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特表2023-545480相対的レーザ強度を設定する機器及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】相対的レーザ強度を設定する機器及び方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20231023BHJP
   G03F 1/76 20120101ALI20231023BHJP
【FI】
G03F7/20 505
G03F1/76
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522864
(86)(22)【出願日】2021-10-18
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 EP2021078795
(87)【国際公開番号】W WO2022084243
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】20202790.0
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513253940
【氏名又は名称】マイクロニック アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100202740
【弁理士】
【氏名又は名称】増山 樹
(72)【発明者】
【氏名】フレードリク イレーン
【テーマコード(参考)】
2H195
2H197
【Fターム(参考)】
2H195BB08
2H195BB32
2H197AA22
2H197CA07
2H197DA03
2H197DA09
2H197DB06
2H197HA10
(57)【要約】
リソグラフィ露光を表す複数のピクセルに対して各々の相対的レーザ強度を設定する、機器、コンピュータプログラム、コンピュータ可読媒体、及び、方法。複数のピクセルは、露光されるピクセルの領域のエッジに配置された少なくとも1つのエッジピクセルと、少なくとも1つの隣接ピクセルと、を含む。少なくとも1つの隣接ピクセルは、エッジから離れて、露光されるピクセルの領域に向かう垂直方向に、少なくとも1つのエッジピクセルから1ピクセル離れて配置されている。当該方法は、複数のピクセルの各ピクセルの相対的レーザ強度を、既に設定された各々の第1の相対的レーザ強度から各々の第2の相対的レーザ強度に比例的に減少させることを含む。ピクセルの相対的レーザ強度のレーザドーズ変換は、第1の相対的レーザ強度の既に設定された第1のレーザドーズ変換から第2の相対的レーザ強度の第2のレーザドーズ変換に比例的に調整される。比例的な調整は、各々の第1の相対的レーザ強度の第1のレーザドーズ変換に起因した各ピクセルの各々の有効露光レーザドーズに等しい各々の第2の相対的レーザ強度の第2のレーザドーズ変換によって、各ピクセルの各々の有効露光レーザドーズが達成されるような調整である。少なくとも1つのエッジピクセルの内のエッジピクセル、又は、少なくとも1つの隣接ピクセルの隣接ピクセルの各々の相対的レーザ強度は、定数追加項によって、各々の第2の相対的レーザ強度から各々の第3の相対的レーザ強度に増加する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ露光を表す複数のピクセルに対して各々の相対的レーザ強度を設定する方法であって、
前記複数のピクセルは、露光されるピクセルの領域のエッジに配置された少なくとも1つのエッジピクセルと、
少なくとも1つの隣接ピクセルと、を含み、
前記少なくとも1つの隣接ピクセルは、前記エッジから離れて、露光されるピクセルの前記領域に向かう垂直方向に、前記少なくとも1つのエッジピクセルから1ピクセル離れて配置されており、
前記方法は、
前記複数のピクセルの各ピクセルの相対的レーザ強度を、既に設定された各々の第1の相対的レーザ強度から各々の第2の相対的レーザ強度に比例的に減少させるステップと、
ピクセルの相対的レーザ強度のレーザドーズ変換を、既に設定された第1のレーザドーズ変換から第2のレーザドーズ変換に比例的に調整して、前記各々の第1の相対的レーザ強度の前記第1のレーザドーズ変換に起因した各ピクセルの各々の有効露光レーザドーズに等しい前記各々の第2の相対的レーザ強度の前記第2のレーザドーズ変換によって、各ピクセルの各々の有効露光レーザドーズが達成されるステップと、
定数追加項によって、前記少なくとも1つのエッジピクセルの内のエッジピクセル、又は、前記少なくとも1つの隣接ピクセルの隣接ピクセルの前記各々の相対的レーザ強度を、前記各々の第2の相対的レーザ強度から各々の第3の相対的レーザ強度に増加させるステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記各々の第2の相対的レーザ強度は、1未満の係数を掛けた前記各々の第1の相対的レーザ強度に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記各々の第3の相対的レーザ強度は、前記少なくとも1つのエッジピクセルの内の前記エッジピクセル、又は、前記少なくとも1つの隣接ピクセルの前記隣接ピクセルの前記各々の第3の相対的レーザ強度の前記第2のレーザドーズ変換によって達成される各々の有効露光レーザドーズが、前記各々の第1の相対的レーザ強度に関する100パーセントの相対的レーザ強度の前記第1のレーザドーズ変換によって達成される各々の有効露光レーザドーズよりも高くなるような強度である、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのエッジピクセルの内の前記エッジピクセルの前記各々の相対的レーザ強度が、閾値よりも大きい相対的レーザ強度に相当するという条件で、前記定数追加項によって、前記少なくとも1つのエッジピクセルの内の前記エッジピクセルの前記各々の第2の相対的レーザ強度を、前記各々の第3の相対的レーザ強度に増加させることと、
前記少なくとも1つのエッジピクセルの内の前記エッジピクセルの前記各々の相対的レーザ強度が、前記閾値未満の相対的レーザ強度に相当するという条件で、前記定数追加項によって、前記少なくとも1つの隣接ピクセルの前記隣接ピクセルの前記各々の第2の相対的レーザ強度を、前記各々の第3の相対的レーザ強度に増加させることと、
を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記各々の第1の相対的レーザ強度は、0パーセントから100パーセントまでの相対的レーザ強度の各々の割合に相当する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
エッジピクセルは、前記各々の第1の相対的レーザ強度が0パーセントよりも大きい相対的レーザ強度であり、且つ、前記各々の第1の相対的レーザ強度が0パーセントの相対的レーザ強度である少なくとも1つのピクセルに隣接して配置されたピクセルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
隣接ピクセルは、前記各々の第1の相対的レーザ強度が0パーセントよりも大きい相対的レーザ強度であり、且つ、前記エッジから垂直な方向にエッジピクセルに隣接して配置されたピクセルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
処理機器上で実行されると、請求項1~7のいずれか一項に記載の前記方法を前記処理機器に行わせるコンピュータ可読命令を含む、コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
処理機器上で実行されると、請求項1~7のいずれか一項に記載の前記方法を前記処理機器に行わせるコンピュータ可読命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項10】
複数のピクセルに対して各々の相対的レーザ強度を設定する機器であって、
前記複数のピクセルは、少なくとも1つのエッジピクセルと、
少なくとも1つの隣接ピクセルと、を含み、
前記少なくとも1つの隣接ピクセルは、エッジから垂直方向に前記少なくとも1つのエッジピクセルから1ピクセル離れて配置されており、
前記機器は、請求項1~7のいずれか一項に記載の前記方法を行うように構成された処理手段を備える、機器。
【請求項11】
請求項10に記載の前記機器を備える、マスク描画システム。
【請求項12】
リソグラフィ露光を表す複数のピクセルの有効露光レーザドーズを設定する方法であって、
前記複数のピクセルは、露光されるピクセルの領域のエッジに配置された少なくとも1つのエッジピクセルと、
前記エッジから離れて、露光されるピクセルの前記領域に向かう垂直方向に、前記少なくとも1つのエッジピクセルから1ピクセル離れて配置された少なくとも1つの隣接ピクセルと、
前記エッジから離れて、露光されるピクセルの前記領域に向かう前記垂直方向に、前記少なくとも1つのエッジピクセルから少なくとも2ピクセル離れて配置された非隣接ピクセルと、を含み、
前記方法は、
前記少なくとも1つのエッジピクセルの内のエッジピクセル又は前記少なくとも1つの隣接ピクセルの隣接ピクセルの各々の有効露光レーザドーズが、前記非隣接ピクセルの各々の有効露光レーザドーズよりも高くなるように、前記複数のピクセルの各ピクセルの各々の有効露光レーザドーズを設定することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パターン生成に関し、具体的には、リソグラフィ露光を表す複数のピクセルに対して各々の相対的レーザ強度を設定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マスク印刷などにおけるパターン生成の領域では、印刷されるパターンは通常、複数(格子)のピクセルに関して変換され、各々の相対的レーザ強度は、印刷されるパターンによって覆われるピクセルの領域に比例して、複数のピクセルの各ピクセルに対して設定される。複数のピクセルのうちのいくつかのピクセルについて、当該ピクセルの各々の領域の全てがパターンによって覆われ、したがって、100パーセントの各々の相対的レーザ強度が設定される。複数のピクセルのうちのいくつかのピクセルについて(パターンのエッジで)、当該ピクセルの各々の領域の一部のみがパターンによって覆われ、したがって、覆われる各々の領域に比例した(したがって、100パーセント未満の)各々の相対的レーザ強度が設定される。例えば、ピクセルの領域の50%がパターンによって覆われる場合、これは、そのピクセルに対して50%の相対的レーザ強度を設定することになる。従来技術のパターン生成装置に伴う問題は、印刷されたパターンのエッジの鮮明度及びエッジの粗さが、場合によって不充分になることである。
【発明の概要】
【0003】
本発明者は、印刷されたパターンのエッジの鮮明度及びエッジの粗さが不充分になるという従来技術に伴う問題が、パターンのエッジでのピクセル又は当該エッジに近いピクセルの相対的レーザ強度によるものであることに気付いた。パターンのエッジは、ピクセルがある程度露光される、すなわち、0%よりも高い相対的レーザ強度の場所と、ピクセルが全く露光されない、すなわち、0%に等しい相対的レーザ強度の場所との間の境界である。
【0004】
第1の態様によると、リソグラフィ露光を表す複数のピクセルに対して各々の相対的レーザ強度を設定する方法が提供される。複数のピクセルは、露光されるピクセルの領域のエッジに配置された少なくとも1つのエッジピクセルと、少なくとも1つの隣接ピクセルと、を含む。少なくとも1つの隣接ピクセルは、エッジから離れて、露光されるピクセルの領域に向かう垂直方向に、少なくとも1つのエッジピクセルから1ピクセル離れて配置されている。当該方法は、複数のピクセルの各ピクセルの相対的レーザ強度を、既に設定された各々の第1の相対的レーザ強度から各々の第2の相対的レーザ強度に比例的に減少させることを含む。ピクセルの相対的レーザ強度のレーザドーズ変換は、第1の相対的レーザ強度の既に設定された第1のレーザドーズ変換から第2の相対的レーザ強度の第2のレーザドーズ変換に比例的に調整される。比例的な調整は、各々の第1の相対的レーザ強度の第1のレーザドーズ変換に起因した各ピクセルの各々の有効露光レーザドーズに等しい各々の第2の相対的レーザ強度の第2のレーザドーズ変換によって、各ピクセルの各々の有効露光レーザドーズが達成されるような調整である。少なくとも1つのエッジピクセルの内のエッジピクセル、又は、少なくとも1つの隣接ピクセルの隣接ピクセルの各々の相対的レーザ強度は、定数追加項によって、各々の第2の相対的レーザ強度から各々の第3の相対的レーザ強度に増加する。
【0005】
まず、各ピクセルの相対的レーザ強度を比例的に減少させ、次いで、各ピクセルの有効露光レーザドーズが、相対的レーザ強度の比例的な減少及びレーザドーズ変換の比例的な調整が無かった場合と同じになるようにレーザドーズ変換を比例的に調整することによって、最も高い相対的レーザ強度は、100%未満の相対的レーザ強度まで効果的に下げられる。これは、ピクセルの原(第1の)相対的レーザ強度に関わらず、ピクセルに対する相対的レーザ強度の増加に対応する。したがって、エッジピクセル又は隣接ピクセルの各々の相対的レーザ強度は、エッジの鮮明度及びエッジの粗さの向上を可能にする定数追加項によって増加し得る。
【0006】
相対的レーザ強度は、ピクセルに関してレーザ強度を示す方法であり、例えば、100%の相対的レーザ強度によって定義され得、当該100%の相対的レーザ強度は、ピクセルの領域の100%がパターンに従って露光されるべきである隣接ピクセルにおける所望の露光を達成するように選択されるレーザ強度に相当する。
【0007】
各ピクセルの既に設定された各々の第1の相対的レーザ強度及び既に設定された第1のレーザドーズ変換は、100%のレーザ強度の既に設定された第1の相対的レーザ強度の既に設定された第1のレーザドーズ変換が、100%の露光となるように既に選択(較正)されており、ここで、100%の露光は、ピクセルの領域の100%がパターンに従って露光されるべきである隣接ピクセルにおいて所望の一定の露光を与えるように較正された有効露光レーザドーズである。
【0008】
エッジピクセルは、各々の第1の相対的レーザ強度が0パーセントよりも大きい相対的レーザ強度であり、且つ、各々の第1の相対的レーザ強度が0パーセントの相対的レーザ強度である少なくとも1つのピクセルに隣接して配置されたピクセルとして定義され得る。
【0009】
隣接ピクセルは、各々の第1の相対的レーザ強度が0パーセントよりも大きい相対的レーザ強度であり、且つ、エッジから垂直な方向にエッジピクセルに隣接して配置されたピクセルとして定義され得る。
【0010】
各々の第2の相対的レーザ強度は、1未満の係数を掛けた各々の第1の相対的レーザ強度に等しくてもよい。換言すれば、複数のピクセルの各ピクセルの各々の第2の相対的レーザ強度は、1未満の係数を掛けた各々の第1の相対的レーザ強度である。
【0011】
本発明者は、各々の第1の相対的レーザ強度に関する第1のレーザドーズ変換によって100パーセントの相対的レーザ強度が変換されたものよりも高いレーザ強度は、いくつかの状況ではエッジピクセルについて達成され、いくつかの状況では隣接ピクセルについて達成されるときに、エッジの鮮明度及びエッジの粗さを向上させることに更に気付いた。したがって、少なくとも1つのエッジピクセルの内のエッジピクセル、又は、少なくとも1つの隣接ピクセルの隣接ピクセルの各々の第3の相対的レーザ強度の第2のレーザドーズ変換によって達成される各々の有効露光レーザドーズが、各々の第1の相対的レーザ強度に関する100パーセントの相対的レーザ強度の第1のレーザドーズ変換によって達成される各々の有効露光レーザドーズよりも大きくなるように、各々の第3の相対的レーザ強度が構成され得る。これは、エッジピクセル又は隣接ピクセルが、パターンによって完全に覆われ、したがって、各々の第1の相対的レーザ強度に係る100パーセントの相対的レーザ強度を有するべき複数のピクセルのピクセルに対するものよりも高い有効露光レーザドーズを有することを意味する。
【0012】
当該方法は、条件を更に含み得、当該条件に基づいて、定数追加項による増加は、少なくとも1つのエッジピクセルの内のエッジピクセル又は少なくとも1つの隣接ピクセルの隣接ピクセルに関して行われる。例えば、少なくとも1つのエッジピクセルの内のエッジピクセルの各々の相対的レーザ強度が、閾値よりも大きい相対的レーザ強度に相当するという条件で、少なくとも1つのエッジピクセルの内のエッジピクセルの各々の第2の相対的レーザ強度を、定数追加項によって、各々の第3の相対的レーザ強度に増加させるように、閾値が導入され得る。一方、少なくとも1つのエッジピクセルの内のエッジピクセルの各々の相対的レーザ強度が、閾値未満の相対的レーザ強度に相当するという条件で、少なくとも1つの隣接ピクセルの隣接ピクセルの各々の第2の相対的レーザ強度を、定数追加項によって、各々の第3の相対的レーザ強度に増加させる。
【0013】
各々の第1の相対的レーザ強度は、0パーセントから100パーセントまでの相対的レーザ強度の各々の割合に相当し得る。その結果、各々の第2の相対的レーザ強度は、各々の第1の相対的レーザ強度からの減少に対応するため、各々の第2の相対的レーザ強度は、0から100パーセント未満の割合までの相対的レーザ強度の各々の割合に相当する。
【0014】
第2の態様によると、処理機器上で実行されると、第1の態様の方法を処理手段に行わせるコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読媒体が提供される。
【0015】
第2の態様のコンピュータ可読媒体は、第1の態様の方法に関して記載される追加の特徴に相当する追加の特徴を更に含み得る。
【0016】
第2の態様のコンピュータ可読媒体は、例えば、非一時的コンピュータ可読媒体であり得る。
【0017】
第3の態様によると、処理機器上で実行されると、第1の態様の方法を処理機器に行わせるコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0018】
第3の態様のコンピュータプログラムは、第1の態様の方法に関して記載される追加の特徴に相当する追加の特徴を更に含み得る。
【0019】
第4の態様によると、複数のピクセルに対して各々の相対的レーザ強度を設定する機器が提供される。複数のピクセルは、少なくとも1つのエッジピクセルと、少なくとも1つの隣接ピクセルと、を含み、少なくとも1つの隣接ピクセルは、エッジから垂直方向に、少なくとも1つのエッジピクセルから1ピクセル離れて配置されている。機器は、第1の態様の方法を行うように構成された処理手段を備える。
【0020】
第4の態様の機器は、第1の態様の方法に関して記載される追加の特徴に相当する追加の特徴を更に含み得る。
【0021】
第5の態様によると、第4の態様に係る機器を備えるマスク描画システムが提供される。
【0022】
第5の態様のマスク描画システムは、第4の態様の機器に関して記載される追加の特徴に相当する追加の特徴を更に含み得る。
【0023】
第6の態様によると、リソグラフィ露光を表す複数のピクセルの有効露光レーザドーズを設定する方法が提供される。複数のピクセルは、少なくとも1つのエッジピクセルと、エッジから離れて垂直方向に、少なくとも1つのエッジピクセルから1ピクセル離れて配置された少なくとも1つの隣接ピクセルと、エッジから離れて垂直方向に、少なくとも1つのエッジピクセルから少なくとも複数ピクセル離れて配置された非隣接ピクセルと、を含む。当該方法は、少なくとも1つのエッジピクセルの内のエッジピクセル又は少なくとも1つの隣接ピクセルの隣接ピクセルの各々の有効露光レーザドーズが、非隣接ピクセルの各々の有効露光レーザドーズよりも高くなるように、複数のピクセルの各ピクセルの各々の有効露光レーザドーズを設定することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
添付図面を参照して以下に例を記載する。
【0025】
図1】従来技術に係るマスク描画システムに関して、本開示に係るリソグラフィ露光を表す複数のピクセルに対して各々の相対的レーザ強度を設定する概略図を示す。
図2】本開示に係る方法の一例のフローチャートを示す。
図3a】本開示の方法及び機器の実装に関して、感光性レジスト上に印刷されるパターンの一部の図を示す。
図3b】本開示の方法及び機器の実装に関して、感光性レジスト上に印刷されるパターンの一部の図を示す。
図3c】本開示の方法及び機器の実装に関して、感光性レジスト上に印刷されるパターンの一部の図を示す。
図3d】本開示の方法及び機器の実装に関して、感光性レジスト上に印刷されるパターンの一部の図を示す。
図4】本開示に係る機器の一例の概略図を示す。
【0026】
全ての図が概略的であり、概して、各々の例を明瞭にするために必要な部分のみを示す一方、他の部分は、省略され得るか又は提案されるだけであり得る。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の方法及び機器は、感光性レジスト上にパターンを印刷するパターン生成装置で有利に実装され得る。
【0028】
図1は、従来技術に係るマスク描画システム(リソグラフィ露光システム)に関して、リソグラフィ露光を表す複数のピクセルに対して各々の有効露光レーザ強度を設定する概略図を示す。ブロック110は、例えば、理想座標系のベクトルデータ(座標によって指定される幾何学図)の形態のマスク露光についてのパターンデータであるベクトルパターンデータの形態の原パターン描写を取得することを表す。次いで、ベクトルパターンデータは、ブロック120においてラスタライズで使用されて、相対的強度を有するピクセルデータを生成し、これは、簡略化して言うと、各ピクセルのベクトルデータの領域範囲を調べることによって行われ得る。そして、各ピクセルの各々の相対的レーザ強度は、ベクトルパターンデータによって覆われるピクセルの領域部分に比例する。ベクトルパターンデータによって完全に覆われるピクセルに対して、100%の各々の相対的レーザ強度が設定される。ベクトルパターンデータによって、一部のみ、例えば、50%を覆うパターンのエッジでのピクセルに対して、50%の各々の相対的レーザ強度が設定される。ここで、パターンによって覆われているピクセルの領域は、当該領域が、露光されるパターンの領域に対応することを意味する。
【0029】
次いで、ブロック130で、線形領域範囲のピクセルデータは、露光及び化学的画像現像の非線形反応に対して較正される。露光ビーム及びスイープ方向における様々な態様のピクセル強度及びサイズについての補正も行われる。ブロック140で、ピクセルに対する各々の相対的レーザ強度は、比例的に、ピクセルに対する各々の有効露光レーザ強度に変換される。ピクセルに対する各々の有効露光レーザ強度は、レーザ光源及び光学系から現在の強度が与えられる、隣接して充分に露光されるピクセルに対して均一の露光レベルを与えるように正しい光量を与えるために較正される。
【0030】
次いで、ブロック150で、ピクセルに対する各々の有効露光レーザ強度が、マスク描画システム(リソグラフィ露光システム)に提供される。マスク描画システムは、レーザ源160と、変調器170と、偏向器180と、を備える。ピクセルに対する各々の露光レーザ強度は、レーザ源160からのレーザビームを変調するために変調器170で使用される。変調されたレーザビームは、所望のパターンに従って感光性レジストを露光する、すなわち、各々の有効露光レーザ強度/ドーズを提供するために偏向器180によって感光性レジスト(マスク)190上に投影される。レーザ源160と変調器170との間、変調器170と偏向器180との間、及び、偏向器180とマスク190との間でマスク描画システム内に光学系(図示せず)などの追加の構成要素が含まれる。
【0031】
本発明者は、印刷されたパターンのエッジの鮮明度及びエッジの粗さが、パターンのエッジでのピクセル又は当該エッジに近いピクセルの相対的レーザ強度によるものであることに気付いた。パターンのエッジは、ピクセルがある程度露光される、すなわち、0%よりも高い相対的レーザ強度の場所と、ピクセルが全く露光されない、すなわち、0%に等しい相対的レーザ強度の場所との間の境界である。例えば、エッジの鮮明度及びエッジの粗さは、特定の割合内で設定されるエッジピクセルの相対的レーザ強度で悪影響を受ける。例えば、80%以上などの100%に近い相対的レーザ強度は、充分な特性のエッジの鮮明度及びエッジの粗さとなる。これは、エッジピクセルの相対的レーザ強度が、エッジの鮮明度及びエッジの粗さに関して充分な特性を提供するために100%に充分近いことに起因する。同様に、20%以下などの0%に近い相対的レーザ強度は、エッジの鮮明度及びエッジの粗さに関して充分な特性となる。これは、エッジピクセルの相対的レーザ強度が、隣接ピクセルの100%の相対的レーザ強度に関して充分小さく、隣接ピクセル相対的レーザ強度が、エッジの鮮明度及びエッジの粗さの観点でエッジの外観に影響することに起因する。これとは対照的に、50%により近い相対的レーザ強度は概して、不充分な特性のエッジの鮮明度及びエッジの粗さとなる。エッジピクセル又は隣接ピクセルの相対的レーザ強度を増加させることによって、印刷されたパターンのエッジの鮮明度及びエッジの粗さを向上させることができる。エッジピクセルは、各々の相対的レーザ強度が0%よりも大きい相対的レーザ強度であり、且つ、各々の第1の相対的レーザ強度が0%の相対的レーザ強度である少なくとも1つのピクセルに隣接して配置されたピクセルである。換言すれば、エッジピクセルは、露光されるピクセルであり、露光されないピクセルに隣接したピクセルである。エッジピクセルは、露光されるピクセルの領域(ピクセルを含む領域)のエッジに配置されている。隣接ピクセルは、各々の相対的レーザ強度が0%よりも大きい相対的レーザ強度であり、且つ、エッジから、露光されるピクセルの領域に向かう垂直な方向にエッジピクセルに隣接して配置されたピクセルである。換言すれば、隣接ピクセルは、露光されるピクセルであり、エッジピクセルに隣接し且つ露光されないピクセルとは反対の方向でエッジピクセルに隣接したピクセルである。
【0032】
図2は、本開示に係るリソグラフィ露光を表す複数のピクセルに対して各々の相対的レーザ強度を設定する方法200の一例のフローチャートを示す。複数のピクセルは、少なくとも1つのエッジピクセルと、少なくとも1つの隣接ピクセルと、を含む。複数のピクセルの各ピクセルの相対的レーザ強度は、各々の第1の相対的レーザ強度を既に設定する。これは通常、複数のピクセルに対する各々の相対的レーザ強度への原パターン描写のラスタライズに関して行われ得ると。
【0033】
方法200は、複数のピクセルの各ピクセルの相対的レーザ強度を、既に設定された各々の第1の相対的レーザ強度から各々の第2の相対的レーザ強度に比例的に減少させること210を含む。例えば、複数のピクセルの各ピクセルの各々の第1のレーザ強度に1未満の係数を掛け得る。例えば、係数が0.8である場合、100%の各々の第1の相対的レーザ強度を有するピクセルは、80%の各々の第2の相対的レーザ強度を有する。
【0034】
図1に関して、相対的レーザ強度を減少させること210は、(ブロック130の前に)ブロック120に関して行われる。
【0035】
方法200は、ピクセルの相対的レーザ強度のレーザドーズ変換を、既に設定された第1のレーザドーズ変換から第2のレーザドーズ変換に比例的に調整すること220を更に含む。比例的な調整は、各々の第1の相対的レーザ強度の第1のレーザドーズ変換に起因した複数のピクセルの各ピクセルの各々の有効露光レーザドーズに等しい各々の第2の相対的レーザ強度の第2のレーザドーズ変換によって、複数のピクセルの各ピクセルの各々の有効露光レーザドーズが達成されるような調整である。例えば、係数が0.8である場合、100%の各々の第1の相対的レーザ強度を有するピクセルは、80%の各々の第2の相対的レーザ強度を有し、第2のレーザドーズ変換を使用して、80%の第2の相対的レーザ強度を現在有するピクセルに対する有効露光レーザドーズは、第1のレーザドーズ変換を使用した、100%の第1の相対的レーザ強度を有するピクセルに対する有効露光レーザドーズと同じである。
【0036】
図1に関して、レーザドーズ変換を比例的に調整すること220は、(ブロック150の前に)ブロック140に関して行われる。
【0037】
相対的レーザ強度の比例的な減少及びレーザドーズ変換の比例的な調整は、複数のピクセルの各ピクセルの不変の有効露光レーザドーズとなるが、設定された相対的レーザ強度は全て減少している。
【0038】
方法200は、少なくとも1つのエッジピクセルの内のエッジピクセル、又は、少なくとも1つの隣接ピクセルの隣接ピクセルの各々の相対的レーザ強度を、各々の第2の相対的レーザ強度から各々の第3の相対的レーザ強度に増加させること230を更に含む。当該増加は、例えば、定数項の追加によるものであり得る。
【0039】
少なくとも1つのエッジピクセルの内のエッジピクセル、又は、少なくとも1つの隣接ピクセルの隣接ピクセルの各々の第3の相対的レーザ強度の第2のレーザドーズ変換によって達成される各々の有効露光レーザドーズが、各々の第1の相対的レーザ強度に関する100%の相対的レーザ強度の第1のレーザドーズ変換によって達成される各々の有効露光レーザドーズよりも高くなるように、各々の第3の相対的レーザ強度が構成され得る。これは、エッジピクセル又は隣接ピクセルが、パターンによって完全に覆われ、したがって、各々の第1の相対的レーザ強度に係る100%の相対的レーザ強度を有するべき複数のピクセルのピクセルに対するものよりも高い有効露光レーザドーズを有することを意味する。これは、相対的レーザ強度の比例的な減少及びレーザドーズ変換の比例的な調整は、複数のピクセルの各ピクセルの不変の有効露光レーザドーズとなるが、設定された相対的レーザ強度は、全て減少しているため、達成可能である。例えば、各々の第3のレーザ強度は、100%の相対的レーザ強度であり得る。第2のレーザドーズ変換を使用して、これは、各々の第1の相対的レーザ強度に関する100%の相対的レーザ強度の第1のレーザドーズ変換によって達成される各々の有効露光レーザドーズよりも高い有効露光レーザドーズに変換される。これは、各々の第1の相対的レーザ強度に関する100%の相対的レーザ強度の第1のレーザドーズ変換によって達成される各々の有効露光レーザドーズが、各々の第2の相対的レーザ強度に関する100%未満の相対的レーザ強度の第2のレーザドーズ変換によって達成される各々の有効露光レーザドーズに等しいためである。
【0040】
図1に関して、少なくとも1つのエッジピクセルの内のエッジピクセル、又は、少なくとも1つの隣接ピクセルの隣接ピクセルの各々の相対的レーザ強度を増加させること230は、(ブロック130の前に)ブロック120に関して行われる。
【0041】
定数項がエッジピクセルに追加されるか、隣接ピクセルに追加されるかは、1つ以上の閾値に基づいて決定され得る。例えば、1つの閾値、例えば、40%が使用される場合、少なくとも1つのエッジピクセルの内のエッジピクセルの各々の相対的レーザ強度が、閾値よりも大きい相対的レーザ強度に相当するという条件で、少なくとも1つのエッジピクセルの内のエッジピクセルの各々の第2の相対的レーザ強度に定数追加項が追加されて、各々の第3の相対的レーザ強度に至る。
【0042】
少なくとも1つのエッジピクセルの内のエッジピクセルの各々の相対的レーザ強度が、閾値未満の相対的レーザ強度に相当するという条件で、少なくとも1つの隣接ピクセルの隣接ピクセルの各々の第2の相対的レーザ強度を、定数追加項によって、各々の第3の相対的レーザ強度に増加させる。ここで、隣接ピクセルは、閾値未満の相対的レーザ強度を有するエッジピクセルに対応する隣接ピクセルである。閾値は、好ましくは、エッジの鮮明度及びエッジの粗さに関して不充分な特性を提供する各々の第1の相対的レーザ強度に関して設定される。例えば、当該閾値は、各々の第1の相対的レーザ強度に関して50%に設定され得、0.8の係数が、各々の第2の相対的レーザ強度に関して40%に相当する。図1に関して、方法200によって提供される有効露光レーザドーズを有するピクセルデータは、エッジピクセル又は隣接ピクセルではない全てのピクセルに対する、影響を受けない有効露光レーザドーズを含む。概して、パターン印刷のためにベクトルパターンデータを有効露光レーザドーズに変換するために、非線形性を考慮する必要があり、非線形性は、複雑な較正及び補正を含む。エッジピクセル又は隣接ピクセルは、より高い有効露光レーザドーズを受け取る。強度が露光領域に関して依然線形である相対的レーザ強度に(例えば、1未満の係数による乗算によって)、方法200の変換が適用される。更に、レーザドーズ変換は、非線形的に較正及び補正されるが、レーザドーズ変換のレベルは、充分に露光されるべき全てのピクセルに対して、影響を受けない有効露光レーザドーズを提供するように調整され得る。したがって、図2の方法200に従った図1のブロック120及び140の調整は、図1のブロック130から独立して行われ得る。
【0043】
本開示の方法の実装はここで、図3a~図3dに関して記載される。図3a~図3dは、感光性レジスト上に印刷されるパターンの一部及び感光性レジストに関する36個のピクセルに関する図を示す。説明のために、ピクセルは、6列A~F及び6行1~6に関して指定され、その結果、左上のピクセルは、ピクセルA1と指定され、右側の次のピクセルは、ピクセルB1と指定されるなど、F6まで指定される。
【0044】
図3a~図3dは単に、パターンを感光性レジスト上に印刷する例示的な原理を示すために提供されることに留意されたい。ピクセルの数及びピクセルの相対的寸法並びに結果として生じるパターンは、実際の結果を反映することを意図したものではなく、いくつかのピクセル、及び、通常はるかに大きいパターンの一部を反映することを意図したものである。
【0045】
図3aでは、パターンの一部は、36個のピクセルA1~F6に関して斜め縞領域として示される。列C、D、及び、E内の全てのピクセルは、パターンによって完全に覆われており、列A及びF内のピクセルは、パターンの外側である。列B内のピクセルは、最初の2つのピクセルB1及びB2が40%まで覆われ、且つ、続く4つのピクセルB3、B4、B5、及び、B6が60%まで覆われるようにパターンによって部分的に覆われている。図3aは単に、様々なピクセルが覆われる程度を示すための説明目的であることに留意されたい。
【0046】
従来技術では、パターン生成装置は、相対的領域、すなわち、領域の割合、パターンによって覆われることが決定されたピクセルの割合に比例して各ピクセルに対するレーザの相対的強度を生成するように較正されており、そのピクセルに対するレーザの相対的強度は、その特定の割合に設定される。図3bに戻って、これは、図3aに示されるパターンの一部に関して示される。パターンによって100%まで覆われる列C、D、及び、F内のピクセルに対して、100%の相対的レーザ強度が、当該ピクセルに対する各々の第1の相対的レーザ強度として設定される。これは、100%の相対的レーザ強度を表す黒色として示されているピクセルによって示される。パターンによって40%まで覆われる列Bの上から2つのピクセルB1及びB2に対して、40%の相対的レーザ強度が、当該ピクセルに対する各々の第1の相対的レーザ強度として設定される。これは、40%の相対的レーザ強度を表す白地に黒点で示されているピクセルによって示される。パターンによって60%まで覆われる列Bの続く4つのピクセルB3、B4、B5、及び、B6に対して、60%の相対的レーザ強度が、当該ピクセルに対する各々の第1の相対的レーザ強度として設定される。これは、60%の相対的レーザ強度を表す白地に黒色の縦縞で示されているピクセルによって示される。
【0047】
40%の各々の第1の相対的レーザ強度を有するピクセルB1及びB2、並びに、60%の各々の第1の相対的レーザ強度を有するピクセルB3、B4、B5、及び、B6の両方が、50%に近い中間範囲であるため、印刷されたパターンのエッジの鮮明度及びエッジの粗さの特性は好ましくない。印刷されたパターンのエッジの鮮明度及びエッジの粗さの特性を向上させるために、例えば、図1に関して記載されるものなどの本開示に係る方法が使用され得る。次いで、ピクセルの各ピクセルの相対的レーザ強度を、各々の第1の相対的レーザ強度から各々の第2の相対的レーザ強度に比例的に減少させることを始める。図3bに関して、複数のピクセルの各ピクセルの各々の第1のレーザ強度に係数0.8を掛け得る。したがって、100%の各々の第1の相対的レーザ強度を有する列C、D、及び、E内のピクセルは、80%の各々の第2の相対的レーザ強度を有する。これは、80%の相対的レーザ強度を表す黒地に白点として示されているピクセルによって図3cに示される。40%の各々の第1の相対的レーザ強度を有する列Bの上から2つのピクセルB1及びB2は、32%の各々の第2の相対的レーザ強度を有する。これは、32%の相対的レーザ強度を表す白地に黒色の格子として示されているピクセルによって図3cに示される。60%の各々の第1の相対的レーザ強度を有する列Bの続く4つのピクセルB3、B4、B5、及び、B6は、48%の各々の第2の相対的レーザ強度を有する。これは、48%の相対的レーザ強度を表す黒色の横線として示されているピクセルによって図3cに示される。
【0048】
次いで、図3cに示されるような相対的レーザ強度の減少は、ピクセルの相対的レーザ強度のレーザドーズ変換を、既に設定された第1のレーザドーズ変換から第2のレーザドーズ変換に比例的に調整することと組み合わされる。比例的な調整は、各々の第1の相対的レーザ強度の第1のレーザドーズ変換に起因した複数のピクセルの各ピクセルの各々の有効露光レーザドーズに等しい各々の第2の相対的レーザ強度の第2のレーザドーズ変換によって、複数のピクセルの各ピクセルの各々の有効露光レーザドーズが達成されるような調整である。
【0049】
相対的レーザ強度の比例的な減少及びレーザドーズ変換の比例的な調整は、ピクセルの各ピクセルの不変の有効露光レーザドーズとなるが、設定された相対的レーザ強度は全て減少している。しかしながら、これを行うことは、全てのピクセルが現在、80%以下である各々の第2の相対的レーザ強度を有するため、全てのピクセルに関する相対的レーザ強度の個々の増加に対応することになる。
【0050】
印刷されたパターンのエッジの鮮明度及びエッジの粗さの特性を向上させるために、少なくとも1つのエッジピクセルの内のエッジピクセル、又は、少なくとも1つの隣接ピクセルの隣接ピクセルの相対的レーザ強度を、各々の第2の相対的レーザ強度から各々の第3の相対的レーザ強度に増加させ得る。当該増加は、例えば、定数項の追加によるものであり得る。
【0051】
図3dには、ピクセルの一部に対する相対的レーザ強度を増加させた後のピクセルに対する各々の相対的レーザ強度が示されている。例えば、列Eでは、エッジピクセルであるピクセルE1、E2、E3、E4、E5、及び、E6の相対的レーザ強度を、80%の各々の第2の相対的レーザ強度に20%の相対的レーザ強度に相当する定数追加項を追加することによって増加させており、100%の各々の第3の相対的レーザ強度となる。これは、100%の相対的レーザ強度を表す黒色として示されているピクセルE1、E2、E3、E4、E5、及び、E6によって図3dに示される。これは、列EのエッジピクセルE1、E2、E3、E4、E5、及び、E6が、各々の第1の相対的レーザ強度に係る100%の相対的レーザ強度を有していた列DのピクセルD1、D2、D3、D4、D5、及び、D6に対するものよりも高い有効露光レーザドーズを有することを意味する。これは、各々の第1の相対的レーザ強度に関する100%の相対的レーザ強度の第1のレーザドーズ変換によって達成される各々の有効露光レーザドーズが、各々の第2の相対的レーザ強度に関する100%未満の相対的レーザ強度の第2のレーザドーズ変換によって達成される各々の有効露光レーザドーズに等しいためである。
【0052】
概して、例えば、エッジピクセルの有効露光レーザドーズが、各々の第1の相対的レーザ強度に係る100%の相対的レーザ強度を有していたピクセルに対する有効露光レーザドーズよりも高くなるように、相対的レーザ強度を増加させることによってエッジピクセルの有効露光レーザドーズを増加させることにより、そのエッジピクセルに関する、印刷されたパターンのエッジの鮮明度及びエッジの粗さの特性が向上する。当該増加は、エッジピクセルに関するオーバードーズの提供と称され得る。
【0053】
定数項がエッジピクセルに追加されるか、隣接ピクセルに追加されるかは、1つ以上の閾値に基づいて決定され得る。例えば、図3bに関して、閾値40%が、各々の相対的レーザ強度に関して使用され、これは、各々の第1の相対的レーザ強度に関して50%に相当する。閾値40%を超える各々の第2の相対的レーザ強度を有するエッジピクセルに対して、定数追加項が、エッジピクセルの各々の第2の相対的レーザ強度に追加され、40%よりも低い各々の第2の相対的レーザ強度を有するエッジピクセルに対して、定数追加項が、エッジピクセルの隣接ピクセルの各々の第2の相対的レーザ強度に追加される。
【0054】
32%の各々の第2の相対的レーザ強度を有する列Bの上から2つのピクセルB1及びB2は、白地に黒色の格子として示されているピクセルによって図3cに示される。これは、閾値40%よりも低く、定数追加項が、エッジピクセルB1及びB2の隣接ピクセルC1及びC2の各々の第2の相対的レーザ強度にそれぞれ追加される。この場合、20%の相対的レーザ強度に相当する定数追加項が、隣接ピクセルC1及びC2の80%の各々の第2の相対的レーザ強度にそれぞれ追加され、それによって、2つの隣接ピクセルC1及びC2に対する100%の各々の第3の相対的レーザ強度となる。これは、100%の相対的レーザ強度を表す黒色として示されているピクセルC1及びC2によって図3dに示される。これは、隣接ピクセルC1及びC2が各々、各々の第1の相対的レーザ強度に係る100%の相対的レーザ強度を有していた列DのピクセルD1及びD2に対するものよりも高い有効露光レーザドーズを有することを意味する。
【0055】
概して、対応するエッジピクセルの各々の相対的レーザ強度を維持しつつ、定数追加項の追加によって隣接ピクセルの相対的レーザ強度を増加させることにより、対応するエッジピクセルが、例えば、50%以下などの50%前後の低い方の中間範囲の各々の第1の相対的レーザ強度を有するときに、対応するエッジピクセルに関する、印刷されたパターンのエッジの鮮明度及びエッジの粗さの特性が向上する。これは、当該増加が隣接ピクセルの相対的レーザ強度に関するエッジピクセルの相対的レーザ強度を効果的に低減するためである。したがって、隣接ピクセル相対的レーザ強度は、より一層エッジの外観に影響し、これは、エッジの鮮明度及びエッジの粗さの観点でエッジの特性を向上させる。
【0056】
60%の各々の第1の相対的レーザ強度を有する列Bの続く4つのピクセルB3、B4、B5、及び、B6は、48%の各々の第2の相対的レーザ強度を有する。これは、48%の相対的レーザ強度を表す黒色の横線として示されているピクセルによって図3cに示される。これは、閾値40%よりも上であり、定数追加項が、エッジピクセルB3、B4、B5、及び、B6の各々の第2の相対的レーザ強度にそれぞれ追加される。この場合、20%の相対的レーザ強度に相当する定数追加項が、エッジピクセルB3、B4、B5、及び、B6の48%の各々の第2の相対的レーザ強度にそれぞれ追加され、それによって、2つのエッジピクセルB3、B4、B5、及び、B6に対する68%の各々の第3の相対的レーザ強度となる。これは、68%の相対的レーザ強度を表す白地に黒色の縦縞によって示されているエッジピクセルB3、B4、B5、及び、B6によって図3dに示される。これは、エッジピクセルB3、B4、B5、及び、B6が各々、エッジピクセルB3、B4、B5、及び、B6の各々の第1の相対的レーザ強度及び第1のレーザドーズ変換に基づいて有していたものよりも高い有効露光レーザドーズを有することを意味する。
【0057】
概して、例えば、各々の第2の相対的レーザ強度に対する定数追加項の追加によってエッジピクセルの有効露光レーザドーズを増加させることにより、対応するエッジピクセルが、例えば、50%以上などの50%前後の高い方の部分の中間範囲の各々の第1の相対的レーザ強度を有するときに、エッジピクセルに関する、印刷されたパターンのエッジの鮮明度及びエッジの粗さの特性が向上する。これは、増加した有効露光レーザドーズが、各々の第1の相対的レーザドーズ及び第1のドーズ変換に起因する有効露光レーザドーズに相当し、各々の第1の相対的レーザドーズは、より高い範囲、例えば、80%~100%に近く、当該範囲について、エッジの鮮明度及びエッジの粗さに関する充分な特性が生じるためである。
【0058】
列CのピクセルC3、C4、C5、及び、C6、並びに、列DのピクセルD1、D2、D3、D4、D5、及び、D6は、各々の相対的レーザ強度の観点で不変である。これは、図3cと同じである80%の相対的レーザ強度を表す黒地に白点によって示されているピクセルによって図3dに示される。
【0059】
図4は、本開示に係る、機器400又は複数のピクセルに対する各々の相対的レーザ強度の設定の一例の概略図を示す。複数のピクセルは、少なくとも1つのエッジピクセルと、少なくとも1つの隣接ピクセルと、を含み、少なくとも1つの隣接ピクセルは、エッジから垂直方向に、少なくとも1つのエッジピクセルから1ピクセル離れて配置されている。機器は、図1及び図3a~図3dに関して記載される方法などの本開示の方法を行うように構成された処理手段を備える。処理手段は、例えば、機器400内に備わるプロセッサ410であり得る。
【0060】
機器400は、例えば、メモリ420の形態のコンピュータ可読媒体を更に備え得る。コンピュータ可読媒体は、プロセッサ410などの処理機器上で実行されると、図1及び図3a~図3dに関して記載される方法などの本開示の方法を処理機器に行わせるコンピュータ可読命令430を含み得る。コンピュータ可読命令430は、コンピュータプログラム内に含まれ得る。機器400は、マスク描画システム内に更に備わり得る。
【0061】
以上示したように、本発明者は、印刷されたパターンのエッジの鮮明度及びエッジの粗さが、パターンのエッジでのピクセル又は当該エッジに近いピクセルの相対的レーザ強度によるものであることに気付いた。これに関して、本発明者は、エッジピクセル又は隣接ピクセルに「オーバードーズ」を提供することによって、エッジの鮮明度及びエッジの粗さに関してエッジを向上させることができることに更に気付いた。
【0062】
リソグラフィ露光を表す複数のピクセルの有効露光レーザドーズを設定する方法は、以下に記載される。複数のピクセルは、露光されるピクセルの領域のエッジに配置された少なくとも1つのエッジピクセルと、エッジから離れて、露光されるピクセルの領域に向かう垂直方向に、少なくとも1つのエッジピクセルから1ピクセル離れて配置された少なくとも1つの隣接ピクセルと、エッジから離れて、露光されるピクセルの領域に向かう垂直方向に、少なくとも1つのエッジピクセルから少なくとも2ピクセル離れて配置された非隣接ピクセルと、を含む。当該方法は、少なくとも1つのエッジピクセルの内のエッジピクセル又は少なくとも1つの隣接ピクセルの隣接ピクセルの各々の有効露光レーザドーズが、非隣接ピクセルの各々の有効露光レーザドーズよりも高くなるように、複数のピクセルの各ピクセルの各々の有効露光レーザドーズを設定することを含む。
【0063】
非隣接ピクセルは、印刷されるパターンを描写するベクトルパターンデータによって完全に覆われるピクセルである。エッジピクセル又は隣接ピクセルの各々の有効露光レーザドーズが、非隣接ピクセルの各々の有効露光レーザドーズよりも高く設定されるため、エッジピクセル又は隣接ピクセルには、「オーバードーズ」が提供される。オーバードーズは、例えば、図2に関して記載される方法200又は任意の他の好適な方法によって達成され得る。
【0064】
上記の例の説明は、非限定的であるとみなされるべきである。具体例を記載してきたが、様々な変更、修正、又は、改変が、添付の特許請求の範囲で定義されるような範囲内で考えられることが当業者に明らかであろう。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4
【国際調査報告】