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特表2023-545417特に業務用作業靴のための電気散逸性の取外し可能なインソール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】特に業務用作業靴のための電気散逸性の取外し可能なインソール
(51)【国際特許分類】
   A43B 7/36 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
A43B7/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521185
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(85)【翻訳文提出日】2023-04-04
(86)【国際出願番号】 IB2021059153
(87)【国際公開番号】W WO2022074575
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】102020000023824
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523123477
【氏名又は名称】ユー-パワー グループ エスピーエイ
【氏名又は名称原語表記】U-POWER GROUP S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100221899
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 みゆき
(72)【発明者】
【氏名】ピア フランコ ウゼニ
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050EA05
4F050HA56
4F050HA58
4F050HA88
4F050JA24
(57)【要約】
本発明は、電気散逸性材料で作られる少なくとも1つの下部層(3)と、当該下部層(3)上に重ね合わされる、天然繊維及び/又は合成繊維の布地で作られた少なくとも1つの上部層(5)と、を備える、特に業務用作業靴のための電気散逸性の取外し可能なインソール(1)に関する。本発明によれば、当該上部層(5)は、当該下部層(3)が作られた当該電気散逸性材料を露出させる1つ以上の開口部(7、8、9、10)を含み、業務用作業靴における当該取外し可能なインソール(1)の使用において、当該1つ以上の開口部(7、8、9、10)は、着用者の足の裏と当該下部層(3)が作られる当該電気散逸性材料とが直接接触できるように適合される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に業務用作業靴のための電気散逸性の取外し可能なインソール(1)であって、
電気散逸性材料で作られた少なくとも1つの下部層(3)と、
前記下部層(3)上に重ねられる、天然繊維及び/又は合成繊維の布地で作られた少なくとも1つの上部層(5)と、を備え、
前記上部層(5)は、前記下部層(3)が作られる前記電気散逸性材料を露出させる1つ以上の開口部(7、8、9、10)を含み、
業務用作業靴における前記取外し可能なインソール(1)の使用において、前記1つ以上の開口部(7、8、9、10)は、着用者の足の裏と前記下部層(3)が作られる前記電気散逸性材料とが直接接触できるように適合される、電気散逸性の取外し可能なインソール(1)。
【請求項2】
前記1つ以上の開口部(7、8、9、10)を通って露出する前記電気散逸性材料の総面積は、前記取外し可能なインソール(1)の総表面積の1%以上、好ましくは2%以上、更により好ましくは3%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の電気散逸性の取外し可能なインソール(1)。
【請求項3】
前記下部層(3)が作られる前記電気散逸性材料は、前記1つ以上の開口部(7、8、9、10)を通って、少なくとも前記取外し可能なインソール(1)の上面(2)まで現れることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気散逸性の取外し可能なインソール(1)。
【請求項4】
前記1つ以上の開口部(7、8、10)は、使用時に着用者の足の横足底アーチと接触するように適合された前記取外し可能なインソール(1)のゾーン(Z)に対応して配置されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の電気散逸性の取外し可能なインソール(1)。
【請求項5】
前記1つ以上の開口部(7、8、9、10)は、前記取外し可能なインソール(1)の横幅の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%を占めるように配置されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の電気散逸性の取外し可能なインソール(1)。
【請求項6】
前記1つ以上の開口部(7、8、9、10)は、複数の実質的に円形の孔(7)からなることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の電気散逸性の取外し可能なインソール(1)。
【請求項7】
前記1つ以上の開口部(7、8、9、10)は、単一の開口部(10)からなることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の電気散逸性の取外し可能なインソール(1)。
【請求項8】
前記1つ以上の開口部(7、8、9、10)の各々は、面積が7mm以上、好ましくは18mm以上であることを特徴とする、請求項2~7のいずれか一項に記載の電気散逸性の取外し可能なインソール(1)。
【請求項9】
前記1つ以上の開口部(7、8、9、10)を通って露出する前記電気散逸性材料の総面積は、前記取外し可能なインソール(1)の総表面積の15%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の電気散逸性の取外し可能なインソール(1)。
【請求項10】
前記取外し可能なインソール(1)の少なくとも前記下部層(3)を横断する複数の蒸散貫通孔(4)を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の電気散逸性の取外し可能なインソール(1)。
【請求項11】
前記下部層(3)が作られる前記電気散逸性材料は、前記取外し可能なインソール(1)の上面(2)上の前記開口部(7、8、9、10)を通って現れ、前記開口部(7、8、9、10)の周縁部に横方向に突出することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の電気散逸性の取外し可能なインソール(1)。
【請求項12】
前記開口部(7、8、9、10)を通って使用者の足に接触する導電性材料の表面積は、開口部(7、8、9、10)自体の面積よりも大きいことを特徴とする、請求項11に記載の電気散逸性の取外し可能なインソール(1)。
【請求項13】
対応する開口部(7、8、9、10)を通って前記インソール(1)の前記上面(2)上に現れ、前記開口部(7、8、9、10)の縁部に横方向に突出する導電性材料の表面積は、前記開口部(7、8、9、10)自体の面積の110%以上であることを特徴とする、請求項11又は12に記載の電気散逸性の取外し可能なインソール(1)。
【請求項14】
各面積が30mm以下の開口部(7、8、9、10)について、前記開口部(7、8、9、10)を通って前記取外し可能なインソール(1)の前記上面(2)上に現れ、前記開口部(7、8、9、10)の周縁部に横方向に突出する導電性材料の表面積は、前記開口部(7、8、9、10)自体の面積の150%以上であることを特徴とする、請求項11~13のいずれか一項に記載の電気散逸性の取外し可能なインソール(1)。
【請求項15】
面積が18mm以下の開口部(7、8、9、10)について、前記開口部(7、8、9、10)を通って前記取外し可能なインソール(1)の前記上面(2)上に現れ、前記開口部(7、8、9、10)の周縁部に横方向に突出する導電性材料の表面積は、前記開口部(7、8、9、10)自体の面積の2倍以上、好ましくは3倍以上であることを特徴とする、請求項11~13のいずれか一項に記載の電気散逸性の取外し可能なインソール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に業務用作業靴のための、電気散逸性の取外し可能なインソールに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、マイクロチップ若しくはトランジスタが組み立てられる電子制御機械のある環境、クリーンルーム、化学工業、又はより一般的には爆発若しくは火災のリスクがある環境で作業する作業者は、静電気現象に敏感な電子機器を保護するために、及び/又は突然放電して爆発若しくは火災を引き起こす可能性のある静電気の蓄積を防止するために、作業者の身体に存在する静電気を安全値内で確実に継続的に制御して散逸させることができる業務用履物を着用することが求められる。
【0003】
高い静電気散逸を保証するように適合された業務用作業靴は、「Electrostatic Discharge(静電気放電)」の頭文字から「ESD」履物と定義されることが多く、最大接地電気抵抗が低い点で帯電防止履物とは異なる。
【0004】
規格CEI EN 61340-5-1(「静電気学: パート5-1 静電気現象からの電子デバイスの保護一般要求事項」)では、ESD履物について、作業者が履く履物の靴/接地組立体の接地電気抵抗全体が10Ω未満(100メガオーム未満)と規定されている。
【0005】
CEI EN 61340-4-3(「静電気?第4-3部:特定応用のための標準的試験方法?履物」)では、着用者に存在する静電気電位を確認するために使用される、履物の電気抵抗を決定するための試験方法が記載されている。この方法は、履物単体の電気抵抗を全体として測定するもので、新しい履物の認定試験又は受入試験として、あるいは使用中の履物の定期的試験としても機能する。
【0006】
特に、この試験の結果に基づいて、靴は、例えば自動車産業の環境など、静電場に敏感な環境に入ることを許可される場合と許可されない場合がある。
【0007】
周知のように、業務用靴は、主にソール又はトレッド、おそらくいくつかの異なる層を重ねて作られるミッドソール、及びアッパーから構成される。必要に応じて、安全先芯を設けることもできる。
【0008】
また、全ての業務用靴は、取外し可能なインソール、又はフットベッド、又はインソール、あるいはフットベッドカバーさえもあり、これは使用者の足の裏に直接接触する靴の一部である。
【0009】
したがって、静電気放電から生じる危険からの保護に関する上述の規則の要件を満たす上で、取外し可能なインソールが着用者の身体と実際の業務用靴との間の主要なインターフェース要素を構成し、更にそれが次に土壌と接触するので、取外し可能なインソールの放熱特性及び電気伝導特性が特に重要であることは明らかである。
【0010】
現在、上述のESD履物規格に準拠した業務用作業靴に使用される取外し可能なインソールは、一般に、ポリウレタン又は他の同様の導電性材料の下部層を備え、その下部層は、使用者の足に接触したときに衛生と快適性の必要な品質を提供するように適合された天然繊維及び/又は合成繊維で作られた布地からなる上部層によって覆われている。
【0011】
下部導電層とは異なり、既知のタイプの取外し可能なインソールの上部布地層は、導電性ではなく逆に電気絶縁層を表す。その結果、取外し可能なインソールは、業務用靴全体として上述の静電気放電による危険からの保護に関する規則を確実に遵守できるようにするために、具体的な措置を講じなければならない。
【0012】
図8に概略的に例示する第1の解決策は、インソールの上部布地層に非常に太い導電糸を縫い付けて、着用者の足とポリウレタン又はその他の導電性材料の下部層とを確実に電気接触させることである。この非常に太い導電糸は、インソールのほぼ全幅をカバーし、一般に前足部に位置する。
【0013】
しかし、この周知の解決策は、縫い目が非常に太い導電糸でレリーフに作られているため、靴の快適性を悪化させるという課題があり、これは靴を履いている使用者にとって非常に不快である。加えて、このような縫い目を付けることで、取外し可能なインソールを製造する時間とコストが増加する。
【0014】
第2の解決策は、取外し可能なインソールの上部布地層を、その緯糸に複数の導電糸を使用して作ることであり、この導電糸は、布地の緯糸自体の中に一種の導電性ネットワークを画定する。この解決策は、着用者の快適性という点では従来の解決策よりも優れているが、導電糸のコストと布地自体を製造する複雑な作業のコストの両方により、非常に高い製造コストを伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の主な課題は、上記で概説した従来技術の限界を克服する、電気散逸性の取外し可能なインソールを作ることである。
【0016】
この課題の文脈において、本発明の目的は、従来技術と比較して、作るのが容易で経済的に競争力のある、電気散逸性の取外し可能なインソールを作ることである。
【0017】
本発明の別の目的は、使用者の快適性という点で最適な電気散逸性の取外し可能なインソールを作ることである。
【0018】
本発明の更なる目的は、使用時に信頼性と安全性を最大に保証することができる、電気散逸性の取外し可能なインソールを作ることである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述の課題、並びに上述の目的及び後に良く現れる他のものは、請求項1に記載されるような、特に業務用作業靴のための電気散逸性の取外し可能なインソールによって達成される。
【0020】
他の構成は、従属請求項に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による、電気散逸性の取外し可能なインソールの第1の実施形態の上面図である。
図2図1に示す取外し可能なインソールのII-II軸線に沿った断面図である。
図3図1に示す取外し可能なインソールのIII-III軸線に沿った断面図である。
図4】本発明による、電気散逸性の取外し可能なインソールの第2の実施形態の上面図である。
図5図4に表す取外し可能なインソールのV-V軸線に沿った断面図である。
図6】本発明による、電気散逸性の取外し可能なインソールの第3の実施形態の上面図である。
図7】本発明による、電気散逸性の取外し可能なインソールの第4の実施形態の上面図である。
図8】公知技術の教示に従って実現された、電気散逸性の取外し可能なインソールの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
更なる特徴及び利点は、添付の図面を用いて、指示的かつ非限定的な目的のために例示された、特に業務用作業靴のための電気散逸性の取外し可能なインソールの4つの好ましいが排他的ではない実施形態の説明からより明らかになるであろう。
【0023】
上述の図を参照すると、全体的に符号1で示される電気散逸性の取外し可能なインソールは、電気散逸性材料で作られた少なくとも1つの下部層3と、当該下部層3上に重ねられる、天然繊維及び/又は合成繊維の布地で作られた少なくとも1つの上部層5と、を備える。
【0024】
下部層5が作られる電気散逸性材料は、背景技術で言及した規格CEI EN 61340-5-1及びCEI EN 61340-4-3、特に規格CEI EN 61340-5-1:2016及びCEI EN 61340-4-3:2017に適合する接地電気抵抗値を有する。したがって、有利には、下部層5が作られる電気散逸性材料は、10Ω(100メガオーム)未満の接地電気抵抗を有する。
【0025】
本発明によれば、上部層5は、下部層3が作られる電気散逸性材料を露出させる1つ以上の開口部7、8、9、10を含む。業務用作業靴における取外し可能なインソール1の使用において、このような1つ以上の開口部7、8、9、10は、着用者の足の裏と下部層3が作られる電気散逸性材料とが直接接触できるように適合される。
【0026】
このように、1つ以上の開口部7、8、9、10を通して、着用者の足は、下部層3が作られる電気散逸性材料に常に直接接触する。その結果、業務用作業靴全体の接地電気抵抗の値は、インソール1自体に要求される快適性と衛生を保証するために必要な、電気絶縁布地の上部層5の存在によって影響を受けない。
【0027】
有利には、下部層3が作られる電気散逸性材料は、ポリウレタン、例えばポリウレタンフォームを含んでもよく、又はポリウレタン、例えばポリウレタンフォームのみからなってもよい。このような材料は、例えば粘弾性ポリウレタンフォームを含んでもよい。
【0028】
下部層3を作るのに適した他の種類の材料は、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)又はゴムであり得る。
【0029】
好ましくは、下部層3が作られる電気散逸性材料の開発には、材料の電気抵抗が確実に低くなるように適合された化学剤を使用することが含まれる。
【0030】
有利には、下部層3が作られ、当該1つ以上の開口部7、8、9、10を通って露出する導電性材料の総面積は、取外し可能なインソール1の総表面積の1%以上、好ましくは2%以上、更により好ましくは3%以上である。
【0031】
有利には、特に図2及び図3に例示するように、下部層3が作られる電気散逸性材料は、当該1つ以上の開口部7、8、9、10を通って、少なくとも取外し可能なインソール1の上面2まで現れる。
【0032】
このように、上部布地層5の厚さの値にかかわらず、取外し可能なインソール1の上面2に載っている着用者の足は、取外し可能なインソール1の下部層3が作られる電気散逸性材料に常に接触している。
【0033】
本質的に、電気散逸性材料は、開口部7、8、9、10を満たし、上部布地層5の厚さを橋渡しすることが好ましい。
【0034】
有利には、当該1つ以上の開口部7、8、10は、使用時に使用者の足の横足底アーチと接触するように適合された取外し可能なインソール1のゾーンZに対応して、好ましくは中足骨、特に中足骨頭部に対応して配置される。
【0035】
実際、中足骨頭部は、踵とともに、静的条件下でも運動条件下でも、身体加重の大部分が分配される足の構造を表している。
【0036】
したがって、静的条件下でも運動条件下でも、使用者の足は、インソール1のこのゾーンZに正確に位置する開口部7、8、10を通して、インソール1の下部層3が作られる電気散逸性材料と実質的に常に接触していることになる。
【0037】
有利には、当該1つ以上の開口部7、8、9、10は、取外し可能なインソール1の横幅の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%に影響を及ぼすように配置される。
【0038】
添付図に例示するように、開口部7、8、10は、好ましくは横足底アーチに対応してインソール1のゾーンZに配置され、好ましくは当該ゾーンZに対応して取外し可能なインソール1の横幅全体に実質的に影響を与える。
【0039】
このようにして、足の裏が地面の上で生理的安静位にある場合も、「扁平足」又は「凹足」の場合も、使用者の足とインソール1の下部層3が作られる電気散逸性材料との接触が保証される。
【0040】
有利には、図5に例示するように、着用者が踵を載せる取外し可能なインソール1のゾーンに対応して、上部布地層5に1つ以上の開口部9が作られてもよい。
【0041】
好ましくは、踵載せゾーンに作られた1つ以上の開口部9は、着用者の足の中足骨頭部の載せゾーンZに作られた1つ以上の開口部7、8、10と関連付けられる。
【0042】
有利には、図1及び図4に例示するように、開口部7、8、9、10は、複数の実質的に円形の孔7からなることができる。
【0043】
有利には、2つ以上の実質的に円形の孔7は、取外し可能なインソール1の幅に沿って配置されるように並んで設けられてもよく、好ましくは、少なくとも4つの孔が設けられる。
【0044】
例えば、図1に例示するように、着用者の足の5つの中足骨頭部に対応して、5つの異なる実質的に円形の孔7が設けられてもよい。
【0045】
代わりに、例えば図7に例示するように、単一の開口部10が設けられてもよい。
【0046】
このような単一の開口部10は、好ましくは、上記のゾーンZに対応して配置され、取外し可能なインソール1の実質的に全幅に影響を及ぼすように、横方向に実質的に細長い形状である。
【0047】
当該単一の開口部10は、コンマ形状であってもよく、最も広い部分が使用者の足の第1の中足骨頭部に実質的に対応して配置される。
【0048】
図6に例示する実施形態では、取外し可能なインソール1は、上記のゾーンZに対応して配置された好ましくは長円形状の開口部のペア8と、踵ゾーンに対応して好ましくは実質的に円形状の更なる開口部9と、を有する。
【0049】
有利には、当該1つ以上の開口部7、8、9、10を通って露出する電気散逸性材料の総面積は、取外し可能なインソール1の総表面積の1%以上であり、当該1つ以上の開口部7、8、9、10の各々は、円形開口部7の場合、直径3mm以上の孔に対応する7mm以上の面積を有する。
【0050】
好ましくは、当該1つ以上の開口部7、8、9、10の各々は、円形開口部7の場合、直径4.8mm以上の孔に対応する18mm以上の面積を有する。
【0051】
このようにして、例えば多くはあるが小さな孔7、8、9、10を含む取外し可能なインソール1の場合、各単一の開口部7、8、9、10が、足と取外し可能なインソール1の下部層3が作られる電気散逸性材料との適切な接触を確保するのに十分な大きさであることを確実にすることが可能である。
【0052】
特に、以下に説明するように、開口部7、8、9、10の面積が7mm以上であることによって、下部層3が得られる電気散逸性材料は、取外し可能なインソール1の構築中に、開口部7、8、9、10自体を横断して取外し可能なインソール1の上面2に到達することができる。
【0053】
有利には、下部層3が作られ、当該1つ以上の開口部7、8、9、10を通って露出する導電性材料の総面積は、取外し可能なインソール1の総表面積の15%以下であり、好ましくは10%以下であり、より好ましくは5%以下である。
【0054】
したがって、本質的に、下部層3が作られ、当該1つ以上の開口部7、8、9、10を通って露出する導電性材料の総面積は、好ましくは、取外し可能なインソール1の総表面積の1%(又は2%、又は3%)~15%(又は10%、又は5%)で構成される。
【0055】
実際、開口部7、8、9、10を通って露出する導電性材料の総面積の合計寸法は、上部布地層5の存在により、電気散逸性材料の下部層3と使用者の足との間で電気絶縁状態にならないことを確実にするために十分に大きい面積を有する必要性と、上記の快適性と衛生上の理由から、使用者の足と下部層3が作られる電気散逸性材料との直接接触面積を制限する必要性との間の妥協点であるように思われる。実際、具体的に、足が呼吸して乾燥したままであることを可能にするのは、天然繊維及び/又は合成繊維の布地で作られた上部層5である。加えて、取外し可能なインソール1の防菌性と抗菌性も、インソール1の上部層5が作られる布地によって具体的に付与される。
【0056】
有利には、図4及び図5に例示するように、下部層3が作られる導電性材料は、開口部7、8、9、10を通って現れてもよく、また開口部7、8、9、10自体の周縁部に横方向に突出してもよい。図4及び図5は、開口部7に対して周囲に突出する導電性材料の部分を70で示す。
【0057】
この場合、開口部7、8、9、10を通って使用者の足に接触する導電性材料の表面積は、開口部7、8、9、10自体の面積よりも大きくなる。
【0058】
有利には、対応する開口部7、8、9、10を通ってインソール1の上面2上に現れ、その縁部に横方向に突出する導電性材料の表面積は、開口部7、8、9、10自体の面積の110%以上である。
【0059】
言い換えれば、開口部7、8、9、10を通って使用者の足に接触する導電性材料の総表面積は、開口部7、8、9、10自体の面積の110%以上である。
【0060】
有利には、開口部7、8、9、10の面積が30mm以下(円形開口部7の場合、直径6mm以下の孔に対応する)の場合、そのような開口部7、8、9、10を通ってインソール1の上面2上に現れ、その縁部に横方向に突出する導電性材料の表面積は、開口部7、8、9、10自体の面積の150%以上である。言い換えれば、開口部7、8、9、10を通って使用者の足に接触する導電性材料の総表面積は、開口部7、8、9、10自体の面積の150%以上である。
【0061】
好ましくは、開口部7、8、9、10の面積が18mm以下(円形開口部7の場合、直径4.8mm以下の孔に対応する)の場合、そのような開口部7、8、9、10を通ってインソール1の上面2上に現れ、その縁部に横方向に突出する導電性材料の表面積は、開口部7、8、9、10自体の面積の2倍以上、好ましくは開口部7、8、9、10自体の面積の3倍以上である。言い換えれば、開口部7、8、9、10を通って使用者の足に接触する導電性材料の総表面積は、開口部7、8、9、10自体の面積の3倍以上である。
【0062】
このようにして、使用者の足と取外し可能なインソール1の下部層3の材料との効率的な電気散逸接触を確立する一方で、上部層5を通る開口部7、8、9、10の寸法を縮小することが可能である。
【0063】
有利には、電気散逸性の取外し可能なインソール1は、取外し可能なインソール1の少なくとも下部層3を必然的に横断する複数の蒸散貫通孔4を含む。
【0064】
有利には、蒸散貫通孔4は、取外し可能なインソール1の下部層3と上部層5の両方を横断する。
【0065】
このような蒸散貫通孔4の直径は、有利には2.5mm~5mm、好ましくは約4mmに等しい。
【0066】
蒸散貫通孔4は、下部層3と上部層5の両方が存在するインソール1のゾーンに対応して、及び前述の開口部7、8、9、10、すなわち上部層5が存在しないインソール1のゾーンに対応して、得ることができる。
【0067】
図4に例示するように、蒸散孔4は、取外し可能なインソール1の前部ゾーンに対応して得られてもよく、取外し可能なインソール1の前部ゾーンの総厚は、使用者の踵に対応して、後部ゾーンよりも低いことが多い。
【0068】
電気散逸性の取外し可能なインソール1を作る工程は、開口部7、8、9、10が設けられた上部層5が予め収容されている金型において行われる。下部層3を形成する液体形態の粘性材料を金型に注入又は流し込み、上部層5に接着させる。有利には、金型は一連のダムを備え、このダムは、液体形態の材料を、所望の密度、温度及び圧力で、開口部7、8、9、10を通って現れる正確な地点まで運ぶ。このようにして、図4及び図5に例示するように、下部層3が作られる導電性材料が、インソール1の完成時に上部層5の上面2に到達し、場合によっては開口部7、8、9、10自体の側縁部を越えて広がることを確実にすることが可能である。
【0069】
電気散逸性の取外し可能なインソール、特に業務用作業靴の機能は、これまで記載したことから明確であり、明らかである。
【0070】
業務用靴の使用中、使用者の足は、インソールの電気散逸性ポリウレタンに常に接触しており、したがって、現行規格が要求する履物全体の接地電気抵抗の値は常に守られる。
【0071】
実際には、電気散逸性の取外し可能なインソール、特に業務用作業靴は、静電気放電による危険からの保護に関する有効な規格に準拠可能なため、課題及び意図した目的を果たすことが見出された。
【0072】
本発明による電気散逸性の取外し可能なインソールの別の利点は、導電性の糸を使った縫い目を適用する必要も、インソール自体の上部層を構成する布地の緯糸に導電性の糸を使用する必要もないため、容易かつ安価に作れることである。
【0073】
本発明による電気散逸性の取外し可能なインソールの更なる利点は、いかなる技術的又は審美的な制限なしに、取外し可能なインソールの上部層を作るためのあらゆる種類の布地を選択可能なことである。例えば、インソールの布地層が有するべき技術的及び審美的特性に基づいて自由に選択可能なあらゆる種類の糸を使用することができる。
【0074】
本発明による電気散逸性の取外し可能なインソールの別の利点は、解剖学的であることである。
【0075】
考えられる電気散逸性の取外し可能なインソールは、多数の修正及び変形が可能であり、全て本発明の概念の範囲内にある。
【0076】
更に、全ての詳細は、他の技術的に同等の要素で置き換えることができる。
【0077】
実際には、特定の用途、寸法及び偶発的形状に適合する限り、要求に応じてあらゆる材料を使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】