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特表2023-545550一地域における太陽光分布を決定するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】一地域における太陽光分布を決定するための方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20231023BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20231023BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523517
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2021078977
(87)【国際公開番号】W WO2022084328
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】20306237.7
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522232558
【氏名又は名称】トタルエナジーズ ワンテク
【氏名又は名称原語表記】TOTALENERGIES ONETECH
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ユスフィ,ソニア
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】 最も簡単な方法で、世界中のどこでも、一地域における太陽光分布を決定することを可能にするツールを提供する。
【解決手段】 訓練データベース(B)を形成するためにデータを収集するためのフェーズと、訓練済みモデルを得るために訓練データベース(B)に基づいてモデルを訓練するためのフェーズであって、訓練済みモデルの入力は、空から見た一地域の1枚の画像であり、また出力は、入力画像に撮像された地域の各表面に投影された放射照度の全体地図であり、訓練済みモデルを動作させるためのフェーズであって、該フェーズは、空から見た一地域の1枚の画像を受信するステップ、および、受信した画像に撮像された地域の各表面に投影された放射照度の全体地図を、訓練済みモデルによって決定するステップを含むことで、太陽光分布を決定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一地域における太陽光分布を決定するための方法であって、該方法がコンピュータによって実装され、また該方法が、
a.訓練データベース(B)を形成するためにデータを収集するためのフェーズであって、収集されたデータは少なくとも以下を有する、
i.空から見た異なる地域の複数の画像(IM1、..、IMn)であって、地域のうちの少なくともいくつかは、ソーラーパネルの設置に適した特定要素(R)を有している、および、
ii.各画像(IM1、..、IMn)について、画像(IM1、..、IMn)に撮像された地域の各表面に投影された放射照度の全体地図(C1、..、Cn)、
b.訓練済みモデル(M)を得るために訓練データベース(B)に基づいてモデルを訓練するためのフェーズであって、訓練済みモデル(M)の単一の入力は、空から見た一地域のただ1枚の2次元画像(IMi)であり、また出力は、入力画像(IMi)に撮像された地域の各表面に投影された放射照度の全体地図(Ci)である、
c.訓練済みモデル(M)を動作させるためのフェーズであって、該フェーズは以下を有する、
i.空から見た一地域の分析すべき1枚の2次元画像(IMi)を受信するステップ、および、
ii.分析すべき画像(IMi)に撮像された地域の各表面に投影された放射照度の全体地図(Ci)を、訓練済みモデル(M)によって決定するステップ、
を有する方法。
【請求項2】
前記収集画像(IM1、..、IMn)および分析画像(IMi)が、カメラのようなセンサによって、または人工衛星によって得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記収集データが、また、各画像(IM1、..、IMn)について、画像(IM1、..、IMn)に撮像された単数または複数の特定要素(R)を分割するマスク(M1、..、Mn)も有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、決定された全体地図(Ci)および補足データに基づいて、分析画像(IMi)に撮像された単数または複数の特定要素(R)に関連するソーラーデータを決定するためのフェーズを有し、補足データが、地域の気象データおよび/またはソーラーパネルデータおよび/または地域の位置データを有する、請求項1から3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
決定フェーズが、各分析画像(IMi)について、以下のステップ、
a.画像(IMi)に撮像された単数または複数の特定要素(R)を分割するマスク(Mi)を決定するステップ、および、
b.全体地図(Ci)および決定されたマスク(Mi)に基づいて、画像(IMi)に撮像された単数または複数の特定要素(R)だけに投影された放射照度の、特定地図(Csi)を決定するステップ、を有し、
地域の領域のソーラーデータが、特定地図(Csi)に基づいて決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ソーラーデータが、分析すべき画像(IMi)に撮像された単数または複数の特定要素(R)のソーラーポテンシャルと、単数または複数の特定要素(R)に設置されると仮定されるソーラー設備の収率とのうちから、少なくとも1つのデータを有する、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記収集フェーズが、低減された解像度の画像を得るために収集画像(IM1、..、IMn)にフィルタをかけるステップを有し、訓練データベース(B)を形成する画像(IM1、..、IMn)が、低減された解像度を伴う画像である、請求項1から6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、得られた全体地図(Ci)に基づいて、分析すべき画像(IMi)に撮像された地域の一領域内にソーラーパネルを設計および/またはセットアップするためのフェーズを有する、請求項1から7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記特定要素(R)が、建物の屋根、建物のベランダ、および、野原や庭といった地面の特定部分の中から選ばれる、請求項1から8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
プログラムインストラクションを有するコンピュータプログラムを内蔵するコンピュータ読み取り可能な媒体を有する、コンピュータプログラム製品であって、コンピュータプログラムが、データ処理装置の中にロード可能であり、そしてコンピュータプログラムがデータ処理装置によって起動されるとき請求項1から9のいずれか一つに記載の方法の実行を引き起こす製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一地域における太陽光分布を決定するための方法に関する。
本発明は、関連するコンピュータプログラム製品にも関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギーから電気を作ることは、我々の社会にとって進行中の重要な問題である。
このことは、ソーラー電気を作ることを可能にするソーラーパネルのような特定の設備の開発を必然的に伴ってきた。
ソーラーパネルは、典型的には、建物の屋根、壁、ベランダ、または地面の上といった、一地域の特定領域上に設置される。
【0003】
ソーラー設備の開発をサポートするために、これらのソーラー設備用の特定領域の形状および向きを考慮に入れながら一地域における太陽光分布を推定するため、ツールが開発されてきた。
これらのツールは、ソーラー電気の生産量を増やすために、一地域におけるソーラーパネルの分配を改善することを目ざすものである。
これらのツールは、また、地域のソーラーポテンシャルを個人および地域社会に示すことによって、ソーラーパネルに投資するよう促すためにも使われる。
【0004】
そのようなツールは、典型的には、一地域における太陽光分布を評価するために、該当地域の3次元データを使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
3次元データは、しかしながら、世界中いたるところで利用できるというわけではない。
3次元再構築は、そのうえ、費用のかかる資源を必要とする。
ゆえに、現行のツールは、世界中いたるところで容易に使用できるというわけではない。
【0006】
したがって、最も簡単な方法で、世界中のどこでも、一地域における太陽光分布を決定することを可能にするツールが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本発明は、一地域における太陽光分布を決定するための方法に関しており、該方法はコンピュータによって実装され、また該方法は以下を有する、
a.訓練データベースを形成するためにデータを収集するためのフェーズであって、収集されたデータは少なくとも以下を有する、
i.空から見た異なる地域の複数の画像であって、地域のうちの少なくともいくつかは、ソーラーパネルの設置に適した特定要素を有している、および、
ii.各画像について、画像に撮像された地域の各表面に投影された放射照度の全体地図、
b.訓練済みモデルを得るために訓練データベースに基づいてモデルを訓練するためのフェーズであって、訓練済みモデルの単一の入力は、空から見た一地域のただ1枚の2次元画像であり、また出力は、入力画像に撮像された地域の各表面に投影された放射照度の全体地図である、
c.訓練済みモデルを動作させるためのフェーズであって、該フェーズは以下を有する、
i.空から見た一地域の分析すべき1枚の2次元画像を受信するステップ、および、
ii.分析すべき画像に撮像された地域の各表面に投影された放射照度の全体地図を、訓練済みモデルによって決定するステップ。
【0008】
本発明による方法は、単独でまたは技術的に可能な任意の組合せにおいて考慮される、以下の特徴の単数または複数を有することができる。
-収集画像および分析画像は、カメラのようなセンサによって、または人工衛星によって得られる。
-収集データは、また、各画像について、画像に撮像された単数または複数の特定要素を分割するマスクも有する。
-方法は、決定された全体地図および補足データに基づいて、分析画像に撮像された単数または複数の特定要素に関連するソーラーデータを決定するためのフェーズを有し、補足データは、例えば、地域の気象データおよび/またはソーラーパネルデータおよび/または地域の位置データを有する。
-決定フェーズは、各分析画像について、以下のステップ、
a.画像に撮像された単数または複数の特定要素を分割するマスクを決定するステップ、および、
b.全体地図および決定されたマスクに基づいて、画像に撮像された単数または複数の特定要素だけに投影された放射照度の、特定地図を決定するステップ、を有し、
地域の領域のソーラーデータは、特定地図に基づいて決定される。
-ソーラーデータは、分析すべき画像に撮像された単数または複数の特定要素のソーラーポテンシャルと、単数または複数の特定要素に設置されると仮定されるソーラー設備の収率とのうちから、少なくとも1つのデータを有する。
-収集フェーズは、低減された解像度の画像を得るために収集画像にフィルタをかけるステップを有し、訓練データベースを形成する画像は、低減された解像度を伴う画像である。
-方法は、得られた全体地図に基づいて、分析すべき画像に撮像された地域の一領域内にソーラーパネルを設計および/またはセットアップするためのフェーズを有する。
-特定要素は、建物の屋根、建物のベランダ、および、野原や庭といった地面の特定部分の中から選ばれる。
【0009】
本発明はまた、プログラムインストラクションを有するコンピュータプログラムを内蔵するコンピュータ読み取り可能な媒体を有する、コンピュータプログラム製品にも関しており、コンピュータプログラムは、データ処理装置の中にロード可能であり、そしてコンピュータプログラムがデータ処理装置によって起動されるとき先に記述された方法の実行を引き起こす。
【0010】
本発明は、以下の添付の図面を参照して単に一例として提供される以下の説明を考慮することにより、より容易に理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一地域における太陽光分布を決定するための方法の実装を許可する計算機の一例の概略図である。
図2】一地域における太陽光分布を決定するための方法の一実装例のフローチャートである。
図3】訓練データベースを形成する収集データの略図である。
図4】訓練済みモデルの入力および出力の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
計算機10およびコンピュータプログラム製品12が、図1に示されている。
【0013】
計算機10は、好ましくはコンピュータである。
【0014】
より一般的には、制御装置10は、コンピュータもしくはコンピューティングシステム、または、コンピューティングシステムのレジスタおよび/もしくはメモリ内の電子量のような物理量として表されるデータを、コンピューティングシステムのメモリ、レジスタまたは他のかかる情報記憶装置、情報伝達装置もしくは情報表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに変換するかつ/または操作するように適合された類似の電子計算装置である。
【0015】
計算機10は、コンピュータプログラム製品12と情報をやりとりする。
【0016】
図1に示されているように、計算機10は、データ処理装置16とメモリ18と情報媒体用リーダ20とを有する、プロセッサ14を有している。
図1に示されている例において、計算機10は、キーボードのようなヒューマンマシンインターフェース22およびディスプレイ24を有している。
【0017】
コンピュータプログラム製品12は、情報媒体26を有する。
【0018】
情報媒体26は、計算機10によって、通常はデータ処理装置16によって読み取り可能な媒体である。
読み取り可能な情報媒体26は、電子的インストラクションを記憶するのに適した、かつコンピュータシステムバスと結合することができる媒体である。
【0019】
情報媒体26は、例として、USBキー、フロッピーディスク(登録商標)またはフレキシブルディスク(英語名で「Floppy disc」)、光ディスク、CD-ROM、光磁気ディスク、ROMメモリ、メモリRAM、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、磁気カードまたは光カードである。
【0020】
情報媒体26には、プログラムインストラクションを有するコンピュータプログラム12が記憶されている。
【0021】
コンピュータプログラム12は、データ処理装置16にロード可能であり、コンピュータプログラム12が計算機10の処理装置16にロードされるとき、一地域における太陽光分布を決定するための方法の実装を必然的に伴うように適合されている。
【0022】
計算機10の演算が、次に、一地域における太陽光分布を決定するための方法の一実装例を図式的に示している図2を参照して、また、この方法の特定フェーズをさらに詳細に示している図3および図4を参照して記述されることになる。
【0023】
決定方法は、訓練データベースBを形成するためにデータを収集するためのフェーズ100を有する。
収集フェーズ100は、コンピュータプログラム製品12とのやりとりにおける計算機10によって実装され、つまりコンピュータによって実装される。
【0024】
収集データは、空から見た異なる地域の複数の画像IM1、..、IMnを有する。
用語「空から見た」とは、画像IM1、..、IMnが、例えば建物の屋上を撮像することを可能にする高い視点から撮影されたものであると理解される。
【0025】
画像IM1、..、IMnに撮像された地域のうちの少なくともいくつかは、ソーラーパネルの設置に適した単数または複数の特定要素Rを有する。
特定要素Rは、例えば、建物の屋根、建物のベランダ、または、庭のような地面の特定部分の中から選ばれる。
【0026】
画像IM1、..、IMnは、好ましくは、2次元画像だけである。
画像IM1、..、IMnは、好ましくは、RGB画像(「Red Green Blue」の略語)のような、カラー画像である。
画像IM1、..、IMnは、例えば、カメラのような、センサによって得られる。
画像IM1、..、IMnを取得するために、センサは、例えば航空機に取り付けられる。
変形例において、画像IM1、..、IMnは、人工衛星画像である。
【0027】
一特定実施形態において、低減された解像度の画像を得るために、収集画像IM1、..、IMnにフィルタがかけられ、訓練データベースBを形成する画像IM1、..、IMnは、低減された解像度の画像である。
低減された解像度は、好ましくは、画像の各画素が、50センチメートル未満の実寸に相当するようなものである。
このことは、複数のデータベースの中で簡単に見つけることができる画像の解像度に匹敵する解像度を伴う画像IM1、..、IMnを得ることを可能にする。
【0028】
収集データは、また、各画像IM1、..、IMnについて、画像IM1、..、IMnに撮像された地域の各表面に投影された放射照度の全体地図C1、..、Cnも有する。
1平方メートル当たりのWatt(W/m)で表される放射照度は、単位面積当たりの表面が受ける入射する放射束(パワー)である。
1平方メートル当たりのWatt(W/m)で表され投影される放射照度は、投影表面(屋根)の幾何学的配置および/または形状を考慮に入れる、遠近シャドウイングの修正された放射照度である。
【0029】
例えば、各地図C1、..、Cnは、対応する画像IM1、..、IMnに相当する地域においてセンサによって行われた特定の測定に基づいて得られたものである。
センサは、例えば、全天日射計である。
全天日射計は、熱流束センサである。
それは、全太陽放射パワーを、1平方メートル当たりのワットで測定するものである。
【0030】
別の例において、各地図C1、..、Cnは、画像IM1、..、IMnに相当する地域の3次元画像の関数として地図C1、..、Cnを出力する既存のツールに基づいて得られたものである。
MapdwellおよびGoogle’s Project Sunroofは、そのようなツールの例である。
【0031】
収集データは、さらに、任意に、各画像IM1、..、IMnについて、画像IM1、..、IMnに撮像された単数または複数の特定要素Rを分割するマスクM1、..、Mnを有する。
分割マスクM1、..、Mnは、例えば、最初の画像IM1、..、IMnに適用される分割アルゴリズムから得られたものである。
分割アルゴリズムは、例えば、エッジ検出アルゴリズムである。
【0032】
各画像IM1、..、IMnおよびその関連づけられた地図C1、..、Cnおよび、もし適切であれば、そのマスクM1、..、Mnは、訓練要素E1、..、Enを形成する。
各訓練要素E1、..、Enは、多くてこれらの3つの構成要素で形成される。
画像IM1、地図C1およびマスクM1を有する訓練要素E1の一例が、図3に示されている。
【0033】
得られた訓練データベースBは、例えば、コンピュータ10のメモリ18の中に格納される。
【0034】
決定方法は、訓練済みモデルMを得るために、訓練データベースBに基づいてモデルを訓練するためのフェーズ110を有する。
好ましくは、モデルは、訓練データベースBだけを使用してエンドツーエンドで訓練される。
訓練フェーズ110は、コンピュータプログラム製品12とのやりとりにおける計算機10によって実装され、つまりコンピュータによって実装される。
【0035】
図4で示されているように、訓練済みモデルMの入力は、空から見た一地域の画像IMiであり、また出力は、入力画像IMiに撮像された地域の各表面に投影された放射照度の全体地図Ciである。
好ましくは、訓練済みモデルMの単一の入力は、一地域の、ただ1枚の2次元画像、好ましくはカラー画像であり、そうすると地域の3次元画像または一地域の同じ部分の複数の2次元画像は必要ない。
【0036】
モデルは、典型的には、ディープラーニングモデルである。
そのようなモデルは、例えば、畳み込みニューラルネットワークのような、ニューラルネットワークである。
【0037】
モデルは、典型的には、訓練テクニックに従って訓練される。
訓練テクニックは、例えば、スーパーバイズドラーニングを実践するものである。
訓練テクニックは、ニューラルネットワークが訓練データベースBに基づいて訓練されるように、ニューラルネットワークを構成することを可能にする。
モデルが、訓練データベースBに基づいてのみ訓練されることが強調される。
訓練テクニックは、例えば、Adam最適化アルゴリズムに基づいている。
【0038】
投影される放射照度の決定において、訓練データベースBに基づいたモデルの訓練は、建物に由来する影や植物および、特定要素Rの部分を遮るあらゆる種類の障害物といった、近隣環境を考慮に入れることを可能にする。
訓練は、また、特定要素、例えば屋根の、幾何学的特徴を考慮に入れることも可能にする。
【0039】
ゆえに、一実施形態において、モデルは、投影された放射照度に対する2次元画像をマッピングするためにエンドツーエンドで訓練されたディープラーニングモデルであって、中間ステップにおいてでさえも3次元属性を推定する必要がない。
訓練は、したがって、3つの次元の側面(形状、障害、シャドウイング)を考慮に入れることができつつ、中間ステップなしで、2次元画像だけから投影された放射照度の直接の推定を可能にする。
【0040】
一例において、訓練データベースBの一部は、ニューラルネットワークを設定するために使用され、また他の部分は、設定を有効にするために使用される。
【0041】
決定方法は、訓練済みモデルMを動作させるためのフェーズ120を有する。
動作フェーズ120は、コンピュータプログラム製品12とのやりとりにおける計算機10によって実装され、つまりコンピュータによって実装される。
【0042】
動作フェーズ120は、空から見た一地域の画像IMiを受信するステップを有する。
有利には、評価すべき地域の画像IMiは、カメラのようなセンサによる測定または人工衛星による測定によって例えば得られる、好ましくはカラーの2次元画像である。
画像IMiは、例えば、空から見た建物の画像である。
【0043】
動作フェーズ120は、その次に、受信した画像IMiに撮像された地域の各表面に投影された放射照度の全体地図Ciを、訓練済みモデルMによって決定するステップを有する。
【0044】
ゆえに、当業者であれば、モデルがまず訓練フェーズ110の間に既存の放射照度地図に基づいて訓練されることを理解するであろう。
進行中の動作フェーズ120は、それから、訓練済みモデルMを用いて、未知の放射照度地図を決定することを可能にする。
【0045】
決定方法は、任意に、決定された全体地図Ciおよび補足データに基づいて、分析画像IMiに撮像された単数または複数の特定要素Rに関連するソーラーデータを決定するためのフェーズ130を有する。
決定フェーズ130は、コンピュータプログラム製品12とのやりとりにおける計算機10によって実装され、つまりコンピュータによって実装される。
【0046】
ソーラーデータは、一実施形態において、分析すべき画像IMiに撮像された単数または複数の特定要素Rのソーラーポテンシャルと、単数または複数の特定要素Rに設置されると仮定されるソーラー設備の収率とのうちから、少なくとも1つのデータを有する。
ソーラーポテンシャルは、ある領域が受けるソーラーパワーであり、1時間当たりのキロワットを年換算したもの(kW/時間/年)である。
収率は、作られるエネルギー(kWh)と設備の理論電力(kWp)との間の比率である。
【0047】
好ましくは、補足データは、地域の気象データ、および/またはソーラーパネルデータおよび/または地域の位置データを有する。
【0048】
気象データは、例えば、1年のような、一期間の間の気象データである。
ソーラーパネルデータは、例えば、ソーラーパネルの特定技術およびこれらのソーラーパネルの寸法である。
位置データは、例えば、地域の緯度および経度である。
【0049】
一例において、決定フェーズ130は、画像IMiに撮像された単数または複数の特定要素Rを分割するマスクMiを決定するためのステップを有する。
マスクMiの分割は、例えば、最初の画像IMiに適用される分割アルゴリズムから得られたものである。
分割アルゴリズムは、例えば、エッジ検出アルゴリズムである。
【0050】
次に、決定フェーズ130は、図4で示されているように、全体地図Ciおよび決定されたマスクMiに基づいて、画像IMiに撮像された単数または複数の特定要素Rだけに投影された放射照度の、特定地図Csiを決定するためのステップを有する。
例えば、特定要素Rが建物の屋根である場合、特定地図Csiは屋根の上に投影された放射照度のみに相当する。
【0051】
特定地図Csiは、任意に、決定された放射照度を使用者が制御することを可能にするディスプレイ、例えば計算機10のディスプレイ24に表示される。
【0052】
決定フェーズ130は、また、特定地図Csiに基づいたソーラーデータを決定するステップも有する。
【0053】
決定方法は、任意に、全体地図が得られている地域の領域内に、前記得られた全体地図に基づいて、ソーラーパネル設備を設計および/またはセットアップするためのフェーズ140を有する。
【0054】
記述された方法は、2次元画像から直接、(屋根のような)特定要素に投影された放射照度の推定を学習するモデルを、最適化することを可能にする。
エンドツーエンド訓練は、タスクが3D属性の推定、セグメントの検出およびシャドウヒューリスティクスに分かれるときの事例であり得る誤差累積を防ぐ。
【0055】
このことは、わずかなデータしか利用できず、しかも特に3次元データが利用できない地域においてでさえも、ソーラー情報を得ることを可能にする。
それは、ソーラーポテンシャルの迅速な第一推定も可能にする。
得られた放射照度およびソーラーデータは、一地域についての適切なソーラー設備の決定において役立つことを可能にする。
【0056】
当業者であれば、上述の実施形態および変形例が、技術的に矛盾がなければ新規の実施形態を形成するために統合されることができることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0057】
10 計算機
12 コンピュータプログラム製品
14 プロセッサ
16 データ処理装置
18 メモリ
20 情報媒体用リーダ
22 ヒューマンマシンインターフェース
24 ディスプレイ
26 情報媒体
100 収集フェーズ
110 訓練フェーズ
120 動作フェーズ
130 決定フェーズ
140 設計セットアップフェーズ
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一地域における太陽光分布を決定するための方法であって、該方法がコンピュータによって実装され、また該方法が、
a.訓練データベース(B)を形成するためにデータを収集するためのフェーズであって、収集されたデータは少なくとも以下を有する、
i.空から見た異なる地域の複数の画像(IM1、..、IMn)であって、地域のうちの少なくともいくつかは、ソーラーパネルの設置に適した特定要素(R)を有している、および、
ii.各画像(IM1、..、IMn)について、画像(IM1、..、IMn)に撮像された地域の各表面に投影された放射照度の全体地図(C1、..、Cn)、
b.訓練済みモデル(M)を得るために訓練データベース(B)に基づいてモデルを訓練するためのフェーズであって、訓練済みモデル(M)の単一の入力は、空から見た一地域のただ1枚の2次元画像(IMi)であり、また出力は、入力画像(IMi)に撮像された地域の各表面に投影された放射照度の全体地図(Ci)である、
c.訓練済みモデル(M)を動作させるためのフェーズであって、該フェーズは以下を有する、
i.空から見た一地域の分析すべき1枚の2次元画像(IMi)を受信するステップ、および、
ii.分析すべき画像(IMi)に撮像された地域の各表面に投影された放射照度の全体地図(Ci)を、訓練済みモデル(M)によって決定するステップ、
を有する方法。
【請求項2】
前記収集画像(IM1、..、IMn)および分析画像(IMi)が、カメラのようなセンサによって、または人工衛星によって得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記収集データが、また、各画像(IM1、..、IMn)について、画像(IM1、..、IMn)に撮像された単数または複数の特定要素(R)を分割するマスク(M1、..、Mn)も有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、決定された全体地図(Ci)および補足データに基づいて、分析画像(IMi)に撮像された単数または複数の特定要素(R)に関連するソーラーデータを決定するためのフェーズを有する、請求項1から3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
補足データが、地域の気象データおよび/またはソーラーパネルデータおよび/または地域の位置データを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
決定フェーズが、各分析画像(IMi)について、以下のステップ、
a.画像(IMi)に撮像された単数または複数の特定要素(R)を分割するマスク(Mi)を決定するステップ、および、
b.全体地図(Ci)および決定されたマスク(Mi)に基づいて、画像(IMi)に撮像された単数または複数の特定要素(R)だけに投影された放射照度の、特定地図(Csi)を決定するステップ、を有し、
地域の領域のソーラーデータが、特定地図(Csi)に基づいて決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ソーラーデータが、分析すべき画像(IMi)に撮像された単数または複数の特定要素(R)のソーラーポテンシャルと、単数または複数の特定要素(R)に設置されると仮定されるソーラー設備の収率とのうちから、少なくとも1つのデータを有する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記収集フェーズが、低減された解像度の画像を得るために収集画像(IM1、..、IMn)にフィルタをかけるステップを有し、前記訓練データベース(B)を形成する画像(IM1、..、IMn)が、低減された解像度をともなう画像である、請求項1からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、得られた全体地図(Ci)に基づいて、分析すべき画像(IMi)に撮像された地域の一領域内にソーラーパネルを設計および/またはセットアップするためのフェーズを有する、請求項1からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記特定要素(R)が、建物の屋根、建物のベランダ、および、野原や庭といった地面の特定部分の中から選ばれる、請求項1からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
プログラムインストラクションを有するコンピュータプログラムを内蔵するコンピュータ読み取り可能な媒体を有する、コンピュータプログラム製品であって、コンピュータプログラムが、データ処理装置の中にロード可能であり、そしてコンピュータプログラムがデータ処理装置によって起動されるとき請求項1からのいずれか一つに記載の方法の実行を引き起こす製品。
【国際調査報告】