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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】分子を検出する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20231024BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20231024BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20231024BHJP
   C12Q 1/6813 20180101ALI20231024BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20231024BHJP
   C12M 1/42 20060101ALI20231024BHJP
   C12Q 1/682 20180101ALI20231024BHJP
【FI】
G01N33/543 525U
G01N33/53 D
G01N33/53 M
G01N33/543 541A
G01N21/64 F
C12Q1/6813 Z
C12M1/34 B
C12M1/42
C12Q1/682 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501893
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-02-10
(86)【国際出願番号】 CN2021081214
(87)【国際公開番号】W WO2022016887
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】202010723951.7
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011494318.1
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.SMALLTALK
3.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】520461613
【氏名又は名称】生物島実験室
【氏名又は名称原語表記】BIOLAND LABORATORY
【住所又は居所原語表記】No.6, helix 3rd road, Guangzhou International Bio Island ,Haizhu District, Guangzhou, Guangdong, China
(71)【出願人】
【識別番号】302037630
【氏名又は名称】中国科学院生物物理研究所
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF BIOPHYSICS OF THE CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No.15, Datun Road, Chaoyang District Beijing 100101 CN
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ・チー
(72)【発明者】
【氏名】ルーシェン・クー
(72)【発明者】
【氏名】タオ・シュイ
【テーマコード(参考)】
2G043
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
2G043AA04
2G043BA16
2G043BA17
2G043CA04
2G043DA02
2G043EA01
2G043FA02
2G043HA01
2G043HA09
2G043JA03
2G043LA03
4B029AA07
4B029BB15
4B029BB20
4B029CC01
4B029CC03
4B029FA15
4B029GA03
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QQ79
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR48
4B063QR55
4B063QR83
4B063QR90
4B063QS24
4B063QS33
4B063QS34
4B063QS36
4B063QS39
4B063QX01
4B063QX02
(57)【要約】
本発明は分子を検出する方法及び装置を提供する。前記シグナル分子を検出する方法は、(1)検出対象シグナル分子が結合された微粒子を含む微粒子を含有する溶液を提供するステップと、(2)前記溶液中の微粒子を固相担体の表面及び/又は内部に付与するステップと、(3)明視野により、選択された視野内の微粒子をカウントするステップと、(4)暗視野により、選択された視野内のシグナル分子が結合された微粒子をカウントするステップと、(5)ステップ(3)及び(4)で得られたカウント結果に基づいてシグナル分子の濃度を決定するステップと、を含む。これに基づいて、本発明はさらに標的分子を検出する方法及び装置を提供する。本発明の提供する方法及び装置は、迅速で、簡便な分子検出、特に生体分子検出を実現することができ、かつコストが低く、科学研究、臨床診断及び防疫作業などの多くの分野で普及しやすい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)検出対象シグナル分子が結合された微粒子を含む微粒子を含有する溶液を提供するステップと、
(2)前記溶液中の微粒子を固相担体の表面及び/又は内部に固定するステップと、
(3)明視野により、選択された視野内の微粒子をカウントするステップと、
(4)暗視野により、選択された視野内のシグナル分子が結合された微粒子をカウントするステップと、
(5)ステップ(3)及び(4)で得られたカウント結果に基づいてシグナル分子の濃度を決定するステップと、を含み、
ここで、ステップ(3)は明視野における凝集した/重なった微粒子を除去することを含む、シグナル分子を検出する方法。
【請求項2】
(1)標的分子が特異的結合反応により形成された、シグナル分子を標識する複合体に接続される微粒子を含有する溶液を提供するステップと、
(2)前記溶液中の微粒子を固相担体の表面及び/又は内部に固定するステップと、
(3)明視野により、選択された視野内の微粒子をカウントするステップと、
(4)暗視野により、選択された視野内の、複合体が結合された微粒子をカウントするステップと、
(5)ステップ(3)及び(4)で得られたカウント結果に基づいてシグナル分子の濃度を決定し、さらに標的分子の濃度を決定するステップと、を含み、
ここで、ステップ(3)は明視野における凝集した/重なった微粒子を除去することを含む、一種又は複数種の標的分子を検出する方法。
【請求項3】
ステップ(2)において、前記固相担体を空間的に分割してランダムな分布を実現する必要がない、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記固相担体の表面及び/又は内部に固定された微粒子の数は不定である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記標的分子は、タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、抗原、抗体、受容体、リガンド又は核酸から選択される一種又は複数種である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記標的分子は抗体である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記特異的結合反応は免疫反応、ハイブリダイゼーション反応、受容体-リガンド相互作用から選択される一種又は複数種である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記微粒子は磁性微粒子である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
前記磁性微粒子は磁気ビーズである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記磁気ビーズの粒子径は600nm-10μmである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記磁気ビーズの粒子径は1μm-5μmである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記シグナル分子は発色団、ジゴキシ標識プローブ、金属ナノ粒子又は酵素から選択される一種又は複数種である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
前記シグナル分子は有機小分子蛍光プローブ、量子ドット、量子ドット小球、蛍光小球、三次元DNAナノ構造レポータープローブ、アップコンバージョン発光ナノ材料小球、ロールリング増幅蛍光分子増幅構造又は核酸アプタマー蛍光分子増幅構造から選択される一種又は複数種である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
前記シグナル分子は量子ドット小球である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項15】
前記量子ドット小球のサイズは110nm以内である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ステップ(2)において、印加磁場及び/又は電界及び/又はゲルにより前記微粒子を固体担体の表面及び/又は内部に固定する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項17】
前記固相担体はマルチウェルプレート、プレート又は流路から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項18】
明視野顕微結像により微粒子の画像における座標を決定する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項19】
前記微粒子の輝度差に基づいて前記微粒子の座標を決定する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
微粒子の輝度差は微粒子自体の輝度差である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ステップ(4)におけるカウントは前記微粒子の前記画像における座標により決定される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記ステップ(5)における標的分子の濃度を決定する方法は、
前記ステップ(3)及びステップ(4)で取得された微粒子数の比例関係に基づいて、標準品曲線と合わせて標的分子の濃度を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記ステップ(5)における標的分子の濃度を決定する方法は、
前記ステップ(3)及びステップ(4)で取得された微粒子数の比例関係に基づいて、標準品曲線と合わせて標的分子の濃度を決定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の方法の生体分子を検出する診断試薬の製造における用途。
【請求項25】
請求項1~23のいずれか一項に記載の方法を実施する検出装置であって、固相担体と、少なくとも一つの第1光源及び少なくとも一つの第2光源と、シグナル収集ユニットと、シグナル処理ユニットを含み、
前記固相担体は微粒子を固定することができ、前記微粒子は検出対象シグナル分子が結合された微粒子を含みかつ前記固相担体の表面及び/又は内部に分散されており、
前記第1光源は前記固相担体の選択された視野内の微粒子を照射して微粒子の総数に関連する明視野シグナルを形成し、前記第2光源は前記固相担体の選択された視野内の微粒子を照射して検出対象シグナル分子が結合された微粒子の総数に関連する暗視野シグナルを形成し、
前記シグナル収集ユニットは、明視野シグナル及び暗視野シグナルを収集するために用いられ、
前記シグナル処理ユニットは、収集された明視野シグナル及び暗視野シグナルに基づいて前記シグナル分子の濃度を決定する。
【請求項26】
前記シグナル収集ユニットは増幅部材を含み、前記増幅部材は前記選択された視野内の微粒子を増幅するために用いられる、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記増幅部材は対物レンズである、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記対物レンズは低倍対物レンズである、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記固相担体は少なくとも一部が光透過性の担体である、請求項25に記載の装置。
【請求項30】
前記固相担体は前記シグナル収集ユニットの上方又は下方に配置される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記固相担体は前記シグナル収集ユニットの上方又は下方から取り外すことができるように構成される、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記固相担体は少なくとも一つの流路を含み、前記流路は入口及び出口を含み、前記微粒子を含有する溶液は前記流路内に分散する、請求項25に記載の装置。
【請求項33】
前記固相担体はマルチウェルプレート又はプレートである、請求項25に記載の装置。
【請求項34】
前記装置はさらに磁界発生装置又は電界発生装置を含み、前記磁界発生装置又は電界発生装置は前記微粒子を前記固相担体の表面及び/又は内部に固定分散するために用いられる、請求項25に記載の装置。
【請求項35】
前記固相担体は前記シグナル収集ユニットに対して回動可能なターンテーブルであり、ここで前記ターンテーブルは少なくとも一つの光透過可能な検出部位を含み、前記検出部位が前記シグナル収集ユニットの光路にある時に前記シグナル収集ユニットによって検出される、請求項25に記載の装置。
【請求項36】
前記ターンテーブルはステッピングの方式で複数のステーションの間に順次回動すると共に前記複数のステーションで検出部位の検出対象溶液に対して、前記溶液中の微粒子を固定して洗浄する操作を行うことができるように構成される、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記複数のステーションは前記シグナル収集ユニットの光路に位置する検出ステーション、前記検出ステーションの上流に位置する少なくとも一つの前処理ステーション及び前記検出ステーションの下流に位置する少なくとも一つの後処理ステーションを含み、ここで前記前処理ステーションで前記溶液中の微粒子を固定分散する操作を行い、前記後処理ステーションで洗浄操作を行う、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記シグナル収集ユニットは少なくとも一つの撮影部材を含む、請求項25に記載の装置。
【請求項39】
前記装置はさらに前記シグナル収集ユニット/固相担体を動作させるための変位機構を含む、請求項25に記載の装置。
【請求項40】
前記変位機構は一次元変位台、二次元変位台及び三次元変位台からなる群から選択される一種又は複数種である、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
請求項1~23のいずれか一項に記載の方法を実行するプログラム及び/又は請求項1~23のいずれか一項に記載の方法を実行することによって生成されたデータ及び前記方法を実行することによって生成されたデータを記憶するために用いられるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項42】
請求項41に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含む、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物学的検出の分野に属する。具体的には、本発明は分子を検出する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体外診断製品(IVD)は市場に細分化され、免疫診断及び分子診断は上位3位になっている。デジタルPCRの出現は分子診断が先にデジタル時代に入ることを意味し、その開発及び普及は急速な発展段階にある。免疫学的理論及び原理を基礎とする免疫学的検査は臨床疾患の予防、診断、治療及び予後評価において重要な役割を果たす。中国を例にして、2018年にIVD市場において免疫診断が占める割合は35%(約200億人民元)であった。免疫診断は数十年の発展により、放射免疫(RIA)、免疫金コロイド技術、酵素結合免疫分析技術(ELISA)、時間分解蛍光免疫分析技術(TRFIA)などを経験した。現在の主流技術は化学発光免疫分析技術(CLIA)であり、約70%の市場シェアを占める。しかしアボットのアクリジニウムエステル発光であってもロシュの電気化学発光であっても、いずれも発光反応を利用しており、すなわち溶液全体の発光強度を検出することにより定量分析を実現するものであるため、検出感度、ダイナミックレンジ、必要なサンプル量等は検出原理及び方法学的に制限され、存在度の低い神経因子、癌因子、免疫因子、ホルモン等の様々な疾患に関連する分子に対して正確で定量的な検出を実現することができない。デジタル化免疫診断技術は検出原理から従来の発光系の検出感度のボトルネックを解消することができ、それは単一の免疫複合体分子の直接カウントによりデジタル化定量検出分析を実現し、微量、高感度、高ダイナミックレンジの検出を実現することができ、次世代の免疫診断技術となり、化学発光の核心地位を代替することを期待することができる。
【0003】
デジタル化免疫検出は、免疫標識の方法により検出対象分子を捕捉し、蛍光シグナル分子標識又は酵素結合標識を行い、直接単分子蛍光カウント又は間接単分子酵素反応増幅により単分子レベルの検出を実現し、前者はシステムが非常に高い光学検出感度を有する必要があり、後者は、反応により生成された蛍光基質の拡散を防止し、最終的にデジタル化蛍光シグナルの読み出しを実現するために、微小液滴又は微細孔の微小な反応空間(フェムトリットル~ピコリットル)を効率的に取得する必要がある。この二種類の方法は免疫検出のデジタル化を実現したため、その検出感度は従来の化学発光技術プラットフォームを遥かに超える。国外の先進性戦略を有する企業と資金市場もデジタル化検出技術の免疫診断市場での産業化レイアウトを起動した。現在、国外で商品化されたデジタル化検出装置は主に米国Quanterix社が開発したSiMoAシステム(微小空間内酵素接続シグナル増幅)、及びMerck社が普及しているSMCxProシステム(高感度単分子検出及びカウント)がある。この二種類の技術はいずれも化学発光法と同じ微粒子捕捉及び抗原富化の原理が採用され、二重抗体サンドイッチ法を例とし、それらはいずれも微粒子を捕捉抗体(Capture Antibody、CA)に接続し、抗原は異なるエピトープによりCA及び検出抗体(Detection Antibody、DA)に接続され、微粒子に付着した免疫複合体(ImmunoComplex、IC)を形成し、図1に示すように、最終的にDAとレポーター分子(Reporter、酵素又は蛍光分子)との接続により、光学シグナルの形式でICのカウント及び濃度測定を実現する。ICが形成されかつレポーター分子に接続された後、この二種類の技術は異なる方式でデジタル化光学シグナルの読み出しを実現する。
【0004】
中でも、SiMoAシステムは、微小球を含有する最終反応液は数万個の微細孔を含有するチップに均一に塗布され、ICを携帯する微小球はβ-ガラクトシダーゼ(βG)を有し、微細孔内に反応基質であるレゾルフィン-β-d-ガラクトピラノシド(RGP)を含有し、酵素触媒を経た後にRGPは蛍光基質を生成し、微細孔はオイルでシールされた後にマイクロリアクターを形成し、反応後に蛍光基質が単一の反応微細孔から拡散せず、高濃度の蛍光基質は局所的なシグナルの増幅をもたらすことを保証する。IC微小球を含有する微細孔は局所的な高濃度蛍光基質を生成し、この蛍光シグナルはICを有しない微細孔と明らかに区別される。IC含有微小球(蛍光を有する微細孔)と微小球を含む全ての微細孔の数の比率を計算することにより、IC、すなわち検出対象抗原の濃度を算出することができる。出願番号がUS12/731130の米国特許は該システムの技術方案を保護するものであって、流体サンプルにおける分析物分子又は粒子の濃度を決定する方法が開示されている。しかし、発明者らは長期の研究においてSiMoAシステムに以下の欠点が存在することを見出した。(1)自己でシステムを形成する機器構造及び微小球富化、反応方法を採用するため、機器のコストが高すぎること、(2)検出された固相担体は空間を予め分割する必要があり、例えばチップは、規則に応じて小孔を予めエッチングする必要があり、孔径は微小球の粒径とマッチングする必要があるため、チップ製造方法の難度が大きく、コストが高いこと、(3)検出フローにおいて微小球の損失が多すぎ、最終的に反応微細孔に入る微小球は反応微小球の数の5%~10%を占め、低存在度サンプル検出の感度及び安定性に影響を与えること、(4)検出シグナルの読み出し過程は数分間待つ必要があり、酵素反応により生成された基質蛍光シグナルが一定の強度に達した場合になってはじめてシグナルの読み出しを行うことができ、単一のサンプル検出に対して、この時間を許容することができるが、高スループットの臨床検出に対して待ち時間が長すぎ、システム検出スループットに影響を与えること。該方法は、現在、基礎研究のみに応用されており、臨床応用が困難である。
【0005】
SMCxProシステムは、化学発光及びSiMoAシステムと異なり、該システムは反応後の溶液を尿素溶液で処理し、ICを微小球から溶出させ、かつ微小球と分離させ、この時にICも破壊されるが、溶液内の各蛍光分子は一つのICに対応するため、両者は数及び濃度で一致する。SMCxProシステムは高感度の光学検出システムを利用して溶液内の異なる位置にランダム走査検出を行い、レポーター分子を含む溶液について単分子検出及びカウントを行い、それによりIC即ち検出対象抗原の濃度を推定する。しかし、発明者らは長期の研究においてSMCxProシステムに以下の欠陥が存在することを見出した。(1)高感度光学システムを採用するため、機器部品のコストが高いこと、(2)前の世代の機器はガラス管流動検出システムを採用し、目詰まりしやすいことによりシステムが安定せず、新世代のシステムは該問題を解決したが、分子が自由に拡散するなどの要因により、依然として局所的にサンプリングすることしかできないという欠点を解決することができず、局所的なサンプルによりサンプル全体の濃度を推定することしかできず、低存在度サンプル検出の感度及び安定性に影響を与えること、(3)単一の分子に漂白しクエンチしやすいなどの安定性の問題が存在すること、(4)前の世代の機器はガラス管流動検出システムを採用し、20マイクロリットルの最終的な反応溶液のシグナル読み出し過程は20分間以上を必要とし、新世代の製品は向上したはずであるが、シグナル検出は依然として単一の励起光スポットによる励起及び光電子増倍管の単一点検出に基づくものであり、シグナル読み出し効率が低く、精度を向上させるために大量の溶液で異なる位置をトラバースする必要があり、推定検出時間も1分間以上であり、システムの検出スループットに影響を与えること。
【0006】
出願番号が201280049085.1の中国特許出願は、生体分子分析方法及び生体分子分析装置を開示し、それは生体分子分析方法において生体分子数カウントを利用して広いダイナミックレンジ及び迅速な分析を実現する。該出願は生体分子分析方法に関し、分析対象生体分子を磁性微粒子表面に固定する工程、標識付きプローブ分子を分析対象生体分子と反応させる工程、前記微粒子を収集して支持基体に固定する工程、及び前記支持基体上の標識を測定する工程を含む。該出願は一分子を有する磁性微粒子を使用することにより生体分子数のカウントを実現し、かつ生体分子が固定された微粒子を分散させた状態でハイブリダイゼーション、抗原抗体間の反応を行うことにより、迅速な反応を実現する。しかし、発明者らは長期の研究において該出願に以下の欠点が存在することを見出した。(1)磁気ビーズに一つ以上の分子がある場合にどのように分子濃度を計算するかについて記載されておらず、分子がある磁気ビーズの割合が10%を超える場合に大きな確率で一つの磁気ビーズに2つ又は二つ以上の分子があり、この場合にどのように分子濃度を正確に決定するかは統計分布モデルを導入する必要があること。(2)分子蛍光シグナルのみに基づいて輝点カウントを生成し、二つの導入しやすい誤差が存在すること。一つは磁気ビーズ処理過程において損失程度が異なり、最終的な輝点の数に影響を与え、また輝点を生成する汚染及び不純物シグナルに対して識別及び除去処理がなく、洗浄回数を増加させることにより計算精度を確保する必要がある。(3)該出願に言及された蛍光シグナルが弱い蛍光プローブ及び量子ドット等の蛍光標識物は、検出信号対雑音比を向上させるために、光源のパワー、対物レンズの増幅倍数及び開口数並びに検出カメラの感度に対していずれも高い要求を提出し、コストを増加させると同時にシステムデータ収集の利便性及びスループットを増加させること。
【0007】
出願番号が20208000774.8の中国特許出願は単分子定量検出方法及び検出システムを開示する。該出願は光学特性を有するインサイチュシグナルを利用してナノ粒子を強化したり、化学修飾及び分子識別技術により測定対象分子を標識することにより、単分子シグナルを光学結像装置に捕捉識別させることができる。インサイチュシグナル強化ナノ粒子の個数シグナルを統計することにより、測定対象分子の超高感度定量検出を実現する。しかし、発明者らは長期の研究において該出願に以下の欠点が存在することを見出した。(1)分子蛍光シグナルのみに基づいて輝点カウント又は積分強度情報を生成し、導入しやすい二つの誤差が存在する。一つは磁気ビーズ処理過程において損失程度が異なり、最終的な輝点の数に影響を与え、また同様に輝点を生成する汚染及び不純物シグナルに対して識別及び除去処理がないため、計算精度を確保するために複数回の洗浄プロセスを必要とすること、(2)該出願に言及されたインサイチュシグナル強化ナノ粒子は、粒子が小さすぎるとシグナルが弱く、検出できず、粒子サイズが大きすぎると検出感度に影響を与え、主な原因は免疫結合力法が磁気ビーズと粒子との間の作用力を支持することであり、この二つの極端な状況をバランスするために、該出願は粒子サイズに対して180-480nmであるという厳しい要求があるが、該サイズは依然としていくつかの結合能力が相対的に弱い抗体が抗原を効果的に結合して免疫複合体を生成することできず、検出に影響を与えること。(3)該出願に使用される光源はレーザであり、コストが高いこと。
【0008】
以上をまとめると、従来の技術には以下の問題が存在する。(1)背景シグナルを処理する必要があることが明確に開示されておらず、背景シグナルが高いことを引き起こす可能性があり、例えば、〈1〉微粒子に捕捉された複合体は溶出過程において溶液中に遊離された蛍光分子をきれいに洗浄することができず、溶液中に結合されていない遊離の蛍光分子が存在し、〈2〉溶液中にさらにいくつかの不純物が存在し、不純物が蛍光分子を非特異的に吸着し、上記二つの方面により暗視野検出は磁気ビーズに特異的に結合された蛍光分子であるかそれとも溶液中に遊離された蛍光分子又は不純物が非特異的に結合された蛍光分子であるかを区別することができず、偽陽性シグナル(図4に示す)を生成し、それにより検出の精度及び感度に影響を与えること、(2)蛍光分子が標識された磁気ビーズは処理過程において損失があり、暗視野検出を直接採用して明視野を使用しないと、損失した微粒子を統計することができず、最終的にシグナルを含有する微粒子の数に影響を与え、精度が低いことを招くこと、(3)磁気ビーズが凝集し、検出の正確性に影響すること、(4)現在のデジタル化免疫検出に使用されたチップは空間位置を予め分割し、さらに捕捉された複合体を空間的に複数の位置に分ける必要があり、前記チップは加工プロセスが複雑であり、チップコストが高いこと、(5)現在のデジタル化免疫検出は基本的には高倍鏡を採用し、コストが高いこと。
【0009】
現在、新型コロナ抗原検出、神経因子及び癌因子等の臨床検出需要は高感度の検出方法に対して切実な需要を有するが、該分野のコスト及び検出の利便性は単分子免疫方法の臨床応用に影響を与え、発展が迅速で、簡便でコストが低く分子の効果的な検出を実現する方法を開発する必要があるという切実な需要が存在する。
【発明の概要】
【0010】
従来の技術に存在する上記問題に基づいて、本発明は生体分子の検出フローが複雑で、安定性が低く、感度が低く、精度が低く、コストが高いという問題に対して、分子を検出する方法及び装置を提供し、それは一般的な固相担体(例えば、スライドガラス、マルチウェルプレート、流路)を利用し、微粒子のランダムな均一分布により、明暗視野で直接結像して生体分子を分析検出するようにされ、検出フローを簡略化し、安定性、感度及び精度を向上させ、コストを低減し、科学研究、臨床診断及び防疫作業などの多くの分野で普及しやすい。
【0011】
本発明の上記目的は、以下の技術方案により実現される。
【0012】
第1態様において、本発明は、
(1)検出対象シグナル分子が結合された微粒子を含む微粒子を含有する溶液を提供するステップと、
(2)前記溶液中の微粒子を固相担体の表面及び/又は内部に固定するステップと、
(3)明視野により、選択された視野内の微粒子をカウントするステップと、
(4)暗視野により、選択された視野内のシグナル分子が結合された微粒子をカウントするステップと、
(5)ステップ(3)及び(4)で得られたカウント結果に基づいてシグナル分子の濃度を決定するステップと、を含み、
ここで、ステップ(3)は明視野における凝集した/重なった微粒子を除去することを含む、シグナル分子を検出する方法を提供する。
【0013】
第2態様において、本発明は、
(1)標的分子が特異的結合反応により形成された、シグナル分子を標識する複合体に接続される微粒子を含有する溶液を提供するステップと、
(2)前記溶液中の微粒子を固相担体の表面及び/又は内部に固定するステップと、
(3)明視野により、選択された視野内の微粒子をカウントするステップと、
(4)暗視野により、選択された視野内の、複合体が結合された微粒子をカウントするステップと、
(5)ステップ(3)及び(4)で得られたカウント結果に基づいて前記シグナル分子の濃度を決定し、さらに前記標的分子の濃度を決定するステップと、を含み、
ここで、ステップ(3)は明視野における凝集した/重なった微粒子を除去することを含む、一種又は複数種のシグナル分子を検出する方法を提供する。
【0014】
本発明に記載の方法において、ステップ(2)において、固相担体を空間的に分割してランダムな分布を実現する必要がない。
【0015】
本発明に記載の方法において、前記標的分子は、タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、抗原、抗体、受容体、リガンド又は核酸から選択される一種又は複数種である。
【0016】
本発明に記載の方法において、前記特異的結合反応は免疫反応、ハイブリダイゼーション反応、受容体-リガンド相互作用から選択される一種又は複数種である。
【0017】
本発明の好ましい方法において、前記複合体は免疫複合体であってもよく、前記特異的結合反応はサンドイッチ法又は競合法免疫反応であってもよい。例えば、サンドイッチ法免疫反応とは、微粒子が捕捉抗体と結合して標的分子の第1部位に特異的に結合することにより標的分子を捕捉し、次に検出抗体を添加し、それを前記標的分子の第2部位と結合させ、免疫複合体を形成し、前記検出抗体にシグナル分子が直接的又は間接的に標識されるか、又は標的分子の第2結合部位がまず検出抗体と結合し、結合体がさらに捕捉抗体と結合し、シグナル分子付きの免疫複合体の微粒子を形成することを意味し、図1に示すとおりである。
【0018】
本発明に記載の方法において、前記微粒子は球体、楕円体、略球体、立方体、多面体、円柱体又は不規則な形状を呈することができる。微粒子の大きさは600nm-10μmであってもよく、例えば600nm、1μm、2μm、3μm、5μm、10μmであり、好ましくは1μm-5μmである。
【0019】
微粒子の表面は一種又は複数種の活性機能基で修飾されてもよく、前記活性機能基は-OH、-COOH、-NH2、-CHO及び-SO3から選択される一種又は複数種であってもよい。いくつかの実施形態において、捕捉分子は物理吸着又は化学的コンジュゲート(例えば架橋物により架橋される)により微粒子とコンジュゲートするか又は結合する。前記架橋物はタンパク質、標識物-抗標識物複合体又はカルボキシル基及び/又は第1級アミンに適用される架橋剤から選択される一種又は複数種であってもよい。前記タンパク質はウシ血清アルブミン、卵白アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、免疫グロブリン、サイログロブリン及びポリリジンから選択される一種又は複数種であってもよい。前記カルボキシル基及び/又は第1級アミンに適用される架橋剤は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、カルボジイミド(EDC)、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)から選択される一種又は複数種である。
【0020】
本発明に記載の方法において、前記微粒子を含有する溶液中の微粒子の濃度は、50μl-400μl(例えば100μl、200μl、300μl、好ましくは10μl-20μl)溶液当たりに1千-200万個の微粒子を含有するようにされてもよい。
【0021】
本発明に記載の方法において、固相担体の表面に平らに広げた時の単一微粒子の密度は、1個/cm2-2000万個/cm2であり、例えば10個/cm2、100個/cm2、1000個/cm2、5000万個/cm2、1万個/cm2、10万個/cm2、15万個/cm2、20万個/cm2、25万個/cm2、30万個/cm2、50万個/cm2、100万個/cm2、500万個/cm2又は1000万個/cm2である。
【0022】
本発明に記載の方法において、前記微粒子は磁性微粒子であり、好ましくは、前記磁性微粒子は磁気ビーズであり、その成分に磁性物質が含まれる。磁性物質は金属(金属単体又は合金)、非金属、又は金属と非金属で形成された複合物であってもよい。金属は例えば鉄、アルミニウム、ニッケル、コバルト等の金属であってもよい。非金属は例えばフェライト非金属(好ましくはFe23又はFe34磁性ナノ粒子である)であってもよい。金属と非金属で形成された複合体は例えばネオジム鉄ホウ素ゴム磁気複合材料であってもよい。
【0023】
好ましくは、前記磁気ビーズは常磁性及び超常磁性から選択される一種又は複数種である。磁気ビーズの直径は600nm-10μmであってもよく、例えば600nm、1μm、2μm、3μm、5μm、10μmであり、好ましくは1μm-5μmである。
【0024】
本発明に記載の方法において、微粒子は固相担体の表面及び/内部にランダムで均一に分布することができ、微粒子を固定した後に依然としてランダムで均一に分布することにより、後続の検出に役立つ。
【0025】
本発明に記載の方法において、固定された後の微粒子の間は実質的に凝集する又は互いに重なることがない。
【0026】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の方法は、磁場又は電界で(平らに広げた)前記微粒子を前記固相担体に均一に分布させかつ前記固相担体の表面に吸着させるステップをさらに含む。例えば、磁石を固相担体の下方に置いて微粒子を固相担体の表面に吸着する。
【0027】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の方法は、微粒子溶液中の溶媒を除去するステップをさらに含み、例えば吸水特性を有する材料で水分を吸い尽くし、又は自然干し、又は乾燥する(乾燥温度は好ましくは40-80℃であり、例えば50℃、55℃、60℃、70℃)。
【0028】
本発明に記載の方法において、前記シグナル分子は発色団、ジゴキシ標識プローブ、金属ナノ粒子又は酵素から選択される一種又は複数種である。
【0029】
発色団は蛍光分子、量子ドット、化学発光分子、発光化合物及び染料から選択される一種又は複数種である。
【0030】
酵素は検出可能なシグナルを生成する酵素から選択され、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼである。
【0031】
本発明に記載の方法において、ここで、前記シグナル分子は有機小分子蛍光プローブ、量子ドット、量子ドット小球、蛍光小球、化学発光シグナル分子、化学発光分子被覆小球、三次元DNAナノ構造レポータープローブ、アップコンバージョン発光ナノ材料小球、ロールリング増幅蛍光分子増幅構造又は核酸アプタマー蛍光分子増幅構造から選択される一種又は複数種である。
【0032】
好ましくは、前記量子ドット小球のサイズは110nm以内である。
【0033】
本発明に記載の方法において、前記ステップ(2)において、印加磁場及び/又は電界及び/又はゲルにより前記微粒子を固体担体の表面及び/又は内部に固定する。
【0034】
本発明に記載の方法において、位置が固定された後の微粒子は固相担体に二次元分布を呈し、又は前記固相担体の内部又は表面に三次元分布を呈する。微粒子が前記固相担体に二次元分布を呈する場合、該微粒子を固定するための固相担体は平面担体である。微粒子溶液をまずゲル溶液に分散し、次に固相担体に添加して凝固し、それにより微粒子が固相担体の内部及び/又は表面に三次元分布を呈することを実現し、微粒子を固定するための固相担体は平面担体又はウェルプレート等であってもよい。
【0035】
本発明に記載の方法において、前記固相担体はマルチウェルプレート、プレート又は流路から選択され、前記固相担体はケイ酸塩ガラス、透明プラスチック又は有機ガラス(例えばアクリル)担体である。前記固相担体は特別な処理、例えば空間分割を必要とせず、検出コストを大幅に低減する。固相担体がマルチウェルプレートである場合、前記複数のウェルは複数のサンプルを検出するために用いられ、各ウェルに一つのサンプルを添加し、各サンプルが異なるウェルにランダムに均一に分布するものであり、規則に応じてマルチウェルプレートを空間的に分割するものではない。
【0036】
ステップ(2)において、前記溶液中の微粒子を固相担体の表面及び/又は内部に固定し、前記固相担体の表面及び/又は内部に固定された微粒子の数は不定であり、一定の数の微粒子を予め空間分割された領域に添加する必要がない。
【0037】
本発明に記載の方法において、前記固相担体はマルチウェルプレートであり、例えば48ウェルプレート、96ウェルプレート、384ウェルプレート、512ウェルプレート、1024ウェルプレート又は1536ウェルプレートである。
【0038】
本発明において、前記固相担体は少なくとも一部が光透過性であり、又は実質的に可視光を通過可能である。前記光透過性とは可視光の透過率が10%以上であり、又は20%以上であり、又は30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%以上であることを意味する。
【0039】
本発明に記載の方法において、明視野顕微結像により微粒子の画像における座標を決定する。
【0040】
本発明に記載の方法において、前記明視野モードで(例えば顕微明視野結像により)各微粒子の境界を決定する。
【0041】
本発明に記載の方法において、前記微粒子の輝度差に基づいて前記微粒子の座標を決定する。明視野モードで、微粒子の中央が明るく周辺が暗いので、磁気ビーズの中央に視認可能な輝点が形成され、図2に示すように、磁気ビーズの確認及びカウントを実現する。
【0042】
本発明の好ましい実施例において、微粒子の輝度差は微粒子自体の輝度差である。
【0043】
本発明の好ましい実施形態において、前記明視野モードで微粒子の凝集/重なりを決定し、凝集した/重なった微粒子を除去し、単一の微粒子のみを統計して測定対象分子濃度を計算する根拠とする。
【0044】
本発明に記載の方法において、前記ステップ(4)におけるカウントは前記微粒子の前記画像における座標により決定される。
【0045】
本発明に記載の方法において、明視野及び暗視野のカウントは、通常、同じ視野で行われる。
【0046】
明視野、暗視野のそれぞれの結像により、検出の精度及び感度を向上させることができ、暗視野のみにより検出すれば、磁気ビーズに特異的に結合した蛍光分子であるかそれとも溶液中に遊離された蛍光分子又は不純物に非特異的に結合した蛍光分子であるかを区別することができず、偽陽性シグナルを生成しやすい。例えば図4の矩形領域内の明視野で磁気ビーズがなく、暗視野でシグナルを検出することができる。
【0047】
本発明に記載の方法において、微粒子及び/又はシグナル分子のカウント統計は顕微鏡で結像した後に行われる。
【0048】
好ましくは、本発明の方法は、明視野での微粒子の数及び対応する暗視野でのシグナル分子含有微粒子の数を統計するにより、検出対象の標的分子の濃度を計算することをさらに含む。計算方法は、シグナル分子含有微粒子の数と明視野での微粒子の数との比例関係に基づいて、異なる濃度の標準品を参照して得られた試験曲線に基づいて検出対象分子の濃度を決定すること、シグナル分子含有微粒子上の平均シグナル強度に基づいて異なる濃度の標準品を参照して得られた試験曲線に基づいて検出対象分子の濃度を決定することを含むがそれらに限定されない。
【0049】
本発明に記載の方法において、前記標的分子は一種又は複数種であってもよく、前記微粒子は少なくとも一種の捕捉分子を含み、例えば、標的分子が二種である場合、前記微粒子は、
少なくとも一部に二種類の捕捉分子がカップリングされており、又は
少なくとも一部に第1捕捉分子が固定されると共に、少なくとも一部に第2捕捉分子が固定されている。
【0050】
前記捕捉分子はそれぞれ対応する前記標的分子の第1結合部位に特異的に結合し、検出分子を添加し、それぞれ標的分子の第2結合部位に特異的に結合し、前記検出分子はシグナル分子を標識し、検出分子が標識したシグナル分子の相違又は微粒子形状により異なる標的分子を決定する。
【0051】
本発明に記載の方法は非診断目的であってもよい。
【0052】
第3態様において、本発明は、上記方法の生体分子を検出するための診断試薬の製造における用途を提供する。
【0053】
本発明に記載の用途において、前記診断試薬はタンパク質又は核酸検出試薬であり、前記試薬は微粒子、捕捉分子、検出分子、シグナル分子を含み、選択可能に、前記診断試薬はさらに緩衝試薬、カップリング試薬、洗浄試薬を含み、選択可能に、前記診断試薬はさらに検出装置を含む。
【0054】
第4態様において、本発明は、上記方法を実施する検出装置をさらに提供し、前記検出装置は、固相担体と、少なくとも一つの第1光源及び少なくとも一つの第2光源と、シグナル収集ユニットと、シグナル処理ユニットを含み、
前記固相担体は微粒子を固定することができ、前記微粒子は検出対象シグナル分子が結合された微粒子を含みかつ前記固相担体の表面及び/又は内部に分散されており、
前記第1光源は前記固相担体の選択された視野内の微粒子を照射して微粒子の総数に関連する明視野シグナルを形成し、前記第2光源は前記固相担体の選択された視野内の微粒子を照射して検出対象シグナル分子が結合された微粒子の総数に関連する暗視野シグナルを形成し、
前記シグナル収集ユニットは、明視野シグナル及び暗視野シグナルを収集するために用いられ、
前記シグナル処理ユニットは、収集された明視野シグナル及び暗視野シグナルに基づいて前記シグナル分子の濃度を決定する。
【0055】
本発明に記載の装置において、前記固相担体は前記シグナル収集ユニットの上方又は下方に配置され、前記固相担体は前記シグナル収集ユニットの上方又は下方から取り外すことができるように構成される。
【0056】
本発明に記載の装置において、前記固相担体は少なくとも一つの流路を含んでもよく、前記流路は入口及び出口を含み、前記微粒子を含有する溶液は前記流路内に分散する。好ましくは、前記固相担体は前記微粒子を含有する溶液を送入、送出するための流路を含み、ここで前記流路の少なくとも一部は前記光検出ユニットの光路と重なることにより、前記第1光源及び前記第2光源を検出することを可能にする。好ましくは、流路はガラス管又はマイクロ流路チップから選択される。
【0057】
本発明に記載の装置において、前記固相担体はさらにマルチウェルプレート又はプレートであってもよい。
【0058】
本発明に記載の装置において、前記装置はさらに磁界発生装置又は電界発生装置を含み、前記磁界発生装置又は電界発生装置は前記微粒子を前記固相担体の表面及び/又は内部に固定分散するために用いられる。好ましくは、磁力発生装置は好ましくは磁石であってもよい。
【0059】
本発明に記載の装置において、好ましくは、前記固相担体は前記シグナル収集ユニットに対して回動可能なターンテーブルであり、ここで前記ターンテーブルは少なくとも一つの光透過可能な検出部位を含み、例えばブラインドビアであり、前記検出部位が前記シグナル収集ユニットの光路にある時に前記シグナル収集ユニットによって検出される。ブラインドビアの数は1つ又はそれ以上であってもよく、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個である。好ましくは、前記ターンテーブルはステッピングの方式で複数のステーションの間に順次回動すると共に前記複数のステーションで検出部位の検出対象溶液に対して、前記溶液中の微粒子を固定して洗浄する操作を行うことができるように構成される。好ましくは、前記複数のステーションは前記シグナル収集ユニットの光路に位置する検出ステーション、前記検出ステーションの上流に位置する少なくとも一つの前処理ステーション及び前記検出ステーションの下流に位置する少なくとも一つの後処理ステーションを含み、ここで前記前処理ステーションで前記溶液中の微粒子を固定分散する操作を行い、前記後処理ステーションで洗浄操作を行う。
【0060】
ターンテーブルは、円盤又は環状盤であることが好ましい。「環状盤」とは環状の盤を意味し、典型的な環状盤は一つの大きな円盤から一つの小さな同心円盤を切り出した残りの部分である。本発明において、環状盤が完全に閉じることを要求せず、それは一つ又は複数の切り欠きを有してもよく、かつ環の外観輪郭は円形に限定されず、それは不規則な図形であってもよく、例えば多角形であり、好ましくは正多角形である。
【0061】
本発明の説明によれば、当業者であれば、シグナル収集ユニット、シグナル処理ユニットを形成するために必要な対応するデバイスを容易に想到することができる。例えば、シグナル収集ユニットは増幅部材、レンズ、光学フィルタ、撮影部材等を含み、及びシグナル処理ユニットは画像収集及び記憶を制御するコンピュータを含む。好ましくは、前記増幅部材は前記選択された視野内の微粒子を増幅するために用いられる。好ましくは、増幅部材は対物レンズであり、より好ましくは、対物レンズは低倍対物レンズであり、例えば4X、10X、20X、40Xである。低倍対物レンズを利用して高倍対物レンズに対して一つの視野で複数のサンプル/液滴を検出することができ、検出効率を向上させ、検出コストを低減する。
【0062】
本発明に記載の装置において、前記装置はさらに前記シグナル収集ユニット及び/又は固相担体を動作させるための変位機構を含む。
【0063】
本発明に記載の装置において、好ましくは、前記変位機構は一次元変位台、二次元変位台及び三次元変位台からなる群から選択される一種又は複数種である。
【0064】
本発明に記載の装置において、好ましくは、前記変位機構は二次元変位台であり、それにより単一の微粒子が前記固相担体の表面に分散する時に、平面運動の方式で単一の微粒子の明視野及び暗視野顕微結像を取得することを可能にする。
【0065】
本発明に記載の装置において、好ましくは、前記変位機構は三次元変位台であり、それにより単一の微粒子が前記固相担体の内部に分散する時に、空間運動の方式で単一の微粒子の明視野及び暗視野顕微結像を層ごとに取得することを可能にする。
【0066】
第5態様において、本発明は、第1態様及び第2態様に記載の方法を実行するプログラム及び/又は前記方法を実行して生成されたデータを記憶するために用いられるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0067】
前記コンピュータ記憶媒体はコンピュータ命令、プログラム、コードセット又は命令セットを記憶するために用いられ、それらがコンピュータで実行される時、コンピュータに前記のような微粒子上のシグナル分子を検出する方法、前記のような標的分子を分析する方法、又は前記のような複数のタイプの標的分子を決定するための方法を実行させる。
【0068】
一つ又は複数のコンピュータ読み取り可能な媒体の任意の組み合わせを採用することができる。コンピュータ読み取り可能な媒体はコンピュータ読み取り可能な信号媒体又はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であってもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は電気、磁気、光、電磁、赤外線、又は半導体のシステム、装置又はデバイス又は任意の以上の組み合わせを含むがそれらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体のより具体的な例は、一つ又は複数の導線を有する電気的接続、携帯型コンピュータ磁気ディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、携帯型コンパクト磁気ディスク読み取り専用メモリ、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス又は上記任意の適切な組み合わせを含むがそれらに限定されない。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体はプログラムを含むか又は記憶するいかなる有形媒体であってもよく、該プログラムは命令実行システム、装置又はデバイスに使用されるか又はそれと組み合わせて使用されてもよい。
【0069】
コンピュータ読み取り可能な信号媒体はベースバンド又はキャリアの一部として伝播されたデータ信号を含むことができ、ここでコンピュータ読み取り可能なプログラムコードが担持される。このような伝播されたデータ信号は様々な形式を採用することができ、電磁信号、光信号又は上記任意の適切な組み合わせを含むがそれらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な信号媒体はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体以外の任意のコンピュータ読み取り可能な媒体であってもよく、該コンピュータ読み取り可能な媒体は命令実行システム、装置又はデバイスにより使用されるか又はそれと組み合わせて使用されるためのプログラムを送信、伝播又は伝送することができる。
【0070】
コンピュータ読み取り可能な媒体に含まれるプログラムコードは任意の適切な媒体で伝送することができ、無線、電線、光ケーブル、RF又は上記任意の適切な組み合わせを含むがそれらに限定されない。
【0071】
一種又は複数種のプログラミング言語又はその組み合わせで本発明の操作を実行するためのコンピュータプログラムコードを作成することができ、プログラミング言語はJava、Smalltalk、C++のようなオブジェクト指向プログラミング言語を含み、さらにC言語又は類似のプログラミング言語のような従来のプロセス式プログラミング言語を含む。プログラムコードはユーザーコンピュータで完全に実行されたり、ユーザーコンピュータで部分的に実行されたり、独立したソフトウェアパッケージとして実行されたり、一部がユーザーコンピュータで実行され一部が遠隔コンピュータで実行され、又は遠隔コンピュータ又はサーバで完全に実行されたりするようにされてもよい。遠隔コンピュータに関する場合、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザーコンピュータに接続することができ、選択的に、外部コンピュータに接続することができる(例えばインターネットサービスプロバイダを利用してインターネットを介して接続する)。
【0072】
第6態様において、本発明は、第5態様に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含む、電子機器をさらに提供する。
【0073】
前記電子機器は、
一つ又は複数のプロセッサと、
一つ又は複数のプログラムを格納するために用いられる記憶装置と、を含み、
前記一つ又は複数のプログラムが前記一つ又は複数のプロセッサにより実行されることにより、前記一つ又は複数のプロセッサは前記のような微粒子上のシグナル分子を検出する方法、前記のような標的分子を分析する方法、又は前記のような複数のタイプの標的分子を分析する方法(そのうちの任意の一つのステップ又は複数のステップであってもよい)を実現する。
【0074】
選択的に、電子装置はさらに送受信器を含むことができる。プロセッサは送受信器に接続され、例えばバスを介して接続される。なお、実際の応用において送受信機は一つに限定されず、該電子機器の構造は本願の実施例を限定するものではない。
【0075】
前記プロセッサはCPU、汎用プロセッサ、DSP、ASIC、FPGA又は他のプログラマブルロジックデバイス、トランジスタロジックデバイス、ハードウェア部品又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。それは本願の開示内容を参照して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュール及び回路を実現するか又は実行することができる。プロセッサは計算機能を実現する組み合わせであってもよく、例えば一つ又は複数のマイクロプロセッサ組み合わせ、DSP及びマイクロプロセッサの組み合わせ等を含む。
【0076】
バスは、上記コンポーネントの間に情報を伝送する通路を含むことができる。バスは、PCIバスまたはEISAバスなどであってもよい。バスは、アドレスバス、データバス、コントロールバスなどに分けることができる。メモリはROM又は静的情報及び命令を記憶することができる他のタイプの静的記憶装置、RAM又は情報及び命令を記憶することができる他のタイプの動的記憶装置であってもよく、EEPROM、CD-ROM又は他の光ディスク記憶、光ディスク記憶(圧縮光ディスク、レーザディスク、光ディスク、デジタル汎用光ディスク、ブルーレイディスク等を含む)、磁気ディスク記憶媒体又は他の磁気記憶装置、又は命令又はデータ構造形式を有する所望のプログラムコードを携帯するか又は記憶することができかつコンピュータによりアクセスすることができる任意の他の媒体であってもよいが、それらに限定されない。
【0077】
本発明に記載の電子装置において、好ましくは、言及されたコンピュータ命令、プログラム、コードセット又は命令セットは、その機能が以下から選択されるいずれか一つ又は複数である。
(1)微粒子の数を計算すること、
(2)明視野の光強度を調整してより高い信号対雑音比を取得すること、
(3)シグナル分子が蛍光物質である場合、励起光の波長及び/又は強度を調整してシグナルを取得し、及び/又はより高い信号対雑音比を取得すること、
(4)撮影部材の焦点距離を調節し、及び/又は撮影部材と前記固相担体との距離を調節し、及び/又は撮影視野を切り替え、及び/又は露光時間を調節すること、
(5)微粒子明視野顕微鏡画像データに対して画像認識を行い、単一の微粒子であると確認された画像位置情報を抽出し、シグナル分子の画像位置情報と比較することにより、xとy及び/又はzの比率を決定すること、
(6)標準品で得られた標準曲線で、得られた数値を換算し、目標分子濃度情報を得ること、
(7)微粒子のシグナル分子強度閾値を設定し、かつ前記閾値より低い微粒子を識別することができること、及び/又はサンプル内の不純物と自発シグナル分子(例えば自発蛍光)の干渉を排除すること、
(8)微粒子の境界を確認し、互いに接触、凝集するか又は互いに重なる微粒子を識別することができること、
(9)凝集した又は互いに重なった微粒子を、全体から除去すること。
【0078】
本発明に記載の電子装置において、好ましくは、言及されたコンピュータ命令、プログラム、コードセット又は命令セットは、微粒子が二次元分布でありかつ固相担体に固定される場合、システムは側方向変位台を移動することにより二次元分布上の全ての微粒子の明視野及び暗視野シグナルを収集し、微粒子が三次元分布でありかつ固相担体に固定される場合、システムは軸方向一次元変位台又は三次元変位台を移動して三次元空間上の各層の微粒子明視野及び暗視野シグナルを収集する。
【0079】
用語
本発明の文脈において、「固定」という用語は微粒子と固相担体が同時に出現する場合、磁気ビーズ上のシグナル分子及び/又は磁気ビーズの数を容易に統計するために、前記微粒子の前記固相担体表面/内部での相対位置(例えば磁気ビーズと磁気ビーズとの間の相対位置及び/又は磁気ビーズと固相担体との間の相対位置)が基本的に変化しない状態を意味する。本発明の好ましい実施形態において、固相担体は磁気ビーズ表面の修飾された分子と固相担体上の分子との相互作用によりこのような固定をより強固にすることができる。互いに作用する形態は、共有結合、イオン結合、ファンデルワールス力、水素結合、重力、磁力又はそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態において、微粒子と固相担体との間の作用方式は前記のようなブリッジ接続方式により実現される。
【0080】
本発明の文脈において、「実質」、「実質的」という用語及びその変形は説明された特徴が前記値又は説明に等しいか又はほぼ等しいことを示すことを目的とする。例えば、「実質的に平坦な」表面は平坦な又はほぼ平坦な表面を示すことを目的とする。また、上記のように定義されたとおり、「実質的に類似する」は二つの値が等しいか又はほぼ等しいことを示すことを目的とする。いくつかの実施形態において、「実質的に類似する」は互いに約10%以内、例えば互いに約5%以内又は互いに約2%以内の差の値を示すことができる。
【0081】
本発明の文脈において、「量子ドット小球」という用語は複数の量子ドットを包むナノ粒子を意味する。
【0082】
本発明の文脈において、「蛍光小球」という用語は複数の蛍光分子を包むナノ粒子を意味する。
【0083】
本発明の文脈において、「暗視野」という用語はシグナル分子を検出することに役立つ環境を意味する。検出の典型的な形式はシグナル分子の光学シグナルを撮影し収集することを含み、かつシグナル分子の有無を統計すること及びシグナル分子のシグナル強度を計算すること等を選択的に含む。上記撮影方法は緻密粒子を利用する散乱光結像、アップコンバージョン発光結像、化学発光シグナル分子結像及び蛍光結像を含むがそれらに限定されない。本発明の好ましい実施形態において、暗視野は実質的に可視光がない環境であり、シグナル分子検出に高い信号対雑音比環境を提供する。例えばシグナル分子が蛍光シグナルである場合、暗視野は実質的に可視光がないが、励起光などの環境を有してもよく、それにより蛍光シグナルの撮影に役立ち画像の信号対雑音比を向上させる。
【0084】
微粒子及び/又はシグナル分子のカウント
本発明の好ましい実施形態において、それぞれ明視野及び暗視野モード顕微鏡で微粒子及びシグナル分子を含有する微粒子をカウントする。
【0085】
特定の視野で、明視野での微粒子の数をxで示し、暗視野でのシグナル分子を含有する微粒子の数をyで示す。
【0086】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の方法は、暗視野モードでシグナル分子を有する微粒子上のシグナル強度和(シグナル強度和をzで示す)を統計することをさらに含む。
【0087】
本発明の好ましい実施形態において、微粒子及び/又はシグナル分子のカウント統計は顕微鏡で結像した後に行われる。
【0088】
本発明の好ましい実施形態において、微粒子数xは電磁波結像又は音波結像技術により決定される。
【0089】
電磁波は、同相発振すると共に互いに垂直な電界と磁界が空間において波の形式でエネルギーと運動量を伝達し、その伝播方向が電界と磁界で構成された平面に垂直である。電磁波は、無線電波、マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、X線及びガンマ線から選択される一種又は複数種であってもよい。好ましい電磁波は可視光であり、その波長は約380nmから780nmである。音響波は超音波が好ましい。
【0090】
本発明の好ましい実施形態において、顕微明視野結像により特定の視野での粒子数xを統計する。特定の視野でのシグナル分子付きの粒子数y及びシグナル強度和zの取得はシグナル分子のタイプに応じて決定される。本発明の好ましい実施形態において、シグナル分子付きの微粒子の数yは前記シグナル分子が暗視野結像を行うことにより決定される。
【0091】
本発明の好ましい実施形態において、前記特定の視野の数はn個であり、それぞれ各視野での微粒子の数xi及びシグナル分子付きの微粒子の数yi及び/又はシグナル強度和ziの値を統計し、x、y及び/又はzの値を計算する。ここでn及びiは非0自然数であり、


【0092】
シグナル分子濃度情報はx、y、zの三つの数値計算により標準品濃度曲線を参照して得ることができ、ここで比例関係を含み、xとy、xとz、yとz、又はxとy、z、又はそれらに特定の係数を乗算するか又は変形した後に得られたパラメータであってもよく、これは当業者のシグナル分子強度に対する計算に影響を与えない。例えばy/x=1である場合、全ての微粒子がいずれもシグナル分子を持つことを表す。y/x=0である場合、全ての微粒子がいずれもシグナル分子を持たないことを表し、該比値は好ましくは異なる濃度の標準品の検出曲線と共にシグナル分子の分子数を計算するために用いられる。
【0093】
本発明の好ましい実施形態において、yとxの比率が10%より大きい(例えば20%、30%、40%、50%又はより高い)場合、シグナル分子の数量を判断する方法はシグナル分子の平均強度を使用して異なる濃度の標準品の検出曲線を参照することを含む。
【0094】
本発明の好ましい実施形態において、微粒子及び/又はシグナル分子のカウント過程において、x、y、zのうちの任意の一種又は複数種(例えばx、y;x、z;y、z)を計算する時、凝集した/重なった微粒子を統計しない。
【0095】
本発明の好ましい実施形態において、選択的に、マルチウェルプレートを用いてサンプルを並列処理して検出スループットを向上させることができる。
【0096】
標的分子
本発明の好ましい実施形態において、前記標的分子は細胞、細胞小器官、微生物、核酸、タンパク質、ポリペプチド又は分子量が1000より低い小分子化合物であり、好ましくはタンパク質、ポリペプチド又は核酸である。
【0097】
従来の技術における一般的な低存在度検出物質は、TNFα、IFN-α及びIFN-γのような神経因子、IL-1α、IL-1β、IL-6及びIL-13等のような炎症因子、PSA、CEA、AFP及びCA19-9のような癌因子を含むがそれらに限定されない。
【0098】
本発明の好ましい実施形態において、前記微生物はウイルス、細菌、真菌細胞を含む。
【0099】
本発明の好ましい実施形態において、前記ウイルスは、アデノウイルス科(adenoviridae)、アレナウイルス科(arenaviridae)、アストロウイルス科(astroviridae)、ブニヤウイルス科(bunyaviridae)、カリシウイルス科(caliciviridae)、フラビウイルス科(flaviviridae)、肝炎ウイルス科(hepeviridae)、モノネガウイルス目(mononegavirales)、ニドウイルス目(nidovirales)、ピコルナウイルス科(picornaviridae)、オルトミクソウイルス科(orthomyxoviridae)、パピローマウイルス科(papillomaviridae)、パルボウイルス科(parvoviridae)、ポリオーマウイルス科(polyomaviridae)、ポックスウイルス科(poxviridae)、レオウイルス科(reoviridae)、レトロウイルス科(retroviridae)及びトガウイルス科(togaviridae)から選択される一種又は複数種である。
【0100】
本発明の好ましい実施形態では、前記細菌は、ブドウ球菌属、レンサ球菌、リステリア属、erysipelothrix属、Renibacterium属、バシラス属、クロストリジウム属、マイコバクテリウム属、アクチノマイセス属、ノカルジア属、コリネバクテリウム属、ロドコッカス属から選択される一種又は複数種であり、及び/又は、炭疽菌、erysipelas、バチルス菌、リステリア、Bacillus carbonis、大腸菌、プロテウス菌、赤痢菌、肺炎菌、ブルセラ菌、ウェルシュ菌、ヘモフィルス・インフルエン菌、ヘモフィルス・パラインフルエンザ菌、モラクセラ菌、アシネトバクター属、エルシニア属、レジオネラ属、百日咳菌、パラ百日咳菌、シゲラ属、パスツレラ属、コレラ菌、ビブリオ・パラヘモリティクスから選択される一種又は複数種である。
【0101】
本発明の好ましい実施形態において、前記真菌は、Blastomyces coccidioides、Coccidioides posadasii、カプスラーツム型ヒストプラスマ、ズボアジ型ヒストプラスマ、Lobomycosis、Paracoccidioides brasiliensis、Blastomycosis dermatitidis、Sporothrix schenckii、Penicillium marneffei、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラータ、カンジダ・トロピカリス、Candida lusitaniae、アスペルギルス、E. jeanselmei、F. pedrosoi、Fonsecaea compacta、Phialophora verrucosa、Phialophora dermatitis、Geotrichum candidum、Pseudallescheria boydii、Crytococcus neofonmans、Trichosporon、Rhizopus oryzae、Mucor indicus、Absidia corymbifera、Syncephalastrum racemosum、Basidiobolus ranarum、Conidiobolus coronatus、Conidiobolus incongruus、Rhinosporidium seeberi、Hyalohyphomycosis、Phaeohyphomycosisから選択される一種又は複数種である。
【0102】
本発明の文脈において、「核酸」という用語とは、核酸を含む任意の分子を意味し、DNA又はRNAを含むがそれらに限定されない。該用語はDNA及びRNAを含む任意の既知の塩基類似体の配列を含む概念であり、前記類似体は、4-アセチルシトシン、8-ヒドロキシ-N6-メチルアデノシン、アジリジニルシトシン、プソイドイソシトシン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルアデニン、1-メチルプソイドウラシル、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-メチルアデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノースQヌクレオシド、5’-メトキシカルボニルメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸メチル、ウラシル-5-オキシ酢酸、oxybutoxosine、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、N-ウラシル-5-オキシ酢酸メチル、ウラシル-5-オキシ酢酸、プソイドウラシル、Qヌクレオシド、2-チオシトシン及び2,6-ジアミノプリンを含むがそれらに限定されない。
【0103】
本発明の好ましい実施形態において、前記核酸はmiRNA又はshRNAである。
【0104】
本発明の文脈において、「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合により接続されてポリペプチドを形成する少なくとも二つのアミノ酸残基を含む分子を意味する。「ポリペプチド」という用語はタンパク質のドメインも含む。アミノ酸が50個未満である小さなポリペプチドを「ペプチド」と呼ぶことができる。好ましいポリペプチドは腫瘍マーカーのような疾患マーカーである。
【0105】
本発明の好ましい実施形態において、前記小分子化合物は分子量が1000未満(又は500未満)の小分子化合物である。
【0106】
本発明の好ましい実施形態において、捕捉分子-検出分子、捕捉分子-標的分子の結合方式はそれぞれ以下の組み合わせから独立して選択される。
【0107】
ビオチン又はその誘導体/ストレプトアビジン(streptavidin)、ビオチン又はその誘導体/アビジン(avidin)、ビオチン又はその誘導体/中性アビジン(NeutrAvidin)、ビオチン又はその誘導体/アビジン又はその誘導体抗体、半抗原/抗体、抗原/抗体、ポリペプチド/抗体、受容体/リガンド、ジゴキシ/ジゴキシゲニン、炭水化物/レクチン、ポリヌクレオチド/相補的なポリヌクレオチド及び核酸アプタマー/核酸アプタマーの識別物である。ここで、ビオチンの誘導体はD-ビオチン、活性化ビオチン、ビオシチン、エチレンジアミンビオチン、カダベリンビオチン及び脱硫ビオチンである。
【0108】
上記結合方式において、結合の方式のみを限定するが、捕捉分子、検出分子、標的分子がどのような状態で互いに結合するか又はその結合詳細を限定しない。抗原/抗体の結合方式を例にして、捕捉分子は抗体であってもよく、標的分子は抗原であってもよい。あるいは捕捉分子は抗原であってもよく、標的分子は抗体であってもよい。あるいは捕捉分子はカップリング又は抗体を含む混合物であってもよく、標的分子はカップリング又は抗原又は抗体を含む混合物であってもよい。あるいは捕捉分子及び標的分子は他の融合タンパク質又は標識を有してもよい。
【0109】
前記捕捉抗体/検出抗体は抗体特異的特性に応じて分類され、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、一本鎖抗体、抗原結合断片、ナノ抗体のうちの一種又は複数種であってもよい。前記捕捉抗体は由来に応じて分類され、マウス抗体、ウサギ抗体、ヤギ抗体及びアルパカ抗体のうちの一種又は複数種であってもよい。
【0110】
本発明の好ましい実施形態において、検出分子で標識されたシグナル分子は予め標識され、さらに標的分子又は捕捉分子と結合することができる。検出分子により標識されたシグナル分子はまず標的分子又は捕捉分子と結合し、次にシグナル分子を標識することができる。
【0111】
本発明の好ましい実施形態において、シグナル分子の検出結果に基づいて、標的分子の濃度を計算する。
【0112】
本発明の方法は、複数種類の標的分子の検出にも適用可能である。捕捉分子の種類は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はより多くの種類であってもよい。それに応じて、標的分子及び検出分子は捕捉分子の種類以下であるべきである。
【0113】
本発明の好ましい実施形態において、様々な検出分子にそれぞれ区別可能な異なるシグナル分子があり、区別の方式は異なる色、異なる蛍光、異なる分子量などを含むがそれらに限定されない。
【0114】
微粒子の数が多いため、A’種の標的分子を検出したい場合、その対応するA種の捕捉分子を異なる微粒子の表面に分散被覆させてもよい。例えば一部の微粒子にa1種類の捕捉分子が固定され、他の一部の微粒子にa2種類の捕捉分子が固定され、さらに他の一部の微粒子にa3種類の捕捉分子が固定されるようにしてもよく、かつa1∪a2∪a3=Aである。あるいは、一つの微粒子に一種の捕捉分子が含まれ、捕捉分子が同じであっても異なってもよい。あるいは、一つの微粒子に二種又は複数種の異なる捕捉分子が捕捉されてもよい。あるいは、一部の微粒子に一種の捕捉分子が捕捉され、一部の微粒子に複数種の捕捉部分子が捕捉される等の様々な状況であってもよい。
【0115】
本発明の好ましい実施形態において、複数種の検出分子は一種のシグナル分子を有してもよく、微粒子の形状により異なる検出対象の標的分子を区別し、微粒子は球体、略球体、立方体、多面体又は不規則な形状であってもよく、異なる形状の微粒子は異なる捕捉抗体をカップリングすることができ、それにより異なる標的分子を特異的に結合し、複数種の標的分子の検出を実現する。
【0116】
なお、本発明は単位微粒子に固定された捕捉分子の数を具体的に限定せず、それが一種の捕捉分子のみであっても、捕捉分子の数は一つ又は複数であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0117】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。ここで、
図1】本発明の一実施形態に係る、捕捉抗体が被覆された磁気ビーズが抗原を捕捉してその表面に免疫複合体を形成する概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る、明視野顕微結像モードで撮影された磁気ビーズの写真である。
図3】本発明の一実施形態に係る、明視野顕微結像モードで分布して撮影された異なる粒径の磁気ビーズ溶液を平らに広げた後の写真である。
図4】本発明の一実施形態に係る、明視野及び暗視野顕微結像モードで分布して撮影された磁気ビーズ溶液を平らに広げた後の写真である。
図5】本発明の一実施形態に係る、ストレプトアビジンで修飾された磁気ビーズによる異なる濃度のBiotin-Qbeadsに対する検出結果である。
図6】本発明の一実施形態に係る、精製されたSpikeタンパク質の検出結果を示す。
図7】本発明の一実施形態に係る、表面に新型コロナウイルスSタンパク質を発現する偽ウイルスの検出結果である。
図8】本発明の一実施形態に係る、IL-6の検出結果である。
図9】本発明の一実施形態に係るターンテーブルの概略図である。
図10】本発明の一実施形態に係る分子検出装置の概略図である。
図11】本発明の一実施形態に係るターンテーブルと対物レンズの相対位置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0118】
以下に具体的な実施形態を参照して本発明をさらに詳細に説明する。記載された実施例は本発明を説明するためのものだけであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0119】
検出装置
図9図11に示すとおり、本発明の提供する標的分子を検出する装置は以下を含む。
【0120】
固相担体201であって、前記固相担体は微粒子溶液301中の微粒子を固定することができ、前記微粒子は検出対象シグナル分子が結合された微粒子を含みかつ前記固相担体の表面及び/又は内部に分散されている。
【0121】
少なくとも一つの第1光源303及び少なくとも一つの第2光源306であって、第1光源303から射出された光が集光レンズ304を介して前記固相担体201上の選択された視野内の微粒子(例えばターンテーブル201における検出対象の磁気ビーズ溶液を収容するブラインドビア302内の磁気ビーズ)に照射されることにより、微粒子の総数に関連する明視野シグナルを形成する。第2光源306から射出された蛍光が順にレンズ307及びダイクロイックビームスプリッタ308を介して前記固相担体201上の選択された視野内の微粒子に照射されることにより、検出対象のシグナル分子が結合された微粒子の総数に関連する暗視野シグナルを形成する。ここで、第1光源303及び第2光源306はLEDにより提供することができる。
【0122】
シグナル収集ユニットであって、それぞれ明視野シグナル及び暗視野シグナルを収集するために用いられる。シグナル収集ユニットは、増幅部材対物レンズ305、レンズ310、光学フィルタ309及び撮像部材カメラ311を含み、上記明視野シグナル及び暗視野シグナルはそれぞれ順次対物レンズ305、レンズ310及び光学フィルタ309を介してカメラ311に到達して顕微結像を行う。
【0123】
シグナル処理ユニット(図示せず)であって、収集された明視野シグナル及び暗視野シグナルに基づいて前記標的分子の濃度を決定する。
【0124】
本発明の標的分子を検出する装置において、固相担体は図9又は図10に示す前記シグナル収集ユニットに対して回動可能なターンテーブル201である。図10に示すとおり、固相担体としてのケイ酸塩ガラスターンテーブル201はシグナル収集ユニットの上方に配置され、かつシグナル収集ユニットの上方から取り外すことができる。他の選択的な実施形態において、固相担体はプレートであり、例えばスライドガラスであり、溶液301中の微粒子はプレートの表面にランダムに均一に分布する。他の選択的な実施形態において、固相担体は少なくとも一つの流路を有し、流路は入口及び出口を含む。溶液301中の微粒子は、流路内に均一に分布する。流路の少なくとも一部は光検出ユニットの光路と重なることにより、第1光源303及び第2光源306を検出することを可能にする。
【0125】
ターンテーブル201の材質は、石英やガラス等であってもよい。ターンテーブル201は少なくとも一つの光透過可能な検出部位を含み、検出部位がシグナル収集ユニットの光路にある時にシグナル収集ユニットによって検出される。図9に示すように、ターンテーブル201は8つの検出部位とするブラインドビア202を有し、そのうちの一つのブラインドビア302は検出対象微粒子溶液を収容するブラインドビアである。
【0126】
固相担体であるターンテーブル201はシグナル収集ユニットの上方の平面内で回動することができる。図11は、検出対象微粒子溶液を収容したブラインドビア302が回転により対物レンズ305の上方に位置することを示している。ターンテーブル201はステッピングの方式で複数のステーションの間に順次回動して前記複数のステーションで検出部位の検出対象溶液に対して下記操作を行うように構成される。前記溶液中の微粒子(例えば磁気ビーズ)を固定分散して洗浄する。前記複数のステーションは前記シグナル収集ユニットの光路に位置する検出ステーション、前記検出ステーションの上流に位置する少なくとも一つの前処理ステーション及び前記検出ステーションの下流に位置する少なくとも一つの後処理ステーションを含み、ここで前記前処理ステーションで前記溶液中の微粒子を固定分散する操作を行い、前記後処理ステーションで洗浄操作を行う。
【0127】
前記分子を検出する装置はさらに磁場発生装置又は電界発生装置(図示せず)を含み、前記磁場発生装置又は電界発生装置は前記微粒子を前記固相担体の表面及び/又は内部に固定分散するために用いられる。
【0128】
好ましい実施形態において、前記微粒子は磁気ビーズであり、常磁性及び超常磁性から選択される一種又は複数種であってもよい。磁気ビーズの粒径は600nmから10μmである。
【0129】
本発明の装置はさらに前記シグナル収集ユニット及び/又は固相担体を動作させるための変位機構(図示せず)を含み、ここで前記変位機構は好ましくは一次元変位台、二次元変位台及び三次元変位台からなる群から選択された一種又は複数種であり、例えば、二次元変位台であってもよく、それにより単一の微粒子が前記固相担体の表面に分散する時、平面運動の方式で単一の微粒子の明視野及び暗視野顕微結像を取得することを可能にする。
【0130】
図11に示すとおり、反応後のシグナル分子付きの免疫複合体の微粒子溶液301を透明な固相担体のブラインドビア202に吸引し、この時、図11におけるターンテーブル201上の8個のブラインドビア202の5番目の位置に対応する。回転台は回転軸203を駆動してサンプルを5番目の位置から4、3、2、1番目の位置に順に移動して液体寒天を添加し、外力で微粒子の空間分布を制御し、冷却して凝固可能な寒天で微粒子を固定し、シグナル収集ステップを行い、前記2番目の位置及び4番目の位置のステップを省略することができる。1番目の位置にある時、第1光源303(すなわち明視野光源)は集光レンズ304及び検出対象の磁気ビーズ溶液を収容するブラインドビア302により磁気ビーズを明視野画像に形成し、対物レンズ305によりシグナルを収集し、かつレンズ310によりカメラ311に結像する。例えばシグナル分子は蛍光基又は粒子であり、第2光源(例えば励起光源)306はレンズ307、ダイクロイックビームスプリッタ308及び対物レンズ305により微粒子上のシグナル分子を励起し、生成された蛍光シグナルは同様に対物レンズ305により収集された後にダイクロイックビームスプリッタ308を透過しかつ光学フィルタ309により背景シグナルを濾過した後、レンズ310を介してカメラ311に結像される。ここでは蛍光シグナルをまとめて暗視野結像と呼ぶ。明視野と暗視野結像を交互に行い、明視野シグナルは分散微粒子数情報を提供し、暗視野結像はこれらの分散微粒子におけるシグナル分子を含む微粒子数を提供し、好ましくは、さらにポアソン分布により標的分子の濃度を分析することができる。データ収集が終了した後、サンプルは1番目の位置から8、7、6番目の位置(すなわち複数回の溶出を行って微粒子を回収する)を経て5番目の位置まで回転し続け、この過程で、次のサイクルの検出が行われるように、ブラインドビア202を洗浄する。
【0131】
なお、
(1)寒天を採用して微粒子を固定する時に、サンプルを積載した後に5番から4番まで変位して寒天を充填する時に、6番のブラインドビアはこの時に5番まで移動して次のサンプルをロードし始め、このように類推し、各ブラインドビアがこの位置に移動するといずれもサンプルをロードすることを保証し、高効率の循環検出を実現する。
(2)寒天を採用して微粒子を固定する以外に、反応後のシグナル分子付きの免疫複合体の微粒子溶液301を透明なプレート固相担体(石英、ガラスなど)又は光透過性のマルチウェルプレート固相担体に吸引した後、磁石、重力又は磁場を直接用いて微粒子を固相担体に緊密に広げ、好ましくは微粒子溶液301の溶媒を除去し、次に直接に二次元分布により微粒子を検出する。
(3)生体分子が核酸である場合も、装置を利用して同様な分析装置に構成して分析することができる。
【実施例
【0132】
実施例1 磁気ビーズのスクリーニング
異なる粒径の磁気ビーズ溶液(粒径:500nm、1μm、2μm、3μm)を提供する。上記4種類の粒径の磁気ビーズ溶液を取り、スライドガラスにランダムに分布させ、顕微鏡に置いて観察し撮影し、結果は3に示すとおりである。
【0133】
図3から分かるように、磁気ビーズの粒径が500nmである時に磁気ビーズが凝集効果を生成し、単一の微粒子をカウントすることができない。一方、粒径が10μmより大きい磁気ビーズはインキュベーション過程において重力により沈下しやすく、インキュベーションされた溶液に分布が不均一となり、衝突確率に影響を与え、検出感度を低下させる。粒径が600nm-10μmの磁気ビーズは上記二種類の影響要因を回避することができ、異なる粒径で、対応する特定の拡大倍率で、明視野顕微結像は周囲が暗く中央が明るい画像特徴(図3に記載の粒径が3μmである)を呈し、該特徴を磁気ビーズの大きさと合わせて、磁気ビーズ及び他の不純物を区別し、検出分析結果を向上させることに用いることができる。汚染及び背景が複雑なサンプル、例えば咽頭拭い液、唾液、鼻腔拭い液、肺胞洗浄液及び他の塗布拭い液サンプルに対して高い検出許容度を有する。
【0134】
図3に記載の粒径が1μm及び2μmの磁気ビーズもそれぞれの特定の拡大倍率で上記した周囲が暗く中央がが明るいという特徴を呈する(図示せず)。
【0135】
実施例2 ストレプトアビジンで修飾された磁気ビーズによる異なる濃度のBiotin-Qbeadsに対する検出
1.実験成分
ストレプトアビジンで修飾された磁気ビーズ、ビオチンで修飾された量子ドット微小球(Biotin-Qbeads)、Buffer A(2%BSAを10mM PBS pH7.4に溶解する)、Buffer B(0.5%Tween20を10mM PBS pH7.4に溶解する)。
【0136】
2.実験方法
(1)Buffer Aを用いてBiotin-Qbeadsを0、0.05、0.25、0.5、2.5、5、25、50fMに希釈する。ストレプトアビジンで修飾された磁気ビーズを2×107個/mLに希釈する。
(2)10μLの希釈された異なる濃度のbiotin-Qbeads、10μLの希釈されたストレプトアビジンで修飾された磁気ビーズ、及び80μLのBuffer Aをそれぞれ取り、ボルテックスして均一に混合し、37℃で1h反応させる。
(3)Buffer Bで6回洗浄し、上澄液を除去する。
(4)20μLのPBSを加えて磁気ビーズを再懸濁し、その中から5μLを取ってカバーガラスに移し、磁石を用いて磁気ビーズをガラスの底部に吸着し、蛍光顕微鏡を用いて単分子結像を行う。
(5)低倍対物レンズを利用してガラスの底面に分布した磁気ビーズをそれぞれ明視野及び蛍光結像モードで結像し、明視野及び蛍光の二セットのデータを取得する。免疫複合体を含有する磁気ビーズの数(すなわち活性化ビーズactive beadsの数)と磁気ビーズ総数との比により抗原濃度を得ることができる。
(6)一連の異なる濃度の検出を完了し、各濃度について3回繰り返す。
【0137】
3.実験結果
実験結果は図5に示すように、検出濃度が50aM~50fMはいずれもこの検出方法の線形範囲内にある。したがって該方法の線形ダイナミックレンジは3桁ある。該実施例は抗体無し反応系において、ストレプトアビジン及びビオチンの二つの親和性が強い反応物のみが関与する場合、システムの限界感度を検証した結果、抗体の親和性が十分に高い場合、該方法はaMまで探索することができ、低存在度因子の検出に新たな技術手段を提供することが示されている。
【0138】
実施例3 精製新型コロナウイルスSpikeタンパク質の検出
1.実験成分
カルボキシル基で修飾された磁気ビーズ、捕捉抗体(SinoBiological 40150-D006)、検出抗体(SinoBiological 40591-MM43)、ストレプトアビジンで修飾された量子ドット微小球、Spikeタンパク質(RBD,SinoBiological)、N-ヒドロキシチオスクシンイミド(S-NHS)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、PBS緩衝液、Buffer A(0.1%Tween20を10mM PBS pH7.4に溶解する)、Buffer B(2%BSAを10mM PBS pH7.4に溶解する)、Buffer C(0.5%Tween20を10mM PBS pH7.4に溶解する)、MES、Tris-HCl、NaOH、EZ-LinkNHS-PEG4-Biotinylation Kit、脱塩カラム(ZebaTM Spin Desalting Columns)。
【0139】
2.調製方法
2.1 磁気ビーズと捕捉抗体との共有結合
(1)20uLの磁気ビーズ懸濁液を1.5mLのEPチューブに入れ、EPチューブを磁気分離ラック内に置き、磁気ビーズを富化させ、上澄液を除去する。
(2)0.5mLのH2Oを遠心管に入れ、15sボルテックスし、磁気ビーズを均一に混合し、EP管を磁気分離ラック内に置き、磁気ビーズを富化させ、上澄液を除去する。
(3)0.5mLのNaOHを遠心管に入れ、15sボルテックスし、磁気ビーズを均一に混合し、EP管を磁気分離ラック内に置き、磁気ビーズを富化させ、上澄液を除去する。このステップを二回繰り返す。
(4)0.5mLのH2Oを遠心管に入れ、15sボルテックスし、磁気ビーズを均一に混合させ、EP管を磁気分離ラック内に置き、磁気ビーズを富化させ、上澄液を除去する。このステップを一回繰り返す。
(5)0.5mLのMES pH5.0を遠心管に入れ、15sボルテックスし、磁気ビーズを均一に混合させ、EP管を磁気分離ラック内に置き、磁気ビーズを富化させ、上澄液を除去する。このステップを一回繰り返す。
(6)0.1mLのMES pH5.0を遠心管に入れ、15sボルテックスし、磁気ビーズを均一に混合させ、次に0.1mLの100mg/mlのEDC及び50mg/mlのS-NHSを添加し、15sボルテックスし、EP管を水平振盪器に置き、室温で40min反応させる。EP管を磁気分離ラック内に置き、磁気ビーズを富化させ、上澄液を除去する。
(7)0.5mLのMES pH5.0を遠心管に入れ、15sボルテックスし、磁気ビーズを均一に混合させ、EP管を磁気分離ラック内に置き、磁気ビーズを富化させ、上澄液を除去する。このステップを一回繰り返す。0.1mLのMES pH5.0を添加して磁気ビーズを再懸濁し、15sボルテックスする。
(8)88μgの捕捉抗体(40150-D006)を取り、0.1mLのMES pH5.0で希釈した後に磁気ビーズ懸濁液に添加し、15sボルテックスし、EP管を水平振盪器に置き、室温で1h反応させる。
(9)EP管を磁気分離ラック内に置き、磁気ビーズを富化させ、上澄液を除去する。0.4mLのTris-HCl pH7.4を添加して磁気ビーズを再懸濁し、15sボルテックスし、EP管を水平振盪器に置き、室温で1h反応させる。
(10)EP管を磁気分離ラック内に置き、磁気ビーズを富化させ、上澄液を除去する。0.5mLのBuffer Aを加え、15sボルテックスし、磁気ビーズを均一に混合し、EP管を磁気分離ラック内に置き、磁気ビーズを富化させ、上澄液を除去する。このステップを二回繰り返す。
(11)0.5mLのPBSを加え、15sボルテックスし、磁気ビーズを均一に混合し、EP管を磁気分離ラック内に置き、磁気ビーズを富化させ、上澄液を除去する。
(12)0.15mLのBuffer Bを加え、15sボルテックスし、磁気ビーズを均一に混合し、4℃で保存する。
【0140】
2.2 検出抗体のビオチン化修飾
(1)1mgの検出抗体を取り、1mLの10mM PBSで濃度が1mg/mLになるまで希釈し、4℃で保存して使用に備える。
(2)キットに分注したNHS-PEG4-Biotinを1管取り、0.17mLの超純水を加えて溶解し、濃度が20μMのNHS-PEG4-Biotin溶液を得る。
(3)6.65μLのNHS-PEG4-Biotin溶液を取って検出抗体溶液に添加し、室温で1h反応させる。
(4)脱塩カラム(ZebaTM Spin Desalting Columns)を用いて緩衝液の置換を行い、同時に系中の余分なNHS-PEG4-Biotin溶液を除去する。
(5)Nanodropを用いてビオチン化後の検出抗体の濃度を測定し、4℃で保存する。
【0141】
3.実験方法
(1)Buffer Bを用いてSpikeタンパク質の濃度を0、0.01、0.1、1、10、100pg/mLに希釈する。
(2)Buffer Bを用いて捕捉抗体が標識された磁気ビーズを50倍希釈し、ビオチン標識された検出抗体の濃度を4μg/mLに希釈し、SA-Qbeadsを1.67nMに希釈する。
(3)それぞれ25μLの希釈された異なる濃度のSpikeタンパク質、捕捉抗体が標識された磁気ビーズ、ビオチン標識された検出抗体及びSA-Qbeadsを取り、ボルテックスして均一に混合し、37℃で1h反応させる。
(4)Buffer Cで6回洗浄し、上澄液を除去する。
(5)20μLのPBSを加えて磁気ビーズを再懸濁し、その中から5μLを取ってカバーガラスに移し、磁石を用いて磁気ビーズをガラスの底部に吸着し、蛍光顕微鏡を用いて単分子結像を行う。
(6)低倍対物レンズを利用してガラスの底面に分布した磁気ビーズをそれぞれ明視野及び蛍光結像モードで結像し、明視野及び蛍光の二セットのデータを得る。免疫複合体を含有する磁気ビーズの数(すなわち活性化ビーズactive beadsの数)と磁気ビーズ総数との比により抗原濃度を得ることができる。
(7)一連のSpikeタンパク質濃度の検出を完了し、各濃度について3回繰り返す。
【0142】
4.実験結果
検出結果は図6に示すように、該実施例において、Spikeタンパク質の検出範囲は0.01-100pg/mLであり、その検出下限は10fg/mLに達することができることが分かる。
【0143】
比較例1:表面に新規なコロナウイルスSタンパク質を発現する偽ウイルスの検出
1.実験成分
検出サンプルは表面に新規なコロナウイルスSタンパク質を発現する偽ウイルスであり、残りの実験成分は実施例3と一致する。
【0144】
2.製造方法
2.1 磁気ビーズと捕捉抗体との共有結合
実施例3の対応するステップと同様にして操作を行った。
2.2 検出抗体のビオチン化修飾
実施例3の対応するステップと同様にして操作を行った。
【0145】
3.実験方法
偽ウイルスを検出サンプルとして使用し、そのうち前記偽ウイルスを含まない溶液と100μL当たり2、5、20、100及び200個の偽ウイルスを含む一連の溶液を含む。その他のステップは、実施例3の対応するステップと同様にして操作を行った。
【0146】
4.実験結果
図7の結果から分かるように、検出された偽ウイルス数は2~200であり、いずれもこの検出方法の線形範囲内にある。偽ウイルス数が2及び5である場合、蛍光を有する磁気ビーズの数と全ての磁気ビーズの数との比が低いが、依然としてウイルスがない対照群と顕著に区別することができる。同じ抗体の化学発光プラットフォームでの現在の検出感度は約50個の偽ウイルスであり、実施例の結果は化学発光法より25倍高い。
【0147】
実施例4 磁気ビーズ法によるIL-6の検出
1.実験成分
本実験に使用される捕捉抗体は8C9(杭州華葵金配生物科技有限公司)であり、検出抗体は9A2(杭州華葵金配生物科技有限公司)であり、検出サンプルはIL-6であり、残りの実験成分は実施例1と一致する。
【0148】
2.製造方法
2.1 磁気ビーズと捕捉抗体との共有結合
実施例1の対応するステップと同様にして操作を行った。
2.2 検出抗体のビオチン化修飾
実施例1の対応するステップと同様にして操作を行った。
【0149】
3.実験方法
(1)Buffer Bを用いてIL-6の濃度を0、0.05、0.2、0.5、2、5、20pg/mLに希釈する。
(2)Buffer Bを用いて捕捉抗体が標識された磁気ビーズを150倍希釈し、ビオチン標識された検出抗体の濃度を4μg/mLに希釈し、SA-Qbeadsを8nMに希釈する。その他のステップは、実施例1の対応するステップと同様にして操作を行った。
【0150】
4.実験結果
検出結果は図8に示すように、該実施例において、IL-6の検出範囲は0.05-20pg/mLであり、いずれもこの検出方法の線形範囲内にあり、その検出下限は50fg/mLに達することができることが分かる。同じ抗体の化学発光プラットフォームでの現在の検出感度が1pg/mlより大きく、実施例の結果は化学発光法より約20倍高い。
【符号の説明】
【0151】
1…1番目の位置、2…2番目の位置、3…3番目の位置、4…4番目の位置、5…5番目の位置、6…6番目の位置、7…7番目の位置、8…8番目の位置、201…ターンテーブル、202…ブラインドビア、203…回転軸、301…磁気ビーズ溶液、302…検出対象磁気ビーズ溶液を収容するブラインドビア、303…明視野光源、304…集光レンズ、305…対物レンズ、306…蛍光光源、307…レンズ、308…ダイクロイックビームスプリッタ、309…光学フィルタ、310…レンズ、311…カメラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-02-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)検出対象シグナル分子が結合された微粒子を含む微粒子を含有する溶液を提供するステップと、
(2)前記溶液中の微粒子を固相担体の表面及び/又は内部に固定するステップと、
(3)明視野により、選択された視野内の微粒子をカウントするステップと、
(4)暗視野により、選択された視野内のシグナル分子が結合された微粒子をカウントするステップと、
(5)ステップ(3)及び(4)で得られたカウント結果に基づいてシグナル分子の濃度を決定するステップと、を含み、
ここで、ステップ(3)は明視野における凝集した/重なった微粒子を除去することを含む、シグナル分子を検出する方法。
【請求項2】
(1)標的分子が特異的結合反応により形成された、シグナル分子を標識する複合体に接続される微粒子を含有する溶液を提供するステップと、
(2)前記溶液中の微粒子を固相担体の表面及び/又は内部に固定するステップと、
(3)明視野により、選択された視野内の微粒子をカウントするステップと、
(4)暗視野により、選択された視野内の、複合体が結合された微粒子をカウントするステップと、
(5)ステップ(3)及び(4)で得られたカウント結果に基づいてシグナル分子の濃度を決定し、さらに標的分子の濃度を決定するステップと、を含み、
ここで、ステップ(3)は明視野における凝集した/重なった微粒子を除去することを含む、一種又は複数種の標的分子を検出する方法。
【請求項3】
ステップ(2)において、前記固相担体を空間的に分割してランダムな分布を実現する必要がなく、並びに/又は、
前記ステップ(2)において、印加磁場及び/又は電界及び/又はゲルにより前記微粒子を固体担体の表面及び/又は内部に固定する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記固相担体の表面及び/又は内部に固定された微粒子の数は不定である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記標的分子は、タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、抗原、抗体、受容体、リガンド又は核酸から選択される一種又は複数種であり、並びに/又は、
前記特異的結合反応は免疫反応、ハイブリダイゼーション反応、受容体-リガンド相互作用から選択される一種又は複数種である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記標的分子は抗体である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記微粒子は磁性微粒子である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記磁性微粒子は、粒子径が600nm-10μmである磁気ビーズである、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記磁気ビーズの粒子径は1μm-5μmである、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記シグナル分子は発色団、ジゴキシ標識プローブ、金属ナノ粒子又は酵素から選択される一種又は複数種であり、又は、有機小分子蛍光プローブ、量子ドット、量子ドット小球、蛍光小球、三次元DNAナノ構造レポータープローブ、アップコンバージョン発光ナノ材料小球、ロールリング増幅蛍光分子増幅構造又は核酸アプタマー蛍光分子増幅構造から選択される一種又は複数種である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
前記シグナル分子は量子ドット小球である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
前記量子ドット小球のサイズは110nm以内である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記固相担体はマルチウェルプレート、プレート又は流路から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
明視野顕微結像により微粒子の画像における座標を決定する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項15】
前記微粒子の輝度差に基づいて前記微粒子の座標を決定し、前記微粒子の輝度差は前記微粒子自体の輝度差である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ステップ(4)におけるカウントは前記微粒子の前記画像における座標により決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ステップ(5)における標的分子の濃度を決定する方法は、
前記ステップ(3)及びステップ(4)で取得された微粒子数の比例関係に基づいて、標準品曲線と合わせて標的分子の濃度を決定することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項18】
請求項1又は2に記載の方法の生体分子を検出する診断試薬の製造における用途。
【請求項19】
請求項1~17のいずれか一項に記載の方法を実施する検出装置であって、固相担体と、少なくとも一つの第1光源及び少なくとも一つの第2光源と、シグナル収集ユニットと、シグナル処理ユニットを含み、
前記固相担体は微粒子を固定することができ、前記微粒子は検出対象シグナル分子が結合された微粒子を含みかつ前記固相担体の表面及び/又は内部に分散されており、
前記第1光源は前記固相担体の選択された視野内の微粒子を照射して微粒子の総数に関連する明視野シグナルを形成し、前記第2光源は前記固相担体の選択された視野内の微粒子を照射して検出対象シグナル分子が結合された微粒子の総数に関連する暗視野シグナルを形成し、
前記シグナル収集ユニットは、明視野シグナル及び暗視野シグナルを収集するために用いられ、
前記シグナル処理ユニットは、収集された明視野シグナル及び暗視野シグナルに基づいて前記シグナル分子の濃度を決定する。
【請求項20】
前記シグナル収集ユニットは増幅部材を含み、前記増幅部材は前記選択された視野内の微粒子を増幅するために用いられ、及び/又は、
前記シグナル収集ユニットは少なくとも一つの撮影部材を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記増幅部材は対物レンズである、請求項2に記載の装置。
【請求項22】
前記対物レンズは低倍対物レンズである、請求項2に記載の装置。
【請求項23】
前記固相担体は少なくとも一部が光透過性の担体であり、
前記固相担体(201)は少なくとも一つの流路を含み、前記流路は入口及び出口を含み、前記微粒子を含有する溶液は前記流路内に分散し、及び/又は、
前記固相担体(201)はマルチウェルプレート又はプレートである、請求項19に記載の装置。
【請求項24】
前記固相担体は前記シグナル収集ユニットの上方又は下方に配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項25】
前記固相担体は前記シグナル収集ユニットの上方又は下方から取り外すことができるように構成される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記装置はさらに磁界発生装置又は電界発生装置を含み、前記磁界発生装置又は電界発生装置は前記微粒子を前記固相担体の表面及び/又は内部に固定分散するために用いられ、及び/又は、
前記装置はさらに前記シグナル収集ユニット/固相担体を動作させるための変位機構を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項27】
前記固相担体は前記シグナル収集ユニットに対して回動可能なターンテーブルであり、ここで前記ターンテーブルは少なくとも一つの光透過可能な検出部位を含み、前記検出部位が前記シグナル収集ユニットの光路にある時に前記シグナル収集ユニットによって検出される、請求項19に記載の装置。
【請求項28】
前記ターンテーブルはステッピングの方式で複数のステーションの間に順次回動すると共に前記複数のステーションで検出部位の検出対象溶液に対して、前記溶液中の微粒子を固定して洗浄する操作を行うことができるように構成される、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記複数のステーションは前記シグナル収集ユニットの光路に位置する検出ステーション、前記検出ステーションの上流に位置する少なくとも一つの前処理ステーション及び前記検出ステーションの下流に位置する少なくとも一つの後処理ステーションを含み、ここで前記前処理ステーションで前記溶液中の微粒子を固定分散する操作を行い、前記後処理ステーションで洗浄操作を行う、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記変位機構は一次元変位台、二次元変位台及び三次元変位台からなる群から選択される一種又は複数種である、請求項26に記載の装置。
【請求項31】
請求項1又は2に記載の方法を実行するプログラム及び/又は請求項1~17のいずれか一項に記載の方法を実行することによって生成されたデータ及び前記方法を実行することによって生成されたデータを記憶するために用いられるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項32】
請求項1に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含む、電子機器。
【国際調査報告】