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特表2023-545677FXR小分子アゴニストとその調製方法および用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】FXR小分子アゴニストとその調製方法および用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 451/06 20060101AFI20231024BHJP
   A61K 31/46 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231024BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20231024BHJP
【FI】
C07D451/06 CSP
A61K31/46
A61P3/06
A61P3/10
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519904
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-04-18
(86)【国際出願番号】 CN2021121313
(87)【国際公開番号】W WO2022068815
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】202011061216.0
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511076044
【氏名又は名称】中国科学院上海薬物研究所
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI INSTITUTE OF MATERIA MEDICA, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】555 Zu Chong Zhi Road Zhang Jiang Pudong Shanghai 201203 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】徐▲華▼▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】李佳
(72)【発明者】
【氏名】施晶晶
(72)【発明者】
【氏名】臧奕
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼丹丹
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼明▲亮▼
(72)【発明者】
【氏名】▲謝▼▲栄▼▲栄▼
(72)【発明者】
【氏名】尤二利
(72)【発明者】
【氏名】高立信
(72)【発明者】
【氏名】▲譚▼▲倩▼
【テーマコード(参考)】
4C086
4H039
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZC33
4C086ZC35
4C086ZC41
4H039CA41
4H039CA42
4H039CD20
(57)【要約】
強力なFXR小分子アゴニストおよびその調製方法と用途であって、構造は、式Iに示されたとおりである。式において、各置換基の定義は、明細書および特許請求の範囲に記載されたとおりである。本発明の化合物は、FXRアゴニスト活性が高く、合成が簡単であり、原料が容易に入手できる等の利点を有し、FXR関連疾患を治療するための薬物の調製に使用されることができる。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iで示される化合物またはその互変異性体、溶媒和物、プロドラッグまたはその薬学的に許容される塩であって、
【化1】

ここで、R11、R12、R13、R14、R15は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ハロゲン化C1-6アルキル基、ハロゲン化C-Cアルコキシ基、C-Cアルキル基、C1-6アルコキシ基、C-Cシクロアルキル基、C-Cシクロアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基であり、
は、C-C12アリール基、C-Cアルキル基またはC-Cシクロアルキル基であり、
Aは、フェニル基、ピリジル基、チエニル基、フリル基、インダゾリル基、インドリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基の置換または非置換の基であり、前記置換とは、ハロゲン、C-Cアルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基、ハロゲン化C-Cアルコキシ基、C-Cシクロアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cシクロアルコキシ基からなる群から選択される一つ、二つ、または三つの置換基を有することを指すことを特徴とする、前記化合物。
【請求項2】
11、R12、R13、R14、R15は、それぞれ独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基であることを特徴とする
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
は、フェニル基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基またはシクロペンチル基であることを特徴とする
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Aは、フェニル基、ピリジル基、チエニル基、フリル基、インダゾリル基、インドリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基の置換または非置換の基であり、前記置換とは、フッ素、塩素、臭素、C-Cアルキル基、C-Cシクロアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cシクロアルコキシ基からなる群から選択される一つまたは二つの置換基を有することを指すことを特徴とする
請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Aは、フェニル基、
【化2】

であることを特徴とする
請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物は、
【化3】

であることを特徴とする
請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物の調製方法であって、
前記調製方法は、次のような段階を含み、
【化4】

(a’)一般式VIIで示される化合物と塩酸ヒドロキシルアミンとを反応させて、一般式VIIIで示される化合物を生成し、
(b’)ホスゲン、トリホスゲン、カルボニルジイミダゾールまたは炭酸ジメチルの作用下で、一般式VIIIで示される化合物を反応させて、一般式Iで示される化合物を生成し、
ここで、R、A、R11、R12、R13、R14、R15の定義は、請求項1に記載されたとおりであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物の調製方法。
【請求項8】
一般式VIIで示される化合物は、次のような段階によって調製され、
【化5】

a)置換ベンズアルデヒドの一般式IIで示される化合物を出発物質として使用し、塩酸ヒドロキシルアミンと反応させて中間体を得た後、N-クロロスクシンイミド(NCS)で塩素化して、一般式IIIで示される化合物を生成し、
b)次いで一般式IIIで示される化合物を3-オキソプロピオネートと反応させて、一般式IVで示される化合物を得、
c)一般式IVで示される化合物中のエステルを還元してアルコールを生成し、臭素化してVで示される化合物を生成し、
d)一般式Vで示される化合物とエンド-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-オールとを反応させて、一般式VIで示される化合物を生成し、
e)銅またはパラジウムの触媒下で、一般式VIで示される化合物とBr-A-CNとをカップリングさせて、一般式VIIで示される化合物を得、
各式において、R、A、R11、R12、R13、R14、R15の定義は、請求項1に記載されたとおりであり、
または、一般式VIIで示される化合物は、次のような段階によって調製され、
【化6】

f)エンド-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-オールとF-A-CNとを反応させて、一般式IXで示される化合物を生成し、
g)一般式Vで示される化合物と一般式IXで示される化合物とを反応させて、一般式VIIで示される化合物を生成し、
各式において、R、A、R11、R12、R13、R14、R15の定義は、請求項1に記載されたとおりであることを特徴とする
請求項7に記載の化合物の調製方法。
【請求項9】
医薬組成物であって、
請求項1に記載の一般式Iで示される化合物、またはその互変異性体、溶媒和物、プロドラッグまたはその薬学的に許容される塩と、および
薬学的に許容される担体とを含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の一般式Iで示される化合物、またはその互変異性体、溶媒和物、プロドラッグまたはその薬学的に許容される塩の用途であって、
(a)FXRアゴニストとして使用されるか、または
(b)FXR関連疾患を治療するための薬物の調製に使用されることを特徴とする、用途。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、医薬の分野に関し、FXRアゴニストとしての化合物並びにその調製および用途に関する。具体的には、FXRアゴニストとして使用できる非ステロイド性化合物とそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩、その調製方法およびFXR関連疾患を治療するための薬物の調製中の応用に関する。
【0002】
[背景技術]
核内受容体は、生物の体内に広く存在し、特異的リガンド活性化に依存する核内転写調節因子であり、代謝性核内受容体は、体内で物質代謝、細胞増殖、アポトーシス等を調節する核内受容体の一種である。ファルネソイドX受容体(farnesoid X receptor、FXR)は、核内受容体スーパーファミリーのメンバーであり、1995年にFoman等によって最初に発見され、その転写活性がファルネシルエステルによって増強されることができることから名づけられた。
【0003】
FXR構造は、典型的な核内受容体構造である、アミノ末端リガンド非依存性転写活性化ドメイン(AF1)、DNA結合ドメイン(DBD)、ヒンジ領域、リガンド結合ドメイン(LBD)および炭素末端リガンド依存性転写活性化ドメイン(AF2)を含む。FXRは、体内の胆汁酸によって活性化され、生体内の胆汁酸代謝、脂質代謝、糖代謝等のプロセスに関与する。FXRは、主に胆汁酸合成の律速酵素であるコレステロール7αヒドロキシラーゼ(cholesterol 7α-hydroxylase、CYP7A1)の転写を調節することにより、胆汁酸代謝および輸送メカニズムの調節を完成し、FXRは、CYP7A1プロモーターに直接作用することはできないが、小さなヘテロダイマーパートナー(small heterodimer partner、SHP)の発現を誘導し、かつHNF-4α(肝細胞核因子(hepatocyte nuclear factor)4α)およびLRH-1(肝受容体ホモログ(liver receptor homolog))と結合してCYP7A1の転写をダウンレギュレートすることができる。脂質代謝プロセスにおいて、肝臓のFXRは、PPARα、VLDL受容体(超低密度リポタンパク質受容体(very low density lipoprotein receptor)、VLDLR)、プロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9(proprotein convertase subtilisin kexin type 9、PCSK9)、肝臓スカベンジャー受容体グループBタイプ1(scavenger receptor group B type 1、SRB1)、リン酸脂質転移タンパク質(phosphor lipid transfer protein、PLTP)、肝臓X受容体(liver X receptor、LXR)、ステロール調節エレメント結合タンパク質-1C(sterol regulatory element-binding protein-1C、SREBP-1C)および脂肪酸シンテターゼ(fatty acid synthetase、FAS)を直接的または間接的に調節し、リポタンパク質リパーゼ(lipoprotein lipase、LPL)等を活性化することにより、脂質代謝と輸送を調節して血漿遊離脂肪酸およびトリグリセリドを低下させることができる。糖代謝プロセスにおいて、FXRの活性化は、肝臓のグリコーゲン合成を促進し、インスリン感受性およびインスリン分泌を増加させて、体内の血糖値を制御することができる。FXRは、胆汁酸代謝、脂質代謝および糖代謝等のプロセスで重要な役割を果たすため、FXRリガンド小分子化合物は、高トリグリセリド血症、2型糖尿病、メタボリックシンドロームおよびNAFLD等の代謝関連疾患を治療する新しい治療薬として期待される。
【0004】
[発明の概要]
本発明の目的は、FXR小分子アゴニスト並びにその調製方法および用途を提供することである。
【0005】
本発明の第1の態様は、一般式Iで示される化合物、またはその互変異性体、溶媒和物、プロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を提供し、
【0006】
【化1】
【0007】
ここで、R11、R12、R13、R14、R15は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ハロゲン化C1-6アルキル基、ハロゲン化C-Cアルコキシ基、C-Cアルキル基、C1-6アルコキシ基、C-Cシクロアルキル基、C-Cシクロアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基であり、
は、C-C12アリール基、C-Cアルキル基またはC-Cシクロアルキル基であり、
Aは、フェニル基、ピリジル基、チエニル基、フリル基、インダゾリル基、インドリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基の置換または非置換の基であり、前記置換とは、ハロゲン、C-Cアルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基、ハロゲン化C-Cアルコキシ基、C-Cシクロアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cシクロアルコキシ基からなる群から選択される一つ、二つ、または三つの置換基を有することを指す。
【0008】
別の好ましい例において、R11、R12、R13、R14、R15は、それぞれ独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基である。
【0009】
別の好ましい例において、R12、R13、R14は、水素である。
別の好ましい例において、R11、R15は、それぞれ独立して、水素、塩素、臭素、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基である。
【0010】
別の好ましい例において、Rは、フェニル基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基またはシクロペンチル基である。
【0011】
別の好ましい例において、Aは、フェニル基、ピリジル基の置換または非置換の基であり、前記置換とは、フッ素、塩素、臭素、C-Cアルキル基、C-Cシクロアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cシクロアルコキシ基からなる群から選択される一つまたは二つの置換基を有することを指す。
【0012】
別の好ましい例において、Aは、フェニル基、ピリジル基の置換または非置換の基であり、好ましくは、Aは、フェニル基、ピリジル基、インドリル基の置換または非置換の基であり、前記置換とは、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基からなる群から選択される一つまたは二つの置換基を有することを指す。
【0013】
本発明において、二つまたはそれ以上の置換基を有する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
【0014】
別の好ましい例において、Aは、フェニル基、
【0015】
【化2】

である。
【0016】
別の好ましい例において、本発明の薬学的に許容される塩とは、リン酸、硫酸、塩酸等の無機酸、もしくは酢酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸、もしくはアスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸とで形成される塩、またはナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム塩およびアンモニウム塩のような無機塩基とで形成される塩を指す。
【0017】
別の好ましい例において、前記化合物は、
【0018】
【化3】

である。
【0019】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の化合物の調製方法を提供し、次のような段階を含み、
【0020】
【化4】
【0021】
(a’)一般式VIIで示される化合物と塩酸ヒドロキシルアミンとを反応させて、一般式VIIIで示される化合物を生成し、
(b’)ホスゲン、トリホスゲン、カルボニルジイミダゾールまたはチオカルボニルジイミダゾールの作用下で、一般式VIIIで示される化合物を反応させて、一般式Iで示される化合物を生成し、
ここで、R、A、R11、R12、R13、R14、R15の定義は、上記に記載されたとおりである。
【0022】
別の好ましい例において、一般式VIIで示される化合物は、次のような段階によって調製され、
【0023】
【化5】
【0024】
a)置換ベンズアルデヒドの一般式IIで示される化合物を出発物質として使用し、塩酸ヒドロキシルアミンと反応させて中間体を得た後、N-クロロスクシンイミド(NCS)で塩素化して、一般式IIIで示される化合物を生成し、
b)次いで一般式IIIで示される化合物を3-オキソプロピオネートと反応させて、一般式IVで示される化合物を得、
c)一般式IVで示される化合物中のエステルを還元してアルコールを生成し、臭素化してVで示される化合物を生成し、
d)一般式Vで示される化合物とエンド-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-オールとを反応させて、一般式VIで示される化合物を生成し、
e)銅またはパラジウムの触媒下で、一般式VIで示される化合物とBr-A-CNとをカップリングして、一般式VIIで示される化合物を得、
各式において、R、A、R11、R12、R13、R14、R15の定義は、上記に記載されたとおりである。
【0025】
別の好ましい例において、一般式VIIで示される化合物は、次のような段階によって調製され、
【0026】
【化6】
【0027】
f)エンド-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-オールとF-A-CNとを反応させて、一般式IXで示される化合物を生成し、
g)一般式Vで示される化合物と一般式IXで示される化合物とを反応させて、一般式VIIで示される化合物を生成し、
各式において、R、A、R11、R12、R13、R14、R15の定義は、上記に記載されたとおりである。
【0028】
本発明の第3の態様は、医薬組成物を提供し、
第1の態様に記載の一般式Iで示される化合物、またはその互変異性体、溶媒和物、プロドラッグまたはその薬学的に許容される塩と、および
薬学的に許容される担体とを含む。
【0029】
本発明によって提供される化合物は、単独で使用できるか、または薬学的に許容される補助剤(例えば、賦形剤、希釈剤等)と混合して、経口投与用の錠剤、カプセル剤、顆粒剤またはシロップ剤等に製剤化することができる。当該医薬組成物は、薬学における従来の方法に従って調製されることができる。
【0030】
本発明の第4の態様は、第1の態様に記載の一般式Iで示される化合物、またはその互変異性体、溶媒和物、プロドラッグまたはその薬学的に許容される塩の用途を提供し、
(a)FXRアゴニストとして使用されるか、または
(b)FXR関連疾患を治療するための薬物の調製に使用される。
【0031】
別の好ましい例において、前記FXR関連疾患は、胆汁酸代謝、糖代謝、脂質代謝、炎症、および/または肝線維症に関連する疾患である。
別の好ましい例において、前記FXR関連疾患は、非アルコール性脂肪性肝(NASH)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、胆石、非アルコール性肝硬変、肝線維症、胆汁うっ滞性肝疾患、高脂血症、高コレステロール血症または糖尿病である。
【0032】
本発明の範囲内で、本発明の上記の各技術的特徴と以下(例えば、実施例)に具体的に説明される各技術的特徴との間を、互いに組み合わせることにより、新しいまたは好ましい技術的解決策を構成することができることに理解されたい。明細書に開示される各特徴は、同じ、均等または同様の目的を提供する任意の代替性特徴によって置換されることができる。スペースに限りがあるため、ここでは繰り返さない。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の発明者らは、広範囲にわたる詳細な研究の後、FXRアゴニストとして使用できる非ステロイド性化合物を開発し、分子レベルおよび細胞レベルでFXRに対して作動能力を有し。本発明の化合物は、FXRアゴニスト活性が高く、合成が簡単であり、原料が入手しやすい等の利点を有し、FXR関連疾患を治療するための薬物の調製に使用されることができることを示す。これに基づいて、本発明を完了した。
【0034】
[用語]
本発明において、前記ハロゲンは、F、Cl、BrまたはIである。
本発明において、特に明記しない限り、使用される用語は、当業者に知られている一般的な意味を有する。
【0035】
本発明において、「C-C」という用語は、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有することを指し、「C-C」とは、1、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有することを指し、これによって他のものを類推する「3-10員」とは、3-10個の環原子を有することを指し、これによって他のものを類推する。
【0036】
本発明において、「アルキル基」という用語は、飽和した線状または分岐鎖炭化水素部分を指し、例えば、「C-Cアルキル基」という用語は、1~6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基を指し、非限定的には、メチル基、エチル基、プロピル基(propyl group)、イソプロピル基、ブチル基(butyl group)、イソブチル基、sec-ブチル基(sec-butyl group)、tert-ブチル基(tert-butyl group)、ペンチル基(pentyl group)およびヘキシル基(hexyl group)等を含み、好ましくは、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基およびtert-ブチル基を含む。
【0037】
本発明において、「アルコキシ基」という用語は、-O-(C-Cアルキル基)基を指す。例えば、「C-Cアルコキシ基」という用語は、1~6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルコキシ基を指し、非限定的には、メトキシ基(methoxy group)、エトキシ基(ethoxy group)、プロポキシ基(propoxy group)、イソプロポキシ基(isopropoxy group)およびブトキシ基(butoxy group)等を含む。
【0038】
本発明において、「シクロアルキル基」という用語は、飽和環状炭化水素基部分を表し、例えば、「C-C10シクロアルキル基」という用語は、環上に3~10個の炭素原子を有する環状アルキル基を指し、非限定的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基(cyclohexyl group)、シクロヘプチル基(cycloheptyl group)、シクロオクチル基(cyclooctyl group)およびシクロデシル基(cyclodecyl group)等を含む。「C-Cシクロアルキル基」、「C-Cシクロアルキル基」および「C-Cシクロアルキル基」という用語は、同様な意味を有する。
【0039】
本発明において、「シクロアルコキシ基」という用語は、シクロアルキル基-O-を表し、シクロアルキル基は、上記のとおりである。
本発明において、「4-7員窒素含有複素環基」という用語は、3-7個の環原子を有し、かつ1、2または3個のN原子を含むシクロアルキル環を指し、非限定的には、シクロアザペンタン環(cycloazapentane ring)、シクロアザヘキサン環(cycloazahexane ring)、シクロアザヘプタン環(cycloazaheptane ring)等を含む。
【0040】
本発明において、「アリール基」という用語は、一つまたは複数の芳香環を含む炭化水素基部分を表す。例えば、「C-C12アリール基」という用語は、フェニル基、ナフチル基(naphthyl)等の、環上にヘテロ原子を含まない、6~12個の炭素原子を有する芳香族環基を指す。「C6-C10アリール基」という用語は、同様な意味を有する。アリール基の例としては、フェニル基(Ph)、ナフチル基、ピレニル基(pyrenyl group)、アンスリル基(anthryl group)およびフェナントリル基(phenanthryl group)を含むが、これらに限定されない。
【0041】
本発明において、「ヘテロアリール基(heteroaryl group)」という用語は、少なくとも一つのヘテロ原子(例えば、N、OまたはS)を有する一つまたは複数の芳香環を含む部分を表し、例えば、「3-12員複素環基」という用語は、ジオキサンペンチル基等の環上の酸素、硫黄および窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含む飽和または不飽和の3-12員環基を指す。「3-7員複素環基」という用語は、同様な意味を有する。ヘテロアリール基の例としては、フリル基、フルオレニル基(fluorenyl group)、ピロリル基(pyrroly group)、チエニル基、オキサゾリル基(oxazolyl group)、イミダゾリル基(imidazolyl group)、チアゾリル基(thiazolyl group)、ピリジル基、ピリミジニル基(pyrimidinyl group)、キナゾリニル基(quinazolinyl group)、キノリル基(quinolinyl group)、イソキノリル基(isoquinolinyl group)およびインドリル基を含む。
【0042】
本発明において、「複素環基」という用語は、フリル基、ピロリル基、チエニル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、ピリミジニル基、テトラヒドロピリジル基(tetrahydropyridyl group)、ピロリニル基(pyrrolinyl group)、ジヒドロピリジル基(dihydropyridyl group)、ジヒドロフリル基(dihydrofuranyl group)、ジヒドロチエニル基(dihydrothienyl group)、ピラニル基(pyranyl group)等の少なくとも一つの環ヘテロ原子(例えば、N、OまたはS)を含む環状基を表す。
【0043】
特に明記しない限り、本明細書に記載のアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、複素環基およびアリール基は、置換および非置換の基である。アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、複素環基およびアリール基上の可能な置換基は、ヒドロキシル基(hydroxyl group)、アミノ基(amino group)、ニトロ基、ニトリル基(nitrile group)、ハロゲン、C-Cアルキル基、C-C10アルケニル基、C-C10アルキニル基、C-C20シクロアルキル基、C-C20シクロアルケニル基(cycloalkenyl group)、C-C20ヘテロシクロアルキル基(heterocycloalkyl group)、C-C20ヘテロシクロアルケニル基(heteroaryloxy group)、C-Cアルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールオキシ基、C-C10アルキルアミノ基(alkylamino group)、C-C20ジアルキルアミノ基(dialkylamino group)、アリールアミノ基(arylamino group)、ジアリールアミノ基(diarylamino group)、C-C10アルキルスルファモイル基(alkylsulfamoyl group)、アリールスルファモイル基、C-C10アルキルイミノ基(alkylimino group)、C-C10アルキルスルフィミノ基(alkylsulfoimino group)、アリールスルフィミノ基(arylsulfoimino group)、メルカプト基(mercapto group)、C-C10アルキルチオ基(alkylthiol group)、C-C10アルキルスルホニル基(alkylsulfonyl group)、アリールスルホニル基(arylsulfonyl group)、アシルアミノ基(acylamino group)、アミノアシル基(aminoacyl group)、アミノチオアシル基(aminothioacyl group)、グアニジン基(guanidino group)、ウレイド基(ureido group)、シアノ基、アシル基(acyl group)、チオアシル基(thioacyl group)、アシルオキシ基(acyloxy group)、カルボキシ基(carboxyl group)およびカルボキシレート基(carboxylate group)等を含むが、これらに限定されない。別の態様において、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルケニル基、アリール基およびヘテロアリール基も、互いに縮合されることができる。
【0044】
本発明において、前記置換は、単一の置換または多置換であり、前記多置換は、二置換、三置換、四置換、または五置換である。前記二置換とは、二つの置換基を有することを指し、これによって他のものを類推する。
【0045】
本発明の薬学的に許容される塩は、陰イオンと式Iの化合物上の正に帯電した基によって形成される塩であり得る。適切な陰イオンは、塩素イオン、臭素イオン、ヨードイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、クエン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、酢酸イオン、リンゴ酸イオン、トシレート、酒石酸イオン、フマル酸イオン、グルタミン酸イオン、グルクロン酸イオン、乳酸イオン、グルタル酸イオンまたはマレイン酸イオンである。同様に、陽イオンと式Iの化合物上の負に帯電した基によって塩を形成することができる。適切な陽イオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンおよびテトラメチルアンモニウムイオン等のアンモニウムイオンを含む。
【0046】
別の好ましい例において、「薬学的に許容される塩」とは、式Iの化合物と、フッ化水素酸(hydrofluoric acid)、塩酸、臭化水素酸(hydrobromic acid)、リン酸、酢酸、シュウ酸(oxalic acid)、硫酸、硝酸(nitric acid)、メタンスルホン酸(Methanesulfonic acid)、アミノスルホン酸(aminosulfonic acid)、サリチル酸(salicylic acid)、トリフルオロメタンスルホン酸(trifluoromethanesulfonic acid)、ナフタレンスルホン酸(naphthalenesulfonic acid)、マレイン酸(maleic acid)、クエン酸、酢酸、乳酸(lactic acid)、酒石酸、コハク酸(succinic acid)、シュウ酸(oxalic acid)、ピルビン酸(pyruvic Acid)、リンゴ酸、グルタミン酸、p-トルエンスルホン酸(p-toluenesulfonic acid)、ナフタレンスルホン酸、エタンスルホン酸(ethanesulfonic acid)、ナフタレンジスルホン酸(naphthalene disulfonic acid)、マロン酸(malonic acid)、フマル酸(fumaric acid)、プロピオン酸(propionic acid)、シュウ酸、トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid)、ステアリン酸(stearic acid)、パモ酸(pamoic acid)、ヒドロキシマレイン酸(hydroxymaleic acid)、フェニル酢酸(phenylacetic acid)、安息香酸(benzoic acid)、グルタミン酸、アスコルビン酸(ascorbic acid)、p-アミノベンゼンスルホン酸(p-aminobenzene sulfonic acid)、2-アセトキシ安息香酸(acetoxybenzoic acid)およびイセチオン酸(isethionic acid)等からなる群から選択される酸とによって形成される塩、または式Iの化合物と、無機塩基とによって形成されるナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩またはアンモニウム塩、または一般式Iの化合物と有機塩基とによって形成されるメチルアミン塩、エチルアミン塩またはエタノールアミン塩を指す。
【0047】
[調製方法]
本発明の一般式Iに示される化合物の調製方法、合成経路は、以下のとおりであり、
【0048】
【化7】
【0049】
前記調製方法は、
a)置換ベンズアルデヒドを出発物質として使用し、塩基の作用下で、塩酸ヒドロキシルアミンと反応させて、中間体を得た後、N-クロロスクシンイミド(NCS)で塩素化して、一般式IIIに示される化合物を形成する段階、
b)次に、一般式IIIに示される化合物を塩基性条件下で、対応する3-オキソプロピオネートと反応させて、一般式IVに示される化合物を形成する段階、
c)一般式IVに示される化合物中のエステルを、還元剤によって還元させて対応するアルコールを生成し、アルコールを臭素化して、Vに示される化合物を生成する段階、
d)一般式Vに示される化合物を、塩基の的作用下で、エンド-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-オールと反応させて、一般式VIに示される化合物を形成する段階、
e)一般式VIに示される化合物を銅またはパラジウムの触媒作用下で、Br-A-CNとカップリングさせて、一般式VIIに示されるシアノ基化合物を得る段階、
a’)一般式VIIに示される化合物を塩基の作用下で、塩酸ヒドロキシルアミンと反応させて、一般式VIIIに示される化合物を生成する段階、
b’)ホスゲン、トリホスゲン、カルボニルジイミダゾールまたは炭酸ジメチルの作用下で、一般式VIIIに示される化合物を反応させて、一般式Iに示される化合物を生成する段階を含む。
【0050】
【化8】
【0051】
一般式VIIに示されるシアノ基化合物も、
f)塩基の作用下で、エンド-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-オールのアミノ基がF-A-CNのフッ素を置換して、化合物IXを生成する段階、
g)一般式Vに示される化合物を、塩基の作用下で、調製されたIXと直接反応させて、一般式VIに示される化合物を形成する段階を含む、上記の経路によって調製されることができ、
ここで、R、R11、R12、R13、R14、R15およびA環は、上記で定義されたとおりである。
【0052】
段階a)、b)、d)、a’)、f)およびg)の塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、メトキシドナトリウム、エトキシドナトリウム、エトキシドカリウム、tert-ブトキシドカリウム、tert-ブトキシドナトリウム、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミドから選択され、
段階b)の塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、DBU、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、メトキシドナトリウム、エトキシドナトリウム、エトキシドカリウムから選択され、
段階c)の還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソプロピルアルミニウム、ボランから選択され、
段階e)の銅触媒は、ヨウ化第一銅、酸化第一銅、硫酸第一銅であり、パラジウム触媒は、酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)クロリド、二塩化パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビストリフェニルリンパラジウムジクロリド、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム-クロロホルム付加物、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロリドパラジウム(II)である。
【0053】
[医薬組成物]
本発明は、安全かつ有効な量の範囲内の有効成分、および薬学的に許容されるベクターを含む、医薬組成物をさらに提供する。
【0054】
本発明に記載の「有効成分」とは、本発明に記載の式Iの化合物を指す。
本発明に記載の「有効成分」および医薬組成物は、FXR関連疾患を治療するための薬物の調製に使用される。本発明に記載の「有効成分」および医薬組成物は、FXRアゴニストとして使用することができる。別の好ましい例において、FXRアゴニストによって調節される疾患を予防および/または治療するための薬物の調製に使用される。
【0055】
「安全かつ有効な量」とは、有効成分の量が深刻な副作用を引き起こすことなく病状を有意に改善するのに十分であることを指す。一般に、医薬組成物は、1~2000mgの有効成分/用量、より好ましくは、10~200mgの有効成分/用量を含む。好ましくは、前記「一回投与」は、一つの錠剤である。
【0056】
「薬学的に許容されるベクター」とは、ヒトでの使用に適しており、十分な純度および十分に低い毒性を有さなければならない、一つまたは複数の適合性のある固体または液体充填剤またはゲル物質を指す。ここでの「適合性」とは、組成物中の各成分が、有効成分の効力を著しく低下させることなく、本発明の有効成分およびそれらの間でブレンドできることを指す。薬学的に許容されるベクターの一部の例としては、セルロース(cellulose)とその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム(sodium carboxymethyl cellulose)、エチルセルロースナトリウム(sodium ethyl cellulose)、酢酸セルロース(cellulose acetate)等)、ゼラチン、タルク、固体潤滑剤(例えば、ステアリン酸(stearic acid)、ステアリン酸マグネシウム(magnesium stearate))、硫酸カルシウム(Calcium sulfate)、植物油(例えば、大豆油、ごま油、落花生油、オリーブ油等)、ポリオール(例えば、プロピレングリコール(propylene glycol)、グリセリン(glycerin)、マンニトール(mannitol)、ソルビトール(sorbitol)等)、乳化剤(例えば、トゥイーン(tween)(登録商標))、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate))、着色剤、香料、安定剤、抗酸化剤、防腐剤、パイロジェンフリー水等を含む。
【0057】
本発明の有効成分または医薬組成物の投与方法は、特に限定されず、代表的な投与方法は、経口、腫瘍内、直腸、非経口(静脈内、筋肉内または皮下)等を含む(これらに限定されない)。
【0058】
経口投与用の固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉末剤および顆粒剤を含む。
経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容される乳濁液、溶液、懸濁液、シロップまたはチンキ剤を含む。有効成分に加えて、液体剤形は、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エタノール(ethanol)、イソプロパノール(isopropanol)、炭酸エチル(ethyl carbonate)、酢酸エチル(ethyl acetate)、プロピレングリコール、1、3-ブタンジオール、ジメチルホルムアミドおよび油、特に綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、蓖麻子油およびごま油またはこれらの物質の混合物等、当技術分野で従来使用されている不活性希釈剤を含み得る。これらの不活性希釈剤に加えて、組成物も、湿潤剤、乳化剤と懸濁剤、甘味剤、香味剤および香料等の補助剤を含み得る。
【0059】
活性成分に加えて、懸濁液は、懸濁剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール(ethoxylated isooctadecanol)、ポリオキシエチレンソルビトール(polyoxyethylene sorbitol)とソルビタンエステル(sorbitan esters)、微結晶性セルロース、メトキシドアルミニウム(aluminum methoxide)と寒天またはこれらの物質の混合物等を含み得る。
【0060】
非経口注射用の組成物は、生理学的に許容される滅菌水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、および滅菌注射可能溶液または分散液に再構成するための滅菌粉末を含み得る。適切な水溶液および非水性ベクター、希釈剤、溶媒または賦形剤は、水、エタノール、ポリオールおよびその適切な混合物を含む。
【0061】
本発明の化合物は、単独で、または他の治療薬(例えば、脂質低下薬)と組み合わせて投与することができる。
医薬組成物を使用する場合、安全かつ有効な量の本発明の化合物を治療を必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)に適用され、ここで、投与時の投与量は、薬学的に考慮される有效投与量であり、60kgの体重のヒトにとって、一日投与量は、一般に0.1~200mg、好ましくは、0.5~5mgである。もちろん、具体的な投与量は、投与経路、患者の健康状態等、熟練した医師のスキル範囲内にある要因も顧慮する必要がある。
【0062】
以下、本発明は、具体的実施例と併せてされに説明される。これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。以下の実施例において、具体的条件を示さない実験方法は、通常、従来の条件(例えば、Sambrookら、分子クローニング:実験マニュアル(New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989)に記載される条件等)、またはメーカーによって提案された条件に従う。特に明記されない限り、パーセンテージおよび部数は、重量パーセンテージおよび重量部数で計算される。
【0063】
特に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての専門用語および科学用語は、当業者によくしれられている用語と同じ意味を有する。さらに、記載された内容と類似または同等の任意の方法および材料を、本発明の方法に適用することができる。本明細書で使用される好ましい実施方法と材料は、デモンストレーションのみを目的として使用される。
【0064】
使用される機器および主な実験材料は、次のとおりである。
使用される試薬と無水溶媒は、中国の商業会社から購入し、特に明記しない限り、すべて直接使用され、1Hおよび13C NMRは、BrukerAM-400型およびVarian Mercury plus-400型核磁気共鳴装置を使用し、質量分析は、Agilent6230型質量分析装置、および200-300メッシュカラムクロマトグラフィーシリカゲル(青島海洋科学工業ブラント)、HSGF254TLCプレート(煙台市科学工業研究所)を使用する。
【0065】
[ライン1]
【0066】
【化9】
【0067】
[ライン2]
【0068】
【化10】
【0069】
実施例1:
【0070】
【化11】
【0071】
中間体V-1の合成:
【0072】
【化12】
【0073】
0℃下で、炭酸カリウム水溶液(3N、182mmol)を攪拌中の塩酸ヒドロキシルアミン(182mmol)のエタノール(100mL)溶液に滴下し、2,6-ジクロロベンズアルデヒド(20g、114mmol)を100mlエタノールに溶解させ、次に、ヒドロキシルアミン溶液に加え、温度を90℃に上げ、2時間反応させる。混合物が室温まで冷えるのを待ってから、固体になるまで濃縮する。水/エタノール(1000mL/100mL)溶液を加え、攪拌して固体を粉砕し、ろ過し、50℃下で、一晩真空乾燥して、化合物中間体(18.4g)を得る。この中間体をN、N-ジメチルホルムアミド(50mL)に溶解させ、0℃下で、N-クロロスクシンイミド(97mmol)のN、N-ジメチルホルムアミド(100mL)溶液に滴下し、一晩攪拌する。反応液を0℃の氷水に注ぎ、次に、メチルtert-ブチルエーテル(毎回200mL、合計3回)で抽出し、飽和食塩水で有機相を洗浄し、濃縮して粗生成物を得る。粗生成物が入っているフラスコにn-ヘキサン(600mL)を加え、磁石で攪拌し、ろ過し、固体を真空下(30℃)で乾燥して、中間体III-1(18.3g、収率73%)を得る。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.43-7.39(m、2H)、7.39-7.33(m、1H)。
【0074】
トリエチルアミン(8.2g)を3-シクロプロピル-3-オキソプロピオン酸メチル(82mmol)に加え、30分間攪拌する。次に、10℃に冷却し、III-1(18.3g、82mmol)の無水エタノール(80mL)溶液を滴下し(内部温度は30℃を超えない)、反応物を室温下で一晩放置する。酢酸エチル(100mL)を加えて反応液を希釈し、水で洗浄し、酢酸エチル(毎回100mL、合計3回)で水相を抽出する。有機相を混合し、飽和食塩水で洗浄し、濃縮する。濃縮物に100mLのエーテルを加えて攪拌し、真空下で、溶媒を除去して、固体生成物IV-1(21.6g、収率84%)を得ることができる。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.43-7.39(m、2H)、7.39-7.33(m、1H)、3.72(s、3H)、2.21-2.09(m、1H)、1.35-1.28(m、2H)、1.25-1.18(m、2H)。
【0075】
IV-1(21.6g、69mmol)をテトラヒドロフラン(140mL)に溶解させ、0℃に冷却し、溶液に水素化ジイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(1.5M、102mL)をゆっくりと滴下し、室温下で、反応液を6時間攪拌する。反応液を氷水にゆっくりと注ぎ、1M塩酸水溶液を加えてpHを約2に調節し、酢酸エチル(毎回100mL、合計3回)で抽出し、濃縮し、カラムクロマトグラフィーを用いて、中間体アルコールを得、この中間体とトリフェニルホスフィン(59mmol)とをジクロロメタン(60mL)に溶解させ、0℃に冷却し、窒素ガス保護下で、四臭化炭素(62mmol)のジクロロメタン(60mL)溶液を滴下し、室温下で4時間反応させる。反応液から溶媒を除去して油状物を得、カラムクロマトグラフィーによって、中間体V-1(15.3g、収率96%)を得る。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.49-7.44(m、2H)、7.43-7.37(m、1H)、4.25(d、J=1.3Hz、2H)、2.21-2.09(m、1H)、1.35-1.28(m、2H)、1.25-1.18(m、2H)。
【0076】
実施例1の合成:
【0077】
【化13】
【0078】
0℃下で、3-ヒドロキシ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8カルボン酸t-ブチル(1.5g、6.5mmol)の無水テトラヒドロフラン(20mL)溶液にカリウムt-ブトキシド(6.5mmol)を加え、30分間攪拌し、次いでV-1(4.3mmol)の無水テトラヒドロフラン(5mL)溶液を滴下し、8時間反応させる。反応液に水(20mL)を加え、酢酸エチル(毎回15mL、合計3回)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって、中間体の粗生成物を得る。中間体をジクロロメタン(8mL)に溶解させ、0℃に冷却し、トリフルオロ酢酸(8mL)を滴下し、室温下で3時間攪拌する。真空下で溶媒を除去し、酢酸エチル(20mL)を加えて溶解させ、2N水酸化ナトリウム溶液、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を除去して、中間体VI-1(1.1g、収率72%)を得る。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.42-7.39(m、2H)、7.36-7.31(m、1H)、4.27-4.18(m、2H)、4.10-3.96(m、2H)、3.53(t、J=4.7Hz、1H)、2.16-1.60(m、9H)、1.26-1.05(m、4H)。
【0079】
中間体VI-1(1.0g、2.7mmol)、3-ブロモベンゾニトリル(4.1mmol)、ナトリウムt-ブトキシド(5.4mmol)、酢酸パラジウム(0.14mmol)、1,1’-ビナフチル-2,2’-ビスジフェニルホスフィン(0.27mmol)を丸底フラスコに加え、窒素ガス保護下でトルエン(80mL)を加え、加熱還流させ、一晩反応させる。反応液を室温に冷却し、水を加えて抽出し、濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって、中間体VII-1(0.56g、収率43%)を得る。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.47-7.34(m、5H)、6.65(d、J=8.9Hz、2H)、4.26(s、2H)、4.13-4.10(m、2H)、3.46-3.41(m、1H)、2.17-1.81(m、7H)、1.66-1.11(m、6H)。
【0080】
VII-1(0.4g、0.9mmol)、塩酸ヒドロキシルアミン(2.3mmol)、無水エタノール(5mL)を丸底フラスコに加えて攪拌し、トリエチルアミン(2.3mmol)をゆっくりと滴下し、80℃に加熱して4時間反応させる。室温に冷却し、溶媒を除去し、酢酸エチル(15mL)に溶解させ、水、飽和食塩水で洗浄し、有機相を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、中間体VIII-1(0.42g、収率95%)を得る。
【0081】
VIII-1(0.41g、0.83mmol)、N,N’-カルボニルジイミダゾール(1.0mmol),1,4-ジオキサン(4mL)を丸底フラスコに加え、次いで1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(0.91mmol)を加え、100℃に加熱して3時間反応させる。反応液を室温に冷却し、水(5mL)を加えて希釈し、1M塩酸水溶液でpHを約2に調節し、次いで酢酸エチルで抽出する(毎回4mL、合計3回)。有機相を合併し、飽和食塩水で洗浄し、得られた粗生成物を濃縮した後にシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、最終生成物1(0.29g、収率64%)を得る。
【0082】
H NMR(400MHz、CDCl)δ7.60(d、J=8.8Hz、2H)、7.44-7.32(m、3H)、6.70(d、J=9.0Hz、2H)、4.25(s、2H)、4.12-4.08(m、2H)、3.42(s、1H)、2.18-1.82(m、7H)、1.61(d、J=14.4Hz、2H)、1.26-1.10(m、4H)。MS(ESI、m/z):553[M+H]+
【0083】
実施例2:
【0084】
【化14】
【0085】
実施例2の調製は、実施例1の操作を参照し、中間体VI-1から経路1を通して調製され、合成経路は、次のとおりである。
【0086】
【化15】
【0087】
原料V-1から出発して、化合物1を合成する合成方法に従って、化合物2を合成し、ここで
油状物の中間体VI-1の収率は、56%である。H NMR(500MHz、Chloroform-d)δ7.45-7.41(m、2H)、7.39-7.34(m、1H)、4.32-4.24(m、2H)、4.01-3.91(m、2H)、3.59-3.49(m、1H)、2.19-2.08(m、3H)、1.93-1.65(m、6H)、1.28-1.11(m、4H)。
【0088】
白色固体VII-2の収率は、88%である。H NMR(500MHz、Chloroform-d)δ7.50-7.45(m、2H)、7.38-7.34(m、2H)、7.31-7.26(m、1H)、6.71-6.65(m、2H)、4.31-4.20(m、4H)、3.81-3.71(m、1H)、2.13-2.02(m、3H)、1.78-1.66(m、4H)、1.47-1.39(m、2H)、1.30-1.08(m、4H)。
【0089】
白色固体2の収率は、52%である。H NMR(500MHz、DMSO-d6)δ7.63(d、J=8.8Hz、2H)、7.52-7.48(m、2H)、7.48-7.43(m、1H)、6.86(d、J=8.8Hz、2H)、4.35-4.27(m、2H)、4.21(s、2H)、3.76-3.66(m、1H)、2.34-2.23(m、1H)、1.94-1.58(m、6H)、1.20-1.03(m、6H)。MS(ESI、m/z):553[M+H]
【0090】
実施例3:
【0091】
【化16】
【0092】
中間体V-3の合成:
【0093】
【化17】
【0094】
6-フルオロニコチノニトリル(2g、16.5mmol)、エンド-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-オール(18.2mmol)、無水炭酸カリウム(41.3mmol)およびDMSO(16mL)を丸底フラスコに加え、130℃に加熱し、12時間反応させる。室温に冷却し、30mLの水を加え、ろ過し、水で固体を洗浄して、中間体IX-3(3.2g、収率93%)を得る。白色固体、収率は、94%であり。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.41(d、J=1.8Hz、1H)、7.58(dd、J=9.0、2.3Hz、1H)、6.49(d、J=8.9Hz、1H)、4.91-4.26(m、2H)、4.12(t、J=4.7Hz、1H)、2.39(d、J=7.3Hz、2H)、2.18-1.81(m、6H)。
【0095】
原料II-3から出発して、化合物V-1を合成する合成方法に従って、化合物V-3を合成し、ここで
白色固体IV-3の収率は、64%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.43-7.34(m、1H)、7.00-6.91(m、2H)、3.69(s、3H)、2.92-2.83(m、1H)、1.36-1.31(m、2H)、1.25-1.20(m、2H)。
【0096】
無色液体V-3の収率は、82%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.54-7.44(m、1H)、7.11-7.04(m、2H)、4.33(s、2H)、2.20-2.08(m、1H)、1.34-1.17(m、4H)。
【0097】
原料V-3およびIX-3から出発して、化合物VII-1を合成する合成方法に従って、化合物の中間体VII-3を合成し、白色固体、収率は、51%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.35(d、J=2.1Hz、1H)、7.52(dd、J=9.0、2.1Hz、1H)、7.47-6.94(m、3H)、6.42(d、J=9.0Hz、1H)、4.75-4.18(m、4H)、3.48(t、J=4.5Hz、1H)、2.16-1.81(m、7H)、1.69-1.08(m、6H)。
【0098】
原料VII-3から出発して、化合物1を合成する合成方法に従って、化合物3を合成し、白色固体、収率は、71%である。H NMR(400MHz、DMSO)δ8.48(d、J=2.4Hz、1H)、7.81-7.61(m、3H)、7.30(t、J=8.0Hz、2H)、6.79(d、J=9.0Hz、1H)、4.43(s、2H)、4.33(s、2H)、3.45(s、1H)、2.41-2.26(m、1H)、1.87-1.04(m、12H)。MS(ESI、m/z):522[M+H]
【0099】
実施例4:
【0100】
【化18】
【0101】
実施例4の合成経路は、次のとおりである。
【0102】
【化19】
【0103】
原料V-1およびIX-3から出発して、化合物VII-3を合成する合成方法に従って、化合物の中間体VII-4を合成する。白色固体、収率72%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.34(d、J=2.1Hz、1H)、7.51(dd、J=9.0、2.1Hz、1H)、7.42-7.30(m、3H)、6.41(d、J=9.0Hz、1H)、4.63-4.16(m、4H)、3.46(t、J=4.3Hz、1H)、2.15-2.07(m、1H)、1.97-1.70(m、8H)、1.25-1.07(m、4H)。
【0104】
原料VII-4から出発して、化合物1を合成する合成方法に従って、化合物4を合成する。白色固体、収率は、47%である。H NMR(400MHz、DMSO)δ8.43(d、J=2.4Hz、1H)、7.77(dd、J=9.0、2.4Hz、1H)、7.67-7.52(m、3H)、6.75(d、J=9.0Hz、1H)、4.40(s、2H)、4.24(s、2H)、3.41(s、1H)、2.36-2.26(m、1H)、1.84-1.03(m、12H)。MS(ESI、m/z):554[M+H]
【0105】
実施例5:
【0106】
【化20】
【0107】
原料II-5から出発して、化合物3を合成する合成方法に従って、化合物5を合成し、ここで、
白色固体IV-5の収率は、58%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.82(d、J=7.5Hz、1H)、7.74-7.59(m、2H)、7.56(d、J=7.5Hz、1H)、3.3.73(s、3H)、2.19-2.09(m、1H)、1.33-1.27(m、2H)、1.24-1.15(m、2H)。
【0108】
無色液体V-5の収率は、88%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.84(d、J=7.4Hz、1H)、7.73-7.61(m、2H)、7.57(d、J=7.4Hz、1H)、4.23(s、2H)、2.17-2.09(m、1H)、1.32-1.27(m、2H)、1.23-1.17(m、2H)。
【0109】
原料V-5およびIX-3から出発して、化合物VII-3を合成する合成方法に従って、化合物の中間体VII-5を合成する。白色固体、収率は、63%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.32(d、J=2.0Hz、1H)、7.76(d、J=7.2Hz、1H)、7.63-7.53(m、2H)、7.49-7.40(m、2H)、6.39(d、J=9.0Hz、1H)、4.57-4.12(m、4H)、3.42(t、J=4.4Hz、1H)、2.13-1.69(m、9H)、1.20-1.05(m、4H)。
【0110】
原料VII-5から出発して、化合物1を合成する合成方法に従って、化合物5を合成する。白色固体、収率は、52%である。H NMR(400MHz、DMSO)δ8.45(d、J=2.4Hz、1H)、7.92(d、J=7.2Hz、1H)、7.84-7.60(m、4H)、6.79(d、J=9.1Hz、1H)、4.19(s、2H)、4.23(s、2H)、3.43(s、1H)、2.37-2.28(m、1H)、1.82-1.62(m、8H)、1.17-1.03(m、4H)。MS(ESI、m/z):554[M+H]
【0111】
実施例6:
【0112】
【化21】
【0113】
原料II-6から出発して、化合物3を合成する合成方法に従って、化合物V-6を合成し、ここで
白色固体IV-6の収率は、59%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.66-7.50(m、2H)、7.49-7.41(m、2H)、3.70(s、2H)、2.18-2.10(m、1H)、1.31-1.26(m、2H)、1.23-1.17(m、2H)。
【0114】
無色液体V-6の収率は、82%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.65-7.52(m、2H)、7.49-7.40(m、2H)、4.36(s、2H)、2.18-2.10(m、1H)、1.31-1.26(m、2H)、1.23-1.17(m、2H)。
【0115】
原料V-6およびIX-3から出発して、化合物VII-3を合成する合成方法に従って、化合物の中間体VII-6を合成する。白色固体、収率は、79%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.35(d、J=2.0Hz、1H)、7.58-7.35(m、5H)、6.44-6.38(m、1H)、4.57-4.22(m、4H)、3.48(t、J=4.4Hz、1H)、2.16-1.70(m、9H)、1.22-1.07(m、4H)。
【0116】
原料VII-6から出発して、化合物1を合成する合成方法に従って、化合物6を合成する。白色固体、収率は、51%である。H NMR(400MHz、DMSO)δ8.47(d、J=2.4Hz、1H)、7.79(dd、J=9.0、2.4Hz、1H)、7.69-7.49(m、4H)、6.75(d、J=9.0Hz、1H)、4.41(s、2H)、4.32(s、2H)、3.47(s、1H)、2.35-2.26(m、1H)、1.86-1.02(m、12H)。MS(ESI、m/z):570[M+H]
【0117】
実施例7:
【0118】
【化22】
【0119】
原料エンド-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-オールおよび2,4-ジフルオロベンゾニトリルから出発して、化合物IX-3を合成する合成方法に従って、化合物の中間体IX-7を合成する。白色固体、収率は、64%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.36-7.28(m、1H)、6.65-6.47(m、2H)、4.00-3.90(m、1H)、3.76-3.55(m、2H)、3.26-3.04(m、2H)、2.00-1.53(m、4H)。
【0120】
原料V-3およびIX-7から出発して、化合物VII-3を合成する合成方法に従って、化合物の中間体VII-7を合成する。白色固体、収率は、84%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.49-7.30(m、2H)、7.07-7.00(m、2H)、6.44-6.31(m、2H)、4.31(s、2H)、4.06(s、2H)、3.46(t、J=4.5Hz、1H)、2.16-2.08(m、1H)、1.99-1.63(m、8H)、1.25-1.09(m、4H)。
【0121】
原料VII-7から出発して、化合物1を合成する合成方法に従って、化合物7を合成する。白色固体、収率は、60%である。H NMR(400MHz、DMSO)δ7.70-7.59(m、1H)、7.50(t、J=8.6Hz、1H)、7.29(t、J=8.0Hz、2H)、6.76-6.64(m、2H)、4.31(s、2H)、4.17(s、2H)、3.43(s、1H)、2.37-2.26(m、1H)、1.83-1.52(m、8H)、1.16-1.04(m、4H)。MS(ESI、m/z):539[M+H]
【0122】
実施例8:
【0123】
【化23】
【0124】
実施例8の合成経路は、次のとおりである。
【0125】
【化24】
【0126】
原料V-1およびIX-7から出発して、化合物VII-3を合成する合成方法に従って、化合物の中間体VII-8を合成する。白色固体、収率は、75%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.46-7.31(m、4H)、6.42(dd、J=8.8、2.1Hz、1H)、6.35(d、J=12.8Hz、1H)、4.26(s、2H)、4.07(s、2H)、3.46(t、J=4.4Hz、1H)、2.17-1.82(m、7H)、1.66(d、J=14.7Hz、2H)、1.29-1.10(m、4H)。
【0127】
原料VII-7から出発して、化合物1を合成する合成方法に従って、化合物7を合成する。白色固体、収率は、60%である。H NMR(400MHz、DMSO)δ7.65-7.47(m、4H)、6.69(m、2H)、4.25(s、2H)、4.17(s、2H)、3.41(s、1H)、2.38-2.27(m、1H)、1.83-1.54(m、8H)、1.16-1.04(m、4H)。MS(ESI、m/z):571[M+H]
【0128】
実施例9:
【0129】
【化25】
【0130】
実施例9の合成経路は、次のとおりである。
【0131】
【化26】
【0132】
原料V-5およびIX-7から出発して、化合物VII-3を合成する合成方法に従って、化合物の中間体VII-9を合成する。白色固体、収率は、78%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.84-7.79(m、1H)、7.67-7.58(m、2H)、7.48-7.32(m、2H)、6.45-6.31(m、2H)、4.20(s、2H)、4.08(s、2H)、3.43(s、1H)、2.14-1.83(m、7H)、1.66(d、J=14.7Hz、2H)、1.29-1.09(m、4H)。
【0133】
原料VII-9から出発して、化合物1を合成する合成方法に従って、化合物9を合成する。白色固体、収率は、55%である。H NMR(400MHz、DMSO)δ7.91(d、J=7.6Hz、1H)、7.83-7.70(m、2H)、7.64-7.47(m、2H)、6.75-6.64(m、2H)、4.26-4.13(m、4H)、3.40(s、1H)、2.38-2.24(m、1H)、1.83-1.55(m、8H)、1.18-1.02(m、4H)。MS(ESI、m/z):571[M+H]
【0134】
実施例10:
【0135】
【化27】
【0136】
実施例10の合成経路は、次のとおりである。
【0137】
【化28】
【0138】
原料V-6およびIX-7から出発して、化合物VII-3を合成する合成方法に従って、化合物の中間体VII-10を合成する。白色固体、収率は、70%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.59-7.52(m、2H)、7.44-7.35(m、3H)、6.43(dd、J=8.8、2.0Hz、1H)、6.36(dd、J=12.8、2.0Hz、1H)、4.36(s、2H)、4.08(s、2H)、3.48(t、J=4.4Hz、1H)、2.17-1.86(m、7H)、1.66(d、J=14.4Hz、2H)、1.27-1.10(m、4H)。
【0139】
原料VII-10から出発して、化合物1を合成する合成方法に従って、化合物10を合成する。白色固体、収率は、70%である。H NMR(400MHz、DMSO)δ7.71-7.46(m、5H)、6.77-6.64(m、2H)、4.32(s、2H)、4.18(s、2H)、3.45(s、1H)、2.37-2.27(m、1H)、1.86-1.56(m、8H)、1.17-1.03(m、4H)。MS(ESI、m/z):587[M+H]
【0140】
実施例11:
【0141】
【化29】
【0142】
原料II-11から出発して、化合物V-1を合成する合成方法に従って、化合物V-11を合成し、ここで
白色固体IV-11の収率は、54%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.52-7.44(m、2H)、7.32-7.26(m、1H)、7.21(d、J=8.5Hz、1H)、6.46(t、J=73.7Hz、1H)、3.72(s、3H)、2.88-2.80(m、1H)、1.37-1.32(m、2H)、1.26-1.22(m、2H)。
【0143】
無色液体V-11の収率は、72%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.60-7.51(m、2H)、7.41-7.32(m、2H)、6.51(t、J=73.7Hz、1H)、4.38(s、2H)、2.18-2.10(m、1H)、1.32-1.17(m、4H)。
【0144】
原料V-11およびIX-3から出発して、化合物VII-3を合成する合成方法に従って、化合物の中間体VII-11を合成し、白色固体、収率は、66%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.37(d、J=2.0Hz、1H)、7.56-7.23(m、5H)、6.45(t、J=74.0Hz、1H)、6.42(d、J=8.8Hz、1H)、4.50-4.18(m、4H)、3.49(t、J=4.4Hz、1H)、2.16-1.80(m、7H)、1.72(d、J=14.4Hz、2H)、1.23-1.06(m、4H)。
【0145】
原料VII-11から出発して、化合物1を合成する合成方法に従って、化合物11を合成し、白色固体、収率は、63%である。H NMR(400MHz、DMSO)δ8.46(d、J=2.4Hz、1H)、7.79(dd、J=9.0、2.4Hz、1H)、7.64-7.33(m、4H)、7.23(d、J=74.0Hz、1H)、6.78(d、J=9.0Hz、1H)、4.54-4.22(m、4H)、3.46(s、1H)、2.36-2.26(m、1H)、1.86-1.62(m、8H)、1.15-1.07(m、4H)。MS(ESI、m/z):552[M+H]
【0146】
実施例12:
【0147】
【化30】
【0148】
実施例12の合成経路は、次のとおりである。
【0149】
【化31】
【0150】
原料II-12から出発して、化合物V-1を合成する合成方法に従って、化合物V-12を合成し、ここで
白色固体IV-12の収率は、54%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.42-7.31(m、2H)、7.30-7.24(m、2H)、3.69(s、3H)、2.95-2.87(m、1H)、2.23(s、3H)、1.42-1.36(m、2H)、1.30-1.23(m、2H)。
【0151】
無色液体V-12の収率は、72%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.42-7.29(m、4H)、4.27(s、2H)、2.33(s、3H)、2.19-2.10(m、1H)、1.32-1.27(m、2H)、1.23-1.16(m、2H)。
【0152】
原料V-12およびIX-3から出発して、化合物VII-3を合成する合成方法に従って、化合物の中間体VII-12を合成し、白色固体、収率は、64%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.38(d、J=1.8Hz、1H)、7.55(dd、J=8.8、2.4Hz、1H)、7.38-7.23(m、4H)、6.44(d、J=8.8Hz、1H)、4.77-4.31(m、2H)、4.21(s、2H)、3.50(t、J=4.4Hz、1H)、2.31(s、3H)、2.17-1.78(m、9H)、1.26-1.07(m、4H)。
【0153】
原料VII-12から出発して、化合物1を合成する合成方法に従って、化合物12を合成し、白色固体、収率は、69%である。H NMR(400MHz、DMSO)δ8.45(d、J=2.4Hz、1H)、7.78(dd、J=9.0、2.4Hz、1H)、7.37-7.22(m、4H)、6.73(d、J=9.0Hz、1H)、4.42(s、2H)、4.20(s、2H)、3.44(s、1H)、2.33-2.21(m、4H)、1.91-1.64(m、8H)、1.14-1.07(m、4H)。MS(ESI、m/z):500[M+H]
【0154】
実施例13:
【0155】
【化32】
【0156】
実施例13の合成経路は、次のとおりである。
【0157】
【化33】
【0158】
原料V-11およびIX-3から出発して、化合物VII-3を合成する合成方法に従って、化合物の中間体VII-13を合成し、白色固体、収率は、69%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.56-7.28(m、5H)、6.47(t、J=74.0Hz、1H)、6.44-6.31(m、2H)、4.33(s、2H)、4.08-4.02(m、2H)、3.52-3.44(m、1H)、2.14-1.84(m、7H)、1.64(d、J=15.0Hz、2H)、1.24-1.07(m、4H)。
【0159】
原料VII-13から出発して、化合物1を合成する合成方法に従って、化合物13を合成し、白色固体、収率は、61%である。H NMR(400MHz、DMSO)δ7.60(td、J=8.4、1.6Hz、1H)、7.54-7.34(m、4H)、7.23(t、J=74.0Hz、1H)、6.78-6.62(m、2H)、4.31(s、2H)、4.19(s、2H)、3.42(s、1H)、2.36-2.26(m、1H)、1.86-1.55(m、8H)、1.16-1.00(m、4H)。MS(ESI、m/z):569[M+H]
【0160】
実施例14:
【0161】
【化34】
【0162】
実施例14の合成経路は、次のとおりである。
【0163】
【化35】
【0164】
原料V-12およびIX-3から出発して、化合物VII-10を合成する合成方法に従って、化合物の中間体VII-42を合成し、白色固体、収率は、49%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.39-7.24(m、5H)、6.46-6.41(m、1H)、6.39-6.34(m、1H)、4.21(s、2H)、4.13-4.06(m、2H)、3.50-3.43(m、1H)、2.31(s、3H)、2.15-1.87(m、7H)、1.75-1.67(m、2H)、1.29-1.09(m、4H)。
【0165】
原料VII-40から出発して、化合物1を合成する合成方法に従って、化合物40を合成し、白色固体、収率は、61%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.66(t、J=8.8Hz、1H)、7.37-7.22(m、4H)、6.52(dd、J=9.0、2.0Hz、1H)、6.39(dd、J=14.9、2.0Hz、1H)、4.20(s、2H)、4.09(s、2H)、3.49-3.43(m、1H)、2.31(s、3H)、2.17-1.89(m、7H)、1.69(d、J=14.5Hz、2H)、1.28-1.08(m、4H)。MS(ESI、m/z):517[M+H]
【0166】
[薬理学的実験の実施例]
[FXR分子レベル活性試験法]
組換えGST-FXR融合タンパク質を使用し、Perkin Elmer会社のAlphaScreen検出試薬によってFXR活性を測定する。当該方法の反応は、384ウェルプレートで行い、総反応体積は、15μLである。タンパク質、アゴニスト、コレギュレーター、AlphaScreen(登録商標)受容体マイクロビーズおよびAlphaScreen(登録商標)ドナーマイクロビーズの混合液は、50mMのTris-HCl(pH7.4)、50mMのNaCl、0.1%BSA、1mMのDTTを含む緩衝液で反応を行い、蛍光検出器Envisionによって、570nmの波長でのFXR活性を反映する蛍光シグナル強度を検出する。EC50の値は、ソフトウェアGraphpad Prism 5によって計算される(A=EC50<10nΜ、B=10nΜ<EC50<100nΜ、C=100nΜ<EC50<1000nΜ、D>1000nM)。
【0167】
[FXR細胞レベル活性試験法]
FXR発現プラスミドおよびFXRE luciferaseレポータープラスミドを1:9の比率で293T細胞に同時トランスフェクトした後、5×10/ウェルでトランスフェクトした細胞を96ウェル平底マイクロウェルプレートに接種する(ViewPlate-96、White 96-well Microplate with Clear Bottom、PerkinElmer)。プラスミドの発現を確保するために細胞を24時間培養し、被験FXR受容体アゴニストを加え、被験化合物を18時間作用させた後、luciferase kit(steady-Glo Luciferase Assay system)を使用して、蛍光強度を検出して、FXR受容体に対する化合物の活性化効率を反映させる。
【0168】
【化36】
【0169】
ここで、最初のスクリーニングの場合、被験化合物および二つの陽性化合物OCA、GW4064は、10μMで細胞に作用され、二つの陽性化合物に対する被験化合物の相対活性をそれぞれ測定し(相対活性=(被験化合物のシグナル強度-空白(blank))/(陽性化合物のシグナル強度-空白)×100%)、相対活性が陽性化合物の50%を超える化合物は、再スクリーニングに入り、適切な濃度区間を選択し、その用量依存関係、即ち、EC50値を計算する(A=EC50<0.1nΜ、B=0.1nΜ<EC50<1nΜ、C=1nΜ<EC50<10nΜ、D=10nΜ<EC50<100nΜ、E>100nM)。
【0170】
【表1】
【0171】
結論:試験結果は、本発明に記載の化合物が分子レベルおよび細胞レベルでいずれもFXRに対して良好なアゴニスト能を有し、内部配置における本発明の化合物の活性が外部配置における対応する化合物の活性よりもはるかに優れていることを示し、ここで、FXRの分子レベルの活性は、少なくとも10倍異なる。化合物1および2を例にすると、内部配置の実施例1の化合物1の活性は、外部配置の実施例2の化合物2の活性よりもはるかに優れており(FXRの分子レベルでの活性の差は、100倍以上である)、ここで、内部配置の化合物の活性は、二つの陽性対照の活性よりも有意に優れている。
【0172】
本発明で言及されたすべての文書は、あたかも各文書が個別に参照として引用されたかのように、本出願における参照として引用される。さらに、本発明の上記の教示内容を読んだ後、当業者は本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの同等の形態も、本出願の添付の請求範囲によって定義される範囲に含まれる。
【国際調査報告】