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特表2023-545368高ヨーサスペンション設計のためのジンバルストラット構成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】高ヨーサスペンション設計のためのジンバルストラット構成
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/21 20060101AFI20231023BHJP
   G11B 5/584 20060101ALI20231023BHJP
   G11B 21/10 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
G11B21/21 C
G11B5/584
G11B21/10 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518108
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 US2021055690
(87)【国際公開番号】W WO2022087024
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】17/504,187
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/094,215
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517151084
【氏名又は名称】マグネコンプ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】MAGNECOMPCORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ロン
(72)【発明者】
【氏名】イー、クエン チー
(72)【発明者】
【氏名】グラース、デイビッド
(57)【要約】
複数の外側ストラットと中間ストラットとを備えるトレースジンバルが記載されている。複数の外側ストラットは、トレースジンバルの先端側端部における前側アウトリガーと、トレースジンバルの基端側端部における後側アウトリガーとを含んでおり、前側アウトリガーは、前側アウトリガー先端および前側アウトリガー基端を含んでおり、後側アウトリガーは、後側アウトリガー先端および後側アウトリガー基端を含んでおり、中間ストラットは、後側アウトリガー先端から延びているとともに、前側アウトリガー基端を後側アウトリガーに接続しており、中間ストラットは、スライダータングから延びているとともに、複数の外側ジンバルストラットをスライダータングに接続している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の外側ストラットと中間ストラットとを備えるトレースジンバルであって、
前記複数の外側ストラットは、前記トレースジンバルの先端側端部における前側アウトリガーと、前記トレースジンバルの基端側端部における後側アウトリガーとを含んでおり、前記前側アウトリガーは、前側アウトリガー先端および前側アウトリガー基端を含んでおり、前記後側アウトリガーは、後側アウトリガー先端および後側アウトリガー基端を含んでおり、
前記中間ストラットは、前記後側アウトリガー先端から延びているとともに、前記前側アウトリガー基端を前記後側アウトリガーに接続しており、前記中間ストラットは、スライダータングから延びているとともに、前記複数の外側ジンバルストラットを前記スライダータングに接続している、トレースジンバル。
【請求項2】
前記スライダータングに載置された少なくとも1つのマイクロアクチュエータをさらに備え、前記中間ストラットは、前記スライダータングを支持する、
請求項1に記載のトレースジンバル。
【請求項3】
前記前側アウトリガー基端は、第1接合部において後側アウトリガー先端に接続されている、
請求項1に記載のトレースジンバル。
【請求項4】
前記前側アウトリガー基端は、第1断面寸法と、前記第1接合部における第2断面寸法とを有しており、前記第2断面寸法は、前記前側アウトリガー基端の前記第1断面寸法と略同一の大きさである、
請求項3に記載のトレースジンバル。
【請求項5】
前記前側アウトリガーの前記第1断面寸法および前記第2断面寸法は、0.05ミリメートルから0.10ミリメートルである、
請求項4に記載のトレースジンバル。
【請求項6】
前記後側アウトリガー先端は、断面寸法を有しており、前記中間ストラットは、前記後側アウトリガー先端の前記断面寸法と略同一の大きさである断面寸法を有している、
請求項1に記載のトレースジンバル。
【請求項7】
前記後側アウトリガー先端の前記断面寸法は、0.10ミリメートルから0.20ミリメートルである、
請求項6に記載のトレースジンバル。
【請求項8】
前記中間ストラットは、第2接合部において前記スライダータングに接続されており、前記第2接合部は、前記中間ストラットにおいて断面寸法を有しており、前記第2接合部の前記断面寸法は、前記中間ストラットの断面寸法と略同一の大きさである、
請求項1に記載のトレースジンバル。
【請求項9】
前記前側アウトリガーと前記後側アウトリガーと前記中間ストラットとは、中間ストラットジョイントにおいて互いに接続しており、前記中間ストラットジョイントは、0.0.25ミリメートルから0.40ミリメートルの中間ストラット長さを有しており、該中間ストラット長さは、前記前側アウトリガーの断面寸法と前記後側アウトリガーの断面寸法と前記中間ストラットの断面寸法の2倍よりも大きい、
請求項1に記載のトレースジンバル。
【請求項10】
前記前側アウトリガーと前記後側アウトリガーとは、前記中間ストラットの基端側端部において互いに接続している、
請求項1に記載のトレースジンバル。
【請求項11】
複数の外側ストラットと中間ストラットとを含むトレースジンバルを備えるサスペンションであって、
前記複数の外側ストラットは、前記トレースジンバルの先端側端部における前側アウトリガーと、前記トレースジンバルの基端側端部における後側アウトリガーとを含んでおり、前記前側アウトリガーは、前側アウトリガー先端および前側アウトリガー基端を含んでおり、前記後側アウトリガーは、後側アウトリガー先端および後側アウトリガー基端を含んでおり、
前記中間ストラットは、前記後側アウトリガー先端から延びているとともに、前記前側アウトリガー基端を前記後側アウトリガーに接続しており、前記中間ストラットは、スライダータングから延びているとともに、前記複数の外側ジンバルストラットを前記スライダータングに接続している、サスペンション。
【請求項12】
前記スライダータングに載置された少なくとも1つのマイクロアクチュエータをさらに備え、前記中間ストラットは、前記スライダータングを支持する、
請求項11に記載のサスペンション。
【請求項13】
前記前側アウトリガー基端は、第1接合部において後側アウトリガー先端に接続されている、
請求項11に記載のサスペンション。
【請求項14】
前記前側アウトリガー基端は、第1断面寸法と、前記第1接合部における第2断面寸法とを有しており、前記第2断面寸法は、前記前側アウトリガー基端の前記第1断面寸法と同一の大きさである、
請求項13に記載のサスペンション。
【請求項15】
前記前側アウトリガーの前記第1断面寸法および前記第2断面寸法は、0.05ミリメートルから0.10ミリメートルである、
請求項14に記載のサスペンション。
【請求項16】
前記後側アウトリガー先端は、断面寸法を有しており、前記中間ストラットは、前記後側アウトリガー先端の前記断面寸法と同一の大きさである断面寸法を有している、
請求項11に記載のサスペンション。
【請求項17】
前記後側アウトリガー先端の前記断面寸法は、0.10ミリメートルから0.20ミリメートルである、
請求項16に記載のサスペンション。
【請求項18】
前記中間ストラットは、第2接合部において前記スライダータングに接続されており、前記第2接合部は、前記中間ストラットにおいて断面寸法を有しており、前記第2接合部の前記断面寸法は、前記中間ストラットの断面寸法と略同一の大きさである、
請求項11に記載のサスペンション。
【請求項19】
前記前側アウトリガーと前記後側アウトリガーと前記中間ストラットとは、中間ストラットジョイントにおいて互いに接続しており、前記中間ストラットジョイントは、0.25ミリメートルから0.40ミリメートルの中間ストラット長さを有している、
請求項11に記載のサスペンション。
【請求項20】
前記前側アウトリガーと前記後側アウトリガーとは、前記中間ストラットの基端側端部において互いに接続している、
請求項11に記載のサスペンション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハードディスクドライブのためのサスペンションの分野に関する。より具体的には、本開示は、アクチュエートされるサスペンションにおけるジンバルストラットの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイナミックディスクストレージデバイスでは、情報を記憶するために回転ディスクが使用される。ディスク記憶装置は、典型的には、他の構成要素の取り付け点を提供するとともに配向を可能とするフレームと、ディスクを回転させるためにフレームに載置されたスピンドルモータとを含む。ディスク表面にデータを書き込んだりディスク表面からデータを読み出したりするための読み出し/書き込みヘッドがヘッドスライダーに形成される。ヘッドスライダーは、適切なヘッドスライダーの動作に必要な力とコンプライアンスの両方を提供するサスペンションによって支持されているとともに、ディスクに対して適切に配向させられている。ストレージデバイスにおけるディスクがヘッドスライダーとヘッドサスペンションの下で回転すると、ディスクよりも上の空気も回転する。これにより、ヘッドスライダーの空気力学的設計に作用してヘッドスライダーに揚力を生成するエアベアリングが生成される。サスペンションのバネ力が揚力と反対に作用する。これにより、ディスクよりも上において、ヘッドスライダーを所望の高さ配置に位置決めする。これは、浮上量(fly height)と称されている。
【0003】
ディスクドライブのためのサスペンションは、ロードビームとフレキシャとを含んでいる。ロードビームは通常、サスペンションをディスクドライブのアクチュエータに載置するための載置領域、剛性領域、および載置領域と剛性領域との間のばね領域を含む。ばね領域は、上述した駆動動作中にヘッドスライダーに発生する空力揚力に対して反対に作用するばね力を提供する。フレキシャは通常、ヘッドスライダーが載置されるスライダー載置面を有するジンバル領域を含む。ジンバル領域は、エアベアリングが発生する空力に応じて、フレキシャの残りの部分に対して弾性的に移動可能である。ジンバル領域により、ヘッドスライダーがピッチおよびロール方向に移動できるとともに、ディスク表面変動に追従できる。
【0004】
ディスクドライブメーカーは、より小型でありながらより大きなストレージ容量のドライブを開発し続けている。ストレージ容量の増加は、ディスク上の情報トラックの密度を高めることによって部分的に達成される(すなわち、より狭いおよび/またはより狭い間隔のトラックを使用することによって)。しかしながら、トラック密度が増加するにつれて、モータおよびサーボ制御システムが読み出し/書き込みヘッドを所望のトラック上に迅速かつ正確に位置決めすることがますます困難になる。この状況を改善する試みには、ヘッドサスペンション自体に載置する高性能トラッキングモータ、圧電アクチュエータ、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータといった、別のアクチュエータまたは二次アクチュエータまたは複数のアクチュエータを設けることが含まれている。これらのタイプのアクチュエータは、デュアル・ステージ・マイクロ・アクチュエーション・デバイスとしても知られており、ベースプレート、ロードビーム、またはフレキシャに配置してもよい。
【0005】
トラッキングとヘッドスライダーの位置決め制御を改善するためのこれらの試みのいくつかでは、アクチュエータをベースプレートとフレキシャータングの両方に同時に配置することが含まれている。通常、このタイプのサスペンションでは、読み出し/書き込みヘッドを大きく動かすためにベースプレート領域に配置されたボイスコイルとアクチュエータが使用される。その一方で、このタイプのサスペンションでは、ディスクドライブのトラックよりも上において読み出し/書き込みヘッドを位置決めするために所望の高精度で動かすために、フレキシャータングに配置されたアクチュエータが使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、ハードディスクドライブのためのサスペンションの分野に関する。より具体的には、本開示は、アクチュエートされるサスペンションにおけるジンバルストラットの分野に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
複数の外側ストラットと中間ストラットとを備えるトレースジンバルが記載されている。複数の外側ストラットは、トレースジンバルの先端側端部における前側アウトリガーと、トレースジンバルの基端側端部における後側アウトリガーとを含んでおり、前側アウトリガーは、前側アウトリガー先端および前側アウトリガー基端を含んでおり、後側アウトリガーは、後側アウトリガー先端および後側アウトリガー基端を含んでおり、中間ストラットは、後側アウトリガー先端から延びているとともに、前側アウトリガー基端を後側アウトリガーに接続しており、中間ストラットは、スライダータングから延びているとともに、複数の外側ジンバルストラットをスライダータングに接続している。
【0008】
トレースジンバルの一部の例では、少なくとも1つのマイクロアクチュエータが、スライダータングに載置されている。中間ストラットは、読み出し/書き込みヘッドが組み立てられるスライダータングを支持可能である。前側アウトリガー基端は、第1接合部において後側アウトリガー先端に接続されていてもよい。トレースジンバルの一部の例では、前側アウトリガー基端は、第1断面寸法と、第1接合部における第2断面寸法とを有しており、第2断面寸法は、前側アウトリガー基端の第1断面寸法と略同一の大きさであってもよい。
【0009】
トレースジンバルの一部の例では、後側アウトリガー先端は、断面寸法を有しており、また、中間ストラットは、後側アウトリガー先端の断面寸法と略同一の大きさである断面寸法を有していてもよい。中間ストラットは、第2接合部においてスライダータングに接続されていてもよい。トレースジンバルの一部の例では、第2接合部は、中間ストラットにおいて断面寸法を有しており、第2接合部の断面寸法は、中間ストラットの断面寸法と略同一の大きさである。
【0010】
一部の例では、前側アウトリガーと後側アウトリガーと中間ストラットとは、中間ストラットジョイントにおいて互いに接続している。中間ストラットジョイントは、0.30ミリメートルから0.40ミリメートルの中間ストラット長さを有している。前側アウトリガーの第1断面寸法および第2断面寸法は、0.05ミリメートルから0.10ミリメートルであってよい。
【0011】
トレースジンバルの一部の例では、後側アウトリガー先端の断面寸法は0.10ミリメートルから0.20ミリメートルである。前側アウトリガーと後側アウトリガーとは、中間ストラットの基端側端部において互いに接続していてもよい。
【0012】
複数の外側ストラットと中間ストラットとを含むとともにトレースジンバルを備えるサスペンションも記載されている。複数の外側ストラットは、トレースジンバルの先端側端部における前側アウトリガーと、トレースジンバルの基端側端部における後側アウトリガーとを含んでおり、前側アウトリガーは、前側アウトリガー先端および前側アウトリガー基端を含んでおり、後側アウトリガーは、後側アウトリガー先端および後側アウトリガー基端を含んでおり、中間ストラットは、後側アウトリガー先端から延びているとともに、前側アウトリガー基端を後側アウトリガーに接続しており、中間ストラットは、スライダータングから延びているとともに、複数の外側ジンバルストラットをスライダータングに接続している。
【0013】
サスペンションの一部の例では、少なくとも1つのマイクロアクチュエータが、スライダータングに載置されている。中間ストラットは、読み出し/書き込みヘッドが組み立てられるスライダータングを支持可能である。前側アウトリガー基端は、第1接合部において後側アウトリガー先端に接続されていてもよい。サスペンションの一部の例では、前側アウトリガー基端は、第1断面寸法と、第1接合部における第2断面寸法とを有しており、第2断面寸法は、前側アウトリガー基端の第1断面寸法と略同一の大きさであってもよい。
【0014】
サスペンションの一部の例では、後側アウトリガー先端は、断面寸法を有しており、また、中間ストラットは、後側アウトリガー先端の断面寸法と略同一の大きさである断面寸法を有していてもよい。中間ストラットは、第2接合部においてスライダータングに接続されていてもよい。サスペンションの一部の例では、第2接合部は、中間ストラットにおいて断面寸法を有しており、第2接合部の断面寸法は、中間ストラットの断面寸法と略同一の大きさである。
【0015】
一部の例では、前側アウトリガーと後側アウトリガーと中間ストラットとは、中間ストラットジョイントにおいて互いに接続している。中間ストラットジョイントは、0.25ミリメートルから0.40ミリメートルの中間ストラット長さを有している。前側アウトリガーの第1断面寸法および第2断面寸法は、0.05ミリメートルから0.10ミリメートルであってよい。
【0016】
サスペンションの一部の例では、後側アウトリガー先端の断面寸法は0.10ミリメートルから0.20ミリメートルである。前側アウトリガーと後側アウトリガーとは、中間ストラットの基端側端部において互いに接続していてもよい。
【0017】
複数の例が開示されているが、本開示の例示的な例を示して説明する以下の詳細な説明から、当業者には本開示のさらに他の例が明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。
【0018】
本開示の上記および他の利点および特徴が得られる方法を説明するために、添付の図面に示される特定の例を参照して、上記の原理のより具体的な説明を行う。これらの図面は、本開示の例示的な態様のみを示しており、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではない。原理は、以下の図を使用して、さらに具体的かつ詳細に記述および説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の一例による、マイクロアクチュエータ・デュアル・ステージ・アクチュエーション(DSA)サスペンションを含む磁気ディスクドライブユニットの上側斜視図。
図2A】本開示の一例によるDSAサスペンションの平面図。
図2B】本開示の一例によるトライステージアクチュエーション(TSA)サスペンションの平面図。
図3】一例による、図2のサスペンションのトレースジンバルのジンバル組立体を示す図。
図4】本開示の一例による、図3のトレースジンバルの中間ストラットジョイントを示す図。
図5】シミュレーションによる、図4の中間ストラットジョイントを組み入れたサスペンションのPZT周波数応答関数のグラフ。
図6】本開示の代替例による、サスペンションのトレースジンバルを示す図。
図7】本開示の一例による、図6のトレースジンバルの中間ストラットジョイントを示す図。
図8】シミュレーションによる図6の中間ストラットジョイントを組み入れたサスペンションのPZT周波数応答関数のグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、磁気ディスクドライブユニット100の上側斜視図である。ディスクドライブユニット100は、スピン磁気ディスク101を含んでいる。スピン磁気ディスク101は、ディスクドライブ上に記憶されるデータを構成する磁気による0と1のパターンを含んでいる。磁気ディスク101は、駆動モータによって駆動される。一部の例によると、ディスクドライブユニット100は、ロードビーム107とベースプレート103とトレースジンバルとを有したサスペンション105を含んでいる。該トレースジンバルには、トレースジンバルの先端側端部に近接して磁気ヘッドスライダーが載置される。ロードビームまたはサスペンションの基端側端部は、支持される端部、すなわち、加締めまたは他の態様でアクチュエータアームに載置されるベースプレート103に最も近い端部である。ロードビームまたはサスペンションの先端側端部は、基端側端部とは反対の端部である。すなわち、先端側端部は、カンチレバー端部である。
【0021】
トレースジンバルは、ベースプレート103に連結されている。そして、ベースプレート103は、ボイスコイルモータ10に連結されている。ボイスコイルモータ10は、磁気ディスク101上の正しいデータトラックの上にヘッドスライダーを位置決めするために、アーチ状でサスペンションを動かすように構成されている。ヘッドスライダーは、ジンバル(図示せず)で運ばれる。これは、スライダーのピッチおよびロールを可能とする。これにより、スライダーは、スピン磁気ディスク101上における適切なデータトラックに追従する。これにより、性能を低下させることなく、変動を許容する。変動には、通常、ディスクの変動、衝突等の慣性イベント、ディスク表面における通常とは異なることが含まれる。
【0022】
図2Aは、本開示の一例によるデュアル・ステージ・アクチュエーション・サスペンション105の平面図である。DSAサスペンション105は、ベースプレート12とロードビーム107とを含み得る。ロードビーム107は、トレースジンバル152を含んでいる。トレースジンバル152は、載置されたアクチュエータと、ジンバル組立体を含み得る。アクチュエータは、読み出し/書き込みヘッドを含むように構成されたDSAサスペンション105のジンバル組立体に対して直接的に作用するよう動作可能である。
【0023】
トレースジンバル152は、アクチュエータ14を受容するように構成された少なくとも1つのアクチュエータジョイント17を含み得る。ベースプレート12は、トレースジンバル152の対向する側に配置された、2つのアクチュエータジョイント17を示している。各アクチュエータジョイント17は、アクチュエータ載置シェルフ18を含んでいる。
【0024】
各アクチュエータ14は、アクチュエータジョイント17における対応するギャップに架かる。複数のアクチュエータ14は、接着剤によりスライダータング18に固定される。接着剤は、複数のアクチュエータの各端部に戦略的に塗布される導電性または非導電性のエポキシを含んでいてもよい。正および負の電気的接続が、複数のアクチュエータ14からトレースジンバル152に対し、さまざまな技術によってなされ得る。アクチュエータ14が作動時において拡張または収縮することにより、サスペンション105の先端側端部に載置されている読み出し/書き込みヘッドを動かす。これにより、載置端部間のギャップの長さを変化させる。
【0025】
サスペンション105は、シングルステージアクチュエーションサスペンション、デュアルステージアクチュエーションデバイス、トライステージアクチュエーションデバイス、または他の構成として構成され得る。トライステージアクチュエーションサスペンションの一例が図2Bに示されている。ここでアクチュエータ14および24はそれぞれ載置プレート領域およびフレキシャータング上に同時に配置される。本明細書に開示される例の目的のために、任意の変形例のアクチュエータをサスペンション105に組み込むことが考えられる。換言すれば、サスペンション105は、本開示の範囲から逸脱することなく、示されているものより多いまたは少ない構成要素を含むことができる。しかしながら、示されている構成要素は、開示された原理の実施の例示的な例を開示するのに十分である。
【0026】
図3は、一例による、トレースジンバル152のジンバル組立体を示す。トレースジンバル152は、スライダータング130に載置された少なくとも1つのマイクロアクチュエータ150を含んでいる。トレースジンバル152は、複数の外側ジンバルストラットを含んでいる。複数の外側ストラットは、トレースジンバル152の先端側端部において前側アウトリガー110を含んでいる。複数の外側ストラットは、また、トレースジンバル152の基端側端部において後側アウトリガー140を含んでいる。トレースジンバル152は、また、後側アウトリガー140から延びるとともに前側アウトリガー110を後側アウトリガー140に接続する中間ストラット120を含んでいる。換言すると、前側アウトリガー110と後側アウトリガー140とは、中間ストラット120の基端側端部において互いに接続している。トレースジンバル152は、また、スライダータング130から延びるとともに中間ストラット120をスライダータング130に接続する内側ストラット160を含んでいる。内側ストラット160は、読み出し/書き込みヘッドが組み立てられるスライダータング130を支持している。
【0027】
前側アウトリガー110、後側アウトリガー140、中間ストラット120、および内側ストラット160(「複数のストラット」と総称する)は、マイクロアクチュエータ150の上面にアクチュエーション電圧が印加されることによりマイクロアクチュエータ150をアクチュエートするときに、曲がるように構成されている。複数のストラットは、マイクロアクチュエーションヒンジとして作用する。マイクロアクチュエータ150のアクチュエート時において、マイクロアクチュエーションヒンジが屈曲することにより、トレースジンバル152の先端側端部、よってスライダーが水平方向に動くことが可能となる。複数のストラットは、高スウェイ周波数を実現するために高ラテラル剛性を有しているが、トレースジンバル152の先端側端部がマイクロアクチュエータ150の動作によりディンプル170の周りで回転可能な程度に柔軟性を有している。これを達成するべく、一部の例では、複数のストラットは、さまざまな断面寸法サイズを有している。例えば、複数のストラットは、図3の例に示すように、屈められ、および/または曲げられていることで、マイクロアクチュエータの動作のための柔軟性を実現している。中間ストラット120と内側ストラット160とは、中間ストラットジョイントにおいて互いに接続している。
【0028】
図4は、一例による、トレースジンバル152の中間ストラットジョイント11を示している。中間ストラットジョイント11は、第1接合部116において後側アウトリガー先端142に接続された前側アウトリガー基端114を含んでいる。前側アウトリガー基端114は、第1断面寸法115と、第1接合部116における第2断面寸法117とを有し得る。第2断面寸法117は、前側アウトリガー基端114の第1断面寸法115よりも大きいか同じ大きさである。後側アウトリガー先端142は、第1断面寸法143を有し得る一方、後側アウトリガー基端144は、第1断面寸法143よりも大きな第2断面寸法145(図3)を有している。また、中間ストラット120は、後側アウトリガー基端144の第2断面寸法145(図3)よりも小さな断面寸法121を有している。
【0029】
中間ストラット120は、第2接合部170において内側ストラット160に接続している。第2接合部170は、中間ストラット120において第1断面寸法171を有している。第2接合部170は、内側ストラット160において第2断面寸法173も有している。ここで、第2断面寸法173は、第1断面寸法171よりも大きい。内側ストラット160は、断面寸法161を有している。内側ストラット160は、第3接合部190においてスライダータング130に接続している。第3接合部190は、断面寸法191を有している。スライダータング130は、第3接合部190の断面寸法191よりも大きい断面寸法131を有している。第3接合部190の断面寸法191は、内側ストラット160の断面寸法161よりも大きい。
【0030】
後側アウトリガー先端142、後側アウトリガー基端144、および前側アウトリガー基端114のさまざまな断面寸法は、このようなトレースジンバル152を有したサスペンションデバイスの性能に影響がある。
【0031】
図5は、シミュレーションによる、トレースジンバル152を組み入れたサスペンションのマイクロアクチュエータPZT周波数応答関数のグラフ300である。サスペンションは、50kHzよりも小さいヨー周波数を示した。ヨーモードゲインが、周波数応答関数の周波数バンドにわたる最高のピークであるので、ゲインの減衰のためにヨーモードにおいてディープノッチフィルタを設ける必要がある。これは、サーボバンド幅に制限を課している。
【0032】
図6は、本開示の一例による、サスペンションのトレースジンバル200を示している。トレースジンバル200は、スライダータング230に載置された少なくとも1つのマイクロアクチュエータ250を含んでいる。トレースジンバル200は、複数の外側ジンバルストラットを含んでいる。複数の外側ストラットは、トレースジンバル200の先端側端部において前側アウトリガー210を含んでいる。前側アウトリガー210は、前側アウトリガー先端212と前側アウトリガー基端214とを含んでいる。一部の例では、前側アウトリガー先端212と前側アウトリガー基端214とは、前側アウトリガー210の曲げまたは非直線状フィーチャによって規定されている。別の例では、前側アウトリガー先端212と前側アウトリガー基端214とは、区別不可能であり、かつ、物理的に2つのフィーチャを分離しない直線状のフィーチャにおいて接続していてもよい。
【0033】
複数の外側ストラットは、トレースジンバル200の基端側端部において後側アウトリガー240も含んでいる。後側アウトリガー240は、後側アウトリガー先端242と後側アウトリガー基端244とを含んでいる。一部の例では、後側アウトリガー先端242と後側アウトリガー基端244とは、後側アウトリガー240の曲げまたは非直線状フィーチャによって規定されている。別の例では、後側アウトリガー先端242と後側アウトリガー基端244とは、区別不可能であり、かつ、物理的に2つのフィーチャを分離しない直線状のフィーチャにおいて接続していてもよい。
【0034】
トレースジンバル200は、後側アウトリガー先端242から延びるとともに前側アウトリガー基端214を後側アウトリガー240に接続する中間ストラット220も含んでいる。換言すると、前側アウトリガー210と後側アウトリガー240とは、中間ストラット220の基端側端部において互いに接続している。また、中間ストラット220は、スライダータング230から延びるとともに、複数の外側ジンバルストラットをスライダータング230に接続している。中間ストラット220は、読み出し/書き込みヘッドが組み立てられるスライダータング230を支持している。トレースジンバル200では、屈められたおよび/または曲げられた内側ストラットの要素を設けていないので、トレースジンバル200の剛性が改善されている。
【0035】
図7は、本開示の一例による、トレースジンバル200の中間ストラットジョイント201を示している。中間ストラットジョイント201は、第1接合部216において後側アウトリガー先端242に接続している前側アウトリガー基端214を含んでいる。前側アウトリガー基端214は、第1断面寸法215と、第1接合部216における第2断面寸法217とを有し得る。第2断面寸法217は、前側アウトリガー基端214の第1断面寸法215と略同一の大きさである。当業者であれば、2つの機械加工された構成要素が同一の大きさを有していることは滅多にないと理解する。したがって、本明細書において示した例に係る大きさは、製造公差を考慮に入れており実際上厳密とは考えられない。後側アウトリガー先端242は、断面寸法243を有し得る。中間ストラット220は、後側アウトリガー先端242の断面寸法243と略同一の大きさである断面寸法261を有している。
【0036】
中間ストラット220は、第2接合部270においてスライダータング230に接続している。第2接合部270は、中間ストラット220において断面寸法271を有している。第2接合部270の断面寸法271は、中間ストラット220の断面寸法261と略同一の大きさである。スライダータング230は、第2接合部270の断面寸法271よりも大きい中間ストラットジョイント長さL221を有している。
【0037】
具体的には、中間ストラットジョイント201は、0.20ミリメートルから0.40ミリメートルの中間ストラット長さL221を有し得る。一部の例では、中間ストラット長さL221は、0.25ミリメートルである。前側アウトリガー210の第1断面寸法213および第2断面寸法215は、0.05ミリメートルから0.10ミリメートルである。一部の例では、両断面寸法の幅は、0.09ミリメートルである。後側アウトリガー先端242の断面寸法243は、0.10ミリメートルから0.20ミリメートルである。一部の例では、断面寸法243の幅は、0.12ミリメートルである。中間ストラット220は、図3のトレースジンバルと比べて中間ストラットジョイント長さを実質的に増大する位置で、スライダータング230に接続している。一部の例では、中間ストラットジョイント長さ221は、図3のトレースジンバルの中間ストラットジョイント長さの2倍よりも大きい。
【0038】
図8は、シミュレーションによる、図7の中間ストラットジョイントを組み入れたサスペンションのマイクロアクチュエータ(PZT)周波数応答関数のグラフ400である。増大した中間ストラットジョイント長さにより、ヨー周波数が増大している。例えば、中間ストラットジョイント長さにおける0.1ミリメートルの増大は、8kHzから65.0kHz分、ヨー周波数の増大につながる。さらに、中間ストラットジョイント長さの増大により、位相遅れを増大してゲインを小さくするので、24kHzモード(ねじれモード)も改善する。
【0039】
複数の例が開示されているが、本開示の範囲内のさらに他の例は、例示的な例を示し説明する本明細書に提供される詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。さまざまな例の特徴および変形例が、本明細書で説明され、図面に示されている。複数の例が開示されているが、本開示の例示的な例を示して説明する以下の詳細な説明から、当業者には本開示のさらに他の例が明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】