(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】核酸増幅アッセイへの応用を伴う迅速多重化サンプル処理を行うシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20231023BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20231023BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12Q1/686 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523543
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(85)【翻訳文提出日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 US2021054574
(87)【国際公開番号】W WO2022086759
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519218567
【氏名又は名称】バイオ-ラド ラボラトリーズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンディーク,カリヤン
(72)【発明者】
【氏名】レボフスキー,ロナルド
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB01
4B029BB15
4B029BB20
4B029FA02
4B029GA08
4B029GB10
4B063QA01
4B063QQ05
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4B063QR08
4B063QR32
4B063QR62
4B063QS25
4B063QX02
(57)【要約】
本発明は、多重化された迅速な方法で標的検出を行うシステム及び方法を包含する。システムの実施形態は、ベース基板と、ベース基板の広い表面に画定されるサンプル処理領域のアレイとを備えることができる。サンプル処理領域のアレイのそれぞれは、各それぞれのサンプル処理領域の上流端部と下流端部との間で容積によって勾配して配置されるマイクロウェルサブアレイのセットと、各それぞれのサンプル処理領域を隣接するサンプル処理領域から分離する境界部とを備える。システムは、自動プラットフォームによる実装例として、サンプル処理領域のマイクロウェルのサブセットからの予備的な結果、並びにサンプルの複数の標的に対する特異的及び非特異的増幅に関する結果を返す方法をサポートすることができる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的検出を行うシステムであって、
ベース基板と、
前記ベース基板の広い表面に画定されるサンプル処理領域のアレイと、
を備え、前記サンプル処理領域のアレイのそれぞれは、
各それぞれのサンプル処理領域の上流端部と下流端部との間で容積によって勾配して配置されるマイクロウェルサブアレイのセットと、
各それぞれのサンプル処理領域を隣接するサンプル処理領域から分離する境界部と、
を備え、
前記システムは、前記マイクロウェルサブアレイのセットにわたるサンプルの分配及び前記マイクロウェルサブアレイのセット内での前記サンプルの処理を並列に行うことで、予備的な代表結果が、前記マイクロウェルサブアレイのセットのうちのマイクロウェルサブアレイの平均信号から生成される、動作モードを含む、前記システム。
【請求項2】
前記ベース基板は、前記サンプル処理領域のアレイ内の標的検出反応の阻害物質を吸収するように構造化された材料から構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記サンプル処理領域のアレイは、2個~96個のサンプル処理領域を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記マイクロウェルサブアレイのセットのそれぞれは、10個~500000個の区画を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記マイクロウェルサブアレイのセットは、前記上流端部に位置決めされた第1の特徴的寸法を有するウェルを有する最初のマイクロウェルサブアレイと、前記下流端部に位置決めされた第2の特徴的寸法を有するウェルを有する終端のマイクロウェルサブアレイとを有し、前記第1の特徴的寸法は、前記第2の特徴的寸法よりも小さく、前記最初のマイクロウェルサブアレイは、前記ベース基板の第1のフットプリントを占め、前記終端のマイクロウェルサブアレイは、前記第1のフットプリントよりも大きい、前記ベース基板の第2のフットプリントを占める、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記動作モードにおいて、前記終端のマイクロウェルサブアレイの平均信号から予備的な代表結果が生成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記境界部は、サンプルの溢流を受け容れるように機能する凹状チャネルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
結合モードにおいて前記ベース基板に対して付勢されるカバー層を更に備え、前記カバー層は、前記サンプル処理領域のセットの個々のサンプル処理領域を封止する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ベース基板の前記サンプル処理領域のセットに面する前記カバー層の表面は、5ミクロン未満の表面粗さを有し、前記サンプル処理領域のセットの内部体積に向かって光反射性である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記カバー層は、波長範囲によって特徴付けられる光によって活性化されると、前記サンプル処理領域のセットの内容物に熱を伝達するように構造化された光熱構成要素を備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記カバー層は、前記ベース基板の第2の係止部分と相補的な第1の係止部分を備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記カバー層は、前記カバー層が前記サンプル処理領域のセットの個々のサンプル処理領域を封止するとともに、加熱サブシステムから熱を受け取ると、前記サンプル処理領域のセットの内容物に熱を伝達する、封止動作モードを更に含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記カバー層は、1つ又は複数の機能層によって前記ベース基板から分離される、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
1つ又は複数の標的を含むサンプルのセットを基板のサンプル処理領域のアレイに送達することであって、前記サンプル処理領域のセットのそれぞれは、各それぞれのサンプル処理領域の上流端部と下流端部との間で容積によって勾配して配置されるマイクロウェルサブアレイのセットを含み、前記送達は、前記サンプル処理領域のセットの前記勾配にわたって前記サンプルのセットを並列して自動的に分配することを含むことと、
カバー層をマイクロウェルのアセンブリに適用することと、
前記マイクロウェルアセンブリを加熱体と撮像サブシステムとの間での位置合わせ状態に遷移させることと、
前記加熱体を前記マイクロウェルアセンブリに対して付勢することにより、前記カバー層を前記サンプル処理領域のセットに押し付けるとともに、前記サンプル処理領域における前記サンプルの区画を隔離することと、
前記撮像サブシステムによる標的検出と協調して、前記サンプル処理領域のセットにおいて前記サンプルのセットを前記加熱体によって並列に処理することと、
前記サンプルのセットのそれぞれに対して、前記マイクロウェルサブアレイのセットのそれぞれのマイクロウェルサブアレイの平均信号から生成された予備的な代表結果を返すことであって、前記予備的な代表結果は、前記サンプルのセットの標的物質の態様を特徴付けることと、
を含む、標的検出を行う方法。
【請求項15】
前記それぞれのマイクロウェルサブアレイは、それぞれのサンプル処理領域に対して、前記マイクロウェルサブアレイのセットのうちの他のマイクロウェルサブアレイよりも大きい容積を有するマイクロウェルを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記サンプルのセットを処理することは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)動作及び最確数(MPN)アッセイのうちの1つ又は複数を実行することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記サンプル処理領域のセットのそれぞれに対して、色のセットにわたる多色蛍光信号を返すことを更に含み、前記色のセットは、融解温度のセットにそれぞれ関連し、前記融解温度のセットは、サンプルの異なる標的に対応する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記色のセットは、少なくとも4つの色を含み、前記融解温度のセットは、前記色のセットのそれぞれに対して少なくとも2つの融解温度を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記撮像サブシステムによって、前記サンプル処理領域のアレイの個々のマイクロウェルから生成されるリアルタイム蛍光信号における変化の分析を返すことを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
分析に基づいて、前記サンプル処理領域のセットのマイクロウェルからの特異的及び非特異的増幅を示すレポートを生成することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2020年10月19日に出願された米国仮特許出願第63/093,727号の利益を主張するものであり、上記仮特許出願の内容は、参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、包括的には、サンプル処理の分野に関し、より具体的には、核酸増幅アッセイを実行する際の特性評価における応用を伴う、迅速多重化サンプル処理を行う新規の有用なシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
生体サンプルからの標的の検出及び特性評価は、多くの分野に関連する。しかしながら、サンプル体積の分画を伴うサンプル処理は、通常、時間がかかり、ワークフローが集中的で、手動であり、コスト制約を受けるため、これらの欠陥及び他の欠陥に対処する新技術の開発の動機となっている。
【0004】
特に、体積の分画を伴うポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法に関して(例えば、デジタルPCRの場合、qPCRの場合等)、検出のダイナミックレンジ及び多重化能力を増大しながらも、コストが過大でない効率的な方法でサンプルを分画することが重要である。しかしながら、現在の分画装置及びシステムは、一般的に高価であり、装置に要求されるフットプリントが大きく、ダイナミックレンジが制限され、多重化分析を実行する能力が制限され、結果を生成するために長い処理時間を要する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】
図1Aは、標的検出及びサンプル処理を行うマイクロウェルアセンブリの実施形態の概略図である。
【
図1B】
図1Bは、標的検出及びサンプル処理を行うマイクロウェルアセンブリの実施形態の概略図である。
【
図2】
図2は、標的検出を行うマイクロウェルアセンブリの一変形例の概略図である。
【
図3A】
図3Aは、標的検出及びサンプル処理を行うマイクロウェルアセンブリの特定の例の概略図である。
【
図3B】
図3Bは、標的検出及びサンプル処理を行うマイクロウェルアセンブリの特定の例の概略図である。
【
図4】
図4は、ヒーターを用いて標的検出及びサンプル処理を行う、カバー構成要素を備えるマイクロウェルアセンブリの側面図である。
【
図5】
図5は、マイクロウェルアセンブリのユニットを使用してサンプルを自動的に処理するプラットフォームの実施形態及び図である。
【
図6】
図6は、マイクロウェルアセンブリのユニットを使用してサンプルを自動的に処理するプラットフォームの実施形態及び図である。
【
図7A】
図7Aは、マイクロウェルアセンブリのユニットを使用してサンプルを自動的に処理するプラットフォームに関連する、加熱体、温度センサー、及び他の加熱サブシステム構成要素の変形例を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、マイクロウェルアセンブリのユニットを使用してサンプルを自動的に処理するプラットフォームに関連する、加熱体、温度センサー、及び他の加熱サブシステム構成要素の変形例を示す図である。
【
図7C】
図7Cは、マイクロウェルアセンブリのユニットを使用してサンプルを自動的に処理するプラットフォームに関連する、加熱体、温度センサー、及び他の加熱サブシステム構成要素の変形例を示す図である。
【
図8】
図8は、サンプル処理及び標的検出を行う方法の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の好ましい実施形態の以下の説明は、本発明をこれらの好ましい実施形態に限定することを意図するものではなく、当業者が本発明を実施及び使用することを可能にするものである。
【0007】
1. 利益
本発明は、従来のシステム及び方法に勝るいくつかの利益をもたらすことができる。
【0008】
特に、本発明は、サンプル分画を伴う標的検出アッセイ(例えば、最確数(MPN)用途、デジタルPCR用途、qPCR用途、RT-PCR用途)に対する革新的な解決策を提供するという利益をもたらす。本発明はまた、様々な産業において、コストが過大でない高スループットの方法で、複数のサンプルを並列に処理することができるように、サンプル処理使い捨て器具の革新的な設計を含む。そのような設計は、任意選択で、サンプル供給の自動化、液体の広がりの制御、区画(又はマイクロウェル)の充填の制御、サンプルの封じ込めの制御、区画の充填中の気泡閉じ込めの防止、サンプルの封じ込め中の気泡発生の防止、可変体積のサンプル分画、湿度制御、蒸発の防止、及び/又はクロストークの防止をもたらすように機能する構造及び特徴を有する。これについては、より詳細に後述する。
【0009】
サンプルの分画を並列に実行するために、本発明は、サブサンプリング誤差の影響を低減し、それにより、分画されたサンプル物質からの結果の検出に関連するサブサンプリング補正係数の(例えば、ポアソン(Poisson)誤差補正係数の成分としての)使用を排除することもできる。
【0010】
本発明はまた、全体としてのフットプリント面積が低減された使い捨て器具を使用して、比較的少数の区画とともに高いダイナミックレンジを達成し、それにより、サンプル処理中のサンプルスループットを最大化しながら、システム及びチップの消費し得るサイズを低減することに貢献するという利益をもたらす。
【0011】
本発明はまた、PCR結果を大幅に低減された継続時間(例えば、エンドポイントPCRの場合、20分~30分)で得られる迅速処理を提供するという利益をもたらす。
【0012】
本発明はまた、サンプルの並列の多重化処理と、サンプルごとに複数のアッセイ(例えば、10を超えるアッセイ)を同時に実行する能力とを可能にする、使い捨て器具及びシステムプラットフォームを提供するという利益をもたらす。
【0013】
本発明はまた、ヒューマンエラー、複雑なワークフロー、アッセイの内在的な変動性、並びに標的の特性評価及び数え上げに必要な継続時間を大幅に低減する方法で、標的検出を行うシステム及び方法を提供するという利益をもたらす。
【0014】
本発明はまた、処理ステップを自動化及び/又は単純化するという利益をもたらし、いくつかの変形例において、様々なアッセイのためにサンプル(例えば、20μL以下の体積のサンプル、20μLを超える体積のサンプル)を自動的に分画することができる。小体積を効率的に処理することにより、本発明は、アッセイ性能に関連する無駄を大幅に低減し、ラン(run)の成功及びランにわたる一貫性を最適化することもできる。また、小体積のため、反応が検出閾値に達するまでに必要な時間が大幅に低減され、それにより、結果を得るまでの時間が大幅に低減される。
【0015】
本発明はまた、比色法及び/又は蛍光法(例えば、マルチチャネル蛍光法)によって検出可能な信号を生成する様々な反応に関連する阻害の問題を軽減するという利益をもたらす。
【0016】
本発明はまた、増幅反応中に発生するリアルタイムの蛍光を取得及び積分するという利益をもたらす。結果として得られるリアルタイム増幅曲線は、特異的増幅と非特異的増幅とを区別するための情報を提供することができる。さらに、リアルタイム信号積分から計算されるCt(又はCq)が、エンドポイント読取り用にプログラムされた熱サイクルの前の熱サイクルにおいて明らかである場合、結果を得るまでの時間を大幅に低減することができる。したがって、本発明は、結果を返すまでの継続時間を短縮する及び/又はリアルタイムの結果を提供する方法を含むことができる。
【0017】
本発明はまた、変性及び融解反応中のリアルタイムの蛍光変化(例えば、蛍光の減少)を取得及び積分するという利益をもたらす。結果として得られるリアルタイム融解曲線は、増幅された標的及び配列(及び/又はその断片)に関する情報を提供することができる。融解曲線分析に基づくこのアッセイ同定は、本発明によって提供されるアッセイ多重化能力を更に拡大する。
【0018】
本発明はまた、保存バッファー中に使用されることが多い最適レベルの非イオン性界面活性剤を含む増幅及び変性反応、並びに指数関数的増幅反応に必要とされる、分子生物学的試薬のアレイ全体と適合性があるという利益をもたらす。
【0019】
本発明は、サンプル中の標的核酸の量/定量を可能な限り早期に予測するために、異なるサイズの区画、個々の区画、並びに同じサイズ及び/又は異なるサイズの区画の組合せにおけるリアルタイム増幅を使用する、サンプル処理アレイの区画(例えば、マイクロウェル)の並列の自動画像分析も包含する(例えば、これはエンドポイント分析の前に好適な信頼性を有する結果を提供することに関して記載される)。本発明は、異なるサイズのウェルに分画されたサンプルの自動画像分析、及び個々のマイクロウェル内のマイクロスフェア対応増幅によって提供される更なる部分区画の自動分析も包含する。
【0020】
また、本発明の変形例は、コスト効率的及び時間効率的に標的検出及び特性評価を行うキット、組成物、方法、及び装置を提供するという利益をもたらす。
【0021】
さらに、ソフトウェア及びワークフローの改善を通して、本発明は、ユーザーが実行する手動操作の数を最小限に抑え、関連するシステムステータスレポートを提供して、円滑な動作及びサンプル処理を保証することができる。
【0022】
付加的又は代替的に、システム及び/又は方法は、他の任意の好適な利益をもたらすことができる。
【0023】
2. マイクロウェルプレート
図1A及び
図1Bに示されているように、標的検出を行うマイクロウェルアセンブリ100の一実施形態は、ベース基板110と、基板110の広い表面に画定されるサンプル処理領域のセット(サンプル処理領域120を含む)とを備える。サンプル処理領域のセットのそれぞれは、サンプル処理領域120の上流端部10と下流端部90との間で(例えば、容積、サイズ、表面積、フットプリント、断面積等に関して)勾配して配置されるマイクロウェルサブアレイのセット130と、サンプル処理領域120を隣接するサンプル処理領域から分離する境界部190とを備える。各サンプル処理領域のマイクロウェルサブアレイの勾配に関連して、ウェルが第1の特徴的寸法(例えば、最小の特徴的寸法)を有する最初のマイクロウェルサブアレイ130を、上流端部10に位置決めすることができ、ウェルが第2の特徴的寸法(例えば、最大の特徴的寸法)を有する終端のマイクロウェルサブアレイ170を、サンプル処理領域120の下流端部90に位置決めすることができる。他の変形例は、より詳細に後述する。サンプル処理領域のセット130は、より詳細に後述されるように、多重化処理及び検出のための機能、又は冗長様式での並列サンプル処理の性能を提供する(例えば、様々な用途に対する統計的信頼性を提供する)ために、アレイ(例えば、二次元アレイ)として配置することができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、
図1Bに示されているように、マイクロウェルアセンブリ100は、ベース基板110と嵌合するように構成されるカバー層210を備えることができ、カバー層210は、サンプル処理の前にサンプル処理領域のセット130のそれぞれにわたってサンプルが広がることを促進するように、また、サンプル処理中、サンプルのセットのそれぞれが個々に隔離された状態を維持するように機能する。カバー層210は、より詳細に後述するように、1つ又は複数の機能層によってベース基板110から分離することもできる。
【0025】
マイクロウェルアセンブリ100は、高いダイナミックレンジの検出を伴う低コストの迅速サンプル分配及び処理を行うメカニズムを提供するように機能する。特に、マイクロウェルアセンブリは、(例えば、容積、サイズ、表面積、フットプリント、断面積等に関して)勾配して配置されるマイクロウェルを使用して、異なる希釈のサンプルを自動的に生成するように構造化された区画のセットにわたって、効率的にサンプルを分配するメカニズムを提供することができる。使用中、実体(例えば、人間実体、自動システム等)により、限定的な手動介入(例えば、カバー層210の適用)を伴ってサンプルをマイクロウェルアセンブリに送達し、処理のために区画にわたってサンプルを準備することができる。
【0026】
マイクロウェルアセンブリ100は、小体積が関わるPCR用途(例えば、デジタルPCR、qPCR等)及び/又は最確数(MPN)決定における特定の用途を有する。特に、マイクロウェルアセンブリ110は、サンプル体積を受け容れ、マイクロウェルの複数のサブアレイにわたって分配することができる。各サブアレイは、特徴的寸法を有し、それにより、サンプルの分画及び連続希釈動作を複数のサンプルにわたって並列して迅速に実行して、サンプル中の標的微生物を検出及び特性評価することが容易になる。マイクロウェルアセンブリ100は、処理される異なるサンプル間のクロストークを防止する構造を有することもできる。マイクロウェルアセンブリ100の追加の機能は、マイクロウェルアセンブリ110の個々の要素に関して更に詳細に後述する。
【0027】
実施形態においては、マイクロウェルアセンブリによって処理されるサンプル物質としては、例えば血液(例えば、全血、血漿、処理済み血液、血液溶解物)、唾液、粘液、汗、間質液、滑液、脳脊髄液、尿、胆汁、胃液、生物学的老廃物、他の体液を含む、若しくはこれらから得られる生体サンプル;組織(例えば、ホモジネートした組織サンプル);食品サンプル;液体消耗品サンプル;及び/又は他のサンプル物質を挙げることができる。
【0028】
実施形態においては、マイクロウェルアセンブリ100を用いて処理するために分画される標的物質は、様々な用途のための単一細胞のゲノミクス、プロテオミクス、及び/又は他のマルチオミクス特性評価を可能にするために、核酸(例えば、DNA、RNA、miRNA等)、タンパク質、アミノ酸、ペプチド、小分子、単一分析物、複分析物、化学物質、及び/又は他の標的物質の1つ又は複数を含む、若しくはこれらから得ることができる。
【0029】
2.1 ベース基板及びマイクロウェルサブアレイを有するサンプル処理領域
2.1.1 ベース基板
図1Aに示されているように、マイクロウェルアセンブリ100は、更に詳細に後述されるサンプル処理領域のセットを支持するベース基板110を備える。したがって、ベース基板110は、サンプルのセットを支持するとともに、サンプルのセットから標的物質を高いダイナミックレンジで検出及び特性評価するプロセスを容易にするように機能する。
【0030】
材料組成に関して、ベース基板110は、ポリマー(例えば、ポリプロピレン、ポリジメチルシロキサン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、環状オレフィンコポリマー、ポリカーボネート)、シリコン由来材料、ガラス、金属材料、セラミック材料、天然材料、合成材料、及び/又は任意の好適な材料のうちの1つ又は複数から構成することができる。特に、材料選択は、製造上の検討事項、サンプル処理に望ましい表面特性、光学特性、バルク特性(例えば、密度等に関する)、表面特性、熱特性、機械的特性、及び/又は他の任意の好適な特性のうちの1つ又は複数に基づくことができる。さらに、ベース基板110の全ての部分を、同じ材料(複数の場合もある)、異なる材料(例えば、ベース基板110の各部分が異なる設計上の制約を有する場合)、及び/又は任意の組合せの材料を使用して構築することができる。さらに、ベース基板110は、単一構造体、又は(例えば、製造中に)ともに結合された個別の部分を有するベース基板110とすることができる。マイクロウェルアレイを含むベース基板110は、射出成形、射出圧縮成形、エンボス加工、リソグラフィーエッチング、レーザーエッチング、及び/又は他の方法等の技法を使用して製造することができる。
【0031】
光学特性に関して、ベース基板110の材料(複数の場合もある)は、任意の透明度、反射率、又は他の光学的性質を有することができる。例えば、材料は、光学的分析、調査、又は観察(例えば、ベース基板110の底面から、ベース基板110の上面から等)を可能にするように透明とすることができる。付加的又は代替的に、ベース基板110の一部を、不透明、透明、半透明、及び/又は任意の好適な不透明度としてもよい(例えば、各マイクロウェルからの検出可能な信号の封じ込めを促進するとともに、信号干渉を防止するため、バックグラウンドを低減するとともに、光学検出に関連する信号対ノイズ比を改善するため等)。したがって、材料及び/又は構成の変形例は、ベース基板110の個々のマイクロウェル内の検出可能な信号の封じ込め(例えば、蛍光の封じ込めに関する、あるいは他のタイプの信号の封じ込めに関する)を促進しながら、個々のマイクロウェルからの信号検出を可能にするように構成することができる。さらに、基板の材料の変形例は、サンプル処理物質の吸収を防止するように構成及び/又は処理することができる。
【0032】
バルク特性に関して、ベース基板110の材料(複数の場合もある)は、サンプル処理に適切な密度又は他のバルク的性質の水準を有して構成することができる。変形例において、ベース基板110は、ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール(PVA)等)、セラミック、又は、好適な侵入評価(例えば、IPスケールに従う、別の評価スケールに従う)若しくは粒子保持特性(例えば、1ミクロン未満の粒子保持定格、1ミクロン以上の粒子保持定格)を有する別の好適な材料(例えば、天然材料、合成材料)から構成する又は別様にそれを組み込むことができる。
【0033】
表面特性に関して、ベース基板110の材料(複数の場合もある)は、例えば、接触角度及び濡れ性によって決まる所望の親水性/疎水性(例えば、高度な親水性)を有して構成することができる。他の電気的及び物理的特性に関して、ベース基板110の材料(複数の場合もある)は、所望の電荷(例えば、使用されるサンプル流体及び/又はサンプル処理流体の性質に関連する)、電界特性、気泡形成の軽減及び/又は気泡の排除に関連する性質、伝導性、抵抗、及び/又は他の任意の好適な表面若しくは物理的性質を有して構成することができる。マイクロウェル及び堀部(moats)等の基板の特定の領域を親水性とし、サンプル間の土手部(banks)を疎水性としてもよい。付加的又は代替的に、ベース基板110の材料(複数の場合もある)は、使用される流体、サンプル、及び/又はサンプル処理物質と非反応性であるように構成されることが好ましい。さらに、ベース基板110は、マイクロウェル内の反応物の熱均一性の増大を補助する温度伝導性粒子を放出するように構成することができる。付加的又は代替的に、ベース基板110の材料(複数の場合もある)は、標的検出に関連する材料を阻害する阻害物質を吸収するように構成/構造化することができる。例えば、ベース基板110の材料は、サンプル調製中に生体物質を消化するために反応に添加されるRNase/DNase、プロテイナーゼ、及び/又は、標的検出反応を阻害し得るサンプル調製物からの任意の生物学的溶解物を吸収するか、又はそうでなければ結合するように構成することができる。付加的又は代替的に、ベース基板110の材料は、反応混合物の酸性又は塩基性のpHに耐性があるように構成することができる。さらに、ベース基板110の材料は、標的増幅産物によって発生する真の蛍光信号を不明瞭にする傾向があるプライマーダイマー等の物質を吸収するように構成することができる。付加的又は代替的に、流体を受け容れるために露出したベース基板110の表面は、所望の表面仕上げを有してもよい。
【0034】
熱特性に関して、ベース基板110の材料(複数の場合もある)は、伝熱及び/又は熱保持特性に関する(例えば、熱サイクルに関する)所望の熱特性を有して構成することができる。特に、ベース基板110は、所望の熱伝導性(例えば、4W/m*K超等)及び/又は熱容量特性(例えば、サンプルの加熱、冷却、及び/又は熱サイクルステップに適切なもの)を有して構成することができる。いくつかの変形例において、ベース基板110の材料(複数の場合もある)は、熱伝導性を提供するために埋め込まれた熱伝導性粒子を含むことができる。1つの変形例において、ベース基板110は、ベース基板110に接触する流体に及び/又は流体から熱を効率的に伝達することができるような熱特性を有して構成することができる。例えば、ベース基板110が加熱要素又は冷却要素に(例えば、直接、カバー層210を通して間接的に、フィルム層を通して間接的に等)結合される変形例において、ベース基板110は、インキュベーション中のマイクロウェルの内容物への熱の伝達及び/又は流体からの熱の伝達を容易にするように構成することができる。しかしながら、ベース基板110は、使用する用途に基づいて他の好適な熱特性を有してもよい。例えば、ベース基板110は、動作中に接触する流体の温度にその材料が顕著な影響を与えないように、低い熱伝導性を有して(例えば、断熱材料として)構成することができる。
【0035】
機械的特性に関して、ベース基板110の材料(複数の場合もある)は、剛性、強度、弾性挙動、硬度、及び他の特性のうちの1つ又は複数を含む所望の機械的特性を有して構成することができる。付加的又は代替的に、ベース基板は、ベース基板110の把持、ベース基板110の圧縮、ベース基板110への剪断力の印加、及び/又はベース基板110への他の任意の好適な力の印加に関連する、自動システムによるハンドリング中のロバスト性に関して、自動プレートアームロボットサブシステムと適合性があるように構成することができる。
【0036】
寸法に関して、ベース基板110は、SBSマイクロウェルプレートの形式(例えば、127.76mm×85.48mmのフットプリント)を有することができるが、ベース基板110は、代替的に、他の好適な寸法及び/又はフォームファクターを有してもよい。マイクロウェルアセンブリのプレートは、付加的又は代替的に、包装のため又はサンプルラン中の使用のために容易に積み重ね可能であるように設計してもよい。
【0037】
付加的又は代替的に、ベース基板110は、滅菌可能(例えば、オートクレーブを使用する、他の滅菌方法を使用する等)であるように構成してもよい。
【0038】
付加的又は代替的に、ベース基板110は、区画から廃棄生成物を洗浄する、又はリアルタイム/下流検出用のベース基板の所望の表面における標的物質若しくは生成物を保持することを容易にするために、標的検出反応中に発生した生成物に選択的に結合するように構成することができる。したがって、生成物の結合に関連して、ベース基板110は、捕捉プローブ(例えば、核酸又はタンパク質/ペプチド標的を捕捉するオリゴヌクレオチドコンジュゲートプローブ)によって官能化された1つ又は複数の表面(例えば、マイクロウェル表面、ベース表面等)を備えることができる。そのような用途において、捕捉プローブは、リンカー分子によってベース基板110の表面及び/又は他のマイクロウェルアセンブリ表面100に結合することができ、リンカー分子は、標的サンプル物質又はサンプル処理中に生成されたサンプル生成物と相互作用するための空間に捕捉プローブを延出させる。付加的又は代替的に、リンカー分子は、(例えば、酵素的切断メカニズム、光切断メカニズム、pHシフト切断、熱切断メカニズム、物理的切断メカニズム等によって)切断可能とすることができる。
【0039】
2.1.2 マイクロウェルサブアレイを有するサンプル処理領域
図1Aに示されているように、ベース基板110は、サンプル処理領域のセット(サンプル処理領域120を含む)を画定し、サンプル処理領域のセットのそれぞれは、サンプル処理領域120の上流端部10と下流端部90との間で(例えば、容積、サイズ、表面積、フットプリント、断面積等に関して)勾配して配置されるマイクロウェルサブアレイのセット130を含む。サンプル処理領域のセットは、様々なアッセイ(例えば、デジタルPCR、qPCR、デジタルLAMP、qLAMP等における小体積を使用する標的の検出を伴う)、各サンプルの連続希釈試験、及び/又は1つ又は複数の標的を検出する他のプロセスの実行を可能にするために、サンプルのセットを受け容れるとともに、マイクロウェルサブアレイのセットにわたるサンプルのセットの分配を容易にするように機能する。いくつかの変形例において、サンプル処理の効率を向上させるために、サンプル処理領域のセットは、サンプルを受け容れる前に、乾燥又は凍結乾燥されたサンプル処理物質(例えば、PCR関連アッセイに用いるマスターミックス、プローブ、プライマー、PCRエンハンサー、媒体、物質等)を収容するように構成することができる。いくつかの変形例において、サンプル処理領域のセットは、非特異的吸収剤によって、親水性になるように、水和されるように、処理されるように、及び/又はブロックされるように構成することができる。
【0040】
変形例において、サンプル処理領域のセットは、ベース基板110の広い表面内に画定されるアレイ(例えば、矩形アレイ、他のアレイ等)として配置することができ、各領域は、サンプルを並列に高スループットで処理することができるように、別個のサンプル(又は同じサンプルの別個の分量)を受け容れるように構成される。ベース基板110の広い表面が長軸及び短軸を有する実施形態において、サンプル処理領域のセットは、(例えば、試験されるサンプルの数及び構成及び/又は所望のマイクロウェルサイズの数に関して)長軸及び短軸と整列された矩形アレイ(例えば、2Dアレイ)状に配置することができる。しかしながら、サンプル処理領域のセットは、代替的に、別の好適な軸に対して配置してもよい。さらに、サンプル処理領域のセットは、アレイ状に配置しなくてもよい。例えば、
図2に示されている別の変形例において、サンプル処理領域のセットのそれぞれは、ゾーン(例えば、円形ゾーン、楕円形ゾーン、多角形ゾーン、不定形ゾーン等)として画定することができ、マイクロウェルサブアレイは、別の好適な軸(例えば、径方向軸、周方向軸等)に沿って又は別の好適な座標系内に配置することができる。
【0041】
変形例において、マイクロウェルアセンブリ100に含まれるサンプル処理領域の数は、連続希釈及び/又は高いダイナミックレンジでの標的物質の検出を伴う様々なアッセイに対して、各マイクロウェルサブアレイに所望される特徴的なマイクロウェル寸法及び個々のマイクロウェルの数に関連する、ベース基板110の寸法(例は上記に提供されている)によって決まり得る。
【0042】
変形例において、マイクロウェル寸法及びサンプル処理領域のセットのそれぞれに含まれるマイクロウェルの数は、サンプル中に低濃度で存在する標的物質の検出を可能にする好適な数の分画及び/又は希釈をもたらすように最適化することができ、マイクロウェルの数及びサイズは、そのような標的物質を検出し、好適な統計的信頼性を有する結果を返す能力を提供するようになっている。
【0043】
変形例において、マイクロウェル寸法及びサンプル処理領域のセットのそれぞれに含まれるマイクロウェルの数は、MPN信頼限界に対して、実装される区画の数及び各区画の容積に関して、領域ごとに受け容れられるサンプル体積に関して、MPN決定のために最適化することができる。
【0044】
例(そのうちの1つが
図3A及び
図3Bに示されている)において、サンプル処理領域のセットは、2個~96個のサンプル処理領域を含むことができる。しかしながら、他の変形例において、サンプル処理領域のセットは、別の好適な数のサンプル処理領域(例えば、4個未満のサンプル処理領域、60個を超えるサンプル処理領域)を含むことができる。
【0045】
上記に簡単に記載したように、サンプル処理領域のセットのそれぞれは、サンプル処理領域120の上流端部10と下流端部90との間で(例えば、容積、サイズ、表面積、フットプリント、断面積等に関して)勾配して配置されるマイクロウェルサブアレイのセット130と、隣接するサンプル処理領域からサンプル処理領域120を分離する境界部190とを備えることができる。マイクロウェルサブアレイのセット130は、サンプルからの標的物質特性の定量化、MPNの決定、及び/又はサンプルからの標的検出を行う他のアッセイ(例えば、デジタルPCRを使用する、qPCRを使用する等)を実行するために、処理される各サンプルに対して、区画のセットに体積の既知の分配を提供するように機能する。したがって、マイクロウェルサブアレイのセットのそれぞれは、好適な数の希釈及び希釈ごとの区画を提供して、好適な信頼限界を有する検出可能な最小値及び最大値(例えば、計数、濃度、MPN値)を生成するために、区画のそれぞれに対して異なる特徴的容積を有する区画(例えば、マイクロウェル)を有することができる。しかしながら、マイクロウェルサブアレイのセットのセット130のそれぞれは、異なる特性(例えば、サイズ、表面積、フットプリント、長手方向軸に対して横断方向の断面、長手方向軸に対して平行な断面、他の断面等)を有することができる。
【0046】
変形例において、ベース基板110のサンプル処理領域は、2個~10個のマイクロウェルサブアレイを含むことができ、マイクロウェルサブアレイのセットのそれぞれは、10個~100000個の区画を有する。各サンプル処理領域は、好適な信頼限界を有する5~10000000の最小及び最大範囲の間の値(例えば、標的物質の検出、計数、MPN値等に関連する値)を提供するために、1μL~100μLのサンプルを受け入れることができる。各マイクロウェルは、デジタルPCR用途、qPCR用途、MPN用途、及び/又は他の用途のために、0.1nL~100nLの容積を有することができる。しかしながら、サンプル処理領域は、他の好適な数のマイクロウェルサブアレイ(例えば、2個未満のマイクロウェルサブアレイ、10個を超えるマイクロウェルサブアレイ)を含み、そのそれぞれが、別の好適な範囲内の目標値の決定を可能にするように、他のサイズのサンプル体積(例えば、0.1nL未満、100nL以上等)を受け入れるために、他の好適な数の区画(例えば、10個未満の区画、100000個を超える区画、500000個を超える区画)を有してもよい。特定の例において、各サンプル処理領域は、MPNの場合は6log、又は代替的に、qPCRの場合は9logという大きなダイナミックレンジを生成することができるが、変形例では、マイクロウェルサブアレイの数及び各マイクロウェルサブアレイのマイクロウェル構成に応じて、別のダイナミックレンジを生成することができる。
【0047】
特に、マイクロウェルサブアレイの数/特徴的容積、マイクロウェルサブアレイごとの区画の数は、下記の式[1]におけるλについての解の決定に関連して構成することができる。式中、exp(x)は、e
xであり、Kは、希釈の数を示し、g
jは、j番目の希釈におけるポジティブ区画の数(例えば、標的物質の増加、増幅等に起因する)を示し、m
jは、j番目の希釈において各区画内に入れられる元のサンプルの量を示し、t
jは、j番目の希釈における区画の数を示す。
【数1】
【0048】
図3Aに示されている特定の例において、サンプル処理領域のセットのそれぞれは、サンプル処理領域の長手方向軸に沿って勾配して分布する3つのマイクロウェルサブアレイを有することができる。ここで、第1のマイクロウェルサブアレイ121は、区画ごとに0.6nLの特徴的容積を有し、300個のマイクロウェル区画で総容積が0.18μLとなる。
図3Aに示されているように、第1のマイクロウェルサブアレイ121の各マイクロウェルは、0.09mmの辺長さ、0.074mmの高さ、0.0081mm
2の面積を有し、各マイクロウェルを隣接するマイクロウェルから分離する0.1mm幅のリブを有することができる。サンプル処理領域は、第2のマイクロウェルサブアレイ122を含むこともでき、第2のマイクロウェルサブアレイ122は、区画ごとに6nLの特徴的容積を有し、300個のマイクロウェル区画で総容積が1.8μLとなる。ここで、
図3Aに示されているように、第2のマイクロウェルサブアレイ122の各マイクロウェルは、0.15mmの辺長さ、0.267mmの高さ、0.0225mm
2の面積を有し、各マイクロウェルを隣接するマイクロウェルから分離する0.18mm幅のリブを有することができる。サンプル処理領域は、第3のマイクロウェルサブアレイ123を含むこともでき、第3のマイクロウェルサブアレイ123は、区画ごとに60nLの特徴的容積を有し、300個のマイクロウェル区画で総容積が18μLとなる。ここで、
図3Aに示されているように、第3のマイクロウェルサブアレイ123の各マイクロウェルは、0.3mmの辺長さ、0.667mmの高さ、0.09mm
2の面積を有し、各マイクロウェルを隣接するマイクロウェルから分離する0.21mm幅のリブを有することができる。マイクロウェルは、マイクロウェルサブアレイにわたるサンプル流体の分配を容易にするように、好適なピッチを有することができる。そのような構成は、論じたように、用途によっては各サンプル処理領域が約20μLのサンプルを処理することを可能にすることができる。しかしながら、
図3Aに示されている特定の例の変形例において、代替的に、区画タイプごとの異なる容積、マイクロウェルサブアレイごとの区画の数、異なる寸法、及び/又は隣接するマイクロウェルを分離する異なるリブを有することができる。
【0049】
図3Bに示されているように、
図3Aに示されているサンプル処理領域のユニットに関連するサンプル処理領域は、矩形アレイ状に配置することができ、ここで、矩形アレイは、8行6列のサンプル処理領域を含み、合計で48個のサンプル処理領域となり、それにより、48個のサンプルの処理を可能にする。しかしながら、特定の例の変形例において、サンプル処理領域のセットは、任意の好適な構成で配置される別の好適な数のサンプル処理領域を含むことができる。
【0050】
変形例において、各マイクロウェルの断面は、多角形(例えば、六角形、矩形等)又は非多角形(例えば、円形、楕円形、不定形等)の断面(例えば、ベース基板110の広い表面に対して平行な平面に沿った断面)とすることができる。付加的又は代替的に、各マイクロウェルの断面は、基板110の広い表面から各マイクロウェルの基部に向かう方向に沿って先細りする形状とすることができる。したがって、各ウェルは、サンプルの部分体積がベース基板110の広い表面に対して垂直な方向からマイクロウェルに入ることができるように、ベース基板110の広い表面において開口を有することができる。しかしながら、マイクロウェルの開口(複数の場合もある)は、別の好適な方法で構成してもよい。さらに、マイクロウェルは、充填構成(例えば、六角形最密充填、矩形最密充填、他の最密充填構成等)又は非充填構成で配置することができる。
【0051】
各サンプル処理領域のマイクロウェルサブアレイの勾配に関して、ウェルが第1の特徴的寸法(例えば、最小の特徴的寸法)を有する最初のマイクロウェルサブアレイ130を、サンプル処理領域の上流端部10に位置決めすることができ、ウェルが第2の特徴的寸法(例えば、最大の特徴的寸法)を有する終端のマイクロウェルサブアレイ170を、サンプル処理領域120の下流端部90に位置決めすることができる。したがって、マイクロウェルサブアレイは、上流から下流に向かう方向において大きくなる特徴的マイクロウェル寸法を有することができる。代替的に、マイクロウェルサブアレイは、上流から下流に向かう方向において小さくなる特徴的マイクロウェル寸法を有してもよい。更に代替的に、マイクロウェルアレイは、別の好適な方法で(例えば、別の方向軸に沿って、別のマイクロウェル特性に関して)勾配又は非勾配で編成することができる。更に代替的に、各サンプル処理領域は、他の変形例において別様に(例えば、マイクロウェルの勾配にわたって段階的な増分を有して)構成することができる。例えば、ウェル寸法は、上流から下流に向かう方向又は下流から上流に向かう方向における勾配ではなく、横方向(例えば、上流から下流に向かう方向に直交する)又は他の方向における勾配を有して編成することができる。
【0052】
図3A及び
図3Bに示されているように、ベース基板110は、各サンプル処理領域を隣接するサンプル処理領域から分離することにより、サンプルのクロストークを防止するように機能する、境界部のセット(境界部190を含む)を備えることができる。境界部190は、凹部(例えば、堀部)として構成することも、突出部として構成することもでき、又は、代替的に、凹状及び突出した部分を含んでもよい。境界部190は、サンプルの溢流の蒸発又は吸収を促進するように構成される領域として構成することもでき、それにより、サンプルがこの領域に入ると、サンプルが蒸発する及び/又は境界部190の壁に吸収される。境界部190がサンプル処理領域の周りの凹状の周縁部として画定される変形例において、境界部190は、サンプル処理中にサンプルの溢流を受け容れることができる堀部として機能することができる。代替的に、境界部190は、別の好適な目的を果たす場合がある。
【0053】
図3A及び
図3Bに示されている特定の例において、各サンプル処理領域は、およそ4μLの(例えば、サンプル、サンプル処理溶液等の)溢流を受け入れることができる境界部190によって包囲することができる。しかしながら、境界部の変形例は、他の体積の流体を受け入れる、及び/又は別の好適な様式で構成することができる。他の実施形態において、各サンプル処理領域のマイクロウェルがこれ以外で他のサンプル処理領域のマイクロウェルと連通しないという条件で、サンプル処理領域のうちの1つ又は複数の境界部190を接続することができる。
【0054】
付加的又は代替的に、境界部190は、サンプル処理領域から溢れた物質を受け容れて吸い取るように構成される吸収性材料から構成することができる。
【0055】
付加的又は代替的に、単数又は複数の境界部は、サンプル処理領域から出る(例えば、廃棄チャンバーへの)1つ又は複数の出口を備えることができ、溢れた物質をサンプル処理領域から運び出し、サンプル処理領域に再び入ることを防止することができるようになっている。
【0056】
さらに、ベース基板110は、物理的に連接することができるが、変形例において、ベース基板110は、各サンプル処理領域の個々の下流処理及び/又は分析をもたらすために、隣り合うサンプル処理領域間が分離可能である(例えば、ミシン目、可逆係止要素等を用いる)ように構成することができる。しかしながら、ベース基板110は、代替的に、分離不能であるように構成してもよい。
【0057】
サンプル処理領域のマイクロウェルの実施形態、変形例、及び例が上述されているが、マイクロウェル及び/又はサンプル処理領域の態様は、2018年7月27日に出願された米国特許出願第16/048,104号、2018年7月30日に出願された米国特許出願第16/049,057号、2017年9月29日に出願された米国特許出願第15/720,194号、2017年2月13日に出願された米国特許出願第15/430,833号、2017年11月22日に出願された米国特許出願第15/821,329号、2017年10月12日に出願された米国特許出願第15/782,270号、2018年7月30日に出願された米国特許出願第16/049,240号、2017年11月16日に出願された米国特許出願第15/815,532号、2018年8月28日に出願された米国特許出願第16/115,370号、2019年9月9日に出願された米国特許出願第16/564,375号、及び2020年3月12日に出願された米国特許出願第16/816,817号のうちの1つ又は複数から適合することができ、これらの米国特許出願は、それぞれその全体を参照により本明細書に援用する。
【0058】
2.2 カバー層及び任意選択の要素
2.2.1 カバー層
図1B及び
図4に示されているように、いくつかの実施形態において、マイクロウェルアセンブリ100は、ベース基板110と境界を接するように構成されるカバー層210を備えることができる。カバー層210は、ベース基板110において処理されるサンプルを広げ、封止し、及び/又は隔離するとともに、加熱要素(より詳細に後述する)からベース基板におけるサンプルへの伝熱を促進するように機能する。動作時、より詳細に後述するプラットフォームの処理構成要素(例えば、加熱要素、使い捨て器具移動要素等)は、サンプルのクロスコンタミネーションを防止しながら、後続のサンプル処理ステップの前にサンプルを隔離するために、サンプル処理の1つ又は複数の段階中、カバー層210をベース基板110に付勢するか、又はそうでなければ押し付けるように構成することができる。
【0059】
材料組成に関して、カバー層210は、ポリマー(例えば、ポリプロピレン、ポリジメチルシロキサン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、環状オレフィンコポリマー、ポリカーボネート)、シリコン由来材料、ガラス、金属材料、セラミック材料、天然材料、合成材料、及び/又は任意の好適な材料のうちの1つ又は複数から構成することができる。特に、材料選択は、製造上の検討事項、サンプル処理に望ましい表面特性、光学特性、熱特性、機械的特性(例えば、圧縮性、剛性、引張強度)、バルク特性(例えば、密度等に関する)、表面特性、及び/又は他の任意の好適な特性のうちの1つ又は複数に基づくことができる。さらに、カバー層210の全ての部分を、同じ材料(複数の場合もある)、異なる材料(例えば、カバー層210の各部分が異なる設計上の制約を有する場合)、及び/又は任意の組合せの材料を使用して構築することができる。さらに、ベース基板110は、単一構造体、又は(例えば、製造中に)ともに結合された個別の部分を有するベース基板110とすることができる。
【0060】
熱特性に関して、カバー層210の材料(複数の場合もある)は、伝熱及び/又は熱保持特性に関する所望の熱特性を有して構成することができる。特に、カバー層210は、所望の熱伝導性(例えば、3W/m*K超等)及び/又は熱容量特性(例えば、PCR操作に関するサンプルの加熱及び/又は熱サイクルステップに適切なもの)を有して構成することができる。1つの変形例において、カバー層210は、サンプル処理及び/又は熱サイクル中、マイクロウェルアセンブリ100に又はマイクロウェルアセンブリ100から熱を効率的に伝達することができるような熱特性を有して構成することができる。さらに、いくつかの実施形態において、カバー層210は、より詳細に後述される(例えば、プラットフォーム300の)外部要素によって加熱されると、ベース基板110に接合する材料から構成することができる。接合は、カバー層210を完全に融解したり、あるいはその構造を損なったりすることなく実行することができる。付加的又は代替的に、カバー層210は、伝熱を促進するために分散した熱伝導性粒子を含むことができる。
【0061】
機械的特性に関して、カバー層210の材料(複数の場合もある)は、剛性、強度、弾性挙動、硬度、及び他の特性のうちの1つ又は複数を含む所望の機械的特性を有して構成することができる。例えば、カバー層210の変形例は、弾性変形することができるエラストマー材料から構成することができ、ここで、エラストマー製カバー層210の可逆的変形は、サンプルのハンドリングを容易にし、及び/又は気泡形成を防止する/気泡の影響を軽減する動作モードを可能にすることができる。
【0062】
カバー層210がエラストマー製である例において、カバー層210は、エラストマー(例えば、シリコーン、ポリエーテル/ポリアミド材料、ポリウレタン材料、ポリエステル材料等)から構成するか、あるいはエラストマーを含むことができ、ここで、エラストマーは、強化担体、熱伝導性成分(例えば、炭素、銅、アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、銀粒子)、又は他の好適な元素を含むように処理することができる。しかしながら、カバー層210は、他の好適な材料(例えば、微孔質ポリカーボネート、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ガラス繊維、微孔質ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、再生セルロース、ポリフッ化ビニル、ポリプロピレン、微孔質ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、リプロービングチャージドナイロン等)から構成することができる。
【0063】
カバー層210は、付加的又は代替的に、気泡形成を防止し、形成された気泡を除去する/気泡の影響を軽減する通気チャネルを備えることができる。
【0064】
バルク特性に関して、カバー層210の材料(複数の場合もある)は、サンプル処理及び/又はインキュベーションの目的に適切な密度レベル又は他のバルク的性質を有して構成することができる。変形例においては、カバー層210は、ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール(PVA)等)、セラミック、又は別の好適な材料(例えば、天然材料、合成材料)から構成するか、あるいはそれを組み込むことができる。
【0065】
表面特性に関して、カバー層210の材料(複数の場合もある)は、例えば、接触角度及び濡れ性によって決まる所望の親水性/疎水性(例えば、高度な疎水性)を有して構成することができる。他の電気的及び物理的特性に関して、カバー層210の材料(複数の場合もある)は、所望の電荷(例えば、使用されるサンプル流体及び/又はサンプル処理流体の性質に関連する)、電界特性、伝導性、抵抗、及び/又は他の任意の好適な表面若しくは物理的性質を有して構成することができる。付加的又は代替的に、カバー層210の材料(複数の場合もある)は、サンプル処理中に使用される流体と非反応性であるように構成されることが好ましい。
【0066】
光学特性に関して、カバー層210の材料(複数の場合もある)は、任意の透明度、反射率、又は他の光学的性質を有することができる。例えば、材料は、光学的分析、調査、又は観察(例えば、カバー層210の上面から等)を可能にするように透明とすることができるが、不透明、透明、半透明、及び/又は任意の好適な不透明度としてもよい。
【0067】
変形例において、ベース基板110のマイクロウェルに面するカバー層210の表面は、数ミクロン未満の平滑性(例えば、20ミクロン未満の表面粗さ、10ミクロン未満の表面粗さ、5ミクロン未満の表面粗さ、20ミクロン超の表面粗さ等)を有することもでき、それにより、カバー層210をマイクロウェルに対して付勢することで、マイクロウェルの上面に対する好適な封止をもたらしながらも、マイクロウェルリアクターへのエラストマー材料の侵入が最小限(例えば、5ミクロン未満)になる。
【0068】
ベース基板110のマイクロウェルに面するカバー層210の表面は、反応ベッセルからカメラ/センサー(例えば、蛍光カメラ)に伝達される蛍光信号を増大するように、光反射性(例えば、サンプル処理領域のセットの内部体積に向かって反射性)とすることもできる。カバー層210(例えば、マイクロウェルに面する表面)は、IR撮像カメラを使用して、マイクロウェルの頂部の温度を距離を置いて光学的に調査することができるように、IR吸収性表面によってコーティングすることもできる。マイクロウェルに面するカバー層210の表面は、特定の波長及び強度の光を使用して、表面を熱的に活性化させ、マイクロウェル内の温度インキュベーションをもたらすことができるように、光熱コーティングによってコーティングすることもできる(例えば、カバー層は、光熱メカニズムを使用して、波長範囲によって特徴付けられる光によって活性化されると、サンプル処理領域のセットの内容物に熱を伝達するように構造化された構成要素を有する)。
【0069】
ベース基板110のマイクロウェルに面するカバー層210の表面は、加熱要素/電気的要素(例えば、誘導コイル)が、マイクロウェルの渦電流に基づくジュール加熱の制御をもたらすことができるように、誘導性コーティングによってコーティングすることもできる。マイクロウェルに面するカバー層210の表面は、RFマイクロ波がマイクロウェルのマイクロ波加熱の制御をもたらすことができるように、金属コーティングによってコーティングすることもできる。
【0070】
したがって、カバー層210は、1つ又は複数の刺激による活性化に応答して、マイクロウェルの内容物を加熱及び/又は冷却する加熱メカニズムの制御をサポートするように構成することもできる。
【0071】
特定の例において、カバー層210は、繊維ガラス強化担体を伴うシリコーンから構成されるエラストマーを含み、3W/m*Kを超える熱伝導性、25ミクロン~200ミクロンの厚さ、-60℃~230℃の動作温度範囲、10~70のショア硬度、0.5J/(g・K)~5J/(g・K)の熱容量、1g/cc~5g/ccの密度、及び20kPa~60kPaのヤング率を有する。しかしながら、カバー層210の特定の例の変形例は、他の好適な特性を有する別の好適な材料から構成することができる。
【0072】
アセンブリの形成時、カバー層210は、結合又は相互係止形状部を含むことによって、ベース基板110と嵌合することができる。例えば、カバー層210は、動作中にベース基板110に(例えば、接着剤によって、熱接合によって等)接合するように構成することができる。付加的又は代替的に、カバー層210は、ベース基板110の表面(例えば、底面、周面)に係合することにより、ベース基板110とカバー層210との間の結合をもたらすリップ又はタブのセットを備えてもよい。他の変形例において、結合は、別の好適なメカニズム(例えば、圧入メカニズム、スナップ嵌めメカニズム、磁気メカニズム、接着メカニズム、重力メカニズム等)によってもたらすことができる。したがって、カバー層210は、ベース基板110の第2の係止部分と相補的な第1の係止部分を有することができる。ベース基板110とカバー層210との間の結合は、可逆的としても、そうでなく恒久的としてもよい。更に他の変形例において、カバー層210は、ベース基板110と結合しないように構成することができる。
【0073】
更に他の変形例において、カバー層210は、各サンプルがサンプル処理領域の一端部から他端部まで順番に封止されるように、連続様式(sequential)又は垂直様式(vectorial)で(例えば、ベース基板110の一端部からベース基板110の別の端部まで制御された様式で)ベース基板110に接触することができる。このような方法で封止することにより、所定の順序又は順番で(例えば、より小さなマイクロウェルの前により大きなマイクロウェルを充填する、より大きなマイクロウェルの前により小さなマイクロウェルを充填する等)封止された区画を形成する手段を提供する。
【0074】
カバー層210は、増幅産物の放出及び環境の汚染を防止するように、増幅(例えば、PCRプロセスによる)の前、間、及び後にマイクロウェル区画を不可逆的に封止するように構成することもできる。しかしながら、カバー層210は、下流のジェノタイピング又はシークエンシング反応のために、毛細管内に単に吸引することによって、増幅産物を抽出するようにアクセスされる(例えば、針によって穿孔される、吸引及び送達構成要素によってアクセスされる等)ように構成することができる。
【0075】
2.2.2 任意選択の要素
カバー層210は、1つ又は複数の機能層によってベース基板110から分離することもできる。例えば、カバー層210は、カバー層210とベース基板110との間の結合を容易にするために、サンプルのクロストークを防止するように隣り合うサンプル処理領域間の更なる分離をもたらすために、及び/又はマイクロウェル封止機能をもたらすために、フィルム層/又はヒドロゲル層によってベース基板110から分離することができる。さらに、マイクロウェルアセンブリは、システム100の設計機能及び/又は使用する用途に関して、複数の膜を備えることができる。
【0076】
さらに、マイクロウェルアセンブリ100の変形例は、付加的又は代替的に、サンプル処理及び/又はサンプルインキュベーションを容易にするとともに、周囲環境との間のガス交換を容易にする及びサンプルのクロストークを防止する、他の好適な要素(例えば、オイル層、他の分画材料層、浮揚疎水性粒子、温度表示粒子、浮揚自己重合物質、生体膜、細胞層、生体コーティング、マイクロウェル表面に含まれる又は結合されるサンプル処理基板、構成媒体、希釈媒体、凍結乾燥状態で提供される媒体等)を含む又は支持することができる。
【0077】
3. プラットフォーム
図5及び
図6に示されているように、自動サンプル処理を行う(例えば、上述のマイクロウェルアセンブリ100のユニットを使用してサンプルを処理する)プラットフォーム300の一実施形態は、(例えば、搬送要素によって)マイクロウェルアセンブリの1つ又は複数のユニットを受け容れて位置決めするデッキ310と、デッキ310によって支持されるサンプル処理要素のセットと相互作用するようにツールを駆動する、駆動サブシステム370(例えば、ガントリを含む)と、様々な処理サブシステム(例えば、撮像サブシステム)及び処理サブシステムと通信する制御サブシステムを支持するベース380とを備える。制御サブシステムは、プラットフォーム300を様々な動作モード間で遷移させるために、デッキ310、サンプル処理要素のセット、及び駆動サブシステム370の状態を制御する。例において、プラットフォーム300は、高スループットでサンプルを装填する及び/又は高スループットでサンプルを読み取る機能を提供することができる。様々なワークフローを提供する動作モードの実施形態、変形例、及び例を、第4節で更に詳細に後述する。
【0078】
3.1. デッキ及びデッキに支持される要素
図5及び
図6に示されているように、デッキ310は、上述したマイクロウェルアセンブリ100のユニットを使用して、サンプルの自動処理を行うために、1つ又は複数の構成要素を受け容れ、支持し、位置決めするプラットフォームとして機能する。さらに、デッキ310は、後述するように、(例えば、搬送要素、摺動式引出し、ローラー、ロボット装置等によって)1つ又は複数の構成要素を、加熱サブシステム、撮像サブシステム、把持/操作サブシステム、及び/又はプラットフォーム300の他のサブシステムと位置合わせされるか、あるいは相互作用させるように機能することができる。これに関して、デッキ310は、基準プラットフォームとして固定とすることができる一方で、他の構成要素は、デッキ310の要素と相互作用する位置に駆動される。代替的に、デッキ310は、要素の位置決めのために、1つ又は複数のアクチュエーター(例えば、コンベヤ、摺動式引き出し等)に結合してもよい。
【0079】
図5及び
図6に示されている実施形態において、デッキ310は、マイクロウェルアセンブリの1つ又は複数のユニットを、より詳細に後述する加熱サブシステム及び/又は撮像サブシステムと位置を合わせるように機能する、搬送要素312を備える。1つの変形例において、搬送要素312は、装填中のマイクロウェルアセンブリの1つ又は複数のユニットを受け容れ、結合されたアクチュエーターにより、熱サイクル及び検出の動作中、1つ又は複数のユニットを、加熱サブシステム及び/又は撮像サブシステムと位置を合わせるように遷移させる、摺動要素(例えば、引出し、トレイ等)を備えることができる。そのような変形例において、摺動要素は、加熱、撮像、封止、及び/又は他の動作のために、マイクロウェルアセンブリユニットの一部へのアクセスを提供する開口を備えることができる。別の変形例において、搬送要素312は、ベルト、ロボットアーム、ローラー、又は他の搬送要素を含むことができる。
【0080】
他の変形例において、デッキ310は、付加的又は代替的に、サンプル処理要素のセットを支持するプラットフォームを提供することができ、ここで、サンプル処理要素は、使い捨て及び/又は再使用可能な構成要素を含むことができ、この構成要素は、サンプル処理物質を収容する容器及び/又はサンプルを処理するツール(例えば、流体ハンドリングに関する、材料分離に関する、加熱及び冷却に関する等)を含む。実施形態において、デッキ310は、試薬カートリッジ、上述のマイクロウェルアセンブリ100のユニット(例えば、保管中、別個のベース基板110とカバー層210とに分解されている、及びサンプル処理の使用中位置にある)、サンプルステージング容器(マイクロウェルアセンブリ100に移送する前にサンプルをステージングするもの)、ツール容器、及び/又は他のサブシステムのうちの1つ又は複数のユニットを含む、サンプル処理要素のセットを支持することができる。
【0081】
付加的又は代替的に、デッキ310及び/又はベース380は、撮像サブシステム330(例えば、蛍光検出サブシステム、明視野カメラサブシステム、共焦点顕微鏡サブシステム、分光検出サブシステム、全反射照明蛍光(TIRF)サブシステム、核磁気共鳴(NMR)サブシステム、ラマン分光(RS)RSサブシステム、ピクセル解像度を向上させる光学アクセサリを伴う携帯電話等)に関連する他の好適な構成要素を含んでもよい。撮像サブシステムについては、より詳細に後述する。
【0082】
サンプル処理要素は、デッキ310によって同一平面に支持することも、代替的に、異なる平面において支持することもできる。デッキによって支持される個別の要素は、重なり合わないことが好ましいが、デッキ310の代替的な実施形態は、サンプル処理要素を重なり合った様式で支持することができる(例えば、動作効率のために空間等を保全するため等)。
【0083】
デッキに支持される要素の実施形態、変形例、及び例の他の態様は、2020年5月5日に出願された米国特許出願第16/867,235号、2020年5月5日に出願された米国特許出願第16/867,256号、2020年3月12日に出願された米国特許出願第16/816,817号、2019年9月9日に出願された米国特許出願第16/564,375号、2018年8月28日に出願された米国特許出願第16/115,370号、2018年8月28日に出願された米国特許出願第16/115,059号、2018年7月27日に出願された米国特許出願第16/048,104号、2018年7月30日に出願された米国特許出願第16/049,057号、2017年9月29日に出願された米国特許出願第15/720,194号、2017年2月13日に出願された米国特許出願第15/430,833号、2017年11月22日に出願された米国特許出願第15/821,329号、2017年10月12日に出願された米国特許出願第15/782,270号、2018年7月30日に出願された米国特許出願第16/049,240号、2017年11月16日に出願された米国特許出願第15/815,532号に記載されており、これらの米国特許出願は、それぞれその全体を参照により本明細書に援用する。
【0084】
3.2 駆動サブシステム
図6に示されているように、プラットフォーム300は、駆動サブシステム370(例えば、ガントリに結合される、デッキ310に結合される、プラットフォーム300の別の部分に結合される等)を備えることができ、駆動サブシステム370は、1つ又は複数の構成要素を、様々なサンプル処理及び/又は調査ステップに関連してマイクロウェルアセンブリのユニットと相互作用するように、支持し、及び/又は駆動を可能にする。
【0085】
変形例において、駆動サブシステム370は、加熱サブシステム、撮像サブシステム、及び/又は流体ハンドリングサブシステムの要素を移動させ、サンプル処理中にマイクロウェルアセンブリのユニットと連絡させるように構成される駆動要素(例えば、ジャッキ、リニアアクチュエーター、ロータリーアクチュエーター等)を提供することができる。付加的又は代替的に、駆動サブシステム370は、マイクロウェルアセンブリのユニットを移動させ、加熱サブシステム、撮像サブシステム、及び/又は流体ハンドリングサブシステムの要素と連絡させてもよい。
【0086】
付加的又は代替的に、駆動サブシステム370は、ツールを移動させるための1つ又は複数のレール/トラックを提供するガントリを備えることができる。これについては、上述のように、2020年5月5日に出願された米国特許出願第16/867,235号、2020年5月5日に出願された米国特許出願第16/867,256号、2020年3月12日に出願された米国特許出願第16/816,817号、2019年9月9日に出願された米国特許出願第16/564,375号、2018年8月28日に出願された米国特許出願第16/115,370号、2018年8月28日に出願された米国特許出願第16/115,059号、2018年7月27日に出願された米国特許出願第16/048,104号、2018年7月30日に出願された米国特許出願第16/049,057号、2017年9月29日に出願された米国特許出願第15/720,194号、2017年2月13日に出願された米国特許出願第15/430,833号、2017年11月22日に出願された米国特許出願第15/821,329号、2017年10月12日に出願された米国特許出願第15/782,270号、2018年7月30日に出願された米国特許出願第16/049,240号、及び2017年11月16日に出願された米国特許出願第15/815,532号に記載されており、これらの米国特許出願は、それぞれその全体を参照により本明細書に援用する。
【0087】
3.3 加熱サブシステム
図5及び
図6に示されているように、プラットフォーム300は、第4節により詳細に後述する様々なワークフローに関して、マイクロウェルアセンブリの所望の領域に及び/又は所望の領域から熱を伝達するように機能する加熱サブシステム365を備えることもできる。加熱サブシステム365は、個々のマイクロウェル及び/又はサンプル処理領域を封止し、サンプル間のコンタミネーションを防止するために、カバー層210に圧力を加えてベース基板110に押し付けるようにも機能する。
【0088】
図5及び
図6に示されているように、加熱サブシステム365は、上述した駆動サブシステム370の一部に結合するように構成される加熱体366を含むことができる。ここで、加熱体366は、カバー層210に圧力を加えてベース基板110に押し付ける延出モードと、加熱体366がマイクロウェルアセンブリから後退した後退モードとにおいて動作することができる。さらに、加熱体366は、マイクロウェルの内容物の熱サイクル及び/又は他の加熱及び冷却動作を行うために様々な加熱モードで動作することができる。そのような動作モードの1つに関して、カバー層210は、封止動作モードを含むことができ、このモードでは、カバー層210は、サンプル処理領域のセットの個々のサンプル処理領域を封止し、加熱サブシステム365から熱を受け取ると、サンプル処理領域のセットの内容物に熱を伝達する。加熱体366は、動作中のマイクロウェルアセンブリのマイクロウェルにおける好適な温度均一性(例えば、熱勾配を有する)を提供するように構成することができる。しかしながら、加熱体366は、代替的に、マイクロウェルアセンブリにわたる他の好適な熱プロファイルを生成してもよい。さらに、加熱体366は、迅速な熱サイクル及び/又は他の温度ランピングプロファイルの達成に関して、放熱要素(例えば、伝導、対流等によって放熱する)を含むか、あるいは放熱要素に結合するか若しくは放熱要素と熱的に連通することができる。加熱サブシステム365は、付加的又は代替的に、様々な動作のために精密な温度制御を達成するように、温度センサーを備えてもよい。
【0089】
1つの変形例において、
図7Aに示されているように、加熱体366は、様々な動作のために精密な温度制御を達成するようにモノリシックな抵抗ヒーター及び温度センサーに結合される、冷却フィンを備える窒化アルミニウムヒーターを含むことができる。
図7Bに示されている別の変形例において、加熱体366は、様々な動作のために精密な温度制御を達成するように、薄膜ポリマーヒーター及び温度センサーに結合されたアルミニウムヒーターを含むことができる。
図7Cに示されている別の変形例において、加熱体366は、様々な動作のために加熱体366の1つ又は複数の領域における精密な温度制御を達成するように独立した制御を有する、表面実装された抵抗ヒーター及び温度センサーを備える、アルミニウムで裏打ちされたプリント回路基板を備えることができる。しかしながら、加熱体366は、別様に構成してもよい。さらに、
図5に示されているように、加熱サブシステム365は、システムが迅速な温度調整を行うことを可能にするように、ファン367(又は他の冷却サブシステム構成要素)を放熱要素として備えることができる。
【0090】
加熱サブシステム365は、さらに、個々に調整可能な温度インキュベーションプロファイルを有する個々の環境を提供するように、各サンプルを制御された様式で個々に加熱することができるように設計することができる。そのような構成は、サンプル処理領域のアレイに対応してアレイ状に配置される個々のヒーター及びセンサーユニットを有することによって達成することができる。加熱ユニットのアレイは、サンプル加熱に関する個々の制御を提供するために、個々の電子アドレス指定、温度推定、電力作動、及び同期を可能にするコントローラーに結合することができる。
【0091】
加熱サブシステム365は、付加的又は代替的に、要素の実施形態、変形例、及び例を備えることができる。これについては、上述のように、2020年5月5日に出願された米国特許出願第16/867,235号、2020年5月5日に出願された米国特許出願第16/867,256号、2020年3月12日に出願された米国特許出願第16/816,817号、2019年9月9日に出願された米国特許出願第16/564,375号、2018年8月28日に出願された米国特許出願第16/115,370号、2018年8月28日に出願された米国特許出願第16/115,059号、2018年7月27日に出願された米国特許出願第16/048,104号、2018年7月30日に出願された米国特許出願第16/049,057号、2017年9月29日に出願された米国特許出願第15/720,194号、2017年2月13日に出願された米国特許出願第15/430,833号、2017年11月22日に出願された米国特許出願第15/821,329号、2017年10月12日に出願された米国特許出願第15/782,270号、2018年7月30日に出願された米国特許出願第16/049,240号、及び2017年11月16日に出願された米国特許出願第15/815,532号に記載されており、これらの米国特許出願は、それぞれその全体を参照により本明細書に援用する。
【0092】
3.4 撮像サブシステム
図5及び
図6に示されているように、プラットフォーム300は、撮像装置ステージ377に結合される撮像装置376を含む撮像サブシステム375を備えることができ、撮像サブシステム375は、マイクロウェルアセンブリのサンプル処理領域のマイクロウェルの内容物から発生する信号の迅速検出の実行を可能にするように機能する。撮像サブシステム375は、サンプルごとに段階的な及び/又は複数のアッセイの実行を可能にするために、リアルタイム及び/又はエンドポイント蛍光の能力を提供するように機能する。しかしながら、変形例において、撮像サブシステム375は、画像生成を伴わずにマイクロウェルアセンブリの内容物からの光信号を検出するように構成される、光学検出要素によって置き換える又は補完することができる。
【0093】
変形例において、撮像サブシステム375は、光学構成要素(例えば、フィルター、ミラー、レンズ等)と、マイクロウェルアセンブリにおけるサンプルからの光の複数の色/波長範囲を検出するように構成される光センサーとを備える。特定の例において、撮像サブシステム375は、色ごとに最大3つの融解の融解分析を用いる6色蛍光のために構成され、それにより、サンプルごとに最大18のアッセイを可能にする。しかしながら、他の変形例において、撮像サブシステム375は、別の好適な数の色/波長範囲(例えば、3~15の波長範囲)及び/又は別の好適な数の色ごとの融解分析(例えば、2~6の融解分析)のために構成することができる。さらに、更なる多重サンプル処理及び標的検出を可能にする発光及び/又は励起フィルターが含まれる場合がある。
【0094】
変形例において、撮像サブシステム375は、付加的又は代替的に、マイクロウェルアセンブリのユニットにおいてサンプルに向かって光の励起波長を伝達するために、明視野撮像のために、及び/又は他の好適な目的で、照明要素(例えば、LED、他の照明器)を備えることができる。
【0095】
図5及び
図6に示されているように、撮像装置376は、(例えば、上述の引出しによって)デッキにおいて位置決めされたマイクロウェルアセンブリの1つ又は複数のユニットに対して撮像装置376を駆動するために、及び/又は合焦動作のために、撮像装置ステージ377に結合することができる。しかしながら、撮像装置376及び撮像装置ステージ377は、代替的に、別の好適な方法で構成してもよい。さらに、撮像装置376は、ベース基板110/カバー層210アセンブリのユニットを挟んで加熱サブシステムに対向するように構成することができる。さらに、撮像装置376は、いくつかの変形例において、コンベヤ312の下に位置決めしてもよい。しかしながら、撮像装置376は、代替的な変形例において、別様に位置決めしてもよい。
【0096】
撮像サブシステム375は、付加的又は代替的に、要素の実施形態、変形例、及び例を備えることができる。これについては、上述のように、2020年5月5日に出願された米国特許出願第16/867,235号、2020年5月5日に出願された米国特許出願第16/867,256号、2020年3月12日に出願された米国特許出願第16/816,817号、2019年9月9日に出願された米国特許出願第16/564,375号、2018年8月28日に出願された米国特許出願第16/115,370号、2018年8月28日に出願された米国特許出願第16/115,059号、2018年7月27日に出願された米国特許出願第16/048,104号、2018年7月30日に出願された米国特許出願第16/049,057号、2017年9月29日に出願された米国特許出願第15/720,194号、2017年2月13日に出願された米国特許出願第15/430,833号、2017年11月22日に出願された米国特許出願第15/821,329号、2017年10月12日に出願された米国特許出願第15/782,270号、2018年7月30日に出願された米国特許出願第16/049,240号、及び2017年11月16日に出願された米国特許出願第15/815,532号に記載されており、これらの米国特許出願は、それぞれその全体を参照により本明細書に援用する。
【0097】
3.1.4 他のプラットフォーム要素
変形例において、プラットフォーム300は、(例えば、ベース380において)サンプル処理用の流体送達、流体レベル検知、様々なサブシステムの作動、熱サイクル及び/又は他の加熱若しくは冷却機能、マイクロウェル内の混合を向上させる磁気駆動サブシステム、特定の試薬ビーズを送達するために磁気ビーズの目標どおりの送達を行う磁気駆動サブシステム、駆動サブシステム370を制御する機能、センサー信号を受信し、出力を返すことを伴う機能、センサー信号を受け取り、様々な動作を実行することを伴う機能、システムの電力管理に関連する機能、システムステータス表示要素(例えば、光、音声出力装置、視覚出力装置等)に関連する機能、システム入力装置(例えば、ボタン、キーボード、キーパッド、マウス、ジョイスティック、スイッチ、タッチスクリーン等)に関連する機能、表示装置に関連する機能、システムデータ記憶装置に関連する機能、システム送信装置(例えば、有線送信装置、無線送信装置等)に関連する機能、並びに他の好適な機能を含む、1つ又は複数のシステム機能のための制御及び処理アーキテクチャを支持することができる。したがって、変形例において、プラットフォーム300は、処理アーキテクチャ(例えば、システムに搭載されたもの、システムとは別個のもの等)に関連する電子サブシステム(例えば、プリント回路基板(PCB)要素、電源、通信モジュール、エンコーダー等)、又は他の任意の好適な構成要素を支持することができ、ここで、処理アーキテクチャは、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、コントローラー(例えば、マイクロコントローラー)、メモリ、記憶装置、ソフトウェア、ファームウェア、又は他の任意の好適な構成要素のうちの任意のもの又は全てを含むことができる。さらに、処理サブシステムは、タグを読み取り、プロトコルを検証し、誤差検出(例えば、試薬が、割り当てられたプロトコルと一致しないことを検出する)を実行し、又は他の任意の機能を実行する、マシンビジョンアーキテクチャを備えることができる。
【0098】
更なる要素の実施形態、変形例、及び例は、2018年7月27日に出願された米国特許出願第16/048,104号、2018年7月30日に出願された米国特許出願第16/049,057号、2017年9月29日に出願された米国特許出願第15/720,194号、2017年2月13日に出願された米国特許出願第15/430,833号、2017年11月22日に出願された米国特許出願第15/821,329号、2017年10月12日に出願された米国特許出願第15/782,270号、2018年7月30日に出願された米国特許出願第16/049,240号、2017年11月16日に出願された米国特許出願第15/815,532号、2018年8月28日に出願された米国特許出願第16/115,370号、2019年9月9日に出願された米国特許出願第16/564,375号、及び2020年3月12日に出願された米国特許出願第16/816,817号に更に記載されており、これらは、上記参照により本明細書に援用する。しかしながら、プラットフォームは、付加的又は代替的に、他の好適な要素を含んでもよい。
【0099】
4. 方法及び使用する用途
図8に示されているように、標的検出及び特性評価を行う方法400の一実施形態は、動作シーケンスにおいて、サンプル(例えば、異なるサンプルのセット、同じサンプルの分量のセット等)及び/又は他の材料をマイクロウェルアセンブリのサンプル処理領域のセットに送達すること(S410)と、カバー層をマイクロウェルアセンブリに適用すること(S420)と、マイクロウェルアセンブリを加熱体と撮像サブシステムとの間での位置合わせ状態に遷移させること(S430)と、加熱体をマイクロウェルアセンブリに対して付勢することにより、カバー層をサンプル処理領域のセットに押し付けるとともに、サンプル処理領域におけるサンプルの区画を隔離すること(S440)と、撮像サブシステムによる標的検出と協調して、マイクロウェルアセンブリにおいてサンプルのセットを加熱体によって処理すること(S450)とを含むことができる。
【0100】
付加的又は代替的に、方法400は、2018年7月27日に出願された米国特許出願第16/048,104号、2018年7月30日に出願された米国特許出願第16/049,057号、2017年9月29日に出願された米国特許出願第15/720,194号、2017年2月13日に出願された米国特許出願第15/430,833号、2017年11月22日に出願された米国特許出願第15/821,329号、2017年10月12日に出願された米国特許出願第15/782,270号、2018年7月30日に出願された米国特許出願第16/049,240号、2017年11月16日に出願された米国特許出願第15/815,532号、2018年8月28日に出願された米国特許出願第16/115,370号、2019年9月9日に出願された米国特許出願第16/564,375号、及び2020年3月12日に出願された米国特許出願第16/816,817号に記載されているプロセスのうちの任意のもの又は全てを含むことができ、これらの米国特許出願は、それぞれその全体を参照により本明細書に援用する。
【0101】
実施形態において、方法400は、比較的少数の区画(例えば、小さなフットプリントを有する1000区画未満のマイクロウェルアセンブリ)を使用して、高いダイナミックレンジ(例えば、5log~10logのダイナミックレンジ、10log超のダイナミックレンジ等)での小体積のサンプル分画の処理を効率的に可能にすることができる。特に、そのような構成は、結果を迅速に得るために、熱サイクル(例えば、低減したランプ時間)における効率、及び撮像サブシステムによる走査時間の低減をもたらす。実施形態において、そのようなマイクロウェルアセンブリは、マイクロウェルアセンブリの一方の側からのみ加熱する迅速な熱サイクルを可能にすることができ、それにより、例において20分(未満)以内でエンドポイントPCR結果が得られ、熱サイクルのサイクルの合間に走査が実施される場合、結果を得るまでの継続時間は僅かに長くなる。しかしながら、両側からの加熱を実施することもできる。
【0102】
さらに、マイクロウェルの特徴的寸法における勾配を有するマイクロウェルサブアレイを使用すると、方法400は、サンプルに関連する個々のサブアレイからの信号(例えば、蛍光に基づく信号)を読み取ることで、予備的な結果の迅速な生成を可能にすることができる。例えば、特定のサンプルの最大の部分体積を保持する最大のサブアレイからの信号をリアルタイムで読み取ることによって、アッセイ(複数の場合もある)の完了の前に高精度で、標的検出及び特性評価の代表的な平均結果を生成することができる。したがって、方法400は、好適な信頼限界を有する予備的な結果をもたらすために、マイクロウェルサブアレイのセットにわたるサンプルの分配及びマイクロウェルサブアレイのセット内でのサンプルの処理を並列に行うことで、予備的な代表結果が、マイクロウェルサブアレイのセットのうちのマイクロウェルサブアレイ(例えば、最大の特徴的容積のウェルを有するマイクロウェルサブアレイ)の平均信号から生成される、動作モードを含むことができる。
【0103】
さらに、加熱体及びカバー層を使用してマイクロウェルアセンブリを封止すると、気泡形成の影響を軽減するように機能し、それにより、そのような問題が解決される。
【0104】
さらに、方法400の実施形態は、個々のマイクロウェルごと及びサンプルごとの蛍光発生中のリアルタイムの積分をもたらすことができる。
【0105】
例えば、増幅反応中、個々のマイクロウェルの内容物から及び/又はサンプルごとに生成されるリアルタイム蛍光信号情報を取得及び積分することで、特異的増幅と非特異的増幅とを区別する情報を(例えば、レポートにおいて)提供することができる。さらに、定量PCR(qPCR)に関連するパラメーターは、結果が提供される前の継続時間を大幅に低減するように、マイクロウェルアレイのサブセットにわたるリアルタイム信号積分から決定することができる。
【0106】
特に、反応がバックグラウンドレベル又は別の好適な閾値を超える蛍光強度に達したときの閾値サイクル/定量化サイクルに関連するパラメーター(例えば、Ct、Cp、テイクオフポイント(TOP)、Cq)に関して、リアルタイム信号積分から計算される値は、エンドポイント読取りのためにプログラミングされた熱サイクルの前の熱サイクルにおいて明らかとなり、それにより、結果を得るまでの時間を大幅に低減することができる。付加的又は代替的に、変性及び融解反応中、個々のマイクロウェル及び/又はサンプルから検出されたリアルタイムの蛍光変化(例えば、蛍光の減少)を取得及び積分することで、標的に関する情報及び増幅されたシーケンスを提供することができる。融解曲線分析に基づくこのアッセイ同定は、アッセイ多重化能力を更に拡大する。したがって、サンプル処理領域のセットからの蛍光信号及び/又は非蛍光信号のリアルタイム積分を使用して、信号(例えば、蛍光信号)が関連する閾値(例えば、蛍光の変化に関する)に交差するときを検出することができる。
【0107】
さらに、分析は、各区画の体積全体を通して取得される情報及び/又は区画の特定の表面から取得される情報に基づいて生成することができる。そのような用途の1つにおいて、表面への特定の生成物の結合の検出は、体積分析とは独立して(例えば、マイクロウェル表面における標的及び/又は非標的物質を捕捉する上述の構造に関して)実行することができる。
【0108】
方法400の実施形態、変形例、及び例は、上述したシステムの一実施形態、変形例、又は例(例えば、様々な要素間の内容物の送達及び/又はサンプル処理に関連する)によって実行されることが好ましいが、付加的又は代替的に、他の任意の好適なシステムによって実行してもよい。方法400は、少なくとも部分的に自動化される(例えば、ユーザーによる試薬の装填及びプロトコルの選択を必要とする、ユーザー介入を必要としない等)ことが更に好ましいが、付加的又は代替的に、1つ又は複数の部分を(例えば、品質管理ステップのために、全てのプロトコルのために、稀なプロトコルのために等)手動で実行してもよい。
【0109】
変形例において、方法400は、サンプルから迅速かつ多重化された方法で標的物質を検出するように適合することができる。サンプルは、組織、組織成分、単一の細胞、細胞小器官、ウイルス、ウイルス成分、タンパク質、ペプチド、単一の細胞/組織から放出された他の生成物、細菌、他の有機体、核酸物質(例えば、細胞DNA、無細胞DNA、RNA等)、及び/又は他の物質を含む。標的は、分析物、化学物質、核酸物質、タンパク質、アミノ酸、ペプチド、及び/又は他の好適な標的物質を含むことができる。
【0110】
上述した方法400及びシステム要素に関連する特定のワークフローが更に詳細に後述され、ここで、サンプルは、ワークフローに従って処理することができる。
【0111】
4.1 方法-複数のサンプルの小体積PCRを並列に行う例示のワークフロー
図9に示されているように、ブロックS410は、動作シーケンスにおいて、サンプル及び/又は他の物質をマイクロウェルアセンブリのサンプル処理領域のセットに送達することを記載している。実施形態において、システムは、方法400の後続のステップにおいてサンプルを処理する準備として、サンプル処理システムのデッキに、マイクロウェルアセンブリのユニットを含むサンプル処理要素のセットを位置決めすることができる。システムは、上述した駆動サブシステムを使用して及び/又はシステムオペレーターによる手動操作によって、下流の処理ステップのためのサンプル処理要素のセットを構成することができる。他の変形例において、ステップS410は、複数のサンプルを並列に処理するために別の好適な方法でサンプル処理要素を構成することができる。下流のサンプル処理動作の準備として、ステップS410は、マイクロウェルアセンブリのユニットのベース基板をプラットフォームの液体装填位置に移行することと、プラットフォームのカメラを使用してプレート識別子を読み取ることとを含むことができる。次いで、システムは、正しいサンプルが処理されているかを検証し、サンプル処理結果をプレート識別子に関連するランと関連付けるために、プレート識別子を、処理を行うサンプルの識別子と照合することができる。しかしながら、ステップS410は、他の変形例において、他のラン準備ステップを含むことができる。
【0112】
ステップS410は、付加的又は代替的に、他のサンプル調製ステップを含むことができる。例えば、ステップS410は、組織、血液、原材料、又は他の生体物質に由来するサンプル物質(例示のサンプルタイプは上述されている)を、マイクロウェルアセンブリのベース基板のサンプル処理領域のセット内に分配することができるように処理する動作を含むことができる。変形例において、ステップS410は、処理される各サンプルの体積を媒体、試薬(例えば、プローブ取付け用、バーコード取付け用等)、バッファー、乾燥若しくは液体形態の他の処理物質、又は他の物質と混合することと、サンプルを(例えば、マイクロウェルにおけるサンプルの装填、異なる特徴的寸法を有するマイクロウェルにわたる均一なサンプルの分配、詰まり、検出等に影響し得る粒子を除去するために)フィルタリングすることであって、隣り合うマイクロウェル間のピッチに基づいて限定的な粒子サイズを包含し得ることと、サンプルを洗浄することと、サンプルのセットを、マイクロウェルアセンブリのベース基板のサンプル処理領域のセットに移送することと、他の任意の好適なサンプル調製ステップとのうちの1つ又は複数を含むことができる。ステップS410は、上記第3節に記載したプラットフォームの流体ハンドリング要素を使用して、又は他の好適な装置構成要素を使用して実行することができる。
【0113】
ステップS410においてサンプルを移送することに関連して、ステップS420において適用されるマイクロウェルアセンブリのベース基板とカバー層との間の隙間によって可能にされる、サンプル処理領域の一端部からの毛細管流によって、各サンプルに関連するそれぞれのマイクロウェル表面にわたる液滴形状のサンプルの所定の送達を使用して、移送を実施することができる。変形例において、処理されるサンプルのセットのそれぞれは、ベース基板のサンプル処理領域において順番に受け容れられるように移送することができる。代替的に、サンプルのセットを、ベース基板のサンプル処理領域内に同時に分注してもよい(例えば、マルチヘッド流体分注装置を使用する、他の装置を使用する)。したがって、ステップS410は、1つ又は複数の方法に従って並列にサンプル処理領域のセットの勾配にわたってサンプルのセットを自動的に分配することを含むことができる。
【0114】
ステップS420は、カバー層をマイクロウェルアセンブリに適用することを記載しており、これは、下流処理及び熱サイクルステップ中、サンプルのセットに適切な環境を保護し、その維持を容易にするように機能する。変形例において、ステップS420は、上記第3節に記載され、
図6及び
図7に示されているプラットフォームの駆動サブシステムに結合される要素(例えば、加熱ブロックの駆動、変形把持要素の駆動等)を使用して、又は他の好適な装置を使用して実行することができる。しかしながら、ステップS420は、別の好適な方法で実施してもよい。
【0115】
ステップS430は、マイクロウェルアセンブリを加熱体と撮像サブシステムとの間での位置合わせ状態に遷移させることを記載しており、これは、マイクロウェルアセンブリを、様々なアッセイ(例えば、デジタルPCRアッセイ、qPCRアッセイ、MPNアッセイ等)に関連する迅速な熱サイクル及び各区画からの標的検出(例えば、蛍光信号、比色信号、他の信号のリアルタイム信号積分を用いる)のためにステージングするように機能する。ステップS430は、上記第3節に記載したデッキの搬送要素(例えば、摺動式引出し)、ロボットアーム、他の駆動サブシステム、又は別の好適な要素を使用して実施することができる。
【0116】
ステップS440は、加熱体をマイクロウェルアセンブリに対して付勢することにより、カバー層をサンプル処理領域のセットに押し付けるとともに、サンプル処理領域におけるサンプルの区画を隔離することを記載している。ステップS440は、各サンプル処理領域及び/又は区画を封止し、クロスコンタミネーションを防止し、及び/又は気泡形成の影響を軽減するように機能する。ステップS440において、システムは、加熱ブロックを通してカバー層に熱を印加することにより、熱接合を使用して、カバー層によるマイクロウェルアセンブリの区画の封止を促進することができる。付加的又は代替的に、カバー層は、カバー層をマイクロウェルアセンブリのベース基板に押し付けることで、マイクロウェルアセンブリの区画が封止されるように、接着部分を備えてもよい。付加的又は代替的に、上記第3節に記載したサンプル処理プラットフォームの別の好適な部分は、下流の処理ステップの前に、カバー層をベース基板のサンプル処理領域のセットに押し付けることができる。
【0117】
ステップS450は、撮像サブシステムによる標的検出と協調して、マイクロウェルアセンブリにおいてサンプルのセットを加熱体によって処理すること(S450)を記載している。ブロックS450は、マイクロウェルアセンブリの特有の構成を使用してサンプルの効率的な熱サイクルを行うとともに、結果を迅速に得るために、撮像サブシステムによる走査時間を低減するように機能する。実施形態において、ステップS450は、マイクロウェルアセンブリ区画の走査と協調して、マイクロウェルアセンブリの一方の側からのみ加熱を適用することにより、例において20分(未満)以内にエンドポイントPCR結果が得られ、熱サイクルのサイクルの合間に走査が実施される場合、結果を得るまでの継続時間は僅かに長くなる。しかしながら、ステップS450において、両側からの加熱を実施することもできる。
【0118】
変形例において、ステップS450は、サンプルごとに複数のアッセイの実行を可能にするために、リアルタイム又はエンドポイント蛍光の能力を提供する、上記第3節に記載した計算構成要素の画像分析アーキテクチャと協調して、撮像サブシステムの照明構成要素及び光学構成要素を実施することができる。より詳細には、ステップS450は、各サンプル処理領域の各マイクロウェルアセンブリにおける反応/処理を受けるサンプルからの光の複数の色/波長範囲の検出をもたらすことができる。したがって、本方法は、迅速かつ効率的な方法で多重化標的検出をもたらすように、色のセットに対する多色蛍光信号を返すことができる動作モードをサポートすることができ、ここで、融解/融解温度のセットが色のセットのそれぞれに対応し、融解温度のセットは、サンプルの異なる標的に対応する。
【0119】
変形例において、色のセットは、検出を行う最大6つの色/波長範囲を含むことができるが、代替的な変形例において、色のセットは、検出を行う6つよりも多くの色/波長範囲を含むことができる。変形例において、色のセットのそれぞれは、特定の標的に関連する最大3つの融解/変性点に対する分析を提供することができるが、色のセットのそれぞれは、処理されるサンプルの標的物質に関連する3つよりも多くの融解/変性点に対する分析を提供することができる。変形例において、実装される色チャネルは、電磁放射線の可視スペクトル内及び/又は可視スペクトル外の励起及び/又は発光波長に関連することができる。
【0120】
標的物質のタグ付けに関して、実装されるフルオロフォアファミリーは、キサンテン誘導体、シアニン誘導体、スクアライン誘導体、スクアラインロタキサン誘導体、ナフタレン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、オキサジン誘導体、アクリジン誘導体、アリールメチン誘導体、テトラピロール誘導体、ジピロメテン誘導体、及び/又は他の化学物質を含む化学ファミリーに関連することができる。そのようなフルオロフォアは、標的物質のタグ付けの必要に応じて他の官能基に更に付着することができる。
【0121】
例において、標的物質のタグ付け及び検出に用いる核酸色素は、ヘキスト色素、DAPI色素、SYTOX色素、クロモマイシン色素、ミトラマイシン色素、YOYO色素、臭化エチジウム色素、アクリジンオレンジ色素、TOTO色素、チアゾール色素、CyTRAK色素、ヨウ化プロピジウム色素、LDS色素、及び/又は他の色素のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0122】
例において、標的物質のタグ付け及び検出に用いる細胞機能色素は、indo-1、Fluo-3、Fluo-4、DCFH、DHR、SNARF、及び/又は他の色素のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0123】
例において、標的物質のタグ付け及び検出に用いる蛍光タンパク質は、CFP、EBFP、アズライト、T-サファイア、セルリアン、mCFP、mターコイズ、ECFP、CyPet、及び/又は他の蛍光タンパク質のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0124】
変形例において、ステップS450に関して、撮像サブシステムは、マイクロウェルアセンブリの全てのサンプル処理領域に対して同時に、及び/又はマイクロウェルアセンブリの1つ又は複数のサンプル処理領域に対して順番に、蛍光、比色変化、及び/又は他の信号の光学検出を走査/提供するための動作モードを提供することができる。付加的又は代替的に、撮像サブシステムは、サンプル処理領域の全てのマイクロウェルサブアレイに対して同時に、及び/又はサンプル処理領域の1つ又は複数のマイクロウェルサブアレイに対して順番に、蛍光、比色変化、及び/又は他の信号の光学検出を走査/提供するための動作モードを提供することができる。
【0125】
撮像又は他の光学検出と反応に関連する加熱との間の協調を伴う変形例において、ステップS450は、個々の熱サイクルラン又は他の加熱/冷却フェーズの合間(例えば、前、後)に、撮像又は光学検出を実行することを含むことができる。付加的又は代替的に、ステップS450は、個々の熱サイクルラン又は他の加熱/冷却フェーズと同期的に(例えば、同時に、それに重複して)、撮像又は光学検出を実行することを含むことができる。撮像又は光学検出は、複数の色/波長範囲に対して同時に、又は代替的に、個々の色/波長範囲に対して順番に実行することができる。したがって、ステップS450において、システムは、好適な加熱及び/又は冷却プロファイルを使用して、加熱体、関連する温度センサー、放熱要素、及び関連する制御回路部を使用して、撮像と協調して、サンプルの熱サイクルを制御可能に行うことができる。
【0126】
ステップS450の変形例において、撮像サブシステムは、結合された信号処理アーキテクチャと協調して、様々な閾値に関する信号のリアルタイム信号積分を実行することができる。例えば、反応がバックグラウンドレベルを超える強度を有する信号を生成する閾値に関して、マイクロウェル(例えば、最大のマイクロウェルを有するマイクロウェルサブアレイ、他の寸法のマイクロウェルを有するマイクロウェルサブアレイ等)からの信号が閾値に交差した場合、所望の大きさ若しくは倍率だけ閾値を上回った場合、又は閾値よりも低い場合(例えば、融解及び変性に関連する)、撮像サブシステムは、結合された信号処理アーキテクチャと協調して、動作を実行する(例えば、通知を返す、分析を返す)ことができる。この動作は、個々のマイクロウェルからの信号及び/又はマイクロウェルのサブセットからの平均信号が閾値に対して変化した場合、実行することができる。
【0127】
したがって、1つの変形例において、撮像サブシステムは、各サンプル処理領域の個々のマイクロウェルサブアレイからの信号を検出し、マイクロウェルのグループに対して信号を平均化し、個々の信号又は平均信号をそれぞれの閾値と比較することができる。サンプル処理領域(複数の場合もある)の個々の及び/又はグループ化されたマイクロウェルからの結果が好適な閾値条件を通過すると、システムは、エンドポイントの前に好適な信頼性を有する予備的な結果を返すことができ、それにより、予備的な結果を効率的な方法でもたらすことができる。
【0128】
特定の例において、撮像サブシステムは、色ごとに最大3つの融解に対する融解分析を伴う6色蛍光のために構成することができ、それにより、サンプルごとに最大18のアッセイが可能になる。一方、他の変形例において、撮像サブシステムは、別の好適な数の色/波長範囲及び/又は別の好適な数の色ごとの融解分析のために構成することができ、それにより、多重化された方法でサンプルごとに多数のアッセイを実行することが可能になる。加えて、各サンプルにおいて色ごとに実行されるアッセイの数は、異なるレベルのプローブ振幅を使用することによって増大させることができる。標的特異性プライマー又はプローブを含有するバーコード付きビーズを使用することによって、サンプルごとに実行されるアッセイの数を更に増大させることができる。その実施形態、変形例、及び例は、2020年6月2日に出願された米国特許出願第16/890,417号に記載され、この米国特許出願は、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0129】
例において、システムは、撮像サブシステムを使用した走査動作を協調して実行することもできる。走査は、反応が進むにつれて動的にデータを生成するように、熱サイクルが完了した後に及び/又は熱サイクルのサイクルと協調して(例えば、サイクルの合間に)実行することができる。そのような用途の1つにおいて、マイクロウェルの特徴的寸法における勾配を有するマイクロウェルサブアレイを使用して、ステップS450は、サンプルに関連する個々のサブアレイから信号(例えば、蛍光に基づく信号)を読み取ることで、予備的な結果を迅速に生成することを可能にすることができる。例えば、ステップS450において、特定のサンプルの最大の部分体積を保持する最大のサブアレイからの信号をリアルタイムで読み取ることによって、標的検出及び特性評価に対する代表的な平均結果を、アッセイ(複数の場合もある)の完了前に高精度で生成することができる。
【0130】
例において、ステップS450は、エンドポイントPCRの場合、システムによるサンプルハンドリングの20分以内、又は、撮像サブシステムによる走査が熱サイクルの合間に実施される場合、30分以内の結果読出しを達成することができる。
【0131】
ステップS450の変形例において、システムは、蛍光/比色信号及び関連する性質(例えば、強度)の検出のために、1つ又は複数の変換アルゴリズム(例えば、フィルタリング動作、フィッティング動作、マイクロウェル認識動作、登録動作、バックグラウンド低減動作、信号増幅動作等)によってマイクロウェルアセンブリの画像を処理し、及び/又は他の好適な画像処理動作を実行することができる。次いで、システムは、上記参照により援用される出願に記載されている様々な方法に基づく分析を生成することができる。
【0132】
しかしながら、システム実施形態(複数の場合もある)は、記載したワークフローの変形例及び/又は他のワークフローを含む、他のワークフローを実施するように構成することができる。例えば、適用可能なワークフローは、上述していないPCRアッセイ、ループ介在等温増幅(LAMP)アッセイ、リコンビナーゼポリメラーゼ反応、及び/又は他の増幅反応のうちの1つ又は複数を含むことができる。付加的又は代替的に、ワークフローは、反応生成物の純度を分析するために、上述していない他の融解曲線分析に関連することができる。
【0133】
5. 結論
図は、好ましい実施形態、例示の構成、及びその変形例に係るシステム、方法、及びコンピュータープログラム製品の可能な実施態様のアーキテクチャ、機能、及び動作を示している。これに関して、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、指定された論理機能(複数の場合もある)を実施するための1つ又は複数の実行可能命令を含む、モジュール、セグメント、又はコードの一部を表し得る。また、いくつかの代替的な実施態様において、ブロックに示されている機能は、図に示されている順序から外れて行われる場合があることに留意すべきである。例えば、関連する機能に応じて、順番に示されている2つのブロックは、実際、実質的に同時に実行してもよく、又は、それらのブロックは、ときには逆順で実行してもよい。ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、及びブロック図及び/又はフローチャート図におけるブロックの組合せは、指定された機能又は動作を実行する専用のハードウェアベースのシステム、又は専用のハードウェア及びコンピューター命令の組合せによって実施することができることも留意されよう。
【0134】
当業者であれば、上記の詳述から、また図及び特許請求の範囲から、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に対して変形及び変更を加えることができることを理解するであろう。
【国際調査報告】