(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】目的生産物の発芽、播種及び/又は培養のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A01G 33/00 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
A01G33/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522860
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 US2021054952
(87)【国際公開番号】W WO2022081826
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522440027
【氏名又は名称】ランニング タイド テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】フォーマン,ショーン アーサー
(72)【発明者】
【氏名】オドリン,マシュー ジョーダン
【テーマコード(参考)】
2B026
【Fターム(参考)】
2B026AB08
(57)【要約】
装置は、輸送コンテナ(100)と、輸送コンテナを電力源に電気的に結合するように構成された電気インタフェース(108)と、輸送コンテナを水源に流体的に結合するように構成された水インタフェース(107)とを含む。輸送コンテナは、1つ又は複数の培養チャンバ(110)と、培養チャンバと流体連通している水循環システム(115)と、培養チャンバと流体連通しているガス循環システム(120)と、照明システム(125)とが内部に配置されている。各培養チャンバは、目的生産物の少なくとも1つの生物学的構成要素を受け取るように構成される。水循環システムは、培養チャンバ内にある量の水を提供するように構成され、ガス循環システムは、培養チャンバ内にガスの流れを提供するように構成され、照明システムは、培養チャンバに光を提供するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送コンテナであって、
少なくとも1つの培養チャンバであって、各々が、目的生産物の少なくとも1つの生物学的構成要素を受け取るように構成されている、培養チャンバと、
各培養チャンバと流体連通している水循環システムであって、各培養チャンバ内にある量の水を提供するように構成されている水循環システムと、
各培養チャンバと流体連通しているガス循環システムであって、各培養チャンバ内にガスの流れを提供するように構成されているガス循環システムと、
各培養チャンバに光を提供するように構成された照明システムと、
が内部に配置されている輸送コンテナと、
前記輸送コンテナを電力源に電気的に結合するように構成された電気インタフェースと、
前記輸送コンテナを水源に流体的に結合するように構成された水インタフェースと、
を備える装置。
【請求項2】
前記目的生産物が大型藻類であり、前記目的生産物の少なくとも1つの生物学的構成要素が、大型藻類の胞子、遊走子、配偶体又は胞子体のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記照明システムが、少なくとも1つの培養チャンバに収容された前記大型藻類の胞子、遊走子、配偶体又は胞子体のうちの前記少なくとも1つに、紫外線、可視光線又は赤外線のうちの少なくとも1つを提供するように構成された少なくとも1つのグローライトを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記輸送コンテナは、さらに
前記輸送コンテナ内の温度を調節するように構成された温度調節システム
が内部に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記輸送コンテナは、さらに
各培養チャンバと流体連通する排水システムであって、前記培養チャンバのうちの少なくとも1つから前記輸送コンテナの外側の容積への水の流れを選択的に可能にする排水システム
が内部に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記輸送コンテナは、さらに
前記ガス循環システムに流体的に結合されたガスポンプであって、前記ガス循環システムが、前記ガスポンプから各培養チャンバにガスの流れを提供するように構成されている、ガスポンプ
が内部に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記輸送コンテナは、さらに
前記水インタフェースに流体的に結合された保持タンクであって、前記水循環システムが、前記保持タンクと各培養チャンバとの間で水を移送するように構成されている、保持タンク
が内部に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記水源が塩水源であり、前記水循環システムが、前記保持タンクから各培養チャンバに塩水を移送するように構成された塩水循環システムである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記水源が淡水源であり、前記保持タンクが前記淡水源から淡水の流れを受け取り、前記保持タンクが、1つ又は複数の天然に存在する元素が前記保持タンクに収容されている前記淡水と混合して塩水を生成するのを可能にし、前記水循環システムが、前記保持タンクから各培養チャンバに塩水を移送するよう構成された塩水循環システムである、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
各培養チャンバと流体連通している淡水循環システムであって、淡水を各培養チャンバに移送するように構成された淡水循環システム
をさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
組み立て場所において、輸送コンテナ内で大型藻類発芽装置を組み立てることと、
前記大型藻類発芽装置を前記組み立て場所とは異なる展開場所に搬送することと、
前記大型藻類発芽装置の電気インタフェースを前記展開場所の電力源に電気的に結合することであって、前記電気インタフェースが前記輸送コンテナの外面に結合されている、結合することと、
前記大型藻類発芽装置の水インタフェースを前記展開場所の水源に流体的に結合することであって、前記水インタフェースが前記輸送コンテナの外面に結合されている、結合することと、
を含む方法。
【請求項12】
前記組み立てることが、
前記輸送コンテナの内部の少なくとも一部を断熱することと、
前記輸送コンテナ内で少なくとも1つの培養チャンバを組み立てることであって、各培養チャンバが、大型藻類の少なくとも1つの生物学的構成要素を受け取るように構成されている、組み立てることと、
前記輸送コンテナ内で水循環システムを組み立てることであって、前記水循環システムが、各培養チャンバに対応する少なくとも1つの水出口と流体連通する保持タンクを有し、前記保持タンクが、前記水インタフェースから水の流れを受け取るように構成され、前記水循環システムが、前記保持タンクから、前記対応する少なくとも1つの水出口を介して各培養チャンバにある量の水を移送するように構成されている、組み立てることと、
前記輸送コンテナ内でガス循環システムを組み立てることであって、前記ガス循環システムが、各培養チャンバに対応する少なくとも1つのガス出口と流体連通するガスポンプを有し、前記ガス循環システムが、前記ガスポンプから、前記対応する少なくとも1つのガス出口を介して各培養チャンバにガスの流れを提供するように構成されている、組み立てることと、
前記輸送コンテナ内で照明システムを組み立てることであって、前記照明システムが、前記電気インタフェースからの電力に応答して、前記少なくとも1つの培養チャンバに収容された大型藻類の前記少なくとも1つの生物学的構成要素に、紫外線、可視光又は赤外線のうちの少なくとも1つを提供するように構成されている、組み立てることと、
各培養チャンバと流体連通する排水システムであって、前記培養チャンバのうちの少なくとも1つから前記輸送コンテナの外側の容積への水の流れを選択的に可能にする排水システムと、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ガス循環システムの前記ガスポンプが、前記電気インタフェースに電気的に接続され、前記ガスポンプが、電力の流れに応答してある量のガスを圧縮するように構成され、前記圧縮されたガスが、前記ガス循環システムを通して前記ガス出口のうちの少なくとも1つに移送されるように構成され、
前記水循環システムが、前記電気インタフェースに電気的に接続された少なくとも1つの水ポンプを含み、前記少なくとも1つの水ポンプが、電力の流れに応答して、前記水循環システムを通して前記保持タンクから前記水出口のうちの少なくとも1つに水の流れを提供するように構成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記搬送することが、海上貨物船又は列車のうちの少なくとも1つによって搬送することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記搬送することが、海洋貨物船によって搬送することを含み、前記大型藻類発芽装置が、前記海洋貨物船上にあるとともに、前記海洋貨物船が外洋の所望の場所にあるとき、前記展開場所にある、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記大型藻類の前記生物学的構成要素が、大型藻類の胞子、遊走子、配偶体又は胞子体のうちの少なくとも1つである、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
大型藻類発芽装置の電気インタフェースを電力源に電気的に結合することであって、前記大型藻類発芽装置が輸送コンテナ内に収容され、前記電気インタフェースが前記輸送コンテナの外面に結合されている、結合することと、
前記大型藻類発芽装置の水インタフェースを水源に流体的に結合することであって、水インタフェースが前記輸送コンテナの外側に配置されている、結合することと、
前記大型藻類発芽装置の水循環システムを通して少なくとも1つの培養チャンバに水を移送することであって、前記水循環システム及び前記培養装置が前記輸送コンテナ内に配置されている、移送することと、
ガス循環システムを通して前記少なくとも1つの培養チャンバにガスを移送することであって、前記ガス循環システムが前記輸送コンテナ内に配置されている、移送することと、
前記輸送コンテナ内に配置された照明システムに電力の流れを提供して、前記照明システムが、前記少なくとも1つの培養チャンバに収容された大型藻類の少なくとも1つの生物学的構成要素に光を提供することと、
を含む方法。
【請求項18】
前記水循環システムを通して前記水を移送することが、前記水インタフェースに流体的に結合された保持タンクから前記少なくとも1つの培養チャンバにある量の水を移送することを含み、前記保持タンクが前記輸送コンテナ内に配置されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記水源が淡水源であり、前記方法が、
前記水インタフェースから前記保持タンクに淡水の流れを移送することと、
前記保持タンクに収容された前記淡水を1つ又は複数の天然に存在する元素と混合して塩水を生成することであって、前記保持タンクから前記少なくとも1つの培養チャンバに前記ある量の水を移送することが、前記保持タンクから前記少なくとも1つの培養チャンバにある量の塩水を移送することを含む、生成することと
をさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記水循環システムが塩水循環システムであり、前記方法が、
前記大型藻類発芽装置の淡水循環システムを通して前記少なくとも1つの培養チャンバに淡水の流れを移送することであって、前記淡水循環システムが、前記輸送コンテナ内に配置され、前記塩水循環システムから少なくとも部分的に独立している、移送すること
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ガス循環システムを通して前記少なくとも1つの培養チャンバに前記ガスを移送することが、ガスポンプから前記ガス循環システムを通して前記少なくとも1つの培養チャンバに空気の流れを移送することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記照明システムが複数のグローライトを含み、前記照明システムに電力を供給することにより、前記複数のグローライトが、前記少なくとも1つの培養チャンバに収容された前記大型藻類の胞子、遊走子、配偶体又は胞子体のうちの前記少なくとも1つに、紫外線、可視光又は赤外光のうちの少なくとも1つを提供する、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記大型藻類の前記生物学的構成要素が、大型藻類の胞子、遊走子、配偶体又は胞子体のうちの少なくとも1つである、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの培養チャンバ内に培養装置の少なくとも一部を配置して、前記培養装置の前記少なくとも一部に大型藻類の配偶体又は胞子体を播種すること
をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記輸送コンテナ内に収容された前記大型藻類発芽装置を組み立て場所で組み立てることと、
前記組み立て後に、前記輸送コンテナを、前記組み立て場所とは異なる展開場所に搬送することであって、前記電力源及び前記水源が、それぞれ、前記展開場所における電力源及び水源である、搬送することと、
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、「Systems and Method for the Seeding, Cultivation, and/or Harvesting of Macroalgae」と題する、2021年10月14日に出願された米国仮特許出願第63/091,753号に対する優先権及びその利益を主張し、その出願の開示内容は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
背景
[0002] 本開示は、概して、目的生産物を発芽(hatching)させ、培養し、播種し、及び/又は展開するためのシステム及び方法に関し、より詳細には、大型藻類等の目的生産物を発芽させ、培養し、播種し、及び/又は展開するための海洋及び/又は移動式発芽装置(hatchery)に関する。
【0003】
[0003] 近年、水生及び/又は海洋生物種又は生物体の培養及び/又は蓄積に高い関心が集まっている。藻類(例えば、微細藻類、大型藻類等)、甲殻類、プランクトン及び/又は濾過摂食者の種は、食品又は飼料に、食品加工添加物として、包装材料として、肥料として、及び/又はバイオ燃料、化粧品、医薬品及び/又は他の(バイオ)材料等の原材料として、使用することができる。水生及び/又は海洋生物体は、バイオレメディエーション、炭素回収のために、及び/又は他の好適な目的に対しても使用することができる。海洋生物体の培養及び/又は蓄積には多くの利点がある。陸上での植物の培養と比較して、海洋生物種の培養は生産性が高くなる。加えて、希少な農地又は淡水が不要であり、海洋での培養のために追加の栄養分が不要である。さらに、海洋生物種の目標とされる培養は、海洋生物多様性の保護又は向上に、及び/又は人為的な温室効果ガス(例えば、二酸化炭素等)の排出による悪影響の軽減に貢献することができる。
【0004】
[0004] 大型藻類等の海洋生物種を成長させ及び/又は培養する現行のプロセスは、一般に陸上発芽施設等で開始する。例えば、野生の又は養殖された産卵する大型藻類から、無性生殖遊走子を含む胞子を採取することを含む、大型藻類を発芽させ及び/又は播種するいくつかの既知の方法。発芽施設では、遊走子は、浴槽内に保持され、選択的に(例えば、所望の赤色又は青色の照明条件を用いて)(造精器を有する)雄の生殖構造又は(生卵器を有する)雌の生殖構造を有する配偶体に発育し、次いで、それは、胞子生殖後に胞子体に発育する。いくつかの場合では、胞子体を、胞子体が付着することができる種糸(seeding line)(又は種糸の1つ若しくは複数のリール)等を収容している浴槽に移送することができる。他の場合では、種糸(又はその1つ若しくは複数のリール)は、遊走子の追加及び/又は導入の前に最初の浴槽に収容することができる(例えば、「直接播種」法として既知である)。所望の量が発育した後、種糸(又はその1つ若しくは複数のリール)は、陸上の発芽装置から、種糸(又はその1つ若しくは複数のリール)を洋上の展開サイトに運ぶ船舶に移され、その展開サイトでは、種糸は、延縄、ロープ、ヘッダライン、培養ライン等に取り付けられる。しかしながら、こうした既知の発芽及び/又は播種方法は、労働集約的であり、非効率的であり、及び/又は高価である。さらに、洋上展開サイトは、播種された培養機器を運搬するために船舶を必要とする遠隔の及び/又は遠方の場所にある可能性があり、これは、スペース又は資源の非効率的な使用である可能性があり、及び/又は発育中の種の不好適な保管、取扱い及び/又は処理につながる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005] したがって、目的生産物を発芽させ及び/又は播種し、発育中の目的生産物を所望の展開場所に送り出し、播種された目的生産物を培養装置及び/又はマイクロファーム(microfarm)に移送するか又は取り付け、及び/又は培養装置及び/又はマイクロファームを展開するための改善されたシステム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006] 本明細書では、目的生産物を発芽させ、培養し、播種する等のためのシステム及び方法について記載する。いくつかの実施形態では、装置は、輸送コンテナと、輸送コンテナを電力源に電気的に結合するように構成された電気インタフェースと、輸送コンテナを水源に流体的に結合するように構成された水インタフェースとを含む。輸送コンテナは、1つ又は複数の培養チャンバと、培養チャンバと流体連通している水循環システムと、培養チャンバと流体連通しているガス循環システムと、照明システムとが、内部に配置されている。各培養チャンバは、目的生産物の少なくとも1つの生物学的構成要素(例えば、胞子、遊走子、配偶体及び/又は胞子体)を受け取るように構成されている。水循環システムは、培養チャンバ内にある量の水を提供するように構成されており、ガス循環システムは、培養チャンバ内にガスの流れを提供するように構成されており、照明システムは、培養チャンバに光を提供するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】[0007]一実施形態による培養装置の概略図である。
【
図2】[0008]一実施形態による、目的生産物及び/又はその生物学的構成要素を発芽させ、播種し、及び/又は培養するための洋上及び/又は移動式発芽装置の概略図である。
【
図3】[0009]一実施形態による洋上及び/又は移動式発芽装置を設置し、組み立て、及び/又は使用する方法を示すフローチャートである。
【
図4】[0010]一実施形態による洋上及び/又は移動式発芽装置を使用する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
[0011] 本明細書では、目的生産物の洋上及び/又は移動式発芽のためのシステム及び方法について記載する。いくつかの実施態様では、本明細書に記載するシステム及び方法は、限定されないが、大型藻類の特定の種及び/又はその生物学的構成要素(例えば、胞子、遊走子、配偶体及び/又は胞子体)等、目的生産物又は目的生産物の生物学的構成要素を発芽させ及び/又は生息させるために使用することができる、洋上及び/又は移動式発芽装置を提供することができる。本明細書に記載する洋上及び/又は移動式発芽装置のうちの任意のものを使用して、目的生産物又は目的生産物の生物学的構成要素を、1つ又は複数の培養装置、マイクロファーム、及び/又は展開構造体に播種し及び/又は取り付けることもできる。目的生産物又は目的生産物の生物学的構成要素が播種され及び/又は取り付けられた状態で、培養装置、マイクロファーム及び/又は展開構造体を水体(例えば、海洋、海、湖、河川等)内に展開することができ、及び/又は、培養装置、マイクロファーム及び/又は展開構造体を展開することができる船舶等に送り出すことができる。
【0009】
[0012] 一般に、大型藻類等の目的生産物は、成熟すると正又は負の浮力を有するようになり、展開された目的生産物が収穫及び/又は隔離されることが可能になる。例えば炭素隔離等、有害な人為的温室効果ガス排出の軽減のための技術が開発されるに従い、目的生産物のバイオマスの大規模(例えば、数ギガトン程度の)隔離に対する関心は高まり続けている。大型藻類等の目的生産物は、そのバイオマスの推定11%が海底に自然に隔離されるため、炭素隔離技術として有望視されている。大型藻類の培養は、天然に存在する大型藻類と比較して培養の生産性が向上するため、この隔離率を大幅に向上させる可能性がある。いくつかの実施態様では、海底に沈降する大型藻類の単位あたりで隔離された炭素を、定量化し、計算し、及び/又は評価することができ、その炭素を隔離する大型藻類の計算された能力に結びついた、又はその他の方法で関連付けられたクレジットを、炭素クレジット市場(又は他の任意の好適な市場)で販売することができる。世界的な炭素クレジット市場の価格が上昇を続けるため、目的生産物を発芽させ、展開し、培養し、及び/又は沈設するための新たなデバイス及び/又は方法を改善及び/又は開発することが依然として望ましい。
【0010】
[0013] いくつかの実施形態では、装置は、輸送コンテナと、輸送コンテナを電力源に電気的に結合するように構成された電気インタフェースと、輸送コンテナを水源に流体的に結合するように構成された水インタフェースとを含む。輸送コンテナは、1つ又は複数の培養チャンバと、培養チャンバと流体連通している水循環システムと、培養チャンバと流体連通しているガス循環システムと、照明システムとが、内部に配置されている。各培養チャンバは、目的生産物の少なくとも1つの生物学的構成要素(例えば、胞子、遊走子、配偶体及び/又は胞子体)を受け取るように構成されている。水循環システムは、培養チャンバ内にある量の水(及び/又は、連続的若しくは周期的な培地交換のための水の流れ)を提供するように構成されており、ガス循環システムは、培養チャンバ内にガス(例えば、空気)の流れを提供するように構成されており、照明システムは、培養チャンバに光を提供するように構成されている。
【0011】
[0014] いくつかの実施態様では、方法は、組み立て場所において、輸送コンテナ内で大型藻類発芽装置を組み立てることを含む。電気インタフェース及び水インタフェースを含む大型藻類発芽装置、これらの各々は、輸送コンテナの外面に結合される。大型藻類発芽装置は、組み立て場所とは異なる展開場所に搬送される。展開場所において、電気インタフェースは、電力源に電気的に結合され、水インタフェースは、水源に流体的に結合される。
【0012】
[0015] いくつかの実施態様では、方法は、輸送コンテナ内に収容された大型藻類発芽装置の電気インタフェースを電力源に電気的に結合することを含む。大型藻類発芽装置の水インタフェースが、水源に流体的に結合される。電気インタフェース及び水インタフェースは、輸送コンテナの外面に結合される。ある量の水が、大型藻類発芽装置の水循環システムを通して、少なくとも1つの培養チャンバに搬送される。水循環システム及び少なくとも1つの培養チャンバは、輸送コンテナ内に配置される。ガスの流れが、ガス循環システムを通して少なくとも1つの培養チャンバに搬送される。ガス循環システムは、輸送コンテナ内に配置される。電力の流れが、輸送コンテナ内に配置された照明システムに提供され、照明システムが少なくとも1つの培養チャンバに収容された大型藻類の少なくとも1つの生物学的構成要素(例えば、胞子、遊走子、配偶体又は胞子体)に光を提供するようにする。
【0013】
[0016] 本明細書で用いる場合の、単数形の「1つ(a、an)」及び「その(the)」は、文脈において明確な別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「部材(a member)」という用語は、単一の部材又は部材の組合せを意味するように意図され、「材料(a material)」は、1種若しくは複数種の材料、又はそれらの組合せを意味するように意図される。
【0014】
[0017] 本明細書に記載する実施形態は、目的生産物の発芽、播種、初期成長及び/又は培養を支援、助長及び/又は促進するデバイス、システム及び方法に関する。本明細書で用いる場合の「目的生産物」は、概して、対象となる1種又は複数種の水生及び/又は海洋生物種を指す。例えば、「目的生産物」は、限定されないが、甲殻類、プランクトン、フィルタフィーダ、藻類(微細藻類、大型藻類等)のような不等毛類等、水生及び/又は海洋生物種を含むことができる。しかしながら、他の実施態様では、目的生産物は、その培養が所望の結果(例えば、収穫された生産物として、バイオレメディエーションのために、炭素回収及び隔離のために等)につながる任意の好適な種を指すことができる。
【0015】
[0018] 本明細書で用いる場合の、目的生産物の「生物学的構成要素」は、概して、目的生産物の発育の段階に関連する目的生産物の1つ又は複数の構成要素を指す。例えば、目的生産物は、例えば、成熟した又は成熟中の大型藻類とすることができ、大型藻類の生物学的構成要素は、胞子、遊走子、配偶体、胞子体等とすることができる。したがって、生物学的構成要素が発育して目的生産物になる間、生物学的構成要素自体は、目的生産物又は目的生産物の全体と見なされる場合もあれば、見なされない場合もある。概して、目的生産物の生物学的構成要素は、例えば、例えば発芽装置で培養された、発育初期の生物学的構成要素であり、一方で、目的生産物は、全体として、例えば、培養装置及び/又はその一部の上に、又はそれによって播種され及び/又は培養される。
【0016】
[0019] 本明細書に記載する目的生産物は、自然の及び/又は所望の生育地が水体である、選択された海洋生物種である。水体という場合、水体は、目的生産物の培養を促進することができる特性に基づいて選択することができることが理解されるべきである。したがって、本明細書では所定の水体(例えば、海洋又は海)について言及する場合があるが、文脈において明確な別段の指示がない限り、そのように記載する実施形態、例及び/又は実施態様は、そうした環境での使用に限定されないことが理解されるべきである。さらに、本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合の「塩水」という用語は、その成分がある一定の濃度の塩を含む任意の水体を指すように意図されている。対照的に、「淡水」は、その成分が塩を含まないか、又は限られた濃度の塩を含む、任意の水体を指すことができる。塩水は、例えば、海洋、海、湾、湾岸等を形成する水を指すことができる。淡水は、例えば、河川、湖沼等を形成する水を指すことができる。さらに、淡水と塩水とのいくつかの混合物は、一般に「汽水」(例えば、河口域等に見られる河川水と海水の混合物)として既知である。
【0017】
[0020] ここで図面を参照すると、
図1は、一実施形態による培養装置10の概略図である。いくつかの実施態様では、培養装置10は、例えば、1種又は複数種の大型藻類種等、1種又は複数種の目的生産物を培養するために使用することができる。いくつかの実施態様では、培養装置10は、任意の数の培養装置の展開に含めることができる。例えば、いくつかの実施態様では、1つの展開は、数十、数百、数千、数万、数十万、又はそれ以上の培養装置10を含むことができ、それらの各々には、1種又は複数種の目的生産物が播種され及び/又は取り付けられている。本明細書でさらに詳細に説明するように、培養装置10の展開は、任意の好適な水体上の任意の好適な地理的位置にあり得る。いくつかの場合では、例えば、海洋展開は、比較的遠い洋上にあり、及び/又は比較的遠隔の場所にあり得る。こうした場合では、典型的な陸上発芽ステーション又は施設の使用、及び/又はそうした施設で播種された多数の培養装置10のこうした場所への搬送は、実現不可能であり、及び/又は実行不可能である可能性がある。したがって、こうした場合では、本明細書に記載するもの等、洋上及び/又は移動式発芽装置の必要性が生じる。
【0018】
[0021] 状況の説明のために、
図1に示す培養装置10の考察を以下に示す。培養装置10の考察に続いて、目的生産物のための1つ又は複数の洋上及び/又は移動式発芽装置の実施形態、態様、特徴及び/又は方法について考察する。
【0019】
[0022] 培養装置10は、第1部材12と、第2部材14と、第1部材12を第2部材14に可逆的に結合するように構成された中間部材13とを含む。培養装置10、及び/又はその第1、第2及び中間部材は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。いくつかの実施形態では、例えば、培養装置10は、「Systems and Methods for the Cultivation of Target Product」と題する2021年6月8日に出願された米国特許出願第17/342,143号に詳細に記載されている培養装置(「マイクロファーム」とも称される)のうちの任意のものと同様とし、及び/又は実質的に同じとすることができ、その出願の開示内容はその全体が参照により本明細書に援用される(本明細書では「‘143出願」と称する)。
【0020】
[0023] いくつかの実施形態では、培養装置10は、第1部材12、第2部材14及び/又は中間部材13の1つ又は複数の部分が機械的に結合されて培養装置10をまとめて形成することができるモジュール構成で配置することができる。例えば、いくつかの実施態様では、エンドユーザは、本明細書で詳述するもの等、洋上又は移動式発芽装置等の発芽装置において、第1部材12、第2部材14及び中間部材13を少なくとも一時的に結合することができる。他の実施態様では、本明細書に記載するもの等、展開船舶等に積載された洋上又は移動式発芽装置において、目的生産物を第2部材14に播種することができる(又は目的生産物を第2部材14に取り付けることができる)。こうした実施態様では、培養装置10は、船舶が所望の展開場所に近づき及び/又そうした場所にあるとき、船舶上で組み立てることができる(例えば、第1部材12、第2部材14及び中間部材13を一時的に結合することができる)。いくつかの実施形態では、培養装置10はモジュール式である必要はない。例えば、培養装置10は、製造中及び/又はエンドユーザに引き渡される前に、予め結合することができる。
【0021】
[0024] 培養装置10の第1部材12は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。いくつかの実施態様では、第1部材12は、‘143出願に記載されている培養装置の第1部材のうちの任意のものと同様であり、及び/又は実質的に同じであり得る。例えば、いくつかの実施態様では、培養装置10の第1部材12は、1種以上の大型藻類の配偶体及び/又は胞子体などの目的生産物が播種されるように、及び/又は他の方法で目的生産物を受け取るように構成された、増殖基質等を含むことができ、及び/又は形成することができる。いくつかの実施形態では、第1部材12の1つ又は複数の部分は、比較的浮力を有する材料で形成することができ、及び/又は、正の浮力を有するか又は目的生産物が成熟するにしたがって正の浮力を有するようになる目的生産物を播種し、及び/又はそうした目的生産物に取り付けることができ、それにより、第1部材12は水Wの表面上に浮遊することができる。いくつかの場合では、こうした配置により、所定の時間後、及び/又は所望の量の目的生産物の成長若しくは蓄積の後、少なくとも第1部材12が回収され、及び/又は目的生産物が収穫されるのを可能にすることができる。
【0022】
[0025] いくつかの実施形態では、第1部材12は、目的生産物(例えば、正の浮力を有する目的生産物)が播種され、及び/又は他の方法で目的生産物に取り付けられることなく、培養装置10のさまざまな構成要素に浮力を提供するように構成することができる。例えば、いくつかの実施態様では、第1部材12は、ナビゲーションブイ、係留ブイ、ショットブイ、スパーブイ等の浮遊デバイス又はブイであり得る。いくつかの実施形態では、こうした第1部材12は、培養装置10及び/又は目的生産物の成長若しくは蓄積に関連する任意の好適なデータを取り込み、収集し、及び/又は決定するように構成された任意の数のデバイス、センサ、無線機、カメラ等を含むことができ、又はそれらに結合することができる。したがって、浮力を有する第1部材12、及びそこに含まれるか又はそれに結合されたデバイス等は、例えば、閾値時間の後、所望の量の目的生産物の成長の後、及び/又は他の任意の基準が満たされることに応答して、回収することができる。
【0023】
[0026] いくつかの実施形態では、第1部材12は、目的生産物が播種されるか又は目的生産物に取り付けられるかに関わらず、選択的に浮力を有するか、又は一時的にのみ浮力を有することができる。例えば、第1部材12は、膨張可能なブラダ、小胞とすることができ、及び/又はそれを含むことができ、及び/又は他の方法で、空気及び/又は他の(加圧された又は大気圧の)ガスを少なくとも一時的に含むことができる材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、(例えば、ブラダの形態であるか、又はブラダを含む)第1部材12は、所定の時間(例えば、所望の量の目的生産物の成長及び/又は蓄積に関連する及び/又はそれを考慮する時間)の後に、そこに含まれるガスを放出し、それにより、第1部材12の浮力を低減させるように構成された、機械的、化学的及び/又は生物学的タイマ/弁を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1部材12又はその少なくとも一部は、(例えば、海洋の中又は上などで)展開されている閾値期間の後、及び/又は培養装置10が海/海洋底に沈降することに応答するか若しくはその後に、部分的又は完全に分解する(degrade)及び/又は分解する(decompose)ように構成することができる。いくつかの実施形態では、第1部材12は、環境条件に応答して、異なる速度で、及び/又は可変の速度で分解する(degrade)及び/又は分解する(decompose)ことができる、1つ又は複数の部分を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1部材12は、第1部材12に少なくとも一時的に結合され、及び/又は第1部材12内に少なくとも一時的に配置された、封止部材を含むことができる。いくつかの実施態様では、封止部材は分解可能であり、及び/又は自動的に若しくは手動で第1部材12から切り離すことができ、それにより、そこに含まれる空気及び/又は他のガスを逃すことができる。したがって、第1部材12(ひいては培養装置10)は、最初に展開されるときに正の浮力を有し、展開された後に所定時間及び/又は閾値時間だけ浮遊することができ、その後、‘143出願に詳細に記載されているように、培養装置10上に播種され又は取り付けられた目的生産物が成長しバイオマスを得ると沈降することができる。
【0024】
[0027] 培養装置10の第2部材14は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。いくつかの実施形態では、第2部材14は、‘143出願に記載されている培養装置の第2部材のうちの任意のものと同様であり、及び/又は実質的に同じであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、第2部材14は、第1部材12と同様であるか、又は実質的に同じであり得る。いくつかの実施形態では、第2部材14は、1つ又は複数の種糸、ロングライン、ロープ等であり得る。いくつかの実施形態では、第2部材14は、第2部材14の及び/又は第2部材14に関連する負の浮力を提供する、金属リング(図示せず)等の任意の錘を含むことができる。
【0025】
[0028] いくつかの実施態様では、第2部材14は、1種以上の大型藻類の配偶体及び/又は胞子体などの1種以上の目的生産物15を受け取るように構成することができる。例えば、第2部材14の1つ又は複数の部分及び/又は表面は、目的生産物15の成長を促進する栄養分を提供するように構成された増殖基質(図示せず)、配偶体及び/又は胞子体の付着を促進するように構成された結合剤、及び/又は配偶体及び/又は胞子体の汚染を抑制するように配合された1種又は複数種の添加剤で形成することができ、及び/又はそうしたものを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2部材14は、例えば、濃縮海水培地、低温殺菌海水、濾過海水、限定されないが、硝酸ナトリウム(NaNO3)溶液、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)溶液、二酸化ゲルマニウム(GeO2)等を含む緩衝液と混合された海水等の増殖基質材料を含み、そうした材料で形成することができ、そうした材料で飽和させるか又はそうした材料を含浸させる等が可能である。
【0026】
[0029] 本明細書でさらに詳細に説明するように、いくつかの実施態様では、例えば、本明細書に記載するもの等、洋上及び/又は移動式発芽装置において、第2部材14に目的生産物(例えば、大型藻類の配偶体及び/又は胞子体)を播種することができる。いくつかの実施態様では、発芽装置において第2部材14を第1部材12及び/又は中間部材13に結合することができる。他の実施態様では、発芽装置において第2部材14に目的生産物を播種し、第2部材14を所望の展開場所に搬送するために船舶に積載することができる。こうした実施態様では、第1部材12、第2部材14及び中間部材13を結合して、まとめて培養装置10を形成することができる。いくつかの場合では、培養装置10の組み立て及び/又は培養装置10を形成するための結合は、例えば、所望の展開場所にあるときに要求に応じて、船舶上で行うことができる。
【0027】
[0030] 培養装置10の中間部材13は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。いくつかの実施形態では、中間部材13は、‘143出願に記載されている培養装置の中間部材のうちの任意のものと同様であり、及び/又は実質的に同じであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、中間部材13は、少なくとも一部、第1部材12及び/又は第2部材14と同様であり得る。中間部材13は、第1部材12を第2部材14に少なくとも一時的に結合するように構成されている。例えば、中間部材13の1つ又は複数の部分は、接着剤、糊、ペースト、セメント等;リング、シャックル、スイベル、継手等の1つ又は複数の機械的リンク機構;タイノット、シンブルキット、フック等の1つ又は複数の固定金具;及び/又は他の任意の好適な結合であり得るか、又はそうしたものを含むことができる。
【0028】
[0031] いくつかの実施形態では、中間部材13は、分解可能な材料、堆肥化可能なコポリエステル、セルロース系材料等で形成することができる。例えば、中間部材13は、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリヒドロキシブチレート、キトサン、ヒアルロン酸、ポリ(乳酸-コ-グリコール)、ポリ(カプロラクトン)、ポリヒドロキシアルカノエート、エコフレックス(ecoflex)(登録商標)、エコビオ(ecovio)(登録商標)、及び/又は他の任意の海洋適合性材料、及び/又はそれらの組合せで形成することができ、及び/又はそれらを含むことができる。分解可能及び/又は堆肥化可能な材料の例を挙げているが、他の材料も可能であり、材料が述べたものに限定されるように意図されていないことが理解されるべきである。
【0029】
[0032] 第1部材12に関して上述したように、中間部材13は、展開されている閾値又は所定時間の後に分解するように構成することができる。いくつかの実施形態では、中間部材13の分解により、第2部材14からの第1部材12の切離しを可能にし、及び/又はそうした切離しをもたらすことができる。いくつかの実施態様では、中間部材13は、少なくとも第2部材14に取り付けられた目的生産物15の所望の量の成長又は蓄積の後に分解するように構成することができる。いくつかの実施形態では、中間部材13は、限定されないが、温度、圧力、UV及び/又は可視光への曝露等を含む、所定の環境条件下で分解するように構成することができる。上述したように、いくつかの実施態様では、第1部材12は、正の浮力を有することができ、及び/又は、第1部材12に取り付けられた目的生産物は、正の浮力を有することができ、一方、第2部材14は、負の浮力を有することができ、及び/又は、第2部材14に取り付けられた目的生産物15は、負の浮力を有することができる。したがって、中間部材13が(例えば、分解の結果として、又は機械的切離しの結果として)第1部材12を第2部材14から切り離すと、第1部材12は海洋の表面で又は表面上で浮遊することができるが、第2部材14及びそれに取り付けられた目的生産物15は、水体の底又は床(例えば、海底、海洋底等)に沈降することができる。第2部材14及びそれに取り付けられた目的生産物15の沈降により、目的生産物15に関連する及び/又は目的生産物15によって捕捉されたある量の炭素が効果的に隔離される。いくつかの実施形態では、浮遊する第1部材12により、例えば、第1部材12に取り付けられた正の浮力を有する目的生産物の収穫作業が容易になり、及び/又は、他の方法で第1部材12が回収されて再利用されるのを可能にすることができる。他の実施形態では、第1部材12は、水面上で分解する(degrade)及び/又は他の方法で分解する(decompose)ように構成することができ、又は(例えば、第1部材12に目的生産物が取り付けられていない実施態様では)分解して水体の底又は床に沈降するように構成することができる。
【0030】
[0033] いくつかの実施形態では、培養装置10及び/又はその1つ又は複数の構成要素(例えば、第1部材12)は、目的生産物15の成長、バイオマス発生、バイオマス収量、環境特性若しくはデータ、及び/又は1つ若しくは複数の培養装置の展開に関連する他の任意のデータを、検知、検出及び/又は監視するように構成された、デバイスを含むことができ、及び/又はそうしたデバイスに結合することができる。例えば、いくつかの実施形態では、培養装置10は、1つ又は複数のセンサ、カメラ(例えば、水中カメラ及び/又は他の撮像技術)、追跡デバイス(例えば、全地球測位システム(GPS)追跡デバイス、無線周波数識別(RFID)デバイス等)、及び/又は他の任意の好適なデバイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、培養装置10は、‘143出願に詳細に記載されているセンサ、撮像デバイス、追跡デバイス、及び/又はリモートセンシング技術のうちの任意のものを含むことができる。さらに、いくつかの実施態様では、こうしたデバイスを第1部材12に含めるか、又はこうしたデバイスを第1部材12に結合することにより、例えば、第2部材14が第1部材12から切り離された後に、第1部材12及びデバイスを回収することができる。したがって、培養装置10に関連する、及び/又は培養装置10によって収集されたデータを、集約、分析、計算、処理等して、例えば、履歴的な又は現在の目的生産物の成長若しくは成長率、バイオマス生産、バイオマス収量、沈降速度、展開の場所、展開の分散、展開に対応する領域における環境条件、及び/又は培養装置10及び/又は任意の数の培養装置の展開に関連する他の任意の所望の情報の決定、推定、及び/又は予測を可能にすることができる。さらに、いくつかの実施態様では、‘143出願に詳細に記載されているように、こうした情報を使用することができ、及び/又は、こうした情報が、他の方法で、炭素回収及び/又は隔離の率、量、容量等に関連する1つ又は複数の予測及び/又は定量化を知らせることができる。
【0031】
[0034] いくつかの場合では、こうした計算、導出、相関、分析等は、所望のレベルの予測可能性、予見可能性等に至り、及び/又はそうしたものをもたらすことができる。装置10(及び/又は多数の装置10を含む養殖場)の成長及び/又は性能特性、及び/又は炭素若しくは二酸化炭素を隔離する能力を予測及び/又は予想することができることにより、例えば、その能力が商品等として購入及び/又は販売されるのを可能にすることができる。例えば、大型藻類の単位質量及び/又は長さあたりの隔離能力を決定することにより、その能力が炭素クレジット市場で炭素クレジットとして販売されるのを可能にすることができる。いくつかの場合では、大型藻類及び/又は炭素隔離能力は、例えば、‘143出願に詳細に記載されているように、商品市場、先物市場、及び/又は他の任意の好適な市場で売買することができる。
【0032】
[0035] 上述したように、上述した培養装置10に、大型藻類等の目的生産物の1つ又は複数の種が播種され、その後、培養装置10は、海洋、海等の水体に展開される。いくつかの場合では、培養装置10の発芽及び播種は、陸上発芽施設等で既知のシステム及び/又は方法を用いて実施することができる。いくつかのこうした場合では、種糸は、(未だスプール又はリールに巻かれた構成でない場合)スプールに巻いて、陸上発芽装置から、スプールが本明細書に記載する培養装置のうちの任意のものに取り付けられる船舶の上に移送することができる。他の場合では、スプール及び/又は種糸は、陸上発芽装置で、及び/又はその他の方法で、陸上で若しくは海岸に比較的近接して、本明細書に記載する培養装置のうちの任意のものに取り付けることができる。取り付けられると、船舶を使用して、播種された培養装置のうちの1つ又は複数を所望の展開場所まで牽引することができる。さらに他の場合では、播種された培養装置は、海岸から直接、陸上発芽装置から直接等で、展開することができる。
【0033】
[0036] いくつかの実施態様では、こうした陸上発芽装置及び/又は陸上展開サイトは、海岸から所望の距離で、及び/又はそれ以外の望ましい離岸流を有する場所で、播種された培養装置を排出し、放出し、及び/又は他の方法で展開するように構成することができる、排出機構等を含むことができる。こうした排出機構は、例えば、水中トンネル、チューブ、導管、チャネル等であり得る。いくつかの実施態様では、水の流れが排出機構を通って、及び/又は排出機構に沿って移動して、排出機構を通る培養装置の移動を促進することができる。例えば、ポンプを使用して、排出機構を通る水の流れを促進することができる。いくつかの実施態様では、排出機構を通る水の流れ及び培養装置の移動を制御、監視、制限、変更等して、望ましくないほど高い流量、圧力及び/又は乱流に起因する大型藻類への損傷を制限及び/又は実質的に防止することができる。しかしながら、従来の陸上発芽施設は、遠隔の展開場所に対して、及び/又は資源、アクセス等が限られている地域には、好適ではない可能性がある。
【0034】
[0037] したがって、いくつかの実施態様では、目的生産物又は目的生産物の生物学的構成要素の発芽及び/又は播種は、例えば、本明細書に記載するもの等の洋上発芽装置で及び/又は移動式発芽装置の中若しくは移動式発芽装置で、実施することができる。いくつかの実施態様では、例えば、発芽装置は、輸送コンテナ内に組み立て及び/又は収容することができるが、輸送コンテナの外部は、船舶、列車、貨物飛行機、及び/又は他の貨物運搬機等による輸送及び/又は搬送のための予め規定された仕様内に留められる。いくつかの実施態様では、こうした発芽装置は、比較的長期間にわたって海上に留まることができる、比較的大型の船舶、船、ボート等で使用することができる。こうした実施態様では、船又は船舶上で発芽装置を使用することにより、船又は船舶が本来従来の陸上発芽装置から種糸の新たなバッチを収集するために港に戻る量を減少させることにより、船舶展開時間より長くすることができる。他の実施態様では、こうした発芽装置は、組み立て場所で組み立てて、いくつかの場合では、比較的遠隔の場所に及び/又は資源及び/又はアクセスが限られた場所にある可能性がある、展開又は作業場所に(例えば、海洋船舶、列車、飛行機等を介して)搬送又は輸送することができる。したがって、自立型の移動式発芽装置が、従来の陸上発芽施設の使用が実現不可能であり、高価であり、及び/又は実行不可能である可能性がある地域において、目的生産物又は目的生産物の生物学的構成要素の発芽及び/又は播種を可能にすることができるが、本明細書に記載する移動式発芽装置の使用は、こうした実施態様に限定されない。
【0035】
[0038]
図2は、一実施形態による洋上及び/又は移動式発芽装置100(本明細書では「発芽装置」と称する)の概略図である。上述したように、発芽装置100は、限定されないが、大型藻類のいくつかの種及び/又は大型藻類の胞子、遊走子、配偶体及び/又は胞子体等、目的生産物(又はその生物学的構成要素)の発芽及び/又は初期発育を支援、助長及び/又は促進するように構成された構造、施設、研究室、システム、及び/又は構成要素の集合体であり得る。発芽装置100は、1つ又は複数の培養装置、マイクロファーム及び/又は展開構造体(例えば、
図1を参照して上述した培養装置10)への目的生産物の播種及び/又は取り付けを可能にするためにも使用することができ、及び/又は他の方法でそうしたことを可能にすることができる。目的生産物又は目的生産物の生物学的構成要素が播種及び/又は取り付けられた状態で、培養装置、マイクロファーム、及び/又は展開構造体を、水体(例えば、海洋、海、湖、河川等)内に展開することができ、及び/又は培養装置、マイクロファーム、及び/又は展開構造体を展開する出発点となることができる船舶等に引き渡すことができる。
【0036】
[0039] 発芽装置100は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。例えば、発芽装置100は、従来の搬送及び/又は輸送様式を介して任意の好適な展開場所に搬送することができる、比較的小型の、移動式の、及び/又はモジュール式のユニットであり得る。例えば、発芽装置100は、例えば、標準的なインターモーダルコンテナ105(例えば、剛性輸送コンテナ等)内に配置し、その中で組み立て、及び/又は実装することができる。インターモーダルコンテナ105(本明細書では「輸送コンテナ」又は「コンテナ」とも称する)は、ISO標準コンテナ及び/又は北米標準コンテナであり得る。概して、輸送コンテナ105は、乾燥貯蔵、バルク貯蔵等に一般的に使用される矩形の形状の、鋼製筐体である。ISO標準コンテナの標準サイズは、例えば、長さが20フィート(ft)(6.058メートル(m))、40ft(12.192m)又は45ft(13.716m)、高さが8.5ft(2.591m)又は9.5ft(2.896m)、幅が8ft(2.438m)である。北米の輸送コンテナの標準及び/又は一般的なサイズは、長さが40ft(6.058m)、48ft(14.630m)又は53ft(16.154m)、高さが8.5ft(2.591m)又は9.5ft(2.896m)、幅が8ft(2.438m)又は8.5ft(2.591m)である。本明細書に記載する発芽装置(例えば、発芽装置100)は、標準及び/又は一般的なサイズのコンテナのうちの任意ものに実装することができる。例えば、輸送コンテナ105は、40ft(12.192m)の長さ、8ft(2.438m)の幅、及び8.5フィート(2.591m)の高さを有することができる。
【0037】
[0040] いくつかの実施態様では、コンテナ105は、その一端に、出入りを可能にする一組のドアを含む。いくつかの実施態様では、コンテナ105は、追加の開口部、ドア及び/又はアクセス手段を含むことができる。コンテナ105は、(ドアが閉じているとき)完全に密閉することができ、又は、例えば、コンテナ105が少なくとも片側で開くことを可能にする取外し可能及び/又は格納可能な部分(例えば、取外し可能な頂部部分等)を含むことができる。コンテナ105を形成する構造(例えば、壁、ドア、床、屋根等)は、鋼で若しくは鋼から形成することができ、又は他の任意の好適な材料の又はそうした材料からの1つ又は複数の部分を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、コンテナ105は、太陽光がコンテナ105に入るのを可能にする比較的透明な材料で形成された頂部又は屋根(又はその一部)を含むことができる。任意の実施形態において、コンテナ105の配置は、トラック、鉄道、船(大洋横断船)及び/又は航空輸送等の既知の輸送様式を使用して、コンテナ105が(例えば、展開場所まで)搬送及び/又は輸送されるのを可能にするインターモーダルコンテナの所定の規格に準拠するものである。
【0038】
[0041]
図2に示すように、コンテナ105の内部容積は、コンテナ105の少なくとも一部内での温度制御を可能にする断熱材106を含む。断熱材106は、例えば、発泡ボード断熱材、スプレーフォーム断熱材、及び/又は他の任意の好適な断熱材又はそれらの組合せであり得る。いくつかの実施態様では、コンテナ105は、例えば、発芽装置100を2つ以上の作業空間に分割することができる1つ又は複数の仕切り(図示せず)を含むことができる。例えば、コンテナ105は、例えば、第1作業空間及び第2作業空間を形成する仕切りを含むことができる。仕切りは、作業スペース間の熱伝達を制限するが、その間のアクセスを可能にするドアを有する、コンテナ105の内部に構築され取り付けられる断熱仕切り又は壁であり得る。熱障壁を形成することに加えて、仕切りは、液体(例えば、水)が作業空間の間を流れるのを制限し及び/又は実質的に防止する液体障壁も形成することができる。こうした実施形態では、第1作業空間及び第2作業空間は、異なる目的のために使用することができ、少なくとも一部は作業空間の所望の用途に基づいて、異なる断熱材106を含むことができる。例えば、第1作業空間は、目的生産物を発芽させ、成長させ、及び/又はその発育を可能にするのに好適な冷蔵の及び/又は他の方法で温度制御された環境であり得るが、第2作業空間は冷蔵ではなく、又は加熱される(例えば、発芽装置100が比較的低温の環境で展開及び/又は使用される場合)。したがって、第1作業空間における断熱材106は、第2作業空間から及び/又はコンテナ105の外側の環境から第1作業空間への熱伝達を制限するように選択することができる。
【0039】
[0042]
図2に示すように、発芽装置100は、少なくとも一組の培養チャンバ110と、水循環システム110と、ガス循環システム115と、照明システム120とを含む。発芽装置100及び/又はコンテナ105は、発芽装置100が展開サイト150の水源151及び電源152に接続されるのを可能にする水インタフェース107及び電気インタフェース108も含む。
図2には示さないが、発芽装置100は、任意の好適な作業台、テーブル、机、シンク、浴槽、及び/又は他の任意の好適な構造をさらに含むことができる。いくつかの実施態様では、こうした構成要素及び/又は構造は、既知の構成要素、及び/又は比較的共通の形態及び/又は機能を有する構成要素であり得る。したがって、こうした構成要素及び/又は構造については、本明細書ではこれ以上詳細に説明しない。
【0040】
[0043] いくつかの実施態様では、発芽装置100は組み立て場所で組み立て及び/又は構築し、例えば、別個の展開サイトで使用することができる。いくつかの実施態様では、輸送コンテナ105に発芽装置100を有することにより、トラック、鉄道、海洋船及び/又は航空輸送等の既知の搬送及び/又は輸送様式を使用して、発芽装置100が展開サイト150に搬送及び/又は輸送されるのを可能にすることができる。展開サイト150は、例えば、コンテナ105(例えば、少なくとも40ft×8ftの構造体)を収容することができる任意の好適なサイトであり得る。いくつかの場合では、展開サイト150は、比較的遠隔の陸上の場所であり得る。いくつかの場合では、展開サイト150は、(例えば、海洋又は他の水体内の)洋上プラットフォーム又は支持構造体であり得る。いくつかの場合では、展開サイト150は、貨物船又は船舶(例えば、大洋横断コンテナ船)及び/又は他の任意の好適な船舶等の船舶であり得る。いくつかの実施態様では、洋上及び/又は移動式発芽装置100を展開サイト150に提供することにより、要求に応じた及び/又は現場での使用を可能にすることができ、これは、水体内の展開場所に送り出すために播種された培養装置を船舶に積載する既知のプロセスよりも、効率的であり、安価であり、及び/又は目的生産物に害をもたらす可能性が低いものとなり得る。さらに、コンテナ105内で発芽装置100を組み立てることにより、必要に応じて任意の展開サイトに発芽装置を提供する比較的効率的でスケーラブルな方法を提供することができる。
【0041】
[0044] いくつかの実施態様では、展開サイト150は、水源151及び電力源152へのアクセスを提供し及び/又は可能にすることができる任意の好適なサイトであり得る。いくつかの実施態様では、水源151は、例えば、海洋、海等の塩水源であり得る。例えば、展開サイト150は、船舶、洋上プラットフォーム又は支持構造体、海岸に比較的近い陸上の場所等であり得る。こうした実施態様では、展開サイト150は、塩水の流れ又は塩水源へのアクセスを提供することができる。他の実施態様では、水源151は、例えば、水道水、井戸水、湖水、河川水等の淡水源であり得る。いくつかの実施態様では、展開サイト150は、例えば、淡水を提供する第1水源と、塩水を提供する第2水源とを含むことができる。
【0042】
[0045] 発芽装置100及び/又はコンテナ105の水インタフェース107は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。いくつかの実施形態では、水インタフェース107又はその少なくとも一部は、コンテナ105の外面に結合された任意の好適なコネクタ、アダプタ、インタフェース等であり得る。水インタフェース107は、コンテナ105内に配置された発芽装置100に水の流れを提供するために、展開サイト150の水源151と流体的に結合され、及び/又は他の方法で流体連通して配置されるように構成されている。これに関連して、「流体的に結合された」及び「流体連通」という用語は、水源151から水インタフェース107への流体(例えば、淡水、塩水等)の流れを可能にする任意の好適な直接的な又は間接的な接続、結合、及び/又は搬送の様式を指すように意図されている。このように、任意の数及び/又はタイプのデバイス、ポンプ、貯蔵タンク、配管等を、文字通りの水源151(例えば、海洋)と水インタフェース107との間に配置して、それらの間に「流体連通」を確立し、及び/又は水インタフェース107を水源151に「流体的に結合」することができる。同様に、発芽装置100の水循環システム110は、任意の介在するマニホールド、配管、ポンプ、リザーバ、保持タンク、フィルタ等を介して、水インタフェース107に流体的に結合され、及び/又は水インタフェース107と流体的に連通している。
【0043】
[0046] 電力源152は、任意の好適な電力源であり得る。例えば、いくつかの実施態様では、電力源152は、例えば、電力網、及び/又は展開サイト150によって(例えば、展開サイト150の及び/又は展開サイト150におけるユーティリティ及び/又は電気インフラストラクチャの一部として)提供される任意の好適な電気ユーティリティであり得る。他の実施態様では、電力源152は、ソーラーパネル、風力発電機、流体力学的電源等の任意の好適な自立型又はオフグリッド電源であり得る。こうした実施態様では、自立型又はオフグリッド電源は、展開サイトの及び/又は展開サイトにおけるユーティリティ及び/又は電気インフラストラクチャの一部として、又はユーティリティ及び/又は電気インフラストラクチャから独立することができるか否かに関わらず、展開サイト150に設置し、及び/又は他の方法で展開サイト150において使用することができる。例えば、いくつかの実施態様では、電力源152は、展開サイト150に物理的に設置され使用される発芽装置100内に、発芽装置100上に含められ、及び/又は他の方法で発芽装置100によって若しくは発芽装置100とともに提供される、太陽電池式電気システムであり得る。他の実施態様では、電力源152は、任意の好適な発電機及び/又は電力貯蔵システムであり得る。
【0044】
[0047] 発芽装置100及び/又はコンテナ105の電気インタフェース108は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。いくつかの実施形態では、電気インタフェース108又はその少なくとも一部は、コンテナ105の外面に結合された任意の好適なコネクタ、アダプタ、インタフェース等であり得る。電気インタフェース108は、コンテナ105内に配置された発芽装置100に電力の流れを提供するために、展開サイトの電力源152と電気的に結合及び/又は接続され、及び/又は他の方法で電気的に通信して配置されるように構成されている。これに関連して、「電気的に結合された」、「電気的に接続された」、及び「電気通信」という用語は、電力源152から電気インタフェース108への電力又は電流の流れを可能にする任意の好適な直接的な又は間接的な接続、結合、及び/又は搬送の様式を指すように意図されている。電気インタフェース108は、種々の国際電圧及び/又は電流規格に適合可能であり得る。任意の数及び/又はタイプの変圧器、変換器、蓄電装置(電池)、ケーブル等を、文字通りの電力源152(例えば、ソーラーパネル又はバッテリストレージ)と電気インタフェース108との間に配置して、それらの間に「電気通信」を確立し、及び/又は電気インタフェース108を電力源152に「電気的に結合する」若しくは「電気的に接続する」ことができる。
【0045】
[0048]
図2には示さないが、電気インタフェース108及び/又は発芽装置100は、電気インタフェース108で受け取った電力を、発芽装置100の電気構成要素のうちの任意のものによって使用される電力に調整、変換、及び/又は分配するように構成された、任意の好適な変圧器及び/又は分電盤を含むことができる。非限定的な例として、発芽装置100は、電気インタフェース108で及び/又は電気インタフェース108によって受け取られた電力を、例えば、30アンペア(A)の三相480ボルト(V)電流(例えば、輸送コンテナ105の少なくとも一部の温度管理を提供する冷蔵庫又は冷却器用)、100Aの単相120V、及び100Aの単相240Vに変換するように構成された、1つ又は複数の変圧器を含むことができる。加えて、電気構成要素を分電盤に電気的に接続してそこから電力の流れを受け取ることができる。図示しないが、発芽装置100は、発芽装置100の任意の好適な部分の動作を可能にする任意の数の電気コンセント、スイッチ、リレー、ヒューズ、及び/又は他の任意の好適な電気若しくは電子構成要素も含むことができる。このように、発芽装置100の電気及び/又は電子構成要素は、電気インタフェース108に電気的に結合され、及び/又は電気インタフェース108から電力を受け取る。
【0046】
[0049] 上述したように、発芽装置100は、一組の培養チャンバ110と、水循環システム115と、ガス循環システム120と、照明システム125とを含む。培養チャンバ110は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。例えば、各保持タンク110は、内部容積へのアクセスを可能にする開いた頂部(又は開くように構成された部分)を有するタンク又は他の密閉構造体であり得る。いくつかの実施形態では、培養チャンバ110は、水槽又は任意の数の水槽であり得る。培養チャンバ110は、水の流れ又はある量の水、及び空気の流れ又はある量の空気(及び/又は他の液体及び/又はガス)を受け取って、目的生産物の発育及び/又は目的生産物の生物学的構成要素の発育に好適な環境、生育地、生態系等を生成し、形成し、及び/又は画定するように構成されている。いくつかの実施態様では、培養チャンバ110は、その中に配置された目的生産物及び/又は目的生産物の生物学的構成要素の発育を促進するように構成された、任意の好適な添加剤、栄養分、結合剤等も受け取ることができる。いくつかの実施態様では、培養チャンバ110は、大型藻類の1つ又は複数の種(又はその生物学的構成要素のうちの任意のもの)等を発芽させるのに好適な生育地を生成し、形成し、及び/又は画定することができる。例えば、培養チャンバ110は、大型藻類の胞子、遊走子、配偶体及び/又は胞子体を受け入れて発育させるのに好適な水性媒体(例えば、水、空気、栄養分、添加剤、結合剤等)を収容するように構成された任意の好適な構造体であり得る。
【0047】
[0050]
図2には示さないが、発芽装置100は、培養チャンバ110がコンテナ105の床から持ち上げられるように、培養チャンバ110を上に配置することができる、任意の好適な支持構造体を含むことができる。いくつかの実施態様では、こうした配置により、配管及び/又は排水ラインが各培養チャンバの下方に通されるのを可能にすることができる。いくつかの実施態様では、培養チャンバ110は、透明なアクリル材料で形成することができる。他の実施態様では、培養チャンバ110は、任意の他の好適な材料で形成することができる。いくつかの実施態様では、一組の培養チャンバ110は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上の培養チャンバを含むことができる。例えば、いくつかの実施態様では、一組の培養チャンバ110は、5つの培養チャンバを含む。
【0048】
[0051] 発芽装置100の水循環システム115は、任意の数のデバイス、パイプ、取り付け具、入口、出口、フィルタ、ポンプ、リザーバ、保持タンク等を有する任意の好適な構成であり得る。いくつかの実施形態では、例えば、水循環システム115は、水源151から水インタフェース107を介して水の流れを受け取るように構成された保持タンクを含むことができる。いくつかの実施形態では、水循環システム115は、保持タンクに送り込む前に水インタフェース107からの水を濾過するように構成された1つ又は複数のフィルタを含むことができる。フィルタは、1つ又は複数のプレフィルタ、紫外線フィルタ(UVフィルタ)、逆浸透膜フィルタ(R/Oフィルタ)、及び/又は任意の他の好適なフィルタとすることができ、及び/又はそれを含むことができる。いくつかの実施態様では、水循環システム115は、保持タンクに送り込む前に水インタフェース107から受け取られた水の流れを冷却するか又は冷やすように構成された冷却器等も含むことができる。
【0049】
[0052] 上述したように、展開サイト150の水源151は、淡水若しくは塩水の流れ、又は各々の別個の流れを提供することができる。水循環システム115は、濾過された及び/又は冷却された水の流れを受け取ることができる保持タンクを含む。水源151が淡水のみを提供する場合、天然に存在する元素を淡水と混合して(保持タンクに送り込む前に混合するか、又は保持タンク内で混合して)塩水を生成することができる。水循環システム115は、保持タンクから例えば培養チャンバ110の各々に塩水の流れを提供するように構成された任意の好適なポンプを含むことができる。さらに、水循環システム110は、保持タンクと各培養チャンバ110との間の流体連通を確立するように構成された任意の数のパイプ、配管、弁、ポンプ等を含むことができる。パイプ及び/又は配管は、培養チャンバの各々に対応する少なくとも1つの出口を含むことができる。加えて、発芽装置100は、水インタフェース107と、シンク、ホース、充填ステーション等の培養チャンバ110以外の発芽装置100の1つ又は複数の部分との流体連通を確立するように構成された、任意の好適なパイプ、配管、弁、ポンプ等を含むことができる。
【0050】
[0053] 上述したように、「流体的に結合された」及び/又は「流体連通」という用語は、そのように記載した構成要素の間の流体の流れを可能にする、任意の好適な直接的な又は間接的な接続、結合、及び/又は搬送の様式を指すことができる。例えば、水循環システム115は、水の流れ及び/又はある量の水が培養チャンバ110に移送されるのを可能にする、各培養チャンバ110に対応する少なくとも1つの出口を含むことができる。いくつかの実施態様では、出口は、培養チャンバ110の外側に配置し、水が水循環システム115を通って培養チャンバ110内に移送されるのを可能にするように、培養チャンバ110の内部容積に向けることができる。したがって、これに関連して、物理的な結合はないが、水循環システム115は、培養チャンバ110に流体的に結合され、及び/又は培養チャンバ110と流体連通している。
【0051】
[0054] いくつかの実施態様では、発芽装置100は、例えば、淡水配管及び塩水配管を含むことができ、望ましい場合に、2つの配管系統を選択的に流体的に結合することができる、1つ又は複数の弁を含むことができる。例えば、水インタフェース107から受け取られた淡水は、水循環システム115の淡水部分及び/又はそのパイプ若しくは配管を通って、例えば、淡水を温水器、シンク、ホース出口、及び/又は発芽装置100で使用される他の任意の構成要素に圧送することができるポンプまで流れることができる。いくつかの実施態様では、淡水はその後、プレフィルタ及びR/Oフィルタを通過して保持タンクに流れ込むことができる。加えて、培養チャンバ110の各々に淡水の並行した流れを送ることができる。
【0052】
[0055] いくつかの場合では、水インタフェース107から受け取られた塩水は、水循環システム115の塩水部分及び/又はそのパイプ若しくは配管を通って、例えば、塩水を少なくともUVフィルタを通して保持タンク内に圧送することができるポンプまで流れることができる。塩水はその後、保持タンクから各培養チャンバ110に圧送することができる。このように、水循環システム115は、例えば、2組のパイプ及び/又は配管を含むことができ、それらの各々は、各培養チャンバ110に対応する少なくとも1つの出口を含む。
【0053】
[0056] 水循環システム115について、水インタフェース107に流体的に結合され、及び/又は水インタフェース107と流体連通しているものとして上述したが、水循環システム115の1つ又は複数の構成要素は、電気インタフェース108に電気的に結合することもできる。例えば、水循環システム115は、電気インタフェース108から電力の流れを受け取って構成要素を「オン」状態にし、及び/又は構成要素を任意の数の動作状態若しくはモードの間で移行する(例えば、弁を開く、閉じる、又は切り替えるようなソレノイドの移行)ことができる、任意の数のポンプ、フィルタ、弁、ヒータ、冷却器等を含むことができる。
【0054】
[0057] 発芽装置100のガス循環システム120は、任意の数のデバイス、パイプ、取り付け具、入口、出口、ポンプ、リザーバ、コンプレッサ等を有する任意の好適な構成であり得る。いくつかの実施形態では、例えば、ガス循環システム120は、電気インタフェース108に(配電盤、ヒューズブロック等を介して)電気的に結合される空気/ガスポンプ、コンプレッサ等を含むことができる。空気/ガスポンプ又はコンプレッサは、任意の数のパイプ等に流体的に結合され、これらのパイプ等は、さらに、培養チャンバ110の各々と流体連通するように構成された少なくとも1つの出口を含む。例えば、いくつかの実施態様では、ガス循環システム120は、培養チャンバ110ごとに2つの出口を含むことができ、各出口は対応する培養チャンバ110内に配置されている。いくつかの実施態様では、各出口は、エアストーン等に結合され、及び/又はエアストーン等で終端することができる。したがって、ガス循環システム120は、培養チャンバ110のうちの1つ又は複数に、その中に配置されたある量の水(例えば、塩水)を曝気するためにガス(例えば、空気)の流れを提供することができる。
【0055】
[0058] 図示しないが、ガス循環システム120は、空気ポンプへの空気の流れ及び/又は空気ポンプから出る空気の流れを濾過するように構成された任意の好適なフィルタを含むことができる。いくつかの実施態様では、例えば、ガス循環システム120は、高効率粒子状空気(HEPA)フィルタ、及び/又は、培養チャンバ110に対応する及び/又は培養チャンバ110内に配置された出口の前に、空気ポンプからの空気の流れを濾過することができる他の任意の好適なフィルタを含むことができる。
【0056】
[0059]
図2には示さないが、水循環システム115及びガス循環システム120は、それらを通過するそれぞれ水及びガスの流れを制御するように構成された任意の数の弁等を含むことができる。例えば、いくつかの実施態様では、ガス循環システム120は、培養チャンバ110に関連する出口の各々に又はその直前に弁を含むことができる。同様に、水循環システム115は、培養チャンバ110に関連する出口の各々に又はその直前に弁を含むことができる。加えて、水循環システム115は、保持タンクへの、任意の数のシンク、充填ステーション、ホース等への水の流れを制御及び/又は可能にする1つ又は複数の弁を含むことができる。さらに、水循環システム115は、排水システム又はラインを含むことができ、それは、保持タンク、シンク、充填ステーション、培養チャンバ110等からの、排水システム又はラインへの、最終的にはコンテナ105から出る流体の排水を制御及び/又は可能にする、1つ又は複数の弁を備えている。いくつかの実施態様では、水及びガス循環システムの弁は、例えば、止水栓弁及び/又は他の手動操作弁であり得る。他の実施態様では、弁は、例えば、2つ以上の動作状態、モード、及び/又は流路の間で弁を移行させるように構成されたソレノイド等を有する電気弁であり得る。いくつかの実施態様では、発芽装置100は、電気弁を制御するための任意の好適なインタフェースを提供することができる中央制御装置等を含むことができる。いくつかの実施態様では、電気弁は、モバイルデバイス、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、デスクトップ及び/又は他の任意の計算デバイス等の遠隔デバイスを介して制御することができる。加えて、発芽装置100は、培養チャンバ110内に配置され、及び/又は培養チャンバ110に送られる水及び/又はガスに関連する任意の好適な特性を検知するように構成された任意の数のセンサを含むことができる。いくつかの場合では、こうした配置により、発芽装置100の少なくとも半自律的な制御及び/又は動作を可能にすることができる。
【0057】
[0060] 発芽装置100の照明システム125は、培養チャンバ110の各々に及び/又は各々のために光を提供するように構成された、任意の好適な数及び/又はタイプの照明であり得る。いくつかの実施態様では、例えば、照明は、所望の波長又は波長範囲を有する光を提供するように構成されたグローライトであり得る。いくつかの場合では、例えば、グローライトは、フルスペクトル光を放出するように構成することができる。いくつかの場合では、グローライトは、可視光スペクトルの青色端又は可視光スペクトルの赤色端の又はその近くの光を提供及び/又は放出することができる。いくつかの実施態様では、任意の望ましい波長を有する光を提供及び/又は放出するように、グローライトを任意の数の状態及び/又は構成の間で移行させることができる。いくつかの場合では、可視光スペクトルの青色端又は赤色端の光を提供することにより、例えば、培養チャンバ110のうちの1つ又は複数において発芽及び/又は発育している配偶体の性別を選択的に制御することができる。
【0058】
[0061] いくつかの実施形態では、照明システム125は、各培養チャンバ110に対応する照明(例えば、グローライト及び/又は他の任意の好適なタイプの照明)を含むことができる。他の実施形態では、照明システム125は、培養チャンバ110ごとに複数の照明を含むことができ、又は複数の培養チャンバ110に対応し、及び/又は複数の培養チャンバ110のために光を提供する、1つの照明を含むことができる。いくつかの実施態様では、照明システム125の照明(例えば、グローライト)は、コンテナ105から吊り下げ、培養チャンバ110の上方に配置することができる。いくつかの実施態様では、照明システム125の照明は、培養チャンバ110に対して調整可能であり、照明が培養チャンバ110に近づくように低下するか、培養チャンバ110から遠くなるように上昇するようにすることができる。他の実施態様では、照明は、培養チャンバ110に対して任意の好適な位置に配置し及び/又は取り付けることができる。
【0059】
[0062] 照明システム125について、複数のグローライト等を含むものとして上述したが、いくつかの実施態様では、照明システム125は、コンテナ105の内部の少なくとも一部又は発芽装置100の少なくとも一部を照明するように構成された任意の数の他の照明を含むことができる。加えて、照明システム125は、照明のうちの少なくともいくつかへの電流の流れを制御して、照明を「オフ」状態と「オン」状態との間で移行させるように構成された、任意の数のスイッチ、リレー等を含むことができる。いくつかの実施態様では、照明システム125のスイッチ及び/又は他の制御機構は、手動で操作するスイッチであり得る。他の実施態様では、スイッチ及び/又は他の制御機構は、リモートコントローラ、モバイルデバイス、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、デスクトップ、及び/又は任意の他の計算デバイス等のリモートデバイスを介して手動制御又は遠隔制御を可能にすることができる、「スマート」スイッチ等であり得る。
【0060】
[0063] 以下、
図3及び
図4を参照して、洋上及び/又は移動式発芽装置を設置し、組み立て、及び/又は使用する方法について説明する。例えば、
図3は、一実施形態による洋上及び/又は移動式発芽装置を設置及び/又は使用する方法20を示すフローチャートである。いくつかの実施態様では、方法20は、21において、組み立て場所において輸送コンテナ内で移動式発芽装置を組み立てることを含む。移動式発芽装置は、発芽装置100及び/又は本明細書に記載する他の任意の発芽装置と、少なくとも形態及び/又は機能において同様であり、及び/又は実質的に同じであり得る。例えば、発芽装置は、例えば大型藻類の1つ又は複数の種(又はその生物学的構成要素)等の1種又は複数種の目的生産物の発芽、初期発育、播種、結合剤による生物材料の貼付等を容易にするように構成することができる。
【0061】
[0064] いくつかの場合では、輸送コンテナ内で発芽装置を組み立てることにより、必要に応じて任意の望ましい展開サイトに発芽装置を提供する、比較的効率的でスケーラブルな方法を提供することができる。発芽装置の組み立ては、少なくとも一組の培養チャンバ(例えば、培養チャンバ110)と、水循環システム(例えば、水循環システム115)と、ガス循環システム(例えば、ガス循環システム120)と、照明システム(例えば、照明システム125)とを輸送コンテナにおいて設置し及び/又は組み立てることを含むことができる。輸送コンテナは、コンテナ105に関して上述したように、標準的なインターモーダルコンテナであり得る。発芽装置は、電気インタフェース(例えば、電気インタフェース108)及び水インタフェース(例えば、水インタフェース107)も含むことができ、これらの各々は、輸送コンテナの外面に結合される。電気インタフェースは、水循環システム、ガス循環システム、照明システム、及び発芽装置に含まれる(又は他の方法で輸送コンテナ内に配置される)他の任意の好適な構成要素の1つ又は複数の部分に電気的に結合される。水インタフェースは、水循環システムと、発芽装置に含まれる(又は輸送コンテナ内に配置される)他の任意の好適な構成要素との1つ又は複数の部分に流体的に結合される。
【0062】
[0065] 移動式発芽装置は、22において、組み立て場所とは異なる展開場所に搬送される。例えば、いくつかの場合では、移動式発芽装置は、陸上の施設等の任意の好適な場所で組み立てることができる。輸送コンテナ内での発芽装置の組み立てにより、コンテナが、確立された輸送要件及び/又は基準に準拠したままであって、輸送コンテナ(及びそこに収容された移動式発芽装置)が既知の搬送手段を使用して搬送及び/又は輸送されるのを可能にするようにすることができる。例えば、いくつかの実施態様では、発芽装置は、トラック、列車、船、飛行機等によって搬送することができる。いくつかの場合では、展開場所は、展開サイト150に関して上述したように、例えばコンテナを収容することができる任意の好適なサイトであり得る。いくつかの場合では、展開場所は、比較的遠隔の陸上の場所であり得る。いくつかの場合では、展開場所は、(例えば、海洋又は他の水体内の)洋上プラットフォーム又は支持構造体であり得る。いくつかの場合では、展開場所は、貨物船又は船舶(例えば、大洋横断コンテナ船)及び/又は他の任意の好適な船舶等の船舶であり得る。いくつかの実施態様では、移動式発芽装置を展開場所に提供することにより、要求に応じた及び/又は現場での使用を可能にすることができ、これは、水体内の展開場所に送り出すために播種された培養装置を船舶に積載する既知のプロセスよりも、効率的であり、安価であり、及び/又は目的生産物(例えば、大型藻類)に害をもたらす可能性が低いものとなり得る。
【0063】
[0066] 23において、移動式発芽装置の電気インタフェースは、展開場所の電力源に電気的に結合される。上述したように、電気インタフェースは、輸送コンテナの外面に結合されている。電力源は、展開場所によって提供され、展開場所に若しくはその上に設置され、及び/又は他の方法で展開場所において動作する任意の好適な電力源であり得る。いくつかの実施態様では、電力源は、
図2を参照して上述した電力源152と同様であり、及び/又は実質的に同じであり得る。さらに、電気及び/又は電子構成要素が電気インタフェースに電気的に結合されている状態で、電力源は、発芽装置の接続された構成要素に電気インタフェース(及びそれらの間に電気的に結合された任意の配電盤、ヒューズブロック、変圧器等)を介して電力の流れを供給することができる。
【0064】
[0067] 24において、移動式発芽装置の水インタフェースは、展開場所の水源に流体的に結合される。上述したように、水インタフェースは、輸送コンテナの外面に結合されている。水源は、展開場所によって提供され、展開場所に若しくはその上に設置され、及び/又は他の方法で展開場所において若しくは展開場所の上で動作し若しくは利用可能な任意の好適な水源であり得る。いくつかの実施態様では、水源は、
図2を参照して上述した水源151と同様であり、及び/又は実質的に同じであり得る。このように、水源は、淡水の流れ、塩水の流れ、又は淡水及び塩水の別個の流れを提供することができる。水インタフェースが水循環システム及び発芽装置の他の任意の構成要素(シンク、充填ステーション、ホース等)に流体的に結合されている状態で、水源は、発芽装置の接続構成要素に水インタフェース(及びそれらの間に流体的に結合された任意のポンプ、マニホールド、配管、弁等)を介して水の流れ(例えば、淡水及び/又は塩水)を供給することができる。
【0065】
[0068]
図4は、一実施形態による洋上及び/又は移動式発芽装置を使用する方法30を示すフローチャートである。移動式発芽装置は、発芽装置100及び/又は本明細書に記載する他の任意の発芽装置と、少なくとも形態及び/又は機能において同様であり、及び/又は実質的に同じであり得る。例えば、発芽装置は、例えば大型藻類の1つ又は複数の種(又はその生物学的構成要素)等の1種又は複数種の目的生産物の発芽、初期発育、播種、結合剤による生物材料の貼付等を容易にするように構成することができる。
【0066】
[0069] 発芽装置は、コンテナ105に関して上述したように、標準的なインターモーダルコンテナ等の輸送コンテナ内に配置し又は輸送コンテナ内で組み立てることができる。発芽装置は、輸送コンテナ内に、少なくとも一組の培養チャンバ(例えば、培養チャンバ110)と、水循環システム(例えば、水循環システム115)と、ガス循環システム(例えば、ガス循環システム120)と、照明システム(例えば、照明システム125)とを含むことができる。発芽装置は、電気インタフェース(例えば、電気インタフェース108)及び水インタフェース(例えば、水インタフェース107)も含むことができ、これらの各々は、輸送コンテナの外面に結合されている。電気インタフェースは、水循環システム、ガス循環システム、照明システム、及び発芽装置に含まれる(又は他の方法で輸送コンテナ内に配置されている)他の任意の好適な構成要素の1つ又は複数の部分に電気的に結合されている。水インタフェースは、水循環システムと、発芽装置に含まれる(又は輸送コンテナ内に配置されている)他の任意の好適な構成要素との1つ又は複数の部分に流体的に結合されている。いくつかの場合では、発芽装置は、組み立て場所において輸送コンテナ内で組み立てることができ、組み立てられると、
図3を参照して上述した方法20にしたがって、輸送コンテナを展開場所まで搬送することができる。
【0067】
[0070] いくつかの実施態様では、方法30は、31において、移動式発芽装置の電気インタフェースを電力源に電気的に結合することを含む。上述したように、電気インタフェースは、輸送コンテナの外面に結合されている。電力源は、展開場所によって提供され、展開場所に若しくはその上に設置され、及び/又は展開場所において他の方法で動作する任意の好適な電力源であり得る。いくつかの実施態様では、電力源は、
図2を参照して上述した電力源152と同様であり、及び/又は実質的に同じであり得る。さらに、電気及び/又は電子構成要素が電気インタフェースに電気的に結合されている状態で、電力源は、発芽装置の接続された構成要素に電気インタフェース(及びそれらの間に電気的に結合された任意の配電盤、ヒューズブロック、変圧器等)を介して電力の流れを供給することができる。
【0068】
[0071] 32において、移動式発芽装置の水インタフェースは、水源に流体的に結合される。上述したように、水インタフェースは、輸送コンテナの外面に結合されている。水源は、展開場所によって提供され、展開場所に若しくはその上に設置され、及び/又は展開場所において若しくはその上で動作し若しくは利用可能な任意の好適な水源であり得る。いくつかの実施態様では、水源は、
図2を参照して上述した水源151と同様であり、及び/又は実質的に同じであり得る。このように、水源は、淡水の流れ、塩水の流れ、又は淡水及び塩水の別個の流れを提供することができる。水インタフェースが水循環システム及び発芽装置の他の任意の構成要素(シンク、充填ステーション、ホース等)に流体的に結合されている状態で、水源は、発芽装置の接続された構成要素に水インタフェース(及びそれらの間に流体的に結合された任意のポンプ、マニホールド、配管、弁等)を介して、水の流れ(例えば、真水及び/又は塩水)を供給することができる。
【0069】
[0072] 33において、水が、移動式発芽装置の水循環システムを通して、一組の培養チャンバから少なくとも1つの培養チャンバに搬送される。上述したように、水循環システムと培養チャンバの各々とは、輸送コンテナ内に配置されている。いくつかの場合では、発芽装置は、水インタフェースの出口に結合され、水の流れを発芽装置の構成要素のうちの少なくともいくつかに送り出す前に水の流れを受け取るように構成された、1つ又は複数のポンプ、弁、フィルタ等を含むことができる。例えば、いくつかの実施態様では、電力をポンプに供給することができ、このポンプは、さらに、水インタフェースの出口から淡水又は塩水の流れを受け取ることができ、水の流れを少なくとも1つのフィルタに送り出すことができる。いくつかの実施態様では、フィルタは、濾過された水を保持タンク内に、又は培養チャンバのうちの1つ若しくは複数内に直接、提供することができる。水源が淡水の流れを提供する場合では、方法30は、任意選択的に、天然に存在する元素を淡水と混合して(保持タンクに送り込まれる前に混合するか、又は保持タンク内で混合して)塩水を生成することを含むことができる。したがって、水循環システムは、その後、塩水を保持タンクから、例えば、培養チャンバのうちの1つ又は複数に循環させ及び/又は他の方法で移送することができる。
【0070】
[0073] いくつかの実施態様では、淡水の一部を、天然に存在する成分と混合して塩水を生成することなく、シンク、充填ステーション、ホース等の発芽装置の淡水構成要素に(任意の好適なポンプ、弁及び/又は配管を介して)提供することができる。例えば、発芽装置が大型藻類(又はその生物学的構成要素)を発芽させ及び/又は播種するために使用される場合、水循環システムの塩水部分は、(例えば、保持タンクからの)塩水の流れ又はある量の塩水を、大型藻類の生物学的構成要素(例えば、大型藻類の胞子、遊走子、配偶体及び/又は胞子体)を収容しているか又は受け取る1つ又は複数の培養チャンバ内に提供することができ、一方で、水循環システムの淡水部分は、淡水の流れ又はある量の淡水を、発芽装置の任意の好適な淡水構成要素に提供することができる。
【0071】
[0074] 34において、ガスが、ガス循環システムを通して培養チャンバのうちの少なくとも1つに移送される。上述したように、ガス循環システムは、輸送コンテナ内に配置されている。ガス循環システムは、例えば、電力の流れに応答してガス循環システムを通してガス(例えば、空気)の流れを送り出すことができる、空気/ガスポンプ等を含むことができる。ガス循環システム120に関して上述したように、ガス循環システムは、各培養チャンバと流体連通する少なくとも1つの出口を含むことができる。いくつかの実施態様では、ガス循環システムは、各培養チャンバ内に配置された2つ以上の出口を含むことができる。ガス循環システムの出口は、例えば、エアストーン等に結合することができる。したがって、ガス循環システムは、ガス(例えば、空気)の流れを培養チャンバに提供し、それにより、培養チャンバ内に収容されたある量の水を曝気することができる。
【0072】
[0075] いくつかの実施態様では、水循環システムが水の流れ及び/又はある量の水を培養チャンバ内に提供し、ガス循環システムがガスの流れを培養チャンバ内に提供してその中に収容されたある量の水を曝気している状態で、方法30は、任意選択的に、培養チャンバ内に目的生産物を配置することを含むことができる。いくつかの場合では、例えば、目的生産物は、大型藻類1つ又は複数の種であり得る。こうした場合では、大型藻類の少なくとも1つの生物学的構成要素(例えば、大型藻類の胞子、遊走子、配偶体及び/又は胞子体)を、培養チャンバに配置することができる。したがって、方法30は、35において、輸送コンテナ内に配置された照明システムに電力の流れを提供し、照明システムが、培養チャンバのうちの少なくとも1つに収容された大型藻類の胞子、遊走子、配偶体又は胞子体等の大型藻類の少なくとも1つの生物学的構成要素に又はそれに向かって光を提供及び/又は放出するようにすることをさらに含む。
【0073】
[0076] 照明システム125に関して上述したように、照明システムは、例えば、培養チャンバ及びその中に配置されている大型藻類(又はその生物学的構成要素)の上に又はそれに向かって光を提供及び/又は照射するように構成された、任意の数のグローライトを含むことができる。いくつかの場合では、グローライトは、培養チャンバ内に配置することができる。いくつかの場合では、グローライトは、フルスペクトル光を提供するように構成することができる。他の実施態様では、グローライトは、所望の波長又は波長範囲を有する光を提供するように構成することができる。例えば、いくつかの場合では、照明システム125に関して上述したように、グローライトが、可視光スペクトルの青色端の又は青色端における光、可視光スペクトルの赤色端の又は赤色端における光、紫外線、赤外線等を提供することが望ましい場合がある。
【0074】
[0077] 上述したように、方法30を使用して、大型藻類の胞子、遊走子、配偶体及び/又は胞子体等の目的生産物又はその生物学的構成要素を発芽させ、及び/又は他の方法でその初期発育を促進することができる。
図4には示さないが、目的生産物又は目的生産物の生物学的構成要素が発芽し、及び/又は他の方法で所望の量だけ発育すると、方法30は、目的生産物を収容している1つ又は複数の培養チャンバ内に1つ又は複数の種糸及び/又は基質が配置されることを含むことができ、及び/又は配置されるのを可能にすることができる。例えば、種糸及び/又は基質は、例えば、
図1を参照して上述した培養装置10の第2部材14とすることができ、及び/又は第2部材14と同様であり得る。こうした場合では、種糸及び/又は基質は、任意の望ましい時間、培養チャンバ内に浸って、目的生産物(又はその生物学的構成要素)が種糸及び/又は基質に播種され及び/又は他の方法で付着するのを可能にすることができる。いくつかの場合では、大型藻類(又はその生物学的構成要素)は、大型藻類の胞子を直接セットすることによって、種糸及び/又は基質に播種し、貼り付け、及び/又は取り付けることができる。いくつかの場合では、大型藻類(又はその生物学的構成要素)は、結合剤(例えば、粘着性結合材等)を使用し、その後、大型藻類の配偶体、胞子体、又は大型藻類の二倍体細胞培養物のいずれかを直接セットすることにより、種糸及び/又は基質に播種し、貼り付け、及び/又は取り付けることができる。いくつかの場合では、大型藻類(又はその生物学的構成要素)は、大型藻類をタンブル培養物において受精させ成長させることにより、種糸及び/又は基質に播種し、貼り付け、及び/又は取り付けることができる。いくつかの場合では、大型藻類(又はその生物学的構成要素)は、任意の好適な方法又は任意の好適なそれらの組合せを使用して、種糸及び/又は基質に播種し、貼り付け、及び/又は取り付けることができる。種糸及び/又は基質(例えば、培養装置の第2部材)に目的生産物(又はその生物学的構成要素)が播種され、貼り付けられ、及び/又は取り付けられた状態で、種糸及び/又は基質を、水体(例えば、海洋)での組み立て及び展開のために展開コンテナに提供することができる。別法として、発芽装置の展開サイトが船舶である場合、種糸及び/又は基質は、1つ又は複数の他の構成要素(例えば、第1部材及び/又は中間部材)と組み立てられて培養装置を形成することができ、その後、それを水体(例えば、海洋)内に展開することができる。
【0075】
[0078] それぞれ
図3及び
図4を参照して上述した方法20及び方法30は、例えば、陸上の展開サイト、洋上構造物及び/又は船舶等、任意の好適な展開サイトで実装することができる。いくつかの場合では、洋上及び/又は移動式発芽装置は、輸送コンテナ内に配置し、例えば船、船舶等で、実装及び/又は使用することができる。いくつかのこうした実施態様では、洋上及び/又は移動式発芽装置は、
図2を参照して上述した発芽装置100等の自立型の移動式発芽装置であり得る。しかしながら、他の実施態様では、船舶が、発芽装置100と少なくとも機能が同様であり得る洋上発芽装置を含むことができ、及び/又は、船舶の少なくとも一部を、そうした洋上発芽装置を形成するか若しくはそうしたものとして機能するように適合させることができる。したがって、船舶は、海上にある間(例えば、展開場所にあるとき、及び/又は展開場所まで移動している間)、発芽操作及び/又は方法が実施されるのを可能にすることができる。
【0076】
[0079] 例えば、こうした船舶は、例えば、目的生産物の胞子、遊走子、配偶体及び/又は胞子体、種糸の1つ若しくは複数のスプール若しくはリール又は他の好適な播種基質、栄養分が豊富な及び/又はろ過された水(例えば、ろ過された海水等)等を受け取ることができる、任意の数のリザーバ、保持タンク、浴槽、水槽、培養チャンバ等を含むことができる。いくつかの実施態様では、種糸を、播種し、所望の程度まで発育及び/又は成長し、その後、例えば、培養装置の第1部材又は第2部材に取り付けられるようにすることができる。他の実施態様では、種糸は、本明細書に記載する培養装置のうちの任意のものの第1及び/又は第2部材に取り付けることができ、次いで、そうした培養装置を、タンク、リザーバ、チャンバ等に配置し、目的生産物の胞子、遊走子、配偶体又は胞子体は、例えば、第1及び/又は第2部材(例えば、培養装置10の第1部材12及び/又は第2部材14)の種糸に、付着することができる。いくつかの実施態様では、種糸は、培養装置の第2部材(例えば、培養装置10の第2部材14)の少なくとも一部とすることができ、及び/又はそれを形成することができる。
【0077】
[0080] いくつかの場合では、船舶は、種糸(又はそれが取り付けられている培養装置)の播種が段階的に起こるのを可能にする複数のタンク若しくはチャンバ及び/又は1つ若しくは複数の多段タンク若しくはチャンバを含むことができる。例えば、いくつかの場合では、培養装置の播種は、実質的に培養装置の(例えば、第2部材14と同様の)第2部材に播種することなく、培養装置の(例えば、第1部材12と同様の)第1部材に播種する(又はその逆もあり得る)ことを含むことができる。所望の時間の播種の後、培養装置は、第2部材の播種を可能にするように構成された別個のタンク又は同じタンクの別個の段に移送することができる。このように、タンク等の中の条件は、例えば、播種されている目的生産物(例えば、大型藻類)の種に基づいて制御及び/又は調整することができる。いくつかの場合では、培養装置の第1部材及び第2部材に対して、同じタンク又は別個のタンクにおいて、任意の好適な順序で、又は同時に播種することができる。
【0078】
[0081] 加えて、船舶に含まれる複数のタンク又はチャンバを使用して、任意の数の種糸に播種することができる。例えば、いくつかの実施態様では、船舶は、所与の展開場所に対して所望の数の培養装置に播種するのに十分な数のタンク等を含むことができる。いくつかの場合では、こうした配置により、任意の数の培養装置の要求に応じた又はほぼ要求に応じた播種を可能にすることができる。いくつかの実施態様では、こうした配置により、従来の陸上発芽装置施設から播種された培養装置を受け取る場合に本来タンクが保持する播種された培養装置の荷重全体をタンクが保持する必要がないため、船舶に含まれるタンクのサイズを縮小することができる。
【0079】
[0082] 船舶は、所望の周波数の波長(例えば、赤色光、青色光、白色光、及び/又は紫外線及び/又は赤外線を含む他の任意の好適な光を生成する波長)を有する光を提供するように構成された、照明システム及び/又はデバイス等も含むことができる。したがって、種糸は、目的生産物が所望の量だけ成長するまで、タンク、リザーバ、浴槽、培養チャンバ等に保持することができ、その後、船舶から海上の所望の展開場所まで展開、排出、及び/又は他の方法で移送することができる。いくつかの実施態様では、船舶は、タンク等が開放水域(海洋、海等)に開放されるようにし、及び/又は播種された培養装置が開放水域に流れ込むのを可能にするように浸水されるようにすることができる。
【0080】
[0083] いくつかの実施態様では、船舶は、播種される前の任意の数の培養装置を保管するように構成された1つ又は複数のリール、スリーブ、ラック及び/又は他の保管構造体を含むことができる。同様に、船舶は、播種される前の種糸を保管するように構成された任意の好適な保管構造体等を含むことができる。いくつかの場合では、こうした配置により、陸上発芽装置から播種された培養装置を受け取る船舶と比較して、船舶のスペースの効率的な使用を増大させることができる。さらに、いくつかの実施態様では、こうした配置により、播種前及び/又は播種後の培養装置の要求に応じた又はほぼ要求に応じた組み立てを可能にすることができる。いくつかの実施態様では、船舶は、培養装置を組み立てるように構成された、及び/又は種糸を培養装置に取り付けるように構成された、1つ又は複数の機械、ロボット、機構、デバイス等を含むことができる。
【0081】
[0084] いくつかの場合では、こうした船舶を使用して、例えば、成熟した目的生産物(例えば、大型藻類)を収穫することができる。例えば、いくつかの実施態様では、船舶は、少なくとも一部、任意の数の大型藻類養殖場及び/又は展開場所の既知の生活環に基づいて、予め規定された経路に沿って移動することができる。いくつかの場合では、こうした船舶は、船舶が培養装置に播種し播種された培養装置を展開している間、予め規定された経路の第1部分に沿って移動することができ、所望の数の培養装置を展開した後、船舶が成熟した大型藻類を収穫する間、予め規定された経路の第2部分に沿って移動することができる。他の場合では、船舶は、展開及び収穫作業を実質的に同時に実施することができる。いくつかの実施態様では、船舶から任意の数のドローン等を展開して、成熟した大型藻類を収穫し、及び/又は播種された培養装置を展開することができる。いくつかの場合では、船舶及び/又はドローンは、自由浮遊する大型藻類(例えば、野生の大型藻類、及び/又は他の理由で培養装置の一部に取り付けられていないか又はマイクロファームに含まれていない大型藻類)を収穫するように構成することができる。さらに、船舶は、大型藻類の成長、重量及び/又はバイオマスの計算の評価、炭素隔離の分析及び/又は計算等、及び/又は他の任意の好適な分析を可能にする任意の好適な機器、デバイス、機構、研究室等を含むことができる。
【0082】
[0085] いくつかの実施態様では、船舶は、以下の非限定的な利点、特徴、プロセス等のうちの任意のもの及び/又はすべてを含むことができ、実施することができ、及び/又は提供するように構成することができる。
・陸上の発芽装置及び移動式発芽装置から、種糸のスプール及び/又はリールを、船舶の貯蔵タンクに直接受け取ること。
・播種前の種糸を船舶の空タンクに受け取り、船舶上で、例えば濾過された海水等で、タンクを充填すること。
・大型藻類の船上発芽、本明細書に記載する培養装置のうちの任意のものの船上播種、及び播種された培養装置の船舶から直接の展開。
・培養装置(例えば、ブイ等)のリールの展開-培養装置を膨張させること、及び/又は他の方法で保管状態から展開状態に移行させることを含む。
・任意の数の培養装置等を含む目的生産物の展開を岸から所望の展開場所まで牽引すること。
・培養装置を保管又は収縮状態で、(例えば、マガジンラックと同様の)ラック等の保管コンテナ又は構造体に保管すること。
・培養装置の船上の膨張、及び/又は保管状態から展開状態への移行、並びにタイマ及び/又は圧力作動プラグ、センサ、シール、通信デバイス、撮像デバイス、遠隔測定デバイス、追跡デバイス等、本明細書に記載するデバイスのうちの任意のものの設置。
・種糸を培養装置に連結するように構成された(又は種糸の培養装置への連結を容易にするように構成された)機械、デバイス、ロボット及び/又は機構を提供する。種糸が第2部材の少なくとも一部を形成する実施態様では、機械、デバイス、ロボット及び/又は機構は、培養装置10に関して上述したように、培養装置の第2部材を第1部材に少なくとも一時的に(例えば、中間部材を介して)結合するように構成することができる。
・例えば、ドローン及び/又は他の任意の好適な収穫機器(例えば、フック、ネット、ウィンチ等)を使用して、自由浮遊の大型藻類及び/又は養殖された大型藻類を収穫すること。
・ドローン、衛星リンク、センサ、スキャナ、カメラ、レーダ、ソナー及び/又は他の任意の好適なデバイスを使用して大型藻類養殖場及び/又は自由浮遊の大型藻類を監視すること。
・船舶上の機器及び/又は研究室(例えば、ひずみゲージ、伸び計、カメラ、秤、トランスデューサ等)を使用して、大型藻類の重量及び/又はバイオマスを推定し、陸上施設及び/又は資源にデータを中継する必要なしに、抗力及び負の浮力の評価等を行うために所与の期間にわたる平均重量の計算を可能にすること。
・種糸、ロープ、延縄等の形状を使用して、水及び栄養分を種糸等に誘導すること。
・種糸及び/又は播種された培養装置への、成長を促進するための窒素又は鉄の洋上施肥。
【0083】
[0086] さまざまな実施形態について特に示し記載したが、それらは限定としてではなく単に例として提示されたものであることが理解されるべきである。形態及び/又は詳細におけるさまざまな変更は、明示的に別段の記載がない限り、本開示の趣旨から逸脱することなく、及び/又はその機能及び/又は利点を変更することなく、行うことができる。上述した概略図及び/又は実施形態が、いくつかの向き又は位置に配置された、いくつかの構成要素を示す場合、構成要素の配置を変更してもよい。
【0084】
[0087] さまざまな実施形態について、特定の特徴及び/又は構成要素の組合せを有するものとして記載したが、本明細書に記載した実施形態のうちの任意のものからの任意の特徴及び/又は構成要素の組合せを有する他の実施形態が、相互に排他的な組合せを除いて、可能である。本明細書に記載した実施形態は、記載した異なる実施形態の機能、構成要素及び/又は特徴のさまざまな組合せ及び/又はサブコンビネーションを含むことができる。
【0085】
[0088] さまざまな構成要素の具体的な構成もまた変更することができる。例えば、さまざまな構成要素のサイズ及び具体的な形状は、本明細書に記載するような機能を依然として提供しながら、示した実施形態とは異なるものとすることができる。より具体的には、さまざまな構成要素のサイズ及び形状は、所望の又は意図された用途のために具体的に選択することができる。したがって、実施形態及び/又はその構成要素のサイズ、形状及び/又は配置は、文脈において明確な別段の指示がない限り、所与の用途に対して適合させることができることが理解されるべきである。
【0086】
[0089] 上述した方法及び/又は事象が、いくつかの事象及び/又は手順がある特定の順序で発生することを示す場合、いくつかの事象及び/又は手順の順序は変更してもよい。さらに、いくつかの事象及び/又は手順は、上述したように順次実施されるだけでなく、可能な場合には並列プロセスで同時に実施してもよい。
【国際調査報告】