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特表2023-545506多重化された標的結合候補スクリーニング分析
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】多重化された標的結合候補スクリーニング分析
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/686 20180101AFI20231023BHJP
   C12Q 1/6855 20180101ALI20231023BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
C12Q1/686 Z
C12Q1/6855 Z
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523002
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-06
(86)【国際出願番号】 US2021055111
(87)【国際公開番号】W WO2022081934
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】63/092,104
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カニンガム, クリスティアン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ハレンベック, ケネス カール
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029AA27
4B029FA10
4B029FA15
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR62
4B063QS28
4B063QS36
4B063QX02
(57)【要約】
DNAを含有する複数のサンプルに対するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅プロセスを正規化するための方法およびシステム。複数のサンプルについて、PCR増幅プロセスを行うためのサイクルデータが識別される。サイクルデータは、複数のサンプルの各サンプルに対する対応するサイクル数を含む。複数のサンプルは、複数のビンのビン間のサイクル数変動が低減されるように、サイクルデータに基づいて複数のビンに選別される。ビンサイクル数は、複数のビンの各ビンに割り当てられる。ビンサイクル数は、複数のビンの各ビンに固有である。ビンの識別情報が生成される。複数のビンおよび複数のビンのビンごとのビンサイクル数を使用して、複数のサンプルのPCR増幅を行うための出力が生成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DNA含有組成物の複数のライブラリを正規化するための方法であって、
第1の選択ラウンドについてDNA含有組成物の複数のライブラリの各々について定量化情報を受信することであって、前記ライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、前記第1の選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいて前記DNAコンジュゲートが選択される、定量化情報を受信することと、
前記定量化情報を使用して、前記ライブラリの各々に特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することであって、前記ライブラリの各々のDNA含有組成物が、対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に、関連する予め設定された量のDNAを産生するように決定される、前記ライブラリの各々に特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することと、
そのように決定された対応するPCRサイクル数を使用して、前記DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することであって、各ビンが、DNA増幅のための共通のPCRサイクル数を共有すると決定された前記DNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットを含み、同じビン内の前記DNA含有組成物のライブラリの各サブセットがライブラリの他のビンとは異なる共通のPCRサイクル数を共有する、前記DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することと、
同じビンの前記DNA含有組成物のライブラリのサブセットに対して対応する共通のPCRサイクル数で前記ビンの1つに対して、同じランで、PCRを同時に行うようにサーモサイクラーに指示することと、
前記DNA含有組成物の複数のライブラリが正規化されるように、対応する共通のPCRサイクル数で追加のビンの各々に対してPCRを行うように前記サーモサイクラーに指示することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記DNAコンジュゲートがペプチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ペプチドが大環状分子を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記定量化情報が、定量的PCR(qPCR)のサイクル閾値(Ct)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ビンのうちの少なくとも1つが、前記DNA含有組成物の2つ以上のライブラリを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ビンのうちのいずれか1つの前記DNA含有組成物のライブラリの各々が、同じビンに対して対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に、実質的に同一の量の増幅DNAを産生するように決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
追加の増幅DNAを産生するために、追加の対応する共通のPCRサイクル数で追加のビンのDNA含有組成物の各々に対してPCRを同時に行うようにサーモサイクラーに指示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
対応するPCRプレート上で対応する共通のPCRサイクル数で同じビンのDNA含有組成物に対してPCRを行うために、各ビンを、前記対応するPCRプレートと相関させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
増幅DNA含有組成物を生成するために、ソースプレートの元の位置からPCRプレートに移される各ビンのDNA含有組成物に対応する第1のリストを含む順方向ワークリストを生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記PCRプレートからソースプレートの元の位置に戻される前記増幅DNA含有組成物に対応する第2のリストを含む逆方向ワークリストを生成することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1つまたは複数のデータプロセッサに、DNA含有組成物の複数のライブラリを正規化するための方法を実行させるように構成された命令を含む、非一時的機械可読記憶媒体に有形に具現化されたコンピュータプログラム製品であって、前記方法が、
第1の選択ラウンドについてDNA含有組成物の複数のライブラリの各々についての定量化情報を受信することであって、前記ライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、前記第1の選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいて前記DNAコンジュゲートが選択される、定量化情報を受信することと、
前記定量化情報を使用して、前記ライブラリの各々に特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することであって、前記ライブラリの各々のDNA含有組成物が、対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に、関連する予め設定された量のDNAを産生するように決定される、前記ライブラリの各々に特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することと、
そのように決定された対応するPCRサイクル数を使用して、前記DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することであって、各ビンが、DNA増幅のための共通のPCRサイクル数を共有すると決定された前記DNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットを含み、同じビン内の前記DNA含有組成物のライブラリの各サブセットがライブラリの他のビンとは異なる共通のPCRサイクル数を共有する、前記DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することと、
同じビンの前記DNA含有組成物のライブラリのサブセットに対して対応する共通のPCRサイクル数で前記ビンの1つに対して、同じランで、PCRを同時に行うようにサーモサイクラーに指示することと、
前記DNA含有組成物の複数のライブラリが正規化されるように、追加のビンのDNA含有組成物の各ライブラリに対してPCRを行うように前記サーモサイクラーに指示することと
を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項12】
システムであって、
各選択ラウンドについてのDNA含有組成物の複数のライブラリの各々の定量化情報を含むデータセットを記憶するように構成されたデータストアであって、前記DNA含有組成物のライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、各選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいて前記DNAコンジュゲートが選択される、データストアと、
1つまたは複数のデータプロセッサと、
前記データストアに通信可能に接続され、前記データセットを受信するように構成されたコンピューティングデバイスであって、前記1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されると、前記1つまたは複数のデータプロセッサに、DNA含有組成物の複数のライブラリを正規化するための方法を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備え、前記方法が、
前記データセットを使用して、前記DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することであって、各ビンが、前記定量化情報を使用してDNA増幅のための共通のPCRサイクル数を共有すると決定された前記DNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットを含み、同じビン内の前記DNA含有組成物のライブラリの各サブセットがライブラリの他のビンのものとは異なる共通のPCRサイクル数を共有する、前記DNA含有組成物のライブラリをビンに選別すること
を含む、コンピューティングデバイスと、
同じビンのDNA含有組成物に対して対応する共通のPCRサイクル数で前記ビンの1つに対して、同じランで、PCRを同時に行い、前記DNA含有組成物の複数のライブラリが正規化されるように、追加のビンのDNA含有組成物の各ライブラリに対してPCRを行うように構成されたサーモサイクラーと
を備える、システム。
【請求項13】
同じビンの各ライブラリを、ソースプレートからPCRプレートに移送するように構成された液体ハンドラをさらに備え、同じビンの各ライブラリが、同じビンに対して共通のPCRサイクル数で前記PCRプレート上でPCRによって増幅されて増幅DNAを生成する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記液体ハンドラが、全てのビンの増幅DNAを追加の選択ラウンドに供するようにさらに構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムが、各選択ラウンドの前後に前記ライブラリの各々を定量するように構成された定量的PCRユニットをさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記ビンのいずれか1つの前記DNA含有組成物のライブラリの各々が、同じビンに対して対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に、実質的に同一の量の増幅DNAを産生するように決定される、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記方法が、前記定量化情報を使用して、各ライブラリに特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することをさらに含み、各ライブラリのDNA含有組成物が、対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に、関連する予め設定された量のDNAを産生するように決定される、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記方法が、対応するPCRプレート上で対応する共通のPCRサイクル数で同じビンのDNA含有組成物に対してPCRを行うために、各ビンを、前記対応するPCRプレートと相関させることをさらに含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記方法が、増幅DNAを生成するために、対応する共通のPCRサイクル数でPCRを行うための、ソースプレートの元の位置からPCRプレートに移される各ビンのDNA含有組成物に対応する第1のリストを含む順方向ワークリストを生成することをさらに含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記方法が、前記PCRプレートから前記ソースプレートの元の位置に戻される前記増幅DNAに対応する第2のリストを含む逆方向ワークリストを生成することをさらに含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
標的タンパク質に対する結合親和性についての候補DNAコンジュゲートを識別するための方法であって、
第1の選択ラウンドについてDNA含有組成物の複数のライブラリの各々についての定量化情報を受信することであって、前記ライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、前記第1の選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいて前記DNAコンジュゲートが選択される、定量化情報を受信することと、
前記定量化情報を使用して、各ライブラリに特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することであって、各ライブラリのDNA含有組成物が、対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に、関連する予め設定された量のDNAを産生するように決定される、各ライブラリに特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することと、
そのように決定されたPCRサイクル数を使用して、前記DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することであって、各ビンが、DNA増幅のための共通のPCRサイクル数を共有すると決定された前記DNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットを含み、同じビン内の前記DNA含有組成物のライブラリの異なる各サブセットがライブラリの他のビンとは異なる共通のPCRサイクル数を共有する、前記DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することと、
同じビンの前記DNA含有組成物のライブラリのサブセットに対して対応する共通のPCRサイクル数で前記ビンの1つに対して、同じランで、PCRを同時に行うようにサーモサイクラーに指示することと、
前記DNA含有組成物の複数のライブラリが正規化されて各ライブラリについて増幅DNAを生成するように、対応する共通のPCRサイクル数で追加のビンの各々に対してPCRを行うように前記サーモサイクラーに指示することと、
各ライブラリについて前記増幅DNAから前記標的タンパク質に対する結合親和性についての候補DNAコンジュゲートを識別するようにシーケンサーに指示することと
を含む、方法。
【請求項22】
前記DNAコンジュゲートがペプチドを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ペプチドが大環状ペプチドを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記定量化情報が、定量的PCR(qPCR)のサイクル閾値(Ct)を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記複数のDNA含有組成物の各ライブラリが、ソースプレートの個々の空間に保存される、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記ビンのうちの1つの前記DNA含有組成物のライブラリの各々が、同じビンに対して対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に、同様の量のDNAを産生するように決定される、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
各ビンが、対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に、同様の量のDNAを産生するように決定される、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
PCRプレート上で対応する共通のPCRサイクル数で同じビンのDNA含有組成物に対してPCRを行うために、各ビンを、前記PCRプレートと相関させることをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
増幅DNAを生成するために、対応する共通のPCRサイクル数でPCRを行うための、ソースプレートの元の位置からPCRプレートに移される各ビンのDNA含有組成物に対応する第1のリストを含む順方向ワークリストを生成することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記PCRプレートから前記ソースプレートの元の位置に戻される前記増幅DNAに対応する第2のリストを含む逆方向ワークリストを生成することをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
追加の選択ラウンドが、
前記標的タンパク質に対する結合親和性のためのDNA含有組成物を、前記ライブラリの各々から選択するステップと、
そのように選択されたDNA含有組成物を増幅するステップと
を繰り返すことを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記標的タンパク質に対する結合親和性についての前記候補DNAコンジュゲートを識別するように前記シーケンサーに指示することが、前記候補DNAコンジュゲート中のDNAをシーケンシングするように前記シーケンサーに指示することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項33】
各選択ラウンドの後に、DNA含有組成物の新たなライブラリを生成することであって、
ソースプレートの前記ライブラリの各々に対してインビトロ翻訳を実行して新たなペプチドを産生することと、
前記ソースプレートの前記ライブラリの各々に対してインビトロ逆転写を実行してDNA含有組成物の新たなペプチドライブラリを生成することと、を含む、DNA含有組成物の新たなライブラリを生成すること
をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
前記ライブラリの各々を定量することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項35】
定量的PCR(qPCR)を使用して前記ライブラリの各々を定量することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項36】
前記ライブラリの各々について前記定量化情報を可視化するためのヒートマップを生成することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項37】
1つまたは複数のデータプロセッサに、複数のライブラリの各々の定量化情報を監視してグラフィカルユーザインターフェース上の標的結合を検出するための方法を実行させるように構成された命令を含む、非一時的機械可読記憶媒体において有形に具現化されたコンピュータプログラム製品であって、前記方法が、
第1の選択ラウンドについてDNA含有組成物の複数のライブラリの各々についての定量化情報を受信することであって、前記ライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、前記第1の選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいて前記DNAコンジュゲートが選択される、定量化情報を受信することと、
前記定量化情報を使用して、前記ライブラリの各々に特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することであって、前記ライブラリの各々のDNA含有組成物が、対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に、関連する予め設定された量のDNAを産生するように決定される、前記ライブラリの各々に特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することと、
そのように決定されたPCRサイクル数を使用して、前記DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することであって、各ビンが、共通のPCRサイクル数を共有すると決定された前記DNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットを含み、同じビン内の前記DNA含有組成物のライブラリの異なる各サブセットがライブラリの他のビンとは異なる共通のPCRサイクル数を共有する、前記DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することと、
増幅DNA含有組成物を生成するために、同じビンの前記DNA含有組成物に対して対応する共通のPCRサイクル数で前記ビンの1つに対して、同じランで、PCRを同時に行うようにサーモサイクラーに指示することと、
前記増幅DNA含有組成物から、前記標的タンパク質に対する結合親和性についての候補DNAコンジュゲートを識別することと
を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項38】
システムであって、
各選択ラウンドについてのDNA含有組成物の複数のライブラリの各々の定量化情報を含むデータセットを記憶するように構成されたデータストアであって、前記DNA含有組成物のライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、各選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいて前記DNAコンジュゲートが選択される、データストアと、
1つまたは複数のデータプロセッサと、
前記データストアに通信可能に接続され、前記データセットを受信するように構成されたコンピューティングデバイスであって、前記1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されると、前記1つまたは複数のデータプロセッサに、標的タンパク質に対する結合親和性についての候補DNAコンジュゲートを識別するための方法を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備え、前記方法が、
前記定量化情報を使用して、前記ライブラリの各々に特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することであって、前記ライブラリの各々のDNA含有組成物が、対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に、関連する予め設定された量のDNAを産生するように決定される、前記ライブラリの各々に特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することと、
そのように決定されたPCRサイクル数を使用して、前記DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することであって、各ビンが、共通のPCRサイクル数を共有すると決定された前記DNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットを含み、同じビン内の前記DNA含有組成物のライブラリの各サブセットがライブラリの他のビンとは異なる共通のPCRサイクル数を共有する、前記DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することと、
増幅DNA含有組成物を生成するために、同じビンのDNA含有組成物に対して対応する共通のPCRサイクル数で前記ビンの1つに対して、同じランで、PCRを同時に行って、サーモサイクラーに指示することと、
前記増幅DNA含有組成物から、前記標的タンパク質に対する結合親和性についての候補DNAコンジュゲートを識別することと
を含む、コンピューティングデバイスと
を備える、システム。
【請求項39】
前記システムが、同じビンのDNA含有組成物に対して対応する共通のPCRサイクル数で前記ビンの1つに対して、同じランで、PCRを同時に行うように構成されたサーモサイクラーをさらに含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記システムが、各選択ラウンドの前後にライブラリの各々を定量するように構成された定量的PCRユニットをさらに備える、請求項38記載のシステム。
【請求項41】
DNA含有組成物の複数のライブラリの定量化情報を監視して標的結合を検出するための方法であって、
a)第1の選択ラウンドについてDNA含有組成物の複数のライブラリの各々の定量化情報を受信することであって、前記ライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、前記第1の選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいて前記DNAコンジュゲートが選択される、定量化情報を受信することと、
b)グラフィカルユーザインターフェース内に、前記第1の選択ラウンドについて前記ライブラリの各々の前記定量化情報を表示する第1のウィンドウを生成することと、
c)複数の後続の選択ラウンドにわたって追加ウィンドウを生成するために、a)~b)を繰り返すことであって、前記追加ウィンドウの各々が、各ラウンドに対する前記ライブラリの各々の前記DNA含有組成物の定量化情報が監視されるように、後続の選択ラウンドの各々に対する前記ライブラリの各々の定量化情報を表示する、a)~b)を繰り返すことと
を含む、方法。
【請求項42】
a)およびc)の前記DNA含有組成物のライブラリの各々の前記定量化情報が、定量的PCR(qPCR)入力分子、陽性の分子、陰性の分子またはそれらの任意の組み合わせについてのサイクル閾値(Ct)を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
a)およびc)の前記DNA含有組成物のライブラリの各々の前記定量化情報が、入力分子に対する陽性の分子のパーセンテージを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
他のウィンドウを隠しながら、選択されたラウンドの定量化情報を表示する選択されたウィンドウを表示することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
a)およびc)の前記DNA含有組成物のライブラリの各々の前記定量化情報が、前記ライブラリの各々のqPCRデータのデータスクレイピングから取得されている、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記DNAコンジュゲートがペプチドを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記ペプチドが大環状分子である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記第1のウィンドウおよび前記追加ウィンドウが、複数の位置に第1のグラフィカル要素を含み、前記第1のグラフィカル要素の各々が、前記ライブラリの各々を表すように構成される、請求項41に記載の方法。
【請求項49】
前記ライブラリの各々が、ソースプレートの個々の空間のうちの1つにあり、前記第1のグラフィカル要素の各々が、前記ソースプレートの前記個々の空間の各々に水平方向および垂直方向に対応するように構成される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記第1のグラフィカル要素の各々が、ソースプレート内の同じウェルを表すために異なるウィンドウにわたって同じ位置に配置される、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記第1のウィンドウおよび前記追加ウィンドウが、異なるライブラリの定量化情報を視覚的に区別するように構成された第2のグラフィカル要素を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項52】
前記第2のグラフィカル要素が色または数字を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記第2のグラフィカル要素が数字を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
ユーザによって新たな選択ラウンドが選択されたときに新たなウィンドウを表示するように前記グラフィカルユーザインターフェースを更新することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項55】
ラウンド対ラウンドの比較が生成されるように、同じグラフィカルユーザインターフェース内に前記第1のウィンドウおよび前記追加ウィンドウを表示することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項56】
前記第1のウィンドウおよび前記追加ウィンドウが、フィルタによって選択された前記ライブラリの各々の定量化情報を表示するために前記フィルタを設定するように構成された第3のグラフィカル要素を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項57】
前記フィルタが、ユーザ選択足場、ユーザ選択コドン、またはユーザ選択標的である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記DNA含有組成物のライブラリの各々についてのラウンド対ラウンド比較を前記グラフィカルユーザインターフェース上にプロットすることをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項59】
1つまたは複数のデータプロセッサに、ライブラリの定量化情報を監視して、グラフィカルユーザインターフェースにおいて標的結合を検出するための方法を実行させるように構成された命令を含む、非一時的機械可読記憶媒体において有形に具現化されたコンピュータプログラム製品であって、前記方法が、
a)第1の選択ラウンドについてDNA含有組成物の複数のライブラリの各々の定量化情報を受信することであって、前記DNA含有組成物のライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、前記第1の選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいて前記DNAコンジュゲートが選択される、定量化情報を受信することと、
b)グラフィカルユーザインターフェース内に第1のウィンドウを表示することであって、前記第1のウィンドウが、前記第1の選択ラウンド後の前記DNA含有組成物のライブラリの各々の前記定量化情報を含む、第1のウィンドウを表示することと、
c)複数の後続の選択ラウンドにわたって追加ウィンドウを生成するために、a)~b)を繰り返すことであって、前記追加ウィンドウの各々が、各ラウンドに対する前記ライブラリの各々の前記DNA含有組成物の定量化情報が監視されるように、後続の選択ラウンドの各々に対する前記ライブラリの各々の定量化情報を表示する、a)~b)を繰り返すことと
を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項60】
システムであって、
各選択ラウンドについてのDNA含有組成物の複数のライブラリの各々の定量化情報を含むデータセットを記憶するように構成されたデータストアであって、前記DNA含有組成物のライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、各選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいて前記DNAコンジュゲートが選択される、データストアと、
1つまたは複数のデータプロセッサと、
前記データストアに通信可能に接続され、前記データセットを受信するように構成されたコンピューティングデバイスであって、前記1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されると、前記1つまたは複数のデータプロセッサに、前記DNA含有組成物のライブラリの各々の前記定量化情報を表示するための方法を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備え、前記方法が、表示されるように選択された任意の選択ラウンドについて前記DNA含有組成物のライブラリの各々の前記定量化情報を表示するように選択されたウィンドウを含むグラフィカルユーザインターフェースを生成することを含む、コンピューティングデバイスと
を備える、システム。
【請求項61】
PCR増幅のために前記ライブラリの各々をソースプレートからPCRプレートに移すように構成された液体ハンドラをさらに備える、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
前記液体ハンドラが、各2つの連続する選択ラウンドの間で前記ライブラリの各々を正規化するようにさらに構成される、請求項61に記載のシステム。
【請求項63】
前記システムが、各選択ラウンドの後に前記ライブラリの各々を増幅するように構成されたサーモサイクラーをさらに備える、請求項60に記載のシステム。
【請求項64】
前記システムが、各選択ラウンドの前後に前記ライブラリの各々を定量するように構成された定量的PCRユニットをさらに備える、請求項60に記載のシステム。
【請求項65】
DNAを含有する複数のサンプルに対するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅プロセスを正規化するための方法であって、
前記複数のサンプルに対する前記PCR増幅プロセスを行うためのサイクルデータを識別することであって、前記サイクルデータが、前記複数のサンプルの各々のサンプルに対して対応するサイクル数を含む、サイクルデータを識別することと、
複数のビンのビン間のサイクル数変動が低減されるように、前記サイクルデータに基づいて前記複数のサンプルを前記複数のビンに選別することと、
ビンサイクル数を前記複数のビンの各ビンに割り当てることであって、前記ビンサイクル数が前記複数のビンの各ビンに固有である、ビンサイクル数を前記複数のビンの各ビンに割り当てることと、
前記複数のビンの識別情報を生成することと、
前記複数のビンおよび前記複数のビンの各ビンの前記ビンサイクル数を使用して、前記複数のサンプルのPCR増幅を行うための出力を生成することと
を含む、方法。
【請求項66】
前記複数のサンプルが様々な量のDNAを有し、前記複数のサンプルが複数の増幅サンプルになるように前記PCR増幅プロセスが実行された後、増幅された前記複数のサンプルが正規化された量のDNAを有する、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記識別情報を生成することが、
前記複数のビンの各ビンについてのビン識別子を生成することを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記出力を生成することが、
前記複数のビンのうちの1つのビンについての順方向ワークリストを生成することであって、前記順方向ワークリストが、前記ビン内のサンプルのセットが前記ビンについてソースプレートから対応するPCRプレートに移送される順序を含む、順方向ワークリストを生成することを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記出力が、PCRプレートのセットを使用して前記PCR増幅プロセスを実行するためのサーモサイクラーのための指示をさらに含む、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記ビンサイクル数を割り当てることが、
ビン内のサンプルのセットの最高サイクル数、サンプルのセットの平均サイクル数、サンプルのセットの中央サイクル数、および前記最高サイクル数と選択されたサイクル数との合計からなる群からのサイクル数を使用して、前記複数のビンのうちの1つのビンの前記ビンサイクル数を生成することを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項71】
前記選択されたサイクル数が、前記PCR増幅プロセスの第1のランから前記PCR増幅プロセスの第2のランに変更される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記選別することが、
前記サイクルデータの任意の非整数サイクル数を整数サイクル数に変換して修正サイクルデータを形成することと、
サイクル数の選択された範囲内にある前記修正サイクルデータの固有の整数サイクル数をN個のビンに割り当てることと、
ビンの目標数に到達するまで、距離方程式を使用して前記N個のビンの隣接するビンをマージすることであって、前記ビンの目標数が前記複数のビンの少なくとも一部を形成する、前記N個のビンの隣接するビンをマージすることと
を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項73】
前記サイクルデータを識別することが、
定量的PCR(qPCR)システムから初期サイクルデータを受信することであって、前記初期サイクルデータが、前記複数のサンプルの各サンプルの初期サイクル数を含む、初期サイクルデータを受信することと、
前記サイクルデータを生成するために前記複数のサンプルのうちの少なくとも1つの前記初期サイクル数を修正ことと
を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項74】
前記複数のサンプルのうちのサンプルの前記初期サイクル数が未決定の値であり、前記修正することが、
前記サンプルの前記初期サイクル数を前記未決定の値から予め選択されたサイクル数に変更することを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記修正することが、
前記複数のサンプルの各サンプルの前記初期サイクル数に2つのサイクルを加えること、または
各非整数サイクル数を整数サイクル数に変換すること
のうちの少なくとも1つを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記選別することが、
前記サイクルデータ内のサイクル数の選択された範囲に基づいて、前記複数のサンプルを前記複数のビンに分配することを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項77】
前記分配することが、
前記サイクル数の選択された範囲外の対応するサイクル数を有する前記複数のサンプルの一部を前記複数のビンの一部に割り当てることと、
前記複数のビンの残りの部分の間の前記サイクル数の選択された範囲内の対応するサイクル数を有する前記複数のサンプルの残りの部分を実質的に均一に分配することと
を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記選別することが、
前記サイクルデータ内の各非整数サイクル数を整数サイクル数に変換して修正サイクルデータを形成することと、
前記修正サイクルデータ内のサイクル数の選択された範囲に基づいて、前記複数のサンプルを前記複数のビンに実質的に均一に分配することと
を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項79】
前記出力を生成することが、
前記識別情報を使用して、前記複数のビンの各ビン内のサンプルのセットをPCRプレートのセットの対応するPCRプレートに移送する際に使用するための移送出力を生成することを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項80】
前記複数のサンプルが複数の対応するサイクル数を有し、前記選別することが、
複数の対応する選択された低サイクル数未満のサイクル数の第1のセットを有する前記複数のサンプルの第1の部分を前記複数のビンの最初のビンに割り当てることと、
選択された高い数を上回るサイクル数の第2のセットを有する前記複数のサンプルの第2の部分を前記複数のビンの最後のビンに割り当てることと、
前記複数のサンプルの残りの部分を前記最初のビンと前記最後のビンとの間のビンのセットに分配することと
を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項81】
前記複数のサンプルが複数の対応するサイクル数を有し、前記選別することが、
前記複数の対応するサイクル数の分布を識別することをさらに含む、請求項65に記載の方法。
【請求項82】
前記分布を識別することが、
前記複数の対応するサイクル数のヒストグラム分布を識別することであって、前記複数の対応するサイクル数の60%から100%が、選択された低サイクル数と選択された高サイクル数との間およびそれらを含む選択された範囲内にある、前記複数の対応するサイクル数のヒストグラム分布を識別することを含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記選択された低サイクル数が4サイクル数であり、前記選択された高サイクル数が24サイクル数である、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記選別することが、
前記選択された低サイクル数を下回る前記対応するサイクル数を有する前記複数のサンプルのうちの任意のサンプルを前記複数のビンのうちの最初のビンに割り当てることと、
前記選択された高サイクル数を上回る前記対応するサイクル数を有する前記複数のサンプルのうちの任意のサンプルを前記複数のビンのうちの最後のビンに割り当てることと
を含む、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
前記選別することが、
前記最初のビンと前記最後のビンとの間のビンのセットの間に前記複数のサンプルの残りの部分を分配することをさらに含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記複数の対応するサイクル数の100%が前記選択された範囲内にあり、前記複数のサンプルを前記複数のビンに選別することが、
より高いサイクル数と比較してより低いサイクル数の間でより多くのビン分離を提供するようにバイアスをかけて、前記複数のビンの間に前記複数のサンプルを分配することを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項87】
前記選別することが、
前記サイクルデータ内のサイクル数の選択された範囲に基づいて、前記複数のサンプルを前記複数のビンに分配することと、
同じ整数値に関連付けられた対応するサイクル数を有する前記複数のサンプルのうちの任意のサンプルが同じビンに一緒にグループ化されるように、前記複数のビン内の前記複数のサンプルの前記分布を修正することと
を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項88】
前記複数のサンプルが複数の対応するサイクル数を有し、前記複数の対応するサイクル数のうちの2つのサイクル数が、前記2つのサイクル数の各々が同じ整数値である整数を含む場合、同じ整数値に関連付けられる、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記複数のサンプルが複数の対応するサイクル数を有し、前記複数の対応するサイクル数のうちの2つのサイクル数が、前記2つのサイクル数の各々が同じ整数値に切り上げられた場合、同じ整数値に関連付けられる、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
前記選別することが、
前記複数のサイクル数の前記分布に基づいて、平均の1つの標準偏差の外にある前記複数のサイクル数の別の部分と比較して、前記複数のサイクル数の前記平均の前記1つの標準偏差の内にある前記複数のサイクル数の一部の間でより多くのビン分離を提供するようにバイアスをかけて、前記複数のサンプルを前記複数のビンに選別することを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項91】
前記出力に基づいて、前記複数のビンの各ビン内のサンプルのセットをPCRプレートのセットの対応するPCRプレートに移送することと、
前記PCRプレートのセットを使用して前記PCR増幅プロセスを実行することと
をさらに含む、請求項65に記載の方法。
【請求項92】
前記サイクルデータを識別することが、
定量的PCR(qPCR)システムから前記サイクルデータを受信することを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項93】
システムであって、
1つまたは複数のデータプロセッサと、
命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が、前記1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されると、前記1つまたは複数のデータプロセッサに、請求項1~10、21~36、41~58、および65~92のいずれか一項に記載の1つまたは複数の方法の一部または全部を実行させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体と
を備える、システム。
【請求項94】
1つまたは複数のデータプロセッサに、請求項1~10、21~36、41~58、および65~92のいずれか一項に記載の1つまたは複数の方法の一部または全部を実行させるように構成された命令を含む非一時的機械可読記憶媒体において具現化された、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者:Christian N.Cunningham,Kenneth K.Hallenbeck
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月15日に出願された「Multiplexed Target-Binding Candidate Screening Analysis」と題する米国仮特許出願第63/092,104号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
改善された多重スクリーニング分析のための方法およびシステムが本明細書で提供される。より具体的には、標的結合活性についてのヌクレオチド標識ペプチドライブラリの多重スクリーニングのための方法およびシステムが提供される。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
現在の多重化標的結合候補スクリーニング分析システムは、サンプル間の変動およびデータの複雑さなどの問題のために、所望の標的に結合するための多くのヌクレオチド含有ペプチドライブラリの同時選択が困難である。したがって、所望の結合標的、例えばタンパク質に対する候補結合剤の同時選択を助けるための改善された多重化標的結合候補スクリーニング分析システムおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
発明の概要
本明細書に記載の実施形態は、改善された多重スクリーニング分析のための様々な方法、システム、およびコンピュータプログラム製品を提供する。
【0005】
いくつかの実施形態では、DNA含有組成物の複数のライブラリを正規化するための方法が提供される。本方法は、第1の選択ラウンドについてDNA含有組成物の複数のライブラリの各々についての定量化情報を受信することを含み、ライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、第1の選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいてDNAコンジュゲートが選択される。本方法は、定量化情報を使用してライブラリの各々に特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することをさらに含み、ライブラリの各々のDNA含有組成物が、対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に関連する予め設定された量のDNAを産生することができるか、または産生するように決定される。本方法は、そのように決定された対応するPCRサイクル数を使用してDNA含有組成物のライブラリをビンに選別することをさらに含み、各ビンが、DNA増幅のための共通のPCRサイクル数を共有すると決定されたDNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットを含み、同じビン内のDNA含有組成物のライブラリの各サブセットが、ライブラリの他のビンのものとは異なる共通のPCRサイクル数を共有する。本方法は、同じビンのDNA含有組成物のライブラリのサブセットに対して対応する共通のPCRサイクル数でビンの1つに対して、同じランで、PCRを同時に行うようにサーモサイクラーに指示することをさらに含む。本方法は、DNA含有組成物の複数のライブラリが正規化されるように、対応する共通のPCRサイクル数で追加のビンの各々に対してPCRを行うようにサーモサイクラーに指示することをさらに含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、DNA含有組成物の複数のライブラリを正規化するための方法を1つまたは複数のデータプロセッサに実行させるように構成された命令を含む非一時的機械可読記憶媒体に有形に具現化された、コンピュータプログラム製品が提供される。本方法は、第1の選択ラウンドについてDNA含有組成物の複数のライブラリの各々についての定量化情報を受信することを含み、ライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、第1の選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいてDNAコンジュゲートが選択される。本方法は、定量化情報を使用してライブラリの各々に特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することをさらに含み、ライブラリの各々のDNA含有組成物が、対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に関連する予め設定された量のDNAを産生するように決定される。本方法は、そのように決定された対応するPCRサイクル数を使用してDNA含有組成物のライブラリをビンに選別することをさらに含み、各ビンが、DNA増幅のための共通のPCRサイクル数を共有すると決定されたDNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットを含み、同じビン内のDNA含有組成物のライブラリの各サブセットが、ライブラリの他のビンのものとは異なる共通のPCRサイクル数を共有する。本方法は、同じビンのDNA含有組成物のライブラリのサブセットに対して対応する共通のPCRサイクル数でビンの1つに対して、同じランで、PCRを同時に行うようにサーモサイクラーに指示することをさらに含む。本方法は、DNA含有組成物の複数のライブラリが正規化されるように、追加のビンのDNA含有組成物の各ライブラリに対してPCRを行うようにサーモサイクラーに指示することをさらに含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、DNA含有組成物の複数のライブラリを正規化するためのシステムが提供される。システムは、各選択ラウンドについてのDNA含有組成物の複数のライブラリの各々の定量化情報を含むデータセットを記憶するように構成されたデータストアであって、DNA含有組成物のライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、各選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいてDNAコンジュゲートが選択される、データストアと、1つまたは複数のデータプロセッサと、データストアに通信可能に接続され、データセットを受信するように構成されたコンピューティングデバイスであって、1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されると、1つまたは複数のデータプロセッサに、DNA含有組成物の複数のライブラリを正規化するための方法を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピューティングデバイスと、を含む。本方法は、データセットを使用してDNA含有組成物のライブラリをビンに選別することであって、各ビンが、定量化情報を使用してDNA増幅のための共通のPCRサイクル数を共有すると決定されたDNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットを含み、同じビン内のDNA含有組成物のライブラリの各サブセットが、ライブラリの他のビンのものとは異なる共通のPCRサイクル数を共有する、DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することを含む。システムは、同じビンのDNA含有組成物に対して対応する共通のPCRサイクル数でビンの1つに対して、同じランで、PCRを同時に行い、DNA含有組成物の複数のライブラリが正規化されるように、追加のビンのDNA含有組成物の各ライブラリに対してPCRを行うように構成されたサーモサイクラーをさらに含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、標的結合を検出するためにDNA含有組成物の複数のライブラリの定量化情報を監視するための方法が提供される。本方法は、第1の選択ラウンドについてDNA含有組成物の複数のライブラリの各々の定量化情報を受信することを含み、ライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、第1の選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいてDNAコンジュゲートが選択される。本方法は、グラフィカルユーザインターフェース内に、第1の選択ラウンドについてライブラリの各々の定量化情報を表示する第1のウィンドウを生成することをさらに含む。本方法は、複数の後続の選択ラウンドにわたって追加ウィンドウを生成するために、受信ステップおよび生成ステップを繰り返すことをさらに含み、追加ウィンドウの各々が、各ラウンドに対するライブラリの各々のDNA含有組成物の定量化情報が監視されるように、後続の選択ラウンドの各々に対するライブラリの各々の定量化情報を表示する。
【0009】
いくつかの実施形態では、標的結合を検出するためにDNA含有組成物の複数のライブラリの定量化情報を監視するための非一時的機械可読記憶媒体に有形に具現化されたコンピュータプログラム製品であって、1つまたは複数のデータプロセッサに、ライブラリの定量化情報を監視して標的結合をグラフィカルユーザインターフェースにおいて検出するための方法を実行させるように構成された命令を含む、コンピュータプログラム製品が提供される。本方法は、第1のステップにおいて、第1の選択ラウンドについてDNA含有組成物の複数のライブラリの各々の定量化情報を受信することを含み、DNA含有組成物のライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、第1の選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいてDNAコンジュゲートが選択される。本方法は、第2のステップにおいて、グラフィカルユーザインターフェース内に、第1の選択ラウンド後のDNA含有組成物のライブラリの各々の定量化情報を含む第1のウィンドウを表示することと、第1および第2のステップを繰り返して、複数回のその後の選択にわたって追加ウィンドウを生成することであって、追加ウィンドウの各々が、各ラウンドに対するライブラリの各々のDNA含有組成物の定量化情報が監視されるように、その後の各選択ラウンドに対するライブラリの各々の定量化情報を表示する、追加ウィンドウを生成することと、を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、標的結合を検出するためにDNA含有組成物の複数のライブラリの定量化情報を監視するためのシステムが提供される。システムは、各選択ラウンドについてのDNA含有組成物の複数のライブラリの各々の定量化情報を含むデータセットを記憶するように構成されたデータストアを含み、DNA含有組成物のライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、各選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいてDNAコンジュゲートが選択される。システムは、1つまたは複数のデータプロセッサと、データストアに通信可能に接続され、データセットを受信するように構成されたコンピューティングデバイスであって、1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されると、DNA含有組成物のライブラリの各々の定量化情報を表示するための方法を1つまたは複数のデータプロセッサに実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備える、コンピューティングデバイスと、をさらに含む。本方法は、表示されるように選択された任意の選択ラウンドについてDNA含有組成物のライブラリの各々の定量化情報を表示するように選択されたウィンドウを含むグラフィカルユーザインターフェースを生成することを含む。
【0011】
1つまたは複数の実施形態では、DNAを含有する複数のサンプルに対するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅プロセスを正規化するための方法が提供される。複数のサンプルについて、PCR増幅プロセスを行うためのサイクルデータが識別される。サイクルデータは、複数のサンプルの各サンプルに対する対応するサイクル数を含む。複数のサンプルは、複数のビンのビン間のサイクル数変動が低減されるように、サイクルデータに基づいて複数のビンに選別される。ビンサイクル数は、複数のビンの各ビンに割り当てられる。ビンサイクル数は、複数のビンの各ビンに固有である。ビンの識別情報が生成される。複数のビンおよび複数のビンのビンごとのビンサイクル数を使用して、複数のサンプルのPCR増幅を行うための出力が生成される。
【0012】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のデータプロセッサと、命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、命令が、1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されると、1つまたは複数のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つまたは複数の方法の一部または全部を実行させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、を備える、システムが提供される。
【0013】
いくつかの実施形態では、非一時的機械可読記憶媒体に具現化され、1つまたは複数のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つまたは複数の方法の一部または全部を実行させるように構成された命令を含む、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態は、1つまたは複数のデータプロセッサを含むシステムを含む。いくつかの実施形態では、システムは、命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、命令が、1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されると、1つまたは複数のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つまたは複数の方法の一部または全部および/または1つまたは複数のプロセスの一部または全部を実行させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。本開示のいくつかの実施形態は、1つまたは複数のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つまたは複数の方法の一部または全部および/または1つまたは複数のプロセスの一部または全部を実行させるように構成された命令を含む非一時的機械可読記憶媒体において有形に具現化された、コンピュータプログラム製品を含む。
【0015】
使用された用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用において、示されて説明された特徴のいかなる均等物またはその一部も除外する意図はないが、特許請求の範囲に記載された実施形態の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。したがって、特許請求される本実施形態は、実施形態および任意の特徴として具体的に開示されているが、本明細書に開示される概念の変更および変形は、当業者によって使用されてもよく、そのような修正および変形は、添付の特許請求の範囲内にあると見なされることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示は、以下の添付の図面と併せて説明される:
【0017】
図1】様々な実施形態にかかる、所望の結合標的に結合するためのDNA含有組成物の複数のライブラリをスクリーニングするための一般的な概略的ワークフローの非限定的な例示的な実施形態を示している。
【0018】
図2】様々な実施形態にかかる、DNA含有組成物の複数のライブラリを正規化するための一般的な概略的ワークフローの非限定的な例示的な実施形態を示している。
【0019】
図3A-3C】様々な実施形態にかかる、結合標的に対する結合親和性について候補DNAコンジュゲートを識別するためのDNA含有組成物の複数のライブラリを正規化するためのワークフローの非限定的な例示的な実施形態を示している。
【0020】
図4】様々な実施形態にかかる、DNA含有組成物の複数のライブラリを正規化するための方法を示すフローチャートである。
【0021】
図5】様々な実施形態にかかる、結合標的に対する結合親和性について候補DNAコンジュゲートを識別するための方法を示すフローチャートである。
【0022】
図6】様々な実施形態にかかる、DNAを含有する複数のサンプルに対するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅プロセスを正規化するための方法を示すフローチャートである。
【0023】
図7】様々な実施形態にしたがって示されるDNAを含有する複数のサンプルを正規化するための方法を示すフローチャートである。
【0024】
図8】様々な実施形態にしたがって示されるDNAを含有する複数のサンプルを正規化するための非限定的な例示的方法800を示すフローチャートである。
【0025】
図9A】1つまたは複数の実施形態にかかる、上側バイアスを使用する動的ビニングの第1のラウンドを示す表である。
【0026】
図9B】1つまたは複数の実施形態にかかる、上側バイアスを使用する動的ビニングの第4のラウンドを示す表である。
【0027】
図10】1つまたは複数の実施形態にかかる、均一な分布を使用する動的ビニングの第1のラウンドを示す表である。
【0028】
図11A】1つまたは複数の実施形態にかかる、サイクル数の選択された範囲内のサイクル数でサンプルに対するバイアスを伴う動的ビニングの第1のラウンドを示す表である。
【0029】
図11B】1つまたは複数の実施形態にかかる、サイクル数の選択された範囲内のサイクル数でサンプルに対する動的ビニングバイアスの第4のラウンドを示す表である。
【0030】
図12】様々な実施形態にかかる、DNA含有組成物の複数のライブラリを正規化するように構成されたシステムの非限定的な例の概略図である。
【0031】
図13】様々な実施形態にかかる、グラフィカルユーザインターフェースにおいて結合標的への結合を検出するために複数のライブラリの各々の定量化情報を監視するためのワークフローの非限定的な例示的な実施形態を示している。
【0032】
図14】様々な実施形態にかかる、グラフィカルユーザインターフェースにおいて結合標的結合への結合を検出するために複数のライブラリの各々の定量化情報を監視するための方法を示すフローチャートである。
【0033】
図15】様々な実施形態にかかる、グラフィカルユーザインターフェースにおいて結合標的への結合を検出するために複数のヌクレオチド標識ペプチドライブラリの各々の定量化情報を監視するためのシステムおよびグラフィカルユーザインターフェースの非限定的な例示的な実施形態を示している。
【0034】
図16】様々な実施形態にかかる、グラフィカルユーザインターフェースにおいて結合標的への結合を検出するためにヌクレオチド標識ペプチドライブラリの定量化情報を監視するためのグラフィカルユーザインターフェースの非限定的な例示的な実施形態を示すスクリーンショットを描写している。
【0035】
図17】様々な実施形態にかかる、グラフィカルユーザインターフェースにおいて結合標的への結合を検出するためにヌクレオチド標識ペプチドライブラリの定量化情報を監視するためのグラフィカルユーザインターフェースの非限定的な例示的な実施形態を示すスクリーンショットを描写している。
【0036】
図18】様々な実施形態にかかる、グラフィカルユーザインターフェースにおいて結合標的への結合を検出するためにヌクレオチド標識ペプチドライブラリの定量化情報を監視するためのグラフィカルユーザインターフェースの非限定的な例示的な実施形態を示すスクリーンショットを描写している。
【0037】
図19】様々な実施形態にかかる、本明細書で提供される方法を実行するように構成されたコンピュータシステムを示す非限定的な例のブロック図である。
【0038】
添付の図面において、同様の構成要素および/または特徴は、同じ参照ラベルを有することができる。さらに、同じタイプの様々な構成要素は、参照ラベルの後に同様の構成要素を区別するダッシュおよび第2のラベルを続けることによって区別されることができる。本明細書において第1の参照ラベルのみが使用される場合、説明は、第2の参照ラベルに関係なく、同じ第1の参照ラベルを有する同様の構成要素のいずれかに適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
発明の詳細な説明
I.概要
本開示は、1つまたは複数の所望の標的への結合活性についてヌクレオチド標識ペプチドライブラリをスクリーニングするための方法およびシステムの様々な例示的な実施形態を記載する。しかしながら、本開示は、これらの例示的な実施形態および用途、または例示的な実施形態および用途が本明細書で動作するまたは説明される様式に限定されない。さらに、図は、簡略化されたまたは部分的な図を示す場合があり、図中の要素の寸法は、誇張されているか、または比例していない場合がある。
【0040】
II.例示的な文脈および用語の説明
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定することを意図するものではないことを理解するべきである。
【0041】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語、表記および他の科学技術用語または専門用語は、特許請求の範囲に記載された主題が関係する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有することを意図する。場合によっては、一般的に理解される意味を有する用語は、明確性および/または容易な参照のために本明細書に定義され、本明細書にそのような定義を含めることは、必ずしも、当該技術分野において一般に理解されるものに対する実質的な相違を表すと解釈されるべきではない。一般に、化学、生化学、分子生物学、薬理学および毒物学に関連して利用される命名法およびその技法は、本明細書に記載されており、当該技術分野において周知であり、一般的に使用されるものである。
【0042】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数形を同様に含むことを意図する。本明細書で使用される「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数のあらゆる可能な組み合わせを指し、包含することも理解するべきである。本明細書で使用される場合、「含む(includes)」、「含む(including)」、「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」という用語は、記述された特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはユニットの存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、ユニット、および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではないことをさらに理解するべきである。
【0043】
本開示全体を通じて、様々な態様が範囲形式で提示される。範囲形式での記載は、便宜および簡潔性のためのものに過ぎず、本開示に対する柔軟性のない限定と解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、全ての可能な部分範囲ならびにその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、値の範囲が提供されている場合、その範囲の上限と下限との間の各介在値、およびその記述された範囲内の他の任意の記述されたまたは介在する値が本開示に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立してより小さい範囲に含まれてもよく、また、記述された範囲内の任意の具体的に除外された限界にもしたがって、本開示に包含される。記述された範囲が限界の一方または双方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかまたは双方を除外した範囲もまた、本開示に含まれる。これは、範囲の広さにかかわらず適用される。
【0044】
本明細書で使用される「約」という用語は、容易に知られるそれぞれの値についての通常の誤差範囲を含むように指す。本明細書における「約」値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(および説明する)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。いくつかの実施形態では、「約」とは、当業者によって理解されるように、±15%、±10%、±5%、または±1%を指すことができる。
【0045】
さらに、「と通信する」もしくは「と通信可能に結合された」という用語または類似の語が本明細書で使用される場合、1つの要素は、1つまたは複数の有線通信リンク、1つまたは複数の無線通信リンク、1つまたは複数の光通信リンク、またはそれらの組み合わせにより、別の要素と直接的に、間接的に、またはその双方で通信することが可能とすることができる。さらに、要素のリスト(例えば、要素a、b、c)が参照される場合、そのような参照は、それ自体で列挙された要素のいずれか1つ、列挙された要素の全てよりも少ない要素の任意の組み合わせ、および/または列挙された要素の全ての組み合わせを含むことを意図する。
【0046】
本明細書で使用される場合、「実質的に」は、意図された目的のために機能するのに十分であることを意味する。したがって、「実質的に」という用語は、当業者によって予想されるが、全体的な性能にそれほど影響しないような、絶対的または完全な状態、寸法、測定値、結果などからの微細な、僅かな変動を考慮する。数値、または数値として表されることのできるパラメータ若しくは特性に関して使用される場合、「実質的に」とは、10パーセント以内を意味する。
【0047】
本明細書で使用される場合、「複数のもの(ones)」という用語は、2つ以上のものを意味する。
【0048】
本明細書で使用される場合、「複数」または「群」という用語は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多い数とすることができる。
【0049】
本明細書で使用される場合、「セット」という用語は、1つまたは複数を意味する。
【0050】
本明細書において使用される場合、「のうちの少なくとも1つ」という語句は、項目のリストとともに使用される場合、列挙された項目のうちの1つまたは複数の異なる組み合わせが使用されてもよく、リスト内の項目のうちの1つのみが必要であってもよいことを意味することができる。項目は、特定の物体、物、ステップ、動作、プロセス、またはカテゴリとすることができる。換言すれば、「のうちの少なくとも1つ」は、リストから項目の任意の組み合わせまたは任意の数の項目が使用されてもよいが、リスト内の項目の全てが必要とされるわけではない場合があることを意味する。例えば、限定されないが、「項目A、項目B、または項目Cのうちの少なくとも1つ」または「項目A、項目B、および項目Cのうちの少なくとも1つ」は、項目A;項目Aおよび項目B;項目B;項目A、項目B、および項目C;項目Bおよび項目C;または項目AおよびCを意味することができる。場合によっては、「項目A、項目B、または項目Cのうちの少なくとも1つ」または「項目A、項目B、および項目Cのうちの少なくとも1つ」は、これらに限定されないが、項目Aのうちの2つ、項目Bのうちの1つ、および項目Cのうちの10個;項目Bのうちの4つおよび項目Cのうちの7つ;またはいくつかの他の適切な組み合わせを意味することができる。
【0051】
「個体」、「被験者」または「患者」は、哺乳動物とすることができる。哺乳動物は、これらに限定されないが、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌおよびウマ)、霊長類(例えば、ヒトおよび非ヒト霊長類、例えば、サル)、ウサギおよびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)を含む。特定の態様では、個体または被験者は、ヒトである。
【0052】
本明細書で使用される場合、「核酸シーケンシングデータ」、「核酸シーケンシング情報」、「核酸配列」、「ゲノム配列」、「遺伝子配列」、または「断片配列」、または「核酸シーケンシングリード」とは、DNAまたはRNAの分子(例えば、全ゲノム、全トランスクリプトーム、エクソーム、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、断片など)中のヌクレオチド塩基(例えば、アデニン、グアニン、シトシン、およびチミン/ウラシル)の順番を示す任意の情報またはデータを意味することができる。本教示は、これらに限定されないが、キャピラリー電気泳動、マイクロアレイ、ライゲーションに基づくシステム、ポリメラーゼに基づくシステム、ハイブリダイゼーションに基づくシステム、直接的または間接的なヌクレオチド特定システム、パイロシーケンシング、イオンまたはpHに基づく検出システム、電子シグネチャに基づくシステムなどを含む全ての利用可能な種々の技術、プラットフォームまたは技術を使用して得られた配列情報を企図することを理解されたい。
【0053】
「ヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」、「核酸」、または「オリゴヌクレオチド」とは、ヌクレオシド間結合によって接合されたヌクレオシド(デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、またはそのアナログを含む)の直鎖状ポリマーを指すことができる。典型的には、ポリヌクレオチドは、少なくとも3つのヌクレオシドを含む。通常、オリゴヌクレオチドは、数個のモノマー単位、例えば3~4個から数百個のモノマー単位までのサイズの範囲である。オリゴヌクレオチドなどのポリヌクレオチドが「ATGCCTG」などの文字の配列によって表される場合はいつでも、別段の注記がない限り、ヌクレオチドは、左から右へ5’→3’の順番であり、「A」はデオキシアデノシンを意味し、「C」はデオキシシチジンを意味し、「G」はデオキシグアノシンを意味し、「T」はチミジンを意味することが理解されよう。A、C、G、およびTという文字は、当該技術分野において標準的であるように、塩基自体、ヌクレオシド、または塩基を含むヌクレオチドを指すために使用されることができる。
【0054】
本明細書で使用される場合、「細胞」という用語は、「生体細胞」という用語と互換的に使用されることができる。生体細胞の非限定的な例は、真核細胞、植物細胞、動物細胞、例えば、哺乳動物細胞、爬虫類細胞、鳥類細胞、魚類細胞など、原核細胞、細菌細胞、真菌細胞、原生動物細胞など、組織、例えば、筋肉、軟骨、脂肪、皮膚、肝臓、肺、神経組織などから解離された細胞、免疫細胞、例えば、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージなど、胚(例えば、接合子)、卵母細胞、卵子、精子細胞、ハイブリドーマ、培養細胞、細胞株からの細胞、癌細胞、感染細胞、トランスフェクトおよび/または形質転換細胞、レポーター細胞などを含む。哺乳動物細胞は、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、霊長類などからのものであってもよい。
【0055】
本明細書で使用される場合、ゲノムは、哺乳動物、例えば、ヒトなどの動物を含む、細胞または生物の遺伝物質である。ヒトにおいて、ゲノムは、例えば、遺伝子、非コードDNAおよびミトコンドリアDNAなどの全DNAを含む。ヒトゲノムは、典型的には、以下の23対の線状染色体を含む:22対の常染色体+性決定XおよびY染色体。23対の染色体は、各親からの1つのコピーを含む。染色体を構成するDNAは、染色体DNAと称され、ヒト細胞の核内に存在する(核DNA)。ミトコンドリアDNAは、環状染色体としてミトコンドリア内に位置し、母親からのみ受け継がれ、核内に位置するDNAの核ゲノムと比較してミトコンドリアゲノムと称される場合が多い。
【0056】
「シーケンシング」という語句は、核酸の少なくとも一部の連続するヌクレオチドの特定を可能にする当該技術分野において公知の任意の技法を指すことができる。非限定的な例示的なシーケンシング技術は、RNA-seq(全トランスクリプトームシーケンシングとしても知られている)、Illumina(商標)シーケンシング、直接シーケンシング、ランダムショットガンシーケンシング、Sangerジデオキシターミネーションシーケンシング、全ゲノムシーケンシング、超並列シグネチャシーケンシング(MPSS)、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、パイロシーケンシング、キャピラリー電気泳動、ゲル電気泳動、デュプレックスシーケンシング、サイクルシーケンシング、単一塩基伸長シーケンシング、固相シーケンシング、ハイスループットシーケンシング、超並列シグネチャシーケンシング、エマルジョンPCR、可逆的ダイターミネーターによるシーケンシング、ペアードエンドシーケンシング、ニアターム(near-term)シーケンシング、エキソヌクレアーゼシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング、ショートリードシーケンシング、単一分子シーケンシング、合成によるシーケンシング、リアルタイムシーケンシング、リバースターミネーターシーケンシング、ナノポアシーケンシング、454シーケンシング、Solexa Genome Analyzerシーケンシング、SOLiD(商標)シーケンシング、MS-PETシーケンシング、質量分析、およびそれらの任意の組み合わせを含む。
【0057】
「RNA-seq(RNA-シーケンシング)」という語句は、次世代シーケンシング(NGS)などのシーケンシングを使用して生体サンプル中のRNAの存在、数量または配列を調べることができる任意のステップまたは技術を指すことができる。RNA-seqは、RNA内にコードされた遺伝子発現パターンのトランスクリプトームを分析することができる。
【0058】
「次世代シーケンシング」(NGS)という語句は、伝統的なSangerおよびキャピラリー電気泳動に基づく手法と比較して増加したスループットを有する、例えば、数十万の比較的小さい配列リードを一度に生成する能力を有するシーケンシング技術を指すことができる。次世代シーケンシング技術のいくつかの例は、これらに限定されないが、合成によるシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング、およびハイブリダイゼーションによるシーケンシングを含む。より具体的には、IlluminaのMISEQ、HISEQおよびNEXTSEQシステムならびにLife Technologies CorpのPersonal Genome Machine(PGM)およびSOLiDシーケンシングシステムは、全または標的化ゲノムの超並列シーケンシングを提供する。SOLiDシステムおよび関連するワークフロー、プロトコール、化学等は、「Reagents,Methods,and Libraries for Bead-Based Sequencing」というタイトルのPCT公開第WO2006/084132号、国際出願日2006年2月1日、「Low-Volume Sequencing System and Method of Use」というタイトルの米国特許出願第12/873,190号、2010年8月31日出願、および「Fast-Indexing Filter Wheel and Method of Use」というタイトルの米国特許出願第12/873,132号、2010年8月31日出願により詳細に記載されており、これらの出願の各々の全体が該出願への参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
「インビトロディスプレイ」という用語は、表現型と、表現型の配列をコード化する遺伝子型とを非共有結合または共有結合によって結合させることによって、表現型を遺伝子型とともに表示するシステムを指すことができる。インビトロディスプレイの非限定的な例は、mRNAディスプレイ、PDディスプレイ、STABLE(非共有結合DNAディスプレイ)、マイクロビーズ/液滴ディスプレイ、共有結合DNAディスプレイ、ファージディスプレイおよびリボソームディスプレイを含む。インビトロディスプレイは、試験管内で再構成された複製系を使用して活性種の濃縮および増幅(選択)を可能にすることができる。インビトロディスプレイシステムの大きな利点は、多種多様な標準的な、非標準的なペプチドまたはそれらの組み合わせを包含するライブラリを介して検索することを可能にし、原核生物および真核生物の培地としての使用を回避し、高度に活性な生理学的物質(例えば、ペプチド)の選択を可能にすることである。インビトロディスプレイは、10の13乗の多様性を有するライブラリを検索することを可能にすることができる。いくつかの実施形態ではmRNAディスプレイが例として説明されるが、代わりにインビトロディスプレイが使用されることができる。
【0060】
「RNAディスプレイ」または「mRNAディスプレイ」という用語は、発現されたタンパク質またはペプチドがそれらのコード化核酸に共有結合または非共有結合相互作用によって結合されて「mRNA/DNA-ペプチドコンジュゲート」分子を形成するインビトロ技術を指すことができる。mRNA/DNA-ペプチドコンジュゲートのタンパク質またはペプチド成分は、所望の結合標的への結合の候補として選択され、候補タンパク質またはペプチドの同一性は、付着したコード化mRNA成分のシーケンシングによって決定される。
【0061】
「フレキシザイム」という用語は、アミノアシル-tRNAシンセターゼとして開発された人工RNA触媒を指すことができる。フレキシザイムは、ジニトロベンジルフレキシザイム(dFx)、増強フレキシザイム(eFx)、アミノフレキシザイム(aFx)などの名称でも知られている。フレキシザイムは、アミノ酸が反応するカルボニル基、アミノ酸の側鎖もしくは脱離基における芳香環、またはリンカーの3’末端におけるACC-3’配列を認識することによって、弱く活性化されたアミノ酸を基質として使用して、3’末端におけるアデノシンのアミノアシル化を触媒することができる。
【0062】
「大環状ペプチド」または「大環状分子」という用語は、4、5、6、7、8、9、10、11、12個、またはそれ以上のアミノ酸の大環状構造、またはそれに由来する任意の中間範囲もしくは値を含むペプチドを指すことができる。本明細書で使用される場合、「大環状構造」は、直鎖状ペプチドに形成された閉環構造を指す。環構造は、少なくとも2つのアミノ酸残基によって分離された2つのアミノ酸を直接またはリンカーを介して結合することによって形成されることができる。大環状ペプチドまたは大環状分子は、1、2、3、4、5個またはそれ以上の環を含むことができる。
【0063】
「Ct(サイクル閾値)」という用語は、蛍光信号が閾値を超える(例えば、バックグラウンドレベルを超える)のに必要なサイクル数を指すことができる。Ctレベルは、サンプル中の候補核酸の量に反比例する(すなわち、Ctレベルが低いほど、サンプル中の候補核酸の量が多い)。
【0064】
標的結合選択において使用される「選択」という用語は、集団中の他の分子から分子を実質的に分離することを指すことができる。本明細書で使用される場合、「選択」ステップは、選択ステップ後の集団中の望ましくない分子と比較して、所望の分子の少なくとも2倍、好ましくは30倍、より好ましくは100倍、最も好ましくは1000倍の濃縮を提供することができる。本明細書に示されるように、選択ステップは、任意の回数繰り返されてもよく、および/または異なるタイプの選択ステップが所与の手法で組み合わされてもよい。
【0065】
標的結合候補の発見
【0066】
本明細書に記載の様々な方法およびシステムの実施形態は、所望の標的に結合するための選択においてペプチド候補を検出するための改善された多重化方法を可能にする。例えば、RNAディスプレイ法がここで使用されることができる。RNAディスプレイは、一般に、タンパク質またはペプチドの発現を伴い、発現されたタンパク質またはペプチドは、それらのコード化mRNAに共有結合または緊密な非共有結合相互作用によって結合され、RNA/タンパク質融合分子を形成する。RNA/タンパク質融合物のタンパク質またはペプチド成分は、所望の標的への結合のために選択されることができ、タンパク質またはペプチドの同一性は、付着したコード化mRNA成分のシーケンシングによって決定されることができる。
【0067】
図1は、様々な実施形態にかかる、所望の標的に結合するためのDNA含有組成物の複数のライブラリをスクリーニングするための一般的な概略的ワークフローの非限定的な例示的な実施形態を示している。
【0068】
ワークフロー100は、ステップ110において、出発核酸ライブラリ(例えば、マルチウェルプレート内のウェル)を取得することと、出発核酸ライブラリを、それらの対応する核酸によってコード化されるペプチドライブラリに翻訳して、ヌクレオチド含有コンジュゲートのライブラリを生成することと、を含むことができる。出発核酸ライブラリは、少なくとも、最大で、または約10、100、10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1016、1017、1018、1019、または1020(またはそれに由来する範囲の任意の中間数)個のコンジュゲートを含むことができる。出発核酸ライブラリは、設計優先で選択されることができる。例えば、出発核酸ライブラリは、低い存在量のコンジュゲートを有するように選択されることができ、約10、100、または10(またはそれに由来する範囲の任意の中間数)個のコンジュゲートを含むことができる。出発核酸ライブラリは、中程度の存在量のコンジュゲートを有するように選択されることができ、約10、10、10、10、10、または10(またはそれに由来する範囲の任意の中間数)個のコンジュゲートを含むことができる。出発核酸ライブラリは、高い存在量のコンジュゲートを有するように選択されることができ、約1010、1011、1012、1013、または1014(またはそれに由来する範囲の任意の中間数)個のコンジュゲートを含むことができる。
【0069】
いくつかの実施形態によれば、ワークフロー100は、インビトロ翻訳混合物を添加することによってRNAをペプチドに翻訳する。例えば、インビトロ翻訳混合物は、tRNAを標準アミノ酸によってチャージするリボザイム、tRNAを非標準アミノ酸によってチャージするリボザイム、またはそれらの組み合わせ、例えば標準アミノ酸を付加するためのアミノアシル-tRNAシンテターゼ(aaRSもしくはARS、またはtRNAリガーゼとも呼ばれる)、非標準アミノ酸を付加するためのフレキシザイム、またはそれらの組み合わせを含む。インビトロ翻訳反応中、mRNA分子は、3’末端に融合したペプチドアクセプター(例えば、ピューロマイシン)を介してそれらのペプチド生成物に共有結合するようになる。追加の実施形態および代替の実施形態では、ヌクレオチド含有コンジュゲートは、mRNAを対応するペプチドに結合するリンカーを含むことができる。
【0070】
ペプチドは、直鎖、ステープル、環状、またはそれらの組み合わせとすることができる。特定の実施形態では、環状ペプチドは、大環状ペプチドである。大環状ペプチドは、1、2、3個、またはそれ以上の環を有することができる。大環状ペプチドは、単環ペプチド、二環ペプチドもしくは四環ペプチド、またはそれらの組み合わせを含むことができる。ヌクレオチド含有コンジュゲートのライブラリは、mRNA表示ペプチドとしてペプチドにコンジュゲートしたRNAを含むことができる。
【0071】
ワークフロー100は、ステップ120において、ヌクレオチド含有コンジュゲートのインビトロ逆転写およびインビトロ逆転写産物の脱塩を含むことができる。例えば、ワークフロー100は、mRNA-ペプチドコンジュゲートに逆転写混合物を加えることによって、DNA-mRNA-ペプチドコンジュゲートを生成する。ワークフロー100は、得られたDNA-mRNA-ペプチドコンジュゲートを脱塩カラムに移して塩および他の小分子を除去し、その結果、脱塩ライブラリが生成される。脱塩ライブラリは、標的結合候補ペプチドを検出するために選択ラウンドに投入されることができる。
【0072】
ワークフロー100は、ステップ130において、入力ライブラリからの標的結合候補の選択を含むことができる。入力ライブラリは、インビトロ逆転写および脱塩後のヌクレオチド含有コンジュゲートを含むことができる。各選択は、所望の標的分子に結合する候補結合剤の正の選択、所望の標的分子なしで支持体に結合するライブラリを除去する負の選択、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0073】
例えば、標的分子は、アガロースビーズなどの固体支持体に結合される。標的分子は、固体基質に直接結合される。別の実施形態では、標的分子が最初に修飾、例えばビオチン化され、次いで修飾標的分子が修飾を介してビーズなどの固体基質に結合される。固体支持体の非限定的な例は、ストレプトアビジン(SA)-M280、ニュートラアビジン-M280、SA-M270、NA-M270、SA-MyOne、NA-MyOne、SA-アガロース、およびNA-アガロースを含む。追加の実施形態および代替の実施形態では、固体支持体は、磁気ビーズ、例えばDynabeads(登録商標)をさらに含む。そのような磁気ビーズは、磁石を使用するアッセイ混合物からの固体支持体および任意の結合したヌクレオチド含有コンジュゲートの分離を可能にする。
【0074】
負の選択では、入力ライブラリが空のビーズと完全に混合されることができる。入力ライブラリからの任意のビーズ結合部材が除去されることができる。いくつかの実施形態では、第1の選択ラウンドは、負の選択をスキップする。
【0075】
正の選択では、入力ライブラリが、固体支持体に結合した1つまたは複数の標的分子、例えば1つまたは複数の標的分子上に表示されたタグを捕捉するビーズによってインキュベートされることができる。例えば、プルダウンアッセイが実施されて、未結合ヌクレオチド含有コンジュゲートを洗い流し、標的タンパク質に結合したビーズ、すなわち、正のビーズから候補バインダーを溶出することができる。
【0076】
核酸成分の増幅の前に、標的結合ヌクレオチド含有コンジュゲートが固体支持体から溶出されることができる。任意の利用可能な溶出方法が企図される。代替的または追加的に、標的結合ヌクレオチド含有コンジュゲートは、高温、例えば沸騰で溶出されることができる。代替的または追加的に、標的結合ヌクレオチド含有コンジュゲートは、アルカリ条件、例えば、約8.0、8.5、9.0、9.5、10.0のpH、またはそれに由来する任意の中間範囲もしくは値を使用して溶出される。追加の実施形態および代替の実施形態では、標的結合ヌクレオチド含有コンジュゲートは、酸条件を使用して、例えば、約3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0のpH、またはそれに由来する任意の中間範囲もしくは値を使用して溶出される。
【0077】
例えば、正のビーズがPCRプレートに移され、密封され、煮沸されることができる。次いで、正のビーズが冷却され、磁気プレートに移されることができる。磁性プレートからの上清が除去され、ヌクレオチド含有コンジュゲートのさらなる分析のために新たなPCRプレートに移されることができる。
【0078】
ワークフロー100は、ステップ140において、入力ライブラリからの選択された標的結合候補の増幅を含むことができる。例えば、選択された標的結合候補は、DNA-RNA-ペプチドコンジュゲートである。ワークフロー100は、選択された標的結合候補中のDNAをPCRによって増幅し、増幅産物を次の選択ラウンドについて入力として使用するか、またはシーケンシングによって分析する。
【0079】
ワークフロー100は、ステップ140において、DNA増幅のための選択された標的結合候補を定量化および正規化する。ワークフロー100は、例えば定量的PCR(qPCR)によって、選択された標的結合候補中のDNA濃度を測定する。ワークフロー100は、正規化のためにqPCRデータを収集および分析して、次の選択ラウンドにおいて使用される適切なDNA濃度を確実にする。例えば、ワークフロー100は、qPCRによって各選択された標的結合候補についてCt値を収集し、PCRを使用して各選択された標的結合候補を増幅するための適切なPCRサイクルを決定するために使用されることができる。
【0080】
追加の実施形態および代替の実施形態では、選択された標的結合候補中のRNAが増幅されて、より多くのRNAを産生することができる。RNA複製の任意の利用可能な方法が、例えば、RNAレプリカーゼ酵素を使用して企図される。別の実施形態では、溶出された標的結合候補中のRNAは、PCRによって増幅される前にcDNAに転写されることができる。
【0081】
ステップ140は、増幅のための選択された標的結合候補の定量化および正規化を含むことができ、これは、追加の正規化ワークフローおよび代替の正規化ワークフローならびにより詳細に図2図8においてさらに例示されることができる。定量化および正規化結果の可視化は、可視化ワークフローおよび図9図14においてより詳細に説明されることができる。
【0082】
ワークフロー100は、ステップ150において、入力ライブラリからの標的結合候補の反復選択を含むことができる。PCR増幅プールは、最大親和性標的結合候補を濃縮するための1回または複数回の選択、例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回またはそれ以上の選択に供されることができる。選択および増幅のプロセスは、ライブラリが所望の特性を有する候補によって支配されるまで繰り返される。必要な反復回数は、出発ライブラリの多様性および選択ステップにおいて達成される濃縮度に依存する。
【0083】
ステップ150において、増幅DNAヌクレオチドがmRNAに転写され、次いでペプチドに翻訳されて、ステップ110、120、130、および140の別のラウンド選択についてヌクレオチド含有コンジュゲートの追加のライブラリを産生することができる。
【0084】
追加的または代替的に、核酸配列は、増幅DNAに突然変異を導入し、それによって選択された核酸配列にさらなる多様性を導入する条件下で増幅されることができる。DNA分子のこの変異プールは、さらなるラウンドの選択に供されることができる。
【0085】
追加的または代替的に、核酸のPCR増幅プールが、任意の利用可能なシーケンシング方法を使用してシーケンシングされて、選択された全てのヌクレオチド含有コンジュゲートの核酸配列、例えば次世代シーケンシング(NGS)を決定することができる。選択されたヌクレオチド含有コンジュゲートの配列同一性は、選択されたヌクレオチド配列の標的結合親和性の検証にさらに使用されることができる。
【0086】
III.ヌクレオチド含有ライブラリの正規化
本明細書中に記載される様々な方法およびシステムの実施形態は、インビトロディスプレイを使用する標的結合選択の改善された信頼性の高い定量的評価を可能にする。特に、本明細書に記載の実施形態は、あるラウンドから別のラウンドまでのシミュレーション選択の進行および成功または失敗を追跡することを可能にする。本明細書に記載の方法およびシステムは、堅牢で再現性があり、標的結合選択のためにヌクレオチド含有ライブラリを正規化するために使用されることができる。
【0087】
正規化は、個々のDNA含有組成物間の次のラウンドへの投入DNAの変動、例えばウェルごとの変動を最小限に抑えるのに役立つ。入力DNAは、潜在的な結合剤のライブラリを生成するために使用されることができ、生成されたライブラリのDNA濃度は、各選択ラウンドにおける実験の一部として測定および記録されることができる。正規化は、各選択ラウンドにおける同時選択の進行および成功/失敗を比較するのに役立つ。
【0088】
1つの非限定的な利点は、本明細書で使用される正規化方法およびシステムが、手動介入の必要性を回避しながら、DNA濃度の任意の可能な組み合わせを入力として数ラウンドの選択の進行を追跡することを可能にすることができることとすることができる。
【0089】
III.A.正規化ワークフロー
様々な実施形態にかかるDNA含有組成物の複数のライブラリを正規化するための非限定的な例示的プロセスを示すために、一般的な概略的ワークフロー200が図2に提供される。そのような正規化は、介入なしに異なる実験間で異なるライブラリのDNA濃度の任意の可能な組み合わせを扱うことができる。例えば、異なる実験は、標的結合候補に対する異なる選択ラウンド、例えばインビトロディスプレイ選択とすることができる。ワークフローは、図2に示されているものよりも多いか少ないかにかかわらず、特徴の様々な組み合わせを含むことができる。したがって、図2は、可能なワークフローの一例を単に示している。ワークフロー200は、例えば、図12に関して説明したシステム1200または同様のシステムを使用して実装されることができる。
【0090】
ワークフロー200は、ステップ210において、所望の標的分子への結合を検出するために選択ラウンドを開始することを含むことができる。選択ラウンドは、翻訳、逆転写、脱塩、および標的分子への結合を検出するための選択、ならびに例えばqPCRによる選択されたヌクレオチド含有組成物の定量によって開始することができる。
【0091】
ワークフロー200は、ステップ220において、標的結合候補を検出するために選択ラウンドからのqPCRデータ収集を含むことができる。ワークフロー200は、選択されたヌクレオチド含有コンジュゲートの各々の少量のサンプルを容器、例えば384ウェルプレートの指定された空間に移すことによってqPCRを行う。様々な実施形態では、qPCRが使用されて、配列特異的DNA増幅とそれに続くDNA濃度測定の反復サイクルを通して所与のサンプル中の候補DNAの濃度を測定する。その後のサイクルの間に、各候補DNAの量は、増幅の指数期の間にほぼ2倍になる。観察されたDNA濃度が最初に一定の閾値を超えるサイクルは、一般に閾値サイクル(Ct)と呼ばれる。これらのCt値は、DNA濃度の定量的評価を表し、その後の分析のための生データとして扱われることが多い。
【0092】
ステップ220において、qPCRデータ収集は、qPCR機械からqPCRデータを受信することと、データ分析を実行することと、データをコンピュータにエクスポートすることと、を含むことができる。様々な実施形態では、最新のqPCRデータがデータベースに転送されて読み出されることができる。1つの選択ラウンドの各サンプルのCt値がqPCRデータから抽出され、図9図14においてより詳細に説明するように同時に可視化されることができる。
【0093】
ワークフロー200は、ステップ230において、複数のDNA含有組成物を選別することを含むことができる。例えば、複数のDNA含有組成物は、それらの各々の定量化情報、例えば、各サンプル(すなわち、DNA含有組成物)のCt値またはCt値に基づいて決定された各サンプルのPCRサイクル数に基づいてビンに選別されることができる。選別は、自動とすることができる。
【0094】
例えば、各ビンは、その後の増幅のために共通のPCRサイクル数を共有して各DNA含有組成物の濃度を正規化するように決定される。各ビンは、例えば、ある範囲内の同じCt値またはある範囲内の同じPCRサイクル数で、同様の濃度のDNA含有組成物をグループ化する。範囲内の同じCt値は、1、2、3、4、または5つの整数値内のCt値、またはそれから導出される任意の範囲または値を指すことができる。範囲内の同じPCRサイクル数は、1、2、3、4、または5つの整数値内のPCRサイクル数値、またはそれに由来する任意の範囲または値を指すことができる。
【0095】
例えば、3Ct値以内のCt値(例えば、9、10、および11のCt)を有する全ての個々のウェルが1つのビンに組み合わせられてもよく、その後の増幅のためにビン全体に対して同じ数のPCRサイクル数(例えば、10PCRサイクル)が適用されてもよい。各ビンには、バーコードなどの識別標識、およびqPCR定量アッセイからのCtなどの定量化情報に基づいて割り当てられた共通のPCRサイクルを有する対応するサンプルが割り当てられることができる。例えば、各ウェルの各PCRサイクル数または割り当てられた共通のPCRサイクルは、所定の式に基づくことができ、例えば、各ウェルの各PCRサイクル数または割り当てられた共通のPCRサイクルは、最も近い整数に丸められたそれぞれのウェルのCtであってもよく、または丸められた整数から整数を加算または減算するそれぞれのウェルのCtであってもよい。いくつかのウェルが類似のCtを有する場合、いくつかのウェルには共通のPCRサイクル数が割り当てられることができるか、または各々が類似のCtに基づいて類似のPCRサイクル数を有し、これらの類似のCt値または類似のPCRサイクル数の範囲に基づいて共通のPCRサイクル数が割り当てられる。いくつかの実施形態では、各ウェルのPCRサイクル数は、同等とすることができるか、または類似のCt値を有するいくつかのウェルによって共有される共通のPCRサイクル数と同等になるように調整されることができる。
【0096】
これらの割り当ては、ワークリストに編成され、液体ハンドラに転送されることができる。液体ハンドラは、サンプルを選択し、選択されたサンプルを、割り当てられた共通のPCRサイクルによってソースプレートからPCR増幅用のプレートに移すことによって、ワークリストを実行することができる。PCR増幅後、液体ハンドラは、そのように増幅されたサンプルをソースプレートの元のウェルに戻すことができる。
【0097】
表1に示されるように、将来の増幅のためのPCRサイクル数は、決定されたqPCR Ct値を使用して決定されることができる(MinおよびMaxは、各ビンにおける最小および最大qPCR Ct値を指す)。表1において、全てのサンプルは、予め決定されたqPCR Ct値にしたがってビンに選別され、各ビンは、将来の増幅のために共通のPCRサイクル数を共有すると決定されたサンプルを有する。例えば、サンプルが13のqPCR Ctを有する場合、それは3番目のビンにあり、以下の表1(「PCRサイクル数」)に示されるように、その後の増幅のために15サイクルのPCRを有するように割り当てられる。
【0098】
表1に示されるように、0から9のqPCR Ctを有する任意のサンプルは、ビン内の全てのサンプルがその後の増幅のために9サイクルのPCRを割り当てられるビンに割り当てられることができる。10から12のqPCR Ctを有する任意のサンプルは、ビン内の全てのサンプルがその後の増幅のために12サイクルのPCRを割り当てられるビンに割り当てられることができる。13から15のqPCR Ctを有する任意のサンプルは、ビン内の全てのサンプルがその後の増幅のために15サイクルのPCRを割り当てられるビンに割り当てられることができる。16から18のqPCR Ctを有する任意のサンプルは、ビン内の全てのサンプルがその後の増幅のために18サイクルのPCRを割り当てられるビンに割り当てられることができる。19から20のqPCR Ctを有する任意のサンプルは、ビン内の全てのサンプルがその後の増幅のために20サイクルのPCRを割り当てられるビンに割り当てられることができる。21から23のqPCR Ctを有する任意のサンプルは、ビン内の全てのサンプルがその後の増幅のために23サイクルのPCRを割り当てられるビンに割り当てられることができる。24から26のqPCR Ctを有する任意のサンプルは、ビン内の全てのサンプルがその後の増幅のために26サイクルのPCRを割り当てられるビンに割り当てられることができる。27から40のqPCR Ctを有する任意のサンプルは、ビン内の全てのサンプルがその後の増幅のために28サイクルのPCRを割り当てられるビンに割り当てられることができる。
【表1】
【0099】
追加の実施形態および代替の実施形態では、選別は、全てのサンプルのPCRサイクル数値範囲を識別することと、各ビンが等しい数のサンプルまたはある範囲内の等しい数のサンプルを有するように、PCRサイクル数値範囲を使用して全てのサンプルを整数個のビンに選別することと、を含むことができる。整数個のビンは、少なくともまたは最大または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上とすることができる。範囲内の等しいサンプル数は、各ビンが等しいサンプル数を有すること、または各ビン間のサンプルのサイズの差が1、2、3、4、5、6、7、または8を超えないことを意味することができる。特定の実施形態では、整数個のビンは、8つのビンであってもよく、8つのビンの各々は等しい数のサンプルを有する。したがって、1つまたは複数の実施形態では、サンプルは、選択された数Nのビンに均一に選別されてもよい。
【0100】
標的結合候補の各選択ラウンドにおいて、各ビンのサイズは、固定または動的とすることができる。いくつかの実施形態では、各ビンのサイズは、選択ラウンドにわたって固定されることができる。他の実施形態では、各ビンのサイズは、PCRサイクル数の範囲がどの程度広く変化するかに応じて変化することができる。例えば、より早いラウンドでは、より広い範囲のPCRサイクル数に基づいて、整数個のビンおよびPCRプレートの各々のより大きなビンサイズが自動的に生成されることができる。しかしながら、後の選択ラウンドでは、データが収束し始めると、整数個のビンおよびPCRプレートの各々は、より狭い範囲のPCRサイクル数に基づいて、はるかに小さいビンサイズ、すなわち、各ビン内のサンプルのより小さいサイズを有することができる。特定の実施形態では、整数は8である。サンプルを多数のビン、例えば8つのビンにわたって広げることは、良好な精度の正規化を達成する。
【0101】
ワークフロー200は、ステップ240において、ワークリスト、例えば、順方向ワークリストおよび逆方向ワークリストの生成を含むことができる。ワークフロー200は、各ビンに2つのワークリストを割り当てる。順方向ワークリストは、ビンの割り当てられた共通のPCRサイクル数に基づいてPCRを行うために、ソースプレートの元のウェルからPCRプレート内に選択されるべき1つのビンのサンプルについての指示を有する。例えば、ソースプレートは、同じCt値を有し、同じビン(例えば、A5、B5およびD5は、96ウェルプレートのA、BおよびD行目ならびに5列目を指す)に選別される個々のウェルA5、B5、およびD5を有することができる。順方向ワークリストは、同じビン、すなわちウェルA5、B5、およびD5からのサンプルを、後続のPCR増幅のために同じPCRプレートに選択するために生成されることができる。逆方向ワークリストでは、PCR増幅後にサンプルがソースプレートの元のウェルに戻されることができる。
【0102】
ワークフロー200は、ステップ250において、順方向ワークリストの実行を含むことができる。例えば、ワークフロー200は、PCRプレートを取得し、PCRプレートに任意のバーコードを割り当てる。順方向ワークリストは、液体ハンドラがソースプレート内の元のウェルから対応するPCRプレートにサンプルを移送するために実行されることができる。増幅のために共通のPCRサイクル数を共有する各ビンは、特定のバーコードを有する対応するPCRプレートに割り当てられてもよく、割り当てはデータベースに保存されてもよい。したがって、1つまたは複数の実施形態では、単一のPCRプレートは、増幅のために共通のPCRサイクル数を共有するサンプルのみを受け取ることができる。
【0103】
ワークフロー200は、ステップ260において、順方向ワークリストにしたがってPCR増幅を行うための命令を作成し、サーモサイクラーに送信することを含むことができる。命令は、各ビンの共通のPCRサイクル数に基づく。命令は、各PCRプレートのバーコードをデータベースと照合し、どのバーコードがPCRの準備ができているかをPCRサーモサイクラーに通知することができる。例えば、単一のビン内のサンプルのプレートが対応するPCRプレートに移送されると、ワークフロー200は、対応するPCRプレートをPCRサーモサイクラーに移動させ、指定されたファイルをPCRプレートのバーコードによって更新することができる。データベースは、対応するビンと一致するバーコードのリストを含むファイルを有することから、PCRサーモサイクラーは、データベースにアクセスしてファイルを読み取り、どのバーコードがサーモサイクラーのPCRプレートにロードされたかを確認し、データベースと比較して、定量化からの対応するCt数および増幅のための割り当てられた共通のPCRサイクル数で一致するビンを識別することができる。命令はまた、PCRプレートのバーコードとサンプルのビンとの間の一致にしたがって、対応するサンプルに対して何サイクルのPCR(すなわち、増幅のために割り当てられた共通のサイクル数)を実行するかについてサーモサイクラーを更新することができる。
【0104】
ワークフロー200は、ステップ270において、逆方向ワークリストを実行して、処理されたサンプルをソースプレートに戻すことを含むことができる。PCRの後、逆のワークリストが実行されて、各元のウェルの増幅DNAが生成されるように、PCRプレート内の増幅されたサンプルなどの処理されたサンプルをソースプレートの元のウェルに戻すことができる。
【0105】
例えば、ワークフロー200は、最初にデータベースからワークリストを受信し、ワークリスト1および2を実行して、元のウェルから対応するPCRプレートにサンプルを移送することができる。ワークフロー200は、PCRサーモサイクラーに移されたPCRプレートを有することができる。ワークフロー200は、バーコード1および2ならびにそれらの対応するPCRプレートがPCR増幅の準備ができていることをPCRサーモサイクラーに通知することができる。PCRサーモサイクラーは、第1および第2のビン内のサンプルのいくつのPCRサイクルがPCRプレート1および2と一致するかをチェックし、次いで対応するPCRサイクルを実行して第1および第2のビン内のサンプルを増幅することができる。逆方向ワークリスト1および2が実行されて、増幅されたサンプルをソースプレートの元のウェルに戻すことができる。次いで、ワークフロー200は、バーコード3および4のワークリストが存在するかどうかをチェックし、存在する場合、ワークリスト1および2について上記のステップを繰り返すことができる。ワークフロー200は、同時にいくつの異なるPCR反応が実行されることができるかに応じて、ワークリストを一度に1つ、一度に2つ、一度に3つ、一度に4つ、一度に5つ、一度に6つまたはそれ以上受信して実行することができる。
【0106】
ワークフロー200は、ステップ280において、このラウンドを終了し、別のラウンドの選択を繰り返すことを含むことができる。後続の選択ラウンドは、ステップ210、220、230、240、250、260、および270を含む同じワークフロー200を含むことができる。
【0107】
図3A図3Cは、正規化ワークフロー300の非限定的な例示的な実施形態を示すグラフである。正規化ワークフロー300は、所望の標的への結合のための正の選択または所望の標的分子なしで支持体に結合するライブラリを除去するための負の選択の後、各選択ラウンド(最後の選択ラウンドを除く)の最後に繰り返されることができるため、選択後により多くのDNAを有するライブラリは、全てのライブラリのDNA濃度を正規化するために増幅のためにより多くのPCRサイクルを行うように決定される。
【0108】
図3Aにおいて、正規化ワークフロー300は、図1に示されるように、DNAを含有する入力ライブラリ310を、mRNAディスプレイおよび標的結合選択後の標的結合結果を有するライブラリ320に変換することを含む。個々のウェル中のDNAの量は、例えばヒートマップにおいて、異なるグレードの陰影、異なる色、異なるパターン、またはそれらの組み合わせとして同時に可視化されることができる。
【0109】
図3Bにおいて、標的結合結果を有するライブラリ320中のDNA濃度がqPCRによって測定され、異なるウェルにわたって正規化される。正規化ワークフロー300のステップ330において、qPCRの後、図3Aの各ライブラリ320(例えば、マルチウェルプレート内の各ウェル)のPCRサイクルがCt値として計算され、対応するウェルと一致するようにエクスポートされることができる。例えば、予め設定された基準が使用されて、Ct値から所定の数を加算または減算することに基づいて、任意のサンプルのPCRサイクル数を割り当てることができる。
【0110】
正規化ワークフロー300のステップ340において、PCR定量からの範囲内の同じCt値を有するウェル、またはある範囲内の将来の増幅のための同じPCRサイクル数でウェルが、5つのビンにグループ化されることができる。例えば、第1のビンは、ウェルA6、B5およびD5を有し、それらは全て9のqPCR Ctを有する。第2のビンは、ウェルE5、F5、G5、およびH5を有し、それらは全て12のqPCR Ctを有する。第3のビンは、15および18の同様のqPCR Ctを有するいくつかのウェルを有する。第4のビンは、18、20、および23の同様のqPCR Ctを有するいくつかのウェルを有する。第5のビンは、23および26のqPCR Ct数を有するいくつかのウェルを有する。各ビン群は、ある範囲内の同じCt値とコンジュゲートし、その後の増幅のために共通のPCRサイクルを共有して、同じビン内の全てのライブラリおよび異なるビンにわたってDNA量を正規化するように決定される。
【0111】
350において、対応するPCRプレートに移すためにソースプレートの元のウェルから一ビンのサンプルを選択するように指示する順方向ワークリストおよびソースプレートの元のウェルにサンプルを送り返すように指示する逆方向ワークリストが、例えばデータベースによって生成されることができる。
【0112】
正規化ワークフロー300のステップ360において、各ビンは、割り当てられたバーコードを有する対応するPCRプレートに割り当てられることができる。例えば、最低のCt範囲または値を有するビンに1のバーコードが割り当てられることができる。順方向および逆方向ワークリストなどのワークリストは、そのビン内のサンプルのリストを有するバーコードを使用して生成されることができる。次いで、このプロセスは、全てのビンについて繰り返すことができる。2番目に低いCt範囲または値を有するビンは、2のバーコードを有することができ、3番目に低いCt範囲または値を有するビンは、3のバーコードを有することができ、最も高いCt範囲または値を有するビンには、ビンの総数であるNのバーコードが割り当てられるまで続く。ビンの数は、qPCRデータに応じて、少なくとも、およそ、または最大で5、6、7、8、9、10、またはそれに由来する任意の範囲もしくは値とすることができる。これは、バーコード割り当ておよび対応するバーコードへのビンの割り当てを伴う動的プロセスとすることができる。
【0113】
全てのビンにPCRプレートのバーコードが割り当てられ、全てのワークリストが生成された後、ワークリストにアクセスし、ワークリストにしたがって増幅のためにPCRプレートを処理するように指示するために、液体ハンドラなどのデバイスのためにワークリストが保存されることができる。例えば、増幅のための同様の一般的なPCRサイクル数でビンが一緒に処理されることができる。第1のビンは、増幅のために9の割り当てられた共通のPCRサイクル数でことができる。第2のビンは、増幅のために12の割り当てられた共通のPCRサイクル数でことができる。第3のビンは、増幅のために15の割り当てられた共通のPCRサイクル数でことができる。第4のビンは、増幅のために18の割り当てられた共通のPCRサイクル数でことができる。第5のビンは、増幅のために18の割り当てられた共通のPCRサイクル数でことができる。処理は、低いPCRサイクル数から高いPCRサイクル数まで行うことができ、例えば、バーコード1および2を有するPCRプレートが一緒に処理されることができ、バーコード3および4を有するPCRプレートが一緒に処理されることができ、バーコード5を有するPCRプレートが続いて処理されることができる。
【0114】
本開示の1つの非限定的な利点として、低いPCRサイクル数でビン内のサンプルは、増幅後に高いPCRサイクル数でビン内のサンプルと同様の量のDNAを有するように増幅されるため、ウェル間の変動が最小限に抑えられることができる。
【0115】
370において、順方向ワークリストは、各ビン内のサンプルをソースプレート内のそれらの元のウェルから割り当てられた対応するPCRプレートに移送し、各ビンに対して割り当てられた共通のPCRサイクル数にしたがってPCRを行うために、液体ハンドラによって実行されることができる。PCRの後、逆方向ワークリストは、増幅DNAを含有する処理されたサンプルをソースプレート内の各々の元のウェルに戻すために液体ハンドラによって実行されることができる。
【0116】
図3Cにおいて、ワークフロー300は、全てのウェルにわたる範囲内の同じDNA濃度を有することができる正規化ライブラリ380を生成し続ける。正規化ライブラリ380は、その後の選択ラウンドにおいて入力DNA390として使用されることができるか、またはシーケンシング分析に使用されることができる。
【0117】
III.B.例示的な正規化方法
DNA含有組成物の複数のライブラリを正規化するための方法が提供される。本方法は、コンピュータソフトウェアまたはハードウェアを介して実装されることができる。本方法はまた、DNA含有組成物の複数のライブラリを正規化するためのエンジンの組み合わせを含むことができるコンピューティングデバイス/システム上で実装されることもできる。様々な実施形態では、コンピューティングデバイス/システムは、直接接続またはインターネット接続を介して、データソース、サンプル分析装置(例えば、ゲノム配列分析装置)、および表示デバイスのうちの1つまたは複数に通信可能に接続されることができる。
【0118】
III.B.1.PCRを行うための正規化
ここで図4を参照すると、様々な実施形態にかかる、正規化のための非限定的な例示的な方法400を示すフローチャートが開示される。方法400は、ステップ402において、第1の選択ラウンドについてDNA含有組成物の複数のライブラリの各々についての定量化情報を受信することを含むことができる。例えば、ライブラリの各々は、DNAコンジュゲートを含み、第1の選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいてDNAコンジュゲートが選択される。例えば、DNAコンジュゲートは、ペプチド、例えば大環状分子を含む。DNAコンジュゲートは、直鎖もしくは環状ペプチド、またはそれらの組み合わせなどのペプチドを含むことができる。環状ペプチドは、大環状分子を含むことができる。大環状分子は、1個、2個、3個、もしくはそれ以上の環、またはそれらの組み合わせを有することができる。例えば、定量化情報は、定量的PCR(qPCR)のサイクル閾値(Ct)を含む。
【0119】
方法400は、ステップ404において、定量化情報を使用して各ライブラリに特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することを含むことができ、各ライブラリのDNA含有組成物は、対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に関連する予め設定された量のDNAを産生するように決定される。DNAの量がより少ないウェルは、qPCRによって決定されるCtがより高く、DNAの量がより少ないウェルとDNAの量がより多いウェルとの間の差を正規化するために、増幅においてより多くのPCRサイクル数で必要がある。
【0120】
方法400は、ステップ406において、ステップ404においてそのように決定された対応するPCRサイクル数を使用して、DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することを含むことができる。各ビンは、DNA増幅のための共通のPCRサイクル数を共有すると決定されたDNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットを含むことができる。同じビンにあるDNA含有組成物のライブラリの各サブセット中のライブラリは、ライブラリの他のビンとは異なる共通のPCRサイクル数を共有する。このようにして、各ビンに固有のPCRサイクル数が割り当てられることができる。例えば、ビンのうちの少なくとも1つは、DNA含有組成物の2つ以上のライブラリ、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のライブラリを含むため、同様のPCRサイクル数でライブラリが同じビンにグループ化されて、将来の増幅のために共通のPCRサイクル数を割り当てることができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、ビンのいずれか1つのDNA含有組成物のライブラリの各々は、同じビンに対して対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に、同じまたは類似の量の増幅DNAを産生するように決定される。したがって、本方法は、各ビンおよび異なるビンにわたって同じまたは類似の量のDNAが存在するように、異なるビンごとに異なるPCRサイクル数を決定することによって、各ビンの組成を正規化することができる。いくつかの実施形態では、同じまたは類似の量のDNAは、所定の範囲内の量、例えば、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%未満だけ異なる量のDNAを有することができる。所定の範囲は、Ct値のビニングに基づいて決定されることができ、例えば、ビン内の全てのコンジュゲートのCt値により多くの分散がある場合、所定の範囲はより高い。
【0122】
方法400は、対応するPCRプレート上で対応する共通のPCRサイクル数で同じビンのDNA含有組成物に対してPCR増幅を行うために、各ビンを、対応するPCRプレートと相関させることをさらに含むことができる。
【0123】
方法400は、ステップ408において、同じビンのDNA含有組成物のライブラリのサブセットに対して対応する共通のPCRサイクル数でビンの1つに対して、同じランで、PCRを同時に行うようにサーモサイクラーに指示することを含むことができる。方法400は、追加の増幅DNAを産生するために、追加の対応する共通のPCRサイクル数で追加のビンのDNA含有組成物の各々に対して、同時にPCRを行うようにサーモサイクラーに指示することをさらに含むことができる。
【0124】
方法400は、増幅DNA含有組成物を生成するために、対応する共通のPCRサイクル数で同じビンのDNA含有組成物に対してPCRを行うための、ソースプレートの元の位置からPCRプレートに移される各ビンのDNA含有組成物に対応する第1のリストを含む順方向ワークリストを生成することをさらに含むことができる。方法400は、PCRプレートからソースプレートの元の位置(ウェル)に戻される増幅DNA含有組成物に対応する第2のリストを含む逆方向ワークリストを生成することをさらに含むことができる。
【0125】
方法400は、ステップ410において、DNA含有組成物の複数のライブラリがサンプル間の変動を最小限に抑えるように正規化されるように、対応する共通のPCRサイクル数で追加のビンの各々に対してPCRを行うようにサーモサイクラーに指示することを含むことができる。正規化ライブラリは、インビトロ翻訳、逆転写、所望の標的または空ビーズによるインキュベーション、非結合剤の洗浄、推定結合剤の溶出、および本明細書に記載の正規化による候補結合剤の増幅を含む次の選択ラウンドを開始することができる。
【0126】
III.B.2.標的タンパク質への結合親和性について候補DNAコンジュゲートを識別するための正規化
ここで図5を参照すると、様々な実施形態にかかる、標的結合選択における正規化のための非限定的な例示的方法500を示すフローチャートが開示される。本方法は、標的タンパク質に対する結合親和性についての候補DNAコンジュゲートを識別するために使用されることができる。本方法は、ステップ502において、第1の選択ラウンドについてDNA含有組成物の複数のライブラリの各々についての定量化情報を受信することを含むことができ、各ライブラリは、DNAコンジュゲートを含み、第1の選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいてDNAコンジュゲートが選択される。
【0127】
本方法は、ステップ504において、定量化情報を使用して各ライブラリに特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することを含むことができ、各ライブラリのDNA含有組成物は、対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に関連する予め設定された量のDNAを産生するように決定される。
【0128】
本方法は、ステップ506において、DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することを含むことができ、各ビンは、DNA増幅のための共通のPCRサイクル数を共有すると決定されたDNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットを含み、同じビン内のDNA含有組成物のライブラリの各サブセットは、ライブラリの他のビンのものとは異なる共通のPCRサイクル数を共有する。いくつかの実施形態では、ビンのうちの少なくとも1つは、DNA含有組成物の2つ以上のライブラリ、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のライブラリを含む。いくつかの実施形態では、ビンのいずれか1つのDNA含有組成物のライブラリの各々は、同じビンに対して対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に、実質的に同一の量の増幅DNAを産生するように決定される。したがって、本方法は、各ビンおよび異なるビンにわたって同じまたは類似の量のDNAが存在するように、異なるビンごとに異なるPCRサイクル数を決定することによって、各ビンの組成を正規化することができる。いくつかの実施形態では、同じまたは類似の量のDNAは、所定の範囲内の量、例えば、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%未満、またはそれに由来する任意の範囲もしくは値だけ異なる量のDNAを有することができる。
【0129】
方法は、ステップ508において、同じビンのDNA含有組成物のライブラリのサブセットに対して対応する共通のPCRサイクル数でビンの1つに対して、同じランで、PCRを同時に行うようにサーモサイクラーに指示することを含むことができる。
【0130】
本方法は、ステップ510において、サンプル間の変動を最小限に抑えるために、DNA含有組成物の複数のライブラリが正規化されて、ライブラリの各々について増幅DNAを生成するように、対応する共通のPCRサイクル数で追加のビンの各々に対してPCRを行うようにサーモサイクラーに指示することを含むことができる。
【0131】
本方法は、ステップ512において、各ライブラリについて増幅DNAから標的タンパク質に対する結合親和性についての候補DNAコンジュゲートを識別するようにシーケンサーに指示することを含むことができる。候補DNAコンジュゲートは、次世代シーケンシングなどの任意の利用可能なシーケンシング方法によって識別されることができる。例えば、シーケンサーは、次世代シーケンシングシステムを含むことができる。
【0132】
III.B.3.動的ビニングを使用したPCR増幅のための正規化
ここで図6を参照すると、様々な実施形態にかかる、DNAを含有する複数のサンプルに対するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅プロセスを正規化するための非限定的な例示的方法600を示すフローチャートが示されている。方法600は、図1のワークフロー100のステップ140において実行されることができる正規化のための実装形態の一例とすることができる。1つまたは複数の実施形態では、方法600は、例えば、後述する図12のコンピューティングデバイス/分析サーバ1206などのコンピューティングシステムを使用して実装されることができる。場合によっては、方法600は、コンピューティングシステムの1つまたは複数のエンジン(例えば、上記の図12のPCRサイクル数エンジン1208、選別エンジン1210、および増幅エンジン1212のうちの1つまたは複数)を使用して実装されることができる。
【0133】
方法600は、ステップ602において、複数のサンプルのPCR増幅プロセスを実行するためのサイクルデータを識別するステップを含むことができ、サイクルデータは、複数のサンプルの各サンプルの対応するサイクル数(Ct)を含む。複数のサンプルは、複数のライブラリとも称されることがある。複数のサンプルは、例えば、DNA含有組成物を含むことができる。サイクルデータは、PCRサイクルデータとも称されることがある。1つまたは複数の実施形態では、サイクルデータは、qPCRシステムから受信される。他の実施形態では、サイクルデータは、qPCRシステムから受信した初期サイクルデータを使用して生成され、初期サイクルデータは、複数のサンプルの各サンプルの初期サイクル数を含む。ステップ602は、複数のサンプルのうちの少なくとも1つのサンプルの初期サイクル数を修正することを含むことができる。例えば、場合によっては、複数のサンプルのうちの少なくとも1つのサンプルは、「未決定」またはヌル値を有する初期サイクル数でことができる。ステップ602は、少なくとも1つのサンプルの初期サイクル数を予め選択されたサイクル数(例えば、複数のサンプルの最小サイクル数と同じサイクル数、3サイクル、5サイクル、10サイクル、または何らかの他のサイクル数)に変更することを含んでもよい。
【0134】
いくつかの実施形態では、ステップ602は、複数のサンプルの各初期サイクル数に選択された数のサイクルを追加すること、各非整数サイクル数を整数サイクル数に変換すること(例えば、次の整数に切り上げる)、またはその双方を含むことができる。追加される選択されたサイクル数は、例えば、1、2、3、4、5、または他のいくつかのサイクル数であってもよい。一例では、12.2のサイクル数は、12であるサイクル数の「整数」部分を使用して、または13である最も近い整数に切り上げることによって整数値に変換される。
【0135】
他の実施形態では、ステップ602は、例えば、qPCRシステムから受信されるDNA量などの何らかの他の形態のデータからサイクルデータを導出することを含むことができる。
【0136】
方法600は、ステップ604において、複数のビンの各ビン内のサイクル数変動が低減されるように、サイクルデータに基づいて複数のサンプルを複数のビンに選別することを含むことができる。ステップ604は、いくつかの異なる方法のいずれかで実行されることができる。1つまたは複数の実施形態では、ステップ604は、サイクルデータ内のサイクル数の選択された範囲に基づいて、複数のサンプルを複数のビンに実質的に均一に分配することによって実行されてもよい。実質的に均一に分配することは、ほぼ同じ数(例えば、同じ数の1つ、2つ、3つ、または4つ以内)のサンプルが各ビンに割り当てられるように、複数のサンプルを複数のビンに選別することを指すことができる。
【0137】
サイクル数の選択された範囲は、例えば、サイクルデータにおける最小サイクル数とサイクルデータにおける最大サイクル数との間であってもよい。別の例として、サイクル数の選択された範囲は、選択された低サイクル数(例えば、3、6、5、6などのサイクル数)と選択された高サイクル数(例えば、23、24、25、26、27などのサイクル数)との間およびそれらを含むことができる。各ビン内のサイクル数の変動は、互いに同じサイクル数またはサイクル数の選択された範囲(例えば、1、2、3、5、6サイクル以内など)内の対応するサイクル数でサンプルを同じビンに割り当てることによって低減されることができる。
【0138】
1つまたは複数の実施形態では、ステップ604は、最初にサイクルデータ内の各非整数サイクル数を整数サイクル数に変換して修正サイクルデータを形成することによって実行されてもよい。非整数サイクル数(例えば、13.2)は、最も近い整数(例えば、14)に切り上げられてもよい。場合によっては、非整数サイクル数(例えば、13.2)は、その整数(例えば、13)に変換されてもよい。次いで、複数のサンプルは、修正サイクルデータ内のサイクル数の選択された範囲に基づいて、複数のビンに実質的に均一に分配されてもよい。この分配は、上記と同様に行われてもよい。
【0139】
1つまたは複数の実施形態では、ステップ604は、同じ整数値に関連付けられた対応するサイクル数で複数のサンプルの任意のサンプルが同じビンに一緒にグループ化されるように、複数のビン内の複数のサンプルの分布を修正することをさらに含むことができる。例えば、場合によっては、複数のビンへの複数のサンプルの実質的に均一な分布は、2つ(またはそれ以上)の異なるビン内にある同じ整数値に関連付けられたサイクル数をもたらすことができる。同じ整数値に関連付けられたサイクル数は、例えば、13.2、13.4、および13.8を含むことができ、それらは全て13の同じ整数値に対応する。場合によっては、次の最も近い整数値に丸めると同じ整数値14になるため、これらのサイクル数は、同じ整数に関連付けられていると見なされることができる。この例では、分布を修正することは、13の整数値(または、切り上げる場合、14)に関連付けられたサイクル数で全てのサンプルが同じビンに一緒にビン化されることを保証する。
【0140】
方法600は、ステップ606において、ビンサイクル数を複数のビンの各ビンに割り当てることを含むことができる。ステップ606に関して、ビンサイクル数は、複数のビンの各ビンに固有である。換言すれば、2つのビンに同じビンサイクル数を割り当てることはできない。複数のビンのうちの1つのビンのビンサイクル数は、例えば、ビン内のサンプルのセットの最高サイクル数、平均サイクル数、または中央サイクル数からなる群から選択されるサイクル数を使用して生成されることができる。例えば、所与のビン内のサンプルのセットの最高サイクル数がそのビンのビンサイクル数として使用されることができる。あるいは、最高サイクル数に関連付けられた整数値がビンサイクル数として使用されてもよい。場合によっては、ビンサイクル数は、サンプルのセットの最高サイクル数と選択されたサイクル数との合計、またはそのような合計の整数値である。選択されたサイクル数は、例えば、1、2、3、4、5、または他の数のサイクルであってもよい。一例として、選択されたサイクル数が2であるとき、ビン内のサンプルのセットの最高サイクル数が10サイクルである場合、そのビンには12のビンサイクル数が割り当てられることができる。
【0141】
方法600は、ステップ608において、複数のビンの識別情報を生成することを含むことができる。識別情報は、複数のビンの各ビンについてのビン識別子を含むことができる。1つまたは複数の実施形態では、このビン識別子は、ビンを一意に識別する一意の識別子である。ビン識別子は、例えば、バーコードであってもよいが、これに限定されない。1つまたは複数の実施形態では、ビンに割り当てられたビン識別子は、PCRプレートに関連付けられたプレート識別子と同じであってもよい。例えば、ビンに割り当てられたビン識別子は、PCRプレートのバーコードであってもよい。このような割り当ては、そのビンに含まれるサンプルのセットが同じバーコードを有するPCRプレートに移送されることを示す。他の実施形態では、ビン識別子は、ビン識別子をプレート識別子と照合するデータベース、スプレッドシート、または他のデータフォーマットを使用してPCRプレートのプレート識別子と照合されることができるものである。いくつかの実施形態では、識別情報は、例えば、ビンの総数、各ビン内のサンプルのセットの総数、各ビンに関連付けられた最小および/または最大ビンサイクル数、複数のビンを全体としておよび/または各個々のビンとして特徴付ける他の情報、またはこれらの組み合わせなどの、複数のビンの追加情報を含むことができる。
【0142】
方法600は、ステップ610において、複数のビンおよび複数のビンの各ビンについてのビンサイクル数を使用して複数のサンプルのPCR増幅を行うための出力を生成することを含むことができる。出力は、例えば、識別情報を使用して複数のビンの各ビン内のサンプルのセットをPCRプレートのセットの対応するPCRプレートに移送する際に使用するための移送出力を含んでもよい。例えば、識別情報は、複数のビンの各ビンがPCRプレートのセットの対応するPCRプレートに一致するように、複数のビンをPCRプレートのセットに一致させるために使用されることができる。
【0143】
1または複数の実施形態では、移送出力は、複数のビンの複数の順方向ワークリストを含む。複数の順方向ワークリストの各順方向ワークリストは、複数のビンの対応するビンに関連付けられる。例えば、ビンについての順方向ワークリストは、ビン内のサンプルのセットが複数のサンプルを保持するソースプレートから選択され、PCRプレートに移送される順序を含むことができる。順方向ワークリストは、例えば、ソースプレート内のそのウェルの行および列によってサンプルを識別することができ、サンプルが移送されるPCRプレート内の対応するウェルを識別することができる。様々な実施形態では、移送出力は、PCRプレートからソースプレートに(増幅後に)サンプルのセットを移送することを可能にする各ビンの逆方向ワークリストをさらに含むことができる。
【0144】
ステップ610において生成される出力は、例えば、PCR増幅プロセスを実行する際に使用するための増幅出力をさらに含むことができる。増幅出力は、例えば、各ビンに関連付けられたビンサイクル数(それによって、PCRプレート)および/または各PCRプレートに関連付けられたビンサイクル数(ビンサイクル数がPCRプレートに対応するビンに関連付けられているため)を示すサーモサイクラーのための指示を含むことができる。サーモサイクラーは、この情報を使用してPCRを実行することができる。
【0145】
1つまたは複数の実施形態では、各ビンは、PCRプレートと一意的に一致する。換言すれば、2つのビンが同じPCRプレートに割り当てられなくてもよい。しかしながら、他の実施形態では、2つのビンは、同じPCRプレートに対応する同じ識別子を有してもよい。2つのビンを同じPCRプレートに割り当てることは、例えば、2つのビンのビンサイクル数が選択された量未満だけ異なる(例えば、約1、0.75、0.5など異なる)場合に行われることができる。
【0146】
方法600は、ステップ612において、出力に基づいて、複数のビンの各ビン内のサンプルのセットをPCRプレートのセットの対応するPCRプレートに移送することを含むことができる。例えば、ビン内のサンプルのセットは、液体ハンドラによってソースプレートから対応するPCRプレートに移送されることができる。
【0147】
方法600は、ステップ614において、PCRプレートのセットを使用してPCR増幅プロセスを実行することを含むことができる。1つまたは複数の実施形態では、PCR増幅は、PCRプレートのセットの各PCRプレートの増幅サイクル数が、各PCRプレートに関連する1つまたは複数のビンのビンサイクル数で決定される状態で行われる。増幅前に、複数のサンプルは、様々な量のDNAを有する。PCR増幅プロセスが実行された後、PCRプレートのセット内の複数のサンプルは、正規化された量のDNAを有する増幅された複数のサンプルとすることができる。換言すれば、PCR増幅プロセスは、増幅された複数のサンプル中のDNA量が概ね同一または類似(例えば、互いの選択された許容範囲内で)となるように行われる。例えば、DNAの正規化された量は、互いに閾値範囲(例えば、パーセント範囲、量など)内にあるDNAの量とすることができる。一例として、正規化された量のDNAは、互いに1%、2%、3%、4%、5%、8%、10%、15%、または他の何らかのパーセント範囲内にある量のDNAを含むことができる。
【0148】
方法600は、PCR実行ごとに繰り返されることができる。場合によっては、ステップ608において、ビンの最高サイクル数に追加されてそのビンのビンサイクル数を形成する選択されたサイクル数は、選択されたサイクル数が必要に応じて実行ごとに変更されることができるという点で動的である。例えば、1回のランの後にデータが所望のDNA量よりも低いことを示す場合、選択されたサイクル数を増加させることができる(例えば、2から3に)。しかしながら、別のランの後に、データが、DNA量が高すぎることを示す場合、選択されたサイクル数を減少させることができる(例えば、2から1に)。選択されたサイクルへの変更は、ユーザによって入力されたユーザ入力を介して行うことができ、または介して
【0149】
図7は、様々な実施形態にしたがって示されるDNAを含有する複数のサンプルを正規化するための非限定的な例示的方法700を示すフローチャートである。方法700は、図1のワークフロー100のステップ140において実行されることができる正規化のための実装の別の例であってもよい。
【0150】
本方法は、ステップ702において、複数のサイクル数が複数のサンプルの各サンプルに対する対応するサイクル数を含む、複数のサンプルに対する複数のサイクル数を識別することを含むことができる。複数のサイクル数は、例えば、qPCRシステムから複数のサイクル数を受信することによって識別されることができる。1つまたは複数の実施形態では、複数のサイクル数は、qPCRシステムから初期サイクル数を受信することによって識別され、その後、qPCRシステムは、複数のサイクル数を形成するように修正される(例えば、初期サイクル数の少なくとも1つが修正される)。この修正は、図6に関して上述した方法600のステップ602において上述した修正と同様の方法で実行されることができる。
【0151】
本方法は、ステップ704において、複数のサイクル数の分布を識別することを含むことができる。分布は、例えば、ヒストグラム分布であってもよい。1つまたは複数の実施形態では、複数のサイクル数の60%から100%は、選択された低サイクル数と選択された高サイクル数との間およびそれらを含む選択された範囲内にある。選択された低サイクル数は、例えば、2、3、4、または5サイクルであってもよい。選択された高サイクル数は、例えば、22、23、24、25、26または27サイクルであってもよい。したがって、1つまたは複数の実施形態では、選択された範囲は、4サイクルから24サイクルの間(4サイクルを含む)とすることができる。
【0152】
本方法は、ステップ706において、サイクル数変動が複数のビンの各ビン内で低減され、同じ整数値に関連付けられた対応するサイクル数で複数のサンプルの任意のサンプルが同じビンに一緒にグループ化されるように、複数のサイクル数の分布に基づいて複数のサンプルを複数のビンに選別することを含むことができる。ステップ706は、いくつかの異なる方法のいずれかにおいて実行されることができる。
【0153】
1つまたは複数の実施形態では、ステップ706は、選択された低サイクル数を下回る対応するサイクル数で複数のサンプルのうちの任意のサンプルを複数のビンの最初のビンに割り当てることと、選択された高サイクル数を上回る対応するサイクル数で複数のサンプルのうちの任意のサンプルを複数のビンの最後のビンに割り当てることと、を含むことができる。一例として、8つのビンがあり、選択された低サイクル数が4サイクルであり、選択された高サイクル数が24サイクルである場合、4サイクル未満の対応するサイクル数で任意のサンプルが第1のビンに割り当てられることができ、24サイクルを超える対応するサイクル数で任意のサンプルが第8のビンに割り当てられることができる。したがって、外れ値サイクル数は、最初と最後のビンにおいてビニングされる。次いで、複数のサンプルの残りの部分が、最初のビンと最後のビンとの間のビンのセットの間に分配されることができる。
【0154】
場合によっては、選択された範囲(例えば、サイクル数の100%が選択された範囲内である)に関して外れ値サイクル数が存在しない場合、複数のサンプルは、より高いサイクル数と比較してより低いサイクル数の間により多くのビン分離を提供するようにバイアスをかけて、複数のビンの間に分配されることができる。例えば、より低いサイクル数(例えば、4から16サイクル数の間)を有するサンプルは、より高いサイクル数(例えば、16から24サイクル数の間)を有するサンプルと比較して、より多くのビンに分配されることができる。
【0155】
1つまたは複数の実施形態では、サンプルの大部分に対応するサイクル数間でより多くのビン分離を提供することにバイアスがかかり、複数のサイクル数の分布に基づいて、複数のサンプルが複数のビンに選別される。例えば、複数のサンプルは、平均の1つの標準偏差の外にある複数のサイクル数の別の部分と比較して、複数のサイクル数の平均の1つの標準偏差の内にある複数のサイクル数の一部の間により多くのビン分離を提供するようにバイアスをかけて、複数のサイクル数の分布に基づいて、複数のビンに選別されることができる。
【0156】
ステップ706は、同じ整数値に関連付けられた全てのサイクル数が一緒にビニングされることを保証することをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、2つのサイクル数の各々が同じ整数値である整数を含む場合、2つのサイクル数は、同じ整数値に関連付けられていると見なされることができる。例えば、11.42および11.75は、双方とも11の整数値に関連付けられていると見なされる。他の実施形態では、2つのサイクル数の各々が、最も近い整数に切り上げられたときに同じ整数値に切り上げられる場合、2つのサイクル数は同じ整数値に関連付けられていると見なされることができる。例えば、双方のサイクル数が12に切り上げられるため、11.42および11.75は、双方とも12の整数値に関連付けられていると見なされる。
【0157】
本方法は、ステップ708において、ビンサイクル数を複数のビンの各ビンに割り当てることであって、ビンサイクル数が複数のビンの各ビンに固有である、ビンサイクル数を複数のビンの各ビンに割り当てることを含むことができる。ステップ708は、異なる方法で実装されてもよい。ステップ708は、図6に関して上述した方法600のステップ606と同様の方法で実装されることができる。
【0158】
本方法は、ステップ710において、複数のビンおよび複数のビンの各ビンについてのビンサイクル数を使用して複数のサンプルのPCR増幅を行うための出力を生成することを含むことができる。ステップ710は、図6に関して上述した方法600のステップ608と同様の方法で実行されることができる。
【0159】
本方法は、ステップ712において、出力に基づいて、複数のビンの各ビン内のサンプルのセットをPCRプレートのセットの対応するPCRプレートに移すことを含むことができる。例えば、サンプルのセットは、ソースプレートから対応するPCRプレートに移されることができる。
【0160】
本方法は、ステップ714において、PCRプレートのセットを使用してPCR増幅プロセスを実行することを含むことができる。PCR増幅プロセスは、単一のPCRプレートまたは一対のPCRプレートを一度に実行することを含むことができる。PCRプレートのセットに対してPCRが実行されると、PCRプレートのセットの中の複数のサンプルは、正規化された量のDNAを有する増幅された複数のサンプルと見なされることができる。
【0161】
図8は、様々な実施形態にしたがって示されるDNAを含有する複数のサンプルを正規化するための非限定的な例示的方法800を示すフローチャートである。方法800は、図1のワークフロー100のステップ140において実行されることができる正規化のための実装の別の例とすることができる。1つまたは複数の実施形態では、方法800の少なくとも一部は、上記の図6で説明した方法600のステップ604および/または上記の図7で説明した方法700のステップ704および706を実装するために使用されることができる。
【0162】
方法800は、ステップ802において、複数のサンプルのサイクルデータの任意の非整数サイクル数を整数サイクル数に変換して修正サイクルデータを形成することを含むことができる。非整数(例えば、10進数)サイクル数は、最も近い整数に切り上げられるか、最も近い整数に切り下げられることができる。いくつかの実施形態では、全ての非整数サイクル数は、最も近い整数に切り上げられる。場合によっては、ステップ802は、上記の図6において説明した方法600のステップ602および/または上記の図7において説明した方法700のステップ702の少なくとも一部の実装の一例であってもよい。他の場合には、ステップ802は、上記の図6において説明した方法600のステップ604の一部、または上記の図7において説明した方法700の704および/または706の実装の一例と見なされることができる。
【0163】
本方法は、ステップ804において、修正サイクルデータ内のサイクル数のいずれかがサイクル数の選択された範囲外にあるかどうかを決定することを含むことができる。サイクル数の選択された範囲は、選択された低サイクル数と選択された高サイクル数との間の、それらを含む範囲である。選択された低サイクル数は、例えば、2、3、4、または5サイクルであってもよい。選択された高サイクル数は、例えば、22、23、24、25、26または27サイクルであってもよい。例えば、サイクル数の選択された範囲は、5から24サイクルを含むことができるが、これに限定されない。
【0164】
サイクル数のいずれかがサイクル数の選択された範囲外にある場合、方法800は、ステップ806において、サイクル数の選択された範囲外にある任意のサイクル数を1つまたは複数の外れ値ビンに割り当てることを含むことができる。例えば、利用可能なビンの総数が8ビンである場合、最初のビン(例えば、ビン1)および最後のビン(例えば、ビン8)は、外れ値ビンとして使用されることができる。サイクル数の選択された範囲を下回る任意のサイクル数が最初のビンに割り当てられてもよく、サイクル数の選択された範囲を上回る任意のサイクル数が最後のビンに割り当てられてもよい。サイクル数をビンに割り当てることは、そのサイクル数に関連する任意のサンプルをそのビンに割り当てることを含む。
【0165】
本方法は、ステップ808において、サイクル数の選択された範囲内にある修正サイクルデータの固有の整数サイクル数をN個のビンに割り当てることを含むことができる。1つまたは複数の実施形態では、固有の整数サイクル数は、昇順でN個のビンに配置され、Nは、固有の整数サイクル数の数である。
【0166】
本方法は、ステップ810において、ビンの目標数に到達するまで、距離方程式を使用してN個のビンの隣接するビンをマージすることを含むことができる。距離方程式は、ビンMにおける最小サイクル数とビンM+1における最小サイクル数との間の差として距離を定義する。最小距離を有する隣接するビンは、ビンの目標数に到達するまでマージされる。ビンの目標数は、サイクル数の選択された範囲内に入るサイクル数に基づいて変化してもよい。例えば、ビンの目標数は、利用可能なビンの総数(例えば、8ビン)から、ステップ808において使用される外れ値ビンの数(例えば、1または2)を引いたものであってもよい。
【0167】
本方法は、ステップ812において、各ビン内の最小サイクル数および最大サイクル数を調整することを含むことができる。例えば、ステップ802におけるサイクル数の切り上げおよび/または切り捨てを考慮するために調整を行うことができる。1つまたは複数の実施形態では、各ビンの最小サイクル数は、第1の調整によって減少され、各ビンの最大サイクル数は、第2の調整によって増加される。第1の調整および第2の調整は、同じであっても異なっていてもよい。第1の調整および第2の調整は、例えば0.5であってもよい。他の例では、第1の調整は、0.5であってもよく、第2の調整は、1.0であってもよく、またはその逆であってもよい。
【0168】
再びステップ804を参照すると、サイクル数のいずれもサイクル数の選択された範囲外にない場合、方法800は、上述したようにステップ808に進む。これらのそのような例では、ステップ808におけるビンの目標数は、単に利用可能なビンの総数であってもよい。
【0169】
このようにして、方法800は、サイクル数を複数のビンに選別するためのプロセスである。この選別が実行された後、図6の方法600のステップ606および図7の方法700のステップ708において説明したように、各ビンにビンサイクル数が割り当てられることができる。
【0170】
III.B.4.動的ビニングの例示的な結果
図9Aは、1つまたは複数の実施形態にかかる、上側バイアスを使用する動的ビニングの第1のラウンドを示す表である。表900は、上側バイアスによる選別に基づく第1のラウンドのqPCR分析後のサンプルの動的ビニングおよびそれらの対応するサイクル数の結果を示している。
【0171】
図9Bは、1つまたは複数の実施形態にかかる、上側バイアスを使用する動的ビニングの第4のラウンドを示す表である。表902は、上側バイアスによる選別に基づく第4のラウンドのqPCR分析後のサンプルの動的ビニングおよびそれらの対応するサイクル数の結果を示している。
【0172】
図10は、1つまたは複数の実施形態にかかる、均一な分布を使用する動的ビニングの第1のラウンドを示す表である。表1000は、サンプルおよびそれらの対応するサイクル数が利用可能なビン(8ビン)にわたって均一に分布している場合の、サンプルの動的ビニングおよび第1のラウンドのqPCR分析後のそれらの対応するサイクル数の結果を示している。
【0173】
図11Aは、1つまたは複数の実施形態にかかる、サイクル数の選択された範囲内のサイクル数でサンプルに対するバイアスを伴う動的ビニングの第1のラウンドを示す表である。表1100は、サイクル数の選択された範囲内のサイクル数でサンプルに対するバイアスでの選別に基づくqPCR分析の第1のラウンド後のサンプルの動的ビニングおよびそれらの対応するサイクル数の結果を示している。このバイアスは、サイクル数の選択された範囲内のサンプルに対する所望のサイクル数(例えば、qPCRシステムを介して得られるサイクル数)からのPCR増幅の偏差を減少させるために使用される。したがって、このタイプのビニングは、外れ値のサイクル数(サイクル数の選択された範囲外)を有するサンプルと比較して、最大数の中間サンプル(サイクル数の選択された範囲内)に正しいPCRサイクルが与えられることを確実にするのに役立つことができる。
【0174】
図11Bは、1つまたは複数の実施形態にかかる、サイクル数の選択された範囲内のサイクル数でサンプルに対する動的ビニングバイアスの第4のラウンドを示す表である。表1102は、サイクル数の選択された範囲内のサイクル数でサンプルに対するバイアスでの選別に基づくqPCR分析の第1のラウンド後のサンプルの動的ビニングおよびそれらの対応するサイクル数の結果を示している。
【0175】
正規化システム
図12は、様々な実施形態にかかる、標的結合選択において複数のライブラリを正規化するように構成された非限定的な例示的システムを示している。システム1200は、それが図12に示された特徴よりも多いかまたは少ない特徴であるかにかかわらず、特徴の様々な組み合わせを含むことができる。したがって、図12は、可能なシステムの一例を単に示している。
【0176】
システム1200は、定量的PCRユニット1202、データ記憶ユニット1204、コンピューティングデバイス/分析サーバ1206、ディスプレイ1214、PCRサーモサイクラー1216、および液体ハンドラ1218を含む。定量的PCRユニット1202は、DNAを増幅して検出する機械である定量的PCR機器である。定量的PCR機器は、サーマルサイクラーおよび蛍光光度計の機能を組み合わせて、定量的PCRのプロセスを可能にする。定量的PCR機器は、蛍光を測定することによって、PCRの進行および増幅産物の性質を監視する。
【0177】
定量的PCRユニット1202は、シリアルバスを介して(双方とも統合機器プラットフォームを形成する場合)、またはネットワーク接続を介して(双方とも分散/別々のデバイスである場合)、データ記憶ユニット1204に通信可能に接続されることができる。生成されたqPCRデータセットは、その後の処理のためにデータ記憶ユニット1204に記憶される。様々な実施形態では、処理および分析の前に、1つまたは複数の生qPCRデータセットがデータ記憶ユニット1204に記憶されることもできる。したがって、様々な実施形態では、データ記憶ユニット1204は、DNA含有組成物の複数のライブラリに対応する本明細書の様々な実施形態のqPCRデータセットを記憶するように構成されることができる。様々な実施形態では、処理および分析されたqPCRデータセットは、さらに下流の分析のためにリアルタイムでコンピューティングデバイス/分析サーバ1206に供給されることができる。
【0178】
データ記憶ユニット1204は、コンピューティングデバイス/分析サーバ1206に通信可能に接続されることができる。様々な実施形態では、データ記憶ユニット1204およびコンピューティングデバイス/分析サーバ1206は、統合装置の一部とすることができる。様々な実施形態では、データ記憶ユニット1204は、コンピューティングデバイス/分析サーバ1206とは異なるデバイスによってホストされることができる。様々な実施形態では、データ記憶ユニット1204およびコンピューティングデバイス/分析サーバ1206は、分散ネットワークシステムの一部とすることができる。様々な実施形態では、コンピューティングデバイス/分析サーバ1206は、「ハードワイヤード」物理ネットワーク接続(例えば、インターネット、LAN、WAN、VPNなど)または無線ネットワーク接続(例えば、Wi-Fi、WLANなど)のいずれかとすることができるネットワーク接続を介してデータ記憶ユニット1204に通信可能に接続されることができる。コンピューティングデバイス/分析サーバ1206は、様々な実施形態によれば、ワークステーション、メインフレームコンピュータ、分散コンピューティングノード(「クラウドコンピューティング」または分散ネットワーキングシステムの一部)、パーソナルコンピュータ、モバイルデバイスなどとすることができる。コンピューティングデバイス/分析サーバ1206は、クライアントコンピューティングデバイスとすることができる。様々な実施形態では、コンピューティングデバイス/分析サーバ1206は、qPCRユニット1202、データ記憶ユニット1204、ディスプレイ1214、PCRサーモサイクラー1216、および液体ハンドラ1218の動作を制御するために使用されることができるウェブブラウザ(例えば、INTERNET EXPLORER(商標)、FIREFOX(商標)、SAFARI(商標)など)を有するパーソナルコンピューティングデバイスとすることができる。
【0179】
コンピュータデバイス/分析サーバ1206などのコンピューティングシステムは、様々な実施形態にかかる、1つまたは複数のPCRサイクル数エンジン1208、1つまたは複数の選別エンジン1210、および1つまたは複数の増幅エンジン1212をホストするように構成されている。PCRサイクル数エンジン1208、選別エンジン1210、および増幅エンジン1212などのエンジンは、コンピューティングシステム(コンピュータデバイス/分析サーバ1206)内のソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせを使用して実装されることができる。
【0180】
PCRサイクル数エンジン1208は、定量化情報を使用して各ライブラリに特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定するように構成され、各ライブラリのDNA含有組成物は、対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に関連する予め設定された量のDNAを産生するように決定される。
【0181】
選別エンジン1210は、DNA含有組成物のライブラリをビンに選別するように構成され、各ビンは、DNA増幅のための共通のPCRサイクル数を共有すると決定されたDNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットを含み、各ビン内のDNA含有組成物のライブラリの異なる各サブセットは、異なる共通のPCRサイクル数を共有する。1つまたは複数の実施形態では、選別エンジン1210は、図4のステップ406、図5のステップ506、図6のステップ602、604、606、608、および610のうちの1つまたは複数、図7のステップ702、704、706、708、および710のうちの1つまたは複数、図8のステップ802、804、806、808、810、および812のうちの1つまたは複数、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを実行するために使用されることができる。
【0182】
増幅エンジン1212は、同じビンのDNA含有組成物のライブラリのサブセットに対して対応する共通のPCRサイクル数でビンのうちの1つに対して、同じランで、PCRを同時に行うようにサーモサイクラー1216に指示するように構成されている。増幅エンジン1212は、DNA含有組成物の複数のライブラリが正規化されるように、追加のビンのDNA含有組成物の各ライブラリに対してPCRを行うようにサーモサイクラー1216に指示するように構成されている。増幅エンジン1212は、例えば、図4のステップ408および410のうちの1つまたは複数、図5のステップ508および510のうちの1つまたは複数、図6のステップ610、612、および614のうちの1つまたは複数、図7のステップ710、712、および714のうちの1つまたは複数、またはそれらの組み合わせを実行するために使用されることができる。
【0183】
システム1200は、同じビンの各ライブラリをソースプレートからPCRプレートに移送するように構成された液体ハンドラ1218をさらに備え、同じビンの各ライブラリは、増幅DNAを生成するために、同じビンに対して共通のPCRサイクル数でPCRプレート上でPCRによって増幅される。液体ハンドラ1218は、全てのビンの増幅DNAを追加の選択ラウンドに供するようにさらに構成されている。増幅エンジン1212は、液体ハンドラ1218に通信可能に結合されて、液体ハンドラ1218にサンプルをソースプレートに戻して移送するように指示することができる。
【0184】
コンピューティングデバイス/分析サーバ1206がデータ記憶ユニット1204からデータを受信および処理している間、または処理が完了した後、結果の出力は、コンピューティングデバイス/分析サーバ1206に通信可能に接続されたディスプレイまたはクライアント端末1214に結果または要約として表示されることができる。ディスプレイまたはクライアント端末1214は、クライアントコンピューティングデバイスとすることができる。ディスプレイまたはクライアント端末1214は、qPCRユニット1202、データ記憶ユニット1204、PCRサイクル数エンジン1208、選別エンジン1210、増幅エンジン1212、PCRサーモサイクラー1216、および液体ハンドラ1218の動作を制御するために使用されることができるウェブブラウザ(例えば、INTERNET EXPLORER(商標)、FIREFOX(商標)、SAFARI(商標)など)を有するパーソナルコンピューティングデバイスとすることができる。
【0185】
様々なエンジンは、特定の用途またはシステムアーキテクチャの要件に応じて、単一のエンジン、構成要素またはモジュールに組み合わせられるか、または折り畳まれることができることを理解されたい。エンジン1208、1210、1212は、特定のアプリケーションまたはシステムアーキテクチャによって必要に応じて追加のエンジンまたは構成要素を備えることができる。
【0186】
IV.ヌクレオチド含有ライブラリの定量化情報の可視化
所望の標的に結合するための1つまたは複数の選択ラウンドにおけるヌクレオチド含有ライブラリの定量化情報の可視化および監視のための方法およびシステムが本明細書で提供されることができる。現在、多数のライブラリを同時に可視化することは非常に困難であり、異なるデータセット間を行き来することによって大規模選択からの異なるデータセットを比較することは時間がかかり、誤りを起こしやすい可能性がある。本明細書で提供される方法およびシステムは、より効率的且つ効果的な方法で大規模データセットの同時追跡および監視を可能にする。
【0187】
IV.A.可視化ワークフロー
様々な実施形態にかかる、標的結合を検出するためのDNA含有組成物の複数のライブラリの定量化情報をグラフィカルユーザインターフェース上で可視化および監視するための非限定的な例示的プロセスを示すために、一般的な概略的ワークフロー1300が図13に提供される。そのようなグラフィカルユーザインターフェースは、標的結合のための選択ラウンドおよびラウンド間の比較のための多数のライブラリの同時の目視観察および比較を可能にすることができる。ワークフローは、それが図13に示されたものよりも多いか少ないかにかかわらず、特徴の様々な組み合わせを含むことができる。したがって、図13は、可能なワークフローの一例を単に示している。
【0188】
ワークフロー1300は、ステップ1310において、qPCRデータを含むDNA含有組成物の複数のライブラリについての定量化情報を受信することを含むことができる。定量化情報を受信することは、入力分子、陽性の分子および陰性の分子についてqPCRデータを収集することを含むことができる。標的結合選択の各ラウンドの前に、各mRNA-DNA-ペプチドコンジュゲートライブラリのアリコートに対してqPCRが行われる。その事前選択反応によって生成されたCtは、それが任意の結合ステップの前の各ライブラリの総量を表し、入力分子の定量化情報を提供することから、各「入力」ライブラリの分子数を表す。陽性の分子の定量化情報は、正の性選択後の各mRNA-DNA-ペプチドコンジュゲートライブラリのアリコート、すなわち正の選択の標的結合ステップから捕捉されたDNAのqPCRによって生成されたCtを含む。陰性の分子の定量化情報は、負の選択後の各mRNA-DNA-ペプチドコンジュゲートライブラリのアリコートのqPCRによって生成されたCtを含む。
【0189】
qPCRデータは、一連の自動または手動ライブラリ生成、標的結合選択およびqPCRによるDNA測定の後に生成されることができる。本明細書に記載されるような可視化のためのさらなる処理がなければ、生のqPCRデータ、例えば、全てのラウンドにわたる全ての個々のウェルにおける全てのデータを含む表は、理解または解釈が容易ではない。例えば、136ウェルプレートにおいて、4回から10回の標的結合選択ラウンドを経る136回の実験が存在することができる。qPCR生データの表において、全ての標的結合選択ラウンドにわたる各ウェルにおけるDNAのCtレベルは、効率的且つ効果的な方法で洞察を提供するために、同じ選択ラウンドにおける別のウェルと、または別の選択ラウンドにおける同じウェルと比較することが非常に困難である。
【0190】
本明細書に記載の可視化方法のいくつかの実施形態は、選択された定量化情報を同時に表示してより良い情報に基づいた決定を行うことによって、これらの問題を解決することができる。
【0191】
ワークフロー1300は、ステップ1320において、定量化データを転送し、データをデータベースに記憶することを含むことができる。データ転送は、コンピュータプログラムが別のプログラム、例えばExcelから到来する人間が読み取り可能な出力からデータを抽出するデータスクレイピングを含んでもよい。データベースは、自動的または非自動的にエクスポートされた各データセットおよび全ての関連するメタデータ(例えば、日付、時刻、およびプレートバーコードなど)を記憶する。
【0192】
ワークフロー1300は、ステップ1330において、データセットを対応する選択ラウンドに割り当てることを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、エクスポートされた各データセットは、ユーザによる対応する選択ラウンドに割り当てられてもよい。
【0193】
ワークフロー1300は、ステップ1340において、グラフィカルディスプレイ面上にデータを可視化することを含むことができる。各データセットが対応する弾に割り当てられると、全てのヒートマップおよびチャートは、予め設定された基準またはフィルタの選択にしたがって生成される。例えば、ラウンド対ラウンド比較が選択された場合、%mRNA回収のラウンド対ラウンド比較の棒グラフが生成される(例えば、正または負の回収)。例えば、mRNA%回収が選択された場合、各ウェルのmRNA%回収を用いたヒートマップが生成される。例えば、ラウンド1後に陰性の分子が選択された場合、第1のラウンド後の各ウェルの陰性の分子のqPCR結果を用いたヒートマップが生成される。例えば、ラウンド1後に陽性の分子が選択された場合、第1のラウンド後の各ウェルのmRNA%回収を用いたヒートマップが生成される(例えば、正または負の回収)。例えば、mRNA%の負の回収は、入力/正*100と定義される。例えば、入力分子は、入力分子=(入力qPCR結果*20*50*10000)などの予め定義された乗算器によって乗算され、ユーザは、これらの乗算器を予め入力する。例えば、正または陰性の分子のヒートマップ色定義は以下のとおりである:10e8は赤色、10e10は青色、10e13は紫色である。
【0194】
IV.B.可視化方法
標的結合を検出するためのDNA含有組成物の複数のライブラリの定量化情報を可視化するための方法が提供される。本方法は、コンピュータソフトウェアまたはハードウェアを介して実装されることができる。本方法はまた、DNA含有組成物の複数のライブラリを正規化するためのエンジンの組み合わせを含むことができるコンピューティングデバイス/システム上で実装されることもできる。コンピューティングデバイス/システムは、直接接続またはインターネット接続を介して、データソース、サンプル分析装置(例えば、ゲノム配列分析装置)、および表示デバイスのうちの1つまたは複数に通信可能に接続されることができる。
【0195】
ここで図14を参照すると、様々な実施形態にかかる、正規化のための非限定的な例示的な方法1400を示すフローチャートが開示される。方法1400は、ステップ1402において、第1の選択ラウンドについてDNA含有組成物の複数のライブラリの各々についての定量化情報を受信することを含むことができる。例えば、DNA含有組成物のライブラリの各々は、DNAコンジュゲートを含む。DNAコンジュゲートは、直鎖もしくは環状ペプチド、またはそれらの組み合わせなどのペプチドを含むことができる。環状ペプチドは、単環式、二環式または四環式ペプチドを含むことができる大環状とすることができる。方法1400は、DNAコンジュゲートが、第1の選択ラウンドおよび結合親和性についての追加の選択ラウンドについて標的タンパク質に対する結合親和性について選択されているスクリーニングアッセイの一部とすることができる。
【0196】
例えば、DNA含有組成物のライブラリの各々の定量化情報は、定量的PCR(qPCR)入力分子、陽性の分子、陰性の分子またはそれらの任意の組み合わせについてのサイクル閾値(Ct)を含む。追加的および代替的に、DNA含有組成物のライブラリの各々の定量化情報は、入力分子に対する陽性の分子のパーセンテージ、入力分子に対する陰性の分子のパーセンテージ、またはそれらの組み合わせを含む。
【0197】
DNA含有組成物の各ライブラリの定量化情報は、いくつかの実施形態では、各ライブラリのqPCRデータのデータスクレイピングから得られたものである。
【0198】
方法1400は、ステップ1404において、コンピュータ画面上のグラフィカルユーザインターフェース内に、複数のDNA含有組成物の各々についての定量化情報を含む第1のウィンドウを表示することを含むことができる。
【0199】
方法1400は、ステップ1406において、複数のウィンドウを生成するためにステップ1402および1404を繰り返すことを含むことができ、複数のウィンドウの各々は、複数の後続ラウンドにおいて標的結合を検出するためのライブラリの各々の定量化情報が動的に監視されるように、複数の後続ラウンドの選択の各々についての定量化情報に対応する。
【0200】
いくつかの実施形態では、任意のウィンドウは、複数の位置に第1のグラフィカル要素を含むことができる。第1のグラフィカル要素の各々は、ライブラリの各々を表すように構成されることができる。例えば、ライブラリの各々は、ソースプレートの個々の空間のうちの1つにあり、第1のグラフィカル要素の各々は、ソースプレートの個々の空間の各々に水平方向および垂直方向に対応するように構成されている。いくつかの実施形態では、第1のグラフィカル要素の各々は、ソースプレート内の同じウェルを表すために異なるウィンドウにわたって同じ位置に配置される。
【0201】
任意のウィンドウはまた、異なるライブラリの定量化情報を視覚的に区別するように構成された第2のグラフィカル要素を含むことができる。第2のグラフィカル要素は、色、数字、またはそれらの組み合わせを含む。
【0202】
任意のウィンドウは、フィルタを設定して、フィルタによって選択された各ライブラリの定量化情報を表示するように構成された第3のグラフィカル要素を含むことができる。例えば、フィルタは、ユーザ選択足場、ユーザ選択コドン、またはユーザ選択標的である。任意のウィンドウは、第1、第2、第3のグラフィカル要素、または任意の追加のグラフィカル要素、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0203】
方法1400は、他のウィンドウを隠しながら、選択されたラウンドの定量化情報を表示する選択されたウィンドウを表示することをさらに含む。方法1400は、新たな選択ラウンドがユーザによって選択されたときに新たなウィンドウを表示するようにグラフィカルユーザインターフェースを更新することをさらに含む。方法1400は、ラウンド対ラウンド比較が生成されるように、同じグラフィカルユーザインターフェース内に第1のウィンドウおよび追加ウィンドウを表示することをさらに含む。方法1400は、DNA含有組成物のライブラリの各々についてのラウンド対ラウンド比較をグラフィカルユーザインターフェース上にプロットすることをさらに含む。
【0204】
IV.C.可視化システム
様々な実施形態にかかる、標的結合を検出するためのDNA含有組成物の複数のライブラリの定量化情報を可視化するための非限定的な例示的システムを示すための一般的システム1500が図15に提供されている。システム1500は、それが図15に示された特徴よりも多いかまたは少ない特徴であるかにかかわらず、特徴の様々な組み合わせを含むことができる。したがって、図15は、可能なシステムの一例を単に示している。
【0205】
システム1500は、定量的PCRユニット1502、データ記憶ユニット1504、およびコンピューティングデバイス/分析サーバ/ディスプレイ1506を含む。定量的PCRユニット1502は、DNAを増幅して検出する機械である定量的PCR機器である。定量的PCR機器は、サーマルサイクラーおよび蛍光光度計の機能を組み合わせて、定量的PCRのプロセスを可能にする。定量的PCR機器は、蛍光を測定することによって、PCRの進行および増幅産物の性質を監視する。
【0206】
定量的PCRユニット1502は、シリアルバスを介して(双方とも統合機器プラットフォームを形成する場合)、またはネットワーク接続を介して(双方とも分散/別々のデバイスである場合)、データ記憶ユニット1504に通信可能に接続されることができる。生成されたqPCRデータセットは、その後の処理のためにデータ記憶ユニット1504に記憶される。処理および分析の前に、1つまたは複数の生qPCRデータセットがデータ記憶ユニット1504に記憶されることもできる。したがって、様々な実施形態では、データ記憶ユニット1504は、DNA含有組成物の複数のライブラリに対応する本明細書の様々な実施形態のqPCRデータセットを記憶するように構成されることができる。処理および分析されたqPCRデータセットは、さらに下流の分析のためにリアルタイムでコンピューティングデバイス/分析サーバ/ディスプレイ1506に供給されることができる。
【0207】
データ記憶ユニット1504は、コンピューティングデバイス/分析サーバ/ディスプレイ1506に通信可能に接続されることができる。様々な実施形態では、データ記憶ユニット1504およびコンピューティングデバイス/分析サーバ/ディスプレイ1506は、統合装置の一部とすることができる。様々な実施形態では、データ記憶ユニット1504は、コンピューティングデバイス/分析サーバ/ディスプレイ1506とは異なるデバイスによってホストされることができる。様々な実施形態では、データ記憶ユニット1504およびコンピューティングデバイス/分析サーバ/ディスプレイ1506は、分散ネットワークシステムの一部とすることができる。様々な実施形態では、コンピューティングデバイス/分析サーバ/ディスプレイ1506は、「ハードワイヤード」物理ネットワーク接続(例えば、インターネット、LAN、WAN、VPNなど)または無線ネットワーク接続(例えば、Wi-Fi、WLANなど)のいずれかとすることができるネットワーク接続を介してデータ記憶ユニット1504に通信可能に接続されることができる。様々な実施形態では、コンピューティングデバイス/分析サーバ/ディスプレイ1506は、ワークステーション、メインフレームコンピュータ、分散コンピューティングノード(「クラウドコンピューティング」または分散ネットワーキングシステムの一部)、パーソナルコンピュータ、モバイルデバイスなどとすることができる。
【0208】
コンピューティングデバイス/分析サーバ/ディスプレイ1506は、クライアントコンピューティングデバイスとすることができる。様々な実施形態では、コンピューティングデバイス/分析サーバ/ディスプレイ1506は、qPCRユニット1502およびデータ記憶ユニット1504の動作を制御するために使用されることができるウェブブラウザ(例えば、INTERNET EXPLORER(商標)、FIREFOX(商標)、SAFARI(商標)など)を有するパーソナルコンピューティングデバイスとすることができる。
【0209】
コンピューティングデバイス/分析サーバ/ディスプレイ1506のディスプレイ上に、1つまたは複数のグラフィカルユーザインターフェース1508が表示されることができる。コンピューティングデバイス/分析サーバ/ディスプレイ1506は、様々な実施形態では、1つまたは複数のグラフィカルユーザインターフェース1508をホストするように構成されている。例えば、グラフィカルユーザインターフェース1508は、グラフィカルユーザインターフェース上に表示されるべき各ライブラリの特定の定量化情報を決定するために、1つまたは複数のフィルタを設定するグラフィカル要素1510を含む。グラフィカル要素の非限定的な例示的フォーマットは、空白フィールド、テキストボックス、チェックボックス、プルダウンメニュー、またはユーザがデータ出力を選択することができる他の入力領域を含むことができる。
【0210】
例えば、グラフィカル要素1510は、ユーザ選択足場、ユーザ選択コドン、またはユーザ選択標的などのフィルタである。例えば、グラフィカル要素1510は、正の回収、負の回収、入力、正の融解曲線、負の融解曲線、濃縮、qPCR Ctサイクル、ラウンド1、ラウンド2、ラウンド3、ラウンド4、ラウンド5、ラウンド6、任意の適切なラウンド数、またはそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、いくつかのオプションのメニューである。
【0211】
グラフィカル要素1510が選択された後、1つのアッセイにおける全てのウェルの対応する定量化情報を示すために、1つまたは複数の対応するウィンドウ1512が表示される。各ウェルは、DNA含有組成物の複数のライブラリ中の各ライブラリを表す。例えば、ウィンドウ1512は、グラフィカル要素1514、1516、およびグリッド1518を表示する。グリッド1518は、qPCRアッセイにおけるソースプレートの対応する列および行と一致する定量化情報の列および行を含む。グラフィカル要素1514は、ウィンドウ1512の内容およびグラフィカル要素1510上の一致する対応する選択を示すラベルを表示する。例えば、グラフィカル要素1510が「入力」および「ラウンド1」を表示するように選択されると、グリッド1518の内容は、ラウンド1の入力分子のqPCR結果を示し、グラフィカル要素1514は、「入力qPCR R1」を示す。グラフィカル要素1516は、入力、正、または陰性の分子のqPCR結果の選択など、ウィンドウ1512に表示される定量化情報のサブセットを選択するためのフィルタである。
【0212】
図16図14は、標的結合選択においてDNA含有組成物の複数のライブラリを可視化するためのグラフィカルユーザインターフェースの非限定的な例示的な実施形態を示すグラフである。
【0213】
図16は、選択された標的結合選択ラウンドにおけるDNA含有組成物の複数のライブラリの各々を可視化するためのグラフィカルユーザインターフェース1600の非限定的な例示的な実施形態を示している。グラフィカルユーザインターフェース1600は、DNA含有組成物の複数のライブラリの定量化情報からフィルタリングされたデータを表示するように選択されることができるフィルタ1602、1604、1606、および1608を含む。例えば、フィルタは、正の回収、負の回収、入力、正の融解曲線、負の融解曲線、濃縮、qPCR、Ctサイクル、またはラウンド数(例えば、ラウンド1またはR1、ラウンド2またはR2、ラウンド3またはR3、ラウンド4またはR4、ラウンド5またはR5、ラウンド6またはR6など)を含む。追加のフィルタは、可視化のために特定の足場を有するペプチドの定量化情報を選択することができるフィルタ1604(例えば、足場1、足場2、足場3などの標的結合選択のための複数のペプチド候補ライブラリにおけるペプチド長)、可視化のために特定のコドンを有するペプチドの定量化情報を選択することができるフィルタ1606(例えば、標的結合選択のための複数のライブラリにおいてペプチド候補を作製する際に使用されるコドン、例えば、コドンテーブル1、コドンテーブル2、コドンテーブル3など)、可視化のために特定の標的に対してスクリーニングされたペプチドの定量化情報を選択することができるフィルタ1608(例えば、標的結合スクリーニングまたは選択において使用される所望のタンパク質標的、例えば、標的1、標的2、標的3など)を含むことができるが、これらに限定されない。特定のユーザ選択値によって選択された特定のフィルタを用いて、例えば、DNA含有組成物の複数のライブラリの各々の定量化情報、または選択されたフィルタと一致する各選択ラウンドが、例示的なグラフ1610~1216および図17図14に表示されることができる。
【0214】
図17は、全ての標的結合選択ラウンドにおけるDNA含有組成物の複数のライブラリの各々を可視化するためのグラフィカルユーザインターフェース1700の非限定的な例示的な実施形態を示している。図17は、グラフィカルユーザインターフェース1700のスクリーンショットであり、各ラウンド(R1=ラウンド1、R2=ラウンド2、R3=ラウンド3、R4=ラウンド4、R5=ラウンド5、R6=ラウンド6)について各ウェル(ウェルA1からH12)内の異なるDNA濃度をそれぞれ表示するために色を使用する6つのヒートマップ(色はグレーの濃淡として表される)を含む。「Pos」は、正の選択ラウンド後のDNA濃度のqPCR結果を指す。これは、標的結合選択の全体的な実行経過を監視するための代表的なビューであり、ユーザが別のラウンドの標的結合選択が望ましいかどうかを決定するのを助けることができる。例えば、中DNA濃度を示すラウンド4、5および6の4~7列目は、低DNA濃度を示す他のカラムと比較して、標的結合選択において比較的良好に機能していた。あるラウンドから別のラウンドまで継続するこの濃縮の傾向の可視化は、ユーザが選択プロセス全体がうまく機能しているという確信を構築するのに役立つ。
【0215】
図18は、全ての標的結合選択ラウンドにおけるDNA含有組成物の複数のライブラリの各々を可視化するためのグラフィカルユーザインターフェース1800の別の非限定的な例示的な実施形態を示している。図18は、グラフィカルユーザインターフェース1800のスクリーンショットである。各ラウンドの選択後のDNA含有組成物の複数のライブラリの各々のqPCRデータが、陽性の分子または陰性の分子を入力分子で割ることによって%mRNA回収に分析された。例えば、各ラウンドにおける%mRNA回収(%正回収および%負回収)が棒グラフとしてプロットされて、各個々のウェル、例えばマクロサイクル-DNA-RNAコンジュゲートの各ライブラリに対する実験の進行を表示した。このデータは、別のラウンドが望ましいかどうかを決定するために、図19に例示されているような分子ヒートマップと併せて各ラウンドでレビューされる。%mRNA回収がqPCRデータから計算される。%mRNA回収は、標的によって捕捉された各ライブラリの総mRNA/DNA/ペプチド量を表す。陽性の分子は、正の選択の標的結合ステップから捕捉されたDNAを指す。陰性の分子は、負の選択の空ビーズ結合ステップ後に残存するDNAを指す。標的結合選択の各ラウンドの前に、各mRNA-DNA-ペプチドコンジュゲートライブラリのアリコートに対してqPCRが行われる。その事前選択反応によって生成されるCtは、結合ステップ前の各ライブラリの総量を表すため、各「入力」ライブラリのDNAの分子数を表す。
【0216】
V.コンピュータ実装システム
様々な実施形態では、異なるDNA濃度を有する異なるライブラリにわたる正規化および標的結合候補の同時選択の可視化のための任意の方法が、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせを介して実装されることができる。
【0217】
すなわち、図12に描写されるように、本明細書に開示された正規化方法は、コンピュータシステム1206などのコンピュータシステム(例えば、コンピューティングデバイス/分析サーバ)上に実装されることができる。コンピュータシステム1206(例えば、コンピューティングデバイス/分析サーバ)は、直接接続またはネットワーク接続(例えば、LAN、WAN、インターネットなど)を介してデータ記憶装置1204およびディスプレイシステム1214に通信可能に接続されることができる。図12に示すコンピュータシステム1206(例えば、コンピューティングデバイス/分析サーバ)は、特定のアプリケーションまたはシステムアーキテクチャによって必要に応じて追加のエンジンまたは構成要素を備えることができることを理解されたい。
【0218】
また、図15に描写されるように、本明細書で開示される可視化方法は、コンピュータシステム1500上で実装されることができる。様々な実施形態では、コンピュータシステム1500(例えば、デバイス/分析/ディスプレイシステム)は、直接接続またはネットワーク接続(例えば、LAN、WAN、インターネットなど)を介してコンピューティングデバイス/分析/ディスプレイシステム1506に通信可能に接続されたデータ記憶装置1504を備えることができる。図15に示すコンピューティングデバイス/分析/ディスプレイシステム1500は、特定のアプリケーションまたはシステムアーキテクチャによって必要に応じて追加のエンジンまたは構成要素を備えることができることを理解されたい。
【0219】
図19は、本教示の実施形態が実装されることができるコンピュータシステム1900を示すブロック図である。本教示の様々な実施形態では、コンピュータシステム1900は、情報を通信するためのバス1902または他の通信機構と、情報を処理するためのバス1902に結合されたプロセッサ1904とを含むことができる。様々な実施形態では、コンピュータシステム1900はまた、プロセッサ1904によって実行される命令を決定するためにバス1902に結合された、ランダムアクセスメモリ(RAM)1906または他の動的記憶デバイスとすることができるメモリを含むことができる。メモリはまた、プロセッサ1904によって実行される命令の実行中に一時変数または他の中間情報を記憶するために使用されることができる。様々な実施形態では、コンピュータシステム1900は、プロセッサ1904のための静的情報および命令を記憶するためにバス1902に結合された読み出し専用メモリ(ROM)1908または他の静的記憶デバイスをさらに含むことができる。磁気ディスクまたは光ディスクなどの記憶デバイス1910が設けられ、情報および命令を記憶するためにバス1902に結合されることができる。
【0220】
様々な実施形態では、プロセッサ1904は、コンピュータユーザに情報を表示するために、バス1902を介して、陰極線管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ1912に結合されることができる。英数字および他のキーを含む入力デバイス1914は、プロセッサ1904への情報およびコマンド選択の通信のためにバス1902に結合されることができる。別の種類のユーザ入力デバイスは、プロセッサ1904に方向情報およびコマンド選択を通信し、ディスプレイ1912上のカーソル移動を制御するための、マウス、トラックボール、またはカーソル方向キーなどのカーソル制御装置である。この入力デバイス1914は、典型的には、デバイスが平面内の位置を指定することを可能にする第1の軸(すなわち、x)および第2の軸(すなわち、y)の2軸の2自由度を有する。しかしながら、3次元(x、yおよびz)カーソル移動を考慮する入力デバイス1914も本明細書で企図されることを理解されたい。
【0221】
本教示の特定の実施と一致して、結果は、メモリ1906に含まれる1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスを実行するプロセッサ1904に応答して、コンピュータシステム1900によって提供されることができる。そのような命令は、記憶デバイス1910などの別のコンピュータ可読媒体またはコンピュータ可読記憶媒体からメモリ1906に読み込まれることができる。メモリ1906に含まれる命令のシーケンスの実行は、プロセッサ1904に本明細書に記載のプロセスを実行させることができる。あるいは、本教示を実装するために、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路構成が使用されることができる。したがって、本教示の実装形態は、ハードウェア回路構成とソフトウェアとのいずれかの具体的な組み合わせに限定されない。
【0222】
本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」(例えば、データストア、データ記憶装置など)または「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ1904に命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。そのような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態をとることができる。不揮発性媒体の例は、これに限定されないが、メモリ1906などのダイナミックメモリを含むことができる。伝送媒体の例は、これらに限定されないが、バス1902を備えるワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバを含むことができる。
【0223】
コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または他の任意の磁気媒体、CD-ROM、他の任意の光学媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを有する他の任意の物理媒体、RAM、PROM、およびEPROM、フラッシュEPROM、他のメモリチップまたはカートリッジ、またはコンピュータが読み取ることができる他の任意の有形媒体を含む。
【0224】
コンピュータ可読媒体に加えて、命令またはデータは、実行のためにコンピュータシステム1900のプロセッサ1904に1つまたは複数の命令のシーケンスを提供するために、通信装置またはシステムに含まれる伝送媒体上の信号として提供されることができる。例えば、通信装置は、命令およびデータを示す信号を有するトランシーバを含むことができる。命令およびデータは、1つまたは複数のプロセッサに、本明細書の開示に概説される機能を実装させるように構成されている。データ通信伝送接続の代表的な例は、これらに限定されないが、電話モデム接続、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、赤外線データ接続、NFC接続などを含むことができる。
【0225】
本明細書に記載されるフローチャート、図、および付随する開示は、コンピュータシステム1900をスタンドアロンデバイスとして使用して、またはクラウドコンピューティングネットワークなどの分散ネットワークもしくは共有コンピュータ処理リソース上で実装されることができることを理解されたい。
【0226】
本明細書に記載された方法論は、用途に応じて様々な手段によって実装されることができる。例えば、これらの方法は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されることができる。ハードウェア実装の場合、処理ユニットは、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書に記載された機能を実行するように設計された他の電子ユニット、および/またはそれらの組み合わせ内に実装されることができる。
【0227】
様々な実施形態では、本教示の方法は、C、C++、Pythonなどのような従来のプログラミング言語で書かれたファームウェアおよび/またはソフトウェアプログラムおよびアプリケーションとして実装されてもよい。ファームウェアおよび/またはソフトウェアとして実装される場合、本明細書に記載される実施形態は、コンピュータに上述した方法を実行させるためのプログラムが記憶された非一時的コンピュータ可読媒体上に実装されることができる。本明細書に記載の様々なエンジンは、コンピュータシステム1900などのコンピュータシステム上に提供されることができ、それによってプロセッサ1904は、メモリ構成要素1906/1508/1510および入力デバイス1914を介して提供されるユーザ入力のいずれか1つまたはそれらの組み合わせによって提供される命令にしたがって、これらのエンジンによって提供される分析および決定を実行することを理解されたい。
【0228】
本教示は、様々な実施形態に関連して説明されているが、本教示がそのような実施形態に限定されることは意図されていない。逆に、本教示は、当業者によって理解されるように、様々な代替、修正、および均等物を包含する。
【0229】
様々な実施形態を説明する際に、本明細書は、特定の順序のステップとして方法および/またはプロセスを提示している場合がある。しかしながら、方法またはプロセスが本明細書に記載の特定の順序のステップに依存しない限り、方法またはプロセスは、記載の特定の順序のステップに限定されるべきではなく、当業者は、順序が変更されてもよく、依然として様々な実施形態の趣旨および範囲内にあることを容易に理解することができる。
【0230】
VI.実施形態の記載
実施形態1:DNA含有組成物の複数のライブラリを正規化するための方法であって、第1の選択ラウンドについてDNA含有組成物の複数のライブラリの各々についての定量化情報を受信することであって、ライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、第1の選択ラウンドによって標的タンパク質に対する結合親和性に基づいてDNAコンジュゲートが選択される、定量化情報を受信することと、定量化情報を使用して、ライブラリの各々に特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することであって、ライブラリの各々のDNA含有組成物が、対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に関連する予め設定された量のDNAを産生するように決定される、ライブラリの各々に特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することと、そのように決定された対応するPCRサイクル数を使用してDNA含有組成物のライブラリをビンに選別することであって、DNA増幅のための共通のPCRサイクル数を共有すると決定されたDNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットを各ビンが含み、同じビン内のDNA含有組成物のライブラリの各サブセットがライブラリの他のビンとは異なる共通のPCRサイクル数を共有する、DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することと、同じビンのDNA含有組成物のライブラリのサブセットについて、対応する共通のPCRサイクル数でビンの1つに対して同じランで、PCRを同時に行うようにサーモサイクラーに指示することと、DNA含有組成物の複数のライブラリが正規化されるように、対応する共通のPCRサイクル数で追加のビンの各々に対してPCRを行うようにサーモサイクラーに指示することと、を含む、方法。
【0231】
実施形態2:DNAコンジュゲートがペプチドを含む、実施形態1に記載の方法。
【0232】
実施形態3:ペプチドが大環状分子を含む、実施形態2に記載の方法。
【0233】
実施形態4:定量化情報が、定量的PCR(qPCR)のサイクル閾値(Ct)を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0234】
実施形態5:ビンのうちの少なくとも1つが、DNA含有組成物の2つ以上のライブラリを含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0235】
実施形態6:ビンのいずれか1つのDNA含有組成物のライブラリの各々が、同じビンに対して対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に、同じ量の増幅DNAを産生するように決定される、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0236】
実施形態7:追加の増幅DNAを産生するために、追加の対応する共通のPCRサイクル数で追加のビンのDNA含有組成物の各々に対してPCRを同時に行うようにサーモサイクラーに指示することをさらに含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0237】
実施形態8:対応するPCRプレート上で対応する共通のPCRサイクル数で同じビンのDNA含有組成物に対してPCR増幅を行うために、各ビンを、対応するPCRプレートと相関させることをさらに含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0238】
実施形態9:増幅DNA含有組成物を生成するために、ソースプレートの元の位置からPCRプレートに移される各ビンのDNA含有組成物に対応する第1のリストを含む順方向ワークリストを生成することをさらに含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0239】
実施形態10:PCRプレートからソースプレートの元の位置に戻される増幅DNA含有組成物に対応する第2のリストを含む逆方向ワークリストを生成することをさらに含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0240】
実施形態11:1つまたは複数のデータプロセッサに、DNA含有組成物の複数のライブラリを正規化するための方法を実行させるように構成された命令を含む、非一時的機械可読記憶媒体に有形に具現化されたコンピュータプログラム製品であって、方法が、第1の選択ラウンドについてDNA含有組成物の複数のライブラリの各々についての定量化情報を受信することであって、ライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、第1の選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいてDNAコンジュゲートが選択される、定量化情報を受信することと、定量化情報を使用して、ライブラリの各々に特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することであって、ライブラリの各々のDNA含有組成物が、対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に関連する予め設定された量のDNAを産生するように決定される、ライブラリの各々に特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することと、そのように決定された対応するPCRサイクル数を用いてDNA含有組成物のライブラリをビンに選別することであって、DNA増幅のための共通のPCRサイクル数を共有すると決定されたDNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットを各ビンが含み、同じビン内のDNA含有組成物のライブラリの各サブセットがライブラリの他のビンとは異なる共通のPCRサイクル数を共有する、DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することと、同じビンのDNA含有組成物のライブラリのサブセットについて、対応する共通のPCRサイクル数でビンの1つに対して同じランで、PCRを同時に行うようにサーモサイクラーに指示することと、DNA含有組成物の複数のライブラリが正規化されるように、追加のビンのDNA含有組成物の各ライブラリに対してPCRを実行するようにサーモサイクラーに指示することと、を含む、コンピュータプログラム製品。
【0241】
実施形態12:システムであって、DNA含有組成物の複数のライブラリの各々の定量化情報を含むデータセットを各選択ラウンドについて記憶するように構成されたデータストアであって、DNA含有組成物のライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、各選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいてDNAコンジュゲートが選択される、データストアと、1つまたは複数のデータプロセッサと、データストアに通信可能に接続され、データセットを受信するように構成されたコンピューティングデバイスであって、1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されると、1つまたは複数のデータプロセッサに、DNA含有組成物の複数のライブラリを正規化するための方法を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備え、方法が、データセットを使用してDNA含有組成物のライブラリをビンに選別することであって、各ビンが、定量化情報を使用してDNA増幅のための共通のPCRサイクル数を共有すると決定されたDNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットを含み、同じビン内のDNA含有組成物のライブラリの各サブセットが、ライブラリの他のビンとは異なる共通のPCRサイクル数を共有する、DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することを含む、コンピューティングデバイスと、同じビンのDNA含有組成物に対して対応する共通のPCRサイクル数でビンの1つに対して同じランで、PCRを同時に行い、DNA含有組成物の複数のライブラリが正規化されるように追加のビンのDNA含有組成物の各ライブラリに対してPCRを行うように構成されたサーモサイクラーと、を備える、システム。
【0242】
実施形態13:同じビンの各ライブラリをソースプレートからPCRプレートに移すように構成された液体ハンドラをさらに備え、同じビンの各ライブラリが、増幅DNAを生成するために、同じビンについての共通のPCRサイクル数でPCRプレート上でPCRによって増幅される、実施形態12に記載のシステム。
【0243】
実施形態14:液体ハンドラが、全てのビンの増幅DNAを追加の選択ラウンドに供するようにさらに構成されている、実施形態13に記載のシステム。
【0244】
実施形態15:システムが、各選択ラウンドの前後にライブラリの各々を定量するように構成された定量的PCRユニットをさらに備える、実施形態11~14のいずれか1つに記載のシステム。
【0245】
実施形態16:ビンのいずれか1つのDNA含有組成物のライブラリの各々が、同じビンに対して対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に、同じ量の増幅DNAを産生するように決定される、実施形態11~15のいずれか1つに記載のシステム。
【0246】
実施形態17:方法が、定量化情報を使用して、各ライブラリに特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することをさらに含み、各ライブラリのDNA含有組成物が、対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に関連するプリセット量のDNAを産生するように決定される、実施形態11~16のいずれか1つに記載のシステム。
【0247】
実施形態18:方法が、対応するPCRプレート上で対応する共通のPCRサイクル数で同じビンのDNA含有組成物に対してPCR増幅を行うために、各ビンを、対応するPCRプレートと相関させることをさらに含む、実施形態11~17のいずれか1つに記載のシステム。
【0248】
実施形態19:方法が、増幅DNAを生成するために、対応する共通のPCRサイクル数でPCRを行うための、ソースプレートの元の位置からPCRプレートに移される各ビンのDNA含有組成物に対応する第1のリストを含む順方向ワークリストを生成することをさらに含む、実施形態11~18のいずれか1つに記載のシステム。
【0249】
実施形態20:方法が、PCRプレートからソースプレートの元の位置に戻される増幅DNAに対応する第2のリストを含む逆方向ワークリストを生成することをさらに含む、実施形態11~19のいずれか1つに記載のシステム。
【0250】
実施形態21:標的タンパク質に対する結合親和性についての候補DNAコンジュゲートを識別するための方法であって、第1の選択ラウンドについてDNA含有組成物の複数のライブラリの各々についての定量化情報を受信することであって、ライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、第1の選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいてDNAコンジュゲーが選択される、定量化情報を受信することと、定量化情報を使用して、各ライブラリに特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することであって、各ライブラリのDNA含有組成物が、対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に関連する予め設定された量のDNAを産生するように決定される、各ライブラリに特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することと、そのように決定されたPCRサイクル数を使用してDNA含有組成物のライブラリをビンに選別することであって、DNA増幅のための共通のPCRサイクル数を共有すると決定されたDNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットを各ビンが含み、同じビン内のDNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットがライブラリの他のビンとは異なる共通のPCRサイクル数を共有する、DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することと、同じビンのDNA含有組成物のライブラリのサブセットについて、対応する共通のPCRサイクル数でビンの1つに対して同じランで、PCRを同時に行うようにサーモサイクラーに指示することと、DNA含有組成物の複数のライブラリが正規化されて、各ライブラリについて増幅DNAを生成するように、対応する共通のPCRサイクル数で追加のビンの各々に対してPCRを行うようにサーモサイクラーに指示することと、各ライブラリについて増幅DNAから標的タンパク質への結合親和性についての候補DNAコンジュゲートを識別するようにシーケンサーに指示することと、を含む、方法。
【0251】
実施形態22:DNAコンジュゲートがペプチドを含む、実施形態21に記載の方法。
【0252】
実施形態23:ペプチドが大環状ペプチドを含む、実施形態22に記載の方法。
【0253】
実施形態24:定量化情報が、定量的PCR(qPCR)のためのサイクル閾値(Ct)を含む、実施形態21から23のいずれか1つに記載の方法。
【0254】
実施形態25:複数のDNA含有組成物の各ライブラリがソースプレートの個々の空間に保存される、実施形態21から24のいずれか1つに記載の方法。
【0255】
実施形態26:ビンのうちの1つのDNA含有組成物のライブラリの各々が、同じビンに対して対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に、同じ量のDNAを産生するように決定される、実施形態21から25のいずれか1つに記載の方法。
【0256】
実施形態27:各ビンが、対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に同じ量のDNAを産生するように決定される、実施形態21から26のいずれか1つに記載の方法。
【0257】
実施形態28:対応するPCRプレート上で対応する共通のPCRサイクル数で同じビンのDNA含有組成物に対してPCR増幅を行うために、各ビンを、対応するPCRプレートと相関させることをさらに含む、、実施形態21から27のいずれか1つに記載の方法。
【0258】
実施形態29:増幅DNAを生成するために、対応する共通のPCRサイクル数でPCRを行うための、ソースプレートの元の位置からPCRプレートに移される各ビンのDNA含有組成物に対応する第1のリストを含む順方向ワークリストを生成することをさらに含む、実施形態21から28のいずれか1つに記載の方法。
【0259】
実施形態30:PCRプレートからソースプレートの元の位置に戻される増幅DNAに対応する第2のリストを含む逆方向ワークリストを生成することをさらに含む、実施形態21から29のいずれか1つに記載の方法。
【0260】
実施形態31:追加の選択ラウンドが、標的タンパク質に対する結合親和性のためのDNA含有組成物をライブラリの各々から選択するステップと、そのように選択されたDNA含有組成物を増幅するステップと、を繰り返すことを含む、実施形態21から30のいずれか1つに記載の方法。
【0261】
実施形態32:標的タンパク質に対する結合親和性について候補DNAコンジュゲートを識別するようにシーケンサーに指示することが、候補DNAコンジュゲート中のDNAをシーケンシングするようにシーケンサーに指示することを含む、実施形態21から31のいずれか1つに記載の方法。
【0262】
実施形態33:各選択ラウンド後に、DNA含有組成物の新たなライブラリを生成することであって、供給源のライブラリの各々に対してインビトロ翻訳を実行して新たなペプチドを産生することと、ソースプレートのライブラリの各々に対してインビトロ逆転写を実行してDNA含有組成物の新たなペプチドライブラリを生成することとを含む、DNA含有組成物の新たなライブラリを生成することをさらに含む、実施形態21から32のいずれか1つに記載の方法。
【0263】
実施形態34:ライブラリの各々を定量することをさらに含む、実施形態21から33のいずれか1つに記載の方法。
【0264】
実施形態35:定量的PCR(qPCR)を使用してライブラリの各々を定量することをさらに含む、実施形態21から34のいずれか1つに記載の方法。
【0265】
実施形態36:各ライブラリの定量化情報を可視化するためのヒートマップを生成することをさらに含む、実施形態21から35のいずれか1つに記載の方法。
【0266】
実施形態37:1つまたは複数のデータプロセッサに、複数のライブラリの各々の定量化情報を監視して、グラフィカルユーザインターフェース上の標的結合を検出するための方法を実行させるように構成された命令を含む、非一時的機械可読記憶媒体に有形に具現化されたコンピュータプログラム製品であって、方法が、第1の選択ラウンドについてDNA含有組成物の複数のライブラリの各々についての定量化情報を受信することであって、ライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、第1の選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいてDNAコンジュゲートが選択される、定量化情報を受信することと、定量化情報を使用して、ライブラリの各々に特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することであって、ライブラリの各々のDNA含有組成物が、対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に関連する予め設定された量のDNAを産生するように決定される、ライブラリの各々に特異的なポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することと、そのように決定されたPCRサイクル数を使用してDNA含有組成物のライブラリをビンに選別することであって、各ビンが、共通のPCRサイクル数を共有すると決定されたDNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットを含み、同じビン内のDNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットが、ライブラリの他のビンのものとは異なる共通のPCRサイクル数を共有する、DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することと、増幅DNA含有組成物を生成するために、同じビンのDNA含有組成物に対して対応する共通のPCRサイクル数でビンの1つに対して、同じランで、PCRを同時に行うようにサーモサイクラーに指示することと、増幅DNA含有組成物から標的タンパク質に対する結合親和性についての候補DNAコンジュゲートを識別することと、を含む、コンピュータプログラム製品。
【0267】
実施形態38:システムであって、DNA含有組成物の複数のライブラリの各々の定量化情報を含むデータセットを各選択ラウンドについて記憶するように構成されたデータストアであって、DNA含有組成物のライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、各選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいてDNAコンジュゲートが選択される、データストアと、1つまたは複数のデータプロセッサと、データストアに通信可能に接続され、データセットを受信するように構成されたコンピューティングデバイスであって、命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備え、命令が、1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されると、1つまたは複数のデータプロセッサに、標的タンパク質に対する結合親和性についての候補DNAコンジュゲートを識別するための方法を実行させ、方法が、定量化情報を使用してライブラリの各々に固有のポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することであって、ライブラリの各々のDNA含有組成物が、対応するPCRサイクル数でPCRを行った後に関連する予め設定された量のDNAを産生するように決定される、ライブラリの各々に固有のポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)サイクル数を決定することと、そのように決定されたPCRサイクル数を使用してDNA含有組成物のライブラリをビンに選別することであって、各ビンが、共通のPCRサイクル数を共有すると決定されたDNA含有組成物のライブラリの異なるサブセットを含み、同じビン内のDNA含有組成物のライブラリの各サブセットが、ライブラリの他のビンのものとは異なる共通のPCRサイクル数を共有する、DNA含有組成物のライブラリをビンに選別することと、増幅DNA含有組成物を生成するために、同じビンのDNA含有組成物に対して対応する共通のPCRサイクル数でビンの1つに対して、同じランで、PCRを同時に行うようにサーモサイクラーに指示することと、増幅DNA含有組成物から標的タンパク質に対する結合親和性についての候補DNAコンジュゲートを識別することと、を含む、コンピューティングデバイスと、を備える、システム。
【0268】
実施形態39:システムが、同じビンのDNA含有組成物に対して対応する共通のPCRサイクル数でビンの1つに対して、同じランで、PCRを同時に行うように構成されたサーモサイクラーをさらに備える、実施形態38に記載のシステム。
【0269】
実施形態40:システムが、各選択ラウンドの前後にライブラリの各々を定量するように構成された定量的PCRユニットをさらに備える、実施形態38または39に記載のシステム。
【0270】
実施形態41:標的結合を検出するためのDNA含有組成物の複数のライブラリの定量化情報を監視するための方法であって、a)第1の選択ラウンドについてDNA含有組成物の複数のライブラリの各々の定量化情報を受信することであって、ライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、第1の選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいてDNAコンジュゲートが選択される、定量化情報を受信することと、b)グラフィカルユーザインターフェース内に、第1の選択ラウンドについてライブラリの各々の定量化情報を表示する第1のウィンドウを生成することと、c)a)~b)を繰り返して、複数のその後の選択ラウンドにわたって追加ウィンドウを生成することであって、各追加ウィンドウが、各ラウンドについての各ライブラリのDNA含有組成物の定量化情報が監視されるように、その後の選択ラウンドの各々についての各ライブラリの定量化情報を表示する、追加ウィンドウを生成することと、を含む、方法。
【0271】
実施形態42:a)およびc)のDNA含有組成物のライブラリの各々の定量化情報が、定量的PCR(qPCR)入力分子、陽性の分子、陰性の分子またはそれらの任意の組み合わせについてのサイクル閾値(Ct)を含む、実施形態41に記載の方法。
【0272】
実施形態43:a)およびc)のDNA含有組成物のライブラリの各々の定量化情報が、入力分子に対する陽性の分子のパーセンテージを含む、実施形態41または42に記載の方法。
【0273】
実施形態44:他のウィンドウを隠しながら、選択されたラウンドの定量化情報を表示する選択されたウィンドウを表示することをさらに含む、実施形態41から43のいずれか1つに記載の方法。
【0274】
実施形態45:a)およびc)のDNA含有組成物の各ライブラリの定量化情報が、各ライブラリのqPCRデータのデータスクレイピングから取得されている、実施形態41から44のいずれか1つに記載の方法。
【0275】
実施形態46:DNAコンジュゲートがペプチドを含む、実施形態41から45のいずれか1つに記載の方法。
【0276】
実施形態47:ペプチドが大環状分子を含む、実施形態41から46のいずれか1つに記載の方法。
【0277】
実施形態48:第1のウィンドウおよび追加ウィンドウは、複数の位置に第1のグラフィカル要素を含み、第1のグラフィカル要素の各々が、ライブラリの各々を表すように構成されている、実施形態41から47のいずれか1つに記載の方法。
【0278】
実施形態49:ライブラリの各々が、ソースプレートの個々の空間のうちの1つにあり、第1のグラフィカル要素の各々が、ソースプレートの個々の空間の各々に水平方向および垂直方向に対応するように構成されている、実施形態41から48のいずれか1つに記載の方法。
【0279】
実施形態50:第1のグラフィカル要素の各々が、ソースプレート内の同じウェルを表すために異なるウィンドウにわたって同じ位置に配置される、実施形態41から49のいずれか1つに記載の方法。
【0280】
実施形態51:第1のウィンドウおよび追加ウィンドウが、異なるライブラリの定量化情報を視覚的に区別するように構成された第2のグラフィカル要素を含む、実施形態41から50のいずれか1つに記載の方法。
【0281】
実施形態52:第2のグラフィカル要素が色または数字を含む、実施形態41から51のいずれか1つに記載の方法。
【0282】
実施形態53:第2のグラフィカル要素が数字を含む、実施形態41から52のいずれか1つに記載の方法。
【0283】
実施形態54:ユーザによって新たな選択ラウンドが選択されたときに新たなウィンドウを表示するようにグラフィカルユーザインターフェースを更新することをさらに含む、実施形態41から53のいずれか1つに記載の方法。
【0284】
実施形態55:ラウンド対ラウンドの比較が生成されるように、同じグラフィカルユーザインターフェース内に、第1のウィンドウおよび追加ウィンドウを表示することをさらに含む、実施形態41から54のいずれか1つに記載の方法。
【0285】
実施形態56:第1のウィンドウおよび追加ウィンドウが、フィルタによって選択された各ライブラリの定量化情報を表示するためにフィルタを設定するように構成された第3のグラフィカル要素を含む、実施形態41から55のいずれか1つに記載の方法。
【0286】
実施形態57:フィルタが、ユーザ選択足場、ユーザ選択コドン、またはユーザ選択標的である、実施形態41から56のいずれか1つに記載の方法。
【0287】
実施形態58:DNA含有組成物のライブラリの各々についてのラウンド対ラウンド比較をグラフィカルユーザインターフェース上にプロットすることをさらに含む、実施形態41から57のいずれか1つに記載の方法。
【0288】
実施形態59:1つまたは複数のデータプロセッサに、ライブラリの定量化情報を監視して、グラフィカルユーザインターフェースで標的結合を検出するための方法を実行させるように構成された命令を含む、非一時的機械可読記憶媒体において有形に具現化されたコンピュータプログラム製品であって、方法が、a)第1の選択ラウンドのために、DNA含有組成物の複数のライブラリの各々の定量化情報を受信することであって、DNA含有組成物のライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、第1の選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいてDNAコンジュゲートが選択される、定量化情報を受信することと、b)グラフィカルユーザインターフェース内に、第1の選択ラウンド後のDNA含有組成物のライブラリの各々の定量化情報を含む第1のウィンドウを表示することと、c)a)~b)を繰り返して、複数のその後の選択ラウンドにわたって追加ウィンドウを生成することであって、各追加ウィンドウが、各ラウンドについての各ライブラリのDNA含有組成物の定量化情報が監視されるように、その後の選択ラウンドの各々についての各ライブラリの定量化情報を表示する、追加ウィンドウを生成することと、を含む、コンピュータプログラム製品。
【0289】
実施形態60:システムであって、DNA含有組成物の複数のライブラリの各々の定量化情報を含むデータセットを各選択ラウンドについて記憶するように構成されたデータストアであって、DNA含有組成物のライブラリの各々がDNAコンジュゲートを含み、各選択ラウンドによって、標的タンパク質に対する結合親和性に基づいてDNAコンジュゲートが選択される、データストアと、1つまたは複数のデータプロセッサと、データストアに通信可能に接続され、データセットを受信するように構成されたコンピューティングデバイスであって、1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されると、1つまたは複数のデータプロセッサに、DNA含有組成物のライブラリの各々の定量化情報を表示するための方法を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備え、方法が、表示されるように選択された任意の選択ラウンドのためにDNA含有組成物のライブラリの各々の定量化情報を表示するように選択されたウィンドウを含むグラフィカルユーザインターフェースを生成することを含む、コンピューティングデバイスと、を備える、システム。
【0290】
実施形態61:PCR増幅のために各ライブラリをソースプレートからPCRプレートに移すように構成された液体ハンドラをさらに備える、実施形態60に記載のシステム。
【0291】
実施形態62:液体ハンドラが、各2回の連続する選択ラウンドの間でライブラリの各々を正規化するようにさらに構成されている、実施形態61に記載のシステム。
【0292】
実施形態63:システムが、各選択ラウンドの後に各ライブラリを増幅するように構成されたサーモサイクラーをさらに備える、実施形態60から62のいずれか1つに記載のシステム。
【0293】
実施形態64:システムが、各選択ラウンドの前後に各ライブラリを定量するように構成された定量的PCRユニットをさらに備える、実施形態60から63のいずれか1つに記載のシステム。
【0294】
実施形態65。DNAを含む複数のサンプルに対するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅プロセスを正規化するための方法であって、複数のサンプルに対するPCR増幅プロセスを実行するためのサイクルデータを識別することであって、サイクルデータが、複数のサンプルの各サンプルに対する対応するサイクル数を含む、サイクルデータを識別することと、複数のビンのビン間のサイクル数変動が低減されるように、サイクルデータに基づいて複数のサンプルを複数のビンに選別することと、ビンサイクル数を複数のビンの各ビンに割り当てることであって、ビンサイクル数が複数のビンの各ビンに固有である、ビンサイクル数を複数のビンの各ビンに割り当てることと、複数のビンの識別情報を生成することと、複数のビンおよび複数のビンの各ビンについてのビンサイクル数を使用して複数のサンプルのPCR増幅を行うための出力を生成することと、を含む、方法。
【0295】
実施形態66。複数のサンプルが様々な量のDNAを有し、複数のサンプルが増幅された複数のサンプルになるようにPCR増幅プロセスが実行された後、増幅された複数のサンプルが正規化された量のDNAを有する、実施形態65に記載の方法。
【0296】
実施形態67。識別情報を生成することが、複数のビンの各ビンについてビン識別子を生成することを含む、実施形態65または実施形態66に記載の方法。
【0297】
実施形態68。出力を生成することが、複数のビンのうちの1つのビンについての順方向ワークリストを生成することであって、順方向ワークリストが、ビン内のサンプルのセットがソースプレートからビンの対応するPCRプレートに移送される順序を含む、順方向ワークリストを生成することを含む、実施形態65~67のいずれか1つに記載の方法。
【0298】
実施形態69。出力が、PCRプレートのセットを使用してPCR増幅プロセスを実行するためのサーモサイクラーのための指示をさらに含む、実施形態65~68のいずれか1つに記載の方法。
【0299】
実施形態70。ビンサイクル数を割り当てることが、ビン内のサンプルのセットの最高サイクル数、サンプルのセットの平均サイクル数、サンプルのセットの中央サイクル数、および最高サイクル数と選択されたサイクル数との合計からなる群からのサイクル数を使用して、複数のビンのうちの1つのビンのビンサイクル数を生成することを含む、実施形態65~69のいずれか1つに記載の方法。
【0300】
実施形態71。選択されたサイクル数が、PCR増幅プロセスの第1のランからPCR増幅プロセスの第2のランに変更される、実施形態70に記載の方法。
【0301】
実施形態72。選別することが、サイクルデータの任意の非整数サイクル数を整数サイクル数に変換して、修正サイクルデータを形成することと、サイクル数の選択された範囲内にある修正サイクルデータの固有の整数サイクル数をN個のビンに割り当てることと、ビンの目標数に到達するまで、距離方程式を使用してN個のビンの隣接するビンをマージすることであって、ビンの目標数が複数のビンの少なくとも一部を形成する、N個のビンの隣接するビンをマージすることと、を含む、実施形態65~71のいずれか1つに記載の方法。
【0302】
実施形態73。サイクルデータを識別することが、定量的PCR(qPCR)システムから初期サイクルデータを受信することであって、初期サイクルデータが、複数のサンプルの各サンプルの初期サイクル数を含む、初期サイクルデータを受信することと、サイクルデータを生成するために複数のサンプルのうちの少なくとも1つの初期サイクル数を修正することと、を含む、実施形態65~71のいずれか1つに記載の方法。
【0303】
実施形態74。複数のサンプルのうちのサンプルの初期サイクル数が未決定の値であり、修正することが、サンプルの初期サイクル数を未決定の値から予め選択されたサイクル数に変更することを含む、実施形態73に記載の方法。
【0304】
実施形態75。修正することが、複数のサンプルの各サンプルの初期サイクル数に2つのサイクルを追加すること、または、各非整数サイクル数を整数サイクル数に変換すること、のうちの少なくとも1つを含む、実施形態73~74のいずれか1つに記載の方法。
【0305】
実施形態76。選別することが、サイクルデータ内のサイクル数の選択された範囲に基づいて、複数のサンプルを複数のビンに分配することを含む、実施形態65~71または72~75のいずれか1つに記載の方法。
【0306】
実施形態77。分配することが、サイクル数の選択された範囲外の対応するサイクル数で複数のサンプルの一部を複数のビンの一部に割り当てることと、複数のビンの残りの部分の間で、サイクル数の選択された範囲内の対応するサイクル数で複数のサンプルの残りの部分を実質的に均一に分配することと、を含む、実施形態76に記載の方法。
【0307】
実施形態78。選別することが、サイクルデータ内の各非整数サイクル数を整数サイクル数に変換して、修正サイクルデータを形成することと、修正サイクルデータ内のサイクル数の選択された範囲に基づいて、複数のサンプルを複数のビンに実質的に均一に分配することと、を含む、実施形態65~71または72~75のいずれか1つに記載の方法。
【0308】
実施形態79。出力を生成することが、識別情報を使用して、複数のビンの各ビン内のサンプルのセットをPCRプレートのセットの対応するPCRプレートに移送する際に使用するための移送出力を生成することを含む、実施形態65~78のいずれか1つに記載の方法。
【0309】
実施形態80。複数のサンプルが複数の対応するサイクル数を有し、選別することが、複数の対応する選択された低サイクル数未満のサイクル数の第1のセットを有する複数のサンプルの第1の部分を、複数のビンの最初のビンに割り当てることと、選択された高い数を上回るサイクル数の第2のセットを有する複数のサンプルの第2の部分を複数のビンの最後のビンに割り当てることと、複数のサンプルの残りの部分を、最初のビンと最後のビンとの間のビンのセットに分配することと、を含む、実施形態65~71のいずれか1つに記載の方法。
【0310】
実施形態81。複数のサンプルが複数の対応するサイクル数を有し、選別することが、複数の対応するサイクル数の分布を識別することをさらに含む、実施形態65~71のいずれか1つに記載の方法。
【0311】
実施形態82。分布を識別することが、複数の対応するサイクル数のヒストグラム分布を識別することであって、複数の対応するサイクル数の60%~100%が、選択された低サイクル数と選択された高サイクル数との間およびそれらを含む選択された範囲内にある、複数の対応するサイクル数のヒストグラム分布を識別することを含む、実施形態81に記載の方法。
【0312】
実施形態83。選択された低サイクル数が4サイクル数であり、選択された高サイクル数が24サイクル数である、実施形態82に記載の方法。
【0313】
実施形態84。選別することが、選択された低サイクル数を下回る対応するサイクル数で複数のサンプルのうちの任意のサンプルを、複数のビンのうちの最初のビンに割り当てることと、選択された高サイクル数を上回る対応するサイクル数で複数のサンプルのうちの任意のサンプルを複数のビンのうちの最後のビンに割り当てることと、を含む、実施形態82または実施形態83に記載の方法。
【0314】
実施形態85。選別することが、最初のビンと最後のビンとの間のビンのセットの間で複数のサンプルの残りの部分を分配することをさらに含む、実施形態84に記載の方法。
【0315】
実施形態86。複数の対応するサイクル数の100%が選択された範囲内にあり、複数のサンプルを複数のビンに選別することが、より高いサイクル数と比較してより低いサイクル数間でより多くのビン分離を提供するようにバイアスをかけて複数のサンプルを複数のビンの間に分配することを含む、実施形態82または実施形態83に記載の方法。
【0316】
実施形態87。選別することが、サイクルデータにおけるサイクル数の選択された範囲に基づいて、複数のサンプルを複数のビンに分配することと、同じ整数値に関連付けられた対応するサイクル数で複数のサンプルのうちの任意のサンプルが同じビンに一緒にグループ化されるように、複数のビン内の複数のサンプルの分布を修正することと、を含む、実施形態65~71のいずれか1つに記載の方法。
【0317】
実施形態88。複数のサンプルが複数の対応するサイクル数を有し、複数の対応するサイクル数のうちの2つのサイクル数が、2つのサイクル数の各々が同じ整数値である整数を含む場合、同じ整数値と関連付けられる、実施形態87に記載の方法。
【0318】
実施形態89。複数のサンプルが複数の対応するサイクル数を有し、複数の対応するサイクル数のうちの2つのサイクル数が、2つのサイクル数の各々が同じ整数値に切り上げられた場合、同じ整数値に関連付けられる、実施形態87に記載の方法。
【0319】
実施形態90。選別することが、複数のサイクル数についての分布に基づいて、平均の1つの標準偏差の外にある複数のサイクル数の別の部分と比較して、複数のサイクル数の平均の1つの標準偏差の内にある複数のサイクル数の一部の間でより多くのビン分離を提供するようにバイアスをかけて、複数のサンプルを複数のビンに選別することを含む、実施形態65~71のいずれか1つに記載の方法。
【0320】
実施形態91。出力に基づいて、複数のビンの各ビン内のサンプルのセットをPCRプレートのセットの対応するPCRプレートに移すことと、PCRプレートのセットを使用してPCR増幅プロセスを実行することと、をさらに含む、実施形態65~90のいずれか1つに記載の方法。
【0321】
実施形態92。サイクルデータを識別することが、定量的PCR(qPCR)システムからサイクルデータを受信することを含む、実施形態65~91のいずれか1つに記載の方法。
【0322】
実施形態93。1つまたは複数のデータプロセッサと、1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されると、1つまたは複数のデータプロセッサに、実施形態1~10、21~36、41~58、および65~92に開示された1つまたは複数の方法の一部または全部を実行させる、命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、を備える、システム。
【0323】
実施形態94。1つまたは複数のデータプロセッサに、請求項1~10、21~36、41~58、および65~92のいずれか一項に記載の1つまたは複数の方法の一部または全部を実行させるように構成された命令を含む一時的機械可読記憶媒体において有形に具現化された、コンピュータプログラム製品。
【0324】
VII.追加の考察
本文書のセクションおよびサブセクション間の見出しおよび小見出しは、読みやすさを改善するために含まれるに過ぎず、特徴がセクションおよびサブセクションをまたいで組み合わされることができないことを示唆するものではない。したがって、セクションおよびサブセクションは、別個の実施形態を説明するものではない。
【0325】
本開示のいくつかの実施形態は、1つまたは複数のデータプロセッサを含むシステムを含む。いくつかの実施形態では、システムは、命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、命令が、1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されると、1つまたは複数のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つまたは複数の方法の一部または全部および/または1つまたは複数のプロセスの一部または全部を実行させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。本開示のいくつかの実施形態は、1つまたは複数のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つまたは複数の方法の一部または全部および/または1つまたは複数のプロセスの一部または全部を実行させるように構成された命令を含む非一時的機械可読記憶媒体において有形に具現化された、コンピュータプログラム製品を含む。
【0326】
その後の説明は、好ましい例示的な実施形態のみを提供し、本開示の範囲、適用可能性または構成を限定することを意図しない。むしろ、好ましい例示的な実施形態のその後の説明は、様々な実施形態を実装するための可能な説明を当業者に提供する。添付の特許請求の範囲に記載の趣旨および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置に様々な変更を加えることができることが理解される。
【0327】
実施形態の完全な理解を提供するために、以下の説明において具体的な詳細が与えられる。しかしながら、これらの具体的な詳細なしで実施形態が実施されることができることが理解されよう。例えば、回路、システム、ネットワーク、プロセス、および他の構成要素は、実施形態を不必要に詳細に不明瞭にしないために、ブロック図形式の構成要素として示されてもよい。他の例では、実施形態を不明瞭にすることを避けるために、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造、および技術が不必要な詳細なしに示されてもよい。
【0328】
様々な実施形態を説明する際に、本明細書は、特定の一連のステップとして方法および/またはプロセスを提示している場合がある。しかしながら、方法またはプロセスが本明細書に記載の特定の順序のステップに依存しない限り、方法またはプロセスは、記載の特定の順序のステップに限定されるべきではなく、当業者は、順序が変更されてもよく、依然として様々な実施形態の趣旨および範囲内にあることを容易に理解することができる。
【0329】
特許出願、特許公報、およびUniProtKB/Swiss-Prot受託番号を含む、本明細書に引用される全ての参考文献は、各個々の参考文献が参照により組み込まれると具体的且つ個別に指示されているかのように、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】