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2023-545466免疫応答を調節することができる、金属イオンと会合したSTINGアゴニストの結晶多形体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】免疫応答を調節することができる、金属イオンと会合したSTINGアゴニストの結晶多形体
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7084 20060101AFI20231023BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 9/02 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/4245 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/5415 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/635 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/63 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/196 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/4164 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/475 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231023BHJP
   C07H 19/073 20060101ALN20231023BHJP
   C07D 311/36 20060101ALN20231023BHJP
   C07D 271/10 20060101ALN20231023BHJP
   C07D 417/12 20060101ALN20231023BHJP
   C07D 475/08 20060101ALN20231023BHJP
   C07D 213/76 20060101ALN20231023BHJP
   C07D 231/12 20060101ALN20231023BHJP
   C07J 5/00 20060101ALN20231023BHJP
   C07D 251/70 20060101ALN20231023BHJP
   C07D 233/90 20060101ALN20231023BHJP
   C07D 305/14 20060101ALN20231023BHJP
   C07D 491/22 20060101ALN20231023BHJP
   C07D 519/04 20060101ALN20231023BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20231023BHJP
   C07K 16/30 20060101ALN20231023BHJP
【FI】
A61K31/7084
A61P35/00 ZNA
A61P35/02
A61P31/04
A61P31/10
A61P31/12
A61P31/14
A61P31/18
A61P25/04
A61K9/08
A61K9/12
A61K9/02
A61K9/70 401
A61K45/00
A61K39/39
A61K31/7068
A61K31/353
A61K31/4245
A61K31/5415
A61P43/00 121
A61K31/519
A61K31/635
A61K39/395 N
A61K31/192
A61K31/63
A61K31/196
A61K38/16
A61K31/573
A61K31/53
A61K31/4164
A61K31/337
A61K31/4745
A61K31/475
A61K47/02
C07H19/073
C07D311/36
C07D271/10
C07D417/12
C07D475/08
C07D213/76
C07D231/12 Z
C07J5/00
C07D251/70 A
C07D233/90 A
C07D305/14
C07D491/22
C07D519/04
C12N15/13
C07K16/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522820
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 US2021055212
(87)【国際公開番号】W WO2022081993
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】63/092,295
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507238218
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ムーン,ジェイムス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スン,シャオチ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ギョン ス
(72)【発明者】
【氏名】ファン,クーフイ
【テーマコード(参考)】
4C050
4C055
4C057
4C063
4C072
4C076
4C084
4C085
4C086
4C091
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050AA07
4C050BB04
4C050CC07
4C050DD02
4C050EE02
4C050FF02
4C050GG03
4C050HH04
4C055AA01
4C055BA02
4C055BA52
4C055BB16
4C055CA01
4C055DA01
4C057CC02
4C057CC03
4C057DD01
4C057LL17
4C057LL19
4C063AA01
4C063BB09
4C063CC75
4C063DD64
4C063EE01
4C072QQ00
4C072QQ07
4C072UU01
4C076AA03
4C076AA11
4C076AA24
4C076AA72
4C076CC01
4C076CC27
4C076CC32
4C076CC35
4C076DD21
4C076DD21Q
4C076FF34
4C076FF63
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA17
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084MA02
4C084MA05
4C084MA13
4C084MA17
4C084MA31
4C084MA32
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA08
4C084ZB26
4C084ZB27
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4C084ZB35
4C084ZC75
4C085AA14
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4C085FF11
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4C086BC36
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4C086BC89
4C086CB09
4C086CB21
4C086CB22
4C086DA10
4C086DA20
4C086EA16
4C086EA17
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4C086GA10
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4C086MA05
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4C086NA05
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4C086ZB33
4C086ZB35
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4C091BB03
4C091BB05
4C091CC01
4C091DD01
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4C206AA01
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4C206DA25
4C206FA31
4C206KA01
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4C206MA52
4C206NA05
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4C206ZA08
4C206ZB26
4C206ZB27
4C206ZB33
4C206ZB35
4C206ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、対象への投与時に対象における自然免疫応答を刺激することができる薬剤と共に、対象における自然免疫応答を刺激するための組成物および方法を提供する。特に、本発明は1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と会合した(例えば、混合された)STINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配合高分子形態)、ならびにそのような組成物を利用するシステムおよび方法(例えば、治療現場における)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上のSTINGアゴニストと、1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)との混合物の結晶多形体を含む、組成物。
【請求項2】
前記1種以上のSTINGアゴニストと、1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)との混合物の結晶多形体が、ポリ(ヒスチジン)-PEG(例えば、His33-PEG)とさらに会合している、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記PEGの長さが、1~500繰り返し単位であり、
前記ポリヒスチジンの長さが、1~50繰り返し単位である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記1種以上のSTINGアゴニストと、1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)との混合物の結晶多形体が、1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合された1種以上のSTINGアゴニストの配合高分子の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記結晶多形体組成物を形成するための、前記1種以上のSTINGアゴニストの濃度が0.01~5mg/mlであり、前記1種以上のSTINGアゴニストに対する、前記1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)のモル比が0.1超である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記H33-PEGの濃度が1.3mg/mlを超える、効率的な製剤化のための請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記1種以上のSTINGアゴニストが環状ジヌクレオチドであり、
ここで、前記環状ジヌクレオチドは、cGAMP、cdiAMP、cdiGMP、およびcAIMPから独立して選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記1種以上のSTINGアゴニストが、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、メトキシボン、6,4’-ジメトキシフラボン、4’-メトキシフラボン、3’,6’-ジヒドロキシフラボン、7,2’-ジヒドロキシフラボン、ダイゼイン、ホルモノネチン、およびレツシン7-メチルエーテル、またはそれらの任意の誘導体から独立して選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記1種以上のSTINGアゴニストが、2’3’-cGAMP、3’ 3’-cGAMP、c-di-AMP、c-di-GMP、cAIMP、cAIMP Difluor、cAIM(PS)2、Difluor(Rp/Sp)、2’2’-cGAMP、2’3’-cGAM(PS)2(Rp/Sp)、3’3’-cGAMPフッ化物、c-di-AMPフッ化物、2’3’-c-di-AMP、2’3’-c-di-AMP(PS)2(Rp,Rp)、c-di-GMPフッ化物、2’3’-c-di-GMP、c-di-IMP、SB11285、STINGアゴニスト-C11、STINGアゴニスト-1、STINGアゴニストG10およびゲムシタビンから独立して選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記1種以上のSTINGアゴニストが、
【化1】

、SB11285(Spring Bank Pharmaceuticals)、ゲムシタビン
【化2】

、STINGアゴニスト-C11
【化3】

、STINGアゴニスト-1
【化4】

、STINGアゴニストG10
【化5】

、2’3’-cGAMP、3’3’-cGAMP、c-di-AMP、c-di-GMP、cAIMP、cAIMP Difluor、cAIM(PS)2、Difluor(Rp/Sp)、2’2’-cGAMP、2’3’-cGAM(PS)2(Rp/Sp)、3’3’-cGAMPフッ化物、c-di-AMPフッ化物、2’3’-c-di-AMP、2’3’-c-di-AM(PS)2(Rp,Rp)、c-di-GMPフッ化物、2’3’-c-di-GMP、c-di-IMP、cGAMP、2’3’-cGAMP、2’2’-cGAMP、3’3’-cGAMP、cGAM(PS)2,2’3’-cGAM(PS)2(Rp/Sp)、2’2’-cGAM(PS)2、2’3’-cGAM(PS)2、cGAMPフッ化物、3’3’-cGAMPフッ化物、2’3’-cGAMPフッ化物、2’2’-cGAMPフッ化物、c-di-AMP、2’3’-cdAMP、2’2’-cdAMP、3’3’-cdAMP、c-di-AM(PS)2、2’3’-c-di-AM(PS)2(Rp,Rp)、2’2’-c-di-AM(PS)2、3’3’-c-di-AM(PS)2、c-di-AMPフッ化物、2’3’-cdAMPフッ化物、2’2’-cdAMPフッ化物、3’3’-cdAMPフッ化物、cdGMP、2’3’-cdGMP、2’2’-cdGMP、3’3’-cdGMP、c-di-GM(PS)2、2’3’-c-di-GM(PS)2、2’2’-c-di-GM(PS)2、3’3’-c-di-GM(PS)2、cdGMPフッ化物、2’3’-cdGMPフッ化物、2’2’-cdGMPフッ化物、3’3’-cdGMPフッ化物、cAIMP、2’3’-cAIMP、2’2’-cAIMP、3’3’-cAIMP、cAIMP Difluor(3’3’-cAIMPフッ化物、2’3’-cAIMPフッ化物、2’2’-cAIMPフッ化物、cAIM(PS)2 Difluor、3’3’-cAIM(PS)2 Difluor (Rp/Sp)、2’3’-cAIM(PS)2 Difluor、2’2’-cAIM(PS)2 Difluor、c-di-IMP、2’3’-cdIMP、2’2’-cdIMP、3’3’-cdIMP、c-di-IM(PS)2、2’3’-c-di-IM(PS)2、2’2’-c-di-IM(PS)2、3’3’-c-di-IM(PS)2、c-di-IMPフッ化物、2’3’-cdIMPフッ化物、2’2’-cdIMPフッ化物および3’3’-cdIMPフッ化物)、アミドベンズイミダゾール(ABZI)系化合物、SR-717系化合物、ならびに、MSA-2系化合物から独立して選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物がワンポット反応によって生成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
治療上有効な量の請求項1に記載の組成物を対象に投与することを含む、対象における自然免疫応答を刺激する方法。
【請求項13】
前記投与が、前記対象において、サイトカインを介して媒介される自然サイトカイン応答をもたらす、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記自然サイトカイン応答が、前記対象において、1型インターフェロンを介して媒介される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
追加の治療剤を、前記組成物と同時に投与する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記追加の治療剤が、疾患修飾性抗リウマチ薬(例えば、レフルノミド、メトトレキサート、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン)、生物性薬剤(例えば、リツキシマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、ゴリムマブ)、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、イブプロフェン、セレコキシブ、ケトプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、ジクロフェナク)、鎮痛剤(例えば、アセトアミノフェン、トラマドール)、免疫調節剤(例えば、アナキンラ、アバタセプト)、グルココルチコイド(例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾン)、TNF-α阻害剤(例えば、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ)、IL-1阻害剤、およびメタロプロテアーゼ阻害剤から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
さらに、追加の薬剤を、前記組成物と同時に投与し、前記追加の薬剤が、アジュバント、化学療法剤、抗免疫抑制剤、免疫刺激剤、および抗原からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記免疫刺激剤が、抗CTLA-4抗体、抗PD-1、抗PD-L1、抗TIM-3、抗BTLA、抗VISTA、抗LAG3、抗CD25、抗CD27、抗CD28、抗CD137、抗OX40、抗GITR、抗ICOS、抗TIGIT、およびIDO阻害剤から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記化学療法剤が、アルデスロイキン、アルトレタミン、アミフォスチン、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クラドリビン、シサプリド、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロナビノール、エポエチンα、エトポシド、フィルグラスチム、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、グラニセトロン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イボスファミド、インターフェロンα、イリノテカン、ランソプラゾール、レバミソール、ロイコボリン、メゲストロール、メスナ、メトトレキサート、メトクロプラミド、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、オメプラゾール、オンダンセトロン、パクリタキセル(TAXOL)、ピロカルピン、プロクロロペラジン、リツキシマブ、タモキシフェン、タキソール、塩酸トポテカン、トラスツズマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよび酒石酸ビノレルビンから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
治療上有効な量の請求項1に記載の組成物を対象に投与することを含む、対象(例えば、対象のヒト)における癌の症状を治療、予防および/または改善する方法。
【請求項21】
前記対象が、癌に罹患しているか、または癌に罹患するリスクがある、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が、ワクチン適用のための免疫応答を誘発するために使用される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が、前記対象への投与時に少なくとも1つの癌細胞における自然免疫応答を刺激するために使用され、前記自然免疫応答の刺激は、サイトカインを介して媒介される自然サイトカイン応答を刺激することを含み、前記自然サイトカイン応答は、1型インターフェロンを介して媒介される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物が癌細胞を標的とするように構成された1種以上の薬剤とさらに会合(例えば、複合体化、コンジュゲート、カプセル化、吸収、吸着、混合)している、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記癌細胞を標的とするように構成された薬剤が、α-アクチニン-4、Bcr-Abl融合タンパク質、Casp-8、β-カテニン、cdc27、cdk4、cdkn2a、Coa-1、dek-can融合タンパク質、EF2、ETV6-AML1融合タンパク質、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、HLA-A2、HLA-A11、hsp70-2、KIAAO205、Mart2、Mum-1、2、および3、neo-PAP、ミオシンクラスI、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PTPRK、K-ras、N-ras、トリオースリン酸イソメラーゼ、Bage-1、Gage 3,4,5,6,7、GnTV、Herv-K-mel、Lage-1、Mage-A1,2,3,4,6,10,12、Mage-C2、NA-88、NY-Eso-1/Lage-2、SP17、SSX-2、およびTRP2-Int2、MelanA(MART-I)、gp100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2、MAGE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、p15(58)、CEA、RAGE、NY-ESO(LAGS)、SCP-1、Hom/Mel-40、PRAME、p53、H-Ras、HER-2/neu、BCR-ABL、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、Epstein Barrウイルス抗原、EBNA、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6およびE7、TSP-180、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、p185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、PSA、TAG-72-4、CA19-9、CA72-4、CAM17.1、NuMa、K-ras、β-Cカテニン、CDK4、Mum-1、p16、TAGE、PSMA、PSCA、CT7、テロメラーゼ、43-9F、5T4、791Tgp72、α-フェトプロテイン、13HCG、BCA225、BTAA、CA125、CA 15-3(CA 27.29\BCAA)、CA195、CA242、CA-50、CAM43、CD68\KP1、CO-029、FGF-5、G250、Ga733(EpCAM)、ヒトEGFRタンパク質またはその断片、例えば、ヒトEGFR306-325残基(SCVRACGADSYEMEEDGVRK(配列番号12))および897-915残基(VWSYGVTVWELMTFGSKPY(配列番号13))、HTgp-175、M344、MA-50、MG7-Ag、MOV18、NB\70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90(Mac-2結合タンパク質\シクロフィリンC関連タンパク質)、TAAL6、TAG72、TLP、TPS、WT1(およびWT1-誘導ペプチド配列:WT1 126-134(RMFP NAPYL(配列番号14))、WT1 122-140(SGQARMFPNAPYLPSCLES(配列番号15))、WT1 122-144(SGQARMFPNAPYLPSCLESQPTI(配列番号16))、MUC1(ならびに、MUC1誘導ペプチドおよび糖ペプチド、例えば、RPAPGS(配列番号17)、PPAHGVT(配列番号18)およびPDTRP(配列番号19))、LMP2、EGFRvIII、イディオタイプ、GD2、Ras変異体、p53変異体、プロテイナーゼ3(PR1)、サルビビン、hTERT、肉腫転座ブレークポイント、EphA2、EphA4、LMW-PTP、PAP、ML-IAP、AFP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、RhoC、TRP-2、GD3、フコシルGM1、メソセリン、sLe(動物)、CYP1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、GloboH、NY-BR-1、RGS5、SART3、STn、炭酸アンハンダーゼIX、PAX5、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、HMWMAA、AKAP-4、XAGE1、B7H3、レグマイン、Tie2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-α、PDGFR-β、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、ERBB2、葉酸受容体1(FOLR1またはFBP)、IDH1、IDO、LY6K、fms関連チロシンキナーゼ1(FLT1、VEGFR1としてよく知られている)、KDR、PADRE、TA-CIN(組み換えHPV16 L2E7E6)、SOX2、アルデヒド脱水素酵素ならびにこれらの誘導体からなる群より選択される腫瘍抗原である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記組成物が、化学療法剤と同時投与され、前記化学療法剤は、以下の1種以上:アルデスロイキン、アルトレタミン、アミフォスチン、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クラドリビン、、シサプリド、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロナビノール、エポエチンα、エトポシド、フィルグラスチム、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、グラニセトロン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イボスファミド、インターフェロンα、イリノテカン、ランソプラゾール、レバミソール、ロイコボリン、メゲストロール、メスナ、メトトレキサート、メトクロプラミド、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、オメプラゾール、オンダンセトロン、パクリタキセル(TAXOL)、ピロカルピン、プロクロロペラジン、リツキシマブ、タモキシフェン、タキソール、塩酸トポテカン、トラスツズマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよび酒石酸ビノレルビン、である、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記癌が、膀胱癌、脳腫瘍、乳癌、子宮頸癌、卵巣癌、結腸直腸癌、食道癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、鼻咽頭癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、胃癌(stomach cancer)、胃癌(gastric cancer)、頭頸部癌、精巣癌、メラノーマ、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、T細胞リンパ性白血病、およびB細胞リンパ腫、ならびに子宮体癌から選択される1種以上である、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
治療上有効な量の請求項1に記載の組成物の投与によって、対象(例えば、対象のヒト)における感染症の症状を治療、予防、予防接種、および/または改善する方法。
【請求項29】
前記感染症が細菌感染症である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記感染症が真菌感染症である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記対象がウイルス感染(例えば、COVID-19)によって引き起こされる状態および症状に罹患しているか、または罹患するリスクがある、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物の投与が、ACE2およびSARS-COV-2ウイルスの細胞侵入レベルの低下をもたらす、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物の投与が、SARS-COV2 Sタンパク質誘導性のNF-kB活性化の阻害をもたらす、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物の投与が、免疫エフェクター細胞による炎症性サイトカイン放出の減少をもたらす、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物の投与が、内皮系の活性化および機能不全の阻害をもたらす、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記ウイルス感染が、SARS-CoV-2に関係するウイルス感染(例えば、COVID-19)である、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記ウイルス感染が、インフルエンザ、HIV、HIV-1、HIV-2、薬物耐性HIV、ジュニンウイルス、チクングニアウイルス、黄熱ウイルス、デングウイルス、ピチンデウイルス、ラッサウイルス、アデノウイルス、麻疹ウイルス、パンタトロウイルス、呼吸器多核体ウイルス、リフトバレーウイルス、RHDV、SARSコロナウイルス、タカリベウイルス、および西ナイルウイルスに関係する任意の感染であり、いくつかの実施形態において、前記ウイルス感染がMproプロテアーゼ活性および/または発現を有する任意のウイルスに関連する、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記ウイルス感染に関係する1種以上の症状が、発熱、疲労、乾性咳、筋肉痛、呼吸困難、急性呼吸窮迫症候群、および肺炎を含むが、これらに限定されない、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
前記組成物が、以下の1種以上の治療剤:レムデシビル、デキサメタゾン、およびヒドロキシクロロキン、と同時に投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
請求項1に記載の組成物を対象に投与することを含む、前記対象における急性呼吸窮迫症候群および/または肺炎を治療、改善および/または予防するための方法。
【請求項41】
前記対象が対象のヒトである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記対象がSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関係する状態に罹患しているかまたは罹患するリスクがある対象のヒトである、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記対象が、SARS-CoV-2ウイルス感染に罹患している対象のヒトである、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記組成物が、以下の1種以上の治療剤:レムデシビル、デキサメタゾン、およびヒドロキシクロロキン、と同時に投与される、請求項40に記載の方法。係る方法は、特定の投与方式に限定されない。
【請求項45】
前記組成物が、以下の1種以上の治療剤:レムデシビル、デキサメタゾン、およびヒドロキシクロロキン、と同時に投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
対象における痛みの治療に使用するための鎮痛医薬組成物であって、前記鎮痛医薬組成物は、請求項1に記載の組成物を含む、鎮痛医薬組成物。
【請求項47】
前記鎮痛医薬組成物が、筋肉内注射、皮下注射、静脈内注射、髄腔内注射、舌下摂取、皮膚パッチ、埋め込み型浸透圧ポンプ、コラーゲンインプラント、エアロゾル吸入、および/または座薬用に構成されている、請求項46に記載の鎮痛医薬組成。
【請求項48】
治療上有効な量の請求項47に記載の鎮痛医薬組成物を、痛みを体験しているか、または、痛みを体験するリスクがある対象に投与することを含む、対象における痛みを治療および/または予防するための方法。
【請求項49】
前記投与が、筋肉内注射、皮下注射、静脈内注射、髄腔内注射、舌下摂取、皮膚パッチ、埋め込み型浸透圧ポンプ、コラーゲンインプラント、エアロゾル吸入、および/または座薬から選択される、請求項48に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は2020年10月15日に出願された米国仮出願第63/092,295号に対する優先権の利益を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載〕
本発明は、国立衛生研究所によって付与されたAI127070に基づく政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
〔発明の分野〕
本開示は、対象への投与時に対象における自然免疫応答を刺激することができる薬剤と共に、対象における自然免疫応答を刺激するための組成物および方法を提供する。特に、本発明は、1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と会合した(例えば、混合された)STINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配合高分子形態)、ならびにそのような組成物を利用するシステムおよび方法(例えば、治療現場における)に関する。
【0004】
〔発明の背景〕
免疫チェックポイントの遮断は、患者自身の免疫系が癌と戦うことを可能にし得る。しかしながら、免疫チェックポイント遮断に対する現在の平均応答率は約30%に過ぎない。これは、「冷たい腫瘍(cold tumors)」として特徴付けられる、免疫系から認識され難いいくつかの腫瘍に起因している可能性がある。このような腫瘍の特徴には、低い炎症反応、より少ない突然変異量、ならびに、T細胞およびその他の炎症性免疫細胞の腫瘍内への浸潤の不足、が含まれる。対照的に、免疫系が認識できるより多くの炎症性シグネチャーを有する「熱い腫瘍(hot tumors)」は、癌免疫療法に対するより良好な治療応答速度を有する。したがって、「冷たい腫瘍」を「熱い腫瘍」に変える方法を理解することが重要である。
【0005】
蓄積された証拠は、自然免疫系によって媒介される腫瘍の免疫監視が、インターフェロン遺伝子(STING)経路の刺激因子として腫瘍細胞由来のDNAを感知することにより、腫瘍の存在を認識することを示している。STING経路の活性化は、例えばI型インターフェロン応答および他の炎症性表現型の変化といった自然免疫カスケードを誘発することができ、さらに、適応性の抗腫瘍反応を誘発する。したがって、STINGは、冷たい腫瘍」から「熱い腫瘍」への転換の「トリガー」であると考えられる。例えば、STINGアゴニストの腫瘍内投与は、局所腫瘍および転移性腫瘍の両方に対する抗腫瘍免疫応答を誘発し得る。臨床現場において、1型インターフェロン応答は、抗原特異的T細胞の浸潤と同様の、より良好な癌治療予後のシグネチャーであることが見出されている。したがって、インビボでの高い安定性、好ましい薬物動態特性および許容される安全性プロファイルを有するSTINGアゴニストの開発は非常に重要であり、高い橋渡し的な価値(translational value)を有する。
【0006】
臨床開発中のSTINGアゴニストの大多数は、環状ジヌクレオチド(CDN)およびその誘導体である。重要なことに、従来のヌクレオチドベースのSTINGアゴニストは、いくつかの大きなな制限を有する。例えば、臨床試験におけるSTINGアゴニストは、現在、低いバイオアベイラビリティおよび標的外毒性を含むそれらの低い薬学的特性のために、腫瘍内注射を介して投与されている。例えば、血清中のMIW815の半減期はわずか約16分であり、さらに、第1相臨床試験においては、腫瘍内注入の1時間後にMIW815の98%以上が全身循環に移行した。この現象は、転移性癌の治療に対するヌクレオチドベースのSTINGアゴニストの適用を阻害する。加えて、ヌクレオチドベースのSTINGアゴニストは一般に、細胞膜を通過しない。そのために、細胞内のSTINGの活性化には制限がある。
【0007】
したがって、CDN STINGアゴニストの送達のための、簡便で探索的(translational)な剤型を見出すことが急務とされている。
【0008】
新しい多形体を開発することは、薬物の性能を向上させるために広く利用されており、より優れた有効性、溶解性、保存性、または製造の容易さなどの利点を提供し得る。そして、最終的に薬物の採用率の向上につながる可能性がある。CDN STINGアゴニストの新しい多形体はまだ報告されていない。CDN STINGアゴニストのそのような新しい多形体または高分子形態の発見はそれらの薬学的特性を改善し、その製剤化および送達の問題を解決するために非常に有望である。
【0009】
本発明は、これらの需要に取り組む。
【0010】
〔概要〕
本発明の実施形態を開発する過程で行われた実験は、特定の金属イオン(Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)がCDNベースのSTINGアゴニストと配位し、新たな配位構造または結晶多形体(例えば、配位高分子形態)を形成し得るという驚くべき発見をもたらした。特に、係る実験は、Zn2+および/またはMn2+と混合されたCDN STINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)が、ポリヒスチジン33(H33)-ポリエチレングリコール(PEG)の存在下で均一かつ安定なナノ粒子に集合することができることを実証した。Zn2+および/またはMn2+と混合されたSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)を含む組成物は、CDN STINGアゴニストの医薬特性および治療効果を改善するための使用できることが示唆される。そのような組成物は一般に、単純な混和によって水中で自己集合することによって形成され、これにより、製造プロセスおよび臨床的探索を促進する。Zn2+および/またはMn2+と混合されたSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)を含むこれらの組成物は、全身投与によって特定の腫瘍に対する免疫応答を誘導することができ、それによって腫瘍への直接的な局所注射の必要性を回避することができるので、このような成果は、高い臨床的重要性を有する。
【0011】
したがって、このような結果および実施形態は、対象への投与時に、対象における自然免疫応答を刺激することができる薬剤の、局所的および全身への送達の両方のための新しいクラスの薬物送達系を示す。
【0012】
このように、本開示は、対象への投与時に対象における自然免疫応答を刺激することができる薬剤により、対象における自然免疫応答を刺激することができる組成物および方法を提供する。特に、本発明は1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と会合(例えば、複合体化、コンジュゲート、カプセル化、吸収、吸着、混和)したSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)、ならびにそのような組成物を利用する(例えば、診断および/または治療現場における)システムおよび方法に関する。
【0013】
したがって、特定の実施形態において、1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合された1種以上のSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、このような1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合されたSTINGアゴニストの組成物は、ポリ(ヒスチジン)-PEG(例えば、H33-PEG)とさらに会合している。
【0014】
係る組成物は、前記1種以上のSTINGアゴニストと前記1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)との間の特定の比率に限定されない。いくつかの実施形態では、前記結晶多形体(例えば、配位高分子形態)内の前記1種以上のSTINGアゴニストの総量は0.01~5mg/mlである。いくつかの実施形態において、前記1種以上のSTINGアゴニストに対する前記1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)のモル比は0.1超であることが望ましい。前記結晶多形体(例えば、配位高分子形態)がポリ(ヒスチジン)-PEG(例えば、H33-PEG)と会合しているいくつかの実施形態においては、前記H33-PEGの濃度が有効な製剤のために1.3mg/ml超であることが望ましい。いくつかの実施形態において、前記PEGの長さは、1~500繰り返し単位である。いくつかの実施形態において、前記ポリヒスチジンの長さは、1~50の繰り返し単位である。
【0015】
係る組成物は、特定のタイプまたは種類のSTINGアゴニストに限定されない。いくつかの実施形態において、STINGアゴニストは、低分子のSTINGアゴニストである。いくつかの実施形態において、低分子のSTINGアゴニストは、環状ジヌクレオチドである。例えば、いくつかの実施形態において、環状ジヌクレオチドは、cGAMP、cdiAMP、cdiGMP、およびcAIMPを含む。環状プリンジヌクレオチドのさらなる例は、例えば、米国特許第7,709,458号および7,592,326号;WO2007/054279;ならびに、Yan et al., Bioorg. Med. Chem Lett. 18: 5631 (2008)に詳細に記載されている。これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、追加のSTINGアゴニストは、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、メトキシボン、6,4’-ジメトキシフラボン、4’-メトキシフラボン、3’,6’-ジヒドロキシフラボン、7,2’-ジヒドロキシフラボン、ダイゼイン、ホルモノネチン、およびレツシン7-メチルエーテル、またはそれらの任意の誘導体から選択される。いくつかの実施形態において、低分子のSTINGアゴニストは、これらに限定されないが、2’3’-cGAMP、3’3’-cGAMP、c-di-AMP、c-di-GMP、cAIMP、cAIMP Difluor、cAIM(PS)2、Difluor(Rp/Sp)、2’2’-cGAMP、2’3’-cGAM(PS)2(Rp/Sp)、3’3’-cGAMPフッ化物、c-di-AMPフッ化物、2’3’-c-di-AMP、2’3’-c-di-AMP(PS)2(Rp,Rp)、c-di-GMPフッ化物、2’3’-c-di-GMP、c-di-IMP、SB11285、STINGアゴニスト-C11、STINGアゴニスト-1、STINGアゴニストG10およびゲムシタビンを含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記低分子のSTINGアゴニストは、
【0017】
【化1】
【0018】
、SB11285(Spring Bank Pharmaceuticals)、ゲムシタビン
【0019】
【化2】
【0020】
、STINGアゴニスト-C11
【0021】
【化3】
【0022】
、STINGアゴニスト-1
【0023】
【化4】
【0024】
、STINGアゴニストG10
【0025】
【化5】
【0026】
、2’3’-cGAMP、3’3’-cGAMP、c-di-AMP、c-di-GMP、cAIMP、cAIMP Difluor、cAIM(PS)2、Difluor(Rp/Sp)、2’2’-cGAMP、2’3’-cGAM(PS)2(Rp/Sp)、3’3’-cGAMPフッ化物、c-di-AMPフッ化物、2’3’-c-di-AMP、2’3’-c-di-AM(PS)2(Rp,Rp)、c-di-GMPフッ化物、2’3’-c-di-GMP、c-di-IMP、cGAMP、2’3’-cGAMP、2’2’-cGAMP、3’3’-cGAMP、cGAM(PS)2,2’3’-cGAM(PS)2(Rp/Sp)、2’2’-cGAM(PS)2、2’3’-cGAM(PS)2、cGAMPフッ化物、3’3’-cGAMPフッ化物、2’3’-cGAMPフッ化物、2’2’-cGAMPフッ化物、c-di-AMP、2’3’-cdAMP、2’2’-cdAMP、3’3’-cdAMP、c-di-AM(PS)2、2’3’-c-di-AM(PS)2(Rp,Rp)、2’2’-c-di-AM(PS)2、3’3’-c-di-AM(PS)2、c-di-AMPフッ化物、2’3’-cdAMPフッ化物、2’2’-cdAMPフッ化物、3’3’-cdAMPフッ化物、cdGMP、2’3’-cdGMP、2’2’-cdGMP、3’3’-cdGMP、c-di-GM(PS)2、2’3’-c-di-GM(PS)2、2’2’-c-di-GM(PS)2、3’3’-c-di-GM(PS)2、cdGMPフッ化物、2’3’-cdGMPフッ化物、2’2’-cdGMPフッ化物、3’3’-cdGMPフッ化物、cAIMP、2’3’-cAIMP、2’2’-cAIMP、3’3’-cAIMP、cAIMP Difluor(3’3’-cAIMPフッ化物、2’3’-cAIMPフッ化物、2’2’-cAIMPフッ化物、cAIM(PS)2 Difluor、3’3’-cAIM(PS)2 Difluor(Rp/Sp)、2’3’-cAIM(PS)2 Difluor、2’2’-cAIM(PS)2 Difluor、c-di-IMP、2’3’-cdIMP、2’2’-cdIMP、3’3’-cdIMP、c-di-IM(PS)2、2’3’-c-di-IM(PS)2、2’2’-c-di-IM(PS)2、3’3’-c-di-IM(PS)2、c-di-IMPフッ化物、2’3’-cdIMPフッ化物、2’2’-cdIMPフッ化物および3’3’-cdIMPフッ化物)、アミドベンズイミダゾール(ABZI)系化合物、SR-717系化合物、ならびに、MSA-2系化合物から選択される。
【0027】
いくつかの実施形態において、前記1種以上の金属イオン(Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合されたSTINGアゴニストは、プロドラッグ形態にさらに改変される。例えば、いくつかの実施形態において、STINGアゴニストのプロドラッグは、ナノ粒子への装填を補助する、および/または、組織への滞留を補助する疎水性部位が結合したSTINGアゴニストである。いくつかの実施形態において、STINGアゴニストは、前記1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合されたSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)を、プロドラッグの形態に変化させるための開裂性の脂質部位により修飾されている。
【0028】
いくつかの実施形態において、前記薬剤はSTING活性化化合物である(例えば、WO2017/011920、WO2017/027646、WO2017/011622、米国特許出願公開第20160287623号、WO2016/100261、米国特許出願公開第20160074507号、およびWO2015/161762を参照)。
【0029】
いくつかの実施形態において、薬学的に活性な成分と組み合わされたSTINGアゴニストが提供される(例えば、STING活性化/化学療法(WO2016/096577)、STING活性化/免疫応答を刺激する選択的ワクチン製剤(米国特許出願公開第20150056224号および第20140205653号)、およびSTING活性化/サイトカイン産生(WO2013/185052)を参照)。
【0030】
上記のように、いくつかの実施形態において、前記1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合された1種以上のSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)はポリ(ヒスチジン)-PEG(例えば、H33-PEG)とさらに会合する。
【0031】
PEGは、2つの末端ヒドロキシル基を有するエチレンPEG繰り返し単位の線形の水溶性ポリマーである。PEGはその分子量によって分類され、例えば、PEG2,000は約2,000ダルトンの平均分子量を有し、PEG5,000は、約5,000ダルトンの平均分子量を有する。PEGはSigma Chemical Coおよび他の会社から市販されており、例えば、モノメトキシポリエチレングリコール(MePEG-OH)、モノメトキシポリエチレングリコール-スクシネート(MePEG-S)、モノメトキシポリエチレングリコール-スクシンイミジルスクシネート(MePEG-S-NHS)、モノメトキシポリエチレングリコール-アミン(MePEG-NH)、モノメトキシポリエチレングリコール-トレシレート(MePEG-TRES)およびモノメトキシポリエチレングリコール-イミダゾリル-カルボニル(MePEG-IM)が挙げられる。その他のPEGとしては、米国特許番号6,774,180号および7,053,150号に記載されているもの(例えば、mPEG(20KDa)アミン)もまた、本発明のPEG-脂質コンジュゲートを調製するために有用である。これらの特許の開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、モノメトキシポリエチレングリコール酢酸(MePEG-CHCOOH)は、例えばPEG-DAAコンジュゲートを含む、PEG-脂質コンジュゲートの調製に特に有用である。
【0032】
本明細書に記載のPEG-H33コンジュゲートのPEG部位は、約550ダルトン~約10,000ダルトンの範囲の平均分子量を有し得る。特定の一例において、前記PEG部位は約750ダルトン~約5,000ダルトン(例えば、約1,000ダルトン~約5,000ダルトン、約1,500ダルトン~約3,000ダルトン、約750ダルトン~約3,000ダルトン、約750ダルトン~約2,000ダルトンなど)の平均分子量を有する。好ましい実施形態において、前記PEG部位は、約2,000ダルトンまたは約750ダルトンの平均分子量を有する。
【0033】
特定の例において、前記PEGは、アルキル、アルコキシ、アシル、またはアリール基によって任意に置換され得る。前記PEGは脂質に直接コンジュゲートすることができ、また、リンカー部位を介して脂質に連結することもできる。例えば、非エステル含有リンカー部位およびエステル含有リンカー部位を含む、前記PEGを脂質にカップリングするのに適した任意のリンカー部位を使用することができる。好ましい実施形態において、前記リンカー部位は非エステル含有リンカー部位である。本明細書で使用される場合、「非エステル含有リンカー部位」という用語は、カルボン酸エステル結合(-OC(O)-)を含有しないリンカー部位を指す。好適な非エステル含有リンカー部位には、アミド(-C(O)NH-)、アミノ(-NR-)、カルボニル(-C(O)-)、カルバメート(-NHC(O)O-)、ウレア(-NHC(O)NH-)、ジスルフィド(-S-S-)、エーテル(-O-)、スクシニル(-O)CCHCHC(O)-)、スクシンアミジル(-NHC(O)CHCHC(O)NH-)、エーテル、ジスルフィド、ならびにそれらの組合せ(カルバメートリンカー部位およびアミドリンカー部位の両方を含むリンカーなど)が含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態においては、カルバメートリンカーを使用して、前記PEGを前記脂質に結合させる。
【0034】
他の実施形態においては、前記PEGをH33に結合させるために、エステル含有リンカー部位が使用される。適切なエステル含有リンカー部位には、例えば、カーボネート(-OC(O)O-)、スクシノイル、ホスフェートエステル(-O-(O)POH-O-)、スルホネートエステル、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0035】
鎖長および飽和度の異なる様々なアシル鎖基を有するホスファチジルエタノールアミンをPEGにコンジュゲートすることで、PEG/H33コンジュゲートを形成することができる。このようなホスファチジルエタノールアミンは、市販されているか、または当業者に公知の従来の技術を用いて単離または合成することができる。C10からC20の炭素鎖長を有する飽和または不飽和脂肪酸を含むホスファチジルエタノールアミンが好ましい。モノまたはジ不飽和脂肪酸、ならびに、飽和および不飽和脂肪酸の混合物を有するホスファチジルエタノールアミンも使用することができる。好適なホスファチジルエタノールアミンには、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、およびジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)が含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
いくつかの実施形態において、前記1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合される1種以上のSTINGアゴニストを含む組成物は、さらに、アジュバントと会合(例えば、複合体化、コンジュゲート、カプセル化、吸収、吸着、混和)する。
【0037】
いくつかの実施形態において、前記アジュバントはCPG、ポリIC、ポリICLC、1018 ISS、アルミニウム塩(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム)、Amplivax、BCG、CP-870、893、CpG7909、CyaA、dSLIM、サイトカイン(例えば、GM-CSF、IL-2、IFN-a、Flt-3L)、IC30、IC31、イミキモド、イミュファクトIMP321、ISパッチ、ISS、ISCOMATRIX、Juvlmmune、LipoVac、MF59、モノホスホリル脂質A、モンタニドIMS 1312、モンタニドISA 206、モンタニドISA 50V、モンタニドISA-51、OK-432、OM-174、OM-197-MP-EC、ONTAK、PepTelRTM、ベクターシステム、PLGA微粒子、イミキモド、レシキモド、ガルジキモド、3M-052、SRL172、ビロソームおよび他のウイルス様粒子、YF-17D、VEGFトラップ、β-グルカン、Pam3Cys、Aquila’s QS21 stimulon、バジメザン、A404(DMXA)、3M MEDI9197、グルコピラノシル脂質アジュバント(GLA)、GLA-SE、CD1dリガンド(例えば、C20:2、OCH、AH04-2、α-ガラトシルセラミド、α-C-ガラトシルセラミド、α-マンノシルセラミド、α-フルクトシルセラミド、β-ガラトシルセラミド、β-マンノシルセラミド)、STINGアゴニスト(例えば、環状[G(3’,5’)pA(3’,5’)p]、環状[G(2’,5’)pA(3’,5’)p]、環状[G(2’,5’)pA(2’,5’)p]、環状ジアデニル酸一リン酸、環状ジグアニル酸一リン酸を含む、環状ジヌクレオチド)、CL401、CL413、CL429、フラジェリン、RC529、E6020、イミダゾキノリン系小分子、TLR-7/8a(その脂質アナログを含む)、ビロソーム、AS01、AS02、AS03、AS04、AS15、IC31、CAF01、ISCOM、サイトカイン(GM-CSF、IL-2、IFN-a、Flt-3Lなど)、および細菌毒素(例えば、CTおよびLT)からなる群より選択される。。いくつかの実施形態において、アジュバントは、アジュバントの任意の誘導体(例えば、コレステロール修飾CpG)またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、アジュバントは、樹状細胞標的化分子である。
【0038】
いくつかの実施形態において、前記1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合された1種以上のSTINGアゴニストを含む組成物は、1種以上のネオ抗原ペプチドとさらに会合(例えば、複合体化、コンジュゲート、カプセル化、吸収、吸着、混和)する。ここで、前記1種以上のネオ抗原ペプチドの各々は対象から得られた新生物の生体試料から同定されたネオ抗原性変異に特異的である。いくつかの実施形態において、前記対象はヒトである。
【0039】
いくつかの実施形態において、前記1種以上のネオ抗原ペプチドは、約5~約50アミノ酸長の範囲である。いくつかの実施形態において、前記1種以上のネオ抗原ペプチドは、約15~約35アミノ酸長の範囲である。いくつかの実施形態において、前記1種以上のネオ抗原性ペプチドは、約18~約30アミノ酸長の範囲である。いくつかの実施形態において、前記1種以上のネオ抗原性ペプチドは、約6~約15アミノ酸長の範囲である。
【0040】
いくつかの実施形態において、前記1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合された1種以上のSTINGアゴニストを含む組成物は、1種以上の生体高分子剤とさらに会合(例えば、複合体化、コンジュゲート、カプセル化、吸収、吸着、混和)する。このような組成物は、特定の生体高分子剤に限定されない。
【0041】
いくつかの実施形態において、前記生体高分子剤は核酸である。係る実施形態は、RNA、siRNA、マイクロRNA、干渉RNA、mRNA、レプリコンmRNA、RNAアナログ、およびDNAを含むが、これらに限定されない、任意のタイプの核酸分子を含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、前記生体高分子剤はペプチドである。
【0043】
いくつかの態様において、前記ペプチドは、アドレノコルチコトロピンホルモン(ACTH)、成長ホルモンペプチド、メラノサイト刺激ホルモン、オキシトシン、バソプレシン、コルチコトロピン放出因子(CRF)、CRF関連ペプチド、ゴナドトロピン放出ホルモン関連ペプチド(GAP)、成長ホルモン放出ホルモン(GRF)、オレキシン、プロラクチン放出ペプチド(PRP)、ソマトスタチン、サイロトロピン放出ホルモン(Thr)、カルシトニン(CT)、CT前駆体ペプチド、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、副甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTH)、アミリン、グルカゴンである。インスリン、インスリン様ペプチド、ニューロペプチドY(NPY)、膵臓ポリペプチド(PP)、ペプチドYY(PYY)、コレシストキニン(CCK)、CCK関連ペプチド、ガストリン放出ペプチド(GRP)、ガストリン関連ペプチド、ガストリン阻害ペプチド、モチリン、セクレチン、血管活性腸管ペプチド(VIP)、脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、タキキニン、アンギオテンシン、レニン阻害剤、エンドセリン、エンドセリン関連ペプチド、オピオイドペプチド、アドレノメデュリンペプチド、アロスタチンペプチド、アミロイドβタンパク質断片、抗酸化ペプチド、アポトーシス関連ペプチド、Bag細胞ペプチド(BCP)、ボンベシン、骨Glaタンパク質ペプチド、コカインおよびアンフェタミン関連転写物(CART)ペプチド、細胞接着ペプチド、走化性ペプチド、補体阻害剤、コルチスタチンペプチド、フィブリン関連ペプチド、FMRFアミド関連ペプチド(FaRP)、ガラニン、成長因子関連ペプチド、G治療用ペプチド結合タンパク質フラグメント、グアリリン、ウログアニリン、インヒビンペプチド、インターロイキン(IL)、インターロイキン受容体タンパク質、インターロイキン受容体断片、ラミニン断片、レプチンペプチド、ポリペプチド反復鎖、トロンビン阻害剤、トキシン、トリプシン阻害剤、ウイルス関連ペプチド、アジュバントペプチド類似体、α接合因子、抗不整脈ペプチド、α-1アンチトリプシン、ウシ松果体抗生殖ペプチド、バーシン、C3ペプチドP16、カドヘリンペプチド、クロモグラニンA断片、避妊テトラペプチド、コナントキンG、甲殻類心臓活性ペプチド、C-テロペプチド、シトクロムb588ペプチド、デコルシン、デルタ睡眠誘導ペプチド、ジアゼンパム結合阻害剤断片、一酸化窒素合成酵素阻害ペプチド、OVAペプチド、血小板カルパイン阻害剤(P1)、プラスミノーゲン活性化剤阻害剤1、リギン、統合失調症関連ペプチド、ナトリウムカリウムアテラピューティックペプチダーゼ阻害剤-1、精子活性化ペプチド、トロンビン受容体アゴニスト、ツフトシン、アディポキネティックホルモン、ウレミックペンタペプチド、抗凍結ポリペプチド、腫瘍壊死因子(TNF)、Leech Asp10]デコルシン、P-アミノフェニルアセチルTuftsin、Ac-Glu-Glu-Val-Val-Ala-Cys-pNA(配列番号1)、Ac-Ser-Asp-Lys-Pro(配列番号2)、Cys-Gly-Tyr-Gly-Pro-Lys-Lys-Lys-Arg-Lys-Val-Gly-Gly(配列番号3)、D-Ala-Leu、D-D-D-D-D(配列番号4)、N-P-N-A-N-P-N-A(配列番号6)、V-A-I-T-V-L-V-K(配列番号7)、V-G-V-R-V-R(配列番号 V-I-H-S(配列番号9)、V-I-H-S(配列番号10)、Val-THR-Cys-Gly(配列番号11)、R-S-R、ウニ精子活性ペプチド、SHU-9119アンタゴニスト、MC3-Rアンタゴニスト、Glaspimod、HP-228、α2-プラスミン阻害剤、早期妊娠因子、ガンマインターフェロン、腺性カリクレインN-1、胎盤リボヌクレアーゼ阻害剤、サルコレシン結合タンパク質、サーファクタントタンパク質D、ウィルムス腫瘍抑制剤、GABAB1b受容体ペプチド、プリオン関連ペプチド(iPRP13)、コリン結合タンパク質断片、テロメラーゼ阻害剤、カルジオスタチンペプチド、エンドスタチン誘導ペプチド、プリオン阻害ペプチド、N-メチルD-アスパラギン酸受容体アンタゴニスト、およびC-ペプチドアナログである。
【0044】
いくつかの実施形態において、前記ペプチドは、177Lu-DOTA0-Tyr3-オクトレオテート、ADH-1、アファメラノチド、メラノタン-1、CUV1647、アルビグルチド、アプロチニン、アルギプレシン、酢酸アトシバン、バシトラシン、ベンチロミド、BH3ドメイン、ビバリルジン、ビバリルジントリフルオロ酢酸塩水和物、ブリシビモド、ボルテゾミブ、ブセレリン、酢酸ブセレリン、カルシトニン、カルベトシン、酢酸カルベトシン、セクロピンAおよびB、セルレチド、ジエチルアミドセルレチド、セトロレリクス、酢酸セトロレリクス、シクロスポリン、シレンジチデク、EMD121974、酢酸コルチコレリン注射液、hCRF、コルチコレリンオーバイントリフレテート、コルチコレリントリフルオロ酢酸塩、コルチコトロピン、コシントロピン、ACTH 1-24、テトラコサクチドヘキサアセテート、ダルババンシン、ダプトマイシン、酢酸デガレリクス、デプレオチドトリフルオロ酢酸塩(加えて、ナトリウムパーテクネート)、酢酸デモプレシン、デモプレシンDDAVP、デュラグルチド、エカランタイド、エドトレオチド(加えて、イットリウム-90)、酢酸エルカトニン、マレイン酸エナラプリル(または2-ブタンジオエート)、エンファブレチド、エピチフィバチド、エキセナチド、酢酸ガニレリクス、酢酸グラチラマー、グルタチオン、ゴナドレリン、酢酸ゴナドレリン、GnRH、LHRH、ゴセレリン、酢酸ゴセレリン、グラミシジン、酢酸ヒストレリン、ヒトカルシトニン、イカチバント、酢酸イカチバント、IM862、オグルファニド2硫酸、KLAKLAK、酢酸ランレオチド、レピルジン、ロイプロリド、酢酸ロイプロリド、ロイプロレリン、リラグルチド、リシノプリル、リキシセナチド、ライプレッシン、マガイニン2、MALP-2Sc、マクロファージ活性化リポペプチド2合成物、サクサンナファレリン、ネシリチド、NGR-hTNF、酢酸オクトレオチド、オリタバンシン、オキシトシン、パシレオチド、ペグイネサチド、ペンタガストリン、ペンテトレオチド(加えて、インジウム-111)、フェニプレシン、プレロシジン、プラムリニチド、プロチレリン、チロリベリン、TRH、TRF,サケカルシトニン、酢酸サララシン、セクレチン(ヒト)、セクレチン(ブタ)、セマグルチド、酢酸セラクチド、ACTH、コルチコトロピン、酢酸コルチコトロピン、酢酸セルモレリン、GRF1-29、シナプルチド、ルシナクタント入りKL4、シンカリド、酢酸ソマトレリン、GHRH、GHRF、GRF、酢酸ソマトスタチン、スパグルマットマグネシウム(またはナトリウム)塩、サブスタンスP、タルチレリン水和物、テデュグルチド、テイコプラニン、テラバンシン、テリパラチド、酢酸テルリプレシン、テトラコサチド、チマルファシン、チモシンA-1、チモペプネチン、トレバナニブ、トリプトレリン、パモ酸トリプトレリン。チロセルロイチド、ウラリチド、バンコマイシン、酢酸バプレオチド、酢酸血管作動性腸管ペプチド、Vx-001c、TERT572Y、酢酸ジコノチド、α5-α6 Baxペプチド、およびβ-デフェンシンから選択される。
【0045】
いくつかの実施形態において、前記ペプチドは、前記組成物が所望の目的を達成することを補助する任意のペプチドである。例えば、いくつかの実施形態において、前記ペプチドは、任意の種類の疾患および/または障害の治療を容易にする任意のペプチドでありえる。
【0046】
いくつかの実施形態において、前記ペプチドは抗原である。いくつかの実施形態において、前記抗原は、ペプチド系の抗原、タンパク質系の抗原、多糖類系の抗原、糖系の抗原、脂質系の抗原、糖脂質系の抗原、核酸系の抗原、不活化生物系の抗原、弱毒化生物系の抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、寄生虫抗原、アレルゲン由来の抗原、および腫瘍抗原からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記抗原は、尿路感染に対するFimH;呼吸器多核体ウイルス(RSV)由来の水溶性Fタンパク信号;HIV由来のNEF、GAGおよびENVタンパク質;肺炎連鎖球菌タンパク質;HMGB1タンパク質;インフルエンザに対するヘマグルチニンおよびニューロアミダーゼタンパク質;HPV16型および18型由来のウイルス抗原;HSV-2由来のgL2、ICP4、gD2ΔTMR、gD2ΔTMR、またはICP4.2;肺炎連鎖球菌由来の抗原、例えば、ニューモリソイド、コリン結合タンパク質A(CbpA)、または、肺炎球菌表面タンパク質A(PspA)、SP1912、SP1912、SP1912L、シグナル配列の有無に関わらないSP0148、シグナル配列の有無に関わらないSP2108);Chlamydia trachomatis由来の抗原、例えば、CT209ポリペプチド抗原、CT253ポリペプチド抗原、CT425ポリペプチド抗原、CT497ポリペプチド抗原、およびCT843ポリペプチド抗原;アミロイド-βペプチドを含むが、これらに限定されない、ウイルス性抗原、細菌性抗原、または自己抗原であり得る。いくつかの実施形態において、前記抗原は、前記組成物の外表面にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、前記抗原は、前記組成物内に封入される。
【0047】
このような組成物は、1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合されたSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)を生成する特定の様式に限定されない。いくつかの実施形態において、1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合されたSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)を生じるSTINGアゴニストと、1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)との会合には、「ワンポット」反応中に達成される。用語「ワンポット合成反応」またはその同義語、例えば、「1ポット(1-pot)」、「ワンポット(one pot)」などは、すべての反応物が単一の容器中に存在する化学合成方法を指す。反応物は、同時に添加されてもよく、順次添加されてもよい。順次添加される反応物の導入の間に経過する時間についても制限されない。いくつかの実施形態において、ワンポット反応は、STINGアゴニストはが1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と一つの容器内で反応する際に生じる。このコンジュゲーションは、H33-PEGが追加で存在する場合に、促進される。
【0048】
特定の実施形態において、前記1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合されたSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)を含む組成物は、対象への投与時に、対象における自然免疫応答を刺激することができる。したがって、特定の実施形態において、本発明は、治療上有効な量の係る組成物(例えば、1つ以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合されたSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態))対象における自然免疫応答を刺激するための方法を提供し、この方法は治療上有効な量のこのような組成物(例えば、1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合されたSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態))を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、前記自然免疫応答は、前記対象におけるサイトカインを介して媒介される自然サイトカイン応答である。いくつかの実施形態において、前記自然サイトカイン応答は、前記対象において、1型インターフェロンを介して媒介される。
【0049】
いくつかの実施形態において、追加の治療剤が、係る組成物と同時に投与される。係る治療剤の具体例は、疾患修飾性抗リウマチ薬(例えば、レフルノミド、メトトレキサート、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン)、生物性薬剤(例えば、リツキシマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、ゴリムマブ)、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、イブプロフェン、セレコキシブ、ケトプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、ジクロフェナク)、鎮痛剤(例えば、アセトアミノフェン、トラマドール)、免疫調節剤(例えば、アナキンラ、アバタセプト)、グルココルチコイド(例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾン)、TNF-α阻害剤(例えば、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ)、IL-1阻害剤、およびメタロプロテアーゼ阻害剤を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、前記治療剤は、インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、非経口金または経口金を含むが、これらに限定されない。
【0050】
いくつかの実施形態において、前記1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合されたSTINGアゴニストを含む組成物は、さらに、アジュバント(本明細書に記載されたような)、化学療法剤、抗免疫抑制剤、免疫刺激剤、および抗原(本明細書に記載されたような)と共に投与される。
【0051】
いくつかの実施形態において、前記免疫刺激剤は、抗CTLA-4抗体、抗PD-1、抗PD-L1、抗TIM-3、抗BTLA、抗VISTA、抗LAG3、抗CD25、抗CD27、抗CD28、抗CD137、抗OX40、抗GITR、抗ICOS、抗TIGIT、およびIDO阻害剤から選択される。
【0052】
いくつかの実施形態において、前記化学療法剤は、アルデスロイキン、アルトレタミン、アミフォスチン、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クラドリビン、シサプリド、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロナビノール、エポエチンα、エトポシド、フィルグラスチム、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、グラニセトロン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イボスファミド、インターフェロンα、イリノテカン、ランソプラゾール、レバミソール、ロイコボリン、メゲストロール、メスナ、メトトレキサート、メトクロプラミド、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、オメプラゾール、オンダンセトロン、パクリタキセル(TAXOL)、ピロカルピン、プロクロロペラジン、リツキシマブ、タモキシフェン、タキソール、塩酸トポテカン、トラスツズマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよび酒石酸ビノレルビンから選択される。
【0053】
特定の実施形態において、本発明は、治療上有効な量の係る組成物(例えば、1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合されたSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態))を対象に投与することを含む、対象(例えば、対象のヒト)における癌の症状を治療、予防および/または改善する方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記対象は、癌に罹患しているか、または癌に罹患するリスクがある。いくつかの実施形態において、前記組成物は、ワクチン適用のための免疫応答を誘発するために使用される。いくつかの実施形態において、前記組成物は、前記対象が癌に罹患している場合に、前記対象への投与時に、少なくとも1つの癌細胞において自然免疫応答を刺激することができる。いくつかの実施形態において、自然免疫応答を刺激することは、サイトカインを介して媒介される自然サイトカイン応答を刺激することを含む。いくつかの実施形態においては、前記自然サイトカイン応答は、1型インターフェロンを介して媒介される。
【0054】
STINGアゴニストは、癌治療剤として使用するにあたり、2つの重要な制限を有する:1)低い薬物動態特性および重篤な標的外副作用。低い薬物動態特性に関して、腫瘍内注射により投与した場合、係るSTINGアゴニストは小分子量および高親水性のために、容易に拡散する;静脈内注射により投与した場合、係るSTINGアゴニストはインビボでの不安定性、低親油性および排泄が早いために、腫瘍組織に対して低いバイオアベイラビリティを示す。重篤な標的外副作用に関して、ウイルス感染に対する免疫学的センサーとして、STINGは身体全体に広く分布している。したがって、高用量のSTINGアゴニストまたは全身投与されたSTINGアゴニストは、自然免疫系を非特異的に活性化し、サイトカインストームを引き起こす。本発明においては、1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合された、係るSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)を提供することにより、係る制限を解決する。
【0055】
いくつかの実施形態において、1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合された1種以上のSTINGアゴニストを含む組成物は、癌細胞を標的とするように構成された1種以上の薬剤とさらに会合(例えば、複合体化、コンジュゲート、カプセル化、吸収、吸着、混和)する。いくつかの実施形態において、前記癌細胞を標的とするように構成された薬剤は、α-アクチニン-4、Bcr-Abl融合タンパク質、Casp-8、β-カテニン、cdc27、cdk4、cdkn2a、Coa-1、dek-can融合タンパク質、EF2、ETV6-AML1融合タンパク質、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、HLA-A2、HLA-A11、hsp70-2、KIAAO205、Mart2、Mum-1、2、および3、neo-PAP、ミオシンクラスI、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PTPRK、K-ras、N-ras、トリオースリン酸イソメラーゼ、Bage-1、Gage 3,4,5,6,7、GnTV、Herv-K-mel、Lage-1、Mage-A1,2,3,4,6,10,12、Mage-C2、NA-88、NY-Eso-1/Lage-2、SP17、SSX-2、およびTRP2-Int2、MelanA(MART-I)、gp100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2、MAGE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、p15(58)、CEA、RAGE、NY-ESO(LAGS)、SCP-1、Hom/Mel-40、PRAME、p53、H-Ras、HER-2/neu、BCR-ABL、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、Epstein Barrウイルス抗原、EBNA、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6およびE7、TSP-180、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、p185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、PSA、TAG-72-4、CA19-9、CA72-4、CAM17.1、NuMa、K-ras、β-Cカテニン、CDK4、Mum-1、p16、TAGE、PSMA、PSCA、CT7、テロメラーゼ、43-9F、5T4、791Tgp72、α-フェトプロテイン、13HCG、BCA225、BTAA、CA125、CA 15-3(CA 27.29\BCAA)、CA195、CA242、CA-50、CAM43、CD68\KP1、CO-029、FGF-5、G250、Ga733(EpCAM)、ヒトEGFRタンパク質またはその断片、例えば、ヒトEGFR306-325残基(SCVRACGADSYEMEEDGVRK(配列番号12))および897-915残基(VWSYGVTVWELMTFGSKPY(配列番号13))、HTgp-175、M344、MA-50、MG7-Ag、MOV18、NB\70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90(Mac-2結合タンパク質\シクロフィリンC関連タンパク質)、TAAL6、TAG72、TLP、TPS、WT1(およびWT1-誘導ペプチド配列:WT1 126-134(RMFP NAPYL(配列番号14))、WT1 122-140(SGQARMFPNAPYLPSCLES(配列番号15))、WT1 122-144(SGQARMFPNAPYLPSCLESQPTI(配列番号16))、MUC1(ならびに、MUC1誘導ペプチドおよび糖ペプチド、例えば、RPAPGS(配列番号17)、PPAHGVT(配列番号18)およびPDTRP(配列番号19))、LMP2、EGFRvIII、イディオタイプ、GD2、Ras変異体、p53変異体、プロテイナーゼ3(PR1)、サルビビン、hTERT、肉腫転座ブレークポイント、EphA2、EphA4、LMW-PTP、PAP、ML-IAP、AFP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、RhoC、TRP-2、GD3、フコシルGM1、メソセリン、sLe(動物)、CYP1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、GloboH、NY-BR-1、RGS5、SART3、STn、炭酸アンハンダーゼIX、PAX5、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、HMWMAA、AKAP-4、XAGE1、B7H3、レグマイン、Tie2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-α、PDGFR-β、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、ERBB2、葉酸受容体1(FOLR1またはFBP)、IDH1、IDO、LY6K、fms関連チロシンキナーゼ1(FLT1、VEGFR1としてよく知られている)、KDR、PADRE、TA-CIN(組み換えHPV16 L2E7E6)、SOX2、アルデヒド脱水素酵素ならびにこれらの誘導体からなる群より選択される腫瘍抗原である。いくつかの実施形態において、前記癌細胞を標的とするように構成された1種以上の薬剤は、前記組成物の外表面にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、前記癌細胞を標的とするように構成された1種以上の薬剤は、前記組成物内に封入される。
【0056】
係る方法は、特定の投与方式に限定されない。いくつかの実施形態において、前記投与は全身投与である。いくつかの実施形態において、前記投与は局所投与である。
【0057】
いくつかの実施形態において、前記組成物は、化学療法剤と同時投与される。いくつかの実施形態において、前記化学療法剤は、以下の1種以上:アルデスロイキン、アルトレタミン、アミフォスチン、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クラドリビン、シサプリド、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロナビノール、エポエチンα、エトポシド、フィルグラスチム、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、グラニセトロン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イボスファミド、インターフェロンα、イリノテカン、ランソプラゾール、レバミソール、ロイコボリン、メゲストロール、メスナ、メトトレキサート、メトクロプラミド、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、オメプラゾール、オンダンセトロン、パクリタキセル(TAXOL)、ピロカルピン、プロクロロペラジン、リツキシマブ、タモキシフェン、タキソール、塩酸トポテカン、トラスツズマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよび酒石酸ビノレルビン、である。
【0058】
いくつかの実施形態において、前記癌は、膀胱癌、脳腫瘍、乳癌、子宮頸癌、卵巣癌、結腸直腸癌、食道癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、鼻咽頭癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、胃癌、胃癌、頭頸部癌、精巣癌、メラノーマ、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、T細胞リンパ性白血病、およびB細胞リンパ腫、ならびに子宮体癌から選択される1種以上である。
【0059】
特定の実施形態において、本発明は、治療上有効な量の係る組成物(例えば、1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合されたSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態))を対象に投与することを含む、対象(例えば、対象のヒト)におけるウイルス感染の症状を治療、予防および/または改善する方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記対象は、ウイルス感染(例えば、COVID-19)によって引き起こされる状態および症状に罹患しているか、または罹患するリスクがある。いくつかの実施形態において、1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合された1種以上のSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)を含む組成物は、ACE2およびSARS-COV-2ウイルスの細胞侵入レベルを低下させるために使用される。いくつかの実施形態において、前記組成物は、SARS-COV2 Sタンパク質誘導性のNF-kB活性化を阻害するために使用される。いくつかの実施形態において、前記組成物は、免疫エフェクター細胞による炎症性サイトカイン放出を減少させるために使用される。いくつかの実施形態において、前記組成物は、内皮系の活性化および機能不全を阻害するために使用される。係る方法は、特定の投与方式に限定されない。いくつかの実施形態において、前記投与は全身投与である。いくつかの実施形態において、前記投与は局所投与である。
【0060】
いくつかの実施形態において、前記ウイルス感染は、SARS-CoV-2に関係するウイルス感染(例えば、COVID-19)である。いくつかの実施形態において、前記ウイルス感染は、インフルエンザ、HIV、HIV-1、HIV-2、薬物耐性HIV、ジュニンウイルス、チクングニアウイルス、黄熱ウイルス、デングウイルス、ピチンデウイルス、ラッサウイルス、アデノウイルス、麻疹ウイルス、パンタトロウイルス、呼吸器多核体ウイルス、リフトバレーウイルス、RHDV、SARSコロナウイルス、タカリベウイルス、および西ナイルウイルスに関係する任意の感染である。いくつかの実施形態において、前記ウイルス感染は、Mproプロテアーゼ活性および/または発現を有する任意のウイルスに関連する。
【0061】
いくつかの実施形態において、前記ウイルス感染に関係する1種以上の症状は、発熱、疲労、乾性咳、筋肉痛、呼吸困難、急性呼吸窮迫症候群、および肺炎を含むが、これらに限定されない。
【0062】
係る方法は、特定の投与方式に限定されない。いくつかの実施形態において、前記投与は全身投与である。いくつかの実施形態において、前記投与は局所投与である。
【0063】
いくつかの実施形態において、本発明は、係る組成物(例えば、1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合されたSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態))を対象に投与することを含む、対象における急性呼吸窮迫症候群および/または肺炎を治療、改善および/または予防する方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記対象は対象のヒトである。いくつかの実施形態において、前記対象は、SARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関係する状態に罹患しているかまたは罹患するリスクがある対象のヒトである。いくつかの実施形態において、前記対象は、SARS-CoV-2ウイルス感染に罹患している対象のヒトである。ウイルス感染(例えば、COVID-19)によって引き起こされる状態および症状に罹患しているか、または罹患するリスクがある対象を予防、改善または治療するためのいくつかの実施形態において、前記組成物は、以下の1種以上の治療剤:レムデシビル、デキサメタゾン、およびヒドロキシクロロキン、と同時に投与される。係る方法は、特定の投与方式に限定されない。いくつかの実施形態において、投与は全身投与である。いくつかの実施形態では、投与は局所投与である。
【0064】
〔図面の簡単な説明〕
図1〕CDAをMn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+、およびZn2+を含む特定の金属イオンと混合した後に、独特の配位高分子形態が見出された。スケールバー=200μm。
【0065】
図2〕Zn2+/CDAが0.1より大きい時に、CDAとZn2+からなる大きな結晶が形成された。非特定のスケールバー=100μm。
【0066】
図3〕(Zn2++Mn2+)/CDAが0.1より大きい時に、CDA、Zn2+およびMn2+からなる大きな結晶が形成された。非特定のスケールバー=100μm。
【0067】
図4〕CDA、Zn2+、Mn2+およびH33-PEG20Kを撹拌しながら混合することで、ナノスケール配位構造が合成された。得られたナノ構造を、ポリヒスチジン長、PEG長、および金属イオンを変更することによって微調整した。
【0068】
図5〕攪拌中にCDA、Zn2+、Mn2+、およびH33-PEG20Kを加える順序は、得られる製剤の収率を決定する。
【0069】
図6〕製剤効率を最適化するための直交実験1。H33-PEGをCDA/M2+に添加した後、PBSで洗浄すると、製剤は効率よく生成されなかった。
【0070】
図7〕製剤効率を最適化するための直交実験2。CDA/H33-PEG20KにM2+を特定比率で添加し、次いでPBSで洗浄することにより、製剤は効率的に生成された。
【0071】
図8〕CDA-Zn/Mn@H33-PEG20K製剤の動的光散乱、薬物放出およびインビボ治療効果。
【0072】
図9〕SARS-CoV-2由来のS1タンパク質と混和されたCDA-Mn/Zn@H33-PEGは、BABL/cマウスにおいて、強いS1特異的IgG、IgG1、およびIgG2a抗体反応を引き起こした。動物は0、14、および28日目に免疫された。抗体価は、14日目(「1」)、28日目(「2」)、42日目(「3」)、および70日目(「4」)に測定された。
【0073】
図10〕SARS-CoV‐2由来のRBDタンパク質と混和されたCDA-Mn/Zn@H33-PEGは、BABL/cマウスにおいて、強いRBD特異的IFN-γ+T細胞応答を引き起こした。動物は0、14、および28日目に免疫された。ELISPOTアッセイは35日目に行われた。
【0074】
図11〕a)連続撹拌下のワンポット合成において、CDA、H33-PEG20k、およびZn2+/Mn2+が順番に混合された。b)得られたCZMPナノ粒子のTEM画像。c)CZMPのDLSサイズおよびゼータ電位。d)PBS培地中での、CZMPからのCDA、Mn、およびZnの放出動態。
【0075】
図12〕ワンポットSTINGアゴニストNPは、STING活性化のために免疫細胞にSTINGアゴニストを効果的に送達する。a)CZMPは樹状細胞活性化を促進した。b)CZMPはI型IFNおよび他の炎症誘発性サイトカインの産出を促進した。c)CZMPはSTINGアゴニストの細胞取り込みを増加させた。d)CZMPの細胞内分布の共焦点イメージングは、効果的なエンドソーム脱出を示す。
【0076】
図13〕ワンポットSTINGアゴニストNPは、CT 26モデルにおいて、IT注射後に強力な抗腫瘍効果を発揮する。a)BALB/Cマウスに、3×10個のCT 26腫瘍細胞を脇腹皮下(S.C.)に接種した。11、14、17、および21日目に、5μgの遊離型CDAまたはCZMPが、I.T.注射された。b)2回目の投与から6時間経過後に、血清サイトカインがELISAにより測定された。c、e)腫瘍の生長(c、e)および動物の生存(e)が、経時的にモニターされた。d、f)血液中のNK細胞頻度(d)および腫瘍流入リンパ節におけるNK細胞の活性化(f)が、フローサイトメトリーにより分析された。データは、n=5(b)、n=5~7(c~f)の2つの独立した実験からの、代表的な実験からの平均±SEMを表す。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001は、(d、f)一元配置分散分析または(e)ボンフェローニの多重比較検定付の二元配置分散分析、または(e)ログラング(マンテル-コックス)検定により解析された。
【0077】
図14〕ワンポットSTINGアゴニストNPはIV注射後に強力な抗腫瘍効果を発揮する。a~f)静脈内(I.V.)投与後のCT26腫瘍に対するCZMPの治療効果a)BALB/Cマウスに、3×10個のCT 26腫瘍細胞を脇腹皮下(S.C.)に接種した。11、14、17、および21日目に、20μgの遊離型CDAまたはCZMPが、静脈内注射された。b)2回目の投与から6時間経過後に、血清サイトカインがELISAにより測定された。c、e)腫瘍の生長(c、e)および動物の生存(e)が、経時的にモニターされた。d、f)腫瘍の生長(c、e)および動物の生存(e)が、経時的にモニターされた。g~i)B16F10腫瘍に静脈内投与されたCMPCDAの治療効果。C57BL/6マウスに、3×10個B16F10腫瘍細胞を脇腹皮下(S.C.)に接種した。11、14、17、および21(g)日目に、20μgの遊離型CDAまたはCZMPが、静脈内注射された。h)2回目の投与から6時間経過後に、血清サイトカインがELISAにより測定された。i)腫瘍の生長および動物の生存が、経時的にモニターされた。データは、n=5(b-)、n=5~7(c~f、h~i)の2つの独立した実験からの、代表的な実験からの平均±SEMを表す。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001は、(d、f)一元配置分散分析または(e、i)ボンフェローニの多重比較検定付の二元配置分散分析、または(e、i)ログラング(マンテル-コックス)検定により解析された。
【0078】
図15〕COVID-19ワクチン送達のためのワンポットSTINGアゴニストNP。上図:CZMPにおけるSARS-CoV2の受容体結合ドメイン(RBD)の装填。下図:皮下投与後のCZMPのリンパ節流入。
【0079】
図16〕COVID-19ワクチン接種のための、CZMP-RBDのインビボでの免疫応答。a~b、f)balb/cマウスに対し、2週間隔で尾の付け根に3回ワクチン接種した。各ワクチン接種の2週間後、および最後のワクチン接種の4週間後および8週間後に、ELISAによる抗体価測定(b)およびウイルス中和アッセイ(f)のために血清試料が採取された。c~d)C57BLマウスウスに対し、2週間隔で尾の付け根に3回ワクチン接種した。ELISPOTアッセイおよび胚中心形成分析のために、最後のワクチン接種の1週間後に脾臓が採取された。
【0080】
〔定義〕
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語および表現が以下に定義される:
本明細書で使用される場合、用語「複合体化」は、本明細書で使用される場合、生体高分子剤(例えば、抗原、アジュバントなど)と、ナノ粒子および/または微粒子との非共有結合的相互作用に関係する。
【0081】
本明細書で使用される場合、用語「コンジュゲート」は、生体高分子剤(例えば、抗原、アジュバントなど)とナノ粒子および/または微粒子との間の共有結合による会合を示す。
【0082】
本明細書で使用される場合、用語「カプセル化」はナノ粒子および/または微粒子の内部に封入されているか、または、完全に包含されている生体高分子剤(例えば、抗原、アジュバントなど)の位置を意味する。
【0083】
本明細書で使用される場合、用語「吸収」はナノ粒子および/または微粒子の内部、すなわち外表面の内部に取り込まれ、安定的に保持される生体高分子剤(例えば、抗原、アジュバントなど)を意味する。
【0084】
本明細書で使用される場合、用語「吸着」はナノ粒子および/または微粒子の外表面への生体高分子剤(例えば、抗原、アジュバントなど)の付着を意味する。このような吸着は、好ましくは静電引力によって起こる。静電引力は、2つ以上の反対に荷電した、または、イオン性の化学基の間に生じる引力または結合のことである。一般に、吸着は典型的には可逆的である。
【0085】
本明細書で使用される場合、用語「混和」は、ナノ粒子および/または微粒子に溶解、分散、または懸濁された生体高分子剤(例えば、抗原、アジュバントなど)を意味する。いくつかの場合において、前記生体高分子剤は、前記ナノ粒子および/または微粒子中に均一に混和され得る。
【0086】
本明細書で使用される場合、用語「生物学的生体高分子」、「生体高分子」または「生体高分子剤」は、生物または細胞培養物、例えば、真核(例えば、哺乳動物)細胞培養物または原核(例えば、細菌)細胞培養物から単離され得る、1kDaを超える分子量を有する分子を指す。いくつかの実施形態において、この用語の使用は、ポリマー、例えば、核酸(RNA、siRNA、マイクロRNA、干渉RNA、mRNA、レプリコンmRNA、RNAアナログ、DNAなどを含むが、これらに限定されない)、ポリペプチド(タンパク質など)、炭水化物、および脂質などのバイオポリマーを意味する。いくつかの実施形態において、用語「生体高分子」は、タンパク質を意味する。いくつかの実施形態において、用語「生体高分子」は、組換えタンパク質または融合タンパク質を意味する。いくつかの実施形態において、前記タンパク質は可溶性である。いくつかの実施形態でにおいて、前記生体高分子は、抗体、例えば、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、前記生体高分子は、アジュバント、抗原、治療剤、造影剤などである。
【0087】
本明細書で使用される場合、用語「抗原」は、宿主の免疫系を刺激して細胞性抗原特異的免疫応答および/または体液性抗体応答を引き起こす、1つ以上のエピトープを含む分子として本明細書で定義される。抗原は、ペプチド、タンパク質、多糖類、糖類、脂質、核酸、およびそれらの組み合わせであり得る。前記抗原はウイルス、細菌、寄生虫、植物、原生動物、真菌、組織または形質転換細胞、例えば癌または白血病細胞、に由来し得る。前記抗原は全細胞またはその免疫原性成分、例えば細胞壁成分であり得る。抗原は、抗原を発現するオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドであり得る。抗原は天然または合成抗原、例えば、ハプテン、ポリエピトープ、フランキングエピトープ、ならびに、他の組換えまたは合成由来の抗原であり得る(例えば、Bergmann,et al,EurJImmunol.,23:2777-2781 (1993); Bergmann,et al,Immunol.,157:3242-3249 (1996); Suhrbier,Immunoland Cell Biol.,75:402-408 (1997)を参照)。
【0088】
本明細書で使用される場合、用語「ネオ抗原」または「ネオ抗原性」は、ゲノムにコードされたタンパク質のアミノ酸配列を変化させる(1つ以上の)腫瘍特異的変異から生じる腫瘍抗原のクラスを意味する。
【0089】
本明細書で使用される場合、用語「腫瘍特異的抗原」は、腫瘍細胞に特有であり、体内の他の細胞内または細胞上には存在しない抗原として本明細書で定義される。
【0090】
本明細書で使用される場合、用語「腫瘍関連抗原」は、腫瘍細胞に特有ではなく、抗原に対する免疫応答を誘導できない条件下では、正常細胞内または正常細胞上にも発現する抗原として本明細書で定義される。
【0091】
本明細書で使用される場合、用語「アジュバント」は、他の抗原と共に投与された場合に、他の抗原に対する免疫応答を増加させる物質として、本明細書で定義される。アジュバントは、本明細書において「免疫増強剤」および「免疫調節剤」とも称される。
【0092】
本明細書で使用される場合、用語「抗原提示細胞」は、抗原を処理し、そのペプチド断片をリンパ球活性化に必要な分子と共に当該細胞の表面に提示することができる高度に特殊化した細胞として本明細書で定義される。T細胞の主要な抗原提示細胞は、樹状細胞、マクロファージおよびB細胞である。B細胞の主要な抗原提示細胞は濾胞樹状細胞である。
【0093】
本明細書で使用される場合、用語「交差提示」は、細胞外抗原を取り込み、処理し、MHCクラスI分子と共にCD8 T細胞(細胞傷害性T細胞)に提示する、抗原提示細胞の能力として本明細書で定義される。このプロセスにより、ほとんどの腫瘍および抗原提示細胞に感染しないウイルスに対する細胞性免疫を誘導される。交差提示はまた、例えば腫瘍ワクチン接種のように、タンパク質抗原を用いたワクチン接種による細胞傷害性免疫の誘導にも必要である。
【0094】
本明細書で使用される場合、用語「免疫的」、「免疫学的」または「免疫」応答は、抗原に対する体液性および/または細胞性応答の発現である。
【0095】
本明細書で使用される場合、用語「キット」は、物質を送達するための任意の送達システムを意味する。本明細書に記載される組成物(例えば、1つ以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と会合(例えば、複合体化、コンジュゲート、カプセル化、吸収、吸着、混和)したSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)を含む組成物)においては、このような送達システムは、このような組成物をある位置から別の位置に保存、運搬、または送達することを可能にするシステムおよび/または補助材料(例えば、材料を使用するための説明書など)を含む。例えば、キットは必要な薬剤および/または補助材料を含む1つ以上の包袋(例えば、箱)を含む。本明細書で使用される場合、用語「断片化(fragmented)キット」は、各々がキットの全構成要素の一部を含む、2つ以上の別々の容器からなる送達システムを指す。前記容器は、意図された受け手に一緒にまたは別々に送達され得る。例えば、第1の容器はSTINGアゴニストを含む組成物を含み、第2の容器は1つ以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)を含む場合がある。実質的に、各々がキットの全構成要素の一部を含む2つ以上の別個の容器を含む任意の送達システムは、用語「断片化キット」に含まれる。対照的に、「複合キット」は、何れかの、上記のような1つ以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と会合(例えば、複合体化、コンジュゲート、カプセル化、吸収、吸着、混和)したSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)を合成し、利用するために必要なすべての成分を含む(例えば、所望の成分の各々を収容する単一のボックス内に)送達システムを意味する。前記用語「キット」は、断片化されたキットおよび複合されたキットの両方を含む。
【0096】
本明細書で使用される場合、用語「対象」は、特定の治療の受け手となる、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類などを含むがこれらに限定されない、任意の動物(例えば、哺乳類)を意図する。通常、用語「対象」および「患者」は、ヒト対象に関して本明細書において互換的に使用される。
【0097】
本明細書において使用される場合、用語「試料」は、その最も広範な意味で使用されるある意味においては、それは、生物学的および環境的試料にのみならない、任意の供給源から得られた試料または培養物を含むことを意味する。生物学的試料は、動物(ヒトを含む)から得られ、液体、固形物、組織、気体を包含する。生物学的試料は、血漿、血清などのような血液産物を含む。環境的試料は、地表物質、土壌、水、結晶および工業用試料などの、環境材料を含む。しかしながら、そのような具体例は、本発明に適用可能なサンプルタイプを限定するものとして解釈されるべきではない。
【0098】
本明細書において使用される場合、用語「インビトロ」とは、人工的環境、および人工的環境内に生じるプロセスまたは反応を指す。インビトロ環境は、これに限定されるわけではないが、試験管および細胞培養からなりうる。用語「インビボ」は、自然環境(例えば、動物または細胞)、および自然環境内で起こるプロセスまたは反応を指す。
【0099】
本明細書で使用される場合、用語「薬物」または「治療剤」は、医用イメージング、モニタリング、避妊、化粧用、栄養補助食品、医薬および予防用途を含む、診断または治療を目的として生物に投与される任意の分子、分子複合体または物質を含むことを意味する。用語「薬物」は、さらに、化学的に修飾された、および/または、生物学的もしくは生体適合性のある構造と有効的に結着された、係る分子、分子複合体または物質を含むことを意味する。
【0100】
本明細書で使用される場合、用語「溶媒」は、反応が行われる媒体を指す。溶媒は液体であってもよいが、液体の形態に限定されない。溶媒のカテゴリーには、非極性、極性、プロトン性、および非プロトン性が含まれるが、これらに限定されない。
【0101】
〔発明の詳細な説明〕
本発明の実施形態を作成する過程で行われた実験は、特異的な金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)がCDNベースのSTINGアゴニストと配位し、新たな結晶多形体(例えば、配位高分子形態)を形成し得るという驚くべき発見をもたらした。特に、係る実験は、Zn2+および/またはMn2+と混合されたCDN STINGアゴニストがポリ-ヒスチジン33(H33)およびポリエチレングリコール(PEG)の存在下で、均一かつ安定なナノ粒子に集合することができる結晶多形体(例えば、配位高分子形態)を形成することを実証した。1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合されたSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)を含む組成物は、CDN STINGアゴニストの医薬特性および治療効果を改善するために使用することが示唆される。そのような組成物は一般に、単純な混和によって水中で自己集合することによって形成され、これにより、製造プロセスおよび臨床的探索を促進する。1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合されたSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)を含むこれらの組成物は全身投与を介して特定の腫瘍に対する免疫応答を誘導することができるため、腫瘍への直接的な局所注射の必要性を回避することができる。したがって、このような成果は、著しい臨床的重要性を有する。
【0102】
したがって、上記のような成果および実施形態は、対象への投与時に対象における自然免疫応答を刺激することができる薬剤の、局所的送達および全身送達の両方のための新しいクラスの薬物送達システムを示唆する。
【0103】
したがって、本開示は、対象への投与時に対象における自然免疫応答を刺激することができる薬剤により、対象における自然免疫応答を刺激することができる組成物および方法を提供する。特に、本発明は1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と会合(例えば、複合体化、コンジュゲート、カプセル化、吸収、吸着、混和)したSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)、ならびにそのような組成物を利用する(例えば、診断および/または治療現場における)システムおよび方法に関する。
【0104】
したがって、特定の実施形態において、1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合された1種以上のSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、係る1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合されたSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態は、ポリ(ヒスチジン)-PEG(例えば、H33-PEG)とさらに会合している。
【0105】
係る組成物は、前記1種以上のSTINGアゴニストと前記1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)との間の特定の比率に限定されない。いくつかの実施形態では、前記結晶多形体(例えば、配位高分子形態)内の前記1種以上のSTINGアゴニストの総量は0.01~5mg/mlである。いくつかの実施形態において、前記1種以上のSTINGアゴニストに対する前記1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)のモル比は0.1超であることが望ましい。前記結晶多形体(例えば、配位高分子形態)がH33-PEGと会合しているいくつかの実施形態においては、前記H33-PEGの濃度が有効な製剤のために1.3mg/ml超であることが望ましい。いくつかの実施形態において、前記PEGの長さは、1~500繰り返し単位である。いくつかの実施形態において、前記ポリヒスチジンの長さは、1~50の繰り返し単位である。
【0106】
係る組成物は、特定のタイプまたは種類のSTINGアゴニストに限定されない。いくつかの実施形態において、STINGアゴニストは、低分子のSTINGアゴニストである。いくつかの実施形態において、低分子のSTINGアゴニストは、環状ジヌクレオチドである。例えば、いくつかの実施形態において、環状ジヌクレオチドは、cGAMP、cdiAMP、cdiGMP、およびcAIMPを含む。環状プリンジヌクレオチドのさらなる例は、例えば、米国特許第7,709,458号および7,592,326号;WO2007/054279;ならびに、Yan et al., Bioorg. Med. Chem Lett. 18: 5631 (2008)に詳細に記載されている。これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、追加のSTINGアゴニストは、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、メトキシボン、6,4’-ジメトキシフラボン、4’-メトキシフラボン、3’,6’-ジヒドロキシフラボン、7,2’-ジヒドロキシフラボン、ダイゼイン、ホルモノネチン、およびレツシン7-メチルエーテル、またはそれらの任意の誘導体から選択される。いくつかの実施形態において、低分子のSTINGアゴニストは、これらに限定されないが、2’3’-cGAMP、3’3’-cGAMP、c-di-AMP、c-di-GMP、cAIMP、cAIMP Difluor、cAIM(PS)2、Difluor(Rp/Sp)、2’2’-cGAMP、2’3’-cGAM(PS)2(Rp/Sp)、3’3’-cGAMPフッ化物、c-di-AMPフッ化物、2’3’-c-di-AMP、2’3’-c-di-AMP(PS)2(Rp,Rp)、c-di-GMPフッ化物、2’3’-c-di-GMP、c-di-IMP、SB11285、STINGアゴニスト-C11、STINGアゴニスト-1、STINGアゴニストG10およびゲムシタビンを含む。
【0107】
いくつかの実施形態において、前記低分子のSTINGアゴニストは、
【0108】
【化6】
【0109】
、SB11285(Spring Bank Pharmaceuticals)、ゲムシタビン
【0110】
【化7】
【0111】
、STINGアゴニスト-C11
【0112】
【化8】
【0113】
、STINGアゴニスト-1
【0114】
【化9】
【0115】
、STINGアゴニストG10
【0116】
【化10】
【0117】
、2’3’-cGAMP、3’3’-cGAMP、c-di-AMP、c-di-GMP、cAIMP、cAIMP Difluor、cAIM(PS)2、Difluor(Rp/Sp)、2’2’-cGAMP、2’3’-cGAM(PS)2(Rp/Sp)、3’3’-cGAMPフッ化物、c-di-AMPフッ化物、2’3’-c-di-AMP、2’3’-c-di-AM(PS)2(Rp,Rp)、c-di-GMPフッ化物、2’3’-c-di-GMP、c-di-IMP、cGAMP、2’3’-cGAMP、2’2’-cGAMP、3’3’-cGAMP、cGAM(PS)2,2’3’-cGAM(PS)2(Rp/Sp)、2’2’-cGAM(PS)2、2’3’-cGAM(PS)2、cGAMPフッ化物、3’3’-cGAMPフッ化物、2’3’-cGAMPフッ化物、2’2’-cGAMPフッ化物、c-di-AMP、2’3’-cdAMP、2’2’-cdAMP、3’3’-cdAMP、c-di-AM(PS)2、2’3’-c-di-AM(PS)2(Rp,Rp)、2’2’-c-di-AM(PS)2、3’3’-c-di-AM(PS)2、c-di-AMPフッ化物、2’3’-cdAMPフッ化物、2’2’-cdAMPフッ化物、3’3’-cdAMPフッ化物、cdGMP、2’3’-cdGMP、2’2’-cdGMP、3’3’-cdGMP、c-di-GM(PS)2、2’3’-c-di-GM(PS)2、2’2’-c-di-GM(PS)2、3’3’-c-di-GM(PS)2、cdGMPフッ化物、2’3’-cdGMPフッ化物、2’2’-cdGMPフッ化物、3’3’-cdGMPフッ化物、cAIMP、2’3’-cAIMP、2’2’-cAIMP、3’3’-cAIMP、cAIMP Difluor(3’3’-cAIMPフッ化物、2’3’-cAIMPフッ化物、2’2’-cAIMPフッ化物、cAIM(PS)2 Difluor、3’3’-cAIM(PS)2 Difluor(Rp/Sp)、2’3’-cAIM(PS)2 Difluor、2’2’-cAIM(PS)2 Difluor、c-di-IMP、2’3’-cdIMP、2’2’-cdIMP、3’3’-cdIMP、c-di-IM(PS)2、2’3’-c-di-IM(PS)2、2’2’-c-di-IM(PS)2、3’3’-c-di-IM(PS)2、c-di-IMPフッ化物、2’3’-cdIMPフッ化物、2’2’-cdIMPフッ化物および3’3’-cdIMPフッ化物)、アミドベンズイミダゾール(ABZI)系化合物、SR-717系化合物、ならびに、MSA-2系化合物から選択される。
【0118】
いくつかの実施形態において、前記1種以上の金属イオン(Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合されたSTINGアゴニストは、プロドラッグ形態にさらに改変される。例えば、いくつかの実施形態において、STINGアゴニストのプロドラッグは、ナノ粒子への装填を補助する、および/または、組織への滞留を補助する疎水性部位が結合したSTINGアゴニストである。いくつかの実施形態において、STINGアゴニストは、前記1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合されたSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)を、プロドラッグの形態に変化させるための開裂性の脂質部位により修飾されている。
【0119】
いくつかの実施形態において、前記薬剤はSTING活性化化合物である(例えば、WO2017/011920、WO2017/027646、WO2017/011622、米国特許出願公開第20160287623号、WO2016/100261、米国特許出願公開第20160074507号、およびWO2015/161762を参照)。
【0120】
いくつかの実施形態において、薬学的に活性な成分と組み合わされたSTINGアゴニストが提供される(例えば、STING活性化/化学療法(WO2016/096577)、STING活性化/免疫応答を刺激する選択的ワクチン製剤(米国特許出願公開第20150056224号および第20140205653号)、およびSTING活性化/サイトカイン産生(WO2013/185052)を参照)。
【0121】
上記のように、いくつかの実施形態において、前記1種以上の金属イオン(例えば、Zn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+)と混合された1種以上のSTINGアゴニストの結晶多形体(例えば、配位高分子形態)はポリ(ヒスチジン)-PEG(例えば、H33-PEG)とさらに会合する。
【0122】
PEGは、2つの末端ヒドロキシル基を有するエチレンPEG繰り返し単位の線形の水溶性ポリマーである。PEGはその分子量によって分類され、例えば、PEG2,000は約2,000ダルトンの平均分子量を有し、PEG5,000は、約5,000ダルトンの平均分子量を有する。PEGはSigma Chemical Coおよび他の会社から市販されており、例えば、モノメトキシポリエチレングリコール(MePEG-OH)、モノメトキシポリエチレングリコール-スクシネート(MePEG-S)、モノメトキシポリエチレングリコール-スクシンイミジルスクシネート(MePEG-S-NHS)、モノメトキシポリエチレングリコール-アミン(MePEG-NH)、モノメトキシポリエチレングリコール-トレシレート(MePEG-TRES)およびモノメトキシポリエチレングリコール-イミダゾリル-カルボニル(MePEG-IM)が挙げられる。その他のPEGとしては、米国特許番号6,774,180号および7,053,150号に記載されているもの(例えば、mPEG(20KDa)アミン)もまた、本発明のPEG-脂質コンジュゲートを調製するために有用である。これらの特許の開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、モノメトキシポリエチレングリコール酢酸(MePEG-CHCOOH)は、例えばPEG-DAAコンジュゲートを含む、PEG-脂質コンジュゲートの調製に特に有用である。
【0123】
本明細書に記載のPEG-H33のPEG部位は、約550ダルトン~約10,000ダルトンの範囲の平均分子量を有し得る。特定の一例において、前記PEG部位は約750ダルトン~約5,000ダルトン(例えば、約1,000ダルトン~約5,000ダルトン、約1,500ダルトン~約3,000ダルトン、約750ダルトン~約3,000ダルトン、約750ダルトン~約2,000ダルトンなど)の平均分子量を有する。好ましい実施形態において、前記PEG部位は、約2,000ダルトンまたは約750ダルトンの平均分子量を有する。
【0124】
特定の例において、前記PEGは、アルキル、アルコキシ、アシル、またはアリール基によって任意に置換され得る。前記PEGは脂質に直接コンジュゲートすることができ、また、リンカー部位を介して脂質に連結することもできる。例えば、非エステル含有リンカー部位およびエステル含有リンカー部位を含む、前記PEGを脂質にカップリングするのに適した任意のリンカー部位を使用することができる。好ましい実施形態において、前記リンカー部位は非エステル含有リンカー部位である。本明細書で使用される場合、「非エステル含有リンカー部位」という用語は、カルボン酸エステル結合(-OC(O)-)を含有しないリンカー部位を指す。好適な非エステル含有リンカー部位には、アミド(-C(O)NH-)、アミノ(-NR-)、カルボニル(-C(O)-)、カルバメート(-NHC(O)O-)、ウレア(-NHC(O)NH-)、ジスルフィド(-S-S-)、エーテル(-O-)、スクシニル(-O)CCHCHC(O)-)、スクシンアミジル(-NHC(O)CHCHC(O)NH-)、エーテル、ジスルフィド、ならびにそれらの組合せ(カルバメートリンカー部位およびアミドリンカー部位の両方を含むリンカーなど)が含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態においては、カルバメートリンカーを使用して、前記PEGをH33に結合させる。
【0125】
他の実施形態においては、前記PEGをH33に結合させるために、エステル含有リンカー部位が使用される。適切なエステル含有リンカー部位には、例えば、カーボネート(-OC(O)O-)、スクシノイル、ホスフェートエステル(-O-(O)POH-O-)、スルホネートエステル、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0126】
鎖長および飽和度の異なる様々なアシル鎖基を有するホスファチジルエタノールアミンをPEGにコンジュゲートすることで、前記H33コンジュゲートを形成することができる。このようなホスファチジルエタノールアミンは、市販されているか、または当業者に公知の従来の技術を用いて単離または合成することができる。
【0127】
10からC20の炭素鎖長を有する飽和または不飽和脂肪酸を含むホスファチジルエタノールアミンが好ましい。モノまたはジ不飽和脂肪酸、ならびに、飽和および不飽和脂肪酸の混合物を有するホスファチジルエタノールアミンも使用することができる。好適なホスファチジルエタノールアミンには、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、およびジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)が含まれるが、これらに限定されない。
【0128】
いくつかの実施形態において、前記組成物は、アジュバントとさらに会合する。係る実施形態は、特定の種類のアジュバントに限定されない。アジュバントは、一般に、抗原に対する免疫応答を増加させるか、または別の方法で抗原に対する免疫応答を変更するために、組成物へ混合される任意の物質である。担体は、抗原性ペプチド(例えば、ネオ抗原性ペプチド)が会合することができる、例えば、ポリペプチドまたは多糖といった足場構造である。場合によっては、アジュバントは、本発明のペプチドまたはポリペプチドに共有結合的または非共有結合的にコンジュゲートされる。
【0129】
[0108]アジュバントの抗原に対する免疫応答を増加させる能力は、通常、免疫媒介性反応の有意な増加、または疾患症状の減少によって判定される。例えば、体液性免疫の増加は、通常、抗原に対する抗体価の有意な増加によって判定され、T細胞活性の増加は通常、細胞増殖、細胞傷害性、またはサイトカイン分泌の増加によって判定される。アジュバントはまた、例えば、主に体液性またはTh2応答を、主に細胞性またはThl応答に変化させることによって、免疫応答を変化させ得る。
【0130】
適切なアジュバントは、これらに限定されないが、1018 ISS、アルミニウム塩、アンプリバックス、AS15、BCG、CP-870、893、CpG7909、CyaA、dSLIM、GM-CSF、IC30、IC31、イミキモド、ImuFact IMP321、ISパッチ、ISS、ISCOMATRIX、Juvlmmune、LipoVac、MF59、モノホスホリル脂質A、モンタニドIMS 1312、モンタニドISA 206、モンタニドISA 50V、モンタニドISA-51、OK-432、OM-174、OM-197-MP-EC、ONTAK、PepTel.RTM.ベクターシステム、PLG微粒子、レシキモド、SRL172、ビロソームおよび他のウイルス様粒子、YF-17D、VEGFトラップ、R848、β-グルカン、Pam3Cys、サポニン、マイコバクテリア抽出物および合成細菌細胞壁類似物、ならびに、Ribi’s Detox、QuilまたはSuperfosなどの他の独自のアジュバントを含む。樹状細胞に特異的ないくつかの免疫学的アジュバント(例えば、MF59)およびそれらの調製については、以前に説明されている(Dupuis M, et al., Cell Immunol. 1998; 186(1): 18-27; Allison A C; Dev Biol Stand. 1998; 92:3-11)。サイトカインもまた使用することができる。いくつかのサイトカインはリンパ組織(例えば、TNF-α)への樹状細胞の移動に影響を及ぼし、Tリンパ球のための効果的な抗原提示細胞(例えば、GMCSF、IL-1およびIL-4)への樹状細胞の成熟を促進し(米国特許第5,849,589号、その全体が参照により本明細書に具体的に組み込まれる)、免疫アジュバント(例えば、IL-12)として作用する(Gabrilovich D I, et al., J Immunother Emphasis Tumor Immunol. 1996 (6):414-418)。Toll様受容体(TLR)はまた、アジュバントとして使用され得る。Toll様受容体は、「病原体関連分子パターン」(PAMPS)と呼ばれる多くの微生物によって共有される保存されたモチーフを認識するパターン認識受容体(PRR)のファミリーの重要なメンバーである。
【0131】
いくつかの実施形態において、前記アジュバントは、樹状細胞標的化分子(DC)である。DCは強力であり、抗原特異的な免疫応答の開始に関与する。DCの1つの生物学的特徴は抗原が遭遇する条件を感知し、「DC成熟」のプロセスを開始する能力である。様々な微生物および炎症性産物に対する受容体を使用することで、DCは、遭遇する病原体(ウイルス、細菌、原生動物)の性質に応じて異なる方法で抗原曝露に応答する。この情報は、リンパ節における抗原提示時のサイトカイン放出の変化されたパターンによってT細胞に伝達され、誘発されるT細胞応答のタイプを変化させる。したがって、DCを標的とすることは、一般に抗原および抗原応答の送達を全体的に増強するだけでなく、所望のワクチン接種結果に応じて免疫応答の性質を定性的に制御する機会をもたらす。
【0132】
樹状細胞は、結合した抗原のエンドサイトーシスを媒介することができる、多くの細胞表面受容体を発現する。全身に分散する抗原提示細胞上の内在化表面分子への、外因性の抗原の標的化は、抗原の取り込みを促進し、免疫化、ひいては、ワクチン接種における主要な律速段階を克服する。
【0133】
樹状細胞標的化分子は、樹状細胞の表面上に提示されたエピトープを認識し、それに結合するモノクローナルもしくはポリクローナル抗体またはその断片を含む。樹状細胞標的化分子はであるまた、樹状細胞上の細胞表面受容体に結合するリガンドを含む。そのような受容体の1つレクチンDEC-205は、体液性(抗体ベース)および細胞性(CD8 T細胞)応答の両方を2~4桁の規模で増強するために、インビトロおよびマウスにおいて使用されている(例えば、Hawiger, et al., J. Exp. Med., 194(6):769-79 (2001); Bonifaz, et al., J. Exp. Med., 196(12):1627-38 (2002); Bonifaz, et al., J. Exp. Med., 199(6):815-24 (2004)を参照)。
【0134】
マンノース特異的レクチン(マンノース受容体)およびIgG Fc受容体を含む様々な他のエンドサイト受容体もまた、同様の抗原提示効率の増強を伴って、上記のように標的化されている。標的化ができる他の適切な受容体には、これらに限定されないが、DC-SIGN、33D1、SIGLEC-H、DCIR、CD11c、ヒートショックタンパク質受容体およびスカベンジャー受容体が含まれる。
【0135】
いくつかの実施形態において、前記アジュバントはCpGである。CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドはまた、ワクチン設計においてアジュバントの効果を増強することが報告されている。理論に束縛されるものではないが、CpGオリゴヌクレオチドはToll様受容体(TLR)、主にTLR9を介して自然(非適応性)免疫系を活性化することによって作用する。CpGにより誘発されるTLR9活性化は、予防ワクチンおよび治療ワクチンの両方において、ペプチドもしくはタンパク質抗原、生ウイルスもしくは死滅ウイルス、樹状細胞ワクチン、自己細胞ワクチンおよび多糖コンジュゲートを含む多種多様な抗原に対する抗原特異的な体液性および細胞性応答を増強する。より重要なことに、CpGにより誘発されるTLR9活性化は、樹状細胞の成熟および分化を増強し、その結果、CD4 T細胞の助力がなくとも、Thl細胞の活性化の増強および強力な細胞障害性Tリンパ球(CTL)の生成をもたらす。TLR9刺激によって誘導されるThlバイアスは、通常Th2バイアスを促進するミョウバンまたは不完全フロイントアジュバント(IFA)などのワクチンアジュバントの存在下であっても維持される。CpGオリゴヌクレオチドは他のアジュバントと製剤化もしくは同時投与された場合、または、微粒子、ナノ粒子、脂質エマルジョン、または類似の製剤などと製剤化された場合において、さらに大きなアジュバント活性を示す。係る大きなアジュバント活性は、抗原が比較的弱い場合に強い応答を誘導するために特に必要である。係る大きなアジュバント活性はまた、免疫応答を増進し、いくつかの実験においては、CpGを含まない十分量のワクチンと同等の抗体応答について、抗原用量を約2桁減少させることを可能にした(rthur M. Krieg, Nature Reviews, Drug Discovery, 5, Jun. 2006, 471-484)。米国特許第6,406,705号は、抗原特異的免疫応答を誘導するために、CpGオリゴヌクレオチド、非核酸アジュバントおよび抗原を併用することを記載している。市販のCpG TLR9アンタゴニストはMologen(ベルリン、ドイツ)によるdSLIM(double Stem Loop Immunomodulator)であり、本発明の医薬組成物の好ましい成分である。TLR 7、TLR 8および/またはTLR 9に結合するRNAなどの他のTLR結合分子も使用することができる。
【0136】
例えば、バジメザンまたはAsA404(5,6ジメチルアキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)としても知られる)などのキサンテノン誘導体も、本発明の実施形態におけるアジュバントとして使用することができる。あるいは、このような誘導体は、腫瘍部位の免疫を刺激するために、例えば全身または腫瘍内への送達を介して、本発明のワクチンと並行して投与することもできる。このようなキサンテノン誘導体は、理論に拘束されることなく、IFN遺伝子ISTING受容体の刺激物を介してインターフェロン(IFN)産生を刺激することによって作用すると考えられている(例えば、Conlon et al. (2013) Mouse, but not Human STING, Binds and Signals in Response to the Vascular Disrupting Agent 5, 6-Dimethylxanthenone-4- Acetic Acid, Journal of Immunology, 190:5216-25 およびKim et al. (2013) Anticancer Flavonoids are Mouse- Selective STING Agonists, 8: 1396-1401を参照)。有用なアジュバントの他の例には、これらに限定されないが、化学修飾CpGs(例えば、CpR、Idera)、ポリ(I:C)(例えば、polyi:CI2U)、非CpG細菌DNAまたはRNA、ならびに、シクロホスファミド、スニチニブ、ベバシズマブ、セレブレックス、NCX-4016、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ソラフィニブ、XL-999、CP547632、パゾパニブ、ZD2171、AZD2171、イピリムマブ、トレメリムマブ、およびSC58175等の免疫活性小分子および抗体が含まれ、これらは治療的におよび/またはアジュバントとして作用し得る。本発明の文脈において、有用なアジュバントおよび添加剤の量ならびに濃度は、過度の実験を行うことなく、当業者によって容易に決定することができる。追加のアジュバントには、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF、サルグラモスチム)などのコロニー刺激因子が含まれる。
【0137】
ポリ-ICLCは、約5000ヌクレオチドの平均長さのポリl鎖およびポリC鎖からなる、合成的に調製された二本鎖RNAであり、ポリリジンおよびカルボキシメチルセルロースの添加によって、熱変性および血清ヌクレアーゼによる加水分解に対して安定化されている。係る化合物は、共にPAMPファミリーメンバーである、TLR3およびMDA5のRNAヘリカーゼドメインを活性化し、DCおよびナチュラルキラー(NK)細胞の活性化、ならびに、I型インターフェロン、サイトカイン、およびケモカインの「天然混合物(natural mix)」の産生をもたらす。さらに、ポリ-ICLCは、RIG-IヘリカーゼおよびMDA5と同様に、2つのIFN誘導性核酵素系、2’5’-OASおよびPl/eIF2aキナーゼ(PKR(4-6)としても知られる)によって媒介される、より直接的で、広範な宿主標的化抗感染性を発揮し、かつ、抗腫瘍効果を発揮し得る。
【0138】
いくつかの実施形態において、抗原および調節因子は、前記組成物の外表面にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、前記組成物は、抗原および/またはアジュバントの還元感受性の連結を可能にするチオール反応性リン脂質と共に合成される。いくつかの実施形態において、前記組成物内への前記DCの装填が、前記DC分子のコレステロール修飾を介して促進される。いくつかの実施形態において、凍結乾燥方法が、均質な組成物の調製のために使用される。いくつかの実施形態において、リン脂質およびApoA模倣ペプチドが、氷酢酸に溶解され、凍結乾燥される。いくつかの実施形態において、抗原ペプチドが、、抗原ペプチドのコンジュゲーションを可能にするために、緩衝液(例えば、リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4))中で組成物と共にインキュベートされる(例えば、室温で3時間)。いくつかの実施形態において、非コンジュゲート抗原ペプチドが、脱塩カラム(MWCO=7000Da)を使用して除去される。
【0139】
いくつかの実施形態において、前記アジュバントが、疎水性分子とコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、ナノ粒子の平均径は、6~500nmである。
【0140】
いくつかの実施形態において、前記疎水性分子は脂質分子である。いくつかの実施形態において、前記脂質分子は膜形成脂質分子である。いくつかの実施形態において、前記脂質分子は非膜形成脂質分子である。
【0141】
本発明の実施形態において適用可能な脂質分子の例には、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、卵スフィンゴミエリン(ESM)、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、ジセチルホスフェート、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルグリセロール(POPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、モノメチル-ホスファチジルエタノールアミン、ジメチル-ホスファチジルエタノールアミン、ジエライドイル-ホスファチジルエタノールアミン(DEPE)、ステアロイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、リゾホスファチジルコリン、ダイラノールイルホスファチジルコリンおよびこれらの混合物等のリン脂質が含まれるが、これらに限定されない。その他のジアシルホスファチジルコリンおよびジアシルホスファチジルエタノールアミンリン脂質も使用することができる。これらの脂質中のアシル基は、好ましくはC10-C24炭素鎖を有する脂肪酸に由来するアシル基、例えば、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、またはオレオイルである。
【0142】
脂質分子の他の非限定的な例には、コレステロールおよびコレスタノール、コレスタノン、コレステノン、コプロスタノール、コレステリル-2’-ヒドロキシエチルエーテル、コレステリル-4’-ヒドロキシブチルエーテル、等のその誘導体ならびにそれらの混合物等のステロール類がふくまれる。
【0143】
本発明での使用に適した脂質分子の他の例には、例えば、ステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、パルミチン酸アセチル、グリセロリシノール酸、ステアリン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸イソプロピル、両性アクリルポリマー、トリエタノールアミン-ラウリル硫酸、アルキル-アリール硫酸ポリエチルオキシル化脂肪酸アミド、臭化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、セラミド、スフィンゴミエリン等の非リン含有脂質が含まれる。
【0144】
本発明での使用に適した脂質分子の他の例には、脂肪酸およびその誘導体もしくは類似体が含まれる。それらには、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸(n-デカン酸)、パルミチン酸、ステアリン酸、リノレン酸、トリカプレート、モノオレイン(1-モノオレイル-rac-グリセロール)、ジラウリン、カプリル酸、1-モノカプレート、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、アシルカルニチン、それらのC1-10アルキルエステル(例えば、メチル、イソプロピルおよびt-ブチル)、ならびにそれらのモノ-およびジ-グリセリド(すなわち、オレエート、ラウレート、ミリスチン酸、パルミテート、ステアレート、リノレエートなど)が含まれる(Lee et al., Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, p. 92; Muranishi, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1990, 7, 1-33; El Hariri et al., J. Pharm. Pharmacol., 1992, 44, 651-654)。
【0145】
本発明での使用に適した脂質分子の他の例には、PEGで修飾された脂質分子(PEG-脂質)が含まれる。PEG-脂質の例には、例えば、国際公開公報WO05/026372号に記載された、ジアルキルオキシプロピル(PEG-DAA)に結合されたPEG、例えば、米国特許公報20030077829および2005008689に記載された、ジアルキルグリセロール(PEG-DAG)に結合されたPEG、ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)などのリン脂質に結合したPEG、例えば、米国特許第5,885,613号に記載された、コレステロールまたはその誘導体にコンジュゲートされたPEG、ならびに、それらの混合物等が含まれるが、これらに限定されない。これらの特許文献の開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。追加のPEG-脂質には、PEG-C-DOMG、2KPEG-DMG、およびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0146】
特定の実施形態において、前記組成物は任意の種類の生体高分子剤とさらに会合している。
【0147】
いくつかの実施形態において、前記生体高分子剤はペプチドである。
【0148】
例えば、いくつかの実施形態において、前記ペプチドは抗原である。
【0149】
いくつかの実施形態において、前記抗原は腫瘍抗原である。前記抗原は限定されないが、α-アクチニン-4、Bcr-Abl融合タンパク質、Casp-8、β-カテニン、cdc27、cdk4、cdkn2a、Coa-1、dek-can融合タンパク質、EF2、ETV6-AML1融合タンパク質、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、HLA-A2、HLA-A11、hsp70-2、KIAAO205、Mart2、Mum-1、2、および3、neo-PAP、ミオシンクラスI、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PTPRK、K-ras、N-ras、トリオースリン酸イソメラーゼ、Bage-1、Gage3,4,5,6,7、GnTV、Herv-K-mel、Lage-1、Mage-A1,2,3,4,6,10,12、Mage-C2、NA-88、NY-Eso-1/Lage-2、SP17、SSX-2、およびTRP2-Int2、MelanA(MART-I)、gp100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2、MAGE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、p15(58)、CEA、RAGE、NY-ESO(LAGS)、SCP-1、Hom/Mel-40、PRAME、p53、H-Ras、HER-2/neu、BCR-ABL、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、Epstein Barrウイルス抗原、EBNA、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6およびE7、TSP-180、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、p185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、PSA、TAG-72-4、CA19-9、CA72-4、CAM17.1、NuMa、K-ras、β-Cカテニン、CDK4、Mum-1、p16、TAGE、PSMA、PSCA、CT7、テロメラーゼ、43-9F、5T4、791Tgp72、α-フェトプロテイン、13HCG、BCA225、BTAA、CA125、CA 15-3(CA 27.29\BCAA)、CA195、CA242、CA-50、CAM43、CD68\KP1、CO-029、FGF-5、G250、Ga733(EpCAM)、ヒトEGFRタンパク質またはその断片、例えば、ヒトEGFR306-325残基(SCVRACGADSYEMEEDGVRK(配列番号374))および897-915残基(VWSYGVTVWELMTFGSKPY(配列番号13))、HTgp-175、M344、MA-50、MG7-Ag、MOV18、NB\70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90(Mac-2結合タンパク質\シクロフィリンC関連タンパク質)、TAAL6、TAG72、TLP、TPS、WT1(およびWT1-誘導ペプチド配列:WT1 126-134(RMFP NAPYL(配列番号376))、WT1 122-140(SGQARMFPNAPYLPSCLES(配列番号15))、WT1 122-144(SGQARMFPNAPYLPSCLESQPTI(配列番号16))、MUC1(ならびに、MUC1誘導ペプチドおよび糖ペプチド、例えば、RPAPGS(配列番号17)、PPAHGVT(配列番号18)およびPDTRP(配列番号19))、LMP2、EGFRvIII、イディオタイプ、GD2、Ras変異体、p53変異体、プロテイナーゼ3(PR1)、サルビビン、hTERT、肉腫転座ブレークポイント、EphA2、EphA4、LMW-PTP、PAP、ML-IAP、AFP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、RhoC、TRP-2、GD3、フコシルGM1、メソセリン、sLe(動物)、CYP1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、GloboH、NY-BR-1、RGS5、SART3、STn、炭酸アンハンダーゼIX、PAX5、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、HMWMAA、AKAP-4、XAGE1、B7H3、レグマイン、Tie2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-α、PDGFR-β、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、ERBB2、葉酸受容体1(FOLR1またはFBP)、IDH1、IDO、LY6K、fms関連チロシンキナーゼ1(FLT1、VEGFR1としてよく知られている)、KDR、PADRE、TA-CIN(組み換えHPV16 L2E7E6)、SOX2、および、アルデヒド脱水素酵素等の、腫瘍関連抗原または腫瘍特異的抗原を含む腫瘍抗原であり得るが、これらに限定されない。
【0150】
前記生体高分子が抗原であるいくつかの実施形態において、前記組成物はアジュバントをさらに含む。
【0151】
係る実施形態は、特定の抗原に限定されない。実際に、抗原は、ペプチド、タンパク質、多糖類、糖類、脂質、糖脂質、核酸、またはそれらの組み合わせであり得る。前記抗原は、ウイルス、細菌、寄生虫、植物、原生動物、真菌、組織または例えば癌もしくは白血病細胞といった形質転換細胞を含むがこれらに限定されない任意の供給源に由来することができる。前記抗原は、全細胞またはその免疫原性成分、例えば、細胞壁成分またはその分子成分であってもよい。
【0152】
いくつかの実施形態において、前記抗原は当該技術分野で公知であり、商業的政府機関(commercial government)および科学的供給元から入手可能である。いくつかの実施形態において、前記抗原は、完全に不活化または弱毒化された生物である。これらの生物は、ウイルス、寄生虫および細菌等の感染性生物であり得る。これらの生物はまた、腫瘍細胞であってもよい。前記抗原は、腫瘍、ウイルスまたは細菌源に由来する精製または部分精製ポリペプチドであってもよい。有効な抗原性ペプチド(例えば、免疫応答を誘発することができる最小ペプチド配列)を同定および選択するための基準は、当技術分野において見出すことができる。前記抗原は、ポリペプチド抗原をコードするDNAを異種発現系において発現することによって産生される組換えポリペプチドであり得る。前記抗原は、抗原タンパク質の全部または一部をコードするDNAであり得る。前記DNAは、プラスミドDNA等のベクターDNAの形態であってもよい。
【0153】
抗原は、単一の抗原として供給されてもよく、または組み合わせて供給されてもよい。抗原はまた、ポリペプチドまたは核酸の複合混合物として供給されてもよい。
【0154】
いくつかの実施形態において、前記抗原は自己抗原である。本明細書で使用される場合、用語「自己抗原」は哺乳動物に天然であり、自己免疫疾患の病因に関与し得る免疫原性抗原またはエピトープを意味する。
【0155】
いくつかの実施形態において、前記抗原はウイルス抗原である。ウイルス抗原は以下の任意のウイルス科:アレナウイルス科、アルテリウイルス科、アストロウイルス科、バキュロウイルス科、バドナウイルス科、バーナウイルス科、ブロモウイルス科、ブニャウイルス科、カリシウイルス科、カピロウイルス、カルバウイルス、カウリモウイルス、シルコウイルス科、クロステロウイルス、コモウイルス科、コロナウイルス科(例えば、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス等のコロナウイルス)、コルチコウイルス科、シストウイルス科、デルタウイルス、ディアンソウイルス、エンアモウイルス、フィロウイルス科(例えば、マールブルグウイルスおよびエボラウイルス(例えば、ザイール、レストン、アイボリーコースト、またはスーダン株))、フラビウイルス科(例えば、C型肝炎ウイルス、デングウイルス1、デングウイルス2、およびデングウイルス4)、ヘパドナウイルス科、ヘルペスウイルス科(例えば、ヒトヘルペスウイルス1、3、4、5、6、およびサイトメガロウイルス)、ヒポウイルス科、イリドウイルス科、レビウイルス科、リポトリクスウイルス科、ミクロウイルス科、オルソミクソウイルス科(例えばインフルエンザウイルスA、BおよびC)、パポバウイルス科、パラミクソウイルス科(例えば麻疹、おたふく風邪、およびヒト呼吸器合胞体ウイルス)、パルボウイルス科、ピコルナウイルス科(例えば、ポリオウイルス、リノウイルス、ヘパトウイルス、アフトウイルス)、ポックスウイルス科(例えば、ワクシニアウイルス、天然痘ウイルス)、レオウイルス科(例えば、ロタウイルス)、レトロウイルス科(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)1およびHIV2等のレンチウイルス)、ラブドウイルス科(例えば、狂犬病ウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス等)、トガウイルス科(例えば、風疹ウイルス、デングウイルス等)、およびトチウイルス科、のウイルスを含むが、これらに限定されない任意のウイルスから単離することができる。適切なウイルス抗原はまた、デングタンパク質M、デングタンパク質E、デングD1NS1、デングD1NS2、およびデングD1NS3の全体または一部を含む。
【0156】
ウイルス抗原は、乳頭腫ウイルス、単純ヘルペスウイルス、すなわち、単純ヘルペスウイルス1および2;肝炎ウイルス、例えば、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、デルタD型肝炎ウイルス(HDV)、E型肝炎ウイルス(HEV)およびG型肝炎ウイルス(HGV)、ダニ媒介脳炎ウイルス;パラインフルエンザ、水痘帯状疱疹、サイトメグラウイルス、エプスタイン・バー、ロタウイルス、リノウイルス、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、ウマ脳炎、日本脳炎、黄熱病、リフトバレー熱、およびリンパ球脈絡髄膜炎などの特定の株に由来し得る。
【0157】
いくつかの実施形態において、前記抗原は細菌抗原である。細菌抗原は、アクチノミセス(Actinomyces)、アナベナ(Anabaena)、バチルス(Bacillus)、バクテロイデス(Bacteroides)、ブデロビブリオ(Bdellovibrio)、ボルデテラ(Bordetella)、ボレリア(Borrelia)、カンピロバクター(Campylobacter)、カウロバクター(Caulobacter)、クラミジア(Chlamydia)、クロロビウム(Chlorobium)、クロマチウム(Chromatium)、クロストリジウム(Clostridium)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、サイトファーガ(Cytophaga)デイノコッカス(Deinococcus)、大腸菌(Escherichia)、フランシセラ(Francisella)、ハロバクテリウム(Halobacterium)、ヘリオバクター(Heliobacter)、ヘモフィルス(Haemophilus)ヘモフィルスインフルエンザB型(HIB)、ヒホミクロビウム(Hyphomicrobium)、レジオネラ(Legionella)、レプトスピロシス(Leptspirosis)、リステリア(Listeria)、髄膜炎菌(Meningococcus)A、BおよびC、メタノバクテリウム(Methanobacterium)、マイクロコッカス(Micrococcus)、ミオバクテリウム(Myobacterium)、マイコプラズマ(Mycoplasma)、ミキソコッカス(Myxococcus)、ナイセリア(Neisseria)、ニトロバクター(Nitrobacter)、オスキラトリア(Oscillatoria)、プロクロロン(Prochloron)、プロテウス(Proteus)、シュードモナス(Pseudomonas)、ホドスピリルム(Phodospirillum)、リケッチア(Rickettsia)、サルモネラ(Salmonella)、シゲラ(Shigella)スピリルム(Spirillum)、スピロヘータ(Spirochaeta)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、ストレプトミセス(Streptomyces)、スルホロブス(Sulfolobus)、サーモプラス(Thermoplasma)、チオバチルス(Thiobacillus)およびトレポネーマ(Treponema)、ビブリオ(Vibrio)ならびにエルシニア(Yersinia)を含むが、これらに限定されない任意の細菌に由来し得る。
【0158】
いくつかの実施形態において、前記抗原は寄生虫抗原である。寄生虫抗原は、Cryptococcus neoformans、Histoplasma capsulatum、Candida albicans、Candida tropicalis、Nocardia asteroides、Rickettsia ricketsii、Rickettsia typhi、Mycoplasma pneumoniae、Chlamydial psittaci、Chlamydial trachomatis、Plasmodium falciparum、Trypanosoma brucei、Entamoeba histolytica、Toxoplasma gondii、Trichomonas vaginalisおよびSchistosoma mansoniを含むが、これらに限定されない任意の寄生虫に由来する抗原として、寄生虫から得ることができる。これらには、スポロゾア抗原、サーカムスポロゾイトタンパク質の全体または一部などのプラスモディア抗原、スポロゾイト表面タンパク質、肝臓ステージ抗原、頂端膜関連タンパク質、またはメロゾイト表面タンパク質が含まれる。
【0159】
いくつかの実施形態において、前記抗原は、アレルゲンおよび環境抗原、例えば、限定されるものではないが、花粉アレルゲン(樹木、草本、雑草、および草(grasses)花粉アレルゲン)、昆虫アレルゲン(吸入抗原、唾液および毒アレルゲン)、動物毛およびふけアレルゲン、ならびに食物アレルゲンなどの天然に存在するアレルゲンに由来する抗原である。樹木、草本および草由来の主要な花粉アレルゲンは、カバノキ(Betula)、ハンノキ(Alnus)、ハシバミ(Corylus)、シデ(Carpinus)およびオリーブ(Olea)、スギ(CryptomeriaおよびJuniperus)、スズカケノキ(Platanus)を含むFagales、Oleales、Pinalesおよびplatanaceaeの分類学的目、Lolium、Phleum、Poa、Cynodon、Dactylis、Holcus、Phalaris、SecaleおよびSorghumの草を含むPoales目、Ambrosia、Artemisia、Parietariaの草本を含むAsteralesおよびUrticales目である。使用され得る他のアレルゲン抗原は、DermatophagoidesおよびEuroglyphus属のハウスダストダニ、ストレージダニ、例えば、Lepidoglyphys、GlycyphagusおよびTyrophagus由来のアレルゲン、ゴキブリ、コバエおよびノミ、例えばBlatella、Periplaneta、ChironomusおよびCtenocepphalides由来のアレルゲン、ネコ、イヌおよびウマなどの哺乳動物由来のアレルゲン、鳥類、例えばミツバチ(Apidae科)、スズメバチ(Vespidea上科)、およびアリ(Formicoidae上科)を含む膜翅目(Hymenoptera)の分類学的目の昆虫の刺傷および咬傷に由来するアレルゲンを含む、毒素アレルゲン、に由来するアレルゲンを含む。使用され得るさらなる他のアレルゲン抗原としては、AlternariaおよびCladosporium属由来のアレルゲン等の、真菌由来の吸入アレルゲンが含まれる。
【0160】
いくつかの実施形態において、前記抗原は腫瘍抗原(本明細書に記載)である。
【0161】
治癒的かつ腫瘍特異的な免疫療法を開発するための重要な障壁の1つは、自己免疫を回避するための高度に特異的かつ制限された腫瘍抗原の同定および選択である。悪性細胞内の遺伝子変化(例えば、逆位、転座、欠失、ミスセンス変異、スプライス部位変異など)の結果として生じる腫瘍ネオ抗原は、最も腫瘍特異的な抗原のクラスを表す。
【0162】
いくつかの実施形態において、前記抗原はネオ抗原である。本明細書において、ネオ抗原という用語は、新たに発現された抗原決定基を定義するために使用される。新生抗原はタンパク質のコンホメーション変化の際に、新たに発現された決定基(特に、形質転換または感染した細胞の表面上)として、1つ以上の分子の複合体形成の結果として、または結果として新たな抗原決定基の提示を伴う分子の切断の結果として生じ得る。したがって、本明細書で使用される場合、用語ネオ抗原は、プリオン媒介性疾患における感染(例えば、ウイルス感染、原虫感染または細菌感染)、細胞形質転換(癌)時に発現される抗原を包含し、後者の場合、前記ネオ抗原は、腫瘍関連抗原と称され得る。
【0163】
本発明は、ネオ抗原を同定する特定の様式に限定されない。いくつかの実施形態において、新生ネオ抗原の同定は、全ゲノム配列決定、全エクソーム(例えば、捕捉されたエキソンのみの)配列決定、または各患者由来の腫瘍対適合した生殖細胞系サンプルのRNA配列決定を使用して、DNAレベルで新生物/腫瘍におけるすべての、またはほぼすべての突然変異を同定することを含む。いくつかの実施形態において、ネオ抗原の同定は、新生物/腫瘍内で発現され、患者HLA対立遺伝子に結合し得る複数の候補ネオ抗原T細胞エピトープを生成するために、1つ以上のペプチド-MHC結合予測アルゴリズムを用いて同定された変異を分析することを含む。いくつかの実施形態において、ネオ抗原の同定は、癌ワクチンに使用されるすべてのネオオープンリーディングフレームペプチドおよび予測結合ペプチドのセットから選択される複数の候補ネオ抗原ペプチドを合成することを含む。
【0164】
したがって、本発明は少なくとも部分的に、全てまたはほぼ全ての新生物/腫瘍内の変異(例えば、転座、逆位、大小の欠失および挿入、ミスセンス変異、スプライス部位変異など)を同定する能力に基づく。特に、これらの突然変異は、対象の新生物/腫瘍細胞のゲノム中に存在するが、対象由来の正常組織中には存在しない。このような変異は患者の新生物/腫瘍(例えば、ネオ抗原)に特有の改変されたアミノ酸配列を有するタンパク質を生じる変化をもたらす場合、特に興味深い。例えば、有用な突然変異は、(1)タンパク質中の異なるアミノ酸をもたらす非同義変異;(2)終止コドンが修飾または欠失され、C末端に新規な腫瘍特異的配列を有するより長いタンパク質の翻訳をもたらすリードスルー突然変異;(3)成熟mRNA中にイントロンが含まれ、これにより、固有の腫瘍特異的タンパク質配列をもたらすスプライス部位変異;(4)2つのタンパク質の接合部に腫瘍特異的配列を有するキメラタンパク質を生じる染色体再構成(すなわち、遺伝子融合);(5)新規の腫瘍特異的タンパク質配列を有する新たなオープンリーディングフレームをもたらすフレームシフト突然変異または欠失;等を含み得る。例えば、腫瘍細胞におけるスプライス部位、フレームシフト、リードスルー、または遺伝子融合変異から生じる変異または変異ポリペプチドを有するペプチドは、腫瘍対正常細胞におけるDNA、RNA、またはタンパク質を配列決定することによって同定され得る。
【0165】
共通の腫瘍ドライバー遺伝子に由来する個別化ネオ抗原ペプチドもまた、本発明の範囲内であり、さらに、以前に同定された腫瘍特異的変異を含んでもよい。
【0166】
好ましくは、任意の適切な合成時配列決定(sequencing-by-synthesis)プラットフォームを使用して、変異を同定することができる。4つの主要合成時配列決定プラットフォーム:Roche/454 Life Sciences製Genome Sequencers、Applied BioSystems製SOLiDシステム、およびHelicos Biosciences製Heliscopeシステム、が現在利用可能である。合成時配列決定プラットフォームはまた、Pacific BiosciencesおよびVisiGen Biotechnologiesによって記載されている。これらのプラットフォームの各々は、本発明の方法において使用することができる。いくつかの実施形態において、配列決定される複数の核酸分子は支持体(例えば、固体支持体)に結合される。核酸を支持体上に固定化するために、捕捉配列/ユニバーサルプライミング部位を鋳型の3’末端および/または5’末端に付加することができる。前記核酸は、捕捉配列を、支持体に共有結合した相補的配列にハイブリダイズさせることによって、支持体に結合させることができる。捕捉配列(ユニバーサル捕捉配列とも呼ばれる)は、ユニバーサルプライマーとして二重に機能し得る支持体に結合した配列に相補的な核酸配列である。
【0167】
捕捉配列の代替として、カップリングペアのメンバー(例えば、米国特許出願第2006/0252077号に記載されている、例えば、抗体/抗原、受容体/リガンド、またはアビジン-ビオチンペアなど)は、そのカップリングペアのそれぞれの第2のメンバーでコーティングされた表面上に捕捉される各断片に連結され得る。捕捉に続いて、配列は例えば、実施例および米国特許第7,283,337号に記載される、例えば、鋳型依存性合成時配列決定を含む、単一分子検出/配列決定によって分析され得る。合成時配列決定において、表面結合分子は、ポリメラーゼの存在下で複数の標識ヌクレオチド三リン酸に曝露される。鋳型の配列は、成長する鎖の3’末端に組み込まれた標識ヌクレオチドの順序によって決定される。これは、リアルタイムで、またはステップアンドリピートモードで行うことができる。リアルタイム分析のために、各ヌクレオチドに対する異なる光学標識が組み込まれてもよく、組み込まれたヌクレオチドの刺激のために複数のレーザーが利用されてもよい。
【0168】
本明細書に記載の配列決定方法で使用するための核酸試料を得るために、任意の細胞型または組織を利用することができる。いくつかの実施形態において、DNAまたはRNA試料は、既知の技術(例えば、静脈穿刺)または唾液により得られた新生物/腫瘍または体液、例えば、血液から得られる。あるいは、核酸試験は、乾燥試料(例えば、毛髪または皮膚)に対して実施することができる。
【0169】
個体のDNAまたはRNA中の特定の変異または対立遺伝子の存在を検出するために、様々な方法が利用可能である。この分野における進歩により、正確で、容易で、安価な大規模SNP遺伝子型決定を提供されている。最近では、例えば、動的対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション(DASH)、マイクロプレートアレイ対角ゲル電気泳動(MADGE)、パイロシークエンシング、オリゴヌクレオチド特異的ライゲーション、TaqManシステムおよびAffymetrix SNPチップなどの様々なDNA「チップ」技術を含むいくつかの新しい技術が記載されている。これらの方法は、典型的にはPCRによる標的遺伝子領域の増幅を必要とする。さらに他の新たに開発された方法は、侵襲的切断、その後の質量分析または固定化パドロックプローブおよびローリングサークル増幅による小シグナル分子の生成に基づいて、最終的にはPCRの必要性を排除し得る。特定の一塩基多型を検出するための当技術分野で公知のいくつかの方法を以下に要約する。本発明の方法は、全ての利用可能な方法を含むと理解される。
【0170】
PCRベースの検出手段は、複数のマーカーの多重増幅を同時に含むことができる。例えば、PCRプライマーを選択して、サイズが重複せず、かつ、同時に分析することができるPCR産物を生成することは、当技術分野において周知である。
【0171】
あるいは、差異的に標識され、しかしてそれぞれ差異的に検出され得るプライマーを用いて、異なるマーカーを増幅することが可能である。当然、ハイブリダイゼーションベースの検出手段は、試料中の複数のPCR産物の差異的検出を可能にする。複数のマーカーの多重分析を可能にする他の技術は、当技術分野で知られている。
【0172】
ゲノムDNAまたは細胞RNAにおける一塩基多型の分析を容易にするために、いくつかの方法が開発されている。一実施形態において、前記一塩基多型は、例えば、米国特許第4,656,127号に開示されているような、特殊なエキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを使用することによって検出することができる。係る方法によれば、多型部位に接する3’側の対立遺伝子配列に相補的なプライマーを、特定の動物またはヒトから得られた標的分子にハイブリダイズさせることができる。標的分子上の多型部位が、特定のエキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド誘導体に相補的なヌクレオチドを含む場合、その誘導体は、ハイブリダイズされたプライマーの末端に組み込まれる。係る組み込みは、プライマーにエキソヌクレアーゼ耐性を与え、それによってその検出を可能にする。試料のエキソヌクレアーゼ耐性誘導体の同一性が知られているために、プライマーがエキソヌクレアーゼに耐性になることの発見は、標的分子の多型部位に存在するヌクレオチドが反応に使用されたヌクレオチド誘導体に相補的であることを示す。この方法は、大量の無関係な配列データの決定を必要としないという利点を有する。
【0173】
本発明の別の実施形態において、多型部位のヌクレオチドの同一性を決定するために、溶液ベースの方法が使用される(例えば、フランス特許第2,650,840号;PCT出願WO1991/02087を参照)。米国特許第4,656,127号の方法と同様に、多型部位に接する3’側の対立遺伝子配列に相補的なプライマーを用いることもできる。係る方法は、多型部位のヌクレオチドに相補的である場合にプライマーの末端に組み込まれる標識されたジデオキシヌクレオチド誘導体を使用して、係る部位のヌクレオチドの同一性を決定する。
【0174】
遺伝子ビット分析またはGBA(登録商標)として知られる代替方法は、PCT出願公報WO1992/15712号に記載されている。GBA(登録商標)は、標識ターミネーターと、多型部位の3’側の配列に対して相補的なプライマーとの混合物を使用する。したがって、組み込まれる標識ターミネーターは、評価される標的分子の多型部位に存在するヌクレオチドによって決定され、それに相補的である。Cohenらの方法(フランス特許第2,650,840号;PCT出願第W01991/02087号)とは対照的に、GBA(登録商標)法は、好ましくはプライマーまたは標的分子が固相に固定化される、異種相アッセイである。近年では、DNAにおける多型部位をアッセイするためのいくつかのプライマー誘導ヌクレオチドの組み込み手順が説明されている(例えば、Komher, J. S. et al., Nucl. Acids. Res. 17:7779- 7784 (1989); Sokolov, B. P., Nucl. Acids Res. 18:3671 (1990); Syvanen, A.-C, et al., Genomics 8:684-692 (1990); Kuppuswamy, M. N. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 88: 1143- 1147 (1991); Prezant, T. R. et al., Hum. Mutat. 1: 159-164 (1992); Ugozzoli, L. et al., GATA 9: 107- 112 (1992); Nyren, P. et al., Anal. Biochem. 208: 171-175 (1993)を参照)。これらの方法は、多型部位における塩基間の識別が、標識デオキシヌクレオチドの組み込みに完全に依存している点で、GBA(登録商標)とは異なる。このような様式では、シグナルが、取り込まれたデオキシヌクレオチドの数に比例するため、同じヌクレオチドのランで生じる多型は、ランの長さに比例するシグナルを生じ得る(例えば、SSyvanen, A.-C, et al., Amer. J. Hum. Genet. 52:46-59 (1993)を参照)。
【0175】
腫瘍特異的ネオ抗原を同定するための代替方法は、直接的なタンパク質の配列決定である。タンデム質量分析(MS/MS)を含む多次元MS技術(MSn)を用いた酵素消化物のタンパク質配列決定も、本発明のネオ抗原を同定するために使用することができる。このようなプロテオミクスによるアプローチは、迅速で高度に自動化された分析を可能にする(例えば、K. Gevaert and J. Vandekerckhove, Electrophoresis 21: 1145-1154 (2000)を参照)。さらに、未知のタンパク質のデノボ配列決定のために、ハイスループット法を使用して、患者の腫瘍のプロテオームを分析し、発現されたネオ抗原を同定し得ることは、本発明の範囲内であると考えられる。例えば、メタショットガンタンパク質配列決定を使用して、発現したネオ抗原を同定することができる(例えば、Guthals et al. (2012) Shotgun Protein Sequencing with Meta-contig Assembly, Molecular and Cellular Proteomics 11(10): 1084-96を参照)。
【0176】
腫瘍特異的ネオ抗原はまた、ネオ抗原特異的T細胞応答を同定するために、MHC多量体を用いて同定され得る。例えば、患者の試料中のネオ抗原特異的T細胞応答のハイスループット分析は、MHC四量体に基づくスクリーニング技術を用いて実施することができる(例えば、Hombrink et al. (2011) High-Throughput Identification of Potential Minor Histocompatibility Antigens by MHC Tetramer-Based Screening: Feasibility and Limitations 6(8): 1-11; Hadrup et al. (2009) Parallel detection of antigen- specific T-cell responses by multidimensional encoding of MHC multimers, Nature Methods, 6(7):520-26; van Rooij et al. (2013) Tumor exome analysis reveals neoantigen-specific T-cell reactivity in an Ipilimumab-responsive melanoma, Journal of Clinical Oncology, 31: 1-4; and Heemskerk et al. (2013) The cancer antigenome, EMBO Journal, 32(2): 194-203を参照)。そのような四量体に基づくのスクリーニング技術が、腫瘍特異的ネオ抗原の初期同定のために、あるいは別の方法として、患者が既に曝露されている可能性のあるネオ抗原を評価するための二次スクリーニングプロトコールとして使用され得、これらによって、本発明のワクチンのための候補ネオ抗原の選択を容易にし得ることは、本発明の範囲内であると考えられる。
【0177】
本発明は単離されたペプチド(例えば、上記の方法によって同定された腫瘍特異的変異を含有するネオ抗原ペプチド、公知の腫瘍特異的変異を含むペプチド、および上記の方法によって同定された変異ポリペプチドまたはその断片)をさらに含む。これらのペプチドおよびポリペプチドは、本明細書において、「ネオ抗原性ペプチド」または「ネオ抗原性ポリペプチド」と称される。前記ポリペプチドまたはペプチドは様々な長さであり得、患者のHLA分子に結合すると予測される小領域(「エピトープ」)、ならびにN末端およびC末端方向の両方に伸長するさらなる隣接アミノ酸を最小限含む。前記ポリペプチドまたはペプチドはそれらの中性(非荷電)形態または塩であり得、グリコシル化、側鎖酸化、もしくはリン酸化などの修飾を含まないか、または、修飾が本明細書に記載のポリペプチドの生物学的活性を破壊しないという条件に従い、これらの修飾を含むかのいずれかであり得る。
【0178】
特定の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原性ペプチド分子のサイズは、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120またはそれ以上のアミノ分子残基、およびそれらから誘導可能な任意の範囲を含み得るが、これらに限定されない。特定の実施形態において、前記ネオ抗原性ペプチド分子は、50アミノ酸以下である。好ましい実施形態において、前記ネオ抗原性ペプチド分子が約20~約30アミノ酸に等しい。
【0179】
いくつかの態様において、前記ペプチドは、アドレノコルチコトロピンホルモン(ACTH)、成長ホルモンペプチド、メラノサイト刺激ホルモン、オキシトシン、バソプレシン、コルチコトロピン放出因子(CRF)、CRF関連ペプチド、ゴナドトロピン放出ホルモン関連ペプチド(GAP)、成長ホルモン放出ホルモン(GRF)、オレキシン、プロラクチン放出ペプチド(PRP)、ソマトスタチン、サイロトロピン放出ホルモン(Thr)、カルシトニン(CT)、CT前駆体ペプチド、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、副甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTH)、アミリン、グルカゴンである。インスリン、インスリン様ペプチド、ニューロペプチドY(NPY)、膵臓ポリペプチド(PP)、ペプチドYY(PYY)、コレシストキニン(CCK)、CCK関連ペプチド、ガストリン放出ペプチド(GRP)、ガストリン関連ペプチド、ガストリン阻害ペプチド、モチリン、セクレチン、血管活性腸管ペプチド(VIP)、脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、タキキニン、アンギオテンシン、レニン阻害剤、エンドセリン、エンドセリン関連ペプチド、オピオイドペプチド、アドレノメデュリンペプチド、アロスタチンペプチド、アミロイドβタンパク質断片、抗酸化ペプチド、アポトーシス関連ペプチド、Bag細胞ペプチド(BCP)、ボンベシン、骨Glaタンパク質ペプチド、コカインおよびアンフェタミン関連転写物(CART)ペプチド、細胞接着ペプチド、走化性ペプチド、補体阻害剤、コルチスタチンペプチド、フィブリン関連ペプチド、FMRFアミド関連ペプチド(FaRP)、ガラニン、成長因子関連ペプチド、G治療用ペプチド結合タンパク質フラグメント、グアリリン、ウログアニリン、インヒビンペプチド、インターロイキン(IL)、インターロイキン受容体タンパク質、インターロイキン受容体断片、ラミニン断片、レプチンペプチド、ポリペプチド反復鎖、トロンビン阻害剤、トキシン、トリプシン阻害剤、ウイルス関連ペプチド、アジュバントペプチド類似体、α接合因子、抗不整脈ペプチド、α-1アンチトリプシン、ウシ松果体抗生殖ペプチド、バーシン、C3ペプチドP16、カドヘリンペプチド、クロモグラニンA断片、避妊テトラペプチド、コナントキンG、甲殻類心臓活性ペプチド、C-テロペプチド、シトクロムb588ペプチド、デコルシン、デルタ睡眠誘導ペプチド、ジアゼンパム結合阻害剤断片、一酸化窒素合成酵素阻害ペプチド、OVAペプチド、血小板カルパイン阻害剤(P1)、プラスミノーゲン活性化剤阻害剤1、リギン、統合失調症関連ペプチド、ナトリウムカリウムアテラピューティックペプチダーゼ阻害剤-1、精子活性化ペプチド、トロンビン受容体アゴニスト、ツフトシン、アディポキネティックホルモン、ウレミックペンタペプチド、抗凍結ポリペプチド、腫瘍壊死因子(TNF)、Leech Asp10]デコルシン、P-アミノフェニルアセチルTuftsin、Ac-Glu-Glu-Val-Val-Ala-Cys-pNA(配列番号1)、Ac-Ser-Asp-Lys-Pro(配列番号2)、Cys-Gly-Tyr-Gly-Pro-Lys-Lys-Lys-Arg-Lys-Val-Gly-Gly(配列番号3)、D-Ala-Leu、D-D-D-D-D(配列番号4)、N-P-N-A-N-P-N-A(配列番号6)、V-A-I-T-V-L-V-K(配列番号7)、V-G-V-R-V-R(配列番号 V-I-H-S(配列番号9)、V-I-H-S(配列番号10)、Val-THR-Cys-Gly(配列番号11)、ウニ精子活性ペプチド、SHU-9119アンタゴニスト、MC3-Rアンタゴニスト、Glaspimod、HP-228、α2-プラスミン阻害剤、早期妊娠因子、ガンマインターフェロン、腺性カリクレインN-1、胎盤リボヌクレアーゼ阻害剤、サルコレシン結合タンパク質、サーファクタントタンパク質D、ウィルムス腫瘍抑制剤、GABAB1b受容体ペプチド、プリオン関連ペプチド(iPRP13)、コリン結合タンパク質断片、テロメラーゼ阻害剤、カルジオスタチンペプチド、エンドスタチン誘導ペプチド、プリオン阻害ペプチド、N-メチルD-アスパラギン酸受容体アンタゴニスト、およびC-ペプチドアナログである。
【0180】
いくつかの実施形態において、前記ペプチドは、177Lu-DOTA0-Tyr3-オクトレオテート、ADH-1、アファメラノチド、メラノタン-1、CUV1647、アルビグルチド、アプロチニン、アルギプレシン、酢酸アトシバン、バシトラシン、ベンチロミド、BH3ドメイン、ビバリルジン、ビバリルジントリフルオロ酢酸塩水和物、ブリシビモド、ボルテゾミブ、ブセレリン、酢酸ブセレリン、カルシトニン、カルベトシン、酢酸カルベトシン、セクロピンAおよびB、セルレチド、ジエチルアミドセルレチド、セトロレリクス、酢酸セトロレリクス、シクロスポリン、シレンジチデク、EMD121974、酢酸コルチコレリン注射液、hCRF、コルチコレリンオーバイントリフレテート、コルチコレリントリフルオロ酢酸塩、コルチコトロピン、コシントロピン、ACTH 1-24、テトラコサクチドヘキサアセテート、ダルババンシン、ダプトマイシン、酢酸デガレリクス、デプレオチドトリフルオロ酢酸塩(加えて、ナトリウムパーテクネート)、酢酸デモプレシン、デモプレシンDDAVP、デュラグルチド、エカランタイド、エドトレオチド(加えて、イットリウム-90)、酢酸エルカトニン、マレイン酸エナラプリル(または2-ブタンジオエート)、エンファブレチド、エピチフィバチド、エキセナチド、酢酸ガニレリクス、酢酸グラチラマー、グルタチオン、ゴナドレリン、酢酸ゴナドレリン、GnRH、LHRH、ゴセレリン、酢酸ゴセレリン、グラミシジン、酢酸ヒストレリン、ヒトカルシトニン、イカチバント、酢酸イカチバント、IM862、オグルファニド2硫酸、KLAKLAK、酢酸ランレオチド、レピルジン、ロイプロリド、酢酸ロイプロリド、ロイプロレリン、リラグルチド、リシノプリル、リキシセナチド、ライプレッシン、マガイニン2、MALP-2Sc、マクロファージ活性化リポペプチド2合成物、サクサンナファレリン、ネシリチド、NGR-hTNF、酢酸オクトレオチド、オリタバンシン、オキシトシン、パシレオチド、ペグイネサチド、ペンタガストリン、ペンテトレオチド(加えて、インジウム-111)、フェニプレシン、プレロシジン、プラムリニチド、プロチレリン、チロリベリン、TRH、TRF,サケカルシトニン、酢酸サララシン、セクレチン(ヒト)、セクレチン(ブタ)、セマグルチド、酢酸セラクチド、ACTH、コルチコトロピン、酢酸コルチコトロピン、酢酸セルモレリン、GRF1-29、シナプルチド、ルシナクタント入りKL4、シンカリド、酢酸ソマトレリン、GHRH、GHRF、GRF、酢酸ソマトスタチン、スパグルマットマグネシウム(またはナトリウム)塩、サブスタンスP、タルチレリン水和物、テデュグルチド、テイコプラニン、テラバンシン、テリパラチド、酢酸テルリプレシン、テトラコサチド、チマルファシン、チモシンA-1、チモペプネチン、トレバナニブ、トリプトレリン、パモ酸トリプトレリン。チロセルロイチド、ウラリチド、バンコマイシン、酢酸バプレオチド、酢酸血管作動性腸管ペプチド、Vx-001c、TERT572Y、酢酸ジコノチド、α5-α6 Baxペプチド、およびβ-デフェンシンから選択される。
【0181】
いくつかの実施形態において、前記ペプチドは、前記組成物が所望の目的を達成することを補助する任意のペプチドである。例えば、いくつかの実施形態において、前記ペプチドは、任意の種類の疾患および/または障害の治療を容易にする任意のペプチドでありえる。
【0182】
いくつかの実施形態において、前記生体高分子剤は核酸である。係る実施形態は、RNA、siRNA、マイクロRNA、干渉RNA、mRNA、レプリコンmRNA、RNAアナログ、およびDNAを含むが、これらに限定されない、任意のタイプの核酸分子を含む。
【0183】
したがって、本発明は、1個以上のネオ抗原性ペプチドと会合するような、組成物を提供する。いくつかの実施形態において、前記組成物は、2個のネオ抗原性ペプチドと会合している。いくつかの実施形態において、前記組成物は、少なくとも5個以上のネオ抗原性ペプチドと会合している。いくつかの実施形態において、前記組成物は、少なくとも約6個、約8個、約10個、約12個、約14個、約16個、約18個、または約20個の個別のペプチドと会合している。いくつかの実施形態において、前記組成物は、少なくとも20個の個別のペプチドと会合している。
【0184】
前記ネオ抗原性ペプチド、ポリペプチド、およびアナログは、通常はこれらのタンパク質の一部ではない追加の化学部位を含有するようにさらに修飾されてもよい。これらの誘導体化部位は、溶解性、生物学的半減期、タンパク質の吸収、または結合親和性を向上することができる。前記部位はまた、タンパク質などの、所望の任意の副作用を低減または消去することができる。これらの部位の概説は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 20th ed., Mack Publishing Co., Easton, PA (2000)に見出すことができる。例えば、所望の活性を有するネオ抗原性ペプチドおよびポリペプチドは、所望のMHC分子に結合し、適切なT細胞を活性化する未修飾ペプチドの生物学的活性の少なくとも全てを増加または実質的に保持しながら、特定の所望の属性、例えば改善された薬理学的特性を提供するために必要に応じて修飾され得る。例として、前記ネオ抗原性ペプチドおよびポリペプチドは、例えば置換などの、保存的または非保存的な様々な改変を受けてもよく、このような改変は、MHC結合の改善などの、それらの使用における特定の利点を提供し得る。係る保存的置換は、アミノ酸残基を生物学的および/または化学的に類似する別のアミノ酸残基、例えば、1つの疎水性残基を別の疎水性残基に、または1つの極性残基を別の極性残基に置き換えることを包含し得る。単一のアミノ酸置換の効果は、Dアミノ酸を用いてプローブすることもできる。このような修飾は、例えば、Merrifield, Science 232:341-347 (1986)、Barany & Merrifield, The Peptides, Gross & Meienhofer, eds. (N.Y., Academic Press), pp. 1-284 (1979);およびStewart & Young, Solid Phase Peptide Synthesis, (Rockford, III., Pierce), 2d Ed. (1984)に記載されているような、周知のペプチド合成手順を用いて実施することができる。
【0185】
いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原性ペプチドおよびポリペプチドは、組成物との会合を促進する目的で、架橋剤で修飾され得る。本発明は、特定のタイプまたは種類の架橋剤に限定されない。いくつかの実施形態において、前記架橋剤は、システイン-セリン-セリン(CSS)分子である。
【0186】
前記ネオ抗原性ペプチドおよびポリペプチドはまた、当該化合物のアミノ酸配列を伸長または減少させることによって、例えば、アミノ酸を付加または欠失させることによって、修飾され得る。前記ネオ抗原性ペプチド、ポリペプチド、またはアナログは、特定の残基の順序または組成を変更することによって修飾することもできる。生物学的活性に必須の特定のアミノ酸残基、例えば、主要な接触部位または保存された残基におけるアミノ酸は、一般に、生物学的活性に悪影響を及ぼすことなく変更できない可能性があることは、当業者であれば理解できるであろう。主要でないアミノ酸は、L-a-アミノ酸、またはそれらのD-異性体のような、タンパク質中に天然に存在するものに限定される必要はなく、β-γ-δ-アミノ酸、および、L-a-アミノ酸の多様な誘導体といった、非天然アミノ酸を含むものであってもよい。
【0187】
一般的に、ネオ抗原ポリペプチドまたはペプチドは、MHC結合における静電荷、疎水性などの影響を決定するために、単一のアミノ酸置換を有する一連のペプチドを用いることによって最適化され得る。例えば、ペプチドの長さに沿って行われる一連の正荷電の(例えば、LysまたはArg)または負荷電の(例えば、Glu)アミノ酸置換は、様々なMHC分子およびT細胞受容体に対する感受性の異なるパターンを明らかにすることができる。さらに、Ala、Gly、Pro、または類似の残基などの、小さく、比較的中性の部位を使用する複数の置換を採用することができる。前記置換は、ホモ-オリゴマーまたはヘテロ-オリゴマーであってもよい。前記置換または付加される残基の数およびタイプは、必須の接触点と、求められる特定の機能的属性(例えば、疎水性対親水性)との間に必要な間隔に依存する。また、親ペプチドの親和性と比較した、MHC分子またはT細胞受容体に対する結合親和性の増加が、係る置換によって達成され得る。いずれの場合であっても、係る置換は、例えば、結合を破壊し得る立体的および電荷的干渉を回避するように選択されたアミノ酸残基または他の分子断片を採用すべきである。アミノ酸置換は、通常、単一残基の置換である。置換、欠失、挿入、またはそれらの任意の組み合わせを組み合わせて、最終的なペプチドを得ることができる。
【0188】
当業者であれば、係る腫瘍特異的ネオ抗原を産生する様々な方法があることを理解できるであろう。一般に、係る腫瘍特異的ネオ抗原は、インビトロまたはインビボのいずれかで産生され得る。腫瘍特異的ネオ抗原は、ペプチドまたはポリペプチドとしてインビトロで産生され得、次いで、それを個別化新生物ワクチンに製剤化して、対象に投与することができる。このようなインビトロでの産生は、例えば、ペプチド合成、または、様々な細菌、真核生物、もしくはウイルスの組換え発現系のいずれかにおけるDNAまたはRNA分子からのペプチド/ポリペプチドの発現、続く発現ペプチド/ポリペプチドの精製などの、当業者に知られている様々な方法によって行われ得る。
【0189】
あるいは、腫瘍特異的ネオ抗原は、腫瘍特異的ネオ抗原をコードする分子(例えば、DNA、RNA、ウイルス発現系など)を対象に導入することによってインビボで産生され得る。その際には、前記コードされた腫瘍特異的ネオ抗原が発現される。
【0190】
タンパク質またはペプチドは、一般的な分子生物学的技術によるタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドの発現、タンパク質もしくはペプチドの天然源からの単離、またはタンパク質もしくはペプチドの化学合成を含む、任意の当業者らに公知の技術により作製されてもよい。ヌクレオチドおよびタンパク質、ならびに、種々の遺伝子に対応するポリペプチドおよびペプチド配列は、以前に開示されており、当業者らに既知のコンピュータデータベースにおいて見出すことができる。このようなデータベースの1つは、National Institutes of HealthのウェブサイトにあるNational Center for Biotechnology InformationのGenbankおよびGenPeptデータベースである。公知の遺伝子のコード領域は、本明細書に開示される、または当業者らに知られている技術を使用して、増幅および/または発現されてもよい。別の方法としては、種々の市販のタンパク質、ポリペプチド、およびペプチドの調製物が、当業者らに知られている。
【0191】
[0170]ペプチドは、細菌または動物物質の混入の無い試薬を用いて、化学的に容易に合成することができる(Merrifield RB: Solid phase peptide synthesis. I. The synthesis of a tetrapeptide. J. Am. Chem. Soc. 85:2149-54, 1963)。
【0192】
ポリヌクレオチドは、例えば、一本鎖および/もしくは二本鎖のいずれかのDNA、cDNA、PNA、CNA、RNA、または天然形態もしくは安定化形態のポリヌクレオチド、例えば、ホスホロチオエート骨格を有するポリヌクレオチドなど、あるいはそれらの組み合わせであってよく、それは、ペプチドをコードする限り、イントロンを含有してもしなくてもよい。本発明のさらなる態様は、本発明によるポリペプチドを発現することができる発現ベクターを提供する。異なる細胞型の発現ベクターは、当該技術分野において周知であり、過度な実験を行うことなく選択することができる。一般に、DNAは、発現のための適切な向きおよび正しいリーディングフレームで、プラスミドなどの発現ベクターに挿入される。必要に応じて、DNAは、所望の宿主(例えば、細菌)により認識される適切な転写および翻訳制御対照ヌクレオチド配列に連結されてもよいが、このような対照は一般に発現ベクターで利用可能である。次に、標準的な技術を使用してクローニングのためのベクターが宿主細菌に導入される。
【0193】
本発明のさらなる態様として、インビトロでネオ抗原性ペプチドを産生するために使用され得る、本発明のネオ抗原性ペプチドをコードする核酸(例えば、ポリヌクレオチド)を提供する。前記ポリヌクレオチドは、例えば、DNA、cDNA、PNA、CNA、RNA、一本鎖および/もしくは二本鎖のいずれか、またはポリヌクレオチドの天然もしくは安定化形態、例えば、ホスホロチオエート骨格を有するポリヌクレオチド、またはそれらの組み合わせでありうる。前記ポリヌクレオチドは、ペプチドをコードする限り、イントロンを含んでもよく、含まなくてもよい。本発明のさらなる態様において、本発明に係るポリペプチドを発現可能な発現ベクターを提供する。異なる細胞型についての発現ベクターは当技術分野において周知であり、過度の実験を行うことなく選択することができる。一般に、DNAは、発現のための適切な配向および正確なリーディングフレームで、プラスミドなどの発現ベクターに挿入される。必要に応じて、DNAは所望の宿主(例えば、細菌)によって認識される適切な転写および翻訳調節制御ヌクレオチド配列に連結され得る。このような転写および翻訳の制御は、発現ベクターにおいて一般に利用可能である。クローニングのためのベクターは、一般的な技術を用いs手宿主細菌に導入される(例えば、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.を参照)。
【0194】
本発明はさらに、本明細書に記載の同定された腫瘍特異的ネオ抗原と実質的に相同である変異体および等価物を包含する。これらは、例えば、保存的置換変異、すなわち、1つ以上のアミノ酸の類似のアミノ酸への置換を含むことができる。例えば、保存的置換は、同じ一般的な分類内の別のアミノ酸、例えば、1つの酸性アミノ酸が別の酸性アミノ酸により、1つの塩基性アミノ酸が別の塩基性アミノ酸により、または1つの中性アミノ酸が別の中性アミノ酸により置換されることを意味する。保存的アミノ酸置換により意図されるものは、当技術分野において周知である。
【0195】
本発明はまた、単離されたポリヌクレオチドを含む発現ベクター、ならびに前記発現ベクターを含む宿主細胞を含む。前記ネオ抗原性ペプチドが、所望のネオ抗原性ペプチドをコードするRNAまたはcDNA分子の形態で提供され得ることも、本発明の範囲内であると考えられる。本発明はまた、本発明の1つ以上のネオ抗原性ペプチドが、単一の発現ベクターによってコードされ得ることを提供する。本発明はまた、本発明の1つ以上のネオ抗原性ペプチドがウイルスベースの系(例えば、アデノウイルス系)を使用して、インビボでコードされ、発現され得ることを提供する。
【0196】
用語「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」は、ポリペプチドのコード配列のみを含むポリヌクレオチド、ならびにさらなるコード配列および/または非コード配列を含むポリヌクレオチド、を包含する。本発明のポリヌクレオチドは、RNAの形態またはDNAの形態をとることができる。DNAは、cDNA、ゲノムDNA、および合成DNAを含み、二本鎖または一本鎖であってよく、一本鎖である場合、コード鎖または非コード(アンチセンス)鎖であってもよい。
【0197】
実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、例えば、宿主細胞によるポリペプチドの発現および/または分泌を補助する、前記ポリヌクレオチドと同じリーディングフレームに融合された腫瘍特異的ネオ抗原ペプチドのコード配列(例えば、前記細胞からのポリペプチドの輸送を制御するための分泌配列として機能するリーダー配列)を含み得る。前記リーダー配列を有するポリペプチドは、タンパク質前駆体(preprotein)であり、宿主細胞によって切断されることでポリペプチドの成熟形態を形成するリーダー配列を有することができる。
【0198】
いくつかの実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、例えば、コードされたポリペプチドの精製を可能にするマーカー配列が、同じリーディングフレームに融合された前記腫瘍特異的ネオ抗原性ペプチドのコード配列を含むことができる。さらに、このポリヌクレオチドを、個別化新生物ワクチンに組み込むことができる。例えば、前記マーカー配列は、細菌宿主の場合、マーカーに融合された成熟ポリペプチドの精製を提供するための、pQE-9ベクターによって供給されたヘキサヒスチジンタグであり得、または前記マーカー配列は哺乳動物宿主(例えば、COS-7細胞)が使用される場合、インフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来する血球凝集素(HA)タグであり得る。さらなるタグとしては、カルモジュリンタグ、FLAGタグ、Mycタグ、Sタグ、SBPタグ、Sofタグ1、Sofタグ3、V5タグ、Xpressタグ、Isopepタグ、Spyタグ、ビオチンカルボキシル輸送タンパク質(BCCP)タグ、GSTタグ、蛍光タンパク質タグ(例えば、緑色蛍光タンパク質タグ)、マルトース結合タンパク質タグ、Nusタグ、Strepタグ、チオレドキシンタグ、TCタグ、Tyタグなどが含まれるが、これらに限定されない。実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、複数のネオ抗原性ペプチドを産生することができる単一のコンカテマー化されたネオ抗原性ペプチド構築物を作製するために、同じリーディングフレーム中に融合された前記腫瘍特異的ネオ抗原性ペプチドのうちの1つ以上のコード配列を含み得る。
【0199】
実施形態において、本発明は、本発明の腫瘍特異的ネオ抗原性ペプチドをコードするポリヌクレオチドと少なくとも60%同一である、少なくとも65%同一である、少なくとも70%同一である、少なくとも75%同一である、少なくとも80%同一である、少なくとも85%同一である、少なくとも90%同一である、少なくとも95%同一である、または、少なくとも96%、97%、98%もしくは99%同一であるヌクレオチド配列を有する、単離された核酸分子を提供する。
【0200】
参照のヌクレオチド配列と、少なくとも、例えば、95%「同一」のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドとは、前記ポリヌクレオチドの配列が、前記参照ヌクレオチド配列の100ヌクレオチド当たり最大5つの点変異を含み得ることを除いて、前記ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列と前記参照配列とが同一であることを意図する。換言すれば、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るために、参照配列中のヌクレオチドの5%までを欠失させるか、または別のヌクレオチドで置換することができ、または参照配列中の全ヌクレオチドの5%までの数のヌクレオチドを参照配列中に挿入することができる。参照配列のこれらの変異は、参照ヌクレオチド配列のアミノ末端もしくはカルボキシ末端位置において、または参照配列中のヌクレオチド間に個々に散在するか、もしくは、参照配列内の1つもしくは複数の連続する基中に散在する、上記の末端位置間の任意の位置において、発生し得る。
【0201】
実際問題として、特定の核酸分子が、少なくとも80%同一であるかどうか、少なくとも85%同一であるかどうか、少なくとも90%同一であるかどうか、および、いくつかの実施形態において、参照配列と少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一であるかどうかは、既知のコンピュータープログラム、例えば、Bestfitプログラムを使用した従来の方法により決定することができる(Wisconsin Sequence Analysis Package, Version 8 for Unix, Genetics Computer Group, University Research Park, 575 Science Drive, Madison, WI 53711)。Bestfitは、2つの配列間の相同性の最良のセグメントを見出すために、Smith and Waterman, Advances in Applied Mathematics 2:482-489 (1981)による局所的ホモロジーアルゴリズムを使用する。特定の配列が、本発明による参照配列と、例えば、95%同一であるかどうかを決定するために、Bestfitまたは任意の他の配列アラインメントプログラムを使用する場合、同一性のパーセンテージが前記参照ヌクレオチド配列の全長にわたって計算され、前記参照配列中のヌクレオチドの総数の最大5%の相同性のギャップが許容されるように、パラメーターが設定される。
【0202】
本明細書に記載の単離された腫瘍特異的ネオ抗原性ペプチドは、当技術分野で公知の任意の適切な方法によってインビトロで(例えば、実験室で)産生することができる。係る方法は、直接タンパク質合成法から、単離されたポリペプチド配列をコードするDNA配列を構築し、それらの配列を適切な形質転換された宿主中で発現させることにまで及ぶ。いくつかの実施形態において、DNA配列は、目的の野生型タンパク質をコードするDNA配列を単離または合成することにより、組換え技術を使用して構築される。場合により、前記配列は、その機能性アナログを提供するために、部位特異的突然変異誘発によって突然変異誘発され得る。例えば、Zoeller et al., Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 81:5662-5066 (1984) and U.S. Pat. No. 4,588,585を参照。
【0203】
実施形態において、所望のポリペプチドをコードするDNA配列は、オリゴヌクレオチドシンセサイザーを使用する化学合成によって構築される。そのようなオリゴヌクレオチドは所望のポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて設計することができ、目的の組換えポリペプチドが産生される宿主細胞に好適なコドンを選択することができる。一般的な方法を適用して、目的の単離されたポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド配列を合成することができる。例えば、完全なアミノ酸配列を使用して、逆翻訳された遺伝子を構築することができる。さらに、特定の単離されたポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むDNAオリゴマーを合成することができる。例えば、所望のポリペプチドの一部をコードするいくつかの小さなオリゴヌクレオチドを合成し、次いでライゲーションすることができる。ここで、個々の前記オリゴヌクレオチドは、典型的には相補的集合のための5’または3’オーバーハングを含む。
【0204】
目的の特定の単離されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は(例えば、合成、部位特異的突然変異誘発、または別の方法によって)組み立てられると、発現ベクターに挿入され、任意で、所望の宿主におけるタンパク質の発現に好適な発現制御配列に作動可能に連結される。適切な集合体は、ヌクレオチド配列決定、制限マッピング、および適当な宿主における生物学的に活性なポリペプチドの発現によって確認することができる。当技術分野で周知のように、宿主において高発現レベルのトランスフェクト遺伝子を得るために、前記遺伝子は、選択された発現宿主において機能的である転写および翻訳発現制御配列に作動可能に連結され得る。組換え発現ベクターは、腫瘍特異的ネオ抗原性ペプチドをコードするDNAを増幅および発現させることができる。組換え発現ベクターは、哺乳類、微生物、ウイルスまたは昆虫遺伝子に由来する適切な転写または翻訳調節要素に作動可能に連結された、腫瘍特異的ネオ抗原性ペプチドまたは生物学的同等物をコードする合成またはcDNA由来のDNA断片を有する、複製可能なDNA構築物である。転写ユニットは、一般に、(1)遺伝子要素または遺伝子発現において調節的役割を有する要素(elements)、例えば、転写プロモーターまたはエンハンサー、(2)mRNAに転写されてタンパク質に翻訳される構造またはコード配列、ならびに、(3)以下に詳細に記載されるような、適切な転写および翻訳開始ならびに終結配列の集合体を含む。このような調節要素は、転写を制御するためのオペレーター配列を含むことができる。通常複製起点によって付与される、宿主において複製する能力、および形質転換体の認識を容易にするための選択遺伝子をさらに組み込むことができる。DNA領域は、それらが互いに機能的に関連している場合、機能的に連結される。例えば、シグナルペプチド(分泌リーダー)のDNAはポリペプチドの分泌に関与する前駆体として発現される場合、ポリペプチドのDNAに作動可能に連結され;プロモーターは、配列の転写を制御する場合、コード配列に作動可能に連結され;または、リボソーム結合部位は、翻訳を可能にするために配置される場合、コード配列に作動可能に連結される。一般に、作動可能に連結されていることは、隣接していることを意味する。分泌リーダーの場合は、隣接しており、かつリーディングフレーム内にあることを意味する。酵母発現系における使用が意図される構造要素は、翻訳されたタンパク質の宿主細胞による細胞外分泌を可能にするリーダー配列を含む。あるいは、組換えタンパク質がリーダー配列または輸送配列なしで発現される場合、それはN末端メチオニン残基を含むことができる。この残基は、後に、発現された組換えタンパク質から切断されて、最終産物を提供することができる。
【0205】
発現制御配列および発現ベクターの選択は、宿主の選択に依存する。多種多様な発現宿主/ベクターの組み合わせを用いることができる。真核生物宿主のための有用な発現ベクターには、例えば、SV40、ウシパピローマウイルス、アデノウイルスおよびサイトメガロウイルス由来の発現制御配列を含むベクターが含まれる。細菌宿主の有用な発現ベクターには、既知の細菌プラスミド、例えば、pCR1、pBR322、pMB9およびそれらの誘導体を含むEscherichia coli由来のプラスミド、より広い宿主範囲のプラスミド、例えば、M13および糸状一本鎖DNAファージが含まれる。
【0206】
ポリペプチドの発現に適した宿主細胞には、適切なプロモーターの制御下にある原核生物、酵母、昆虫または高等真核細胞が含まれる。原核生物は、グラム陰性またはグラム陽性生物、例えば、大腸菌または桿菌を含む。高等真核細胞は、哺乳動物由来の樹立細胞株を含む。無細胞翻訳系を使用することもできる。細菌、真菌、酵母、および哺乳動物細胞宿主と共に使用するための適切なクローニングおよび発現ベクターは、当技術分野で周知である(Pouwels et al., Cloning Vectors: A Laboratory Manual, Elsevier, N.Y., 1985を参照)。
【0207】
種々の哺乳動物または昆虫の細胞培養系もまた、組換えタンパク質を発現させるために好適に使用される。哺乳動物細胞における組換えタンパク質の発現は、係るタンパク質が通常、正しく折り畳まれ、適切に修飾され、完全に機能的であるために、実施することができる。適切な哺乳動物宿主細胞株の例には、Gluzman(Cell 23: 175, 1981))によって記載されているサル腎細胞のCOS-7株、ならびに、例えば、L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeLaおよびBHK細胞株を含む適切なベクターを発現することができる他の細胞株が含まれる。哺乳動物発現ベクターは、複製起点などの非転写要素、発現遺伝子に連結された適切なプロモーターおよびエンハンサー、ならびに他の5’または3’隣接非転写配列、ならびに必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位などの5’または3’非翻訳配列、ならびに転写終結配列を含むことができる。昆虫細胞における異種タンパク質の産生のためのバキュロウイルス系は、Luckow and Summers, Bio/Technology 6:47 (1988)によって概説されている。
【0208】
形質転換宿主によって産生されるタンパク質は、任意の適切な方法に従って精製することができる。このような一般的な方法には、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティおよびサイジングカラムクロマトグラフィーなど)、遠心分離、溶解度差、またはタンパク質精製のための任意の他の一般的な技術が含まれる。ヘキサヒスチジン、マルトース結合ドメイン、インフルエンザコート配列、グルタチオン-S-トランスフェラーゼなどのアフィニティータグをタンパク質に結合させて、適切なアフィニティーカラムを通過させることによって容易に精製することができる。単離されたタンパク質は、タンパク質分解、核磁気共鳴およびx線結晶学などの技術を用いて、物理的に特性を決定することもできる。
【0209】
例えば、最初に、培地に組換えタンパク質を分泌する系から得た上清を、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過装置などの市販のタンパク質濃縮フィルターを用いて濃縮することができる。濃縮工程の後に、濃縮物を適切な精製マトリックスに供することができる。あるいは、陰イオン交換樹脂、例えば、ペンダントジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するマトリックスまたは基材を使用することができる。係るマトリックスは、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロース、あるいはタンパク質精製に一般的に用いられる他の種類のものであり得る。あるいは、陽イオン交換工程を実施することができる。好適な陽イオン交換体には、スルホプロピルまたはカルボキシメチル基を含む様々な不溶性マトリックスが含まれる。最後に、疎水性RP-HPLC媒体、例えばペンダントメチルまたは他の脂肪族基を有するシリカゲルを使用する1つ以上の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)工程により、癌幹細胞タンパク質-Fc組成物をさらに精製することができる。均質な組換えタンパク質を提供するために、前述の精製工程の一部または全部を様々な組み合わせで使用することができる。細菌培養物中で産生された組換えタンパク質は、例えば、最初に細胞ペレットからの抽出、続く、1つ以上の濃縮、塩析、水溶液イオン交換またはサイズ排除クロマトグラフィー工程によって単離することができる。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、最終精製工程に用いることができる。組換えタンパク質の発現に使用される微生物細胞は、凍結-解凍サイクル、超音波処理、機械的破壊、または細胞溶解剤の使用を含む任意の簡便な方法によって破壊することができる。
【0210】
したがって、特定の実施形態において、本発明は、治療有効量の組成物(本明細書に記載されるような)および1つ以上の新生物/腫瘍特異的ネオ抗原(例えば、特異的T細胞応答を生じさせることができるワクチン組成物)を対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物)に投与することによる障害(例えば、新生物)、より具体的には、腫瘍の治療のための個別化された方策に関する。実際に、特定の実施形態において、全ゲノム/エクソーム配列決定を使用して、個々の患者の新生物/腫瘍に独自に存在する全ての、またはほぼ全ての変異ネオ抗原を同定することができる。この変異ネオ抗原の収集物を分析して、患者の新生物/腫瘍の治療用の個別化された癌ワクチンとして使用するための、ネオ抗原の特定の最適化されたサブセットを同定することができる。例えば、いくつかの実施形態において、腫瘍特異的変異を同定するために、各患者の新生物/腫瘍および正常DNAを配列決定し、患者のHLAアロタイプを決定することによって、新生物/腫瘍特異的ネオ抗原の集団を同定することができる。新生物/腫瘍特異的ネオ抗原およびそれらの同族天然抗原の集団は次いで、どの腫瘍特異的突然変異が患者のHLAアロタイプに結合し得るエピトープを生成するか、特に、どの腫瘍特異的突然変異が患者のHLAアロタイプに結合し得るエピトープを同族天然抗原よりも効果的に生成するかを予測するために、検証されたアルゴリズムを使用して生物情報科学分析を行うこともできる。この分析に基づいて、これらの突然変異のサブセットに対応する1つ以上のペプチドを、各患者について設計および合成し、患者を免疫する際の癌ワクチンとして使用するために共にプールすることができる。前記ネオ抗原ペプチドは、別の抗新生物剤と組み合わせてもよい。いくつかの実施形態において、そのようなネオ抗原が(例えば、正常な自己抗原の標的化を回避することによって)自己免疫の可能性を低減しながら、中枢性胸腺免疫寛容をバイパスする(これにより、より強力な抗腫瘍T細胞応答を可能にする)と期待される。
【0211】
本発明はさらに、本発明のネオ抗原性ペプチドまたはワクチン組成物を対象に投与することによって、前記対象における新生物/腫瘍特異的免疫応答を誘導し、新生物/腫瘍に対して予防接種することで、前記対象における癌の症状を治療および/または緩和する方法を提供する。
【0212】
本発明において、上記の癌ワクチンは、癌を有すると診断されたか、または癌を発症するリスクがある対象に使用することができる。一実施形態において、前記対象は、乳房、卵巣、前立腺、肺、腎臓、胃、結腸、精巣、頭頸部、膵臓、脳、黒色腫などの固形腫瘍、ならびに急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、T細胞リンパ性白血病、およびB細胞リンパ腫を含むリンパ腫および白血病などの組織器官および血液腫瘍を有し得る。
【0213】
本発明のペプチドまたは組成物は、CTL応答を誘導するのに十分な量で投与される。本発明のネオ抗原性ペプチド、ポリペプチドまたはワクチン組成物は、単独で、または他の治療剤と組み合わせて投与することができる。前記治療剤は、例えば、化学療法剤もしくは生物学的療法剤、放射線、または免疫療法である。特定の癌のための任意の適切な治療的処置を実施することができる。化学療法剤および生物学的療法剤の例には、これらに限定されないが、アルデスロイキン、アルトレタミン、アミフォスチン、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クラドリビン、シサプリド、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロナビノール、エポエチンα、エトポシド、フィルグラスチム、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、グラニセトロン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イボスファミド、インターフェロンα、イリノテカン、ランソプラゾール、レバミソール、ロイコボリン、メゲストロール、メスナ、メトトレキサート、メトクロプラミド、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、オメプラゾール、オンダンセトロン、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ピロカルピン、プロクロロペラジン、リツキシマブ、タモキシフェン、タキソール、塩酸トポテカン、トラスツズマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよび酒石酸ビノレルビンが含まれる。前立腺癌治療のために、抗CTLA-4と組み合わせることができる好ましい化学療法剤は、パクリタキセル(Taxol(登録商標))である。
【0214】
さらに、前記対象は、抗免疫抑制剤または免疫刺激剤をさらに投与されてもよい。例えば、前記対象には、抗CTLA-4抗体、抗PD-1、抗PD-L1、抗TIM-3、抗BTLA、抗VISTA、抗LAG3、抗CD25、抗CD27、抗CD28、抗CD137、抗OX40、抗GITR、抗ICOS、抗TIGIT、およびIDO阻害剤がさらに投与される。抗体によるCTLA-4またはPD-1/PD-L1の遮断は、患者における癌性細胞に対する免疫応答を増強することができる。特に、CTLA-4の遮断は、ワクチン接種プロトコルに従う場合に有効であることが示されている。
【0215】
ワクチン組成物に含まれる各ペプチドの最適量および最適な投薬計画は、過度の実験を行うことなく当業者によって決定することができる。例えば、ペプチドまたはその変異体は、静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射、皮内(i.d.)注射、腹腔内(i.p.)注射、筋肉内(i.m.)注射のために調製され得る。ペプチド注射の好ましい方法は、s.c.、i.d.、i.p.、i.m.およびi.v.を含む。DNA注射の好ましい方法は、i.d.、i.m.、s.c.、i.p.およびi.v.を含む。例えば、投与、それぞれのペプチドまたはDNAに依存して、1~500mg、50μg~1.5mg、好ましくは10μg~500μgのペプチドまたはDNAの投与であり得る。この範囲の投与は、過去の治験において好適に使用されている(Brunsvig P F, et al., Cancer Immunol Immunother. 2006; 55(12): 1553- 1564; M. Staehler, et al., ASCO meeting 2007; Abstract No 3017)。ワクチン組成物の他の投与方法は、当業者に公知である。
【0216】
本発明のワクチンは、組成物中に存在するペプチドの選択、数および/または量が、組織、癌、および/または患者特異的であるように作られてもよい。例えば、副作用を回避するためのペプチドの正確な選択は、所与の組織における親タンパク質の発現パターンから導出することができる。前記選択は、癌の特定のタイプ、疾患の状態、初期の治療計画、患者の免疫状態、および当然、患者のHLA-ハプロタイプに依存し得る。さらに、本発明によるワクチンは、特定の患者の個人的な必要性に応じて、個別化された成分を含有することができる。例としては、特定の患者における関連するネオ抗原の発現、個人アレルギーまたは他の治療による望ましくない副作用、および、第1ラウンドまたは治療スキーム後の二次治療のための調整、に対応してペプチドの量を変化させることが含まれる。
【0217】
係るワクチンは、癌に既に罹患している個々に投与され得る。治療用途においては、係るワクチンが腫瘍抗原に対する有効なCTL応答を誘発し、かつ、症状および/または合併症を治癒または少なくとも部分的に停止させるのに十分な量で患者に投与される。これを達成するのに十分な量は「治療的有効用量」として定義される。この使用に有効な量ととは、例えば、ペプチド組成物、投与の様式、治療される疾患のステージおよび重症度、患者の体重および一般的な健康状態、ならびに処方する医師の判断に依存するが、一般に、最初の免疫化(すなわち、治療的または予防的投与のための)においては、70kgの患者に対して、約1.0μg~約50,000μgの範囲のペプチドであり、その後、患者の血液中の特定のCTL活性の測定に基づく、患者の応答および状態に応じた、数週間~数ヶ月にわたる追加計画に従って、追加用量または約1.0μg~約10,000μgのペプチドが追加投与される。本発明のペプチドおよび組成物は一般に、重篤な疾患状態、すなわち、生命を脅かすまたは潜在的に生命を脅かす状況において、特に癌が転移している場合において使用され得ることに留意すべきである。治療的使用において、投与は、腫瘍の検出または外科的除去の後、できるだけ早く開始すべきである。これには、少なくとも症状が実質的に寛解されるまで、およびその後の期間にわたる追加投与が追従する。治療的処置のための医薬組成物(例えば、ワクチン組成物)は、非経口、局所、経鼻、経口または局所投与を意図する。好ましくは、前記医薬組成物は、非経口的に、例えば、静脈内、皮下、皮内、または筋肉内に投与される。前記組成物は、腫瘍に対する局所的免疫応答を誘導するために、外科的切除部位に投与され得る。
【0218】
係る実施形態は、抗原およびDCに関連する組成物を特徴付ける特定の様式に限定されない。いくつかの実施形態において、前記組成物の形態は、TEMによって観察される。いくつかの実施形態において、前記組成物のサイズ分布がMalven Nanosizer機器およびGPCアッセイを使用して、動的光散乱(DLS)によって分析される。
【0219】
免疫応答を活性化するように構成された前記組成物は、対象において、予防的および治療的適用のためにT細胞を活性化するのに有用である。ワクチン組成物のナノ粒子によるT細胞の活性化は、それらの増殖、サイトカイン産生、分化、エフェクター機能および/または生存時間を増加させる。これらを測定する方法は、当業者に周知である。ワクチン組成物のナノ粒子によって活性化されるT細胞は、α/βおよびγ/δT細胞受容体を含む、T細胞受容体を発現する任意の細胞であり得る。T細胞は、CD4およびCD8も発現するT細胞サブセットを含む、CD3を発現する全ての細胞を含む。T細胞は、ナイーブ細胞および記憶細胞の両方、ならびにCTLなどのエフェクター細胞を含む。T細胞はまた、Thl、Tc1、Th2、Tc2、Th3、Treg、およびTr1細胞などの調節細胞を含む。T細胞はまた、NKT細胞および類似の独特のT細胞系統の細胞種を含む。いくつかの実施形態において、活性化される前記T細胞は、CD8T細胞である。
【0220】
一般に、免疫応答を活性化するように構成された係る組成物は、対象の免疫系に免疫応答を開始させる任意の疾患または障害を有するか、またはその因子を有する対象を治療するのに有用である。前記組成物は、後の感染性病原体へのの曝露に対して被験体に耐性を付与する予防ワクチンとして有用である。前記組成物はまた、癌を有する対象における腫瘍抗原、またはウイルスに感染した対象におけるウイルス抗原などの既存の抗原に対する対象の免疫応答を開始または増強するために使用することができる、治療用ワクチンとして有用である。前記組成物はまた、アレルゲンなどの環境抗原に対して個体を「寛容化」するように機能する脱感作ワクチンとしても有用である。
【0221】
これらの組成物を樹状細胞などの専門的な抗原提示細胞に標的化する能力、および抗原の交差提示を引き起こすことによってT細胞媒介性免疫応答を誘発するこれらの組成物の能力は、疾患を攻撃するために、疾患関連抗原に対する細胞媒介性応答を誘発するにあたり、これらの組成物を特に有益なものとする。したがって、いくつかの実施形態において、治療または予防される疾患の種類は、細胞内に進入し、しかして細胞傷害性Tリンパ球によって攻撃される、細菌、ウイルス、原虫、蠕虫、または他の微生物病原体によって引き起こされる悪性腫瘍または慢性感染性疾患である。
【0222】
予防的、治療的または脱感作された免疫応答の所望の結果は、疾患に、そして、当技術分野で周知の原理に従って、変動し得る。例えば、感染性因子に対する免疫応答は、感染性因子のコロニー形成および複製を完全に防止し、「無菌免疫」および任意の疾患症状の欠如の効果を現す。しかしながら、感染性因子に対するワクチンは、それが症状の数、重症度または持続時間を減少させる場合;それが集団における症状を有する個体数を減少させる場合;または感染性因子の伝播を減少させる場合に、有効であると考えられ得る。同様に、癌、アレルゲンまたは感染性因子に対する免疫応答は、疾患を完全に治療することができるもの、症状を緩和することができるもの、または疾患に対する包括的な治療介入の一側面であり得る。例えば、癌に対する免疫応答の刺激は、治療に効果を及ぼすために、手術、化学療法的、放射線学的、ホルモン学的および他の免疫学的アプローチと組み合わせることができる。
【0223】
感染性因子を有するかまたは感染性因子に曝露された対象に、本明細書に開示される免疫応答を活性化するように構成された係る組成物を、治療的または予防的に処置することができる。感染性因子には、細菌、ウイルスおよび寄生虫が含まれる。いくつかの例において、対象は、感染性因子由来の疾患を発症するリスクがあり得る場合などに、予防的に処置され得る。特有の感染症のある地域を旅行するか、またはその地域に住んでいる個人は、リスクがあると考えられ、特定の感染性因子に対する予防的ワクチン接種の候補と考えられる。予防的処置は、特定の疾患と、地理的位置または作業環境などの特定の危険因子との間に既知の関係がある任意の数の疾患に適用することができる。
【0224】
悪性腫瘍を有するか、または悪性腫瘍を発症するリスクがある対象は、本明細書に開示される免疫応答を活性化するように構成された係る組成物を治療的または予防的に処置され得る。成熟した動物では、通常、ほとんどの器官および組織における細胞新生と細胞死との間のバランスが維持される。体内の様々なタイプの成熟細胞は所与の寿命を有し、これらの細胞が死滅すると、様々なタイプの幹細胞の増殖および分化によって新たな細胞が生成される。正常な状況下では、新しい細胞の産生が任意の特定のタイプの細胞の数が一定のままであるように、厳密に調節される。しかし、時折、正常な増殖制御機構にもはや応答しない細胞が生じることがある。これらの細胞はかなりのサイズに膨張でき、腫瘍または新生物を産生することができる細胞のクローンを生じる。無限には増殖できず、健常な周囲組織に広範囲に浸潤しない腫瘍は良性である。増殖し続け、進行的に浸潤する腫瘍は悪性である。癌という用語は、具体的には悪性腫瘍を指す。悪性腫瘍は、制御されない増殖に加えて、転移を示す。このプロセスでは、癌性細胞の小さな塊が腫瘍から外れ、血液またはリンパ管に侵入し、他の組織に運ばれ、そこで増殖し続ける。このようにして、1つの部位における原発腫瘍は、別の部位における続発性腫瘍を生じさせる場合がある。本明細書に開示される免疫応答を活性化するように構成された係る組成物は、悪性腫瘍を有する対象を治療するために有用である。
【0225】
処置され得る悪性腫瘍は、当該腫瘍が由来する組織の胚起源に従って本明細書において分類される。癌腫(カルシノーマ)は、皮膚、もしくは、内臓および腺の上皮内層などの内胚葉または外胚葉組織から生じる腫瘍である。黒色腫は、本発明が特に有用である皮膚の癌腫の一種である。肉腫(サルコーマ)はそれほど頻繁には発生しないが、骨、脂肪、および軟骨などの中胚葉性結合組織に由来する。白血病およびリンパ腫は骨髄の造血細胞の悪性腫瘍である。白血病は単細胞として増殖するが、リンパ腫は腫瘍塊として増殖する傾向がある。悪性腫瘍は、身体の多数の器官または組織に現れて、癌を確立し得る。
【0226】
提供される、免疫応答を活性化するように構成された組成物で治療することができる癌の種類には以下が含まれるが、これらに限定されない:膀胱、脳、乳房、子宮頸部、結腸直腸、食道、腎臓、肝臓、肺、鼻咽頭、膵臓、前立腺、皮膚、胃および子宮等。投与は既存の腫瘍または感染性疾患の治療に限定されず、個体においてそのような疾患を発症するリスクを予防または低下させるために、換言すれば、予防的使用のために使用することもできる。予防的ワクチン接種の潜在的な候補には、癌を発症するリスクが高い個体、すなわち、ある種の癌の個人歴または家族歴を有する個体が含まれる。
【0227】
アレルゲンへの曝露またはそのリスクがある対象は、本明細書に開示される免疫応答を活性化するように構成された係る組成物により、治療的または予防的に処置することができる。このような組成物は、アナフィラキシーをもたらすアレルギー反応などのアレルギー反応を予防および/または軽減する目的で、対象に投与され得る。アレルギー反応は、IgE抗体の存在をもたらす抗原に対するT2応答によって特徴付けられ得る。T1免疫応答の刺激およびIgG抗体の産生は、アレルギー性疾患を緩和し得る。したがって、本明細書に開示される免疫応答を活性化するように構成された組成物は、アレルゲンに曝露された対象におけるアレルギー反応を予防および/または軽減する抗体の産生に有用である。
【0228】
免疫抑制状態にあるか、または免疫抑制状態のリスクがある対象は、本明細書に開示される免疫応答を活性化するように構成された係る組成物により、治療的または予防的に処置され得る。本明細書に開示される係る組成物ベースのワクチンは、AIDSまたはAIDS関連複合体、特発性免疫抑制、薬物誘発性免疫抑制、他のウイルス性または環境誘発性の状態、および特定の先天性免疫不全を含むが、これらに限定されない免疫抑制を特徴とする病状の処置のために使用することができる。係る組成物はまた、放射線療法における免疫抑制薬(例えば、ある種の化学療法剤)の使用によって損なわれた免疫機能を増加させるために使用することができ、したがって、そのような薬物または放射線療法と併用する場合に特に有用である可能性がある。
【0229】
一般に、本明細書に開示されるワクチン(例えば、免疫応答を活性化するように構成された組成物)を投与する方法は、当技術分野で周知である。当業者に公知の任意の許容可能な方法を用いて、製剤を対象に投与することができる。前記投与は局所投与(すなわち、特定領域、生理学的系、組織、器官、または細胞型)または全身投与であり得る。ワクチンは、経口、吸入(鼻または肺)、静脈内、腹腔内、筋肉内、経皮、皮下、局所、舌下、または経直腸を含むが、これらに限定されない多数の経路によって投与することができる。注射は、例えば、静脈内、皮内、皮下、筋肉内、または腹腔内であり得る。いくつかの実施形態において、前記注射は複数の箇所で行われ得る。
【0230】
前記製剤の投与は、有効量のワクチンがその標的に到達することを可能にする任意の許容される方法によって達成され得る。特定の様式の選択は、特定の製剤、治療される対象の状態の重症度、および有効な免疫応答を誘導するために必要とされる投与量などの因子に依存する。本明細書で一般的に使用される場合、「有効量」は、処置された対象において免疫応答を誘導することができる量である。ワクチンの実際の有効量は、利用される特定の抗原またはその組み合わせ、製剤化される特定の組成物、投与様式、およびワクチン接種される固体の年齢、体重、状態、ならびに投与経路および疾患または障害に従って変動し得る。
【0231】
ナチュラルキラーT(NKT)細胞は、T細胞およびナチュラルキラー細胞の両方の特性を共有するT細胞の異種性(heterogeneous)群である。これらの細胞の多くは、自己および外来脂質および糖脂質に結合する抗原提示分子である非多形CD1d分子を認識する。NKT細胞は、全末梢血T細胞の約0.1%のみを構成する。NKT細胞はαβT細胞受容体を共発現するが、NK1.1などのNK細胞に典型的に関連する様々な分子マーカーも発現するT細胞のサブセットである。最もよく知られているNKT細胞は、それらのT細胞受容体の多様性がはるかに限られている(「不変」または「1型」NKT)という点で、従来のαβT細胞とは異なる。それらおよび他のCD1d制限性T細胞(「2タイプ」NKT)は、ペプチド-主要組織適合複合体(MHC)ではなく、抗原提示分子のCD1ファミリーのメンバーであるCD1d分子によって提示される脂質および糖脂質を認識する。NKT細胞は、NK1.1およびNK1.1の両方、ならびにCD4、CD4、CD8およびCD8細胞を含む。
【0232】
特定の実施形態において、対象への投与時に前記対象における自然免疫応答を刺激することができる薬剤を含む前記組成物が1つ以上の治療剤とさらに会合(例えば、複合体化、コンジュゲート、カプセル化、吸収、吸着、混和)する。係る実施形態は、特定の種類または種別の治療剤に限定されない。
【0233】
いくつかの実施形態において、前記治療剤は、癌を治療および/または予防するように構成される。そのような治療剤の例には、化学療法剤、抗発癌剤、抗血管新生剤、腫瘍抑制剤、抗微生物剤等が含まれるが、これらに限定されない。
【0234】
いくつかの実施形態において、前記治療剤が自己免疫障害および/または炎症性障害を治療および/または予防するように構成される。そのような治療剤の例は、疾患修飾性抗リウマチ薬(例えば、レフルノミド、メトトレキサート、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン)、生物性薬剤(例えば、リツキシマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、ゴリムマブ)、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、イブプロフェン、セレコキシブ、ケトプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、ジクロフェナク)、鎮痛剤(例えば、アセトアミノフェン、トラマドール)、免疫調節剤(例えば、アナキンラ、アバタセプト)、グルココルチコイド(例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾン)、TNF-α阻害剤(例えば、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ)、IL-1阻害剤、およびメタロプロテアーゼ阻害剤を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、前記治療剤としてはインフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、非経口金または経口金を含むが、これらに限定されない。
【0235】
いくつかの実施形態において、前記治療剤は、心血管関連障害(例えば、アテローム性動脈硬化症、心不全、不整脈、心房細動、高血圧、冠動脈疾患、狭心症等)を治療および/または予防するように構成される。心血管関連障害の治療および/または予防に有用であることが知られている治療剤の例は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤(例えば、ベナゼプリル、エナラプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、ラミプリル)、アデノシン、α遮断薬(αアドレナリンアンタゴニスト薬剤)(例えば、クロニジン、グアナベンズ、ラベタロール、フェノキシベンザミン、テラゾシン、ドキサゾシン、グアンファシン、メチルドーパ、プラゾシン)、アンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)(例えば、カンデサルタン、イルベサルタン、オルメサルタンメドキソミル、テルミサルタン、エプロサルタン、ロサルタン、タソサルタン、バルサルタン)抗凝固薬(例えば、ヘパリンフォンダパリヌクス、ワルファリン、アルデパリン、エノキサパリン、レビパリン、ダルテパリン、ナドロパリン、チンザパリン)、抗血小板薬(例えば、アブシキシマブ、クロピドグレル、エプチフィバチド、チクロピジン、シロスタゾール、ジピリダモール、スルフィンピラゾン、チロフィバン)、β遮断薬(例えば、アセブトロール、ベタキソロール、カルテオロール、メトプロロール、ペンブトロール、プロプラノロール、アテノロール、ビソプロロール、エスモロール、ナドロール、ピンドロール、チモロール)、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、アムロピジン、フェロジピン、イスラジピン、ニフェジピン、ベラパミル、ジルチアゼム、ニカルジピン、ニモジピン、ニソルジピン)、利尿薬、アルドステロン遮断薬、ループ利尿薬(例えば、ブメタニド、フロセミド、エタクリン酸、トラセミド)カリウム保持性利尿薬、チアジド利尿薬(例えば、クロロチアジド、クロルタリドン、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメアジド、メチクロチアジド、メトラゾン、ポリチアジド、キナタゾン、トリクロルメチアジド)、強心薬、胆汁酸捕捉薬(例えば、コレスチラミン、コレチポール(coletipol)、コレセベラム)、フィブラート(例えば、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、フェノフィブラート)、スタチン(例えば、アトルバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン)、選択的コレステロール吸収阻害薬(例えば、エゼチマイブ)、カリウムチャネル遮断薬(例えば、アミダロン、イブチリド、ドフェチリド)、ナトリウムチャネル遮断薬(例えば、ジソピラミド、メキシレチン、プロカインアミド、キニジン、フレカイニド、モリシジン、プロパフェノン)、血栓溶解薬(例えば、アルテプラーゼ、レテプラーゼ、テネクテプラーゼ、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ)、血管収縮薬、血管拡張薬(例えば、ヒドララジン、ミノキシジル、メカミルアミン、イソルビドジントレート、イソルビドモノニトラート、ニトログリセリン)を含む。
【0236】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるような組成物と会合したナノ粒子は、投与された前記粒子の位置を決定するために有用な薬剤とさらに会合(例えば、複合体化、コンジュゲート、カプセル化、吸収、吸着、混和)している。この目的に有用な薬剤は、蛍光タグ、放射性核種および造影剤を含む。
【0237】
適切なイメージング剤としては、限定されるものではないが、Molecular Probes(Handbook of fluorescent probes and research products)に記載されているような蛍光分子、例えば、ローダミン、フルオレセイン、テキサスレッド、アクリジンオレンジ、Alexa Fluor(各種)、アロフィコシアニン、7-アミノアクチノマイシンD、BOBO-1、BODIPY(各種)、Calcien、Calcium Crimson、Calcium green、Calcium Orange、6-カルボキシローダミン6G、Cascade blue、Cascade yellow、DAPI、DiA、DID、Di1、DiO、DiR,ELF 97、Eosin、ER Tracker Blue-White、EthD-1、臭化エチジウム、Fluo-3、Fluo4、FM1-43、FM4-64、Fura-2、Fura Red、Hoechst 33258、Hoechst 33342、7-ヒドロキシ-4-メチルクマリン、Indo-1、JC-1、JC-9、JOE dye、リサミンローダミンB、ルシファーイエローCH、LysoSensor Blue DND-167、LysoSensor Green、LysoSensor Yellow/Blu、Lysotracker Green FM、Magnesium Green、Marina Blue、Mitotracker Green FM、Mitotracker Orange CMTMRos、MitoTracker Red CMXRos、Monobromobimane、NBD amines、NeruoTrace 500/525 green、Nile red、Oregon Green、Pacific Blue、POP-1、Propidium iodide、ローダミン110、ローダミンレッド、R-フィコシアニン、Resorfin、RH414、Rhod-2、ローダミングリーン、ローダミン123、ROX dye、Sodium Green、SYTO blue(各種)、SYTO green(各種)、SYTO orange(各種)、SYTOX blue、SYTOX green、SYTOX orange、テトラメチルローダミンB、TOT-1、TOT-3、X-rhod-1、YOYO-1、YOYO-3が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、セラミドは、イメージング剤として提供される。いくつかの実施形態において、S1Pアゴニストは、イメージング剤として提供される。
【0238】
さらに、放射性核種を造影剤として使用することができる。適切な放射性核種には、Fe(III)、Fe(II)、Cu(II)、Mg(II)、Ca(II)、およびZn(I1)インジウム、ガリウム、およびテクネチウムの放射性核種が挙含まれるが、これらに限定されない。他の適切な造影剤には、常磁性T1型MIR造影剤のキレート化のために一般に使用される金属イオンが含まれ、銅、クロム、鉄、ガドリニウム、マンガン、エルビウム、ユーロピウム、ジスプロシウムおよびホルミウムなどの二価および三価カチオンが含まれる。キレート化することができ、放射性核種イメージングに使用することができる金属イオンには、これらに限定されるものではないが、ガリウム、ゲルマニウム、コバルト、カルシウム、インジウム、イリジウム、ルビジウム、イットリウム、ルテニウム、イットリウム、テクネチウム、レニウム、白金、タリウムおよびサマリウムなどの金属が含まれる。さらに、中性子捕捉放射線療法に有用であることが知られている金属イオンには、ホウ素および他の大きな核断面積を有する金属が含まれる。また、超音波コントラストに有用な金属イオン、およびX線コントラスト組成物も好適である。
【0239】
他の適切な造影剤の例には、放射線不透過性であるガスまたはガス放出化合物が含まれる。
【0240】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるような組成物と会合したナノ粒子が、標的化剤とさらに会合(例えば、複合体化、コンジュゲート、カプセル化、吸収、吸着、混和)する。いくつかの実施形態において、前記標的化剤が本明細書に記載されるような組成物と会合したナノ粒子の、所望の身体領域(例えば、心血管関連疾患に罹患した身体領域)への送達を補助するために使用される。標的化剤の例には、抗体、受容体リガンド、ホルモン、ビタミン、および抗原が含まれるが、これらに限定されず、本発明は標的化剤の性質により限定されるものではない。いくつかの実施形態において、前記抗体は、疾患特異的抗原に特異的である。いくつかの実施形態において、前記受容体リガンドは、CFTR、EGFR、エストロゲン受容体、FGR2、葉酸受容体、IL-2受容体、糖タンパク質、およびVEGFRに対するリガンドを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、前記受容体のリガンドは葉酸である。
【0241】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される係る組成物と会合した前記ナノ粒子が、医療デバイスによって患者の局所部位に送達され得る。本発明における使用に好適な医療デバイスは、治療剤の局所送達のための既知の装置を含む。そのような装置は、限定されるわけではないが、例えば、治療薬でコーティングされ、または、これらを介して、薬剤が投与される注射カテーテル、バルーンカテーテル、二重バルーンカテーテル、微孔性バルーンカテーテル、チャネルバルーンカテーテル、注入カテーテル、灌流カテーテル等のカテーテル;皮下注射針および針注射カテーテル等の針注射デバイス;ジェット注射などの無針注射デバイス;被覆ステント、分岐ステント、人工血管、ステントグラフト等;ならびにワイヤコイル等の血管閉塞デバイス等を含むが、これらに限定されない。
【0242】
例示的な装置は、米国特許番号5,935,114;5,908,413;5,792,105;5,693,014;5,674,192;5,876,445;5,913,894;5,868,719;5,851,228;5,843,089;5,800,519;5,800,508;5,800,391;5,354,308;5,755,722;5,733,303;5,866,561;5,857,998;5,843,003;および5,933,145号に記載されており、これの内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。市販されており、本出願において使用され得る例示的なステントは、RADIUS(SCIMED LIFE SYSTEMS,Inc.)、the SYMPHONY(Boston Scientific Corporation)、the Wallstent(Schneider Inc.)、the PRECEDENT II(Boston Scientific Corporation)およびNIR(Medinol Inc.)を含む。係る装置は公知の技術により、体内の標的箇所に送達および/または移植される。
【0243】
いくつかの実施形態において、本発明はまた、本明細書に記載の組成物を含むキットを提供する。いくつかの実施形態において、前記キットが、係る組成物を生成するために必要な1つ以上の試薬およびツール、ならびに係る組成物を使用する方法を含む。
【0244】
本明細書に記載の組成物は、任意の適切な分析技術によって、サイズおよび均一性について特性決定することができる。これらには、原子間力顕微鏡法(AFM)、エレクトロスプレーイオン化質量分析法、MALDI-TOF質量分析法、13C核磁気共鳴分光法、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)(多角レーザー光散乱、デュアルUVおよび屈折率検出器を備える)、キャピラリー電気泳動およびゲル電気泳動が含まれるが、これらに限定されない。これらの分析方法は組成物集団の均一性を保証し、インビボ適用における最終的な使用のための生産品質管理において重要である。
【0245】
臨床適用が企図される場合、本発明のいくつかの実施形態において、前記組成物が意図される適用に適切な形態の医薬組成物の一部として調製される。一般的に、これは、本質的に、発熱物質、ならびに、ヒトまたは動物に有害でありうる他の不純物を含まない組成物を調製することを必要とする。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態において、ストレートな組成物製剤が本明細書に記載される1つ以上の経路を使用して投与され得る。
【0246】
好ましい実施形態において、本明細書に記載される係る組成物と会合したナノ粒子が標的細胞による取り込みを可能にする、安定的な様式での組成物の送達を可能にするために、適切な塩および緩衝液と併せて使用される。前記組成物が患者に導入される場合にもまた、緩衝液は使用される。水性組成物は、薬学的に許容される担体または水性媒体中に分散された、細胞に対する有効量の組成物を含む。係る組成物はまた、接種物と呼ばれる。用語「薬学的にまたは薬理学的に許容される」とは、動物またはヒトに投与された場合、有害な、アレルギー性の、または他の有害な反応を生じない分子実体および組成物を指す。本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、任意の全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗細菌および抗真菌剤、等張性剤および吸収遅延化剤等を含む。任意の通常の培地または薬剤は、本発明のベクターまたは細胞と適合しない場合を除いて、治療組成物において使用され得る。補助的な活性成分もまた、本組成物へ組み入れられうる。
【0247】
本発明のいくつかの実施形態において、活性組成物は、古典的な医薬製剤を含む。本発明による係る組成物の投与は、標的組織がその経路を介して有効である限り、任意の一般的な経路による。これは、経口、経鼻、頬側、経直腸、膣内、または局所を含む。あるいは、投与は、同所、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、または静脈内注射でありうる。
【0248】
本明細書に記載の活性組成物はまた、非経口的に、または腹腔内に、または腫瘍内に投与され得る。遊離塩基または薬学的に許容される塩としての活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適切に混合された水中で調製される。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれら混合物中、ならびに、油中で分散液を調製することもできる。通常の保存および使用条件下において、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐために保存料を含む。
【0249】
注射用に適する意訳形態は、滅菌水溶液または分散物、および滅菌注射用溶液または分散物の即時調製用の滅菌粉剤を含む。例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、ならびに植物油を含む溶媒または分散媒でありうる。適度な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散物の場合には必要とされる粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用により維持することができる。微生物の作用の予防は、様々な抗細菌または抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等により達成されうる。多くの場合、等張性剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むことが好ましい傾向がある。注射用組成物の長期的な吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中で使用することにより達成されうる。
【0250】
滅菌注射用溶液は、本明細書に記載の活性組成物を、必要な量で、適切な溶媒中に、必要に応じて上に列挙した様々な他の成分と共に組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製される。一般的に、分散液は、基本的な分散媒および上記で列挙された成分のうちの必要な他の成分を含む滅菌媒体へ、様々な滅菌された活性成分を組み入れることにより調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、予め滅菌濾過した活性成分の溶液から、活性成分の粉末に加え、任意の追加の所望の成分を生産する真空乾燥および凍結乾燥技術である。
【0251】
本明細書に記載される係る組成物は、製剤化されると、投薬製剤と適合する形式で、治療的に有効となる量で投与される。前記製剤は、注射可能な溶液、薬物放出カプセルなどの様々な投与形態で容易に投与される。例えば、水溶液での非経口投与について、溶液は適切に緩衝され、必要であるならば、液体希釈液は、最初に、十分な生理食塩水またはグルコースと等張にされる。係る特定の溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に特に適している。例えば、1用量が、1mlの等張性NaCl溶液に溶解され、1000mlの皮下注入液を添加されるか、または提案された注入部位に注射されるかのいずれかでありうる(例えば、"Remington's Pharmaceutical Sciences" 15th Edition, pages 1035-1038 and 1570-1580を参照)。本発明のいくつかの態様において、前記活性粒子または薬剤は、治療用混合物中に、1用量あたり約0.0001~1.0ミリグラム、約0.001~0.1ミリグラム、約0.1~1.0ミリグラム、または、約10ミリグラム含まれるように製剤化される。複数用量が投与されてもよい。
【0252】
他の投与様式に適したさらなる製剤は、膣坐剤およびペッサリーを含む。直腸ペッサリーまたは坐剤もまた使用されうる。坐剤は、直腸、膣または尿道への挿入のための、通常、薬用の、様々な重量および形の固体剤形である。挿入後、坐剤は、腔液中で軟化、融解、または溶解する。一般に、坐剤の場合、従来のバインダーおよび担体は、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドを含み得る。係る坐剤は、0.5%~10%、好ましくは1%~2%の範囲の活性成分を含有する混合物から形成され得る。膣坐剤またはペッサリーは通常、球形または卵形であり、それぞれ、約5gの重量がある。膣薬剤は様々な物理的形態、例えば、座薬の古典的概念から逸脱するクリーム、ゲルまたは液体の形態で利用可能である。前記組成物はまた、吸入剤として製剤化されてもよい。
【0253】
本発明はまた、本明細書に記載の組成物と、1種以上の追加の活性剤との同時投与を含む方法を含む。本発明の組成物を同時投与することにより、従来技術の治療法および/または医薬組成物を増強する方法を提供することも、実際に本発明のさらなる態様である。同時投与手順において、前記薬剤は、同時にまたは連続的に投与され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物が他の活性薬剤(複数可)の前に投与される。共投与される薬剤は、処置される健康状態の種類に依存する。
【0254】
本開示はさらに、本明細書に記載の係る組成物と会合したナノ粒子を含む組成物、または本明細書に記載の係るナノ粒子を合成するのに必要な成分を含むキットを提供する。いくつかの実施形態において、前記キットは、本明細書に記載される係る組成物と会合した係るナノ粒子を投与するために必要な、十分な、または有用な構成要素の全てを含む。
【実施例
【0255】
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい実施形態および特徴を実証し、さらに説明するために提供され、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。用語「私(I)」、「私たち(Our)」、「我々(We)」、および同様の用語の使用は、発明者を意図する。
【0256】
〔実施例1〕
(CDN STINGアゴニスト-金属の配位高分子形態の合成)
c-di-AMP(CDA)をInvivogenから入手し、水に溶解することで、2mg/mlの溶液を得た。ZnCl、MgCl、MnCl、CaCl、Al(SO、CuCl、FeCl、FeCl、NiClおよびCoCl(Sigma-Aldrich)をそれぞれ水に溶解し、100mMの溶液を調製した。CDAと配位可能な金属イオンをスクリーニングするために、5または10当量(n/n)の金属イオンを2mg/mlのCDA溶液に添加した。この混合溶液を室温で2時間インキュベートした。得られたCDN-金属の配位高分子形態は、顕微鏡下で観察することができた。CDN-金属溶液の沈殿の程度は、バックグラウンド吸光度を差し引いた後、OD450nm、OD500nm、およびOD600nmにおける吸光度を測定することによって測定することができた。配位構造におけるCDNの充填効率を、10000xg、15分の遠心分離後に、上清およびペレット中のCDNを定量することによって測定した。
【0257】
(CDN STINGアゴニスト-Znの共結晶配位高分子形態の合成)
10ulの水中の、0.1、0.5、1、2、4および8当量(n/n)のZn2+を、20ulの2mg/mlのCDA溶液に加えた。この混合溶液を室温で2時間インキュベートした。得られたCDN-金属の配位構造を顕微鏡で観察することができた。4時間後、80ulの5mg/mlのH33-PEG20kを添加し、再懸濁した。混合溶液をさらに96時間インキュベートし、顕微鏡で観察した。
【0258】
(CDN STINGアゴニスト-Zn/Mnの共結晶配位高分子形態の合成)
10ulの水中の、0.1、0.5、1、2、4および8当量(n/n)のZn2+/Mn2+(1:1)を、20ulの2mg/mlのCDA溶液に加えた。この混合溶液を室温で2時間インキュベートした。得られたCDN-金属の配位構造を顕微鏡で観察することができた。4時間後、80ulの5mg/mlのH33-PEG20kを添加し、再懸濁した。混合溶液をさらに96時間インキュベートし、顕微鏡で観察した。
【0259】
(CDN STINGアゴニスト-Zn/Mn-H33-PEGの共結晶配位高分子形態の合成)
CDN STINGアゴニスト-Zn/Mn-H33-PEGのナノスケール配位高分子形態を、予め攪拌しながら混合したCDAおよびH33-PEG20kに、Zn2+/Mn2+を添加することによって調製した。簡潔に説明すると、ポリヒスチジン-PEGを、CDA溶液に連続撹拌しながら滴下した。次に、10~80当量のZn2+/Mn2+をCDA/H33-PEG20kに撹拌しながら加え、12時間反応させた。CDN STINGアゴニスト-Zn/Mn-H33-PEGのナノスケールを、遠心分離機または遠心限外濾過(100kD)によって単離した。CDN STINGアゴニスト-Zn/Mn-H33-PEGナノスケールを、動的光散乱(DLS)、透過型電子顕微鏡(TEM)、および吸光度測定によってさらに特性決定した。
【0260】
(In vitro放出分析)
製剤の放出特徴(profiles)を、Slide-A-Lyzer(登録商標)MINI Dialysis Device、20 KD MWCO(Thermo Scientific)によって観察した。簡潔に説明すると、0.5mlの製剤溶液を、再生セルロース膜と共にカップに充填し、14mlの放出緩衝液(PBS)をチューブに入れた。透析カップを円錐チューブに挿入し、蓋をした後、装置を37℃で、連続振盪(200rpm)しながらインキュベートした。所望の時点で、300ulの放出媒体を回収し、等量の新しいPBSを再充填した。放出媒体中のCDNの濃度をHPLC(GPC)によって分析した。最後に、放出率を、放出緩衝液中のCDN濃度、緩衝液の体積、および総CDN充填量に基づいて計算した。
【0261】
(動物試験)
すべての動物は、連邦、州、および地方のガイドラインに従って飼育された。動物に対して行われた全ての操作は、アナーバーのミシガン大学のUniversity Committee on Use and Care of Animals(UCUCA)に従い、承認された。6~8週齢の雌Balb/cマウス(Jackson Laboratories)に、1.5×10CT26結腸癌細胞を接種した。腫瘍の大きさが約50mmに達したとき、指示された薬物または製剤を指示された経路で投与した。腫瘍サイズおよび生存率を2日または3日毎にモニターした。腫瘍の大きさは、体積=長さ×幅×0.5の式に基づいて計算した。腫瘍が直径1.5cmに達したとき、または動物が重度の体重減少または治癒不能な潰瘍形成を伴う瀕死の状態に至ったときに、動物を安楽死させた。
【0262】
(結果)
図1に示すように、CDA水溶液に金属イオンを添加した後、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+、Zn2+、Ca2+では顕著な沈殿が観察されたが、Mg2+、Fe2+、Co2+、Ni2+では観察されなかった。Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+、Zn2+では、配位構造におけるCDAの充填効率は80%以上である。顕微鏡画像では、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+、Zn2+、およびCa2+について様々な配位構造/多形を観察することができた。興味深いことに、Mn2+は最も顕著な配位沈殿を形成し、また、Zn2+は明確な結晶構造を形成した。
【0263】
図2に示すように、CDA溶液にZn2+を添加すると、Zn/CDAが0.1:1(n/n)より大きい場合、針状結晶/多形が観察された。他方、0.5当量のZn2+はより大きいが、より少ない針状結晶を形成し、一方で、4および8当量のZn2+は、針状の塊を形成した。興味深いことに、さらに96時間インキュベートした後に、我々は、均質な立方形結晶/多形の形成を観察した。様々な量のZn2+を添加することにより、結晶/多形の長さ/幅の比率がさらに調整された。
【0264】
図3に示すように、CDA溶液にZn2++ Mn2+(1:1、n/n)を添加すると、(Zn2++Mn2+)/CDAが0.1:1(n/n)より大きい場合、針状結晶/多形が観察された。さらに96時間インキュベートした後に、我々は、Zn2++Mn2+が均一な針状結晶を形成することを観察した。
【0265】
図1~3に示された大きな配位構造とは対照的に、CDA、H33-PEG20k、およびZn2+/Mn2+を連続撹拌しながら順に混合すると、ナノ構造の形成が観察された(図4)。興味深いことに、ポリ(ヒスチジン)およびポリヒスチジン-PEG共重合体中のPEGの長さならびに金属イオンの種類を変えることにより、異なるナノ配位構造が形成された。特に、H33-PEG20kおよびZnまたは/およびMnは、均一な球状配位ナノ構造を生成した。
【0266】
安定なCDN STINGアゴニスト-Zn/Mn-H33-PEGナノ粒子(CZMP)を製剤化するための条件を最適化するために、2組の直交実験を行った(図5-7)。直交実験1では、様々な濃度のH33-PEGを、様々な比率でCDA/M2+に添加し、PBSで洗浄した。直交実験2では、様々な濃度のM2+を、様々な比率でCDA/H33-PEG20k混合物に添加し、PBSで洗浄した。驚くべきことに、CDA/M2+にH33-PEGを添加した結果、収率が低下した(図表6)。一方、CDA/H33-PEG20kにM2+を加えると、高収率の安定な製剤が効率的に形成された(図7)。さらに、本発明者らは、高収率でナノ構造を形成するための他の重要な因子を決定した:1)合成におけるCDN STINGアゴニストの濃度が0.001mg/mlを超えるべきである。2)H33-PEG20kの濃度は、有効な製剤のために0.01mg/mlを超えるべきである。3)金属イオン/CDNのモル比は、0.01を超えるべきである。
【0267】
CDN STINGアゴニスト-Zn/Mn-H33-PEGのナノスケール配位高分子形態の活性を評価するために、本発明者らはCT26皮下腫瘍モデルを確立し、腫瘍接種後9、12、15日目にCDA-Zn/Mn-H33-PEGを静脈内(IV)投与した。図8に示すように、動的光散乱分析は、CDA-Zn-H33-PEGおよびCDA-Zn/Mn-H33-PEGが70nmまでの平均流体力学的サイズを有することを示した。我々は、CDA-Zn-H33-PEGおよびCDA-Zn/Mn-H33-PEGからの定常的な薬物放出を観察した。3用量の全身投与後、CDA-Zn/Mn-H33-PEGは、同用量のCDA、遊離CDA+Mn2+、または未処理対照と比較して、有意に改善された抗腫瘍効果を示した。同様に、CDA-Zn-H33-PEGも抗腫瘍効果を示した。これらの結果は、前記の配位高分子形態がCDN STINGアゴニストの活性および治療効果を有意に向上し得ることを示す。
【0268】
〔実施例2〕
本実施例は、CDN STINGアゴニスト-金属の配位高分子形態を用いたワクチン接種の研究について記載する。
【0269】
ワクチン適用のためのCDN STINGアゴニスト-金属の配位高分子形態を調査する実験を行った。我々はCDN STINGアゴニスト-金属の配位高分子形態を調製し、SARS-CoV-2ウイルス抗原と混合し、マウスにおいて免疫原性試験を実施した。
【0270】
(動物ワクチン接種のスケジュール)
CDN STINGアゴニスト-金属の配位高分子形態(CDA-Mn/Zn@H33-PEGと称する)を、実施例1に示すように調製した。マウス(BALB/c)に、それぞれSARS-CoV-2由来のS1またはRBDタンパク質と混合したCDA-Mn/Zn@H33-PEGまたはCDAをワクチン接種した。ワクチン接種は、2週間の間隔で3回、尾の付け根の皮下に行った。各ワクチン接種の2週間後、および最後のワクチン接種の4週間後および8週間後に、ELISAによる抗体価測定のために血清を回収した。別の研究では、ELISPOTアッセイのために、最後のワクチン接種の1週間後に脾臓を採取した。
【0271】
(ELISA)
96ウェルプレートを、ウェル当たり0.1μgのRBD(炭酸塩-重炭酸塩緩衝液に溶解)で一晩前処理した。RBDを除去した後、ウェルを洗浄溶液で3回洗浄し、室温(RT)で2時間ブロッキング溶液と共にさらにインキュベートした。次いで、洗浄溶液で3回洗浄した。次に、血清試料を前記プレートに入れた。血清試料を、1:100の開始希釈で1:4または1:5の比で6回連続希釈した。前記試料を室温で1時間インキュベートした後、試料を取り出し、続いて3回洗浄した。次に、1:1000に希釈したHRP結合抗マウスIgG抗体を加え、室温中で1時間インキュベートした。インキュベーション後、抗体を除去し、前記ウェルを洗浄溶液で4回洗浄し、次いで基質溶液を添加し、10分間、または反応溶液の色が室温で発色するまでインキュベートした。1MのHSOを添加することによって反応を停止し、次いでプレートを450nmの波長で読み取った。
【0272】
(ELISPOT)
脾臓採取の前日に、96ウェルELISPOTプレートを捕捉抗体(抗IFN-γ抗体)でコーティングした。4C中で一晩インキュベートした後、ウェルをブロッキング溶液で洗浄し、続いてブロッキング溶液と共に2時間インキュベートした。次に、ブロッキング溶液を除去し、各RBMペプチド(表1)を10μg/mlの濃度で前記ウェルに添加した。
【0273】
【表1】
【0274】
最後のワクチン接種の1週間後に脾臓を採取した。各脾臓を40μmの濾し器の上に置き、次いでプランジャーですり潰した。前記濾し器をPBSで洗浄し、脾細胞を収集チューブに向けて通過させた。300gで5分間の遠心分離を行った後、各セルパレットをACK溶解緩衝液で再懸濁し、室温中で5分間インキュベートした。次に、前記細胞を遠心分離し、PBSで2回洗浄した。得られた細胞を計数し、2×10個の細胞を、RBMペプチドを含む96ウェルELISPOTプレートの各ウェルに播種し、37C中で一晩インキュベートした。
【0275】
次に、細胞懸濁液を吸引除去および前記ウェルを脱イオン水で2回洗浄し、続いて洗浄溶液で3回洗浄した。検出抗体を添加し、室温中で2時間インキュベートした。インキュベーション後、抗体を除去し、ウェルを洗浄緩衝液で3回洗浄した。次いでHRPをコンジュゲートしたストレプトアビジンを添加し、室温中で1時間インキュベートした。インキュベーション後、ウェルを洗浄緩衝液で4回、PBSで2回洗浄した。基質溶液を添加し、ウェル内でスポットが展開するまでインキュベートした。前記ウェルを水で洗浄して、展開を停止した。室温で一晩風乾した後、前記プレートをELISPOTリーダーで画像化した。
【0276】
(結果)
SARS-CoV-2由来のS1タンパク質と混合したCDA-Mn/Zn@H33-PEGは、強固なS1特異的抗体反応を生じた(図9)。我々は、S1+CDA-Mn/Zn@H33-PEGで免疫したマウスにおいて、S1+CDAの遊離混合物で免疫したマウスと比較して、S1特異的な血清IgG、IgG1およびIgG2a力価の有意な上昇を検出した。
【0277】
続く研究では、SARS-CoV-2由来のRBDタンパク質と混合したCDA-Mn/Zn@H33-PEGを用いて、0、14、および28日目にBABL/cマウスにワクチン接種を行った。35日目にELISPOTアッセイを実施して、脾細胞間のRBD配列特異的T細胞応答を調べた。RBDと混合したCDA-Mn/Zn@H33-PEGは、BABL/cマウスにおいて強固なRBD特異的IFN-ガンマ+T細胞応答を生じた(図10)。特に、RBD配列の438~458および450~473は、BABL/cマウスにおける免疫優性(immunodominant)なエピトープであった。
【0278】
〔実施例3〕
STINGアゴニストのナノ粒子送達系を設計するために、我々は、MnがSTINGアゴニストに対する増強効果を有し、H33-PEGが生体適合性を有しかつエンドソーム回避のためにイオン化可能であるために、CDN STINGアゴニストの局所および全身送達のためにCZMPをまたも使用した。我々は、最適な条件を用いたワンポット合成により、DLSサイズが98.3±38.7nmで、表面電荷が中性に近い均一なCZMPナノ粒子を得た(図11a-c)。CZMPナノ粒子はCDAおよびMn2+の安定した放出を示したが、Zn2+の放出は最小限であった(図11d)。
【0279】
さらにCAMPの生物活性をインビトロで試験した(図12)。CDA、CDA+Mn2+および/またはZn2+、Zn-CDA@H33-PEG、Mn-CDA@H33-PEG BMDCと比較して、CZMPはBMDC上のCD80およびCD86の発現レベルを有意に上昇させた。これは、より強力なSTINGの活性化を示している(図12a)。THP1-STING-R232において、我々はまた、CZMPが、はるかに低濃度のSTINGアゴニスト下において、より高いIFN-I生産および他の関連サイトカインの誘導することを見出した(図12b)。強いSTING活性化は、CZMP処理後のBMDCによるSTINGアゴニストの細胞取り込みの増加(図12c)および効率的なエンドソーム回避(図12d)によって説明できる。
【0280】
局所投与後のインビボでのCZMPの治療可能性を評価するために、CT26担腫瘍BABL/cマウスを、11、14、17、および21日目にCZMPまたは遊離CDAのI.T.投与により処置した。前記遊離CDAと比較して、CZMPは、IFN-β、TNF-α、CXCL-9、およびCXCL-10の血清レベルを増加させ(図13b)、より高い免疫活性化を実証した。
【0281】
重要なことに、I.T.投与したCZMPは、CT26腫瘍の増殖を有意に阻害し、マウスの生存時間を延長した(図13c、e)。27日目に実施されたフローサイトメトリー分析はCZMPのI.T.治療が、PBMCにおけるNK細胞の集団を有意に拡大し、腫瘍に流入するリンパ節において、高いNK細胞活性化を誘導したことを示した(図13d、f)。CZMPの同様の治療的応答は、B16F10黒色腫担マウスにおいても観察された。CZMPのI.T.治療は、遊離CDAと比較して、B16F10腫瘍の増殖を効果的に阻害し、治療効果を有意に増強した(図13g-i)。まとめると、これらの結果は、CZMPが、癌の免疫治療のためのSTINGアゴニストの全身送達に関して、単純であるが効果的な製剤であることを示唆している。
【0282】
全身投与後のインビボでのCZMPの治療可能性を評価するために、CT26担腫瘍BABL/cマウスを、11日目、14日目、17日目および21日目に、CZMPまたは遊離CDAのI.V.投与により処置した。遊離CDAと比較して、CZMPは、IFN-β、TNF-α、CXCL-9、およびCXCL-10の血清レベルを増加させ(図14b)、より高い免疫活性化を実証した。重要なことに、静脈内投与されたCZMPはCT26腫瘍の増殖を有意に阻害し、マウスの生存期間を延長した(図14c、e)。27日目に実施されたフローサイトメトリー分析は、CZMPのI.V.治療が、PBMCにおいてNK細胞の集団を有意に拡大し、腫瘍に流入するリンパ節において高いNK細胞活性化を誘導したことを示した(図14d、f)。CZMPの同様の治療応答は、B16F10黒色腫担マウスにおいても観察された。CZMPのI.V.治療は、遊離CDAと比較して、B16F10腫瘍の増殖を効果的に阻害し、治療効果を有意に増強した(図14g-i)。まとめると、これらの結果は、CZMPが、癌の免疫治療のためのSTINGアゴニストの全身送達に関して、単純であるが効果的な製剤であることを示している。
【0283】
〔実施例4〕
STINGアゴニストは、癌および感染性疾患のワクチン用の効率的なワクチンアジュバントとして報告されている。そこで、本発明者らは、CZMPがCOVID-19ワクチンの有効なワクチンアジュバントとして役立ち得るかどうかをさらに試験した。興味深いことに、ポリヒスチジンタグ技術はタンパク質単離のために広く使用されており、組換えタンパク質の大部分はポリヒスチジンタグでグラフト化されている。我々は、ヒスチジン-Zn/Mn配位相互作用の試料を用いて、ポリhisタグを備える種々の抗原をCZMP上に充填することができる。これを実証するために、本発明者らは6xhisタグを有するCOVID-19 S1タンパク質RBDをCZMPに添加し、ナノ粒子を引き下げた後のタンパク質充填量を定量した。図12に示すように、SDS-PAGEの結果に基づくと、90%超のRBDをCZMPに効果的に充填することができた。IVISイメージング結果に示されるように、我々はまた、皮下注射後のCZMPがリンパ節に効果的に流入することを見出した(図15)。これは、CZMPが、B細胞および抗原提示細胞への抗原の有効な送達のために、リンパ節に向かう(home)ことができることを示す。
【0284】
インビボでのRBD@CZMPのワクチン反応を評価するために、Balb/cマウスの尾の付け根に、2週間隔で3回ワクチン接種を行った。各ワクチン接種の2週間後、および最後のワクチン接種の4週間後および8週間後に、ELISAによる抗体価測定のための血清サンプルを収集した(図16a)。図16bに示すように、CZMPは、中和抗体の産生を有意に増加させた。別の研究では、ELISPOTアッセイのために、最後のワクチン接種の1週間後に脾臓を採取した(図16c-b)。本発明者らは、RBD内の一連のエピトープに対するRBD@CZMPによって誘導されるT細胞反応を試験した。驚くべきことに、本発明者らは、非常に高いレベルのT細胞応答が特に配列438~458、450~473に対して誘導されることを見出した(400/0.2M、脾細胞と同程度に高い)。別の試験においては、RBD、RBD+遊離CDA、RBD+遊離CDA+Mn+Znと比較して、ELISPOT試験を繰り返した。RBD@CZMPは有意に高いT細胞応答を誘導した。同じ研究において、我々は、RBD@CZMPワクチン接種後に胚中心形成の改善も観察した(図表16e)。最後に、本発明者らはまた、RBD@CZMPによって誘導される抗体反応が、SARS-CoV-2ウイルス感染を中和し得るかどうかを試験した。図16fに示すように、我々は、6週目および14週目の免疫化マウス血清をレポーター細胞に処理し、SARS-CoV-2偽ウイルスまたはSARS-CoV-2ウイルスを添加した。我々は、RBD@CZMPが、SARS-CoV‐2偽ウイルスとSARS-CoV-2ウイルスを中和する、有効な中和抗体を誘導することを見出した。これらのデータは、CZMPがCOVID-19ワクチンおよび他のワクチンのための強力なワクチンアジュバントの基盤(platform)として役立ち得ることを示している。
【0285】
最後に、CZMP基盤の安全性特徴を評価した。IVまたはIT注入後、明らかな体重減少、血清化学異常、および組織学的変化は観察されなかった。概して、CZMPは、癌免疫療法およびワクチンアジュバントのための、STINGアゴニストの安全かつ有効な製剤である。
【0286】
(参照による組み込み)
本明細書で言及された各特許文献および科学論文の開示全体が、あらゆる目的のために参照により組み込まれる。
【0287】
(均等物)
本発明は、その趣旨または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化されてもよい。それ故、上述の実施形態は、本明細書に記載の本発明を限定するものよりもむしろ、あらゆる点で例示的なものであると考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は、上述の明細書よりはむしろ添付の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内に入る全ての変更がその中に含まれることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0288】
図1】CDAをMn2+、Al3+、Fe3+、Cu2+、およびZn2+を含む特定の金属イオンと混合した後に、独特の配位高分子形態が見出された。スケールバー=200μm。
図2】Zn2+/CDAが0.1より大きい時に、CDAとZn2+からなる大きな結晶が形成された。非特定のスケールバー=100μm。
図3】(Zn2++Mn2+)/CDAが0.1より大きい時に、CDA、Zn2+およびMn2+からなる大きな結晶が形成された。非特定のスケールバー=100μm。
図4】CDA、Zn2+、Mn2+およびH33-PEG20Kを撹拌しながら混合することで、ナノスケール配位構造が合成された。得られたナノ構造を、ポリヒスチジン長、PEG長、および金属イオンを変更することによって微調整した。
図5】攪拌中にCDA、Zn2+、Mn2+、およびH33-PEG20Kを加える順序は、得られる製剤の収率を決定する。
図6】製剤効率を最適化するための直交実験1。H33-PEGをCDA/M2+に添加した後、PBSで洗浄すると、製剤は効率よく生成されなかった。
図7】製剤効率を最適化するための直交実験2。CDA/H33-PEG20KにM2+を特定比率で添加し、次いでPBSで洗浄することにより、製剤は効率的に生成された。
図8】CDA-Zn/Mn@H33-PEG20K製剤の動的光散乱、薬物放出およびインビボ治療効果。
図9】SARS-CoV-2由来のS1タンパク質と混和されたCDA-Mn/Zn@H33-PEGは、BABL/cマウスにおいて、強いS1特異的IgG、IgG1、およびIgG2a抗体反応を引き起こした。動物は0、14、および28日目に免疫された。抗体価は、14日目(「1」)、28日目(「2」)、42日目(「3」)、および70日目(「4」)に測定された。
図10】SARS-CoV‐2由来のRBDタンパク質と混和されたCDA-Mn/Zn@H33-PEGは、BABL/cマウスにおいて、強いRBD特異的IFN-γ+T細胞応答を引き起こした。動物は0、14、および28日目に免疫された。ELISPOTアッセイは35日目に行われた。
図11】a)連続撹拌下のワンポット合成において、CDA、H33-PEG20k、およびZn2+/Mn2+が順番に混合された。b)得られたCZMPナノ粒子のTEM画像。c)CZMPのDLSサイズおよびゼータ電位。d)PBS培地中での、CZMPからのCDA、Mn、およびZnの放出動態。
図12】ワンポットSTINGアゴニストNPは、STING活性化のために免疫細胞にSTINGアゴニストを効果的に送達する。a)CZMPは樹状細胞活性化を促進した。b)CZMPはI型IFNおよび他の炎症誘発性サイトカインの産出を促進した。c)CZMPはSTINGアゴニストの細胞取り込みを増加させた。d)CZMPの細胞内分布の共焦点イメージングは、効果的なエンドソーム脱出を示す。
図13】ワンポットSTINGアゴニストNPは、CT 26モデルにおいて、IT注射後に強力な抗腫瘍効果を発揮する。a)BALB/Cマウスに、3×10個のCT 26腫瘍細胞を脇腹皮下(S.C.)に接種した。11、14、17、および21日目に、5μgの遊離型CDAまたはCZMPが、I.T.注射された。b)2回目の投与から6時間経過後に、血清サイトカインがELISAにより測定された。c、e)腫瘍の生長(c、e)および動物の生存(e)が、経時的にモニターされた。d、f)血液中のNK細胞頻度(d)および腫瘍流入リンパ節におけるNK細胞の活性化(f)が、フローサイトメトリーにより分析された。データは、n=5(b)、n=5~7(c~f)の2つの独立した実験からの、代表的な実験からの平均±SEMを表す。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001は、(d、f)一元配置分散分析または(e)ボンフェローニの多重比較検定付の二元配置分散分析、または(e)ログラング(マンテル-コックス)検定により解析された。
図14】ワンポットSTINGアゴニストNPはIV注射後に強力な抗腫瘍効果を発揮する。a~f)静脈内(I.V.)投与後のCT26腫瘍に対するCZMPの治療効果a)BALB/Cマウスに、3×10個のCT 26腫瘍細胞を脇腹皮下(S.C.)に接種した。11、14、17、および21日目に、20μgの遊離型CDAまたはCZMPが、静脈内注射された。b)2回目の投与から6時間経過後に、血清サイトカインがELISAにより測定された。c、e)腫瘍の生長(c、e)および動物の生存(e)が、経時的にモニターされた。d、f)腫瘍の生長(c、e)および動物の生存(e)が、経時的にモニターされた。g~i)B16F10腫瘍に静脈内投与されたCMPCDAの治療効果。C57BL/6マウスに、3×10個B16F10腫瘍細胞を脇腹皮下(S.C.)に接種した。11、14、17、および21(g)日目に、20μgの遊離型CDAまたはCZMPが、静脈内注射された。h)2回目の投与から6時間経過後に、血清サイトカインがELISAにより測定された。i)腫瘍の生長および動物の生存が、経時的にモニターされた。データは、n=5(b-)、n=5~7(c~f、h~i)の2つの独立した実験からの、代表的な実験からの平均±SEMを表す。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001は、(d、f)一元配置分散分析または(e、i)ボンフェローニの多重比較検定付の二元配置分散分析、または(e、i)ログラング(マンテル-コックス)検定により解析された。
図15】COVID-19ワクチン送達のためのワンポットSTINGアゴニストNP。上図:CZMPにおけるSARS-CoV2の受容体結合ドメイン(RBD)の装填。下図:皮下投与後のCZMPのリンパ節流入。
図16】COVID-19ワクチン接種のための、CZMP-RBDのインビボでの免疫応答。a~b、f)balb/cマウスに対し、2週間隔で尾の付け根に3回ワクチン接種した。各ワクチン接種の2週間後、および最後のワクチン接種の4週間後および8週間後に、ELISAによる抗体価測定(b)およびウイルス中和アッセイ(f)のために血清試料が採取された。c~d)C57BLマウスウスに対し、2週間隔で尾の付け根に3回ワクチン接種した。ELISPOTアッセイおよび胚中心形成分析のために、最後のワクチン接種の1週間後に脾臓が採取された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図12-2】
図13
図13-2】
図14
図14-2】
図15
図16
図16-2】
【配列表】
2023545466000001.app
【国際調査報告】