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特表2023-545597空気中の粒子、特に特定の大きさのウイルスによる過度に高い空気汚染を警告するための警告検出器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】空気中の粒子、特に特定の大きさのウイルスによる過度に高い空気汚染を警告するための警告検出器
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/12 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
G08B21/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574204
(86)(22)【出願日】2021-08-11
(85)【翻訳文提出日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 EP2021072407
(87)【国際公開番号】W WO2022083914
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】102020127714.8
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
2.BLUETOOTH
3.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】507336503
【氏名又は名称】エーベーエム‐パプスト・ムルフィンゲン・ゲー・エム・ベー・ハー・ウント・コー・カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】EBM‐PAPST MULFINGEN GMBH & CO. KG
【住所又は居所原語表記】BACHMUEHLE 2, 74673 MULFINGEN, BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】ヴィシュトゥプ ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュム マルクス
【テーマコード(参考)】
5C086
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086AA38
5C086BA07
5C086CA11
5C086DA08
5C086FA01
5C086FA11
5C086FA18
(57)【要約】
本発明は、粒子、特に特定の大きさのウイルスを伴う空気の過度に高い空気の汚染を警告するための警告検出器に関し、警告検出器は、空気の第1のサンプルでの第1の光散乱と空気の第2のサンプルでの第2の光散乱との差を決定することによって、空気中の特定の標的直径の振動でフラグメント化可能な粒子の濃度を決定するように設計されたセンサーユニットを備え、第1のサンプル中の粒子は、第2のサンプル中の粒子が振動によってフラグメント化されている状態で影響を受けず、警告検出器は、所定の制限値の濃度に到達したときに、粒子を伴う空気中の濃度を報告するように設計された報告ユニットを備える。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子、特に特定の大きさのウイルスを伴う空気の過度に高い汚染を警告するための警告センサーであって、
前記警告センサーは、前記空気の第1のサンプルでの第1の光散乱と前記空気の第2のサンプルでの第2の光散乱との差を決定することによって、前記空気中の特定の標的直径の振動でフラグメント化可能な粒子の濃度を決定するように設計されたセンサーユニットを備え、
前記第1のサンプル中の前記粒子は影響を受けず、前記第2のサンプル中の前記粒子は振動によってフラグメント化されており、
前記警告センサーは、所定の制限値の濃度に到達したとき、前記空気中の前記粒子の濃度を報告するように設計された報告ユニットを備える、前記警告センサー。
【請求項2】
前記報告ユニットは、前記制限値及び/もしくは前記濃度に到達したことを視覚的に報告するように設計された表示ユニットを備え、
ならびに/または、前記報告ユニットは、前記制限値及び/もしくは前記濃度に到達したことを聴覚的に報告するように設計されたスピーカーユニットを備える、請求項1に記載の警告センサー。
【請求項3】
前記報告ユニットは有線信号伝送用の伝送ユニットを備え、前記伝送ユニットは、電気信号を受信機に伝送することによって、前記制限値及び/または前記濃度に到達したことを報告するように設計される、請求項1または2に記載の警告センサー。
【請求項4】
前記報告ユニットは、無線信号を無線受信機に伝送することによって、前記制限値及び/または前記濃度に到達したことを報告するように設計された無線信号伝送用の送信ユニット及び/または受信ユニットを備える、先行請求項のいずれか1項に記載の警告センサー。
【請求項5】
前記警告センサーは、特に固有識別番号及び/または位置データである、前記警告センサーの特有の識別データを記憶するように設計された記憶ユニットを備え、
前記報告ユニットは、前記伝送時に前記識別データを送信するように設計される、先行の請求項3または4のいずれか1項に記載の警告センサー。
【請求項6】
前記送信ユニットは、前記制限値及び/または前記濃度に到達したことを、複数の無線受信機に、前記送信ユニットに割り当てられた単一の無線受信機に、または送信時に前記送信ユニットの送信範囲内に位置する全ての無線受信機に、連続的にまたは一定間隔で送信するように設計される、先行の請求項4または5のいずれか1項に記載の警告センサー。
【請求項7】
先行請求項のいずれか1項に記載の警告センサーと、端末とで構成されるシステムであって、
前記端末は、請求項3に記載の受信機または請求項4に記載の無線受信機であり、
前記端末は、前記制限値及び/または前記濃度に到達したことを示す前記報告ユニットから信号を受信すると、前記制限値及び/または前記濃度に到達したことを、視覚的に、聴覚的に、及び/または触覚的に報告するように設計される、前記システム。
【請求項8】
前記端末は、前記信号の信号強度に基づいて及び/または請求項5に記載の報告ユニットによって前記信号とともに伝送された識別データに基づいて、前記警告センサーに対する位置及び/または前記警告センサーからの距離を決定するように設計される、先行請求項に記載のシステム。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか1項に記載の警告センサーと、データベースを有するサーバーとで構成されるシステムであって、
前記警告センサーの前記報告ユニットは、請求項5に記載の記憶ユニットと、請求項3に記載の伝送ユニットまたは請求項4に記載の送信ユニットとを備え、データセットとして前記識別データと一緒に前記制限値及び/または前記濃度に到達したことを前記サーバーに伝送するように設計され、
前記サーバーは、前記データセットを前記データベースに記憶するように、及び/または前記識別データに基づいて前記データベースに記憶された情報項目を前記データセットに割り当てるように設計される、前記システム。
【請求項10】
前記データベースに記憶された前記情報項目は、連絡担当者の連絡先データを含み、
前記サーバーは、前記データセットを前記記憶された情報項目に割り当てると、メッセージを前記連絡担当者に伝送するように設計される、先行請求項に記載のシステム。
【請求項11】
送信ユニット及び/または受信ユニットとしてブルートゥースビーコンを備える、報告ユニットを有する少なくとも請求項4に記載の警告センサーによって、ブルートゥースモジュールを備えるモバイル端末を有する人に警告する方法であって、
前記モバイル端末が前記警告センサーの前記報告ユニットの送信範囲内及び/または受信範囲内に位置するため、前記警告センサーは前記モバイル端末と通信でき、
前記送信ユニットは、連続的に、一定間隔で、または制限値に到達すると、空気中の粒子の濃度を前記モバイル端末に伝送し、前記モバイル端末は、前記制限値に到達すると前記人に警告し、
及び/または、前記モバイル端末は固有識別番号を前記警告センサーに伝送し、前記警告センサーは、連続的に、一定間隔で、もしくは前記制限値に到達すると、少なくとも所定のタイムフレームで前記識別番号を記憶し、前記モバイル端末は、前記制限値に到達したことを、移動無線信号またはネットワーク信号によって前記モバイル端末に伝送し、前記モバイル端末は前記人に警告する、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルスまたは他の病原体である可能性が十分に高い、特定の大きさの粒子による空気、特に室内の空気の過度に高い汚染を警告するための警告検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの病気または病原体、特に病原性ウイルスが存在し、これらは空気を介して、特にエアロゾルを介して伝播し、ひいては、エアロゾル粒子として空気中に存在する。したがって、空気中のそのようなウイルスを検出することが可能であることと、所定の制限値を超えた場合にウイルスの存在を警告することが可能であることとが望ましい。制限値は、例えば、ここでは、空気中の粒子の濃度であり得、その濃度から、人への感染の可能性がますます高くなる。
【0003】
病原体が空気中に存在するかどうかに関する最初の評価について、そして潜在的に存在する病原体が起源であるリスクの評価について、最初に病原体またはウイルスが正確に何であるかを知る必要はないが、そのような病原体が特定の確率で及び特定の濃度で存在することだけを知る必要がある。濃度が以前に定義された制限値を超える場合、または濃度が非常に急速に変化する場合、その場にいる人または責任者に警告することに役立つため、これらの人員は、濃度が測定された部屋を離れる、またはリスクを回避もしくは低減するためのさらなるステップを開始できる。
【0004】
従来技術では、非常に多様な警告センサー、例えば火災警報器または煙探知器が知られているが、これらは、空気中の粒子として存在する潜在的病原体を検出できず、警告によって影響を受ける人に広範囲に通知できない。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明は、上述の欠点を克服し、警告検出器、またはそのような警告検出器を備えるシステムを提供する目的に基づいており、本発明によって、病原体である可能性が十分に高い、特定の大きさの空気中に存在する粒子、または空気中の粒子の濃度を超えていることを、影響を受ける人に迅速に及び効率的に警告できる。
【0006】
この目的は、請求項1に記載の特徴の組み合わせによって達成される。
【0007】
本発明の基本概念は、センサーユニットを有する警告センサーを提供することであり、センサーは参照番号DE10 2020 120 199.0及びDE10 2020 124 740.0が付された出願に従って設計され、その結果、影響を受ける人に迅速に及び効果的に警告できる。参照番号DE10 2020 120 199.0及びDE10 2020 124 740.0が付された言及した出願またはそれらの内容は、本明細書によって、参照により本願に組み込まれる。
【0008】
本発明に従って、ウイルスである可能性が十分に高い、特定の大きさの粒子、好ましくは有機粒子による過度に高い空気の汚染を警告するための警告センサーが提案される。警告すべき粒子は、好ましくは、この目的のために振動によってフラグメント化可能であるため、その粒子は粉砕できる。警告センサーは、空気の第1のサンプルでの第1の散乱光と空気の第2のサンプルでの第2の散乱光との差を決定することによって、振動でフラグメント化可能で、特に空気中の特定の標的直径を有する有機粒子の濃度を決定するように設計されたセンサーユニットを備える。ここでのセンサーユニットは、例えば、出願DE10 2020 120 199.0に従った方法を実行するように設計されたセンサーユニット、または出願DE10 2020 120 199.0に従ったセンサーである。代替として、センサーユニットは、また、出願DE10 2020 124 740.0に従った方法を実行するように設計できる、またはセンサーユニットは、出願DE10 2020 124 740.0に従ったデバイスである。したがって、第1のサンプル中の粒子は影響を受けず、特に、空気からフラグメント化されていない粒子であり、第2のサンプル中の粒子は振動によってフラグメント化された空気からの粒子である。本発明に従って、警告センサーは、さらに、濃度が所定の制限値に到達すると、したがって、濃度が制限値を超えると及び/または濃度が制限値を下回ると、空気中の粒子の濃度を報告するように設計された報告ユニットを有することが提供される。制限値は、例えば、病原体またはウイルスによる感染の可能性のある濃度の値である。さらに、複数の制限値を記憶することもでき、各制限値に到達すると、警告を発することができる。
【0009】
制限値を下回る可能性もあるため、警告センサーによる警報解除信号が発生する可能性もある。
【0010】
粒子のフラグメント化力の基礎となる、またはセンサーユニットの基礎となる機能原理に関して、粒子または有機粒子、例えばウイルスは、単純化された形態で、振動できる物体として理解できる。原則として、ここでは、球状のエンベロープを有する物体を考えることができる。粒子が強く振動すると、これにより、このエンベロープまたは粒子がバラバラになることによって、病原体が不活性化する可能性があり、粒子は、「粉砕」されて小さな部分になる、またはフラグメント化される。ここでは、振動、または振動の強さは、例えば、振動を励起する光の波長及び光の強度、ならびに照射期間またはパルスに依存する。代替的または追加的に、例えば、粒子を超音波にさらすことによって、粒子を振動させることもでき、振動は特に超音波の周波数に依存し、超音波は、粒子をフラグメント化する振動をもたらす可能性もある。光の波長及び/または超音波の周波数を、粒子の各々のタイプによって決定され及びその直径によって決まる共鳴範囲に設定することによって、比較的少ないエネルギーの使用により、そのような効果を増大できる、または既に達成している可能性がある。この理由は、粒子を「破壊」または粉砕するために、低エネルギーを印加する必要があるためである。以前に標的直径に対応する直径を有した複数の部分を含む破壊された粒子は、粒子全体と比較して光散乱特性が変化している。この理由は、光が単一の粒子によって散乱されるのではなく、その小さな個々の部分またはフラグメント化によって散乱されるためである。
【0011】
それに応じて、フラグメント化された粒子を有する第1のサンプルでの第1の光散乱と、フラグメント化されていない粒子を有する第2のサンプルでの第2の光散乱との差に基づいて、サンプルが採取された空気中の粒子の濃度を決定できる。
【0012】
ここでは、センサーユニットは、一定の時間間隔で、以前に決定された濃度に応じて、または連続的に濃度を決定できる。代替として、センサーユニットが第1の動作モードで濃度を一定間隔でチェックし、濃度が制限値を超える場合、濃度が連続的に測定またはチェックされる第2の動作モードに切り替わることも可能である。
【0013】
センサーユニットまたは警告センサーの機能をチェックするために、それはテストボタンも有し得、テストボタンによって、機能をチェックでき、対応する信号を出力できる。さらに、機能をチェックするために、無害な物質をセンサーユニットに誘導することも可能である。これによって、機能が正常な場合に警告センサーがトリガーされ、警告レポートが生成される。
【0014】
警告センサーは、好ましくは、センサーユニット及び報告ユニットに、必要に応じて、それらの動作に必要な動作電圧を供給する電圧源を備える。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1つの有利な改良によって、報告ユニットは、さらに、制限値及び/または濃度に到達したことを視覚的に報告するように設計される表示ユニットを備えることが提案される。代替的または追加的に、報告ユニットは、さらに、制限値及び/または濃度に到達したことを聴覚的に報告するように設計されるスピーカーユニットを備え得る。ディスプレイまたはLED等の発光体は表示ユニットとして機能でき、表示ユニットは、例えば、所定の論理に従って制限値に到達すると対応する情報項目を表示でき、単純な発光体の場合には点滅できる。聴覚報告の場合、警告は、簡単なトーンによって、または、例えば事前に録音された音声メッセージによっても実行できる。
【0016】
同様に有利な変形例では、報告ユニットは、電気信号を受信機に伝送することによって、制限値及び/または濃度に到達したことを報告するように設計される有線信号伝送用の伝送ユニットを備える。報告ユニットまたは警告センサーは、伝送ユニットまたはそれによって実施される有線信号伝送によって、インターネットまたはビルディングオートメーションシステムに接続できる。
【0017】
有線伝送ユニットに加えて、またはその代替として、さらなる実施形態は、報告ユニットが無線信号伝送用の送信ユニット及び/または受信ユニットを備えることを提供する。トランシーバーの受信ユニットと統合できる送信ユニットは、無線信号を無線受信機に伝送することによって、制限値及び/または濃度に到達したことを報告するように設計されている。例えば、各々の無線規格に対応するBluetooth、ZigBee、WLAN、または他の無線モジュールは、無線信号伝送に関してまたはトランシーバーとして考慮される。無線受信機は各々の無線規格に適した受信機であり得、インターネットへの接続、またはインターネットを介して接続されたデバイスへの接続は、また、例えば、WLANを介して実施できる。携帯電話に加えて、また、無線受信機は、例えば、各々の無線規格を介して制御可能な照明またはホームオートメーションコンポーネント、または単に、対応する信号またはメッセージを送ることができるルーター等の中央装置でもあり得る。特に、例えば、ルームライトが無線受信機として提供される、または介在する中央装置によって作動する場合、これにより、信号伝送に従って、または制限値もしくは濃度に到達したことに従って、光の色を変化させることができる。代替として、ラジオ受信機として機能できる、または中央装置によってアクティブにできる、及び対応する音声メッセージを出力できる音声アシスタントも考慮される。
【0018】
本発明のさらに有利な変形例に従って、有線データもしくは信号伝送のために伝送ユニットが提供される場合、または無線データもしくは信号伝送のために送信ユニットが提供される場合、警告センサーは、警告センサーの特有の識別データを記憶するように設計される記憶ユニットを備える。したがって、識別データにより、関連付けられた警告センサーの固有の識別が可能になる。識別データは、特に、固有識別番号、したがって明確な識別番号及び/または位置データを含み、好ましくは、警告センサーの固有の地理的割り当てを可能にする。位置データは、例えば、GPSデータであり得るが、単純な場合、部屋番号を有する住所でもあり得る。そのような識別データが提供される場合、報告ユニットは転送時に識別データを伝送するように設計されるため、有線または無線の信号またはデータの転送が行われる。識別番号及び/または位置データは、オープンロケーションコード(プラスコード)の形式で提供できる。
【0019】
特に、空気中の粒子の濃度の時間曲線が追跡または分析される場合、送信ユニットが制限値及び/または濃度に到達したことを、送信ユニットに割り当てられた単一の無線受信機に、または送信時点で送信ユニットの送信範囲内に位置する全ての無線受信機に送信するように設計されている警告センサーのさらなる設計が有利である。したがって、これらの受信機は、好ましくは、送信ユニットから信号を受信するようにそれぞれ設計されている。
【0020】
さらに、使用される無線技術がいわゆる「メッシュ」ネットワークの形成を可能にする場合(メッシュネットワークでは、複数の警告センサーが無線を介して相互にまたはセントラルオフィスに接続される)、警告メッセージまたは検出された濃度は、他の警告センサー及び/またはセントラルオフィスに送ることもできる。
【0021】
複数の無線受信機への送信は、いわゆるブルートゥースビーコンまたはいわゆる複数のブルートゥースビーコンによって特に有利に実施できる。例えば、送信ユニットは、ブルートゥース低エネルギー(LE)ビーコンとして具体化できる、またはそのようなビーコンを備え得る。そのようなビーコンは、ブルートゥース低エネルギーデータパケットを定期的に送信する一方向送信機である。伝送されたデータパケットの異なる構成を部分的に可能にする、様々なメーカーが製作したビーコンの様々なバリエーションが普及している。例えば、一方では、UUID(ユニバーサル固有識別子)、つまり固有識別番号だけを伝送でき、他方では、ビーコンの送信電力に関する仕様をさらに伝送でき、それを用いて、各々の受信機または無線受信機は、無線受信機からビーコンまでの近似距離を決定できる。他のビーコンは伝送されたデータまたは信号にURLを含むため、例えばデータベースを参照することが可能であり、例えば、データベースには、さらなる情報項目がビーコンまたは送信ユニットによって記憶可能である。
【0022】
従来技術で知られているビーコンは、通常、ブルートゥース低エネルギーアドバタイジングパケットを使用する。これらは固定長を有する。
【0023】
本発明のさらなる態様は、本発明に従った警告センサーと、例えばコンピューター等の固定端末、または携帯電話もしくはスマートフォン等のモバイル端末でもあり得る端末とから構成されたシステムに関する。ここでは、端末は、上述の受信機または上述の無線受信機に相当する。この場合、端末は、制限値及び/または濃度に到達したことを示す信号を報告ユニットから受信すると、制限値及び/または濃度に到達したことを、視覚的に、聴覚的に、及び/または触覚的に報告するように設計されている。さらに、伝送されたデータ、したがって濃度または制限値への到達もさらに処理でき、例えば、濃度の時間曲線を補間して、今後の制限値の到達を事前に判断できる。
【0024】
そのようなシステムでは、端末は、さらに、警告センサーに対する位置及び/または警告センサーからの距離を決定するために、信号の信号強度に基づいて及び/または報告ユニットによって信号とともに伝送された識別データに基づいて有利に設計できる。したがって、制限値を超える特定の方向または特定の領域における移動を警告することが可能である。
【0025】
さらに、本発明のさらなる態様は、本発明に従った警告センサーと、原則として端末でもあるデータベースを有するサーバーとから構成されたさらなるシステムに関する。警告センサーの報告ユニットは、上記で説明したように、記憶ユニット及び伝送ユニットまたは送信ユニットを備える。さらに、報告ユニットは、制限値及び/または濃度に到達したことをデータセットとして識別データと一緒に、特にインターネットを介して直接、または相互接続されたインターネット対応デバイスもしくはスマートデバイスを介して、サーバーに伝送するように設計されている。この場合、サーバーはデータセットをデータベースに記憶するように及び/または識別データに基づいて、データベースに記憶された情報項目をデータセットに割り当てるように設計されている。
【0026】
データベースに記憶された情報項目が連絡担当者の連絡先データまたは緊急連絡先を含むことを、データベースを有するそのようなシステムに有利に提供でき、サーバーは、データセットを記憶された情報項目に割り当てると、メッセージを連絡担当者に伝送するように設計されている。例えば、警告センサーによって監視された施設の所有者またはオーナー、管理人、または同様に保健部門は、連絡担当者として指定できる。例えば、電子メール、SMS、またはコンピューターの音声通話によって、警告に関して連絡担当者に通知できる。代替として、適切なデータ通信またはデータインターフェースによる情報または警告は、また、この目的のために提供されたソフトウェアにおいて、受信機(例えば、統合コントロールセンター)で直接これらのデータをさらに処理することも可能であり得る。
【0027】
特に、制限値及び/または濃度に到達したことを送信ユニットの送信範囲内の送信時点に位置する全ての適切な無線受信機に送信するように設計される無線信号伝送用の報告ユニットの使用時に、そして、特に、報告ユニットとしての、または報告ユニットの一部としてのビーコンの使用時に、本発明に従った警告センサー、または警告センサーを備える本発明に従ったシステムの1つを使用して、以下の挙動またはシナリオを実現できる。
【0028】
1.ビーコンは、関連付けられた警告センサーに固有のUUIDを送信する。しかしながら、ここでは、制限値を超えている場合だけ、または超えている間だけ送信され、したがって、不連続に送信される。そのようなビーコンについて、端末のブルートゥースモデルによって端末の周囲をチェックする、インターネット対応(「スマート」)端末にアプリケーションまたはアプリがある。対応するアドバタイジングパケットまたは信号またはメッセージが概してビーコンから受信された場合、アプリは警告を出力する。
【0029】
2.ビーコンによって伝送された信号またはビーコンによって伝送されたメッセージは、警告センサーのステータス、特に濃度を含む「ビーコンコード」、またはUUIDに加えて、もしくはその代替として、ビーコンの警告センサーに関連付けられたURLも含む形式である。この場合、ビーコンは永続的または連続的に送信され、「ビーコンコード」またはURLは、アプリ内でまたはアプリによって、例えばサーバーに記憶できるセンサーユニットのステータスを示し得る。警告センサーは、対応する情報項目をサーバーに伝送できる。この場合、閾値を超えなくても、センサーユニットまたは警告センサーもしくはそのステータスを検出できるため、制限値に到達することに関係なく、警告センサーの機能チェックが可能であるという利点がある。
【0030】
3.ビーコンは、各々のビーコンに特有のUUIDを有し得る。これがサーバーに位置と一緒に一元的に登録できることによって、センサーユニットを対応する地図アプリケーションに示すことができる。端末がビーコンからのメッセージによってセンサーユニットの閾値を超えたことを登録する場合、端末はそのUUIDをサーバーに送信し、その後、端末はセンサーユニットをマップに異なる方法で表示し、ひいては、マップのオブザーバーに警告できる。次に、センサーユニットは、サーバーへの別個の接続または別個のインターネット接続を必ずしも必要としない。この理由は、各々提供されたアプリケーションまたはアプリを有する中間ステーションとして相互接続されたデバイスによって受け渡しが実施されるためである。
【0031】
4.さらに、ビーコンは、送信ユニットとしてだけでなく、受信ユニットとして、したがってトランシーバーとしても設計できる。したがって、上述の変形例に加えて、トランシーバーまたは受信ユニットが他の送信者、したがって、ブルートゥースを有するスマートデバイスのその周囲を連続的に監視するようなトランシーバーを使用して提供でき、これらは、スマートデバイスを固有に識別する各々のUUIDを伝送し、ビーコンまたは警告センサーは、所定の期間中、これらのUUIDを好ましくは匿名化して記憶する。制限値または濃度に到達したことを報告する場合、記憶済みの匿名化されたUUIDはサーバーに伝送でき、サーバーは、メッセージによって、警告に関して、または制限値もしくは濃度に到達したことに関して、デバイスに通知する。
【0032】
したがって、本発明のさらなる態様は、ブルートゥースビーコンを送信ユニット及び/または受信ユニットとして備える報告ユニットを有する本発明に従った警告センサーによって、ブルートゥースモデルを備えるモバイル端末を有する人に警告するための方法に関する。ここでは、いずれの場合も、モバイル端末及び警告センサーはブルートゥースを介して少なくとも一時的に相互に通信できることが想定されるため、モバイル端末は警告センサーの報告ユニットの送信範囲内及び/または受信範囲内に位置する必要がある。複数のモバイル端末がまた受信範囲内及び/または送信範囲内に位置でき、ブルートゥースビーコンまたは報告ユニットは、複数のモバイル端末のうちの複数もしくは全てのモバイル端末に接続できる、またはそれらと通信できる。第1の変形例では、送信ユニットは、連続的に、一定間隔で、または制限値に到達すると、空気中の粒子の濃度、または制限値に到達したことをモバイル端末に伝送し、次に、モバイル端末は、制限値に到達すると、例えば、視覚的に、聴覚的に、または触覚的に、好ましくは、この目的のために提供されたアプリケーション(アプリ)によって、人に警告する。またさらに提供できる第2の変形例では、モバイル端末は固有識別番号を警告センサーに伝送し、警告センサーは、少なくとも所定の期間中、識別番号(UUID)を記憶する。さらに、警告センサーは、連続的に、一定間隔で、または制限値に到達すると、濃度または制限値に到達したことを、移動無線信号またはネットワーク信号によってモバイル端末に伝送し、次に、モバイル端末は、視覚的に、聴覚的に、または触覚的に、好ましくはモバイル端末上のアプリケーション(アプリ)によって、人に警告する。この場合、相互接続されたサーバーを介した通信も提供され、また、識別番号が匿名化されることも提供できる。
【0033】
したがって、特に、4つの例示的な変形例を実現し得る。
【0034】
1.警告センサーは、制限値に到達すると、制限値及び/または濃度に到達したこととを、警告センサーの範囲内の全てのモバイル端末に不連続に伝送する。
【0035】
2.警告センサーは、制限値及び/もしくは濃度に到達したこと、または濃度を有するサーバーへのリンクを、警告センサーの範囲内にある全てのモバイル端末に連続的に伝送し、代替として、濃度、及び警告センサーのステータスまたは位置等のさらなるデータは、サーバー上の警告センサーによって記憶されることが提供でき、モバイル端末は、警告センサーから端末に伝送されたリンクまたは識別子によって、サーバーからデータまたは濃度を取得できる。
【0036】
3.警告センサーは、制限値及び/または濃度に到達したことを、警告センサーの範囲内の全てのモバイル端末に、または警告センサーの範囲内の少なくとも1つのモバイル端末に、連続的にまたは不連続に伝送し、警告センサーは、制限値及び/または濃度に到達したこと、ならびに中間ステーションとしての警告センサーの識別番号または場所をサーバーに伝え、サーバーから、警告センサーの範囲内にある必要のない別のモバイル端末は、濃度及び/または制限値に到達したことを取得できる。
【0037】
4.警告センサーは範囲内のモバイル端末から固有識別番号を受信し、それを濃度または制限値に到達したことに関する報告と一緒にサーバーに伝送し、サーバーは、概して、所定のパラメータに従って、移動無線ネットワークを介して、またはWLANを介して、またはインターネット接続を介して、識別番号に関連付けられたモバイル端末に通知し、その結果、モバイル端末に関連付けられた人は、例えばその後にまたはリアルタイムで、濃度または制限値に到達したことに関して通知され、必要に応じて、警告できる。
【0038】
本発明の他の有利な改良点は、従属請求項で特徴付けられる。
【国際調査報告】