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特表2023-545438断熱性ヒーター付きエアロゾル発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】断熱性ヒーター付きエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20231023BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20231023BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023521842
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(85)【翻訳文提出日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2021079557
(87)【国際公開番号】W WO2022090164
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】20204492.1
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100228337
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 綾
(72)【発明者】
【氏名】ベサント ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】パンテア シルビウ ナタナエル
(72)【発明者】
【氏名】ペイネンブルグ ヨハンネス ペートルス マリア
(72)【発明者】
【氏名】イム ジュン ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】イシ グレゴリ
(72)【発明者】
【氏名】ハウ ジュン ジエ
(72)【発明者】
【氏名】デラ パズ デニス ヤペ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC10
4B162AC12
4B162AC22
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品に関する。ヒーター組立品は、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーを備える。ヒーター組立品は、ヒーターケーシングをさらに備える。ヒーターケーシングは、加熱チャンバーの周りに配設されている。ヒーターケーシングは、加熱チャンバーから半径方向に間隔を置いてさらに配設されている。ヒーター組立品は、第一の接続壁および第二の接続壁をさらに備える。ヒーター組立品は、気密中空空間をさらに備える。気密中空空間は、加熱チャンバーと、ヒーターケーシングと、第一および第二の接続壁との間に画定されている。本発明は、ヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置にさらに関し、かつエアロゾル発生装置とエアロゾル形成基体とを備えるエアロゾル発生システムにさらに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置用ヒーター組立品であって、
エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーと、
加熱チャンバーの周りに配設されたヒーターケーシングであって、加熱チャンバーから半径方向に間隔を置いて配設されている、ヒーターケーシングと、
第一の接続壁および第二の接続壁と、
前記加熱チャンバーと、前記ヒーターケーシングと、前記第一および第二の接続壁との間に画定された気密中空空間であって、周囲気圧にてガス組成物で充填されている、気密中空空間と、を備えるヒーター組立品。
【請求項2】
前記加熱チャンバーと前記ヒーターケーシングの間の距離が、2.5ミリメートル~7ミリメートルである、請求項1に記載のヒーター組立品。
【請求項3】
前記加熱チャンバーと前記ヒーターケーシングの間の距離が、3.5ミリメートル~6ミリメートル、好ましくは約4.6ミリメートルである、請求項2に記載のヒーター組立品。
【請求項4】
前記気密中空空間が周囲空気で充填されている、請求項1~3のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項5】
前記接続壁が、前記ヒーターケーシングを、前記加熱チャンバーの外壁と密封的に接続する、請求項1~4のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項6】
前記接続壁が、前記加熱チャンバーの長軸方向軸に対して垂直に配向されている、請求項1~5のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項7】
前記加熱チャンバーが細長い形状を有し、好ましくは前記加熱チャンバーが中空管である、請求項1~6のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項8】
前記加熱チャンバーが、発熱体を備える中央領域と、
近位領域と、
遠位領域と、を備え、
近位領域および遠位領域が、長軸方向に発熱体から間隔を置いていて、
第一および第二の接続壁がそれぞれ、近位領域および遠位領域で加熱チャンバーに接触する、請求項7に記載のヒーター組立品。
【請求項9】
前記発熱体が、少なくとも部分的に前記加熱チャンバーの周りに配設されている、請求項1~8のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項10】
前記発熱体が、電気的に絶縁された基体上に一つ以上の導電性トラックを備え、随意に前記発熱体が可撓性であり、かつ前記加熱チャンバーの周りに巻かれていて、随意に前記発熱体が前記加熱チャンバーと前記ヒーターケーシングの間に配設されている、請求項1~9のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項11】
前記ヒーターケーシングの外径と前記加熱チャンバーの外径の比が、2~3.5である、請求項1~10のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項12】
前記ヒーターケーシングの外径が、12ミリメートル~20ミリメートル、好ましくは約17ミリメートルである、請求項1~11のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項13】
前記ヒーターケーシングの壁の内側が、金属被覆を備え、随意に前記加熱チャンバーの壁がステンレス鋼を含む、請求項1~12のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項14】
前記ヒーターケーシングの壁と前記第一および第二の接続壁とのうちの一つ以上の厚さが、2ミリメートル未満、好ましくは約0.8ミリメートルである、請求項1~13のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項15】
前記ヒーターケーシングの壁と前記第一および第二の接続壁とのうちの一つ以上が、プラスチック材料、好ましくはポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはポリフェニレンスルホン(PPSU)、より好ましくはポリフェニレンスルホン(PPSU)を含む、請求項1~14のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項16】
請求項1~15のいずれかに記載のヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置。
【請求項17】
請求項16に記載のエアロゾル発生装置と、前記加熱チャンバーの中に少なくとも部分的に挿入されるように構成されたエアロゾル形成基体とを備えるエアロゾル発生システム。
【請求項18】
前記システムが、前記エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を備え、前記エアロゾル発生物品が前記加熱チャンバーの中に少なくとも部分的に挿入されるように構成されている、請求項17に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品に関する。本開示は、エアロゾル発生装置にさらに関する。本開示は、エアロゾル発生装置とエアロゾル形成基体とを備えるエアロゾル発生システムにさらに関する。
【背景技術】
【0002】
吸入可能なベイパーを発生するためのエアロゾル発生装置を提供することが知られている。こうした装置は、エアロゾル発生物品中に含有されたエアロゾル形成基体を燃焼することなく加熱してもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中にエアロゾル発生物品を挿入するためにロッド形状を有してもよい。発熱体は典型的に、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に挿入された後に、エアロゾル形成基体を加熱するために、加熱チャンバーの中に、またはその周りに配設されている。
【0003】
発熱体によって生成された熱は、加熱チャンバーから不注意に放散される場合がある。熱は、環境に、またはエアロゾル発生システムの他の構成要素に放散される場合がある。熱は、自由空気対流によって加熱チャンバーから不注意に放散される場合がある。熱は、エアロゾル発生装置の構成要素を介した熱伝導によって、加熱チャンバーから不注意に放散される場合がある。熱は、例えばエアロゾル形成基体を介して、エアロゾル発生物品の構成要素を介した熱伝導によって、加熱チャンバーから不注意に放散される場合がある。加熱チャンバーからの熱放散は、加熱されることが意図されていない装置の構成要素の加熱を引き起こす場合がある。例えば、ユーザーが掴む装置のハウジングが、不快なほど高温になる場合がある。加熱チャンバーからの熱放散は、加熱チャンバー内の熱損失を引き起こす場合がある。加熱チャンバー内の熱損失は、より低効率の加熱をもたらす場合がある。加熱チャンバーを所望の温度に加熱するために、過剰な量のエネルギーが必要になる場合がある。
【0004】
加熱チャンバーからの熱損失を低減しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいであろう。エアロゾル発生装置の他の構成要素に対して加熱チャンバーを断熱することが望ましいであろう。ユーザーが掴む装置の外側ハウジングの加熱を低減しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいであろう。有効な断熱を提供しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいであろう。低い製造コストで断熱を提供しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいであろう。軽量の断熱を提供しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品が提供されている。ヒーター組立品は、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーを備えてもよい。ヒーター組立品は、ヒーターケーシングを備えてもよい。ヒーターケーシングは、加熱チャンバーの周りに配設されてもよい。ヒーターケーシングは、加熱チャンバーから半径方向に間隔を置いて配設されてもよい。ヒーター組立品は、第一の接続壁を備えてもよい。ヒーター組立品は、第二の接続壁をさらに備えてもよい。ヒーター組立品は、気密中空空間を備えてもよい。気密中空空間は、加熱チャンバーと、ヒーターケーシングと、第一および第二の接続壁との間に画定されてもよい。
【0006】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品が提供されている。ヒーター組立品は、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーを備える。ヒーター組立品は、ヒーターケーシングをさらに備える。ヒーターケーシングは、加熱チャンバーの周りに配設されている。ヒーターケーシングは、加熱チャンバーから半径方向に間隔を置いてさらに配設されている。ヒーター組立品は、第一の接続壁および第二の接続壁をさらに備える。ヒーター組立品は、気密中空空間をさらに備える。気密中空空間は、加熱チャンバーと、ヒーターケーシングと、第一および第二の接続壁との間に画定されている。
【0007】
有利なことに、ヒーターケーシングの内部と外部空気の間の空気循環に起因する熱損失は、例えば加熱チャンバーの周りに気密中空空間を提供することに少なくとも部分的に起因して、低減または回避されてもよい。加熱チャンバーの周りに気密中空空間を提供することはまた、気密中空空間内の空気対流に起因する熱損失を低減または回避するのに役立つ場合がある。有利なことに、加熱チャンバーの周りに気密中空空間を提供することによって、ヒーターケーシングの外表面に対する加熱チャンバーの断熱が提供されてもよい。加熱チャンバーの周りに気密中空空間を提供することによって、加熱チャンバーからの熱損失を低減しうるエアロゾル発生装置用ヒーター組立品が提供される。加熱チャンバーの周りに気密中空空間を提供することによって、ユーザーが掴む装置の外側ハウジングの加熱を低減しうるエアロゾル発生装置用ヒーター組立品が提供される。加熱チャンバーの周りに気密中空空間を提供することによって、有効な断熱を提供しうるエアロゾル発生装置用ヒーター組立品が提供される。加熱チャンバーの周りに気密中空空間を提供することによって、低い製造コストで断熱を提供しうるエアロゾル発生装置用ヒーター組立品が提供される。加熱チャンバーの周りに気密中空空間を提供することに起因して、軽量の断熱を提供しうるエアロゾル発生装置用ヒーター組立品が提供される。
【0008】
本明細書で使用される「上流」および「前方」、ならびに「下流」および「後方」という用語は、エアロゾル発生装置の使用中に空気がエアロゾル発生装置を通って流れる方向に対する、エアロゾル発生装置の構成要素の、または構成要素の部分の相対的な位置を説明するために使用される。本発明によるエアロゾル発生装置は、使用時にエアロゾルが通って装置を出る近位端を備える。エアロゾル発生装置の近位端はまた、口側端または下流端と呼ばれてもよい。口側端は遠位端の下流である。エアロゾル発生物品の遠位端はまた、上流端と呼ばれてもよい。エアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分は、エアロゾル発生装置の気流経路に対するこれらの相対的な位置に基づいて、互いの上流または下流にあるものとして説明されてもよい。
【0009】
本発明によるヒーター組立品の近位端は、エアロゾル発生装置内で装置の口側端または下流端に向かう方向に配設されるように構成されている。本発明によるヒーター組立品の遠位端は、エアロゾル発生装置内で装置の遠位端または上流端に向かう方向に配設されるように構成されている。加熱チャンバーの長軸方向軸は、加熱チャンバーの近位端と加熱チャンバーの遠位端との間に延びてもよい。加熱チャンバーの長軸方向軸は、ヒーター組立品の近位端とヒーター組立品の遠位端との間に延びてもよい。
【0010】
ヒーターケーシングは、加熱チャンバーから半径方向に距離dだけ間隔を置いて配設されている。距離dは、加熱チャンバーの長軸方向軸に直交する方向で測定されてもよい。加熱チャンバーは、加熱チャンバーの壁を備えてもよい。ヒーターケーシングは、ヒーターケーシングの壁を備えてもよい。距離dは、加熱チャンバーの壁とヒーターケーシングの壁との間で半径方向で測定されてもよい。距離dは、加熱チャンバーの壁の外側とヒーターケーシングの壁の内側との間で半径方向で測定されてもよい。
【0011】
加熱チャンバーとヒーターケーシングの間の距離dは、2.5ミリメートル~7ミリメートルであってもよい。加熱チャンバーとヒーターケーシングの間の距離は、3.5ミリメートル~6ミリメートル、好ましくは約4.6ミリメートルであってもよい。
【0012】
上述の通りの距離dを提供する時、気密中空空間内に閉じ込められた空気、または別のガス状組成物は、静止空気と見なされてもよい。静止空気、または非移動空気はさらに、気密中空空間内の空気対流を低減する。それによって、気密中空空間内の空気対流に起因する熱損失はさらに低減されてもよい。断熱は、さらに改善されてもよい。上述の通りの距離dは熱損失を十分に低減することが見いだされた。さらに、上述の通りの距離dは、以下でより詳細に説明する通り、気密中空空間で利用されるガス状組成物と併せると特に有効であることが見いだされた。上述の距離dとともに気密中空空間内の周囲空気を使用することは、コスト効率が高く効率的な断熱をもたらすことが好ましい。
【0013】
第一および第二の接続壁のそれぞれは、加熱チャンバーの壁とヒーターケーシングの壁との間に延びてもよい。第一および第二の接続壁は、ヒーターケーシングを加熱チャンバーの外壁と密封的に接続してもよい。接続壁は、加熱チャンバーの長軸方向軸に対して垂直に配向されてもよい。第一の接続壁は、近位接続壁であってもよい。第二の接続壁は、遠位接続壁であってもよい。
【0014】
本明細書で使用される「中空空間」という用語は、固体材料を実質的に含まない、すなわち固体化合物または固体物質で充填されていない体積に関する。言い換えれば、「中空空間」という用語は、ガス状組成物で満たされうるが、そうでなければ空である体積に関する。気密中空空間は、外部空気から気密封止されている。言い換えれば、気密中空空間の内部は、外部空気と流体接続していない。それによって、気密中空空間とヒーター組立品外部の空気との間のガス循環に起因する熱損失を回避してもよい。
【0015】
良好な断熱特性を有する周知の断熱は多くの場合、エアロゲルなどの固体材料を必要とする。周知の断熱は、製造が複雑である場合がある。周知の断熱は、製造に費用がかかる場合がある。気密中空空間を備えるヒーター組立品は、加熱チャンバーの周りに配設される追加の固体材料を必要とするヒーター組立品と比較して、製造がそれほど複雑ではない場合がある。気密中空空間は、固体材料、例えばエアロゲルと比較して、低コストである場合がある。気密中空空間は、固体材料と比較して、より低い熱伝導率を有する場合がある。それによって、より良い断熱が提供されてもよい。気密中空空間は、固体材料と比較して、より低い質量を有する場合がある。それによって、より軽量の断熱が提供されてもよい。
【0016】
気密中空空間は、ガス状組成物で充填されてもよい。気密中空空間は、およそ周囲圧力にてガス状組成物で充填されてもよい。気密中空空間内のガス圧力は、0.9バール~1.1バール、好ましくは約1.0バールであってもよい。気密中空空間は、約20℃で、およそ周囲圧力にてガス組成物で充填されてもよい。当業者に周知の通り、気密中空空間内のガス圧力の温度依存的な違いが起こる場合がある。
【0017】
ガス状組成物は、不活性ガスを含んでもよい。ガス状組成物は、窒素およびアルゴンのうちの一つ以上を含んでもよい。ガス状組成物は、周囲空気の組成を有してもよい。ガス状組成物は、約80パーセントの窒素と約20パーセントの酸素とを含んでもよい。気密中空空間は、周囲空気で充填されてもよい。
【0018】
ガス状組成物は、周囲圧力にて周囲空気の組成を有してもよい。周囲圧力にて周囲空気の組成を有するガス状組成物は、気密中空空間を備えるヒーター組立品が周囲条件下で製造されうるという利点をもたらす。追加のガスまたは真空技術の使用は回避されうる。それ故に、ヒーター組立品は、コスト効率の高い方法で製造されうる。
【0019】
気密中空空間内のガス状組成物は、固体材料、例えばエアロゲルと比較して、安価である場合がある。気密中空空間内のガス状組成物は、固体材料と比較して、より低い熱伝導率を有する場合がある。それによって、より良い断熱が提供されてもよい。気密中空空間内のガス状組成物は、固体材料と比較して、より低い質量を有する場合がある。それによって、より軽量の断熱が提供されてもよい。
【0020】
良好な断熱特性を有する周知の断熱は多くの場合、真空を必要とする。真空中空空間と比較して、ガス組成物、好ましくは周囲空気で充填された気密中空空間を有するヒーター組立品を製造することは、より低コストである場合がある。真空ベースの断熱は、製造がより複雑である場合がある。真空ベースの断熱は、製造するのに、より費用がかかる場合がある。
【0021】
ヒーターケーシングは、ヒーターケーシングの壁を備えてもよい。ヒーターケーシングの壁は、ヒーター組立品の外部に面する外側を有してもよい。ヒーターケーシングの壁は、ヒーター組立品の内部に面する内側を有してもよい。ヒーターケーシングの壁の内側は、加熱チャンバーに向かって面してもよい。
【0022】
ヒーターケーシングの壁の厚さは、約2ミリメートル未満であってもよい。ヒーターケーシングの壁の厚さは、1ミリメートル未満、好ましくは約0.8ミリメートルであってもよい。第一の接続壁と第二の接続壁のうちの一方または両方の厚さは、1ミリメートル未満、好ましくは約0.8ミリメートルであってもよい。こうした薄い壁を有すると、ヒーターケーシングの熱質量が最小化される場合がある。これは、加熱チャンバーからの熱損失をさらに低減する場合がある。
【0023】
ヒーターケーシングの壁と第一および第二の接続壁とのうちの一つ以上は、低熱伝導率材料で作製されてもよい。これは、加熱チャンバーからの熱損失をさらに低減する場合がある。ヒーターケーシングの壁は、プラスチック材料を含んでもよく、またはプラスチック材料で作製されてもよい。第一および第二の接続壁は、プラスチック材料を含んでもよく、またはプラスチック材料で作製されてもよい。プラスチック材料は、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)のうちの一つまたは両方を含んでもよい。プラスチック材料は、ポリフェニレンスルホン(PPSU)を含むことが好ましい。
【0024】
ヒーターケーシングの壁の内側は、金属被覆を備えてもよい。第一の接続壁と第二の接続壁のうちの一方または両方の内側は、金属被覆を備えてもよい。金属被覆は、壁の内側の放射率を低減する場合がある。例えば、PEEK壁の放射率は、約0.95から約0.4に低減されてもよい。金属被覆は、加熱チャンバーから放射された熱放射を反射する場合がある。金属被覆は、ヒーターケーシングの外側に対する加熱チャンバーの追加の断熱を提供してもよい。金属被覆は、低放射率金属被覆であってもよい。金属被覆は、アルミニウム、金、銀のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0025】
加熱チャンバーは、エアロゾル形成基体を受容するために構成されてもよい。加熱チャンバーは、エアロゾル形成基体が中に挿入されうる空洞を備えてもよい。エアロゾル形成基体はエアロゾル発生物品の一部であってもよい。加熱チャンバーは、エアロゾル形成基体を受容するために、加熱チャンバーの近位端に開口部を備えてもよい。開口部はまた、空気出口の役割を果たしてもよい。加熱チャンバーは、加熱チャンバーの遠位端に空気吸込み口を備えてもよい。
【0026】
加熱チャンバーは細長い形状を有してもよい。加熱チャンバーの長軸方向軸は、加熱チャンバーの近位端と遠位端の間に延びてもよい。
【0027】
加熱チャンバーは中空管であってもよい。中空管は、加熱チャンバーの壁から形成されてもよい。加熱チャンバーの壁は、金属もしくは合金を含んでもよく、または金属もしくは合金で作製されてもよい。加熱チャンバーの壁は、ステンレス鋼を含んでもよく、またはステンレス鋼で作製されてもよい。
【0028】
ヒーターケーシングは、加熱チャンバーの周りに同軸に整列してもよい。加熱チャンバーおよびヒーターケーシングは、一致する形状を有してもよい。一致する形状は、ヒーターケーシングと加熱チャンバーの間に一定の半径方向距離dを提供することを可能にしてもよい。
【0029】
ヒーターケーシングの壁は、距離dがほぼ一定でありうるように、加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って加熱チャンバーの壁の形状と一致してもよい。例えば、加熱チャンバーは中空管であってもよく、ヒーターケーシングの壁は、加熱チャンバーの周りに同軸に整列している円筒壁であってもよい。距離dは、加熱チャンバーの中空管の外径とヒーターケーシングの円筒壁の内径との間で半径方向で測定されてもよい。例えば、加熱チャンバーは、中空の切断された円錐であってもよく、ヒーターケーシングの壁は、同軸に整列した円錐壁であってもよい。当業者であれば、他のタイプの一致する形状が可能であると理解するであろう。例えば、一致する形状は、湾曲もしくは波状であってもよく、または加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って異なる形状の組み合わせを含んでもよい。
【0030】
加熱チャンバーおよびヒーターケーシングは、逸脱する形状を有してもよい。ヒーターケーシングの壁の形状は、加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って加熱チャンバーの壁の形状から、ある程度逸脱してもよい。ヒーターケーシングの壁の形状は、距離dが加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って1ミリメートルを超えて変動しないように、加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って加熱チャンバーの壁の形状から逸脱してもよい。例えば、加熱チャンバーは直円錐状の中空筒であってもよく、ヒーターケーシングの壁は、加熱チャンバーの周りに同軸に整列しているわずかに円錐状の中空円筒であってもよい。ヒーターケーシングの壁の円錐形状に起因して、距離dは、加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って1ミリメートル以下だけ変動してもよい。
【0031】
ヒーターケーシングの外径は、加熱チャンバーの長軸方向軸に直交する方向で測定されてもよい。ヒーターケーシングの外径は、12ミリメートル~20ミリメートル、好ましくは約17ミリメートルであってもよい。
【0032】
加熱チャンバーの外径は、加熱チャンバーの長軸方向軸に直交する方向で測定されてもよい。ヒーターケーシングの外径と加熱チャンバーの外径の比は、2~3.5、好ましくは約2.75であってもよい。
【0033】
加熱チャンバーは発熱体を備える。
【0034】
発熱体は、少なくとも部分的に加熱チャンバーの周りに配設されてもよい。発熱体は、少なくとも部分的に加熱チャンバーの壁の周りに配設されてもよい。発熱体は、加熱チャンバーの壁の外側周辺部を完全に同軸に囲むように配設されていることが好ましい。発熱体は、加熱チャンバーの長軸方向軸の少なくとも一部に沿って配設されてもよい。
【0035】
発熱体は、電気的に絶縁された基体上に一つ以上の導電性トラックを備えてもよい。一つ以上の導電性トラックは、抵抗加熱トラックであってもよい。一つ以上の導電性トラックは、誘導加熱されるサセプタとして構成されてもよい。電気的に絶縁された基体は可撓性基体であってもよい。
【0036】
発熱体は可撓性であってもよく、加熱チャンバーの周りに巻かれてもよい。発熱体は、加熱チャンバーとヒーターケーシングの間に配設されてもよい。
【0037】
本開示のすべての態様において、発熱体は電気抵抗性材料を含んでもよい。適切な電気抵抗性材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料と金属材料とで作製された複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。
【0038】
記載の通り、本開示の態様のいずれにおいても、発熱体はエアロゾル発生装置用ヒーター組立品の加熱チャンバーの一部であってもよい。ヒーター組立品は、内部発熱体、または外部発熱体、または内部発熱体と外部発熱体の両方を備えてもよく、ここで「内部」および「外部」は、エアロゾル形成基体に関して言及する。内部発熱体は任意の適切な形態を取ってもよい。例えば、内部発熱体は加熱ブレードの形態を取ってもよい。別の方法として、内部ヒーターは、異なる導電性部分または電気抵抗性の金属チューブを有するケーシングまたは基体の形態を取ってもよい。別の方法として、内部発熱体は、エアロゾル形成基体の中心を通り抜ける一つ以上の加熱針またはロッドであってもよい。他の代替としては、加熱ワイヤーまたはフィラメント、例えばNi-Cr(ニッケルクロム)、白金、タングステン、または合金ワイヤーもしくは加熱プレートが挙げられる。随意に、内部発熱体は剛直な担体材料の中またはこの材料上に配置されてもよい。こうした一実施形態において、電気抵抗性のある発熱体は、温度と比抵抗の間の明確な関係を有する金属を使用して形成されてもよい。こうした例示的な装置において、金属は、セラミック材料などの適切な断熱材料上にトラックとして形成され、その後ガラスなどの別の断熱材料中に挟まれてもよい。この様態で形成されたヒーターは動作中に、発熱体の加熱と、その温度のモニターの両方に使用されてもよい。
【0039】
外部発熱体は任意の適切な形態を取ってもよい。例えば、外部発熱体は、ポリイミドなどの誘電性基板上の一つ以上の可撓性の加熱箔の形態を取ってもよい。可撓性の加熱箔は、基体受容空洞の周辺部に適合する形状にすることができる。別の方法として、外部発熱体は、金属のグリッド(複数可)、可撓性プリント基板、成形回路部品(MID)、セラミックヒーター、可撓性炭素繊維ヒーターの形態を取ってもよく、または適切な形状の基体上にプラズマ蒸着などの被覆技法を使用して形成されてもよい。外部発熱体はまた、温度と比抵抗の間の明確な関係を有する金属を使用して形成されてもよい。こうした例示的な装置において、金属は適切な断熱材料の二つの層の間のトラックとして形成されてもよい。この様態で形成された外部発熱体は動作中に、外部発熱体の加熱と、外部発熱体の温度のモニターの両方に使用されてもよい。
【0040】
発熱体は有利なことに、熱伝導によってエアロゾル形成基体を加熱する。発熱体は基体と少なくとも部分的に接触、または基体が堆積されている担体と少なくとも部分的に接触してもよい。別の方法として、内部発熱体または外部発熱体のいずれかからの熱は、熱伝導性要素によって基体に伝導されてもよい。
【0041】
動作中、エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生装置内に完全に包含されてもよい。その場合、ユーザーはエアロゾル発生装置のマウスピースを吸煙してもよい。別の方法として、動作中、エアロゾル形成基体を含有する喫煙物品は、エアロゾル発生装置内に部分的に包含されてもよい。その場合、ユーザーは喫煙物品を直接吸煙してもよい。
【0042】
発熱体は、誘導発熱体として構成されてもよい。誘導発熱体は、誘導コイルおよびサセプタを備えてもよい。概して、サセプタは、交番磁場によって貫通された時に熱を発生する能力を有する材料である。本発明によると、サセプタは導電性、または磁性、または導電性と磁性の両方であってもよい。一つまたは幾つかの誘導コイルによって発生された交番磁場は、サセプタを加熱し、これはその後、エアロゾルが形成されるように、熱をエアロゾル形成基体に伝達する。熱伝達は主に、熱の伝導によってもよい。こうした熱伝達は、サセプタがエアロゾル形成基体と密接な熱的接触状態にある場合に、最も良好である。誘導発熱体が採用される場合、誘導発熱体は、本明細書に記載の通りの内部発熱体として、または本明細書に記載の通りの外部ヒーターとして構成されてもよい。誘導発熱体が内部発熱体として構成されている場合、サセプタ素子は、エアロゾル発生物品を貫通するためのピンまたはブレードとして構成されていることが好ましい。誘導発熱体が外部発熱体として構成されている場合、サセプタ素子は、空洞を少なくとも部分的に囲むか、または空洞の側壁を形成する円筒状サセプタとして構成されていることが好ましい。
【0043】
加熱チャンバーは、発熱体を備える中央領域を備えてもよい。中央領域という用語は、長軸方向を指す。加熱チャンバーは、近位領域および遠位領域をさらに備えてもよい。近位領域および遠位領域は、長軸方向に発熱体から間隔を置いていてもよい。使用中、近位領域および遠位領域は、加熱チャンバーの中央領域よりも冷たくてもよい。第一および第二の接続壁はそれぞれ、近位領域および遠位領域で加熱チャンバーに接触してもよい。それ故に、第一および第二の接続壁は、使用中に加熱チャンバーの最も冷たい点で加熱チャンバーに接触してもよい。それによって、加熱チャンバーから接続壁およびヒーターケーシングへの熱損失がさらに低減されてもよい。断熱は、さらに改善されてもよい。
【0044】
加熱チャンバーの壁は、ステンレス鋼で作製されてもよい。これは、使用中に近位領域および遠位領域が、加熱チャンバーの中央領域よりも冷たい場合があるという効果を有利に高める場合がある。
【0045】
本発明は、本明細書に記載の通りのヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置にさらに関する。
【0046】
エアロゾル発生装置は、発熱体に電力を供給するように構成された電力供給源を備えることが好ましい。電力供給源は電源を備えることが好ましい。電源はリチウムイオン電池などの電池であることが好ましい。代替として、電源はコンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合がある。例えば、電源は約六分間、または六分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の例において、電源は所定の回数の吸煙、またはヒーター組立品の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0047】
電力供給源は制御電子回路を備えてもよい。制御電子回路はマイクロコントローラーを備えてもよい。マイクロコントローラーはプログラム可能なマイクロコントローラーであることが好ましい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路はヒーター組立品への電力の供給を調節するように構成されてもよい。電力はシステムの起動後、ヒーター組立品に連続的に供給されてもよく、または断続的に(例えば、吸煙するごとに)供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態でヒーター組立品に供給されてもよい。
【0048】
本発明は、本明細書に記載の通りのエアロゾル発生装置と、加熱チャンバーの中に少なくとも部分的に挿入されるように構成されたエアロゾル形成基体とを備えるエアロゾル発生システムにさらに関する。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部であってもよく、エアロゾル発生物品は、加熱チャンバーの中に少なくとも部分的に挿入されるように構成されてもよい。
【0049】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体を指す。揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱すること、または燃焼することによって放出されてもよい。加熱または燃焼の代替として、一部の場合において、化学反応によって、または超音波などの機械的な刺激によって揮発性化合物が放出されてもよい。エアロゾル形成基体は固体または液体であってもよく、または固体構成成分と液体構成成分の両方を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。
【0050】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。
【0051】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾルを発生するためにエアロゾル形成基体と相互作用する装置を指す。エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品と、エアロゾル形成基体を含むカートリッジとのうちの一方または両方と相互作用してもよい。一部の実施例において、エアロゾル発生装置はエアロゾル形成基体を加熱して、基体からの揮発性化合物の放出を容易にする場合がある。電気的に作動するエアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを形成するための、電気ヒーターなどのアトマイザーを備えてもよい。
【0052】
本明細書で使用される「エアロゾル発生システム」という用語は、エアロゾル形成基体とのエアロゾル発生装置の組み合わせを指す。エアロゾル形成基体が、エアロゾル発生物品の一部を形成する時、エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生物品とのエアロゾル発生装置の組み合わせを指す。エアロゾル発生システムにおいて、エアロゾル形成基体およびエアロゾル発生装置は協働して、エアロゾルを発生する。
【0053】
以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0054】
実施例A:エアロゾル発生装置用ヒーター組立品であって、
エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーと、
加熱チャンバーの周りに配設されたヒーターケーシングであって、加熱チャンバーから半径方向に間隔を置いて配設されている、ヒーターケーシングと、
第一の接続壁および第二の接続壁と、
加熱チャンバーと、ヒーターケーシングと、第一および第二の接続壁との間に画定された気密中空空間と、を備えるヒーター組立品。
【0055】
実施例B:加熱チャンバーとヒーターケーシングの間の距離が、2.5ミリメートル~7ミリメートルである、実施例Aに記載のヒーター組立品。
【0056】
実施例C:加熱チャンバーとヒーターケーシングの間の距離が、3.5ミリメートル~6ミリメートル、好ましくは約4.6ミリメートルである、実施例Bに記載のヒーター組立品。
【0057】
実施例D:気密中空空間が、周囲圧力にてガス組成物で充填されている、実施例A~Cのいずれかに記載のヒーター組立品。
【0058】
実施例E:気密中空空間が周囲空気で充填されている、実施例Dに記載のヒーター組立品。
【0059】
実施例F:接続壁が、ヒーターケーシングを、加熱チャンバーの外壁と密封的に接続する、実施例A~Eのいずれかに記載のヒーター組立品。
【0060】
実施例G:接続壁が、加熱チャンバーの長軸方向軸に対して垂直に配向されている、実施例A~Fのいずれかに記載のヒーター組立品。
【0061】
実施例H:加熱チャンバーが細長い形状を有する、実施例A~Gのいずれかに記載のヒーター組立品。
【0062】
実施例I:加熱チャンバーが中空管である、実施例Hに記載のヒーター組立品。
【0063】
実施例J:加熱チャンバーが、発熱体を備える中央領域と、
近位領域と、
遠位領域と、を備え、
近位領域および遠位領域が、長軸方向に発熱体から間隔を置いていて、
第一および第二の接続壁がそれぞれ、近位領域および遠位領域で加熱チャンバーに接触する、実施例Hまたは実施例Iに記載のヒーター組立品。
【0064】
実施例K:発熱体が、少なくとも部分的に加熱チャンバーの周りに配設されている、実施例A~Jのいずれかに記載のヒーター組立品。
【0065】
実施例L:発熱体が、電気的に絶縁された基体上に一つ以上の導電性トラックを備える、実施例A~Kのいずれかに記載のヒーター組立品。
【0066】
実施例M:発熱体が可撓性であり、かつ加熱チャンバーの周りに巻かれている、実施例Lに記載のヒーター組立品。
【0067】
実施例N:発熱体が、加熱チャンバーとヒーターケーシングの間に配設されている、実施例K~Mのいずれかに記載のヒーター組立品。
【0068】
実施例O:ヒーターケーシングの外径と加熱チャンバーの外径の比が、2~3.5である、実施例A~Nのいずれかに記載のヒーター組立品。
【0069】
実施例P:ヒーターケーシングの外径が、12ミリメートル~20ミリメートル、好ましくは約17ミリメートルである、実施例A~Oのいずれかに記載のヒーター組立品。
【0070】
実施例Q:ヒーターケーシングの壁の内側が、金属被覆を備える、実施例A~Pのいずれかに記載のヒーター組立品。
【0071】
実施例R:加熱チャンバーの壁がステンレス鋼を含む、実施例A~Qのいずれかに記載のヒーター組立品。
【0072】
実施例S:ヒーターケーシングの壁と第一および第二の接続壁とのうちの一つ以上の厚さが、2ミリメートル未満、好ましくは約0.8ミリメートルである、実施例A~Rのいずれかに記載のヒーター組立品。
【0073】
実施例T:ヒーターケーシングの壁と第一および第二の接続壁とのうちの一つ以上が、プラスチック材料、好ましくはポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはポリフェニレンスルホン(PPSU)、より好ましくはポリフェニレンスルホン(PPSU)を含む、実施例A~Sのいずれかに記載のヒーター組立品。
【0074】
実施例U:実施例A~Tのいずれかに記載のヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置。
【0075】
実施例V:実施例Uに記載のエアロゾル発生装置と、加熱チャンバーの中に少なくとも部分的に挿入されるように構成されたエアロゾル形成基体とを備えるエアロゾル発生システム。
【0076】
実施例W:システムが、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を備え、エアロゾル発生物品が、加熱チャンバーの中に少なくとも部分的に挿入されるように構成されている、実施例Vに記載のエアロゾル発生システム。
【0077】
一実施形態に関して説明される特徴は、本発明の他の実施形態にも等しく適用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0079】
図1図1は、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品の一実施形態を示す。
図2図2は、ヒーター組立品の加熱チャンバーの一実施形態を示す。
図3図3は、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品の一実施形態を示す。
図4図4は、エアロゾル発生装置の一実施形態を示す。
図5図5は、エアロゾル発生装置の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0080】
図1は、ヒーター組立品10を概略的に示す。ヒーター組立品10は、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバー12を備える。加熱チャンバー12は細長い形状を有する。加熱チャンバー12は、エアロゾル形成基体の挿入のための空洞を取り囲む加熱チャンバーの壁14を備える。加熱チャンバーの壁14は中空管を形成する。ヒーター組立品10は、ヒーターケーシングをさらに備える。ヒーターケーシングは、加熱チャンバー12の周りに同軸に配設されている。ヒーターケーシングは、ヒーターケーシング16の円筒壁を備える。ヒーターケーシングは、加熱チャンバー12から半径方向に距離dだけ間隔を置いてさらに配設されている。距離dは、加熱チャンバーの壁14によって形成された中空管の外径と、ヒーターケーシング16の円筒壁の内径との間で半径方向で測定される。加熱チャンバーの壁14およびヒーターケーシング16の壁は、一致する形状を有する。それによって、距離dは、加熱チャンバー12の長軸方向軸に沿って一定である。
【0081】
ヒーター組立品10は、ヒーター組立品10の近位端に第一の接続壁18をさらに備える。ヒーター組立品10は、ヒーター組立品10の遠位端に第二の接続壁20をさらに備える。第一および第二の接続壁18、20は、加熱チャンバー12の長軸方向軸に対して垂直に配向されている。ヒーター組立品10は、気密中空空間22をさらに備える。気密中空空間22は、加熱チャンバーの壁14と、ヒーターケーシング16の壁と、第一および第二の接続壁18、20との間に画定されている。
【0082】
図2は、加熱チャンバー12の一実施形態を示す。加熱チャンバー12は、発熱体を備える中央領域を備える。発熱体は、部分的に加熱チャンバー12の周りに配設されている。加熱チャンバーの壁14は金属管である。発熱体は可撓性であり、金属管の周りに巻かれている。発熱体は、電気的に絶縁された可撓性基体26上に導電性加熱トラック24を備える。示された実施形態において、可撓性基体26の近位縁部分および遠位縁部分は、加熱トラック24によって覆われていない。他の実施形態において、可撓性基体26の異なる領域、または表面全体でさえも、加熱トラック24によって覆われてもよい。加熱チャンバー12の近位領域28および遠位領域30は、長軸方向に発熱体から間隔を置いている。
【0083】
図3は、図2の加熱チャンバー12を備えるヒーター組立品10の一実施形態を示す。発熱体は、加熱チャンバー12とヒーターケーシングの間に配設されている。
【0084】
第一および第二の接続壁18、20は、ヒーターケーシング16の壁を加熱チャンバーの壁14と密封的に接続し、それによって気密中空空間22を気密に密閉する。
【0085】
第一および第二の接続壁18、20はそれぞれ、近位領域28および遠位領域30において加熱チャンバー12に接触する。第一および第二の接続壁18、20は、発熱体から間隔を置いた位置で加熱チャンバー12に接触する。それ故に、第一および第二の接続壁18、20は、使用中に加熱された時、加熱チャンバーの最も冷たい点12で加熱チャンバーに接触する。それによって、熱伝導による加熱チャンバー12から接続壁18、20およびヒーターケーシングへの熱移動に起因する熱損失は、さらに低減される。断熱は、さらに改善されてもよい。
【0086】
ヒーターケーシング16の壁の内側は、金属被覆32を備える。金属被覆32は、加熱チャンバー12から放射された熱を加熱チャンバーに向かって反射する場合がある。それによって、ヒーターケーシングの外側に対する加熱チャンバーの断熱は改善されてもよい。
【0087】
距離dは、加熱チャンバーの壁14の外側上の発熱体とヒーターケーシング16の壁の内側上の金属被覆32との間で半径方向で測定される。
【0088】
図4は、図3のヒーター組立品10を備えるエアロゾル発生装置の一実施形態を示す。エアロゾル発生装置は電力供給源をさらに備える。電力供給源は、電源34および制御電子回路36を備える。電源34は再充電可能電池であってもよい。図4の実施形態において、ヒーターケーシング16の壁は、エアロゾル発生装置の外側ハウジング38の一部を形成する。
【0089】
開口部40にて、エアロゾル形成基体は、加熱チャンバー12の中に少なくとも部分的に挿入されてもよい。
【0090】
図5は、図3のヒーター組立品10を備えるエアロゾル発生装置の一実施形態を示す。図4の実施形態と異なり、図5の実施形態において、ヒーター組立品10は、エアロゾル発生装置の別個の外側ハウジング38内に配設されている。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置用ヒーター組立品であって、
エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーと、
加熱チャンバーの周りに配設されたヒーターケーシングであって、加熱チャンバーから半径方向に間隔を置いて配設されている、ヒーターケーシングと、
第一の接続壁および第二の接続壁と、
前記加熱チャンバーと、前記ヒーターケーシングと、前記第一および第二の接続壁との間に画定された気密中空空間であって、周囲気圧にてガス組成物で充填されている、気密中空空間と、を備え、発熱体が少なくとも部分的に前記加熱チャンバーの周りに配設されている、ヒーター組立品。
【請求項2】
前記加熱チャンバーと前記ヒーターケーシングの間の距離が、2.5ミリメートル~7ミリメートルである、請求項1に記載のヒーター組立品。
【請求項3】
前記加熱チャンバーと前記ヒーターケーシングの間の距離が、3.5ミリメートル~6ミリメートル、好ましくは約4.6ミリメートルである、請求項2に記載のヒーター組立品。
【請求項4】
前記気密中空空間が周囲空気で充填されている、請求項1~3のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項5】
前記接続壁が、前記ヒーターケーシングを、前記加熱チャンバーの外壁と密封的に接続する、請求項1~4のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項6】
前記接続壁が、前記加熱チャンバーの長軸方向軸に対して垂直に配向されている、請求項1~5のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項7】
前記加熱チャンバーが細長い形状を有し、好ましくは前記加熱チャンバーが中空管である、請求項1~6のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項8】
前記加熱チャンバーが、発熱体を備える中央領域と、
近位領域と、
遠位領域と、を備え、
近位領域および遠位領域が、長軸方向に発熱体から間隔を置いていて、
第一および第二の接続壁がそれぞれ、近位領域および遠位領域で加熱チャンバーに接触する、請求項7に記載のヒーター組立品。
【請求項9】
前記発熱体が、電気的に絶縁された基体上に一つ以上の導電性トラックを備え、随意に前記発熱体が可撓性であり、かつ前記加熱チャンバーの周りに巻かれていて、随意に前記発熱体が前記加熱チャンバーと前記ヒーターケーシングの間に配設されている、請求項1~8のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項10】
前記ヒーターケーシングの外径と前記加熱チャンバーの外径の比が、2~3.5である、請求項1~9のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項11】
前記ヒーターケーシングの外径が、12ミリメートル~20ミリメートル、好ましくは約17ミリメートルである、請求項1~10のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項12】
前記ヒーターケーシングの壁の内側が、金属被覆を備え、随意に前記加熱チャンバーの壁がステンレス鋼を含む、請求項1~11のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項13】
前記ヒーターケーシングの壁と前記第一および第二の接続壁とのうちの一つ以上の厚さが、2ミリメートル未満、好ましくは約0.8ミリメートルである、請求項1~12のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項14】
前記ヒーターケーシングの壁と前記第一および第二の接続壁とのうちの一つ以上が、プラスチック材料、好ましくはポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはポリフェニレンスルホン(PPSU)、より好ましくはポリフェニレンスルホン(PPSU)を含む、請求項1~13のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載のヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置。
【請求項16】
請求項15に記載のエアロゾル発生装置と、前記加熱チャンバーの中に少なくとも部分的に挿入されるように構成されたエアロゾル形成基体とを備えるエアロゾル発生システム。
【請求項17】
前記システムが、前記エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を備え、前記エアロゾル発生物品が前記加熱チャンバーの中に少なくとも部分的に挿入されるように構成されている、請求項16に記載のエアロゾル発生システム。
【国際調査報告】