(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】ゾーンマッピング方法およびゾーンマッピング装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20231023BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522856
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 US2021071184
(87)【国際公開番号】W WO2022082132
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505315742
【氏名又は名称】トプコン ポジショニング システムズ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003937
【氏名又は名称】弁理士法人前川知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ランプレヒト
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】
ゾーンマッピング方法およびゾーンマッピングシステムは、地理的エリアをユーザに表示し、地理的エリアのゾーンを特定するユーザからの入力を受信する。ゾーン内に散布する農業用材料の特定結果も受信され、それに応じて、散布計画が生成される。散布計画は、生成される、ゾーン内で特定された特徴部と、散布する農業用材料と、農業用材料に関連する散布要件および制限に基づいて生成され、前記散布要件および制限は、前記材料の製造業者、場合によっては政府機関により特定される。農業用装置は、農業用材料の散布を追跡し、コンプライアンス要求などの要求に応じて後で検索するために、散布情報を送信してゾーンマッピングシステムに記憶する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地理的エリアをユーザに表示する工程と、
前記地理的エリアのゾーンを指定する入力を受信する工程と、
前記ゾーンに散布する農業用材料を特定する入力を受信する工程と、
前記ゾーンに対する散布計画を決定する工程と、
前記散布計画を農業用装置に送信する工程と、
を備える、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ゾーンに対する前記散布計画は、複数の地理的座標と、前記農業用材料の関連する散布速度を含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ゾーンに対する散布計画を決定する工程は、
前記ゾーンにおける特徴部を特定する工程と、
前記特徴部の種類および前記農業用材料に基づいて、前記特徴部からのオフセットを特定する工程と、
前記特徴部に隣接するエリアの境界を定める地理的座標を、前記オフセットに基づいて決定する工程と、
前記特徴部に隣接するエリアの散布制限を決定する工程と、
を含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記散布計画に基づいて、前記農業用装置を操作する工程をさらに含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記農業用装置から散布データを受信する工程と、
前記散布データを散布履歴データベースに記憶する工程と、
をさらに含む、
ことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記散布データは、前記農業用装置を操作する工程に基づいて生成される、
ことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記散布計画は、前記農業用材料、前記ゾーン、および前記特徴部に基づく前記農業用材料の散布速度を含む、
ことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記散布速度は、前記農業用材料、前記ゾーン、および前記特徴部に基づいて、前記ゾーンの異なるエリア内で変動する、
ことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
プロセッサと、
コンピュータプログラム指令を記憶するメモリと、
を備え、
前記コンピュータプログラム指令は、前記プロセッサ上で実行されると、前記プロセッサに、
地理的エリアをユーザに表示する工程と、
前記地理的エリアのゾーンを指定する入力を受信する工程と、
前記ゾーンに散布する農業用材料を特定する入力を受信する工程と、
前記ゾーンに対する散布計画を決定する工程と、
前記散布計画を農業用装置に送信する工程と、
含む動作を実行させる、
ことを特徴とする、装置。
【請求項10】
前記ゾーンに対する前記散布計画は、複数の地理的座標と、農業用材料の関連する散布速度とを含む、
ことを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ゾーンに対する散布計画を決定する工程は、
前記ゾーンにおける特徴部を特定する工程と、
前記特徴部の種類および前記農業用材料に基づいて、前記特徴部からのオフセットを特定する工程と、
前記特徴部に隣接するエリアの境界を定める地理的座標を、前記オフセットに基づいて決定する工程と、
前記特徴部に隣接する前記エリアの散布制限を決定する工程と、
を含む
ことを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記動作はさらに、
前記散布計画に基づいて、前記農業用装置を操作する工程、
を含む、
ことを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記動作はさらに、
前記農業用装置から散布データを受信する工程と、
前記散布データを散布履歴データベースに記憶する工程と、
を含む、
ことを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記散布データは、前記前記農業用機械を操作する工程に基づいて生成される、
ことを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記散布計画は、前記農業用材料、前記ゾーン、および前記特徴部に基づく前記農業用材料の散布速度を含む、
ことを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記散布速度は、前記農業用材料、前記ゾーン、および前記特徴部に基づいて、前記ゾーンの異なるエリア内で変動する、
ことを特徴とする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
コンピュータプログラム指示を記憶するコンピュータ読み取り可能媒体であって、
前記コンピュータプログラム指示は、プロセッサ上で実行されると、前記プロセッサに、
地理的エリアをユーザに表示する工程と、
前記地理的エリアのゾーンを指定する入力を受信する工程と、
前記ゾーンに散布する農業用材料を特定する入力を受信する工程と、
前記ゾーンに対する散布計画を決定する工程と、
前記散布計画を農業用装置に送信する工程と、
含む動作を実行させる、
ことを特徴とする、コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項18】
前記ゾーンに対する前記散布計画は、複数の地理的座標と、農業用材料の関連する散布速度とを含む、
ことを特徴とする、請求項17に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項19】
前記ゾーンに対する散布計画を決定する工程は、
前記ゾーンにおける特徴部を特定する工程と、
前記特徴部の種類および前記農業用材料に基づいて、前記特徴部からのオフセットを特定する工程と、
前記特徴部に隣接するエリアの境界を定める地理的座標を、前記オフセットに基づいて決定する工程と、
前記特徴部に隣接する前記エリアの散布制限決定する工程と、
を含む
ことを特徴とする、請求項17に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項20】
前記動作はさらに、
前記散布計画に基づいて、前記農業用装置を操作する工程、
を含む、
ことを特徴とする、請求項17に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、農地マップに関し、より詳細には、農場マップのゾーンマッピングに関する。
【背景技術】
【0002】
農作業は、防除および自動化の活用が有効である。自動化には、必要に応じて動作が実行されることを保証するための事前計画が必要である。例えば、自動化された農業用機械は、農業用材料が散布されるべき場所および量に関する情報を必要とする。
【0003】
さらに、規制では、農業用材料の散布に関して文書化する必要がある。散布に関する法的要件は、ますます厳しくなっている。生垣や水路のような異なるタイプの隣接構造物に応じて、農業従事者が散布速度を変更する頻度が高まっている。典型的な散布システムでは、散布速度のみを調整することができる。農業用材料がどこに散布されるべきかを特定し、識別されたエリアに農業用材料がどのように散布すべきかに関する散布の詳細を特定し、特定されたエリアへの農業用材料の散布に関して文書化するための容易かつ効率的な方法が、必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態において、地理的エリアのゾーンへの農業用材料の散布をゾーンマッピングして追跡する方法は、ゾーンマッピングシステムの表示部を介して、ユーザが関心のある地理的エリアを表示する工程を含む。ユーザは、農業用材料を使用して処理する地理的エリアのゾーンを特定する。ユーザは、ゾーンに散布する農業用材料を特定し、ゾーンの散布計画を決定する。選択ゾーン用の前記散布計画を決定する工程は、ゾーン内の特徴部を特定する工程と、前記特徴部の種類および散布される前記農業用材料に基づいて、前記特徴部からのオフセットを特定する工程とを含む。前記特徴部に隣接する領域のエリアを定める地理的座標は、特定した前記オフセットに基づいて決定される。次に、前記散布計画は、実質的に前記散布計画に従って動作する農業用装置に送信される。前記農業用装置は、前記農業用材料の散布を追跡し、この情報をゾーンマッピングシステムに送信する。次に、前記散布情報は、前記散布情報の要求に応じて後で検索できるように、ゾーンマッピングシステムに関連するデータベースに記憶される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、一実施形態における地理的エリアを示す。
【
図2】
図2は、一実施形態における地理的エリアのゾーンの選択を示す。
【
図3】
図3は、一実施形態における地理的エリアのゾーンの選択を示す。
【
図4】
図4は、一実施形態における地理的エリア内の特定ゾーンにおける特徴部の特定結果を示す。
【
図5】
図5は、一実施形態における散布情報のテーブルを示す。
【
図6】
図6は、一実施形態におけるゾーンおよび特徴部のテーブルを示す。
【
図7】
図7は、一実施形態におけるゾーンマッピングシステムおよび関係する構成要素を示す。
【
図8】
図8は、一実施形態におけるゾーンマッピングおよび散布情報追跡の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1に、小川102、窪み104、植林地106、フェンス114、池108、道110、および湿地112を含むいくつかの特徴部を有する地理的エリア100を示す。地理的エリア100の画像は、農業用材料を散布すべきゾーン、農業用材料の散布を回避すべきゾーン、および農業用装置が横断すべきでないゾーンを特定するために、ユーザにより閲覧できる。例えば、ユーザは、農業用材料を小川102と窪み104との間に位置するゾーンに散布すべきであること、および農業用装置が小川102、窪み104、および湿地112の各々に隣接するエリアの横断を回避すべきであることを指定することができる。
【0007】
地理的エリア100の画像は、衛星画像または航空画像であってもよい。地理的エリア100の画像はまた、ユーザが、実際の地理的エリアを見ながら、またはそのエリアの衛星画像もしくは航空画像を見ながら、地理的エリア100を描いて生成したエリアの描写であってもよい。地理的エリア100に関する情報はまた、現地偵察を介したサンプリング、またはユーザが入力した農業用散布データにより生成されてもよい。
【0008】
一実施形態において、地理的エリア100は、ゾーンマッピングシステムの表示部を介してユーザに表示される。ゾーンマッピングシステムは、地理的エリア100の画像を表示し、ユーザは、例えば、タッチスクリーンディスプレイを使用して、地理的エリア100の様々なゾーンを特定することができる。
【0009】
一実施形態において、ゾーンマッピングシステムは、地理的エリア100の様々な特徴部を自動的に認識する。例えば、小川102、窪み104、植林地106、池108、道110、および湿地112は、例えば、エッジマッチング、グレースケールマッチング等の様々な物体認識技術のうちの1以上を使用して、地理的エリア100の画像から検出することができる。同様に、追加の特徴部も自動的に認識することができる。
【0010】
一実施形態において、地理的エリア100の特徴部をユーザが特定および指定することにより、自動認識を補間または置換してもよい。例えば、ユーザは、特徴部をトレースし、トレースした特徴部が表すものを特定し、その結果を入力することができる。一実施形態において、様々な多角形を含むファイルをインポートして、ユーザが、エリアを囲む多角形を選択してもよい。圃場または内部エリアの周りで装置を運転するオペレーターが地理的特徴部を特定し、そのエリアを囲む多角形を、装置の動きに基づいて生成してもよい。一実施形態において、すべてのカバー領域を包含するように、カバーマップ上に線を引くこともできる。
【0011】
ユーザは、タッチスクリーンまたはマウスを使用して所望のエリアの周りに多角形を描くことによって、地理的エリア100の様々なゾーンを指定してもよい。
図2に、ユーザが、地理的エリア100の画像の左上隅付近に位置する点を選択し、ポインタ202を右下にドラッグして、多角形204によって囲まれたゾーンを指定している様子を示す。
【0012】
図3に、ゾーン302のユーザが描写した、ゾーン302の境界を定義する多角形204によって特定されたゾーン302を示す。ユーザは、エリアの境界を指定するために4辺の多角形を描くことができる。一実施形態において、ユーザは、ゾーンの境界または特徴部の境界を指定するために、4より多いまたは少ない辺を有する多角形を描いてもよい。例えば、複雑な形状の場合、地理的エリア100内のゾーン、小川、池、または他の不規則な形状の特徴部を縁取る境界を指定するために、ユーザが多くの辺を有する多角形を描いてもよい。一実施形態において、ユーザは、エリアを特定するために線を引いてもよい。例えば、ユーザは、地理的エリア100を表示する画面の1辺から画面の隣接する辺に延びる線を描き、画面の2つの辺とユーザが描いた線とによって縁取られた三角形の領域を特定してもよい。
【0013】
ユーザは、ゾーン302などのゾーンを特定した後、識別したゾーンに散布する1以上の処理剤を選択することができる。例えば、ユーザは、選択ゾーン内で作物を栽培するために種子を植えることを選択することができる。ユーザはまた、選択ゾーンに散布する農薬、成長促進剤、肥料、または他の処理剤などの処理剤を選択することができる。
【0014】
作物は、処理剤の使用に関して特定の作物要件を有し得る。例えば、特定の作物に散布する農薬は、特定のエリアに対して、特定の量および濃度であることが求められ得る。そのため、例えば、大豆用の農薬は、1平方ヤードあたり2オンスの割合で、特定のエリア中に50%の濃度で散布することが求められ得る。
【0015】
作物要件に加えて、処理剤の散布に関して、政府機関または処理剤の製造業者によって特定の散布制限が定義され得る。例えば、農薬は、小川などの流水から特定の距離内に散布されることが制限され得る。農薬の散布に関する散布制限は、農薬が流水から5フィート以内のエリアに散布されるべきではないことを示し得る。散布制限は、一実施形態において、様々な理由のいずれかのために農業用材料をあるエリアに制限することに関する。散布制限は、政府機関、製造業者、および/または農業用材料の供給業者によって定義され得る。
【0016】
作物要件および散布制限に加えて、池、小川、または窪みなど、農業用装置が横断すべきではないエリアをゾーンマッピングシステムに特定させるこが望ましい場合もある。例えば、特定の農業用装置は、特定の深さの水を横断するように設計されていない場合がある。そのため、農業用装置が設計された深さよりも深い池は避けるべきである。さらに、特定の農業用装置は、閾値を超える勾配を有する斜面上で動作するように設計されていない場合がある。したがって、閾値を超える勾配を有する斜面は避けるべきである。一実施形態において、農業用装置の動作に関する制限を装置制限と呼ぶ。装置制限は、政府機関、製造業者、および/または農業用装置の取り扱い店によって定義され得る。
【0017】
ユーザが識別したエリアに対する処理剤を選択した後、ゾーンマッピングシステムは、処理剤が散布されるべきでない特定エリアを指定する。一実施形態において、処理剤を散布すべきではないエリアは、作物要件、散布制限、および/または回避されるべき物理的障害物(例えば、窪みの斜面、水域など)に基づく。
【0018】
図4は、特徴部からのオフセット距離に基づく境界を有する地理的エリア100を示す。本実施形態において、オフセットおよび図示された境界は、ユーザがゾーン302に散布したい農薬に関連付けられた散布制限に基づく。この制限は散布する材料に基づいて変化し得る。例えば、ある材料は、境界から5フィート以内では散布できず、境界から5フィートから25フィート以内ではノズルを使用せずに地面に直接散布でき、境界から25フィートから40フィートの間だけは大きな液滴を散布できるように制限することができる。
【0019】
小川の境界402は、農業用農薬が小川102の水を汚染するのを防止するために政府などの機関によって必要とされる、小川102の各側からのオフセットに基づく。例えば、政府の規制により、農業用農薬の散布が小川102から5フィートより近くで行われることが制限され得る。したがって、小川の境界402は、小川102の各側から5フィートに位置する。
【0020】
窪みの境界404は、農業用農薬を散布するために使用される農業用装置の動作に関して機器製造業者によって指定されたオフセットに基づく。例えば、機器製造業者は、農業用装置を斜面または閾値より大きい勾配を有する斜面上で操作しないように指示してもよい。例えば、機器製造業者は、特定の農業用装置を、例えば7パーセントより大きいグレードを有する斜面上で操作すべきでない旨を示し得る。窪みの境界404により、農業用装置の転倒などの潜在的事故を防止するために農業用装置を窪み104からどれだけ離れて操作すべきかを特定する。
【0021】
池の境界408は、農業用農薬が池108の水を汚染するのを防止するために政府などの機関によって必要とされる、池108の縁からのオフセットに基づく。例えば、政府の規制により、農業用農薬の散布が池108から5フィートより近くで行われることを制限し得る。したがって、池の境界408は、池108の各側から5フィートに位置する。
【0022】
道の境界410は、道110を歩くことでヒトまたは動物に農薬が曝露されることを防止するために、散布する農薬の製造業者が求める、道110の縁からのオフセットに基づく。例えば、ヒトまたは動物が移動するエリアから15フィートのオフセットは、農業用農薬の製造業者によって指定され得る。
【0023】
湿地の境界412は、本実施形態において、農業用農薬が湿地112を汚染するのを防ぐために政府が指定したオフセットに基づく。一実施形態において、湿地の境界412は、農業用農薬を散布するために使用する農業用装置の動作に関して機器製造業者が指定したオフセットに基づく。オフセットは、水中での農業用装置の動作や、農業用装置の重量を支えるのに十分な安定性がない可能性のある地面上での動作を防止するために、機器製造業者が指定し得る。一実施形態において、1つのオフセットは、湿地などの自然の特徴部に装置がどれだけ近づけるかに該当し、別のオフセットは、自然の特徴部からどれだけの近さで材料を散布できるかに該当する。なお、一実施形態において、2つの似ているオフセットが特徴部に該当するとき、より大きいオフセットを使用する。例えば、装置が自然の特徴部にどれだけ近づけるかに関して2つのオフセットが該当する場合、または材料が自然の特徴部の近くで散布できるかに関して2つのオフセットが該当する場合、同じ動作に関する2つのオフセットのうちの大きい方を使用する。
【0024】
一実施形態において、作物要件や散布制限などの散布情報は、散布/制限データベース内のテーブルに記憶される。ゾーンおよび特徴部情報は、ゾーンデータベース内のテーブルに記憶される。ゾーンの作成は、散布する材料が装填されているときに行ってもよい。散布する材料ごとに異なる制限があり得るため、散布ゾーンは散布する材料によって異なり得る。一実施形態において、特定の材料に複数の制限が適用される。例えば、液滴サイズ、散布速度、耕耘の深さ、散布タイプ、およびその他の制限が特定の材料に適用され得る。
図7(以下で詳細に説明する)に、散布/制限データベース714およびゾーンデータベース712が記憶されている記憶部710と通信する制御部702を示す。
【0025】
一実施形態において、散布詳細を使用して材料の散布を変更することができる。散布詳細は、ユーザによって入力され、および/または散布/制限データベース714に記憶することができる。一実施形態において、散布詳細は、特定の液体を散布するときに使用される液滴サイズに関する。用途に応じて液滴サイズを制御することができる。液滴サイズは、噴霧する液体の分布に影響を及ぼす。例えば、より小さな液滴は塗膜を形成することができ、より大きな液滴は風で飛ばされたり、散布対象の作物に触れる前に蒸発したりしない。
【0026】
散布/制限データベース714は、散布情報に関するレコードのテーブルを含む。
図5に、複数のレコード502、504、506、508、510を有するテーブル500を示す。各レコードは、特徴部520に関する。レコード502、504、506、508、510は、それぞれ、貯水、流水、斜面、隣接作物、およびヒト/動物の往来に関する。各レコードはまた、各特徴部に関連する制限および/または要件を含む。例えば、レコード502は、貯水に関し、農薬A522の散布に関する情報を含む。レコード502に示すように、貯水に対して5フィートより近い位置に農薬A522を散布してはならない。同様に、成長促進剤A524、肥料A526についても、レコード502に制限が設けられている。また、特定の特徴部に関する農業用機器の動作は、機器製造業者528で特定することができる。例えば、レコード506は、斜面に関する特徴部520について、機器製造者は、7%を超える勾配で農業用装置を操作しないことを推奨していることを示す。
図5に、レコード例と散布情報を示す。追加のレコードおよび散布情報も含めることができる。例えば、地勢における各特徴部をどのように変更できるかを特定する情報を、1以上のレコードに記憶することができる。その情報は、特定の深さまで砕土機を使用すること等によって、エリア内の土壌をどのように変更可能かに関するものでもよい。
【0027】
一実施形態において、散布情報および制限は、個々のレイヤーとして扱われ、各レイヤーの散布要件または制限は、個別に、かつ他のレイヤーとの関連性を考慮した上で、扱われる。例えば、一実施形態において、第1のレイヤーは、散布速度に関する。第1のレイヤーについては、液体散布対象の作物に良好な塗膜を形成する、微細な液滴を生成するために、高圧を使用する。第2のレイヤーは、保護する水に関するもので、その領域に関連する制限は、散布可能な液滴サイズの限界を特定するものである。装置がその制限が適用される領域に侵入すると、散布される液体の液滴サイズが、制限がない場合のサイズよりも大きく(例えば、粗く)なるように変更される。より大きな液滴サイズにより、その液滴が、風により領域内の水へ流れ込む可能性を低減する。一実施形態において、より大きな液滴サイズは、散布ノズルに印加する圧力を下げることで達成される。より低い圧力により、ノズルを通る流れが減少する。これに付随して、正しい流量および/または散布速度を維持するために、他のパラメータを調整してもよい。例えば、圧力低下によるノズルを通る流れの減少は、液体を噴霧する装置の速度を下げる、より高い流量を有するノズル(例えば、より高いデューティサイクルを伴うパルス幅変調を使用して、より高い流量を生成するノズル)へ変更する、追加のノズルを使用するなどによって補ってもよい。
【0028】
追加のレイヤーは、装置の動作を変更することもできる。例えば、第3のレイヤーは、装置の転倒を防止するために、傾斜したエリアに侵入際、装置が移動する速度を低減させ得る。このように移動速度をより低下させるためには、流量などの他のパラメータの調整を行うことで、この速度変更を補い、特定の散布速度を維持する必要がある。
【0029】
一実施形態において、ゾーンと特徴部の位置情報は、ゾーンデータベース712のテーブルに記憶される。
図6に、複数のレコード602、604、606、608を有するテーブル600を示す。各レコードは、ゾーンまたは特徴部620に関する。レコード602、604、606、608は、それぞれ、ゾーンA、特徴部A、特徴部B、特徴部C、特徴部Dに関する。各レコードは、各特徴部の形状およびサイズを定義する座標も含む。例えば、レコード602はゾーンAに関し、座標A622、座標B624、座標C626、座標D628、および座標E630は境界を定義する。一実施形態において、これらの座標は、緯度と経度によって特定される。他の実施形態において、座標は、他のタイプの地理的座標を使用して特定することができ、および/または座標系を使用することができる。一実施形態において、高度などの追加情報も特定することができる。
【0030】
一実施形態において、座標は多角形の複数の点を特定する。例えば、レコード602は、ゾーンAとして特定される多角形に関し、座標A~Eに関連する。座標A622は、ゾーンA多角形の第1の点を特定する。座標B624は、ゾーンA多角形の第2の点を特定し、座標A622と座標B624は合わせてゾーンA多角形の一辺を特定する。同様に、座標C626は、ゾーンA多角形の第3の点を特定し、座標B624と座標C626は合わせてゾーンA多角形の別の辺を定義する。同様に、座標D628は、ゾーンA多角形の第4の点を特定し、座標C626と合わせてゾーンA多角形の別の辺を定義する。座標E630は、ゾーンA多角形の一点を特定し、座標D628と合わせてゾーンA多角形の辺を定義する。なお、座標E630は、座標A620と同じ座標である。これは、一実施形態において、追加の座標がなく、特定された座標が共に閉じた多角形を形成することを示す。別の実施形態において、多角形を定義する記憶された座標の列は、特定された最後の座標が多角形を定義する最終座標であることを知らせる終了メッセージで終了する。さらに別の実施形態において、多角形は、エリアにまたがる2つの記憶された座標によって特定され、2つの記憶された座標間の任意の座標は、このまたがったエリア内の相対ベクトルと見なされる。ゾーンA602、ならびに特徴部A604、特徴部B606、特徴部C608、および特徴部D610は、
図1に示すように、ゾーン302、小川102、窪み104、植林地106、池108、道110、および湿地112等の地理的エリア内のゾーンおよび特徴部を表すことができる。
【0031】
図7に、一実施形態によるゾーンマッピングシステム700を示す。制御部702は、プログラム可能なロジック制御部、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、等の電気制御装置であってもよい。一実施形態において、制御部702はコンピュータを使って実装される。制御部702は、その全体動作を規定するコンピュータプログラム指示を実行することによりこのような動作を制御する、プロセッサ704を含む。コンピュータプログラム指示は、記憶部710または他のコンピュータ読み取り可能媒体(例えば、フラッシュドライブ、ソリッドステートドライブ、磁気ディスク、CD-ROMなど)に記憶され、コンピュータプログラム指示を実行したいときにメモリ706に取り込まれてもよい。したがって、
図8における方法ステップ(以下に記載)は、メモリ706および/または記憶部710に記憶されたコンピュータプログラム指示によって規定でき、コンピュータプログラム指示を実行する制御部704のプロセッサ702により制御できる。例えば、コンピュータプログラム指示は、
図8の方法ステップに規定されるアルゴリズムを実行するように当業者によってプログラムされたコンピュータ実行可能コードとして実現できる。したがって、コンピュータプログラム指示を実行することにより、制御部702のプロセッサ704は、
図8の方法ステップに規定されるアルゴリズムを実行する。当業者とって当然のことながら、制御部の実装形態は、他の構成要素も同様に含んでもよく、制御部702は例示を目的としてそのような制御部の構成要素のうち、いくつかの構成要素を高度に示したものである。なお、上記で説明した計算装置のうちの1以上は、リモート配置され、ネットワークを介してアクセスされ得る(例えば、計算装置のうち1以上はクラウドベースであり得る)。
【0032】
メモリ706は、制御部702に電気的に接続され、1以上の種類のランダムアクセスメモリを備える。ランダムアクセスメモリは、揮発性、不揮発性の両方を含む。記憶部710は、ゾーンマッピングに関するデータベースを含むことができる。一実施形態において、記憶部710は地理的エリアのゾーン(
図3に示す地理的エリア100のゾーン302など)に関する情報を記憶するゾーンデータベース712を含む。記憶部710はまた、農業用材料および農業用装置に関する情報、ならびに農業用材料の散布および農業用装置の使用についての散布および制限に関する推奨事項を記憶する散布/制限データベース714を含んでもよい。記憶部710はまた、農業用材料のゾーンデータベース712で特定されたゾーンへの散布に関する情報を記憶する散布データベース730を含んでもよい。
【0033】
入出力部708は、キーボード、タッチスクリーンなどの様々な入力部を含み得る。入出力部708は、表示部、ライト、アラームなどの様々な出力部を含み得る。入出力部708の入出力は、制御部702に電気的に接続される。ネットワークインターフェース716は、制御部702と電気的に接続され、様々なデバイスを介した制御部702との通信を容易にする。ネットワークインターフェース716は、有線および無線を含む様々な接続の種類であり得る。ネットワークインターフェース716はまた、様々な通信プロトコルを利用することができる。ネットワークインターフェース716は、制御部702が様々な装置と通信することを可能にする。
【0034】
一実施形態において、ネットワークインターフェース716により、制御部702が、それぞれが異なる機関と関連けられる様々な装置と通信することを可能にする。一実施形態において、制御部702は、農業用材料に関する散布および制限情報を受信するために、ネットワークインターフェース716を介して農業用材料製造者の装置718と通信する。制御部702はまた、装置に関する動作情報を受信するために、ネットワークインターフェース716を介して、機器製造業者の装置720と通信する。制御部702はまた、農業用材料の散布に関する制限に関する情報を受信するために、ネットワークインターフェース716を介して政府機関装置718と通信する。
【0035】
一実施形態において、制御部702は、ネットワークインターフェース716を介して農業用装置724と通信する。農業用装置724は、一実施形態において、その動作を追跡および/または制御するために使用することができるコンピュータである、装置表示器726を備える。一実施形態において、装置表示器724は、農業用装置724の向きと、作業要素(例えば、器具)の位置と、を示す構成要素などの追加の構成要素を含む。農業用装置724は、全地球測位システム(GPS)受信機728とも呼ばれる、全地球航法衛星システム(GNSS)受信機を含むことができる。GPS受信機728は装置表示器726に電気的に接続されている。GPS受信機728は、関連するアンテナの位置を決定し、その位置情報を装置表示器726に送信する。農業用装置724に関する動作情報および位置情報は、ネットワークインターフェース716を介して制御部702に送信され得る。さらに、特定の地理的エリアのゾーンマップおよび散布/制限情報を、ネットワークインターフェース716を介して制御部702から装置表示器724に送信してもよい。
【0036】
図8に、一実施形態による、ゾーンマッピングし、散布計画を生成するための方法800のフローチャートを示す。ステップ802において、地理的エリアをユーザに表示する。一実施形態において、表示用の地理的エリアは制御部702により生成され、
図1に関連して図示および説明したように、ユーザに表示される。ステップ804において、地理的エリアのゾーンを特定するユーザから、入力を受信する。一実施形態において、ユーザは、
図2および
図3に関連して図示および説明したように、所望のゾーンの隅を選択し、ポインタをゾーンの反対の隅にドラッグすることによってゾーンを選択する。なお、ユーザは、
図3に示すゾーンの辺を修正することによって他の形状を特定することができる。さらに、ユーザは、ゾーン内にあることが望まれるエリアの周りの境界をトレースすることによって前記ゾーンを特定することができる。
【0037】
ステップ806において、特定されたゾーンへ散布する農業用材料を特定するユーザからの入力を受信する。一実施形態において、ユーザは、ポップアップまたはドロップダウンメニューに示される複数の農業用材料から選択することができる。メニューにおいて特定された農業用材料は、散布/制限データベース714において特定農業用材料から選択することができる。あるいは、農業用材料を含有する包装上に配置されたラベルを、スキャナなどの携帯端末を使用して走査することができる。一実施形態において、ユーザは、農業用材料に関する特定情報を入力することができ、その農業材料に関する情報は、
図7に示す農業用材料製造者の装置718および/または政府機関(例えば、連邦、地方、地域等)装置722から取得することができる。散布速度、液滴サイズ、などの農業用材料に関する情報は、農業用材料の製造業者および/または販売業者から得ることができる。
【0038】
次に、特定したゾーンの散布計画を決定する。一実施形態において、散布計画の決定は、特徴部の特定と、オフセットの特定と、オフセットに基づいた、特徴部に隣接するエリアの地理的座標の決定と、を含む。ステップ808において、ゾーン内の特徴部が、
図3および
図4に関連して上述したよう特定される。例えば、
図1に示す小川102を特定することができる。ステップ810において、次に、
図4および
図5に関連して説明したように、特徴部の種類および選択した農業用材料に基づいて、特徴部のオフセットを決定する。ステップ812において、特徴部に隣接するエリアを定める地理的座標を、特定したオフセットに基づいて決定する。なお、農業用材料、特徴部、および特定のゾーンに起因して、農業用材料の散布速度、液滴サイズ、噴霧パラメータなどは、特定のゾーン内のエリア毎で異なり得る。一実施形態において、各ゾーンの制限により、場所内の特定の位置で散布が行われる場合、その場所内の代表的な散布速度を変更することができる。隣接ゾーンは、同様の散布速度を有し得るが、制限により、隣接するゾーンのうちの1つにおける散布速度を変更することができる。一実施形態において、散布装置の限定は、散布速度に影響を及ぼし得る。例えば、特定のゾーンが隣接ゾーンとは異なる散布速度である必要があるが、散布装置が隣接ゾーンに異なる散布速度で散布することができない場合、より限定的な散布速度が両方の隣接ゾーンに使用されてもよい。
【0039】
ステップ814において、散布計画が農業用装置に送信される。一実施形態において、制御部702が、ネットワークインターフェース716を介して農業用装置724の装置表示器726に散布計画を送信する。送信は、有線または無線接続を介して行うことができる。そして、農業用噴霧器などの農業用装置は、選択ゾーンによって特定される地理的エリアに農業用材料を散布する。農業用装置が散布計画に沿って農業用材料を散布するように動作すると、農業用装置の装置表示器が、位置や関連する散布速度など、農業用材料の散布に関する情報を記録する。装置表示器によって収集された情報を、散布データと呼ぶ。一実施形態において、散布データは、散布計画に沿った農業用装置の動作に基づいて生成される。しかしながら、散布データは、ゾーン内の障害物やオペレーターのミスなどのさまざまな理由で散布計画から逸脱する可能性がある。
【0040】
ステップ816において、散布データを農業用装置から受信する。ステップ818において、農業用装置から受信した散布データを散布履歴データベース730に記憶させる。農業用材料がゾーンにどのように散布されたのかを示すために、散布履歴データベース730に記憶した情報を様々な機関に提供することができる。例えば、政府機関は、特定の農業用材料の散布に関する情報をユーザに要求することができる。ユーザは、実際に行われた特定の農業用材料の散布全てに関する情報を検索し、この情報を政府機関に提供することができる。一実施形態において、記録データもまた、他の散布エリア/工程における所望の散布速度を決定するために使用され得る。
【0041】
一実施形態において、ゾーンマッピングし、散布計画を生成するための方法は、地理的な位置および散布装置の動きを特定することから始まる。散布装置が特定され、その状態および向きを判定する。表示部には、装置とその周辺エリアを示すマップが表示される。既存の境界、ゾーン、または障害物などのローカルデータもマップ上に表示される。マップ上に表示されたエリア内の新しい特徴部が特定され、それらの座標が決定される。マップのエリアへの材料の散布に関する情報がロードされ、そのエリアに散布する材料が(例えば、ユーザによる製品の選択、または携帯端末を使用した製品のパッケージのスキャンにより)特定される。次に、製品製造業者、装置および/または機器の製造業者、材料アドバイザー、または政府機関など、1以上の情報源から材料に関する情報を入手する。得られた情報に基づいて、オフセット幅と、一実施形態においては制限の種類と、を決定し、その情報が、マップに表示されるエリアに適用される。マップのゾーンに対する散布情報(速度および制限)が決定され、決定した散布情報に沿って、材料が散布される。一実施形態において、散布情報は、農業用装置とは別の装置上で決定される。それらの実施形態において、散布情報は、農業用装置に送信される。一実施形態において、農業用装置は、散布情報に基づいて、材料がエリアにどのように散布されるかに関するデータを記録する。なお、実際に散布される材料は、所望の散布を妨げる様々な要因に起因して、上記のように決定された意図したまたは所望の散布とは異なる場合がある。一実施形態において、マップで特定したエリアに散布した材料に関する農業用装置が記録したデータは、ある場所(例えば、散布履歴データベース)に記憶される。
【0042】
以上の「発明を実施するための形態」は、あらゆる点において例示的であって限定的ではないものとして理解されるべきであり、本明細書に開示される本発明概念の範囲は、「発明を実施するための形態」から判断されるのではなく、各特許法において認められる全容に渡って解釈される特許請求の範囲から判断されるべきものである。当然のことながら、本明細書に図示、説明された実施形態は、本発明概念の原理を例示したにすぎず、本発明概念の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者によって様々な修正が行われてもよい。当業者は、本発明の概念の範囲および趣旨から逸脱することなく、他の様々な特徴の組合せを実現できるであろう。
【国際調査報告】