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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】板金部材の溶接のための方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/21 20140101AFI20231023BHJP
   B23K 31/00 20060101ALI20231023BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20231023BHJP
   B23K 26/323 20140101ALI20231023BHJP
   B23K 101/18 20060101ALN20231023BHJP
【FI】
B23K26/21 F
B23K31/00 L
B23K26/00 P
B23K26/323
B23K101:18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519333
(86)(22)【出願日】2021-08-16
(85)【翻訳文提出日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 EP2021072748
(87)【国際公開番号】W WO2022069105
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】A50842/2020
(32)【優先日】2020-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519178191
【氏名又は名称】アンドリッツ・スーテック・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ストーブリ・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】クロンターラー・ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168BA37
4E168BA56
4E168BA89
4E168CA06
4E168CA07
4E168CB22
4E168CB23
4E168CB24
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、溶接機械内における、平らな板金プレート1、2の突き合わせ溶接のための方法に関し、その際、2つの板金プレート1、2が、供給手段によって、搬送ユニット37の上で位置決めされ、且つ、保持手段によって固定され、その際、互いに溶接されるべき2つの板金プレート1、2の、2つの稜部4、5が、可能な限り少ない間隙の形成のもとで突き合せて並置され、且つ、溶接レーザー6によって互いに溶接され、その際、前記間隙の間隙幅7が測定され、且つ、この測定値によって、溶接プロセスが制御される。本発明に従い、前記間隙幅7が反射光方式を用いて、および、実際の間隙幅9が透過光方式を用いて測定され、従って、このことによって、前記間隙内における欠損面積8もしくは欠損容積がより良好に見積もられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接機械内における、平らな板金プレート(1、2)の突き合わせ溶接のための方法であって、
2つの板金プレート(1、2)が、供給手段によって、搬送ユニット(37)の上で位置決めされ、且つ、保持手段によって固定され、
互いに溶接されるべき2つの板金プレート(1、2)の、2つの稜部(4、5)が、可能な限り少ない間隙の形成のもとで突き合せて並置され、且つ、溶接レーザー(6)によって互いに溶接され、
前記間隙の間隙幅(7)が測定され、且つ、この測定値によって、溶接プロセスが制御される、前記方法において、
前記間隙幅(7)が反射光方式を用いて、および、実際の間隙幅(9)が透過光方式を用いて、同時に測定されること、および、
このことによって、前記間隙内における欠損面積(8)もしくは欠損容積が見積もられること、
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記反射光方式は、レーザーライン方式、即ち、レーザー三角測量方式であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
レーザー溶接プロセス(35)に、充填線材(10)が供給されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
充填線材供給は、見積もられた前記欠損容積に相応して制御されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
両方の前記稜部(4、5)の間の、前記欠損容積の決定のための測定結果の評価は、
画像技術的な方法を用いて、前記溶接プロセスの間じゅう行われることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記溶接プロセスの後、照明装置(31、32)と、それらに所属するカメラ(22、23)とを用いて、製造された溶接継ぎ目内における穿孔が認識され得ることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記反射光方式は、単色の光のための光源(11、12)を使用することを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記間隙幅(7)と前記実際の間隙幅(9)とは、連続的に測定および評価されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記反射光方式と前記透過光方式とのために、共通のカメラ(20)が使用されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記反射光方式は、前記間隙幅(7)の測定のために、前記板金プレート(1、2)の上側面および下側面で使用されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
前記透過光方式は、前記実際の間隙幅(9)の測定のために、前記板金プレート(1、2)の上側面および下側面での使用されることを特徴とする請求項1から8、または10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
車体構造内におけるテイラードブランク材の製造のための、請求項1から11のいずれか一つによる方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による、特にしかしながら専らではない車体構造内における、板金部材の突き合わせ溶接のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車体構造内における板金部材の製造のために、現代の製造方法は使用され、この製造方法が、-場合によっては板金稜部準備作業後の-個々の板金パネルから、溶接された部材、いわゆるテイラードブランク材(TWB)を製造する。公知の溶接方法、特にレーザー溶接において、板金パネルは、位置固定式の溶接工具に供給され、且つ、溶接される。
今日では、特に、プレートが、異なる材料品質等級または板金厚さから構成されることは有利に利用される。このことは、より後の構造部材の種々の位置を、この構造部材の局部的な将来の負荷に対して適合させることを可能にし、このことが、そうでない場合には、付加的な補強部材を必要とする。
自動車工業内において、今日では、TWBから成るドアリングが製造される。そのようなドアリングは、8個に至るまでの個別部材から成っており、その際、間隙形成が、これら個別部材の間の形状許容差および製造許容差に基づいて異なり、且つ、同様にこれら個別部材の板金厚さも異なる。
更に続けて、能率的な生産のために、ドアリングからドアリングへの間隙状況が相違可能であり、その際、間隙状況の異なるタイプが生じる可能性があることの事実は、困難的である。V字形の間隙の抑制は、その際、最大の挑戦を具現する。
【0003】
粗悪な溶接品質は、結果として、ドアリングにおいて、衝突試験が、所望されない継ぎ目亀裂が生成する可能性があることを招く。このリスクは、ドアリングの生産において、信頼性の考察から引き受けられ得ない。何故ならば、実際的な状況における衝突が、自動車工業としては、相応する劇的な結果でもって致命的であるからである。
今日的な時点において、最大0.3mmに至るまでの可変の間隙を、充填線材の添加を用いて塞ぐための方法は公知である。1つの挑戦は、それぞれの溶接作業(溶接されるべき構造部材の材料)に応じて、約1mmまでの可変の間隙を、動的に、添加材料(線材)でもって、且つ、高い溶接品質において塞ぐことである。
【0004】
公知の溶接方法、特にレーザー溶接において、公知の2つの方法が存在する:即ち、
第1の方法において、板金パネルは、正確に位置決めされ、緊張され、且つ、可動な溶接ヘッドによって溶接される。他方の方法において、板金パネルは、位置固定式の溶接工具に供給され、溶接される。
事実上最大約0.3mmの間隙幅を加工するために、両方の方法は、機械的な精度に対して高い手間暇を必要とする。
【0005】
特許文献1内において、1つの方法およびこの方法を実施するための装置が記載されており、その際、しかしながら、どのように溶接工具の精確な位置決めが、実際上の継ぎ目経過との比較において行われるのかは開示されていない。
このことによって、プレートの不精確さと、継ぎ目経過の位置変位とは、不正確な溶接継ぎ目を誘起する。
【0006】
特許文献2内において、板金パネルの連続的な突き合わせシーム溶接のための方法が記載されており、この方法において、板金パネルの相対的な位置、およびこれに伴って、継ぎ目隙間の精確性が、予め与えられた許容差範囲の内において維持される。その際、意図的に、互いに溶接されるべき板金の機械的に正確な整向は省略されている。
むしろ、ここで、間隙幅と間隙位置とは、センサーシステムを用いて検出され、且つ、光線工具が、両方の板金パネルの板金当接部に追従させられる。更に続いて、制御回路によって、溶接光線の出力と、溶接プロセスのための必要な冷却能力(ガス、水)とが、永続的に適合され得る。そのようなシステムは、高いメンテナンス経費を必要とする。
【0007】
レーザー溶接において、構造部材から構造部材への間隙状況が相違可能である状況は挑戦的であり、その際、例えば、A間隙、V間隙、平行間隙、ゼロ間隙、または、これらの混合形態のような異なる間隙状態が生じる。
間隙寸法の決定のための公知の方法は、反射光方式である。その際、光源を介して、光は、間隙に対して放射され、この光が金属表面によって反射され、且つ、板金の、光源と同じ側に配置されたカメラによって評価される。
公知の反射光方式は、例えば、レーザーライン評価である。この方式は、レーザー三角測量に基づいている。その際、レーザーラインは、両方の板金プレートの表面に対して投射される。
投射されたレーザーラインは、基本的に、間隙を形成する板金稜部に対して垂直方向に起立している。反射されたレーザーラインは、距離もしくは間隙形態に依存して、所定の角度のもとで、カメラへと照射する。映像化されたレーザーラインの評価によって、従って、間隙幅は検出され得る。
【0008】
但し、そのようなシステムは、常に、正確な間隙寸法を提供可能ではない。特に、常に板金パネルの同じ側が上方に指向していることが保障され得ない場合、この測定システムは、不正確な間隙寸法を提供する可能性がある。
【0009】
特に、そのようなシステムは、大抵の場合、ただ間隙の上側の領域内における間隙幅だけを提供し、しかしながら、ほとんど、より深い領域内における間隙幅に対する帰納的推理を許容しない。
【0010】
溶接されるべき両方の板金の間の大きな間隙幅は、この間隙内における吸収されるレーザーエネルギーの損失を誘起する。何故ならば、レーザー光線の一部が、阻止されずに、間隙を通って進むからである。
単焦点のデフォーカスを用いて、この損失を、ある程度の分量において低減することは確かに可能である。その際、しかしながら、強制的に、同様にレーザー光線の最大の光強度も低減する。
【0011】
他方、技術的なゼロ間隙において、強く熱して切断することの能力、即ち、レーザー光線溶接における金属蒸気キャピラリーの完全な透過は低減する。このことは、低下させられた溶接速度によってか、または、しかしながら増大されたレーザー出力によって、ある程度の分量において補償され得る。
要約すれば、使用において、間隙を埋める可能性(Spaltueberbrueckbarkeit)と、強く熱して切断する能力(Durchschweissfaehigkeit)との間の対立関係領域が生じることは言える。最適な生産性を保証するために、レーザー光線源は、レーザー出力の設計限界において作動される。
溶接作業(Schweissaufgabe)の間じゅうの溶接速度の変更は、多くの設備コンセプトにおいて、応動時間に基づいて可能ではない。このことは、一般的に、低下された生産性を誘起する。
【0012】
幅広の溶接間隙の加工可能性、効率の損失、および、プロセス信頼性の問題を解決するために、今まで幾つかの試みが研究された。従って、例えば単焦点のスキャントラッカー(Scan-Trackers)の着想は、小さな焦点直径(0.2mmから0.3mmまで)と高い光強度とを有するレーザー光線が溶接作業に対して横向きに揺動することの試みを追求した。
測定された間隙幅に依存して、振幅並びにレーザー出力は変化される。プレートの溶接のための、市場において使用可能なシステム技術による研究は、但し、約10m/minの高い溶接速度において、揺動運動の周期長さが、達成可能な周波数に基づいて、如何なる完全な、再溶解された材料の覆いも保証しないことを示している。
許容できる溶接継ぎ目を生成するために、溶接速度が明確に低減される必要があり、このことは、間隙またはゼロ間隙に依存せずに、生産性における1つの損失を誘起する。
【0013】
レーザー光線溶接におけるツインスポット光学系(Twin-Spot-Optik)、即ち材料における空間的に分離された2つの焦点の使用は1つの技術であり、この技術が、以前とは違ってこの頃には実験室から生産への飛躍的な変化を達成した。
特許文献3内において、レーザー光線が、少なくとも2つの集光点を、溶接点内において、または、この溶接点に対して空間的に少しの間隔において備えていることは意図されている。その際、集光点の間隔は、溶接プロセスの個々のパラメータ、特に溶接速度および溶接品質等級の測定に基づいて継続的に変化される。
特許文献4は、レーザー加工装置に関連し、且つ、回転するツインスポット光学系-レーザー加工ヘッドに関し、このツインスポット光学系-レーザー加工ヘッドが、レーザーエミッターと、レーザー光線の転移のための光案内管体と、および、レーザー光線のフォーカシングのための、フォーカシングミラーとを備えている。
光線分離装置は、駆動装置と結合されており、この駆動装置が、この光線分離装置を回転することが可能な状態にある。
【0014】
ツインスポット光学系を有する溶接装置は、同様に特許文献5内において記載されている。
【0015】
ツインスポット光学系によって、レーザーエネルギー分布は、1つの溶接継ぎ目の両側で自在に改善され得、且つ、不十分な個別焦点-エネルギー伝達の欠陥が、これに伴って回避される。更に、光線分離装置は、駆動装置と結合されており、且つ、相応して回転され得る。
二重焦点の回転は、その際、全プロセス光学系の回転によって、または、ツインスポット光学系モジュールの回転によって行われ得る。この方法の大きな利点は、出力分布を、装入位置に対して適合すること、および、例えば変化された間隙幅における、プロセス条件に依存して制御することの可能性にある。このことによって、高い程度の自在性、特に、しかしながら高いプロセス安定性、および、溶接継ぎ目品質は達成される。
研究は、それにも拘らず、ツインスポット光学系技術による溶接が、同じ出力レベルにおいて、ただ1つのレーザー光線だけによる溶接よりも少ない溶接深さを提供することを示した。製造技術的な視点から、しかしながら、所望された溶接継ぎ目の生成のための最適なパラメータによる問題は、極めて狭小に全プロセスの経済的な視点と関連付けられている。プロセスの効率と、溶接継ぎ目の品質とは、それに従って、接合方法の中心的な特徴である。
【0016】
全加工プロセスの品質と同様に溶接されたプレートの所望された品質も、妥当な技術的な経費および添加材料でもって保証可能とするために、テイラードブランク材の溶接のための方法における重要な判断基準は、一方では、全設備の処理量、即ち時間当たりどのくらい多くの部材が、許容できる粗悪品率の考慮のもとで製造され得るかであり、および、他方では、添加材料における材料経費である。
【0017】
先に言及された解決策と方法とにおいて、通常、ただ間隙幅および間隙位置だけが測定され、しかしながら、間隙幾何学的形状が考慮されないことは欠点である。
図3は、これに関連して、種々の間隙幾何学的形状を示しており、これら間隙幾何学的形状が、基本的に裁断プロセスによって誘起される。同様に、ここで、両方の板金プレートが裁断面内において1つの点において接触し、且つ、ここで、これに伴ってゼロ間隙が存在する場合にも、プレートが接触しない領域が存在する。
最適な溶接結果を得るために、この領域内における欠損容積は、模範的に、溶接プロセスの間じゅう、材料によって充填されるべきである。この目的のために、しかしながら、1つの位置における間隙幅だけでなく、間隙幾何学的形状も検出される、または、少なくとも見積もられる必要がある。
公知の方法において、このことはそのような状況では無く、間隙幅がただ1つの位置だけにおいて、大抵の場合に板金表面の領域内において検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第5328083A明細書
【特許文献2】欧州特許第0817698 B1号明細書
【特許文献3】独国特許発明第101 13 471B4号明細書
【特許文献4】中国特許第203124961U明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第3 572 178 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従って、本発明の根底をなす課題は、1つの方法を提示することであり、この方法において、前記で述べられた欠点が除去される。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この課題は、請求項1内において記述された特徴によって解決される。有利な実施形態の変形例は、従属請求項内において提示されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明に従い、従って、
前記間隙幅が反射光方式を用いて、および、実際の間隙幅が透過光方式を用いて測定され、および、
従って、前記間隙内における欠損面積もしくは欠損容積が、より精確に見積もられる。
この実際の間隙幅は、両方の板金稜部の間の最小の間隔、即ち、プレートの間の内法の領域を意味する。
【0022】
前記反射光方式は、有利にはレーザーライン方式、即ち、レーザー三角測量方式であり、この方式において、レーザーラインが、間隙経過に対して垂直方向に、板金表面の上で投射され、且つ、ラインの形態が評価される。
【0023】
透過光方式において、光は、間隙を通って放射され、且つ、向かい合って位置する板金側で、カメラによって検出される。相応する画像評価によって、両方の板金プレートの間の内法の幅(実際の間隙)は検出され得る。
【0024】
ここで提示された発明は、これに伴って、反射光方式による間隙幅の測定と並んで、同様に互いに溶接されるべきプレートの間の実際の間隙の可視化または測定も可能にする。これに伴って、欠損容積は、見積もられ得、且つ、溶接プロセスが最適に制御され得る。
【0025】
有利には、レーザー溶接プロセスに、充填線材が供給され、改善された間隙測定によって、添加材料(充填線材)に対する最適な必要量が、より良好に検出され得、且つ、最適な線材量が、添加線材の供給速度の制御によって供給され、それによって、溶接継ぎ目のより良好な品質と、必要とされる添加線材量の低減とが達成され得る。
【0026】
これに伴って、提案された方法によって、生産コストは、総じて低下され得る。
【0027】
総じて、提示された方法によって、これに伴って、他の公知の方法との比較において、より良好な生産性と、より良好なプロセス品質とは与えられる。
【0028】
有利には、両方の前記稜部の間の、前記欠損容積の決定のための測定結果の評価は、画像技術的な方法を用いて、前記溶接プロセスの間じゅう行われる。
【0029】
更に別の照明装置と、それらに所属するカメラとを用いて、製造された溶接継ぎ目内における穿孔が認識される場合、同様に有意義である。
【0030】
有利には、前記反射光方式は、単色の光のための光源を使用する。
【0031】
前記間隙幅と前記実際の間隙幅とが、連続的に測定および評価される場合、有利である。
【0032】
更により良好な結果は、前記反射光方式が、前記間隙幅の測定のために、
および、場合によっては、同様に前記透過光方式が、前記実際の間隙幅の測定のために、前記板金プレートの上側面および下側面で使用される場合に達成され得る。
【0033】
本発明に従う方法は、特に良好に、車体構造内におけるテイラードブランク材の製造のために適している。
【0034】
本発明、および、現在の測定方法の課題を、以下で、実施例に基づいて、図との関連のもとで更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】概略的な図示における、本発明に従うレーザー溶接プロセスに関する1つの例示の側面図である。
図2】切断プロセスの後の板金稜部の横断面図である。
図3】概略的な図示における、切断稜部の可能な形態の横断面図である。
図4】概略的な図示における、接触する2つの板金プレートの間の間隙の横断面図である。
図5】概略的な図示における、実際の間隙でもっての接触していない2つの板金プレート、および、従来技術による間隙照明の図である。
図6】他方また、概略的な図示における、透過光を用いての間隙測定の図である。
図7】概略的な図示における、接触していない2つの板金プレートの間隙の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
それぞれの図内における同じ参照符号は、それぞれに同じ特徴を示している。
【0037】
図1は、板金プレート1、2の加工のための、本発明に従うレーザー溶接プロセス35の1つの実施例を示しており、これら板金プレートが、例示的に、しかしながら、専ら送方向TRにおいて移動可能な搬送ユニット37の上で位置決めされるが、しかしながら、このことに限定されない。
第1のプロセスステップにおいて、板金プレート1、2は、(図示されていない)供給手段を用いて、搬送ユニット37の上で位置決めされ、且つ、(図示されていない)保持手段を用いて固持される。
その後、間隙位置と間隙幅とは検出される。このことは、上側のカメラ20を用いて行われ、選択的に、同様に下側のカメラ21によっても行われる。
付加的に、これら両方のカメラ20、21に、それぞれに向かい合って位置して、下側の照明装置18と上側の照明装置19とが設けられている。
【0038】
それぞれに2つの板金プレート1と板金プレート2との間の間隔Dは、溶接されるべき板金プレートの輪郭(Grundriss)に依存し、その際、間隔Dが、板金プレート1、2の矩形状の輪郭の際に小さく保持され得、且つ、例えば板金プレート1、2の菱形形状の輪郭の際に、より大きく選択される必要がある。
第2のプロセスステップにおいて、板金プレート1、2は、溶接レーザー6を用いて、充填線材10の添加のもとで、充填線材ユニット24によって、溶接された1つの板金プレート36へと結合される。
第3のプロセスステップにおいて、溶接継ぎ目の性状は、上側のカメラ22と下側の照明装置31とから成る、位置固定式の第2の品質システムによって上側から、および、選択的に、付加的で位置固定式の品質システム(下側のカメラ23および上側の照明装置32)によって下側から検査される。
引き続いて、溶接された板金プレート36は、(図示されていない)保持手段の解離の後に、輸送ベルトから取り出される。
【0039】
図2は、概略的な図示において、例示的に、切断の後の、板金厚さT1を有する板金プレート1の稜部5を示している。
切断プロセスによって、稜部5は、塑性的に変形されたロールオーバー領域Rと、変形されていない切断領域Sと、破損領域Bと、まくれ部Gとを有している。破損領域Bに対する切断領域Sの比率は、強度に変化可能である。
【0040】
図3は、概略的な図示において、切断稜部の可能な形態、もしくは、種々の間隙幾何学的形状を示している。
左側の板金プレート1と右側の板金プレート2とが、互いに接し合うように摺動された場合、両方の板金プレート1、2の間の間隙幾何学的形状は、切断プロセスの際に塑性的に変形された稜部経過の結果として、プレートからプレートへと変化可能である。
この間隙幾何学的形状は、それに加えて、両方の板金プレート板金厚さT1、T2が、同じであるか、または、同じでないかどうかに依存する。
間隙幾何学的形状が、板金プレート1、2の姿勢(Lage)に依存して強度に変化することは、ここで良好に認識される。板金プレート1、2の、切断プロセスの際に上側に位置している両方の側面が、同様に溶接プロセスの際にも上方へと向いている場合、切断プロセスの際に上方へと向いている一方または両方の側面が溶接プロセスの際に下方へと向いている場合とは、全く異なる間隙幾何学的形状が与えられる。
【0041】
図4は、断面図としての概略的な図示において、板金厚さT1を備える、上側面25と下側面26とを有する左側の板金プレート1、および、板金厚さT2を備える、上側面25と下側面26とを有する右側の板金プレート2を示している。
両方の板金プレート1、2は、下側で、ロールオーバー左側27、および、ロールオーバー右側28の領域内において接触している。この領域内において、従って、如何なる間隙(実際の間隙)も存在しない。
従来技術による反射光方式を用いての間隙測定でもって、間隙幅7は検出される。この検出された間隙幅7は、通常、この間隙の上側の領域内における間隙幅7を再現する。ハッチングされた面積は、両方の板金プレート1、2の間の欠損面積8を指示している。
間隙が、ここで、下側の領域内において塞がっているので、測定された間隙幅7を介して、欠損面積8は、ただかなり不精確に見積もられるだけである。
【0042】
図5は、概略的な図示において、反射光方式による間隙測定を示している。両方の板金プレート1および2は、ここで接触してなく、従って、実際の間隙が存在する。実際の間隙として、断面において見て、両方の稜部4および5の最小間隔に相応する間隙幅が理解される。
2つの光源11、12は、実際の間隙を照明し、その際、反射された光線13が、カメラ20によって受光される。光線14は、左側の稜部4の上側の領域内において、この光線が、上側のカメラ20によって検出され得ないように反射される。光線15と光線16とは、左側の稜部4と右側の稜部5の領域内において、何度も反射されるが、しかしながら、カメラ20によって、同様に検出され得ない。
この方式でもって、間隙幅7は、板金プレート1、2の上側の領域内において検出され、この間隙幅が、通常、しかしながら、実際の間隙幅に相応しない。
【0043】
図6は、ここで、実際の間隙を有する、2つの板金プレート1、2における、透過光方式を用いての間隙測定を示している。
板金厚さT1を備える、上側面25と下側面26と稜部4を有する左側の板金プレート1、および、板金厚さT2を備える、上側面25と下側面26と稜部5を有する右側の板金プレート2は、従って接触していない。下側の照明装置18を介して、光17は、下方から、間隙を通って放射され、且つ、上側のカメラ20によって検出される。
透過光方式に従うこの間隙測定でもって、実際の間隙幅9、即ち、両方の稜部4および5の最小間隔は測定される。
【0044】
図7は、ここで、本発明に従う間隙測定を示している。間隙は、ここで、同時に、(図5内において図示されているような)反射光方式と、(図6内において図示されているような)透過光方式とによって測定される。
両方の板金プレート1、2は、今ここで問題になっている当該の例示内において接触していない。反射光方式によって、間隙幅7は、板金プレート1および2の上側の領域内において測定される。透過光方式によって、実際の間隙幅9が検出される。
今ここで問題になっている当該の例示内において、反射光方式による光線と、透過光方式による光線とは、共通のカメラ20によって検出される。検出された間隙幅7から、実際の間隙幅9が差し引かれた場合、誤りの間隙幅3が生じる。誤りの間隙面積29は、誤りの間隙幅3のもとで存在する間隙面積である。
誤りの間隙幅3と板金厚さT1、T2とを用いて、誤りの間隙面積29は見積もられ得る。実際の間隙幅9の測定と、周知の板金厚さT1、T2とから、実際の間隙面積30は決定され得る。検出された実際の間隙面積30と見積もられた誤りの間隙面積29との総和は、欠損面積8となり、および、これに伴って、欠損容積が見積もられ得る。
【0045】
図1内において、反射光方式は、板金プレート1、2の上側において使用されるだけでなく、下側でも使用される。この目的のために、2つの光源38および39が、板金プレートの下方に設けられている。
これら光源38、39の光線は、板金プレートと間隙によって反射され、且つ、下側のカメラ21によって検出される。同様に、このカメラ21は、上側の照明装置19の透過光を検出する。
【符号の説明】
【0046】
1 左側の板金プレート
2 右側の板金プレート
3 誤りの間隙幅
4 板金稜部
5 板金稜部
6 溶接レーザー
7 反射光方式において測定された間隙幅
8 欠損面積
9 実際の間隙幅
10 充填線材
11 光源
12 光源
13 光線
14 光線
15 光線
16 光線
17 光
18 下側の照明装置
19 上側の照明装置
20 上側のカメラ
21 下側のカメラ
22 上側のカメラ
23 下側のカメラ
24 充填線材ユニット
25 板金プレートの上側面
26 板金プレートの下側面
27 ロールオーバー左側
28 ロールオーバー右側
29 誤りの間隙面積
30 実際の間隙面積
31 下側の照明装置
32 上側の照明装置
35 レーザー溶接プロセス
36 溶接された板金プレート
37 搬送ユニット
38 光源
39 光源
TR 輸送方向
R ロールオーバー領域
S 切断領域
B 破損領域
G まくれ部
D 板金間隔D
T1 左側のプレートの板金厚さ
T2 右側のプレートの板金厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】