(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】電気化学装置及び電子装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/052 20100101AFI20231023BHJP
H01M 10/0567 20100101ALI20231023BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20231023BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20231023BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20231023BHJP
H01G 11/28 20130101ALI20231023BHJP
H01G 11/64 20130101ALI20231023BHJP
H01G 11/60 20130101ALI20231023BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M10/0567
H01M4/13
H01M10/0569
H01M4/66 A
H01G11/28
H01G11/64
H01G11/60
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523109
(86)(22)【出願日】2020-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 CN2020121055
(87)【国際公開番号】W WO2022077311
(87)【国際公開日】2022-04-21
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王可▲飛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲韓▼冬冬
(72)【発明者】
【氏名】郭俊
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲勝▼奇
【テーマコード(参考)】
5E078
5H017
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5E078AA03
5E078AA11
5E078AB01
5E078BB38
5E078DA03
5E078DA14
5H017AA03
5H017AS02
5H017CC01
5H017DD05
5H017HH03
5H017HH04
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5H029AJ12
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5H029AK03
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5H029AM07
5H029HJ01
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5H050AA12
5H050AA15
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050DA04
5H050FA02
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA12
(57)【要約】
本発明は、電気化学装置及び電子装置に関するものである。電気化学装置は、電極と電解液とを含む。電極は、集電体と、集電体上に位置する中間層と、中間層上に位置する活物質層とを含む。中間層と活物質層とは、特定の面積比を有し、かつ、電解液は硫黄-酸素二重結合を含有する化合物を含む。本発明の電気化学装置は、改善された直流内部抵抗及び安全性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極と電解液とを含む電気化学装置であって、
前記電極は、集電体と、前記集電体上に位置する中間層と、前記中間層上に位置する活物質層とを含み、
前記中間層と前記活物質層との面積比をAとしたとき、Aは0.9~1.1の範囲内にあり、
前記電解液は、硫黄-酸素二重結合を含有する化合物を含む、電気化学装置。
【請求項2】
前記中間層は導電材を含み、前記導電材の平均粒子径は1μm以下である、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項3】
前記導電材は、カーボンブラック、炭素繊維、グラフェン及びカーボンナノチューブのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の電気化学装置。
【請求項4】
前記導電材の比表面積をX m
2/gとしたとき、Xは20~300の範囲内にある、請求項2に記載の電気化学装置。
【請求項5】
前記電解液の重量に基づいて、前記硫黄-酸素二重結合を含有する化合物の含有量をY%としたとき、Yは0.01~10の範囲内にある、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項6】
AとYは、0.009≦A×Y≦6を満たす、請求項5に記載の電気化学装置。
【請求項7】
前記電解液の重量に基づいて、前記硫黄-酸素二重結合を含有する化合物の含有量をY%としたとき、Yは、0.01~10の範囲内にあり、かつXとYは、0.2≦X×Y≦200を満たす、請求項4に記載の電気化学装置。
【請求項8】
前記硫黄-酸素二重結合を含有する化合物は、環状硫酸エステル、鎖状硫酸エステル、鎖状スルホン酸エステル、環状スルホン酸エステル、鎖状亜硫酸エステル、及び環状亜硫酸エステルのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項9】
前記硫黄-酸素二重結合を含有する化合物は、式1で表される化合物を含み、
【化12】
Wは
【化13】
から選択され、
Lは単結合およびメチレン基から選択され、かつ、同一の環構造中の2つのLが同時に単結合であることはなく、
mは1、2、3または4であり、
nは0、1または2であり、かつ
pは0、1、2、3、4、5または6である、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項10】
前記式1で表される化合物は、
【化14】
のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の電気化学装置。
【請求項11】
前記電解液は、さらに、
(a)プロピオン酸エステルと、
(b)シアノ基を有する有機化合物と、
(c)ジフルオロリン酸リチウムと、
(d)式2で表される化合物と、
のうちの少なくとも1つを含み、
【化15】
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、それぞれ独立して、水素またはC
1-C
10アルキル基であり、
L
1とL
2は、それぞれ独立して、-(CR
7R
8)
n-であり、
R
7及びR
8は、それぞれ独立して、水素またはC
1-C
10アルキル基であり、および
nは1、2または3である、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項12】
前記式2で表される化合物は、
【化16】
のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の電気化学装置。
【請求項13】
前記電解液の重量に基づいて、前記プロピオン酸エステルの含有量は10%~60%の範囲内にある、請求項11に記載の電気化学装置。
【請求項14】
前記電解液の重量に基づいて、前記ジフルオロリン酸リチウムの含有量をb%としたとき、bは0.01~2の範囲内にある、請求項11に記載の電気化学装置。
【請求項15】
前記電解液の重量に基づいて、前記硫黄-酸素二重結合を含有する化合物の含有量をY%としたとき、Yは0.01~10の範囲内にある、かつYとbは、0.01≦Y/b≦100を満たす、請求項14に記載の電気化学装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の電気化学装置を含む、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵の技術分野に関し、具体的には電気化学装置及び電子装置、特にリチウムイオン電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
技術の発展とモバイルデバイスへの需要の増加に伴い、電気化学装置(例えば、リチウムイオン電池)への各種需要も増加している。長い持続可能時間を追求すると同時に、リチウムイオン電池の性能、特にリチウムイオン電池の安全性についてより高い要求を提出した。
【0003】
リチウムイオン電池には一般的に以下のような不足や問題があり、すなわち、電池の内部抵抗が比較的に大きく、充放電を許可する電流が小さく、充電時間が長すぎる(例えば、緩速充電には少なくとも3.5時間かかり、急速充電には少なくとも30分かかる)。リチウムイオン電池が高いレートの充放電を行うと、電池の内部抵抗によって大量の熱が発生する。リチウムイオン電池を均一に放熱するための有効な手段が不足しているため、リチウムイオン電池内部が局所的に過熱し、それはリチウムイオン電池の老化を加速させ、電池容量と電力性能の衰退を招くだけでなく、リチウムイオン電池の膨張、変形、さらに爆発などの安全上の危険性を招くこともある。
【0004】
この点に鑑みて、改良された性能を有する電気化学装置及び電子装置を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、改善された直流内部抵抗および安全性を有する電気化学装置及び電子装置を提供することにより、少なくともある程度で、関連分野における少なくとも1つの問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様において、本発明は、電極と電解液とを含み、前記電極は、集電体と、集電体上に位置する中間層と、前記中間層上に位置する活物質層とを含み、前記中間層と前記活物質層との面積比をAとしたとき、Aは0.9~1.1の範囲内にあり、前記電解液が、硫黄-酸素二重結合を含有する化合物を含む、電気化学装置を提供する。
【0007】
本発明の実施例によれば、前記中間層は導電材を含み、前記導電材の平均粒子径は1μm以下である。
【0008】
本発明の実施例によれば、前記導電材は、カーボンブラック、炭素繊維、グラフェン及びカーボンナノチューブのうちの少なくとも1つを含む。
【0009】
本発明の実施例によれば、前記導電材の比表面積をX m2/gとしたとき、Xは20~300の範囲内にある。
【0010】
本発明の実施例によれば、前記電解液の重量に基づいて、前記硫黄-酸素二重結合を含有する化合物の含有量をY%としたとき、Yは0.01~10の範囲内にある。
【0011】
本発明の実施例によれば、AとYは、0.009≦A×Y≦6を満たす。
【0012】
本発明の実施例によれば、XとYは、0.2≦X×Y≦200を満たす。
【0013】
本発明の実施例によれば、前記硫黄-酸素二重結合を含有する化合物は、環状硫酸エステル、鎖状硫酸エステル、鎖状スルホン酸エステル、環状スルホン酸エステル、鎖状亜硫酸エステル、及び環状亜硫酸エステルのうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
本発明の実施例によれば、前記硫黄-酸素二重結合を含有する化合物は、式1で表される化合物を含み、
【化1】
ここで、
Wは
【化2】
から選択され、
Lは単結合およびメチレン基から選択され、かつ、同一の環構造中の2つのLが同時に単結合であることはなく、
mは1、2、3または4であり、
nは0、1または2であり、かつ
pは0、1、2、3、4、5または6である。
【0015】
本発明の実施例によれば、前記式1で表される化合物は、
【化3】
のうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
本発明の実施例によれば、前記電解液は、さらに、
(a)プロピオン酸エステルと、
(b)シアノ基を有する有機化合物と、
(c)ジフルオロリン酸リチウムと、
(d)式2で表される化合物と、
のうちの少なくとも1つを含み、
【化4】
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、それぞれ独立して、水素原子またはC
1-C
10アルキル基であり、
L
1とL
2は、それぞれ独立して、-(CR
7R
8)
n-であり、
R
7及びR
8は、それぞれ独立して、水素原子またはC
1-C
10アルキル基であり、および
nは1、2または3である。
【0017】
本発明の実施例によれば、前記式2で表される化合物は、
【化5】
のうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
本発明の実施例によれば、前記電解液の重量に基づいて、前記プロピオン酸エステルの含有量をa%としたとき、aは10~60の範囲内にある。
【0019】
本発明の実施例によれば、前記電解液の重量に基づいて、前記ジフルオロリン酸リチウムの含有量をb%としたとき、bは0.01~2の範囲内にある。
【0020】
本発明の実施例によれば、Yとbは、0.01≦Y/b≦100を満たす。
【0021】
本発明のさらなる態様において、本発明は、本発明に記載された電気化学装置を含む電子装置を提供する。
【0022】
本発明の実施例の他の態様および利点について、一部的に以下の内容に述べられ、示され、または本発明の実施例の実施を通じて説明される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。本発明の実施例は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0024】
特に断らない限り、本明細書で使用される以下の用語は、以下に示す意味を有する。
【0025】
具体的な実施形態および請求項の範囲において、「のうちの少なくとも1つ」という用語によって接続された項のリストは、リストされた項の任意の組み合わせを意味する。例えば、項Aと項Bがリストされている場合、「AとBのうちの少なくとも1つ」は、Aのみ、Bのみ、またはAとBを意味する。他の実例において、項A、項B、および項Cがリストされている場合、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」は、Aのみ、またはBのみ、Cのみ、AとB(Cを除く)、AとC(Bを除く)、BとC(Aを除く)、またはA、B、Cのすべてを意味する。項Aは、単一の要素または複数の要素を含んでいてもよい。項Bは、単一の要素または複数の要素を含んでいてもよい。項Cは、単一の要素または複数の要素を含んでいてもよい。用語「のうちの少なくとも1種」は、用語「のうちの少なくとも1つ」と同じ意味を有する。
【0026】
本明細書で使用する場合、「アルキル」という用語は、炭素原子1~20個を有する直鎖飽和炭化水素構造であることが予想される。また、「アルキル」は、炭素原子3~20個を有する分岐鎖または環状炭化水素構造であることが予想される。特定の炭素数を有するアルキル基を指定する場合、その炭素数を有するすべての幾何異性体が含まれることが予想される。したがって、例えば、「ブチル」とは、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、およびシクロブチルを含むことを意味し、「プロピル」とは、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピルを含むことを意味する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、エチルシクロペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、オクチル、シクロプロピル、シクロブチル、ノルボニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書で使用する場合、「ハロゲン化」という用語は、基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)で置換されていることを意味する。
【0028】
電気化学装置(例えば、リチウムイオン電池)が広く使用されるにつれて、その安全性はますます注目されている。電気化学装置の安全上の危険性は主に内部の過熱によるものである。リチウムイオン電池が高いレート充放電を行うと、その内部に発生する大量の熱が均一に放出されず、リチウムイオン電池の老化が加速され、リチウムイオン電池に膨張、変形、さらに爆発などの安全上の危険性が生じる。
【0029】
本発明は、電極集電体と活物質層との間に、活物質層と特定の面積比を有する中間層を設けるとともに、硫黄-酸素二重結合を含有する化合物を含む電解質を組み合わせて使用することにより、上記課題を解決したものである。
【0030】
一実施例において、本発明は、以下に説明する電極及び電解液を含む電気化学装置を提供する。
【0031】
I、電極
本発明の電気化学装置の1つの特徴は、電極が、集電体と、集電体上に位置する中間層と、前記中間層上に位置する活物質層とを含み、前記中間層と前記活物質層との面積比をAとしたとき、Aは0.9~1.1の範囲内にあることである。いくつかの実施例において、Aは、0.9、1.0、または1.1であり、あるいは前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。前記中間層は電気化学装置の直流内部抵抗と厚さ膨張率を顕著に低下させ、電気化学装置の安全性を改善することができる。
【0032】
いくつかの実施例において、前記中間層は導電材を含み、前記導電材の平均粒子径は1μm以下である。いくつかの実施例において、前記導電材の平均粒子径は0.8μm以下である。いくつかの実施例において、前記導電材の平均粒子径は0.7μm以下である。いくつかの実施例において、前記導電材の平均粒子径は0.5μm以下である。いくつかの実施例において、前記導電材の平均粒子径は0.2μm以下である。いくつかの実施例において、前記導電材の平均粒子径は0.1μm以下である。導電材の平均粒子径が上記範囲内にあると、負極集電体と負極活物質層との界面における導電性を高めるだけでなく、その界面をぼかして、両者の接着性を高めることができる。導電材は、通常、前記負極集電体の表面と平行な方向に凝集しており、負極集電体に垂直な方向にほとんど積層されていない。この場合、導電材の平均粒子径が負極活物質の平均粒子径よりも小さいと、負極集電体と負極活物質層との間に導電材を含む界面は非常に薄く、電気化学装置の直流内部抵抗と厚さ膨張率を顕著に低下させ、電気化学装置の安全性を改善することができる。
【0033】
いくつかの実施例において、前記導電材は、カーボンブラック、炭素繊維、グラフェン及びカーボンナノチューブのうちの少なくとも1種を含む。いくつかの実施例において、前記カーボンブラックは、アセチレンブラック、ファーネスブラック、及びケッチェンブラックのうちの少なくとも1種を含む。
【0034】
いくつかの実施例において、前記導電材の比表面積をX m2/gとしたとき、Xは20~300の範囲内にある。いくつかの実施例において、Xは50~250の範囲内にある。いくつかの実施例において、Xは80~200の範囲内にある。いくつかの実施例において、Xは100~150の範囲内にある。いくつかの実施例において、Xは、20、50、80、100、120、150、180、200、250、280、または300であり、あるいは前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。導電材の比表面積が上記範囲内にあると、電気化学装置の直流内部抵抗及び厚さ膨張率をさらに低減し、電気化学装置の安全性を改善するのに役立つ。
【0035】
導電材の比表面積(BET)は、以下の方法で測定することができる。表面積計(例えば、大倉理研製の全自動表面積測定装置)を用いて、窒素気流下で150℃で試料を30分間予備乾燥した後、大気圧に対する窒素ガスの相対圧力値を0.3に正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用いて、ガス流動法を用いた窒素吸着BET1点法により測定する。
【0036】
本発明に記載の電極は、正極または負極であってもよい。
【0037】
正極
正極は、正極集電体と、前記正極集電体の片面または両面に設けられた正極活物質層とを含む。
【0038】
1、正極活物質層
正極活物質層は正極活物質を含み、前記正活物質層は、1層または多層であってもよい。多層の正極活物質層中の各層は、同じまたは異なる正活性物質を含んでもよい。正極活物質は、リチウムイオンなどの金属イオンを可逆的に挿入及び脱離可能な任意のものである。
【0039】
正極活物質の種類は、金属イオン(例えば、リチウムイオン)を電気化学的に吸蔵及び放出できるものであれば特に制限されない。いくつかの実施例において、正極活物質は、リチウムと少なくとも1種の遷移金属とを含む物質である。正極活物質としては、リチウム遷移金属複合酸化物及びリチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
いくつかの実施例において、リチウム遷移金属複合酸化物中の遷移金属としては、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuなどが挙げられる。いくつかの実施例において、リチウム遷移金属複合酸化物としては、LiCoO2などのリチウムコバルト複合酸化物、LiNiO2などのリチウムニッケル複合酸化物、LiMnO2、LiMn2O4、Li2MnO4などのリチウムマンガン複合酸化物、LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2、LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2などのリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物などが挙げられ、ここで、これらリチウム遷移金属複合酸化物の主体である遷移金属原子の一部が、Na、K、B、F、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si、Nb、Mo、Sn、Wなどの他の元素に置換されている。リチウム遷移金属複合酸化物としては、LiNi0.5Mn0.5O2、LiNi0.85Co0.10Al0.05O2、LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2、LiNi0.45Co0.10Al0.45O2、LiMn1.8Al0.2O4およびLiMn1.5Ni0.5O4が挙げられるが、これらに限定されない。リチウム遷移金属複合酸化物の組み合わせとしては、LiCoO2とLiMn2O4との組み合わせが挙げられ、これらに限定されなく、ここで、LiMn2O4の一部のMnは遷移金属に置換されてもよく(例えば、LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2)、LiCoO2の一部のCoは遷移金属に置換されてもよい。
【0041】
いくつかの実施例において、リチウム含有遷移金属リン酸化合物中の遷移金属としては、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuなどが挙げられる。いくつかの実施例において、リチウム含有遷移金属リン酸化合物としては、LiFePO4、Li3Fe2(PO4)3、LiFeP2O7などのリン酸鉄類、LiCoPO4などのリン酸コバルト類が挙げられ、ここで、これらのリチウム含有遷移金属リン酸化合物の主体である遷移金属原子の一部がAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Nb、Siなどの他の元素に置換されている。
【0042】
いくつかの実施例において、正極活物質は、電気化学装置の連続充電特性を向上させるリン酸リチウムを含む。リン酸リチウムの使用には制限はない。いくつかの実施例において、正極活物質とリン酸リチウムとを混合して使用する。いくつかの実施例において、リン酸リチウムの含有量は、前記正極活物質とリン酸リチウムの重量に対して、0.1%超、0.3%超、または0.5%超である。いくつかの実施例において、リン酸リチウムの含有量は、前記正極活物質とリン酸リチウムの重量に対して、10%未満、8%未満、または5%未満である。いくつかの実施例において、リン酸リチウムの含有量は、前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。
【0043】
表面被覆
前記正極活物質の表面には、その組成と異なる物質が付着していてもよい。表面付着物質としては、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどの酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウムなどの硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、炭素などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
これらの表面付着物質は、以下の方法で正極活物質表面に付着することができる。表面付着物質を溶媒に溶解または懸濁させて当該正極活物質に浸透させて乾燥する方法、表面付着物質の前駆体を溶媒に溶解または懸濁させ、当該正極活物質に浸透させてた後、加熱などにより反応させる方法、及び、正極活物質の前駆体に添加しながら焼成する方法が挙げられる。炭素を付着させる場合には、炭素材料(例えば、活性炭など)を機械的に付着させる方法を用いてもよい。
【0045】
いくつかの実施例において、表面付着物質の含有量は、正極活物質層の重量に基づいて、0.1ppm超、1ppm超、または10ppm超である。いくつかの実施例において、表面付着物質の含有量は、正極活物質層の重量に基づいて、10%未満、5%未満、または2%未満である。いくつかの実施例において、表面付着物質の含有量は、正極活物質層の重量に基づいて、前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。
【0046】
正極活物質の表面に物質を付着させることにより、正極活物質表面の電解液の酸化反応を抑制でき、電気化学装置の寿命を高めることができる。表面付着物質の量が少なすぎると、その効果が十分に現れない。表面付着物質の量が多すぎると、リチウムイオンの出入りが阻害されるため、抵抗が増加することがある。
【0047】
本発明において、正極活物質の表面に、その組成と異なる物質が付着した正極活物質を「正極活物質」ともいう。
【0048】
形状
いくつかの実施例において、正極活物質粒子の形状としては、ブロック状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、正極活物質粒子は、一次粒子、二次粒子、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施例において、一次粒子は凝集して二次粒子を形成することができる。
【0049】
タップ密度
いくつかの実施例において、正極活物質のタップ密度は、0.5g/cm3超、0.8g/cm3超、または1.0g/cm3超である。正極活物質のタップ密度が上記範囲内にあると、正極活物質層の形成時に必要な分散媒の量、及び導電材及び正極バインダーの必要量を抑制することができ、これにより正極活物質の充填率及び電気化学装置の容量を確保することができる。タップ密度の高い複合酸化物粉体を用いることにより、高い密度を有する正極活物質層を形成することができる。タップ密度は、通常、大きいほど好ましく、特に上限はない。いくつかの実施例において、正極活物質のタップ密度は4.0g/cm3未満、3.7g/cm3未満、または3.5g/cm3未満である。正極活物質のタップ密度が上記のような上限を有する場合には、負荷特性の低下を抑制することができる。
【0050】
正極活物質のタップ密度は、5g~10gの正極活物質粉体を10mLのガラス製メスシリンダーに入れ、20mmの200ストローク振動を行い、粉体充填密度(タップ密度)を得ることにより算出することができる。
【0051】
メジアン径(D50)
正極活物質粒子が一次粒子である場合、正極活物質粒子のメジアン径(D50)は正極活物質粒子の一次粒子径を指す。正極活物質粒子の一次粒子が凝集して二次粒子を形成する場合、正極活物質粒子のメジアン径(D50)は正極活物質粒子の二次粒子径を指す。
【0052】
いくつかの実施例において、正極活物質粒子のメジアン径(D50)は、0.3μm超、0.5μm超、0.8μm超、または1.0μm超である。いくつかの実施例において、正極活物質粒子のメジアン径(D50)は、30μm未満、27μm未満、25μm未満、または22μm未満である。いくつかの実施例において、正極活物質粒子のメジアン径(D50)は、前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。正極活物質粒子のメジアン径(D50)が上記範囲内にあると、高いタップ密度を有する正極活物質を得ることができ、電気化学装置の性能の低下を抑制することができる。一方、電気化学装置の正極の製造過程(すなわち、正極活物質、導電材及びバインダーなどを溶媒でスラリー化してフィルム状に塗布した場合)において、ストライプの発生などの問題を防止することができる。ここで、異なるメジアン径を有する2種以上の正極活物質を混合することにより、正極調製時の充填性をより高めることができる。
【0053】
正極活物質粒子のメジアン径(D50)は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。粒度分布計としてHORIBA社製LA-920を用いた場合、測定に用いた分散媒として0.1%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、5分間の超音波分散後に測定屈折率を1.24に設定して測定する。
【0054】
平均一次粒子径
正極活物質粒子の一次粒子が凝集して二次粒子を形成する場合、いくつかの実施例において、正極活物質の平均一次粒子径は0.05μm超、0.1μm超、または0.5μm超である。いくつかの実施例において、正極活物質の平均一次粒子径は5μm未満、4μm未満、3μm未満、または2μm未満である。いくつかの実施例において、正極活物質の平均一次粒子径は、前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。正極活物質の平均一次粒子径が上記範囲内にあると、粉体充填性と比表面積を確保し、電池性能の低下を抑制し、適度な結晶性を得ることができ、これにより電気化学装置の充放電の可逆性を確保することができる。
【0055】
正極活物質の平均一次粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)で得られた画像を観察することにより得ることができる。倍率10000倍のSEM画像のうち、任意の50個の一次粒子について、水平方向の直線に対して一次粒子の左右境界線から得られたスライスの最長値を求め、その平均値を求めることにより、平均一次粒子径を得る。
【0056】
比表面積(BET)
いくつかの実施例において、正極活物質の比表面積(BET)は0.1m2/g超、0.2m2/g超、または0.3m2/g超である。いくつかの実施例において、正極活物質の比表面積(BET)は50m2/g未満、40m2/g未満、または30m2/g未満である。いくつかの実施例において、正極活物質の比表面積(BET)は、前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。正極活物質の比表面積(BET)が上記範囲内にあると、電気化学装置の性能を確保できるとともに、正極活物質に良好な塗布性を持たせることができる。
【0057】
正極活物質の比表面積(BET)は、以下の方法で測定することができる。表面積計(例えば、大倉理研製の全自動表面積測定装置)を用いて、窒素気流下で150℃で試料を30分間予備乾燥した後、大気圧に対する窒素ガスの相対圧力値を0.3に正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用いて、ガス流動法を用いた窒素吸着BET1点法により測定する。
【0058】
正極導電材
正極導電材の種類は限定されず、任意の公知の導電材を使用することができる。正極導電材としては、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、針状コークスなどの非晶質炭素などの炭素材料、カーボンナノチューブ、グラフェンなどが挙げられるが、これらに限定されない。前記正極導電材は、単独でまたは任意に組み合わせて使用することができる。
【0059】
いくつかの実施例において、正極導電材の含有量は、正極活物質層の重量に基づいて、0.01%超、0.1%超、または1%超である。いくつかの実施例において、正極導電材の含有量は、正極活物質層の重量に基づいて、10%未満、8%未満、または5%未満である。正極導電材の含有量が上記範囲内にあると、十分な導電性及び電気化学装置の容量を確保することができる。
【0060】
正極バインダー
正極活物質層の製造に用いられる正極バインダーの種類は特に制限されず、塗布法の場合、電極製造時に用いられる液体媒体に溶解または分散可能な材料であればよい。正極バインダーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロース、硝酸セルロースなどの樹脂系高分子、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴムなどのゴム状高分子、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体またはその水素化物、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体(EPDM)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体またはその水素化物などの熱可塑性エラストマー状高分子、シンジオタクチック-1,2-ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体などの軟質樹脂状高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体などのフッ素系高分子、アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物などのうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。前記正極バインダーは、単独でまたは任意に組み合わせて使用することができる。
【0061】
いくつかの実施例において、正極バインダーの含有量は、正極活物質層の重量に基づいて、0.1%超、1%超、または1.5%超である。いくつかの実施例において、正極バインダーの含有量は、正極活物質層の重量に基づいて、10%未満、5%未満、4%未満、または3%未満である。正極バインダーの含有量が上記範囲内にあると、正極に良好な導電性及び十分な機械的強度を持たせ、電気化学装置の容量を保証することができる。
【0062】
溶媒
正極スラリーを形成するための溶媒の種類は制限されず、正極活物質、導電材、正極バインダー及び必要に応じて使用する増粘剤を溶解または分散できる溶媒であればよい。正極スラリーを形成するための溶媒としては、水系溶媒及び有機系溶媒のいずれかを挙げることができる。水系媒体としては、水、アルコールと水との混合媒体などが挙げられるが、これらに限定されない。有機系媒体としては、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレンなどの芳香族炭化水素類、キノリン、ピリジンなどの複素環式化合物、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸メチル、アクリル酸メチルなどのエステル類、ジエチレントリアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミンなどのアミン類、ジエチルエーテル、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル類、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ヘキサメチルホスファミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
増粘剤
増粘剤は通常、スラリーの粘度を調整するために使用される。水系媒体を用いる場合は、増粘剤とスチレンブタジエンゴム(SBR)エマルジョンを用いてスラリー化することができる。増粘剤の種類は特に制限されず、その例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化澱粉、リン酸化澱粉、カゼイン、及びこれらの塩などが挙げられるが、これらに限定されない。前記増粘剤は、単独でまたは任意に組み合わせて使用することができる。
【0064】
いくつかの実施例において、増粘剤の含有量は、正極活物質層の重量に基づいて、0.1%超、0.2%超、または0.3%超である。いくつかの実施例において、増粘剤の含有量は、正極活物質層の重量に基づいて、5%未満、3%未満、または2%未満である。いくつかの実施例において、増粘剤の含有量は、正極活物質層の重量に基づいて、前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。増粘剤の含有量が上記範囲内にあると、正極スラリーに良好な塗布性を持たせることができるとともに、電気化学装置の容量の低下及び抵抗の増大を抑制することができる。
【0065】
正極活物質の含有量
いくつかの実施例において、正極活物質の含有量は、正極活物質層の重量に基づいて、80%超、82%超、または84%超である。いくつかの実施例において、正極活物質の含有量は、正極活物質層の重量に基づいて、99%未満、または98%未満である。いくつかの実施例において、正極活物質の含有量は、正極活物質層の重量に基づいて、前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。正極活物質の含有量が上記範囲内にあると、正極活物質層中の正極活物質の電気容量を確保することができるとともに、正極の強度を保持することができる。
【0066】
正極活物質層の密度
塗布、乾燥により得られる正極活物質層については、正極活物質の充填密度を高めるために、手動プレスやロールプレスなどによりプレス処理を行うことができる。いくつかの実施例において、正極活物質層の密度は、1.5g/cm3超、2g/cm3超、または2.2g/cm3超である。いくつかの実施例において、正極活物質層の密度は、5g/cm3未満、4.5g/cm3未満、または4g/cm3未満である。いくつかの実施例において、正極活物質層の密度は、前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。正極活物質層の密度が上記範囲内にあると、電気化学装置に良好な充放電特性を持たせることができ、同時に抵抗の増大を抑制することができる。
【0067】
正極活物質層の厚さ
正極活物質層の厚さとは、正極集電体のいずれかの側における正極活物質層の厚さをいう。いくつかの実施例において、正極活物質層の厚さは、10μm超、または20μm超である。いくつかの実施例において、正極活物質層の厚さは、500μm未満、または450μm未満である。
【0068】
正極活物質の製造方法
正極活物質は、無機化合物を製造するための一般的な方法を用いて製造することができる。球状または楕円球状の正極活物質を作製するためには、遷移金属の原料物質を水などの溶媒に溶解または粉砕分散し、攪拌しながらpHを調整し、球状の前駆体を作製して回収し、必要に応じて乾燥した後、LiOH、Li2CO3、LiNO3等のLi含有物質を加え、高温で焼成して正極活物質を得る製造方法を採用することができる。
【0069】
2、正極集電体
正極集電体の種類は特に制限されず、正極集電体として使用するのに適していることが知られている任意の材質であってもよい。正極集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルめっき層、チタン、タンタルなどの金属材料、炭素布、炭素紙などの炭素材料が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、正極集電体は金属材料である。いくつかの実施例において、正極集電体はアルミニウムである。
【0070】
正極集電体の形態は特に制限されない。正極集電体が金属材料である場合、正極集電体の形態としては、金属箔、金属円柱、金属コイル材、金属板、金属箔、金属板製の網体(Metalplate net)、プレス金属、発泡金属などが挙げられるが、これらに限定されない。正極集電体が炭素材料である場合、正極集電体の形態としては、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、正極集電体は金属箔である。いくつかの実施例において、金属箔は網状である。前記金属箔の厚さは特に制限されない。いくつかの実施例において、前記金属箔の厚さは、1μm超、3μm超、または5μm超である。いくつかの実施例において、前記金属箔の厚さは、1mm未満、100μm未満、または50μm未満である。いくつかの実施例において、前記金属箔の厚さは、前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。
【0071】
正極集電体及び正極活物質層の電子接触抵抗を低減するために、正極集電体の表面は導電助剤を含むことができる。導電助剤としては、炭素、金、白金、銀などの貴金属類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
正極活物質層と正極集電体との厚さの比は、片面の正極活物質層の厚さを正極集電体の厚さで割ったものであり、その数値は特に制限されない。いくつかの実施例において、厚さの比は50未満、30未満、または20未満である。いくつかの実施例において、厚さの比は0.5超、0.8超、または1超である。いくつかの実施例において、厚さの比は、前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。厚みの比が上記範囲内にあると、高い電流密度で充放電を行う際の正極集電体の放熱を抑制することができ、電気化学装置の容量を確保することができる。
【0073】
3、正極の作製方法
正極は、集電体上に正極活物質とバインダーとを含む正極活物質層を形成することにより作製することができる。正極活物質を用いた正極の製造は、通常の方法で行うことができる。すなわち、正極活物質とバインダー、及び必要に応じて導電材と増粘剤などを乾式混合してシート状とし、得られたシート状物を正極集電体に圧着すること、あるいはこれらの材料を液体媒体に溶解または分散させてスラリーとし、このスラリーを正極集電体に塗布して乾燥することにより、集電体上に正極活物質層を形成することにより、正極を得ることができる。
【0074】
負極
負極は、負極集電体と、前記負極集電体の片面または両面に設けられた負極活物質層とを含み、負極活物質層は、負極活物質を含む。負極活物質層は、1層または多層であってもよく、多層の負極活物質中の各層は、同じまたは異なる負極活物質を含んでもよい。負極活物質は、リチウムイオンなどの金属イオンを可逆的に挿入及び脱離可能な任意のものである。いくつかの実施例において、負極活物質の充電可能容量は、充電中にリチウム金属が負極上に不用意に析出するのを防止するために、正極活物質の放電容量よりも大きい。
【0075】
負極活物質を保持する集電体としては、公知の集電体を任意に用いることができる。負極集電体としては、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼などの金属材料が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、負極集電体は銅である。
【0076】
負極集電体が金属材料である場合、負極集電体の形態としては、金属箔、金属円柱、金属コイル材、金属板、金属フィルム、金属板製の網体、プレス金属、発泡金属などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、負極集電体は金属フィルムである。いくつかの実施例において、負極集電体は銅箔である。いくつかの実施例において、負極集電体は、圧延法に基づく圧延銅箔、または電解法に基づく電解銅箔である。
【0077】
いくつかの実施例において、負極集電体の厚さは、1μm超、または5μm超である。いくつかの実施例において、負極集電体の厚さは、100μm未満、または50μm未満である。いくつかの実施例において、負極集電体の厚さは、前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。
【0078】
負極活物質は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出できれば特に制限されない。負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛などの炭素材料、シリコン(Si)、スズ(Sn)などの金属、あるいはSi、Snなどの金属元素の酸化物などが挙げられるが、これらに限定されない。負極活物質は単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【0079】
負極活物質層は、また、負極バインダーを含むことができる。負極バインダーは、負極活物質粒子同士の結合及び負極活物質と集電体との結合を高めることができる。負極バインダーの種類は特に制限されず、電解液や電極製造時に用いられる溶媒に対して安定な材料であればよい。いくつかの実施例において、負極バインダーは樹脂バインダーを含む。樹脂バインダーとしては、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。水系溶媒を用いて負極合剤スラリーを製造する場合、負極バインダーとしては、カルボキシメチルセルロース(CMC)またはその塩、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)またはその塩、ポリビニルアルコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
負極は、以下の方法で製造することができる。負極集電体上に負極活物質、樹脂バインダーなどを含む負極合剤スラリーを塗布し、乾燥後、圧延して負極集電体の両面に負極活物質層を形成することにより、負極を得ることができる。
【0081】
II、電解液
本発明の電気化学装置に用いられる電解液は、電解質と、この電解質を溶解する溶媒とを含む。いくつかの実施例において、本発明の電気化学装置に用いられる電解液は、添加剤をさらに含む。
【0082】
本発明の電気化学装置のもう1つの特徴は、前記電解液が硫黄-酸素二重結合を含有する化合物を含むことである。
【0083】
いくつかの実施例において、前記硫黄-酸素二重結合を含有する化合物は、環状硫酸エステル、鎖状硫酸エステル、鎖状スルホン酸エステル、環状スルホン酸エステル、鎖状亜硫酸エステル、および環状亜硫酸エステルのうちの少なくとも1つを含む。
【0084】
いくつかの実施例において、前記環状硫酸エステルとしては、1,2-エチレンスルフェート、1,2-プロピレンスルフェート、1,3-プロピレンスルフェート、1,2-ブチレンスルフェート、1,3-ブチレンスルフェート、1,4-ブチレンスルフェート、1,2-ペンチレンスルフェート、1,3-ペンチレンスルフェート、1,4-ペンチレンスルフェート及び1,5-ペンチレンスルフェートなどのうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
いくつかの実施例において、前記鎖状硫酸エステルとしては、ジメチルスルフェート、エチルメチルスルフェート及びジエチルスルフェートなどのうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
いくつかの実施例において、前記鎖状スルホン酸エステルとしては、フルオロスルホン酸メチルおよびフルオロスルホン酸エチルなどのフルオロスルホン酸エステル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、ジメチルスルホン酸ブチル、2-(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸メチル、および2-(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸エチルなどのうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
いくつかの実施例において、前記環状スルホン酸エステルとしては、1,3-プロパンスルトン、1-フルオロ-1,3-プロパンスルトン、2-フルオロ-1,3-プロパンスルトン、3-フルオロ-1,3-プロパンスルトン、1-メチル-1,3-プロパンスルトン、2-メチル-1,3-プロパンスルトン、3-メチル-1,3-プロパンスルトン、1-プロペン-1,3-スルトン、2-プロピレン-1,3-スルトン、1-フルオロ-1-プロペン-1,3-スルトン、2-フルオロ-1-プロペン-1,3-スルトン、3-フルオロ-1-プロペン-1,3-スルトン、1-フルオロ-2-プロペン-1,3-スルトン、2-フルオロ-2-プロペン-1,3-スルトン、3-フルオロ-2-プロペン-1,3-スルトン、1-メチル-1-プロペン-1,3-スルトン、2-メチル-1-プロペン-1,3-スルトン、3-メチル-1-プロペン-1,3-スルトン、1-メチル-2-プロペン-1,3-スルトン、2-メチル-2-プロペン-1,3-スルトン、3-メチル-2-プロペン-1,3-スルトン、1,4-ブタンスルトン、1,5-ペンタンスルトン、メタンジスルホン酸メチレン、メタンジスルホン酸エチレンなどのうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
いくつかの実施例において、前記鎖状亜硫酸エステルとしては、ジメチルスルファイト、エチルメチルスルファイト及びジエチルスルファイトなどのうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
いくつかの実施例において、前記環状亜硫酸エステルとしては、1,2-エチレンスルファイト、1,2-プロピレンスルファイト、1,3-プロピレンスルファイト、1,2-ブチレンスルファイト、1,3-ブチレンスルファイト、1,4-ブチレンスルファイト、1,2-ペンチレンスルファイト、1,3-ペンチレンスルファイト、1,4-ペンチレンスルファイト及び1,5-ペンチレンスルファイトなどのうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
いくつかの実施例において、前記硫黄-酸素二重結合を含有する化合物は、下記式1で表される化合物を含み、
【化6】
ここで、
Wは
【化7】
から選択され、
Lは単結合およびメチレン基から選択され、同一の環構造中の2つのLが同時に単結合であることはなく、
mは1、2、3または4であり、
nは0、1または2であり、かつ
pは0、1、2、3、4、5または6である。
【0091】
いくつかの実施例において、前記式1で表される化合物は、
【化8】
のうちの少なくとも1つを含む。
【0092】
いくつかの実施例において、前記電解液の重量に基づいて、前記硫黄-酸素二重結合を含有する化合物の含有量をY%としたとき、Yは0.01~10の範囲内にある。いくつかの実施例において、Yは0.1~8の範囲内にある。いくつかの実施例において、Yは0.5~5の範囲内にある。いくつかの実施例において、Yは1~3の範囲内にある。いくつかの実施例において、Yは、0.01、0.05、0.1、0.5、0.8、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10であり、あるいは前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。電解液中の硫黄-酸素二重結合を含有する化合物の含有量が上記範囲内にあると、電気化学装置の直流内部抵抗及び厚さ膨張率をさらに低減し、電気化学装置の安全性を改善するのに役立つ。
【0093】
いくつかの実施例において、電解液中の硫黄-酸素二重結合を含有する化合物の含有量Y%及び中間層と活物質層との面積比Aは、0.009≦A×Y≦6を満たす。いくつかの実施例において、A×Yは、0.01≦A×Y≦5を満たす。いくつかの実施例において、A×Yは、0.05≦A×Y≦3を満たす。いくつかの実施例において、A×Yは、0.1≦A×Y≦2を満たす。いくつかの実施例において、A×Yは、0.5≦A×Y≦1を満たす。いくつかの実施例において、A×Yは、0.009、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5または6であり、あるいは前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。電解液中の硫黄-酸素二重結合を含有する化合物の含有量Y%及び中間層と活物質層の面積比Aが上記関係を満たすと、電気化学装置の直流内部抵抗及び厚さ膨張率をさらに低減し、電気化学装置の安全性を改善することができる。
【0094】
いくつかの実施例において、電解液中の硫黄-酸素二重結合を含有する化合物の含有量Y%及び導電材の比表面積X m2/gは、0.2≦X×Y≦200を満たす。いくつかの実施例において、X×Yは、0.5≦X×Y≦150を満たす。いくつかの実施例において、X×Yは、1≦X×Y≦100を満たす。いくつかの実施例において、X×Yは、5≦X×Y≦80を満たす。いくつかの実施例において、X×Yは、10≦X×Y≦50を満たす。いくつかの実施例において、X×Yは、0.2、0.5、1、5、10、20、50、80、100、120、150、180または200であり、あるいは前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。電解液中の硫黄-酸素二重結合を含有する化合物の含有量Y%及び導電材の比表面積X m2/gが上記関係を満たすと、電気化学装置の直流内部抵抗及び厚さ膨張率をさらに低減し、電気化学装置の安全性を改善することができる。
【0095】
いくつかの実施例において、前記電解液は、さらに、
(a)プロピオン酸エステルと、
(b)シアノ基を有する有機化合物と、
(c)ジフルオロリン酸リチウムと、
(d)式2で表される化合物と、
のうちの少なくとも1つを含み、
【化9】
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、それぞれ独立して、水素またはC
1-C
10アルキル基であり、
L
1とL
2は、それぞれ独立して、-(CR
7R
8)
n-であり、
R
7及びR
8は、それぞれ独立して、水素またはC
1-C
10アルキル基であり、および
nは1、2または3である。
【0096】
(a)プロピオン酸エステル
いくつかの実施例において、前記プロピオン酸エステルは、式3で表される化合物を含み、
【化10】
ここで、
R
1はエチル基およびハロゲン化エチル基から選択され、
R
2はC
1-C
6アルキル基およびC
1-C
6ハロゲン化アルキル基から選択される。
【0097】
いくつかの実施例において、前記プロピオン酸エステルとしては、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸アミル、ハロプロピオン酸メチル、ハロプロピオン酸エチル、ハロプロピオン酸プロピル、ハロプロピオン酸ブチル、ハロプロピオン酸アミルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、前記プロピオン酸エステルは、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸アミルから選ばれる少なくとも1種である。いくつかの実施例において、前記ハロプロピオン酸メチル、ハロプロピオン酸エチル、ハロプロピオン酸プロピル、ハロプロピオン酸ブチル、およびハロプロピオン酸アミル中のハロゲン基は、フッ素基(-F)、塩素基(-Cl)、臭素基(-Br)及びヨウ素基(-I)から選択される1種または多種である。いくつかの実施例において、前記ハロゲン基はフッ素基(-F)であり、それによって、より優れた効果を達成することができる。
【0098】
いくつかの実施例において、前記プロピオン酸エステルの含有量は、前記電解液の重量に基づいて、10%~60%である。いくつかの実施例において、前記プロピオン酸エステルの含有量は、前記電解液の重量に基づいて、15%~55%である。いくつかの実施例において、前記プロピオン酸エステルの含有量は、前記電解液の重量に基づいて、30%~50%である。いくつかの実施例において、前記プロピオン酸エステルの含有量は、前記電解液の重量に基づいて、30%~40%である。前記含有量を有するプロピオン酸エステルを用いることにより、より優れた効果を得ることができる。
【0099】
(b)シアノ基を有する化合物
いくつかの実施例において、シアノ基を有する化合物としては、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、1,5-ジシアノペンタン、1,6-ジシアノヘキサン、テトラメチルスクシノニトリル、2-メチルグルタロニトリル、2,4-ジメチルグルタロニトリル、2,2,4,4-テトラメチルグルタロニトリル、1,4-ジシアノペンタン、1,2-ジシアノベンゼン、1,3-ジシアノベンゼン、1,4-ジシアノベンゼン、エチレングリコールビス(プロピオニトリル)エーテル、3,5-ジオキサ-ピメロニトリル、1,4-ビス(シアノエトキシ)ブタン、ジエチレングリコールビス(2-シアノエチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(2-シアノエチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(2-シアノエチル)エーテル、1,3-ビス(2-シアノエトキシ)プロパン、1,4-ビス(2-シアノエトキシ)ブタン、1,5-ビス(2-シアノエトキシ)ペンタン、エチレングリコールビス(4-シアノブチル)エーテル、1,4-ジシアノ-2-ブテン、1,4-ジシアノ-2-メチル-2-ブテン、1,4-ジシアノ-2-エチル-2-ブテン、1,4-ジシアノ-2,3-ジメチル-2-ブテン、1,4-ジシアノ-2,3-ジエチル-2-ブテン、1,6-ジシアノ-3-ヘキセン、1,6-ジシアノ-2-メチル-3-ヘキセン、1,3,5-ペンタントリカルボニトリル、1,2,3-プロパントリカルボニトリル、1,3,6-ヘキサントリカルボニトリル、1,2,6-ヘキサントリカルボニトリル、1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパン、1,2,4-トリス(2-シアノエトキシ)ブタン、1,1,1-トリス(シアノエトキシメチレン)エタン、1,1,1-トリス(シアノエトキシメチレン)プロパン、3-メチル-1,3,5-トリス(シアノエトキシ)ペンタン、1,2,7-トリス(シアノエトキシ)ヘプタン、1,2,6-トリス(シアノエトキシ)ヘキサン、及び1,2,5-トリス(シアノエトキシ)ペンタンなどのうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
前記シアノ基を有する化合物は、単独でまたは任意に組み合わせて使用することができる。電解液にシアノ基を有する化合物が2種以上含まれる場合、シアノ基を有する化合物の含有量は、シアノ基を有する化合物の2種または多種の合計含有量を意味する。いくつかの実施例において、前記シアノ基を有する化合物の含有量は、前記電解液の重量に基づいて、0.1%~15%である。いくつかの実施例において、前記シアノ基を有する化合物の含有量は、前記電解液の重量に基づいて、0.5%~10%である。いくつかの実施例において、前記シアノ基を有する化合物の含有量は、前記電解液の重量に基づいて、1%~8%である。いくつかの実施例において、前記シアノ基を有する化合物の含有量は、前記電解液の重量に基づいて、3%~5%である。
【0101】
(c)ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)
いくつかの実施例において、前記電解液の重量に基づいて、前記ジフルオロリン酸リチウムの含有量をb%としたとき、bは0.01~2の範囲内にある。いくつかの実施例において、bは0.05~1.5の範囲内にある。いくつかの実施例において、bは0.1~1の範囲内にある。いくつかの実施例において、bは0.3~0.5の範囲内にある。いくつかの実施例において、bは、0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.8、1、1.2、1.5、1.8、または2であり、あるいは前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。電解液中のジフルオロリン酸リチウムの含有量が上記範囲内にあると、電気化学装置の直流内部抵抗及び厚さ膨張率をさらに低減し、電気化学装置の安全性を改善することができる。
【0102】
いくつかの実施例において、電解液中の硫黄-酸素二重結合を含有する化合物の含有量Y%及びジフルオロリン酸リチウムの含有量b%は、0.01≦Y/b≦100を満たす。いくつかの実施例において、Y/bは、0.05≦Y/b≦80を満たす。いくつかの実施例において、Y/bは、0.1≦Y/b≦50を満たす。いくつかの実施例において、Y/bは、0.5≦Y/b≦20を満たす。いくつかの実施例において、Y/bは、1≦Y/b≦10を満たす。いくつかの実施例において、Y/bは、0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、20、50、80または100であり、あるいは前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。電解液中の硫黄-酸素二重結合を含有する化合物の含有量Y%及びジフルオロリン酸リチウムの含有量b%が上記関係を満たすと、電気化学装置の直流内部抵抗及び厚さ膨張率をさらに低減し、電気化学装置の安全性を改善することができる。
【0103】
(d)式2で表される化合物
いくつかの実施例において、前記式2で表される化合物は、
【化11】
のうちの少なくとも1つを含む。
【0104】
いくつかの実施例において、前記式2で表される化合物の含有量は、前記電解液の重量に基づいて、0.01%~5%である。いくつかの実施例において、前記式2で表される化合物の含有量は、前記電解液の重量に基づいて、0.05%~3%である。いくつかの実施例において、前記式2で表される化合物の含有量は、前記電解液の重量に基づいて、0.1%~2%である。いくつかの実施例において、前記式2で表される化合物の含有量は、前記電解液の重量に基づいて、0.5%~1%である。いくつかの実施例において、前記式2で表される化合物の含有量は、前記電解液の重量に基づいて、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、または5%であり、あるいは前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。
【0105】
溶媒
いくつかの実施例において、前記電解液は、従来技術で知られている電解液の溶媒として使用できる任意の非水溶媒をさらに含む。
【0106】
いくつかの実施例において、前記非水溶媒としては、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、リン含有有機溶媒、硫黄含有有機溶媒、芳香族フッ素含有溶媒のうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
いくつかの実施例において、前記環状炭酸エステルとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、およびブチレンカーボネートのうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、前記環状炭酸エステルは炭素原子3~6個を有する。
【0108】
いくつかの実施例において、前記鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、メチル-n-プロピルカーボネート、エチル-n-プロピルカーボネート、ジ-n-プロピルカーボネートなどの鎖状炭酸エステルなどのうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。フッ素置換鎖状炭酸エステルとしては、ビス(フルオロメチル)カーボネート、ビス(ジフルオロメチル)カーボネート、ビス(トリフルオロメチル)カーボネート、ビス(2-フルオロエチル)カーボネート、ビス(2,2-ジフルオロエチル)カーボネート、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート、2-フルオロエチルメチルカーボネート、2,2-ジフルオロエチルメチルカーボネートおよび2,2,2-トリフルオロエチルメチルカーボネートなどのうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
いくつかの実施例において、前記環状カルボン酸エステルとしては、γ-ブチロラクトン及びγ-バレロラクトンのうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、環状カルボン酸エステルの水素原子の一部はフッ素で置換されていてもよい。
【0110】
いくつかの実施例において、前記鎖状カルボン酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、ピバリン酸メチル、ピバリン酸エチルなどのうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、鎖状カルボン酸エステルの水素原子の一部はフッ素で置換されていてもよい。いくつかの実施例において、フッ素置換鎖状カルボン酸エステルとしては、トリフルオロ酢酸メチル、トリフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸プロピル、トリフルオロ酢酸ブチル、及びトリフルオロ酢酸2,2,2-トリフルオロエチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
いくつかの実施例において、前記環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、2-メチル1,3-ジオキソラン、4-メチル1,3-ジオキソラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、及びジメトキシプロパンのうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
いくつかの実施例において、前記鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン、1,1-ジメトキシエタン、1,2-ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、1,1-ジエトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、エトキシメトキシメタン、1,1-エトキシメトキシエタン及び1,2-エトキシメトキシエタンなどのうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0113】
いくつかの実施例において、前記リン含有有機溶媒としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ジメチルエチル、リン酸メチルジエチル、リン酸エチレンメチル、リン酸エチレンエチル、リン酸トリフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、リン酸トリ(2,2,2-トリフルオロエチル)、およびリン酸トリ(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)などのうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
いくつかの実施例において、前記硫黄含有有機溶媒としては、スルホラン、2-メチルスルホラン、3-メチルスルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、エチルメチルスルホン、メチルプロピルスルホン、ジメチルスルホキシド、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、エタンスルホン酸メチル、エタンスルホン酸エチル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、および硫酸ジブチルのうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、硫黄含有有機溶媒の水素原子の一部はフッ素で置換されていてもよい。
【0115】
いくつかの実施例において、前記芳香族フッ素含有溶媒としては、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、トリフルオロベンゼン、テトラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、及びトリフルオロメチルベンゼンのうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
いくつかの実施例において、本発明の電解液に用いられる溶媒としては、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、及びそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施例において、本発明の電解液に用いられる溶媒は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酢酸n-プロピル、酢酸エチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される有機溶媒を含む。いくつかの実施例において、本発明の電解液に用いられる溶媒は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、γ-ブチロラクトン、及びそれらの組み合わせを含む。
【0117】
添加剤
いくつかの実施例において、前記添加剤としては、フルオロカーボネート、炭素炭素二重結合を含有するエチレンカーボネート、及び酸無水物のうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
いくつかの実施例において、前記添加剤の含有量は、前記電解液の重量に基づいて、0.01%~15%、0.1%~10%、または1%~5%である。
【0119】
本発明の実施例によれば、前記プロピオン酸エステルの含有量は、前記電解液の重量に基づいて、前記添加剤の1.5~30倍、1.5~20倍、2~20倍、または5~20倍である。
【0120】
いくつかの実施例において、前記添加剤は、炭素炭素二重結合を含有するエチレンカーボネートの1種または多種を含む。前記炭素炭素二重結合を含有するエチレンカーボネートとしては、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、1,2-ジメチルビニレンカーボネート、1,2-ジエチルビニレンカーボネート、フルオロビニレンカーボネート、トリフルオロメチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、1-メチル-2-ビニルエチレンカーボネート、1-エチル-2-ビニルエチレンカーボネート、1-n-プロピル-2-ビニルエチレンカーボネート、1-メチル-2-ビニルエチレンカーボネート、1,1-ジビニルエチレンカーボネート、1,2-ジビニルエチレンカーボネート、1,1-ジメチル-2-メチレンエチレンカーボネート、及び1,1-ジエチル-2-メチレンエチレンカーボネートなどのうちの1種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、前記炭素炭素二重結合を含有するエチレンカーボネートは、ビニレンカーボネートを含み、それは容易に得られ、より優れた効果を得ることができる。
【0121】
いくつかの実施例において、前記添加剤は、フルオロカーボネートと炭素炭素二重結合を含有するエチレンカーボネートとの組み合わせである。いくつかの実施例において、前記添加剤は、フルオロカーボネートと硫黄-酸素二重結合を含有する化合物との組み合わせである。いくつかの実施例において、前記添加剤は、フルオロカーボネートとシアノ基2~4個を有する化合物との組み合わせである。いくつかの実施例において、前記添加剤は、フルオロカーボネートと環状カルボン酸エステルとの組み合わせである。いくつかの実施例において、前記添加剤は、フルオロカーボネートと環状リン酸無水物との組み合わせである。いくつかの実施例において、前記添加剤は、フルオロカーボネートとカルボン酸無水物との組み合わせである。いくつかの実施例において、前記添加剤は、フルオロカーボネートとスルホン酸無水物との組み合わせである。いくつかの実施例において、前記添加剤は、フルオロカーボネートとカルボン酸スルホン酸無水物との組み合わせである。
【0122】
電解質
電解質は特に制限されず、電解質として公知のものを任意に用いることができる。リチウム二次電池の場合、通常は、リチウム塩が用いられる。電解質の例としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAlF4、LiSbF6、LiWF7などの無機リチウム塩、LiWOF5などのタングステン酸リチウム類、HCO2Li、CH3CO2Li、CH2FCO2Li、CHF2CO2Li、CF3CO2Li、CF3CH2CO2Li、CF3CF2CO2Li、CF3CF2CF2CO2Li、CF3CF2CF2CF2CO2Liなどのカルボン酸リチウム塩類、FSO3Li、CH3SO3Li、CH2FSO3Li、CHF2SO3Li、CF3SO3Li、CF3CF2SO3Li、CF3CF2CF2SO3Li、CF3CF2CF2CF2SO3Liなどのスルホン酸リチウム塩類、LiN(FCO)2、LiN(FCO)(FSO2)、LiN(FSO2)2、LiN(FSO2)(CF3SO2)、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、環状1,2-パーフルオロエタンビススルホニルイミドリチウム、環状1,3-パーフルオロプロパンビススルホニルイミドリチウム、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)などのイミドリチウム塩類、LiC(FSO2)3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3などのメチル化リチウム塩類、ビス(マロナイト)ホウ酸リチウム塩、ジフルオロ(マロナイト)ホウ酸リチウム塩などの(マロナイト)ホウ酸リチウム塩類、トリス(マロナイト)リン酸リチウム、ジフルオロビス(マロナイト)リン酸リチウム、テトラフルオロ(マロナイト)リン酸リチウム塩などの(マロナイト)リン酸リチウム塩類、及び、LiPF4(CF3)2、LiPF4(C2F5)2、LiPF4(CF3SO2)2、LiPF4(C2F5SO2)2、LiBF3CF3、LiBF3C2F5、LiBF3C3F7、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2などのフッ素含有有機リチウム塩類、ジフルオロオキサラートホウ酸リチウム、ビス(オキサラート)ホウ酸リチウムなどのオキサラートホウ酸リチウム塩類、テトラフルオロオキサラートリン酸リチウム、ジフルオロビス(オキサラート)リン酸リチウム、トリス(オキサラート)リン酸リチウムなどのオキサラートリン酸リチウム塩類などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
いくつかの実施例において、電解質は、LiPF6、LiSbF6、FSO3Li、CF3SO3Li、LiN(FSO2)2、LiN(FSO2)(CF3SO2)、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、環状1、2-パーフルオロエタンビススルホニルイミドリチウム、環状1、3-パーフルオロプロパンビススルホニルイミドリチウム、LiC(FSO2)3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3、LiBF3CF3、LiBF3C2F5、LiPF3(CF3)3、LiPF3(C2F5)3、ジフルオロオキサラートホウ酸リチウム、ビス(オキサラート)ホウ酸リチウム、およびジフルオロビス(オキサラート)リン酸リチウムから選択され、それによって、電気化学装置の出力特性、高レート充放電特性、高温保存特性、及びサイクル特性などを改善するのに役立つ。
【0124】
電解質の含有量は、本発明の効果を損なわなければ特に制限されない。いくつかの実施例において、電解液中のリチウムの総モル濃度は0.3mol/L以上超、0.4mol/L超、または0.5mol/L超である。いくつかの実施例において、電解液中のリチウムの総モル濃度は3mol/L未満、2.5mol/L未満、または2.0mol/L以下未満である。いくつかの実施例において、電解液中のリチウムの総モル濃度は、前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。電解質濃度が上記範囲内にあると、帯電粒子であるリチウムが少なすぎることがなく、粘度を適切な範囲にすることができるため、良好な電気伝導率を確保しやすい。
【0125】
電解質2種以上を使用する場合、電解質は、モノフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩およびフルオロスルホン酸塩からなる群から選択される塩の少なくとも1種を含む。いくつかの実施例において、電解質は、モノフルオロリン酸塩、シュウ酸塩、及びフルオロスルホン酸塩からなる群から選択される塩を含む。いくつかの実施例において、電解質はリチウム塩を含む。いくつかの実施例において、モノフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩、及びフルオロスルホン酸塩からなる群から選択される塩の含有量は、電解質の重量に基づいて、0.01%超、または0.1%超である。いくつかの実施例において、モノフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群から選択される塩の含有量は、電解質の重量に基づいて、20%未満、または10%未満である。いくつかの実施例において、モノフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群から選択される塩の含有量は、前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。
【0126】
いくつかの実施例において、電解質は、モノフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群から選択される物質の1種以上と、それ以外の塩の1種以上とを含む。それ以外の塩としては、上記で例示したリチウム塩が挙げられ、いくつかの実施例において、それ以外の塩は、LiPF6、LiN(FSO2)(CF3SO2)、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、環状1,2-パーフルオロエタンビススルホニルイミドリチウム、環状1,3-パーフルオロプロパンビススルホニルイミドリチウム、LiC(FSO2)3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3、LiBF3CF3、LiBF3C2F5、LiPF3(CF3)3、LiPF3(C2F5)3である。いくつかの実施例において、それ以外の塩はLiPF6である。
【0127】
いくつかの実施例において、それ以外の塩の含有量は、電解質の重量に基づいて、0.01%超、または0.1%超である。いくつかの実施例において、それ以外の塩の含有量は、電解質の重量に基づいて、20%未満、15%未満、または10%未満である。いくつかの実施例において、それ以外の塩の含有量は、前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。上記含有量を有するそれ以外の塩は、電解液の電気伝導率と粘度とのバランスをとるのに役立つ。
【0128】
電解液には、上記の溶媒、添加剤及び電解質塩の他に、必要に応じて負極被膜形成剤、正極保護剤、過充電防止剤などの追加添加剤を含有することができる。添加剤としては、一般に非水電解質二次電池に使用される添加剤を使用することができ、例えば、ビニレンカーボネート、無水コハク酸、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン、2,4-ジフルオロアニソールなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらの添加剤は、単独でまたは任意に組み合わせて用いてもよい。なお、電解液中のこれら添加剤の含有量は特に制限されず、当該添加剤の種類などに応じて適宜設定すればよい。いくつかの実施例において、添加剤の含有量は、電解質の重量に基づいて、5%未満であり、あるいは0.01%~5%の範囲内、または0.2%~5%の範囲内にある。
【0129】
III、セパレータ
正極と負極との間に、短絡を防止するために、通常、セパレータが設けられている。この場合、本発明の電解液は、通常、このセパレータに含浸させて用いる。
【0130】
セパレータの材料及び形状は、本発明の効果を著しく損なわない限り、特に制限されない。前記セパレータは、本発明の電解液に対して安定な材料からなる樹脂、ガラス繊維、無機物などであってもよい。いくつかの実施例において、前記セパレータは、保液性が優れた多孔性シートまたは不織布状のものなどを含む。樹脂またはガラス繊維セパレータの材料としては、ポリオレフィン、芳香族ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホンなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、前記ポリオレフィンは、ポリエチレンまたはポリプロピレンである。いくつかの実施例において、前記ポリオレフィンは、ポリプロピレンである。前記セパレータの材料は、単独でまたは任意に組み合わせて用いてもよい。
【0131】
前記セパレータは、上記の材料を積層してなる材料であってもよく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンをこの順に積層してなる三層セパレータなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
無機物の材料としては、アルミナ、シリカなどの酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの窒化物、硫酸塩(例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなど)が挙げられるが、これらに限定されない。無機物の形態としては、粒子状または繊維状が挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
前記セパレータの形態は、フィルムの形態であってもよく、例えば、不織布、織布、微多孔性フィルムなどが挙げられるが、これらに限定されない。フィルムの形態において、前記セパレータの孔径は、0.01μm~1μmであり、厚さは、5μm~50μmである。前記独立のフィルム状のセパレータ以外に、以下のようなセパレータを用いることもできる。即ち、樹脂類のバインダーを用いて前記無機物の粒子を含有する複合多孔層を正極及び/または負極の表面上に形成してなるセパレータを用いることができ、例えば、バインダーとしてフッ素樹脂を使用して、90%粒子径が1μm未満であるアルミナ粒子を、正極の両面に多孔層を形成させることにより形成されたセパレータを用いることもできる。
【0134】
前記セパレータの厚さは、任意である。いくつかの実施例において、前記セパレータの厚さは、1μm超、5μm超、または8μm超である。いくつかの実施例において、前記セパレータの厚さは、50μm未満、40μm未満、または30μm未満である。いくつかの実施例において、前記セパレータの厚さは、前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。前記セパレータの厚さが上記範囲内にあると、絶縁性及び機械的強度を確保しつつ、電気化学装置のレート特性及びエネルギー密度を確保することができる。
【0135】
セパレータとして多孔性シートまたは不織布などの多孔質材料を用いる場合、セパレータの孔隙率は、任意である。いくつかの実施例において、前記セパレータの孔隙率は、10%超、15%超、または20%超である。いくつかの実施例において、前記セパレータの孔隙率は、60%未満、50%未満、または45%未満である。いくつかの実施例において、前記セパレータの孔隙率は、前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。前記セパレータの孔隙率が上記範囲内にあると、絶縁性及び機械的強度を確保しつつ、膜の抵抗を抑制することができ、電気化学装置に良好な安全特性を持たせることができる。
【0136】
前記セパレータの平均孔径も、任意である。いくつかの実施例において、前記セパレータの平均孔径は、0.5μm未満、または0.2μm未満である。いくつかの実施例において、前記セパレータの平均孔径は、0.05μm超である。いくつかの実施例において、前記セパレータの平均孔径は、前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。前記セパレータの平均孔径が上記範囲を超えると、短絡が発生しやすい。セパレータの平均孔径が上記範囲内にあると、電気化学装置に良好な安全特性を持たせることができる。
【0137】
IV、電気化学装置の組立体
電気化学装置の組立体は、電極アセンブリー、集電構造、外装ケース、及び保護素子を含む。
【0138】
電極アセンブリー
電極アセンブリーは、上記正極と負極とを、上記セパレータを介して積層してなる積層構造、及び、上記正極と負極とを、上記セパレータを介して渦巻き状で巻回してなる構造のうちのいずれか一種を備えてもよい。いくつかの実施例において、電池内容積に電極アセンブリーの質量が占める割合(電極アセンブリー占有率)は、40%超、または50%超である。いくつかの実施例において、電極アセンブリー占有率は、90%未満または80%未満である。いくつかの実施例において、電極アセンブリー占有率は、前記の任意の2つの数値からなる範囲内にある。電極アセンブリー占有率が上記範囲内にあると、電気化学装置の容量を確保することができるとともに、内部圧力の上昇に伴う繰り返し充放電特性及び高温保存などの特性の低下を抑制することができる。
【0139】
集電構造
集電構造は、特に制限されない。いくつかの実施例において、集電構造は、配線部分及び接合部分の抵抗を低減させる構造である。電極アセンブリーが上記の積層構造である場合、各電極層の金属コア部分を束ねて端子に溶接して形成される構造が好適に用いられる。電極面積が大きくなると、内部抵抗が大きくなるので、電極内に2つ以上の端子を設けて抵抗を低減させることも好適に用いられる。電極アセンブリーが上記の巻回構造である場合、正極及び負極にそれぞれ2つ以上のリード構造を設け、端子に束ねることにより、内部抵抗を低くすることができる。
【0140】
外装ケース
外装ケースの材質は、用いられる電解液に対して安定な物質であれば特に制限されない。外装ケースは、ニッケルめっき鋼板、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、マグネシウム合金などの金属類、あるいは樹脂とアルミニウム箔との積層フィルムを用いるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、外装ケースは、アルミニウムまたはアルミニウム合金の金属、または積層フィルムである。
【0141】
金属類の外装ケースとしては、レーザ溶接、抵抗溶接、超音波溶接により金属同士を溶着してなる封止密閉構造、あるいは樹脂製ガスケットを介して上記の金属類を用いてなるリベット構造が挙げられるが、これらに限定されない。上記の積層フィルムを用いた外装ケースとしては、樹脂層同士を熱融着してなる封止密閉構造などが挙げられるが、これらに限定されない。シール性を上げるために、上記の樹脂層の間に積層フィルムに用いられる樹脂と異なる樹脂を介在させてもよい。集電端子を介して樹脂層を熱融着して密閉構造とする場合には、金属は樹脂と接合するので、介在する樹脂として極性基を有する樹脂または極性基を導入した変性樹脂が用いられる。なお、外装ケースの形状も、任意であり、例えば、円筒形、角形、ラミネート型、ボタン型、大型などのうちのいずれか一種であってもよい。
【0142】
保護素子
保護素子として、異常発熱または過大電流が流れた時に抵抗が増大する正温度係数(PTC)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池の内部圧力または内部温度を急激に上昇させることにより電気回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)などが用いられる。上記の保護素子は、高電流の通常の使用に作動しない素子を選択してもよく、保護素子がなくても異常発熱または熱暴走を発生することがないように設計してもよい。
【0143】
V、応用
本発明の電気化学装置は、電気化学反応が発生する任意の装置を含み、その具体例としては、すべての種類の一次電池、二次電池、燃料電池、太陽電池、またはキャパシタが挙げられる。特に、この電気化学装置は、リチウム金属二次電池またはリチウムイオン二次電池を含むリチウム二次電池である。
【0144】
本発明は、本発明による電気化学装置を含む電子装置をさらに提供する。
【0145】
本発明の電気化学装置の用途は、特に限定されず、先行技術で既知の任意の電子装置に用いることが可能である。いくつかの実施例において、本発明の電気化学装置は、ノートパソコン、ペン入力型コンピューター、モバイルコンピューター、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯型ファクシミリ、携帯型コピー機、携帯型プリンター、ステレオヘッドセット、ビデオレコーダー、液晶テレビ、ポータブルクリーナー、携帯型CDプレーヤー、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯型テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、オートバイ、アシスト自転車、自転車、照明器具、玩具、ゲーム機、時計、電動工具、閃光灯、カメラ、家庭用大型蓄電池、及びリチウムイオンキャパシタなどに使用されるが、これらに限定されない。
【0146】
以下では、例としてリチウムイオン電池を挙げ、具体的な実施例を参照してリチウムイオン電池の調製について説明し、当業者は、本発明に記載されている調製方法が単なる例示であり、他のいかなる好適な調製方法が本発明の範囲内にあることを理解すべきである。
【0147】
実施例
以下、本発明によるリチウムイオン電池の実施例及び比較例を説明して性能評価を行う。
【0148】
一、リチウムイオン電池の調製
1、中間層の調製
導電材とスチレン-ブタジエンゴム(SBR)とを質量比64.5%:35.5%で脱イオン水と混合し、均一に攪拌し、中間層スラリーを得た。このスラリーを正極または負極集電体に塗布した。
【0149】
2、負極の調製
人造黒鉛と、スチレン-ブタジエンゴムと、カルボキシメチルセルロースナトリウムとを質量比96%:2%:2%で脱イオン水と混合し、均一に撹拌し、負極用スラリーを得た。この負極用スラリーを12μmの集電体または中間層に塗布した。乾燥し、冷間圧延し、打ち抜き、タブを溶接し、負極を得た。
【0150】
3、正極の調製
コバルト酸リチウム(LiCoO2)と、導電材(Super-P)と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを質量比95%:2%:3%でN-メチルピロリドン(NMP)と混合し、均一に撹拌し、正極用スラリーを得た。この正極用スラリーを12μmのアルミニウム箔または中間層に塗布し、乾燥し、冷間圧延し、打ち抜き、タブを溶接し、正極を得た。
【0151】
4、電解液の調製
乾燥アルゴンガス雰囲気で、ECと、PCと、DECと(重量比1:1:1)を混合し、LiPF6を入れて均一に混合し、基本電解液を形成した。ここで、LiPF6の濃度が1.15mol/Lであった。基本電解液に含有量が異なる添加剤を加えることにより、異なる実施例及び比較例の電解液を得た。
【0152】
電解液中の成分の略語とその名称を以下の表に示した。
【0153】
【0154】
5、セパレータの調製
ポリエチレン(PE)多孔質重合体フィルムをセパレータとした。
【0155】
6、リチウムイオン電池の調製
得られた正極、セパレータ及び負極を順番に巻いて外装箔に入れ、注液口を残した。注液口から電解液を注入し、封止し、フォーメーション、容量測定などのプロセスを経て、リチウムイオン電池を得た。
【0156】
二、測定方法
1、リチウムイオン電池の直流内部抵抗の測定方法
25℃で、リチウムイオン電池を、1C(公称容量)にて4.45Vまで定電流充電して、そして、定電圧4.45Vで電流が0.05C以下になるまで充電し、5分間静置し、その後1Cにてカットオフ電圧3Vまで定電流放電し、さらに1C(公称容量)にて4.45Vまで定電流充電し、そして、定電圧4.45Vで電流が0.05C以下になるまで充電し、5分間静置し、その後1Cにてカットオフ電圧3Vまで定電流放電し、このように400サイクルし、第400サイクルの放電容量を記録し、第400サイクルの実際の放電容量でリチウムイオン電池を必要な満充電容量の20%に調整し、さらに0.3Cの電流で10秒間放電を続けた。以下の式により、リチウムイオン電池の直流内部抵抗を算出した。
直流内部抵抗=(放電前電圧-放電終了時電圧)/電流
【0157】
各実施例または比較例について15個のサンプルを測定し、その平均値を取った。
【0158】
2、リチウムイオン電池の厚さ膨張率の測定方法
25℃でリチウムイオン電池を30分間静置し、その厚さT1を測定した後、5℃/minの昇温速度で昇温を開始し、温度が130℃まで上昇した場合、30分間保持し、リチウムイオン電池の厚さT2を測定した。以下の式により、リチウムイオン電池の厚さ膨張率を算出した。
厚さ膨張率=[(T2-T1)/T1]×100%
【0159】
三、測定結果
表1は、中間層と活物質層との面積比及び電解液中の硫黄-酸素二重結合を含有する化合物がリチウムイオン電池の直流内部抵抗及び厚さ膨張率に与える影響を示す。
【0160】
【0161】
その結果、中間層と活物質層との面積比が0.9~1.1の範囲内にあり、かつ電解液が硫黄-酸素二重結合を含有する化合物を含む場合、充放電過程による極片の膨張/収縮を抑制でき、そして、硫黄-酸素二重結合を含有する化合物は、電極の表面構造、活物質層と集電体の界面、及び活物質層と電解液の界面を安定させるのに役立ち、これにより、リチウムイオン電池の直流内部抵抗と厚さ膨張率を著しく低減し、その安全性を改善することができる。
【0162】
中間層は、正極または負極に存在することができ、実質的に同等の効果を実現することができる。
【0163】
電解液中の硫黄-酸素二重結合を含有する化合物の含有量が0.01%~10%の範囲内にあると、リチウムイオン電池の直流内部抵抗及び厚さ膨張率をさらに低減し、その安全性を改善することができる。
【0164】
中間層と前記活物質層との面積比A及び電解液中の硫黄-酸素二重結合を含有する化合物の含有量Y%が0.009≦A×Y≦6を満たすと、リチウムイオンの直流内部抵抗及び厚さ膨張率をさらに低減し、その安全性を改善することができる。
【0165】
表2は、導電材の平均粒子径、比表面積X m2/g、及び比表面積X m2/gと電解液中の硫黄-酸素二重結合を含有する化合物の含有量Y%との関係がリチウムイオン電池の直流内部抵抗及び厚さ膨張率に与える影響を示す。実施例2-1~2-12と実施例1-1との違いは、表2に示すパラメータのみである。
【0166】
【0167】
その結果、導電材は以下の特性を有することができる。すなわち、導電材は、平均粒径は1μm以下であること、比表面積は20m2/g~300m2/gの範囲内にあること、及び比表面積X m2/gと電解液中の硫黄-酸素二重結合を含有する化合物の含有量Y%が0.2≦X×Y≦200を満たすこと、を有することができる。導電材が上記特性のうち少なくとも1種を有する場合、リチウムイオン電池の直流内部抵抗及び厚さ膨張率をさらに低減し、その安全性を改善することができる。
【0168】
表3は、負極活物質がリチウムイオン電池の性能としての直流内部抵抗及び厚さ膨張率に与える影響を示す。実施例3-1~3-5と実施例1-1との違いは、表3に示すパラメータのみである。
【0169】
【0170】
その結果、負極活物質を調整することにより、リチウムイオン電池の直流内部抵抗及び厚さ膨張率をさらに低減し、その安全性を改善することができる。負極活物質がシリコン材料またはハードカーボンを含む場合、リチウムイオン電池の直流内部抵抗及び厚さ膨張率の低下が特に顕著である。
【0171】
表4は、正極活物質がリチウムイオン電池の直流内部抵抗及び厚さ膨張率に与える影響を示す。実施例4-1~4-5と実施例1-1との違いは、表4に示すパラメータのみである。
【0172】
【0173】
その結果、正極活物質を調整することにより、リチウムイオン電池の直流内部抵抗及び厚さ膨張率をさらに低減し、その安全性を改善することができる。
【0174】
表5は、電解液成分がリチウムイオン電池の直流内部抵抗及び厚さ膨張率に与える影響を示す。実施例5-1~5-31と実施例1-1との違いは、表5に示すパラメータのみである。
【0175】
【0176】
その結果、中間層と活物質層との面積比が0.9~1.1の範囲内にあり、電解液が硫黄-酸素二重結合を含有する化合物を含むことに加えて、電解液がプロピオン酸エステル、シアノ基を有する有機化合物、ジフルオロリン酸リチウム及び/または式2で表される化合物を含む場合、リチウムイオン電池の直流内部抵抗及び厚さ膨張率をさらに低減し、その安全性を改善することができる。
【0177】
表6は、電解液中の硫黄-酸素二重結合を含有する化合物の含有量Y%とジフルオロリン酸リチウムの含有量b%との関係がリチウムイオン電池の直流内部抵抗及び厚さ膨張率に与える影響を示す。実施例6-1~6-11と実施例1-1との違いは、表6に示すパラメータのみである。
【0178】
【0179】
その結果、電解液中のジフルオロリン酸リチウムの含有量が0.01%~2%の範囲内にあると、リチウムイオン電池の直流内部抵抗及び厚さ膨張率をさらに低減し、その安全性を改善することができる。
【0180】
電解液中の硫黄-酸素二重結合を含有する化合物の含有量Y%及びジフルオロリン酸リチウムの含有量b%が0.01≦Y/b≦100をさらに満たすと、リチウムイオン電池の直流内部抵抗及び厚さ膨張率をさらに低減し、その安全性を改善することができる。
【0181】
明細書全体において、「実施例」、「実施例の一部」、「一つの実施例」、「別の一例」、「例」、「具体例」または「例の一部」による引用は、本発明の少なくとも一つの実施例または例は、当該実施例または例に記載した特定の特徴、構造、材料または特性を含むことを意味する。したがって、明細書全体の各箇所に記載された、例えば「いくつかの実施例において」、「実施例において」、「一つの実施例において」、「別の例において」、「一つの例において」、「特定の例において」または「例」は、必ずしも本発明における同じ実施例または例を引用するわけではない。また、本明細書の特定の特徴、構造、材料、または特性は、一つまたは複数の実施例または例において、いかなる好適な方法で組み合わせることができる。
【0182】
例示的な実施例が記載及び説明されたが、当業者は、上述した実施例が本発明を限定するものとして解釈されないこと、かつ、本発明の技術思想、原理、及び範囲から逸脱しない場合に実施例への改変、置換及び変更が可能であることを理解すべきである。
【国際調査報告】