(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】制御放出充填組成物およびそれを含むカプセル
(51)【国際特許分類】
A61K 9/52 20060101AFI20231023BHJP
A61K 31/135 20060101ALI20231023BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20231023BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20231023BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20231023BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20231023BHJP
【FI】
A61K9/52
A61K31/135
A61P37/08
A61K47/34
A61K47/12
A61K47/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522950
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-05-04
(86)【国際出願番号】 US2021054991
(87)【国際公開番号】W WO2022081848
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515135228
【氏名又は名称】アール.ピー.シェーラー テクノロジーズ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ファン、チー
(72)【発明者】
【氏名】スクル、カルナカール
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA56
4C076AA94
4C076BB01
4C076CC03
4C076DD41
4C076DD46
4C076EE23
4C076EE42
4C076FF02
4C076FF32
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA05
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA57
4C206MA72
4C206NA10
4C206NA12
4C206ZB13
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】 ソフトカプセルまたはハードカプセルに使用するための制御放出充填組成物、制御放出充填組成物をカプセル化されるソフトカプセルまたはハードカプセル、ソフトゲルカプセルシェルにカプセル化される制御放出充填組成物を有するソフトカプセルカプセルを製造する方法である。制御放出充填組成物は、活性医薬性成分と、0.05Mダルトン~15Mダルトンの数平均分子量を有するポリエチレンオキシドと、および水または200ダルトン~5000ダルトンの数平均分子量を有する親水性担体の少なくとも1つと、を含む。また、制御放出充填組成物において、ポリエチレンオキシドは、制御放出充填組成物の総重量に基づいて、少なくとも21.5重量%の量で存在し、または親水性担体は、制御放出充填組成物の総重量に基づいて、65重量%までの量で存在する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御放出カプセル充填組成物であって、
(i)活性医薬成分と、
(ii)0.05Mダルトン~15Mダルトンの数平均分子量を有するポリエチレンオキシドと、および
(iii)水または50ダルトン~5000ダルトンの数平均分子量を有する親水性担体の少なくとも1つと、を含み、
以下のいずれか:
(I)前記ポリエチレンオキシドが、前記制御放出カプセル充填組成物の総重量に基づいて、少なくとも21.5重量%の量で存在するか、または
(II)前記親水性担体は、前記制御放出カプセル充填組成物の総重量に基づいて、65重量%までの量で存在する、制御放出カプセル充填組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の制御放出カプセル充填組成物において、前記活性医薬成分が、前記制御放出カプセル充填組成物の総重量に基づいて、約5重量%~60重量%を含む、制御放出カプセル充填組成物。
【請求項3】
請求項1~2のいずれか1項に記載の制御放出カプセル充填組成物において、前記ポリエチレンオキシドが、前記制御放出カプセル充填組成物の総重量に基づいて、10wt%~65wt%である、制御放出カプセル充填組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の制御放出カプセル充填組成物において、前記水または親水性担体の少なくとも1つが、前記制御放出カプセル充填組成物の総重量に基づいて、約30重量%~約70重量%を含む、制御放出カプセル充填組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の制御放出カプセル充填組成物において、前記ポリエチレンオキシドの数平均分子量が、約500,000ダルトン~約15,000,000ダルトンである、制御放出カプセル充填組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の制御放出カプセル充填組成物において、前記水または親水性担体の少なくとも1つが、前記制御放出カプセル充填組成物の総重量に基づいて、40~60重量%を含む、制御放出カプセル充填組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の制御放出カプセル充填組成物において、前記親水性担体が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、酢酸、ギ酸、その他の親水性溶剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、制御放出カプセル充填組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の制御放出カプセル充填組成物において、前記ポリエチレンオキシドが、前記制御放出カプセル充填組成物の総重量に基づいて、25~40重量%を含む、制御放出カプセル充填組成物。
【請求項9】
カプセルであって、
(c)ソフトカプセルシェルまたはハードカプセルシェルと、および
(d)ソフトカプセルシェルまたはハードカプセルシェルにカプセル化された請求項1~8のいずれか1項に記載の前記制御放出充填組成物と、
を含む、カプセル。
【請求項10】
請求項9に記載のカプセルにおいて、0.1N HClまたは水500ml中、37℃で100rpmのパドル速度でUSP装置IIを用いた繊維光学的溶解試験において、0.5時間後に前記活性医薬成分の80%未満が放出される、カプセル。
【請求項11】
ソフトカプセルを製造する方法であって、
(a)液体充填組成物を混合する工程であって、
(i)活性医薬成分と、
(ii)約0.05Mダルトン~約15Mダルトンの数平均分子量を有するポリエチレンオキシドと、
(iii)任意に、1つまたはそれ以上の追加の放出速度制御ポリマーと、および
(iv)水または200ダルトン~5000ダルトンの数平均分子量を有する親水性担体の少なくとも1つと、を含み、
ここで、以下のいずれか:
(I)前記ポリエチレンオキシドが、前記充填組成物の総重量に基づいて、少なくとも21.5wt%の量で存在する、または
(II)前記親水性担体が、前記充填組成物の総重量に基づいて、65重量%までの量で存在する、前記混合する工程と、
(b)前記ソフトゲルカプセルを提供するために、工程(a)からの前記混合液体充填組成物をソフトゲルカプセルシェルにカプセル化する工程と、および
(c)前記ソフトゲルカプセルを約40℃~約80℃の温度に約10分~約180分の期間アニールし、前記ソフトゲルカプセルシェル内に固体または半固体の溶液充填組成物を形成させる工程と、を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、前記活性医薬成分が、前記充填組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約60重量%を含み、前記活性医薬成分が、生物薬剤学分類システムクラスI、II、III、およびIVの1つに分類される、方法。
【請求項13】
請求項11~12のいずれか1項に記載の方法において、前記充填組成物が、1つまたはそれ以上の放出速度制御ポリマーを含む、方法。
【請求項14】
請求項11~13のいずれか1項に記載の方法において、前記ポリエチレンオキシドが、前記充填組成物の総重量に基づいて、10wt%~65wt%を含む、方法。
【請求項15】
請求項11~13のいずれか1項に記載の方法において、前記ポリエチレンオキシドが、前記充填組成物の総重量に基づいて、30wt%~70wt%を含む、方法。
【請求項16】
請求項11~15のいずれか1項に記載の方法において、前記ポリエチレンオキシドの数平均分子量が1,000,000~8,000,000ダルトンである、方法。
【請求項17】
請求項11~16のいずれか1項に記載の方法において、前記親水性担体が、前記充填組成物の総重量に基づいて、40~60重量%を含む、方法。
【請求項18】
請求項11~17のいずれか1項に記載の方法において、前記ポリエチレンオキシドが、前記充填組成物の総重量に基づいて、25~40重量%を含む、方法。
【請求項19】
請求項11~18のいずれか1項に記載の方法において、工程(c)の前に前記ソフトゲルカプセルを乾燥させる工程をさらに含む、方法。
【請求項20】
請求項11~19のいずれか1項に記載の方法によって製造されたソフトゲルカプセルであって、0.1N HClまたは水500ml中、37℃で100rpmのパドル速度でUSP装置IIを用いた繊維光学溶解試験において、0.5時間後に前記活性医薬成分の80%未満が放出される、カプセル。
【請求項21】
カプセルであって、
シェル組成物と、および
制御放出充填組成物であって、
(i)活性医薬成分と、
(ii)0.05Mダルトン~15Mダルトンの数平均分子量を有するポリエチレンオキシドと、および
(iii)水または200ダルトン~5000ダルトンの数平均分子量を有する親水性担体の少なくとも1つと、を含む、前記制御放出充填組成物と、を含み、
ここで、前記カプセルが、流動性向上剤を実質的に含まない、カプセル。
【請求項22】
請求項21に記載のカプセルにおいて、前記流動性向上剤が、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリルカプリン酸グリセリル、モノリノール酸グリセリル、オレイン酸、ステアリン酸マグネシウム、またはそれらの組み合わせを含む、カプセル。
【請求項23】
請求項21~22いずれか1項に記載のカプセルにおいて、前記制御放出充填組成物が、液体、固体、または半固体である、カプセル。
【請求項24】
状態を治療する方法であって、請求項1~10、20~23のいずれか1項に記載の前記カプセル、または請求項11~19のいずれか1項に記載の前記方法に従って調製された前記カプセルを、それを必要とする対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項25】
制御放出充填組成物の溶解プロファイルを調整する方法であって、
前記方法は、
APIの標的溶解プロファイルを達成するためのi)~v)の少なくとも1つを調節する工程であって、
i)前記放出制御充填組成物中のポリエチレンオキシドの数平均分子量と、
ii)前記放出制御充填組成物中のポリエチレンオキシドの濃度と、
iii)前記放出制御充填組成物中の水または親水性担体含有量と、
iv)アニーリング温度と、および
v)アニーリング時間と、を含む、方法。
【請求項26】
放出制御型カプセル充填組成物であって、
(i)乱用されにくい活性医薬成分と、
(ii)ポリエチレンオキシドと、および
(iii)水または親水性担体の少なくとも1つと、
を含む、放出制御型カプセル充填組成物。
【請求項27】
放出制御型カプセル充填組成物であって、
(i)活性医薬成分と、
(ii)ポリエチレンオキシドと、および
(iii)水または親水性担体の少なくとも1つと、を含み、
ここで、(ii)と(iii)の重量比が約10:1~1:3までの範囲である、カプセル。
【請求項28】
カプセルであって、
シェル組成物と、および
制御放出充填組成物であって、
(i)乱用されにくい活性医薬成分と、
(ii)ポリエチレンオキシドと、および
(iii)水または親水性担体の少なくとも1つと、
を含む、前記制御放出充填組成物と、を含むカプセル。
【請求項29】
カプセルであって、
シェル組成物と、および
放出制御充填組成物であって、
(i)活性医薬成分と、
(ii)ポリエチレンオキシドと、および
(iii)水または親水性担体の少なくとも1つと、を含む、前記放出制御充填組成物と、を含み、
ここで、(ii)と(iii)の重量比が約10:1~1:3までの範囲である、カプセル。
【請求項30】
カプセルであって、
ゼラチンを含むシェル組成物と、および
放出制御充填組成物であって、
(i)活性医薬成分と、
(ii)酸化ポリエチレンと、および
(iii)水または親水性担体の少なくとも1つと、を含む、前記放出制御充填組成物と、を含む、カプセル。
【請求項31】
カプセルであって、
シェル組成物と、および
放出制御充填組成物であって、
(i)活性医薬成分と、
(ii)ポリエチレンオキシドと、および
(iii)水または親水性担体の少なくとも1つと、を含む、前記放出制御充填組成物と、を含み、
ここで、前記カプセルはアニールされる、カプセル。
【請求項32】
カプセルを製造する方法であって、
(a)液体充填組成物を混合する工程であって、
(i)乱用されにくい医薬品有効成分と、
(ii)ポリエチレンオキシドと、
(iii)任意に、1つまたはそれ以上の追加の放出速度制御ポリマーと、および
(iv)水または親水性担体の少なくとも1つと、を含む、前記混合する工程と、および
(b)前記カプセルを提供するために、工程(a)からの前記混合液体充填組成物をカプセルシェル組成物にカプセル化する工程と、を含む、方法。
【請求項33】
カプセルを製造する方法であって、
(a)液体充填組成物を混合する工程であって、
(i)活性医薬成分と、
(ii)ポリエチレンオキシドと、
(iii)任意に、1つまたはそれ以上の追加の放出速度制御ポリマーと、および
(iv)水または親水性担体の少なくとも1つと、を含む、前記液体充填組成物と、を含み、
ここで、(ii)~(iv)の重量比が約10:1~1:3までの範囲である、前記混合する工程と、および
(b)前記カプセルを提供するために、カプセルシェル組成物内に工程(a)から前記混合液体充填組成物をカプセル化する工程と、を含む、方法。
【請求項34】
ソフトゲルカプセルを製造するための方法であって、前記方法は、
(a)液体充填組成物を混合する工程であって、
(i)活性医薬成分と、
(ii)ポリエチレンオキシドと、
(iii)任意に、1つまたはそれ以上の追加の放出速度制御ポリマーと、および
(iv)水または親水性担体の少なくとも1つと、を含む、前記混合する工程と、
(b)前記カプセルを提供するために、工程(a)からの前記混合液体充填組成物をソフトゲルカプセルシェル組成物中にカプセル化する工程であって、ここで、前記ソフトゲルカプセルシェル組成物が、ゼラチンを含む、前記カプセル化する工程と、および
(c)約40℃~約80℃の温度で約10分~約180分の期間、前記ソフトゲルカプセルをアニールし、前記ソフトゲルカプセルシェル内に固体または半固体の溶液充填組成物を形成させる工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カプセルにカプセル化するための制御放出充填組成物に関し、この充填組成物は、異なる種類および量の制御放出材料(例えば、酸化ポリエチレン)を組み込んで薬物放出速度を制御または変更する。本開示はまた、制御放出充填組成物を含むカプセル、ならびにカプセルおよび制御放出充填組成物を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カプセルは、通常、1つまたはそれ以上の活性医薬成分または他の賦形剤を含む充填組成物で満たされたシェルを含む、よく知られた投薬形態である。ソフトゼラチンカプセル(ソフトゲルカプセル)は、長い間、重要な医療用投与形態として製薬業界で使用されてきた。ソフトゲルカプセルは、充填組成物に組み込まれた有効成分を有する液体または半固体の内部充填組成物を囲む固体カプセル/シェルを指す場合がある。
【0003】
他の医療用剤形と比較して、ソフトゲルカプセルは、飲み込みやすさ、味/臭いのマスキング、様々な投与経路の実現、単位用量の利便性、改変防止性、多様な色、形状およびサイズ、多様な活性成分を収容する能力、即時または遅延薬物送達への使用、およびそこに組み込まれた活性成分の生体利用率に潜在的によい影響を与えるなどの利点をもたらす。
【0004】
いくつかの例では、制御放出ソフトゲルカプセルは、長期間(典型的には8~24時間)にわたって薬物物質を送達するために必要である。)現在の放出制御型ソフトカプセル製品は、ワキシーマトリックス製剤を利用している。充填材は、カプセル化を促進するために粘度を十分に低く保つために、カプセル化中は高温に保たなければならない。高温は熱に敏感な薬物物質に影響を与える可能性があり、高温の充填物はゼラチンシェルに悪影響を与え、特にカプセル化温度が35~40℃を超える場合、カプセルの密封性と形状の一方または両方に影響を与える可能性がある。
【0005】
ポリエチレンオキシド(PEO)樹脂は、医薬品製品の開発において、ワキシーマトリクス配合物の代わりに放出制御組成物と虐待抑止組成物に使用されてきた。ポリエチレンオキシド樹脂の使用は、PEO樹脂が約20~35℃の低温でカプセル化できるため、ワキシーマトリックス材料の材料調製およびカプセル化に必要な高温の必要性を回避できる。
【0006】
例えば、米国特許第9,861,629号は、虐待抑止剤制御放出経口剤形およびその製造方法を開示しており、その一部はPEO樹脂を採用している。しかし、PEOを使用して放出速度を制御する試みは、この特許のカプセルを作るのに必要な処理工程の難易度を高め、モノリノール酸グリセリルなどの流動性向上剤を含める必要がある組成物をもたらした。
【0007】
米国特許第8,101,630号も、医薬の延長放出を提供する乱用抑止剤の剤形を開示している。本開示の剤形は、剤形を破砕または溶解することによって改ざんされる状況において、溶液の粘度を増加させるためのPEO樹脂を含む。本開示の剤形はまた、加工を容易にするためにステアリン酸マグネシウムを含むことを必要とする。
【0008】
多くの活性医薬成分について、カプセル充填組成物からの薬剤の制御放出は望ましい。ソフトゲルカプセルのための既存の制御放出充填組成物は、加工を容易にする賦形剤の組み込みによって対処されることもある加工上の課題を伴うものである。このような賦形剤は望ましくない場合があり、そうでなければ有効成分のより多い用量が占めることができる充填組成物内の容積を占有する場合がある。あるいは、そのような賦形剤は完全に排除することができ、それによって、飲み込みやすい単位用量あたりの小さなカプセルを製造することができる。
【0009】
したがって、処理を容易にする賦形剤の使用を最小限に抑えて容易にカプセル化できる制御放出カプセル充填組成物が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の実施形態において、本開示は、制御放出カプセル充填組成物に関するものであり、(i)活性医薬成分と、(ii)0.05~15Mダルトンの数平均分子量を有するポリエチレンオキシドと、および(iii)水または200ダルトン~5000ダルトンの数平均分子量を有する親水性担体の少なくとも1つを含み、以下のいずれか:(I)ポリエチレンオキシドが、前記制御放出カプセル充填組成物の総重量に基づいて、少なくとも21.5重量%の量で存在するか、または(II)前記親水性担体は、前記制御放出カプセル充填組成物の総重量に基づいて、65重量%までの量で存在する。
【0011】
前記各実施形態の制御放出カプセル充填組成物において、ポリエチレンオキシドが、制御放出充填組成物の総重量に基づいて、制御放出カプセル充填組成物の約1重量%~約60重量%を含んでもよい。
【0012】
前述の各実施形態の制御放出カプセル充填組成物において、ポリエチレンオキシドが、制御放出充填組成物の総重量に基づいて、制御放出充填組成物の10重量%~65重量%を含んでもよい。
【0013】
前述の各実施形態の制御放出カプセル充填組成物において、水および/または親水性担体が、制御放出充填組成物の総重量に基づいて、約30重量%~約70重量%を含んでもよい。
【0014】
前述の各実施形態の制御放出カプセル充填組成物において、ポリエチレンオキシドの数平均分子量が、900,000~7,000,000ダルトンである。
【0015】
前述の各実施形態の制御放出カプセル充填組成物において、親水性担体が、制御放出充填組成物の総重量を基準として、制御放出充填組成物の40~60wt%を含んでもよい。
【0016】
前述の各実施形態の制御放出カプセル充填組成物において、親水性担体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、および他の親水性溶媒からなる群から選択されてもよい。
【0017】
前述の各実施形態の制御放出カプセル充填組成物において、酸化ポリエチレンが、充填組成物の総重量に基づいて、充填組成物の25~40重量%を含んでもよい。
【0018】
一実施形態において、本開示は、(i)乱用されにくい活性医薬成分と、(ii)ポリエチレンオキシドと、および(iii)水または親水性担体の少なくとも1つを含む制御放出カプセル充填組成物に関するものである。
【0019】
一実施形態において、本開示は、(i)活性医薬成分と、(ii)ポリエチレンオキシドと、および(iii)水または親水性担体の少なくとも1つを含む制御放出カプセル充填組成物に関し、(ii)と(iii)の重量対重量比は約10:1~1:3までの範囲である。
【0020】
別の実施形態では、本発明は、(a)ソフトゲルカプセルシェルまたはハードカプセルシェルと、および(b)ソフトゲルカプセルシェルまたはハードカプセルシェルにカプセル化された前述の実施形態のいずれかの制御放出充填組成物と、を含むカプセルを包含する。
【0021】
実施形態において、本発明は、(a)ソフトゲルゼラチンカプセルシェルと、および(b)ソフトゲルゼラチンカプセルシェルにカプセル化された前述の実施形態のいずれかの制御放出充填組成物と、を含むカプセルを包含する。
【0022】
実施形態において、本発明は、(a)ソフトゲルカプセルシェルまたはハードカプセルシェルと、および(b)ソフトゲルゼラチンカプセルシェルにカプセル化された前述の実施形態のいずれかの制御放出充填物組成物と、を含むアニールカプセルを包含する。
【0023】
前述の実施形態のカプセルでは、0.1N HClまたは水500ml中、37℃で100rpmのパドル速度でUSP装置IIを用いた繊維光学的溶解試験において、0.5時間後に活性医薬成分の80%未満が放出され得る。
【0024】
さらなる実施形態において、本開示はカプセルを製造する方法に関するものである。この方法は、
(a)液体充填組成物を混合する工程であって、
(i)活性医薬成分と、
(ii)約0.05Mダルトン~約15Mダルトンの数平均分子量を有するポリエチレンオキシドと、
(iii)任意に、1つまたはそれ以上の追加の放出速度制御ポリマーと、および
(iv)水または200ダルトン~5000ダルトンの数平均分子量を有する親水性担体の少なくとも1つと、を含み、
ここで、以下のいずれか:
(I)前記ポリエチレンオキシドが、前記充填組成物の総重量に基づいて、少なくとも21.5wt%の量で存在する、または
(II)前記親水性担体が、前記充填組成物の総重量に基づいて、65重量%までの量で存在する、前記混合する工程と、
b)前記カプセルを製造するために、工程(a)からの前記混合液体充填組成物をカプセルシェルにカプセル化する工程と、および
(c)前記カプセル(特定の実施形態ではカプセル化後に乾燥されていてもよい)を約40℃~約80℃の温度で約10分~約180分の期間加熱し、前記カプセル内に固体または半固体の充填組成物を形成する工程と、を含む。
【0025】
さらなる実施形態において、本開示はカプセルを製造する方法に関する。本方法は、
(a)液体充填組成物を混合する工程であって、
(i)乱用されにくい活性医薬成分と、
(ii)ポリエチレンオキシドと、
(iii)任意に1つまたはそれ以上の追加の放出速度制御ポリマーと、および
(iv)水または親水性担体の少なくとも1つと、を含む、前記混合する工程と、
(b)前記カプセルを製造するために、前記混合液体充填組成物をカプセルシェルにカプセル化する工程と、および
(c)前記カプセル(特定の実施形態ではカプセル化後に乾燥されていてもよい)を約40℃~約80℃の温度で約10分~約180分の期間加熱し、前記カプセル内に固体または半固体の充填組成物を形成させる工程と、を含む。
【0026】
さらにさらなる実施形態において、本開示は、カプセルを製造するための方法に関する。この方法は、
(a)液体充填組成物を混合する工程であって、
(i)活性医薬成分と、
(ii)ポリエチレンオキシドと、
(iii)任意に1つ以上の追加の放出速度制御ポリマーと、および
(iv)少なくとも1つの水または親水性担体と、を含み、
ここで、(ii)~(iv)の重量対重量比は約10:1~1:3までの範囲である、前記混合する工程と、
(b)前記カプセルを製造するために、前記混合液体充填組成物をカプセルシェルにカプセル化する工程と、
(c)前記カプセル(特定の実施形態ではカプセル化後に乾燥されていてもよい)を約40℃~約80℃の温度で約10分~約180分の期間加熱し、前記カプセル内に固体または半固体の充填組成物を形成させる工程と、を含む。
【0027】
さらにさらなる実施形態において、本開示は、ソフトゲルゼラチンカプセルを製造するための方法に関するものである。前記方法は、
(a)液体充填組成物を混合する工程であって、
(i)活性医薬成分と、
(ii)ポリエチレンオキシドと、
(iii)任意に、1つまたはそれ以上の追加の放出速度制御ポリマーと、および
(iv)少なくとも1つの水または親水性担体と、を含む、前記混合する工程と、
(b)前記カプセルを製造するために、前記混合液体充填組成物をゼラチンカプセルシェルにカプセル化する工程と、および
(c)前記ソフトゲルゼラチンカプセル(特定の実施形態ではカプセル化後に乾燥されていてもよい)を約40℃~約80℃の温度で約10分~約180分の期間加熱し、前記ソフトゲルゼラチンカプセルの内部に固体または半固体の充填組成物を形成させる工程と、を含む。
【0028】
方法の前記実施形態において、活性医薬成分が、制御放出充填組成物の総重量に基づいて、制御放出充填組成物の約1重量%~約60重量%の量で含まれ得る。
【0029】
方法の前述の各実施形態において、ポリエチレンオキシドが、制御放出充填組成物の総重量に基づいて、制御放出充填組成物の10重量%~65重量%の量で制御放出充填組成物に含まれてもよい。
【0030】
前述の方法のそれぞれにおいて、充填組成物は、1つまたはそれ以上の放出速度制御ポリマーをさらに含んでもよい。
【0031】
前述の方法のそれぞれの実施形態において、水および/または親水性担体が、放出制御充填組成物の総重量に基づいて、放出制御充填組成物の約30wt%~約70wt%、または約40wt%~約60wt%までの量の放出制御充填組成物に含まれてもよい。
【0032】
方法の前述の各実施形態において、ポリエチレンオキシドが、充填組成物の総重量に基づいて、充填組成物の約25重量%~約40重量%の量で、制御放出充填組成物に含まれてもよい。
【0033】
前述の各実施形態において、活性医薬成分は、生物薬剤学分類システムクラスI、II、IIIおよびIVのうちの1つに分類される活性医薬成分であってもよい。
【0034】
別の実施形態において、開示は、前述の方法のいずれかによって作られるソフトゲルカプセルまたはハードカプセルに関する。ソフトゲルカプセルまたはハードカプセルのこの実施形態では、0.1N HClまたは水500ml中、37℃で100rpmのパドル速度を用いたUSP 装置 IIによる繊維光学的溶解試験において、0.5時間後に活性医薬成分の80%未満が放出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、開示によるカプセルの製造方法の手順を示すフロー図である。
【
図2】
図2は、500mlの水中にて37℃で100RPMのパドル速度を用いてUSP装置IIを用いた繊維光学的溶解試験で得られた、実施形態によるカプセルの溶解プロファイルを描写する。
【
図3】
図3は、500mlの水中にて37℃で50RPMのパドル速度を用いてUSP装置IIを用いて実施形態によるカプセルの繊維光学的溶解試験で得られたカプセル溶解プロファイルを描写する。
【
図4A】
図4A~4Dおよび5~6は、実施例1~6の溶解データの統計解析のための時間90%(時間)についての残差プロットを示す。
図4Aは、放出90%(時間)についての正規確率プロットである。
【
図4B】
図4Bは放出90%(時間)についての対フィットプロットである。
【
図4C】
図4Cは放出90%(時間)についてヒストグラムである。
【
図4D】
図4Dは放出90%(時間)について対順序プロットである。
【
図5】
図5は、90%放出までの時間(時間)についての相互作用プロットである。
【
図6】
図6は、90%放出までの時間(時間)についての主効果プロットである。
【
図7】
図7は、500mlの水中にて37℃で100RPMのパドル速度を用いたUSP装置IIによる繊維光学溶解試験で得られた処方13~15で満たされた実施形態によるカプセルの溶解プロファイルを描写する。
【
図8】
図8は、500mlの水中にて37℃で100RPMのパドル速度を用いてUSP装置IIを用いた繊維光学的溶解試験で得られた、実施形態によるカプセルの溶解プロファイルを示す。
【
図9】
図9は、500mlの水中にて37℃で50RPMのパドル速度を用いてUSP装置IIを用いて繊維光学的溶解試験で得られた、実施形態によるカプセルの溶解プロファイルを示す。
【
図10】
図10は、900,000Daの数平均分子量を有するポリエチレンオキシドを含むカプセル充填組成物についての熱流対温度のDSC曲線である。
【
図11】
図11は、MC18-30充填混合物を含むカプセル充填組成物についての熱流対温度のDSC曲線である。
【
図12】
図12は、5,000,000Daの数平均分子量を有するポリエチレンオキシドを含むカプセル充填組成物についての熱流対温度のDSC曲線である。
【
図13】
図13は、MC18-31充填ミックスを含むカプセル充填組成物についての熱流対温度のDSC曲線である。
【
図14】
図14は、7,000,000Daの数平均分子量を有するポリエチレンオキシドを含むカプセル充填組成物についての熱流対温度のDSC曲線である。
【
図15】
図15は、MC18-32充填ミックスを含むカプセル充填組成物についての熱流対温度のDSC曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
例示の目的で、本発明の原理を、様々な例示的実施形態を参照することによって説明する。本発明の特定の実施形態が本明細書で具体的に説明されているが、当業者であれば、同じ原理が他のシステムおよび方法にも同様に適用でき、採用できることを容易に認識するだろう。本発明の開示された実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用が、示された任意の実施形態の詳細に限定されるものではないことを理解されたい。さらに、本明細書で使用される用語は、説明のためのものであり、限定するためのものではない。さらに、特定の方法は、特定の順序で本明細書に示される工程を参照して説明されるが、多くの場合、これらの工程は、当業者によって理解され得るように任意の順序で実行され得る;したがって、新規な方法は、本明細書に開示される工程の特定の配置に限定されない。
【0037】
本明細書および添付の請求項で用いられるように、文脈が明らかに指示しない限り、単数形「a」、「an」、「the」は複数の参照を含むことに留意されたい。さらに、用語「a」(または「an」)、「1つまたはそれ以上」、および「少なくとも1つ」は、本明細書において交換可能に使用され得る。用語「を含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」、および「から構築される(constructed from)」もまた、互換的に使用することができる。
【0038】
特に指示しない限り、明細書および請求項において使用される成分の量、分子量、パーセント、比、反応条件などの特性を表すすべての数字は、用語「約」が存在するかどうかにかかわらず、すべての事例において用語「約」によって修飾されていると理解されるものである。したがって、反対の指示がない限り、明細書および特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、本開示によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の桁数に照らして、通常の丸め技術を適用して解釈されるべきである。本開示の広範な範囲を示す数値範囲およびパラメータが近似値であるにもかかわらず、具体的な実施例に記載された数値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、いかなる数値も、本質的に、それぞれの試験測定に見られる標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を含む。本明細書で使用する場合、「約」は、「約10」が9~11を含むように、±10%の変動内にある任意の値を指す。
【0039】
本明細書に開示された各成分、化合物、置換基またはパラメータは、本明細書に開示された他の各成分、化合物、置換基またはパラメータの1つ又はそれ以上と単独または組み合わせて使用するために開示されていると解釈されることが理解される。
【0040】
また、本明細書に開示された各成分、化合物、置換基またはパラメータの各量/値または量/値の範囲は、他の任意の成分(複数可)について開示された各量/値または量/値の範囲と組み合わせても開示されていると解釈されることが理解されるものとする、)化合物(複数可)、置換基(複数可)またはパラメータ(複数可)を本明細書に開示し、本明細書に開示した2つ以上の成分(複数可)、化合物(複数可)、置換基(複数可)またはパラメータについての量/値の任意の組み合わせまたは量/値の範囲は、したがって本説明の目的のために互いに組み合わせても開示されることを示す。
【0041】
さらに、本明細書に開示された各範囲の各下限値は、同じ成分、化合物、置換基またはパラメータについて本明細書に開示された各範囲の各上限値と組み合わせて開示されていると解釈されることが理解される。したがって、2つの範囲の開示は、各範囲の各下限値と各範囲の各上限値とを組み合わせることによって得られる4つの範囲の開示と解釈されるべきである。また、3つの範囲の開示は、各範囲の下限値と各範囲の上限値を組み合わせることによって得られる9つの範囲の開示と解釈されるなどである。さらに、説明または実施例に開示された成分、化合物、置換基またはパラメータの特定の量/値は、範囲の下限または上限のいずれかの開示と解釈され、したがって、本願の他の場所に開示された同じ成分、化合物、置換基またはパラメータに関する範囲の他の下限または上限または特定の量/値と組み合わせて、その成分、化合物、置換基またはパラメータの範囲を形成することができる。
【0042】
本明細書において「分子量」という用語は、特に指定しない限り、すべて数平均分子量を指す。
【0043】
本明細書において「周囲温度」という用語は、約20~35℃の温度を指す。
【0044】
本発明の充填組成物と方法は、ハードカプセルとソフトゲルカプセルの両方において使用し、活性医薬成分の制御放出と耐虐待性を提供できるように設計されている。本発明の充填組成物は、カプセル充填工程における充填組成物の取り扱いを容易にするために、カプセルにカプセル化する時点では液体である。好適な液体としては、水および/または親水性担体中の成分の溶液、懸濁液および分散液が挙げられる。
【0045】
用語「ソフトゲルカプセル」は、ゼラチン含有ソフトカプセル、およびゼラチンを含まない他のタイプのソフトカプセルのことを指す。特定のカプセル製剤に必要な製造パラメータを決定するために、ゼラチンを含まないカプセルについても同様の試験を行うことができる。本明細書を通じて使用される「ソフトカプセル」、「ソフトゲルカプセル」、および「ソフト弾性カプセル」は、ゼラチン、またはグリセリン、PEG400などの明示的可塑剤、または水などの固有可塑剤と組み合わせた他のポリマー(複数)を含むカプセルを指す。
【0046】
用語「シェル組成物」は、本明細書を通じて、用語「フィルム組成物」、「シェル」、および「フィルム」と互換的に使用される場合がある。これらの用語は、充填材料をカプセル化するカプセルの外側部分を指す。
【0047】
「充填材料」という用語は、本明細書を通じて、「充填組成物」、および「充填」という用語と互換的に使用することができる。これらの用語は、シェル組成物によってカプセル化されるカプセルの内側部分を指す。
【0048】
用語、「制御放出」は、「修正放出」、「遅延放出」および「延長放出」を指し、充填組成物またはカプセルからの活性医薬成分の放出を遅延、修正または延長するように制御されることを示す。一実施形態において、「制御された放出」は、0.1N HClなどの生体、人工、または模擬胃液および/またはpH6.8リン酸緩衝液および/または水などの生体、人工、または模擬腸液500ml中で37℃において100RPMのパドル速度を用いたUSP装置IIによる繊維光学溶解試験において、原薬の80%未満が0.5時間後に放出するようにコントロール放出充填組成物またはカプセルからの薬剤放出率を指す。一実施形態において、「放出制御」とは、例えば、1日1回または1日2回の投与形態を提供するために、例えば、約2時間~約24時間の期間にわたって徐々に放出される活性薬剤を指す。制御された放出は、強力で低用量の薬物、または断続的な投与ではなく時間をかけて制御された方法で投与された場合によりよく機能する薬物にとって重要である。
【0049】
一態様において、本発明は、カプセル(例えば、ソフトゲルカプセル)において使用するに適した制御放出充填組成物に関し、この充填組成物はポリエチレンオキシド(PEO)樹脂を含む。ポリエチレンオキシドポリマーは、このような充填組成物を含むカプセルからの活性医薬成分(API)の放出を制御するための固体または半固体のマトリックスを形成するために充填組成物中で使用される。水および/または親水性担体もまた、これらの充填組成物に含まれ得る。充填組成物中の数平均分子量および/またはPEOの濃度を操作することにより、充填組成物中のAPI(複数可)の放出速度を制御することができる。
【0050】
カプセル(例えば、ソフトゲルカプセル)を製造するために使用されるプロセスも、API放出プロファイルに影響を与え得る。周囲温度で固体または半固体である放出制御材料は、加工を容易にするために加熱を必要とする。しかし、ゼラチンベースのシェル材料は熱に敏感である。したがって、処理を容易にするために加熱を必要とする制御放出材料を含むことは、ゼラチンベースのシェル材料と共に使用するには望ましくない。代わりに、本発明は、特定の実施形態において、約20~35℃の周囲温度で液体充填組成物をそのようなゼラチンベースのカプセルに充填し、その後、充填されたカプセルを加熱して液体充填組成物を固体または半固体にする(およびポリマーマトリックスを形成する)ことにより、熱感受性ゼラチンベースのシェル材料の完全性を害さない。
【0051】
一実施形態において、充填組成物が、原薬、親水性担体および/または水、並びにPEOポリマー、を含む混合物として提供される。この混合物は、次いで、約20~35℃の周囲温度でカプセル(例えば、ソフトゲルカプセル)にカプセル化されてもよく、これは、より多様なカプセルシェル材料を使用する柔軟性を提供する。
【0052】
充填組成物は、任意に、高分子量ポリエチレンオキシドおよびセルロース誘導体のような他の成分を含み得る。これらの任意成分は、充填組成物のAPI放出プロファイルを変更することが理由の1つである様々な理由で含めることができる。充填組成物は、1つ又はそれ以上の追加のAPI、放出速度制御ポリマー、不活性成分(例えば、薬学的に許容される賦形剤)、または当該技術分野で知られているカプセル(例えば、ソフトゲルカプセル)用の充填組成物の他の成分を含む他の追加成分を含むこともできる。特定の実施形態では、充填組成物は、モノリノール酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリルカプレート、モノリノール酸グリセリル、オレイン酸などの流動性向上材料、ステアリン酸マグネシウムなどの加工容易化材料などを含まないか、実質的に含まない場合がある。充填組成物の流動性または加工性を促進する材料は、充填組成物が加工中は液体であり、所望により、カプセルのシェル内に既にカプセル化された後に、固体または半固体に固化することがあるので、インスタント開示では単に任意である。
【0053】
本明細書で使用する場合、ある成分を「含まないまたは実質的に含まない」とは、約1wt%未満、約0.5wt%未満、約0.25wt%未満、約0.1wt%未満、約0.05wt%未満、約0.01wt%未満、または0wt%の前記成分を含む組成物を言う。
【0054】
APIは、治療的使用のための医薬成分であってもよい。APIは、当該技術分野で知られているように、単一の成分または1つ以上の活性医薬成分の混合物であり得、これには、任意の薬物、治療上許容される薬物塩、薬物誘導体、薬物アナログ、薬物同族体、または多形が含まれるがこれらに限定されない。好ましくは、APIは、生物薬剤学的分類システムクラスI、II、III、またはIVのうちの1つに分類される。APIは、乱用されやすいAPIおよび乱用されにくいAPIを包含し得る。一実施形態では、充填組成物中のAPIは、乱用されやすい。一実施形態では、充填組成物中のAPIは、濫用されやすいものではない。
【0055】
任意の薬学的活性成分が、水溶性であるものおよび水に難溶性であるものの両方を含む、本開示の目的のために使用され得る。好適な薬学的活性成分としては、限定されないが、鎮痛剤および抗炎症剤(例えば、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、アスピリン)、制酸剤、駆虫剤、抗不整脈剤、抗菌剤、抗凝固剤、抗うつ剤、抗糖尿病剤、抗下痢剤、抗てんかん剤、抗真菌剤、抗痛風剤、降圧剤、抗マラリア剤、抗偏頭痛剤、抗ムスカリン剤、抗新生物剤および免疫抑制剤、抗原虫剤、抗リウマチ剤、抗甲状腺剤、抗ヒスタミン剤(e.g.,抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミンなど)、抗ウイルス剤、抗不安剤、鎮静剤、催眠剤、神経遮断剤、β-ブロッカー、心臓強心剤、コルチコステロイド、鎮咳剤、細胞毒、除痛剤、利尿剤、酵素、抗パーキンソン病薬、胃腸薬、ヒスタミン受容体拮抗薬、脂質調整薬、局所麻酔薬、神経筋薬、硝酸塩および抗狭心症薬、栄養剤、オピオイド鎮痛薬、抗痙攣薬(例えば、バルプロ酸)、経口ワクチン、タンパク質、ペプチドおよび組換え薬、性ホルモンおよび避妊薬、殺精子剤、刺激剤、およびこれらの組み合わせである。
【0056】
いくつかの実施形態では、活性医薬成分は、制限なく、ダビガトラン、ドロネダロン、チカグレロル、イロペリドン、アイバカフトール、ミドスタウリン、アシマドリン、ベクロメタゾン、アプレミラスト、サパシタビン、リンシチブ、アビラテロン、ビタミンD類似体(例えば、カルシフェジオール、カルシトリオール、パリカルシトール、ドキセルカルシフェロール)、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ)、タクロリムス、テストステロン、ルビプロストン、その薬学的に許容できる塩、およびそれらの組合せである。
【0057】
本発明の一実施形態では、活性医薬成分は、イブプロフェンまたはオピオイドのような鎮痛剤である。用語「オピオイド」は、オピオイド受容体に結合することによって作用する精神活性化合物を指す。オピオイドは、その鎮痛作用から医療分野で一般的に使用されている。オピオイドは、乱用されやすいAPIであると考えられている。オピオイドの例としては、コデイン、トラマドール、アニレリジン、プロジン、ペチジン、ヒロコドン、モルヒネ、オキシコドン、メタドン、ジアモルフィン、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、7-ヒドロキシミトラギン、ブプレノルフィン、フェンタニル、スフェンタニル、レボルファノール、メペリジン、ティリジン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィンおよびそれらの薬学的に許容できる塩類が挙げられる。
【0058】
医薬品有効成分の例としては、N-{1-[2-(4-エチル-5-オキソ-2-テトラゾリン-1-イル)エチル]-4-メトキシメチル-4-ピペリジル}プロピオナニリド;アルフェンタニル;5,5-ジアリルバルビツール酸;アロバルビタール;アリルプロジン;アルファプロジン;8-クロロ-1-メチル-6-フェニル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]-ベンゾジアゼピン;アルプラゾラム;2-ジエチルアミノプロピオフェノン;アンフェプラモン、(+/-)-αメチルフェネチルアミン;アンフェタミン;2-(α-メチルフェネチルアミノ)-2-フェニルアセトニトリル;アンフェタミンイル;5-エチル-5-イソペンチルバルビツール酸;アモバルビタール;アニルリジン;アポコデイン;5,5-ジエチルバルビツール酸;バルビタール;ベンジルモルフィン;ベンジトラミド;7-ブロモ-5-(2-ピリディル)-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-1;ブロマゼパム;2-ブロモ-4-(2-クロロフェニル)-9-メチル-l-6H-thieno[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン;ブロチゾラム、17-シクロプロピルメチル-4,5a-エポキシ-7a[(S)-1-ヒドロキシ-1,2,2-トリメチル-プロピル]-6-メトキシ-6,14-エンドエタノモルヒナン-3-オール;ブプレノルフィン;5-ブチル-5-エチルバルビツール酸;ブトバルビタール;ブトルファノール;(7-クロロ-1,3-ジヒドロ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)ジメチルカルバミン酸;カマゼパム;(1S,2S)-2-アミノ-1-フェニル-1-プロパノール;カチン;d-ノルプトエフェドリン;7-クロロ-N-メチル-5-フェニル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イルアミン 4-oxide;クロルジアゼポキシド、7-クロロ-1-メチル-5-フェニル-1H-1,5-ベンゾジアゼピン-2,4(3H,5H)-ジオン;クロバザム、5-(2-クロロフェニル)-7-ニトロ-1H-1,4-ベンズ-ジアゼピン-2(3H)-オン;クロナゼパム;クロニタゼン;7-クロロ-2,3-ジヒドロ-2-オキソ-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸;クロラゼペート;5-(2-クロロフェニル)-7-エチル-1-メチル-1H-チエノ[2,3-e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-1;クロチアゼパム;10-クロロ-11b-(2-クロロフェニル)-2,3,7,11b-テトラヒドロオキサゾール-o[3,2-d][1,4]ベンゾジアゼピン-6(5H)-オン;クロクサゾラム;(-)-メチル-[3β-ベンゾイルオキシ-2β(1αH,5αH)-トロパンカルボキシレート];コカイン;(5α,6α)-7,8-ジデヒドロ-4,5-エポキシ-3-メトキシ-17-メチルモルフィナン-6-オール;4,5α-エポキシ-3-メトキシ-17-メチル-7-モルフィナン-6α-ol;コデイン;5-(1-シクロヘキセニル)-5-エチルバルビツール酸;シクロバルビタール;シクロファン;シプレノルフィン;7-クロロ-5-(2-クロロフェニル-l)-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン;デローラゼパム;デゾルフィン;デキストロモラミド.(+)-(1-ベンジル-3-ジメチルアミノ-2-メチル-1-フェニルプロピル)プロピオネート;デキシトロポキシフェン;デゾシン;ディアムプロマイド;ディアモルフォン;7-クロロ-1-メチル-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾダイアゼピン-2(3H)-1;ジアゼパム;4,5α-エポキシ-3-メトキシ-17-メチル-6α-モルフィナノール;ジヒドロコデイン;4,5α-エポキシ-17-メチル-3,6a-モルフィナンジオール;ジヒドロモルフィン;ジメノキサドール;ジメフェタモール;ジメチルチアンブテン;ジオキサフェチルブチレート;ジピパノン;(6aR,10aR)-6,6,9-トリメチル-3-ペンティア-6a,7,8,10a-テトラヒドロ-6H-ベンゾ[c]クロメン-1-オール;ドロナビノール.エプタゾシン;8-クロロ-6-フェニル-4H-[1,2,4]-トリアゾロ[4,3-(a)][1,4]ベンゾジアゼピン;エスタゾラム;エトヘプタジン;エチルメチアブテン;エチル[7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸];ロフラゼプ酸エチル;4,5α-エポキシ-3-エトキシ-17-メチル-7-モルフィネン-6α-オール;エチルモルフィン;エトニタゼン;4,5α-エポキシ-7α-(1-ヒドロキシ-1-メチルブチル)-6-メトキシ-17-メチル-6,14-エンド-エテノ-モルフィナン-3-オール;エトルフィン;N-エチル-3-フェニル-8,9,10-トリロルボルナン-2-イルアミン;フェンカンファミン;7-[2-(α-メチルフェネチルアミノ)エチル]-テオフィリン;フェネチリン;3-(α-メチルフェネチルアミノ)プロピオニトリル;フェンプロポレックス;N-(1-フェネチル-4-ピペリジル)プロピオナニリド;フェンタニル;7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-1-メチル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン;フルジアゼパム;5-(2-フルオロフェニル)-1-メチル-7-ニトロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン;フルニトラズセパム;7-クロロ-1-(2-ジエチルアミノエチル)-5-(2-フルオロフェニル)-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン;フルラゼパム;7-クロロ-5-フェニル-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン;ハラゼパム;10-ブロモ-11b-(2-フルオロフェニル)-2,3,7,11b-テトラヒドロ[1,3]オキサゾリル[3,2-d][1,4]ベンゾジアゼピン-6(5H)-オン;ハロキサゾラム;ヒロイン;4,5α-エポキシ-3-メトキシ-17-メチル-6-モルフィナノン;ヒドロコドン;4,5α-エポキシ-3-ヒドロキシ-17-メチル-6-モルフィナノン;ヒドロモルフォン;ヒドロキシペチジン;イソメサドン;ヒドロキシメチルモルフィナン;11-クロロ-8,12b-ジヒドロ-2,8-ジメチル-12b-フェニル-4H-[1,3]オキサジノ[3,2d][1,4]ベンゾジアゼピン-4,7(6H)-ジオン;ケタゾラム;1-[4-(3-ヒドロキシフェニル)-1-メチル-4-ピペリジル]-1-プロパノン;ケトベミドン;(3S,6S)-6-ジメチルアミノ-4,4-ジフェニルヘプタン-3-イルアセテート;レバカチルメタドール;LAAM;(-)-6-ジメチルアミノ-4,4-ジフェノール-3-ヘプタノン;レベメタドン;(-)-17-メチル-3-モルフィノール;レボルファノール;レボフェナシルモルファン;ロフェンタニル;6-(2-クロロフェニル)-2-(4-メチル-1-ピペラジニルメチレン)-8-ニトロ-2H-イミダゾ[1,2-a][1,4]-ベンゾジアゼピン-1(4H)-オン;ロプラゾラム;7-クロロ-5-(2-クロロフェニル)-3-ヒドロキシ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン;ロラゼパム;7-クロロ-5-(2-クロロフェニル)-3-ヒドロキシ-1-メチル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン;ロルメタゼパム;5-(4-クロロフェニル)-2,5-ジヒドロ-3H-イミダゾ[2,1a]イソインド-5-オールがある;マジンドール;7-クロロ-2,3-ジヒドロ-1-メチル-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン;メダゼパム;N-(3-クロロプロピル)-α-メチルフェネチルアミン;メフェノレックス;メペリジン;2-メチル-2-プロピルトリメチレンジカルバメート;メプロバメート;メプタジノール;メタゾシン;メチルモルフィン;N、α-ジメチルフェネチルアミン;メタフェタミン;(±)-6-ジメチルアミノ-4,4-ジフェノール-3-ヘプタノン;メタドン;2-メチル-3-オトリル-4(3H)-キナゾリノン;メタカロン;メチル[2-フェニル-2-(2-ピペリジル)アセタート];メチルフェニデート;5-エチル-1-メチル-5-フェニルバルビットル酸.メチルフェノバルビタール;3,3-ジエチル-5-メチル-2,4-ピペリジンジオン;メチプリロン;メトポン;8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-1-メチル-4H-イミダゾ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン;ミダゾラム;2-(ベンズヒドロイルスフィニル)アセタミド;モダフィニル;(5α,6α)-7,8-ジデヒドロ-4,5-エポキシ-17-メチル-7-メチルモルフィナン-3,6-ジオール;モルヒネ;ミロフィン;(±)-トランス-3-(1,1-ジメチルヘプタイル)-7,8,10,10α-テトラヒドロ-1-ヒドロキシ-6,6-ジメチル-6H-ジベンゾ-[b,d]ピラン-9(6αH)ワン;ナビロン;ナルブフェン;ナロルフィン;ナルセイン;ニコモルフィン;1-メチル-7-ニトロ-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-1;ニメタゼパム;7-ニトロ-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン;ニトラゼパム;7-クロル-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(-3H)-1;ノルダゼパム;ノルレボーファノール;6-ジメチルアミノ-4,4-ジフェニル-3-ヘキサノン;ノルメタドン;ノルモルフィン;ノルピパノン;アヘン;7-クロロ-3-ヒドロキシ-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-1;オキサゼパム;(シス-/トランス-)-10-クロロ-2,3,7,11b-テトラヒドロ-2-メチル-11b-フェニルオキサゾロ[3,2-d][1,4]ベンゾジアゼピン-6-(5H)-1;オキサゾラム;4,5α-エポキシ-14-ヒドロキシ-3-メトキシ-17-メチル-6-モルフィナノン;オキシコドン;オキシモルフォン;パパベレタム;2-イミノ-5-フェニル-4-オキサゾリジノン;ペルノリン;1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロ-6,11-ジメチル-3-(3-メチル-2-ブテニル)-2,6-メタノ-3-ベンザゾシン-8-オール;ペンタゾシン;5-エチル-5-(1-メチルブチル)-バルビツール酸.ペントバルビタール;エチル-(1-メチル-4-フェニル-4-ピペリジンカルボキシレート);ペチジン;フェナドキソン;フェノモルファン;フェナゾシン;フェノペリジン;ピミノジン;フォルコデイン;3-メチル-2-フェニルモルソリン;フェントラジン;5-エチル-5-フェニルバルビットリン酸;フェノバルビタール;αジメチルフェネチルアミン;フェンテルミン;(R)-3-[-1-ヒドロキシ-2-(メチルアミノ)エチル]フェノール;フェニレフリン、7-クロロ-5-フェニル-1-(2-プロピニル)-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン;ピナセパム;α-(2-ピペリジル)ベンズヒドリルアルコール;ピプラドロール;1α-(3-シアノ-3,3-ジフェニルプロピル)[1,4'-ビピペリジン]-4α-カルボキサミド;ピリトラミド;7-クロロ-1-(シクロプロピルメチル)-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン;プラゼパム;プロファドール;プロヘプタジン;プロメドール;プロパリジン;プロポキシフェン;N-(1-メチル-2-ピペリジノエチル)-N-(2-ピリジル)プロピオンアミド;メチル{3-[4-メトキシカルボニル-4-(N-フェニルプロパンアミド)ピペリジノ]プロパン酸}.(S,S)-2-メチルアミノ-1-フェニルプロパン-1-オール;プソイドエフェドリン、レミフェンタニル;5-sec-ブチル-5-エチルバルビツール酸;セコブタバルビタール;5-アリル-5-(1-メチルブチル)-バルビツール酸;セコブタル;N-{4-メトキシメチル-1-[2-
(2-チエニル)エチル]-4-ピペリジル}プロピアニルアニリド;スフェンタニル;7-クロロ-2-ヒドロキシメチル-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-1;テマゼパム;7-クロロ-5-(1-シクロヘキセニル)-1-メチル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン;テトラゼパム;エチル(2-ジメチルアミノ-1-フェニル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシレート;シス-/トランス-チリヂン;トラマドール;8-クロロ-6-(2-クロロフェニル)-1-メチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン;トリアゾラム;5-(1-メチルブチル)-5-ビニルバルビツール酸;ビニルビタン;(1R*,2R*)-3-(3-ジメチルアミノ-1-エチル-2-メチルプロピル)フェノール;(1R,2R,4S)-2-(ジメチルアミノ)メチル-4-(p-フルオロベンジルオキシ)-1-(メトキシフェニル)シクロヘキサノールが挙げられる。
【0059】
上記の化合物に加えて、医薬品有効成分には、これらの化合物のいずれかのプロドラッグも含まれる。プロドラッグ」という用語は、医薬品の有効成分の代謝的前駆体である化合物を意味する。この前駆体は、インビボで変換され、所望の治療効果を有する医薬品の有効成分を提供する。
【0060】
医薬品の有効成分には、上記の化合物のいずれかの薬学的に許容される塩も含まれる。化合物の「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容され、親化合物の所望の薬理活性を有する塩を意味する。このような塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸で形成される酸付加塩が挙げられる;または、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ハイドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ〔2.2.2]-oct-2-ene-1-カルボキシリック酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフト酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸など;および親化合物に存在する酸性陽子が金属イオン、例えば、以下のもので置換されて形成される塩がある、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、アルミニウムイオンなどの金属イオンで置換されるか、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミンなどの有機塩基で置換される。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、バレレート、オレイン酸塩、パルミテート、ステアレート、ラウレート、ホウ酸塩、安息香酸塩が挙げられる、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、メシル酸ナフチル、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリルサルホン酸塩等が挙げられる。これらには、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属に基づくカチオンの他、無毒のアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン等を含むことができる。
【0061】
「薬学的に許容される」とは、一般に安全であり、無毒であり、生物学的または他の方法で望ましくないものではなく、ヒトの医薬用途に許容される医薬組成物を調製するのに有用なものを意味する。
【0062】
さらに、上記化合物の他に、活性医薬成分には上記いずれかの化合物の溶媒和物も挙げられる。用語「溶媒和物」は、1分子以上の活性医薬成分を1分子またはそれ以上の溶媒で構成した凝集体を意味する。溶媒は水であってもよく、その場合、溶媒和物は水和物であってもよい。あるいは、溶媒は、有機溶媒であってもよい。一実施形態では、「溶媒和物」は、溶解前の状態の活性医薬成分を指す。あるいは、懸濁した活性医薬成分の固体粒子は、共沈した溶媒を含んでいてもよい。
【0063】
特定の実施形態では、充填組成物は、活性医薬成分に加えて、または活性医薬成分の代わりに、ビタミン、ミネラル、またはサプリメントなどの栄養補助食品を含むこともできる。説明全体を通してのAPIへのあらゆる言及(例えば、濃度)はまた、栄養補助食品などの異なる活性剤に適している場合があることを理解されたい(すなわち、ビタミン、ミネラル、および/またはサプリメント)のような異なる活性剤に適している場合があることを理解されたい。
【0064】
いくつかの実施形態では、剤形中の脂質は、これらに限定されないが、アーモンド油、アルガン油、アボカド油、ボラージ種子油、カノーラ油、カシュー油、ひまし油、水素化ひまし油、カカオバター、ココナッツ油、コルザ油、トウモロコシ油、綿実油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、麻油、水酸化レシチン、レシチンからなる群から選択することができる、亜麻仁油、マカダミア油、マンゴーバター、マニラ油、モンゴルナッツ油、オリーブ油、パーム核油、パーム油、ピーナッツ油、ペカン油、シソ油、松の実油、ピスタチオ油、ポピー種子油、カボチャ種子油、ペパーミント油、米糠油、紅花油、ごま油、シアバター、大豆油、ひまわり油、植物油水素化、クルミ油およびスイカ種子油から選択されてもよい。他の油脂としては、魚油(オメガ3)、オキアミ油、ガーリック油、動物性または植物性脂肪、例えば、それらの水素化形態、遊離脂肪酸およびC8-、C10-、C12-、C14-、C16-、C18-、C20-およびC22-脂肪酸とのモノ、ジおよびトリグリセリド、EPAおよびDHA3およびそれらの組み合わせなどの脂肪酸エステルを、これらに限定されないが、含んでもよい。
【0065】
特定の実施形態によれば、活性剤には、これらに限定されないが、スタチン(例えば、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、およびピタバスタチン)、フィブラート(例えば、クロフィブラート、シプロフィブラート、ベザフィブラート、フェノフィブラート、およびゲムフィブロジル)、ナイアシン、胆汁酸封鎖剤、エゼチミブ、ロミタピド、フィトステロール、ならびにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物およびプロドラッグ、前述のいずれかの混合物、ならびに同様のものが挙げられる。
【0066】
適切な栄養補助食品活性剤としては、5-ヒドロキシトリプトファン、アセチルL-カルニチン、αリポ酸、αケトグルタル酸塩、蜂産物、塩酸ベタイン、牛軟骨、カフェイン、ミリストレイン酸セチル、炭、キトサン、コリン、コンドロイチン硫酸、コエンザイムQ10、コラーゲン、コロストラム、クレアチン、シアノコバラミン(ビタミン812)、ジメチルアミノエタノールフマル酸、二酸化ゲルマニウム、腺製品、グルコサミン塩酸塩、グルコサミン硫酸塩、ヒドロキシルメチルブチレート、免疫グロブリン、乳酸、L-カルニチン、肝臓製品、リンゴ酸、無水マルトース、マンノース(d-マンノース)、メチルスルフォニルメタン、フィトステロール、ピコリン酸、ピルビン酸、紅麹エキス、S-アデノシルメチオニン、セレン酵母、鮫軟骨、テオブロミン、硫酸バナジル、酵母が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
好適な栄養補助剤活性剤としては、ビタミン、ミネラル、繊維、脂肪酸、アミノ酸、ハーブサプリメントまたはそれらの組合せを含んでもよい。
【0068】
好適なビタミン活性剤としては、これらに限定されるものではないが、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンB群、ビオチン、脂溶性ビタミン、葉酸、ヒドロキシクエン酸、イノシトール、ミネラルアスコルベート、混合トコフェロール、ナイアシン(ビタミンB3)、オロチン酸、パラ-アミノ安息香酸、パントテン酸塩、パントテン酸(ビタミンB5)、塩酸ピリドキシン(ビタミンB6)、リボフラビン(ビタミンB2)、合成ビタミン、チアミン(ビタミンB1)、トコトリエノール、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンK、ビタミン油、油溶性ビタミンを含んでもよい。
【0069】
好適なハーブサプリメント活性剤としては、これらに限定されるものではないが、アルニカ、ビルベリー、ブラックコホシュ、キャッツクロー、カモミール、エキナセア、月見草オイル、フェヌグリーク、フラックスシード、フィーバーフュー、ガーリックオイル、ジンジャールート、ギンコビロバ、ジンセン、ゴールデンロッド、ホーソン、カバカバ、リコリス、ミルクシスル、サイリウム、ラウオウルフィア、センナ、大豆、セントジョンズワート、そーパルメット、ターメリック、バレリアンを含んでもよい。
【0070】
ミネラル活性剤としては、これらに限定されるものではないが、ホウ素、カルシウム、キレートミネラル、塩化物、クロム、被覆ミネラル、コバルト、銅、ドロマイト、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、ミネラルプレミックス、ミネラル製品、モリブデン、リン、カリウム、セレン、ナトリウム、バナジウム、リンゴ酸、ピルベート、亜鉛および他のミネラルを含んでもよい。
【0071】
他の可能な活性剤の例としては、これらに限定されないが、抗ヒスタミン剤(例えば、ラニチジン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンおよびマレイン酸デクスクロルフェニラミン)、非ステロイド性抗炎症剤(例えば、アスピリン、セレコキシブ、Cox-2阻害剤、ジクロフェナク、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラムプロフェン、ムロプロフェン、トリオキサプロフェン、スプロフェン、アミノプロフェン、フルプロ、ブクロク酸.インドメタシン、スリンダク、ゾメピラク、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザック、クリダナク、オクスピナク、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、トルフェナム酸、ジフルリザール、フルフェニサル、ピロキシカム、スドキシカム、イソキシカム、アセクロフェナム、ロキシプリン、アザプロパゾン、ベノリレート、ブロムフェナック、カルプロフェン、サリチル酸コリンマグネシウム、ジフルニサル、エトドラク、エトリコキシブ、フェイスラミン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロクソプロフェン、メロキシカム、メフェナム酸、メタミゾール、サリチル酸メチル、サリチル酸マグネシウム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、オキシフェンブタゾン、パレコキシブ、フェニルブタゾン、サリチル酸サルシン、スリンダック、サルフィンピラゾン、テノキシカム、ティアプロフェン酸、トルメチン。それらの薬学的に許容される塩およびそれらの混合物)およびアセトアミノフェン、制吐剤(例えば、メトクロプラミド、メチルナルトレキソン)、抗てんかん薬(例えば、フェニロイン、メプロブメイト、ニトラゼパム)、血管拡張薬(例えば、ニフェジピン、パパベリン、ジルチアゼム、ニカルジピン)、鎮咳去痰薬(リン酸コデインなど)、抗喘息薬(テオフィリンなど)、制酸薬、抗痙攣薬(アトロピン、スコポラミンなど)、糖尿病薬(例:.インスリン)、利尿剤(例:エタクリン酸、ベンドロフチアジド)、抗低血圧剤(例:プロプラノロール、クロニジン)、抗高血圧剤(例えば、クロニジン、メチルドパ)、気管支拡張剤(例えば、アルブテロール)、ステロイド(例:ヒドロコルチゾン、トリアムシノロン、プレドニン)、抗生物質(例えば、テトラサイクリン)、抗痔薬、催眠薬、向精神薬、止瀉薬、粘液溶解薬、鎮静薬、鼻づまり薬(例:シュードエフェドリン)、下剤、ビタミン、興奮剤(フェニルプロパノールアミンなどの食欲抑制剤を含む)およびカンナビノイド、ならびにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグを含んでもよい。
【0072】
また、活性剤は、これらに限定されないが、ベンゾジアゼピン、バルビツール酸、覚せい剤、またはそれらの混合物であってもよい。用語「ベンゾジアゼピン」は、中枢神経系を抑制することができるベンゾジアゼピンおよびベンゾジアゼピンの誘導体である薬物を指す。ベンゾジアゼピンには、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロルジアゼポキシド、クロラゼペート、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ケタゾラム、ロラゼパム、ニトラゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、ならびにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグおよび混合物(ただし、それだけにとどまらない。活性剤として使用できるベンゾジアゼピン拮抗薬には、フルマゼニル、ならびにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物および混合物を含んでもよい。
【0073】
用語「バルビツレート」は、これらに限定されないが、バルビツール酸(2、4、6、-トリオキソヘキサヒドロピリミジン)から得られる鎮静・催眠剤を指す。バルビツール酸塩には、アモバルビタール、アプロバルボタール、ブタバルビタール、メトヘキシタール、メホバルビタール、メタルビタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、スコバルビタールと、それらの薬学的に許容できる塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグおよび混合物があるがそれらに限定はされていない。活性剤として使用できるバルビツール酸拮抗薬には、アンフェタミン、ならびにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物および混合物を含んでもよい。
【0074】
用語「刺激剤」は、これらに限定されないが、デキストロアンフェタミン樹脂複合体、デキストロアンフェタミン、メタンフェタミン、メチルフェニデートなどのアンフェタミン、ならびにそれらの薬学的に許容できる塩、水和物、および溶媒和物および混合物も含めるが、これらに限定しない。活性剤として使用できる覚醒剤拮抗薬には、ベンゾジアゼピン、ならびにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物および混合物を含んでもよい。
【0075】
充填組成物から活性医薬成分を分離および精製することを困難にすることなどにより、ある程度の乱用抑止を与えることができるので、本発明は乱用感受性活性医薬成分の送達に適する。本発明の充填組成物は、APIの制御放出送達にも適しており、また、好ましくは長時間(約2時間~約24時間など)にわたって比較的少量で対象物に放出される高力価のAPIにも適している。
【0076】
APIは、制御放出充填組成物の総重量を基準として、約5wt%~約60wt%の量で制御放出充填組成物中に存在するのが好ましい。より好ましくは、APIは、制御放出充填組成物の総重量に基づいて、約10重量%~約30重量%の量で、制御放出充填組成物中に存在する。
【0077】
特定の実施形態では、API(または活性剤)は、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%の量で、制御放出充填組成物中に存在する。制御放出充填組成物の総重量を基準として、約35wt%、約40wt%、約45wt%、約50wt%、約55wt%、または約60wt%までとする。特定の実施形態では、API(または活性剤)は、制御放出充填組成物の総重量に基づいて、約12wt%~約18wt%、約19wt%~約25wt%、約24wt%~約32wt%、約4wt%~約10wt%、または約25wt%~約42wt%の量において、制御放出充填組成物に存在する。本明細書に記載の活性剤の濃度範囲は、単一のAPIの濃度(充填組成物中のAPIの数に関係なく)または充填組成物中の全てのAPIの累積濃度(複数のAPIが充填組成物中に存在する場合)を指すことがある。同様に、API(複数可)の濃度は、医薬成分ではない活性剤、例えば、限定はしないが、栄養補助食品および上記のような他の活性剤に適用可能である。
【0078】
制御放出充填組成物中のポリエチレンオキシド(PEO)は、約0.05百万ダルトン~約15百万ダルトン、より好ましくは約500千ダルトン~約10百万ダルトン、最も好ましくは約1百万ダルトン~約8百万ダルトンの数平均分子値を有する。実施形態において、利用され得るPEOは、約0.05M、約0.5Mダルトン、約1Mダルトン、約2Mダルトン、約3Mダルトン、または約4Mダルトンのいずれか1つ~約5M約、約7Mダルトン、約10Mダルトン、約12Mダルトン、約15Mダルトン、または約20Mダルトンのいずれか、またはそれらの任意のサブレンジもしくは単一値までの範囲の数平均分子量を有する。一実施形態では、制御放出充填組成物中のポリエチレンオキシドの数平均分子量は、約0.05Mダルトン~約15Mダルトンまでの範囲である。一実施形態では、制御放出充填組成物中のポリエチレンオキシドの数平均分子量は、約1Mダルトン~約10Mダルトンの範囲である。一実施形態では、制御放出充填組成物中のポリエチレンオキシドの数平均分子量は、約1Mダルトン~約8Mダルトンの範囲である。一実施形態では、制御放出充填組成物中のポリエチレンオキシドの数平均分子量は、約2Mダルトン~約5Mダルトンの範囲である。
【0079】
PEOは、制御放出充填組成物の総重量を基準として、少なくとも21.5wt%の量で制御放出充填組成物中に採用される。代替の実施形態では、PEOは、制御放出充填組成物の総重量に基づいて、約10重量%~約65重量%の量で、制御放出充填組成物中に存在する。最も好ましくは、PEOは、制御放出充填組成物の総重量に基づいて、約25重量%~約40重量%の量で、制御放出充填組成物中に存在する。
【0080】
実施形態では、PEOは、少なくとも約8重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約18重量%、または少なくとも約20重量%、または制御放出充填組成物の総重量に基づいて、約25重量%まで、約35重量%まで、約45重量%まで、約55重量%まで、または約65重量%まで、制御放出充填組成物の総重量に基づく、その中の任意の下位範囲で含まれる。特定の実施形態では、制御放出充填組成物は、約8重量%~約15重量%、約16重量%~約20重量%、約22重量%~約28重量%、約15重量制御放出充填組成物の総重量に基づき、約10wt%~約35wt%、または約11wt%~約40.5wt%のPEOを含む。
【0081】
代替実施形態では、水および/または親水性担体が、制御放出充填組成物の総重量に基づいて、最大65重量%の量で存在する場合、PEOは任意の適切な量で制御放出充填組成物中に存在し得る。この実施形態では、水および/または親水性担体の最小量は、任意に、制御放出充填組成物の総重量に基づいて、少なくとも約30重量%、または少なくとも約40重量%、または少なくとも約55重量%であり得る。これらの代替実施形態では、制御放出充填組成物中のPEOの量は、制御放出充填組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約35重量%、または約20重量%であり得る。
【0082】
特定の実施形態では、PEOと水および/または親水性担体とは、PEOと水および/または親水性担体との重量比(個別または累積)が、約10:1~約1:10、約8:1~約1:8、約5:1~約1:5、約3:1~約1::3、約2:1~約1:2、約10:1~約1:3、約8:1~約1:3、約5:1~約1:3、約3:1~約1:3、約2:1~約1:3、約1:1~約1:1:~約3、約10:1~約1:2、約8:1~約1:2、約5:1~約1:2、約3:1~約1:2、約1:1~約1:2、またはその中の任意のサブ範囲もしくは単一の重量比値。一実施形態では、水および/または親水性担体に対するPEOの重量比(個別または累積)は、約2:1~約1:2の範囲である。一実施形態では、水および/または親水性担体に対するPEOの重量比(個別または累積)は、約3:1~1:3までの範囲である。
【0083】
適切なポリエチレンオキシドは、典型的には非イオン性、高分子量、水溶性のポリエチレンオキシド樹脂である。このタイプの例示的なPEO樹脂は、DuPont Pharma Solutionsから入手可能なPolyox(商標)水溶性樹脂である。これらのPEO樹脂は、通常、増粘剤およびレオロジーコントロール剤として使用される。本発明において、これらの水溶性PEO樹脂は、ソフトゲルカプセルおよび/またはハードカプセルおよび/またはカプセル充填組成物からのAPIの放出を変更または制御するために採用され得る。PEO樹脂はまた、充填組成物中に含まれるAPIの乱用を抑止するために充填組成物中に採用され得る。
【0084】
PEOと充填組成物の他の成分(APIまたは他の制御放出材料など、存在する場合)の比率は、APIの目標放出プロファイルを達成するように調整され得る。特定の実施形態では、PEOとAPIのwt:wt比は、約10:1~約1:10、約8:1~約1:8、約5:1~約1:5、約3:1~約1:3、または約1:1の範囲であり得る。
【0085】
特定の実施形態では、充填組成物中の親水性担体は、約50ダルトン~約7000ダルトン、約200ダルトン~5000ダルトン、より好ましくは、親水性担体の数平均分子量は約300ダルトン~約3000ダルトン、最も好ましくは親水性担体の数平均分子量は約400ダルトン~約1500ダルトンである数平均分子量有する。特定の実施形態では、親水性担体は、200ダルトン未満である数平均分子量を有する化合物を含み得る。
【0086】
好適な親水性担体の例は、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、例えばソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリオキシエチレン20ソルビタントリオレート(ポリソルベート85)、およびポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレンリコール、酢酸、ギ酸、その他の親水性界面活性剤およびこれらの混合物などの他の親水性担体等を含む親水性溶媒である。
【0087】
親水性担体は、好ましくは、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールから選択される。加えて、またはこれらの親水性担体の代替として、本明細書に記載の充填組成物に水を添加することもできる。最も好ましくは、親水性担体はポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコールは、典型的には、300~7000g/molの数平均分子量を有するであろう。本明細書で使用する「高分子量ポリエチレングリコール」という用語は、1500ダルトンより高い数平均分子量、例えば1500ダルトン~7000ダルトンを有するポリエチレングリコールをいう。異なる分子量を有する2つ以上のポリエチレングリコールの組み合わせも採用することができる。ポリプロピレングリコールは、液体充填組成物の粘度低下が必要な場合に、親水性担体の好ましい追加成分である。
【0088】
一実施形態では、水および/または親水性担体は、制御放出充填組成物の総重量を基準として、最大65wt%の量で制御放出充填組成物に含まれる。別の実施形態では、水および/または親水性担体は、制御放出充填組成物の総重量に基づいて、約10重量%~約75重量%、または30重量%~約70重量%の量で制御放出充填組成物に含有される。好ましくは、水および/または親水性担体は、制御放出充填組成物の総重量に基づいて、約40重量%~約60重量%の量で、制御放出充填組成物中に含まれる。
【0089】
特定の実施形態では、水および/または親水性担体は、制御放出充填組成物の総重量に基づいて、0重量%以上、少なくとも約15重量%以上、または少なくとも約30重量%~約45重量%まで、約60重量%まで、約70重量%まで、または約80重量%までの量で制御放出充填組成物に含まれる。特定の実施形態では、制御放出充填組成物は、約5重量%~約15重量%、約15重量%~約28重量%、約20重量%~約32重量%、約20重量%~約42重量%、約22wt%~約45wt%、約40wt%~約45重量%、約40重量%~約55重量%、約35重量%~約55重量%、約56重量%~約77重量%、約40重量%~約79重量%、または約29重量%~約66重量%の水および/または親水性担体が挙げられ、制御放出充填組成物の総重量に基づく。本明細書に記載の親水性担体の濃度範囲は、単一の親水性担体材料の濃度(充填組成物中の親水性担体材料の数に関係なく)または充填組成物中の全ての親水性担体材料の累積濃度(複数の親水性担体材料が充填組成物中に存在する場合)を指すことがある。
【0090】
別の実施形態では、親水性担体は、ポリエチレンオキシドが、制御放出充填組成物の総重量に基づいて、制御放出充填組成物の少なくとも21.5重量%の量で存在する限り、任意の量で制御放出充填組成物中に存在し得る。この実施形態では、親水性担体は、典型的には、制御放出充填組成物の総重量に基づいて、最大65重量%、または10重量%~65重量%、または30重量%~60重量%、または30重量%~55重量%までの量で存在する。親水性担体は、液体充填組成物の他の成分を液体中に溶解、分散および/または懸濁するために使用され、また、液体充填組成物の粘度をカプセル化工程のための所望の粘度に調整する機能を果たし得る。
【0091】
液体充填組成物は、カプセルの充填(またはカプセル化)時に1000cP~100,000cP、または5,000cP~80,000cP、または10,000cP~60,000cPの範囲の粘度を有する場合がある。液体充填組成物の粘度は、40mmの平板形状を備えたHAAKE RheoStress 600レオメーターを用いて、20℃で測定した。ジオメトリーは、2mmのギャップ設定で、1Hzで振動した。
【0092】
本明細書に記載の充填組成物は、剤形からのAPIの放出を制御する能力を提供する。PEO量および/またはPEO成分の分子量は、カプセルからのAPIの放出速度を最適化するように調整することができる。
【0093】
処理中に充填組成物が液体であることの重要な利点は、一般に剤形の製造工程全体にわたって粉末の取り扱いを必要とする錠剤剤形とは対照的に、最初の混合工程を除いて、剤形の製造工程で粉末を取り扱う必要性をなくすことである。さらに、本明細書に記載の液体充填組成物の処理は、処理を容易にするために流動性向上剤または加工性向上剤を含む必要性を低減または排除することができる。同様に、充填組成物が周囲温度で液体であることを考慮すると、カプセル化の前にそれらを加熱する必要はなく、その加熱は、特定のソフトゲルカプセルのシェル組成物において利用されるような熱感受性材料に有害となり得る。カプセル化のために液体充填物を提供する能力は、制御放出剤形を提供するためのソフトゲルおよびハードシェルカプセルの使用を可能にする。
【0094】
別の実施形態は、上記の充填組成物を含むカプセルに関するものである。これらのカプセルは、ソフトゲルカプセル、ソフトカプセル、またはハードカプセルであり得る。ソフトカプセルの場合、任意のサイズのカプセルを採用することができる。一実施形態では、ソフトゲルゼラチンカプセルは、本明細書に記載の充填組成物のいずれかをカプセル化する。
【0095】
乾燥シェルは、充填されたソフトカプセルの総重量を基準として、約30重量%~約60重量%を占める。この場合、放出制御充填組成物は、充填されたソフトカプセルの総重量に基づいて、約40重量%~約70重量%を占める。
【0096】
ハードカプセルの場合、カプセルシェルは、充填されたハードカプセルの総重量に基づいて、最大で約10重量%を占める。この場合、制御放出充填組成物は、充填されたハードカプセルの総重量に基づいて、最大で約90重量%を占める。ハードカプセルは、カプセル化中に液体充填組成物がカプセルから漏れるのを防ぐために、当該技術分野で知られている従来のハードカプセルシール方法を用いてシールされる。
【0097】
ソフトゲルカプセルは、ゼラチンを含むことができるが、ゼラチンベースのカプセルである必要はない。他の適切な、従来のソフトゲルカプセルも採用することができる。非ゼラチンソフトカプセルの利点は、例えば高分子量の親水性賦形剤を含むような高粘度充填物の使用を可能にする充填組成物が十分に流動性であることを確実にするために、カプセル化工程において70℃までの高いカプセル化温度を採用することができることにある。
【0098】
ハードシェルカプセルは、70℃までの高いカプセル化温度の使用を可能にするため、カプセル化工程において同様の柔軟性を提供する。
【0099】
PEOの融点(約50℃)を超える加熱を許容する非ゼラチンソフトカプセルまたはハードカプセルの場合、カプセル化後に液体充填物をPEOの融点以上まで加熱してPEOを溶かし、溶けた充填組成物の冷却および固化によって所望の実質的に均質な制御放出充填組成物を形成できる。この溶融工程の結果、より均一な充填組成物がカプセル内のその場で形成される。充填組成物のこの均一性は、この溶融工程の間、可塑剤としても機能し得る親水性担体の存在によって促進される。
【0100】
液体充填組成物の主要速度制御成分としてポリエチレンオキシドを使用することの重要な利点は、それが他の速度制御ポリマーほど粘着性や粘着性がない傾向があり、それによってカプセル化プロセスを促進し、より均一な充填組成物を確保することができる。他の追加の速度制御ポリマーを採用することもできるが、このような速度制御ポリマーの量は、この粘着性や粘着性がカプセル化プロセス中に問題を引き起こし、劣った製品につながることを防ぐために慎重に選択しなければならない。
【0101】
好ましくは、制御放出充填組成物からのAPI放出速度は、APIの80%未満が0.5時間、500mlの生物学的、人工的、または模擬胃液、例えば0.1N HClおよび/または生物学的、人工的、または模擬腸液、例えばpH6.8のリン酸緩衝液および/または水中、37℃で100RPMのパドル速度を用いたUSP装置IIによる繊維光学溶解試験においてである。より好ましくは、放出制御カプセルからのAPI放出速度は、USP装置IIを用いて、0.1N HClなどの生体、人工、または模擬胃液および/またはpH6.8のリン酸緩衝液および/または水などの生体、人工、または模擬腸液500ml中37℃で100RPMのパドル速度で繊維光学溶解試験で1時間後に80%未満のAPIを放出するほどである。充填組成物は、ソフトゲルであれハードであれ、カプセルシェルから独立した速度制御組成物である。特定の実施形態では、制御放出充填組成物は、1時間でAPIの約10重量%~約30重量%、2時間でAPIの約15重量%~約50重量%、4時間でAPIの約20重量%~約80重量%、8時間でAPIの約40wt%~約95wt%、12時間でAPIの約65wt%~約100wt%、および24時間で90wt%を越えて放出する、各場合、USP装置II(パドル)を用いた光ファイバー溶解試験において、37℃、100RPMで500mlの0.1N HClなどの生体、人工、または模擬胃液および/またはpH6.8などの生体、人工、または模擬腸液中、たとえばリン酸緩衝液および/または水で測定したものである。
【0102】
充填組成物は、界面活性剤(複数可)、可塑剤(複数可)、およびPEO以外の1つまたはそれ以上のAPI放出速度制御ポリマーを含む1つまたはそれ以上の任意の成分を含んでいてもよい。充填組成物に含まれ得る任意の追加のAPI放出速度制御ポリマーは、好ましくは、以下の一つまたはそれ以上のものから選択される、セルロース誘導体(例えば、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはそれらの組み合わせ)、キトサン、カルナバロウ、カルボマー、多糖類、ガム(例えば、アカシア、ペクチン、寒天、トラガカント、グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、タラガム、カラヤ、ジェランガム、ウェランガム、ラムサンガム、またはこれらの組み合わせ)、またはこれらの組み合わせ。
【0103】
任意の界面活性剤の例としては、ポリオキシル40水添ヒマシ油、カプリロカプロイルマクロゴール-8グリセリド、グリセロール、マクロゴールグリセロールヒドロキシステアレート、クレモフォー(登録商標)RH40、マクロゴールグリセロールリシノレート、Cremophor(登録商標)EL、グリセロールモノオレート40、ペセオール(登録商標)、マクロゴールグリセロールリノールレート、ラブラフィルM2125 CS、モノラウリン酸プロピレンFCC.ラウログリコールFCC、ポリグリセリン-6-ジオレイン酸、ポリグリセリン-3-ジオレイン酸、プルロール(登録商標)オレイク、モノカプリル酸プロピレングリコール、カプリオール(登録商標)90、ソルビタンモノラウレート、スパン(登録商標)20、ソルビタンモノオレエート、スパン(登録商標)80、ビタミンE-ポリエチレングリコールサクシネート、Labrasol(登録商標)、マクロゴール-32-グリセロール-ラウレート、ゲルサイア44/14、グリセリルモノカプレート/カプリレート、キャップミュールMCMおよびこれらの混合物を含む。
【0104】
任意追加のAPI放出制御ポリマーは、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースなどのようなセルロース誘導体、生物学的ガムおよび他のゲル化剤などを含み得る。生物学的ガムは、アカシア、ペクチン、寒天、トラガカント、グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、タラガム、カラヤ、ジェランガム、ウェランガム、およびラムサンガムから選択されてもよく、他のゲル化剤にはペクチン、でんぷん、カルボマー、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン、カラギーナン、コラーゲン、デキストラン、スクシノグルコン、およびポリビニールアルコール粘土が挙げられる。
【0105】
別の実施形態は、ポリエチレンオキシド樹脂を含む制御放出充填組成物を含む制御放出ソフトゲルカプセルを製造する方法に関するものである。このプロセスは、カプセルシェル材料の融点が比較的低いために高いカプセル化温度に適合しないソフトゲルカプセルに対応するように設計されている。例えば、ゼラチンベースのソフトゲルは、カプセル化時のカプセルシェル材料の水分量にある程度依存するが、33~45℃の温度で融解し始めることがある。このような融解温度の低いカプセルシェル材料については、より低い温度で液体充填組成物をカプセルに充填する方法が考案されている。この方法の大きな利点は、最終的にカプセル化された高粘度の液体、半固体または固体充填組成物を提供するために使用できることである。この方法では、カプセル化後に実施される加熱工程の結果として、固形溶液または半固形充填物がカプセル内でその場で形成される。
【0106】
この方法では、溶液ではなく、懸濁液や分散液が採用され得る。ソフトゲルカプセルシェルは、典型的には、カプセル化工程の完了時に、カプセルシェルの総重量に基づいて、最大20重量%の量の水を含むであろう。カプセル化およびその後の乾燥工程の間、カプセルシェル中の水の大部分、すなわち最大約70%が充填組成物に移行し、PEOのような充填組成物の懸濁液/分散液内の固体成分をその場で可溶化し、所望の溶液を形成する。この方法では、充填組成物内の固体成分(例えば、PEO)の可溶化がその場で行われる。カプセル化前の充填組成物中の含水率は十分に低く、カプセル化および乾燥工程の前に充填組成物の構成成分の少なくとも一部(PEOなど)の可溶化を制限または回避することができる。充填組成物内の特定の成分の早すぎる可溶化(すなわち、カプセル化および乾燥の前)は、充填組成物の粘度を増加させ、加工性を阻害する可能性がある。典型的には、最初の充填組成物は、充填組成物の総重量に基づいて、約2重量%~約10重量%の含水量を有し、カプセル化前の充填組成物のPEO成分の早期可溶化を回避する。充填組成物のカプセル化後、ソフトゲルカプセルシェルからの水の一部が充填組成物に移行し、通常、カプセル化された充填組成物の総重量に基づいて、充填組成物の含水率を約15重量%~約20重量%に高め、それによってカプセル化充填組成物中のPEOの可溶化が引き起こされる。その後の乾燥中に、カプセル化された充填組成物の含水量が、カプセル化され乾燥された充填組成物の総重量に基づいて、10重量%未満になるまで、水が徐々に除去される。最終加熱工程(アニール工程とも呼ばれる)の後、最終カプセル化充填組成物の含水率は、最終カプセル化充填組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約8重量%にさらに減少する。最終的なカプセル化充填組成物は、親水性担体中にPEOの固溶体を形成する。
【0107】
固溶体をその場で形成するこのプロセスは、粉末充填カプセルまたは他の固体剤形とは異なり、充填組成物中のAPIのより均一な分布を提供するので重要である。APIの均一な分布は、高力価および/または低用量のAPIの送達にとって重要な特性であり、そのようなAPIは、過剰投与または過小投与を避けるために、時間にわたって比較的一定の速度で送達されるべきであるからである。特定の実施形態では、充填組成物中のAPIの均一な分布は、制御放出充填組成物からのAPIのゼロオーダー放出(ここで、APIは、例えば、約2時間~約12時間、または約2時間~約24時間のように、時間にわたって比較的一定の速度で送達される)を可能にする。
【0108】
図1は、カプセルを製造するこの方法で使用する工程および材料の流れ
図100を示す。この方法では、充填組成物102は、充填組成物102を混合することができるように当技術分野で知られている任意の適切な装置を使用して、混合工程104で混合される。充填組成物102は、少なくとも医薬品有効成分(API)106、ポリエチレンオキシド108、および、任意に1つまたはそれ以上の追加のAPI放出速度制御ポリマー110、ならびに水および/または親水性担体112を含む。充填組成物102は、不活性成分などの他の追加成分114(例えば、薬学的に許容される賦形剤)、および当該技術分野で知られている充填組成物に使用するための界面活性剤(複数可)および可塑剤(複数可)などの他の適切な成分も含み得る。
【0109】
API106は、当該技術分野で知られているように、単一成分または1つ以上のAPIの混合物であることができる医薬成分であり得る。好ましくは、API106は、Biopharmaceutics Classification System Classes I、II、III、またはIVのうちの1つに分類されるAPIから選択される。特定の実施形態では、ビタミン、ミネラル、またはサプリメントなどの栄養補助食品が、API106の代わりに、またはAPI106に加えて、含まれる。一実施形態では、APIは、乱用されにくい薬物である。API106は、好ましくは、充填組成物102の総重量を基準として、約5重量%~約60重量%の量で充填組成物102に混合される。より好ましくは、API106は、充填組成物102の総重量に基づいて、約5重量%~約40重量%、または約10重量%~約30重量%の量で、充填組成物102に混合される。
【0110】
ポリエチレンオキシド108は、約0.05Mダルトン~約15Mダルトン、より好ましくは約0.5Mダルトン~約10Mダルトン、最も好ましくは約100万ダルトン~約800万ダルトンの数平均分子量を有することがある。方法の一実施形態では、ポリエチレンオキシド108は、充填組成物102の総重量に基づいて、少なくとも21.5wt%の量で充填組成物102に混合される。別の実施形態では、ポリエチレンオキシド108は、充填組成物102の総重量に基づいて、約10重量%~約65重量%の量で充填組成物102に混合され、最も好ましくはポリエチレンオキシド108は充填組成物102の総重量に基づいて、約25重量%~約40重量%の量で、充填組成物102に混合される。
【0111】
この方法の別の実施形態では、親水性担体112が充填組成物102の総重量に基づいて最大65重量%の量で存在する限り、ポリエチレンオキシド108は任意の量で充填組成物102に混合することができる。この実施形態では、親水性担体112の最小量は、任意に、充填組成物102の総重量に基づいて、少なくとも55重量%であってもよい。この実施形態では、親水性担体112の最小量は、充填組成物102の総重量に基づいて、任意に、少なくとも約30重量%、または少なくとも約40重量%、または少なくとも約55重量%であってもよい。この代替実施形態では、PEO108の量は、約5重量%~約35重量%、または約20重量%であり得る。
【0112】
充填組成物102に混合される親水性担体112は、50ダルトン~7000ダルトン、200ダルトン~5000ダルトン、より好ましくは、親水性担体112の数平均分子量は約300ダルトン~約3000ダルトン、最も好ましくは親水性担体112の数平均分子量は約400ダルトン~約1500ダルトンであることがある。特定の実施形態では、親水性担体112は、200ダルトンより低い数平均分子量を有することができる。
【0113】
親水性担体112は、好ましくは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、または他の既知の親水性溶媒から選択される。最も好ましくは、水および/または親水性担体112は、ポリエチレングリコールである。水および/または親水性担体112は、充填組成物102の総重量に基づいて、65重量%までの量で、充填組成物102に混合される。代替実施形態では、水および/または親水性担体112は、充填組成物102の総重量に基づいて、約30重量%~約70重量%の量で、充填組成物102に混合される。好ましくは、水および/または親水性担体112は、充填組成物102の総重量に基づいて、約40重量%~約60重量%の量で、充填組成物102に混合される。
【0114】
さらに別の実施形態では、水および/または親水性担体112は、ポリエチレンオキシド108が、充填組成物102の総重量に基づいて、少なくとも21.5重量%の量で存在する場合に、任意の量で充填組成物102に存在し得る。
【0115】
特定の実施形態では、ポリエチレンオキシド108と水および/または親水性担体112とは、PEO108と水および/または親水性担体112との重量比(個別または累積)が、約10:1~約1:10、約8:1~約1:8、約5:1~約1:5、約3.1~約1:3、約2:1~約1:2、約10:1~約1:3、約8:1~約1:3、約5:1~約1:3、約3:1~約1:3、約2:1~約1:3、約1:1~約1:~約3、約10:1~約1:2、約8:1~約1:2、約5:1~約1:2、約3:1~約1:2、約1:1~約1:2、またはその中の任意のサブ範囲もしくは単一の重量比値。一実施形態では、充填組成物102における、水および/または親水性担体112に対するPEO108の重量比(個別または累積)は、約2:1~約1:2の範囲である。一実施形態では、充填組成物102中の、水および/または親水性担体112(個々にまたは累積的に)に対するPEO108の重量比は、約3:1~1:3までの範囲である。
【0116】
充填組成物102に混合され得る1つまたはそれ以上の追加のAPI放出速度制御ポリマー110は、以下のポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロース誘導体、キトサン、カルナウバロウ、カルボマーおよび多糖類、または本明細書に記載の任意の他の放出速度制御ポリマー、またはそれらの組合せから1つまたはそれ以上選択可能である。充填組成物102を混合した後(工程104)、充填組成物102をカプセルシェルにカプセル化して(工程116)、カプセルを製造する。カプセル化する工程116の後、ソフトゲルカプセルは、好ましくは乾燥されるが(工程118)、この工程は任意である。特定の実施形態では、後続の加熱工程中に充填組成物中に移行するカプセルシェル中の水が、充填組成物をその場で可溶化する可溶化剤として機能するので、乾燥工程118が存在する場合、カプセルシェルからあまり多くの水を除去すべきではない。
【0117】
次に、ソフトゲルカプセルは、約10分~約180分の期間、約40℃~約80℃の温度まで加熱される(工程120)。より好ましくは、ソフトゲルカプセルは、約45℃~約70℃の温度まで加熱される(工程120)。最も好ましくは、ソフトゲルカプセルは、約50℃~約60℃の温度まで加熱される(工程120)。より好ましくは、ソフトゲルカプセルは、約20分~120分の期間、最も好ましくは約30分~90分の期間、加熱される(工程120)。ソフトゲルカプセルが加熱された後(工程120)、最終カプセル122が形成される。この加熱工程(アニールまたは硬化とも呼ばれ得る)の目的は、加熱工程中にカプセルシェルから充填組成物に移行する水を用いて、懸濁液または分散液タイプの液体充填物内の粒子を可溶化することである。その結果、充填組成物は均質な溶液を形成し、冷却すると固化して、少なくとも部分的には制御放出特性を提供する充填組成物中の固体または半固体の均質な溶液を形成する。典型的には、加熱工程の開始時にカプセルシェル(例えば、ソフトゲルカプセルシェル)中の約10重量%~15重量%の水分含量を使用して、充填組成物溶液を形成するために充填組成物に十分な水の移行を提供する。カプセル化後にカプセルシェルの含水率が高すぎる場合、加熱(またはアニール)工程の前に、ソフトゲルカプセルシェルの所望の含水率に到達するための任意の乾燥工程を採用できる。
【0118】
この方法では、カプセルは、充填組成物を含むカプセル122を加熱する工程(工程120)を含む工程によって準備される。カプセル122によって示されるAPI放出プロファイルは、充填組成物中のPEO108の分子量および/または濃度の選択によって調整され得る。いくつかの実施形態では、API放出速度は、0.1N HClなどの生体、人工、または模擬胃液および/またはpH6.8リン酸緩衝液および/または水などの生体、人工、または模擬腸液500ml中にて37℃で100RPMのパドル速度を用いたUSP装置IIによる繊維光学溶解試験において0.5時間後に、10~80%のAPI106を放出するようになっている。より好ましくは、放出速度は、1時間後にAPIの20~100%未満が放出される、または6時間後にAPIの30~100%が放出される、または12時間後にAPIの50~100%が放出される、または18時間後にAPIの70~100%が放出される、または24時間後にAPIの80~100%が放出されるというように、すべて500mlの生物的、人工、または疑似胃液、例えば0.8N塩酸、および/または水、37℃で100回転のパドルスピードを使用してUSP装置IIを用いて繊維顕微鏡溶解試験において決定することができる。1N HClおよび/またはpH6.8リン酸緩衝液および/または水などの生物学的、人工的、または模擬腸液。
【0119】
特定の実施形態において、この方法は、約10wt%~約30wt%を放出する制御放出充填組成物をカプセル化するカプセルを提供する。時間後にAPIの約10wt%~約30wt%、2時間後にAPIの約15wt%~約50wt%、4時間後にAPIの約20wt%~約80wt%、8時間後にAPIの約40wt%~約95wt%、12時間後にAPIの約65wt%~約100wt%、および24時間後に90wt%を超えるAPIを放出する制御放出充填組成物をカプセル化する、各場合において、500mlの0.1N HClなどの生体、人工、または模擬胃液および/またはpH6.8のリン酸緩衝液および/または水などの生体、人工、または模擬腸液中で37℃、100RPMでUSP装置II(パドル)を用いた光ファイバ溶解試験でインビトロ測定した。
【0120】
本発明の方法は加熱工程120の前にカプセル122を乾燥(工程118)というオプション工程を含み得る。乾燥工程118は、温和な温度および湿度(20~35℃および10~50%または20~40%または30%の相対湿度)条件下で、24~240時間の時間、20~30℃の温度で実施されてよい。
【0121】
特定の実施形態において、即時開示はまた、それを必要としている対象に、ここに記載のカプセルのいずれかを投与すること、を含む状態を治療する方法に向けられる。用語「状態」または「状態」は、有効量の活性医薬成分の対象への投与によって治療または予防することができるそれらの医学的状態を指す。
【0122】
特定の実施形態において、即時開示は、制御放出充填組成物の溶解プロファイルを調整するための方法を対象としており、前記方法は、APIの目標溶解プロファイルを達成するためにi)~v)の少なくとも1つを調整し、i)制御放出充填組成物のポリエチレンオキシドの数平均分子量と、ii)制御放出充填組成物のポリエチレンオキシドの濃度と、iii)制御放出充填組成物の水または親水性担体含有量と、iv)アニール温度と、v)アニール時間と、を含む。
【0123】
以下の実施例は、本開示を例示するものであるが、限定するものではない。当該分野で通常遭遇する様々な条件およびパラメータであって、当業者にとって明らかな他の適切な修正および適応は、本開示の範囲内である。以下の実施例は、好ましい実施形態のいくつかにおける本開示の実践を例示する。
【0124】
実施例 実施例1~6 充填組成物の溶解プロファイル
以下の表1に記載されるように、試料1~12で使用される6つの(6)充填組成物の設計に、重複を伴う2x3完全要因実験計画(full factorial design of experiment)が利用された。組成物の変動性を評価できるように、組成物の各々を2回調製した。ジフェンヒドラミン塩酸塩は、充填組成物中の活性医薬成分のモデル薬物として使用された。「PEG 400」は数平均分子量400のポリエチレングリコールの略称、「PEO」はポリエチレンオキサイドの略称、「M」は「百万」の略称、「HCl」は塩化水素の略称、「Mn」は数平均分子量の略称。実施例1~12で使用したPEOはすべて非イオン性で水溶性であり、DuPont Pharma Solutionsから入手可能なPolyox(商標)製品であった。
【表1】
【0125】
表1に示す充填組成物を用いた試料1~12のジフェンヒドラミンカプセルは、以下のように調製した。まず、ジフェンヒドラミンHCl(DHP)を2mlの水に可溶化し、PEG400をPEOと混合して2成分を形成することにより、充填組成物を作製した。その後、DPH水溶液をPEG/PEO混合物に添加した。各Size 0のカプセルに0.55gの充填組成物を充填し、1カプセルあたり50mgのジフェンヒドラミンの投与量を提供した。次に、カプセルをオーブン中で60℃で1時間アニールした。
【0126】
溶解試験は、充填組成物を含むプレフィルドサイズ0ゼラチンハードシェルカプセルを使用して、USP装置IIを用いて、パドル速度50rpmおよび100rpmで、溶解媒体として500ml水中で37αで繊維光学溶解によって実施した。溶解試験に使用した充填組成物は、表2に示す。
【表2】
【0127】
表2に示す6種類の充填組成物の100RPMパドルスピードでの溶解プロファイルを
図2に示す。50RPMのパドル速度での表2に記載された6つの(6)充填組成物の溶解プロフィールを、
図3に示す。
【0128】
溶解プロファイルは、各充填組成物について50RPMおよび100RPMのパドル速度で類似しており、薬物放出機構が主に拡散によるものであることを示す。溶解結果は、より高い分子量のPEOおよびより高いPEO濃度がそれぞれ、より遅い薬物放出をもたらしたことを示す。0.1MのPEOから調製された充填組成物5および6は即時放出プロファイルを有していたが、他のすべての充填組成物は、
図2~3に示されるように可変の薬物放出速度を示した。
【0129】
Minitab16ソフトウェアパッケージは、収集された溶解データセットを分析するために使用された。薬物放出が90%に到達するまでの時間を従属変数として使用した。従属変数に対するPEO含有量およびPEO分子量の効果を、Minitab 16ソフトウェアパッケージのGeneral Linear Modelモジュールを用いて分析した。結果は、以下の表3-4-6に要約されている。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0130】
前述の表では、以下の略語を使用した:
DF-自由度。
Seq SS-モデルの異なる構成要素の変動の尺度である連続平方根和をいう。
Adj SS-項の調整済み平方和は,他の項だけを持つモデルと比較した回帰平方和の増加である。
AdjMS-調整済み平均平方和は,項またはモデルがどれだけの変動を説明するかを測定する。
F-F値は、モデルが現在のモデルの予測因子を含む高次項を欠いているかを決定するために使用する検定統計量。
P-確率.P<0.05は結果が有意であることを示し、それ以外は有意ではない。
N-データポイントの数。
【0131】
図4は、時間90%(時間)についての残差プロットを示す。
図4Aは正規確率プロット、
図4Bは対フィット、
図4Cはヒストグラム、
図4Dは対順位である。
図5は、リリース90%までの時間(時間)についての相互作用プロットである。
図6は、リリースまでの時間90%(時間)についての主効果プロットを示すグラフである。
【0132】
これらの統計分析に基づき、放出までの時間とPEO分子量および濃度との間に相互作用が存在する。PEO分子量が高いほど、そしてPEO濃度が高いほど、API放出は遅くなる。
【0133】
実施例7-PEOポリマー、高Mnポリエチレングリコール、およびHPMCポリマー即時放出組成物
PEO樹脂、高分子量ポリエチレングリコールおよび低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)に基づく即時放出組成物は、乱用抑止ソフトゲルカプセルへの潜在的用途について開発した。以下の表7に示す3つの(3)製剤を調製した。製剤13は、数平均分子量100,000DaのPEOおよびPEG3350を含む。製剤14は、PEOおよびHPMCを含有した。製剤15は、PEO、PEG3350、およびHPMCを含む。
【表7】
【0134】
サイズ0のジフェンヒドラミン(DPH)カプセルは、PEG400とPEOおよびPEG 3350および/またはHPMCを混合して調製した。DPHを水に可溶化し、DPH溶液をPEG/PEO混合物、またはHPMC/PEO混合物、またはPEO/PEG/HPMC混合物に添加した。各カプセルは、0.5gの充填混合物(1カプセルあたり25mgのジフェンヒドラミン)を充填した。最後に、カプセルをオーブン中で60℃で1時間アニールした。
【0135】
溶解研究のために、繊維光学的溶解を、USP装置IIを使用して、パドル速度100RPMで、溶解媒体として500mlの水中の37℃製剤13~15の溶解プロファイルを
図7に示す。
【0136】
製剤13~15は、即時放出剤形であることが示された。ジフェンヒドラミンの放出は、約1時間で、これらの製剤から100%に達した。製剤15は、3つの製剤の中で最も速い薬物放出速度を有していた。理論に縛られるわけではないが、これは製剤15中のPEG3350の量が多かったためと考えられる。
【0137】
実施例8~10制御放出PEOソフトゲルカプセル
種々の数平均分子量(900,000Da、5,000,000Daおよび7,000,000Da)のPEO樹脂からなる充填組成物を含むソフトゲルカプセルの3バッチの製造をソフトゲルカプセル封入機で行った。バッチ製造に使用した充填組成物を以下の表8~10に示す。
【表8】
【表9】
【表10】
【0138】
カプセル化後、ソフトゲルカプセルはアルミニウムバッグで5日間密封し、湿潤カプセルシェルから充填物に水分を移行するようにした。この水分移行は、充填物組成物中のPEOを可溶化し、ゲルを形成して持続放出プロファイルを提供するために利用された。5日後、各カプセルの充填物水分を試験し、その結果を以下の表11に示す。
【表11】
【0139】
充填水分は十分に高いが、結果はソフトゲルカプセル内のPEO樹脂粒子が完全に溶解していないことを示していた。理論に縛られることなく、PEG400が充填水分を束縛し、PEO樹脂粒子を完全に可溶化することができなくなったと思われる。そこで、ソフトゲルカプセルを60℃で1時間、オーブンでアニールし、PEO樹脂粒子を溶融・可溶化させた。
500mlの水溶媒を用い、37℃で50RPMと100RPMのパドルスピードでUSP装置IIを用いた光ファイバー溶解を行い、インビトロでの薬剤放出速度を評価した。異なる数平均分子量の3つの(3)PEO樹脂で調製したカプセルの比較溶解結果を、
図8~9に示す。
【0140】
100RPMのパドル速度では、900,000Daの数平均分子量を有するPEOを含むカプセルは、5,000,000または7,000,000Dの数平均分子量を有するPEOで調製したカプセルと比較して、より速い薬剤放出率を示した。5,000,000および7,000,000Daの数平均分子量を有するPEOで調製したカプセルは、同様の薬物放出速度を示した。50RPMでは、実施例8~10のカプセルの3つすべてについて、溶解プロファイルは類似していた。
【0141】
図10~15に示すように、ソフトカプセル化に使用したPEO樹脂および充填組成物について示差走査測色法(DSC)分析を実施した。青色の曲線は、1分間に10℃の初期加熱を表す。緑色の曲線は、1分間に10回の冷却を表している。赤色の曲線は、1分間に10回の加熱を行ったことを表している。3つのPEO樹脂は、最初の加熱サイクルで60℃以下の融解温度となった。理論にとらわれることなく、充填組成物のこの低い融解温度は、PEO樹脂に対するPEG400の可塑化効果に起因すると考えられる。DSC分析は、特定の充填組成物の適切な処理温度およびアニール温度を選択するために採用することができる。
【0142】
ポリエチレンオキシド樹脂に基づく制御放出ソフトゲル充填組成物は、実験計画に従って開発した。薬物放出速度に対するPEO濃度および分子量の影響を調べた。薬物放出速度は、PEOの分子量およびPEOポリマー濃度の両方によって有意に影響された。PEOの分子量またはPEOポリマー濃度が高いほど、薬物放出速度は遅くなった。溶解プロファイルは、同じ組成物について、50rpmまたは100rpmのパドル速度のいずれかで類似しており、薬物放出メカニズムは主にポリマーマトリックスを介した拡散によるものであることを示した。
【0143】
低分子量PEO、PEG3350および低粘度HPMCを含む組成物は、即時放出ソフトゲルカプセル用に開発されてもいる。これらの組成物は、溶解試験に供されたとき、即時放出プロフィールを示した。
【0144】
様々なMnPEO樹脂を含むソフトゲルカプセルの3つのバッチを製造した。ソフトゲルカプセルを溶解試験に供した。ソフトゲルカプセルの3つのバッチはすべて、延長された放出プロフィールを示す。PEO樹脂と3つの組成物についてDSC分析を実施した。組成物中のPEG400は、PEO樹脂に対する可塑化剤として作用するようであり、その結果、PEO樹脂の融点が低くなり(<60℃)製品製造に有利である。
【0145】
充填組成物中のポリエチレンオキシドおよびポリエチレングリコールの量を変えることによって、いかに充填組成物の粘度を制御することができるかを示すために、ポリエチレンオキシド(ポリオックス(商標))およびポリエチレングリコール400のみを含む3つの組成物を作成した。充填組成物およびそれらの粘土を以下の表12に示す。
【表12】
【0146】
しかしながら、本開示の多数の特徴および利点が、本開示の構造および機能の詳細とともに前述の説明に記載されているにもかかわらず、本開示は例示に過ぎず、詳細、特に形状、サイズおよび部品の配置の事項において、添付の請求項の表現する用語の広い一般意味によって示される最大範囲内で開示の原理内で変更が可能なことが理解される。
【国際調査報告】