(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】フローティングナットアセンブリ及び電力消費機器
(51)【国際特許分類】
F16B 37/04 20060101AFI20231024BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20231024BHJP
【FI】
F16B37/04 J
B60K1/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519032
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-12
(85)【翻訳文提出日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 CN2021121475
(87)【国際公開番号】W WO2023050099
(87)【国際公開日】2023-04-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】游書兵
(72)【発明者】
【氏名】張文輝
【テーマコード(参考)】
3D235
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235BB20
3D235CC15
3D235DD35
3D235FF05
3D235HH51
(57)【要約】
本出願の実施例は、フローティングナットアセンブリ及び電力消費機器を提供し、電池組み立て技術分野に関する。このフローティングナットアセンブリは、ネジ穴を開設しているナットと、ベースと取り外し可能に接続されるために用いられ、前記ベースとの間に前記ナットを収容するための位置規制空間が形成される位置規制ブラケットとを含み、前記位置規制ブラケットと前記ナットとのうちの一方には少なくとも二つの突起が設置され、他方には少なくとも二つの位置決め穴が設置され、前記突起は、前記位置決め穴に一対一で対応し、前記突起は、前記位置決め穴に挿設され、前記突起は、前記位置決め穴と隙間嵌め及び/又は弾性嵌めする。このフローティングナットアセンブリは、ナットとボルトとの組み立て効率及び接続精度を確保することができる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フローティングナットアセンブリであって、
ネジ穴を開設しているナットと、
ベースと取り外し可能に接続されるために用いられ、前記ベースとの間に前記ナットを収容するための位置規制空間が形成される位置規制ブラケットとを含み、
前記位置規制ブラケットと前記ナットとのうちの一方には少なくとも二つの突起が設置され、他方には少なくとも二つの位置決め穴が設置され、前記突起は、前記位置決め穴に一対一で対応し、前記突起は、前記位置決め穴に挿設され、前記突起は、前記位置決め穴と隙間嵌め及び/又は弾性嵌めする、フローティングナットアセンブリ。
【請求項2】
前記突起は、前記位置決め穴と弾性嵌めし、前記突起は、その径方向に弾性変形が発生できるように構成される、請求項1に記載のフローティングナットアセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも二つの突起は、前記ナットの軸線周りに間隔をおいて分布する、請求項1に記載のフローティングナットアセンブリ。
【請求項4】
前記突起と前記位置決め穴と接触する部分は、弾性材料で作製される、請求項1に記載のフローティングナットアセンブリ。
【請求項5】
前記突起は、前記位置決め穴と隙間嵌めし、前記突起は、前記位置決め穴を貫通し、前記突起の端部には、前記突起が前記位置決め穴の軸方向に沿って前記位置決め穴から抜けるのを制限するための弾性ストッパーが設置される、請求項1に記載のフローティングナットアセンブリ。
【請求項6】
前記弾性ストッパーは、前記突起に外挿され、前記弾性ストッパーの外周面は、第一の案内斜面と第二の案内斜面とを含み、前記第一の案内斜面と前記第二の案内斜面とは、前記位置決め穴の軸方向に沿って対向して設置される、請求項5に記載のフローティングナットアセンブリ。
【請求項7】
前記突起の端部及び/又は前記位置決め穴の端部には、前記突起を前記位置決め穴に挿入するように案内するための案内部が設置される、請求項1から6のいずれか1項に記載のフローティングナットアセンブリ。
【請求項8】
前記位置規制ブラケットは、前記ベースと前記位置規制空間を形成するためのブラケット本体と、前記ベースと取り外し可能に接続するための接続アームとを含む、請求項1から7のいずれか1項に記載のフローティングナットアセンブリ。
【請求項9】
前記接続アームの一端は、前記ブラケット本体に接続され、前記ネジ穴の軸方向に垂直な平面内において、前記接続アームの投影と前記ブラケット本体の投影とは重ならない、請求項8に記載のフローティングナットアセンブリ。
【請求項10】
前記ナットは、ナット本体とフランジとを含み、前記ネジ穴は、前記ナット本体に設置され、前記フランジは、前記ナット本体の外周面に形成され、前記ブラケット本体には、前記ナット本体に対応するスルーホールが開設され、前記ブラケット本体は、前記スルーホールを介して前記ナット本体に外挿され、前記フランジは、前記位置規制空間内に位置規制され、前記突起は、前記ブラケット本体に設置され、前記位置決め穴は、前記フランジに設置される、請求項8又は9に記載のフローティングナットアセンブリ。
【請求項11】
前記接続アームの数は、少なくとも二つであり、少なくとも二つの前記接続アームは、前記スルーホールの軸線周りに間隔をおいて設置される、請求項10に記載のフローティングナットアセンブリ。
【請求項12】
前記フランジには、前記接続アームを回避するための退避部が形成されている、請求項10又は11に記載のフローティングナットアセンブリ。
【請求項13】
前記ナット本体は、前記スルーホールと隙間嵌めする、請求項10から12のいずれか1項に記載のフローティングナットアセンブリ。
【請求項14】
電力消費機器であって
機器本体と、
電池と、
前記位置規制ブラケットが前記機器本体に取り外し可能に接続される請求項1から13のいずれか1項に記載のフローティングナットアセンブリと、
前記電池を前記機器本体に固定するように前記ナットと接続するように構成されるボルトとを含む、電力消費機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池組み立て技術分野に関し、特にフローティングナットアセンブリ及び電力消費機器に関する。
【背景技術】
【0002】
フローティングナットアセンブリは、機械産業、例えば自動車に広く応用される。例えば、フローティングナットアセンブリは、自動車部材を車体に固定するために用いられる。
【0003】
しかしながら、従来の技術では、フローティングナットアセンブリとボルトとの組み立て過程における組み立て効率が低く、組み立て精度が低い。
【発明の概要】
【0004】
本出願の目的は、フローティングナットアセンブリ及び電力消費機器を提供することにある。このフローティングナットアセンブリは、ナットとボルトとの組み立て効率及び接続精度を確保することができる。
【0005】
本出願は、以下のような技術案によって実現される。
【0006】
第一の態様として、本出願は、フローティングナットアセンブリを提供し、前記フローティングナットアセンブリは、
ネジ穴を開設しているナットと、
ベースと取り外し可能に接続されるために用いられ、前記ベースとの間に前記ナットを収容するための位置規制空間が形成される位置規制ブラケットとを含み、
前記位置規制ブラケットと前記ナットとのうちの一方には少なくとも二つの突起が設置され、他方には少なくとも二つの位置決め穴が設置され、前記突起は、前記位置決め穴に一対一で対応し、前記突起は、前記位置決め穴に挿設され、前記突起は、前記位置決め穴と隙間嵌め及び/又は弾性嵌めする。
【0007】
本出願の実施例によるフローティングナットアセンブリは、位置規制ブラケットとベースとの間に形成される位置規制空間によってナットを収容することにより、ナットを位置規制空間内に制限する。突起と位置決め穴との間の隙間嵌め及び/又は弾性嵌めにより、位置規制ブラケットに対するナットのフローティングを実現することができ、ナットが位置規制ブラケットに対してネジ穴の軸方向に垂直な平面内において移動する時、突起と位置決め穴との嵌め合いにより、ナットのフローティング空間が小さく、即ちナットとボルトの組み立て過程において、ナットの移動量が小さく、それによってナットとボルトとの組み立て効率及び接続精度を確保する。同時に、少なくとも二つの突起は、少なくとも二つの位置決め穴に対応し、位置規制ブラケットに対するナットの回転を防止することができ、ナットとボルトとの組み立て効率及び接続精度をさらに確保する。
【0008】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記突起は、前記位置決め穴と弾性嵌めし、前記突起は、その径方向に弾性変形が発生できるように構成される。
【0009】
上記方案では、突起のその径方向における弾性変形により、ナットが位置規制ブラケットに対して移動するのを容易にし、ナットのフローティングを実現する。
【0010】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記少なくとも二つの突起は、前記ナットの軸線周りに間隔をおいて分布する。
【0011】
上記方案では、突起は、位置決め穴に一対一で対応し、少なくとも二つの突起は、ナットの軸線周りに間隔をおいて分布し、それに応じて、少なくとも二つの位置決め穴は、ナットの軸線周りに間隔をおいて分布することにより、ナットと位置規制ブラケットとの嵌め合いが安定し、ナットは、ナットの軸線に垂直な平面内における任意の方向においても、位置規制ブラケットに対して移動することができ、ナットのフローティング要求を満たす。
【0012】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記突起と前記位置決め穴と接触する部分は、弾性材料で作製される。
【0013】
上記方案では、突起の位置決め穴と接触するための部分は、弾性材料で作製され、それによって突起の位置決め穴と接触する部分に弾性変形が発生するのを容易にし、位置規制ブラケットに対するナットの移動という要求を満たし、ナットのフローティングを実現する。
【0014】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記突起は、前記位置決め穴と隙間嵌めし、前記突起は、位置決め穴を貫通し、前記突起の端部には、突起が位置決め穴の軸方向に沿って位置決め穴から抜けるのを制限するための弾性ストッパーが設置される。
【0015】
上記方案では、突起は、ナットのフローティング要求を満たすように位置決め穴と隙間嵌めし、突起の端部に弾性ストッパーを設置することにより、突起と位置決め穴と嵌め合った後、弾性ストッパーは、突起が位置決め穴の軸方向に沿って位置決め穴から外れるのを制限することができ、フローティングナットアセンブリが移動する過程において位置規制ブラケットとナットとの組み付け状態を確保し、部材の紛失を回避する。
【0016】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記弾性ストッパーは、前記突起に外挿され、前記弾性ストッパーの外周面は、第一の案内斜面と第二の案内斜面とを含み、前記第一の案内斜面と前記第二の案内斜面とは、前記位置決め穴の軸方向に沿って対向して設置される。
【0017】
上記方案では、第一の案内斜面と第二の案内斜面の案内機能により、弾性ストッパーが位置決め穴の軸方向の両端から位置決め穴に進入するのを容易にすることができ、組み立てとメンテンナンス効率を向上させるとともに、弾性ストッパー部材の耐用年数の確保を容易にする。
【0018】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記突起の端部及び/又は前記位置決め穴の端部には、前記突起を前記位置決め穴に挿入するように案内するための案内部が設置される。
【0019】
上記方案では、案内部の案内機能により、突起が位置決め穴内に挿入されるのを容易にし、位置規制ブラケットとナットの組み立ての実現を容易にする。
【0020】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記位置規制ブラケットは、前記ベースと前記位置規制空間を形成するためのブラケット本体と、前記ベースと取り外し可能に接続される接続アームとを含む。
【0021】
上記方案では、ブラケット本体とベースとが位置規制空間を形成することにより、ナットを位置規制空間内に制限し、接続アームとベースと取り外し可能に接続されることにより、ナットの組み立てと交換の実現を容易にする。
【0022】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記接続アームの一端は、前記ブラケット本体に接続され、前記ネジ穴の軸方向に垂直な平面内において、前記接続アームの投影と前記ブラケット本体の投影とは重ならない。
【0023】
上記方案では、ネジ穴の軸方向に垂直な平面内において、接続アームの投影とブラケット本体の投影とは重ならないことにより、ナットと位置規制ブラケットとは、ネジ穴の軸方向に沿って互いに分離することができ、ナットの交換の実現を容易にする。
【0024】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記ナットは、ナット本体とフランジとを含み、前記ネジ穴は、前記ナット本体に設置され、前記フランジは、前記ナット本体の外周面に形成され、前記ブラケット本体には、前記ナット本体に対応するスルーホールが開設され、前記ブラケット本体は、前記スルーホールを介して前記ナット本体に外挿され、前記フランジは、前記位置規制空間内に位置規制され、前記突起は、前記ブラケット本体に設置され、前記位置決め穴は、前記フランジに設置される。
【0025】
上記方案では、フランジは、位置規制空間内に制限されるとともに、フランジは、ナットの軸線方向に沿って位置規制空間内を移動することができ、ブラケット本体がスルーホールを介してナット本体に外挿されるため、フランジがナットの軸線方向に沿って位置規制空間内を移動する時、ナット本体は、ナットの軸線方向に沿ってスルーホール内を移動し、ブラケット本体とベースは、フランジがナットの軸線方向に沿って位置規制空間から離れるのを制限し、突起と位置決め穴との嵌め合いと合わせて、ナットと位置規制ブラケットの組み立てという要求を満たす。
【0026】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記接続アームの数は、少なくとも二つであり、少なくとも二つの前記接続アームは、前記スルーホールの軸線周りに間隔をおいて設置される。
【0027】
上記方案では、少なくとも二つの接続アームがスルーホールの軸線周りに間隔をおいて設置されることにより、位置規制ブラケットとベースとは、少なくとも二つの接続位置を有し、位置規制ブラケットとベースの接続安定性が確保される。
【0028】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記フランジには、接続アームを回避するための退避部が形成されている。
【0029】
上記方案では、退避部の設置は、接続アームを回避し、フローティングナットアセンブリの全体サイズを減少させ、取り付け空間の占有を減少させる一方、位置規制ブラケットに対するナットの回転を防止することができる。
【0030】
本出願のいくつかの実施例によれば、前記ナット本体は、前記スルーホールと隙間嵌めする。
【0031】
上記方案では、ナット本体がスルーホールと隙間嵌めすることにより、ナット本体がスルーホールの穴壁との間に隙間を有させ、ナットが位置規制ブラケットに対してネジ穴の軸方向に垂直な平面内において移動するのを容易にする。
【0032】
第二の態様として、本出願は、電力消費機器をさらに提供し、前記電力消費機器は、機器本体と、電池と、前記位置規制ブラケットが前記機器本体に取り外し可能に接続される上記方案におけるフローティングナットアセンブリと、前記電池を前記機器本体に固定するように前記ナットと接続するように構成されるボルトとを含む。
【0033】
本出願の実施例による電力消費機器は、位置規制ブラケットを介して機器本体と取り外し可能に接続され、ナットを位置規制ブラケットと機器本体との間に形成される位置規制空間内に制限し、ボルトとナットとの接続により、電池を機器本体に固定し、電池と機器本体の着脱を容易にする。
【0034】
上記説明は、ただ本出願の技術案の概要に過ぎず、本出願の技術手段をより明瞭に理解できるように、明細書の内容に従って実施することができ、且つ本出願の上記と他の目的、特徴、利点をより明確に理解できるように、以下では、特に本出願の具体的な実施の形態を挙げて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、本出願の実施例に使用する必要のある図面を簡単に紹介し、自明なことであるが、以下に記述された図面は、ただ本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【
図1】本出願のいくつかの実施例によるフローティングナットアセンブリの分解図である。
【
図2】本出願のいくつかの実施例によるフローティングナットアセンブリの断面図のその一である。
【
図3】本出願のいくつかの実施例によるフローティングナットアセンブリの断面図のその二である。
【
図4】本出願のいくつかの実施例による位置規制ブラケットの構造概略図である。
【
図5】本出願のいくつかの実施例による突起が位置決め穴と隙間嵌めする概略図である。
【
図6】本出願の別のいくつかの実施例による位置規制ブラケットの構造概略図である。
【
図7】本出願のいくつかの実施例によるナットの構造概略図である。
【
図8】本出願のいくつかの実施例による位置規制ブラケットとナットの嵌め合いの概略図である。
【
図9】本出願のいくつかの実施例による電力消費機器の一部の部材の分解図である。
【
図10】本出願のいくつかの実施例による電力消費機器の局所断面図である。 図面において、図面は、実際のスケールで描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下は、本出願の技術案の実施例について、図面と結び付けながら詳細に記述する。以下では、実施例は、本出願の技術案をより明確に説明するためにのみ使用しているため、例示的なものに過ぎず、これによって本出願の保護範囲を制限しない。
【0037】
特に定義されない限り、本明細書に使用されるすべての技術的用語と科学的用語は、本出願の技術分野に属する当業者によって一般的に理解される意味と同じであり、本明細書に使用される用語は、具体的な実施例を記述するためのものに過ぎず、本出願を限定することを意図しておらず、本出願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における「含む」と「有する」という用語及びそれらの任意の変化形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。
【0038】
本出願の実施例の記述において、「第一」、「第二」などの技術用語は、異なる対象を区別するためのものであり、相対的重要性を指示又は暗示したり、又は指示された技術的特徴の数、特定の順序又は主従関係を暗黙的に指定したりするものと理解してはならない。本出願の実施例の記述において、別途明確・具体的に限定されない限り、「複数の」は、二つ以上を意味する。
【0039】
本明細書で言う「実施例」は、実施例と結び付けて記述された特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも一つの実施例に含まれ得ることを意味している。明細書における各位置でのこのフレーズの出現は、必ずしも全てが同じ実施例を指すわけではなく、また他の実施例と相互排他する独立した又は代替的な実施例を指すわけでもない。当業者は、本明細書に記述された実施例が他の実施例と組み合わされることが可能であることを明示的かつ非明示的に理解することができる。
【0040】
本出願の実施例の記述において、「及び/又は」という用語は、ただ関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えばA及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの3つのケースを表してもよい。また、本明細書における「/」という文字は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0041】
本出願の実施例の記述において、「複数の」という用語は、二つ以上(二つを含む)を指し、同様に、「複数組」は、二組以上(二組を含む)を指し、「複数枚」は、二枚以上(二枚を含む)を指す。
【0042】
本出願の実施例の記述において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの技術用語により指示される向き又は位置関係は、図面に基づいて示される向き又は位置関係であり、記述本出願の実施例の記述の便宜上及び記述の簡略化のためのものに過ぎず、言及された装置又は要素が特定の向きを有していなければならないとか、特定の向きで構成して操作しなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本出願の実施例に対する制限と理解してはならない。
【0043】
本出願の実施例の記述において、特に明確に規定及び限定されていない限り、技術用語である「取り付け」、「繋がり」、「接続」、「固定」などの用語は、広義に理解されるべきであり、例えば固定的な接続であってもよく、取り外し可能な接続、又は一体的な接続であってもよい。機械的な接続であってもよく、電気的な接続であってもよい。直接的な繋がりであってもよく、中間媒体による間接的な繋がりであってもよく、二つの要素内部の連通又は二つの要素の相互作用関係であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて、上記用語の本出願の実施例における具体的な意味を理解することができる。
【0044】
フローティングナットアセンブリは、自動車産業に広く応用され、例えばフローティングナットアセンブリは、自動車部材(電池など)を車体に固定するために用いられる。従来のフローティングナットアセンブリは、位置規制ボックスとナットとを含み、位置規制ボックスは、その内部に位置するキャビティを画定し、ナットは、位置規制ボックス内に制限される。ナットは、位置規制ボックス内を移動することができ、それによってナットのフローティングを実現する。発明者は、フローティングナットアセンブリとボルトとの組み立て時、組み立て効率が低いとともに、組み立て精度が低いことを発見した。発明者の研究によると、組み立て効率が低く、及び組み立て精度が低いのは、位置規制ボックス内におけるナットの移動空間が大きい、即ち、ナットのフローティング空間が大きいためである。位置規制ボックス内におけるナットの移動空間が大きいため、ボルトがナットと嵌め合う時、ナットに位置オフセットが発生しやすく、組み立て時間を無駄にするとともに、組み立て精度に影響を与える。
【0045】
これに鑑み、発明者は、鋭意研究を重ねた結果、フローティングナットアセンブリを設計し、位置規制ブラケットとベースと取り外し可能に接続されることにより、位置規制ブラケットとベースとの間に、ナットを収容するための位置規制空間が形成され、ナットは、位置規制空間内に制限され、位置規制ブラケットとナットとのうちの一方には少なくとも二つの突起が設置され、他方には少なくとも二つの位置決め穴が設置され、突起は、位置決め穴に一対一で対応し、突起は、位置決め穴内に挿設され、突起は、位置決め穴と隙間嵌め及び/又は弾性嵌めする。
【0046】
このようなフローティングナットアセンブリでは、位置規制ブラケットとベースとの接続後、位置規制ブラケットとベースとの間に形成される位置規制空間によってナットを収容することにより、ナットを位置規制空間内に制限する。突起が位置決め穴と隙間嵌めする実施例では、ナットは、位置規制ブラケットに対してネジ穴の軸方向に垂直な平面内において移動することができ、それによってナットのフローティングを実現する。突起が位置決め穴と弾性嵌めする実施例では、弾性特性に基づき、ナットは、位置規制ブラケットに対してネジ穴の軸方向に垂直な平面内において移動することができ、それによってナットのフローティングを実現する。突起が位置決め穴と隙間嵌めし及び弾性嵌めする実施例では、ナットは、位置規制ブラケットに対してネジ穴の軸方向に垂直な平面内において移動することができるとともに、移動範囲が大きく、それによってナットのフローティングを実現する。ナットが位置規制ブラケットに対してネジ穴の軸方向に垂直な平面内において移動する時、突起と位置決め穴との嵌め合いにより、ナットのフローティング空間が小さく、即ちナットとボルトの組み立て過程において、ナットの移動量が小さく、それによってナットとボルトとの組み立て効率及び接続精度を確保する。同時に、少なくとも二つの突起は、少なくとも二つの位置決め穴に対応し、位置規制ブラケットに対するナットの回転を防止することができ、ナットとボルトとの組み立て効率及び接続精度をさらに確保する。
【0047】
本出願の実施例に開示された電力消費機器は、車両、船舶又は航空機などの電力消費機器であってもよいがそれらに限らない。以下では、実施例は、説明の便宜上、本出願の一実施例の電力消費機器が車両である場合を例にして紹介する。
【0048】
車両の組み立て過程において、電池は、車体の底部に取り付けられ、電池は、フローティングナットアセンブリとボルトとの嵌め合い方式によって車体ビームに固定されることにより、電池の着脱を容易にする。
【0049】
図1を参照すると、
図1は、本出願のいくつかの実施例によるフローティングナットアセンブリ100の分解図であり、
図2は、本出願のいくつかの実施例によるフローティングナットアセンブリ100の断面図のその一であり、
図3は、本出願のいくつかの実施例によるフローティングナットアセンブリ100の断面図のその二である。本出願のいくつかの実施例によれば、
図1-
図3に示すように、本出願は、フローティングナットアセンブリ100を提供し、フローティングナットアセンブリ100は、ナット10と位置規制ブラケット20とを含む。ナット10は、ネジ穴11を開設している。位置規制ブラケット20は、ベース500と取り外し可能に接続されるために用いられ、位置規制ブラケット20とベース500との間に、ナット10を収容するための位置規制空間が形成される。位置規制ブラケット20とナット10とのうちの一方には少なくとも二つの突起31が設置され、他方には少なくとも二つの位置決め穴32が設置され、突起31は、位置決め穴32に一対一で対応し、突起31は、位置決め穴32に挿設され、突起31は、位置決め穴32と隙間嵌め及び/又は弾性嵌めする。
【0050】
ベース500は、フローティングナットアセンブリ100の取り付けの基礎である。位置規制ブラケット20は、ナット10を制限するための位置部材である。フローティングナットアセンブリ100が自動車部材の組み立てに用いられる時、ベース500は、車両の車体ビームであってもよい。位置規制ブラケット20とベース500との接続後、ナット10は、位置規制空間内に収容され、ナット10は、位置規制空間内に制限される。ナット10は、ボルトと接続するための部材であり、それによって接続する二つの部材の迅速な組み立てを実現する。
【0051】
選択的に、
図2に示すように、位置規制ブラケット20とベース500とは、ネジ40で接続することができ、着脱を容易にする。いくつかの実施例では、位置規制ブラケット20とベース500との接続方式は、係止、挿着などであってもよい。
【0052】
位置規制ブラケット20とナット10とのうちの一方には少なくとも二つの突起31が設置され、他方には二つの位置決め穴32が設置されることは、二つの形式であってもよく、例えば位置規制ブラケット20には少なくとも二つの突起31が設置され、ナット10には少なくとも二つの位置決め穴32が設置され、又は、位置規制ブラケット20には少なくとも二つの位置決め穴32が設置され、ナット10には少なくとも二つの突起31が設置される。
【0053】
図において、突起31の延在方向は、ネジ穴11の軸方向と平行する。
【0054】
突起31は、位置決め穴32に一対一で対応し、即ち、各突起31は、一つの位置決め穴32内に挿入される。突起31と位置決め穴32との隙間嵌め及び/又は弾性嵌めは、様々な形式であってもよく、例えば突起31が位置決め穴32と隙間嵌めし、又は、突起31が位置決め穴32と弾性嵌めし、又は、突起31が位置決め穴32と隙間嵌めし及び弾性嵌めする。
【0055】
突起31が位置決め穴32と隙間嵌めする実施例では、ナット10は、位置規制ブラケット20に対してネジ穴11の軸方向に垂直な平面内において移動することができ、それによってナット10のフローティングを実現する。突起31が位置決め穴32と弾性嵌めする実施例では、弾性特性に基づき、ナット10は、位置規制ブラケット20に対してネジ穴11の軸方向に垂直な平面内において移動することができ、それによってナット10のフローティングを実現する。突起31が位置決め穴32と隙間嵌めし及び弾性嵌めする実施例では、ナット10は、位置規制ブラケット20に対してネジ穴11の軸方向に垂直な平面内において移動することができるとともに、移動範囲が大きく、それによってナット10のフローティングを実現する。
【0056】
本出願の実施例によるフローティングナットアセンブリ100は、位置規制ブラケット20とベース500との間に形成される位置規制空間によってナット10を収容することにより、ナット10を位置規制空間内に制限する。突起31と位置決め穴32との間の隙間嵌め及び/又は弾性嵌めにより、位置規制ブラケット20に対するナット10のフローティングを実現することができ、ナット10が位置規制ブラケット20に対してネジ穴11の軸方向に垂直な平面内において移動する時、突起31と位置決め穴32との嵌め合いにより、ナット10のフローティング空間が小さく、即ちナット10とボルトの組み立て過程において、ナット10の移動量が小さく、それによってナット10とボルトの組み立て効率及び接続精度を確保する。同時に、少なくとも二つの突起31は、少なくとも二つの位置決め穴32に対応し、位置規制ブラケット20に対するナット10の回転を防止することができ、ナット10とボルトの組み立て効率及び接続精度をさらに確保する。
【0057】
指摘すべきこととして、位置決め穴32の横断面は、円形であってもよいが、それに限定せず、矩形などの規則的な形状であってもよく、突起31が位置決め穴32と嵌め合った後、ナット10が位置規制ブラケット20に対してネジ穴11の軸方向に垂直な平面内において移動できることを満たすことができればよい。それに応じて、突起31の横断面は、位置決め穴32の横断面の輪郭に合わせることができ、即ち、突起31の外周面の各箇所から位置決め穴32の穴壁までの距離が等しい。
【0058】
記述を容易にするために、本出願の以下の実施例は、位置決め穴32が円形穴であり、突起31が柱状構造である場合を例にして紹介する。ネジ穴11の軸方向に垂直な平面内におけるナット10の各方向の移動量が同じであることを確保するために、位置決め穴32の軸線は、突起31の軸線と同一線上にある。
【0059】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、突起31は、位置決め穴32と弾性嵌めし、突起31は、その径方向に弾性変形が発生できるように構成される。
【0060】
突起31は、柱状構造であってもよく、突起31の延在方向は、ネジ穴11の軸方向に平行し、突起31の径方向とは、突起31の延在方向に垂直な平面(即ちネジ穴11の径方向に垂直な平面)内において、突起31の軸線を通る方向を指す。突起31の径方向は、ネジ穴11の軸方向に垂直である。
【0061】
突起31が位置決め穴32と弾性嵌めするとは、突起31と位置決め穴32の穴壁のうちの少なくとも一つが力を受けて変形することにより、ナット10が位置規制ブラケット20に対して力を受けた方向に位置移動が発生することを許可すること、即ち、ナット10が位置規制ブラケット20に対してネジ穴11の軸方向に垂直な平面内において移動することを指す。突起31が位置決め穴32と弾性嵌めすることは、突起31がその径方向に弾性変形が発生できることであってもよく、又は、位置決め穴32の穴壁が位置決め穴32の径方向に弾性変形が発生できることであってもよく、又は、突起31が突起31の径方向に弾性変形が発生し且つ位置決め穴32の穴壁が位置決め穴32の径方向に弾性変形が発生できることであってもよい。いくつかの実施例では、突起31がその径方向に弾性変形が発生できることにより、ナット10が位置規制ブラケット20に対してネジ穴11の軸方向に垂直な平面内において位置移動が発生することを許可するように構成される。
【0062】
突起31のその径方向における弾性変形により、ナット10が位置規制ブラケット20に対して移動するのを容易にし、ナット10のフローティングを実現する。
【0063】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、少なくとも二つの突起31は、ナット10の軸線周りに間隔をおいて分布する。
【0064】
ナット10の軸線は、ネジ穴11の軸線である。少なくとも二つの突起31がナット10の軸線周りに間隔をおいて分布することは、すべての突起31がナット10の軸線周りに設置されることを指す。突起31は、位置決め穴32に一対一で対応し、少なくとも二つの突起31は、ナット10の軸線周りに間隔をおいて分布し、それに応じて、少なくとも二つの位置決め穴32は、ナット10の軸線周りに間隔をおいて分布する。言い換えれば、すべての位置決め穴32は、ナット10の軸線周りに設置される。例えば、
図4は、本出願のいくつかの実施例による位置規制ブラケット20の構造概略図(底面方向)であり、位置決め穴32がナット10に設置される実施例では、
図4に示すように、位置決め穴32の数は、四つであり、四つの位置決め穴32は、ナット10の軸線周りに間隔をおいて分布する。
【0065】
すべての突起31がナット10の軸線周りに間隔をおいて設置されることにより、ナット10と位置規制ブラケット20との嵌め合いが安定し、ナット10は、ナット10の軸線に垂直な平面内における任意の方向においても、位置規制ブラケット20に対して移動することができ、ナット10のフローティング要求を満たす。
【0066】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、突起31と位置決め穴32と接触する部分は、弾性材料で作製される。
【0067】
突起31が位置決め穴32内に挿設され、突起31が位置決め穴32と接触するとは、突起31の外周面が位置決め穴32の穴壁と接触することを指す。突起31と位置決め穴32と接触する部分が弾性材料で作製されるとは、突起31の外周面が弾性材料で作製されること、即ち、突起31の位置決め穴32の穴壁と接触するための表面が弾性材料で作製されることを指す。突起31の外周面が弾性材料で作製される場合に、突起31が位置決め穴32と接触する時、突起31の外周面と位置決め穴32の穴壁との当接力によって、突起31の外周面が突起31の径方向に弾性変形が発生できることにより、ナット10は、位置規制ブラケット20に対してネジ穴11の軸方向に垂直な平面内において移動することができる。
【0068】
突起31が複合型構造である時、突起31は、基体と弾性材料層とを含み、弾性材料層は、基体の外周面に外挿され、基体は、剛性材料で作製されてもよく、弾性材料層は、位置決め穴32の穴壁と接触するために用いられる。突起31が一体型構造である時、突起31全体は、弾性材料で作製されてもよい。
【0069】
突起31の位置決め穴32と接触するための部分は、弾性材料で作製され、それによって突起31の位置決め穴32と接触する部分に弾性変形が発生するのを容易にし、位置規制ブラケット20に対するナット10の移動という要求を満たし、ナット10のフローティングを実現する。
【0070】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、位置決め穴32の穴壁は、弾性材料で作製され、例えば位置決め穴32の穴壁に、弾性層が設置されている。突起31が位置決め穴32と接触し且つ位置決め穴32の穴壁に作用力を付加する時、穴壁に設置される弾性層は力を受けて変形が発生し、それによってナット10が位置規制ブラケット20に対して一定の距離移動するのを許容し、ナット10のフローティングを実現する。
【0071】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、
図4に示すように、突起31は、複数の副突起311を含んでもよく、複数の副突起311は、突起31の軸線周りに間隔をおいて設置される。
【0072】
各副突起311は、突起31の延在方向に沿って設置され、各副突起311の一端が自由端であるため、副突起311はアーム構造となる。位置決め穴32の穴壁が副突起311に当接する時、副突起311の受ける力が大きくなることに伴い、副突起311が突起31の径方向に変形が発生し、それによってナット10が位置規制ブラケット20に対してフローティングする。例えば、突起31が位置規制ブラケット20に設置され、位置決め穴32がナット10に設置される実施例では、副突起311の一端は、位置規制ブラケット20に接続され、副突起311の他端は、自由端となる。
【0073】
指摘すべきこととして、突起31が位置決め穴32と弾性嵌めする実施例では、位置決め穴32は、ブラインドホールであってもよく、スルーホールであってもよい。
【0074】
図5は、本出願のいくつかの実施例による突起31が位置決め穴32と隙間嵌めする概略図である。本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、
図5に示すように、突起31が位置決め穴32と隙間嵌めし、突起31は、位置決め穴32を貫通し、突起31の端部には、弾性ストッパー33が設置され、弾性ストッパー33は、突起31が位置決め穴32の軸方向に沿って位置決め穴32から外れるのを制限するために用いられる。
【0075】
突起31は、位置決め穴32を貫通し、位置決め穴32は、位置規制ブラケット20又はナット10を貫通するスルーホールである。例えば、
図6は、本出願の別のいくつかの実施例による位置規制ブラケット20の構造概略図(底面方向)であり、突起31が位置規制ブラケット20に設置され、位置決め穴32がナット10に設置される実施例では、
図5と
図6に示すように、位置決め穴32は、ネジ穴11の軸方向に沿ってナット10を貫通し、突起31の一端は、位置規制ブラケット20に接続され、弾性ストッパー33は、突起31の位置規制ブラケット20から離れる端に位置し、弾性ストッパー33は、位置決め穴32外に位置し、弾性ストッパー33と位置規制ブラケット20とは、位置決め穴32の両側に位置する。また、例えば、突起31がナット10に設置され、位置決め穴32が位置規制ブラケット20に設置される実施例では、位置決め穴32は、ネジ穴11の軸方向に沿って位置規制ブラケット20を貫通し、突起31の一端は、ナット10に接続され、弾性ストッパー33は、突起31のナット10から離れる端に位置し、弾性ストッパー33は、位置決め穴32外に位置し、弾性ストッパー33と位置規制ブラケット20とは、位置決め穴32の両側に位置する。
【0076】
弾性ストッパー33のサイズは、位置決め穴32の直径よりも大きく、それによって突起31が位置決め穴32の軸方向に沿って位置決め穴32から外れるのを阻止する。
【0077】
突起31は、ナット10のフローティング要求を満たすように位置決め穴32と隙間嵌めする。突起31の端部に弾性ストッパー33を設置することにより、突起31が位置決め穴32と嵌め合った後、弾性ストッパー33は、突起31が位置決め穴32の軸方向に沿って位置決め穴32から外れるのを制限することができ、フローティングナットアセンブリ100が移動する過程において位置規制ブラケット20とナット10との組み合わせを確保し、部材の紛失を回避する。
【0078】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、
図5と
図6に示すように、弾性ストッパー33は、突起31に外挿され、弾性ストッパー33の外周面は、第一の案内斜面331と第二の案内斜面332とを含み、第一の案内斜面331と第二の案内斜面332とは、位置決め穴32の軸方向に沿って対向して設置される。
【0079】
弾性ストッパー33は、突起31の外周面に外挿され、弾性ストッパー33は、突起31と別体設置されてもよく、弾性ストッパー33は、突起31の外周面に接続され、又は、弾性ストッパー33は、突起31の外周面に一体成形されてもよい。
【0080】
弾性ストッパー33の外周面は、弾性ストッパー33の突起31の軸線周りの面である。弾性ストッパー33は、第一の案内斜面331と第二の案内斜面332とを含み、第一の案内斜面331と第二の案内斜面332とは、位置決め穴32の軸方向に沿って対向して設置され、第一の案内斜面331と第二の案内斜面332との間になす角が形成され、なす角は、突起31の軸線から外れる方向に向けられる。
【0081】
突起31が位置規制ブラケット20に設置される実施例では、第一の案内斜面331は、第二の案内斜面332に対して位置規制ブラケット20から離れ、第一の案内斜面331と第二の案内斜面332の案内機能は、具体的には、以下のようになる。突起31が位置決め穴32に挿入される過程において、第一の案内斜面331が位置決め穴32の端部と接触する時、第一の案内斜面331が、まず位置決め穴32の穴壁と接触し、突起31が位置決め穴32の軸方向に沿って位置決め穴32に向かって移動することに伴い、弾性ストッパー33に弾性変形が発生し、弾性ストッパー33が完全に位置決め穴32内に位置するまで、第一の案内斜面331と位置決め穴32の穴壁との接触面積が徐々に増加する。突起31が位置決め穴32の軸方向に沿って移動し続け、弾性ストッパー33が完全に位置決め穴32の外に位置するまで、弾性ストッパー33が位置決め穴32から徐々に離れ、突起31が位置決め穴32に挿入されるのを実現する。突起31が位置決め穴32から離れる過程において、第二の案内斜面332が、まず位置決め穴32の穴壁と接触し、突起31が位置決め穴32の軸方向に沿って移動することに伴い、弾性ストッパー33に弾性変形が発生し、弾性ストッパー33が完全に位置決め穴32内に位置するまで、第二の案内斜面332と位置決め穴32の穴壁との接触面積が徐々に増加する。突起31が位置決め穴32の軸方向に沿って移動し続け、弾性ストッパー33が位置決め穴32の位置規制ブラケット20に近い端に移動して徐々に位置決め穴32から離れ、弾性ストッパー33が位置決め穴32から完全に離れた後、突起31が位置決め穴32から外れる。
【0082】
第一の案内斜面331と第二の案内斜面332の案内機能により、弾性ストッパー33が位置決め穴32の軸方向の両端から位置決め穴32に進入するのを容易にすることができ、組み立てとメンテンナンス効率を向上させている。他方で、第一の案内斜面331と第二の案内斜面332の案内機能は、弾性ストッパー33が位置決め穴32に進入する抵抗を減少させ、弾性ストッパー33の耐用年数を向上させ、弾性ストッパー33が位置決め穴32に進入する抵抗の大きすぎによる弾性ストッパー33の破損を回避することができる。
【0083】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、突起31の端部及び/又は位置決め穴32の端部には、突起31を位置決め穴32に挿入するように案内するための案内部が設置される。
【0084】
突起31の端部及び/又は位置決め穴32の端部に案内部が設置されるとは、突起31の端部に案内部が設置されてもよく、又は、位置決め穴32の端部に案内部が設置されてもよく、又は、突起31の端部と位置決め穴32の端部との両方にも案内部が設置されてもよいことを指す。案内部は、面取りであってもよく、案内の機能を果たして、突起31を位置決め穴32に挿入するように案内し、突起31が位置決め穴32に進入する難度を減少させる。
【0085】
案内部の案内機能により、突起31が位置決め穴32内に挿入されるのを容易にし、位置規制ブラケット20とナット10の組み立ての実現を容易にする。
【0086】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、
図4と
図6に示すように、位置規制ブラケット20は、ブラケット本体21と接続アーム22とを含み、ブラケット本体21は、ベース500(
図2と
図3に示される)と位置規制空間を形成するために用いられ、接続アーム22は、ベース500と取り外し可能に接続される。
【0087】
ブラケット本体21とベース500とは、位置規制空間を形成し、ブラケット本体21とベース500とは、ネジ穴11の軸方向に沿って間隔を置いて設置され、ブラケット本体21とベース500との間に位置規制空間が形成される。接続アーム22は、位置規制ブラケット20に接続され、例えば接続アーム22は、位置規制ブラケット20と一体成形されてもよく、又は、接続アーム22は、位置規制ブラケット20と別体設置されてもよく、接続アーム22は、位置規制ブラケット20に固定され、例えば接続アーム22は、溶接、カシメ、接着などの方式で位置規制ブラケット20に接続される。
【0088】
選択的に、ブラケット本体21は、タブレットであってもよく、構造が簡単である。
【0089】
ブラケット本体21とベース500とが位置規制空間を形成することにより、ナット10を位置規制空間内に制限し、構造が簡単である。接続アーム22がベース500と取り外し可能に接続されることにより、ナット10の組み立てと交換の実現を容易にする。
【0090】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、接続アーム22の一端は、ブラケット本体21と接続され、ネジ穴11の軸方向に垂直な平面内において、接続アーム22の投影とブラケット本体21の投影とは重ならない。
【0091】
接続アーム22の投影とブラケット本体21の投影とは重ならず、即ち、接続アーム22の一端は、ブラケット本体21の端部に接続される。
【0092】
ネジ穴11の軸方向に垂直な平面内において、接続アーム22の投影が重ならないことにより、ナット10と位置規制ブラケット20とは、ネジ穴11の軸方向に沿って互いに分離することができ、ナット10の交換の実現を容易にする。
【0093】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、
図4と
図6に示すように、接続アーム22は、第一のセグメント221と第二のセグメント222とを含み、第一のセグメント221は、ブラケット本体21のエッジと接続され、第二のセグメント222は、第一のセグメント221からネジ穴11の径方向に沿ってネジ穴11の軸線から離れる方向に向かって延在し、第一のセグメント221と第二のセグメント222との間にはなす角を有し、第二のセグメント222は、ベース500と取り外し可能に接続されるために用いられる。
【0094】
第一のセグメント221は、第二のセグメント222とブラケット本体21とを接続し、ブリッジ梁を接続する役割を果たす。第二のセグメント222は、ベース500との接続を容易にするように、位置規制ブラケット20に平行してもよい。第二のセグメント222とベース500との接続方式は様々で、係止、挿着であってもよく、ネジ部材(例えばボルト、ネジ付き棒部材など)を介してネジ接続されてもよい。
【0095】
第一のセグメント221と第二のセグメント222との間のなす角は、直角であってもよく、鈍角であってもよい。例えば、図に示すように、第一のセグメント221と第二のセグメント222とは、L字状構造を構成している。
【0096】
選択的に、
図2、
図4と
図6に示すように、第二のセグメント222に、ネジ付き接続穴が設置されており、第二のセグメント222は、ネジ40を介してベース500と接続される。
【0097】
第二のセグメント222は、第一のセグメント221からネジ穴11の径方向に沿ってネジ穴11の軸線から離れる方向に向かって延在することにより、接続アーム22の投影とブラケット本体21の投影とは重ならず、接続アーム22は、ブラケット本体21とナット10との間の空間を占用せず、フローティングナットアセンブリ100のコンパクトな構造の確保を容易にする。
【0098】
図7は、本出願のいくつかの実施例によるナットの構造概略図であり、
図8は、本出願のいくつかの実施例による位置規制ブラケットとナットの嵌め合いの概略図である。本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、
図7と
図8に示すように、ナット10は、ナット本体12とフランジ13とを含み、ネジ穴11は、ナット本体12に設置され、フランジ13は、ナット本体12の外周面に形成される。ブラケット本体21上には、ナット本体12に対応するスルーホール211が開設され、ブラケット本体21は、スルーホール211を介してナット本体12に外挿され、フランジ13は、位置規制空間内に制限される。さらに
図1を参照すると、突起31は、ブラケット本体21上に設置され、位置決め穴32は、フランジ13上に設置される。
【0099】
スルーホール211の軸線方向は、ナット10の軸線方向と一致している。
【0100】
フランジ13は、ナット本体12の外周面に形成され、フランジ13がネジ穴11の軸線周りに設置されることであってもよい。フランジ13が位置規制空間内に制限されるとは、フランジ13のサイズがスルーホール211のサイズよりも大きく、ネジ穴11の軸方向に沿って、フランジ13がスルーホール211から位置規制空間から離れることができず、フランジ13がブラケット本体21とベース500とによって制限されることを指す。言い換えれば、ネジ穴11の軸方向に垂直な平面内において、フランジ13の投影はスルーホール211の投影よりも大きいとともに、フランジ13の投影はスルーホール211の投影を覆う。
【0101】
いくつかの実施例では、突起31は、フランジ13上に設置されてもよく、位置決め穴32は、ブラケット本体21上に設置されてもよい。
【0102】
フランジ13は、位置規制空間内に制限されるとともに、フランジ13は、ナット10の軸線方向に沿って位置規制空間内を移動することができ、ブラケット本体21がスルーホール211を介してナット本体12に外挿されるため、フランジ13がナット10の軸線方向に沿って位置規制空間内を移動する時、ナット本体12は、ナット10の軸線方向に沿ってスルーホール211内を移動し、ブラケット本体21とベース500は、フランジ13がナット10の軸線方向に沿って位置規制空間から離れるのを制限し、突起31と位置決め穴32との嵌め合いと合わせて、ナット10と位置規制ブラケット20の組み立てという要求を満たす。
【0103】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、接続アーム22の数は、少なくとも二つであり、少なくとも二つの接続アーム22は、スルーホール211の軸線周りに間隔をおいて設置される。
【0104】
少なくとも二つの接続アーム22は、スルーホール211の軸線に対して対称に設置され、即ち、すべての接続アーム22は、スルーホール211の軸線周りに間隔をおいて設置され、すべての接続アーム22は、スルーホール211の軸線周りに分布する。例えば、
図4と
図6に示すように、接続アーム22の数は、二つであり、二つの接続アーム22は、スルーホール211の軸線に対して対称に設置される。
【0105】
少なくとも二つの接続アーム22がスルーホール211の軸線周りに間隔をおいて設置されることにより、位置規制ブラケット20とベース500とは、少なくとも二つの接続位置を有し、位置規制ブラケット20とベース500の接続安定性が確保される。
【0106】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、
図7と
図8に示すように、フランジ13には、接続アーム22を回避するための退避部131が形成されている。
【0107】
退避部131は、フランジ13に形成される切り欠きであってもよく、即ち、退避部131は、フランジ13における肉抜きされた部分の領域であり、それは、収容接続アーム22を収容するためのものである。
【0108】
退避部131の設置は、接続アーム22を回避し、フローティングナットアセンブリ100の全体サイズを減少させ、取り付け空間の占有を減少させる一方、位置規制ブラケット20に対するナット10の回転を防止することができる。
【0109】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、退避部131は、U字状構造である。退避部131は、フランジ13のサイズを減少させ、フランジ13の空間占有を減少させるように、フランジ13のエッジに位置してもよく、それによってフローティングナットアセンブリ100の全体構造をコンパクトにする。
【0110】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、ナット本体12は、スルーホール211と隙間嵌めする。
【0111】
ナット本体12は、スルーホール211と隙間嵌めし、ナット本体12の外周面は、ナット10が位置規制ブラケット20に対して移動するための空間を提供するように、スルーホール211の穴壁と接触しない。
【0112】
ナット本体12がスルーホール211と隙間嵌めすることにより、ナット本体12の外周面とスルーホール211の穴壁との間に隙間を有させ、ナット本体12がブラケット本体21に対して移動できることにより、ナット10が下部ブラケット本体21に対してネジ穴11の軸方向に垂直な平面内において移動するのを実現する。
【0113】
図9は、本出願のいくつかの実施例による電力消費機器の一部の部材の分解図であり、
図10は、本出願のいくつかの実施例による電力消費機器の局所断面図である。本出願のいくつかの実施例によれば、本出願の実施例は、電力消費機器をさらに提供し、
図9と
図10に示すように、この電力消費機器は、機器本体と、電池と、上記実施例によるフローティングナットアセンブリ100とボルト600とを含む。位置規制ブラケット20は、機器本体と取り外し可能に接続され、ボルト600は、電池を機器本体に固定するように、ナット10と接続するように構成される。
【0114】
指摘すべきこととして、機器本体は、位置規制ブラケット20と接続するベース500であり、位置規制ブラケット20と機器本体との間に位置規制空間が形成され、ナット10は、位置規制空間内に設置される。
【0115】
電力消費機器は、車両であってもよい。機器本体は、車体ビームを含み、位置規制ブラケット20の接続アーム22は、取り外し可能に車体ビームに接続される。
図10に示すように、電池は、電池ホルダ700に取り付けられ、ボルト600は、電池ホルダ700を貫通した後、車体ビーム上のナット10に取り付けられて接続される。
【0116】
本出願の実施例による電力消費機器は、位置規制ブラケット20を介して機器本体と取り外し可能に接続され、ナット10を位置規制ブラケット20と機器本体との間に形成される位置規制空間内に制限し、ボルト600とナット10との接続により、電池を機器本体に固定し、電池と機器本体の着脱を容易にする。
【0117】
本出願のいくつかの実施例によれば、
図1に示すように、本出願は、ナット10と位置規制ブラケット20とを含むフローティングナットアセンブリ100を提供する。
【0118】
位置規制ブラケット20は、ブラケット本体21と接続アーム22とを含み、接続アーム22は、ブラケット本体21のエッジに接続され、接続アーム22は、ベース500と取り外し可能に接続されるために用いられ、ブラケット本体21とベース500との間に、ナット10を収容するための位置規制空間が形成される。ブラケット本体21に、スルーホール211が設置されている。ブラケット本体21に、四つの突起31が設置されており、四つの突起31は、スルーホール211の軸線周りに間隔をおいて分布する。接続アーム22の数は、二つであり、二つの接続アーム22は、スルーホール211の軸線に対して対称に設置される。
【0119】
ナット10は、ナット本体12とフランジ13とを含み、ナット本体12に、ネジ穴11が設置されており、フランジ13は、ナット本体12の外周面に形成され、フランジ13上に、四つの位置決め穴32が設置されており、四つの位置決め穴32は、ナット10の軸線周りに間隔をおいて分布する。ネジ穴11の軸方向は、ナット10の軸線方向である。
【0120】
図2と
図3に示すように、ナット10は、位置規制空間内に収容され、フランジ13は、ブラケット本体21とベース500との間に位置し、ブラケット本体21は、スルーホール211を介してナット本体12に外挿され、スルーホール211の軸線は、ナット10の軸線と同一線上にある。突起31は、位置決め穴32に一対一で対応し、突起31は、位置決め穴32内に挿設される。突起31は、位置決め穴32と弾性嵌めし、突起31は、その径方向に弾性変形が発生できるように構成される。ナット10は、位置規制ブラケット20に対してネジ穴11の軸方向に垂直な平面内において移動することができる。
【0121】
ナット10を位置規制空間内に制限するように、位置規制ブラケット20とベース500との間に形成される位置規制空間によりナット10を収容する。突起31と位置決め穴32との間の弾性嵌めにより、位置規制ブラケット20に対するナット10のフローティングを実現することができ、ナット10が位置規制ブラケット20に対してネジ穴11の軸方向に垂直な平面内において移動する時、突起31が位置決め穴32と嵌め合うため、ナット10のフローティング空間が小さく、即ちナット10とボルト600の組み立て過程において、ナット10の移動量が小さく、それによってナット10とボルト600の組み立て効率及び接続精度を確保する。同時に、四つの突起31が四つの位置決め穴32に対応し、位置規制ブラケット20に対するナット10の回転を防止することができ、ナット10とボルト600の組み立て効率及び接続精度をさらに確保する。
【0122】
好ましい実施例を参照して本出願について記述したが、本出願の範囲を逸脱しない場合に、それに対して様々な改良を行うことができ、その構成部材を等価物と置き換えることができる。特に、構造的な衝突が存在しない限り、各実施例に言及された各技術的特徴は、いずれも任意の方式で組み合わせてもよい。本出願は、本書で開示された特定の実施例に限定されるものではなく、請求項の範囲内に該当するすべての技術案を含む。
【符号の説明】
【0123】
100 フローティングナットアセンブリ
10 ナット
11 ネジ穴
12 ナット本体
13 フランジ
131 退避部
20 位置規制ブラケット
21 ブラケット本体
211 スルーホール
22 接続アーム
221 第一のセグメント
222 第二のセグメント
31 突起
311 副突起
32 位置決め穴
33 弾性ストッパー
331 第一の案内斜面
332 第二の案内斜面
40 ネジ
500 ベース
600 ボルト
700 電池ホルダ
【国際調査報告】