(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】保湿抗菌組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20231024BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20231024BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20231024BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20231024BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231024BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/92
A61K8/86
A61Q19/00
A61K8/73
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023518834
(86)(22)【出願日】2021-09-16
(85)【翻訳文提出日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2021075489
(87)【国際公開番号】W WO2022063676
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】202021041615
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】チャンダール,プレム
(72)【発明者】
【氏名】モアデル,ティーヌーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ネギ,アジェイ・シン
(72)【発明者】
【氏名】パラニサミー,バーラタ
(72)【発明者】
【氏名】パテル,トラル
(72)【発明者】
【氏名】シローチ,アナト
(72)【発明者】
【氏名】シン,サプナ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA121
4C083AB271
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC212
4C083AC301
4C083AC341
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC491
4C083AC531
4C083AC532
4C083AC581
4C083AC681
4C083AC741
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC901
4C083AD041
4C083AD111
4C083AD331
4C083AD332
4C083AD631
4C083AD632
4C083AD661
4C083AD662
4C083BB13
4C083BB51
4C083CC01
4C083CC02
4C083DD01
4C083DD23
4C083EE06
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE16
(57)【要約】
透明抗菌組成物は、水と、アルコールと、湿潤剤と、官能油とを含む。透明抗菌組成物を製造する方法は、官能油と湿潤剤とを合わせて第1の相を形成するステップと、水とアルコールとを合わせて第2の相を形成するステップと、第1の相と第2の相とを合わせて第3の相を形成するステップと、第3の相に中和剤を添加して抗菌組成物を形成するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、
アルコールと、
湿潤剤と、
官能油と
を含む透明抗菌組成物。
【請求項2】
前記官能油が可溶性官能油を含み、好ましくは前記油が液体でなければならず、前記油が少なくとも75/25のEtOH/水に可溶性でなければならず、前記油が水に対する溶解性を有してはならない、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項3】
前記官能油が、0~10重量%、好ましくは0.5~5重量%の量で存在する、請求項1または2に記載の抗菌組成物。
【請求項4】
前記官能油が、ジカルボン酸エステル、乳酸エステル、トリグリセリド、大豆油、脂肪酸エステル、(ポリ)プロピレングリコール脂肪エーテルまたはそれらの組み合わせを含み、前記官能油の添加が前記抗菌組成物の透明性に影響を及ぼさない、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項5】
前記官能油が、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピルもしくはリンゴ酸ジエチルヘキシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、イソステアリルアルコール、PPG15ステアリルエーテルもしくはそれらの組み合わせから選択される可溶性官能油、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリドイソプロピルミリステート、パルミチン酸イソプロピルもしくはそれらの組み合わせから選択される不溶性官能油、または前記可溶性官能油と不溶性官能油との組み合わせを含む、請求項4に記載の抗菌組成物。
【請求項6】
前記水が、8~30重量%、好ましくは10~25重量%、より好ましくは10~20重量%の量で存在し、前記アルコールが、60~80重量%、好ましくは62~75重量%、より好ましくは65~75重量%の量で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項7】
前記アルコールが、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項8】
前記湿潤剤が、1~10重量%、好ましくは2~8重量%、より好ましくは3~7重量%の量で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項9】
前記湿潤剤が、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ポリグリセロール、イソプレングリコール、ヒアルロン酸、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項10】
皮膚有益剤をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項11】
前記皮膚有益剤が、ナイアシンアミド、トコフェロール、アロエベラ、ヒアルロン酸ナトリウムもしくはヒアルロン酸カリウム、α-ヒドロキシ酸およびエステル、β-ヒドロキシ酸およびエステル、ヒドロキシエチル尿素、ポリヒドロキシ酸およびエステル、クレアチン、ヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、クワエキス、カンゾウエキス、またはそれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の抗菌組成物。
【請求項12】
前記抗菌組成物が液体の形態であり、好ましくは前記抗菌組成物が液体スプレー抗菌組成物の形態である、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項13】
キレート剤をさらに含み、好ましくは前記キレート剤がエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム、N-(ヒドロキシエチル)-エチレンジアミン酢酸三ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、メチルグリシン二酢酸の三ナトリウム塩、グルタミン酸四ナトリウム二酢酸およびフィチン酸を含み、好ましくは前記キレート剤がエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、またはそれらの組み合わせである、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項14】
官能油と湿潤剤とを合わせて第1の相を形成するステップと、
水とアルコールとを合わせて第2の相を形成するステップと、
前記第1の相と前記第2の相とを合わせて第3の相を形成するステップと、
前記第3の相に中和剤を添加して抗菌組成物を形成するステップと
を含む、透明抗菌組成物の製造方法。
【請求項15】
前記抗菌組成物に芳香剤を添加するステップをさらに含む、請求項14に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌組成物、具体的には透明な保湿抗菌組成物を開示する。透明な保湿抗菌組成物は、水と、アルコールと、湿潤剤と、官能油とを含む。
【背景技術】
【0002】
微生物およびウイルス汚染に対する消費者の関心が高まっている。したがって、衛生は、消費者の間で望まれる最も重要な属性の1つであり続けている。消費者は、必要な衛生特性を提供する製品を望む。世界中の消費者は、様々な種類の抗菌組成物を使用して、調理台、床、および家具などの硬質表面、衣類、カーペット、室内装飾品などの柔らかく多孔性の表面、ならびに皮膚および毛髪などの個人的な表面を含む様々な表面を消毒する。このような表面には、細菌やウイルスなどの多くの微生物が見られる。病気になるリスクを最小限に抑えるために、これらの表面に細菌を含まないことが望ましい。
【0003】
多くの抗菌製品が市販されている。一部は、少なくとも60重量%以上のエタノールを含有するゲル、液体、または液体スプレーとして供給される。このような製品は、塗布後に良好な抗菌効果をもたらすことが知られているが、一部の消費者は、高エタノール系製品が皮膚を乾燥させ、表皮バリアを弱め、老化過程を促進する可能性があるためにそのような製品を避けている。現在の環境では、消費者は1日を通して自分の身体に抗菌製品を使用している可能性があり、したがって乾燥肌を発症する可能性が高まる。
【0004】
したがって、優れた抗菌性および抗ウイルス性の利益を提供すると同時に、1日を通して無制限の回数で使用するのに十分に安全かつ穏やかである抗菌組成物を開発することが絶えず必要とされている。消費者の需要を考慮すると、局所的に適用したときに鎮静効果および保湿効果ももたらす抗菌組成物を開発することに対する関心が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
様々な態様において、保湿抗菌組成物が開示される。
【0006】
透明抗菌組成物は、水と、アルコールと、湿潤剤と、官能油とを含む。
【0007】
透明抗菌組成物を製造する方法は、官能油と湿潤剤とを合わせて第1の相を形成することと、水とアルコールとを合わせて第2の相を形成することと、第1の相と第2の相とを合わせて第3の相を形成することと、第3の相に中和剤を添加して抗菌組成物を形成することとを含む。
【0008】
これらおよび他の特徴および特性を以下でより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、抗菌組成物が開示される。抗菌組成物は、非粘着性の官能特性を有する透明な組成物である。抗菌組成物は、任意の形態であり得るが、好ましくは透明な液体スプレーの形態である。抗菌組成物は、それが塗布される表面に保湿を提供する。例えば、組成物がヒトの皮膚に塗布される場合、抗菌組成物は、乾燥した皮膚を使用者に残さず、むしろ保湿および消毒の両方が行われた皮膚を使用者に残す。抗菌組成物は、それが塗布される表面に8時間以下の保湿を提供することができる。抗菌組成物はまた、細菌、ウイルスおよび真菌に対する抗菌性および抗ウイルス性の保護を提供することができる。抗菌組成物は、水と、アルコールと、湿潤剤と、官能油とを含む。予想外なことに、抗菌組成物は、塗布後に粘着性なしに保湿を提供することが見出された。抗菌組成物は、典型的には、抗菌組成物塗布にしばしば伴う粘着感を低減するために非粘着剤の使用を必要とするため、これは予想外の利点である。
【0010】
抗菌組成物は、非粘着剤を実質的に含まなくてもよい。非粘着剤を実質的に含まないとは、組成物が2重量%未満の非粘着剤、好ましくは1重量%未満の非粘着剤、より好ましくは0.5重量%未満の非粘着剤、さらにより好ましくは0.1重量%未満の非粘着剤、さらにより好ましくは0重量%の非粘着剤を含有することを意味する。本明細書全体を通して言及される重量パーセント(重量%)は、組成物全体における重量%を指す。
【0011】
抗菌組成物は、有利には、それが塗布される表面に保湿および消毒の両方の利益を提供する。本明細書で使用される消毒組成物または抗菌組成物は、細菌を死滅させるかまたは細菌の増殖を阻害することができる組成物を指す。抗菌組成物は、実質的に乳化剤を含まなくてもよい。抗菌組成物は透明または半透明であり得、好ましくは抗菌組成物は透明である。実質的に乳化剤を含まないとは、組成物が2重量%未満の乳化剤、好ましくは1重量%未満の乳化剤、より好ましくは0.5重量%未満の乳化剤、さらにより好ましくは0.1重量%未満の乳化剤、さらにより好ましくは0重量%の乳化剤を含有することを意味する。
【0012】
抗菌組成物は、8~30重量%、好ましくは10~25重量%、より好ましくは10~20重量%の量の水を含む。
【0013】
組成物中の抗菌剤としてアルコールを使用することができる。アルコールが抗菌剤として使用される場合、抗菌組成物はアルコールを60~80重量%、好ましくは62~75重量%、より好ましくは65~75重量%の量で含む(その中に包含される全ての値および範囲を含む)。アルコールは、エタノール、プロパノール(n-プロパノール)、イソプロピルアルコール、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない様々なアルコールを含むことができる。抗菌組成物中に存在するアルコールのレベルは、アルコールの純度百分率に基づいて調整することができる。例えば、純度92%のエタノールを使用する場合、エタノールは、70~80重量%、例えば75重量%の量で使用することができる。アルコールは、クロロキシレノールを含んでいてもよい。好ましいアルコールは、変性SD-40エタノールであり得る。
【0014】
抗菌組成物は、1つ以上の追加の抗菌剤を含んでいてもよい。任意の追加の抗菌剤は、25℃で2000パーツパーミリオン(ppm)未満の水への溶解度を有するテルペン、精油、またはカチオン性油から選択することができる。本明細書に開示される抗菌組成物に使用することができる芳香族精油の例としては、サリチル酸アミル、カルバクロール、シメン、例えばp-シメン、ジヒドロオイゲノール、オイゲノール、ヘキシルオイゲノール、サリチル酸ヘキシル、イソオイゲノール、メチルオイゲノール、メチルイソオイゲノール、サリチル酸メチル、tertブチルクレゾール、チモール、クマリン、イラン、イラン、コパイバ油およびバニリンが挙げられる。テルペノイド化合物の非芳香族精油の例としては、セドラン、シネオール、シトラール(ゲラニアールおよびネラールを含む)、シトロネラール、ニトロネロール、ユーカリプトール(すなわち、1,8シネオール)パラジヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール(DHミルセノール)、ファルネソール、ゲラニオール、ヘキシルシンナムアルデヒド、ヒドロキシニトロナロール、ヒドロキシニトロネラール、イソシトラール、リモネン、好ましくはd-リモネン、リナロール、ロンギホレン、メントール、ネロール、ネロリジオール、ピネン、例えばα-ピネン、フェレントレン、テルピニン、例えばα-テルピネンおよびγ-テルピネン、テルピネオール、例えばγ-テルピネオールおよびテルピン-4-オール、ならびにテトラヒドロミルセノール(THM)が挙げられる。
【0015】
好ましいカチオン性油としては、第四級アンモニウムカチオン性植物油、および式(CH3)3-Si[Si(CH3)2-O]-[Si(CH3)-((CH2)3-NH-(CH2)2-NH2)-O]2-Si-(CH3)3を有する荷電アミノポリジメチルシランが挙げられる。これらの追加の抗菌剤の溶解度は、25℃で2000ppm未満であることが好ましい。例えば、追加の抗菌剤は、テルピネオール、チモール、オイゲノール、ボルネオール、リモネン、またはそれらの組み合わせであり得る。好ましい追加の抗菌剤は、テルピネオール、チモール、またはオイゲノール、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0016】
他の種類の任意の追加の抗菌剤としては、銀化合物が挙げられる。銀化合物は銀イオンを含むことができ、例えば、銀イオンは、硝酸銀、酢酸銀、酸化銀、硫酸銀、またはそれらの組み合わせから選択することができる。好ましくは、銀化合物は硝酸銀である。
より具体的に述べると、組成物に使用されてもよい銀化合物は、少なくとも1.0×10-4mol/L(25℃の水中)の銀イオン溶解度を有する1つ以上の水溶性銀(I)化合物である。銀イオン溶解度は、本明細書で言及される場合、25℃の水中での溶解度積(Ksp)に由来する値であり、多くの情報源で報告されている周知のパラメータである。より詳細には、モル/Lで与えられる値である銀イオン溶解度[Ag+]は、以下の式を使用して計算することができる。
[Ag+]=(Ksp・x)(1/(x+1))
【0017】
式中、Kspは、25℃の水中での目的の化合物の溶解度積であり、xは、化合物1モル当たりの銀イオンのモル数を表す。少なくとも1×10-4mol/Lの銀イオン溶解度を有する銀(I)化合物が、本明細書での使用に望ましいことが分かった。
【0018】
本明細書での使用に望ましい銀化合物は、酸化銀、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、安息香酸銀、サリチル酸銀、炭酸銀、クエン酸銀およびリン酸銀、またはそれらの組み合わせであり、好ましくは、銀化合物は、硝酸銀、酢酸銀、酸化銀、硫酸銀、またはそれらの組み合わせである。
【0019】
存在する場合、追加の抗菌剤は、抗菌組成物全体の0.05~2重量%、例えば0.1~2重量%の量で含まれ得る(その中に包含される全ての値および範囲を含む)。
官能油を抗菌組成物に使用して、組成物の塗布後に、皮膚に対する非粘着性の感覚を使用者に残すのを助けることができる。抗菌組成物は、0.01~10重量%、好ましくは0.5~5重量%の量の官能油を含む(その中に包含される全ての値および範囲を含む)。官能油は、可溶性官能油を含むことができる。本明細書に開示される抗菌組成物に使用するのに望ましい官能油は、以下の基準を満たさなければならない:官能油は液体でなければならず、官能油は、透明な最終抗菌組成物を与えるために最終組成物中の溶解度を反映することになる少なくとも75/25以上のEtOH/水比で可溶性でなければならず、官能油は水に対する溶解性を有さなければならない。
【0020】
可溶性官能油は、ジカルボン酸エステル、乳酸エステル、脂肪アルコール、(ポリ)プロピレングリコール脂肪エーテルまたはそれらの組み合わせを含むことができる。官能油はまた、組み合わせが最終使用組成物に可溶性である場合、可溶性官能油と不溶性官能油との混合物を含むことができる。例えば、可溶性官能油は、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、またはリンゴ酸ジエチルヘキシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、イソステアリルアルコール、PPG14ブチルエーテル、PPG15ステアリルエーテル、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0021】
上記と、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリドなどのトリグリセリドまたは大豆油などの油、またはミリスチン酸イソプロピルまたはパルミチン酸イソプロピルなどの脂肪エステルとのさらなる組み合わせも、それらが可溶性であり、透明な最終使用組成物を形成する限り、範囲内である。後者は、本明細書に開示される組成物に使用することができる不溶性油の選択を限定するものではない。すなわち、本発明の組成物の選択された官能油と組み合わせた場合に、最終使用組成物と混合したときに不溶性油が可溶性になることを条件として、他の不溶性油を使用することができる。抗菌組成物に使用される官能油の任意の組み合わせは、抗菌組成物の透明性に影響を与えてはならない。
【0022】
抗菌組成物は、本明細書で前述したものに加えて、限定されないが皮膚有益剤、芳香剤、保存剤、界面活性剤、固定剤、乳白剤、キレート剤、増粘剤、湿潤剤、構造化剤、染料もしくは着色剤、またはそれらの組み合わせを含む他の成分をさらに含有することができる。例えば、様々な着色剤が抗菌組成物中で使用されてもよい。存在する場合、着色剤は、抗菌組成物の0.00001~0.005重量%、例えば、0.0001~0.003重量%、例えば、抗菌組成物の0.001重量%の量であり得る(その中に包含される全ての値および範囲を含む)。
【0023】
例えば、組成物にさらなる保湿特性を提供するために、湿潤剤が抗菌組成物中に使用されてもよい。抗菌組成物での使用に望ましいこのような湿潤剤は、水溶性ポリオール、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(例えば、PPG-9)、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,2-オクタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、イソプレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロールおよびそれらの組み合わせを含むことができる。最も好ましいのは、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ポリグリセロール、イソプレングリコール、ヒアルロン酸、またはそれらの組み合わせである。湿潤剤は、抗菌組成物の1~10重量%、好ましくは2~9重量%、より好ましくは3~8重量%の量で存在することができる。
【0024】
抗菌組成物は、界面活性剤、例えばカチオン性界面活性剤を含有してもよい。使用される場合、カチオン性界面活性剤は、ヒトの皮膚への局所適用に使用できるべきであるという点でのみ限定される。カチオン性界面活性剤は、分岐または直鎖アルキルトリモニウム化合物、アルカノールトリモニウム化合物またはそれらの組み合わせを含むことができる。アルカノールトリモニウム化合物には、ラウロイルエチルトリモニウムメトサルフェート、パルミトイルエチルトリモニウムメトサルフェート、ステアロイルエチルトリモニウムメトサルフェート、カルニチン、パルミトイルカルニチン、これらの組み合わせなどが含まれる。使用されるトリモニウム化合物は、セトリモニウムクロリド、セトリモニウムブロミド、ミトリモニウムクロリド、ミトリモニウムブロミド、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ココトリモニウムメトサルフェート、ベヘントリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムブロミド、ステアルトリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムブロミド、ラウルトリモニウムクロリド、ラウルトリモニウムブロミド、これらの組み合わせなどを含む、アルキルトリモニウム化合物であり得る。誤解を避けるために、本明細書に開示される抗菌組成物に使用されるカチオン性界面活性剤は、上述の界面活性剤の任意の組み合わせから本質的になるか、またはそれからなることができる。
【0025】
ジモニウム化合物を含むカチオン性界面活性剤としては、ジステアリルジモニウムクロリド、ジデシルジモニウムクロリド、ジココジモニウムクロリド、これらの組み合わせなどのジアルキルジモニウム化合物が挙げられる。使用に適した他のジモニウム化合物としては、塩化ベンゼトニウムおよび/または塩化ベンザルコニウムが挙げられる。本明細書で使用されるジモニウムおよびトリモニウム化合物は、それらの塩、特にそれらの塩化物および臭化物を含むことを意味する。
【0026】
ポリクオタニウム材料も使用することができ、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-45、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-53、ポリクオタニウム-67、アクリルアミドプロピル-トリモニウムクロリド/アクリレート(またはアクリルアミド)コポリマー、それらの組み合わせなどの材料を含むことができる。
【0027】
組成物に使用されるカチオン性界面活性剤(すなわち、カチオン性トリモニウム、ジモニウム)および/またはポリクオタニウム材料の量は、組成物の総重量に基づいて、典型的には0.007~5重量%、好ましくは0.01~3重量%、最も好ましくは0.05~1重量%であり、その中に包含される全ての値および範囲を含む。
【0028】
トリモニウムおよびジモニウム界面活性剤の両方が使用される場合、それらは、1:99から99:1、好ましくは30:70から70:30、最も好ましくは40:60から60:40の重量比で使用されることが多い。
【0029】
抗菌組成物はまた、使用される日焼け止め剤および光安定剤の種類および量が組成物の透明性に影響を及ぼさない限り、日焼け止め剤および光安定剤を含んでもよい。使用のための日焼け止め剤および光安定剤は、オクチルメトキシシンナメート(OMC)、エチルヘキシルサリシレート、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(エンスリゾール)、Parsol MCX(登録商標)として入手可能なエチルヘキシルp-メトキシシンナメート、Parsol 1789(登録商標)として入手可能なアボベンゼン(ブチルメトキシジベンゾイルメタン)、オキシベンゾンとしても知られるベンゾフェノン-3、およびスリソベンゾンとしても知られるベンゾフェノン-4などの材料を含む。さらに他のものは、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェノールトリアジン、2-エチルヘキシル-2-シアノ3,3-ジフェニル-2-プロパン酸、ドロメトリゾールトリシロキサン、3,3,5トリメチルシクロヘキシル2-ヒドロキシベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-ヒドロキシベンゾエートまたはそれらの組み合わせを含むことができる。微細二酸化チタン(好ましくは150ナノメートル(nm)未満、最も好ましくは100nm未満の粒径を有する)などの無機日焼け止め活性物質が使用されてもよく、酸化亜鉛が使用されてもよく、ポリエチレンおよび様々な他のポリマーも好適な日焼け止め剤である。使用のための他の日焼け止め剤としては、p-アミノ安息香酸(PABA)、オクチルジメチル-PABA、p-メトキシケイ皮酸2-エトキシエチル、ベンゾフェノン-1、ベンゾフェノン-2、ベンゾフェノン-6、ベンゾフェノン-8、ベンゾフェノン-9、ベンゾフェノン-12、サリチル酸ホモメチル、アントラニル酸メンチル、ベンゾフェノン-4、サリチル酸トリエタノールアミン、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、ビスオクトリアゾール、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ビスジスリゾール二ナトリウム、ジオメトリアゾールトリシロキサン、オクチルトリアゾン、イスコトリジノール、ポリシリコーン-15、イソペンテニル-4-メトキシシンナメート、またはこれらの組み合わせが挙げられる。オクトクリレンも使用することができる。存在する場合の日焼け止め剤または光安定剤の量は、抗菌組成物の0.001~20%、好ましくは0.005~15%、より好ましくは0.01~0.2%、さらにより好ましくは0.1%(重量基準)であり得る(その中に包含される全ての値および範囲を含む)。
【0030】
望ましくは、本明細書に開示される抗菌組成物に使用される任意選択の皮膚有益剤には、ナイアシンアミド(ビタミンB3)、トコフェロール(ビタミンE)、アロエベラ、α-ヒドロキシ酸およびエステル、β-ヒドロキシ酸およびエステル、ヒドロキシエチル尿素、ポリヒドロキシ酸およびエステル、クレアチン、ヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、クワ、ヒアルロン酸およびその塩(それらのNa+塩およびK+塩を含むがこれらに限定されない)、抽出物、リコリスエキス、レゾルシノール誘導体、またはそれらの組み合わせが含まれる。そのような皮膚利益には、治癒、乾燥減少、変色防止などの創傷治癒利益が含まれ得るが、これらに限定されない。例えば、皮膚利益剤はヒアルロン酸ナトリウムであり得る。ヒアルロン酸ナトリウムを含むそのような有益剤は、抗菌組成物の総重量に基づいて、0.0001~10%、例えば0.001~6.5%、例えば0.01~3.5%、例えば0.01%の量で存在することができる(その中に包含される全ての値および範囲を含む)。
【0031】
さらなる任意要素の水溶性皮膚有益剤としては、酸、例えばアルギニン、バリン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、トレオニン、セリン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、チロシンまたはフェニルアラニンなどのアミノ酸が挙げられる。ビタミンB2、ピコリンアミド、パンテノール(ビタミンB5)、ビタミンB6、ビタミンC、それらの組み合わせなどの他のビタミンを使用することができる。誘導体(一般に、何か他のものから開発されたまたは得られた何かを意味する)、特に、そのようなビタミンの水溶性誘導体も使用することができる。例えば、テトライソパルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウムおよびアスコルビルグリコシドなどのビタミンC誘導体を単独でまたは互いに組み合わせて使用することができる。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)などのナイアシンアミド誘導体を、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。使用することができる他の皮膚有益剤としては、4-エチルレゾルシノール、抽出物、例えばセージ、アロエベラ、緑茶、サトウキビ、柑橘類、ブドウ種子、タイム、カモミール、ヤロウ、キュウリ、リコリス、ローズマリー抽出物、またはそれらの組み合わせが挙げられる。NaClおよび/またはKCl、MgCl2などの電解質も使用することができる。本明細書に開示される組成物中に存在する場合、任意の水溶性有益剤(混合物を含む)の総量は、抗菌組成物の総重量に基づいて、0.0001~10%、好ましくは0.001~6.5%、最も好ましくは0.01~3.5%(重量基準)であり得、その中に包含される全ての値および範囲を含む。
【0032】
油溶性有益剤を含んでもよいことも本抗菌組成物の範囲内である。本明細書中に開示される抗菌組成物に使用されてもよい油溶性有益剤のタイプの実例としては、ステアリン酸のような成分、ビタミンA、D、EおよびKのようなビタミン(およびそれらの油溶性誘導体)が挙げられる。
【0033】
使用のための他の任意選択の油溶性有益剤としては、レゾルシノールおよびレゾルシノール誘導体、例えば4-ヘキシルレゾルシノール、4-フェニルエチルレゾルシノール、4-シクロペンチルレゾルシノール、4-シクロヘキシルレゾルシノール4-イソプロピルレゾルシノールまたはそれらの組み合わせが挙げられる。また、5-置換レゾルシノール、例えば4-シクロヘキシル-5-メチルベンゼン-1,3-ジオール、4-イソプロピル-5-メチルベンゼン-1,3-ジオール、これらの組み合わせなどを使用してもよい。5-置換レゾルシノールおよびそれらの合成は、同一出願人による米国特許出願公開第2016/0000669号に記載されている。
【0034】
使用することができるさらに他の油溶性有益剤としては、オメガ-3脂肪酸、オメガ-6脂肪酸、クリンバゾール、マグノロール、ホノキオール、ファルネソール、ウルソール酸、ミリスチン酸、ゲラニルゲラニオール、オレイルベタイン、ココイルヒドロキシエチルイミダゾリン、ヘキサノイルスフィンゴシン、12-ヒドロキシステアリン酸、ペトロセリン酸、共役リノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、テルピネオール、チモール必須成分、およびリモネン、ピネン、カンフェン、シメン、シトロネロール、シトロネラール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、ロジノール、ボルネオール、イソボルネオール、メントン、カンフル、サフロール、イソサフロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ティーツリー油、ユーカリ油、ペパーミント油、ニーム油、レモングラス油、オレンジ油、ベルガモット油から選択される溶解反応助剤、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0035】
使用され得る別の任意選択の油溶性有益剤は、レチノイン酸前駆体である。レチノイン酸前駆体は、レチノール、レチナール、レチニルエステル、プロピオン酸レチニル、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニルまたはそれらの組み合わせであり得る。プロピオン酸レチニル、パルミチン酸レチニルおよびそれらの組み合わせが典型的に好ましい。使用のためのさらに別のレチノイン酸前駆体は、Molecular Design Internationalによって供給されるRetextra(登録商標)という名称で市販されているヒドロキシアナサチルレチノエートである。これは、本明細書に記載の油溶性有益剤のいずれとも組み合わせて使用することができる。
【0036】
任意の(すなわち、0.0~1.5重量%)油溶性有益剤が抗菌組成物中で使用される場合、それは典型的には、最終使用組成物の総重量の0.001~1.5%、例えば0.05~1.2%、例えば0.2~0.5%の量で存在する(その中に包含される全ての値および範囲を含む)。
【0037】
抗菌組成物には、被膜形成剤を使用してもよい。任意であるが、そのような薬剤は、組成物が塗布される表面に接着するのを助けることができる。被膜形成剤としては、親水性を有するものが挙げられ、ポリビニルピロリドン(PVP)、アクリレート、アクリルアミドおよびそれらの共重合体を含む材料が挙げられる。オルガノシロキサンおよびポリクオタニウム-7(Lubrizol製のMerquat(商標)S Polymer)のような堆積剤も使用することができる。使用される場合、そのような薬剤は、抗菌組成物の0.001~1重量%を構成する(その中に包含される全ての値および範囲を含む)。
【0038】
組成物に使用することができる他の任意選択の成分は、ユーカリ油、ラベンダー油、N,N-ジエチル-メタ-トルアミド(DEET)、それらの組み合わせなどの抗蚊剤である。使用され得るさらに他の成分としては、オクトピロックス(ピロクトン)、亜鉛ピリチオン、クロロキシレノール、トリクロサン、セチルピリジニウムクロリド、ならびに酸化銀、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、それらの組み合わせなどを含む銀化合物が挙げられる。使用される場合、これらの他の成分は、典型的には、抗菌組成物の0.001~1.6%、好ましくは0.01~1.2%(重量基準)を構成する(その中に包含される全ての値および範囲を含む)。
【0039】
防腐剤を本明細書に開示される抗菌組成物に使用してもよい。使用される場合、使用のための例示的な防腐剤としては、安息香酸ナトリウム、ヨードプロピニルブチルカルバメート、フェノキシエタノール、ヒドロキシアセトフェノン、エチルヘキシルグリセリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム、ジメチル-ジメチル(DMDM)ヒダントインおよびベンジルアルコールまたはそれらの組み合わせが挙げられる。使用に適した他の防腐剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、クロロフェネシンおよびデシレングリコールが挙げられる。防腐剤は、好ましくは、抗菌組成物の総重量の0.01%~2.0%の量で使用される(その中に包含される全ての値および範囲を含む)。ヒドロキシアセトフェノン単独または他の防腐剤との混合物を含む防腐剤系も好ましい。
【0040】
香料、固定剤、乳白剤(二酸化チタンまたはグリコールジステアレートなど)、キレート剤が、抗菌組成物に含まれていてもよい。可能なキレート剤としては、限定されないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム、N-(ヒドロキシエチル)-エチレンジアミン酢酸三ナトリウム、EDTAの酸形態、チオシアン酸ナトリウム、メチルグリシン二酢酸の三ナトリウム塩、グルタミン酸四ナトリウム二酢酸およびフィチン酸が挙げられ、好ましくはキレート剤はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、またはそれらの組み合わせである。これらの物質の各々は、抗菌組成物の総重量の約0.03~約3%、好ましくは約0.1~約2.6%の量で存在し得る(その中に包含される全ての値および範囲を含む)。
【0041】
使用に望ましい別の任意選択の添加剤としては、2.5~25重量%のカンナビゲロールおよび/または0.5~10重量%のカンナビジオールを含むヘンプオイルが挙げられる。使用される場合、そのような油は、抗菌組成物の0.0001~1.5重量%、好ましくは、使用される場合、抗菌組成物の0.01~1重量%を構成し、その中に包含される全ての値および範囲を含む。
【0042】
抗菌スプレー組成物の粘度を調整するために、少量の増粘剤を含んでもよいことは本組成物の範囲内である。多糖類として分類される増粘剤が使用されてもよい。例としては、繊維、デンプン、天然/合成ゴムおよびセルロースが挙げられる。デンプンの代表例は、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸ナトリウムおよびアルミニウムデンプンオクテニルスクシネートなどの化学修飾デンプンである。タピオカデンプンが、マルトデキストリンと同様に、しばしば好ましい。ガムとしては、キサンタン、タラ、スクレロチウム、ペクチン、カラヤ、アラビア、寒天、グアー(アカシアセネガルグアーを含む)、カラギーナン、アルギネートおよびそれらの組み合わせが挙げられる。セルロース系としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばAshland製のBENECEL(商標)E10M)、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(セルロースガム/カルボキシメチルセルロース)およびセルロース(例えば、セルロースミクロフィブリル、セルロースナノ結晶または微結晶セルロース)が挙げられる。セルロースミクロフィブリルの供給源には、二次細胞壁材料(例えば、木材パルプ、綿)、細菌セルロース、および一次細胞壁材料が含まれる。好ましくは、一次細胞壁材料の供給源は、果実、根、球根、塊茎、種子、葉およびそれらの組み合わせからの実質組織から選択され、より好ましくは、柑橘類果実、トマト果実、モモ果実、カボチャ果実、キウィフルーツ、リンゴ果実、マンゴー果実、サトウダイコン、ビートルート、カブ、パースニップ、トウモロコシ、エンバク、コムギ、エンドウおよびそれらの組み合わせから選択され、さらにより好ましくは、柑橘類果実、トマト果実およびそれらの組み合わせから選択される。一次細胞壁材料の最も好ましい供給源は、柑橘類果実由来の実質組織である。Herbacel(登録商標)によってAQ Plusとして入手可能なものなどの柑橘類繊維も、セルロースミクロフィブリルの供給源として使用することができる。セルロース源は、Colloidal Polymer Science,Kalia et al「Nanofibrillated cellulose:surface modification and potential applications」(2014)、Vol 292,Pages 5-31に記載されているものを含む公知の方法のいずれかによって表面修飾することができる。
【0043】
含まれ得る他の増粘剤は、疎水性に改質されたクロスポリマーを含むことができる。合成ポリマーは有効な増粘剤である。可能な増粘剤としては、架橋ポリアクリレート、例えばASHLAND(商標)980カルボマー(アクリル酸の架橋ポリマー)のようなカルボマー、アクリレートコポリマー、アクリレート/アクリレート(C10-C30)アルキルアクリレートクロスポリマー、例えばUltrez 20のようなCarbopol(商標登録)ライン、およびINCI名アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマーを有するLubrizolから市販されているETD2020が挙げられる。Lubrizol Carbopol(商標登録)ラインからのさらに他のポリマーは、Ultrez 10、Ultrez 21などを含むことができる。Sepigel(登録商標)305などのポリアクリルアミド、ならびにSimulgel(登録商標)EGおよびAristoflex(登録商標)AVCなどのタウレートコポリマー、それぞれのINCI命名法によってアクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムおよびアクリロイルジメチルタウリン酸/ビニルピロリドンコポリマーとして同定されているコポリマーが挙げられる。さらに他の増粘ポリマーは、合成ポリマー、例えばSeppicによって市販され、Simulgel INS100の名称で販売されているアクリレート系ポリマーを含むことができる。炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、およびマグネシウム-アルミニウム-ケイ酸塩も使用することができる。
【0044】
増粘剤の量は、使用される場合、抗菌組成物の重量基準で0.001~5%の範囲であり得る。マルトデキストリン、キサンタンガム、およびカルボキシメチルセルロースがしばしば好ましい増粘剤である。望ましいことが多い他の増粘剤は、ジリノレイル/炭酸ジメチル共重合体、ステアリルアルコニウムヘクトライト、セチル(セテアリル、ステアリル)脂肪アルコール、タラガム、ポリクオタニウム32および/または37、ペンタエリスリチルテトラステアレートまたはそれらの組み合わせである。
【0045】
抗菌組成物は、乳化剤を含んでいてもよい。乳化剤は、疎水性物質1モル当たり約2~約100モルのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドと縮合したC10-C20脂肪アルコールまたは酸疎水性物質を有するもの;2~20モルのアルキレンオキシドと縮合したC2-C10アルキルフェノール;エチレングリコールのモノ-およびジ-脂肪酸エステル;ソルビタン、モノ-およびジ-C8-C20脂肪酸;ポリオキシエチレンソルビタン、またはそれらの組み合わせで構成される群から選択され得る。アルキルポリグリコシドおよびサッカライド脂肪アミド(例えば、メチルグルコンアミド)も適切な非イオン性乳化剤である。
【0046】
好ましい乳化剤は、典型的には、7.5~28、好ましくは8~25、最も好ましくは9~20のHLB(親水性-親油性バランス)を有し(その中に包含される全ての範囲を含む)、例えば、非イオン性乳化剤は、ポリソルベート20(Tween 20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween 80)を含むことができる。存在する場合、乳化剤は、0~1重量%、例えば1重量%の量で存在することができる(その中に包含される全ての値および範囲を含む)。
【0047】
抗菌組成物はさらに、中和剤を含有することができ、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、アンモニウム、アルギニン、トロメタミン、AMP 95として販売されているアミノメチルプロパノール、AngusのAMP-Ultra PC1000、AMP-Ultra PC2000、AMP-Ultra PC3000、BASFのNeutrol TEとしても知られているテトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、またはそれらの組み合わせなどが挙げられる。中和剤は、0~1重量%、例えば0.1~0.75重量%、例えば0.2~0.5重量%の量で存在することができる(その中に包含される全ての値および範囲を含む)。
【0048】
包装に関して、抗菌組成物は、スプレーボトル、スクイズボトルに包装することができ、または綿棒、ワイプ、小型ペーパータオル、化粧品基材シートなど(米国特許第6,294,182号明細書に記載されているものなど)の含浸湿潤剤として提供することができる。増粘剤によって粘度が増加するにつれて、抗菌組成物はゲル化し、ゲル組成物としてスクイズボトルで消費者に提供され得る。スプレーボトルはまた、金属であってもよく、抗菌組成物は、従来のエアロゾル包装技術を介して提供されてもよく、エアインバッグ放出キャニスタ、機構およびアクチュエータを利用するものを含む。抗菌組成物が発泡体として排出され得るように、発泡剤(例えば、双性イオン性および/または両性界面活性剤)を含むことも本抗菌組成物の範囲内である。
【0049】
抗菌組成物は、細菌死滅およびウイルス活性低下のために、皮膚などの表面に組成物を塗布(例えば、スクイーズまたはスプレー)するための指示書と共に供給すべきである。抗菌組成物は、生分解性包装で提供することができ、使用される包装は、好ましくは再充填可能または再利用可能、生分解性であり得、および/または少なくとも50%、好ましくは少なくとも100%が消費者使用後再生樹脂から作られ得る。抗菌組成物は、液体またはゲルの形態であり得、好ましくは、抗菌組成物は、液体、例えば液体スプレー抗菌組成物の形態である。
【0050】
本明細書で使用される皮膚は、腕(脇の下を含む)、顔、足、首、胸、手、脚、臀部および頭皮(毛髪を含む)の皮膚を含むことを意味する。本明細書で使用される消毒とは、表面への局所適用後、少なくとも2の細菌対数死滅および少なくとも2のウイルス対数不活性化(両方とも達成される)、好ましくは少なくとも3の細菌対数死滅および少なくとも3分未満のウイルス対数不活性化を意味する。本明細書で使用される組み合わせは、総重量、例えば塩化セトリモニウム+塩化ベンザルコニウムの総重量を意味する。皮膚有益剤とは、皮膚の特性を改善するのに適した成分を意味する。本明細書で使用される表面は、皮膚または無生物の表面、例えば卓上、コンピュータモニタ、ドアノブ、便座、ショッピングカートのハンドル、もしくは衣類などを含む。表面はまた、イヌおよびネコの毛などの動物の外被を含むことを意味する。本明細書で使用される場合、表面は、好ましくはヒトの皮膚、特に顔および手の皮膚を意味する。
【0051】
抗菌組成物は、消毒を必要とする衣類および室内装飾物に噴霧するのに適した洗濯スプレー組成物のようなホームケア組成物であり得る。ホームケア組成物はまた、抗菌性のキッチンまたはバスルームスプレー組成物であり得る。好ましくは、抗菌組成物は、皮膚上の細菌およびウイルスの量を有意に減少させることによる消毒のために皮膚に塗布するための局所組成物である。組成物は、皮膚軟化剤、ビタミンおよび/またはその誘導体、レゾルシノール、レチノイン酸前駆体、着色剤、保湿剤または湿潤剤、香料、日焼け止め剤、それらの組み合わせなどの皮膚有益成分を添加してもよい。皮膚有益成分は、水溶性または油溶性であり得る。
【0052】
したがって、抗菌組成物は、pH3.0~8.2の水性アルコール系組成物であり、組成物は水/アルコール連続である。本明細書で使用される粘度は、ブルックフィールド粘度計で10rpmでスピンドル4を使用して、またはDiscovery HR-2レオメータで第1の粘度VAに対して0.4 s-1の第1の剪断速度SA、第2の粘度VBに対して10 s-1の第2の剪断速度SBで、両方とも25℃および20秒間隔で、1000ミクロンギャップを有するサンドブラストされたプレートを使用して取得される。
【0053】
粘度に関していくつかの単位が使用されることが知られているが、より頻繁に使用されるものは、センチポアズ(cP)、パスカル秒(Pa*s)およびミリパスカル秒(mPa*s)であり、これらの単位は、教科書、百科事典およびインターネットのような公的に利用可能なリソースの助けを借りて容易に相互変換可能である。さらに別の実施形態では、組成物は、1万センチポアズ(cP)(10Pa*s)未満の粘度、好ましくは5,000cP(5Pa*s)未満の粘度、好ましくは0.8~3,000cP(0.0008~3Pa*s)の粘度、より好ましくは0.8~2,000cP(0.0008~2Pa*s)の粘度を有する水性アルコール溶液である非治療的非薬用組成物である。
【0054】
典型的には、抗菌組成物の粘度は1万cP(10Pa*s)未満である。しばしば、抗菌組成物の粘度は、0.8~5,000cP(0.0008~5Pa*s)、好ましくは0.8~3,000cP(0.0008~3Pa*s)、より好ましくは0.8~2,000cP(0.0008~2Pa*s)、さらにより好ましくは0.8~1,000cP(0.0008~1Pa*s)であり、その中に包含される全ての範囲を含む。
【0055】
抗菌組成物は、抗菌組成物を製造する任意の方法によって製造することができる。一実施形態では、抗菌組成物を製造する方法は、以下を含むことができる:官能油と湿潤剤とを組み合わせて第1の相を形成する。次に、水をアルコールと合わせて第2の相を形成する。次に、第1および第2の相を組み合わせて第3の相を形成する。第3の相に中和剤を添加して抗菌組成物を形成する。
【0056】
[実施例]
以下の実施例は、本明細書に開示される抗菌組成物の単なる例示であり、本明細書の範囲を限定することを意図しない。
【0057】
[実施例1]
サンプル1および2は、本明細書に開示される抗菌組成物の組成を示す例である。
【0058】
【0059】
抗菌組成物中に存在するアルコールのレベルは、アルコールの純度百分率に基づいて調整することができる。例えば、純度92%のエタノールを使用する場合、エタノールを70~80重量%、例えば72重量%の量で使用することができるように、エタノール純度は好ましくは92% w/w~94% w/wであるべきである。
【0060】
表2は、非粘着性の感触を有する透明で迅速に乾燥する手指消毒剤スプレー配合物を設計するために抗菌組成物に使用することができる油を示す。実施例は、使用することができる材料を限定することを意味するものではなく、単に3つの基準に基づいて選択された油の種類およびレベルを示すことを意味する。使用に好ましい油は、サンプル1に示す配合物中での良好な溶解度を反映して、少なくとも75/25 EtOH/水ブレンド中で30%を超える溶解度を有する油である。さらに、油は室温で液体でなければならず、膜として残されると、組成物はいかなる悪い感触も付与しない。最後に、エタノールおよび水が蒸発する塗布中および乾燥時に、水も迅速に蒸発させられ、油および存在する場合には任意の皮膚有益活性物質/保湿剤のみが残るように、好ましい油はそれ自体が水に対する溶解性を有してはならない。理論に束縛されることを望むものではないが、本明細書に開示される好ましい油を含む手指消毒剤配合物が皮膚に塗布され、水およびエタノールが蒸発すると、油が水に対する良好な可溶化能力を有する場合、これは蒸発を遅延させ、望ましくないより遅い乾燥および粘着性の感触に向かうと考えられる。
【0061】
【0062】
表2では、以下を含む3つの基準を満たすおよび満たさない油の例が実証されている:(1)油は液体でなければならない;(2)油は、少なくとも75/25 EtOH/水混合物に可溶性でなければならない;(3)油は水に対する溶解性を有してはならず、したがって、開示される抗菌組成物における使用に望ましい。
【0063】
[実施例2]
サンプル2の組成物を、保湿、レジリエンス創傷治癒試験、およびメラニン含有量の試験に使用した。
【0064】
水分測定は、目視測定(乾燥および紅斑)、ならびにスキコンおよびコルネオメータを用いた機器による水和評価で測定した。測定値は、1回の制御された製品塗布後、ベースライン、2時間、4時間、6時間、および8時間で得た。
【0065】
データから分かるように、サンプル2の組成物を用いて作製された除菌剤は、全ての時点でベースラインと比較して水和の改善を示した。また、サンプル2の組成物を用いて作製された除菌剤は、未処置の対照部位と比較して水和において優れていた。
【0066】
サンプル2を試験し、サンプル3および4と比較した。サンプル2~4の配合を表3に示す。サンプル4および5は、消毒組成物が塗布されていない未処置の皮膚であった。
【0067】
【0068】
参加者は、5日間の前処置段階に入り、試験部位(前腕部)を含む全ての一般的な入浴およびシャワーにDOVE(登録商標)白色固形石鹸を使用するように指示された。参加者には、試験中に試験領域に追加の製品を使用すること、および製品塗布および評価段階の前または間の2日以内に剃毛することを控えるように求めた。また、研究の少なくとも12時間前に来院するように参加者に指示した。
【0069】
ベースライン来院時に、掌側前腕部の各部位において0~2.5の視覚的乾燥スコアおよび2.0以下の紅斑スコア(0~6の尺度)を有し、隣接部位間のグレード差が±0.5以下または全体で1.0単位以下の参加者を製品塗布段階に登録した。合計8つの試験部位(4cm×4 cm)を参加者内の右または左の掌側前腕部のいずれかに無作為に割り当てた。処置部位は、キャリーオーバーラテン方格設計によって掌側前腕部の全ての部位にわたってバランスを取った。
【0070】
製品塗布段階の前に、専門の視覚的評価者による乾燥および紅斑の視覚的評価、ならびに機器による水和評価(スキコン:電導度、コルネオメータ:静電容量)についてベースライン評価を得た。ベースライン測定後、試験担当者は単一の制御された製品塗布を行った。製品塗布の手順は以下の通りである。
【0071】
試験担当者は、反復ピペットを使用して0.035mLの試験製品を試験部位に分注した。手袋をはめた指を使用して、指定された試験部位が完全に濡れるまで、試験製品を円運動で指定された試験部位に完全に擦り込んだ。次に、その部位を風乾させた。
【0072】
サンプル3および4を形成する2つの試験部位を各被験体で未処置のままにした。
【0073】
次に、塗布後2、4、6時間(±15分)および8時間(±30分)に乾燥の目視評価、コルネオメータおよびスキコン測定値を得た。
【0074】
参加者を、66.3°F~70.1°F(19.0℃~21.2℃)および相対湿度38%~55%に維持された部屋で、評価の前に最低20分間順応させた。1人の訓練された評価者が、処置段階中に全ての視覚的評価を行った。機器ごとに2人以上の訓練された操作者を用いて、機器の読み取り値を収集した。
【0075】
目視乾燥分析は、例えば、ベースラインからの製品内変化(CFB)を評価するか、製品のペアについてCFBの差を評価するなど、単純なペアワイズノンパラメトリック法(プラット-レーマン調整によるウィルコクソンの符号化ランク検定)を使用して完了させた。
【0076】
機器データについては、各製品/未処置部位内で、対応のある両側のt検定を用いて95%信頼水準で各評価時点をベースラインと比較した。機器測定のための処置間分析には、全ての製品を他の全ての製品と比較する各時点での単一の線形モデルを適用した(結果変数としてCFB、共変量としてBL、目的の効果としてPRODUCT)。目的の全ての比較について、各製品のCFBおよび全製品比較を行った。
【0077】
試験中、サンプルまたは未処置部位のいずれについても、目視による紅斑は観察されなかった。
【0078】
コルネオメータによる水和評価中に、サンプル2~4を評価した。表4から分かるように、サンプル3および4は、ベースラインからの変化がないか、または塗布後の全ての時点でコルネオメータレベルの悪化を示した。サンプル2は、1回塗布後の全ての時点で改善を示した。
【0079】
【0080】
表2から分かるように、サンプル2は、全ての時点で、コルネオメータによる水和の統計学的に有意な増加を示した。サンプル3および4は、8時間の時点で、コルネオメータによる水和の統計学的に有意な増加を示した。表5の「BL」はベースラインを指す。ベースラインは、測定の開始点である。
【0081】
【0082】
表5、サンプル2に見られるように、本発明のサンプルは、全ての時点でスキコンによる水和の有意な増加を示し、サンプル3および4は、全ての時点で水和のわずかな増加を示した。
【0083】
[実施例3]
この実施例では、有益剤の様々な組み合わせをレジリエンス創傷治癒およびバリア修復について試験した。創傷治癒評価のために、細胞を80%コンフルエントまで成長させ、生物活性物質で24時間~36時間処理した。処理後、細胞上にスクラッチを作成し、24時間のインキュベーション後に創傷の閉鎖を監視した。スクラッチ領域の閉鎖を創傷の閉鎖%として計算した。顕微鏡画像を4倍の倍率で取り込み、ソフトウェアCellSensを使用して開放創面積測定値を分析した。パーセンテージでの創傷閉鎖=((t=24)での開放創領域の読み取り値平均)-(t=0)での開放創領域の読み取り値平均/(t=0)での読み取り値平均)*100。表6は、創傷治癒アッセイの結果を示す。
【0084】
【0085】
表6に見られるように、ビタミンB3、ビタミンE、アロエベラおよびヒアルロン酸ナトリウムの組み合わせによる創傷治癒において有意な改善が観察され、ビタミンB3またはビタミンEと比較して統計学的に有意な改善であった。
【0086】
[実施例4]
この実施例では、メラニン含有量アッセイを実施して、表7に見られるような有益活性物質の様々な組み合わせで見られる阻害またはメラニン減少を決定した。この実施例では、細胞を24時間増殖させ、生物活性物質で処理し、72時間インキュベートした。処理後、細胞を溶解し、吸光度を405nmで測定した。溶解物を新しい384ウェル透明平底プレートに移し、FlexStation 3リーダーを用いて元の直径を405nmで測定した。(メラニン含有量の減少%を、対照の平均吸光度値-処理細胞の平均吸光度値/対照の平均吸光度値をとることによって測定した)*100。
【0087】
【0088】
このメラニン含有量アッセイでは、4-ヘキシルレゾルシノールは10マイクロモルで約33%の阻害を与える(ベンチマーク)。メラニン含有量アッセイでは、約15%を超える阻害が有意であると一般に考えられている。したがって、表7から分かるように、両方の濃度のビタミンEで、ビタミンB3、ビタミンE、およびアロエベラの組み合わせはメラニン含有量の有意な阻害を示した。さらに、ビタミンB3、ビタミンE、アロエベラおよびヒアルロン酸ナトリウムの組み合わせは、メラニン含有量の有意な阻害を示した。
【0089】
特に明記しない限り、本明細書に記載の全ての範囲は、その中に包含される全ての範囲を含むことを意味する。本明細書で使用される場合、明示的に記載されている場合を除き、実質的に、10重量%未満を意味しない。抗菌利益は、3分未満、またはさらには10秒での少なくとも2の対数死滅、好ましくは少なくとも3の対数死滅を意味し、抗菌評価は、時間死滅手順を使用して水混和性化合物の抗菌活性を測定するための手順を記載するASTM国際標準法E 2783-11(再承認2016)によって測定される。ウイルス性(またはウイルス)不活性化は、ASTM国際標準法1052-20に記載されているように、ウイルスに対する殺菌剤の影響を評価することによって決定される。含む(comprising)という用語は、本質的にからなる(consisting essentially of)およびからなる(consisting of)という用語を包含することを意味する。誤解を避けるために、および説明のために、水とカチオン性界面活性剤と防腐剤とを含む組成物は、本質的にそれらからなる組成物、およびそれらからなる組成物を含むことを意味する。
【0090】
他に明示的に示されている場合を除いて、材料の量または反応の条件、材料の物理的特性および/または使用を示す本明細書の全ての数字は、「約」という語によって修飾されると理解されてもよい。全ての量は、特に明記しない限り、最終組成物の重量による。
【0091】
濃度または量の任意の範囲を指定する際に、任意の特定の上限濃度を、任意の特定の下限濃度または量、ならびにその中で消費される任意の部分範囲に関連付けることができることに留意されたい。その点に関して、本明細書に開示される全ての範囲は、終点を含み、終点は、互いに独立して組み合わせることができることに留意されたい(例えば、「25重量%まで、またはより具体的には5重量%~20重量%の範囲は、5重量%~25重量%の範囲の終点および全ての中間値を含む、など)。「組み合わせは、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを含む。さらに、本明細書における「第1」、「第2」などの用語は、順序、量、または重要性を示すものではなく、ある要素を別の要素から区別するために使用される。本明細書における「1つの(a)」および「1つの(an)」および「その(the)」という用語は、量の限定を意味するものではなく、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書で使用される接尾辞「(s)」は、それが修飾する用語の単数および複数の両方を含み、それによって用語の1つまたは複数を含むことを意図している(例えば、film(s)は、1つまたは複数の膜を含む)。本明細書全体を通して、「一実施形態」、「一態様」、「別の実施形態」、「別の態様」、「実施形態」、「態様」などへの言及は、実施形態または態様に関連して説明される特定の要素(例えば、特徴、構造、および/または特性)が、本明細書に記載される少なくとも1つの実施形態または態様に含まれ、他の実施形態または態様には存在してもしなくてもよいことを意味する。さらに、記載された要素は、様々な実施形態または態様において任意の適切な方法で組み合わせることができることを理解されたい。
【0092】
全ての引用された特許、特許出願、および他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、本出願の用語が、組み込まれた参照の用語と矛盾または対立する場合、本出願の用語は、組み込まれた参照の矛盾する用語よりも優先される。特定の態様が記載されているが、現時点で予測されない、または予測されない可能性がある代替、修正、変形、改善、および実質的な等価物が、出願人または他の当業者に生じる可能性がある。したがって、出願された添付の特許請求の範囲およびそれらが補正され得る添付の特許請求の範囲は、全てのそのような代替、修正、変形、改善、および実質的な均等物を包含することが意図されている。
【0093】
「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「から構成される(consisting of)」または「から構成される(composed of)」を意味するものではない。言い換えれば、列挙されたステップ、選択肢、または代替物は網羅的である必要はない。
【0094】
本明細書に見られる本発明の開示は、特許請求の範囲が複数の従属性または冗長性なしに見出され得るという事実にかかわらず、互いに複数従属するものとして特許請求の範囲に見られる全ての態様を網羅すると見なされるべきである。特に明記しない限り、「xからy」の形式で表される数値範囲は、xおよびyを含むと理解される。値または量の任意の範囲を指定する際に、任意の特定の上限値または量を任意の特定の下限値または量に関連付けることができる。本明細書に含まれる全ての百分率および比は、特に指示しない限り、重量によって計算される。上記の個々のセクションで言及された本発明の様々な特徴は、適切な場合、必要に応じて他のセクションに適用される。したがって、1つのセクションで指定された特徴は、必要に応じて他のセクションで指定された特徴と組み合わせることができる。任意のセクションの見出しは便宜上追加されているにすぎず、決して本開示を限定することを意図するものではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、
アルコールと、
湿潤剤と、
官能油と
を含む透明抗菌組成物
であって、
前記官能油が室温で液体でなければならず、前記官能油が少なくとも75/25のEtOH/水に可溶性でなければならず、前記官能油が水に対する溶解性を有してはならず、
前記水が、8~30重量%、好ましくは10~25重量%、より好ましくは10~20重量%の量で存在し、
前記アルコールが、62~75重量%、好ましくは65~75重量%の量で存在する、抗菌組成物。
【請求項2】
前記官能油が、
0.01~10重量%、好ましくは0.5~5重量%の量で存在する、請求項
1に記載の抗菌組成物。
【請求項3】
前記官能油が、ジカルボン酸エステル、乳酸エステル、トリグリセリド、大豆油、脂肪酸エステル、(ポリ)プロピレングリコール脂肪エーテルまたはそれらの組み合わせを含み、前記官能油の添加が前記抗菌組成物の透明性に影響を及ぼさない、請求項
1または2に記載の抗菌組成物。
【請求項4】
前記官能油が、少なくとも75/25のEtOH/水に可溶性である官能油を含み、
前記官能油が、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピルもしくはリンゴ酸ジエチルヘキシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、イソステアリルアルコール、PPG15ステアリルエーテルもしくはそれらの組み合わせから選択され
る、請求項
3に記載の抗菌組成物。
【請求項5】
前記アルコールが、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項6】
前記湿潤剤が、1~10重量%、好ましくは2~8重量%、より好ましくは3~7重量%の量で存在する、請求項1~
5のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項7】
前記湿潤剤が、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ポリグリセロール、イソプレングリコール、ヒアルロン酸、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項8】
皮膚有益剤をさらに含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項9】
前記皮膚有益剤が、ナイアシンアミド、トコフェロール、アロエベラ、ヒアルロン酸ナトリウムもしくはヒアルロン酸カリウム、α-ヒドロキシ酸およびエステル、β-ヒドロキシ酸およびエステル、ヒドロキシエチル尿素、ポリヒドロキシ酸およびエステル、クレアチン、ヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、クワエキス、カンゾウエキス、またはそれらの組み合わせを含む、請求項
8に記載の抗菌組成物。
【請求項10】
前記抗菌組成物が液体の形態であり、好ましくは前記抗菌組成物が液体スプレー抗菌組成物の形態である、請求項1~
9のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項11】
キレート剤をさらに含み、好ましくは前記キレート剤がエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム、N-(ヒドロキシエチル)-エチレンジアミン酢酸三ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、メチルグリシン二酢酸の三ナトリウム塩、グルタミン酸四ナトリウム二酢酸およびフィチン酸を含み、好ましくは前記キレート剤がエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、またはそれらの組み合わせである、請求項1~
10のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項12】
官能油と湿潤剤とを合わせて第1の相を形成するステップと、
水とアルコールとを合わせて第2の相を形成するステップと、
前記第1の相と前記第2の相とを合わせて第3の相を形成するステップと、
前記第3の相に中和剤を添加して抗菌組成物を形成するステップと
を含
み、
前記官能油が室温で液体でなければならず、前記官能油が少なくとも75/25のEtOH/水に可溶性でなければならず、前記官能油が水に対する溶解性を有してはならず、
前記水が、8~30重量%、好ましくは10~25重量%、より好ましくは10~20重量%の量で存在し、
前記アルコールが、62~75重量%、好ましくは65~75重量%の量で存在する、透明抗菌組成物の製造方法。
【請求項13】
前記抗菌組成物に芳香剤を添加するステップをさらに含む、請求項
12に記載の製造方法。
【国際調査報告】