(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】T細胞受容体、T細胞受容体を含む免疫細胞およびそれを用いる方法{T CELL RECEPTORS、IMMUNE CELL COMPRISING T CELL RECEPTORS AND METHOD USING THE SAME}
(51)【国際特許分類】
C07K 14/725 20060101AFI20231023BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20231023BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20231023BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20231023BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20231023BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231023BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20231023BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
C07K14/725
C12N15/12 ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/867 Z
C12N5/0783
A61P35/00
A61K35/17
A61K48/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521138
(86)(22)【出願日】2021-10-07
(85)【翻訳文提出日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 KR2021013826
(87)【国際公開番号】W WO2022075784
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】10-2020-0129446
(32)【優先日】2020-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523123248
【氏名又は名称】ダアン バイオセラピュティクス カンパニー、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ビョウン チュル
(72)【発明者】
【氏名】ピョ、キョウン ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジャエ フワン
(72)【発明者】
【氏名】ビェオン、イェオン セオン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨウン セオブ
(72)【発明者】
【氏名】シン、チュン フェン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA44
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087NA14
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA50
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
【要約】
本明細書では、抗原特異的T-細胞受容体だけでなく、核酸、ベクターおよびこれを含む免疫細胞およびこれを用いる方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
T細胞受容体(T cell receptor)であって、
(i)アミノ酸配列CAFIGHGGSQGNLIF(配列番号1)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSMQGAMSEQFF(配列番号13)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(ii)アミノ酸配列CAATGTYKYIF(配列番号2)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSPEFARALDNQPQHF(配列番号14)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(iii)アミノ酸配列CAYGGGSEKLVF(配列番号3)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSSATGTQGYTF(配列番号15)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(iv)アミノ酸配列CALINARLMF(配列番号4)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSFTNTGELFF(配列番号16)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(v)アミノ酸配列CAVNGGSQGNLIF(配列番号5)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSMWQGNGEQYF(配列番号17)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(vi)アミノ酸配列CAMREGYGGATNKLIF(配列番号6)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSVGPGTTSYNEQFF(配列番号18)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(vii)アミノ酸配列CAYNNGDGGSQGNLIF(配列番号7)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CATSRDRSTDTQYF(配列番号19)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(viii)アミノ酸配列CATDGGSARQLTF(配列番号8)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSLGLSGYTF(配列番号20)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(ix)アミノ酸配列CATLYNTDKLIF(配列番号9)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSQSMNTEAFF(配列番号21)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(x)アミノ酸配列CAMRGPWRGSSGSARQLTF(配列番号10)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASRTGLSYEQYF(配列番号22)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(xi)アミノ酸配列CALSVRGFKTSYDKVIF(配列番号11)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSFGSAYNEQFF(配列番号23)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(xii)アミノ酸配列CAVNMMDSSYKLIF(配列番号12)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSFPTARSNTEAFF(配列番号24)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、T細胞受容体。
【請求項2】
前記T細胞受容体は、
HVKITDFGR(配列番号49)のアミノ酸配列またはそのMHC-結合形態内に含まれたエピトープに結合することができる、請求項1に記載のT細胞受容体。
【請求項3】
前記エピトープは、
HLA-A*33:03およびHLA-A*31:01のうち、少なくとも一つと結合親和性(binding affinity)を有する、請求項2に記載のT細胞受容体。
【請求項4】
前記T細胞受容体は、
EGFRL858R突然変異を標的とする、請求項1に記載のT細胞受容体。
【請求項5】
前記TCRα鎖可変領域は、
配列番号55のアミノ酸配列からなり、
前記配列番号55は、
配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のT細胞受容体。
【請求項6】
前記TCRα鎖可変領域は、
配列番号57のアミノ酸配列からなり、
前記配列番号57は、
配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のT細胞受容体。
【請求項7】
前記TCRβ鎖可変領域は、
配列番号56のアミノ酸配列からなり、
前記配列番号56は、
配列番号13のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のT細胞受容体。
【請求項8】
前記TCRβ鎖可変領域は、
配列番号58のアミノ酸配列からなり、
前記配列番号58は、
配列番号14のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のT細胞受容体。
【請求項9】
前記T細胞受容体は、
単鎖型(single chain type)である、請求項1に記載のT細胞受容体。
【請求項10】
前記TCRα鎖可変領域および前記TCRβ鎖可変領域は、
リンカー配列によって連結される、請求項2に記載のT細胞受容体。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のT細胞受容体をエンコードする核酸。
【請求項12】
前記核酸は、
配列番号51~54のうちの少なくとも一つの核酸配列;または
前記配列番号51~54のうちの少なくとも一つの核酸配列と少なくとも80%以上の同一性を有する核酸配列を含む、請求項11に記載の核酸。
【請求項13】
前記配列番号51および53は、
TCRα鎖可変領域をエンコードする核酸配列である、請求項12に記載の核酸。
【請求項14】
前記配列番号52および54は、
TCRβ鎖可変領域をエンコードする核酸配列である、請求項12に記載の核酸。
【請求項15】
前記核酸は、
Furin、2AおよびIRES配列をさらに含む、請求項11に記載の核酸。
【請求項16】
請求項11~15のいずれか一項に記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項17】
前記ベクターは、
発現ベクターである、請求項16に記載のベクター。
【請求項18】
前記発現ベクターは、
レンチウィルスベクターである、請求項17に記載のベクター。
【請求項19】
前記ベクターは、
配列番号50の核酸配列;または
前記配列番号50の核酸配列と少なくとも80%以上の同一性を有する核酸配列を含む、請求項16に記載のベクター。
【請求項20】
請求項1~10のいずれか一項に記載のT細胞受容体を含む、免疫細胞。
【請求項21】
前記免疫細胞は、
NK-92細胞である、請求項20に記載の免疫細胞。
【請求項22】
請求項1~10のいずれか一項に記載のT細胞受容体を含む免疫細胞を含む、細胞治療薬。
【請求項23】
エフェクターT細胞(effector T cell)をさらに含む、請求項22に記載の細胞治療薬。
【請求項24】
前記細胞治療薬は、
固形癌(solid tumor)治療薬である、請求項22に記載の細胞治療薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、T細胞受容体、T細胞受容体を含むNK細胞およびこれを用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2018年時点で、癌治療に用いられる細胞治療薬として、ギリアド、ノバルティス、MOLMEDで開発された血液癌の治療薬であるAxicabtagene ciloleucel、Tisagenlecleucel、Immuncell-LC等がすでに市場では癌治療に活用されており、フェーズ2/3に進んだ細胞治療薬の臨床試験も進行中であった。全体の細胞治療法開発の50%以上が北米(USA)において進められており(2018年時点で344件)、中国でも相当な部分の研究が進行中である(203件)。
【0003】
癌細胞の表面を認識し、活性化するのに適したCAR-T、TCRを変形させたTCR-T、腫瘍の抗原を認識する自己T細胞、TILなどの多様な形態の細胞治療薬が開発され、前臨床及び臨床研究が進行中である。特に、CD19をターゲットとする細胞治療薬が最も多く開発されており、TAA/TSA、BCMA、GD2、HER2などがこれに続いている。市場にまで進出した細胞治療薬としては、CD19がほぼ唯一であり、現在IND申請プロセスがほとんどの臨床および前臨床研究と連携して進行中である。
【0004】
細胞治療薬を現在使用中の免疫チェックポイント阻害剤(Immune check point inhibitor)と比較したとき、腫瘍内T細胞の欠如により、免疫チェックポイント阻害剤に対する有効性が十分でないことと、腫瘍内T細胞のうち、腫瘍抗原を標的とするT細胞は、5%内外で少ないことから、免疫治療薬に対する限界が存在する。したがって、腫瘍を標的とする免疫細胞だけを増殖させて活用するという点で、腫瘍を集中的に攻撃することができる細胞治療薬は利点がある。
【0005】
肺癌の場合、世界的にも高い死亡率を持っており、特にアジアの肺癌患者の中ではEGFR突然変異腫瘍が50%と相当に高い方であり、このうちの27%がL858Rの変異を有している。EGFR突然変異の特徴は、EGFR標的治療薬に対する効果が初期にはよく見られるが、8~10か月後にはほとんどの患者が耐性を持ち、獲得耐性後の治療薬が全く存在しない状態である。特に免疫チェックポイント阻害剤との併用療法に対する効果がないことが知られ、新規な治療要素の開発が必要な状態である。
【0006】
そこで、このような腫瘍の成長を指示する決定的な遺伝子病変を特異的に標的とする治療薬が必要なのが実情である。
【0007】
発明の背景となる技術は、本発明に対する理解をより容易にするために作成された。発明の背景となる技術に記載された事項が先行技術として存在すると認容するものとして解釈されてはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、ナチュラルキラー細胞(Natural Killer Cell、NK cell)は、先天性免疫系の主要成分を構成する細胞傷害性リンパ球である。一般的に、循環リンパ球のうち、約10%~15%を占めるNK細胞は、抗原に対して非特異的であり、先行する免疫感作なしに、ウイルスが感染した細胞を含む多くの悪性細胞を標的化して結合することができ、さらに、これらをアポトーシスさせることができる。この際、標的細胞のアポトーシスは、細胞溶解を誘導することによって発生させることができる。
【0009】
したがって、NK細胞は、治療目的のために、対象体の末梢血リンパ球から単離され、単離されたNK細胞は、再び細胞培養により多数を確保した後、対象体内に再注入する方式で使用されている。このような、NK細胞の治療、すなわち、in vitroおよびin vivo注入療法は、感染または腫瘍細胞において非常に効果的な細胞死を誘発することができるので、注目を浴びている。しかし、NK細胞注入療法は、標的に限りがあることに限界がある。
【0010】
そこで、本発明の発明者らは、これを克服すべく、遺伝子改変を通じたNK細胞に注目した。さらに具体的には、従来のNK細胞ベースの細胞治療薬は、Fc受容体の発現を介して抗体依存性細胞傷害反応を誘導する、またはキメラ抗原受容体の発現を介した癌標的化などの戦略を立てている。しかし、このような戦略は、固形癌の治療において大きな効果を得られていないのが実情である。
【0011】
そのため、本発明の発明者らは、前述の固形癌治療の限界を克服するために、特定の抗原に特異的なT細胞受容体に注目し、これを通じてNK細胞の固形癌への標的化を増進させようとした。
【0012】
結局のところ、本発明の発明者らは、固形癌に対する特定の分子変異を認識できるT細胞受容体を同定し、これをNK細胞(NK-92)および細胞株で発現されるように遺伝子を変形させ、固形癌に対するNK細胞の標的化を向上させることができた。
【0013】
また、本発明の発明者らは、前述のNK細胞にFc受容体をさらに含ませると、標的化された固形癌に対する免疫応答がさらに向上されることを認知し、このことから本発明の発明者らは、T細胞受容体およびFc受容体の両方を含み、固形癌に対する標的化及びその抗癌効果がさらに向上したNK細胞を開発した。
【0014】
より具体的には、本発明の発明者らは、癌患者のWESとRNA seqの結果に基づいて、抗原予測率90%以上を示す解析プラットフォームを確認した。 このとき、解析に適用されたアルゴリズムは、Net-MHCアルゴリズムに基づくNeopepseeを介して抗原候補群を確認した。次に、予測された抗原を合成し、DC及びCD8T細胞に処理し、抗原を検証する過程を実施した。
【0015】
このことからして、L858Rに対する抗原を認識できる主要HLA-A対立遺伝子(alleles)を発見した。その結果、A*33:03に対するHVKITDFGR抗原結合親和性(binding affinity)が高いだけでなく、neopepseeで提供される10種類以上のパラメータ基準で、抗原として十分に機能することが予測できた。
【0016】
これに基づいて、腫瘍特異的な抗原を予測できる検証プラットフォームを構築し、抗原に対する反応を確認した。検証プラットフォームでは、HLA-Aがマッチングする健常人の末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cell,PBMC)から樹状細胞(dendritic cell,DC)を分化させ、抗原を認識し、これに基づいてL858Rに対する抗原反応性を測定した。
【0017】
その結果、予測通り、L858Rを認識するHLA-Aを持つ患者において腫瘍に特異的に反応するT細胞が産生され、抗原に対する反応(IFN-gamma ELISPOT)を確認した。
【0018】
また、前述の過程を通じて同定されたT細胞のTCRが免疫細胞内で発現可能であることが確認された。
【0019】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、癌細胞の表面に増加するMHC-1-L858R新抗原複合体(neoantigen complex)を標的するTCRを有するT細胞またはNK-92細胞を提供し、癌細胞を直接的にアポトーシスさせることができるEGFR変異体標的細胞治療薬を提供することである。
【0020】
また、本発明が解決しようとする他の課題は、前述のTCRを有するT細胞またはNK-92細胞にFc受容体をさらに含むことにより、それに対する免疫応答をさらに向上させ、癌細胞に対するアポトーシス機能がさらに向上した細胞治療薬を提供することである。
【0021】
さらに、前述のHLA-Aのアジア人比率は20%以上であり、EGFRの突然変異を有する多くの患者が本発明の恩恵を受けられることが期待される。
【0022】
本発明の課題は、以上で述べた課題に限定されず、言及されないまた他の課題は、以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の一実施形態によれば、本発明は、T細胞受容体(T cell receptor)であって、
(i)アミノ酸配列CAFIGHGGSQGNLIF(配列番号1)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSMQGAMSEQFF(配列番号13)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(ii)アミノ酸配列CAATGTYKYIF(配列番号2)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSPEFARALDNQPQHF(配列番号14)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(iii)アミノ酸配列CAYGGGSEKLVF(配列番号3)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSSATGTQGYTF(配列番号15)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(iv)アミノ酸配列CALINARLMF(配列番号4)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSFTNTGELFF(配列番号16)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(v)アミノ酸配列CAVNGGSQGNLIF(配列番号5)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSMWQGNGEQYF(配列番号17)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(vi)アミノ酸配列CAMREGYGGATNKLIF(配列番号6)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSVGPGTTSYNEQFF(配列番号18)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(vii)アミノ酸配列CAYNNGDGGSQGNLIF(配列番号7)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CATSRDRSTDTQYF(配列番号19)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(viii)アミノ酸配列CATDGGSARQLTF(配列番号8)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSLGLSGYTF(配列番号20)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(ix)アミノ酸配列CATLYNTDKLIF(配列番号9)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSQSMNTEAFF(配列番号21)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(x)アミノ酸配列CAMRGPWRGSSGSARQLTF(配列番号10)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASRTGLSYEQYF(配列番号22)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(xi)アミノ酸配列CALSVRGFKTSYDKVIF(配列番号11)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSFGSAYNEQFF(配列番号23)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、または
(xii)アミノ酸配列CAVNMMDSSYKLIF(配列番号12)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)α鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3、および
アミノ酸配列CASSFPTARSNTEAFF(配列番号24)またはその変異体を含むT細胞受容体(TCR)β鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)3を含む、T細胞受容体を提供する。
【0024】
本発明の特徴によれば、T細胞受容体は、
HVKITDFGR(配列番号49)のアミノ酸配列またはそのMHC-結合形態内に含まれたエピトープに結合することができ、エピトープは、
HLA-A*33:03およびHLA-A*31:01のうちの少なくとも一つと結合親和性(binding affinity)を有することができる。
【0025】
本発明のもう一つの特徴によれば、T細胞受容体は、EGFR L858R突然変異を標的とすることができる。
【0026】
本発明のもう一つの特徴によれば、TCRα鎖可変領域は、配列番号55のアミノ酸配列からなり、前記配列番号55は、配列番号1のアミノ酸配列を含むことができる。
【0027】
本発明のもう一つの特徴によれば、TCRα鎖可変領域は、配列番号57のアミノ酸配列からなり、前記配列番号57は、配列番号2のアミノ酸配列を含むことができる。
【0028】
本発明のもう一つの特徴によれば、TCRβ鎖可変領域は、配列番号56のアミノ酸配列からなり、前記配列番号56は、配列番号13のアミノ酸配列を含むことができる。
【0029】
本発明のもう一つの特徴によれば、TCRβ鎖可変領域は、配列番号58のアミノ酸配列からなり、前記配列番号58は、配列番号14のアミノ酸配列を含むことができる。
【0030】
本発明のもう一つの特徴によれば、T細胞受容体は、単鎖型(single chain type)であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0031】
本発明のもう一つの特徴によれば、前記TCRα鎖可変領域および前記TCRβ鎖可変領域は、リンカー配列によって連結されることができる。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、本発明は、前述した内容によるTCRをエンコードする核酸が提供される。
【0033】
本発明の特徴によれば、核酸は、配列番号51~54のうちの少なくとも一つの核酸配列;または前記配列番号51~54のうちの少なくとも一つの核酸配列と少なくとも80%以上の同一性を有する核酸配列を含むことができる。
【0034】
このとき、配列番号51および53は、TCRα鎖可変領域をエンコードする核酸配列を意味することができ、配列番号52および54は、TCRβ鎖可変領域をエンコードする核酸配列を意味することができる。
【0035】
本発明のもう一つの特徴によれば、核酸は、Furin、2AおよびIRES配列をさらに含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、本発明は、前述した内容による核酸を含むベクターが提供される。
【0037】
このとき、ベクターは、発現ベクターであって、レンチウィルスベクターであってもよいが、これに制限されるものではなく、当業界で使用し得る発現ベクターを全部含むことができる。
【0038】
本発明の特徴によれば、ベクターは、配列番号50の核酸配列;または前記配列番号50の核酸配列と少なくとも80%以上の同一性を有する核酸配列を含むことができる。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、本発明は、前述した内容によるT細胞受容体を含む免疫細胞が提供される。
【0040】
このとき、免疫細胞は、前述した内容によるTCR、核酸およびベクターを含むことができ、NK-92細胞であってもよい。すなわち、免疫細胞は、前述した内容によるTCR、核酸およびベクターを含むことにより、TCRが発現されたNK-92であってもよい。
【0041】
さらに、免疫細胞は、NK-92細胞であってもよいが、これに制限されるものではなく、TCRが挿入され修飾され得る多様な免疫細胞を全部含むことができる。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、本発明は、前述したT細胞受容体を含む免疫細胞を含む細胞治療薬が提供される。
【0043】
本発明の特徴によれば、細胞治療薬は、効果T細胞(effector T cell)をさらに含むことができる。
【0044】
本発明のもう一つの特徴によれば、細胞治療薬は、固形癌(solid tumor)治療薬であってもよいが、これに制限されるものではなく、本発明の一実施形態による配列番号49のHVKITDFGR抗原を含むあらゆる癌腫に対する治療薬であってもよい。
【0045】
以下、実施形態を通じて本発明をより詳しく説明する。ただし、これらの実施形態は、本発明を例示的に説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施形態によって限定されるものと解釈されてはならない。
【発明の効果】
【0046】
本発明は、獲得耐性が生じた腫瘍に対する新規な治療薬として提案することができる。より具体的には、従来の肺癌治療薬は、初期は治療効果がみられるが、8~10ヶ月後、ほとんどの患者から獲得耐性が発生する。しかし、これに対する代替治療薬が皆無の状態である。
【0047】
そこで、本発明は、こうした限界を克服できる新規治療薬として提案することができる。また、本発明は、獲得耐性だけでなく突然変異が発生し潜伏した(harboring)EGFRを標的とし、治療できる効果がある。
【0048】
さらに、本発明は、半減期が存在する薬剤とは異なり、T細胞に対する初期活性(activation)によって他の免疫応答まで一緒に増加させることによって殺腫瘍効果(killing effect)を増強できる効果がある。
【0049】
より具体的には、本発明は、メモリーT細胞の分化および増殖を誘導し、癌細胞の防御機構を避け、癌または腫瘍性状態を治療、再発、進行、および転移を予防することができる効果がある。
【0050】
また、本発明は、従来のTKIおよびPD-1/PD-L1のような治療薬と並行し、それぞれ薬剤の効果を増強させ、これによって、患者の生存率を増加させることができる効果がある。
【0051】
本発明による効果は、上記にて例示した内容により制限されるものではなく、より多様な効果が本明細書内に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】癌患者の抗原を予測するシステムおよびこれに基づくTCR-TまたはTCR-NK細胞の製造方法を例示的に示すものである。
【
図2】Neopepseeで予測される抗原を検証する過程を例示的に示すものである。
【
図3】検証プラットフォームで解析した抗原特異的T細胞を検証した結果を示すものである。
【
図4a】L858Rを標的とするHLA-Aと抗原配列(sequences)結果を示すものである。
【
図4b】L858Rを標的とするHLA-Aと抗原配列(sequences)結果を示すものである。
【
図5a】EGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマーに特異的に結合する腫瘍特異的T細胞に対する結果である。
【
図5b】EGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマーに特異的に結合する腫瘍特異的T細胞に対する結果である。
【
図5c】EGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマーに特異的に結合する腫瘍特異的T細胞に対する結果である。
【
図5d】EGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマーに特異的に結合する腫瘍特異的T細胞に対する結果である。
【
図6】抗原(EGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマー)に特異的に活性が誘導されたT細胞の細胞キラー因子に対する結果である。
【
図7】抗原(EGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマー)に特異的に活性が誘導されたT細胞の受容体に対する分布図である。
【
図8】Tフラスコ培養時、NK-92細胞株に対する結果である。
【
図9】FBSおよびIL-2の濃度によるNK-92の増殖効率に対する結果である。
【
図10】培養方法によるNK-92細胞株の細胞増殖効率に対する結果である。
【
図11a】培養条件によるNK-92細胞株およびFc受容体を発現するNK-92細胞株の活性因子および毒性因子に対する結果である。
【
図11b】培養条件によるNK-92細胞株およびFc受容体を発現するNK-92細胞株の活性因子および毒性因子に対する結果である。
【
図12】タンパク質発現プロモーターによるNK-92細胞のGFP発現効率に対する結果である。
【
図13a】NK-92細胞におけるケモカイン受容体の発現に対する結果である。
【
図13b】NK-92細胞におけるケモカイン受容体の発現に対する結果である。
【
図14a】NK-92細胞におけるCD3分子およびT細胞受容体分子の発現に対する結果である。
【
図14b】NK-92細胞におけるCD3分子およびT細胞受容体分子の発現に対する結果である。
【
図15a】本発明の一実施形態によるTCR配列を発現させるためのレンチウィルスベクターマップである。
【
図15b】本発明の一実施形態によるTCR配列を発現させるためのCD3分子およびT細胞受容体の核酸配列に対する模式図である。
【
図16a】本発明の一実施形態によるTCRの細胞活性を確認した結果である。
【
図16b】本発明の一実施形態によるTCRの細胞活性を確認した結果である。
【
図17a】本発明の一実施形態によるTCRを含むNK細胞に対する細胞キラー効果を確認した結果である。
【
図17b】本発明の一実施形態によるTCRを含むNK細胞に対する細胞キラー効果を確認した結果である。
【
図18】本発明の一実施形態によるTCRを含むNK細胞の腫瘍抑制効果を確認した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明の利点および特徴、並びにそれらを達成する方法は、添付される図面と共に詳細に後述する実施形態を参照すれば、明確になる。しかし、本発明は、以下に開示する実施形態に限定されるものではなく、様々な形態で具現されるものであり、ただし、本実施形態は本発明の開示が完全になるように、本願発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に理解できるように提供されるものであり、本発明は、特許請求の範囲によって定義されるだけである。本明細書にて使用される用語「T細胞受容体(T-cell receptor、TCR)」は、天然(natural)TCRのみならず、TCR変異体、断片、および構築物を含む。したがって、TCRは選択的に追加のドメインおよび/または部分を含み、TCRα鎖およびβ鎖を含むヘテロダイマーだけでなく、多量体および単鎖構築物を含む。
【0054】
本明細書にて使用される用語「エピトープ(epitope)」は、通常、結合ドメインが認識する抗原、典型的には(ポリ-)ペプチド上の部位を意味する。このとき、結合ドメインは抗原結合部位を意味する。すなわち、抗原標的の特定のエピトープと結合および相互作用する分子のドメインを意味する。
【0055】
本明細書にて使用される用語「ナチュラルキラー細胞(Natural killer cell、NK cell)」は、特定の抗原刺激の不在下で主要組織適合性複合体(MHC)クラスに従って制限なく標的細胞をアポトーシスさせる免疫系の細胞である。標的細胞は、癌または腫瘍細胞であってもよい。NK細胞は、CD56の存在およびCD3表面マーカーの不在を特徴とする。したがって、人工的にCD3-gamma、delta、zetaなどを挿入し、研究を行う予定である。
【0056】
本明細書にて使用される用語「ベクター(vector)」は、形質転換プロセスによって許容細胞内に位置する場合、ベクターが複製できるように無傷のレプリコンを含む非染色体核酸を指す。ベクターは、バクテリアから複製できるが、哺乳類細胞では複製能力が限られており、ウィルス性または非-ウィルス性であってもよい。核酸を伝達するための非-ウィルスベクターは、ネイキッドDNA、単独またはカチオン性重合体と組み合わせてカチオン性脂質と複合体化したDNA、アニオン性およびカチオン性リポソーム、リポソームに含まれたカチオン性重合体、異種ポリリジン、規定された長さのオリゴペプチド、ポリエチレンアミンと縮合されたDNAを含むDNAタンパク質複合体および粒子、ウィルスおよびポリリジンDNAを含む三元複合体を含む。
【0057】
本明細書にて使用される用語「免疫細胞」は、T細胞、ナチュラルキラーT(natural killer T cell、NKT)、ナチュラルキラー細胞(natural killer cell、NK)、ヒト胚性幹細胞、造血幹細胞(hematopoietic stem cell、HSC)および人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells、iPS)を含むことができる。このとき、T細胞は、細胞毒性T細胞(CTL)、調節Tリンパ球、炎症性Tリンパ球、ヘルパーTリンパ球およびガンマ-デルタT細胞、先天性リンパ球(ILC1、ILC2)であってもよく、さらに、前述したT細胞は、CD4+、CD8+およびこれらの混合集団であってもよい。
【0058】
本明細書にて使用される用語「ヒト白血球抗原(human leukocyte antigen、HLA)」は、免疫系調節の原因となる細胞の表面上で主要組織適合性複合体(MHC)タンパク質を暗号化するヒト遺伝子を指す。
【0059】
本明細書にて使用される用語「樹状細胞(dendritic cells、DC)」は、リンパ性または非-リンパ性組織で発見される形態学的に類似する細胞型の多様な集団の構成員を意味する。これらの細胞は、その独特の形態、および抗原ペプチドをT細胞に提示するタンパク質である表面MHCクラスI分子およびクラスII分子の高い発現レベルを特徴とする。DCを含むAPC(マクロファージなど)およびT細胞は、末梢血に由来する末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cell、PBMC)のように便利に末梢血および多数の組織から単離または由来し分化し得る。
【0060】
本明細書にて使用される用語「治療」とは、癌の症状が好転したり利益となったりするすべての行為であれば制限なく含むことができる。
【0061】
本明細書にて使用される用語「特異的(に)結合」とは、一般にTCRがその抗原結合部位を介してランダムな無関係の非-標的抗原よりもその意図された抗原標的により結合しやすいことを意味する。さらに、「特異的に結合する」とは、その抗原標的に対するTCRの結合特異性が非標的抗原に対するその結合特異性よりも少なくとも約5倍、好ましくは10倍、より好ましくは25倍、さらにより好ましくは50倍および最も好ましくは100倍以上より大きいものであることを意味することができる。
【0062】
抗原の予測および検証の過程
【0063】
以下では、
図1~
図3の(b)を参照し、Neopepseeを介した抗原の予測および検証の過程を説明する。
【0064】
図1は、癌患者の抗原を予測するシステムおよびこれに基づいてTCR-TまたはTCR-NK細胞の製造方法を例示的に示すものである。例えば、患者の腫瘍からRNAシーケンス(RNA sequencing)、全エクソームシーケンス(whole exome sequencing)が、並びに正常な血液(normal blood)における参照用WES(reference WES)を通じて患者腫瘍から発生する体細胞突然変異を確保した後、患者に由来する単核球を樹状細胞に分化し、前で確認された突然変異遺伝子から確認されるエピトープを露出し、抗原提示を通じてT細胞を増殖させ、増殖されたT細胞の反応性を確認し、確認された反応に基づいてT細胞のTCRシーケンスを介してTCRのCDR3配列を確保した後、この配列を含む遺伝子キャリアを通じてT細胞を腫瘍特異的細胞に変換させる。よって、自己T細胞若しくはNK-92細胞に基づいて細胞治療薬を生成し検証することができる。
【0065】
より具体的には、まず、抗原予測は腫瘍に対するワクチンや細胞治療薬の開発に先立って最も先行される必要がある。抗原予測は腫瘍に対する突然変異解析(WES:whole exome sequencing)により確保した異常な突然変異タンパク質であり、RNA seqを介して突然変異抗原が発現されることを根拠に証明される。腫瘍の抗原とMHC-1とのaffinityが高まると、免疫細胞において認識し得る抗原として可能性があることを意味することができる。本研究では、抗原を解析するための解析パイプラインとしてNeopepseeを用いた。
【0066】
その次に、予測抗原に対するペプチドは、95%以上の高純度で、9個のアミノ酸で合成/精製し、抗原の溶解に最も多く用いられるDMSOを溶媒とし、樹状細胞にLPSとともに露出されたmature DCに分化した後、T細胞を教育する。
【0067】
その次に、IFN-gammaの発現程度による検証が行われる。
【0068】
従来、抗原を解析できる検証プラットフォームとしてpVAC seqが最も一般的に用いられており、これはLinux(登録商標)とPythonプログラムに基づくオープン解析プラットフォームである。このプログラムの中心となるアルゴリズムとしては、NetMHC-panというHLA-Aの結合親和性(binding affinity)を数値化することができ、pVAC seqでは、追加でRNA seqを介して腫瘍抗原の発現程度を含む。Neopepseeも同様のアルゴリズムを含んでおり、12個の追加のパラメータが含まれているので、より向上した解析プラットフォームを示す。既存に報告されている抗原探索プログラム間のベンチマーキング解析においても優れた結果を確保した解析プラットフォームである。Neopepseeは、オープンソースプログラムであって、最近学術発表された解析技術である。
【0069】
したがって、本研究者らは、EGFRに対する突然変異を有する患者に基づいて、L858RおよびE19Delに対する突然変異の有無を判断して実験を行った。
【0070】
図1を参照すると、まず、患者の腫瘍のWES、WESにおける生殖細胞系列遺伝子変異(germline mutation)またはSNVを解析するためにmatched normal bloodを用いて参照解析を行った。WESにて変異があるか否かを判断するために用いられたツールは、GATK2パイプラインであり、hg38に対するマッピングデータに基づいて解析を行った。
【0071】
患者の血液を50ml確保し、IFNg ELISPOTデータに基づいて血液中に存在するDCにT細胞を介して抗原に対する認識率検証を行った。
【0072】
その次に、コンピュータに提示された候補抗原の検証が完了すると、T細胞のTCR seqを解析し、腫瘍の抗原を最もよく認識することができる主要なTCRを検証する。
【0073】
その次に、検証されたT細胞のTCR seqを介してCDR3の組換えTCRを作製し、自己/同種T細胞およびNK-92細胞において抗原を特異的に認識できる細胞治療薬を生産し、これを検証する。
【0074】
図2は、Neopepseeで予測された抗原検証プロセスを例示的に示したものである。この場合、抗原検証過程は全体で約21日程が所要され、これはかなり短期間内に患者のPBMCから腫瘍特異的に反応する抗原を検証できるプラットフォームである。Neopepseeで予測された抗原は、CD14から分化したiDCで合成された9merペプチド抗原とともにmDCに分化、分化したDCはT細胞との共培養(co-culture)後、抗原特異的T細胞に増殖、IFN-gammaの発現度を根拠に検証する。各段階において細胞治療薬の開発における重要段階を10段階で表し、QCポイントを指定した。
【0075】
より具体的には、
図2を参照すると、まず、初日患者の血液からPBMCを分離する。このとき、PBMCを分離するのに用いられるプロトコル(protocol)は、血液中のリンパ球と単核球を確保できる方法で、CD14が陽性である細胞、すなわち、単核球を磁石と抗体-マイクロビーズ法によって確保することができる。
【0076】
その後、CD14+である細胞は、DCに分化する過程を行う。このとき、GM-CSF、IL-4を用いてimDCへの分化を誘導する。
【0077】
次いで、CD8+細胞もCD14-と同様の方法により採取した後、-80℃で保管した後、抗原を提示できるimDCに共培養するのに用いる。
【0078】
それから、7~8日目に既に合成した腫瘍抗原10μg/mlと共にLPSを処理して16時間培養し、DCにおける腫瘍抗原が十分に認識されるように培養する。
【0079】
その後、洗浄過程を経て、CD8が陽性である細胞と一緒に培養する。
【0080】
次に、DC-CD8+細胞の共培養を約11日間行い、IL-7/IL-15が施された専用培地で培養する。
【0081】
それから、11日以降に確保されたT細胞のセルカウント(cell counting)をし、セルカウントが完了した後、抗原を再処理し、T細胞で発現されるIFN-gammaの発現可否をELISPOTを通じて解析を行う。
【0082】
図3は、検証プラットフォームで解析した抗原特異的T細胞の検証結果を示すものである。このとき、Neopepseeに対する抗原検証能力を確認するためのものであって、患者20名(HLA-A型がA*:24:02患者)に対する代表的な抗原を樹状細胞に認識させ、T細胞を教育させた後、実際に腫瘍抗原に対する反応があるかどうかを確認するためのELISPOT検証実験を行った。その結果、90%以上の抗原検証能力があることが確認された。
【0083】
より具体的には、全世界中で最も多くの割合を占めるHLA-A型のA*24.02でもって実験を行った。20名の患者を対象とした患者別の特異抗原をNeopepseeで予測し、合計41個の抗原をDCに認識させ、T細胞を教育させた後、この抗原に対する反応程度をチェックした結果、41個の抗原中の3個を除き、それぞれの腫瘍の抗原に反応を示した。さらに、抗原に対するIFN-gammaのスポット(spot)数および表面積(activity)で表すことができ、IFN-gammaのスポット数が多いほど抗原に対する提示(presenting)が良好であることを意味することができ、表面積は抗原に対するIFN-gammaの量を意味することができる。さらに、何も処理していない群におけるT細胞のIFN-gammaの発現程度をカットオフ(cut-off)として陽性を判断した。
【0084】
そこで、
図3を参照すると、Neopepseeで予測するように、抗原に対するIFN-gammaの発現予測度は、IFN-gammaの発現を基準に90%以上の予測率を有することが示される。20名の患者を対象とした患者別に特異抗原をNeopepseeで予測し、41種の抗原に対する反応性を予測した結果、90%以上の腫瘍抗原に対する反応が確認された。
【0085】
以上の結果から、予測力の高い腫瘍特異抗原を選別することができ、これを基に細胞治療薬の開発および検証が可能である。
【0086】
EGFR突然変異腫瘍に対する特異抗原の確保
【0087】
以下では、
図4aおよび4bを参照し、EGFR突然変異腫瘍に対する特異抗原について説明する。
【0088】
図4aおよび4bは、L858Rを標的とするHLA-Aと抗原配列(sequences)の結果を示すものである。
【0089】
図4aを参照すると、EGFRに対するL858R突然変異を認識できる抗原は、Neopepseeを通じて選別され、EGFRに対するL858R突然変異ペプチドと野生型(wild、WT)のペプチドを生産し、EGFRに対するL858R突然変異を認識できる抗原を12個のmajor HLA-Aに適用し、9~11merに対する抗原予測程度をMHC結合親和性(binding affinity)を通じて検証した。
【0090】
前述した過程により、HLA-A*2402、HLA-A*0201、HLA-A*3303、HLA-A*1101、HLA-A*0206およびHLA-A*3101を含むHLA-Aが選別され、これらはいずれも5%以上の高い頻度を有することが示され、このうちの10%以上の頻度を有するHLA-A*2402、HLA-A*0201およびHLA-A*3303を選択し、EGFRに対するL858R突然変異を含む計患者10名のサンプルから抗原を導き出すことを試みた。
【0091】
そこで、
図4bを参照すると、EGFRに対するL858R突然変異を含む計 患者10名のサンプルは、HLA-A*2402およびHLA-A*0201とは異なり、全部共通してHLA-A*3303を含むことが示されることにより、HLA-A*3303が選択され、これに対する抗原を確認した。
【0092】
結局、HLA-A*3303に基づく患者のサンプルからHVKITDFGR配列の抗原が同様の反応(結果)を有するものであることが示されたことによって、EGFRに対するL858R突然変異に対する標的抗原をHVKITDFGRとして選定された。
【0093】
以上の結果から、予測力の高い腫瘍特異抗原を選別することができ、これに基づいて細胞治療薬の開発および検証が可能である。
【0094】
T細胞受容体(T cell receptor、TCR)
【0095】
以下では、
図5a~
図7を参照し、EGFR突然変異腫瘍に対する特異抗原を標的することができるTCRについて説明する。このとき、EGFR突然変異腫瘍に対する特異抗原を標的することができるTCRを確認するため、EGFR-L858Rに特異的T細胞を生産し、生産されたT細胞をテトラマー(Tetramer)を用いて分離(sorting)した。さらに、分離された細胞は、単一細胞RNA解析法により解析された。
【0096】
より具体的には、まず、個体の血液からCD14+陽性細胞を分離し、EGFR-MT抗原(9mer)と共に培養し、抗原提示を誘導した後、同一個体のCD8+陽性細胞とも14日間共培養した後、ELISPOTを通じてEGFR-L858Rに特異的T細胞の存在を確認した。さらに、テトラマーを用いてEGFR-MT 9mer-MHC-1 complexと結合できるT細胞を選別(sorting)した後、scRNA seq/VDJを通じてそのTCRに対する配列を確保した。
【0097】
まず、
図5a~
図5dを参照し、EGFR L858R突然変異抗原に特異的T細胞選別過程について説明する。
【0098】
図5aは、EGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマーに特異的に付着する腫瘍特異的T細胞に対する結果である。このとき、説明の都合上、
図5b~
図5dを参照にして説明する。さらに、TCRを確認するために、A*33:03/A*02.06を含む個体から試料を採取した。
【0099】
EGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマーに特異的に付着する腫瘍特異的T細胞(EGFR-L858R-A*33:03テトラマー陽性T細胞)は、記憶T細胞(memory T cells)であって、CD44+CCR7+セントラルメモリー細胞(central memory T cells、Tcm)およびCD44+CCR7-エフェクターメモリー細胞(effector memory T cells、Tem)とこれが混合した細胞(Tcm and Tem mixed、CD44+CCR7+/-)を含むことが示された。
【0100】
より具体的には、
図5b~
図5dを参照すると、1aにて述べたT細胞における細胞活性因子に対する発現結果が示されている。
【0101】
まず、
図5bを参照すると、EGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマーに特異的に結合する腫瘍特異的T細胞(EGFR-L858R-A*33:03テトラマー陽性T細胞)は、CD8a、CD4、CD44およびCD62Lを発現することが示され、これは、成熟T細胞因子であるため、EGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマーに特異的に付着する腫瘍特異的T細胞(EGFR-L858R-A*33:03テトラマー陽性T細胞)が成熟したT細胞であることを意味することができる。
【0102】
次に、
図5cを参照すると、EGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマーに特異的に付着する腫瘍特異的T細胞(EGFR-L858R-A*33:03テトラマー陽性T細胞)は、CD25およびCD69を発現することが示され、これは、細胞活性因子であるため、EGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマーに特異的に付着する腫瘍特異的T細胞(EGFR-L858R-A*33:03テトラマー陽性T細胞)は、活性化したエフェクターT細胞であること(effector T cel)を意味することができる。
【0103】
次に、
図5dを参照すると、EGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマーに特異的に付着する腫瘍特異的T細胞(EGFR-L858R-A*33:03テトラマー陽性T細胞)は、CCR7、IFN-gammaおよびGranzyme-Bを発現することが示される。
【0104】
このとき、CCR7は、メモリー細胞因子であるため、EGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマーに特異的に付着する腫瘍特異的T細胞(EGFR-L858R-A*33:03テトラマー陽性T細胞)はメモリーT細胞であって、長時間体内で生存し、2次免疫応答を惹起することを意味することができる。
【0105】
さらに、IFN-gammaおよびGranzyme-Bは、細胞毒性因子であるため、EGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマーに特異的に付着する腫瘍特異的T細胞(EGFR-L858R-A*33:03テトラマー陽性T細胞)は、サイトカイン(cytokine)を分泌できるT細胞であることを意味することができる。
【0106】
そこで、本発明の一実施形態によるEGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマーに特異的に付着する腫瘍特異的T細胞(EGFR-L858R-A*33:03テトラマー陽性T細胞)は、L858R突然変異を含む腫瘍に対するin vivo免疫応答において、活性化されたT細胞を意味し、これによって、L858R突然変異を含む腫瘍に抗癌効果を有することができる。
【0107】
以下では、
図6および7を参照し、EGFR L858R突然変異抗原に特異的T細胞に対する受容体(TCR)について説明する。このとき、EGFR L858R突然変異抗原に特異的T細胞に対する受容体配列は、
図5a~
図5dの過程を通じて選別されたT細胞における細胞キラー因子の発現に基づいて導かれた。
【0108】
より具体的には、
図6は、抗原(EGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマー)に特異的に活性が誘導されたT細胞の細胞キラー因子に対する結果である。
【0109】
まず、
図6の(a)を参照すると、EGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマーに特異的に付着する腫瘍特異的T細胞(EGFR-L858R-A*33:03テトラマー陽性T細胞)のうち、細胞キラー因子を発現する細胞は、約800個の全細胞中、10~15%程度を示すことが示され、活性された全細胞中、約27%程度の割合を示すことが示される。すなわち、EGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマーに特異的に付着する腫瘍特異的T細胞(EGFR-L858R-A*33:03テトラマー陽性T細胞)は、活性される場合、高い割合で細胞毒性(キラー)因子を発現することができることを意味することができ、これによって、腫瘍おいて、効果的に細胞毒性(キラー)効果を有することができる。
【0110】
したがって、
図6の(b)を参照すると、前述した細胞キラー因子を発現するT細胞中、細胞キラー因子が最も高く発現する細胞のみを選別した後、これらの相関関係を解析した。
【0111】
そこで、
図7を参照すると、抗原(EGFR-MT-L858R-HVKITDFGR-A*33:03テトラマー)に特異的に活性が誘導されたT細胞の受容体に対する分布図が示される。このとき、T細胞の受容体に対する解析は、
図2にて選別された細胞に基づいて行われ、単一細胞解析を通じてT細胞受容体の鎖に対するV、D、JおよびC構成配列を解析し、これに基づいてCDR3配列に対する配列解析を行った。まず、解析されたT細胞受容体は、計295種もの多様さを有し、このうちの上位10までのT細胞受容体鎖に対する解析結果は、以下の[表1]に示されており、TRAV23/DV6およびTRBV18に対する組み合わせとTRAV24およびTRBV19に対する組み合わせが最も高い頻度を有することを示す。
【0112】
【0113】
さらに、前述した[表1]の解析結果に基づいて、生成されたCDR3に対する配列は、以下の[表2]に示しており、これらは全部、細胞キラー因子を発現するT細胞に基づいて選別されたことによって、配列番号1~12のアミノ酸配列から構成されたTCRα鎖可変領域のCDR3および配列番号13~24のアミノ酸配列から構成されたTCRβ鎖可変領域のCDR3を含む場合、EGFR L858R突然変異腫瘍に対する抗癌効果を有することができる。このとき、[表2]の順序は、細胞キラー因子(IFN-gamma、Granzyme-B)の発現率によって羅列した(ランク1が最も高い発現率)。
【0114】
さらに、EGFR L858R突然変異腫瘍に対する抗癌効果がより効果的なTCRは、配列番号1~8のアミノ酸配列から構成されたTCRα鎖可変領域のCDR3および配列番号13~20のアミノ酸配列から構成されたTCRβ鎖可変領域のCDR3を含むTCRであってもよい。
【0115】
このとき、細胞キラー因子の発現レベル(分泌能)は、配列番号1および2のアミノ酸配列から構成されたTCRα鎖可変領域のCDR3および配列番号13および14のアミノ酸配列から構成されたTCRβ鎖可変領域のCDR3を含むTCRが最も高いことが開示されているが、配列番号3~12のアミノ酸配列から構成されたTCRα鎖可変領域のCDR3および配列番号15および24のアミノ酸配列から構成されたTCRβ鎖可変領域のCDR3を含むTCRの細胞キラー因子に対する発現レベルは、類似することが示されている。
【0116】
そこで、配列番号1~12のアミノ酸配列から構成されたTCRα鎖可変領域のCDR3を含むTCRの細胞キラー効果は同じであってもよく、配列番号13~24のアミノ酸配列から構成されたTCRβ鎖可変領域のCDR3を含むTCRの細胞キラー効果もまた同じであってもよい。
【0117】
EGFR L858R突然変異腫瘍に対する抗癌効果が最も効果的なTCRは、配列番号1および2のアミノ酸配列から構成されたTCRα鎖可変領域のCDR3および配列番号13および14のアミノ酸配列から構成されたTCRβ鎖可変領域のCDR3を含むTCRであってもよい。
【0118】
【0119】
以上の結果によって、前述した配列番号1~12のアミノ酸配列から構成されたTCRα鎖可変領域のCDR3および配列番号13~24のアミノ酸配列から構成されたTCRβ鎖可変領域のCDR3を含む本発明の一実施形態によるTCRは、高い頻度で発現されるCDR3を含むことにより、EGFR-L858R突然変異抗原(HVKITDFGR-A*33:03)をより正確に標的することができ、本発明の一実施形態によるTCRは、細胞キラー因子の発現もまた非常に高いので、EGFR-L858R突然変異抗原を含む腫瘍において、より効果的な抗癌反応(腫瘍細胞アポトーシス効果)を有することができる。
【0120】
NK細胞
【0121】
以下では、
図8~
図14bを参照し、EGFR突然変異腫瘍に対する特異抗原を標的することができるTCRおよびFc受容体を含むNK細胞について説明する。
【0122】
まず、
図8を参照すると、Tフラスコ培養時、NK-92細胞株に対する結果を示す。このとき、NK細胞は、NK-92細胞であり、X-vivo10培地またはXuri T細胞培地を用いて培養され、より具体的には、培養液はX-vivo10またはXuri T細胞培地に1~10%ヒトAB血清、100~2000U/mlIL-2、0.1~5mMのL-アスパラギン酸、0.1~5mMのL-グルタミン、0.1~5mMのL-セリンが添加され、これらの容量はこれに制限されるものではない。さらに、NK-92細胞は、2.5×10
5cells/mlの濃度で継代培養し、Tフラスコに培養し、3日おきに継代培養した。さらに、細胞増殖は、ヘマトサイトメーターを用いて細胞個数を測定し、細胞生存率は、トリパンブルー染色または細胞死マーカーのPIで染色し、フローサイトメトリーを用いて確認し、細胞増殖効率は、細胞増殖因子であるKI67で染色し、フローサイトメトリーを用いて確認した。前述した過程は、
図8および
図9と同様に行われた。
【0123】
NK-92細胞の細胞密度(cell density)は、継代培養により培養22日目まで1×105~1×106cells/mlで一定に維持されることが示されており、これを増殖倍数(fold expansion)としてみると、NK-92細胞の数は、培養22日間で126倍増加したことが示された。さらに、細胞生存率(cell viability)は、培養22日目まで80~100%で一定に維持されることが示され、細胞分化能(cell proliferation)もまた培養22日目まで70~85%で一定に維持されることが示された。
【0124】
その次に、
図9を参照すると、FBSおよびIL-2の濃度によるNK-92の増殖効率に対する結果を示す。
【0125】
まず、
図9の(a)および(b)を参照すると、FBS濃度によるNK-92の増殖効率は、FBSが5%添加された場合が最も良いことが示された。さらに、
図13aおよび
図13bを参照すると、IL-2濃度によるNK-92の増殖効率は、IL-2が1000U/ml添加された場合が最も良いことが示された。すなわち、NK-92細胞において、FBSおよびIL-2が高いほど、増殖効率が高くなることが示されており、NK-92細胞の増殖効率を最も好ましく高めることができるFBSおよびIL-2の濃度は、それぞれ5%および1000U/mlであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0126】
図10を参照すると、培養方法によるNK-92細胞株の細胞増殖効率に対する結果を示す。このとき、NK-92細胞は、効果的な増殖のため、細胞増殖装置であるXuri W-25装置を用いて培養された。このとき、NK-92の培養液は前述した
図11a~
図15bにて用いられた培養液と同じであり、Xuri W-25装置に2L~10Lサイズのperfusion bagを取り付けてから培養液を接種して安定化させた。さらに、培養液の温度およびpHが安定化した後、0.5~1.0×10
8cells/bagのNK-92細胞が接種され、培養環境条件は、2から2RPMで攪拌(shaking)されるように設定された。また、細胞生存率、細胞増殖率、細胞個数は、細胞接種以後、12時間毎に測定し、2日おきに培養液の半分をフィルターを通じて除去した後、新規な培養液を接種し、最終的に2Lのperfusion bagには1Lの、10Lのperfusion bagには5Lの培養液で細胞を培養した。さらに、0.5~1.0×10
10細胞数に到達したとき、細胞収穫装置であるSefia S-2000を用いてNK-92細胞を収穫した後、細胞の生存率、細胞増殖率、細胞の個数を測定した。
【0127】
図10の(a)を参照すると、細胞密度は、optimization 10L scaleで培養した場合が最も速く1*10
2の細胞密度に到達することが示され、このとき、100倍に至るまでの時間は一般的なTフラスコ培養よりも11日短縮されたことが示された。さらに、
図10の(b)を参照すると、増殖倍数は、optimization 10L scaleで培養した場合が、最も速く1*10
10の増殖倍数に到達することが示され、このとき、1*10
10に至るまでの時間は一般的なTフラスコ培養よりも11日短縮されたことが示された。そこで、NK-92細胞は、Xuri W-25装置において、optimization 10L scale培養した場合、より速い時間内に多くの数を獲得することができる。
【0128】
図11aおよび11bを参照すると、培養条件によるNK-92細胞株およびFc受容体を発現するNK-92細胞株の活性因子および毒性因子に対する結果を示す。このとき、NK-92細胞の細胞活性表面因子、細胞毒性因子およびケモカイン受容体を確認するためにそれぞれのアンチボディで染色した後、フローサイトメトリーを用いて確認した。より具体的には、細胞活性表面因子は、NKG2D、NKp30、NKp44およびNKp46を用いて確認し、細胞毒性因子は、CD107、グランザイムB(Granzyme B)およびパーフォリン(Perforin)を通じて確認した。
【0129】
図11aを参照すると、培養条件によるNK-92細胞株の活性因子および毒性因子に対する結果を示す。NK-92は、Xuri培地で培養された場合、細胞活性表面因子であるNKG2D、NKp30、NKp44およびNKp46と細胞毒性因子であるCD107、グランザイムBおよびパーフォリンが全部発現することが示される。これと同様に、NK-92は、X-vivo培地で培養された場合、細胞活性表面因子であるNKG2D、NKp30、NKp44およびNKp46と細胞毒性因子であるCD107、グランザイムBおよびパーフォリンが全部発現することが示された。
【0130】
さらに、
図11bを参照すると、培養条件によるFc受容体を発現するNK-92細胞株の活性因子および毒性因子に対する結果を示す。Fc受容体を発現するNK-92は、Xuri培地で培養された場合、細胞活性表面因子であるNKG2D、NKp30、NKp44およびNKp46と細胞毒性因子であるCD107、グランザイムBおよびパーフォリンが全部発現することが示される。これと同様に、Fc受容体を発現するNK-92は、X-vivo培地で培養された場合、細胞活性表面因子であるNKG2D、NKp30、NKp44およびNKp46と細胞毒性因子であるCD107、グランザイムBおよびパーフォリンが全部発現することが示された。
【0131】
以上の結果によって、NK-92細胞株およびFc受容体を発現するNK-92細胞株は、Xuri培地およびX-vivo培地の全部で培養される場合、細胞の活性および細胞毒性の機能を全部発現することができる。
【0132】
図12を参照すると、タンパク質発現プロモーターによるNK-92細胞のGFP発現効率に対する結果を示す。このとき、NK-92細胞にてT細胞受容体の発現のためのプロモーターを選別するため、それぞれのプロモーターによるタンパク質発現を確認した。より具体的には、電気穿孔法およびpCAG-GFP、pEF-1α-GFP、pCMV-GFPプラスミドを用いてNK-92細胞を形質転換させた。このとき、プラスミドの濃度は、1×10
6cell当たり2ugであってもよいが、これに制限されるものではない。次に、形質導入後、24時間後にフローサイトメトリーおよびCAG、EF-1α、CMVなどを用いてGFPタンパク質の発現を確認した。
【0133】
GFPに対する発現率は、pCMVプロモーターが最も高いことが示されたことによって、NK-92細胞におけるT細胞受容体の発現のためのプロモーターは、pCMVが最も好ましい。
【0134】
図13aおよび
図13bは、NK-92細胞にてケモカイン受容体の発現に対する結果を示すものである。このとき、ケモカイン受容体は、
図11a~
図11bと同様の方法で、フローサイトメトリーおよびケモカイン受容体であるCCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、CX3CR1を通じて発現が確認された。まず、
図13aを参照すると、前述した培養条件および方法により培養されたNK-92細胞は、ケモカイン受容体であるCCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8およびCCR9を発現することが示される。
【0135】
さらに、
図13bを参照すると、NK-92細胞は、ケモカイン受容体であるCXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6およびCX3CR1を発現することが示された。
【0136】
そこで、前述した培養条件および方法により培養されたNK-92細胞は、ケモカイン受容体を発現することによって、後天性免疫応答を活性化させることができる。
【0137】
図14aおよび
図14bは、NK-92細胞におけるCD3分子およびT細胞受容体分子の発現に対する結果を示すものである。このとき、電気穿孔法およびpCMV-CD3γT2AδF2AεP2AζプラスミドとpCMV-TCRαT2Aβプラスミドを用いてNK-92細胞を形質転換させた。このとき、プラスミドの濃度は、1×10
6cell当たり2ugであってもよいが、これに制限されるものではない。次いで、形質導入後、24時間後にフローサイトメトリーを用いてCD3分子およびT細胞受容体分子の発現を確認した。
【0138】
まず、
図14aを参照すると、CD3分子を発現するNK-92細胞は、全NK-92細胞に対して28.8%を示すことが示される。すなわち、T細胞抗原受容体の補助タンパク質鎖であるCD3がNK-92細胞にて発現されることによって、前述した過程によりNK-92細胞にTCRが安定的に形質導入されたことを意味することができる。
【0139】
次に、
図14bを参照すると、T細胞受容体を発現するNK-92細胞は、全NK-92細胞に対して8.3%を示すことが示される。すなわち、T細胞抗原受容体がNK-92細胞にて発現されることによって、前述した過程によりNK-92細胞にTCRが安定的に形質導入されたことを意味することができる。
【0140】
以上の過程を通じて本発明は、固形癌、特に、EGFR突然変異を含む肺癌をより効果的に標的化することができるTCRおよびこれを含む免疫細胞すなわち、NK細胞を提供することができ、これを通じて抗癌効果を向上させることができる。
【0141】
結局、本発明の免疫細胞は、前述したTCRを含むことにより、EGFR突然変異を含む肺癌をより効果的に標的化できることによって、標的化された癌細胞に対する抗癌効果をさらに向上させることができる。
【0142】
本発明の一実施形態によるTCRおよびこれを含むNK細胞
【0143】
以下では、
図15aおよび
図15bを参照し、本発明の一実施形態によるTCR(配列番号1~12のアミノ酸配列から構成されたTCRα鎖可変領域のCDR3および配列番号13~24のアミノ酸配列から構成されたTCRβ鎖可変領域のCDR3を含むTCRおよびこれを含むNK細胞の構成について具体的に説明する。
【0144】
図15aは、本発明の一実施形態によるTCR配列を発現させるためのレンチウィルスベクターマップである。
【0145】
このとき、NK-92細胞への形質導入(EGFR-L858R突然変異抗原(HVKITDFGR-A*33:03)に特異的に活性が誘導されるTCRの配列を発現)のために、レンチウィルスベクターが用いられ、形質導入において使用できるベクターは、レンチウィルスベクターに限定されるものでなく、当業界で形質導入に使用しうる多様なベクターを全部使用することができる。
【0146】
本発明の一実施形態によるTCRの配列発現のためのレンチウィルスベクター配列:
AAATACCGCACAGATGCGTAAGGAGAAAATACCGCATCAGGCGCCATTCGCCATTCAGGCTGCGCAACTGTTGGGAAGGGCGATCGGTGCGGGCCTCTTCGCTATTACGCCAGCTGGCGAAAGGGGGATGTGCTGCAAGGCGATTAAGTTGGGTAACGCCAGGGTTTTCCCAGTCACGACGTTGTAAAACGACGGCCAGTGCCAAGCTG-3'(配列番号50)
【0147】
さらに、ベクターは、CD3分子の構成要素とTCRαおよびベータの構成要素を含むことができる。
【0148】
そこで、
図15bを参照すると、本発明の一実施形態によるTCR配列を発現させるためのCD3分子およびT細胞受容体の核酸配列に対する模式図が示されている。
【0149】
本発明の一実施形態によるTCR配列を発現させるためのCD3分子およびT細胞受容体の核酸配列に対する構成要素は、各要素は独立した発現のために、Furin+x2A配列およびIRES配列で連結されている。
【0150】
本発明の一実施形態によるTCRの配列発現のためのTCRα核酸配列(TRAV23/DV6):5'-ATGGAGACCCTCTTGGGCCTGCTTATCCTTTGGCTGCAGCTGCAATGGGTGAGCAGCAAACAGGAGGTGACGCAGATTCCTGCAGCTCTGAGTGTCCCAGAAGGAGAAAACTTGGTTCTCAACTGCAGTTTCACTGATAGCGCTATTTACAACCTCCAGTGGTTTAGGCAGGACCCTGGGAAAGGTCTCACATCTCTGTTGCTTATTCAGTCAAGTCAGAGAGAGCAAACAAGTGGAAGACTTAATGCCTCGCTGGATAAATCATCAGGACGTAGTACTTTATACATTGCAGCTTCTCAGCCTGGTGACTCAGCCACCTACCTC[TGTGCAGCAACAGGAACCTACAAATACATCTTT]GGAAGAGGAACCAGCCTTATTGTTCATCCGTATATCCAGAACCCTGACCCTGCCGTGTACCAGCTGAGAGACTCTAAATCCAGTGACAAGTCTGTCTGCCTATTCACCGATTTTGATTCTCAAACAAATGTGTCACAAAGTAAGGATTCTGATGTGTATATCACAGACAAAACTGTGCTAGACATGAGGTCTATGGACTTCAAGAGCAACAGTGCTGTGGCCTGGAGCAACAAATCTGACTTTGCATGTGCAAACGCCTTCAACAACAGCATTATTCCAGAAGACACCTTCTTCCCCAGCCCAGAAAGTTCCTGTGATGTCAAGCTGGTCGAGAAAAGCTTTGAAACAGATACGAACCTAAACTTTCAAAACCTGTCAGTGATTGGGTTCCGAATCCTCCTCCTGAAAGTGGCCGGGTTTAATCTGCTCATGACGCTGCGGCTGTGGTCCAGC-3'(配列番号51)
【0151】
本発明の一実施形態によるTCRの配列発現のためのTCRβ核酸配列(TRBV18):5'-ATGAGCATCGGCCTCCTGTGCTGTGCAGCCTTGTCTCTCCTGTGGGCAGGTCCAGTGAATGCTGGTGTCACTCAGACCCCAAAATTCCAGGTCCTGAAGACAGGACAGAGCATGACACTGCAGTGTGCCCAGGATATGAACCATGAATACATGTCCTGGTATCGACAAGACCCAGGCATGGGGCTGAGGCTGATTCATTACTCAGTTGGTGCTGGTATCACTGACCAAGGAGAAGTCCCCAATGGCTACAATGTCTCCAGATCAACCACAGAGGATTTCCCGCTCAGGCTGCTGTCGGCTGCTCCCTCCCAGACATCTGTGTACTTC[TGTGCCAGCTCACCGGAGTTTGCGAGGGCGCTGGACAATCAGCCCCAGCATTTT]GGCCCAGGCACCCGGCTGACAGTGCTCGAGGACCTGAAAAACGTGTTCCCACCCGAGGTCGCTGTGTTTGAGCCATCAGAAGCAGAGATCTCCCACACCCAAAAGGCCACACTGGTATGCCTGGCCACAGGCTTCTACCCCGACCACGTGGAGCTGAGCTGGTGGGTGAATGGGAAGGAGGTGCACAGTGGGGTCAGCACAGACCCGCAGCCCCTCAAGGAGCAGCCCGCCCTCAATGACTCCAGATACTGCCTGAGCAGCCGCCTGAGGGTCTCGGCCACCTTCTGGCAGAACCCCCGCAACCACTTCCGCTGTCAAGTCCAGTTCTACGGGCTCTCGGAGAATGACGAGTGGACCCAGGATAGGGCCAAACCCGTCACCCAGATCGTCAGCGCCGAGGCCTGGGGTAGAGCAGACTGTGGCTTCACCTCCGAGTCTTACCAGCAAGGGGTCCTGTCTGCCACCATCCTCTATGAGATCTTGCTAGGGAAGGCCACCTTGTATGCCGTGCTGGTCAGTGCCCTCGTGCTGATGGCCATGGTCAAGAGAAAGGATTCCAGAGGCTAG-3'(配列番号52)
【0152】
このとき、配列番号51および52は、それぞれ本発明の一実施形態によるTCRである配列番号1および13のアミノ酸配列に対する核酸配列(配列番号25および37)を含んでおり、配列番号51および52に対するアミノ酸配列は、以下の配列番号55および56の通りである([ ]で表示)。
【0153】
本発明の一実施形態によるTCRの配列発現のためのTCRαアミノ酸配列(TRAV23/DV6):METLLGLLILWLQLQWVSSKQEVTQIPAALSVPEGENLVLNCSFTDSAIYNLQWFRQDPGKGLTSLLLIQSSQREQTSGRLNASLDKSSGRSTLYIAASQPGDSATYL[CAATGTYKYIF]GRGTSLIVHPYIQNPDPAVYQLRDSKSSDKSVCLFTDFDSQTNVSQSKDSDVYITDKTVLDMRSMDFKSNSAVAWSNKSDFACANAFNNSIIPEDTFFPSPESSCDVKLVEKSFETDTNLNFQNLSVIGFRILLLKVAGFNLLMTLRLWSS(配列番号55)
【0154】
本発明の一実施形態によるTCRの配列発現のためのTCRβアミノ酸配列(TRBV18):MSIGLLCCAALSLLWAGPVNAGVTQTPKFQVLKTGQSMTLQCAQDMNHEYMSWYRQDPGMGLRLIHYSVGAGITDQGEVPNGYNVSRSTTEDFPLRLLSAAPSQTSVYF[CASSPEFARALDNQPQHF]GPGTRLTVLEDLKNVFPPEVAVFEPSEAEISHTQKATLVCLATGFYPDHVELSWWVNGKEVHSGVSTDPQPLKEQPALNDSRYCLSSRLRVSATFWQNPRNHFRCQVQFYGLSENDEWTQDRAKPVTQIVSAEAWGRADCGFTSESYQQGVLSATILYEILLGKATLYAVLVSALVLMAMVKRKDSRG-3'(配列番号56)
【0155】
本発明の一実施形態によるTCRの配列発現のためのTCRα核酸配列(TRAV24):5'-ATGGAGACCCTCTTGGGCCTGCTTATCCTTTGGCTGCAGCTGCAATGGGTGAGCAGCAAACAGGAGGTGACGCAGATTCCTGCAGCTCTGAGTGTCCCAGAAGGAGAAAACTTGGTTCTCAACTGCAGTTTCACTGATAGCGCTATTTACAACCTCCAGTGGTTTAGGCAGGACCCTGGGAAAGGTCTCACATCTCTGTTGCTTATTCAGTCAAGTCAGAGAGAGCAAACAAGTGGAAGACTTAATGCCTCGCTGGATAAATCATCAGGACGTAGTACTTTATACATTGCAGCTTCTCAGCCTGGTGACTCAGCCACCTACCTC[TGTGCCTTTATAGGCCATGGAGGAAGCCAAGGAAATCTCATCTTT]GGAAGAGGAACCAGCCTTATTGTTCATCCGTATATCCAGAACCCTGACCCTGCCGTGTACCAGCTGAGAGACTCTAAATCCAGTGACAAGTCTGTCTGCCTATTCACCGATTTTGATTCTCAAACAAATGTGTCACAAAGTAAGGATTCTGATGTGTATATCACAGACAAAACTGTGCTAGACATGAGGTCTATGGACTTCAAGAGCAACAGTGCTGTGGCCTGGAGCAACAAATCTGACTTTGCATGTGCAAACGCCTTCAACAACAGCATTATTCCAGAAGACACCTTCTTCCCCAGCCCAGAAAGTTCCTGTGATGTCAAGCTGGTCGAGAAAAGCTTTGAAACAGATACGAACCTAAACTTTCAAAACCTGTCAGTGATTGGGTTCCGAATCCTCCTCCTGAAAGTGGCCGGGTTTAATCTGCTCATGACGCTGCGGCTGTGGTCCAGC-3'(配列番号53)
【0156】
本発明の一実施形態によるTCRの配列発現のためのTCRβ核酸配列(TRBV19):5'-ATGAGCATCGGCCTCCTGTGCTGTGCAGCCTTGTCTCTCCTGTGGGCAGGTCCAGTGAATGCTGGTGTCACTCAGACCCCAAAATTCCAGGTCCTGAAGACAGGACAGAGCATGACACTGCAGTGTGCCCAGGATATGAACCATGAATACATGTCCTGGTATCGACAAGACCCAGGCATGGGGCTGAGGCTGATTCATTACTCAGTTGGTGCTGGTATCACTGACCAAGGAGAAGTCCCCAATGGCTACAATGTCTCCAGATCAACCACAGAGGATTTCCCGCTCAGGCTGCTGTCGGCTGCTCCCTCCCAGACATCTGTGTACTTC[TGTGCCAGTAGTATGCAGGGGGCTATGAGTGAGCAGTTCTTC]GGCCCAGGCACCCGGCTGACAGTGCTCGAGGACCTGAAAAACGTGTTCCCACCCGAGGTCGCTGTGTTTGAGCCATCAGAAGCAGAGATCTCCCACACCCAAAAGGCCACACTGGTATGCCTGGCCACAGGCTTCTACCCCGACCACGTGGAGCTGAGCTGGTGGGTGAATGGGAAGGAGGTGCACAGTGGGGTCAGCACAGACCCGCAGCCCCTCAAGGAGCAGCCCGCCCTCAATGACTCCAGATACTGCCTGAGCAGCCGCCTGAGGGTCTCGGCCACCTTCTGGCAGAACCCCCGCAACCACTTCCGCTGTCAAGTCCAGTTCTACGGGCTCTCGGAGAATGACGAGTGGACCCAGGATAGGGCCAAACCCGTCACCCAGATCGTCAGCGCCGAGGCCTGGGGTAGAGCAGACTGTGGCTTCACCTCCGAGTCTTACCAGCAAGGGGTCCTGTCTGCCACCATCCTCTATGAGATCTTGCTAGGGAAGGCCACCTTGTATGCCGTGCTGGTCAGTGCCCTCGTGCTGATGGCCATGGTCAAGAGAAAGGATTCCAGAGGCTAG-3'(配列番号54)
【0157】
このとき、配列番号53および54は、それぞれ本発明の一実施形態によるTCRである配列番号2および14のアミノ酸配列に対する核酸配列(配列番号26および38)を含んでおり、配列番号53および54に対するアミノ酸配列は、以下の配列番号57および58の通りである([ ]で表示)。
【0158】
本発明の一実施形態によるTCRの配列発現のためのTCRαアミノ酸配列(TRAV24):METLLGLLILWLQLQWVSSKQEVTQIPAALSVPEGENLVLNCSFTDSAIYNLQWFRQDPGKGLTSLLLIQSSQREQTSGRLNASLDKSSGRSTLYIAASQPGDSATYL[CAFIGHGGSQGNLIF]GRGTSLIVHPYIQNPDPAVYQLRDSKSSDKSVCLFTDFDSQTNVSQSKDSDVYITDKTVLDMRSMDFKSNSAVAWSNKSDFACANAFNNSIIPEDTFFPSPESSCDVKLVEKSFETDTNLNFQNLSVIGFRILLLKVAGFNLLMTLRLWSS(配列番号57)
【0159】
本発明の一実施形態によるTCRの配列発現のためのTCRβアミノ酸配列(TRBV19):MSIGLLCCAALSLLWAGPVNAGVTQTPKFQVLKTGQSMTLQCAQDMNHEYMSWYRQDPGMGLRLIHYSVGAGITDQGEVPNGYNVSRSTTEDFPLRLLSAAPSQTSVYF[CASSMQGAMSEQFF]GPGTRLTVLEDLKNVFPPEVAVFEPSEAEISHTQKATLVCLATGFYPDHVELSWWVNGKEVHSGVSTDPQPLKEQPALNDSRYCLSSRLRVSATFWQNPRNHFRCQVQFYGLSENDEWTQDRAKPVTQIVSAEAWGRADCGFTSESYQQGVLSATILYEILLGKATLYAVLVSALVLMAMVKRKDSRG(配列番号58)
【0160】
前述した本発明の一実施形態によるTCRの配列は、NK細胞のみならず、T細胞、ナチュラルキラーT(natural killer T cell、NKT)、ヒト胚性幹細胞、造血幹細胞(hematopoietic stem cell、HSC)および人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells、iPS)などを含む多様な免疫細胞にて発現させ、使用することができ、これによって、このような本発明の一実施形態によるTCRの配列を含む免疫細胞は、EGFR-L858R突然変異抗原(HVKITDFGR-A*33:03)を含む多様な腫瘍細胞に対してより効果的な免疫応答および抗癌効果を有することができる。
【0161】
本発明の一実施形態によるTCRおよびこれを含むNK細胞に対する検証
【0162】
以下では、
図16a~
図18を参照し、本発明の一実施形態によるTCR(配列番号1~12のアミノ酸配列から構成されたTCRα鎖可変領域のCDR 3および配列番号13~24のアミノ酸配列から構成されたTCRβ鎖可変領域のCDR3を含む)およびこれを含むNK細胞の抗癌効果について具体的に説明する。
【0163】
このとき、NK細胞に発現させたTCRは、配列番号1および2のアミノ酸配列から構成されたTCRα鎖可変領域のCDR3および配列番号13および14のアミノ酸配列から構成されたTCRβ鎖可変領域のCDR3を含むTCRが用いられたが、これは、例示に過ぎず、配列番号1~12のアミノ酸配列から構成されたTCRα鎖可変領域のCDR3および配列番号13~24のアミノ酸配列から構成されたTCRβ鎖可変領域のCDR3を含むTCR間の細胞キラー効果は差異がないために選択的に使用することができる。
【0164】
図16aおよび
図16bは、本発明の一実施形態によるTCRの細胞活性を確認した結果である。
【0165】
まず、
図16aを参照すると、比較例1は、ノックアウト(Knockout)されたJurkat細胞が用いられ(control、TCRKO)、比較例2は、レンチウィルスを用いてノックアウトされたJurkat細胞にNY-ESO-1_HLA-A02:01抗原に特異的TCRを発現させた細胞(NY-ESO-1 2:01 TCR)が用いられた。さらに、実施形態1(L858R1 33:03 TCR)および2(L858R2 33:03 TCR)では、レンチウィルスを用いてノックアウトされたJurkat細胞に本発明の一実施形態によるTCRを発現させた細胞が用いられた。より具体的には、実施形態1(L858R1 33:03 TCR)は、配列番号1および13(TRAV23/DV6およびTRBV18に対する配列番号25および37の核酸配列)のアミノ酸配列を含む配列番号51および52の核酸配列に基づくTCRを発現させた細胞であり、実施形態2(L858R2 33:03 TCR)は、配列番号2および14(TRAV24およびTRBV19に対する配列番号26および38の核酸配列)のアミノ酸配列を含む配列番号53および54の核酸配列に基づいたTCRを発現させた細胞である。
【0166】
さらに、実施形態1および2(L858R1 33:03 TCRおよびL858R2 33:03 TCR)の場合、EGFR-L858R突然変異抗原(HVKITDFGR-A*33:03)テトラマーに特異的に反応し、IFN-gammaのような細胞キラー因子が分泌されるため、比較例1、2および実施形態1、2をNY-ESO-1_HLA-A02:01抗原テトラマー(tetramer)およびEGFR-L858R突然変異抗原(HVKITDFGR-A*33:03)テトラマー(tetramer)に露出させ、IFN-gammaの発現を測定した。
【0167】
そこで、
図16bを参照すると、比較例1(TCRKO Jurkat T cell)の場合、抗原を認知できるTCRを含まないため、IFN-gamma発現細胞(IFN-γ positive cells)がないことが示されており、比較例2(NY-ESO-1-TCRJurkat T cell)の場合、NY-ESO-1_HLA-A02:01抗原のみを認知できるTCRを含むため、NY-ESO-1_HLA-A02:01抗原でのみIFN-gamma発現細胞が存在することが示される。
【0168】
さらに、実施形態1および2(L858R1 33:03 TCRおよびL858R2 33:03 TCR)の場合、EGFR-L858R突然変異抗原(HVKITDFGR-A*33:03)を認知できる本発明の一実施形態によるTCRを含むことにより、EGFR-L858R突然変異抗原(HVKITDFGR-A*33:03)テトラマーに特異的に反応し、IFN-gammaが発現することが示される。
【0169】
すなわち、本発明の一実施形態によるTCRは、免疫細胞に発現され、EGFR-L858R突然変異抗原(HVKITDFGR-A*33:03)に特異的に反応し、IFN-gammaのような細胞キラー因子(サイトカイン)を分泌することができることを意味することができる。
【0170】
さらに、本発明の一実施形態によるTCRは、EGFR-L858R突然変異抗原(HVKITDFGR-A*33:03)以外のNY-ESO-1_HLA-A02:01抗原では、IFN-gammaの発現を誘導しないため、本発明が標的しようとするEGFR-L858R突然変異抗原(HVKITDFGR-A*33:03)に高度の標的化が可能であることを意味することができる。
【0171】
そこで、本発明の一実施形態によるTCRは、EGFR-L858R突然変異抗原(HVKITDFGR-A*33:03)を含む腫瘍において、より効果的に標的化が可能であることによって、本発明の一実施形態によるTCRを含む免疫細胞は、向上された抗癌効果を有することができる。
【0172】
図17aおよび
図17bは、本発明の一実施形態によるTCRを含むNK細胞に対する細胞キラー効果を確認した結果である。このとき、細胞キラー効果を確認するために、リアルタイム細胞アナライザー(Real-Time Cell Analyzer、RTCA)が用いられ、腫瘍細胞試料であって、EGFR-L858R突然変異抗原(HVKITDFGR-A*33:03)を発現する患者に由来する腫瘍細胞株であるYU1154(抗原特異的標的細胞)およびYU1094(抗原非特異的標的細胞、EGFR
mut HLA11:01)が使用された。さらに具体的には、解析装置の細胞培養プレートに前述した患者に由来の腫瘍細胞株である腫瘍細胞(target cell、T)を培養した後、NK-92細胞(effector cell、E)と一定の割合(T:E ratio)で共培養し、培養時間による細胞キラー(cytolysis)程度を測定した。このとき、NK-92細胞は、野生型(wild type、WT)NK-92細胞と本発明の一実施形態によるTCR(EGFR
mut HLA33:03-TCR、DAAN-01)を含むNK-92細胞を含み、これら間のキラー程度を比較した。さらに、以下では、説明の都合上、本発明の一実施形態によるTCRを含むNK-92細胞を実施形態と命名し、野生型(wild type、WT)NK-92細胞を比較例と命名し、説明する。
【0173】
まず、
図17aを参照すると、YU1154(抗原特異的標的細胞)に対する細胞キラー効果が示され、本発明の一実施形態によるTCRを含むNK細胞(TCR-NK)すなわち、実施形態の場合、比較例(野生型NK細胞)より高いキラー効果を有することが示された。
【0174】
より具体的には、
図17aの(a)を参照すると、本発明の実施形態は、標的細胞(腫瘍細胞)1に対して10および50の割合(TCR-NK1:10、1:50)で共培養された場合、6時間の間、約60%以上のキラー効果を有することが示された。これに対し、比較例は、標的細胞(腫瘍細胞)に対する割合に関係なく、全部50%以下のキラー効果を有することを示す。
【0175】
さらに、
図17aの(b)を参照すると、本発明の実施形態は、標的細胞(腫瘍細胞)1に対して10および50の割合(TCR-NK1:10、1:50)で共培養された場合、12時間の間、約70%以上のキラー効果を有することが示された。これに対し、比較例は、標的細胞(腫瘍細胞)に対する割合に関係なく、全部50%以下のキラー効果を有することを示す。
【0176】
さらに、
図17aの(c)を参照すると、本発明の実施形態は、標的細胞(腫瘍細胞)1に対して10および50の割合(TCR-NK1:10、1:50)で共培養された場合、72時間の間、約85%以上のキラー効果を有することが示された。これに対し、比較例は、標的細胞(腫瘍細胞)1に対して50の割合(WT-NK1:50)で共培養された場合を除いては、全部10%以下のキラー効果を有することが示され、標的細胞(腫瘍細胞)1に対して50の割合(WT-NK1:50)で共培養された場合でも、前述した本発明の実施形態より低い約80%のキラー効果のみを有することが示された。
【0177】
結局、本発明の一実施形態によるTCRを含むNK細胞は、EGFR-L858R突然変異抗原(HVKITDFGR-A*33:03)において、より効果的に細胞キラーを誘導することができ、これによって、EGFR-L858R突然変異抗原(HVKITDFGR-A*33:03)を含む腫瘍において、向上された抗癌効果を有することができる。
【0178】
次に、
図17bを参照すると、YU1094(抗原非特異的標的細胞)に対する細胞キラー効果が示され、本発明の一実施形態によるTCRを含むNK細胞(TCR-NK)すなわち、実施形態の場合、比較例(野生型NK細胞)より高いキラー効果を有することが示された。
【0179】
より具体的には、
図17bの(a)を参照すると、本発明の実施形態は、標的細胞(腫瘍細胞)1に対して10および50の割合(TCR-NK1:10、1:50)で共培養された場合、6時間の間、約40%以上のキラー効果を有することが示された。これに対し、比較例は、標的細胞(腫瘍細胞)に対する割合に関係なく、全部40%未満のキラー効果を有することを示す。
【0180】
さらに、
図17bの(b)を参照すると、本発明の実施形態は、標的細胞(腫瘍細胞)1に対して10および50の割合(TCR-NK1:10、1:50)で共培養された場合、12時間の間、約50%以上のキラー効果を有することが示された。これに対し、比較例は、標的細胞(腫瘍細胞)1に対して50の割合(WT-NK1:50)で共培養された場合を除いては、全部40%未満のキラー効果を有することが示され、標的細胞(腫瘍細胞)1に対して50の割合(WT-NK1:50)で共培養された場合にも前述した本発明の実施形態より約5%程低いキラー効果を有することが示された。
【0181】
さらに、
図17bの(c)を参照すると、本発明の実施形態は、標的細胞(腫瘍細胞)1に対して10および50の割合(TCR-NK1:10、1:50)で共培養された場合、72時間の間、約70%以上のキラー効果を有することが示された。これに対し、比較例はいずれも前述した本発明の実施形態(TCR-NK1:10、1:50)より低いキラー効果を有することが示された。
【0182】
結局、本発明の一実施形態によるTCRを含むNK細胞は、EGFR-L858R突然変異抗原(HVKITDFGR-A*33:03)において、より効果的に細胞キラーを誘導することができ、これによって、EGFR-L858R突然変異抗原(HVKITDFGR-A*33:03)を含む腫瘍において、向上された抗癌効果を有することができる。
【0183】
図18は、本発明の一実施形態によるTCRを含むNK細胞の腫瘍抑制効果を確認した結果である。このとき、腫瘍抑制効果は、EGFR-L858R突然変異抗原(HVKITDFGR-A*33:03)を発現するように誘導された患者に由来する腫瘍動物モデル(NOG mice implanted lung adenocarcinoma)から確認され、腫瘍動物モデルは、EGFR-L858R突然変異抗原(HVKITDFGR-A*33:03)を含む患者に由来する腫瘍組織を移植した後、腫瘍の大きさが100~150mm
3以上になるように4~5か月(month)飼育した後、標的の大きさに到達したとき、本発明の一実施形態によるTCRを含むNK-92細胞を注入(注射)した。さらに、本発明の一実施形態によるTCRを含むNK細胞の注入は、2回/週ずつ計4週間行われ、注入量は1回注射時、1*10
7~5*10
7の範囲で選択され、本発明の一実施形態によるTCRを含むNK細胞の注入容量は、細胞治療薬の方法によって多様に選択され、使用されることができる。また、比較例として、野生型NK-92細胞および抗癌薬物(competitive drug)、すなわち、CD16-NK-92細胞がそれぞれ注入され、使用された。
【0184】
図18を参照すると、本発明の一実施形態によるTCRを含むNK細胞(Daan NK cell therapy)を注入した場合、動物モデルの腫瘍体積(tumor volume)は、約200%以下であることが示され、これは、抗癌薬物(competitive drug)および野生型NK細胞処理より低い大きさであることが示された。
【0185】
すなわち、本発明の一実施形態によるTCRを含むNK細胞は、従来の抗癌薬物および一般的な免疫細胞の注入より腫瘍抑制において、効果的であることを意味することができ、特に、本発明の一実施形態によるTCRを含むNK細胞は、全身免疫細胞の注入に比べて統計学的に有意な差を有することによって(p<0.001)、EGFR-L858R突然変異抗原(HVKITDFGR-A*33:03)を含む腫瘍において、標的抗癌(免疫)効果が顕著に向上されたことを意味することができる(*=p<0.05、***=p<0.001)。
【0186】
以上、添付された図面を参照にして本発明の実施形態をより詳細に説明したが、本発明は、必ずしもこのような実施形態に制限されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することができる。したがって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するものではなく説明するためのものであり、このような実施形態によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。したがって、上記で説明した実施形態はあらゆる点で例示的なものであり、限定的なものではないことを理解すべきである。本発明の保護範囲は、以下の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-04-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0146
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0146】
本発明の一実施形態によるTCRの配列発現のためのレンチウィルスベクター配列:
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【国際調査報告】