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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】左心耳の処置用デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20231023BHJP
   A61B 17/12 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B17/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523203
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2021078602
(87)【国際公開番号】W WO2022079235
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】20202449.3
(32)【優先日】2020-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519025459
【氏名又は名称】オーリジェン メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トニー オハロラン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン トンプソン
(72)【発明者】
【氏名】コナー アレン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD03
4C160DD52
4C160DD65
4C160KK03
4C160KK24
4C160KK37
4C160KK63
4C160MM38
(57)【要約】
対象の心臓の左心耳(1)を閉塞させるためのデバイス(10)は、左心耳を流体的に閉塞させるために展開時に半径方向に拡張するために構成された植込み型閉塞装置(30)と、左心耳への植込み型閉塞装置の経管送達のための植込み型閉塞装置に取り付け可能な遠位端を有する細長いカテーテル部材(80)と、植込み型閉塞装置の周囲を囲んで配置された複数の電極(26)を有する組織通電モジュール(20)であって、各電極は、植込み型閉塞装置の展開時に組織焦点で左心耳の壁と接触するように構成された、組織通電モジュール(20)と、電力源(50)および複数の電極に動作可能に取り付け可能であり、パルス場アブレーションモダリティで電極を通電させるように構成されたパルス場エネルギー送達ジェネレータを含む、電気コントローラ(40)を含む。電気コントローラは、複数の電極の各々を個別に通電させて、左心耳の壁の周りに周方向に不均一なパルス場アブレーション処置を適用するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の心臓の左心耳(1)を閉塞するためのデバイス(10)であって、
展開時に半径方向に拡張して前記左心耳を流体的に閉塞するように構成された植込み型閉塞装置(30)と、
前記植込み型閉塞装置を前記左心耳に経管送達するために前記植込み型閉塞装置に取り付け可能な遠位端を有する細長いカテーテル部材(80)と、
前記植込み型閉塞装置の周囲を囲んで配置された複数の電極(26)を有する組織通電モジュール(20)であって、各電極は、前記植込み型閉塞装置の展開時に、組織の焦点で、前記左心耳の壁に接触するように構成された、組織通電モジュール(20)と、
電力源(50)および前記複数の電極(26)に動作可能に取り付け可能なパルス場エネルギー送達ジェネレータを含み、前記電極をパルス場アブレーションモダリティで通電させるように構成された、電気コントローラ(40)であって、前記電気コントローラ(40)は、前記複数の電極(26)を個別に通電させて、前記左心耳の前記壁の周りに周方向に不均一なパルス場アブレーション処置を適用するように構成された、電気コントローラ(40)と、
を含み、
前記デバイスは、前記電気コントローラ(40)に動作可能に結合され、前記LAAの前記壁の前記周囲を囲む複数のセクションで取られた電気パラメータ測定値を含む前記LAAの電気パラメータプロファイルを生成し、前記組織パラメータプロファイルと相乗的なパターンで前記電極(26)または電極のセットを個別に通電させるように、前記電気コントローラの出力を修正するように構成されたプロセッサ(60)を含んで、前記対象の特定の解剖学的構造に調整された、前記LAAの前記壁の周りに周方向に不均一な組織アブレーションを作成するために、他のものよりも大きなアブレーション電力で、いくつかの電極または電極のセットを通電させる、ことを特徴とするデバイス(10)。
【請求項2】
前記電気パラメータ測定値を得るように構成された組織パラメータセンサを含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記組織の前記電気パラメータは、電気インピーダンスであることを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記組織パラメータセンサは、前記LAAの前記壁の周りの複数の周方向または半径方向セクションで前記組織の電気パラメータを測定するように構成されていることを特徴とする請求項2または3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記組織パラメータセンサは、前記電気コントローラ(40)および前記組織通電モジュール(20)を含み、前記プロセッサは、
前記LAAの前記壁の前記周囲を囲む1つまたは複数のセクションでパルス場アブレーション処置を提供するように構成された、組織アブレーションモダリティ、および
前記LAAの前記壁の前記周囲を囲む前記複数のセクションで組織の電気パラメータを測定するための組織パラメータ測定モダリティ、
から選択される少なくとも2つの別個のモダリティで前記コントローラおよび組織通電モジュールを動作させるように構成されることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記プロセッサは、(a)前記壁のセクションに関する前記電気パラメータ測定値を基準電気パラメータ値と比較し、(b)前記比較に基づいて前記セクションに送達されるべきパルス場アブレーション電力を計算し、および(c)前記計算された電力で組織の前記セクションにパルス場アブレーション治療を提供するように、選択された電極を個別に通電させるように、前記電気コントローラの前記出力特性を修正するように構成されることを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記LAAの前記壁の複数のセクションの各々に対してステップ(a)、(b)および(c)を実行するように構成されることを特徴とする請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記複数のセクションは、合わせて前記LAAの全周を構成することを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記コントローラは、測定電流を供給するための一対の電極と、組織の前記セクションにわたって流れる電流によって生成される電圧降下を検出するための電極の別個の対と、を構成することによって、前記LAAの前記壁のセクションにわたって電気インピーダンスを測定するように構成されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記閉塞装置の前記壁の周りに周方向に離間された少なくとも4つの電極を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記閉塞装置の前記壁の周りに周方向に離間された6個から12個の電極を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記デバイスが、
前記コントローラおよび電極によって、パルス場アブレーション処置を前記体腔の前記壁のセクションに提供し、
前記コントローラおよび電極によって、前記処置されたセクションでの前記組織の電気インピーダンス値を決定し、
前記プロセッサによって、前記電気インピーダンス値に基づいて、前記体腔の前記壁の前記セクションの電気的絶縁の出力表示を相関させるように構成されることを特徴とする、請求項5に従属する請求項6から11のいずれかに記載のデバイス。
【請求項13】
前記プロセッサは、組織の前記セクションに関して前記測定された電気インピーダンス値を入力として受信し、前記値を1つまたは複数の基準電気インピーダンス値と比較し、および前記比較に基づき前記壁の前記セクションの電気的絶縁の出力表示を計算するように構成されることを特徴とする請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記デバイスは、
前記コントローラおよび電極によって、前記体腔の前記壁のセクションで、組織の電気インピーダンスまたは電気活動から選択された第1の電気パラメータ値を決定し、
前記コントローラおよび電極によって、前記体腔の前記壁の前記セクションで、パルス場アブレーション処置を提供し、
前記コントローラおよび電極によって、前記処置されたセクションで、前記組織の電気インピーダンスまたは電気活動から選択された第2の電気パラメータ値を決定し、および
前記プロセッサによって、前記第1および第2の電気パラメータ測定値の比較に基づいて、前記体腔の前記壁の前記セクションの電気的絶縁の出力表示を計算する
ように構成されることを特徴とする、請求項5に従属する請求項6から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記対象の本体の表面への取り付けのために構成されたアース電極を含み、前記プロセッサは、前記組織通電モジュールの電極および前記アース電極を使用して特定の場所で前記組織の前記電気パラメータを決定するように構成されることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記パルス場エネルギー送達ジェネレータは、エネルギーの少なくとも1つのパルス列を前記体腔の前記組織に送達するように構成され、エネルギーの各パルス列は、
少なくとも60パルス、
0μsから5μsの位相間遅延、
2から500μsのパルス間遅延、
1から15μsのパルス幅、および
500から2500Vの電圧、
を含むことを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記ジェネレータは、パルス間遅延が約2から約400μsであるエネルギーの少なくとも1つのパルス列を送達するように構成されることを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記ジェネレータは、パルス間遅延が約2から約250μsであるエネルギーの少なくとも1つのパルス列を送達するように構成されることを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左心耳(left atrial appendage)の処置に関する。特に、本発明は、パルス場電気アブレーション(pulsed field electrical ablation)によって左心耳の壁を電気的に絶縁する左心耳を閉塞するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
心房細動(AF)は、米国だけで推定600万人の患者に影響を及ぼす一般的な心臓リズム障害である。AFは、米国で2番目に多い脳卒中(stroke)の原因であり、高齢者の脳卒中の約3分の1を占める可能性がある。私たちの人口が高齢化を続けるにつれて、この問題はさらに広がる可能性がある。AF患者に血栓(blood clot)(血小板塞栓(thrombus))が認められる症例の90%超では、血栓は心臓の左心耳(LAA)に発生する。AFの不規則な心拍は、血液を左心耳に鬱血させ、血液が停滞しているときに凝固が起こるため、血栓または血小板塞栓がLAAに形成される可能性がある。これらの血栓は、左心耳から脱落(dislodge)する可能性があり、および脳卒中を引き起こす頭蓋循環(cranial circulation)、心筋梗塞(myocardial infarction)を引き起こす冠動脈循環(coronary circulation)、四肢虚血(limb ischemia)を引き起こす末梢循環(peripheral circulation)、ならびに他の血管床(vascular bed)に入る可能性がある。LAAは、左心房に取り付けられた心臓の筋肉ポーチである。LAAの機械的閉塞は、AF患者の脳卒中の発生率の低下をもたらす可能性があり、LAAを除去絶縁するための外科的方法および血管内の方法の両方への関心が高まっている。
【0003】
抗凝固薬は、AFと診断された患者の脳卒中を予防するために使用され得る。しかしながら、多くの人は潜在的な副作用のためにそのような薬を服用できない。薬物療法はまた、出血を引き起こす可能性があり、投与量を決定することは困難であるため、制御することは困難であり得る。最近の研究は、閉塞(occlusion)または閉鎖(closure)によるLAAの除去は、LAAで血小板塞栓が形成されるのを防ぐ可能性があり、したがってAFと診断された患者の脳卒中の発生率を減少させる可能性があることを示す。したがって、LAAの閉塞または閉鎖は、心房細動を有し薬物療法の合併症を伴わない患者の脳卒中の発生率を有意に低下させる可能性がある。
【0004】
歴史的に、LAAは、心房細動によって課されるリスクを軽減するために、縫合(suturing)、クリッピング、または切除(excision)を介して外科的に修正されることがある。近年、左心耳に経皮的に送達され得るデバイスが導入されている。これらのデバイスの基本的な機能は、インプラントで左心耳(appendage)内の体積を除外することであり、これは、次いで、左心耳内の血液が安全に血栓により妨げられ(thrombose)、および次いで心臓組織に徐々に取り込まれることを可能にする。これは、左心耳がかつてあったところに滑らかな内皮化表面(endothelialized surface)を残し得る。
【0005】
LAAを経皮的に閉塞するための新しいデバイスは、脳卒中予防のために開発されており、有望に見える。これらの新しいデバイスは、LAAシャットをクランプするためのクリップの使用、LAAを壁で区切る(wall off)ためのスネアの使用、LAAを拡張するための傘デバイス(umbrella device)の使用、LAAを閉じ得るがそれを電気的に絶縁し得ないデバイスの使用、およびLAAを閉じずに充填し得るデバイスの使用を含む。これらのデバイスの安全性と有効性に関するデータは、時間を掛けて(over time)考慮する必要がある。これらの新しいデバイスは、ヒトへの応用のための臨床試験の初期段階にあり、いくつかの限界がある。例えば、LAAシャットをクランプするためのクリップの使用は、LAAの基部に下りない場合があり、残存断端(residual stump)または漏れを残す場合があり、血栓形成をもたらす場合があり、および直視下手術(open surgery)を必要とする場合がある。スネアの使用は、残存断端または漏れを残す場合があり、ほとんど制御されない場合があり、接着が心臓の周りに配置されている場合には不可能になり得る。傘デバイスは異物でできており、LAAを同時に閉塞および電気的に絶縁しないため、その使用は、患者が血液希釈剤(blood thinners)に接していることを必要とする場合がある。電気的絶縁なしでLAAを閉鎖する可能性のあるデバイスの使用、およびLAAを閉鎖せずに電気的に絶縁する可能性のあるデバイスの使用は、共に、漏れが発生する可能性のある不完全な解決策であり、合成材料の使用により血液希釈剤を必要とする場合があるか、または他の種類の問題が発生する場合がある。
【0006】
LAAの閉塞、ならびに心房細動およびLAA関連血栓性イベントの予防/処置のために提案された、より最近のデバイスが記載されている。特許文献1は、LAAの開口部(ostium)の係合のために構成された拡張可能なLAA閉塞(LAA-occluding)バリアおよびアンカー、心房細動の処置のためのペーシングモジュール、および不整脈を示す心臓の電気活動(electrical activity)を検出するためのセンサーを有する植込み型(implantable)デバイスを記載している。特許文献2は、フィラー材料をLAAに注入するように構成され、LAA組織の外部基地局データ電気パラメータを検出して中継するように構成されたトランスポンダユニットを含むLAA閉塞デバイスを記載している。特許文献3は、LAA閉塞本体、LAAの電気的絶縁を視野に入れてLAA組織を加熱するように構成された電極、およびLAAの熱または電気活動を決定するように構成されたセンサーを有する植込み型デバイスを記載しており、その信号は、組織の加熱を制御するためのフィードバックとして使用される。これらのデバイスは、規則的な開口部を有するLAAの開口部を閉塞することができるが、不規則な形状の開口部を有するLAAの開口部との使用には適さない。さらに、デバイスは、LAAの電気的絶縁を監視して達成するために動作可能であり得るが、多くの場合、デバイスで達成される電気的絶縁が可逆的であるため、その後の心房細動イベントを防止しない。これらのデバイスのさらなる問題は、送達カテーテルと拡張可能なバリアとの間のコネクタがバリアの左心房側に配置され、循環血液に曝露され、これはDRT(デバイス関連血栓)の形成を引き起こす可能性があることである。
【0007】
非特許文献1は、肺静脈、右心耳(right atrial appendage)および左心耳を含む様々な心臓構造の壁にパルス場アブレーションを適用するためのデバイスを記載している。デバイスは、電極1、3、5、7、および9を1つの極性とし、電極2、4、6、および8を反対の極性として接続するケーブルを介して、高電圧二相性パルス列をマルチ電極カテーテルに送達するPFA発生器によって動力供給(powered)される9電極円形アレイ肺静脈アブレーションカテーテルを含む。
【0008】
特許文献4は、本体上に周方向(circumferentially)に配置された複数の電極を有する半径方向に拡張可能な本体を含む、左心耳をアブレーションおよび閉塞するためのデバイスおよびシステムを記載する。
【0009】
特許文献5は、組織アブレーションカテーテルを記載し、特に、異なる生理学的環境のために異なる形状およびサイズに適応することができるアブレーションエレメントを提供するという技術的問題の解決に焦点を当てている。システムは、先行するパルスのデューティサイクルの終了(end)が次のパルスのデューティサイクルの開始(beginning)とわずかに重複するように、隣接する電極領域に連続したパワーパルスをシーケンスするように構成されたマイクロコントローラを含み、連続する電極領域間のパルス切り替え中に開回路によって引き起こされる期間なしに、電源(source)が連続的に電力を印加するようにパルスデューティサイクルの重複を確実にする。したがって、システムは、アブレーション要素(ablating element)に沿った温度の均一な分布を確立し維持するために、複数の電極領域に電力を分配するように構成される。D2に開示される電極要素のサイズおよび間隔は、アブレーションエネルギーが隣接する発光電極要素に同時に印加されるときに、組織内に連続的な、長くおよび曲線状の病変(lesion)パターンを作成するのに、よく適している。
【0010】
本発明の目的は、上述の課題の少なくとも1つを克服することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2012/109297号
【特許文献2】国際公開第2013/009872号
【特許文献3】国際公開第2016/202708号
【特許文献4】米国特許出願公開第2020/008870号明細書
【特許文献5】米国特許第6416505号明細書
【特許文献6】国際公開第01/87168号
【特許文献7】米国特許第6652548号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2004/219028号明細書
【特許文献9】米国特許第6454775号明細書
【特許文献10】米国特許第4909789号明細書
【特許文献11】米国特許第5573530号明細書
【特許文献12】国際公開第2013/109756号
【特許文献13】国際公開第2018/185256号
【特許文献14】国際公開第2018/185255号
【特許文献15】国際公開第2020/074738号
【特許文献16】米国特許出願公開第2020/230403号明細書(US2020230403)
【特許文献17】欧州特許第3399933号明細書(EP3399933)
【特許文献18】米国特許出願公開第2020/046423号明細書(US2020046423)
【特許文献19】国際公開第2019/157359号(WO2019157359)
【特許文献20】米国特許出願公開第2020/139114号明細書(US2020139114)
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Stewart et al (Feasibility of Pulsed Field Intracardiac Ablation, Heart Rhythm, Vol. 16, No. 5, May 2019)
【非特許文献2】Fraczek et al (Acto of Bioengineering and Biomechanics, Vol. 18, No. 1, 2016)
【非特許文献3】Sharp et al. (Saudi Journal of Anaesthesia, 2017, 11(1):15)
【非特許文献4】Kwon et al. (Scientific Reports 9, Article Number 3145 (2109)
【発明の概要】
【0013】
出願人は、左心耳(LAA)のようないくつかの体腔(body lumen)の壁が、他のものよりも厚さが大きいいくつかの部分を有する、周方向に不均一な断面を有し、および壁の厚さの不均一性は、対象(subject)から対象まで変化することを認識している。加えて、電気インピーダンスを含む組織の電気パラメータもまた、周方向および対象間で変化する。したがって、(特許文献4を含む先行技術のシステムによって提供されるような)LAAの壁の周囲に周方向に均一なeフィールド(e-field)を送達するためのパルス場アブレーション(PFA)のような組織アブレーション処置(tissue ablation treatment)は、いくつかの部分は、隣接する構造に損傷を与えることなくうまくアブレーションされ、他の(より薄い)セクションは、過剰処置されて、神経のような隣接する構造に結果として損傷を与えるという結果をきたす可能性がある。本発明は、対象の特定の解剖学的構造に調整された、LAAの壁の周りに周方向に不均一な組織アブレーションを作成するために、いくつかの要素が他のものよりも大きなアブレーション電力(ablative power)で通電されることを可能にするように、要素または要素の対を個別に通電させるシステムを提供することによって、上記の技術的問題を解決する。デバイスは、体腔の周囲を囲む(around the circumference)複数の位置で決定された組織電気パラメータデータに基づいて、組織アブレーション要素へのエネルギー送達を調整するように構成される。デバイスは、センサーを組み込んで組織電気パラメータデータを取得してもよく、または別個のセンサーと併せて使用して組織電気パラメータデータを取得してもよい。1つの実施形態では、コントローラ/ジェネレータおよびアブレーション要素(ablative elements)は、組織パラメータ測定モダリティおよび組織アブレーション処置モダリティ(tissue ablative treatment modality)の2つの別個のモダリティで動作するように構成され得る。これは、電気インピーダンスのような組織パラメータが、LAAの周囲を囲む複数の位置(例えば、電極間または電極と接地パッド(ground pad)との間)で決定され、複数の組織パラメータ測定値を含む組織パラメータプロファイルが生成されることを可能にする。デバイスは、組織パラメータ測定値を受信し、組織パラメータプロファイルをコンパイルするように構成されたプロセッサを含み得、次に、組織パラメータプロファイルと相乗的なパターンで処置段階(treatment phase)中にアブレーション要素を個別に通電(energise)させるようにコントローラ/ジェネレータの出力特性を修正する。組織のパルス場アブレーション(PFA)のコンテキストでは、これは、処置段階中に電極を介して体腔の周囲を囲む特定の位置に送達される、より大きな電力のPFAを伴う、非フォーム(non-unform)eフィールドがデバイスによって生成され得ることを意味する。
【0014】
第1の態様では、本発明は、対象の体腔、例えば、心臓の左心耳を閉塞するためのデバイスを提供し、
展開時に(upon deployment)半径方向に拡張して体腔を閉塞するように構成された植込み型閉塞装置(implantable occlusion apparatus)と、
通常、植込み型閉塞装置の周囲を囲んで配置された、複数の組織アブレーション要素(例えば、電極)を有する組織通電モジュール(tissue energising module)であって、各要素は、植込み型閉塞装置の展開時に体腔の壁に接触するように構成された、組織通電モジュールと、
電力源(electrical power source)および複数の要素に結合され、要素を通電させて体腔の壁の組織をアブレーションするように構成された電気コントローラと、
を含む。
【0015】
電気コントローラは、典型的には、左心耳の壁の周りに不均一な組織アブレーション処置を周方向に適用するために、複数の要素のそれぞれを個別に通電させるように構成される。
【0016】
任意の実施形態では、組織アブレーション要素は電極である。
【0017】
任意の実施形態では、コントローラは、電極に動作可能に接続され、電極をパルス場アブレーションモダリティで通電させるように構成されたパルス場エネルギー送達ジェネレータを備える。
【0018】
デバイスは、概して、植込み型閉塞装置を左心耳に経管送達(transluminal delivery)するために、植込み型閉塞装置に取り付け可能な遠位端を有する細長いカテーテル部材を備える。デバイスは、インビボで植込み型閉塞装置からカテーテルを取り外すように構成され得る。これは、デバイスが送達および展開され、次いで、植込み型閉塞装置がカテーテルから取り外され、カテーテルが引き込まれて、植込み型閉塞装置をLAA内に置き去りにすることを可能にする。
【0019】
任意の実施形態では、植込み型閉塞装置は、送達構成(delivery configuration)から半径方向に拡張された展開構成(deployed configuration)まで半径方向に調整可能である。
【0020】
1つの実施形態では、デバイスは、体腔の壁の周囲を囲む1つまたは複数の位置で組織の電気パラメータを測定するように構成された組織パラメータセンサを備える。組織パラメータセンサは、電気コントローラおよび組織通電モジュールを備え得る。
【0021】
別の実施形態では、デバイスは、本発明のデバイスと分離され本発明のデバイスと共に使用されるように構成された組織パラメータセンサと共に使用するように構成される。デバイスは、別個の組織パラメータセンサが、植込み型閉塞装置内で展開し、使用後に任意選択的に引き戻(retraction)されるために、カテーテルの管腔を通って経管的に送達されるように構成され得る。
【0022】
任意の実施形態では、デバイスは、電気コントローラに動作可能に結合され、複数の位置、例えば、複数の周方向セクション(circumferential sections)で取られた電気パラメータ測定値を含む体腔の壁の電気パラメータプロファイルを生成し、および組織パラメータプロファイルと相乗的なパターンで電極(一般的には電極対)を個別に通電させるように電気コントローラの出力を修正するように構成されるプロセッサを備える。コントローラは、特に電気パラメータが電気インピーダンスである場合、2つの電極、または1組の電極(例えば4つの電極)を使用して電気パラメータ測定値を取るように構成され得る。電極の対を個別に通電させるためのデバイスの能力は、その位置での電気パラメータ測定によって決定されるように、より大きなPFA電力(PFA power)が必要とされる身体(body)の周りの場所に印加される、体腔の周囲を囲んで不均一なeフィールドが生成されることを可能にする。例えば、電気インピーダンスの場合、本体(body)の電気インピーダンスプロファイルは、組織の電気インピーダンスが最も高い本体周辺の位置を識別し、より低い電力のPFAがそれらの位置の電極を介してそれらの位置で送達されることを可能にする。
【0023】
任意の実施形態では、電気パラメータプロファイルは、体腔の壁の周方向セクションの複数の電気パラメータ測定値を含む。任意の実施形態では、電気パラメータプロファイルは、体腔の壁の半径方向セクションの複数の電気パラメータ測定値を含む。任意の実施形態では、電気パラメータプロファイルは、体腔の壁の周方向セクションおよび半径方向セクションの複数の電気パラメータ測定値を含む。
【0024】
任意の実施形態では、組織の電気パラメータは、電気インピーダンスである。電気インピーダンスは、概して、体腔のセクションに印加されるPFAエネルギーを計算するために使用される。組織の代替的な電気パラメータは、組織のセクションを横切る電気的活動(電圧)である。組織処置(tissue treatment)による体腔の電気的閉塞のレベルを決定するために、電気的活動が用いられ得る。
【0025】
任意の実施形態では、組織パラメータセンサは、体腔の壁の周囲を囲む、または体腔の壁を横切って半径方向に、複数の焦点点/セクションで組織の電気パラメータを測定するように構成される。
【0026】
任意の実施形態では、組織パラメータセンサは、電気コントローラおよび組織通電モジュールを含み、プロセッサは、処置(treatment)(組織アブレーション)モダリティおよび感知(sensing)(組織パラメータ測定)モダリティから選択される少なくとも2つの別個のモダリティでコントローラおよび組織通電モジュールを作動させるように構成される。任意の実施形態では、組織アブレーションモダリティは、体腔の壁の周囲を囲む複数の位置のうちの1つまたは複数でパルス場アブレーション処置を提供するように構成される。任意の実施形態では、組織パラメータ測定モダリティは、体腔の壁の周囲を囲む複数の位置で組織の電気パラメータを測定するように構成される。
【0027】
任意の実施形態では、プロセッサは、組織のセクションの電気パラメータ測定値を基準(reference)電気パラメータ値と比較し、比較に基づいて組織のセクションの電極に印加される通電電力(energising power)を計算し、電気コントローラの出力特性を修正して、組織のセクションに対して計算される通電電力に従って電極を個別に通電させるように構成される。電極パラメータ測定値は、電気インピーダンスであってもよい。任意の実施形態では、組織のセクションの電気インピーダンスは、組織通電モジュールの2つの電極または組織通電モジュールの4つの電極を使用して決定され得る。
【0028】
任意の実施形態では、プロセッサは、組織アブレーション処置後に組織パラメータ測定モダリティでコントローラおよび組織通電モジュールを作動させるように構成される。
【0029】
任意の実施形態では、プロセッサは、組織パラメータ測定モダリティのコントローラおよび組織通電モジュールを作動させて、2つの電極間の左心耳の壁のセクションの周りで周方向に電気パラメータを測定するように構成される。電気コントローラは、概して、組織通電モジュールの任意の2つの電極とコントローラとの間に電気回路を作成するように構成されたルーティングモジュールを含む。このようにして、コントローラは、PFAを、任意の2つの電極の間の体腔の壁の周方向セクションに適用することができる。概して、処置操作中に、コントローラは、2つの隣接する電極間の組織の周方向セクションにPFAアブレーションを適用する。任意の実施形態では、プロセッサは、組織パラメータ測定モダリティのコントローラおよび組織通電モジュールを作動させて、4つの電極を用いて左心耳の壁のセクションの周りで周方向に電気パラメータを測定するように構成される。2電極回路および4電極回路を使用して組織のセクションの電気インピーダンスを測定する方法は、非特許文献2、特に図3図4および図5ならびに関連する説明に詳細に記載されている。4電極回路の使用は、組織内の電気インピーダンス測定の精度に影響を及ぼす可能性のある電気分極(electropolarisation)の発生率を低減することが見出されている。4電極の実施形態は、非特許文献2の図4および図5に記載されている。コントローラのルーティングモジュールは、非特許文献2の図4および図5に記載されるように、組織通電モジュールの4つの電極を使用して2つの回路を作成するように構成され得る。
【0030】
任意の実施形態では、プロセッサは、左心耳の壁を横切って半径方向に電気パラメータを測定するために、組織パラメータ測定モードでコントローラおよび組織通電モジュールを作動させるように構成される。本発明のデバイスは、概して、対象の本体(例えば、脚の胸部(chest of leg))の表面上に配置されるように構成されたアースパッドを備える。コントローラは、電極とアースパッドとの間の電気パラメータを測定し、体腔の壁を横切って半径方向に電気パラメータを決定するように構成され得る。
【0031】
任意の実施形態では、組織通電モジュールは、植込み型閉塞装置の壁の周りに周方向に配置された少なくとも4、5、6、7、8、9、10個の電極を備える。任意の実施形態では、電極は、植込み型閉塞装置の周囲にほぼ等間隔に配置されている。任意の実施形態では、組織通電モジュールは、植込み型閉塞装置の壁の周りに周方向に配置された8つの電極を含み、プロセッサおよびコントローラは、好ましくは、2つの電極または4つの電極を使用して壁の壁のセクションを横切って電気インピーダンスを測定するように構成される。
【0032】
任意の実施形態では、カテーテルの遠位端は、第1の電気接続ハブを含み、閉塞装置は、第2の電気接続ハブを含み、電気接続ハブは、各電極をカテーテルを介してコントローラと個別に電気的に結合するために取り外し可能な係合のために構成される。
【0033】
任意の実施形態では、各電極は、カテーテルの管腔を通過する接続リードによってコントローラに個別に電気的に接続される。任意の実施形態では、各リードは、カテーテル内に少なくとも部分的に配置された近位セクションと、植込み型閉塞装置上に配置された遠位セクションとを有する。各リードの近位セクションは、典型的には、電気コントローラ(概して、対象の本体の外側に配置される)からカテーテルの遠位端に配置される第1の電気接続ハブまで延在する。各リードの遠位セクションは、植込み型閉塞装置の近位端に概して配置される第2の電気接続ハブから電気ハブまで延在する。第1および第2の電気接続ハブは、電気的に接続されたときに、各リードの近位セクションと遠位セクションとの間に電気的接続を提供し、各電極にそれ自体の電源(electrical supply)を提供するように構成される。第1および第2の電気接続ハブは、典型的には、取り外し可能な電気的結合のために構成される。これは、カテーテルが植込み型閉塞装置から取り外され、カテーテルが、植込み型閉塞装置を体内で原位置に残したまま、体から引き戻されて取り除かれることを可能にする。典型的には、各リード線は電気的に絶縁されている。
【0034】
別の態様では、本発明は、対象の体腔、例えば、心臓の左心耳を閉塞するためのデバイスを提供し、
展開時に半径方向に拡張して体腔を閉塞するように構成された植込み型閉塞装置と、
植込み型閉塞装置の周囲を囲んで配置された複数の電極を有する組織通電モジュールであって、各電極は、植込み型閉塞装置の展開時に体腔の壁に接触するように構成された、組織通電モジュールと、
電力源および複数の電極に動作可能に結合され、電極を個別に通電させて、左心耳の壁の周りに周方向に不均一なパルス場アブレーション処置を適用するように構成されたパルス場エネルギー送達ジェネレータを含む電気コントローラと、
体腔の壁の周囲を囲む複数の位置で組織の電気パラメータを測定するように構成された組織パラメータセンサと、
電気コントローラに動作可能に結合され、複数の位置で取られた電気パラメータ測定値を含む体腔の電気パラメータプロファイルを生成し、電気パラメータプロファイルと相乗的なパターンで電極を個別に通電させるように電気コントローラの出力を修正するように構成されたプロセッサと、
を備える。
【0035】
複数の位置は、体腔の壁の周方向セクション、体腔の壁の半径方向セクション、またはその両方を含み得る。
【0036】
任意の実施形態では、組織パラメータセンサは、電気コントローラおよび組織通電モジュールを含み、プロセッサは、処置(組織アブレーション)モダリティおよび感知(組織パラメータ測定)モダリティから選択される少なくとも2つの別個のモダリティでコントローラおよび組織通電モジュールを作動させるように構成される。
【0037】
任意の実施形態では、組織アブレーションモダリティは、体腔の壁の周囲を囲む複数の位置のうちの1つまたは複数でパルス場アブレーション処置を提供するように構成される。概して、各位置は、電極対によって画定される体腔の壁の周方向セクションである。
【0038】
任意の実施形態では、コントローラは、少なくとも1つのPFAエネルギー列(train)を電極に送達するように構成される。
【0039】
任意の実施形態では、コントローラは、少なくとも20パルスのエネルギー列を電極に送達するように構成される。
【0040】
任意の実施形態では、コントローラは、0μsから100μsの位相間遅延(inter-phase delay)を含む少なくとも1つのエネルギー列を送達するように構成される。
【0041】
任意の実施形態では、コントローラは、1から100μs、典型的には少なくとも5μsのパルス間遅延(inter-pulse delay)を含むエネルギー列を送達するように構成される。
【0042】
任意の実施形態では、コントローラは、100ns~100μsのパルス幅を含むエネルギー列を送達するように構成される。
【0043】
任意の実施形態では、コントローラは、100Vから5000Vの電圧振幅を有する少なくとも1つのPFAエネルギー列を送達するように構成される。
【0044】
任意の実施形態では、コントローラは、単相(monophasic)または二相(biphasic)形態でパルスを送達するように構成される。
【0045】
任意の実施形態では、電極は、単極または双極構成を有する。したがって、感知モードでは、電気インピーダンスは、閉塞装置の一部を形成する2つの電極間、または閉塞装置上の1つの電極と基準電極(接地パッド)との間で測定され得る。
【0046】
任意の実施形態では、デバイスは、
コントローラおよび電極によって、体腔の壁のセクションで電気的(例えば、パルス場アブレーション)処置を提供し、
コントローラおよび電極によって、処置されたセクションでの組織の電気パラメータ測定を決定し、および
プロセッサによって、電気パラメータ測定値に基づいて、体腔の壁のセクションの電気的絶縁の/出力表示を相関させるように構成される。
【0047】
プロセッサは、入力(input)として電気パラメータ測定値を受信し、測定値を電気パラメータの1つまたは複数の基準値と比較し、比較に基づいて壁のセクションの電気的絶縁の出力表示を計算するように構成され得る。典型的には、基準値は、電気パラメータ値のトレーニングセットで得られた値を含む。
【0048】
任意の実施形態では、デバイスは、
コントローラおよび電極によって、体腔の壁のセクションでの組織の第1の電気パラメータ測定値(第1の電気インピーダンスまたは電気活動値など)を決定し、
コントローラおよび電極によって、体腔の壁のセクションで電気的(例えば、パルス場アブレーション)処置を提供し、
コントローラおよび電極によって、処置されたセクションでの組織の第2の電気パラメータ測定を決定し、および
プロセッサによって、第1および第2の電気パラメータ測定値の比較に基づいて、体腔の壁のセクションの電気的絶縁の出力表示を計算するように構成される。
【0049】
1つの実施形態では、プロセッサは、処置前および処置後の電気パラメータ値の減少が計算されるときに、壁のセクションの電気的絶縁を示す出力を生成するように構成される。1つの実施形態では、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%の減少は、組織のセクションの電気的絶縁を示す。1つの実施形態では、プロセッサは、インターフェース上に出力表示を表示するように構成される。
【0050】
任意の実施形態では、ジェネレータは、エネルギーの少なくとも1つのパルス列を(典型的には所定の周波数で)体腔の組織に送達する(または本発明の方法は、送達することを含む)ように構成され、エネルギーの各パルス列は、
少なくとも60パルス、
0μsから5μsの位相間遅延、
2から500μsのパルス間遅延、
1から15μsのパルス幅、および
500から2500Vの電圧、
を含む。
【0051】
任意の実施形態では、半径方向に拡張可能な本体は、拡張構成(expanded configuration)にあるときに体腔を流体的に閉塞するように構成される。
【0052】
任意の実施形態では、電極の1つまたは複数またはすべては、エネルギー送達面を含み、中央の導電性(electrically conducting)領域および周辺の電気的絶縁性(electrically insulating)領域を含む。
【0053】
任意の実施形態では、植込み型閉塞装置は、半径方向に拡張可能な本体の表面に面する体腔の外側の周りに周方向に間隔が空けられた4個から16個の電極を含む、半径方向に拡張可能な本体である。
【0054】
任意の実施形態では、半径方向に拡張可能な本体は、半径方向に拡張可能な本体の表面に面する体腔の外側の周りに周方向に間隔が空けられた6個から10個の電極を備える。
【0055】
任意の実施形態では、隣接する電極は、中心から中心まで約3mmから約14mmだけ離間される。
【0056】
任意の実施形態では、隣接する電極は、中心から中心まで約6mmから約14mmだけ離間される。
【0057】
任意の実施形態では、電極のうちの1つまたは複数は平面状である。
【0058】
任意の実施形態では、平面状電極のうちの1つまたは複数は、楕円形の(oblong)プロファイルおよび電極長手方向軸を有し、電極は、電極長手方向軸が半径方向に拡張可能な本体の長手方向軸に平行になるように、半径方向に拡張可能な本体に取り付けられる。
【0059】
任意の実施形態では、電極のうちの1つまたは複数は、約1.5 mmから約5mmの幅を有する。
【0060】
任意の実施形態では、電極のうちの1つまたは複数は、約1.5mmから約3mmの幅を有する。
【0061】
任意の実施形態では、電極のうちの1つまたは複数は、約2mmから約8mmまたは約4mmから約8mmの長さを有する。
【0062】
任意の実施形態では、電極のうちの1つまたは複数は、約5mmから約7mmの長さを有する。
【0063】
任意の実施形態では、ジェネレータは、パルス間遅延が約2から約400μsであるエネルギーの少なくとも1つのパルス列を送達するように構成される。
【0064】
任意の実施形態では、ジェネレータは、パルス間遅延が約2から約250μsであるエネルギーの少なくとも1つのパルス列を送達するように構成される。
【0065】
任意の実施形態では、ジェネレータは、パルス間遅延が約200から約400μsであるエネルギーの少なくとも1つのパルス列を送達するように構成される。
【0066】
任意の実施形態では、パルス幅は1から5μsである。
【0067】
任意の実施形態では、エネルギーの各パルス列は、
少なくとも60パルス、
0μsから5μsの位相間遅延、
200から500μsのパルス間遅延、
1から5μsのパルス幅、および
750から2500Vの電圧、
を含む。
【0068】
任意の実施形態では、エネルギーのパルス列は、二相性パルスを含む。
【0069】
任意の実施形態では、ジェネレータは、50~800μsのパルス列遅延を有する複数のパルス列を送達するように構成される。
【0070】
任意の実施形態では、ジェネレータは、100から300個のパルス列を含む一連のパルス列を送達するように構成される。
【0071】
任意の実施形態では、ジェネレータは、30から90msのパルスオンタイムでエネルギーのパルス列を送達するように構成される。
【0072】
任意の実施形態では、半径方向に拡張可能な本体は、カテーテルに取り外し可能に取り付けられる。
【0073】
任意の実施形態では、発電機は、交流(AC)電流または直流(DC)電流を送達するように構成される。
【0074】
任意の実施形態では、複数の電極は、1つまたは複数の電極対を含み、システムは、少なくとも1つの電極対の離間した電極にわたってパルス場アブレーションエネルギーを送達するように構成される。
【0075】
任意の実施形態では、複数の電極は、中央電極と、中央電極の片側に配置された第1の電極と、中央電極の反対側に配置された第2の電極とを含む3つの離間した電極を含み、システムは、パルス場アブレーションエネルギーを第1の電極から中央電極に、および第2の電極から中央電極に送達するように構成される。
【0076】
別の態様では、本発明は、
植込み型閉塞装置が、植込み型閉塞装置の展開時に体腔の壁に接触するように構成された植込み型閉塞装置の周りに周方向に配置された複数の電極を有する、体腔内に植込み型閉塞装置を展開するステップと、
体腔の壁の周りの複数の離間された周方向位置で体腔組織の電気パラメータを測定するステップと、
電気パラメータ測定値を体腔固有(specific)組織パラメータプロファイルにコンパイルするステップと、
電極を個別に通電させて、組織パラメータプロファイルと相乗的なパターンで、LAAの壁の周りに周方向にパルス場アブレーション(PFA)を適用するステップと、
を含む、体腔を処置する方法を提供する。
【0077】
任意の実施形態では、組織の電気インピーダンスで測定される電気パラメータ。任意の実施形態では、電気パラメータは、2つの電極によって画定される体腔の壁の周方向セクションにわたって測定される。任意の実施形態では、電気パラメータは、体腔の壁の半径方向セクションを横切って測定される。
【0078】
任意の実施形態では、植込み型閉塞装置は、展開時に体腔を流体的に閉塞するように構成される(例えば、内腔を遮断し、植込み型閉塞装置を通過する流体通路を防止する)。
【0079】
任意の実施形態では、体腔は、血液循環系、例えば、血管、例えば、静脈または動脈の一部である。任意の実施形態では、体腔は、左心耳である。他の体腔は、呼吸器系、腎臓系、または肝臓系の一部を形成する内腔を含む。
【0080】
任意の実施形態では、方法は、体腔の壁の周りの少なくとも3、4、5、6、7、8、9または10個の離間した周方向の位置で体腔組織の電気パラメータを測定することを含む。
【0081】
任意の実施形態では、方法は、電力源および複数の電極に動作可能に結合され、パルス場アブレーションモダリティで電極を通電させるように構成されたパルス場エネルギー伝達ジェネレータを含む電気コントローラを採用する。
【0082】
任意の実施形態では、方法は、電気コントローラに動作可能に結合され、電気パラメータ測定値を受信し、体腔固有の電気パラメータプロファイルを生成し、電気コントローラの出力特性を修正して電極を個別に通電させ、組織パラメータプロファイルと相乗的なパターンでLAAの壁の周りに周方向にパルス場アブレーション(PFA)を適用するように構成されたプロセッサを採用する。
【0083】
任意の実施形態では、方法は、パルス場アブレーションを体腔の壁に適用するステップ、体腔の組織パラメータプロファイルを決定するステップ、および任意選択的に、さらなるパルス場アブレーションを体腔の壁に適用するステップを含む。
【0084】
任意の実施形態では、方法は、植込み型閉塞装置に結合された遠位端を有する細長いカテーテルと、植込み型閉塞装置を体腔に経管送達するステップと、を採用する。任意の実施形態では、植込み型閉塞装置は、送達構成から半径方向に拡張された展開構成まで半径方向に調整可能であり、方法は、植込み型閉塞装置を体腔内に展開するステップを含む。
【0085】
任意の実施形態では、方法は、組織のPFA処置後にカテーテルを植込み型閉塞装置から取り外すステップと、植込み型閉塞装置を原位置に残したままのカテーテルの経管引き戻しと、を含む。
【0086】
任意の実施形態では、方法は、少なくとも1つのPFAエネルギー列を電極に送達することを含む。
【0087】
任意の実施形態では、方法は、少なくとも20パルスの少なくとも1つのエネルギー列を電極に送達することを含む。
【0088】
任意の実施形態では、少なくとも1つのエネルギー列は、0μsから100μsの位相間遅延を含む。
【0089】
任意の実施形態では、エネルギー列は、1から100μs、典型的には少なくとも5μsのパルス間遅延を含む。
【0090】
任意の実施形態では、エネルギー列は、100nsから100μsのパルス幅を含む。
【0091】
任意の実施形態では、少なくとも1つのPFAエネルギー列は、100Vから5000Vの電圧振幅を有する。
【0092】
任意の実施形態では、単相性または二相性から選択されるパルス送達。
【0093】
任意の実施形態では、電極は、単極または双極構成を有する。
【0094】
任意の実施形態では、方法は、
コントローラおよび電極によって、体腔の壁のセクションで電気的(例えば、パルス場アブレーション)処置を提供するステップと、
コントローラおよび電極によって、処置されたセクションでの組織の電気パラメータ測定値を決定するステップと、
プロセッサによって、電気パラメータ測定値に基づいて、体腔の壁のセクションの電気的絶縁の出力表示を相関させるステップと、
を含む。
【0095】
プロセスは、入力として電気パラメータ測定値を受信することと、測定値を電気パラメータの1つまたは複数の基準値と比較することと、比較に基づいて壁のセクションの電気的絶縁の出力表示を計算することと、を含み得る。典型的には、基準値は、電気パラメータ値のトレーニングセットで得られた値を含む。
【0096】
任意の実施形態では、方法は、
コントローラおよび電極によって、体腔の壁のセクションでの組織の第1の電気パラメータ測定値(第1の電気インピーダンスまたは電気活動値など)を決定することと、
コントローラおよび電極によって、体腔の壁のセクションで電気的(例えば、パルス場アブレーション)処置を提供することと、
コントローラおよび電極によって、処置されたセクションでの組織の電気パラメータ測定を決定することと、
プロセッサによって、第1および第2の電気パラメータ測定値の比較に基づいて、体腔の壁のセクションの電気的絶縁の出力表示を計算することと、
を含む。
【0097】
任意の実施形態では、方法は、処置前および処置後の電気パラメータ値の減少が計算されるときに、壁のセクションの電気的絶縁を示す出力を生成することを含む。1つの実施形態では、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%の減少は、組織のセクションの電気的絶縁を示す。1つの実施形態では、プロセッサは、インターフェース上に出力表示を表示するように構成される。
【0098】
任意の実施形態では、方法は、プロセッサによって計算された電気的絶縁の出力表示に基づいて、電気的処置の再較正を含む。
【0099】
本発明はまた、本発明のデバイスおよび方法を使用して体腔を電気的に閉塞する方法に関する。本発明はまた、本発明のデバイスおよび方法を使用して、対象の心臓構造の電気的閉塞によって対象の心房細動を処置する方法に関する。
【0100】
本発明の他の態様および好ましい実施形態は、以下に定義されおよび他の請求項に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0101】
図1】LAAの壁の厚さの不均一性を示す左心耳(LAA)の断面図である。
図2】周方向セクションに沿った組織の電気インピーダンスの不均一性を示す左心耳の断面図である。
図3】送達カテーテル、植込み型閉塞装置、電気コントローラ、およびプロセッサを含む本発明のデバイスを示す図である。
図4】電極の周方向アレイ(circumferential array)と、閉塞装置の陥凹接続ハブ(recessed connecting hub)に接続されたカテーテルの遠位端とを含む、本発明の展開可能なデバイスを詳細に示す図である。
図5】本発明のデバイスによってLAAの壁に適用される不均一なeフィールドを示す図である。
図6】LAAの壁の周方向セクションに沿って電気インピーダンスを測定するための電極の配置を示す図である。
図7】LAAの壁のセクションを横切って半径方向に電気インピーダンスを測定するための電極の配置を示す図である。
図8】パルス場アブレーションによってLAAを閉塞するための本発明のデバイスの使用を示すブロック図である。
図9】LAA内で展開された電極のアレイを有する閉塞装置、およびLAAの周方向セクションの電気インピーダンスを判定するための電極の使用を示す図である。
図10】LAA内で展開された電極のアレイを有する閉塞装置、およびLAAの壁の周りの8つの位置でLAAの壁を横切って半径方向に電気インピーダンスを決定するための電極の使用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0102】
本明細書に記載のすべての刊行物、特許、特許出願および他の参考文献は、個々の刊行物、特許または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示され、その内容が完全に列挙されているかのように、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0103】
定義および全般の設定
本明細書で使用される場合、および特に別段の指示がない限り、以下の用語は、それらの用語が当技術分野で享受する可能性のあるより広い(またはより狭い)意味に加えて、以下の意味を有することが意図される。
【0104】
文脈上別段の必要がない限り、本明細書中での単数形の使用は複数形を含むように読まれ、およびその逆も同様である。実体(entity)に関連して使用される用語「a」または「an」は、その実体の1つまたは複数を指すと解釈される。したがって、用語「a」(または「an」)、「1つまたは複数」および「少なくとも1つ」は、本明細書では互換的に使用される。
【0105】
本明細書で使用される際に、用語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」または「含む(comprising)」のようなその変形は、列挙されたインテジャー(例えば、特徴、要素、特性、プロパティ、方法/プロセスステップまたは限定)またはインテジャーのグループ(例えば、特徴、要素、特性、プロパティ、方法/プロセスステップまたは限定)の包含を示すように、しかし他の任意のインテジャーまたはインテジャーのグループを除外しないように、読まれるべきである。したがって、本明細書で使用される際に、「含む」という用語は、包括的またはオープンエンドであり、追加の、列挙されていないインテジャーまたは方法/プロセスステップを除外しない。
【0106】
本明細書で使用される際に、用語「疾患」は、生理学的機能を損ない、特定の症状に関連する、任意の異常な状態を定義するために使用される。この用語は、病因の性質(または実際に疾患の病因的根拠が確立されているかどうか)に関係なく、生理学的機能が損なわれている障害、病気、異常、病状、病気、状態または症候群を包含するように広く使用される。したがって、感染、外傷、傷害、手術、放射線アブレーション、年齢、中毒、または栄養不足から生じる状態が含まれる。
【0107】
本明細書で使用される際に、「処置(treatment)」または「処置(treating)」という用語は、疾患の症状を治癒、改善または軽減するか、またはその原因を除去(または影響を軽減)する介入(例えば、対象へのPFA処置の投与)を指す。この場合、この用語は、用語「治療(therapy)」と同義的に使用される。
【0108】
さらに、「処置(treatment)」または「処置(treating)」という用語は、疾患の発症または進行を予防または遅延させるか、または処置された集団内でのその発生率を低減(または根絶)する介入(例えば、対象へのPFA処置の投与)を指す。この場合、処置という用語は、用語「予防(prophylaxis)」と同義的に使用される。
【0109】
上記で定義された処置および有効量のコンテキストにおいて、対象という用語(コンテキストが許す場合、「個体」、「動物」、「患者」または「哺乳動物」を含むと読まれるべきである)は、処置が必要である任意の対象、特に哺乳動物対象、を定義する。哺乳類の対象には、ヒト、家畜、農場の動物、動物園の動物、スポーツ動物、ペット動物、例えば、犬、猫、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、馬、ラクダ、バイソン、牛(cattle)、牛(cow);類人猿、サル、オランウータン、チンパンジーのような霊長類;犬おおよびオオカミのようなイヌ科動物(canids);猫、ライオンおよびトラのようなネコ科動物(felids);馬、ロバ、シマウマのようなウマ科動物(equids);牛、豚および羊のような食用動物(food animals);鹿およびキリンのような有蹄動物(ungulates);マウス、ラット、ハムスターおよびモルモットのようなげっ歯動物類(rodents);が含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、対象はヒトである。本明細書で使用される際に、「馬(equine)」という用語は、ウマ、ロバ(donkeys)、ロバ(asses)、キョン、およびシマウマを含む、ウマ科(the family Equidae)の哺乳類を指す。
【0110】
「植込み型閉塞装置」は、体腔に植え込むように構成された装置を意味し、特に、左心耳内に少なくとも部分的または完全に心臓に埋め込み、および作動時に体腔を少なくとも部分的または完全に流体的に閉塞するように構成された装置を意味する。閉塞装置は、典型的には、送達カテーテルに取り外し可能に接続され、送達カテーテルは、閉塞装置を標的部位に送達し、典型的には、閉塞、感知、およびエネルギー送達処置中に取り付けられたままであり、および1つの実施形態では、概して、エネルギー送達処置後に取り外され、閉塞装置を体腔に植え込まれたままにして体から取り外される。閉塞は、体腔の完全な閉塞(閉鎖)または部分的な閉塞(体腔の狭窄または完全な閉塞に近い)であり得る。閉塞装置は、典型的には、収縮された送達構成から拡張された展開構成に拡張可能である本体を備える。本体は、多くの形態、例えば、編組またはメッシュ材料から形成されたワイヤーフレーム構造をとることができる。経管送達に好適な拡張可能なワイヤーフレーム構造の例は、文献に既知であり、例えば、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11,特許文献12に記載されている。本発明と共に使用するのに好適な本体の他の形態は、プレートまたはソーサー形状のスキャフォールド、またはステントを含む。1つの実施形態では、本体は、金属、例えば、ニチノールのような形状記憶金属から形成される。本体は、本発明の目的に適した任意の形状、例えば、円筒形、円盤状、または球状(spheroid)を有し得る。1つの好ましい実施形態では、装置は、円筒形の本体、例えば、円筒形のケージ本体を含む。1つの実施形態では、本体は、組織通電モジュールを含む。1つの実施形態では、アブレーション装置は、電極のアレイ、典型的には周方向アレイを含む。1つの実施形態では、電極のアレイは、パルス場アブレーションを組織に送達するように構成される。1つの実施形態では、半径方向に拡張可能な本体の遠位面は、上皮細胞増殖を促進するように構成されたカバリングを含む。1つの実施形態では、本体は、遠位から近位デバイスまでの段階的な半径方向力剛性プロファイルを備える。1つの実施形態では、本体は、金属メッシュケージスキャフォールドを含む。1つの実施形態では、本体とカテーテル部材との間の結合は、本体の左心房に面する側の遠位に配置される。1つの実施形態では、展開構成の本体は、展開点で左心耳の半径方向の直径(radial diameter)よりも少なくとも10%大きい半径方向の直径を有する。1つの実施形態では、最遠位部分は、心臓組織に対して非外傷性であるように構成される。1つの実施形態では、本体は、1つの実施形態で、増加した抗移動抵抗性(anti migration resistance)を促進するために熱エネルギー送達に対するコラーゲン浸潤を促す編組メッシュスキャフォールドを備える。体内腔、特にLAAで使用するための植込み型閉塞装置の例は、特許文献13、特許文献14、および特許文献15に記載されている。
【0111】
「体腔」は、体内の空洞を意味し、体内の管(vessel)(すなわち、動脈、静脈、リンパ管、尿道、尿道、洞(sinus)、耳管(auditory canal)、鼻腔、気管支)、または左心耳、左室流出路(left ventricular outflow tract)、大動脈弁、僧帽弁、僧帽弁連続性(mitral valve continuity)、または心臓弁もしくは弁開口部のような心臓内の環状空間のような、細長い空洞であってもよい。
【0112】
「取り外し可能に取り付けられる」は、デバイスが、送達中に閉塞装置が細長い送達カテーテルに取り付けられ、展開および処置後に解放されることができるように構成され、それによって閉塞装置が心臓に植え込まれ、細長い送達カテーテルが閉塞装置を原位置に残したまま引き抜かれることができることを意味する。典型的には、デバイスは、細長いカテーテル部材から閉塞装置または半径方向に拡張可能な要素をリモートで取り外すための制御機構を含む。典型的には、制御機構のための作動スイッチは、制御ハンドル上に配置される。
【0113】
「経管送達」は、体腔を介した標的部位(例えば、心臓)の心臓への閉塞装置の送達、例えば動脈または静脈を介した送達を意味する。1つの実施形態では、本発明のデバイスは、動脈または静脈を通って前進させられて、閉塞装置を心臓の左心房に、および少なくとも部分的にLAA内に送達する。1つの実施形態では、デバイスは、遠位部分がLAA内に配置され、近位部分がLAAのすぐ外側の左心房に配置されるように送達される。1つの実施形態では、デバイスは、遠位部分がLAA内に配置され、近位部分がLAAの口に当接する左心房に配置されるように送達される。1つの実施形態では、デバイスは、遠位部分および近位部分の両方がLAA内に配置されるように送達される。
【0114】
「カバー」:典型的には、植込み型閉塞装置は、血液に不透過性(impermeable)であり、再閉鎖可能な開口部、例えば、材料の重複するフラップを含み得る近位カバーを有する。再閉鎖可能な開口部は、開口部を通る血流を防止しながら、開口部を通るカテーテルの遠位端を可能にするように構成され得る。閉塞装置は、カバーの遠位にある接続ハブを含み得、カテーテルの遠位端と結合するように構成され得る。カバーは、インビボ内皮化のためのスキャフォールドとして機能するように構成され得る。カバーは、織られた(woven)メッシュ材料から形成され得る。
【0115】
「インビボ内皮化のためのスキャフォールドとして機能するように構成されたカバリング/カバー」は、使用される材料が遠位または近位体の上皮化を促進することを意味する。1つの実施形態では、カバリングは、上皮細胞増殖を促進する薬剤を含む膜である。例は、線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor)、形質転換増殖因子(transforming growth factor)、上皮増殖因子(epidermal growth factor)および血小板由来増殖因子(platelet derived growth factor)のような増殖因子(growth factors)、内皮細胞(endothelial cells)または内皮前駆細胞(endothelial progenitor cells)のような細胞、ならびに組織または組織成分のような生体材料(biological material)を含む。組織成分の例は、内皮組織、細胞外マトリックス、粘膜下(sub-mucosa)、硬膜、心膜(pericardium)、心内膜(endocardium)、漿膜(serosa)、腹膜(peritoneum)、および基底膜(basement membrane)組織を含む。1つの実施形態では、カバリングは多孔質である。1つの実施形態では、カバリングは、生体材料から形成される生体適合性スキャフォールドである。1つの実施形態では、カバリングは、コラーゲンのような生体材料から形成される多孔質スキャフォールドである。1つの実施形態では、カバリングは、凍結乾燥されたスキャフォールドである。
【0116】
本明細書で使用される際に、「組織通電モジュール」は、電気コントローラとの電気的結合のために構成された植込み型閉塞装置(例えば、半径方向に拡張可能な本体)上に配置された電極のアレイを指す。電極は、概して、電極の電極固有の通電を可能にするために、コントローラと個別に結合される。それら電極の配列は、概して、周方向配置で植込み型閉塞装置上に配置され、装置が展開されるときに、周方向パターンで体腔の壁に接触するように構成される。電極は、体腔の壁の周りに周方向にエネルギー、一般にはPFA、を送達するように構成される。電極はまた、体腔の壁の組織の電気パラメータ、例えば電気インピーダンスまたは電気活動(電圧)を検出するためのセンサーとして機能し得る。電極は、体腔の壁を半径方向に横切って、または体腔の壁の周囲のセクションに沿って周方向に電気パラメータを測定するように構成され得る。概して、体腔の壁を横切って半径方向に電気インピーダンスのような電気パラメータを測定することは、電極のアレイの電極と、患者の体、しばしば脚に配置されたアースまたは接地パッドとを使用する。体腔のセクションに沿って周方向に電気インピーダンスのような電気パラメータを測定することは、1つの電極が通電電極として機能しもう1つの電極が検出電極として機能する、2つの電極を使用する。電気インピーダンスのような電気パラメータは、1つの周波数で、または周波数の範囲にわたって測定され得る。
【0117】
デバイスに適用される「個別に通電させる」は、少なくとも複数の電極が異なるように通電されて、不均一なエネルギー(例えば、PFA)処置を体腔に適用し得ることを意味する。したがって、本発明は、対象の特定の解剖学的構造に調整された、LAAの壁の周りに周方向に不均一な組織アブレーションを作成するために、いくつかの要素が他のものよりも大きなアブレーション電力で通電されることを可能にするように、要素または要素の対を個別に通電させることによって、先行技術のシステムの技術的問題を解決する。デバイスは、体腔の周囲を囲んだ複数の位置で決定された組織電気パラメータデータに基づいて、組織アブレーション要素へのエネルギー送達を調整するように構成される。組織の処置の力は、例えば、PFAの場合は印加電流または印加電圧を変化させることによって、変化させてもよい。本発明のデバイスは、電極を、PFA処置中に同時にまたは異なる時点で通電させるように構成され得る。そのまたは各電極は、1つの周波数で通電され得るか、または異なる周波数で通電され得る。
【0118】
「電気パラメータプロファイル」は、体腔の壁の周囲に沿った異なる位置で取られた複数の電気パラメータ測定値を説明する。それは、電気的パラメータ測定を含む体腔固有の指紋(fingerprint)を表し、およびエネルギー処置中の組織への損傷を回避するためにエネルギー(例えば、PFA)処置を調整するために使用され得る。電気的パラメータは一般に電気インピーダンスであるが、電気的活動のような他の電気的パラメータが用いられ得る。電気パラメータプロファイルは、電極が配置されている体腔の壁の一部で決定される。例えば、デバイスが、体腔の壁の周囲を囲んだ0°、90°、180°、および270°に配置された電極を有するように構成される場合、電気パラメータプロファイルは、これらの電極によって画定される4つのセクションにわたるこれらの電気インピーダンスの値のコンパイルであり得る。プロセッサは、電気インピーダンス値を受信し、電気パラメータプロファイルをコンパイルし、および電気パラメータプロファイルに基づいてコントローラの出力特性を生成するように構成され得る。電気パラメータプロファイルを生成することは、各電気パラメータ測定値を基準電気パラメータ測定値と比較することを含み得る。組織の電気インピーダンス測定値が同じでない場合、プロセッサは、コントローラの出力特性を修正して電極を不均一に通電させ、体腔の壁の周りに不均一なeフィールドを生成するように構成され、そこで、より高いインピーダンスを有する組織の領域は、より低い電力(power)のエネルギー(例えば、PFA)によって処置され、より低いインピーダンスを有する組織の領域は、より高い電力のエネルギー(例えば、PFA)によって処理される。これは、高い電気インピーダンスの組織領域の過剰処置を回避し、過剰処置による隣接構造および神経への損傷を軽減または回避するのに役立つ。
【0119】
「組織パラメータプロファイルと相乗的なパターンで電極を個別に通電させる」は、対象の特定の解剖学的構造に調整された、LAAの壁の周りに周方向に不均一な組織アブレーションを作成するために、いくつかの電極が他のものよりも大きなアブレーション電力で通電されることを可能にするように、デバイスが電極または電極の対を個別に通電させるように構成されることを意味する。デバイスは、体腔の周りの複数の位置で決定された組織電気パラメータデータに基づいて、組織アブレーション電極へのエネルギー送達を調整するように構成される。したがって、デバイスは、体腔の電気パラメータプロファイルに応じて、均一または不均一なeフィールドを生成するように、アレイ内の電極を通電させる。したがって、電気パラメータ測定値がLAAの壁の周囲を囲んで等しい場合、デバイスは、等しいまたは同様のエネルギーで体腔の壁の周りの電極を通電させるように構成される。同様に、電気パラメータ測定値がLAAの壁の周囲を囲んで等しくない場合、デバイスは、体腔の壁の周りの電極を不均等に個別に通電させ、いくつかの領域(例えば、低組織インピーダンスの領域)でより高く、他の領域(例えば、高組織インピーダンスの領域)でより低い不均一なeフィールドを生成するように構成される。概して、プロセッサは、組織パラメータプロファイルと相乗的なパターンで電極を個別に通電させるために使用され、プロセッサは、電気的パラメータ測定値を受信し、体腔固有の電気的パラメータプロファイルを生成し、および組織パラメータプロファイルと相乗的なパターンで電極を通電させるように構成され得る。
【0120】
「電気コントローラ」は、電力源を含むか、または電力源に動作可能に結合することができ、複数の電極に動作可能に結合され、典型的にはパルス場アブレーションモダリティで電極を通電させるように構成されるパルス場エネルギー送達ジェネレータを指す。1つの好ましい態様では、コントローラは、パルス波形を生成するように構成された信号ジェネレータを備える。任意の実施形態では、信号ジェネレータは、少なくとも1つのPFAエネルギー列を電極に送達するように構成される。任意の実施形態では、信号ジェネレータコントローラは、少なくとも20パルスのエネルギー列を電極に送達するように構成される。任意の実施形態では、信号ジェネレータは、0μsから100μsの位相間遅延を含む少なくとも1つのエネルギー列を送達するように構成される。任意の実施形態では、信号ジェネレータは、1から100μs、および典型的には少なくとも5μsのパルス間遅延を含むエネルギー列を送達するように構成される。任意の実施形態では、信号ジェネレータは、100ns~100μsのパルス幅を含むエネルギー列を送達するように構成される。任意の実施形態では、信号ジェネレータは、100Vから5000Vの電圧振幅を有する少なくとも1つのPFAエネルギー列を送達するように構成される。任意の実施形態では、信号ジェネレータは、単相または二相形態でパルスを送達するように構成される。電気コントローラは、電極対が独立して通電されることを可能にする方法で、アレイ内の電極(または電極対)のいくつかまたはすべてに動作可能に結合される。電気コントローラは、複数の電極チャネル、および任意選択的にルーティングチャネルを含み得る。
そのような電気コントローラは、特許文献16に記載されている。パルス場アブレーションエネルギーを生成するための電気コントローラは、特許文献17、特許文献18、特許文献19および特許文献20に記載されている。非特許文献2は、組織内の電気インピーダンスを測定するための2つの電極または4つの電極の使用を説明している。「心房細動」または「AF」は、米国だけで推定600万人の患者に影響を及ぼす一般的な心臓リズム障害である。AFは、米国で2番目に多い脳卒中の原因であり、高齢者の脳卒中の約3分の1を占める可能性がある。AF患者に血栓(血小板塞栓)が認められる症例の90%超では、血栓は心臓の左心耳(LAA)に発生する。AFの不規則な心拍は、血液を左心耳に鬱血させ、血液が停滞しているときに凝固が起こるため、血栓または血小板塞栓がLAAに形成される可能性がある。これらの血栓は、左心耳から脱落する可能性があり、および脳卒中を引き起こす頭蓋循環、心筋梗塞を引き起こす冠動脈循環、四肢虚血を引き起こす末梢循環、ならびに他の血管床に入る可能性がある。用語は、発作性(paroxysmal)(断続的(intermittent))AFおよび持続性(persistent)および長期(longstanding)持続性AF(PLPAF)を含む、すべての形態の心房細動を含む。
【0121】
「虚血イベント(Ischaemic event)」とは、身体の臓器または組織への血液供給の制限を指し、その結果、罹患した臓器または組織への酸素およびグルコース供給の不足をもたらす。用語は、脳卒中、脳への血液供給を遮断する血栓によって引き起こされる脳の一部への血液供給の妨害、および脳の罹患部(affected part)への結果として生じる損傷、および、脳卒中に類似しているが、本質的に一過性であり、一般に脳に持続的な損傷を引き起こさない、「ミニ脳卒中(mini-strokes)」としても知られている一過性(transient)虚血イベント(TIA)を含む。血液供給の制限が冠動脈で発生するとき、虚血イベントは、心筋梗塞(MI)または心臓発作(heart attack)として知られる。
【0122】
「電気インピーダンス」は、正弦波電圧(sinusoidal voltage)が組織の体積にわたって印加されるときに、組織の体積が交流(alternating electrical current)に示す抵抗(opposition)を指す。インピーダンスの実際の定義は、オームの法則によるものであり、複素電圧(complex voltage)の複素電流(complex current)に対する比率である。
【0123】
【数1】
【0124】
アクティブな測定方法(本発明のために最も可能性の高い測定方法)は、オームの法則によって述べられた上記の条件に従った複素電圧対複素電流の比率の測定値として定義される。
【0125】
【数2】
【0126】
ここで、|Z|、|V|、|I|は、インピーダンス、電圧および電流の大きさの絶対値であり、位相角は、それぞれ、φ、φ、φによって表される。様々な種類のアクティブな機器は、以下のとおりである。
【0127】
インピーダンスアナライザチップまたはモジュールは、コントローラ/ジェネレータに取り付けられてもよく、このモジュールは、電圧、電流、および関連する位相角(phase angles)の大きさを直接測定し、次いで、インピーダンスの角度および位相を計算する。組織内の電気インピーダンスを測定する他の方法は、例えば、非特許文献2および非特許文献3および非特許文献4に記載されている。
【0128】
実施例
ここで、本発明を特定の実施例を参照して説明する。これらは単なる例示であり、例示のみを目的としており、これらは、主張されている独占権の範囲または記載されている発明に限定することをなんら意図するものではない。これらの例は、本発明を実施するために現在考えられている最良の態様を構成するものである。
【0129】
図面を、および最初に図1を参照して、これらは、断面図に示されるヒト心臓の左心耳(LAA)1を示す。LAAの壁は、異なる厚さの壁セクション2、3、4を有する不均一な断面を有する。
【0130】
図2を参照して、断面図に示される別のLAA 1が示されており、LAAは、同じ壁厚さを有するにもかかわらず異なる電気インピーダンス特性を有する周方向セクション5および6を有する。
【0131】
図3および4を参照して、参照番号10によって一般的に示される、本発明によるデバイスが示される。最初に図3を参照して、デバイスは、植込み型閉塞装置30上に配置された組織通電モジュール20、電源50に電気的に結合された電気コントローラ/ジェネレータ40、プロセッサ60、およびメモリモジュール70を備える。組織通電モジュール20は、細長いカテーテル80の管腔に設けられた絶縁リード(図示せず)によってコントローラ40に電気的に結合される。プロセッサ60は、コントローラ/ジェネレータ40に電気的に結合され、コントローラから組織パラメータデータを受信し、パルス場アブレーションモダリティで電極を通電させるときにコントローラの出力特性を制御するように構成される。
【0132】
図4を参照して、植込み型閉塞装置30および組織通電モジュール20がより詳細に説明される。植込み型閉塞装置30は、陥凹近位端22および開放遠位端23を有する円筒形のメッシュケージ31を備える。接続ハブ24は、開口部(図示せず)を有する血液不透過性カバー膜25の遠位にある近位端に設けられる。6つの電極26(4つが図面に示されている)のアレイは、等間隔に離された位置で閉塞装置の壁の周りに周方向に設けられている。各電極26は、専用の絶縁リード27で接続ハブに接続される。カテーテルの遠位端は、取り外し可能な係合および接続ハブ24との電気的結合のために構成された接続ハブ51を有する。カテーテルは、接続ハブの接点をコントローラに電気的に接続する6つの絶縁リード(図示せず)を有する。ハブ24および51が電気的に接続されるとき、各電極は、専用の電気的リード(electrical lead)でコントローラに電気的に接続され、各電極が個別に通電されることを可能にする。
【0133】
プロセッサ60は、コントローラ/ジェネレータ40の動作を制御し、処置モダリティおよび感知モダリティで動作するようにコントローラの出力特性を修正することができる。感知モダリティでは、LAAの周囲を囲む複数の位置で組織の電気インピーダンスを決定することができる。例えば、図5を参照して、電極26Aと電極26Bとの間に画定されたLAAの壁の周方向セクションの電気インピーダンスは、コントローラを修正して、これらの電極とコントローラとの間に回路を作成し、電極のうちの1つに通電し、所与の周波数で(または任意選択的に複数の異なる周波数で)電極を横切る電圧および電流を検出することによって測定することができる。このようにして、電極のアレイを感知モダリティで使用して、LAAの壁の全周を囲むLAAの組織の電気インピーダンスを決定することができ、プロセッサは、電気インピーダンス値を対象のLAAに固有の電気インピーダンスプロファイルにコンパイルすることができる。
【0134】
処置モダリティでは、プロセッサは、電極対によって画定される組織のセクションの電気インピーダンス値に基づいて、電極対(例えば、電極26Aおよび電極26B)に印加されるパルス場アブレーションエネルギーを計算するように構成される。したがって、電気インピーダンスが高いと判定されるLAAの壁のセクションに関して、壁のセクションに接する(bordering)電極対は、低いPFA電力で通電され、電気インピ
ーダンスが低いと判定されるLAAの壁のセクションに関して、壁のセクションに接する電極対は、より高いPFA電力で通電される。このようにして、プロセッサは、組織パラメータプロファイルと相乗的なパターンで電極を個別に通電させるように、コントローラの出力特性を制御する。LAAの壁の周りの組織の電気インピーダンスが不均一である場合、これは、図5に示されるLAAの壁の周りに生成される不均一な周方向eフィールドをもたらし、電極26Aから26Dで生成されるeフィールド27は、サイズが異なるため、組織の電気インピーダンスが低い、より大きなeフィールドの領域と、組織の電気インピーダンスが高い位置の、より小さいeフィールドの領域と、を有する複合的な不均一なeフィールドを提供する。これは、組織を過剰処置すること、および結果として生じる、神経および血管のような隣接構造への損傷を回避するのに役立つ。
【0135】
図6を参照して、電極26Aおよび電極26Bを含むLAA 1および組織通電モジュールの一部が、電極をコントローラ40と電気的に結合するリード27と共に示されている。感知モードでは、コントローラは、1つの電極を通電させて、第2の電極によって検出されるために組織を通して電流を通過させ、電極間の電流および電圧が、決定され、および組織の網掛けされた(shaded)セクションを周方向にわたって電気インピーダンスを計算するために使用される。
【0136】
図7を参照して、電極26Aを含むLAA 1および組織通電モジュールの一部が、電極をコントローラ40と電気的に結合するリード27と共に示されている。患者の脚上のLAAに遠隔に配置され、コントローラ40に電気的に結合された接地パッド28もまた示される。代替的な感知モードでは、コントローラは、接地パッドによる検出のために電極に通電して電流を半径方向に横切って通過させ、電極間の電流および電圧が決定され、組織の網掛けされたセクションを半径方向に横切る電気インピーダンスを計算するために使用される。
【0137】
本発明の方法は、図7を参照して説明される。第1のステップ100では、植込み型閉塞体(occlusion body)に取り付けられた送達カテーテルを含む本発明のデバイスは、大腿静脈、腸骨静脈、IVC、右心房、中隔横断的に(transeptally)左心房に、または代替的に、上腕静脈、頸静脈、右心房、中隔横断的に左心房に沿って心臓内に前進させられ、閉塞装置は、左心耳(LAA)の口に配置される。第2のステップ110では、閉塞装置は、LAAの口を閉鎖し、電極の周方向アレイをLAAの壁と接触させるために半径方向に展開される。第3のステップ120では、プロセッサは、次に、感知モダリティで動作するようにコントローラを作動させ、LAAの壁の周りを周方向に複数のセクションに沿って組織の電気インピーダンスを測定し、各セクションは、上述のように電極対によって画定される。第4のステップ130では、プロセッサは、LAAの壁の周りの電気インピーダンス測定値を含む電気インピーダンスプロファイルをコンパイルする。第5のステップ140では、プロセッサは、電気インピーダンスプロファイルに基づいて電極対に印加されるパルス場アブレーションエネルギーを計算する。第6のステップでは、プロセッサは、コントローラの出力特性を制御して、電気インピーダンスプロファイルと相乗的なパターンで各電極にPFAを通電させる。
【0138】
実施例1-例示的なPFAプロファイル
信号ジェネレータは、電極に10列のPFAエネルギーを送達する。
各列は30個のパルスを有する。
100μsの位相間遅延。
100μsのパルス間遅延。
100μsのパルス幅。
1000Vの電圧振幅。
【0139】
実施例2-周方向電気インピーダンス測定値を用いたパルス場アブレーションによる左心耳の処置
図9を参照して、閉塞装置30は、閉塞装置の壁に周方向に配置した8つの電極aから電極hのアレイを有する。左心耳の壁1のセクション(セクションAからH)を周方向に横切る電気インピーダンスプロファイルは、コントローラを作動させて、コントローラと電極の対との間に電気回路を作成し、それぞれのセクションにわたって定義された周波数で交流電流を通過させ、セクションにわたる電圧および/または電流降下を測定し、組織の電気インピーダンスを計算することによって決定される。組織セクションの電気インピーダンスは、以下のとおりであることが判定された。
【0140】
セクションA(電極aとbの間)-低い電気インピーダンス
セクションB(電極bとcの間)-低い電気インピーダンス
セクションC(電極cとdの間)-高い電気インピーダンス
セクションD(電極dとeの間)-低い電気インピーダンス
セクションF(電極fとgの間)-低い電気インピーダンス
セクションG(電極gとhの間)-高い電気インピーダンス
セクションH(電極hとiの間)-低い電気インピーダンス
【0141】
電気インピーダンス値をプロセッサによって電気インピーダンスプロファイルにコンパイルし、これを使用して、LAAの周囲を囲んで電極対を差動的に(differentially)通電させるように、コントローラの出力特性を計算し、ここで、より低いPFA電力がセクションCおよびGに印加され、より高いPFA電力がセクションA、B、D、E、FおよびHに印加された。これは、LAAの周囲を囲んで生成される不均一なeフィールドをもたらし、低い電気インピーダンスを有する組織の領域の過剰処置を回避するのに役立つ。
【0142】
実施例3-半径方向電気インピーダンス測定値を用いたパルス場アブレーションによる左心耳の処置
図10を参照して、閉塞装置30は、閉塞装置の壁の周りに周方向に配置した8つの電極aから電極hのアレイを有する。使用中に患者の脚に取り付けられている接地パッド28も示されている。左心耳(セクションA~H)の壁1の半径方向セクションにわたる電気インピーダンスプロファイルは、コントローラを作動させて、コントローラと、閉塞装置上の単一の電極と、典型的には対象の脚に配置される接地パッド28と、の間に電気回路を作成することによって決定され、それぞれのセクションにわたる交流電流を通過させ、セクションにわたる電圧および/または電流降下を測定し、組織の電気インピーダンスを計算する。組織セクションの電気インピーダンスは、以下のとおりであることが判定された。
【0143】
セクションA’-高い電気インピーダンス
セクションB’-低い電気インピーダンス
セクションC’-低い電気インピーダンス
セクションD’-低い電気インピーダンス
セクションE’-高い電気インピーダンス
セクションF’-高い電気インピーダンス
セクションG’-低い電気インピーダンス
セクションH’-低い電気インピーダンス
【0144】
電気インピーダンス値は、プロセッサによって電気インピーダンスプロファイルにコンパイルされ、これを使用して、LAAの周囲を囲んで電極対を差動的に通電するように、コントローラの出力特性を計算し、ここで、より低いPFA電力が電極a~b、b~c、f~gおよびg~hの間に画定されたセクションに印加され、より高いPFA電力が電極c~d、d~e、およびe~fの間に画定されたセクションに印加された。これは、LAAの周囲を囲んで生成される不均一なeフィールドをもたらし、低い電気インピーダンスを有する組織の過熱領域(overheating areas)を回避するのに役立つ。
【0145】
均等物
前述の説明は、本発明の現在好ましい実施形態を詳述している。これらの説明を考慮すると、当業者には、その実際における多数の修正および変形が生じることが予想される。これらの修正および変形は、本明細書に添付された特許請求の範囲内に包含されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】