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特表2023-545481ウエハレベルパッケージング用途のためのフォトニック剥離
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】ウエハレベルパッケージング用途のためのフォトニック剥離
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
H01L21/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522868
(86)(22)【出願日】2021-10-18
(85)【翻訳文提出日】2023-05-30
(86)【国際出願番号】 US2021055463
(87)【国際公開番号】W WO2022040646
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】63/092,863
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/254,777
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500499508
【氏名又は名称】ブルーワー サイエンス アイ エヌ シー.
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】プリガッダ, ラマ
(72)【発明者】
【氏名】リウ, シャオ
(72)【発明者】
【氏名】プレンガー, ルーク エム.
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス, ゼビアー
(57)【要約】
ウエハレベルのパッケージング用途に適した高強度パルス広帯域光システムを使用してキャリア及びデバイス基板を剥離するための方法が記載される。キャリア基板は、ウエハの片側に光吸収層を有する透明ウエハである。この方法は、高強度光を利用して光吸収層を急速に加熱して、光吸収層に隣接する接合材層を分解又は溶融させる。光に曝露した後、キャリア基板は、ほとんど又は全く力なしでデバイスウエハの表面から持ち上げられ得る。
【選択図】図1(c)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の表面を有するデバイス基板と、
前記第1の表面に隣接する接合層と、
前面及び裏面を有する透明基板と、
第1及び第2の側面を有し、前記第1の側面が前記前面に隣接し、前記第2の側面が前記接合層に隣接する光吸収層と、
を含む、スタックを提供することと、
前記デバイス基板と前記透明基板との分離が促進するように、前記接合層を広帯域光のパルスに曝露することと、
を含む、仮接合方法。
【請求項2】
前記曝露がフラッシュランプによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記曝露が、前記広帯域光のパルスを前記透明基板の前記裏面に印加することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記透明表面の前記裏面が全表面積を有し、前記広帯域光が前記全表面積の少なくとも約40%の曝露面積を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記広帯域光のパルスが、約200nm~約1,500nmの複数の波長にわたって伝送される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記光吸収層が、前記曝露の直前に第1の温度を有し、前記曝露が、前記光吸収層の温度を第2の温度まで上昇させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記曝露が、前記接合層の軟化を引き起こして前記分離が促進する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記曝露が、前記接合層においていかなる化学反応も引き起こさない、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記分離が、前記曝露から約5秒以内に起こる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記広帯域光のパルスの供給源がレーザではない、請求項1又は3~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記分離が、前記デバイス基板又は前記透明基板のいずれかに機械的な力を加えることなく起こる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記光吸収層が金属を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記金属が、チタン、タングステン、アルミニウム、銅、金、銀、鉄、スズ、亜鉛、コバルト、クロム、ゲルマニウム、パラジウム、白金、ロジウム、マンガン、ニッケル、ケイ素、テルル、上記の酸化物、上記の合金、及びそれらの組合わせから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記提供が、前記接合層を前記第1の表面上に形成することと、次いで、前記スタックを形成するように、前記接合層を前記光吸収層の前記第2の側面と接触させることと、を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記提供が、前記透明基板の前記前面上に前記光吸収層を形成することと、次いで、前記スタックを形成するように、前記光吸収層の前記第2の側面を前記接合層と接触させることと、を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記曝露の前に、前記スタックを、前記デバイス基板と透明基板とを分離する前に、バックグラインド、化学機械研磨、エッチング、メタライズ、絶縁体蒸着、パターニング、パッシベーション、アニーリング、再配線層形成、及びそれらの組合わせから選択される処理に供する工程を更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記デバイス基板の前記第1の表面及び前記第2の表面の少なくとも一方が、
(1)集積回路;MEMS;マイクロセンサ;パワー半導体;発光ダイオード;フォトニック回路;インターポーザ;埋め込み受動デバイス;及びシリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、又は窒化ガリウム上に、又はそれらから製造されたマイクロデバイスから選択される一連のデバイス;あるいは
(2)はんだバンプ;金属ポスト;金属ピラー;並びにシリコン、ポリシリコン、二酸化シリコン、(酸)窒化シリコン、金属、低k絶縁体、ポリマー絶縁体、金属窒化物、又は金属ケイ化物からなる群から選択される材料から形成される構造から選択される少なくとも1つの構造
のうちの1つ又は複数を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記接合層が、
(1)環状オレフィン、エポキシ、アクリル、シリコーン、スチレン、ハロゲン化ビニル、ビニルエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、環状オレフィン、ポリオレフィンゴム、ポリウレタン、エチレンプロピレンゴム、ポリアミドエステル、ポリイミドエステル、ポリアセタール、ポリアゾメチン、ポリケタニル、ポリビニルブチラール、又はそれらの組合わせの未架橋ポリマー又はオリゴマー;あるいは
(2)環状オレフィン、エポキシ、アクリル、シリコーン、スチレン、ビニルエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、環状オレフィン、ポリオレフィンゴム、ポリウレタン、エチレンプロピレンゴム、ポリアミドエステル、ポリアゾメチン、ポリケタニル、ポリイミドエステル、又はそれらの組合わせの架橋ポリマー又はオリゴマー
のうちの1つ又は複数を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年10月16日に出願された「PHOTONIC DEBONDING FOR WAFER-LEVEL PACKAGING APPLICATIONS」という名称の米国仮特許出願第63/092,863号、及び2021年10月12日に出願された「PHOTONIC DEBONDING FOR WAFER-LEVEL PACKAGING APPLICATIONS」という名称の米国仮特許出願第63/254,777号の優先権の利益を主張し、それぞれは、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、半導体製造及びパッケージングのためのウエハ仮接合及び剥離プロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
ウエハ仮接合(「TWB」)は、通常、デバイスウエハ又はマイクロ電子基板を、ポリマー接合材料によってキャリアウエハ又は基板に取り付けるためのプロセスを指す。接合後、デバイスウエハは、典型的には50μm未満に薄化され、及び/又は処理されて、その裏面にSi貫通電極(「TSV」)、再配線層、ボンドパッド、及び他の回路機構を作成することができる。キャリアウエハは、裏面処理中に脆弱なデバイスウエハを支持し、これは、周囲温度と高温(>250℃)との間の反復サイクル、ウエハ取扱い及び転送工程からの機械的衝撃、並びにデバイスウエハを薄化するために使用されるウエハ裏面研削プロセス中に課されるものなどの強い機械的な力を伴い得る。この処理の全てが完了すると、デバイスウエハは通常、フィルムフレームに取り付けられ、その後、キャリアウエハから分離又は剥離され、更なる動作が行われる前に洗浄される。
【0004】
ほとんどのTWBプロセスは、デバイス基板とキャリア基板との間に1つ又は2つの層のいずれかを使用する。TWBプロセスに応じて、デバイス及びキャリア基板は、化学的剥離、熱スライド剥離、機械的剥離、又はレーザ剥離などの様々な分離方法によって分離され得る。レーザ剥離は、剥離のための1つの好ましい方法である。この方法は、典型的には、アブレーションの波長でレーザに反応するように設計されたポリマーの小さな層をアブレーションするために300~400nmのレーザ又は他の光源を利用し、構造内で接合の完全性を失わせ、機械的な力を加えることなく分離することを可能にする。2層レーザ剥離システムの場合、第2のポリマー接合材料層が、典型的にはデバイス表面に隣接して利用される。第2の層は、レーザ感応層の破壊及び処理後の接合ウエハ対の分離後にデバイスウエハ表面から容易に洗浄される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レーザ剥離は、低応力剥離、高スループット、2層及び単層材料系を使用する柔軟性、並びに架橋材料を使用する能力などの利点を提供する。しかしながら、レーザ剥離には欠点がないわけではない。この剥離機構を使用するためには、レーザ波長に対して透過性のキャリア基板が必要であり、これは、いくつかの状況においてツールの位置合わせに問題を引き起こす可能性がある。更に、レーザ剥離に使用される材料は、対象のレーザと反応性でなければならず、それらが所望の波長で十分に吸収しない場合、レーザ感受性デバイスを損傷するレーザエネルギーの懸念も存在し、これは非常に問題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、大まかには、仮剥離方法に関する。方法は、第1及び第2の表面を有するデバイス基板と、第1の表面に隣接する接合層と、前面及び裏面を有する透明基板と、第1及び第2の側面を有する光吸収層と、を含むスタックを提供することを含む。光吸収層の第1の側面は透明基板の前面に隣接し、光吸収層の第2の側面は接合層に隣接する。接合層は、デバイス基板と透明基板との分離が促進するように広帯域光のパルスに曝露される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1(a)】本明細書に従って実行され得る接合方法の概略図(縮尺通りではない)である。
図1(b)】図1(a)で形成された接合スタックの概略図である。
図1(c)】1つ又は複数のフォトニック光パルスが図1(b)のスタックに向けられる剥離プロセスの概略図である。
図1(d)】分離後の図1(c)のスタックの概略図である。
図2】実施例4からの剥離されたウエハ対の1つを示す写真である。
図3】実施例5に記載の洗浄前(左)及び洗浄後(右)のウエハを示す写真である。
図4】実施例6で説明した接合後のウエハ対の写真である。
図5】実施例7で説明したように剥離した一対のウエハの写真である。
図6】実施例8で説明したように生成された薄いシリコンウエハの厚さマップの画像である。
図7】フォトニック剥離後の薄化された6インチウエハの写真である(実施例9)。
図8】実施例10において説明した、洗浄前(左)及び洗浄後(右)のフォトニック剥離されたウエハの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、フラッシュランプなどのパルス光源を使用して剥離する仮接合方法に関する。この方法は、ウエハレベルパッケージング用途を含むマイクロ電子製造プロセスにおいて有用である。
【0009】
より詳細には、図1(a)(縮尺通りではない)を参照すると、前駆体構造10が概略断面図で示されている。構造10は、デバイス基板12を含む。基板12は、第1の表面14及び第2の表面16を有する。デバイス基板12は、任意の形状であり得るが、典型的には、円形の形状である。好ましいデバイス基板12としては、シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、石英、アルミニウム、タングステン、ケイ化タングステン、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、タンタル、窒化タンタル、Ti、ハフニウム、HfO、ルテニウム、リン化インジウム、ガラス、又は前述の混合物からなるものなどのデバイス基板が挙げられる。好ましいデバイス基板12は、そのデバイス表面が、集積回路、MEMS、マイクロセンサ、パワー半導体、発光ダイオード、フォトニック回路、インターポーザ、埋め込み受動デバイス、並びにシリコン及びシリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、及び窒化ガリウムなどの他の半導体材料上に又はそれらから製造された他のマイクロデバイスから選択される一連のデバイス(図示せず)を含むものである。これらのデバイスの表面は、一般に、以下の材料:シリコン、ポリシリコン、二酸化シリコン、酸窒化シリコン、金属(例えば、銅、アルミニウム、金、タングステン、タンタル)、低k絶縁体、ポリマー絶縁体、並びに様々な金属窒化物及びケイ化物のうちの1つ又は複数から形成された構造(再び、図示せず)を含む。基板12のデバイス表面はまた、はんだバンプ、金属ポスト、金属ピラー、及びシリコン、ポリシリコン、二酸化シリコン、酸窒化シリコン、金属、低k絶縁体、ポリマー絶縁体、金属窒化物、並びに金属ケイ化物からなる群から選択される材料から形成される構造から選択される少なくとも1つの構造を含むことができる。
【0010】
デバイス基板12に接合用組成物を塗布し、図1(a)に示すように、第1の表面14に隣接して接合層18を形成する。接合層18は、デバイス基板12から離れた上面20を有し、好ましくは、接合層18は、第1の表面14上に直接形成される(すなわち、接合層18とデバイス基板12との間に中間層を有さない)。接合組成物は、任意の既知の方法によって塗布することができ、1つの好ましい方法は、約200rpm~約5,000rpm、好ましくは約500rpm~約3,000rpmの速度で、約5秒~約120秒、好ましくは約30秒~約90秒の時間、組成物をスピンコーティングすることである。組成物が塗布された後、組成物は、好ましくは約50℃~約250℃、より好ましくは約80℃~約220℃の温度まで、約60秒~約8分、好ましくは約90秒~約6分の時間加熱される。接合層を形成するために使用される組成に応じて、ベーキングはまた、接合層18を硬化させるための架橋反応を開始することができる。いくつかの実施形態では、利用される組成物に応じて、接合層18を多段ベークプロセスに供することが好ましい。また、場合によっては、接合層18が複数の工程でデバイス基板12上に「構築」されるように、上記の塗布及びベークプロセスを組成物の更なる一定分量に対して繰り返すことができる。更に別の実施形態では、接合層18は、スピン塗布ではなく予め形成されたドライフィルムの形態で提供することができる。次いで、フィルムをデバイス基板12に接着することができる。
【0011】
接合層18が形成される材料は、デバイス基板12との強い接着接合を形成することができなければならない。ASTM D4541/D7234によって決定される、約15psigを超える、好ましくは約50psig~約250psig、より好ましくは約100psig~約150psigの接着強度を有するものはどれも、接合層18として使用するのに望ましいであろう。
【0012】
有利には、接合層18の形成に使用するための組成物は、熱及び/又は溶媒によって除去可能でありながら、上記の接着特性を有する層に形成することができる市販の接合組成物から選択することができる。
【0013】
一実施形態では、接合層組成物は熱可塑性である。典型的なそのような組成物は有機であり、他の任意成分と共に溶媒系に溶解又は分散したポリマー又はオリゴマーを含む。ポリマー又はオリゴマーは、典型的には、環状オレフィン、エポキシ、アクリル、シリコーン、スチレン、ハロゲン化ビニル、ビニルエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、環状オレフィン、ポリオレフィンゴム、ポリウレタン、エチレンプロピレンゴム、ポリアミドエステル、ポリイミドエステル、ポリアセタール、ポリアゾメチン、ポリケタニル、ポリビニルブチラール、及びそれらの組合わせのポリマー及びオリゴマーからなる群から選択される。典型的な溶媒系は、ポリマー又はオリゴマーの選択に依存する。組成物の典型的な固形分含有量は、100重量%とした組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約60重量%、好ましくは約3重量%~約40重量%の範囲である。
【0014】
好ましい熱可塑性組成物は、室温で少なくとも約500,000Pa.s、より好ましくは約1,000,000Pa.s~約3,000,000Pa.sの複素粘度を有し、約160℃~約200℃の温度で約15,000Pa.s未満、より好ましくは約500Pa.s~約10,000Pa.sの複素粘度を有する。複素粘度は、好ましくは、TA InstrumentsによってAR-2000exレオメータの名称で販売されているようなレオメータを用いて測定される。
【0015】
好ましい熱可塑性組成物は、熱重量分析によって決定される熱分解温度が約160℃~約500℃、より好ましくは約220℃~約450℃であるべきである。いくつかの適切なそのような組成物は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2008/0173970号、第2019/0194453号、及び第2020/0257202号、並びに米国特許第7,935,780号、第8,092,628号、第8,268,449号、第9,496,164号、第9,728,439号、第9,827,740号、第10,103,048号、及び第10,304,720号に記載されている。
【0016】
一実施形態では、接合層18を形成するために使用される組成物は、硬化性及び/又は架橋性である。典型的には、そのような組成物は有機であり、他の任意成分と共に溶媒系に溶解又は分散したポリマー又はオリゴマーも含む。ポリマー又はオリゴマーは、典型的には、環状オレフィン、エポキシ、アクリル、シリコーン、スチレン、ビニルエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、環状オレフィン、ポリオレフィンゴム、ポリウレタン、エチレンプロピレンゴム、ポリアミドエステル、ポリアゾメチン、ポリケタニル、ポリイミドエステル、及びそれらの組合わせのポリマー及びオリゴマーからなる群から選択される。再び、典型的な溶媒系は、ポリマー又はオリゴマーの選択に依存する。組成物の典型的な固形分含有量は、100重量%とした組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約60重量%、好ましくは約3重量%~約40重量%の範囲である。好ましい架橋性組成物は、室温で少なくとも約100Pa.s、より好ましくは約1000Pa.s~約30,000Pa.sの複素粘度を有し、約40℃~約80℃の温度で約15,000Pa.s未満、より好ましくは約100Pa.s~約10,000Pa.sの複素粘度を有する。好ましい架橋性組成物は、約160℃~約500℃、より好ましくは約220℃~約450℃の熱分解温度を有するべきである。いくつかの適切なそのような組成物は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2008/0173970号、第2019/0194453号、及び第2020/0257202号、並びに米国特許第7,935,780号、第8,092,628号、第8,268,449号、第9,496,164号、第9,728,439号、第9,827,740号、第10,103,048号、及び第10,304,720号に記載されている。
【0017】
別の実施形態では、接合材料は非ポリマー性(例えば、オリゴマー、三量体、二量体、モノマー)であってもよい。すなわち、この実施形態で使用される分子の構造は、3つ以下の反復サブユニット、好ましくは2つ以下の反復サブユニット、より好ましくは1つのサブユニットのみを有する。非ポリマー接合材料が使用される場合、接合材料の融点は、その昇華点未満でなければならない。この実施形態において、材料は、好ましくは、高温での材料昇華を防止するために架橋又は更に反応する能力を有する。好ましい非ポリマー組成物は、約160℃~約500℃、より好ましくは約220℃~約450℃の熱分解温度を有するべきである。いくつかの適切なそのような組成物は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2021/0033975号に記載されている。
【0018】
ポリマー又は非ポリマー接合材料が使用されるかどうかにかかわらず、接合層18は、好ましくは、接合及び剥離に必要な機械的特性の正しいバランスを有する。好ましくは、接合材料のTは、約25℃~約300℃、より好ましくは約30℃~約250℃である。材料のTが低すぎると、材料が柔らかくなりすぎ、界面発熱により材料が再溶融するか又は材料の室温での粘度が低すぎるために曝露後にキャリア及びデバイスウエハの再付着を引き起こす可能性がある。材料が高すぎるTを有する場合、材料は硬すぎ、接合を可能にするのに十分に溶融しない可能性がある。高いTはまた、いくつかの例では、高い熱分解と相関し得る。熱分解が高すぎる場合、界面での材料の分解を促進するために接合材料-光吸収層界面で生成される熱が不十分であるために、デバイスとキャリアウエハとの間に分離が生じない可能性がある。
【0019】
実施形態にかかわらず、硬化又は乾燥した接合層18は、約1μm~約200μm、より好ましくは約5μm~約100μm、更により好ましくは約10μm~約50μmの平均厚さ(5箇所で測定)を有するべきである。本明細書で使用される厚さは、任意の膜厚測定ツールを使用して測定することができ、1つの好ましいツールは、SUSS Microtec又はFoothillによって販売されているものなどの赤外線干渉計である。
【0020】
接合層18はまた、低い全厚さ変動量(「total thickness variation:TTV」)を有するべきであり、これは、層18の最も厚い点と最も薄い点とが互いに劇的に異ならないことを意味する。TTVは、好ましくは、フィルム上の多数の点又は位置、好ましくは少なくとも約50点又は約50点、より好ましくは少なくとも約100点又は約100点、更により好ましくは少なくとも約1,000点又は約1,000点で厚さを測定することによって計算される。これらの点で得られた最も高い厚さ測定値と最も低い厚さ測定値との差は、その特定の層のTTV測定値と呼ばれる。いくつかのTTV測定の場合では、エッジ除外又は外れ値を計算から除去することができる。これらの場合、含まれる測定値の数はパーセンテージによって示され、すなわち、TTVが97%の包含で与えられる場合、最高及び最低の測定値の3%が除外され、3%が最高と最低との間で等しく分割される(すなわち、それぞれ1.5%)。好ましくは、上記のTTV範囲は、測定値の約95%~約100%、より好ましくは測定値の約97%~約100%、更により好ましくは測定値の約100%を使用して達成される。
【0021】
第2の前駆体構造22もまた、図1(a)に概略断面図で示されている。第2の前駆体構造22は、キャリアウエハである透明基板24を含む。透明基板24は、前面又はキャリア表面26及び裏面28を有する。透明基板24は任意の形状であってもよいが、典型的には円形であり、デバイス基板12と同様のサイズである。好ましい透明基板24は、透明ガラスウエハ、又はフォトニックエネルギーに対して透過性の材料から形成された任意の他の基板を含む(すなわち、材料は、フォトニックエネルギーが透明基板24を通過することを可能にする)。すなわち、フォトニックエネルギーの少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約90%が透明基板24を通過しなければならない。
【0022】
適切な透明基板24には、Corning(登録商標)EAGLE XG(登録商標)ガラスウエハ(Corning Incorporatedから入手可能)、Gorilla(登録商標)Glass(またCorning Incorporatedから入手可能)、石英、サファイア、及びそれらの組合わせが含まれるが、これらに限定されない。透明基板24の熱膨張係数(「CTE」)は、好ましくは、デバイス基板12のCTEに基づいて選択される。透明基板24の典型的なCTE値は、約5×10-7/K~約2×10-5/K、より好ましくは約1×10-6/K~約6×10-6/Kである。
【0023】
透明基板24の前面26には、光吸収層30が塗布されている。光吸収層30は、第1の側面32及び第2の側面34を有し、第1の側面32は、透明基板24の前面26に接している。光吸収層30は、実施形態に応じて、単一の金属、2種以上の金属、及び/又は金属酸化物合金であり得る金属を含むことが好ましい。一実施形態では、光吸収層30は純金属を含む。他の実施形態では、光吸収層は、金属(複数可)と他の元素との混合物を含み、金属(複数可)の総レベルは、100重量%とする光吸収層30の総重量に基づいて、少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約75重量%、より好ましくは少なくとも約90重量%である。
【0024】
記載された波長の光を吸収し、それを熱に変換する任意の金属が、本方法における使用に適している。好ましい金属には、チタン、タングステン、アルミニウム、銅、金、銀、鉄、スズ、亜鉛、コバルト、クロム、ゲルマニウム、パラジウム、白金、ロジウム、マンガン、ニッケル、ケイ素、テルル、上記の酸化物、上記の合金、及びそれらの組合わせから選択されるものが含まれる。Ti/Wは、光吸収層30としての使用に特に好ましい。
【0025】
一実施形態では、光吸収層30は、約25nm~約300nmの厚さ、より好ましくは約150nm~約200nmの厚さである。光吸収層30のCTE(熱機械分析によって測定される)は、約1×10-6/K~約20×10-6/K、より好ましくは約4.5×10-6/K~約4.8×10-6/Kである。透明基板24及び光吸収層30は、好ましくは、高温で熱的に安定であるように選択され、光吸収層が加熱された時にキャリアからの光吸収層の亀裂又は層間剥離を緩和するために、CTEが密接に一致する。すなわち、光吸収層30のCTEは、透明基板24のCTEの約+/-30%以内、より好ましくは約+/-10%以内である。
【0026】
金属は、スパッタリング、蒸着(「PCVD」)、熱蒸着、原子層堆積(「ALD」)、及び電気めっきを含むがこれらに限定されない任意の適切な方法によって塗布して光吸収層30を形成することができる。特に好ましい光吸収層30の1つは、好ましくはスパッタリングによって塗布された、約10%のチタン及び約90%のタングステンである約200nm厚の層である。
【0027】
次いで、構造10及び22は、接合層18の上面20が光吸収層30の第2の側面34と接触するように、互いに向かい合った関係で押圧することによって接合される(図1(b)参照)。2つの構造10及び22が互いに接合されて接合スタック36が形成されるように、プレス中、十分な圧力及び熱が十分な時間にわたって加えられる。接合パラメータは、接合組成物及び基板に応じて変化するが、この工程中の典型的な温度は、約30秒~約20分、好ましくは約1分~約10分の時間、約25℃~約250℃、好ましくは約150℃~約220℃の範囲であり、典型的な圧力は、約1,000N~約25,000N、好ましくは約3,000N~約20,000Nの範囲である。
【0028】
接合スタック36は、全平均厚さの約10%未満、好ましくは全平均厚さの約5%未満(スタック全体の5つの位置で測定)、更により好ましくは接合スタック36の全平均厚さの約3%未満のTTVを有するべきである。すなわち、接合スタック36が100μmの平均厚さを有する場合、約10%未満のTTVは約10μm以下である。
【0029】
この段階で、デバイス基板12は、安全に取り扱われ、透明基板24に接合されることなく、他の場合ではデバイス基板12を損傷したかもしれない更なる処理を受けることができる。したがって、構造は、デバイス及び透明キャリア基板12、24を分離することなく、かつこれらの後続の処理工程中に遭遇するいかなる化学的物質の浸透もなく、バックグラインド、PCVD、CMP、エッチング、金属及び絶縁体蒸着、パターニング(例えば、フォトリソグラフィ、ビアエッチング)、パッシベーション、アニーリング、ダイアタッチ、並びにそれらの組合わせなどの裏面処理を安全に受けることができる。一実施形態では、デバイス基板12はまた、フィルムフレーム又は第2のキャリア基板(図示せず)などの二次支持基板に取り付けられてもよい。接合層18は、これらのプロセスに耐えることができるだけでなく、約400℃まで、好ましくは約150℃~350℃、より好ましくは約180℃~約300℃の処理温度に耐えることもできる。
【0030】
処理が完了すると、デバイス基板12及びキャリア基板24を剥離し、分離することができる。図1(c)に示すように、光源38(例えば、フラッシュランプ、好ましくは、レーザ又はコヒーレントな光ビームを提示する任意の他の光源ではない)を用いて、透明基板24の裏面28を高強度の広帯域光40に曝露する。適切な光源38は、好ましくは約250nm~約1,500nm、好ましくは約250nm~約1,000nmの範囲の波長スペクトルにわたって広帯域光を透過するフラッシュランプ及び/又は他のインコヒーレント光源を含む。特に好ましいフラッシュランプの1つは、米国特許第10,986,698号及び米国特許出願第17/122,796号に記載されているキセノンフラッシュランプを含むNovaCentrix PulseForge(登録商標)システムであり、これらの各々は、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
曝露中、高強度光の1つ又は複数のパルスが透明基板24の裏面28に向けられる。その光は、透明基板24を通過し、光吸収層30と接触し、光吸収層30を急速に加熱する。すなわち、光吸収層30は、光パルスが照射される直前に第1の温度を有しており、その光パルスが照射されると、第1の温度よりも高い第2の温度まで温度が上昇する。第2の温度は、第1の温度よりも少なくとも約400℃、より好ましくは少なくとも約500℃、更により好ましくは約600℃~約1,000℃、最も好ましくは約650℃~約750℃高いことが好ましい。この温度上昇はほぼ瞬時に起こる(例えば、約1,000μs未満、好ましくは約750μs未満、より好ましくは約500μs未満)。この急速な温度上昇は、少量の接合層18を溶融及び/又は分解させることが理解されよう。一実施形態では、光パルスも、光吸収層30が受ける温度上昇も、接合組成物層18においていかなる化学反応も引き起こさない。好ましくは、光吸収層30は、可能な限り多くの光パルスを吸収し、より短いパルス長の使用を可能にすることができる。
【0032】
好適なパルス長は、好ましくは約40μs~約250μs、より好ましくは約60μs~約150μsである。有利には、パルスの数は、5パルス以下、より好ましくは3パルス以下、更により好ましくは2パルス以下、更により好ましくはわずか1パルスであることが好ましい。このパルス数は、これらの範囲の任意の組合わせで、上記のパルス長範囲で実行されることが特に好ましい。
【0033】
好適な電圧は、好ましくは約600V~約1200V、より好ましくは約850V~約1050Vである。好適なエネルギー密度は、約2J/cm~約7J/cm、より好ましくは約2J/cm~約6J/cm、更により好ましくは約3.5J/cm~約5J/cmである。光パルスに適した波長は、約200nm~約1,500nmである。光パルスのピーク放射電力は、好ましくは少なくとも約20KW/cm、より好ましくは少なくとも約30KW/cm、更により好ましくは少なくとも約40KW/cmである。
【0034】
有利には、ウエハ全体を同時に曝露することができ、これは高スループットをもたらすことができる。すなわち、光源38は、図1(c)に示すように、曝露又は照明領域が少なくとも透明基板24の裏面28のサイズであり、裏面28全体が光パルスと接触するように構成及びサイズ設定され得る。ランプが裏面28の表面積よりも小さい曝露面積を有するシステムが利用される場合、複数のパルス工程を実行することができ、裏面28の全てが1つ又は複数のパルス光に曝露されるまでスタック36及び/又はランプ38のいずれかを移動させる。あるいは、複数のランプを、より大きな曝露面積を生成するように構成することができる。例えば、1つの適切なNovacentrix PulseForge(登録商標)システムは、150mm×75mmの曝露面積を有するフラッシュランプを有する。その面積を75mm刻みで増加させるために、2つ以上のランプを平行に配置することができる。
【0035】
好ましい実施形態では、曝露面積は、基板12及び/又は24の直径に基づいて選択される。したがって、4インチ基板の場合、曝露面積は、好ましくは約81cm以上であり、6インチ基板の場合、約182cm以上である。曝露面積は、8インチ基板では約324cm以上、12インチ基板では約729cm以上であることが好ましい。
【0036】
別の実施形態では、透明基板24の裏面28は全表面積を有し、裏面28に接触する光の曝露面積は、裏面28の全表面積の少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90%である。
【0037】
高強度の光に曝露された後、光吸収層30は急速に冷却され、透明基板24及びデバイス基板12は、ほとんど又は全く力を使用せずに、機械的に又は他の方法で分離することができる。好ましい実施形態では、この分離を引き起こすために重力のみが使用され得る。それにもかかわらず、光曝露を開始してから約5秒以内、好ましくは約3秒以内、より好ましくは約1秒以内に分離が起こることが好ましい。
【0038】
分離により、図1(d)に示すように、デバイス基板12から光吸収層30が除去された透明基板24が得られ、接合組成物層18を有するデバイス基板12と、光吸収層30を有する透明基板24とが別々に残される。いくつかの用途では、デバイス基板12をダイシングテープ又は同様の構造に取り付けることが必要な場合がある。
【0039】
分離後、接合層を溶解することができるプラズマエッチング又は溶媒を用いて、残っている接合層18を除去することができる。プラズマ洗浄のために、Oプラズマを単独で使用してもよく、又は約1:1~約10:1の比のOプラズマとフッ素化ガスとの組合わせを100W以上の出力で使用してもよい。溶媒洗浄は、浴又はスピン洗浄プロセスによって実施することができる。非極性接合材料に適した溶媒としては、例えば、d-リモネン、メシチレン、1-ドデセン、及びそれらの組合わせが挙げられる。極性接合材料を洗浄するのに適した溶媒には、ガンマ-ブチロラクトン(「GBL」)、シクロペンタノン、ベンジルアルコール、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテル(「PGME」)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(「PGMEA」)、n-メチル-2-ピロリドン(「NMP」)、1,3-ジオキソラン、及びそれらの組合わせが含まれる。スピン洗浄プロセスを用いる場合、洗浄時間は1分~15分程度行うことが好ましい。スピン洗浄プロセスでは、パドルとソークサイクルとを組み合わせてウエハの中心に溶媒を噴霧した後、スピンオフする。パドル及びソークサイクルの場合、溶媒をウエハの中心に噴霧し、約20rpm~約150rpmのスピン速度でパドリングし、溶媒噴霧又はウエハの回転なしで約30秒~約90秒間浸漬する。最後の工程では、溶媒を基板の中心に分注し、基板を約750rpm~約1,500rpmのスピン速度でスピンする。
【0040】
光吸収層30を有する透明基板24は、溶媒又はドライエッチングによる軽微な洗浄プロセスで再利用することもできる。溶媒洗浄が使用される場合、スピン洗浄プロセスは、例えば、シクロペンタノン、GBL、シクロヘキサノン、d-リモネン、アセトン、イソプロピルアルコール、メスチリエン、PGMEA、PGME、NMP、1,3-ジオキソラン、ベンジルアルコール、DMSO、及びそれらの組合わせを含む溶媒と共に使用することができる。透明キャリア基板24は、約5秒~約120秒、より好ましくは約15秒~約45秒の合計時間洗浄することができる。ドライエッチングを使用する場合、O、アルゴン、CF、N、及びそれらの組合わせなどのガス種を使用することができる。ドライエッチング洗浄プロセスに適したパラメータは、約50W~約2,000W、より好ましくは約150W~約1250Wの出力;約5秒~約90秒、より好ましくは約10秒~約60秒の時間;約150mTorr未満の圧力;約10sccm~300sccm、より好ましくは約20sccm~約100sccmのガス流量を含む。
【0041】
上記プロセスにおいて、デバイス基板12の第1の表面14上に接合層18を形成した。接合層18を光吸収層30の第2の側面34上に形成することができ、次いでデバイス基板12を接合層18に接合することができることが理解されよう。
【0042】
基板フリッププロセスでは、接合層18は、図1(a)に示すように、第1の表面14上ではなく、デバイス基板12の第2の表面16上に形成することができる。この基板フリッププロセスでは、構造10は依然として接合層18を介して構造22に接合される。
【0043】
更なる変形では、構造10又は22の一方又は両方を「予備成形」して設けることができ、その結果、デバイス製造業者は、接合層18又は光吸収層30の一方又は両方を現場で形成する必要がない。
【0044】
開示された方法は、従来技術の方法を超える大きな利点を提供することが理解されよう。例えば、本発明の方法は、剥離プロセス中にデバイスに対して低い力及び低い応力をもたらす。更に、開示された方法は、剥離が従来技術の剥離方法の数分と比較して数秒以内に起こり得るので、従来技術の剥離方法と比較して極めて速い。更に、いくつかの実施形態では、光吸収層30中又は光吸収層としてのTi/W又は他の金属の使用は、センサツールの位置合わせを支援することができる。最後に、層が、別の材料への低い接着、又はレーザとの反応も必要としないため、接合層18として利用することができる多種多様な材料が存在する。
【0045】
様々な実施形態の更なる利点は、本明細書の開示及び以下の実施例を検討すれば、当業者には明らかであろう。本明細書に記載の様々な実施形態は、本明細書に別段の指示がない限り、必ずしも相互に排他的ではないことが理解されよう。例えば、一実施形態で説明又は図示された特徴は、他の実施形態に含まれてもよいが、必ずしも含まれなくてもよい。したがって、本開示は、本明細書に記載の特定の実施形態の様々な組合わせ及び/又は統合を包含する。
【0046】
本明細書で使用される場合、2つ以上の項目のリストで使用される場合の「及び/又は」という語句は、列挙された項目のいずれか1つが単独で使用され得るか、又は列挙された項目の2つ以上の任意の組合わせが使用され得ることを意味する。例えば、組成物が成分A、B及び/又はCを含有又は除外すると記載されている場合、組成物はA単独;B単独;C単独;AとBとの組合わせ;AとCとの組合わせ;BとCとの組合わせ;又はA、B及びCの組合わせを含有又は除外することができる。
【0047】
本明細書はまた、様々な実施形態に関する特定のパラメータを定量化するために数値範囲を使用する。数値範囲が提供される場合、そのような範囲は、範囲の下限値のみを列挙する特許請求の範囲の限定並びに範囲の上限値のみを列挙する特許請求の範囲の限定に対する文字通りの裏付けを提供すると解釈されることを理解されるべきである。例えば、約10~約100の開示された数値範囲は、「約10より大きい」(上限なし)と記載している請求項及び「約100未満」(下限なし)と記載している請求項に対して文言上のサポートを提供する。
【実施例
【0048】
以下の実施例は、本開示による方法を示す。しかしながら、これらの実施例は例示として提供されており、その中のいかなるものも、全体的な範囲に対する限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0049】
実施例1
フォトニック剥離試験のための4インチウエハの調製
実験的フェノキシに基づく接合材料(「材料A」、Brewer Science,Inc.,Rolla,MO)を、3,000rpm/秒の加速で1,000rpmで30秒間スピンコーティングすることによって4インチのシリコンウエハ上にコーティングし、続いて60℃で5分間、次いで160℃で5分間、次いで220℃で5分間ベーキングした。次いで、正方形パネルの片側にTi/Wスパッタコーティングを施した6インチ×6インチ正方形ガラスパネルの中心にウエハを接合した。Apogee(商標)Bonderを使用して、ウエハのコーティング側をパネルのTi/W側に向けて220℃及び2,000Nで3分間ウエハを接合した。接合スタックは高い接着性を示し、カミソリ刃の挿入によって手動で分離することはできなかった。
【0050】
実施例2
フォトニック剥離試験のための4インチウエハの調製
市販の接合材料(BrewerBOND(登録商標)305、以下「材料B」、Brewer Science,Inc.,Rolla,MO)を4インチシリコンウエハ上に、500rpm/秒の加速で1,000rpmで30秒間スピンコートし、60℃で3分間、次いで160℃で3分間、次いで220℃で3分間ベーキングした。次いで、正方形パネルの片側にTi/Wスパッタコーティングを施した6インチ×6インチ正方形ガラスパネルの中心にウエハを接合した。Apogee(商標)Bonderを使用して、ウエハのコーティング側をパネルのTi/W側に向けて220℃及び1,800Nで3分間ウエハを接合した。接合スタックは高い接着性を示し、カミソリ刃の挿入による手動分離では分離できなかった。
【0051】
実施例3
フォトニック剥離試験のための4インチウエハの調製
実験的ポリエステル系接合材料(「材料C」、Brewer Science,Inc.,Rolla,MO)を、4インチシリコンウエハ上に、500rpm/秒の加速で650rpmで30秒間スピンコーティングすることによってコーティングし、80℃で3分間、次いで160℃で3分間、次いで200℃で6分間ベーキングした。次いで、正方形パネルの片側にTi/Wスパッタコーティングを施した6インチ×6インチ正方形ガラスパネルの中心にウエハを接合した。Apogee(商標)Bonderを使用して、ウエハのコーティング側をパネルのTi/W側に向けて140℃及び1,000Nで3分間ウエハを接合した。接合スタックは高い接着性を示し、カミソリ刃の挿入によって手動で分離することはできなかった。
【0052】
実施例4
接合ウエハのフォトニック剥離分離
実施例1、2、及び3で調製した接合スタックを、4インチキャリアウエハの表面全体を単一パルスで覆う曝露面積で構成されたNovaCentrix PulseForge(登録商標)3300 Photonic Curing Systemを使用して剥離した。表1は、接合されたスタックをフォトニック剥離するために使用された結果及びプロセス条件を示す。
【0053】
【表1】
【0054】
表1で使用される場合、「接着損失」という用語は、Ti/Wスパッタ基板との接着性を失うが、依然として静的に接着される材料を指す。「ウエハ分離」とは、もはや基板へのいかなる形態の静的接着も有さず、基板を単に裏返すことによって除去することができるウエハを指す。図2は、接合材料として材料Aを用いた場合に、分離に成功した接合対の画像を示す。
【0055】
実施例5
実施例4からのフォトニック剥離サンプルの洗浄
実施例4からの剥離サンプルを洗浄について評価して、フォトニック曝露プロセス後にSiウエハから材料を除去できることを確認した。この試験のために、材料A及び材料Cをスピン洗浄プロセスを用いて洗浄し、材料Bを浸漬プロセスを用いて洗浄した。
【0056】
材料BのウエハをD-リモネンに12時間浸漬し、次いで少量のD-リモネン及びアセトンですすいでウエハを乾燥させた。ウエハが乾燥した後、目視検査でポリマー残留物は観察されなかった。
【0057】
材料A及び材料Cの両方を、シクロペンタノンの一貫した流れをウエハ上に2分間噴霧することを含むシクロペンタノンを使用してスピン洗浄し、続いてIPAで15秒間洗浄し、次いで15秒間スピン乾燥させた。ウエハを目視検査したところ、表面にポリマー残渣は残っていなかった。図3は、このシクロペンタノン及びIPA洗浄プロセスによる洗浄前後のウエハの一例を示す。
【0058】
実施例6
フォトニック剥離試験のための6インチウエハの調製
材料A及びCを6インチシリコンウエハ上にコーティングし、それぞれ実施例1及び3と同じプロセスを使用して6インチTi/Wスパッタリングガラスウエハに接合した。図4は、材料Cを使用して接合された接合対の例を示している。次に、ウエハは、剥離プロセスを評価する前にフィルムフレーム上に置かれた。
【0059】
実施例7
実施例6の接合ウエハのフォトニック剥離分離
実施例6で調製した接合ウエハ対を、単一パルスで6インチのキャリアウエハの表面全体を覆う曝露面積で構成されたNovaCentrix PulseForge(登録商標)3300 Photonic Curing Systemを使用して剥離した。この評価の間、ウエハはまた、多くの半導体製造プロセスで行われるウエハ支持をシミュレートするために、テープバッカーを備えたフィルムフレーム上に置かれ、これらのウエハ用のフィルムフレームを利用することに問題がないことが確認された。曝露中、フィルムフレームはマスクされ、曝露プロセスに問題を示さなかった。表2は、接合スタックをフォトニック剥離するために使用された結果及びプロセス条件を示す。図5は、材料Cで接合されたフィルムフレーム上のSiウエハとうまく分離された対の画像を示す。
【0060】
【表2】
【0061】
実施例8
フォトニック剥離試験のための6インチ薄化ウエハの調製
材料A及びCを、それぞれ実施例1及び3と同じプロセスを使用して、6インチのタイトTTVシリコンウエハ(2μm未満の全厚さ変動量)上にコーティングし、6インチのTi/Wスパッタされたガラスウエハと接合した。接合プロセス後、シリコンウエハを目標厚さ70μmに薄化しながら、ウエハ対を裏面研削した。70μmに薄化した後、ウエハ対のシリコン厚を、FRT microProf300計測ツール(FormFactor,Inc.製)上のIRTセンサ(すなわち、干渉膜厚センサ)を用いて検査して、薄化されたシリコンの平均厚さ値を確認した。ウエハの平均厚みは67.9μmであった。材料Aを使用して接合されたウエハの薄化されたウエハ厚さマップは、図6に見ることができる。
【0062】
実施例9
実施例8の薄化接合ウエハのフォトニック剥離分離
実施例8で調製した接合ウエハ対を、単一パルスで6インチのキャリアウエハの表面全体を覆う曝露面積で構成されたNovaCentrix PulseForge(登録商標)3300 Photonic Curing Systemを使用して剥離した。この評価中に、薄膜ウエハを支持するために、テープバッカーを用いてウエハをフィルムフレーム上にも置いた。曝露中、フィルムフレームはマスクされ、曝露プロセスに問題を示さなかった。表3は、材料A及びCの接合スタックをフォトニック剥離するために使用された結果及びプロセス条件を示す。図7は、フィルムフレーム及びシリコンの裏面上の薄いSiウエハを用いて材料Aと接合された良好に分離された接合対の画像を示し、亀裂は観察されなかった。
【0063】
【表3】
【0064】
実施例10
実施例9からのフォトニック剥離ウエハの洗浄
実施例9からの剥離ウエハ(材料Aと接合されたもの)を、圧力ポッド分配システムを用いたスピン洗浄プロセスを使用して洗浄した。具体的には、シクロペンタノンを洗浄溶媒とする3段階洗浄プロセスを用いてウエハを洗浄した。IPAを溶媒として使用して、ウエハの乾燥を補助した。薄いSiウエハを洗浄するために使用される条件を表4に示す。洗浄後、薄いSiウエハを清浄度について目視検査した。これらの画像を図8に示す。
【0065】
【表4】
図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】