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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】GLP-1/GIP二重アゴニスト
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/605 20060101AFI20231024BHJP
   A61K 38/26 20060101ALI20231024BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 1/14 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 25/32 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
C07K14/605 ZNA
A61K38/26
A61K45/00
A61P1/00
A61P1/04
A61P1/14
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/10
A61P9/00
A61P9/10 101
A61P9/12
A61P25/28
A61P25/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519770
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(85)【翻訳文提出日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 IB2021059420
(87)【国際公開番号】W WO2022079639
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】202021045240
(32)【優先日】2020-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】202121002837
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503422000
【氏名又は名称】サン ファーマシューティカル インダストリーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUN PHARMACEUTICAL INDUSTRIES LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】セナティ,ラジャマンナル
(72)【発明者】
【氏名】ブラデ,ヴィノド・サンパタラオ
(72)【発明者】
【氏名】ナタラジャン,ムスクマラン
(72)【発明者】
【氏名】ジョシ,ディレン・ラメシュチャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ガンディー,マニシュ・ハレンドラプラサド
(72)【発明者】
【氏名】ジヴァニ,チャンドゥーラル・サカールシバーイー
(72)【発明者】
【氏名】ティワリ,アビセーク
(72)【発明者】
【氏名】ソニ,クルーナル・ハリシュバーイー
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA07
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA09
4C084BA19
4C084BA23
4C084BA31
4C084DB35
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA151
4C084ZA152
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA421
4C084ZA422
4C084ZA451
4C084ZA452
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZA681
4C084ZA682
4C084ZA691
4C084ZA692
4C084ZA701
4C084ZA702
4C084ZC331
4C084ZC332
4C084ZC351
4C084ZC352
4C084ZC391
4C084ZC392
4C084ZC752
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA01
4H045BA10
4H045BA19
4H045CA40
4H045DA31
4H045EA27
4H045FA33
4H045GA25
(57)【要約】
本発明は、2型糖尿病(T2D)、肥満を伴う糖尿病、肥満および高脂血症の治療に有用であり得る、長時間作用性グルカゴン様ペプチド-1およびヒトグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)二重アゴニストポリペプチドに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩であって、
Y-X1-E-G-T-F-T-S-D-Y-S-I-X2-L-Xaa15-K-I-A-Xaa19-X3-Xaa21-F-V-Xaa24-W-L-X4-A-G-G-P-S-S-G-A-P-P-P-S-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11(配列番号1)
式中、X1はAib、(L)-ノルバリンまたは(D)-ノルバリンであり、
X2はAib、Leu、(D)-Leu、Val、(D)-Val、Ile、(D)-Ile、および以下の式のアミノ酸のLまたはD異性体から選択され、
【化1】
式中、

【化2】

はLeuへの付着点を表し、RはC2-5アルキル、C3-7シクロアルキル、C3-7シクロルアルキル-C1-3アルキル-、C3-5アルケニル、C3-5アルキニル、C5-7シクロアルケニル-CH-、およびC1-3ハロアルキルから選択され、またはRはそれが付着する炭素と共に、C3-6シクロアルキル環を形成し、
X3はGlnまたはLysであり、式中、X3がLysである場合、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
【化3】
式中、Uは-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-}であり、式中、}は基Wとの付着点であり、
Wは-C(O)-NH-(CH-NH-]、-C(O)-C(CH-NH-]、および-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]からなる群から選択され、式中、pは3または4であり、式中、]は基Yとの付着点であり、
Yは-C(O)-(CH-CH(COOH)NH--であり、--は基Zとの付着点であり、
Zは-C(O)-(CH-COOHまたは-C(O)-(CH-CHであり、式中、nは14~20の整数であり、
X4はLeu、IleまたはGluであり、
X5は存在しないか、ArgまたはLysであり、式中、X5がLysである場合、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
【化4】
式中、U’は-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-}であり、式中、}は基W’との付着点であり、
W’は-C(O)-NH-(CH-NH-]、-C(O)-C(CH-NH-]、および-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]からなる群から選択され、式中、pは3または4であり、式中、]は基Y’との付着点であり、
Y’は-C(O)-(CH-CH(COOH)NH--であり、--は基Z’との付着点であり、
Z’は-C(O)-(CH-COOHまたは-C(O)-(CH-CHであり、式中、mは14~20の整数であり、
X6は存在しないか、またはLysであり、
X7は存在しないか、またはLysであり、
X8は存在しないか、またはLysであり、
X9は存在しないか、またはLysであり、
X10は存在しないか、またはLysであり、
X11は存在しないか、またはLysであり、
Xaa15は、AspまたはGluであり、
Xaa19は、GlnまたはAlaであり、
Xaa21は、AlaまたはGluであり、
Xaa24は、GlnまたはAsnであり、
式中、C末端アミノ酸の酸基は、遊離カルボン酸基であるか、またはC末端第一級アミドとしてアミド化され、X3およびX5の少なくとも一つはLysであり、および
ただし、X1がAibである場合、X2はAibではない、ポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
X1がAibである、請求項1に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
X1が(L)-ノルバリンである、請求項1に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
X2はAib、Leu、Ile、または前記以下の式のアミノ酸のLまたはD異性体であり、
【化5】
式中、

【化6】

はLeuへの前記付着点を表し、RはC2-5アルキル、C3-7シクロアルキル、C3-7シクロルアルキル-C1-3アルキル-、C3-5アルケニル、C3-5アルキニル、C5-7シクロアルケニル-CH-、およびC1-3ハロアルキルから選択され、またはRは、それが付着する前記炭素と共に、C3-6シクロアルキル環を形成する、請求項1に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
RがC2-5アルキルである、請求項4に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
Rがエチルである、請求項5に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項7】
Rがn-プロピルである、請求項5に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項8】
Rがn-ブチルである、請求項5に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項9】
X2が前記以下の式のアミノ酸のLまたはD異性体であり、
【化7】
式中、Rはn-プロピルである、請求項2に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項10】
X2が前記以下の式のアミノ酸のLまたはD異性体であり、
【化8】
式中、Rはn-プロピルである、請求項3に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項11】
X2が前記以下の式のアミノ酸のLまたはD異性体であり、
【化9】
式中、Rはn-ブチルである、請求項2に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項12】
X2が前記以下の式のアミノ酸のLまたはD異性体であり、
【化10】

式中、Rはエチルである、請求項2に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項13】
X2がAibである、請求項3に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項14】
X2がLeuである、請求項2に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項15】
X2がIleである、請求項2に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項16】
X5、X6、X7、X8、X9、X10およびX11が存在しない、請求項1~15のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項17】
X2が前記以下の式のアミノ酸のLまたはD異性体であり、
【化11】

式中、Rはn-プロピルであり、およびX5はArgである、請求項2に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項18】
以下のアミノ酸配列を含み、
Y-Aib-E-G-T-F-T-S-D-Y-S-I-X2-L-D-K-I-A-Q-X3-A-F-V-Q-W-L-X4-A-G-G-P-S-S-G-A-P-P-P-S-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11 (配列番号2)、
式中、X2はLeu、Ile、(L)-ノルバリン、(L)-ホモアラニンまたは(L)-ノルロイシンであり、
X3はLysであり、式中、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
【化12】
式中、Uは-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-}であり、式中、}は基Wとの付着点であり、
Wは-C(O)-NH-(CH-NH-]、-C(O)-C(CH-NH-]、および-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]からなる群から選択され、式中、pは3または4であり、式中、]は基Yとの付着点であり、
Yは-C(O)-(CH-CH(COOH)NH--であり、--は基Zとの付着点であり、
Zは-C(O)-(CH-COOHまたは-C(O)-(CH-CHであり、式中、nは14~20の整数であり、
X4はIleであり、
X5は存在しないか、またはArgであり、
X6は存在しないか、またはLysであり、
X7は存在しないか、またはLysであり、
X8は存在しないか、またはLysであり、
X9は存在しないか、またはLysであり、
X10は存在しないか、またはLysであり、
X11は存在しないか、またはLysであり、
式中、C末端アミノ酸の酸基は、遊離カルボン酸基であるか、またはC末端第一級アミドとしてアミド化される、請求項1に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項19】
X2が(L)-ノルバリンである、請求項18に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項20】
X2が(L)-ノルロイシンである、請求項18に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項21】
X2が(L)-ホモアラニンである、請求項18に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項22】
X2がLeuである、請求項18に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項23】
X2がIleである、請求項18に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項24】
X5、X6、X7、X8、X9、X10およびX11が存在しない、請求項18~23のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項25】
X5がArgである、請求項19に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項26】
X4がIleであり、
X5、X6、X7、X8、X9、X10およびX11が存在せず、
Wが-C(O)-C(CH-NH-]であり、および
Zが-C(O)-(CH-COOHであり、式中、nが18である、請求項19に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項27】
以下のアミノ酸配列を含み、
Y-X1-E-G-T-F-T-S-D-Y-S-I-X2-L-D-K-I-A-Q-X3-A-F-V-Q-W-L-X4-A-G-G-P-S-S-G-A-P-P-P-S (配列番号3)
式中、X1はAibまたは(L)-ノルバリンであり、X2はAib、Leu、Ile、(L)-ノルバリン、(L)-ホモアラニンまたは(L)-ノルロイシンであり、
X4はIleであり、
X3はLysであり、式中、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
【化13】
式中、Uは-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-}であり、式中、}は基Wとの付着点であり、
Wは-C(O)-NH-(CH-NH-]、-C(O)-C(CH-NH-]、および-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]からなる群から選択され、式中、pは3または4であり、式中、]は基Yとの付着点であり、
Yは-C(O)-(CH-CH(COOH)NH--であり、--は基Zとの付着点であり、
Zは-C(O)-(CH-COOHまたは-C(O)-(CH-CHであり、式中、nは14~20の整数であり、
および、式中、C末端アミノ酸の酸基は、遊離カルボン酸基であるか、またはC末端第一級アミドとしてアミド化され、
ただし、X1がAibである場合、X2はAibではない、請求項1に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項28】
X1がAibである、請求項27に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項29】
X1が(L)-ノルバリンである、請求項27に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項30】
X2がAibである、請求項27に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項31】
X2がLeuである、請求項27に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項32】
X2がIleである、請求項27に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項33】
X2が(L)-ノルバリンである、請求項27に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項34】
X2が(L)-ノルロイシンである、請求項27に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項35】
X2が(L)-ホモアラニンである、請求項27に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項36】
X1がAibであり、およびX2が(L)-ノルバリンである、請求項27に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項37】
X1およびX2が(L)-ノルバリンである、請求項27に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項38】
X1がAibであり、およびX2が(L)-ノルロイシンである、請求項27に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項39】
X1がAibであり、およびX2が(L)-ホモアラニンである、請求項27に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項40】
X1が(L)-ノルバリンであり、およびX2がAibである、請求項27に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項41】
X1がAibであり、およびX2がLeuである、請求項27に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項42】
X1がAibであり、およびX2がIleである、請求項27に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項43】
X1がAibであり、
X2が(L)-ノルバリンであり、
Wが-C(O)-C(CH-NH-]であり、および
Zが-C(O)-(CH-COOHであり、式中、nが18である、請求項27に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項44】
Wおよび/またはW’が-C(O)-C(CH-NH-]または-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]である、請求項1~43のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項45】
Zおよび/またはZ’が-C(O)-(CH-COOHおよび/または-C(O)-(CH-COOH、ならびにnまたはmが16または18である、請求項1~43のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項46】
Wおよび/またはW’が-C(O)-C(CH-NH-]であり、Zおよび/またはZ’が-C(O)-(CH-COOHおよび/または-C(O)-(CH-COOHであり、ならびにnまたはmが18である、請求項1~43のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項47】
Wおよび/またはW’が-C(O)-C(CH-NH-]であり、Zおよび/またはZ’が-C(O)-(CH-COOHおよび/または-C(O)-(CH-COOHであり、ならびにnまたはmが16である、請求項1~43のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項48】
Wおよび/またはW’が-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]であり、Zおよび/またはZ’が-C(O)-(CH-COOHおよび/または-C(O)-(CH-COOHであり、ならびにnまたはmが16である、請求項1~25および27~42のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項49】
Wおよび/またはW’が-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]であり、Zおよび/またはZ’が-C(O)-(CH-COOHおよび/または-C(O)-(CH-COOHであり、ならびにnまたはmが18である、請求項1~25および27~42のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項50】
以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
i.) Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile L-ノルバリン Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH(配列番号04)
ii.)Tyr L-ノルバリン Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Aib Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH(配列番号05)
iii.) Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Leu Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH(配列番号06)
iv.) Tyr L-ノルバリン Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile L-ノルバリン Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH(配列番号07)
v.) Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile L-ノルバリン Leu Glu Lys Ile Ala Ala Gln Glu Phe Val Asn Trp Leu Leu Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser Lys-NH(配列番号08)
vi.) Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile L-ノルバリン Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser Arg(配列番号09)
vii.) Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile L-ホモアラニン Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH(配列番号10)
viii.) Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile L-ノルロイシン Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH(配列番号11)
ix.) Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Ile Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH(配列番号12)
【請求項51】
-U-W-Y-Zおよび/または-U’-W’-Y’-Z’が以下からなる群から選択される、請求項1~50のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【化14】
【請求項52】
前記C末端アミノ酸が、C末端第一級アミドとしてアミド化される、請求項1~51のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項53】
前記C末端アミノ酸が、遊離カルボン酸である、請求項1~51のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項54】
以下からなる群から選択される、ポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
化合物1:
【化15】

化合物2:
【化16】

化合物3:
【化17】

化合物4:
【化18】

化合物5:
【化19】

化合物6:
【化20】

化合物7:
【化21】

化合物8:
【化22】

化合物9:
【化23】

化合物10:
【化24】

化合物11:
【化25】
および、
化合物12:
【化26】

式中、部分Aは、
【化27】

部分Bは、
【化28】

部分Cは、
【化29】
および、
部分Dは、
【化30】

【請求項55】
請求項1~54のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩、および一つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項56】
薬剤として使用するための、請求項55に記載の医薬組成物。
【請求項57】
患者の疾患の治療または予防に使用するための、請求項55に記載の医薬組成物。
【請求項58】
前記疾患が、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、アルコール依存症、および胃潰瘍からなる群から選択される、請求項57に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項59】
前記医薬組成物が、有効量の一つ以上の追加の治療薬と組み合わせて同時、別々に、または連続的に提供される、請求項56~58に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項60】
患者の高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、アルコール依存症および胃潰瘍を治療または予防する方法であって、前記方法が、それを必要とする患者に、請求項55に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項61】
有効量の一つ以上の治療薬と組み合わせて、同時、別々に、または連続的に投与することをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満、高血圧、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、アルコール依存症および胃潰瘍の治療または予防のための薬剤の調製に使用する、請求項55に記載の医薬組成物。
【請求項63】
薬剤として使用するための、請求項1~54のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項64】
患者の疾患の治療または予防に使用するための、請求項1~54のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項65】
前記疾患が、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、アルコール依存症、および胃潰瘍からなる群から選択される、請求項64に記載の使用のためのポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項66】
前記ポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩が、有効量の一つ以上の追加の治療薬と組み合わせて同時、別々に、または連続的に提供される、請求項63~65に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項67】
それを必要とする患者に、請求項1~54のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩の有効量を投与することを含む、患者の高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、アルコール依存症および胃潰瘍を治療または予防する方法。
【請求項68】
有効量の一つ以上の治療薬と組み合わせて、同時、別々に、または連続的に投与することをさらに含む、請求項67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満、高血圧、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、アルコール依存症および胃潰瘍の治療または予防のための薬剤の調製に使用する、請求項1~54のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2型糖尿病(T2D)、肥満を伴う糖尿病、肥満および高脂血症の治療に有用であり得る、長時間作用性グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)およびヒトグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド/胃腸ペプチド(GIP)二重アゴニストポリペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニスト(GLP-1RAs)を用いた2型糖尿病(T2DM)の治療は、血糖管理の改善、体重減少、およびいくつかの心血管リスク因子の改善をもたらす。これらの利益は、膵ベータ細胞、胃腸管の様々な細胞型、および中枢(CNS)および末梢神経系の両方のニューロンに発現する、Gタンパク質共役受容体のクラスBファミリーのメンバーであるグルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP-1R)によって媒介される。GLP-1RAsによるGLP-1Rシグナル伝達の活性化は、グルコース刺激型インスリン分泌を強化し、胃内容排出を遅らせ、および血漿グルカゴンレベルを減少させることによりグルコース恒常性を改善し、および脳内の食欲不振経路を活性化することにより体重を減少させる。ベータ細胞活性化のグルコース依存性のため、GLP-1RAsは低血糖症のリスク上昇と関連しない。GLP-1RAsの広範な代謝的利益は、T2DM治療パラダイムにおいてこのクラスを確立しているが、多くの患者はHbA1c/血糖の標的に到達せず、またこれらの薬剤で達成された体重減少は、従ってより高い用量を必要とし、これはまたGIの有害事象を増加させ、肥満のための最も強力な臨床介入である肥満手術で達成できることよりもはるかに低いままである。従って、既存のGLP-1RAクラスを改善する大きな機会がある。
【0003】
一つの新たなアプローチは、基礎的なGLP-1RA療法を、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)経路などの栄養およびエネルギー代謝に関与する追加の経路を標的とする薬理学的戦略と組み合わせることである。GIPは、食物に応答して上部小腸、十二指腸のK細胞から分泌されるインクレチンである。正常な生理学的条件下では、食後GIPレベルはGLP-1と比較しておよそ4倍高い。GIPは、ヒトにおけるインスリン分泌促進的インクレチン効果の大部分を担い、GLP-1とは異なる重要な追加機能を有する。GLP-1とは異なり、GIPは、血糖値依存性の様式で、グリカゴン分泌促進的およびインスリン分泌促進的の両方であり、低血糖条件下では用量依存的にグルカゴン分泌を刺激し、高血糖条件下ではインスリン分泌を刺激し、放出されたグルカゴンはインスリン分泌を促進する。GIP-受容体(GIPR)とGLP-1Rの両方がベータ細胞に存在するが、GIPRは脂肪組織に豊富であり、CNSの多くの重複していない領域に見られるため、GIPRの発現は膵外組織では異なって分布している。GIPは、グルコースの取込み、脂肪分解、およびリポタンパクリパーゼ活性を制御するその作用によって、脂肪組織炭水化物および脂質代謝に関与する。これらの所見は、GIPRの薬理学的活性化が、末梢エネルギー代謝に治療的利益を有し得ることを示唆する。最近、GLP-1RA活性とGIP活性を組み合わせた単分子の多機能ペプチドが、血糖および体重管理のための新しい治療薬として提案されている。
【0004】
米国特許第9474780号は、チルゼパチドを含むデュアルGLP-1およびGIP受容体アゴニストを開示する。
【0005】
【化1】
チルゼパチドはT2DMおよび肥満に関する第III相臨床試験を受けている。
【0006】
WIPO公開番号WO2017/74714A1、WO2020/23386A1、WO2020/023388A1、WO2015/067715A2、WO2016/111971A1およびWO2013/164483A1は、GLP-1 RおよびGIP R二重アゴニスト化合物を開示している。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を提供し、
Y-X1-E-G-T-F-T-S-D-Y-S-I-X2-L-Xaa15-K-I-A-Xaa19-X3-Xaa21-F-V-Xaa24-W-L-X4-A-G-G-P-S-S-G-A-P-P-P-S-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11(配列番号1)
式中、X1はAib、(L)-ノルバリンまたは(D)-ノルバリンであり、
X2は、Aib、Leu、(D)-Leu、Val、(D)-Val、Ile、(D)-Ile、および以下の式のアミノ酸のLまたはD異性体から選択され、
【化2】
式中、

【化3】

は、Leuへの付着点を表し、RはC2-5アルキル、C3-7シクロアルキル、C3-7シクロルアルキル-C1-3アルキル-、C3-5アルケニル、C3-5アルキニル、C5-7シクロアルケニル-CH-、およびC1-3ハロアルキル-から選択され、またはRは、それが付着する炭素と共に、C3-6シクロアルキル環を形成し、
X3はGlnまたはLysであり、式中、X3がLysである場合、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
【化4】
式中、Uは-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-}であり、式中、}は基Wとの付着点であり、
Wは-C(O)-NH-(CH-NH-]、-C(O)-C(CH-NH-]、および-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]からなる群から選択され、式中、pは3または4であり、式中、]は基Yとの付着点であり、
Yは-C(O)-(CH-CH(COOH)NH--であり、--は基Zとの付着点であり、
Zは-C(O)-(CH-COOHまたは-C(O)-(CH-CHであり、式中、nは14~20の整数であり、
X4はLeu、IleまたはGluであり、
X5は存在しないか、ArgまたはLysであり、式中、X5がLysである場合、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
【化5】
式中、U’は-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-}であり、式中、}は基W’との付着点であり、
W’は-C(O)-NH-(CH-NH-]、-C(O)-C(CH-NH-]、および-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]からなる群から選択され、式中、pは3または4であり、式中、]は基Y’との付着点であり、
Y’は-C(O)-(CH-CH(COOH)NH--であり、--は基Z’との付着点であり、
Z’は-C(O)-(CH-COOHまたは-C(O)-(CH-CHであり、式中、mは14~20の整数であり、
X6は存在しないか、またはLysであり、
X7は存在しないか、またはLysであり、
X8は存在しないか、またはLysであり、
X9は存在しないか、またはLysであり、
X10は存在しないか、またはLysであり、
X11は存在しないか、またはLysであり、
Xaa15は、AspまたはGluであり、
Xaa19は、GlnまたはAlaであり、
Xaa21は、AlaまたはGluであり、
Xaa24は、GlnまたはAsnであり、
式中、C末端アミノ酸の酸基は、遊離カルボン酸基であるか、またはC末端第一級アミドとしてアミド化され、X3およびX5の少なくとも一つはLysであり、および
ただし、X1がAibである場合、X2はAibではない。
【0008】
略語
Aib:2-アミノイソ酪酸
DIPEA:N,N’-ジ-イソプロピルエチルアミン
HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
DIPC:N,N’-ジ-イソプロピルカルボジイミド
THF:テトラヒドロフラン
DCM:ジクロロメタン
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明による「薬学的に許容可能な塩」は、有機または無機酸のいずれかで形成された酸付加塩を含む。本発明の化合物の適切な薬学的に許容可能な塩は、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸などの無機酸の塩、または例えば酢酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルタミン酸もしくはアスパラギン酸などのアミノ酸などの有機酸の塩であり得る酸付加塩を含む。本化合物の薬学的に許容可能な酸付加塩は、例えば、一塩酸塩、二塩酸塩などの一つ以上の酸の等価物の添加で形成された塩を含む。塩は、当業者の責任の下で、任意のプロセスによって調製することができる。(See Berge et al.,J.Pharm.Sci.1977,66,1-19;および Handbook of Pharmaceutical Salts,Properties,and Use;Stahl and Wermuth,Ed.;Wiley-VCH and VHCA:Zurich,Switzerland,2002.参照).
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、骨格に炭素および水素の原子のみを含む飽和炭化水素鎖ラジカルを指し、これは、別段の定義がない限り、両方を含む1~6個の炭素原子を有し、直鎖または分岐のいずれかで、単結合により他の分子に付着する。アルキル基の適切な非限定的な例としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ペンチル、n-ヘキシルなどが挙げられる。
【0010】
本明細書で使用される場合、用語「ハロアルキル」は、ハロゲン原子で置換された一つ以上の水素原子を有する任意の「アルキル」を指し、ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素から選択され得る。
【0011】
「C2-5」のような語句の数値は、鎖内の炭素原子の数を示す。例えば、「C2-5アルキル」という語句は、2~5個の炭素原子を有するアルキル鎖を指す。
【0012】
本明細書で使用される場合、用語「アルケニル」は、少なくとも一つの炭素-炭素二重結合を含有する炭化水素鎖を指し、(E)または(Z)構成を有してもよい。アルケニル基は、別段の指定がない限り、2~8個の炭素原子を含有してもよい。これに反して記載または列挙されない限り、本明細書に記載されるすべてのアルケニル基は、直鎖または分岐鎖の一部を形成し得る。アルケニル基の適切な非限定的な例としては、例えば、エチレン、2-プロペニル(アリル)、2-メチル-2-プロペニル、および2-ブテニルが挙げられる。
【0013】
用語「アルキニル」は、少なくとも一つの炭素-炭素三重結合を有する炭化水素鎖を指す。アルキニル基は、別段の指定がない限り、2~8個の炭素原子を含有してもよい。これに反して記載または列挙されない限り、本明細書に記載されるまたは請求されるすべてのアルキニル基は、直鎖または分岐鎖の一部を形成し得る。アルキニル基の非限定的な例としては、2-プロピニル、3-ブチニル、およびプロパルギルが挙げられる。
【0014】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキル」は、別段の指定がない限り、3~7個の炭素原子の非芳香族単環式環系を指す。シクロアルキル環には、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが含まれる。
用語「シクロアルケニル」は、少なくとも一つの炭素-炭素二重結合を有する、非芳香族単環式5~7員シクロアルキル環系を指す。シクロアルケニルメチル基の非限定的な例としては、シクロペンテニルメチルおよびシクロヘキセニルメチルが挙げられる。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「有効量または有効な量」は、所与の疾患または状態の臨床症状、およびかかる治療の非存在下で予期されるものを超えるその合併症を治癒、緩和、軽減、または部分的に対処する際に、対象に単回または複数回の投与で、十分である化合物の量を指す。したがって、結果は、疾患の徴候、症状、もしくは原因の軽減および/または緩和、または生物学的システムの任意の他の望ましい変化であり得る。「治療有効量」は、年齢、体重、対象の全身状態、治療される状態、治療される状態の重症度、および処方する医師の判断に応じて、対象によって変化し得ることが理解される。
【0016】
本明細書で使用される場合、アミノ酸の「ノルバリン」は、構造によって表されてもよく、
【化6】
化学名によって「2-アミノペンタン酸」と定義されてもよい。(L)-ノルバリンおよび(D)-ノルバリンという用語は、それぞれノルバリンの「L」および「D」異性体を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、アミノ酸の「ノルロイシン」は、構造によって表されてもよく、
【化7】
化学名によって「2-アミノヘキサン酸」と定義されてもよい。(L)-ノルロイシンおよび(D)-ノルロイシンという用語は、それぞれノルロイシンの「L」および「D」異性体を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、アミノ酸の「ホモアラニン」は、構造によって表されてもよく、
【化8】
化学名によって「2-アミノ酪酸」と定義されてもよい。(L)-ホモアラニンおよび(D)-ホモアラニンという用語は、それぞれホモアラニンの「L」および「D」異性体を指す。
【0019】
本発明は、2型糖尿病(T2D)、肥満を伴う糖尿病、肥満および高脂血症の治療に有用であり得る、安定的な長時間作用性GLP-1/GIPアゴニストポリペプチドを提供する。本発明のポリペプチドは、長時間作用性であり、これはそれを必要とする患者への頻繁な投与を必要としない場合がある。
【0020】
従って、一態様では、本発明は、以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を提供し、
Y-X1-E-G-T-F-T-S-D-Y-S-I-X2-L-Xaa15-K-I-A-Xaa19-X3-Xaa21-F-V-Xaa24-W-L-X4-A-G-G-P-S-S-G-A-P-P-P-S-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11(配列番号1)
式中、X1はAib、(L)-ノルバリンまたは(D)-ノルバリンであり、
X2は、Aib、Leu、(D)-Leu、Val、(D)-Val、Ile、(D)-Ile、および以下の式のアミノ酸のLまたはD異性体から選択され、
【化9】
式中、

【化10】

はLeuへの付着点を表し、RはC2-5アルキル、C3-7シクロアルキル、C3-7 シクロルアルキル-C1-3アルキル-、C3-5アルケニル、C3-5アルキニル、C5-7 シクロアルケニル-CH-、およびC1-3ハロアルキル-から選択され、またはRは、それが付着する炭素と共に、C3-6シクロアルキル環を形成し、
X3はGlnまたはLysであり、式中、X3がLysである場合、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
【化11】
式中、Uは-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-}であり、式中、}は基Wとの付着点であり、
Wは-C(O)-NH-(CH-NH-]、-C(O)-C(CH-NH-]、および-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]からなる群から選択され、式中、pは3または4であり、式中、]は基Yとの付着点であり、
Yは-C(O)-(CH-CH(COOH)NH--であり、--は基Zとの付着点であり、
Zは-C(O)-(CH-COOHまたは-C(O)-(CH-CHであり、式中、nは14~20の整数であり、
X4はLeu、IleまたはGluであり、
X5は存在しないか、ArgまたはLysであり、式中、X5がLysである場合、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
【化12】
式中、U’は-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-}であり、式中、}は基W’との付着点であり、
W’は-C(O)-NH-(CH-NH-]、-C(O)-C(CH-NH-]、および-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]からなる群から選択され、式中、pは3または4であり、式中、]は基Y’との付着点であり、
Y’は-C(O)-(CH-CH(COOH)NH--であり、--は基Z’との付着点であり、
Z’は-C(O)-(CH-COOHまたは-C(O)-(CH-CHであり、式中、mは14~20の整数であり、
X6は存在しないか、またはLysであり、
X7は存在しないか、またはLysであり、
X8は存在しないか、またはLysであり、
X9は存在しないか、またはLysであり、
X10は存在しないか、またはLysであり、
X11は存在しないか、またはLysであり、
Xaa15は、AspまたはGluであり、
Xaa19は、GlnまたはAlaであり、
Xaa21は、AlaまたはGluであり、
Xaa24は、GlnまたはAsnであり、
式中、C末端アミノ酸の酸基は、遊離カルボン酸基であるか、またはC末端第一級アミドとしてアミド化され、X3およびX5の少なくとも一つはLysであり、および
ただし、X1がAibである場合、X2はAibではない。
【0021】
本発明の一実施形態では、X1はAibである。
【0022】
本発明の別の実施形態では、X2はAibである。
【0023】
本発明の別の実施形態では、X4はIleである。
【0024】
本発明の別の実施形態では、X1は(L)-ノルバリンである。
【0025】
本発明の別の実施形態では、X2はLeuである。
【0026】
本発明の別の実施形態では、X2はIleである。
【0027】
本発明の別の実施形態では、X2は、以下の式のアミノ酸のLまたはD異性体から選択され、
【化13】
式中、

【化14】

は、Leuへの付着点を表し、Rは、C2-5アルキル、C3-7シクロアルキル、C3-7シクロルアルキル-C1-3アルキル-、C3-5アルケニル、C3-5アルキニル、C5-7シクロアルケニル-CH-、およびC1-3ハロアルキル-から選択され、またはRは、それが付着する炭素と共に、C3-6シクロアルキル環を形成する。
【0028】
本発明の別の実施形態では、X2は、以下の式のアミノ酸であり、
【化15】
は、「L」構成で存在する。
【0029】
本発明の別の実施形態では、X2は、以下の式のアミノ酸であり、
【化16】
は、「D」構成で存在する。
【0030】
本発明の別の実施形態では、X2は、以下の式のアミノ酸であり、
【化17】
式中、RはC2-5アルキルである。別の実施形態では、Rは、エチル、n-プロピル、イソプロピル、およびn-ブチルから選択される。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態では、X2は、以下の式のアミノ酸であり、
【化18】
式中、Rはn-プロピルであり、従って、X2をノルバリンとして形成する。別の実施形態では、X2は(L)-ノルバリンである。別の実施形態では、X2 は(D)-ノルバリンである。
【0032】
本発明のさらに別の実施形態では、X2は、以下の式のアミノ酸であり、
【化19】
式中、Rはn-ブチルであり、従ってノルロイシンとしてX2を形成する。別の実施形態では、X2は(L)-ノルロイシンである。別の実施形態では、X2 は(D)-ノルロイシンである。
【0033】
本発明のさらに別の実施形態では、X2は、以下の式のアミノ酸であり、
【化20】
式中、Rはエチルであり、したがってX2をホモアラニンとして形成する。別の実施形態では、X2は(L)-ホモアラニンである。別の実施形態では、X2 は(D)-ホモアラニンである。
【0034】
本発明の別の実施形態では、X2は、以下の式のアミノ酸であり、
【化21】
式中、RはC3-7シクロルアルキル-C1-3アルキル-である。別の実施形態では、Rはシクロプロピルメチル-、シクロペンチルメチル-、およびシクロヘキシルメチル-から選択される。
【0035】
本発明の別の実施形態では、X2は、以下の式のアミノ酸である。
【化22】
【0036】
本発明の別の実施形態では、X2は、以下の式のアミノ酸である。
【化23】
【0037】
本発明の別の実施形態では、X2は、以下の式のアミノ酸である。
【化24】
【0038】
本発明の別の実施形態では、X1はAibであり、X2は以下の式のアミノ酸のL異性体であり、
【化25】
式中、Rはn-プロピルであり、すなわち、X2は(L)-ノルバリンである。
【0039】
本発明の別の実施形態では、X1はAibであり、X2は以下の式のアミノ酸のL異性体であり、
【化26】
式中、Rはエチルであり、すなわち、X2は(L)-ホモアラニンである。
【0040】
本発明の別の実施形態では、X1はAibであり、X2は以下の式のアミノ酸のL異性体であり、
【化27】
式中、Rはn-ブチルであり、すなわち、X2は(L)-ノルロイシンである。
【0041】
本発明の別の実施形態では、X1はAibであり、およびX2はLeuである。
【0042】
本発明の別の実施形態では、X1はAibであり、およびX2はIleである。
【0043】
本発明の別の実施形態では、X1は(L)-ノルバリンであり、およびX2はAibである。
【0044】
本発明の別の実施形態では、X1は(L)-ノルバリンであり、X2は以下の式のアミノ酸のL異性体であり、
【化28】
式中、Rはn-プロピルであり、すなわち、X2は(L)-ノルバリンである。
【0045】
本発明の一実施形態では、X1はAibまたは(L)-ノルバリンであり、およびX2はAib、Leu、Ileまたは以下の式のアミノ酸のL異性体であり、
【化29】
式中、Rはn-プロピルであり、X1およびX2は両方ともAibではない。
本発明の一実施形態では、X1はAibまたは(L)-ノルバリンであり、およびX2はAib、Leu、Ileまたは以下の式のアミノ酸のL異性体であり、
【化30】
式中、Rはn-ブチルであり、X1およびX2は両方ともAibではない。
【0046】
本発明の一実施形態では、X1はAibまたは(L)-ノルバリンであり、およびX2はAib、Leu、Ileまたは以下の式のアミノ酸のL異性体であり、
【化31】
式中、Rはエチルであり、X1およびX2は両方ともAibではない。
【0047】
本発明の一実施形態では、X1はAibまたは(L)-ノルバリンであり、X2はAib、Leu、Ileまたは以下の式のアミノ酸のL異性体であり、
【化32】
式中、Rはn-プロピルであり、X4はIleであり、X1およびX2は両方ともAibではない。
【0048】
本発明の一実施形態では、X1はAibまたは(L)-ノルバリンであり、X2はAib、Leu、Ileまたは以下の式のアミノ酸のL異性体であり、
【化33】
式中、Rはn-プロピルであり、X5はArgであり、X1およびX2は両方ともAibではない。
【0049】
本発明の一実施形態では、X3はLysであり、式中、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化される。
【0050】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH-NH-]である。
【0051】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-NH-(CH-NH-]であり、式中、pは3または4である。
【0052】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]である。
【0053】
本発明の別の実施形態では、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、およびnは16、17、18、19または20である。好ましい実施形態では、nは16、18または20である。さらに別の好ましい実施形態では、nは18または20である。
【0054】
本発明の別の好ましい実施形態では、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、およびnは16または18である。さらに別の好ましい実施形態では、nは18である。
【0055】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、式中、nは18である。
【0056】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、式中、nは16である。
【0057】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、式中、nは16である。
【0058】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、式中、nは18である。
【0059】
本発明の一実施形態では、X3はGlnであり、X5はLysであり、式中、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化される。
【0060】
【化34】
【0061】
本発明の一実施形態では、X1はAibまたは(L)-ノルバリンであり、X2はAib、Leu、Ileまたは以下の式のアミノ酸のL異性体であり、
【化35】
式中、Rはn-プロピルであり、X3はGlnであり、X5はLysであり、X1およびX2は両方ともAibではなく、式中、Lysの側鎖アミノ(アミノ)基は以下の部分でアシル化される。
【化36】
【0062】
本発明の別の実施形態では、W’は-C(O)-C(CH-NH-]である。
【0063】
本発明の別の実施形態では、W’は-C(O)-NH-(CH-NH-]であり、式中、pは3または4である。
【0064】
本発明の別の実施形態では、W’は-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]である。
【0065】
本発明の別の実施形態では、Z’は-C(O)-(CH-COOHであり、およびmは16、17、18、19または20である。好ましい実施形態では、mは16、18または20である。さらに好ましい別の実施形態では、mは18または20である。
【0066】
本発明の別の好ましい実施形態では、Z’は-C(O)-(CH-COOHであり、およびmは16または18である。さらに好ましい別の実施形態では、mは18である。
【0067】
本発明の別の実施形態では、W’は-C(O)-C(CH-NH-]であり、Z’は-C(O)-(CH-COOHであり、式中、nは18である。
【0068】
本発明の別の実施形態では、W’は-C(O)-C(CH-NH-]であり、Z’は-C(O)-(CH-COOHであり、式中、nは16である。
【0069】
本発明の別の実施形態では、W’は-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]であり、Z’は-C(O)-(CH-COOHであり、式中、mは16である。
【0070】
本発明の別の実施形態では、W’は-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]であり、Z’は-C(O)-(CH-COOHであり、式中、mは18である。
【0071】
本発明の一実施形態では、X1はAibであり、X2は以下の式のアミノ酸のL異性体であり、
【化37】
式中、Rはn-プロピルであり、Xaa15はGluであり、Xaa19はAlaであり、X3はGlnであり、Xaa21はGluであり、Xaa24はAsnであり、X4はLeuであり、X5はLysであり、式中、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
【化38】
式中、W’は-C(O)-C(CH-NH-]であり、
Z’は-C(O)-(CH-COOHであり、式中、mは18である。
【0072】
本発明の別の実施形態では、C末端アミノ酸は、C末端第一級アミドとしてアミド化される。
【0073】
本発明の別の実施形態では、X5、X6、X7、X8、X9、X10およびX11はすべて存在しない。
【0074】
別の態様では、本発明は、以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を提供し、
Y-Aib-E-G-T-F-T-S-D-Y-S-I-X2-L-D-K-I-A-Q-X3-A-F-V-Q-W-L-X4-A-G-G-P-S-S-G-A-P-P-P-S-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11 (配列番号2)、
式中、X2はLeu、Ile、(L)-ノルバリン、(L)-ホモアラニンまたは(L)-ノルロイシンであり、
X4はIleであり、
X5は存在しないか、またはArgであり、
X6は存在しないか、またはLysであり、
X7は存在しないか、またはLysであり、
X8は存在しないか、またはLysであり、
X9は存在しないか、またはLysであり、
X10は存在しないか、またはLysであり、
X11は存在しないか、またはLysであり、
X3はLysであり、式中、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
【化39】
式中、Uは-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-}であり、式中、}は基Wとの付着点であり、
Wは-C(O)-NH-(CH-NH-]、-C(O)-C(CH-NH-]、および-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]からなる群から選択され、式中、pは3または4であり、式中、]は基Yとの付着点であり、
Yは-C(O)-(CH-CH(COOH)NH--であり、--は基Zとの付着点であり、
Zは-C(O)-(CH-COOHまたは-C(O)-(CH-CHであり、式中、nは14~20の整数であり、式中、C末端アミノ酸の酸基は遊離カルボン酸基であるか、またはC末端の第一級アミドとしてアミド化される。
【0075】
本発明の一実施形態では、X2は(L)-ノルバリンである。
【0076】
本発明の一実施形態では、X2は(L)-ホモアラニンである。
【0077】
本発明の一実施形態では、X2は(L)-ノルロイシンである。
【0078】
本発明の別の実施形態では、X2はLeuである。
【0079】
本発明の別の実施形態では、X2はIleである。
【0080】
本発明の別の実施形態では、X2は(L)-ノルバリンであり、およびX5はArgである。
【0081】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH-NH-]である。
【0082】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-NH-(CH3-4-NH-]である。
【0083】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]である。
【0084】
本発明の別の実施形態では、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、およびnは16、17、18、19または20である。好ましい実施形態では、nは16、18または20である。さらに別の好ましい実施形態では、nは18または20である。
【0085】
本発明の別の好ましい実施形態では、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、およびnは16または18である。さらに別の好ましい実施形態では、nは18である。
【0086】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、式中、nは18である。
【0087】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、式中、nは16である。
【0088】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、式中、nは16である。
【0089】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、式中、nは18である。
【0090】
本発明の別の実施形態では、C末端アミノ酸は、C末端第一級アミドとしてアミド化される。
【0091】
本発明の別の実施形態では、X5、X6、X7、X8、X9、X10およびX11はすべて存在しない。
【0092】
好ましい実施形態では、X2は(L)-ノルバリンであり、X4はIleであり、X5、X6、X7、X8、X9、X10およびX11は存在せず、Wは-C(O)-C(CH-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、式中、nは18である。
【0093】
別の態様では、本発明は、以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を提供し、
Y-X1-E-G-T-F-T-S-D-Y-S-I-X2-L-D-K-I-A-Q-X3-A-F-V-Q-W-L-X4-A-G-G-P-S-S-G-A-P-P-P-S (配列番号3)
式中、X1はAibまたは(L)-ノルバリンであり、X2はAib、Leu、Ile、(L)-ノルバリン、(L)-ホモアラニンまたは(L)-ノルロイシンであり、
X4はIleであり、
X3はLysであり、式中、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
【化40】
式中、Uは-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-}であり、式中、}は基Wとの付着点であり、
Wは-C(O)-NH-(CH-NH-]、-C(O)-C(CH-NH-]、および-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]からなる群から選択され、式中、pは3または4であり、式中、]は基Yとの付着点であり、
Yは-C(O)-(CH-CH(COOH)NH--であり、--は基Zとの付着点であり、
Zは-C(O)-(CH-COOHまたは-C(O)-(CH-CHであり、式中、nは14~20の整数であり、
式中、C末端アミノ酸の酸基は、遊離カルボン酸基であるか、またはC末端第一級アミドとしてアミド化され、
ただし、X1がAibである場合、X2はAibではない。
【0094】
本発明の一実施形態では、X1はAibである。
【0095】
本発明の別の実施形態では、X1は(L)-ノルバリンである。
【0096】
本発明の別の実施形態では、X2はAibである。
【0097】
本発明の別の実施形態では、X2は(L)-ノルバリンである。
【0098】
本発明の別の実施形態では、X2は(L)-ノルロイシンである。
【0099】
本発明の別の実施形態では、X2は(L)-ホモアラニンである。
【0100】
本発明の別の実施形態では、X2はLeuである。
【0101】
本発明の別の実施形態では、X2はIleである。
【0102】
本発明の別の実施形態では、X1はAibであり、およびX2は(L)-ノルバリンである。
【0103】
本発明の別の実施形態では、X1はAibであり、およびX2は(L)-ノルロイシンである。
【0104】
本発明の別の実施形態では、X1はAibであり、およびX2は(L)-ホモアラニンである。
【0105】
本発明の別の実施形態では、X1は(L)-ノルバリンであり、およびX2はAibである。
【0106】
本発明の別の実施形態では、X1はAibであり、およびX2はLeuである。
【0107】
本発明の別の実施形態では、X1はAibであり、およびX2はIleである。
【0108】
本発明の別の実施形態では、X1は(L)-ノルバリンであり、およびX2は(L)-ノルバリンである。
【0109】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH-NH-]である。
【0110】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-NH-(CH3-4-NH-]である。
【0111】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]である。
【0112】
本発明の別の実施形態では、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、およびnは16、17、18、19または20である。好ましい実施形態では、nは16、18または20である。さらに別の好ましい実施形態では、nは18または20である。
【0113】
本発明の別の好ましい実施形態では、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、およびnは16または18である。さらに別の好ましい実施形態では、nは18である。
【0114】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、式中、nは18である。
【0115】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、式中、nは16である。
【0116】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、式中、nは16である。
【0117】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-CH-O-(CH-O-(CH-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、式中、nは18である。
【0118】
本発明の別の実施形態では、X1はAibであり、X2は(L)-ノルバリンであり、X3はLysであり、式中、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
【化41】
式中、Wは-C(O)-C(CH-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH-COOHであり、nは18である。
【0119】
本発明の別の実施形態では、C末端アミノ酸は、C末端第一級アミドとしてアミド化される。
【0120】
別の態様では、本発明は、以下からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
i.) Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile L-ノルバリン Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH(配列番号04)
ii.) Tyr L-ノルバリン Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Aib Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH(配列番号05)
iii.) Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Leu Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH(配列番号06)
iv.) Tyr L-ノルバリン Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile L-ノルバリン Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH(配列番号07)
v.) Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile L-ノルバリン Leu Glu Lys Ile Ala Ala Gln Glu Phe Val Asn Trp Leu Leu Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser Lys-NH(配列番号08)
vi.) Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile L-ノルバリン Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser Arg(配列番号09)
vii.) Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile L-ホモアラニン Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH(配列番号10)
viii.) Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile L-ノルロイシン Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH(配列番号11)
ix.) Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Ile Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH(配列番号12)
【0121】
別の態様では、本発明は、表1に開示された代表的化合物から選択されるポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0122】
本発明の実施形態では、以下の部分中の基U、W、YおよびZ、
【化42】
または以下部分中の基U’、W’、Y’、およびZ’は、
【化43】
本明細書に定義される意味を有し、アミノ酸の単一文字コードであると解釈されたり、または混合されたりするべきではない。
【0123】
本発明の実施形態では、基{-U-W-Y-Zおよび/または{-U’-W’-Y’-Z’は、表2に開示される部分A、B、C、およびDの代表的な構造から選択される。
【0124】
本明細書で言及のポリペプチド配列は、IUPACにより承認されたアミノ酸の単一文字コードによって表される。
【0125】
特に明記しない限り、本明細書は、配列中のアミノ酸のLおよびD異性体の両方を網羅することを意図する。しかしながら、好ましい実施形態では、別段の示唆がない限り、すべてのアミノ酸は「L」型である。
【0126】
表1および2は、本発明の代表的な化合物の一部を提供する。
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
【0129】
別の態様では、本発明は、それを必要とする患者に、本発明のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩の有効量を投与することを含む、患者の高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、アルコール依存症および胃潰瘍を治療または予防する方法を提供する。
【0130】
別の態様では、本発明は、かかる治療を必要とする患者に、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の有効量を投与することを含む、患者の2型糖尿病の治療方法を提供する。
【0131】
別の態様では、本発明は、かかる治療を必要とする患者に、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の有効量を投与することを含む、患者の肥満の治療方法を提供する。
【0132】
別の態様では、本発明は、かかる治療を必要とする患者に、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の有効量を投与することを含む、患者の高脂血症の治療方法を提供する。
【0133】
一実施形態では、本発明は、一つ以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤を含む、本発明のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を提供する。
【0134】
本発明の化合物は、非経口経路(例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、または経皮)によって投与される医薬組成物として製剤化されることが好ましい。かかる医薬組成物およびそれを調製するためのプロセスは、当技術分野で周知である。(例えば、Remington:The Science and 50 Practice of Pharmacy(D.B.Troy,Editor,21st Edition,Lippincott,Williams&Wilkins,2006を参照)。
【0135】
別の態様では、本発明のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩は、薬剤として使用する。
【0136】
別の態様では、患者の疾患の治療または予防に使用する本発明のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩において、疾患は、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、アルコール依存症および胃潰瘍からなる群から任意選択的に選択される。
【0137】
別の態様では、本発明のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩は、一つ以上の追加の治療薬の有効量と組み合わせて、同時、別々に、または連続的に提供され得る。
【0138】
別の態様では、本発明による医薬組成物は、薬剤として使用する本発明のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0139】
別の態様では、本発明による医薬組成物は、患者の疾患の治療または予防に使用する本発明のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含み、前述の疾患は、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、アルコール依存症および胃潰瘍からなる群から任意選択的に選択される。
【0140】
別の態様では、本発明による医薬組成物は、一つ以上の追加の治療薬の有効量と組み合わせて、同時、別々に、または連続的に提供される本発明のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0141】
本発明は、一つ以上の実施形態を伴い得る。以下の実施形態は、本発明の例証であり、請求項を例証された特定の実施形態に限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。また、本明細書に定義される実施形態は、独立して、または本明細書に定義される任意の定義、任意の他の実施形態と併せて使用され得ることも理解されるべきである。従って、本発明は、様々な独立して記載される実施形態の全ての可能な組み合わせおよび順列を企図する。
【0142】
本発明の他の特徴は、以下の実施例から明らかになるであろう。概して、本発明は、本明細書に開示される特徴(添付の特許請求の範囲および図面を含む)の任意の新規なもの、または任意の新規な組み合わせに及ぶ。したがって、本発明の特定の態様、実施形態、または実施例と併せて記載される特徴、整数、特徴、化合物、または化学的部分は、矛盾しない限り、本明細書に記載される任意の他の態様、実施形態、または実施例に適用されると理解されるべきである。
【0143】
さらに、別段の記載がない限り、本明細書に開示される任意の特徴は、同じまたは類似の目的を果たす代替的な特徴によって置換され得る。
【実施例
【0144】
機器および分析方法:本発明の化合物の特徴付けおよび分析に使用された機器は、HPLC(Waters e2695 Alliance; Detector Waters (2489 UV/Visible))である。
【0145】
機器:HPLC:Waters e2695 Alliance;検出器:Acquity-QDa.
【0146】
本開示の最終化合物を、以下に概説するとおり、分取HPLC手順によって精製した。
【0147】
分取HPLC:WATERS 2555 Quaternary gradient module(最大総流量:300mL/分、最大圧力:3000psi)またはShimadzu LC-8A(最大総流量:150mL、最大圧力:30Mpa)、カラム:フェニル、10μ流量:75mL/分
【0148】
【表3】
【0149】
本開示の化合物の純度を、以下に概説されるRP-HPLC法の一つによって分析した。
【0150】
HPLC方法A:
カラム:Xbridge ペプチド BEH C18(4.6mm×250mm、3.5u)
溶離液:移動相A:緩衝液:アセトニトリル(900:100)
移動相B:緩衝液:アセトニトリル(300:700)
緩衝液:オルトリン酸でpHを3.0±0.1に調節した、水中のオルトリン酸二水素カリウム
流量:0.8mL/分
検出:210nmでのUV検出
カラム温度:65℃
試料トレー温度:5℃
実行時間:90分
【0151】
【表4】
【0152】
HPLC方法B:
カラム:XSelect CSH C18(4.6mm×150mm、2.5μ)
溶離液:移動相A:緩衝液:アセトニトリル(900:100)
移動相B:緩衝液:アセトニトリル(300:700)
緩衝液:オルトリン酸でpHを3.0±0.1に調節した、水中のオルトリン酸二水素カリウム
流量:0.8mL/分
検出:210nmでのUV検出
カラム温度:65℃
試料トレー温度:5℃
実行時間:90分
【0153】
【表5】
【0154】
HPLC方法C:
カラム:Xbridge ペプチド BEH C18(4.6mm×250mm、3.5u)
溶離液:移動相A:緩衝液:アセトニトリル(900:100)
移動相B:緩衝液:アセトニトリル(300:700)
緩衝液:オルトリン酸でpHを3.0±0.1に調節した、水中のオルトリン酸二水素カリウム
流量:1.0mL/分
検出:210nmでのUV検出
カラム温度:65℃
試料トレー温度:5℃
実行時間:60分
【0155】
【表6】
【0156】
HPLC方法D:
カラム:XSelect CSH C18(4.6mm×150mm、2.5μ)
溶離液:移動相A:緩衝液:アセトニトリル(900:100)
移動相B:緩衝液:アセトニトリル(300:700)
緩衝液:トリエチルアミンを加え、オルトリン酸でpHを2.5±0.1に調節した、水中のオルトリン酸二水素カリウム
流量:0.5mL/分
検出:214nmでのUV検出
カラム温度:60℃
試料トレー温度:10℃
実行時間:90分
【0157】
【表7】
【0158】
調製方法:
実施例1:2-[2-[2-[[2-[[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]-2-メチル-プロパノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸(部分A-ジ-tert-ブチルエステル)の調製
【化44】
部分A-ジ-tert-ブチルエステルを、2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用した固相合成を使用して調製した。2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸を、DIPEAの存在下で2-クロロトリチルクロリド樹脂に付着させて、2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。Fmoc保護基は、ピペリジンを使用したアミノ基の選択的な脱遮断によって除去され、続いて、DIPCおよびHOBtを使用してTHF中のFmoc-Aib-OHと結合させて、2-[2-[2-[(2-Fmoc-アミノ-2-メチル-プロパノイル)アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。Fmoc基を、ピペリジンを使用した選択的デブロッキングによって除去し、次に、遊離アミノ基を、HOBtおよびDIPCを使用してFmoc-Glu-OtBuと結合させて、2-[2-[2-[[2-[[(4S)-4-Fmoc-アミノ-5-tert-ブトキシ-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]-2-メチル-プロパノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。得られた化合物のFmoc基を、ピペリジンを使用して選択的にデブロックし、次いで、遊離アミノ基を、20-(tert-ブトキシ)-20-オキソイコサン酸と結合させて、2-[2-[2-[[2-[[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]-2-メチル-プロパノイル]-アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。次いで、この中間体を、トリフルオロエタノール:DCM(1:1)を使用して2-Cl-Trt-樹脂から切断して、2-[2-[2-[[2-[[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]-2-メチル-プロパノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸を得た。(部分A-ジ-tert-ブチルエステル) (LCMS=m/z:814.10(M+H))。
【0159】
実施例2:2-[2-[2-[[2-[[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]-2-メチル-プロパノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸の調製
【化45】
部分B-ジ-tert-ブチルエステル
部分B-ジ-tert-ブチルエステルを、2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用した固相合成を使用して調製した。2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸を、DIPEAの存在下で2-クロロトリチルクロリド樹脂に付着させて、2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。Fmoc保護基は、ピペリジンを使用したアミノ基の選択的な脱遮断によって除去され、続いて、DIPCおよびHOBtを使用してTHF中のFmoc-Aib-OHと結合させて、2-[2-[2-[(2-Fmoc-アミノ-2-メチル-プロパノイル)アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。Fmoc基を、ピペリジンを使用した選択的デブロッキングによって除去し、遊離アミノ基を、HOBtおよびDIPCを使用してFmoc-Glu-OtBuと結合させて、2-[2-[2-[[2-[[(4S)-4-Fmoc-アミノ-5-tert-ブトキシ-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]-2-メチル-プロパノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。得られた化合物のFmoc基を、ピペリジンを使用して選択的にデブロックし、次いで、遊離アミノ基を、オクタデカン二酸モノtertブチルエステルと結合させて、2-[2-[2-[[2-[[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]-2-メチル-プロパノイル]-アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。次いで、本中間体を、トリフルオロエタノール:DCM(1:1)を使用して2-Cl-Trt-樹脂から切断して、2-[2-[2-[[2-[[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]-2-メチル-プロパノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸を得た。(部分B-ジ-tert-ブチルエステル)(LCMS=m/z:786.39(M+H))。
【0160】
実施例3:2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸(部分C-ジ-tert-ブチルエステル)の調製
【化46】
部分C-ジ-tert-ブチルエステルを、2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用した固相合成を使用して調製した。2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸を、DIPEAの存在下で2-クロロトリチルクロリド樹脂に付着させて、2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。Fmoc保護基を、ピペリジンを使用したアミノ基の選択的デブロッキングによって除去し、続いて、DIPCおよびHOBtを使用してTHF中の2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸と結合させて、{(Fmoc-アミノ-エトキシ)-エトキシ}-アセチル-{(-アミノ-エトキシ)-エトキシ}-酢酸-2-Cl-Trt-Resinを得た。Fmoc基を、ピペリジンを使用した選択的デブロッキングによって除去し、遊離アミノ基を、HOBtおよびDIPCを使用してFmoc-Glu-OtBuと結合させて、Fmoc-Glu({(アミノ-エトキシ)-エトキシ}-アセチル-{(-アミノ-エトキシ)-エトキシ}-酢酸-2-Cl-Trt-樹脂)-OtBuを得た。得られた化合物のFmoc基を、ピペリジンを使用して選択的にデブロックし、次いで、遊離アミノ基を、オクタデカン二酸モノtertブチルエステルと結合させて、2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。次いで、トリフルオロエタノール:DCM(1:1)を使用して、中間体を2-Cl-Trt-樹脂から切断して、2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸(部分C-ジ-tert-ブチルエステル)(LCMS=m/z:846.10(M+H))を得た。
【0161】
実施例4:2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[5-tert-ブトキシ-4-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸の調製
(部分D-ジ-tert-ブチルエステル)
【化47】
部分D-ジ-tert-ブチルエステルを、以下に概略的に表されるように、2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用した固相合成を使用して調製した。2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸を、DIPEAの存在下で2-クロロトリチルクロリド樹脂に付着させて、2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。Fmoc保護基を、ピペリジンを使用したアミノ基の選択的デブロッキングによって除去し、続いて、DIPCおよびHOBtを使用し、THF中の2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸と結合させて、{(Fmoc-アミノ-エトキシ)-エトキシ}-アセチル-{(-アミノ-エトキシ)-エトキシ}-酢酸-2-Cl-Trt-Resinを得た。Fmoc基を、ピペリジンを使用した選択的デブロッキングによって除去し、遊離アミノ基を、HOBtおよびDIPCを使用してFmoc-Glu-OtBuと結合させて、Fmoc-Glu({(アミノ-エトキシ)-エトキシ}-アセチル-{(-アミノ-エトキシ)-エトキシ}-酢酸-2-Cl-Trt-樹脂)-OtBuを得た。得られた化合物のFmoc基を、ピペリジンを使用して選択的にデブロックし、遊離アミノ基を、その後、20-(tert-ブトキシ)-20-オキソイコサン酸と結合させて、
[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[5-tert-ブトキシ-4-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸]-2-Cl-Trt-樹脂を得た。次いで、トリフルオロエタノール:DCM(1:1)を使用して、中間体を2-Cl-Trt-樹脂から切断して、
2-[2-[2-[[2-[2-[2-[5-tert-ブトキシ-4-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸(部分D-ジ-tert-ブチルエステル)(LCMS=m/z:874.15(M+H))を得た。
【0162】
実施例5:化合物1の調製
親ペプチドを固相法により合成した。合成に使用した開始樹脂はFmoc-Rinkアミド樹脂であった。Rinkアミド樹脂のFmoc保護アミノ基の選択的な脱遮断を、ピペリジンを使用して行い、Rinkアミド樹脂を得て、次いでFmoc-Ser(tBu)-OHと結合させ、Fmoc-Ser(tBu)-Rinkアミド樹脂を得た。このカップリング反応を、カップリング試薬として、ジイソプロピルカルボジイミド、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(DIPC-HOBt)を使用して行った。これで、一サイクルが完了する。無水酢酸およびジイソプロピルエチルアミン/ピリジンを使用して、各アミノ酸結合において未結合アミノ基を終結/キャップさせた。Fmoc-Ser(tBu)-Rinkアミド樹脂のアミノ基の選択的な脱遮断を、ピペリジンを使用して行った。その後、HOBtおよびDIPCを使用してFmoc-Pro-OHとカップリングすることにより、Fmoc-Pro-Ser(tBu)-rinkアミド樹脂を得た。これで、第二サイクルが完了する。無水酢酸およびジイソプロピルエチルアミン/ピリジンを使用して、各アミノ酸結合において未結合アミノ基を終結させた。
【0163】
上記の三つの工程、すなわち、選択的キャッピング、樹脂に付着したアミノ酸のFmoc保護のデブロッキング、および配列中隣のアミノ酸残基のFmoc保護アミノ基との結合を、残りの37個のアミノ酸残基に対して繰り返した。選択的デブロッキング、すなわち、未結合のアミノ基のキャッピングを無水酢酸およびジイソプロピルエチルアミン/ピリジンを使用して行い、Fmoc群の脱保護をピペリジンを使用して行い、隣のFmoc保護アミノ酸との結合をHOBt/DIPCを使用して行った。Fmoc保護アミノ酸の側鎖は、直角に保護され、例えば、セリンのヒドロキシル基、チロシンまたはスレオニンは、tert-ブチル(-tBu)基で保護され、リジンのアミノ基は、それぞれtert-ブチルオキシカルボニル(-Boc)および(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘックス-1-イリデン)-3-メチルブチル(IVDde)基で保護され、アスパラギン酸またはグルタミン酸のカルボン酸基は-tBu基で保護され、およびグルタミンのアミド基はトリチル(-Trt)基で保護された。上述の三つの工程、すなわち、選択的なキャッピング、デブロッキング、およびその後の隣のFmoc保護アミノ酸との結合を行い、Fmoc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-[L-ノルバリン]-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-樹脂を得た。
【0164】
Fmoc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-[L-ノルバリン]-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-樹脂のピペリジンを使用したデブロッキングに続いて、Boc無水物を使用したペプチド樹脂のBoc保護により、Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-[L-ノルバリン]-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-樹脂を得た。ペプチド樹脂のIVDde基の脱保護を、ヒドラジン水和物を使用して行い、次いで、それを、ジイソプロピルカルボジイミド、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(DIPC-HOBt)をカップリング試薬として用いて、部分A-ジ-tert-ブチルエステルと結合させ、中間体化合物樹脂であるBoc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-[L-ノルバリン]-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(NH-部分A ジ-tert-ブチルエステル)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-樹脂を得、これを、エタン-1,2-ジチオールおよびトリイソプロピルシランと共にトリフルオロ酢酸を用いて切断および脱保護を行い、続いて分取HPLCを通した精製により、化合物1を得た。
【0165】
質量(LCMS):m/z=1192.7(MH 4+)、計算された質量=4766.77、HPLC純度:(方法B)98.60%、RT=33.8分
【0166】
実施例6:化合物2の合成:
化合物2を、実施例5に記載の類似プロセスに従って固相法によって調製したが、Fmoc-[L-ノルバリン]-OHを、Fmoc-Aib-OHの代わりに位置2で使用して、Fmoc-Aib-OHを、Fmoc-[L-ノルバリン]-OHの代わりに位置第13で使用して、Boc-Tyr(tBu)-[L-ノルバリン]-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Aib-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-樹脂を得た。
【0167】
次に、部分A-ジ-tertブチルエステルと結合させて、実施例5に従い、続いて切断、脱保護、およびHPLCを使用した分取精製により、化合物2を得た。
【0168】
質量(LCMS):m/z=1192.6(MH 4+)、計算された質量=4766.4、HPLC純度:(方法B)96.09%、RT=25.6分
実施例7:化合物3の合成:
化合物3を、実施例5に記載の類似プロセスに従って固相法によって調製したが、Fmoc-Leu-OHを、Fmoc-[L-ノルバリン]-OHの代わりに位置第13で使用して、Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Leu-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-樹脂を得た。
【0169】
次に、部分A-ジ-tertブチルエステルと結合させて、実施例5に従い、続いて切断、脱保護、およびHPLCを使用した分取精製により、化合物3を得た。
【0170】
質量(LCMS):m/z=1196.1(MH 4+)、計算された質量=4780.4、HPLC純度:(方法A)95.27%、RT=39.1分。
【0171】
実施例8:化合物4の合成:
化合物4を、実施例5に記載の類似プロセスに従って固相法によって調製したが、Fmoc-[L-ノルバリン]-OHを、Fmoc-Aib-OHの代わりに位置2で使用して、Boc-Tyr(tBu)-[L-ノルバリン]-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-[L-ノルバリン]-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-樹脂を得た。
【0172】
次に、部分A-ジ-tertブチルエステルと結合させて、実施例5に従い、続いて切断、脱保護、およびHPLCを使用した分取精製により、化合物4を得た。
【0173】
質量(LCMS):m/z=1196.32(MH 4+)、計算された質量=4781.25、HPLC純度:(方法A)94.21%、RT=29.8分。
【0174】
実施例9:化合物5の合成:
ペプチド樹脂のIVDde基の脱保護:Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-[L-ノルバリン]-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-樹脂(実施例5に従って調製された)を、ヒドラジン水和物を用いて実行し、ジイソプロピルカルボジイミド、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(DIPC-HOBt)をカップリング試薬として用いて、部分C-ジ-tert-ブチルエステルと結語させ、中間体化合物樹脂であるBoc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile- [L-ノルバリン]-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(NH-部分C ジ-tert-ブチルエステル)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-樹脂を得、これを、エタン-1,2-ジチオールおよびトリイソプロピルシランと共にトリフルオロ酢酸を用いて切断および脱保護を行い、続いて分取HPLCを通した精製により、化合物5を得た。
【0175】
質量(LCMS):m/z=1600.80(MH 3+)、計算された質量=4799.376、HPLC純度:(方法A)98.64%、RT=15.9分
【0176】
実施例10:化合物6の合成:
化合物6を、実施例9に記載の類似プロセスに従って固相法により調製し、部分D-ジ-tert-ブチルエステルとの結合を行い、続いて切断、脱保護、および実施例9に従った使用した分取HPLC精製により、化合物6を得た。
【0177】
質量(LCMS):m/z=1609.98(MH 3+)、計算された質量=4826.916、
HPLC純度(方法A):96.31%、RT=26.7分
【0178】
実施例11:化合物7の合成:
化合物7を、実施例9に記載の類似プロセスに従って固相法により調製し、部分B-ジ-tert-ブチルエステルとの結合を行い、続いて切断、脱保護、および実施例9に従った使用した分取HPLC精製により、化合物7を得た。
【0179】
質量(LCMS):m/z=1580.64(MH 3+)、計算された質量=4738.896、
HPLC純度(方法A):98.43%、RT=18.5分
実施例12:化合物8の合成:
親ペプチドを固相法により合成した。合成に使用した開始樹脂はFmoc-Rinkアミド樹脂であった。ピペリジンを使用してrinkアミド樹脂のFmoc保護アミノ基を選択的にデブロッキングし、続いてFmoc-Lys(IVDde)-OHとRinkアミド樹脂を結合させた。結合は、DIPC-HOBtを使用して、Fmoc-Lys(IVDde)-Rinkアミド樹脂を得ることにより行われ、これにより一サイクルが完了した。無水酢酸およびジイソプロピルエチルアミン/ピリジンを使用して、各アミノ酸結合の最後において未結合アミノ基を終結/キャップした。ピペリジンを使用したFmoc-Lys(IVDde)-Rinkアミド樹脂のアミノ基のFmocの選択的デブロッキング、その後のHOBtおよびDIPCを使用した第二のアミノ酸との結合により、Fmoc-Ser(tBu)-Lys(IVDde)-rinkアミド樹脂を得た。これで、第二サイクルが完了する。先に述べた通り、無水酢酸およびジイソプロピルエチルアミン/ピリジンを使用して、各アミノ酸結合の後、未結合アミノ基[キャッピング] を終結させた。
【0180】
上記の三つの工程、すなわち、樹脂に付着したアミノ酸のFmoc保護のデブロッキング、配列中隣のアミノ酸残基のFmoc保護アミノ基との結合、および選択的キャッピングを、残りの38個のアミノ酸残基に対して繰り返した。使用されたFmoc保護アミノ酸の側鎖を、直角に保護し、例えば、セリンのヒドロキシル基、チロシンまたはスレオニンを、tert-ブチル(-tBu)基で保護し、リジンのアミノ基を、それぞれ、tert-ブチルオキシカルボニル(-Boc)および(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘックス-1-イリデン)-3-メチルブチル(IVDde)基で保護し、アスパラギン酸またはグルタミン酸のカルボン酸基をtBu基で保護し、グルタミンおよびアスパラギンのアミド基はトリチル(-Trt)基で保護した。上述の三つの工程、すなわち、選択的なキャッピング、デブロッキング、およびその後の隣のFmoc保護アミノ酸との結合を行い、Fmoc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-L-ノルバリン-Leu-Glu(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Ala-Gln(Trt)-Glu(OtBu)-Phe-Val-Asn(Trt)-Trp-Leu-Leu-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Lys(IVDde)-Rink アミド樹脂を得た。
【0181】
Fmoc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-L-ノルバリン-Leu-Glu(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Ala-Gln(Trt)-Glu(OtBu)-Phe-Val-Asn(Trt)-Trp-Leu-Leu-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Lys(IVDde)-Rink アミド樹脂からのFmoc基の脱遮断は、ピペリジンを使用することに続いて、Boc無水物を使用したペプチド樹脂のBoc保護により、Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-L-ノルバリン-Leu-Glu(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Ala-Gln(Trt)-Glu(OtBu)-Phe-Val-Asn(Trt)-Trp-Leu-Leu-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Lys(IVDde)-Rink アミド樹脂を得た。
【0182】
ヒドラジン水和物を使用したペプチド樹脂のIVDde基の脱保護に続いて、部分A-ジ-tertブチルエステルの結合を、ジイソプロピルカルボジイミド、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(DIPC-HOBt)をカップリング試薬として使用して行い、化合物8樹脂を得た。
【0183】
Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-L-ノルバリン-Leu-Glu(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Ala-Gln(Trt)-Glu(OtBu)-Phe-Val-Asn(Trt)-Trp-Leu-Leu-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Lys(NH部分A-ジ-tertブチルエステル)-Rinkアミド樹脂の、エタン-1,2-ジチオールおよびトリイソプロピルシランを伴うトリフルオロ酢酸を使用した切断および脱保護と、それに続く分取HPLCによる精製により、化合物8を得た。化合物8のHPLC純度を、以下に記載の方法により評価質量(LCMS):m/z=980.42(MH55+)、計算された質量=4897.06 HPLC純度(方法D):94.55%、RT=44.9分
【0184】
実施例13:化合物9の合成:
親ペプチドを固相法により合成した。合成に使用した開始樹脂はWang樹脂であった。Fmoc保護Arg(Pbf)をWang樹脂との結合に使用した。結合を、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下で、ジイソプロピルカルボジイミド、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(DIC-HOBt)を結合試薬として使用して実施し、Fmoc-Arg(Pbf)-Wang樹脂を得た。ピペリジンを使用したFmoc-Arg(Pbf)-Wang樹脂のアミノ基の選択的デブロッキング、その後のHOBt/DIPCを使用したFmoc-Ser(tBu)-OHとの結合により、Fmoc-Ser(tBu)-Arg(Pbf)-Wang樹脂を得た。これで、一サイクルが完了する。無水酢酸およびジイソプロピルエチルアミン/ピリジンを使用して、各アミノ酸結合において未結合アミノ基を終結させた。
【0185】
上記二つの工程、すなわち、樹脂に付着したアミノ酸のFmoc保護の選択的デブロッキング、配列中の隣のアミノ酸残基のFmoc保護アミノ基との結合を、残りの38アミノ酸残基について反復し、Fmoc保護アミノ酸の側鎖を、直角に保護し、例えば、セリンのヒドロキシル基、チロシンまたはトレオニンを、tert-ブチル(-tBu)基で保護し、リジンのアミノ基を、tert-ブチルオキシカルボニル(-Boc)および(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘックス-1-イリデン)-3-メチルブチル(IVDde)基で、それぞれ保護し、およびアスパラギン酸またはグルタミン酸のカルボン酸基をそれぞれ、-tBu基で保護した。上述の三つの工程、すなわち、選択的なキャッピング、デブロッキング、およびその後の隣のFmoc保護アミノ酸との結合を行い、Fmoc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-L-ノルバリン-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Arg(Pbf)-Wang 樹脂を得た。
【0186】
Fmoc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-L-ノルバリン-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Arg(Pbf)-Wang樹脂のピペリジンを使用したデブロッキングに続いて、Boc無水物を使用したペプチド樹脂のBoc保護により、Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-L-ノルバリン-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Arg(Pbf)-Wang樹脂を得た。ヒドラジン水和物を使用したペプチド樹脂のIVDde基の脱保護に続いて、部分A-ジ-tertブチルエステルの結合を、ジイソプロピルカルボジイミド、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(DIPC-HOBt)をカップリング試薬として使用して行い、化合物9-Wang樹脂を得た。
【0187】
Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-L-ノルバリン-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)- Lys(NH 部分 A-ジ-tert ブチルエステル)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Arg(Pbf)-Wang 樹脂。
【0188】
エタン-1,2-ジチオールおよびトリイソプロピルシランを使用するトリフルオロ酢酸を使用した、樹脂からの切断および脱保護、続く分取HPLCによる精製は、化合物9をもたらした。質量(LCMS):m/z=985.88(MH55+)、計算された質量=4924.36、HPLC純度:(方法C)93.52%、RT=27.8分
【0189】
実施例14:化合物10の合成:
化合物10を、実施例5に記載の類似プロセスに従って固相法によって調製したが、Fmoc-[2-アミノ酪酸]を、Fmoc-[L-ノルバリン]-OHの代わりに位置第13で使用して、Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-2-アミノ 酪酸-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-樹脂を得た。
【0190】
次に、部分A-ジ-tertブチルエステルと結合させて、実施例5に従い、続いて切断、脱保護、およびHPLCを使用した分取精製により、化合物10を得た。
【0191】
質量(LCMS):m/z=1189.57(MH44+)、計算された質量=4754.248、HPLC純度:(方法D)96.79%、RT=42.6分
【0192】
実施例15:化合物11の合成:
化合物11を、実施例5に記載の類似プロセスに従って固相法によって調製したが、Fmoc-ノルロイシンを、Fmoc-[L-ノルバリン]-OHの代わりに位置第13で使用して、Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-ノルロイシン-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-樹脂を得た。
【0193】
次に、部分A-ジ-tert-ブチルエステルと結合させて、実施例5に従い、続いて切断、脱保護、および分取HPLC精製により、化合物11を得た。
【0194】
質量(LCMS):m/z=1196.66(MH44+)、計算された質量=4782.608、HPLC純度:(方法D)95.43%、RT=58.7分
【0195】
実施例16:化合物12の合成:
化合物12を、実施例5に記載の類似プロセスに従って固相法によって調製したが、Fmoc-Ile-OHを、Fmoc-[L-ノルバリン]-OHの代わりに位置第13で使用して、Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Ile-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-樹脂を得た。
【0196】
次に、部分A-ジ-tert-ブチルエステルと結合させて、実施例5に従い、続いて切断、脱保護、および分取HPLC精製により、化合物12を得た。
【0197】
質量(LCMS):m/z=1196.32(MH44+)、計算された質量=4781.25、HPLC純度:(方法D)94.38%、RT=47.7分。
【0198】
生物学的研究
実施例12:10nM/kg用量でのdb/dbマウスにおける有効性試験
本発明の化合物の血糖値、食物摂取、体重に対する効果をマウスで研究した。この研究は、2型糖尿病マウス(db/db)モデルで実施した。動物を、4つの治療群(n=6)、糖尿病対照群、化合物1(10nM/kg)、化合物2(10nM/kg)、およびチルゼパチド(10nM/kg)に分けた。ベースライン血糖値を全動物から測定した。すべての動物に、その試験化合物を皮下投与した。血糖値を、処置後4時間、8時間、12時間、24時間、48時間、72時間、および96時間で測定した。デルタ血糖値(mM)を計算した。結果を表3に提供する。同様に、体重変化および累積食物消費量を、処置後48時間および96時間で測定した。体重変化の結果を表4に示し、累積食物消費量を表5に示す。同様に、10nM/kg用量でのdb/dbマウスにおける化合物3、4、5、6および7の有効性は、別個の試験で実施された。動物を、7つの治療群(n=6)、糖尿病対照群、化合物1、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6、および化合物7に分けた。ベースライン血糖値を全動物から測定した。すべての動物に、その試験化合物を皮下投与した。血糖値を、処置後4時間、8時間、12時間、24時間、48時間、72時間、および96時間で測定した。デルタ血糖値(mM)を計算した。結果はまた、表3にも提供する。同様に、体重変化および累積食物消費量を、処置後48時間および96時間で測定した。体重変化の結果も表4に提供され、累積食物消費量も表5に提供される。同様に、10nM/kg用量でのdb/dbマウスにおける化合物8および9の有効性は、別個の試験で実施された。動物を、3つの治療群(n=5)、糖尿病対照群、化合物8、および化合物9に分けた。ベースライン血糖値を全動物から測定した。すべての動物に、その試験化合物を皮下投与した。血糖値を、処置後4時間、8時間、12時間、24時間、48時間、72時間、および96時間で測定した。デルタ血糖値(mM)を計算した。結果を表3に提供する。同様に、体重変化および累積食物消費量を、処置後48時間および96時間で測定した。体重変化の結果を表4に示し、累積食物消費量を表5に示す。10nM/kg用量でのdb/dbマウスにおける化合物10、11および12に対する別の別個の有効性試験を実施した。動物を、4つの治療群(n=5)、糖尿病対照群、化合物10、化合物11および化合物12に分けた。ベースライン血糖値を全動物から測定した。すべての動物に、その試験化合物を皮下投与した。血糖値を、処置後4時間、8時間、12時間、24時間、48時間、72時間、および96時間で測定した。デルタ血糖値(mM)を計算した。結果を表3に提供する。同様に、体重変化および累積食物消費量を、処置後48時間および96時間で測定した。体重変化の結果を表4に示し、累積食物消費量を表5に示す。
【0199】
【表8】
【0200】
【表9】
【0201】
【表10】
【0202】
結果は、化合物1および化合物2が、治療後96時間まで統計的に有意な血糖減少を示したことを示す。化合物の血糖減少に対する効果は、同濃度で試験した場合、チルゼパチドよりも優れていた。
【0203】
化合物1および化合物2はまた、チルゼパチドに匹敵する統計的に有意な体重減少を示した。化合物1は、チルゼパチドに匹敵する有意な食物消費量の減少を示した。糖尿病対照と比較して、化合物2の食物消費量の有意な減少は観察されなかった。
【0204】
同様に、結果は、本発明の化合物3、4、5、6および7が、治療後96時間まで統計的に有意な血糖減少を示したことを示す。また、これらの化合物について、糖尿病対照と比較して、食物摂取量および体重の統計的に有意な減少も観察された。
【0205】
実施例13:3および20nM/kg用量でのdb/dbマウスにおける有効性試験
本発明の化合物の血糖値、食物摂取、体重に対する効果をマウスで研究した。この研究は、2型糖尿病マウス(db/db)モデルで実施した。動物を、5つの治療群(群当たりn=8)、すなわち糖尿病対照群、化合物1(3nM/kgおよび20nM/kg)、およびチルゼパチド(3nM/kgおよび20nM/kg)に分けた。ベースライン血糖値を全動物から測定した。すべての動物に、その試験化合物を皮下投与した。血糖値を、処置後4時間、24時間、48時間、72時間で測定した。デルタ血糖値(mM)を計算した。体重変化および累積食物消費量を、処置後72時間で測定した。デルタ血糖の結果を、表6に提供する。同様に、体重変化の結果を表7に示し、食物消費量を表8に提示する。
【0206】
【表11】
【0207】
【表12】
【0208】
【表13】
【0209】
結果は、3nM/kgおよび20nM/kgの化合物1が、72時間までグルコース低下効果の用量依存的な改善を示したことを示す。効果は、同様の用量でのチルゼパチドよりも優れていた。
【0210】
3および20nM/kg用量での食物摂取量および体重に対する化合物1の効果は有意であり、用量依存性であり、またチルゼパチドと同等であった。
【0211】
上記の結果は、本発明の化合物がGLP-1およびGIP受容体の強力な阻害剤であり、2型糖尿病、肥満を伴う糖尿病、肥満および高脂血症の治療に有効であり得ることを示す。
【0212】
実施例16:細胞cAMPアッセイ
インビトロ効力測定を、cAMPアッセイを使用して実施した。リガンド結合に続くGタンパク質共役受容体(GPCR)の活性化は、細胞応答をもたらす一連の第二のメッセンジャーカスケードを開始する。GLP-1RおよびGIP-Rによるシグナル伝達は、アデニル酸シクラーゼおよびcAMP産生の活性化を伴う。cAMP Hunter(商標)eXpress GPCRアッセイ(Eurofins DiscoveRx)を使用して、細胞cAMP産生を決定した。
【0213】
チルゼパチド、化合物1、化合物3、化合物6、化合物10、および化合物11の細胞cAMPアッセイを実施し、GLP-1R発現細胞およびGIPR発現細胞上の半有効濃度を以下の表9に記載した。
【0214】
【表14】
【配列表】
2023545662000001.app
【国際調査報告】