、キラルクロマトグラフィーなどの当技術分野で公知の方法によって分離することができる。化合物が、2つ以上のキラル中心を含有する場合、ジアステレオマーが存在し得る。本開示には、分離されている特定の光学的に純粋な異性体、並びにジアステレオマーの混合物が含まれる。ジアステレオマーは、結晶化及び分取クロマトグラフィーなどの当技術分野で公知の方法によって分離することができる。
【0018】
本明細書及び後続する特許請求の範囲全体を通して、文脈上そうではないことが必要とされる場合を除いて、単語「含む(comprise)」及びその変化形、例えば「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、「含まれること(including)」、「含有すること(containing)」、又は「によって特徴付けられる」などは、排他的でない、包括的意味で、すなわち、「限定はされないが、~が含まれる」と解釈されるべきであり、追加の列挙されていない要素又は方法ステップを排除しない。それに対して、暫定的な表現「~からなる」は、特許請求の範囲において特定されないあらゆる要素、ステップ、又は成分を排除する。暫定的な表現「本質的に~からなる」は、特許請求の範囲の範囲を、請求項に係る発明の特定された材料又はステップ「且つ基本特性及び新規特性に実質的に影響を与えないもの」に限定する。用語「含む」が暫定表現として使用される実施形態又は特許請求の範囲では、こうした実施形態は、用語「含む」の、用語「~からなる」又は「本質的に~からなる」との置き換えで想像することもできる。
【0019】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈によってそうではないと明確に指示されない限り、複数の指示物が含まれることに留意しなければならない。本明細書では、また、後続する特許請求の範囲では、いくつかの用語について言及するつもりであり、これらの用語は、そうではないという意図が明らかでない限り、以下の意味を有するように定義されるものとする。
【0020】
本明細書で使用される用語「投与する」、「投与すること」、又は「投与」は、化合物(当該の薬剤とも称される)又は化合物(当該の薬剤)の薬学的に許容し得る塩、又は組成物を対象に直接的に投与することを指す。
【0021】
本明細書で使用する場合、用語「予防する」又は「予防すること」には、再発、伝播、又は発症の予防が含まれる。本開示が、完全な予防に限定されることは意図されない。いくつかの実施形態では、発症が遅延されるか、又は疾患の重症度が軽減される。
【0022】
本明細書で使用する場合、用語「治療する」及び「治療すること」は、対象(例えば、患者)が治癒する及び疾患が根絶される場合に限定されない。むしろ、本開示の実施形態は、単に症状を軽減する及び/又は疾患進行を遅延させる治療も企図する。
【0023】
本明細書で使用する場合、追加の治療に伴う投与を説明するために使用される場合の用語「との組み合わせ」は、薬剤を、追加の治療の前に、共に、又は後に、又はこれらの組み合わせで投与することができることを意味する。
【0024】
本明細書で使用する場合、用語「誘導体」は、特定された類似体の十分な機能的特質を保持する、構造的に類似の化合物を指す。誘導体は、構造的に類似であり得る。なぜなら、これは、1つ以上の原子を欠いている、置換されている、塩である、異なる水和/酸化常態である、又は、分子内の1つ以上の原子が交換されているからである(例えば、限定はされないが、ヒドロキシル基を付加すること、酸素原子を硫黄原子と置き換えること、若しくはアミノ基をヒドロキシル基と置き換えること、ヒドロキシル基を酸化してカルボニル基にすること、カルボニル基を還元してヒドロキシル基にすること、及び炭素と炭素の二重結合を還元してアルキル基にすること若しくは炭素と炭素の単結合を酸化して二重結合にすることなど)。選択肢の誘導体は、1つ以上の置換を有する。誘導体は、参照によって本明細書に組み込まれるMarch’s Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, Wiley, 6th Edition (2007) Michael B. Smith又はDomino Reactions in Organic Synthesis, Wiley (2006) Lutz F. Tietzeに提供されたものなどの、合成又は有機化学の教科書に示された、あらゆる種類の合成方法又は適切な適合形態によって調製することができる。
【0025】
本明細書で使用する場合、用語「プロドラッグ」は、投与後に、薬理学的に活性な薬物に代謝される(すなわち、体内で変換される)化合物をいう。例としては、カルボン酸のアミド及びアルキルエステル、例えばエチルエステル、イソプロピルエステル、n-ブチルエステル、アリールエステル、(アシルオキシ)アルキルエステル、[(アルコキシカルボニル)オキシ]メチルエステル、(オキソジオキソリル)メチルエステル、又はアミノ酸エステル、又はヒドロキシル基のアルコキシエステル、例えば酢酸エステル、安息香酸エステル、アルキルエーテル、アミノ酸エステル、グリコール酸エステル、リンゴ酸エステル、アシルオキシアルキルエステル、アルコキシカルボニルオキシアルキルエステル、S-アシルチオアルキルエステル、ヒドロキシルアミンアミド、ホスホニルメトキシエーテル、リン酸エステル、アミドリン酸エステル、及びその組み合わせが挙げられる。
【0026】
表現「薬学的に許容し得る」は、本明細書では、妥当なベネフィット/リスク比に見合う、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症を伴わずにヒト及び/又は他の哺乳類の組織と接触して使用するのに適した、適切な医学的判断の範囲内である、当該の薬剤/化合物、塩、組成物、剤形などを指すために用いられる。いくつかの点では、「薬学的に許容し得る」は、哺乳類(例えば、動物)における、より具体的にはヒトにおける使用のために、米国連邦若しくは州政府の規制機関によって承認されること、又は米国薬局方若しくは他の一般に認められている薬局方においてリストアップされることを意味する。
【0027】
用語「患者」及び「対象」は、交換可能であり、本発明の化合物で治療することができるあらゆる生きている生物を意味すると解釈することができる。したがって、用語「患者」及び「対象」には、限定はされないが、あらゆる非ヒト哺乳類、霊長類、又はヒトが含まれ得る。いくつかの実施形態では、「患者」又は「対象」は、哺乳類、例えば、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類、又はヒトである。いくつかの実施形態では、患者又は対象は、成人、小児、又は乳児である。いくつかの実施形態では、患者又は対象は、ヒトである。
【0028】
組成物は、動物又はヒト生物体における薬理学的反応を増強するのに特に有効な量で、患者に投与することができる。本明細書で使用する場合、用語「有効量」は、所望される生物学的効果を達成するのに十分な量を指す。適切な投薬量は、特定の活性剤の薬力学的特性、宿主生物の年齢、健康、及び体重;治療されることとなる状態、症状の性質及び程度、併用治療の種類、治療の頻度、予防又は治療法の必要性、及び/又は所望される効果などの、既知の因子に応じて変動し得る。投薬量はまた、選択される特定の投与経路に応じて算出されることとなる。治療のための適切な投薬量を決定するために必要な計算のさらなる改良が、常に、関連する状況を考慮して医師によって行われる。力価は、従来の技術によって決定することができる。
【0029】
バソプレシン受容体拮抗薬は、バソプレシン受容体(V1A、V1B、及びV2)に特異的に結合し、且つ脳下垂体によって放出されるホルモンであるバソプレシン(抗利尿ホルモン、ADH)の作用を阻止する薬剤である。例としては、トルバプタン、コニバプタン、リキシバプタン、及びサタバプタンが挙げられる。
【0030】
AMPK活性化剤
本明細書で使用する場合、用語「AMPK活性化剤」は、アデノシン一リン酸キナーゼ、AMPKを活性化する物質を指す。
【0031】
ある種の実施形態では、AMPK活性化剤は、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又はその塩である。
【0032】
実施形態では、AMPK活性化剤は、式I
【化1】

(式中、R及びRは、独立に、ヒドロキシル、アルコキシ、又はNHR’からなる群から選択され、ここでは、R’は、水素、アルキル、シクロアルキル、SOR、又はCORであり、ここでは、Rは、アルキル又はシクロアルキルから選択され;RとR又はRとRは、独立に、水素、又はアルキルから選択され;RとR及び/又はRとRは、3~5個の炭素原子の環を形成することができ;nは、独立に、0又は1から選択され;Lは、独立に、10~14個の炭素原子を任意に含有する脂肪族直鎖である)の化合物、誘導体、プロドラッグ、又はその塩である。実施形態では、RとR及び/又はRとRのうちの少なくとも1つは、3~5個の炭素原子、RとR又はRとRの環を形成する。
【0033】
実施形態では、式Iの化合物は、式IA
【化2】

(式中、R及びRは、独立に、ヒドロキシル、アルコキシ、又はNHR’からなる群から選択され、ここでは、R’は、水素、アルキル、又はシクロアルキルである)の化合物、誘導体、プロドラッグ、又はその塩である。
【0034】
実施形態では、式Iの化合物は、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)若しくは誘導体又はその塩である。
【0035】
実施形態では、式Iの化合物は、1,1’-(デカン-1,10-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)若しくは誘導体又はその塩である。
【0036】
実施形態では、式Iの化合物は、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボン酸)誘導体、プロドラッグ、又はその塩である。
【0037】
実施形態では、式Iの化合物は、1,1’-(デカン-1,10-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボン酸)誘導体、プロドラッグ、又はその塩である。
【0038】
実施形態では、式Iの化合物は、1-(12-(1-(シクロプロピルカルバモイル)シクロプロピル)ドデシル)シクロプロパン-1-カルボン酸誘導体、プロドラッグ、又はその塩である。
【0039】
実施形態では、式Iの化合物は、1-(10-(1-(シクロプロピルカルバモイル)シクロプロピル)デシル)シクロプロパン-1-カルボン酸誘導体、プロドラッグ、又はその塩である。
【0040】
ある種の実施形態では、式Iの化合物には、以下の例が含まれる。これらの例の調製は、米国特許出願公開第20140121267号及び同第20120071528号に提供されている。
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】
【0041】
ある種の実施形態では、AMPK活性化剤は、メトホルミン誘導体、プロドラッグ、又はその塩である。
【0042】
ある種の実施形態では、AMPK活性化剤は、5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミド-1-β-D-リボフラノシド誘導体、プロドラッグ、又はその塩である。
【0043】
ある種の実施形態では、AMPK活性化剤は、4-ヒドロキシ-3-(2’-ヒドロキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-6-オキソ-6,7-ジヒドロチエノ[2,3-b]ピリジン-5-カルボニトリル誘導体、プロドラッグ、又はその塩である。
【0044】
ある種の実施形態では、AMPK活性化剤は、5-(3-(4-(2-(4-フルオロフェニル)エトキシ)フェニル)プロピル)フラン-2-カルボン酸誘導体、プロドラッグ、又はその塩である。
【0045】
ある種の実施形態では、AMPK活性化剤は、O2’,O3’,O5’-トリ-アセチル-N6-(3-ヒドロキシルアニリン)アデノシン誘導体、プロドラッグ、又はその塩である。
【0046】
ある種の実施形態では、AMPK活性化剤は、2-クロロ-5-[[5-[[5-(4,5-ジメチル-2-ニトロフェニル)-2-フラニル]メチレン]-4,5-ジヒドロ-4-オキソ-2-チアゾリル]アミノ]安息香酸誘導体、プロドラッグ、又はその塩である。
【0047】
使用の方法
この開示は、バソプレシン受容体拮抗薬療法の副作用としての多尿を管理する方法に関する。ある種の実施形態では、この開示は、バソプレシン受容体拮抗薬療法の副作用としての多尿を治療又は予防する方法であって、バソプレシン受容体拮抗薬を、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の有効量の活性化剤と組み合わせて、ヒト対象に投与することを含む方法に関する。
【0048】
ある種の実施形態では、この開示は、バソプレシン受容体拮抗薬療法を受けている対象における対象の尿濃縮能力を向上させる方法であって、バソプレシン受容体拮抗薬を、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の有効量の活性化剤と組み合わせて、ヒト対象に投与することを含む方法に関する。
【0049】
ある種の実施形態では、対象は、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)、慢性腎不全の結果などの、又は心不全、肝疾患、癌、肺癌、若しくは抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)に関連する、腎疾患又は腎障害と診断されている。ある種の実施形態では、対象は、多尿と診断されている。
【0050】
ある種の実施形態では、対象は、次の遺伝子:PKD1、PKD2、GANAB、及びDNAJB11のうちの一つの変異に起因する、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)と診断されている。
【0051】
ある種の実施形態では、この開示は、バソプレシン受容体拮抗薬療法を受けている対象における対象の低ナトリウム血症(<136mmol/L)又は高ナトリウム血症(>145mmol/L)を治療又は予防する方法であって、バソプレシン受容体拮抗薬を、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の有効量の活性化剤と組み合わせて、ヒト対象に投与することを含む方法に関する。
【0052】
ある種の実施形態では、バソプレシン受容体拮抗薬は、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)、コニバプタン、リキシバプタン、及びサタバプタン、プロドラッグ、誘導体、又はその塩から選択される。
【0053】
ある種の実施形態では、この開示は、バソプレシン受容体拮抗薬療法の副作用としての多尿を治療又は予防する方法であって、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)を、有効量の1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又はその塩と組み合わせて、ヒト対象に投与することを含む方法に関する。
【0054】
ある種の実施形態では、この開示は、バソプレシン受容体拮抗薬療法が、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)を、有効量の1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又はその塩と組み合わせて、ヒト対象に投与することを含む、本明細書に開示される方法に関する。
【0055】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり60~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又はその塩は、1日あたり10~3,000mg又はそれ以上投与される。
【0056】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり60~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又はその塩は、1日あたり10~1,000mgで投与される。
【0057】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり60~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又はその塩は、1日あたり200~1,000mgで投与される。
【0058】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり60~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり500~1,000mgで投与される。
【0059】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり60~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり500~2,000mgで投与される。
【0060】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり60~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり1,000~2,000mgで投与される。
【0061】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり60~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり1,500~2,000mgで投与される。
【0062】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり60~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり1,000~3,000mgで投与される。
【0063】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり60~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり2,000~3,000mgで投与される。
【0064】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり60~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり10~500mgで投与される。
【0065】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり60~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり10~100mgで投与される。
【0066】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり60~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり100~200mgで投与される。
【0067】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり60~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり200~300mgで投与される。
【0068】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり60~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり300~400mgで投与される。
【0069】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり30~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又はその塩は、1日あたり10~3,000mg又はそれ以上投与される。
【0070】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり30~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又はその塩は、1日あたり10~1,000mgで投与される。
【0071】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり30~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又はその塩は、1日あたり200~1,000mgで投与される。
【0072】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり30~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり500~1,000mgで投与される。
【0073】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり30~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり500~2,000mgで投与される。
【0074】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり30~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり1,000~2,000mgで投与される。
【0075】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり30~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり1,500~2,000mgで投与される。
【0076】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり30~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり1,000~3,000mgで投与される。
【0077】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり30~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり2,000~3,000mgで投与される。
【0078】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり30~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり10~500mgで投与される。
【0079】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり30~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり10~100mgで投与される。
【0080】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり30~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり100~200mgで投与される。
【0081】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり30~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり200~300mgで投与される。
【0082】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、1日あたり30~100mgの量で経口的に投与され、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1日あたり300~400mgで投与される。
【0083】
ある種の実施形態では、この開示は、バソプレシン受容体拮抗薬療法を受けている対象における尿濃縮能力を向上させる方法であって、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)を、有効量の1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又はその塩と組み合わせて、ヒト対象に投与することを含む方法に関する。
【0084】
ある種の実施形態では、この開示は、本明細書に開示された方法に使用するための、バソプレシン受容体拮抗薬と、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化剤との組み合わせに関する。
【0085】
ある種の実施形態では、この開示は、バソプレシン受容体拮抗薬と、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化剤とを含む、本明細書に開示された方法に使用するための医薬品の生成に関する。
【0086】
ある種の実施形態では、この開示は、腎機能低下の治療及び多尿を予防することに使用するための、バソプレシン受容体拮抗薬と、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化剤との組み合わせに関する。
【0087】
ある種の実施形態では、この開示は、低ナトリウム血症の治療及び多尿を予防することに使用するための、バソプレシン受容体拮抗薬と、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化剤との組み合わせに関する。
【0088】
ある種の実施形態では、この開示は、バソプレシン受容体拮抗薬と、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化剤とを含む、腎機能低下の治療及び多尿を予防することに使用するための医薬品の生成に関する。
【0089】
医薬組成物
ある種の実施形態では、この開示は、バソプレシン受容体拮抗薬と、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化剤と、薬学的に許容し得る添加剤とを含む医薬組成物に関する。
【0090】
ある種の実施形態では、薬学的に許容し得る添加剤は、担体、溶媒、希釈剤、コーティング、抗菌若しくは抗真菌剤、又は吸収遅延剤である。ある種の実施形態では、薬学的に許容し得る添加剤は、希釈剤、崩壊剤、可溶化剤、又は滑沢剤から選択される。
【0091】
ある種の実施形態では、バソプレシン受容体拮抗薬は、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)、コニバプタン、リキシバプタン、及びサタバプタン、プロドラッグ、誘導体、又はその塩から選択される。
【0092】
ある種の実施形態では、バソプレシン受容体拮抗薬は、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)であり、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化剤は、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又はその塩である。
【0093】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、60~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又はその塩は、10~3,000mgである。
【0094】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、60~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又はその塩は、10~3,000mg又はそれ以上である。
【0095】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、60~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又はその塩は、10~1,000mgである。
【0096】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、60~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又はその塩は、200~1,000mgである。
【0097】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、60~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、500~1,000mgである。
【0098】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、60~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、500~2,000mgである。
【0099】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、60~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1,000~2,000mgである。
【0100】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、60~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1,500~2,000mgである。
【0101】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、60~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1,000~3,000mgである。
【0102】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、60~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、2,000~3,000mgである。
【0103】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、60~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、10~500mgである。
【0104】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、60~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、10~100mgで投与される。
【0105】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、60~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、100~200mgである。
【0106】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、60~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、200~300mgである。
【0107】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、60~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、300~400mgである。
【0108】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、30~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又はその塩は、10~3,000mgである。
【0109】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、30~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又はその塩は、10~3,000mg又はそれ以上である。
【0110】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、30~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又はその塩は、10~1,000mgである。
【0111】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、30~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又はその塩は、200~1,000mgである。
【0112】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、30~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、500~1,000mgである。
【0113】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、30~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、500~2,000mgである。
【0114】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、30~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1,000~2,000mgである。
【0115】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、30~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1,500~2,000mgである。
【0116】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、30~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、1,000~3,000mgである。
【0117】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、30~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、2,000~3,000mgである。
【0118】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、30~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、10~500mgである。
【0119】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、30~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、10~100mgで投与される。
【0120】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、30~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、100~200mgである。
【0121】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、30~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、200~300mgである。
【0122】
ある種の実施形態では、N-(4-(7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル)-3-メチルフェニル)-2-メチルベンズアミド(トルバプタン)は、30~100mgの量であり、1,1’-(ドデカン-1,12-ジイル)ビス(シクロプロパン-1-カルボキサミド)(NP-5033)、誘導体、プロドラッグ、又は塩は、300~400mgである。
【0123】
ある種の実施形態では、薬学的に許容し得る添加剤は、希釈剤である。例としては、微結晶セルロースが挙げられ、他の希釈剤は、例えば:炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸セルロース、エリスリトール、エチルセルロース、フルクトース、イヌリン、イソマルト、ラクチトール、ラクトース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルチトール、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール、プルラン、シメチコン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ソルビトール、デンプン、スクロース、トレハロース、及びキシリトールであり得る。
【0124】
ある種の実施形態では、薬学的に許容し得る添加剤は、崩壊剤である。崩壊剤の例は、例えば:アルギン酸、アルギン酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、キトサン、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グリシン、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、及びデンプンであり得る。
【0125】
ある種の実施形態では、薬学的に許容し得る添加剤は、可溶化剤である。可溶化剤の例は、例えば:塩化ベンザルコニウム、安息香酸ベンジル、スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンナトリウム、塩化セチルピリジニウム、シクロデキストリン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、フマル酸、ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン、ヒプロメロース、ラノリンアルコール、レシチン、オレイルアルコール、リン脂質、ポロクサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸ポリオキシル、ポリオキシルグリセリド、ポビドン、ピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンエステル(ソルビタン脂肪酸エステル)、トリカプリリン、トリオレイン、及びコハク酸ビタミンEポリエチレングリコールであり得る。
【0126】
ある種の実施形態では、薬学的に許容し得る添加剤は、滑沢剤である。滑沢剤の例は、例えば、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、ジベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、グリセリンのベヘン酸エステルの混合物(例えば、ジベヘン酸グリセリル、トリベヘニン、及びベヘン酸グリセリルの混合物)、ロイシン、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸、パルミチン酸、ポロクサマー、ポリエチレングリコール、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、トリベヘニン、及びステアリン酸亜鉛であり得る。
【0127】
ある種の実施形態では、薬学的に許容し得る添加剤は、ラクトース、スクロース、マンニトール、クエン酸トリエチル、デキストロース、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルN-ピロリドン、クロスポビドン、エチルセルロース、ポビドン、アクリル酸メチルとエチルの共重合体、ポリエチレングリコール、ソルビトールの脂肪酸エステル、ラウリル硫酸塩、ゼラチン、グリセリン、モノオレイン酸グリセリル、二酸化ケイ素、二酸化チタン、タルク、コーンスターチ、カルナウバロウ、ステアリン酸、ソルビン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ヒマシ油、鉱油、リン酸カルシウム、デンプン、デンプンのカルボキシメチルエーテル、酸化鉄、トリアセチン、アカシアガム、エステル、又はその塩から選択される。
【0128】
ある種の実施形態では、医薬組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、ゲル、ゲルカプセル、又はクリームの形態である。ある種の実施形態では、医薬組成物は、任意に糖又は多糖を含む、6~8のpHの、滅菌されたpH緩衝化された塩類水溶液又はリン酸緩衝生理食塩水の形態である。
【0129】
ある種の実施形態では、本明細書に開示された薬剤は、「遊離塩基形態」で、又は薬学的に許容し得る塩として、又はあらゆるそれらの混合物として使用することができる。一実施形態では、薬剤は、遊離塩基形態である。「遊離塩基形態」は、薬剤が塩の形態ではない場合を指すことが理解されよう。
【0130】
ある種の実施形態では、薬学的に許容し得る形態は、薬学的に許容し得る塩である。本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容し得る塩」は、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応などを伴わない、対象の組織と接触する使用に適した、適切な医学的判断の範囲内であり、且つ妥当なベネフィット/リスク比に相応する、塩を指す。薬学的に許容し得る塩は、当技術分野で周知である。例えば、Bergeらは、J. Pharmaceutical Sciences (1977) 66:1-19に、薬学的に許容し得る塩を詳細に記載している。本明細書で提供される化合物の薬学的に許容し得る塩には、好適な無機及び有機の酸及び塩基由来のものが含まれる。薬学的に許容し得る非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸などの無機酸を用いて、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、若しくはマロン酸などの有機酸を用いて、又はイオン交換などの当技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成された、アミノ基の塩である。
【0131】
他の薬学的に許容し得る塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれる。いくつかの実施形態では、そこから塩を得ることができる有機酸には、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などが含まれる。
【0132】
適切な塩基から得られる薬学的に許容し得る塩には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、及びN(C1~4アルキル)塩が含まれる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどが含まれる。さらなる薬学的に許容し得る塩には、適切な場合、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、及びハロゲン化物などの対イオンを使用して形成されるアミンカチオン、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級スルホン酸アルキル、及びスルホン酸アリールが含まれる。そこから塩を得ることができる有機塩基には、例えば、一級、二級、及び三級アミン、置換されたアミン(天然に存在する置換されたアミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などが含まれる)、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、及びエタノールアミンが含まれる。いくつかの実施形態では、薬学的に許容し得る塩基付加塩は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、及びマグネシウム塩から選択される。
【0133】
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)のためのバソプレシン受容体阻害剤療法の多尿副作用を和らげるためのアデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化剤の使用
2型バソプレシン受容体(V2R)を阻害するトルバプタンでの治療は、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)における腎嚢胞発生の進行を遅らせる。トルバプタン治療の残念な副作用は、過剰に排尿する必要性の発生、すなわち、成人で24時間に2.5L又は3Lを超える明らかな多尿である。これは、一部の患者による非服薬遵守をもたらし、それによって、トルバプタン治療の有益な効果が低下する可能性がある。
【0134】
トルバプタンは、cAMP産生を低下させることによって、ADPKDを改善すると考えられる。V2Rを阻害することは、多尿、及び一種の腎性尿崩症をもたらす。AMPK活性化は、腎性尿崩症を有するラット及びマウスにおいて、多尿を軽減する。したがって、AMPK活性化剤での治療が、有益な効果を低下させずに、V2R阻害剤で治療されたADPKD患者における多尿を改善できるかどうかを決定するための実験を開発した。
【0135】
AMPK活性化剤が、嚢胞発生(cystogenesis)を遅らせることに対するトルバプタンの有益な効果を低下させずに、ADPKDを有するトルバプタンで治療されたマウスにおける多尿を軽減できるかどうかを決定するための実験を実施する。トルバプタンの有益な効果が維持されるが多尿が軽減されるならば、これは、ADPKD患者にとっての生活の質を改善し、トルバプタン療法での服薬遵守を改善するであろう。
【0136】
NP-5033を使用するデータは、トルバプタンで治療されたラット(図1参照)及びバソプレシン2型受容体ノックアウトマウスモデルにおける尿濃縮能力の改善を示す。データは、このAMPK活性化剤が、尿浸透圧を増大させることを示す。予備データは、NP-5033が、強力で特異的であり、且つ低血糖を引き起こさないことを示す。メトホルミンなどのいくつかのAMPK活性化剤は、低血糖を発症させるリスクを呈する。
【0137】
マウスにおける研究
遺伝子改変マウス(Pkd1R3277C/R3277C、以下では「ADPKDマウス」)に、強制摂食によって、10mg/kg/日の用量で1日1回、AMPK活性化剤を提供する。Hoppe et al., J Am Soc Nephrol, 2015, 26(1):39-47を参照されたい。この薬剤を、40%(v/v)ラブラゾール(labrasol)、40%(v/v)ラブラフィル(labrafil)、及び20%トランスキトール(v/v)(4/4/2)に溶解する。この薬剤を、60℃の脂質溶液に5~10分間添加して溶解し易くし、その後、室温に冷却した後に摂食させる。
【0138】
この研究では、2つのアームのマウスを使用する:1)薬剤を、トルバプタンADPKDマウスに投与する;及び2)トルバプタンを含まない脂質溶液を受ける対照ADPKDマウス。トルバプタンを、0.1%トルバプタンを含有する製剤化されたげっ歯類用固形飼料に入れて、制約なしに提供する。AMPK活性化剤を、10mg/kg/日の用量で、強制経口投与で、毎日提供する。薬物を含有する体積は、およそ200マイクロリットルで、動物の体重によって変動する。これらのマウスは、3~6か月で、嚢胞を発生する。
【0139】
実験手順
第1日に、マウスの年齢及び体重を適合させ、群に分ける。基礎的な尿浸透圧のために、スポット尿を採取する。この研究のこのアームの20匹すべてのマウスについて、通常のマウス固形飼料を、トルバプタンを添加した固形飼料と置き換えることとなる。
【0140】
第2日に、AMPK活性化剤の強制摂食を、治療群(TAA群と称される)の10匹のマウスで開始する。対照マウス(トルバプタンを受けている)は、強制経口投与によって賦形剤を受ける(TV群と称される)。これを、実験の最後に動物を安楽死させるまで、毎日継続することとなる。
【0141】
第4日に、TV群の5匹のマウス及びTAA群からの5匹のマウスを、代謝ケージに入れ、尿を一晩収集する。その後、マウスはその定常のケージに戻されることとなる。
【0142】
第11日に、TV及びTAA群の残りの5匹のマウスを、代謝ケージに入れ、尿を一晩収集し、体積を記録する。マウスをその定常のケージに戻す。
【0143】
これを、第12週まで、隔週で繰り返す。
【0144】
尿を、浸透圧、Na、K、Cl含量、並びにタンパク質、グルコース、及び血液についてのディップスティックによる尿検査について分析する。腎臓の超音波検査を、第3、6、及び9週に、麻酔下のマウスに対して実施する。
【0145】
第12週に、マウスを、頸椎脱臼及び瀉血によって安楽死させる。血液は、心臓穿刺によって収集されることとなる。腎臓を除去する:片方の腎臓を、組織学的検査のためのパラフィン包埋のための調製において、一晩、4%パラホルムアルデヒドに入れ;第2の腎臓を、フリーズクランプし、液体N中で凍結させ、その後の分析のために-80℃に維持した。最初の群の20匹のマウスを安楽死させた後、次のアームの研究を開始する。CAAと称される第3群は、トルバプタン治療を受けていないが、AMPK活性化剤の強制摂食を毎日与えられている、10匹のADPKDマウスである。CVと称される第4群は、トルバプタンを受けていないが、賦形剤の強制摂食を毎日与えられている、10匹のADPKDとなる。これらの2つの群を、通常の固形飼料以外は第1群及び2群と同じ治療及びタイミングで処置する。これらのマウスを、第12週、又は実験プロトコルの第1のアームのエンドポイントと一致するいずれかの週に、安楽死させる。
図1
【国際調査報告】