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特表2023-545404炎症の予防及び/又は治療のための医薬組成物並びに方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】炎症の予防及び/又は治療のための医薬組成物並びに方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/573 20060101AFI20231023BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
A61K31/573
A61P29/00
A61K47/02
A61K47/22
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P1/04
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P7/00
A61P25/02
A61P25/00
A61P13/10
A61P31/04
A61P31/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520249
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-04-28
(86)【国際出願番号】 US2021052884
(87)【国際公開番号】W WO2022072637
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】63/085,745
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523117834
【氏名又は名称】レーヴェン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ウックン ファティフ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルク マイケル エー.
(72)【発明者】
【氏名】レンジ ピーター
(72)【発明者】
【氏名】デノメ ブライアン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ウィク ヘンドリック ヨハネス ペトルス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076BB13
4C076CC04
4C076DD24
4C076DD59
4C076DD60
4C076FF68
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZC202
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA66
4C086NA10
4C086ZA02
4C086ZA07
4C086ZA20
4C086ZA51
4C086ZA68
4C086ZA81
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、炎症、疾患及び障害の予防並びに/又は治療のための医薬組成物及び方法に関する。この治療は、COVID-19の治療を含んでもよい。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物への静脈内送達のための医薬組成物であって、硫酸マグネシウム、アスコルビン酸、チアミン、及びナイアシンアミドを72~108硫酸マグネシウム:80~120アスコルビン酸:5.6~8.4チアミン:10.4~15.6ナイアシンアミドの比率(w/w)で含み、抗炎症ステロイド又はその薬学的に許容できる塩から選択される少なくとも1種の抗炎症薬を含む医薬組成物。
【請求項2】
ピリドキシン及びリボフラビンをさらに含み、前記硫酸マグネシウム、アスコルビン酸、チアミン、ナイアシンアミド、ピリドキシン、及びリボフラビンの比率(w/w)が、72~108硫酸マグネシウム:80~120アスコルビン酸:5.6~8.4チアミン:10.4~15.6ナイアシンアミド:10.4~15.6ピリドキシン:0.24~0.36リボフラビンである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
緩衝剤をさらに含む請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
希釈剤をさらに含む請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記硫酸マグネシウムの濃度が0.7~0.9mg/mLであり、前記アスコルビン酸の濃度が0.8~1.0mg/mLであり、前記チアミンの濃度が0.05~0.07mg/mLであり、前記ナイアシンアミドの濃度が0.105~0.150mg/mLである請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記ピリドキシンの濃度が0.105~0.150mg/mLであり、前記リボフラビンの濃度が0.002~0.003mg/mLである請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
シアノコバラミンをさらに含む請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
抗酸化剤又は抗炎症剤のうちの少なくとも1種をさらに含む請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記抗酸化剤又は抗炎症剤のうちの少なくとも1種は、Cox-2又はCox1阻害剤、ステロイド、亜鉛、銅、セレン、ビタミンE、及びビタミンAから選択される請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
抗炎症ステロイドから選択される前記少なくとも1種の抗炎症薬がデキサメタゾンを含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
抗炎症ステロイドから選択される前記1種以上の抗炎症薬が、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、フルドロコルチゾン、及びベタメタゾンから選択される1種以上をさらに含む請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
抗炎症ステロイドから選択される前記1種以上の抗炎症薬が、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、フルドロコルチゾン、及びデキサメタゾンから選択される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
抗炎症ステロイドから選択される前記1種以上の抗炎症薬が、前記医薬組成物の用量あたり0.75~40mgの量のデキサメタゾンを含む請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
シアノコバラミンをさらに含み、前記硫酸マグネシウムの濃度が50~100×(0.7~0.9mg/mL)であり、前記アスコルビン酸の濃度が50~100×(0.8~1.0mg/mL)であり、前記チアミンの濃度が50~100×(0.05~0.07mg/mL)であり、前記ナイアシンアミドの濃度が50~100×(0.105~0.150mg/mL)であり、前記ピリドキシンの濃度が50~100×(0.105~0.150mg/mL)であり、前記リボフラビンの濃度が50~100×(0.002~0.003mg/mL)であり、前記シアノコバラミンの濃度が50~100×(0.0015~0.0030mg/mL)である請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項15】
哺乳動物における炎症状態を治療する方法であって、前記哺乳動物に有効量の医薬組成物を投与する工程を含み、前記医薬組成物は、硫酸マグネシウム、アスコルビン酸、チアミン、及びナイアシンアミドを72~108硫酸マグネシウム:80~120アスコルビン酸:5.6~8.4チアミン:10.4~15.6ナイアシンアミドの比率(w/w)で含む方法。
【請求項16】
有効量の抗炎症ステロイド又はその薬学的に許容できる塩から選択される1種以上の抗炎症薬を前記哺乳動物に投与する工程をさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
抗炎症ステロイドから選択される前記1種以上の抗炎症薬がデキサメタゾンを含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記デキサメタゾンの用量が1~40mgである請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記医薬組成物が前記デキサメタゾンをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記哺乳動物がヒトである請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記投与が静脈内注入である請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記投与が、連続7~28日の1~12サイクルにわたる毎日の静脈内注入を含み、0~365日が各サイクルを隔てる請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記毎日の静脈内注入が、15~60分にわたって投与される前記医薬組成物の0.025mL/kg~2.5mL/kgの用量を有する請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記投与が、前記医薬組成物の2.5mL/kgの用量、又は100mLの用量を含む請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記炎症状態が、関節、皮膚、骨格筋、血管、肝臓、胆嚢、肺、心臓、脳、髄膜、胃腸系、膀胱、尿道、若しくは腎臓に影響を及ぼすもの、又は全身性炎症である請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記炎症状態が、毒性剤、放射線、感染、肥満関連合併症、自己免疫疾患、骨髄移植、臓器移植、モノクローナル抗体による処置、抗体-薬物コンジュゲートによる処置、双方向性T細胞エンゲージャーによる処置、生物製剤による処置、癌、又は癌治療によって引き起こされるものである請求項15に記載の方法。
【請求項27】
前記哺乳動物が、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ、血球貪食性リンパ組織球症、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、多発性硬化症、サルコイドーシス、リウマチ熱、ベーチェット病、地中海熱、炎症性骨盤疾患、間質性膀胱炎、又はヘリコバクター・ピロリを有するヒトである請求項15に記載の方法。
【請求項28】
前記哺乳動物がヒトであり、前記炎症状態が、SARS-CoV-2ウイルスによるヒトの感染、ヒトにおけるCOVID-19、又はヒトにおけるSARS-CoV-2ウイルススパイクタンパク質の存在によって引き起こされる請求項15に記載の方法。
【請求項29】
前記医薬組成物が請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の医薬組成物である請求項15から請求項28のいずれか1項に記載の炎症状態を治療する方法。
【請求項30】
哺乳動物における炎症状態を治療する方法であって、前記哺乳動物に効量の医薬組成物を投与する工程を含み、前記医薬組成物は、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の医薬組成物である方法。
【請求項31】
哺乳動物における炎症性サイトカインの産生及び/又は放出を遮断する方法であって、有効量の、硫酸マグネシウム、アスコルビン酸、チアミン、及びナイアシンアミドを72~108硫酸マグネシウム:80~120アスコルビン酸:5.6~8.4チアミン:10.4~15.6ナイアシンアミドの比率(w/w)で含む医薬組成物を前記哺乳動物に投与する工程を含み、好ましくは、前記投与は、前記医薬組成物とは別に、又は前記医薬組成物の一部として、1種以上の抗炎症剤を投与することをさらに含み、好ましくは前記1種以上の抗炎症剤は、1種以上の抗炎症薬を含み、デキサメタゾンを含む方法。
【請求項32】
前記医薬組成物が、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の医薬組成物である請求項31に記載の方法。
【請求項33】
COVID-19を治療する方法であって、COVID-19患者に、有効量の、硫酸マグネシウム、アスコルビン酸、チアミン、及びナイアシンアミドを72~108硫酸マグネシウム:80~120アスコルビン酸:5.6~8.4チアミン:10.4~15.6ナイアシンアミドの比率(w/w)で含む医薬組成物を投与する工程を含み、好ましくは、前記投与は、前記医薬組成物とは別に、又は前記医薬組成物の一部として、1種以上の抗炎症剤を投与することをさらに含み、好ましくは前記1種以上の抗炎症剤は、デキサメタゾンを含む1種以上の抗炎症薬を含む方法。
【請求項34】
前記医薬組成物が、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の医薬組成物である請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は、2020年9月30日出願の発明の名称「PHARMACEUTICAL COMPOSITIONS AND METHODS FOR PREVENTION AND/OR TREATMENT OF INFLAMMATION(炎症の予防及び/又は治療のための医薬組成物並びに方法)」の米国仮出願第63/085,745の利益を主張する。この米国仮出願は、参照により、あたかも完全に述べられているかのように本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因因子である新規コロナウイルスSARS-CoV-2に感染した患者のかなり少数は、特に高齢で併存疾患を有する場合、致命率が高いウイルス性敗血症及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)への急速な進行が可能な急性肺傷害(ALI)を引き起こすウイルス性肺炎を発症する。サイトカインストーム又はサイトカイン放出症候群(CRS)とも呼ばれる全身性炎症反応症候群は、ARDS及びしばしば、重度の重篤な形態のCOVID-19に関連する不可逆的な多臓器不全症候群(MODS)の発症に寄与する。軽度-中等度の疾患を有するCOVID-19患者の約20%は重度-重篤な疾患に進行し、このパーセンテージは、65歳以上で、併存疾患若しくは全身性炎症を示す検査パラメータ、例えば高レベルのC反応性タンパク質(CRP)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)及びフェリチン、又はDダイマーレベルの上昇によって証明されるように凝固系の機能障害を有する高リスクサブグループについては40%に増加する。高リスク患者は、SARS-CoV-2によって引き起こされる重度のウイルス性敗血症のためにARDSの発生率が高いだけでなく、より速く進行し、有意に高い症例死亡率を有する。基礎癌を有するCOVID-19患者は、とりわけ化学療法を受けている場合、致命的になる可能性があるARDS及び多臓器不全を発症するリスクが増大している。それゆえ、そのような高リスクCOVID-19患者における疾患進行の予防及び/又は症例死亡率の低下が可能な治療プラットフォームが緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、本発明は、哺乳動物への静脈内送達のための医薬組成物に関する。この医薬組成物は、硫酸マグネシウム、アスコルビン酸、チアミン、及びナイアシンアミドを72~108硫酸マグネシウム:80~120アスコルビン酸:5.6~8.4チアミン:10.4~15.6ナイアシンアミドの比率(w/w)で含む。この医薬組成物は、少なくとも1種の抗炎症薬も含み、この抗炎症薬は好ましくはデキサメタゾンである。
【0004】
一態様では、本発明は、哺乳動物における炎症状態を治療する方法に関する。この方法は、その哺乳動物に有効量の医薬組成物を投与する工程を含む。この医薬組成物は、硫酸マグネシウム、アスコルビン酸、チアミン、及びナイアシンアミドを72~108硫酸マグネシウム:80~120アスコルビン酸:5.6~8.4チアミン:10.4~15.6ナイアシンアミドの比率(w/w)で含む。好ましくは、上記投与は、1種以上の抗炎症剤を投与することをさらに含む。この1種以上の抗炎症薬の投与は、上記医薬組成物の投与とは別個に行われてもよい。上記医薬組成物は、上記1種以上の抗炎症剤を含んでもよく、医薬組成物の投与は、その1種以上の抗炎症剤の投与を含んでもよい。好ましくは、この1種以上の抗炎症剤は、1種以上の抗炎症薬を含む。好ましくは、この1種以上の抗炎症薬はデキサメタゾンを含む。
【0005】
一態様では、本発明は、哺乳動物における炎症性サイトカインの産生及び/又は放出を遮断する方法に関する。この方法は、有効量の、硫酸マグネシウム、アスコルビン酸、チアミン、及びナイアシンアミドを72~108硫酸マグネシウム:80~120アスコルビン酸:5.6~8.4チアミン:10.4~15.6ナイアシンアミドの比率(w/w)で含む医薬組成物をその哺乳動物に投与する工程を含む。好ましくは、上記投与は、1種以上の抗炎症剤を投与することをさらに含む。この1種以上の抗炎症薬の投与は、上記医薬組成物の投与とは別個に行われてもよい。上記医薬組成物は、上記1種以上の抗炎症剤を含んでもよく、医薬組成物の投与は、その1種以上の抗炎症剤の投与を含んでもよい。好ましくは、この1種以上の抗炎症剤は、1種以上の抗炎症薬を含む。好ましくは、この1種以上の抗炎症薬はデキサメタゾンを含む。
【0006】
一態様では、本発明は、COVID-19を治療する方法に関する。この方法は、COVID-19患者に有効量の医薬組成物を投与する工程を含む。この医薬組成物は、硫酸マグネシウム、アスコルビン酸、チアミン、及びナイアシンアミドを72~108硫酸マグネシウム:80~120アスコルビン酸:5.6~8.4チアミン:10.4~15.6ナイアシンアミドの比率(w/w)で含む。好ましくは、上記投与は、1種以上の抗炎症剤を投与することをさらに含む。この1種以上の抗炎症剤の投与は、上記医薬組成物の投与とは別個に行われてもよい。上記医薬組成物は、上記1種以上の抗炎症剤を含んでもよく、医薬組成物の投与は、その1種以上の抗炎症剤の投与を含んでもよい。好ましくは、この1種以上の抗炎症剤は、1種以上の抗炎症薬を含む。好ましくは、この1種以上の抗炎症薬はデキサメタゾンを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むとよりよく理解されるであろう。本発明を説明する目的で、特定の実施形態が図面に示されている。しかしながら、本発明は示されたものそのままの配置及び手段に限定されないことは理解されよう。
【0008】
図1図1は、敗血症、全身性炎症、ショック、及び多臓器不全の動物モデルにおけるLPS-GalN負荷マウスにおけるRJXのインビボ保護活性を示す。
図2図2A、2B及び2Cは、リポ多糖-ガラクトサミン(LPS-GalN)負荷マウスにおける血清インターロイキン6(IL-6;図2A)、腫瘍壊死因子α(TNF-α;図2B)、及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH;図2C)のレベルに対するレジュベイニクス(Rejuveinix、RJX)の効果を示す。
図3図3A、3B、3C、3D、3E、及び3Fは、全身性炎症を伴うリポ多糖-ガラクトサミン(LPS-GalN)負荷マウスにおける、肺ビタミンCレベル、保護的肺抗酸化酵素レベル、脂質過酸化、及び病理組織学的評価に対するレジュベイニクス(RJX)の効果を示す。
図4図4A、4B、4C、及び4Dは図4を示す。レジュベイニクス(RJX)は、敗血症、全身性炎症、ショック、ARDS及び多臓器不全のLPS-GalNマウスモデルにおける急性肺傷害及び炎症を予防する。
図5図5A、5B、5C、5D、5E及び5Fは、リポ多糖-ガラクトサミン(LPS-GalN、図5F)負荷マウスにおける、肝臓ビタミンC(図5A)、マロンジアルデヒド(MDA;図5B)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD;図5C)、カタラーゼ(CAT;図5D)、グルタチオンペルオキシダーゼ(GSHPx;図5E)に対するレジュベイニクス(RJX)の効果を示す。
図6図6A~6Dは、リポ多糖-ガラクトサミン(LPS-GalN)負荷マウスにおけるアラニントランスアミナーゼ(ALT;図6A)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST;図6B)、アルカリホスファターゼ(ALP;図6C)、及び総ビリルビン(図6D)に対するレジュベイニクス(RJX)の効果を示す。
図7図7A~7Dは、敗血症、全身性炎症、ショック、ARDS及び多臓器不全のLPS-GalNマウスモデルにおけるレジュベイニクス(RJX)の心臓組織レベルインビボ抗酸化活性を示す。
図8図8は、敗血症、全身性炎症、ショック、及び多臓器不全のLPS-GalNマウスモデルにおける血清cTniレベルに対するレジュベイニクス(RJX)の効果を示す。
図9図9A~9Dは、リポ多糖-ガラクトサミン(LPS-GalN)負荷マウスにおける、脳マロンジアルデヒド(MDA;図9A)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD;図9B)、カタラーゼ(CAT;図9C)及びグルタチオンペルオキシダーゼ(GSHPx;図9D)に対するレジュベイニクス(RJX)の効果を示す。
図10図10A、10B及び10Cは、LPS-GalNで負荷したマウスにおける血清インターロイキン-6(IL-6;図10A)、腫瘍壊死因子α(TNF-α;図10B)及び肺マロンジアルデヒド(MDA;図10C)に対するレジュベイニクス(RJX)の効果を示す。
図11図11は、敗血症、全身性炎症、ショック、ARDS及び多臓器不全のLPS-GalNモデルにおける遅延開始RJX処置のインビボ保護活性を示す。
図12図12A及び12Bは、致死性サイトカインストーム、敗血症、全身性炎症、ARDS及び多臓器不全のマウスモデルにおける、血清インターロイキン6(IL-6;図12A)、腫瘍壊死因子α(TNF-α;図12B)に対するレジュベイニクス(RJX)及び異なる用量のデキサメタゾン(DEX)の処置の効果を示す。
図13図13は、致死性サイトカインストーム、敗血症、全身性炎症、ARDS及び多臓器不全のLPS-GalNマウスモデルにおけるレジュベイニクス(RJX)及び異なる用量のデキサメタゾン(DEX)のインビボ治療活性を示す。
図14図14A及び14Bは、致死性サイトカインストーム、敗血症、全身性炎症、ARDS及び多臓器不全のマウスモデルにおける、肺及び肝臓の病理組織学的スコアに対するレジュベイニクス(RJX)及び異なる用量のデキサメタゾン(DEX)の処置の組織レベルインビボ活性を示す。
図15図15A、15B、15C、15D、15E及び15Fは、致死性サイトカインストーム、敗血症、全身性炎症、ARDS及び多臓器不全のマウスモデルにおける、急性肺傷害及び炎症に対するレジュベイニクス(RJX)及び異なる用量のデキサメタゾン(DEX)の処置の効果を示す。
図16図16A、16B、16C、16D、16E及び16Fは、致死性サイトカインストーム、敗血症、全身性炎症、ARDS及び多臓器不全のマウスモデルにおける、肝傷害及び炎症に対するレジュベイニクス(RJX)及び異なる用量のデキサメタゾン(DEX)の処置の効果を示す。
図17図17は、全身性炎症及び肺傷害の発症後の低用量RJX+治療用量を超える高用量DEXの組み合わせの治療的使用が、致死性サイトカインストーム及び敗血症のLPS-GalNマウスモデルにおける生存転帰を改善することを示す。
図18図18A、18B及び18Cは、致死性サイトカインストーム及び敗血症のLPS-GalNマウスモデルにおける、全身性炎症及び肺傷害の発症後の低用量RJX+治療用量を超える高用量DEXの組み合わせの治療的使用が、炎症性サイトカイン応答及び全身性炎症を逆転させることを示す。
図19図19A及び19Bは、致死性サイトカインストーム及び敗血症のLPS-GalNマウスモデルにおける、肺及び肝臓の病理組織学的スコアに対する低用量RJX、治療用量を超える高用量DEX及びこれらの組み合わせのインビボ治療活性を示す。
図20図20A図20B図20C図20D図20E図20F図20G、及び図20Hは、RJX+DEXの組み合わせが、致死性サイトカインストーム及び敗血症のマウスモデルにおける急性肺傷害及び炎症を軽減することを示す。
図21図21は、致死性サイトカインストーム、敗血症、全身性炎症、ARDS及び多臓器不全のLPS-GalNマウスモデルにおける低用量レジュベイニクス(RJX)、標準用量デキサメタゾン(DEX)及びこれらの組み合わせのインビボ治療活性を示す。
図22図22A及び22Bは、致死性サイトカインストーム、敗血症、全身性炎症、ARDS及び多臓器不全のLPS-GalNマウスモデルにおける肺及び肝臓の病理組織学的スコアに対するレジュベイニクス(RJX)、デキサメタゾン(DEX)及びRJX+DEXのインビボ治療活性を示す。
図23図23は、糖尿病性創傷治癒における巨視的変化に対するレジュベイニクス(RJX)の効果を示す。
図24図24は、糖尿病性創傷治癒における創傷面積に対するレジュベイニクス(RJX)の効果を示す。
図25図25は、糖尿病性創傷治癒における創傷の病理組織学的スコアに対するレジュベイニクス(RJX)の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
用語「右」、「左」、「上(頂)」、及び「下(底)」は、参照が行われる図面における方向を指す。特許請求の範囲及び明細書の対応する部分で使用される用語「a(ある、1つの)」及び「one(1つの」」は、特に断らない限り、参照される項目の1つ又は複数を含むものとして定義される。この用語法は、上記で具体的に言及した単語、その派生語、及び同様の意味の単語に及ぶ。「A、B、又はC」又は「A、B、及びC」等の2つ以上の項目のリストの前に書かれる「少なくとも1つ」という語句は、A、B又はCの任意の個々の1つ、及びそれらの任意の組み合わせを意味する。
【0010】
値及び乗算符号が先行する範囲は、その範囲内の各値がその値によって乗算されることを示す。例えば、100×(0.7~0.9mg/mL)は、70~90mg/mLを意味する。別の例として、50~100×(0.7~0.9mg/mL)は、35~70~45~90mg/mLを意味する。
【0011】
2つの数値(一方は低端点であり、他方は高端点である)の間であると表される範囲は、低端点と高端点の間の値、及び低端点と高端点である値も含む。本明細書の実施形態は、本明細書の範囲の部分範囲を含み、この部分範囲は、部分範囲の高端点がその部分範囲の低端点よりも高いという条件で、最小有効数字の各一増分から選択されるその範囲内の任意の増分から選択されるその部分範囲の低端点及び高端点を含む。
【0012】
「約」が先行する数値又は範囲は、明示的に列挙された数、及び企図される指標の実験誤差内の数を指す。修飾語「約」を用いて記載される実施形態は、本明細書のさらなる実施形態を形成するために、「約」を除去するように変更されてもよい。同様に、修飾語「約」なしに記載される実施形態は、本明細書のさらなる実施形態を形成するために「約」を加えるように変更されてもよい。
【0013】
本明細書におけるさらなる実施形態は、一実施形態における1つ以上の「including(含む)」又は「comprising(含む)」を、「consisting essentially of(本質的に…からなる)」又は「consisting of(…からなる)」と置き換えることを含む。本明細書で使用する場合、「including」及び「comprising」は、非限定的であり、列挙された要素を含み、1つ以上の他の要素の追加を排除しない。「consisting essentially of」は、列挙されるものと比較して1つ以上の要素の追加は射程内であるが、その追加は、明示的に列挙される要素の組み合わせの基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないことを意味する。「consisting of」は、列挙された要素を指すが、特定されていないあらゆる要素、工程、又は成分を除外する。
【0014】
本明細書に記載される組成物中の化合物は、記載されるとおりに、又はその薬学的に許容できる塩として投与されてもよい。薬学的に許容できる塩は、本明細書の組成物、又は本明細書の方法で投与される組成物で使用するのに充分な純度及び品質を持ち、薬学的調製物で使用するのに耐容性があり充分に非毒性である、上記化合物の酸塩又は塩基塩であってもよい。
【0015】
一実施形態は、医薬組成物を含む。この医薬組成物は、哺乳動物への静脈内送達のためのものであってもよい。この医薬組成物は、哺乳動物への経口送達のためのものであってもよい。当該医薬組成物は、硫酸マグネシウム、アスコルビン酸、チアミン、及びナイアシンアミドを含んでいてもよい。硫酸マグネシウム、アスコルビン酸、チアミン、及びナイアシンアミドは、72~108硫酸マグネシウム:80~120アスコルビン酸:5.6~8.4チアミン:10.4~15.6ナイアシンアミドの比率(w/w)であってもよい。この比率は、81~99硫酸マグネシウム:90~110アスコルビン酸:6.3~7.7チアミン:11.7~14.3ナイアシンアミドであってもよい。この比率は、90:100:7:13、すなわち、90硫酸マグネシウム:100アスコルビン酸:7チアミン:13ナイアシンアミドであってもよい。上記比率は、90(A~B)硫酸マグネシウム:100(A~B)アスコルビン酸:7(A~B)チアミン:13(A~B)ナイアシンアミドであってよく、AはB以下である。Aは、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0から選択されてもよいし、又は上記の任意の2つの間の範囲の値であってもよい。Bは、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、又は2.0から選択されてもよいし、上記の任意の2つの間の範囲の値であってもよい。例えば、Aが0.1でありBが2.0である場合、上記比率は、0.9~180硫酸マグネシウム:10~200アスコルビン酸:0.7~14チアミン:1.3~26ナイアシンアミドになる。
【0016】
当該医薬組成物は、ピリドキシン又はリボフラビンのうちの少なくとも1種をさらに含んでもよい。硫酸マグネシウム、アスコルビン酸、チアミン、ナイアシンアミド、ピリドキシン、及びリボフラビンは、72~108硫酸マグネシウム:80~120アスコルビン酸:5.6~8.4チアミン:10.4~15.6ナイアシンアミド:10.4~15.6ピリドキシン:0.24~0.36リボフラビンの比率(w/w)であってもよい。この比率は、81~99硫酸マグネシウム:90~110アスコルビン酸:6.3~7.7チアミン:11.7~14.3ナイアシンアミド:11.7~14.3ピリドキシン:0.27~0.33リボフラビンであってもよい。この比率は、90:100:7:13:13:0.3、すなわち、90硫酸マグネシウム:100アスコルビン酸:7チアミン:13ナイアシンアミド:13ピリドキシン:0.3リボフラビンであってもよい。上記比率は、90(A~B)硫酸マグネシウム:100(A~B)アスコルビン酸:7(A~B)チアミン:13(A~B)ナイアシンアミド:13(A~B)ピリドキシン:0.3(A~B)リボフラビンであってもよく、AはB以下である。Aは、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0から選択されてもよいし、又は上記の任意の2つの間の範囲の値であってもよい。Bは、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、又は2.0から選択されてもよいし、上記の任意の2つの間の範囲の値であってもよい。例えば、Aが0.1でありBが2.0である場合、上記比率は、0.9~180硫酸マグネシウム:10~200アスコルビン酸:0.7~14チアミン:1.3~26ナイアシンアミド:1.3~26ピリドキシン:0.03~0.6リボフラビンになる。
【0017】
当該医薬組成物中の硫酸マグネシウムの濃度は、上記の比率のうちの1つを満たすように選択されてもよい。上記硫酸マグネシウムの濃度は、0.7~0.9mg/mLであってもよい。硫酸マグネシウムの濃度は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、若しくは2.0mg/mL、又は上記の任意の2つの間の範囲にあってもよい。
【0018】
当該医薬組成物中のアスコルビン酸の濃度は、上記の比率のうちの1つを満たすように選択されてもよい。上記アスコルビン酸の濃度は、0.8~1.0mg/mLであってもよい。アスコルビン酸の濃度は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、若しくは2.0mg/mL、又は上記の任意の2つの間の範囲にあってもよい。
【0019】
当該医薬組成物中のチアミンの濃度は、上記の比率のうちの1つを満たすように選択されてもよい。上記チアミンの濃度は、0.05~0.07mg/mLであってもよい。チアミンの濃度は、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、若しくは0.2mg/mL、又は上記の任意の2つの間の範囲にあってもよい。
【0020】
当該医薬組成物中のナイアシンアミドの濃度は、上記の比率のうちの1つを満たすように選択されてもよい。上記ナイアシンアミドの濃度は、0.105~0.150mg/mLであってもよい。ナイアシンアミドの濃度は、0.095、0.100、0.105、0.110、0.115、0.120、0.125、0.130、0.135、0.140、0.145、0.150、0.155、0.160mg/mL、又は上記の任意の2つの間の範囲にあってもよい。
【0021】
当該医薬組成物中のピリドキシンの濃度は、上記の比率のうちの1つを満たすように選択されてもよい。上記ピリドキシンの濃度は、0.105~0.150mg/mLであってもよい。ピリドキシンの濃度は、0.095、0.100、0.105、0.110、0.115、0.120、0.125、0.130、0.135、0.140、0.145、0.150、0.155、0.160mg/mL、又は上記の任意の2つの間の範囲にあってもよい。
【0022】
当該医薬組成物中のリボフラビンの濃度は、上記の比率のうちの1つを満たすように選択されてもよい。上記リボフラビンの濃度は、0.002~0.003mg/mLであってもよい。リボフラビンの濃度は、0.001、0.002、0003、0.004、0.005、若しくは0.006mg/mL、又は上記の任意の2つの間の範囲にあってもよい。
【0023】
当該医薬組成物は、シアノコバラミンをさらに含んでもよい。シアノコバラミンの濃度は0.0015~0.0030mg/mLであってもよい。シアノコバラミンの濃度は、0.0005、0.0010、0.0015、0.0020、0.0025、0.0030、0.0035、若しくは0.0040、又は上記の任意の2つの間の範囲にあってもよい。
【0024】
当該医薬組成物は、緩衝剤をさらに含んでもよい。緩衝剤の非限定的な例は、炭酸水素ナトリウム、乳酸(塩)、酢酸(塩)、グルコン酸(塩)又はマレイン酸(塩)である。緩衝剤を含む当該医薬組成物は、7.35~7.45のpHを有してもよい。このpHは、7.35、7.36、7.37、7.38、7.39、7.40、7.41、7.42、7.43、7.44、若しくは7.45、又は上記の任意の2つの間の範囲のpHであってもよい。
【0025】
当該医薬組成物は、希釈剤をさらに含んでもよい。希釈剤の非限定的な例は、生理食塩水、注射用水、又は静脈内溶液、好ましくは通常使用される静脈内溶液である。
【0026】
当該医薬組成物は、抗酸化剤、又は抗炎症薬であってもよい抗炎症剤の少なくとも1種をさらに含んでもよい。上記抗酸化剤又は抗炎症剤の少なくとも1種は、Cox-2阻害剤、Cox-1阻害剤、ステロイド、亜鉛、銅、セレン、ビタミンE、及びビタミンAから選択される1種以上であってもよい。各抗酸化剤又は抗炎症剤の濃度は1nM~100μMであってもよい。各抗酸化剤又は抗炎症剤の濃度は、1nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM、90nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、若しくは100μMから独立に選択されてもよく、又は上記の任意の2つの間の範囲にあってもよい。
【0027】
当該医薬組成物は、硫酸マグネシウム、アスコルビン酸、チアミン、及びナイアシンアミド、並びにピリドキシン、リボフラビン、シアノコバラミン、緩衝剤、希釈剤、抗酸化剤、抗炎症薬であってもよい抗炎症剤、Cox-2阻害剤、Cox-1阻害剤、ステロイド、亜鉛、銅、セレン、ビタミンE、又はビタミンAのうちの少なくとも1種以上を含んでもよい。これらの構成成分の比率は、上記のとおりであってもよい。これらの構成成分の濃度は、上記のとおりであってもよい。各々の属レベルの構成成分の種は、上記のとおりであってもよい。
【0028】
当該医薬組成物は、抗炎症ステロイドから選択される1種以上の抗炎症薬をさらに含んでもよい。この1種以上の抗炎症ステロイドは、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、フルドロコルチゾン若しくはデキサメタゾン、又はその薬学的に許容できる塩から選択されてもよい。上記1種以上の抗炎症薬はデキサメタゾンを含んでもよい。医薬組成物中のデキサメタゾンの濃度は、投与当たり0.75~40mg又は1mg~40mgの用量が送達されるようなものあってもよい。この濃度は、1回の投与で0.75、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、若しくは40mgのデキサメタゾンの用量、又は上記の任意の2つの間の用量を送達するようなものであってもよい。1回の用量で送達されてもよい例示的な非限定的な体積の医薬組成物については、以下を参照。当該医薬組成物の一用量は、上述のデキサメタゾン用量のうちの1つに対応する量のデキサメタゾンを含んでもよい。デキサメタゾン用量、及びそれから1用量で送達される医薬組成物の体積に対する濃度を選択するための非限定的な指針は以下のとおりである。単独で使用される場合、軽度、中等度、又は重度の炎症を治療するために、デキサメタゾンの用量は、それぞれ、投与当たり1~2mg、投与当たり4~8mg、又は投与当たり10~20mgであってもよい。投与頻度は、1~3回/日の範囲にあってもよい。当該医薬組成物との組み合わせの場合、軽度又は中等度の炎症を治療するために設計されたデキサメタゾンの用量(非限定的な例として、用量当たり10~20mgの代わりに2~4mg)が重度の炎症を治療するのに充分であってもよく、当該医薬組成物中のデキサメタゾンの濃度は、それに応じて調整されてもよい。
【0029】
以下の換算表は、デキサメタゾンについての上記の用量に基づいて、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、又はフルドロコルチゾンについて、用量、及びこれにより送達される医薬組成物の体積中の濃度を決定するための指針を提供する。1用量の当該医薬組成物は、本明細書に記載されるデキサメタゾンの用量とほぼ同等の量のコルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、フルドロコルチゾン又はデキサメタゾンのうちの1種以上を含んでもよい。
【0030】
【表1】
【0031】
他の抗炎症ステロイドの1つについての用量は、デキサメタゾンについて上に記載したとおりであってもよい。又は、その用量は、選択されたデキサメタゾン用量に基づいて、及び他の抗炎症ステロイドの用量が[(他の抗炎症ステロイドのほぼ等価な用量)/0.75]×(選択されたデキサメタゾン用量)によって計算される上記の換算表を使用して調整されてもよい。次いで、当該医薬組成物中の濃度は、投与あたりの医薬組成物の体積を使用することによって到達されてもよい。使用されてもよい例示的な非限定的な体積については、以下を参照。
【0032】
換算表に示すとおり、異なるステロイドの半減期は様々であり、これは異なる作用継続時間をもたらす。8~12時間半減期は短時間作用型とみなされ、18~36時間半減期は中時間作用型とみなされ、36~54時間半減期は長時間作用型とみなされる。1つの抗炎症ステロイド、又は2種以上の組み合わせを選択するための1つの指針は、各抗炎症ステロイドの作用継続時間であってもよい。例えば、複数の抗炎症ステロイドの組み合わせは、2つ又は3つの異なる作用継続時間を含んでもよい。
【0033】
一実施形態は、本明細書中の任意の医薬組成物の前製剤(pre-formulation)を含む。この前製剤は、当該医薬組成物よりも50~100倍濃縮されてもよい。この濃縮物は、本明細書の医薬組成物と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100倍濃縮されているか、又は、上記の任意の2つの間の範囲の倍数だけ濃縮されていてもよい。前製剤の構成成分の濃度は、上記から構成成分を選択し、その構成成分についての例示的な濃度の1つを選択し、選択されたより濃縮された値の倍数を乗じることによって到達されてもよい。硫酸マグネシウムの濃度は、50~100×(0.7~0.9mg/mL)であってもよい。アスコルビン酸の濃度は、50~100×(0.8~1.0mg/mL)であってもよい。チアミンの濃度は、50~100×(0.05~0.07mg/mL)であってもよい。ナイアシンアミドの濃度は、50~100×(0.105~0.150mg/mL)であってもよい。存在する場合、ピリドキシンの濃度は、50~100×(0.105~0.150mg/mL)であってもよい。存在する場合、リボフラビンの濃度は、50~100×(0.002~0.003mg/mL)であってもよい。存在する場合、シアノコバラミンの濃度は、50~100×(0.0015~0.0030mg/mL)であってもよい。
【0034】
当該医薬組成物は、静脈内注入、注射、皮下注射、動脈内注射、吸入(すなわち、吸入剤として)、又は鼻内噴霧(すなわち、鼻内噴霧薬(点鼻薬)として)用に製剤化されてもよい。
【0035】
一実施形態は、哺乳動物における炎症状態を治療する方法を含む。この方法は、本明細書の医薬組成物をその哺乳動物に投与する工程を含んでもよい。この医薬組成物は、本明細書に記載されるいずれのものであってもよい。上記哺乳動物は炎症状態を有してもよい。この哺乳動物は、ヒト、イヌ、ネコ、又はウマであってもよい。
【0036】
上記投与は、静脈内注入、注射、皮下注射、動脈内注射、吸入、又は鼻内噴霧であってもよい。上記投与は、当該医薬組成物の静脈内注入であってもよい。上記投与は、いくつかのサイクルの毎日の静脈内注入を含んでもよく、その場合、各サイクルは、一組の日々(又は1日)であり、サイクルは、0日以上、別のサイクルから隔てられてもよい。上記投与は、連続7~28日の1~12サイクルにわたる毎日の静脈内注入を含んでもよく、その場合、0~365日が各サイクルを隔てる。サイクルの数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20、又は上記の任意の2つの間の範囲であってもよい。サイクルの日数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、若しくは35日、又は上記の任意の2つの間の範囲であってもよい。1つのサイクルと次のサイクルとの間の日数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、365、370、380、390、若しくは400日であってもよく、又は上記の任意の2つの間の範囲の日数であってもよい。1つのサイクルと次のサイクルとの間の日数は、0~365から選択される任意の整数、又は0~365から選択される任意の2つの整数の間の範囲にあってもよい。各サイクル間の日数は同じであってもよい。1つのサイクルと次のサイクルとの間の日数は、2つの連続するサイクルの別のセットの間の日数と異なってもよい。
【0037】
毎日の静脈内注入は、当該医薬組成物の0.025mL/kg~2.5mL/kgの用量を有してもよい。この用量は、0.005、0.010、0.015、0.020、0.025、0.030、0.035、0.040、0.045、0.050、0.055、0.060、0.065、0.070、0.075、0.080、0.085、0.090、0.095、0.100、0.110、0.120、0.130、0.140、0.150、0.160、0.170、0.180、0.190、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、若しくは3.0mL/kg、又は上記の任意の2つの間の範囲内であってもよい。この用量は、0.025から2.5までの任意の0.001増分であってもよく、又は任意の2つの0.025から2.5までの0.001増分の間の範囲にあってもよい。毎日の注入は、15~60分にわたって投与されてもよい。毎日の注入は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、若しくは100分にわたって、又は上記の任意の2つの間の時間で投与されてもよい。
【0038】
上記投与は、当該医薬組成物の2.5mL/kgの用量を含んでもよい。この用量は、0.005、0.010、0.015、0.020、0.025、0.030、0.035、0.040、0.045、0.050、0.055、0.060、0.065、0.070、0.075、0.080、0.085、0.090、0.095、0.100、0.110、0.120、0.130、0.140、0.150、0.160、0.170、0.180、0.190、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100mL/kgの当該医薬組成物であってもよい。上記投与は、当該医薬組成物の100mLの用量を含んでもよい。
【0039】
上記炎症状態は、関節、皮膚、骨格筋、血管、肝臓、胆嚢、肺、心臓、脳、髄膜、胃腸系、膀胱、尿道、又は腎臓のうちの少なくとも1つに影響を及ぼすものであってもよい。関節に影響を及ぼす炎症状態は関節炎であってもよい。皮膚に影響を及ぼす炎症状態は皮膚炎であってもよい。骨格筋に影響を及ぼす炎症状態は筋炎であってもよい。血管に影響を及ぼす炎症状態は、血管炎、血管漏出症候群、毛細血管漏出症候群、又は網膜炎であってもよい。肝臓に影響を及ぼす炎症状態は肝炎であってもよい。胆嚢に影響を及ぼす炎症状態は胆嚢炎であってもよい。肺に影響を及ぼす炎症状態は、間質性肺炎であってもよい。心臓に影響を及ぼす炎症状態は、心筋炎、心膜炎、又は心内膜炎であってもよい。脳に影響を及ぼす炎症状態は脳炎であってもよい。髄膜に影響を及ぼす炎症状態は髄膜炎であってもよい。胃腸系に影響を及ぼす炎症状態は、胃炎、結腸炎(大腸炎)、腸炎(小腸炎)、又は食道炎であってもよい。膀胱に影響を及ぼす炎症状態は膀胱炎であってもよい。尿道に影響を及ぼす炎症状態は尿道炎であってもよい。腎臓に影響を及ぼす炎症状態は腎炎であってもよい。
【0040】
炎症状態は、全身性炎症であってもよい。全身性炎症は、敗血症、サイトカイン放出症候群、サイトカインストーム、移植片対宿主病、又は多臓器自己免疫疾患のうちの少なくとも1つを含んでもよい。多臓器自己免疫疾患の非限定的な例としては、狼瘡(ループス)/SLEが挙げられる。
【0041】
炎症状態は、毒性剤、放射線、感染、肥満関連合併症、自己免疫疾患、骨髄移植、臓器移植、モノクローナル抗体による処置、抗体-薬物コンジュゲートによる処置、双方向性T細胞エンゲージャー(bidirectional T-cell engager)による処置、別の生物学的薬剤(生物製剤)による処置、癌、又は癌療法のうちの少なくとも1つによって引き起こされてもよい。
【0042】
毒性剤の非限定的な例としては、アルコール、化学療法薬、毒、制御された原薬、及び化学的又は生物学的兵器剤が挙げられる。放射線の非限定的な例としては、日焼け/UV放射線、照射器及び放射性同位体からの電離放射線が挙げられる。感染の非限定的な例としては、SARS-CoV-2感染、ウイルス感染、細菌感染、及び真菌感染が挙げられる。肥満関連合併症の非限定的な例としては、メタボリックシンドロームが挙げられる。他の生物学的薬剤(生物製剤)の非限定的な例としては、組換え治療用タンパク質、ワクチン、及びワクチン様製品が挙げられる。
【0043】
上記哺乳動物はヒトであってもよい。この哺乳動物は、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ、血球貪食性リンパ組織球症、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、多発性硬化症、サルコイドーシス、リウマチ熱、ベーチェット(Behcet)病、地中海熱、炎症性骨盤疾患、間質性膀胱炎、又はヘリコバクター・ピロリ(Heliobacter pylori)を有してもよい。炎症状態は、上記のもののいずれであってもよい。
【0044】
哺乳動物は、炎症状態に罹患したヒト(「患者」ともいう)であってもよく、処置(治療)は、本明細書の医薬組成物の静脈内注入であってもよい。
【0045】
上記哺乳動物はヒトであってもよく、炎症状態は、SARS-CoV-2ウイルスによるヒトの感染、ヒトにおけるCOVID-19、又はヒトにおけるSARS-CoV-2ウイルススパイクタンパク質の存在によって引き起こされてもよい。
【0046】
一実施形態は、本明細書の医薬組成物を哺乳動物に投与することによって、必要とする哺乳動物を治療することを含む。哺乳動物は、(1)ウイルス性敗血症、サイトカインストーム、サイトカイン放出症候群、肺炎、川崎病、若しくははCOVID-19によって引き起こされるARDS、(2)細菌性敗血症、(3)真菌性敗血症、(4)急性移植片対宿主病、(5)劇症肝炎、(6)放射線肺炎、(7)炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎若しくはクローン病)の急性再燃、又は(8)多系統炎症のうちの少なくとも1つを有してもよい。上記必要性は、これらの状態のうちの1つ以上を治療することであってもよい。哺乳動物は、炎症状態に罹患していてもよい。哺乳動物は、ヒト、イヌ、ネコ、又はウマであってもよい。当該医薬組成物は、本明細書における任意の用量で投与されてもよい。当該医薬組成物は、2.5mL/kg又は100mLの固定用量でその哺乳動物に投与されてもよい。
【0047】
一実施形態は、哺乳動物における炎症性サイトカインの産生及び/又は放出を遮断する方法を含む。この哺乳動物は、ヒト、イヌ、ネコ、又はウマであってもよい。この方法は、本明細書の医薬組成物をその哺乳動物に投与する工程を含んでもよい。用量は、本明細書における任意の用量であってもよい。炎症性サイトカインは、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-6(IL-6)、又はトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)であってもよい。
【0048】
一実施形態は、炎症性サイトカインの産生又は放出を阻害することによってヒト若しくは動物の疾患を予防又は治療する方法を含む。この方法は、本明細書の医薬組成物をそのヒト又は動物に投与する工程を含んでもよい。上記ヒト又は動物は、ヒト、イヌ、ネコ、又はウマであってもよい。このヒト又は動物は、炎症状態に罹患していてもよい。
【0049】
一実施形態は、本明細書の医薬組成物を細胞及び/又は組織に、好ましくは必要とする哺乳動物に投与することによって、細胞及び/若しくは組織における酸化ストレスを治療又は低減する方法を含む。この細胞及び/又は組織は哺乳動物のものであってもよい。この哺乳動物は、ヒト、イヌ、ネコ、又はウマであってもよい。哺乳動物は、炎症状態に罹患していてもよい。哺乳動物は、酸化ストレスの影響を受けた細胞及び/又は組織を有してもよい。酸化ストレスは、膜の過酸化を防止することによって治療又は低減されてもよい。酸化ストレスは、抗酸化酵素のレベルを上昇させることによって治療又は低減されてもよい。この抗酸化酵素は、カタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ及びグルタチオンペルオキシダーゼから選択される1種以上であってもよい。酸化ストレスは、アスコルビン酸及びナイアシンアミド及びチアミンの血液レベル及び組織レベルを上昇させることによって治療又は低減されてもよい。この方法は、イソフラボン(非限定的な例としてはゲニステイン及びダイゼインが挙げられる)、ビタミン(非限定的な例として、ビタミンE)が挙げられるがこれに限定されない他の抗酸化剤を投与することを含んでもよく、これらはそれぞれ、血清中で1nM~100μMの濃度をもたらす用量、又はそれぞれ独立に1nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM、90nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、若しくは100μMの値、又は上記の任意の2つの間の範囲の値から選択される濃度をもたらす用量であってもよい。この他の抗酸化剤は、当該医薬組成物を含む製剤の一部として、又は当該医薬組成物とは別に投与されてもよい。
【0050】
実施形態は、本明細書の方法の任意の影響を達成するための本明細書の医薬組成物の使用を含む。この使用は、炎症状態を治療するためであってもよい。炎症状態は、上記のとおりであってもよい。この使用は、炎症性サイトカインの産生及び/又は放出を遮断するためであってもよい。この炎症性サイトカインは、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-6(IL-6)、又はトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)であってもよい。当該使用は、炎症性サイトカインの産生又は放出を阻害することによってヒト若しくは動物の疾患を予防又は治療するためのものであってもよい。当該使用は、細胞及び/若しくは組織における酸化ストレスを治療又は低減するためのものであってもよい。
【0051】
実施形態は、本明細書に列挙される疾患のいずれかの治療のための医薬を調製するための本明細書の医薬組成物の使用であってもよい。この疾患は炎症状態であってもよい。この炎症状態は、上記のとおりであってもよい。この疾患は、炎症性サイトカインの産生及び/又は放出を遮断することによって治療可能なものであってもよい。この炎症性サイトカインは、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-6(IL-6)、又はトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)であってもよい。上記疾患は、細胞及び/又は組織における酸化ストレスであってもよい。
【0052】
本明細書の方法又は使用のための医薬組成物は、哺乳動物への静脈内送達のためのものであってもよい。当該医薬組成物は、硫酸マグネシウム、アスコルビン酸、チアミン、及びナイアシンアミドを含んでいてもよい。硫酸マグネシウム、アスコルビン酸、チアミン、及びナイアシンアミドは、72~108硫酸マグネシウム:80~120アスコルビン酸:5.6~8.4チアミン:10.4~15.6ナイアシンアミドの比率(w/w)であってもよい。この比率は、81~99硫酸マグネシウム:90~110アスコルビン酸:6.3~7.7チアミン:11.7~14.3ナイアシンアミドであってもよい。この比率は、90:100:7:13、すなわち、90硫酸マグネシウム:100アスコルビン酸:7チアミン:13ナイアシンアミドであってもよい。上記比率は、90(A~B)硫酸マグネシウム:100(A~B)アスコルビン酸:7(A~B)チアミン:13(A~B)ナイアシンアミドであってよく、AはB以下である。Aは、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0から選択されてもよいし、又は上記の任意の2つの間の範囲の値であってもよい。Bは、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、又は2.0から選択されてもよいし、又は上記の任意の2つの間の範囲の値であってもよい。例えば、Aが0.1でありBが2.0である場合、上記比率は、0.9~180硫酸マグネシウム:10~200アスコルビン酸:0.7~14チアミン:1.3~26ナイアシンアミドになる。
【0053】
本明細書の方法又は使用のための医薬組成物は、ピリドキシン又はリボフラビンのうちの少なくとも1種をさらに含んでもよい。硫酸マグネシウム、アスコルビン酸、チアミン、ナイアシンアミド、ピリドキシン、及びリボフラビンは、72~108硫酸マグネシウム:80~120アスコルビン酸:5.6~8.4チアミン:10.4~15.6ナイアシンアミド:10.4~15.6ピリドキシン:0.24~0.36リボフラビンの比率(w/w)であってもよい。この比率は、81~99硫酸マグネシウム:90~110アスコルビン酸:6.3~7.7チアミン:11.7~14.3ナイアシンアミド:11.7~14.3ピリドキシン:0.27~0.33リボフラビンであってもよい。この比率は、90:100:7:13:13:0.3、すなわち、90硫酸マグネシウム:100アスコルビン酸:7チアミン:13ナイアシンアミド:13ピリドキシン:0.3リボフラビンであってもよい。上記比率は、90(A~B)硫酸マグネシウム:100(A~B)アスコルビン酸:7(A~B)チアミン:13(A~B)ナイアシンアミド:13(A~B)ピリドキシン:0.3(A~B)リボフラビンであってもよく、AはB以下である。Aは、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0から選択されてもよいし、上記の任意の2つの間の範囲の値であってもよい。Bは、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、又は2.0から選択されてもよいし、上記の任意の2つの間の範囲の値であってもよい。例えば、Aが0.1でありBが2.0である場合、上記比率は、0.9~180硫酸マグネシウム:10~200アスコルビン酸:0.7~14チアミン:1.3~26ナイアシンアミド:1.3~26ピリドキシン:0.03~0.6リボフラビンになる。
【0054】
本明細書における方法又は使用のための医薬組成物中の硫酸マグネシウムの濃度は、上記の比率のうちの1つを満たすように選択される上記の比率のうちの1つを満たすように選択されてもよい。上記硫酸マグネシウムの濃度は、0.7~0.9mg/mLであってもよい。硫酸マグネシウムの濃度は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、若しくは2.0mg/mL、又は上記の任意の2つの間の範囲にあってもよい。
【0055】
本明細書における方法又は使用のための医薬組成物中のアスコルビン酸の濃度は、上記の比率のうちの1つを満たすように選択されてもよい。上記アスコルビン酸の濃度は、0.8~1.0mg/mLであってもよい。アスコルビン酸の濃度は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、若しくは2.0mg/mL、又は上記の任意の2つの間の範囲にあってもよい。
【0056】
本明細書における方法又は使用のための医薬組成物中のチアミンの濃度は、上記の比率のうちの1つを満たすように選択されてもよい。上記チアミンの濃度は、0.05~0.07mg/mLであってもよい。チアミンの濃度は、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、若しくは0.2mg/mL、又は上記の任意の2つの間の範囲にあってもよい。
【0057】
本明細書における方法又は使用のための医薬組成物中のナイアシンアミドの濃度は、上記の比率のうちの1つを満たすように選択されてもよい。上記ナイアシンアミドの濃度は、0.105~0.150mg/mLであってもよい。ナイアシンアミドの濃度は、0.095、0.100、0.105、0.110、0.115、0.120、0.125、0.130、0.135、0.140、0.145、0.150、0.155、0.160mg/mL、又は上記の任意の2つの間の範囲にあってもよい。
【0058】
本明細書における方法又は使用のための医薬組成物中のピリドキシンの濃度は、上記の比率のうちの1つを満たすように選択されてもよい。上記ピリドキシンの濃度は、0.105~0.150mg/mLであってもよい。ピリドキシンの濃度は、0.095、0.100、0.105、0.110、0.115、0.120、0.125、0.130、0.135、0.140、0.145、0.150、0.155、0.160mg/mL、又は上記の任意の2つの間の範囲にあってもよい。
【0059】
本明細書における方法又は使用のための医薬組成物中のリボフラビンの濃度は、上記の比率のうちの1つを満たすように選択されてもよい。上記リボフラビンの濃度は、0.002~0.003mg/mLであってもよい。リボフラビンの濃度は、0.001、0.002、0003、0.004、0.005、若しくは0.006mg/mL、又は上記の任意の2つの間の範囲にあってもよい。
【0060】
本明細書における方法又は使用のための医薬組成物は、シアノコバラミンをさらに含んでもよい。シアノコバラミンの濃度は0.0015~0.0030mg/mLであってもよい。シアノコバラミンの濃度は、0.0005、0.0010、0.0015、0.0020、0.0025、0.0030、0.0035、若しくは0.0040、又は上記の任意の2つの間の範囲にあってもよい。
【0061】
本明細書における方法又は使用のための医薬組成物は、緩衝剤をさらに含んでもよい。緩衝剤の非限定的な例は、炭酸水素ナトリウム、乳酸(塩)、酢酸(塩)、グルコン酸(塩)又はマレイン酸(塩)である。緩衝剤を含む当該医薬組成物は、7.35~7.45のpHを有してもよい。このpHは、7.35、7.36、7.37、7.38、7.39、7.40、7.41、7.42、7.43、7.44、若しくは7.45、又は上記の任意の2つの間の範囲のpHであってもよい。
【0062】
本明細書における方法又は使用のための医薬組成物は、希釈剤をさらに含んでもよい。希釈剤の非限定的な例は、生理食塩水、注射用水、又は静脈内溶液、好ましくは通常使用される静脈内溶液である。
【0063】
本明細書における方法又は使用のための医薬組成物は、抗酸化剤、又は抗炎症薬であってもよい抗炎症剤の少なくとも1種をさらに含んでもよい。上記抗酸化剤又は抗炎症剤の少なくとも1種は、Cox-2阻害剤、Cox-1阻害剤、ステロイド、亜鉛、銅、セレン、ビタミンE、及びビタミンAから選択される1種以上であってもよい。各抗酸化剤又は抗炎症剤の濃度は1nM~100μMであってもよい。各抗酸化剤又は抗炎症剤の濃度は、1nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM、90nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、若しくは100μMから独立に選択されてもよく、又は上記の任意の2つの間の範囲にあってもよい。
【0064】
本明細書における方法又は使用のための医薬組成物は、硫酸マグネシウム、アスコルビン酸、チアミン、及びナイアシンアミド、並びにピリドキシン、リボフラビン、シアノコバラミン、緩衝剤、希釈剤、抗酸化剤、抗炎症薬であってもよい抗炎症剤、Cox-2阻害剤、Cox-1阻害剤、ステロイド、亜鉛、銅、セレン、ビタミンE、又はビタミンAのうちの少なくとも1種以上を含んでもよい。これらの構成成分の比率は、上記のとおりであってもよい。これらの構成成分の濃度は、上記のとおりであってもよい。各々の属レベルの構成成分の例示的な種は、上記のとおりであってもよい。
【0065】
本明細書における方法又は使用のための医薬組成物は、静脈内注入、注射、皮下注射、動脈内注射、吸入(すなわち、吸入剤として)、又は鼻内噴霧(すなわち、鼻内噴霧薬(点鼻薬)として)用に製剤化されてもよい。
【0066】
本明細書の方法又は使用のための医薬組成物は、1種以上の抗炎症薬をさらに含んでもよい。あるいは、この方法は、1種以上の抗炎症薬を別途投与することをさらに含んでいてもよい。この1種以上の抗炎症薬は、抗炎症ステロイドから選択される。この1種以上の抗炎症ステロイドは、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、フルドロコルチゾン若しくはデキサメタゾン、又はその薬学的に許容できる塩から選択されてもよい。上記1種以上の抗炎症薬はデキサメタゾンを含んでもよい。デキサメタゾンは、0.75~40mgの用量で投与されてもよく、又は1mg~40mgが1回の投与で送達される。デキサメタゾンの用量は、1回の投与で0.75、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、若しくは40mg、又は上記の任意の2つの間の用量であってもよい。デキサメタゾン用量を選択するための非限定的な指針は以下のとおりである。単独で使用される場合、軽度、中等度、又は重度の炎症を治療するために、デキサメタゾンの用量は、それぞれ、投与当たり1~2mg、投与当たり4~8mg、又は投与当たり10~20mgであってもよい。投与頻度は、1~3回/日の範囲にあってもよい。当該医薬組成物と組み合わせて投与される場合、軽度又は中等度の炎症を治療するために設計されたデキサメタゾンの用量(非限定的な例として、用量当たり10~20mgの代わりに2~4mg)が重度の炎症を治療するのに充分であってもよく、デキサメタゾンの用量は、それに応じて調整されてもよい。
【0067】
上記の換算表は、デキサメタゾンについての上記の用量に基づいて、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、又はフルドロコルチゾンについての用量を決定するための指針を提供する。
【0068】
【表2】
【0069】
他の抗炎症ステロイドの1つについての用量は、デキサメタゾンについて上に記載したとおりであってもよい。又は、その用量は、選択されたデキサメタゾン用量に基づいて、及び他の抗炎症ステロイドの用量が[(他の抗炎症ステロイドのほぼ等価な用量)/0.75]×(選択されたデキサメタゾン用量)によって計算される上記の換算表を使用して調整されてもよい。換算表に示すとおり、異なるステロイドの半減期は様々であり、これは異なる作用継続時間をもたらす。8~12時間半減期は短時間作用型とみなされ、18~36時間半減期は中時間作用型とみなされ、36~54時間半減期は長時間作用型とみなされる。1つの抗炎症ステロイド、又は2種以上の組み合わせを選択するための1つの指針は、各抗炎症ステロイドの作用継続時間であってもよい。例えば、投与される複数の抗炎症ステロイドの組み合わせは、2つ又は3つの異なる作用継続時間を含んでもよい。抗炎症ステロイドから選択される少なくとも1種の抗炎症薬の用量は、本明細書に記載されるデキサメタゾンの用量に等価な量のコルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、フルドロコルチゾン又はデキサメタゾンの1種以上を含んでもよい。
【0070】
COVID-19患者における全身性炎症の治療について、投与される抗炎症薬の用量は、上記のとおりであってもよい。用量は、6mgのデキサメタゾンであってもよい。COVID-19患者がサイトカインストームとしても知られるサイトカイン放出症候群(CRS)を発症する場合、デキサメタゾンの用量は20mgであってもよく、投与は1回~3回/日であってもよい。このような患者において、6mgのデキサメタゾンと0.2~0.3cc/kgの低用量RJXとの組み合わせは、全身性炎症を逆転させるのに有効であった。
【0071】
実施形態
以下のリストは、本発明の特定の実施形態を含む。しかし、当業者によって理解されるように、このリストは限定的ではなく、本明細書の他の場所に記載される実施形態又は代替実施形態を除外しない。
【0072】
1. 哺乳動物への静脈内送達又は局所送達のための医薬組成物であって、この医薬組成物は、硫酸マグネシウム、アスコルビン酸、チアミン、及びナイアシンアミドを72~108硫酸マグネシウム:80~120アスコルビン酸:5.6~8.4チアミン:10.4~15.6ナイアシンアミド、又は81~99硫酸マグネシウム:90~110アスコルビン酸:6.3~7.7チアミン:11.7~14.3ナイアシンアミド、又は90硫酸マグネシウム:100アスコルビン酸:7チアミン:13ナイアシンアミドの比率(w/w)で含み、好ましくは上記医薬組成物は1種以上の抗炎症剤をさらに含み、好ましくは上記1種以上の抗炎症剤は抗炎症ステロイドから選択される1種以上の抗炎症薬を含み、好ましくは上記1種以上の抗炎症薬はデキサメタゾンを含み、好ましくは、デキサメタゾンの濃度は、投与される1体積(容量)が0.75~40mg、1mg~40、1~2mg、4~8mg、10~20mgのデキサメタゾン用量を含むような濃度であるか、又はデキサメタゾンの濃度は、投与される1体積が0.75、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、若しくは40mgのデキサメタゾン用量、若しくは上記の任意の2つの間の範囲の用量を含むような濃度である医薬組成物。デキサメタゾン以外に又はデキサメタゾンに加えて抗炎症ステロイド(複数種可)が選択される場合、その用量は、上記の換算表及び上記のデキサメタゾン用量から選択される所望のデキサメタゾンに基づいて計算されてもよい。
【0073】
2. ピリドキシン及びリボフラビンをさらに含み、上記硫酸マグネシウム、アスコルビン酸、チアミン、ナイアシンアミド、ピリドキシン、及びリボフラビンが、72~108硫酸マグネシウム:80~120アスコルビン酸:5.6~8.4チアミン:10.4~15.6ナイアシンアミド:10.4~15.6ピリドキシン:0.24~0.36リボフラビン、又は81~99硫酸マグネシウム:90~110アスコルビン酸:6.3~7.7チアミン:11.7~14.3ナイアシンアミド:11.7~14.3ピリドキシン:0.27~0.33リボフラビン、又は90硫酸マグネシウム:100アスコルビン酸:7チアミン:13ナイアシンアミド:13ピリドキシン:0.3リボフラビンの比率(w/w)である実施形態1に記載の医薬組成物。
【0074】
3. 緩衝剤をさらに含む実施形態1又は実施形態2に記載の医薬組成物。
【0075】
4. 上記緩衝剤が炭酸水素ナトリウム、乳酸(塩)、酢酸(塩)、グルコン酸(塩)又はマレイン酸(塩)を含む実施形態3に記載の医薬組成物。
【0076】
5. 希釈剤をさらに含む実施形態1から実施形態4のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0077】
6. 上記希釈剤が、生理食塩水、注射用水、又は通常使用される静脈内溶液を含む実施形態5に記載の医薬組成物。
【0078】
7. 上記硫酸マグネシウムの濃度が0.7~0.9mg/mLであり、上記アスコルビン酸の濃度が0.8~1.0mg/mLであり、上記チアミンの濃度が0.05~0.07mg/mLであり、上記ナイアシンアミドの濃度が0.105~0.150mg/mLである実施形態1から実施形態6のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0079】
8. 上記ピリドキシンの濃度が0.105~0.150mg/mLであり、上記リボフラビンの濃度が0.002~0.003mg/mLである実施形態2から実施形態7のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0080】
9. シアノコバラミンをさらに含む実施形態1から実施形態8のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0081】
10. 抗酸化剤、又は抗炎症薬を含んでもよい1種以上の抗炎症剤のうちの少なくとも1種をさらに含む実施形態1から実施形態9のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0082】
11. 上記抗酸化剤又は抗炎症剤の少なくとも1種が、Cox-2又はCox1阻害剤、ステロイド、亜鉛、銅、セレン、ビタミンE、及びビタミンAから選択される実施形態10に記載の医薬組成物。
【0083】
12. 抗炎症ステロイドから選択される上記1種以上の抗炎症薬をさらに含む実施形態1から実施形態11のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0084】
13. 上記抗炎症ステロイドが、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、フルドロコルチゾン、若しくはデキサメタゾン、又はその薬学的に許容できる塩のうちの少なくとも1種を含む実施形態12に記載の医薬組成物。
【0085】
14. 上記1種以上の抗炎症薬がデキサメタゾンを含む実施形態12に記載の医薬組成物。
【0086】
15. デキサメタゾンの濃度が、投与される1体積が0.75~40mg、1mg~40.1~2mg、4~8mg、10~20mgのデキサメタゾン用量を含むような濃度であるか、又は、デキサメタゾンの濃度が、投与される1体積が0.75、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、若しくは40mgのデキサメタゾン用量、又は上記の任意の2つの間の範囲の用量を含むような濃度である実施形態14に記載の医薬組成物。
【0087】
16. 実施形態1から実施形態15のいずれか1つの医薬組成物の濃縮物を含む前製剤であって、存在する場合、
上記硫酸マグネシウムの濃度は50~100×(0.7~0.9mg/mL)であり、
アスコルビン酸の濃度は、50~100×(0.8~1.0mg/mL)であり、
上記チアミンの濃度は、50~100×(0.05~0.07mg/mL)であり、
上記ナイアシンアミドの濃度は、50~100×(0.105~0.150mg/mL)であり、
上記ピリドキシンの濃度は、50~100×(0.105~0.150mg/mL)であり、
上記リボフラビンの濃度は、50~100×(0.002~0.003mg/mL)であり、
上記シアノコバラミンの濃度は、50~100×(0.0015~0.0030mg/mL)であり、
上記抗炎症ステロイドの濃度は、実施形態1又は実施形態15で与えられる値の50~100倍である
前製剤。
【0088】
17. 哺乳動物における炎症状態を治療する方法であって、その哺乳動物に有効量の実施形態1から実施形態15のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与する工程、又はその哺乳動物に有効量の実施形態1から実施形態15のいずれか1つに記載の組成物から少なくとも1種の抗炎症薬を除いたものを投与する工程と、上記少なくとも1種の抗炎症薬を別途共投与する工程とを含み、好ましくは上記少なくとも1種の抗炎症薬はデキサメタゾンを含み、好ましくはデキサメタソンの濃度は、0.75~40mg、1mg~40.1~2mg、4~8mg、10~20mgの用量、又は0.75、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、若しくは40mgの用量、若しくは上記の任意の2つの間の範囲の用量である方法。デキサメタゾン以外に又はデキサメタゾンに加えて抗炎症ステロイド(複数種可)が選択される場合、その用量は、上記の換算表及び上記のデキサメタゾン用量から選択される所望のデキサメタゾン用量に基づいて計算されてもよい。
【0089】
18. 上記哺乳動物がヒトである実施形態17に記載の方法。
【0090】
19. 上記哺乳動物が、イヌ、ネコ、又はウマである実施形態17に記載の方法。
【0091】
20. 上記投与が、静脈内注入、皮下注射、動脈内注射、吸入、又は鼻内噴霧である実施形態17から実施形態19のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
21. 上記投与が、毎日の静脈内注入を含む実施形態17から実施形態19のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
22. 上記毎日の静脈内注入が、連続7~28日の1~12サイクルにわたり、0~365日が各サイクルを隔てる実施形態21に記載の方法。
【0094】
23. 上記毎日の静脈内注入が、15~60分にわたって投与される上記医薬組成物の0.025mL/kg~2.5mL/kgの用量を有する実施形態21又は実施形態22に記載の方法。
【0095】
24. 上記投与が、上記医薬組成物の2.5mL/kgの用量を含む実施形態17から実施形態23のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
25. 上記投与が100mLの用量を含む実施形態17から実施形態23のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
26. 上記炎症状態が、関節、皮膚、骨格筋、血管、肝臓、胆嚢、肺、心臓、脳、髄膜、胃腸系、膀胱、尿道、若しくは腎臓に影響を及ぼすもの、又は全身性炎症である実施形態17から実施形態25のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
27. 上記関節に影響を及ぼす上記炎症状態が関節炎である実施形態26に記載の方法。
【0099】
28. 上記皮膚に影響を及ぼす上記炎症状態が皮膚炎である実施形態26に記載の方法。
【0100】
29. 上記骨格筋に影響を及ぼす上記炎症状態が筋炎である実施形態26に記載の方法。
【0101】
30. 上記血管に影響を及ぼす上記炎症状態が、血管炎、血管漏出症候群、毛細血管漏出症候群、又は網膜炎である実施形態26に記載の方法。
【0102】
31. 上記肝臓に影響を及ぼす上記炎症状態が肝炎である実施形態26に記載の方法。
【0103】
32. 上記胆嚢に影響を及ぼす上記炎症状態が胆嚢炎である実施形態26に記載の方法。
【0104】
33. 上記肺に影響を及ぼす上記炎症状態が間質性肺炎である実施形態26に記載の方法。
【0105】
34. 上記心臓に影響を及ぼす上記炎症状態が、心筋炎、心膜炎、又は心内膜炎である実施形態26に記載の方法。
【0106】
35. 上記脳に影響を及ぼす上記炎症状態が脳炎である実施形態26に記載の方法。
【0107】
36. 上記髄膜に影響を及ぼす上記炎症状態が髄膜炎である実施形態26に記載の方法。
【0108】
37. 上記胃腸系に影響を及ぼす上記炎症状態が、胃炎、結腸炎(大腸炎)、腸炎(小腸炎)、又は食道炎である実施形態26に記載の方法。
【0109】
38. 上記膀胱に影響を及ぼす上記炎症状態が膀胱炎である実施形態26に記載の方法。
【0110】
39. 上記尿道に影響を及ぼす上記炎症状態が尿道炎である実施形態26に記載の方法。
【0111】
40. 上記腎臓に影響を及ぼす上記炎症状態が腎炎である実施形態26に記載の方法。
【0112】
41. 上記炎症状態が全身性炎症である実施形態17から実施形態25のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
42. 上記全身性炎症が、敗血症、サイトカイン放出症候群、サイトカインストーム、移植片対宿主病、又は多臓器自己免疫疾患である実施形態41に記載の方法。
【0114】
43. 上記多臓器自己免疫疾患が狼瘡/SLEである実施形態42に記載の方法。
【0115】
44. 上記炎症状態が、毒性剤、放射線、感染、肥満関連合併症、自己免疫疾患、骨髄移植、臓器移植、モノクローナル抗体による処置、抗体-薬物コンジュゲートによる処置、双方向性T細胞エンゲージャーによる処置、生物製剤による処置、癌、又は癌療法によって引き起こされるものである実施形態17から実施形態25のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
45. 上記毒性剤が、アルコール、化学療法薬、毒、制御された原薬、又は化学的若しくは生物学的兵器剤を含む実施形態44に記載の方法。
【0117】
46. 上記放射線が、日焼け/UV放射線、又は照射器若しくは放射性同位体からの電離放射線である実施形態44に記載の方法。
【0118】
47. 上記感染が、SARS-CoV-2感染(COVID-19)、ウイルス感染、細菌感染、又は真菌感染を含む実施形態44に記載の方法。
【0119】
48. 上記肥満関連合併症がメタボリックシンドロームを含む実施形態44に記載の方法。
【0120】
49. 上記生物製剤が、組換え治療用タンパク質、ワクチン、及びワクチン様製品から選択される実施形態44に記載の方法。
【0121】
50. 上記哺乳動物が、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ、血球貪食性リンパ組織球症、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、多発性硬化症、サルコイドーシス、リウマチ熱、ベーチェット病、地中海熱、炎症性骨盤疾患、間質性膀胱炎、又はヘリコバクター・ピロリを有するヒトである実施形態17から実施形態25のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
51. 上記哺乳動物がヒトであり、上記炎症状態が、SARS-CoV-2ウイルスによるヒトの感染、ヒトにおけるCOVID-19、又はヒトにおけるSARS-CoV-2ウイルススパイクタンパク質の存在によって引き起こされる実施形態17から実施形態25のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
52. 上記医薬組成物が、2.5mL/kg又は100mLの固定用量で上記哺乳動物に投与される実施形態17から実施形態51のいずれか1つに記載の方法。
【0124】
53. 必要とする哺乳動物を治療する方法であって、この方法は、実施形態1から実施形態15のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与する工程、又は実施形態1から実施形態15のいずれか1つに記載の組成物から抗炎症ステロイドから選択される少なくとも1種の抗炎症薬を除いたものを投与する工程と、上記少なくとも1種の抗炎症薬を共投与する工程とを含み、上記哺乳動物は、(1)ウイルス性敗血症、サイトカインストーム、サイトカイン放出症候群、肺炎、川崎病、若しくはCOVID-19によって引き起こされるARDS、(2)細菌性敗血症、(3)真菌性敗血症、(4)急性移植片対宿主病、(5)劇症肝炎、(6)放射線肺炎、(7)潰瘍性腸炎若しくはクローン病等の炎症性腸疾患の急性再燃、又は(8)任意の原因による多臓器の炎症を有し、任意選択で、上記哺乳動物は炎症状態に罹患した患者であり、好ましくは、上記少なくとも1種の抗炎症薬はデキサメタゾンを含み、好ましくはデキサメタゾンの用量は、0.75~40mg、1mg~40.1~2mg、4~8mg、10~20mg、又は0.75、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、若しくは40mgの用量、若しくは上記の任意の2つの間の範囲の用量である方法。デキサメタゾン以外に又はデキサメタゾンに加えて抗炎症ステロイド(複数種可)が選択される場合、その用量は、上記の換算表及び上記のデキサメタゾン用量から選択される所望のデキサメタゾンに基づいて計算されてもよい。
【0125】
54. 上記医薬組成物が、2.5mL/kg又は100mLの固定用量で上記哺乳動物に投与される実施形態53に記載の方法。
【0126】
55. 哺乳動物における炎症性サイトカインの産生及び又は放出を遮断する方法であって、上記方法は、実施形態1から実施形態15のいずれか1つに記載の医薬組成物をその哺乳動物に投与する工程、又は実施形態1から実施形態15のいずれか1つに記載の組成物から抗炎症ステロイドから選択される少なくとも1種の抗炎症薬を除いたものをその哺乳動物に投与する工程と、上記少なくとも1種の抗炎症薬を共投与する工程とを含み、任意選択で、上記哺乳動物はヒトであり、任意選択で、上記哺乳動物は炎症状態に罹患した患者であり、好ましくは、上記少なくとも1種の抗炎症薬はデキサメタゾンを含み、好ましくはデキサメタゾンの用量は、0.75~40mg、1mg~40.1~2mg、4~8mg、10~20mg、又は0.75、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、若しくは40mgの用量、若しくは上記の任意の2つの間の範囲の用量である方法。デキサメタゾン以外に又はデキサメタゾンに加えて抗炎症ステロイド(複数種可)が選択される場合、その用量は、上記の換算表及び上記のデキサメタゾン用量から選択される所望のデキサメタゾンに基づいて計算されてもよい。
【0127】
56. 上記炎症性サイトカインが、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-6(IL-6)、又はトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)である実施形態55に記載の方法。
【0128】
57. 炎症性サイトカインの産生若しくは放出を阻害することによって、任意選択で、実施形態1から実施形態15のいずれか1つに記載の医薬組成物をヒト若しくは動物に投与することによって、若しくは実施形態1から実施形態15のいずれか1つに記載の組成物から抗炎症ステロイドから選択される少なくとも1種の抗炎症薬を除いたものをそのヒト若しくは動物に投与し、上記少なくとも1種の抗炎症薬を共投与することによって、ヒト若しくは動物の疾患を予防又は治療する方法であって、任意選択で、上記ヒト又は動物は人間であり、任意選択で、上記人間は炎症状態に罹患している方法。好ましくは、上記少なくとも1種の抗炎症薬はデキサメタゾンを含み、好ましくは、デキサメタゾンの用量は、0.75~40mg、1mg~40.1~2mg、4~8mg、10~20mg、又は0.75、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、若しくは40mgの用量、若しくは上記の任意の2つの間の範囲の用量である。デキサメタゾン以外に又はデキサメタゾンに加えて抗炎症ステロイド(複数種可)が選択される場合、その用量は、上記の換算表及び上記のデキサメタゾン用量から選択される所望のデキサメタゾンに基づいて計算されてもよい。
【0129】
58. 実施形態1から実施形態15のいずれか1つに記載の医薬組成物を哺乳動物に投与することによって、又は実施形態1から実施形態15のいずれか1つに記載の組成物から抗炎症ステロイドから選択される少なくとも1種の抗炎症薬を除いたものを哺乳動物に投与し、上記少なくとも1種の抗炎症薬を共投与することによって、細胞及び/又は組織における酸化ストレスを治療又は低減する方法であって、任意選択で、上記哺乳動物はヒトであり、任意選択で、上記ヒトは炎症性状態に罹患している患者であり、任意選択で、炎症性状態に罹患している上記患者は酸化的ストレスによって影響を受けた細胞及び/又は組織を有し、好ましくは、上記少なくとも1種の抗炎症薬はデキサメタゾンを含み、好ましくは、デキサメタゾンの用量は、0.75~40mg、1mg~40.1~2mg、4~8mg、10~20mg、又は0.75、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、若しくは40mgの用量、若しくは上記の任意の2つの間の範囲の用量である方法。デキサメタゾン以外に又はデキサメタゾンに加えて抗炎症ステロイド(複数種可)が選択される場合、その用量は、上記の換算表及び上記のデキサメタゾン用量から選択される所望のデキサメタゾンに基づいて計算されてもよい。
【0130】
59. 上記酸化ストレスが、膜の過酸化を防止することによって治療又は低減される実施形態58に記載の方法。
【0131】
60. 上記酸化ストレスが、抗酸化酵素のレベルを上昇させることによって治療又は低減され、任意選択で、上記抗酸化酵素が、カタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ及びグルタチオンペルオキシダーゼから選択される1種以上である実施形態58に記載の方法。
【0132】
61. 上記酸化ストレスが、アスコルビン酸及びナイアシンアミド及びチアミンの血液レベル及び組織レベルを上昇させることによって治療又は低減される実施形態58に記載の方法。
【0133】
62. COVID-19患者を治療する方法であって、有効量の実施形態1から実施形態15のいずれか1つに記載の医薬組成物をその患者に投与する工程、又は有効量の実施形態1から実施形態15のいずれか1つに記載の組成物から抗炎症ステロイドから選択される少なくとも1種の抗炎症薬を除いたものを患者に投与する工程と、上記少なくとも1種の抗炎症薬を共投与する工程とを含み、好ましくは上記少なくとも1種の抗炎症薬はデキサメタゾンを含み、好ましくはデキサメタゾンは、0.75~40mg、1mg~40.1~2mg、4~8mg、10~20mg、又は0.75、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、若しくは40mgの用量、若しくは上記の任意の2つの間の範囲の用量である方法。デキサメタゾン以外に又はデキサメタゾンに加えて抗炎症ステロイド(複数種可)が選択される場合、その用量は、上記の換算表及び上記のデキサメタゾン用量から選択される所望のデキサメタゾンに基づいて計算されてもよい。
【0134】
63. 上記投与が、静脈内注入、皮下注射、動脈内注射、吸入、又は鼻内噴霧である実施形態62に記載の方法。
【0135】
64. 上記投与が、毎日の静脈内注入を含む実施形態62又は実施形態63に記載の方法。
【0136】
65. 上記毎日の静脈内注入が、連続7~28日の1~12サイクルにわたり、0~365日が各サイクルを隔てる実施形態64に記載の方法。
【0137】
66. 上記毎日の静脈内注入が、15~60分にわたって投与される上記医薬組成物の0.025mL/kg~2.5mL/kgの用量を有する実施形態64又は実施形態65に記載の方法。
【0138】
67. 上記投与が、上記医薬組成物の2.5mL/kgの用量を含む実施形態62から実施形態66のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
68. 上記投与が100mLの用量を含む実施形態62から実施形態66のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
本明細書のさらなる実施形態は、実施形態を本明細書の任意の1つ以上の他の実施形態からの1つ以上の要素で補足することによって、及び/又は1つの実施形態からの1つ以上の要素を本明細書の1つ以上の他の実施形態からの1つ以上の要素で置換することによって形成されてもよい。
【実施例
【0141】
以下の非限定的な実施例は、特定の実施形態を例示するために提供される。全体を通して、実施形態は、以下の1つ以上の実施例からの1つ以上の詳細で補足されてもよく、かつ/又は一実施形態からの1つ以上の要素は、以下の1つ以上の実施例からの1つ以上の詳細で置換されてもよい。
【0142】
高リスクCOVID-19患者、例えば基礎癌を有する高リスクCOVID-19患者において急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を予防するか、又はその死亡率を低下させることができる新規治療プラットフォームが緊急に必要とされている。レジュベイニクス(Rejuveinix、RJX)は、敗血症性ショック及びARDSの動物モデル並びに敗血症患者における臨床研究において研究されている成分を代表する、アスコルビン酸(ビタミンC)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、チアミン塩酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン5’リン酸(ビタミンB2)、ナイアシンアミド(ビタミンB3)、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、D-パントテン酸カルシウムを含むいくつかのビタミンと、強力なカルシウムアンタゴニストとしての硫酸マグネシウムとの製剤である。RJXは、ヒト対象において非常に好ましい安全性プロファイルを有する。RJXは、ウイルス性敗血症及びARDSを有するCOVID-19患者を含む敗血症を有する患者のための抗炎症及び抗酸化治療プラットフォームとして開発されている。非臨床薬力学研究により、敗血症、ARDS及び多臓器不全のモデルにおいて、RJXがなければ常に致死的な用量のLPS-GalNで負荷(チャレンジ)したマウスの生存転帰をRJXが改善することができるかどうかを分析した。RJXは、臨床的に安全な低用量レベルで、LPS-GalNモデルにおいて強力な保護抗CRS及び抗ARDS活性を示した。
【0143】
RJXが致死性ショック、ARDS、及び多臓器不全を予防する能力を、敗血症及びARDSの確立されたリポ多糖(LPS)-ガラクトサミン(GalN)マウスモデルにおいて調べた。標準的な方法を、両方の研究におけるデータの統計分析に用いた。重篤な有害事象(SAE)若しくはグレード3~グレード4の有害事象(AE)を発症した参加者又は研究から参加を早期に中止した参加者はいなかった。非臨床試験において、RJXは、ARDSのLPS-GalNマウスモデルにおいて強力かつ用量依存的な保護活性を示し、炎症性サイトカイン応答(IL-6、TNF-α、TGF-β)を減少させ、生存を改善した。病理組織学的検査は、RJXがLPS-GalN誘導の急性肺傷害(ALI)及び肺浮腫並びに肝損傷を減弱させることを示した。結び。RJXは、ヒト対象において非常に好ましい安全性プロファイル及び忍容性を示した。これは、ARDS及びその合併症を予防することによって高リスクCOVID-19の臨床経過に有利に影響を及ぼす可能性を示す。
【0144】
実施例1.1.1.- RJXは、炎症誘発性サイトカイン応答を防止し、LPS-GalN誘導の敗血症の後の生存転帰を改善する
未処置対照マウスの100パーセント(%)は、実験を通して生存したままであった。比較すると、LPS-GalN注射マウスの100%は、中央値(メジアン)5.4時間で死亡した(図1)。RJXを、ヒト対象の最大耐量(MTD)0.759mL/kgより>10倍低い用量レベル(すなわち、4.2mL/kgの6倍希釈溶液)でのその保護活性について調べたところ、RJX処置マウスは、LPS-GalNを注射した後に改善された生存転帰を有した。ビヒクル処置対照マウスの常に致死的な処置結果とは対照的に、RJXで処置したマウス(N=10)の40%は生存したままであり、生存期間中央値15.3時間で2.8倍長かった(ログランクP=0.004;Zスコア:-4.059、P<0.001)。図1を参照。
【0145】
10匹のBALB/Cマウスの群を、LPS-GalNの注射の2時間前又は後に、RJX(4.2mL/kg、0.5mL/マウス)又はビヒクルの腹腔内注射で処置した。未処置マウス(対照)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる)を腹腔内投与した。生存を、LPS-GalN負荷後の時間の関数として示す。異なる処置群の生存曲線を示す。各群のカプラン・マイヤー(Kaplan-Meier)生存曲線を、生存時間中央値及びLPS-GalN+RJX群とLPS/GalN+NS群との比較についてのログランクP値とともに示す。
【0146】
いかなるRJX処置も受けていないLPS-GalN負荷対照マウスにおいて、血清IL-6、TNF-α及びLDHレベルは死亡時に劇的に増加しており、これは「サイトカインストーム」及び顕著な全身性炎症と一致する。図2A、2B、及び2Cを参照。各バーは平均及び標準偏差を表す。10匹のBALB/Cマウスの群を、LPS-GalNの注射の2時間前又は後に、RJX(4.2mL/kg、0.5mL/マウス)又はビヒクルの腹腔内注射で処置した。未処置マウス(対照)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる)を腹腔内投与した。(ANOVA及びチューキー(Tukey)の事後検定:群間の統計的有意性は、***P<0.001によって示される)。
【0147】
対照的に、LPS-GalN注射後に死亡したRJX処置マウスは、IL-6、TNF-α、及びLDHの有意に低いレベルを有し(図2C)、ビヒクル処置マウスよりもはるかに遅く死亡した(図1)。LPS-GalN負荷後24時間以内に死亡したマウスのこれらの結果は、RJXがLPS-GalNを注射したマウスの炎症誘発性サイトカイン応答を減少させ、マウスの生存時間を改善したことを実証する。
【0148】
実施例1.1.2.- RJXは、肺における酸化ストレスを低減し、LPS-GalN誘導の敗血症、サイトカインストーム、及び全身性炎症後のALIを減弱する
未処置対照マウスと比較した場合、脂質過酸化の指標である肺MDAレベルは、LPS-GalN負荷マウスにおいて顕著に上昇した(6.5±0.5対2.6±0.4nmol/g、P<0.0001)。逆に、それらのマウスの肺における抗酸化酵素SOD(30.5±1.2U/mg対80.4±1.6U/mg、P<0.0001)、CAT(19.9±1.1U/mg対56.7±1.4U/mg、P<0.0001)、GSH-Px(54.2±3.1U/mg対126.4±4.1U/mg、P<0.0001)、及びアスコルビン酸(54.5±0.1μg/g対398.2±0.1μg/g、P<0.0001)の組織レベルは著しく低下しており、肺組織における重度の酸化ストレスと一致していた。図3A、3B、3C、3D、3E、及び3Fを参照。10匹のBALB/Cマウスの群を、LPS-GalNの注射の2時間前又は後にRJX(4.2mL/kg、0.5mL/マウス)又はビヒクルの腹腔内注射で処置した。未処置マウス(対照)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる)を腹腔内投与した。24時間(h)のLPS/GalN負荷後、マウスの肺を回収した。肺スコアは、以下のように0~4の5点スケールに従って等級付けした:0、1、2、3及び4はそれぞれ、損傷なし、軽度の損傷、中等度の損傷、重度の損傷及び非常に重度の損傷を表した。(クラスカル・ウォリス(Kruskal-Wallis)検定及びマン・ホイットニー(Mann Whitney)検定。群間の統計的有意性は、***P<0.001によって示される)。
【0149】
LPS-GalN注射マウスからのヘマトキシリン-エオシン(H/E)染色肺組織の病理組織学的検査は、肺胞出血、肺胞壁の肥厚、浮腫/うっ血、及び白血球浸潤を含む、重度の急性ALI(図3A~3F)と一致する組織学的変化を示した。これらの変化は、LPS-GalNを注射しなかった対照群のマウスの肺組織では観察されなかった。RJXは、肺MDAレベルを低下させ、抗酸化酵素SOD、CAT、GSH-Px及びアスコルビン酸の低下したレベルを正常化した(図3A~3F)。特に、RJXは、RJX処置マウスの肺における有意に少ない損傷によって証明されるように、LPS-GalN誘導のALIを減弱した。図3A~3Fに描くALIスコアは、RJX処置マウスの肺についてのALIスコアの高度に統計学的に有意な減少を伴うRJXの用量依存的な保護効果を示す。RJXは、肺胞壁厚の減少によって実証されるように、LPS-GalN負荷マウスにおける肺水腫の発生を予防し、RJX処置マウスにおいてほぼ正常値まで実質的に減少した(図3A~3F、図4A~4D)。
【0150】
図4A~4Dを参照する。マウスを、LPS-GalNの注射の2時間前及び2時間後に、6倍希釈したRJX(4.2mL/kg、0.5mL/マウス)又はNSの腹腔内注射で処置した。未処置マウス(対照)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる)を腹腔内投与した。肺胞壁厚は、NSで処置したマウスにおいて顕著に増加しており、大規模な肺浮腫と一致していた。RJX処置は、ほぼ正常な肺胞壁厚測定値によって証明されるように、肺浮腫の予防と関連していた。H&E ×400。
【0151】
実施例1.1.3.- RJXは、肝臓における酸化ストレスを低減し、LPS-GalN誘導の敗血症及び全身性炎症後の急性肝損傷を減弱する
LPS-GalN処置マウスにおいて、脂質過酸化の指標である肝臓MDAレベルは著しく上昇し、抗酸化酵素SOD、CAT、GSH-Px、及びアスコルビン酸のレベルは、著しく低下しており、重度の酸化ストレスと一致していた(図5A~5F)。
【0152】
さらには、RJXは肝臓MDAレベルを低下させ、抗酸化酵素SOD、CAT、及びGSH-Px並びにアスコルビン酸の低下したレベルを用量依存的に正常化した。
【0153】
図5A~5Fにおいて、各バーは平均及び標準偏差を表す。10匹のBALB/Cマウスの群を、LPS-GalNの注射の2時間前又は後に、RJX(4.2mL/kg、0.5mL/マウス)又はビヒクルの腹腔内注射で処置した。未処置マウス(対照)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる)を腹腔内投与した。(ANOVA及びチューキーの事後検定:群間の統計的有意性は、**P<0.01、***P<0.001によって示される)。
【0154】
図1A~6Dは、リポ多糖-ガラクトサミン(LPS-GalN)負荷マウスにおけるアラニントランスアミナーゼ(ALT;図6A)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST;図6B)、アルカリホスファターゼ(ALP;図6C)、及び総ビリルビン(図6D)に対するレジュベイニクス(RJX)の効果を示す。図6A~6Dにおいて、各バーは平均及び標準偏差を表す。10匹のBALB/Cマウスの群を、LPS-GalNの注射の2時間前又は後に、RJX(4.2mL/kg、0.5mL/マウス)又はビヒクルの腹腔内注射で処置した。未処置マウス(対照)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる)を腹腔内投与した。(ANOVA及びチューキーの事後検定:群間の統計的有意性は、***P<0.001によって示される)。
【0155】
LPS-GalNは、未処置の健常対照マウスにおける酵素レベルと比較して、肝酵素及び総ビリルビンの顕著な上昇を伴う、マウスにおける有意な肝損傷及び肝機能障害を引き起こした:ALT(1297.1±106.8対28.3±4.5;46倍の上昇;P<0.0001)、AST(1756.0±96.8対57.9±10.3;30倍の上昇;P<0.0001)、ALP(491.2±33.9対69.9±6.7;7倍の上昇;P<0.0001)、総ビリルビン(TBIL)(1.9±0.1対0.3±0.1;6~3倍の上昇;P<0001)(図1)。LPS-GalN負荷後に死亡したRJX処置マウスは、肝酵素及びTBILについて、なお異常であるが有意に低いレベルを有していた(図6A~6D)。
【0156】
LPS-GalN処置マウスからの肝臓の病理組織学的検査は、>25%の壊死及び肝実質の破壊に対応する大規模な全般性肝細胞空胞化及び壊死、>50%の肝実質が関与する重度の小葉炎症、並びに>50%を超える門脈管が関与する重度の門脈炎症を示した。RJXは、肝損傷の指標である病理組織学的スコアの低下によって実証されるように、LPS-GalN誘導の肝傷害及び炎症を抑制した(図5F)。
【0157】
実施例1.1.4.- RJXは、心臓における酸化ストレスを低減し、LPS-GalN誘導の敗血症、全身性炎症、ショック、ARDS及び多臓器不全後の急性心筋傷害を減弱する
図7A~7Dは、敗血症、全身性炎症、ショック、ARDS及び多臓器不全のLPS-GalNマウスモデルにおけるレジュベイニクス(RJX)の心臓組織レベルインビボ抗酸化活性を示す。マウスを、LPS-GalNの注射の2時間前及び2時間後にRJX(4.2mL/kg、0.5mL/マウス)又はNSの腹腔内注射で処置した。未処置マウス(対照)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる)を腹腔内投与した。描いたバーは、示したパラメータの平均及び標準偏差を表す。ANOVA及びチューキーの事後検定を、異なる処置群間での結果を比較するために使用した。群間の統計的有意性は、***P<0.001、****P<0.0001によって示される。
【0158】
LPS-GalNで負荷したマウスのいずれの心臓にも病理組織学的病変は観察されなかった。しかしながら、血清心臓トロポニンI(cTnI)レベルは、LPS-GalN負荷後の死亡時に顕著に上昇しており、これは心筋傷害と一致する。さらには、LPS-GalN処置マウスの心臓において、脂質過酸化の指標である心臓MDAレベルは著しく上昇しており、抗酸化酵素SOD、CAT、及びGSH-Pxのレベルは、著しく低下しており、これは重度の酸化ストレスと一致していた(図7A~7D)。
【0159】
図8を参照すると、RJXは、血清cTnIレベルの有意な低下によって実証されるように、心筋傷害を減弱した。RJXは、上昇したMDAレベルも低下させ、抗酸化酵素SOD、CAT、及びGSH-Pxの低下したレベルを改善した、これは、酸化ストレスの有意な低減と一致していた。
【0160】
図8は、敗血症、全身性炎症、ショック、及び多臓器不全のLPS-GalNマウスモデルにおける血清cTniレベルに対するレジュベイニクス(RJX)の効果を示す。マウスを、LPS-GalNの注射の2時間前及び2時間後にRJX(4.2mL/kg、0.5mL/マウス)又はNSの腹腔内注射で処置した。未処置マウス(対照)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる)を腹腔内投与した。描いたバーは、示したパラメータの平均及び標準偏差を表す。ANOVA及びチューキーの事後検定を、異なる処置群間での結果を比較するために使用した。群間の統計的有意性は、***P<0.001、****P<0.0001によって示される。
【0161】
実施例1.1.5.- RJXは、敗血症、全身性炎症、ショック、及び多臓器不全のLPS-GalNモデルにおけるLPS-GalN負荷後の脳における酸化ストレスを低減する
図9A~9Dを参照すると、LPS-GalNで負荷したマウスのいずれにおいても、病理組織学的脳病変は観察されなかった。しかしながら、LPS-GalN処置マウスにおいて、脂質過酸化の指標である肝臓MDAレベルは著しく上昇しており、抗酸化酵素SOD、CAT、及びGSH-Pxのレベルは、著しく低下しており、これは重度の酸化ストレスと一致していた。さらには、RJXは肝臓MDAレベルを低下させ、抗酸化酵素SOD、CAT、及びGSH-Pxの低下したレベルを用量依存的に正常化した。
【0162】
図9A~9Dは、リポ多糖-ガラクトサミン(LPS-GalN)負荷マウスにおける脳マロンジアルデヒド(MDA;図9A)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD;図9B)、カタラーゼ(CAT;図9C)及びグルタチオンペルオキシダーゼ(GSHPx;図9D)に対するレジュベイニクス(RJX)の効果を示す。各バーは平均及び標準偏差を表す。10匹のBALB/Cマウスの群を、LPS-GalNの注射の2時間前又は後に、RJX(4.2mL/kg、0.5mL/マウス)又はビヒクルの腹腔内注射で処置した。未処置マウス(対照)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる)を腹腔内投与した。(ANOVA及びチューキーの事後検定。群間の統計的有意性は***P<0.001によって示される)。
【0163】
特に、上述の動物モデルにおける本発明者らの結果は、RJX処置が、用量依存的にLPS-GalNで負荷したマウスにおいて血清中のIL-6及びTNF-α、並びに肺並びに肝臓中のIL-6、TNF-α及びTGF-βレベルの顕著な低下をもたらすことを実証した。肺及び他の組織における炎症性サイトカイン発現のRJX媒介性抑制は、MIS-C及びその合併症に対するこれらのサイトカインの寄与を低減することによってMIS-C患者の全身性炎症の消散を加速するということが前提とされている。それゆえ、RJXは、MIS-Cを発症する小児COVID-19患者における最良の利用可能な標準治療及び支持療法に対する臨床的に有用な補助剤として頭角を現す可能性を有する。
【0164】
実施例1.1.6.- 敗血症、全身性炎症、ショック、及び多臓器不全のLPS-GalNモデルにおける遅延開始RJX処置のインビボ保護活性
次に、炎症性サイトカイン応答の開始後まで処置を遅延させる場合にも、RJXがLPS-GalN負荷マウスの生存転帰を改善することができるか否かを決定しようとした。
【0165】
図10A、10B及び10Cは、LPS-GalNで負荷したマウスにおける血清インターロイキン-6(IL-6;図10A)、腫瘍壊死因子α(TNF-α;図10B)及び肺マロンジアルデヒド(MDA;図10C)に対するレジュベイニクス(RJX)の効果を示す。マウスを、LPS-GalNの注射の2時間後及び3時間後にRJX(4.2mL/kg、0.5mL/マウス)又はNSの腹腔内注射で処置した。未処置マウス(対照)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる)を腹腔内投与した。RJX用量レベル(単位:mL/kg)を括弧内に示す。結果は、平均及び標準偏差として表している。群間の統計的有意性は、LPS-GalNと比較して、**P<0.001、***P<0.001、****P<0.0001、LPS/GalN+NS群と比較して、####P<0.0001によって示される(ANOVA及びチューキーの事後検定)。
【0166】
図10A、10B、及び10Cに示すように、血清IL-6及びTNF-αのレベルは、腹腔内LPS-GalN注射の2時間後に終了した6匹の対照マウスのうち6匹において、6匹の未処置対照マウスと比較した場合、顕しく上昇していた。これらのLPS-GalN注射マウスは、それらの終了時に、肺におけるMDAレベルの劇的な上昇によって証明されるように、肺における顕著な脂質過酸化も有していた。従って、LPS-GalNの2時間後、マウスは、肺において有意な炎症反応及び酸化ストレスの証拠を有していた。敗血症の有望な処置としてRJXを評価することを目的とする本発明者らの概念実証実験において、本発明者らは、この時間点2時間の時点で、生理食塩水対RJXによるマウスの処置を開始した。LPS-GalN負荷後それぞれ2時間及び3時間でビヒクル(生理食塩水)の2回の注射で処置した対照マウス(N=6)はすべて、4時間以内に急速に死亡し、生存期間の中央値は、生理食塩水の1回目の注射後2.15時間及びLPS-GalN負荷後4.15時間であった。死亡時に、それらの血清IL-6及びTNF-αレベル並びに肺組織MDAレベルは劇的に上昇しており、LPS-GalN注射の2時間後に終了した未処置対照マウスにおけるレベルよりもさらに高かった(図10A~10C)。特に、LPS-GalN注射の2時間後及び3時間後の6倍希釈した4.2mL/kgのRJXによるマウスの処置は、生存転帰の改善をもたらし、6匹のマウスのうちの3匹は、LPS-GalN注射の24時間後に生存したままであった(図11)。
【0167】
図11を参照すると、これらのマウスの生存期間の中央値は、生理食塩水で処置した対照マウスの生存期間の中央値よりも著しく長かった(15.1時間対4.15時間、P=0.0098)。死亡時(N=3)又は24時間での選択的終了時(N=3)の炎症性サイトカインIL-6及びTNF-αの血清レベル並びに肺MDAレベルは、RJX及び生理食塩水処置を開始したLPS-GalN負荷の2時間後の時点で殺処分したマウスにおけるベースラインレベルより低かった(図10A、10B及び10C)。これらの結果は、低用量RJXが、致死性のサイトカインストームを予防し、肺における全身性炎症性サイトカイン応答及び酸化ストレスの開始後まで処置が遅延される場合、LPS/GalN誘導の全身性炎症の死亡率を低下させることができるという直接的な証拠を提供する。
【0168】
図11は、敗血症、全身性炎症、ショック、ARDS及び多臓器不全のLPS-GalNモデルにおける遅延開始RJX処置のインビボ保護活性を示す。6匹のBALB/Cマウスの群を、LPS-GalNの注射の2時間後及び3時間後に、6倍希釈したRJX(4.2mL/kg、0.5mL/マウス)又はビヒクル(NS)の腹腔内注射で処置した。各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる)を腹腔内投与した。各処置群についての生存率(%)を、LPS-GalN負荷後の時間の関数として示す。各群の生存曲線を、生存時間中央値及びLPS-GalN+RJX群対LPS/GalN+NS群の比較についてのログランクP値とともに示す。
【0169】
実施例2.1 - RJXの臨床安全性
レジュベイニクス(RJX)は、議論の余地があるが、敗血症性ショック及びARDSの動物モデル並びに敗血症患者における臨床試験のいくつかにおける保護活性が報告されている成分を表す、アスコルビン酸(ビタミンC)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、チアミン塩酸塩(ビタミンB)、リボフラビン5’リン酸(ビタミンB)、ナイアシンアミド(ビタミンB)、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB)、D-パントテン酸カルシウムを含むいくつかのビタミンと、強力なカルシウムアンタゴニストとしての硫酸マグネシウムとの製剤である。乳酸レベルの上昇は、敗血症患者の死亡率の増強に寄与する。RJX成分の2つ、チアミン及び硫酸マグネシウムは乳酸クリアランスを加速し、これは生存転帰を改善することが示されている。いくつかの前臨床、翻訳、初期段階、並びに後期段階の臨床研究は、敗血症の状況におけるサイトカインストーム、CRS、凝固障害、ALI、急性腎傷害(AKI)、ARDS、及びMODSの予防及び処置におけるアスコルビン酸、チアミン、リボフラビン、ナイアシンアミド、及びピリドキシン(ビタミンB)の臨床的影響可能性に関する有望な肯定的データをもたらしたが、他の研究は、いかなる有意義な活性も示していない。例えば、Moskowitzらは、最近、米国患者の14センターで実施された敗血症性ショック患者におけるアスコルビン酸、チアミン及びステロイドの205人の患者の無作為化盲検多施設研究の結果を報告した。患者は、非経口アスコルビン酸(1500mg)、ヒドロコルチゾン(50mg)、チアミン(100mg)を6時間毎に4日間(n=103)、又はプラセボを同じ時点で対応する体積(n=102)を受けるように無作為に割り当てられた。主要評価項目は、登録と72時間の間のSequential Organ Failure Assessment(連続的多臓器不全評価、SOFA)スコア(範囲、0~24;0=最良)の変化であった。登録後72時間にわたるSOFAスコアに関して、時間と処置群との間に統計的に有意な相互作用はなかった。従って、アスコルビン酸、コルチコステロイド、及びチアミンの組み合わせは、プラセボと比較して、登録後の最初の72時間の間にSOFAスコアの統計的に有意な低下をもたらさなかった。同様に、Fujiiらは、216人の敗血症性ショック患者における無作為化試験の結果に基づいて、静脈内ビタミンC、ヒドロコルチゾン、及びチアミンでの処置が、静脈内ヒドロコルチゾン単独と比較して、敗血症性ショックのより迅速な消散をもたらさないことを報告した。これらの研究とは対照的に、Iglesiasらは、静脈内アスコルビン酸、チアミン及びヒドロコルチゾンの組み合わせが、別の無作為化研究に基づいてショックの回復までの時間を有意に減少させることを報告した。同様に、Byerlyらは、生存転帰に対するチアミン及びアスコルビン酸の影響に関する敗血症及び乳酸レベルの上昇を有する11,330人の患者の結果に基づき、アスコルビン酸+チアミンが敗血症ICU患者における生存の増加と関連することを報告した。交絡因子について制御した後、アスコルビン酸(調整されたオッズ比[AOR]、0.69[0.50~0.95])及びチアミン(AOR、0.71[0.55-0.93])を独立に生存と関連付けた。これらの知見を確認し、この処置からの何らかの潜在的な利益を評価するために、さらなる研究が必要とされる。RJXはステロイドを有さず、アスコルビン酸及びチアミンに加えてナイアシンアミド、ピリドキシン、シアノコバラミン及び硫酸マグネシウムを含有する。RJXの臨床的可能性は、敗血症性ショックの治療よりもむしろ致死性ウイルス性敗血症の危険性が高いCOVID-19患者におけるARDS及び多臓器不全の予防に重点を置いてCOVID-19患者において調べられる。
【0170】
RJXは、ウイルス性敗血症及びARDSを有するCOVID-19患者を含む敗血症を有する患者のための抗炎症及び抗酸化治療プラットフォームとして開発されている。その臨床安全性プロファイルを臨床試験で調べた。
【0171】
具体的には、RJXの安全性、忍容性、薬物動態及び薬力学を評価するために、ICH(E6)医薬品の臨床試験の実施基準(good clinical practice、GCP)指針に従って、第I相、二重盲検、プラセボ対照、無作為化、2部上昇用量漸増試験を、参加76人の健康なボランティアヒト被験者において実施した。第I相臨床試験において、RJXは、ヒト被験者において非常に好ましい安全性プロファイル及び忍容性を示した。重篤な有害事象(SAE)若しくはグレード3~グレード4の有害事象(AE)を発症した参加者又は研究から参加を早期に中止した参加者はいなかった。
【0172】
用量レベルは、第1部では0.024mL/kg~0.759mL/kg、第2部では0.240mL/kg~0.759mL/kgの範囲にあった。死亡又はSAEは報告されず、39人のRJX処置被験者はいずれもグレード3又は4のAEを経験せず、AEはRJXの中断をもたらさなかった。
【0173】
第2部では、18人のRJX処置被験者のいずれもSAE及びグレード3又は4のAEに遭遇しなかった。コホート1の1人の被験者が軽度の上気道感染症(URI)を発症し、コホート2の3人の被験者は、軽度の注入部位不快感、疼痛又は反応を有しており、コホート3の3人の被験者が軽度~中等度の疼痛を経験した(軽度頭痛=1;肢の軽度の痛み=1、中等度の背部痛=1)。被験者のうちの2人におけるTEAEは、おそらく又は可能性としてRJXに関連していると考えられた。両患者はコホート2にあった。一方の患者は6日目に軽度の注入部位不快感を有し、これはおそらくRJXに関連すると考えられ、別の患者は6日目及び7日目に軽度の注入部位疼痛を有し、これはRJX注入に関連する可能性があると考えられた。これらのTEAEは、さらなる処置を必要とせず、投与又は試験の中断を引き起こさなかった。おそらく又は可能性としてRJX注入に関連すると考えられるすべてのAEは、後遺症なしで回復/消散した。12誘導安全性ECGにおいて臨床的に有意な異常所見はなく、ベースラインと比較して顕著な変化は検出されなかった。両方の試験部について、プラセボと比較した、又はRJX用量レベルを上昇させることによって評価した、観察された値において特定された臨床検査値における臨床的に意味のある変化又はベースラインからの平均変化はなかった。0.500mL/kgの用量レベルを、その忍容性に基づいて、将来の試験のための推奨される第2相用量(RP2D)レベルとして選択した。
【0174】
実施例3 - デキサメタゾンと組み合わせたRJXは、炎症性器官傷害を逆転することによって敗血症の動物モデルにおける致死的転帰を防止する
実験製剤RJXは、プラセボ対照無作為化第I/II相試験において、COVID-19関連ウイルス性敗血症に対する臨床的影響の可能性について評価されている。ここで、本発明者らは、RJXが、その臨床最大耐量(MTD)の10%未満に相当する用量レベルで、致死性敗血症の前臨床LPS-GalNモデルにおいて強力な抗炎症活性を示すことを実証する。RJX+デキサメタゾン(DEX)の組み合わせは、RJX単独又はDEX単独よりも有効であり、(i)LPS-GalNに対する炎症性サイトカイン応答を著しく減少させ、(ii)肺及び肝臓における炎症性組織損傷を軽減し、(iii)致死的な転帰を防止した。劇症サイトカインストーム及び重度の肺損傷を伴う全身性炎症の発症後に処置を開始した場合でも、炎症性肺傷害のほぼ完全な回復が24時間以内に達成された。RJXは、敗血症及びその合併症の多様式(マルチモダリティ)管理における標準治療の補助剤であってもよい。この合併症は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)及び多臓器機能障害(MOD)であってもよい。
【0175】
敗血症は、感染に対する強力な全身性炎症反応を表し、その合併症のために潜在的に致命的な転帰を伴う。SARS-CoV-2によって引き起こされる重度のウイルス性敗血症は、サイトカイン放出症候群(CRS)に関連する急速な進行及び高リスク新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者における高症例致死率を示す。抗敗血症薬レジュベイニクス(RJX)は、LPS-GalNで負荷したマウスにおいて有望な単剤抗炎症活性を示した。RJXは、健常ボランティアにおける最近完了した無作為化二重盲検プラセボ対照第I相上昇用量漸増試験において非常に好ましい臨床安全性及び薬物動態(PK)プロファイルを示した。死亡、重篤な有害事象(SAE)、又はグレード3~4の有害事象(AE)は、0.024mL/kg~0.759mL/kgの範囲の用量レベルのRJXで処置した57人の健常ボランティアのいずれにおいても観察されなかった。
【0176】
本実施例の主な目的は、致死性敗血症を誘導するためにLPS-GalNを用いる動物モデルにおける敗血症の重症度及び生存転帰に対するRJX、標準抗炎症薬デキサメタゾン(DEX)、及びこれらの組み合わせの効果を比較することであった。RJXは、とりわけDEXと組み合わせた場合、致死量のLPS-GalNで負荷したマウスの生存転帰を改善すると仮定した。本実施例は、RJXが、その臨床MTDより10倍超低い用量レベルで、LPS-GalNモデルにおいて強力な単剤抗炎症活性を示すことを実証する。RJX+DEXの組み合わせは、LPS-GalNに対する炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-α)応答を直ちにかつ著しく減少させ、肺及び肝臓における炎症性組織損傷を軽減し、致命的な転帰を防止した。劇症サイトカインストーム及び全身性炎症並びに非常に重度の肺損傷の発症後に処置を開始した場合でも、炎症性肺傷害のほぼ完全な回復が24時間以内に達成され、生存転帰は改善された。
【0177】
本明細書に提示される他の抗炎症薬と組み合わせたRJXは、同様の結果をもたらすことが予想される。
【0178】
実施例3.1 - LPS-GalNを注射したマウスにおける急性肺傷害及び急性肝傷害を逆転させることにおけるデキサメタゾン(DEX)との対照比較によるRJXによる治療の有効性
LPS-GalN負荷マウスは、LPS-GalN投与の早くも2時間後に、著しく上昇した炎症性サイトカインレベル及び重度の肺傷害を伴う急速な全身性炎症の発症を経験する。最初に、BALB/cマウスにおけるLPS-GalN誘導の炎症性サイトカイン応答に対するRJX対DEXの効果を決定することを手掛けた。図12Aは、インターロイキン6(IL-6;図12A)に対する効果を示し、図12Bは、致死性サイトカインストーム、敗血症、全身性炎症、ARDS及び多臓器不全のマウスモデルにおける腫瘍壊死因子α(TNF-α)に対する効果を示す。BALB/Cマウスを、LPS-GalNの注射の2時間後にRJX(0.7mL/kg=4.2mL/kgの6倍希釈、0.5mL/マウス、若しくは1.4mL/kg=8.4mL/kgの6倍希釈、0.5mL/マウス)、DEX(0.1mg/kg、0.6mg/kg及び6.0mg/kg)、又はビヒクル(NS、0.5mL/マウス)の腹腔内注射で処置し、LPS-GalNのみを2時間処置した。未処置対照マウス(対照)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる。腹腔内)を投与した。6匹の対照マウスの群にLPS-GalNを投与し、次いで2時間で選択的に終了させた。描いた箱ひげ図は、血液試料を10匹すべてのマウスから得た1.4mL/kgのRJX群を除いて、各群からの6匹すべてのマウスからの血清IL-6及びTNF-αレベルの中央値及び値を表す。図12Aでは、ウエルチ(Welch)のANOVA及びタマーン(Tamhane)のT2事後検定を、異なる処置群間での結果を比較するために使用した。図12Bでは、ANOVA及びチューキー事後検定を、異なる処置群間での結果を比較するために使用した。群間の統計的有意性は、対照群と比較して****p<0.0001、及びLPS/GalN(2時間で殺処分)群と比較して##p<0.01、###p<0.001、####p<0.0001、LPS/GalN+NS群と比較して++p<0.01、+++p<0.001、++++p<0.0001、LPS/GalN+RJX(4.2)群と比較してp<0.05、$$p<0.01、$$$p<0.001、$$$$p<0.0001、LPS/GalN+RJX(8.4)群と比較して&&p<0.01、&&&p<0.001、&&&&p<0.0001、並びに一対比較(ペアワイズ比較)によりδδp<0.01、δδδδp<0.0001によって示される。LPS-GalNの注射の2時間後、選択的終了対照マウスにおいて血清IL-6及びTNF-αレベルは顕著に上昇し、炎症性サイトカイン応答と一致していた。LPS-GalN注射の2時間後に投与した0.7mL/kg(HED:0.057mL/kg;ヒトMTDの7.5%)及び1.4mL/kg(HED:0.114mL/kg;ヒトMTDの15%)の両方の用量レベルでの低用量RJXは、LPS-GalNが誘導した炎症誘発性サイトカインIL-6及びTNF-αの血清レベルの上昇を24時間以内に効果的に逆転させた。これらの低用量レベルの両方において、RJXは、IL-6レベルの低下において0.1mg/kg DEX(HED:0.008mg/kg;80kgの人に対して0.65mg)又は0.6mg/kg DEX(HED:0.05mg/kg;80kgの人に対して4mgの標準用量)よりも有意に有効であった。1.4mL/kgの低用量(MTDの15%)RJXは、TNF-αレベルの低下において6.0mg/kgの治療用量を超える高用量DEX(HED:0.49mg/kg;80kgのヒトに対して39mg用量。これは、DEXについての標準的な4~8mg用量レベルよりも4.9~9.8倍高い)と同程度に有効であり、IL-6レベルの低下において有効性はわずかに低かった。比較すると、ビヒクル対照として含めたNSでの処置は、劇症サイトカイン応答を逆転させず、又はその進行を妨げなかった。
【0179】
RJXによる炎症性サイトカイン応答の観察された逆転は、敗血症のこのLPS-GalNモデルにおける生存転帰の有意な改善と関連していた。特に、0.7mL/kg低用量RJXは、0.1mg/kg低用量レベルのDEXよりも中程度により有効であり(生存期間中央値:15.1時間対5.1時間;24時間死亡率:50%対83.3%)、標準用量0.6mg/kgではDEXと同様に有効であった。致死性サイトカインストーム、敗血症、全身性炎症、ARDS及び多臓器不全のLPS-GalNマウスモデルにおけるRJX及び異なる用量のDEXのインビボ治療活性の結果を示す図13を参照。BALB/Cマウスを、LPS-GalNの注射の2時間後にRJX(4.2mL/kg若しくは8.4mL/kg、0.5mL/マウス)、DEX(0.1mg/kg、0.6mg/kg及び6.0mg/kg、0.5mL/マウス)又はビヒクル(NS、0.5mL/マウス)の腹腔内注射で処置した。未処置対照マウス(対照)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる。腹腔内)を投与した。生存しているマウスの累積割合(生存率、%)を、LPS-GalN負荷後の時間の関数として示す。図13は、カプラン・マイヤー生存曲線を示す。下記表は、異なる処置群の統計分析を伴う生存データを提供する。
【0180】
【表3】
【0181】
特に、RJXは、その臨床MTDの15%に相当する1.4mL/kgの用量レベルでは、死亡率を40%に低下させた(生存中央値が24時間超)。これらの結果は、DEXについての標準的な4~8mgの臨床的に適用された用量レベルよりも4.9~9.8倍高い、治療用量を超える6.0mg/kg用量レベルのDEXを用いて達成された33.3%死亡率(生存中央値が24時間の超)と非常に類似し、統計的に異ならなかった(P=0.99)(図13)。
【0182】
図14A、14B、及び図15A~15Fを参照すると、図14A及び図15A~15Fから明らかであるように、肺の病理組織学的スコア(すなわち、急性肺傷害[ALI]スコア)によって測定する場合、0.7mL/kg(平均±SE ALIスコア:2.7±0.2)又は1.4mL/kg(平均±SE ALIスコア:2.3±0.2)低用量レベルでのRJX及び0.6mg/kg(HED:0.05mg/kg;80kgの人に対して4mgの標準用量)(平均±SE ALIスコア:2.8±0.3)用量レベルでのDEXは、処置を開始したLPS-GalN注射の2時間後に実証された肺傷害(平均±SE ALIスコア:3.0±0.3)を部分的に逆転させることができた(0.1mg/kgの用量レベルのDEXはそうではなかった;平均±SE ALIスコア:3.5±0.2)。
【0183】
図14A及び14Bは、致死性サイトカインストーム、敗血症、全身性炎症、ARDS及び多臓器不全のマウスモデルにおける肺及び肝臓の病理組織学的スコアに対する、RJX及び異なる用量のDEXの処置の組織レベルのインビボ活性を示す。BALB/Cマウスを、LPS-GalNの注射の2時間後にRJX(6倍希釈、4.2mL/kg若しくは8.4mL/kg、0.5mL/マウス)、DEX(0.1mg/kg、0.6mg/kg及び6.0mg/kg)、又はビヒクル(NS、0.5mL/マウス)の腹腔内注射で処置し、LPS-GalNのみを2時間処置した。未処置対照マウス(対照)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる。腹腔内)を投与した。描いた箱ひげ図は中央値及び値を表す。(A)において、肺病理組織学的スコア(「肺傷害スコア」)は、以下のように0~4の5点スケールに従って等級付けした:0、1、2、3及び4は、それぞれ、損傷なし、軽度の損傷、中等度の損傷、重度の損傷、及び非常に重度の損傷を表した。(B)において、肝臓病理組織学的スコア(「肝傷害スコア」)は、以下のように0~4の5点スケールに従って等級付けした:0、1、2、3及び4は、それぞれ、損傷なし、軽度の損傷、中等度の損傷、重度の損傷、及び非常に重度の損傷を表した。クラスカル・ウォリス検定及びマン・ホイットニーU検定を、異なる処置群間での結果を比較するために使用した。群間の統計的有意性は、LPS/GalN(2時間で殺処分)群と比較してp<0.05、LPS/GalN+NS群と比較してp<0.05、$$p<0.01によって示される。
【0184】
図15A~15Fは、致死性サイトカインストーム、敗血症、全身性炎症、ARDS及び多臓器不全のマウスモデルにおける急性肺傷害及び炎症に対する、RJX及び異なる用量のDEXの処置の効果を示す。6匹のBALB/Cマウスの群を、LPS-GalNの注射の2時間後にRJX(6倍希釈、4.2mL/kg、0.5mL/マウス)、DEX(0.1mg/kg、0.6mg/kg及び6.0mg/kg、0.5mL/マウス)、又はビヒクル(NS、0.5mL/マウス)の腹腔内注射で処置した。未処置対照マウス(図15A)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる。腹腔内)を投与した。肺病理組織学的ALIスコアは、対照マウスの各々について0であり(図15A)、LPS-GalN+NS群については3~4(中央値:4)の範囲にあり(図15B)、LPS-GalN+RJX(0.7mL/kg)群については2~3(中央値:3)の範囲にあり(図15C)、LPS-GalN+DEX(0.1mg/kg)については3~4(中央値:3.5)の範囲にあり(図15D)、LPS-GalN+DEX(0.6mg/kg)群については2~4(中央値:3)の範囲にあり(図15E)、LPS-GalN+DEX(6.0mg/kg)群については1~3(中央値:2)の範囲にあった(図15F)。描かれているのは、未処置対照群及び種々の処置群からの代表的なマウスの肺組織の顕微鏡画像である。白色矢印:炎症細胞浸潤;黒色矢印(短い):滲出液、浮腫;黒色矢印(長):出血;黒色両矢印:肺胞壁の厚さ。H&E ×400。
【0185】
図16A~16Fは、致死性サイトカインストーム、敗血症、全身性炎症、ARDS及び多臓器不全のマウスモデルにおける肝傷害及び炎症に対するRJX及び異なる用量のDEXの処置の効果を示す。6匹のBALB/Cマウスの群を、LPS-GalNの注射の2時間後にRJX(6倍希釈、4.2mL/kg、0.5mL/マウス)、DEX(0.1mg/kg、0.6mg/kg及び6.0mg/kg、0.5mL/マウス)、又はビヒクル(NS、0.5mL/マウス)の腹腔内注射で処置した。未処置対照マウス(図16A)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる。腹腔内)を投与した。肝臓病理組織学的スコアは、LPS-GalN+NS群については3~4の範囲にあり(図16B)、LPS-GalN+RJX群については2~3の範囲にあり(図16C)、LPS-GalN+DEX(0.1)については3~4の範囲にあり(図16D)、LPS-GalN+DEX(0.6)群については2~3の範囲にあり(図16E)、LPS-GalN+DEX(6.0)群については2~3の範囲にあった(図16F)。描かれているのは、未処置対照群及び種々の処置群からの代表的なマウスの肝臓組織の顕微鏡画像である。未処置対照マウスについての肝臓病理組織学的スコア中央値は0であったが、0.6mg/kg又は6.0mg/kgのDEXで処置した図示のマウスの肝臓スコア中央値はそれぞれ3であり、LPS-GalN+NSで処置した対照マウスの肝臓スコア中央値は3.5であった。黒色矢印(短い):炎症細胞浸潤;黒色矢印(長い):うっ血;白色矢印(長い):壊死;白色矢印(短い):水腫性変性。H&E 200×。
【0186】
最良の結果は、6.0mg/kgの治療用量を超える高用量DEX(HED:0.49mg/kg;80kgの人に対して39mgの用量)(平均±SE ALIスコア:1.8±0.3;図14A)で得られた。比較すると、肺損傷は、NS(ビヒクル)で処置した対照マウスにおいてさらに進行した(平均±SE ALIスコア:3.7±01)。0.7mL/kg又は1.4mL/kg低用量RJX、並びに標準的な0.6mg/kg及び非常に高い6.0mg/kg用量レベルのDEXは、LPS-GalN誘導のALIに対するその効果と同様に、肝傷害を有意に減少させた(しかし、0.1mg/kg用量レベルのDEXはそうではなかった)(図14A図16A~F)。病理組織学的肝損傷スコア(平均±SE)は、LPS-GalNで負荷されていない対照マウスでは0±0であり、LPS-GalNの2時間後に選択的に終了したマウスでは3.5±0.3であり、LPS-GalNの2時間後にNSで処置したマウスでは3.5±0.2であり、0.1mg/kgのDEXでは3.3±0.2であり、0.6mg/kgのDEXでは2.7±0.2であり、6.0mg/kgのDEXでは2.3±0.2であり、0.7mL/kgのRJXでは2.5±0.2であり、1.4mL/kgのRJXでは2.3±0.2であった。
【0187】
実施例3.2 - LPS-GalNを注射したマウスにおける致死的サイトカインストーム、急性肺傷害及び急性肝傷害の逆転におけるデキサメタゾン(DEX)と組み合わせたRJXでの処置の有効性
RJX又はDEX(治療用量を超える6.0mg/kg用量レベルでさえ)で処置した生存するLPS-GalN負荷マウスの肺及び肝臓に有意な残存組織損傷があったので、次に、低用量RJX(0.7mL/kg)及び治療用量を超える高用量DEX(6.0mg/kg)の組み合わせが、LPS-GalN曝露後の生存転帰及び最も重要なことには組織治癒を改善することができるかどうかを決定しようとした。処置は、LPS-GalN注射の2時間後に、実証された活発な全身性炎症の時点で開始した。この併用療法は、RJX単独又はDEX単独よりも有効であった(図17)。
【0188】
図17は、全身性炎症及び肺傷害の発症後の低用量RJX+治療用量を超える高用量DEX組み合わせの治療的使用が、致死性サイトカインストーム及び敗血症のLPS-GalNマウスモデルにおける生存転帰を改善することを示す。6匹のBALB/Cマウスの群を、LPS-GalNの注射の2時間後にRJX(6倍希釈、4.2mL/kg、0.5mL/マウス)、DEX(6mg/kg、0.5mL/マウス)、RJX+DEX(0.5mL/マウス)、又はビヒクル(NS、0.5mL/マウス)の腹腔内注射で処置した。未処置対照マウス(対照)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる)を腹腔内投与した。描いた箱ひげ図は、各群の6匹のマウスからの死亡までの時間の中央値及び値を表す。クラスカル・ウォリス及びマン・ホイットニーU(一対比較検定)検定を、異なる処置群間での結果を比較するために使用した。群間の統計的有意性は、対照群と比較して**p<0.01、LPS/GalN+NS群と比較してp<0.05、##p<0.01によって示される。
【0189】
NSで処置したすべての対照マウスの急速な死亡(生存中央値:LPS-GalN後4.3時間又はNSの投与後2.3時間)とは対照的に、RJX+DEXで処置したマウスの100%は、LPS-GalN負荷後に生存した(生存中央値:LPS-GalN後24時間超又はRJX+DEXの最初の投与後22時間超)(図17)。比較すると、単剤療法(すなわち、RJX単独又はDEX単独)で処置したマウスの組み合わせ群(n=12)は、41.7%の24時間生存率を有していた(RJX又はDEXによる単剤療法対RJX+DEXによる併用療法:ログランクX=3.053、p=0.081)。
【0190】
RJX+DEXは、24時間以内に全身性炎症マーカー(IL6、TNF-α、及びLDH)の上昇した血清レベルを効果的に逆転させ、DEX単独又はRJX単独よりも全体的により有効であると思われた(図18A、18B、及び18C)。
【0191】
図18A~18Cは、全身性炎症及び肺傷害の発症後の低用量RJX+治療用量を超える高用量DEXの組み合わせの治療的使用が、致死性サイトカインストーム及び敗血症のLPS-GalNマウスモデルにおける炎症性サイトカイン応答及び全身性炎症を逆転させることを示す。描かれているのは、インターロイキン6(IL-6;図18A)、腫瘍壊死因子α(TNF-α;図18B)、及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH;図18C)の血清レベルに対するレジュベイニクス(RJX)、デキサメタゾン(DEX)、及びRJX+DEX併用処置の効果である。6匹のBALB/Cマウスの群を、LPS-GalNの注射の2時間後にRJX(6倍希釈、4.2mL/kg、0.5mL/マウス)、DEX(6mg/kg、0.5mL/マウス)、RJX+DEX(0.5mL/マウス)、又はビヒクル(NS、0.5mL/マウス)の腹腔内注射で処置した。未処置対照マウス(対照)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる)を腹腔内投与した。描いた箱ひげ図は中央値及び値を表す。ウエルチのANOVA及びタマーン(Tamhane)のT2事後検定を、異なる処置群間での結果を比較するために使用した。群間の統計的有意性は、対照群と比較して****p<0.0001、LPS/GalN(2時間で殺処分)群と比較して###p<0.001、####p<0.0001、LPS/GalN+NSと比較して$$$p<0.001、$$$$p<0.0001、及び群間の一対比較によりp<0.05、++p<0.01、+++p<0.001、++++p<0.0001によって示される。
【0192】
全身性炎症及び組織損傷のバイオマーカーであるLDHの血清レベルは、RJX+DEXの組み合わせで処置したマウスにおいて、RJX単独(p<0.0001)又はDEX単独(p<0.0001)で処置したマウスよりも有意に低かった(図18A、18B及び18C)。特に、LPS-GalN注射の2時間後に開始するRJX、DEX又はRJX+DEXによる遅延処置は、病理組織学的肺スコアの有意な低下によって証明されるように、肺損傷を部分的に逆転させた(図19A及び19B、図S5)。上記組み合わせの組織治癒活性は、RJX単独又はDEX単独の組織治癒活性よりも顕著であった(図19A及び図19B図20A図20H)。
【0193】
図19A~19Bは、致死的サイトカインストーム及び敗血症のLPS-GalNマウスモデルにおける、肺及び肝臓の病理組織学的スコアに対する低用量RJX、治療用量を超える高用量DEX並びにこれらの組み合わせのインビボ治療活性を示す。6匹のBALB/Cマウスの群を、LPS-GalNの注射の2時間後にRJX(6倍希釈、4.2mL/kg、0.5mL/マウス)、DEX(6.0mg/kg、0.5mL/マウス)、又はビヒクル(NS、0.5mL/マウス)の腹腔内注射で処置した。未処置対照マウス(対照)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる)を腹腔内投与した。図19Aにおいて、肺病理組織学的スコア(「肺傷害スコア」)は、以下のように0~4の5点スケールに従って等級付けした:0、1、2、3及び4は、それぞれ、損傷なし、軽度の損傷、中等度の損傷、重度の損傷、及び非常に重度の損傷を表した。図19Bにおいて、肝臓病理組織学的スコア(「肝傷害スコア」)は、以下のように0~4の5点スケールに従って等級付けした:0、1、2、3及び4は、それぞれ、損傷なし、軽度の損傷、中等度の損傷、重度の損傷、及び非常に重度の損傷を表した。マン・ホイットニーU検定を、異なる処置群間での結果を比較するために使用した。群間の統計的有意性は、LPS/GalN(2時間で殺処分)群と比較してp<0.05、##p<0.01、LPS/GalN+NS群と比較してp<0.05、$$<0.01によって示される。
【0194】
図20A~20Hは、RJX+DEX組み合わせが、致死性サイトカインストーム及び敗血症のマウスモデルにおいて急性肺傷害及び炎症を軽減することを示す。図20A:肺損傷の急速な発症を確認するために、LPS-GalN前にもLPS-GalN後にも処置せずLPS-GalNを注射し、2時間で選択的に殺処分した代表的なマウスの肺組織。病理組織学的ALIスコアは3であり、重度の肺損傷と一致していた。黄色矢印:炎症細胞浸潤;青色矢印:滲出液;橙色矢印:出血;緑色ブロック:肺胞壁の厚さ。図20B:LPS-GalNの2時間後に単回用量のRJXで処置した代表的なLPS-GalN注射マウスの肺組織。このマウスはLPS-GalNの24時間後に選択的に殺処分した。ALIスコア=2(中等度の肺損傷)。図20C:LPS-GalNの2時間後に単回用量のDEXで処置した代表的なLPS-GalN注射マウスの肺組織。このマウスはLPS-GalNの24時間後に選択的に殺処分した。ALIスコア=2(中等度の肺損傷)。図20D:LPS-GalNの2時間後に単回用量のNSで処置した代表的なLPS-GalN注射マウスの肺組織。このマウスは、LPS-GalNの4.2時間後に敗血症で死亡した。ALIスコア=4(非常に重度の肺損傷)。黄色矢印:炎症細胞浸潤;青色矢印:滲出液;橙色矢印:出血;緑色ブロック:肺胞壁の厚さ。図20E:LPS-GalNを注射せず、24時間で選択的に殺処分した健常対照マウスの肺組織。ALIスコア=0(肺損傷なし)。図20F及び図20G:LPS-GalNの2時間前、2時間後にRJX+DEXで処置した2つの代表的なLPS-GalN注射対照マウス由来の肺組織。これらのマウスはLPS-GalN負荷後に生存し、24時間で選択的に殺処分した。肺損傷は検出されなかった(病理組織学的肺スコア/ALIスコア=0)。図20H:LPS-GalNの2時間後にRJX+DEXで処置した代表的なLPS-GalN注射マウスの肺組織。このマウスはLPS-GalNの24時間後に選択的に殺処分した。ALIスコア=1(軽度の肺損傷)。H&E ×400。
【0195】
肺病理組織学的ALIスコアは、LPS-GalN+NSについては3~4の範囲にあり、LPS-GalN+RJXについては2~3の範囲にあり、LPS-GalN+DEXについては1~3の範囲にあり、LPS-GalN+RJX+DEXについては1~2の範囲にあった。従って、処置が劇症サイトカインストーム及び重度の酸化ストレスを伴う全身性炎症並びに非常に重度の肺損傷の発症まで遅延された場合でも、炎症性肺傷害のほぼ完全な回復が24時間以内に達成された。RJX+DEXの組み合わせは、LPS-GalN誘導のALIに対するその効果と同様に、肝傷害を有意に減少させた(図19A及び19B)。RJX単独(N=6)又はDEX単独(N=6)のいずれかで処置した12匹のマウスのうちの12匹(100%)は、肺又は肝臓のいずれかにおいて中等度から重度の残存損傷を有したが、併用レジメンで処置した6匹のマウスのうちの2匹(33.3%)は、両方の器官において損傷を有さないか又は最小限の損傷しか有しなかった(すなわち、病理組織学的損傷スコア:0~1)(p=0.098、フィッシャー(Fisher)の正確確率検定)。
【0196】
次に、低用量RJX(0.7mL/kg)及び標準用量DEX(0.6mg/kg)の組み合わせの有効性を評価した。処置は、LPS-GalN注射の2時間後に、実証された活発な全身性炎症の時点で開始した。DEX単独又はRJX単独で得られた転帰結果は、RJX+DEXの組み合わせで得られた結果よりも劣っていた。NSで処置したすべての対照マウスの急速な死亡(生存中央値:LPS-GalN後5.1時間又はNSの投与後3.1時間)とは対照的に、RJX+DEXで処置したマウスの20匹のうちの15匹(75%)は、LPS-GalN負荷後にも生存した(生存中央値:LPS-GalN後24時間超)(図21)。
【0197】
図21は、致死的サイトカインストーム、敗血症、全身性炎症、ARDS及び多臓器不全のLPS-GalNマウスモデルにおける低用量RJX、標準用量DEX及びこれらの組み合わせのインビボ治療活性を示す。BALB/Cマウスを、LPS-GalNの注射の2時間後にRJX(n=20、6倍希釈、4.2mL/kg、0.5mL/マウス)、DEX(n=10、0.6mg/kg、0.5mL/マウス)、RJX+DEX(n=20、0.5mL/マウス)、又はビヒクル(NS、0.5mL/マウス)の腹腔内注射で処置した。未処置対照マウス(対照、n=10)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる)を腹腔内投与した。生存しているマウスの累積割合(生存率、%)を、LPS-GalN負荷後の時間の関数として示す。図21は、カプラン・マイヤー生存曲線を示す。異なる処置群の統計分析による生存データを下記表に示す。
【0198】
【表4】
【0199】
比較すると、単剤療法(すなわち、RJX単独又はDEX単独)で処置したマウスの組み合わせ群(N=30)は、53%の24時間生存率(すなわち、30匹のマウスのうち16匹)を有していた(RJX又はDEXによる単剤療法対RJX+DEXによる併用療法:ログランクX=3.977、p=0.046)。
【0200】
特に、LPS-GalN注射の2時間後に開始するRJX+DEXによる遅延処置は、病理組織学的肺スコアの有意な低下によって証明されるように、肺損傷を逆転させた(図22A及び22B)。
【0201】
図22A及び22Bは、致死性サイトカインストーム、敗血症、全身性炎症、ARDS及び多臓器不全のLPS-GalNマウスモデルにおける肺及び肝臓の病理組織学的スコアに対するRJX、DEX及びRJX+DEXのインビボ治療活性を示す。BALB/Cマウスを、LPS-GalNの注射の2時間後にRJX(n=20、6倍希釈、4.2mL/kg、0.5mL/マウス)、DEX(n=10、6mg/kg、0.5mL/マウス)、RJX+DEX(n=20、0.5mL/マウス)、又はビヒクル(NS、0.5mL/マウス)の腹腔内注射で処置した。未処置対照マウス(対照、n=10)を除き、各マウスに0.5mLのLPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる)を腹腔内投与した。描いた箱ひげ図は中央値及び値を表す。(A)において、肺病理組織学的スコア(「肺傷害スコア」)は、以下のように0~4の5点スケールに従って等級付けした:0、1、2、3及び4は、それぞれ、損傷なし、軽度の損傷、中等度の損傷、重度の損傷、及び非常に重度の損傷を表した。(B)において、肝臓病理組織学的スコア(「肝傷害スコア」)は、以下のように0~4の5点スケールに従って等級付けした:0、1、2、3及び4は、それぞれ、損傷なし、軽度の損傷、中等度の損傷、重度の損傷、及び非常に重度の損傷を表した。クラスカル・ウォリス検定及びマン・ホイットニーU検定を、異なる処置群間での結果を比較するために使用した。群間の統計的有意性は、LPS/GalN+NS群と比較して##p<0.01、###p<0.001、####p<0.0001、LPS/GalN+DEX群と比較してp<0.05、及び群間の一対比較によりp<0.05、$$$p<0.001によって示される。(C)において、重度の損傷について、肺及び肝臓の組織学的スコアを、ピアソン(Pearson)のカイ二乗又はフィッシャーの正確確率検定によって比較した。フィッシャーの正確確率カイ二乗検定を使用した。
【0202】
上記組み合わせの組織治癒活性は、RJX単独又はDEX単独の組織治癒活性よりも顕著であった(図22A)。従って、劇症サイトカインストーム及び全身性炎症並びに非常に重度の肺損傷の発症まで処置を遅延させた場合でも、炎症性肺傷害のほぼ完全な回復が、大多数のマウスにおいて24時間以内に達成された。RJX+DEXの組み合わせは、LPS-GalN誘導のALIに対するその効果と同様に、肝傷害を有意に減少させた(図22B)。標準用量DEX単独で処置したマウス10匹のうちの5匹(50%)及び低用量RJX単独で処置したマウス20匹のうちの14匹(70%)が重度の残存肺傷害を有していた(病理組織学的肺スコア≧3)が、DEX+RJXの組み合わせで処置したマウス20匹のうちの2匹(10%)しか重度の残存肺損傷を有していなかった。併用レジメンの観察された優位性は、統計的に有意であった(下記表を参照)。同様に、10匹のDEX処置マウスのうちの5匹(50%)及び20匹のRJX処置マウスのうちの12匹(60%)が重度の残存肝傷害を有していたが、DEX+RJXの組み合わせで処置した20匹のマウスのうちの1匹(10%)しか重度の残存肝傷害を有しておらず、この差は統計的に有意であった(下記表を参照)。
【0203】
【表5】
【0204】
実施例3.3 - 考察
COVID-19は、主な死因となっている。高リスクCOVID-19を有する患者は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)及び多臓器不全を含む全身性炎症プロセス並びにその合併症を予防並びに/又は逆転させることができる有効な戦略を緊急に必要としている。DEXは、ARDSを有する患者の生存転帰を改善することが示されている。さらには、最近公開された非盲検無作為化「RECOVERY(回復)」試験では、侵襲的機械的換気を必要とする入院した低酸素症のCOVID-19患者におけるDEXの使用は、改善された生存転帰と関連づけられている。同様の知見が他の研究から報告された。
【0205】
RJXの組成、作用機序、及び最近公開された好ましい臨床安全性プロファイルは、RJXを、敗血症を予防及び治療するための魅力的な抗炎症薬候補にしている。
【0206】
IL-6、TNF-α及びTGF-βは、重症の成人COVID-19患者並びに多系統炎症症候群(MIS-C)を発症するCOVID-19を有する小児及び青年においてサイトカイン放出症候群(CRS)、ARDS及び多臓器不全の病態生理に寄与する重要な炎症誘発性サイトカインである。最近、RJXが、敗血症のLPS-GalNマウスモデルにおいて、血清並びに肺及び肝臓におけるこれらのサイトカインの各々の顕著な増加を防止することが実証された。本研究で、前臨床敗血症モデルにおける治療設定におけるRJX+DEXの組み合わせを調べた。データは、敗血症を治療するための臨床的影響について有望なRJX及びそのDEXとの組み合わせに関する前臨床証拠を提供する。RJX+DEXの組み合わせによる処置は、LPS-GalNの常に致死的な用量の注射後の全身性炎症及び炎症性臓器損傷の発症後に開始された場合、直ちに炎症性サイトカイン応答を逆転させ、24時間以内に肺及び肝臓における炎症性臓器損傷を逆転させ、生存を有意に改善した。
【0207】
併用レジメンの優位性は、単剤療法(RJX又はDEXの単独)対併用療法で処置したマウス由来の肺及び肝臓における敗血症関連臓器損傷に関する病理組織学的データを比較すると特に顕著であった。特に、炎症性サイトカイン応答及び全身性炎症の発症後の併用療法の開始は、24時間以内に、LPS-GalN誘導の敗血症によって引き起こされた肺における非常に重度の臓器損傷のほぼ完全な回復をもたらした。RJX+DEXは、劇症サイトカインストームの発生を防止すること、並びにサイトカイン媒介性多系炎症プロセスを逆転させ、これにより炎症性臓器傷害を軽減することによって、COVID-19患者における肺傷害及びウイルス性敗血症の消散までの時間を短縮すると仮定された。さらには、RJX処置マウスにおける肺におけるTGF-β産生の実証された予防から、RJXの単独又はDEXとの組み合わせは、ARDS後の肺線維症のリスクを低減するのにも役立つ可能性があると仮定された。RJXは現在、ウイルス性敗血症を有する入院したCOVID-19患者において、呼吸不全のより速い消散及び症例死亡率の低下に寄与するという仮説を試験するために評価されている。RJX+DEXの組み合わせが重度~重篤なCOVID-19の死亡率を低減することができるかどうかを決定するためにも、研究が設計されている。
【0208】
実施例3.4 - 材料及び方法
実施例3.4.1 - 致死性サイトカインストーム及び敗血症のLPS-GalNモデル
RJX、DEX、及びRJX+DEXの抗敗血症活性を、上述のように、致死性敗血症のLPS-GalNモデルにおいて評価した。この研究プロジェクトは、Firat University(フィラト大学)のAnimal Care and Use Committee(動物実験委員会)によって承認された。雄BALB/cマウスを、特定されたケージにマウスを割り当てるための擬似ランダム化コンビニエンスアロケーション(convenience allocation)を使用して、異なる処置群に無作為に分けた。以前の研究におけるように、本発明者らは、バイアスのリスクを低減するために、処置割り当ての隠蔽及び盲検転帰評価を適用した。
【0209】
致死性敗血症を誘導するために、マウスにLPS+D-ガラクトサミン(Sigma(シグマ)、セントルイス(St.Louis)、ミズーリ州)の腹腔内注射で負荷した。各マウスは、LPS-GalN(100ngのLPS+8mgのD-ガラクトサミンからなる)の500μLの腹腔内注射を受けた。マウスが非常に重度の肺損傷及び肝損傷並びに著しく上昇した炎症性サイトカインレベルを伴って劇症全身性炎症を有する、LPS-GalN注射の2時間後まで処置を遅延させた。ビヒクル対照マウスは、RJXの代わりに0.5mLのNSで処置した。NSはLPS-GalNの2時間後に腹腔内投与した。試験マウスは、対照比較において単剤療法としてRJX(0.7mL/kg若しくは1.4mL/kg)又はDEX(0.1mg/kg、0.6mg/kg若しくは6.0mg/kg)のいずれかを受けた。LPS-GalN注射の2時間後に、0.7mL/kgのRJXと0.6mg/kg又は6mg/kgのDEXとの組み合わせも調べた。薬物は、全量0.5mLで腹腔内投与した。ヒト等価用量(HED)レベルを記載のように決定した。マウスの死亡率を24時間モニタリングした。異なる処置群におけるマウスの24時間生存転帰を分析するために、カプラン・マイヤー法、ログランクX検定を使用した。死亡時に、肺及び肝臓を回収し、10%緩衝ホルマリン中で固定し、病理組織学的検査のために処理した。3μm切片を切断し、脱パラフィンし、脱水し、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色し、光学顕微鏡で調べた。血液試料を死亡時又は終了時に採取し、報告したように炎症性サイトカイン及びLDHレベルの測定に使用した。
【0210】
実施例3.4.2 - 統計分析
統計分析は、報告したように、SPSS統計プログラム(IBM(アイビーエム)、SPPSバージョン21)を用いた分散分析(ANOVA)及び/又はノンパラメトリック分散分析(クラスカル・ウォリス)を含む標準的な方法を用いた。各群における生存及び致死率を調べるために、カプラン・マイヤー法、ログランクX検定を使用した。
【0211】
実施例4.1 - COVID-19を有する患者の治療
ARDSを発症するリスクがある患者は、本明細書の方法によって治療されてもよい。この実施例は、低酸素呼吸不全及びARDSの発症リスクが非常に高い高リスクCOVID-19を有する6人の入院した成人患者(年齢:24~67歳)の、RJX及び標準治療の一部であったデキサメタゾンの組み合わせ(1人の患者において、ソルメドロール(Solumedrol)を、施設の標準治療に従ってデキサメタゾンの代わりに使用した)による治療の概要を示す。
【0212】
標準治療は、抗凝固剤、広域抗生物質、レムデシビル、及び一人の患者において回復期の血漿も含んでいた。各患者は、多発性両側性COVID-19肺炎のために酸素療法を受けていた。各患者は、炎症の血清マーカーが高度に上昇していた。RJXは、100mLの生理食塩水と混合した20mLの毎日の一定用量で使用した(未滲出液(unfudate)の全量=120mL)。それを40分間にわたって静脈内投与した。患者の体重は65.8kg~156kgの範囲にあった(65.8kg、90.7kg、102.8kg、105kg、118kg、156kg;中央値=104kg)。従って、RJXの用量は0.3mL/kgから0.1mL/kgまでの範囲にあった。
【0213】
6人の患者の各々は急速な回復を示し、3~7日以内に病院から退院した。退院後に再入院するか又は状態の悪化を経験した患者はいなかった。患者は入院中にのみ処置され、それゆえ、患者は3~7回のRJX投与を受けた。
【0214】
実施例4.2 - 入院し、高流量酸素及び/又は非侵襲的陽圧換気を受けた低酸素血症の重症COVID-19患者の治療
進行したCOVID-19肺炎及びウイルス性敗血症に起因する低酸素血症(hypoxemic failure)を有する年齢43歳、60歳、及び70歳の3人の重症の入院成人COVID-19患者を、RJX及び標準治療の一部であったデキサメタゾンの組み合わせで処置した。標準治療には、抗凝固剤、広域抗生物質、レムデシビルも含まれた。
【0215】
各患者は、多発性両側性COVID-19肺炎のため、高流量酸素療法及び陽圧換気を受けていた。各患者は、炎症の血清マーカーが高度に上昇していた。RJXを、20mLの毎日の一定の用量で使用した。RJXは、40分間にわたって静脈内投与した。
【0216】
患者の体重は66.7kg~89.4kgの範囲にあった(66.7kg、77kg、89.4kg;中央値=77kg)。従って、RJXの用量は0.3mL/kgから0.2mL/kgまでの範囲にあり、それを120mLの体積で投与した。
【0217】
これらの患者はそれぞれ急速な回復を示し、7~14日以内に退院した。退院後に再入院するか又は状態の悪化を経験した患者はいなかった。患者は入院中にのみ処置され、それゆえ、患者は7回のRJX投与を受けた。従って、デキサメタゾンを含む標準治療と組み合わせたRJXでの処置は、ウイルス性敗血症を逆転させた。
【0218】
RJXの2つのロットを使用した。アスコルビン酸、チアミンHCl、シアノコバラミン、ナイアシンアミド、ピリドキシンHCl、リボフラビン5’-リン酸、パントテン酸カルシウム及び硫酸マグネシウムの割合は、ロットPPP-18-1031において8.981%、0.625%、0.019%、1.193%、1.200%、0.025%、0.028%、及び8.151%であり、ロットPPP-18-1051において9.011%、0.643%、0.019%、1.186%、1.191%、0.025%、0.028%、及び8.176%であった。
【0219】
実施例5 - RJXは創傷治癒を促進する
高脂肪食餌による糖尿病ラットにおいて研究を行った。
Pin-Chun Chao、Yingxiao Li、Chin-Hong Chang、Ja Ping Shieh、Juei-Tang Cheng、Kai-Chun Cheng Investigation of insulin resistance in the popularly used four rat models of type-2 diabetes Biomed Pharmacother. 2018年5月;101:155-161. doi:10.1016/j.biopha.2018.02.084、及びCelani LMS、Lopes IS、Medeiros AC. The effect of hyaluronic acid on the skin healing in rats. J Surg Cl Res 10(2) 2019:65-75. doi:https://doi.org/10.20398/jscr.v10i2.18824を参照。
【0220】
研究設計(N=100):
Wistarアルビノラットを対照群(n=20)及び糖尿病性創傷群(n=80)に無作為に割り当てた。対照群のラットは背中全層皮膚切除(サイズ:筋膜層までの深さで直径5mm)を受け、生理食塩水で腹腔内処置された。糖尿病性創傷群のラットに高脂肪食餌を4週間与え、16時間絶食させた後、STZ(45mg/kg)を腹腔内注射した。空腹時血中グルコース≧13.88mmol/L又は250mg/dlを有するラットは、糖尿病の成功したモデルと見なした(Chaoら、2018)。
【0221】
1週間後、上記ラットの背中に創傷を作った(サイズ及び深さは対照群と同じであった)。これらのラットをさらに3つの処置群に無作為に割り当てた(n=20/群;表2):(1)糖尿病群(DM):誘導糖尿病あり、0.5mL/日のRJX(腹腔内)なし、ビヒクルとしての生理食塩水;(2)DM+RJX低群(DM+RJX-低):誘導糖尿病あり、RJX-低用量(1.25mL/kg/日のRJX-P、腹腔内);3)DM+RJX高群(DM+RJX-高):誘導糖尿病あり、RJX-高用量(2.5mL/kg/日のRJX-B、腹腔内)。
【0222】
糖尿病群1では、ビヒクル対照ラットを、RJXの代わりに、0.5mLの生理食塩水(NS)、すなわち0.9%NaClの水溶液で処置した。NS(2.5mL/kg/日)は腹腔内(i.p)投与した。3、7、14及び21日目に、各群の5匹のラットを無作為に選択し、終了させた。
【0223】
【表6】
【0224】
検体収集及び処理
創傷治癒を動的に観察して治癒率を計算した。創傷治癒率=(元々の面積-残存面積)/元々の面積×100%。3、7、14及び21日目に、各群の5匹のラットを無作為に選択し、85mg/kgのケタミン塩酸塩(ケタラール(Ketalar)、Pfizer(ファイザー))及び6mg/kgのキシラジン塩酸塩(ロムプン(Rompun)、Bayer(バイエル))麻酔の筋肉内注射を注射した。モデル領域の創傷組織を収集して、病理学的検査及び生物学的検査を行った。
【0225】
創傷の定性的検査及び創傷面積測定
創傷境界を、先端が細いマーカーで透明プラスチックフィルム上にマーキングした。創傷面積をミリメートル紙及びプラニメータによって測定した。創傷収縮が始まった日から始めて、各検査は、創傷収縮率、治癒した創傷の割合、及び拡張率を測定した。次いで、上皮化に最初に気付いた日に、上皮化によって治癒した創傷の割合及び治癒が起こるのにかかる日数を記録した。創傷サイズ、創傷面積及び創傷収縮を測定した。
【0226】
病理組織学的検査
隣接する皮膚を含む全層創傷皮膚組織試料を写真撮影し、次いで、処置の3、7、14及び21日目にラットを殺処分した後に取り出し、病理組織学的検査に供した。組織試料を10%中性緩衝ホルマリン溶液で固定し、パラフィンワックスに包埋し、各創傷の中心から5μm厚の切片に切断し、ヘマトキシリン-エオシン及びマッソントリクローム染色で染色し、光学顕微鏡で検査した。組織学的スコア付けを、以前に記載されたように(表3)盲検様式で割り当てた(Celaniら、2019)。
【0227】
【表7】
【0228】
統計分析
統計分析は、統計プログラム(IBM、SPPSバージョン21又は/及びGraphPad(グラフパッド) Prismバージョン8.0)を用いた分散分析(ANOVA)及び/又はノンパラメトリック分散分析(クラスカル・ウォリス)を含む。シャピロ・ウィルク(Shapiro-Wilk)検定を0.05の有意水準で正規性について行った。データが正規分布を示す場合(シャピロ・ウィルク検定結果p≧0.05)、パラメトリック分散分析(ANOVA)を行った。その後、パラメトリック分散分析(ANOVA)を行い、チューキーの多重比較を事後検定として用いて、群間の変化を検出した。独立したサンプルのT検定を、正規分布の2つの群についての一対比較として使用した。ANOVA結果が「有意差がない」場合(F試験p≧0.05)、分析を停止した。データが正規分布を示さなかった場合(シャピロ・ウィルク検定結果p<0.05)、ノンパラメトリック分散分析(クラスカル・ウォリス)を行った。クラスカル・ウォリス検定が「統計学的に異なる」(p<0.05)を返した場合、処置群の値をビヒクル/対照群の値と比較するために、ダン(Dunn)の多重比較検定又はマン・ホイットニーU検定を行った。クラスカル・ウォリス検定が「有意差がない」(p≧0.05)を返した場合、分析を停止した。p値<0.05を有意であるとみなした。
【0229】
図23を参照すると、糖尿病性創傷治癒における巨視的変化に対するレジュベイニクス(RJX)の効果が示されている。20匹のWistarアルビノラットの群を、RJX(1.25mL/kg及び/若しくは2.5mL/kg)又はビヒクル(NS)の腹腔内注射で処置した。未処置対照ラット(対照)を除き、各ラットに高脂肪食餌(HFD)を4週間与え、ストレプトゾトシン(STZ、45mg/kg、腹腔内)の単回用量を注射して糖尿病(DM)を誘導した。4週間の終わりに、直径5mmの実験創傷をすべてのラットに形成した。3、7、14及び21日目に、各群の5匹のラットを無作為に選択した。DM:RJXなしを使用した。代わりに、これらのラットは、2.5mL/kgのNSで毎日処置した。
【0230】
対照として使用した健常ラットと比較して、処置としてNSを投与した糖尿病ラット(DM+NS)は、7日、14日及び21日の時点で有意に大きい残存創傷面積によって実証されるように、有意に遅延した創傷治癒を示した。特に、RJXによる糖尿病ラットの処置は、用量依存的に創傷治癒を有意に加速した。2.5mL/kgのRJXで処置した糖尿病ラットにおける創傷治癒は、未処置の健常ラットにおける創傷治癒よりもさらに速かった。
【0231】
図24を参照すると、糖尿病性創傷治癒における創傷面積に対するレジュベイニクス(RJX)の効果が示されている。20匹のWistarアルビノラットの群を、RJX(1.25mL/kg及び/若しくは2.5mL/kg)又はビヒクル(NS)の腹腔内注射で処置した。未処置対照ラット(対照)を除き、各ラットに高脂肪食餌(HFD)を4週間与え、ストレプトゾトシン(STZ、45mg/kg、腹腔内)の単回用量を注射して糖尿病(DM)を誘導した。4週間の終わりに、直径5mmの実験的創傷(初期創傷面積=19.625mm)をすべてのラットに形成した。示した創傷面積データは、中央値及び最小最大値を表す。群間の統計的有意性は、対照群と比較してp<0.05、及びDM+NS群と比較してp<0.05、##p<0.01によって示される。ウエルチ-ANOVA及びタマーン(Tamhane)T2事後検定を、異なる処置群間での結果を比較するために使用した。
【0232】
観察された顕微鏡的創傷治癒データと一致して、顕微鏡的評価に基づく病理組織学的創傷治癒スコアは、とりわけ7日目及び14日目に、NS処置糖尿病ラットとRJX処置糖尿病ラットとの間で顕著な差を示し、RJX処置による創傷治癒の加速が確認された。再上皮化、肉芽組織形成、及びコラーゲン組織化のレベルは、RJXの代わりにNSで処置した糖尿病対照群と比較して、RJX処置(特にRJX2.5ip)群のラットにおいて高かった。
【0233】
図25を参照すると、糖尿病性創傷治癒における創傷の病理組織学的スコアに対するレジュベイニクス(RJX)の効果が示されている。20匹のWistarアルビノラットの群を、RJX(1.25mL/kg及び/若しくは2.5mL/kg)又はビヒクル(NS)の腹腔内注射で処置した。未処置対照ラット(対照)を除き、各ラットに高脂肪食餌(HFD)を4週間与え、ストレプトゾトシン(STZ、45mg/kg、腹腔内)の単回用量を注射して糖尿病(DM)を誘導した。4週間の終わりに、直径5mmの実験創傷をすべてのラットに形成した。3、7、14及び21日目に、各群の5匹のラットを無作為に選択した。示した創傷面積データは、中央値及び最小最大値を表す。群間の統計的有意性は、対照群と比較してp<0.05、及びDM+NS群と比較してp<0.05、##p<0.01によって示される。クラスカル・ウォリス及びマン・ホイットニーU検定を、異なる処置群間での結果を比較するために使用した。
【0234】
上述の実施例におけるマウス用量は、約12の換算係数によって、本明細書における実施形態のヒト用量に換算されてもよい。
【0235】
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【0236】
本願を通じて引用された参考文献は、各参考文献が完全に記載されているかのように、本明細書およびその参考文献自体で明らかなすべての目的のために組み込まれる。特定の場所での参考文献の引用は様式を制限するものではなく、引用された参考文献の教示のすべてがあらゆる目的のために組み込まれる。
【0237】
それゆえ、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲、上記の説明、及び/又は添付の図面によって定められる本発明の趣旨及び射程内にあるすべての変更を包含することが意図されていることが理解される。
図1
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【国際調査報告】