(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】キメラ植物を介したゲノム編集試薬の送達
(51)【国際特許分類】
C12N 15/87 20060101AFI20231024BHJP
A01H 5/00 20180101ALI20231024BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20231024BHJP
A01H 6/82 20180101ALN20231024BHJP
A01H 6/28 20180101ALN20231024BHJP
A01H 6/54 20180101ALN20231024BHJP
【FI】
C12N15/87 Z
A01H5/00 A
C12N15/09 100
A01H6/82
A01H6/28
A01H6/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521305
(86)(22)【出願日】2021-10-07
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 US2021053985
(87)【国際公開番号】W WO2022076695
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522105908
【氏名又は名称】カリックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CALYXT, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】バトラー, ナサニエル
【テーマコード(参考)】
2B030
【Fターム(参考)】
2B030AA02
2B030CA15
2B030CB02
(57)【要約】
本開示の実施形態は、宿主植物の挿し木に発現コンストラクトを保有するリゾビウム・リゾゲネスを感染させることによってキメラ植物を生成するステップ、及び発現コンストラクトによるゲノム編集に起因する遺伝子編集についてキメラ植物からの新しい成長をスクリーニングするステップを含む方法を対象としている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲノム編集試薬の送達の方法であって、
宿主植物の挿し木に発現コンストラクトを保有するリゾビウム・リゾゲネスを感染させることによってキメラ植物を生成するステップ;及び
発現コンストラクトに起因する遺伝子編集についてキメラ植物からの新しい成長をスクリーニングするステップを含む、方法。
【請求項2】
キメラ植物が、野生型/トランスジェニックキメラ植物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
発現コンストラクトが、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)mRNAを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
発現コンストラクトが、mRNAコーディング配列及びプロモーターを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
プロモーターが35Sである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
プロモーターがノパリンシンターゼ(Nos)である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
キメラ植物の作成からの検出可能なトランスジェニックmRNA若しくはタンパク質、又はゲノム編集からのゲノム編集を用いて、キメラ植物からの新しい成長をスクリーニングするステップ;及び
検出可能なトランスジェニックmRNA若しくはタンパク質又はゲノム編集からの組織又は種子を増殖させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ゲノム編集試薬を発現するキメラ植物を生成する方法であって、
宿主植物から野生型のシュート又は実生の挿し木を調製するステップ;
野生型のシュート又は実生の挿し木にリゾビウム・リゾゲネス溶液を接種するステップ;及び
R.リゾゲネス溶液に感染した野生型のシュート又は播種をトランスジェニック毛状根の成長のための培地へ移すステップを含む、方法。
【請求項9】
転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)mRNAの発現について個々のキメラ植物をスクリーニング及び選択するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
エンドポイント逆転写酵素PCR(RT-PCR)又はウエスタンブロットを使用してシュート組織におけるトランスジェニックmRNA及び/又はタンパク質の蓄積を検出するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法によって生成された、非天然植物。
【請求項12】
請求項8に記載の方法によって生成された非天然種子、生殖組織、又は栄養組織。
【請求項13】
ゲノム編集技術によって生成された非天然植物であって、前記ゲノム編集技術が:
宿主植物の挿し木を調製するステップ;
転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)メッセンジャーリボ核酸(mRNA)コーディング配列;及び
プロモーター;
を含む、リゾビウム・リゾゲネス溶液で宿主植物の挿し木を感染させることによってキメラ植物を生成するステップ;
標的遺伝子のゲノム編集について、又はTALEN mRNA及び/又はタンパク質の検出によって、ゲノム編集に起因するキメラ植物からの成長をスクリーニングするステップ;並びに
編集された事象を単離するために、TALEN mRNA及び/又はタンパク質を蓄積させたキメラ植物から成長又は種子を増殖させるステップを含む、非天然植物。
【請求項14】
TALEN mRNAが、カンナビス・サティバ・テトラヒドロカンナビノール酸シンターゼ(CsTHC)遺伝子を標的とする、請求項13に記載の非天然植物。
【請求項15】
TALEN mRNAが、ソラヌム・ツベロスム・フィトエン・デサチュラーゼ(StPDS)遺伝子を標的とする、請求項13に記載の非天然植物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キメラ植物を介したゲノム編集試薬の送達に関する。
【背景技術】
【0002】
[0001]変異開始にデオキシリボ核酸(DNA)を使用せずに実行されるゲノム編集の方法は、「DNAフリーの」ゲノム編集技術と呼ばれる。植物におけるDNAフリーのゲノム編集には、典型的には、ゲノム編集試薬から植物細胞へのトランスジェニックリボ核酸(RNA)及び/又はタンパク質の直接送達、並びに植物全体及び編集された系統としての形質転換細胞の再生が必要である。このアプローチでは、トランスジェニックRNA及び/又はタンパク質を植物組織に直接送達し、形質転換された材料を植物全体として再生するために、特殊な植物形質転換及び組織培養プロトコルを必要とする。場合によっては、シングルガイドRNA(sgRNA)又はスモールRNAなどのゲノム編集試薬を送達するためにRNAウイルスが使用されている。しかしながら、厳密なウイルスサイズ制限が、エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)のような転写活性化因子又はクリスパー関連タンパク質9(Cas9)などのより大きな試薬がウイルス粒子に直接取り込まれることを妨げている。さらに、プロトプラスト、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、リゾビウム・リゾゲネス(Rhizobium rhizogenes)又はジェミニウイルスレプリコン(GVR)を組み込んだ試薬送達の「トランジェント(一過性)」法もまた実証されているが、それには費用のかかる組織培養プロトコルの開発及び宿主植物へのDNAのリスクのある組み込みが必要である。
【発明の概要】
【0003】
[0002]本概要は、以下の「詳細な説明」でさらに記載される概念の選択を簡略化された形式で紹介するために提供される。
【0004】
[0003]一態様において、本開示は、ゲノム編集試薬の送達の方法を提供する。本方法は、発現コンストラクトを保有するリゾビウム・リゾゲネス(Rhizobium rhizogenes)(R.リゾゲネス)で宿主植物の挿し木を感染させることによってキメラ植物を生成するステップ、及び発現コンストラクトによるゲノム編集に起因する遺伝子編集についてキメラ植物からの新しい成長をスクリーニングするステップを含む。リゾビウム・リゾゲネスは、アグロバクテリウム・リゾゲネス(A.リゾゲネス)とも呼ばれ、本明細書ではこれらの用語は交換可能に使用される場合がある。
【0005】
[0004]いくつかの例において、キメラ植物は、野生型/トランスジェニックキメラ植物を含む。いくつかの例において、発現コンストラクトは、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)mRNAを含む。いくつかの例において、発現コンストラクトは、mRNAコーディング配列及びプロモーターを含む。いくつかの例において、プロモーターは35Sである。いくつかの例において、プロモーターはノパリンシンターゼ(Nos)である。
【0006】
[0005]いくつかの例において、本方法は、発現コンストラクトからの検出可能なトランスジェニックmRNA又はタンパク質を有するキメラ植物からの新しい成長、及び/又はゲノム編集に起因する遺伝子編集についてスクリーニングするステップ、並びに検出可能なトランスジェニックmRNA若しくはタンパク質又はゲノム編集を有する組織又は組織からの種子を増殖させるステップを含む。
【0007】
[0006]別の例示的な実施形態において、ゲノム編集試薬を発現するキメラ植物を生成する方法は、宿主植物から野生型のシュート又は実生の挿し木を調製するステップ、野生型のシュート又は実生の挿し木にリゾビウム・リゾゲネス溶液を接種するステップ、及び野生型のシュート又は実生の挿し木にリゾビウム・リゾゲネス溶液を接種するステップ、並びにR.リゾゲネス溶液に感染した野生型のシュート又は播種をトランスジェニック毛状根の成長のための培地へ移すステップを含む。
【0008】
[0007]いくつかの例において、本方法は、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)mRNA及び/又はタンパク質の発現について個々のキメラ植物をスクリーニング及び選択するステップを含む。いくつかの例において、本方法は、エンドポイント逆転写酵素PCR(RT-PCR)又はウエスタンブロットを使用してシュート組織におけるトランスジェニックRNA及び/又はタンパク質の蓄積を検出するステップを含む。様々な例は、本方法によって生成された非天然植物、及び本方法によって生成された非天然種子、生殖組織、又は栄養組織を対象としている。
【0009】
[0008]別の態様において、本開示は、ゲノム編集技術によって生成された、非天然植物を提供する。このような実施形態において、本ゲノム編集技術は、宿主植物の挿し木を調製するステップ、並びに宿主植物の挿し木に、TALEN mRNAコーディング配列、及びプロモーターを含むR.リゾゲネス溶液を感染させることによってキメラ植物を生成するステップを含む。本ゲノム編集技術はさらに、TALEN mRNA及び/又はタンパク質によるゲノム編集に起因するキメラ植物からの成長をスクリーニングするステップ、並びに編集された事象の単離のためにTALEN mRNA及び/又はタンパク質の蓄積を用いてキメラ植物からの成長又は種子を増殖させることを含む。
【0010】
[0009]いくつかの例において、TALEN mRNAは、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)・テトラヒドロカンナビノール酸シンターゼ(CsTHC)遺伝子を標的とする。いくつかの例において、TALEN mRNAは、ソラヌム・ツベロスム・フィトエン・デサチュラーゼ(Solanum tuberosum phytoene desaturase;StPDS)遺伝子を標的とする。
【0011】
[0010]本発明の前述の態様及び付随する利点の多くは、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示と一致する、キメラ植物を介したゲノム編集試薬の送達のための例示的な方法を例示する図である。
【
図2】本開示と一致する、キメラ植物を介したゲノム編集試薬の送達のための例示的な方法を例示する図である。
【
図3A】本開示と一致する、ゲノム編集試薬を送達するための発現コンストラクトの例を例示する図である。
【
図3B】本開示と一致する、ゲノム編集試薬を送達するための発現コンストラクトの例を例示する図である。
【
図4A】本開示と一致する、ジャガイモにおけるトランスジェニック毛状根の成長を例示する図である。
【
図4B】本開示と一致する、ジャガイモにおけるトランスジェニック毛状根の成長を例示する図である。
【
図5A】本開示と一致する、アサにおけるトランスジェニック毛状根の成長を例示する図である。
【
図5B】本開示と一致する、アサにおけるトランスジェニック毛状根の成長を例示する図である。
【
図6】本開示と一致する、トランスジェニック毛状根を有するキメラアサ植物を例示する図である。
【
図7】本開示と一致する、トランスジェニック毛状根を有するキメラジャガイモ植物を例示する図である。
【
図8A】本開示と一致する、キメラジャガイモ植物組織から得られたゲル電気泳動の結果を例示する図である。
【
図8B】本開示と一致する、キメラジャガイモ植物組織から得られたゲル電気泳動の結果を例示する図である。
【
図9】本開示と一致する、アサトランスジェニック毛状根の発生を例示する図である。
【
図10】本開示と一致する、キメラジャガイモ植物のシュート先端から得られたデータを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[詳細な説明]
[0021]様々なゲノム編集方法により、植物におけるDNAフリーの編集が可能となる。これらの方法には、RNA及び/又はタンパク質の直接送達、プロトプラスト、アグロバクテリウム・ツメファシエンス、リゾビウム・リゾゲネス、又はパーティクル・ボンバードメント法による「一時的な(transient)」DNA送達、並びにRNA試薬(すなわち、sgRNA及びスモールRNA)又はDNA(すなわち、ジェミニウイルスレプリコン)のウイルス送達が含まれる。これらの方法は全て、標的植物遺伝子型へのある程度の試薬送達及び編集された組織の再生が必要となる。さらに、これらの送達方法はしばしば非効率的であり、効率をさらに低下させる可能性のあるRNA、タンパク質、及びウイルス粒子の調製を必要とする。
【0014】
[0022]植物の形質転換及び組織培養技術は、ゲノム編集成果に重大な制限をもたらし、特殊なプロトコルを開発及び実装するために、多大な時間、労力、及び材料を必要とする。本明細書において議論するDNAフリーの編集技術は、トランスジェニックDNAの取り込みを排除することによって時間を節約することができる。本開示と一致する、キメラ植物を介したゲノム編集試薬の送達は、植物組織へのDNAフリーのゲノム編集試薬の直接送達を可能にし、編集可能な植物遺伝子型の数を拡大することができる。さらに、R.リゾゲネスを介したトランスジェニック毛状根を有するキメラ植物の生成は、植物材料を直接的に形質転換及び再生することなく、ゲノム編集試薬からRNA及び/又はタンパク質を送達する機会を提供し、不応性及び非不応性の植物遺伝子型におけるゲノム編集を可能にすると考えられる。
【0015】
[0023]植物の維管束系は、水及びミネラル(木部を介して)並びに糖(師部を介して)を植物の成長部分(すなわち、シンク(sink))に輸送することを可能にする。RNA及びタンパク質などの高分子もまた、長距離のシグナル伝達のために維管束系(主に師部)を介して輸送され、複数の植物機能を制御する。長距離のシグナル伝達は、葉及び根の師部のコンパニオン細胞(すなわち、ソース(source))での高分子の合成、並びにプラスモデスムを介した植物の遠く離れた成長部分(すなわち、シンク)への輸送のために高分子をふるい要素にロードすることによって機能する。本明細書で開示するように、R.リゾゲネス感染に起因するトランスジェニック毛状根の師部コンパニオン細胞におけるゲノム編集試薬の発現は、トランスジェニックRNA及び/又はタンパク質の長距離輸送、並びに個々の編集イベントの増殖及び単離のためのシンク組織におけるDNAフリーの編集を促進し得る。
【0016】
[0024]本開示によるキメラ植物を介したゲノム編集試薬の送達により、多くの利益が達成される。第1に、標的遺伝子型のバックグラウンドで編集イベントを開発するための標的遺伝子型の直接的な形質転換及び再生は必要ではなく、これにより、遺伝子型に特異的な形質転換及び再生プロトコルの開発と実装のコストが削減される。第2に、RNA及びタンパク質のようなDNAフリーの試薬の調製を必要としないため、そのような専用プロトコルの生産コスト及び技術開発がさらに削減される。第3に、ゲノム編集試薬を発現するトランスジェニック根を持つキメラ系統が開発されると、ゲノム編集試薬の送達に組織培養は必要なくなり、非組織培養環境で生産を行うことができる。本開示の利点は、上に列挙したものに限定されることはなく、追加の利点を実現することができる。
【0017】
[0025]
図1は、本開示と一致する、キメラ植物を介したゲノム編集試薬の送達のための例示的な方法100を例示している。R.リゾゲネスは、植物細胞の形質転換に用いられるリゾビウム属の一種で、高い病原性を持ち、毛状根の形態のトランスジェニック材料を迅速に発生させることができる。植物茎組織のR.リゾゲネス感染に起因する毛状根は、いわゆる根誘導(root-inducing;Ri)プラスミドからのトランスファーDNA(T-DNA)を保有し、植物宿主との維管束の接続を形成する。これらの維管束の接続により、毛状根は野生型の根と同様に機能し、野生型の根を凌駕するほど積極的に成長する可能性がある。RiプラスミドからのT-DNAに加えて、ゲノム編集試薬を保有するバイナリーベクターからのものなどの追加のT-DNAを植物茎組織に共送達し、トランスジェニック毛状根としての毛状根で発現させることができる。TALENは、植物組織に共送達される可能性のあるゲノム編集試薬を保有するバイナリーベクターの一例であり、本明細書においてさらに議論される。
【0018】
[0026]野生型植物宿主において形成されるトランスジェニック毛状根は、トランスジェニック毛状根組織においてRNA及び/又はタンパク質の形態でゲノム編集試薬を発現できるトランスジェニック/野生型キメラ植物を作成する。トランスジーン発現がトランスジェニック毛状根の師部組織(すなわち、コンパニオン細胞)に向けられる場合、トランスジェニックRNA及び/又はタンパク質は師部ふるい要素にロードされ、成長している野生型組織まで長距離輸送される可能性がある。成長している組織におけるトランスジェニックRNA及び/又はタンパク質の蓄積は、トランスジェニックDNAの非存在下での編集をもたらす可能性があり、個々のイベントは栄養増殖及び/又は種子の生産によって単離される可能性がある。
【0019】
[0027]ステップ101での方法100は、宿主植物の挿し木を、発現コンストラクトを保有するR.リゾゲネスに感染させることによってキメラ植物を生成することを含む。TALEN又は他のゲノム編集試薬を発現するキメラ植物は、R.リゾゲネスに感受性のある遺伝子型又は種で最初に生成される場合がある。R.リゾゲネス感染に使用される方法は、宿主植物の種によって異なる場合があるが、典型的には、新鮮な野生型のシュート(茎で切り込み)又は実生(胚軸で切り込み)の挿し木を調製すること、及び切り込み端にR.リゾゲネス溶液を接種することが含まれる。したがって、キメラ植物は、野生型/トランスジェニックキメラ植物であり得る。非選択培地でおよそ2日間キメラ植物を共培養すると、野生型組織へのRiプラスミド及びバイナリーベクターT-DNAの両方の送達が促進される可能性がある。
【0020】
[0028]本明細書で使用される場合、発現コンストラクトは、ゲノム編集試薬(TALEN mRNAなど)及びプロモーターを保有する1つ又は複数のバイナリーベクターを含む核酸配列を指すか、又はそれを含む。「プロモーター」という用語は、遺伝子をオン又はオフに変えるDNAの配列を指すか、又はそれを含む。いくつかの例において、プロモーターは、インビボで活性である構成的プロモーター、オン及び/又はオフにされ得る誘導性プロモーター、又は師部組織において活性を有する師部特異的プロモーターであってもよい。いくつかの例において、表現コンストラクトは、1つ又は複数のジップコード要素(zip-code elements)を含んでもよい。本明細書で使用する場合、ジップコード要素は、mRNA配列が師部を通して輸送することを可能にするシス作動性シグナル(例えば、師部移動性RNA)、若しくは「ジップコード」を指す、又はそれを含む。ジップコード要素は、師部移動性RNAからの非翻訳領域(UTR)、又は師部移動性RNAからの全長配列を含んでもよい。ジップコード要素の非限定的な例としては、とりわけ、シロイヌナズナのGAIなどのジベレリン酸非感受性(GAI)mRNA、及びノットド1様ホメオボックス(KNOX)mRNA、トマトKNOTTED1(LeT6)、ジャガイモBEL5、シロイヌナズナtRNAmet(At5g57885)、シロイヌナズナtRNAgly(At5g57885)、シロイヌナズナCENTRORADIALIS(ATC)、ジャガイモKNOTTED1(StPOTH1)、カボチャNACP(NAM、ATAF1/3及びCUC2)、並びにカボチャGAIPなどが挙げられる。本開示に従った様々な実施形態は、以下の参考文献で議論されるように、ジップコード要素及び遺伝子配列を含む、実質的に同じ特徴及び属性の少なくともいくつかを含むことができ、それらの各々は、ジップコード要素に関連するそれらの一般的教示及び特定の遺伝子の配列(複数可)に関連する特定の教示の全体が、参照により本明細書に組み込まれる:Huang、NC.;Yu、TS.The sequences of Arabidopsis GA-INSENSITIVE RNA constitute the motifs that are necessary and sufficient for RNA long-distance trafficking.Plant J.2009年、59、921~929ページ;Kim、M.;Canio、W.;Kessler、S.;Sinha、N.Developmental changes due to long distance movement of a homeobox fusion transcript in tomato.Science 2001年、293、287~289ページ;Banerjee、A.K.;Chatterjee、M.;Yu、Y.;Suh、S.G.;Miller,W.A.;Hannapel、D.J.Dynamics of a mobile RNA of potato involved in a long-distance signaling pathway.Plant Cell 2006年、18、3443~3457ページ;Li、C.;Gu、M.;Shi、N.;Zhang、H.;Yang、X.;Osman、T.;Liu、Y.;Wang、H.;Vatish、M.;Jackson、S.ら、Mobile FT mRNA contributes to the systemic florigen signalling in floral induction.Sci.Rep.2011年、1、73ページ;Zhang、W.;Thieme C.J.;Kollwig G.;Apelt、F.;Yang、Lei.;Winter、N.;Andresen、N.;Walther、D.;Kragler、F.tRNA-Related Sequences Trigger Systemic mRNA Transport in Plants.Plant Cell 2016年、28、1237~1249ページ;Huang、N.C.;Jane、W.N.;Chen、J.;Yu、T.S.Arabidopsis CENTRORADIALIS homologue acts systemically to inhibit floral initiation in Arabidopsis.Plant J.2012年、72、175~184ページ;Mahajan、A.;Bhogle、S.;Kang、I.H.;Hannapel、D.J.;Banerjee、A.K.The mRNA of a Knotted1-like transcription factor of potato is phloem mobile.Plant Mol.Biol.2012年、79、595~608ページ;Ruiz-Medrano、R.;Xoconostle-Cazares、B.;Lucas、W.J.Phloem long-distance transport of CmNACP mRNA:Implications for supracellular regulation in plants.Development 1999年、126、4405~4419ページ;Haywood、V.;Yu、T.S.;Huang、N.C.;Lucas、W.J.Phloem long-distance trafficking of GIBBERELLIC ACID-INSENSITIVE RNA regulates leaf development.Plant J.2005年、42、49~68ページ。
【0021】
[0029]また、本明細書で使用される師部特異的プロモーターは、師部特異的遺伝子発現を標的とするプロモーターを指すか、又はそれを含む。これらのプロモーター要素は、師部細胞において、又は師部が限定された生物から特異的に発現される遺伝子と関連している場合がある。師部特異的プロモーターの非限定的な例には、スクロース輸送タンパク質1(SUT1)、ゴマノハグサモザイクウイルス(FMV)、スクロース輸送タンパク質2(SUC2)、シロイヌナズナSUC2、トマトSUT1、ジャガイモPTB1、及びアグロバクテリウムrolCが含まれる。また、本明細書で使用されるように、構成的プロモーターは師部特異的遺伝子発現を標的とするプロモーターを指すか、又は含む。これらのプロモーター要素は、植物細胞タイプに渡って発現する遺伝子と関連している可能性があり、非植物源に由来する場合もある。構成的プロモーターの非限定的な例には、とりわけ、35Sプロモーター、2x 35Sプロモーター、ノパリンシンターゼ(Nos)プロモーター、VaUbi3が含まれる。また、本明細書で使用される場合、誘導性プロモーターは師部特異的遺伝子発現を標的とするプロモーターを指すか、又はそれを含む。これらのプロモーター要素は、外因性因子(例えば、β-エストラジオール)への曝露によって誘導される遺伝子発現に関連している可能性があり、非植物源に由来している場合もある。誘導性プロモーターの非限定的な例には、とりわけ、P16ΔS:sXVEプロモーター、及びSUPERR:sXVEプロモーターが含まれる。本開示に従った様々な実施形態は、以下の文献で議論されるような、プロモーター及び遺伝子配列を含む、少なくともいくつかの実質的に同じ特徴及び属性を含むことができ、これらの文献はそれぞれ、それらの全体が、植物遺伝学に関連するそれらの一般的な教示及び特定のプロモーターの配列(複数可)に関連する特定の教示について、参照により本明細書に組み込まれる:Srivastava、A.C.;Ganesan、S.;Ismail、I.O.;Ayre、B.G.Functional Characterization of the Arabidopsis AtSUC2 Sucrose/H+ Symporter by Tissue-Specific Complementation Reveals an Essential Role in Phloem Loading but Not in Long-Distance Transport.Plant Physiol.2008年、148、200~211ページ;Kuhn、C.;Hajirezaei、M.R.;Fernie、A.R.、Roessner-Tunali、U.;Czechowski.;Hirner、B.;Frommer、W.B.The Sucrose Transporter StSUT1 Localizes to Sieve Elements in Potato Tuber Phloem and Influences Tuber Physiology and Development.Plant Physiol.2003年、131、102~113ページ;Butler、N.M.;Hannapel、D.J.Promoter activity of polypyrimidine tract-binding protein genes of potato responds to environmental cues.Planta 2012年、236、1747~1755ページ;Schmiilling、T.;Schell、J.;Spena、A.Promoters of the rolA、B,and C Genes of Agrobacterium rhizogenes are Differentially Regulated in Transgenic Plants.Plant Cell 1989年、1、665~670ページ;Schluckinga、K.;Edel、K.H.;Drerup、M.M.;Koster、P.;Eckert、C.;Steinhorst、L.、Waadt、R.;Batistic、O.;Kudla、J.A Newβ-Estradiol-Inducible Vector Set that Facilitates Easy Construction and Efficient Expression of Transgenes Reveals CBL3-Dependent Cytoplasm to Tonoplast Translocation of CIPK5.Mole.Plant 2013年、6、1814~1829ページ。
【0022】
[0030]発現コンストラクトは、宿主植物の師部におけるゲノム編集試薬の長距離輸送を容易にするように選択及び配置された、種々の核酸セグメントを含んでもよい。例えば、発現コンストラクトは、TALEN mRNAを含んでもよい。いくつかの例では、発現コンストラクトは、mRNAコーディング配列及びプロモーターを含んでもよい。いくつかの例において、発現コンストラクトは、輸送されたmRNA及び/又は輸送されたタンパク質の検出を可能にし得るプロモーター及びマーカーを含む。発現コンストラクトの例が
図3に例示されており、本明細書においてさらに議論される。
【0023】
[0031]したがって、キメラ植物を生成するために使用される発現コンストラクトは、mRNAコーディング配列のような多くの成分、及び他の限定されない成分の中でプロモーターを含むことができる。個々のキメラ植物は、トランスジェニック毛状根において、エンドポイント逆転写酵素PCR(RT-PCR)、定量的リアルタイムPCR(qRT-PCR)、又は蛍光タンパク質レポーター発現(すなわち、GUS、RFP又はYFP)を用いて、TALEN mRNA及び/又はタンパク質の高い発現についてスクリーニングされてもよいし、選択されてもよい。例えば、いくつかの例では、発現コンストラクトに含まれる師部移動性RNAはGAIである。いくつかの例では、師部移動性RNAはKNOXであってもよい。同様に、いくつかの例では、プロモーターはSUT1である。いくつかの例では、プロモーターはSUC2であってもよい。プロモーターは、列挙された特定の例に限定されない。本明細書において議論するように、異なるプロモーターを使用してもよい。
図3に関してさらに議論されるように、プロモーターは、mRNAコーディング配列から上流であってもよい。例は、それほど限定されることはなく、追加の及び/又は異なる発現コンストラクトが企図される。
【0024】
[0032]103において、方法100は、発現コンストラクトによるゲノム編集に起因する遺伝子編集について、キメラ植物からの新しい成長をスクリーニングするステップを含む。いくつかの例において、キメラ植物を作成するステップには、植物選択剤(すなわち、スペクチノマイシン(spectinomycin))を使用して発現コンストラクトに起因するトランスジェニック毛状根を選択することを含む。いくつかの例において、検出可能なトランスジェニックmRNA及び/又はタンパク質を含むシンク組織を編集のためにスクリーニングし、編集を安定させるためのさらなる増殖のために使用することができる。いくつかの例において、キメラ植物を種子生産のために使用し、種に依存して、種子を編集された子孫についてスクリーニングすることができる。
【0025】
[0033]いくつかの例において、方法100は、検出可能なトランスジェニックmRNA及び/又はタンパク質を有するキメラ植物からの新しい成長をスクリーニングすること、並びに検出可能なトランスジェニックmRNA及び/又はタンパク質を含む組織を増殖させることを含むことができる。
【0026】
[0034]
図2は、本開示と一致する、キメラ植物を介したゲノム編集試薬の送達のための例示的な方法200を例示している。
図2において、方法200は、205で、宿主植物から切除された野生型シュート又は実生を調製することを含む。滅菌したはさみ又はメスの刃、ピンセット、及び実体鏡を使用して、野生型のシュートを茎で切り込み、実生を胚軸で切り込むことができる。
【0027】
[0035]207において、方法200は、野生型のシュート又は実生の挿し木にR.リゾゲネス溶液を接種するステップを含む。本開示に従って、目的のmRNAは、mRNAのコーディング配列をプロモーターの下流に配置することにより、長距離輸送の標的とすることができる。そのようなmRNAの例には、TALEN mRNAが含まれる。このようなコンストラクトが利用可能になると、バイナリーベクターを保有するR.リゾゲネス株が調製され、野生型のシュートの挿し木に感染させるために使用される。使用することができるR.リゾゲネス株の非限定的な例には、A4、ATCC 15834、ATCC 43056、ATCC 43057、ATCC 13333、又はK599が含まれる。植物選択剤(すなわち、スペクチノマイシン)を使用したトランスジェニック毛状根の選択は、高く発現しているトランスジェニック毛状根の形成を可能にし(RiプラスミドT-DNA又は野生型根のみを保有する非トランスジェニック毛状根に対して)、根組織におけるゲノム編集試薬の発現が増加する可能性がある。
【0028】
[0036]
図2に例示するように、トランスジェニックmRNA及び/又はタンパク質のトランスロケーションは、野生型/トランスジェニックキメラ植物を通して、トランスジェニック毛状根から野生型茎へと促進される。トランスジェニック毛状根が確立され、キメラ植物が作成されると、トランスジェニックmRNA及び/又はタンパク質が、トランスジェニック毛状根から成長している野生型組織に移動し、トランスジェニックDNAの非存在下で野生型組織における編集が可能になる。
図2に示されるように、キメラ植物で新しい成長が発生すると、トランスジェニックmRNA及び/又はタンパク質が新しい成長において機能する。
【0029】
[0037]209において、方法200は、R.リゾゲネス溶液を用いて感染させた挿し木を、トランスジェニック毛状根の成長のための培地に移すことを含む。キメラ植物における編集の程度は、シンク組織におけるトランスジェニックmRNA及び/又はタンパク質の存在量に関連している場合があり、mRNA及びタンパク質検出の様々な方法を使用して追跡することができる。例えば、キメラ植物は、新しいシュート組織(すなわち、新しい分裂組織、葉、枝及び/又は花序)におけるトランスジェニックRNA及び/又はタンパク質の蓄積について、アッセイされてもよい。TALEN mRNA及び/又はタンパク質を、それぞれエンドポイント逆転写酵素PCR(RT-PCR)又はウエスタンブロットを使用して検出するために、新しいシュート成長をサンプリングしてもよい。TALEN標的遺伝子のイルミナ(登録商標)アンプリコン配列決定法を使用して、編集の検出のために、TALEN mRNA及び/又はタンパク質が陽性のシュート成長をスクリーニングしてもよい。編集に陽性のシュート成長は、種に依存して、個々の植物の編集を安定させるために、栄養的に、又は種子を介して増殖されてもよい。
【0030】
[0038]本開示の様々な例は、
図1に関して記載された方法100及び/又は
図2に関して記載された方法200によって生成された非天然植物に関する。同様に、本開示は、
図1に関して記載された方法100及び/又は
図2に関して記載された方法200によって生成された自然発生ではない種子、生殖組織、又は栄養組織に関する。本開示の様々な例は、
図1に関して記載された方法100及び/又は
図2に関して記載された方法200によって生成された野生型/トランスジェニック植物に関する。例えば、方法100及び200と一致して、非天然植物は、DNAフリーのゲノム編集技術によって生成されてもよい。DNAフリーのゲノム編集技術は、宿主植物の挿し木を調製すること、宿主植物の挿し木に、TALEN mRNAコーディング配列、及びプロモーターを含むR.リゾゲネス溶液を感染させてキメラ植物を生成すること、TALEN mRNA及び/又はタンパク質によるゲノム編集に起因するキメラ植物からの成長をスクリーニングすること、並びに、キメラ植物からの成長を増殖又は種子を設定するための培地に移植することを含んでもよい。
【0031】
[0039]
図3A及び3Bは、本開示と一致する、ゲノム編集試薬のDNAフリーの送達のための発現コンストラクト300の例を例示している。
図3Aは、mRNAコーディング配列315及びmRNAコーディング配列315の上流のプロモーター311を含む発現コンストラクト300を例示している。使用されるmRNAコーディング配列の非限定的な例には、カンナビス・サティバ・フィトエン・デサチュラーゼ(CsPDS)遺伝子を標的とするTALEN mRNAコーディング配列、カンナビス・サティバ・テトラヒドロカンナビノール酸シンターゼ(CsTHC)遺伝子、及びソラヌム・ツベロスム・フィトエン・デサチュラーゼ(StPDS)遺伝子が含まれ得る。いくつかの例においては、発現コンストラクト300には、師部移動性RNAからの第2のジップコード要素(例示せず)が含まれてもよい。例えば、mRNAコーディング配列の上流、mRNAコーディング配列の下流、又はmRNAコーディング配列の上流及び下流の両方に、1つ又は複数のジップコード要素を組み込むことができる。理解され得るように、上流には、参照配列と比較して、プロモーター311の5’末端に近接及び/又はより近い位置を含めることができる。逆に、下流には、参照配列と比較して、ターミネーター配列325の3’末端に近接及び/又はより近い位置を含めることができる。
【0032】
[0040]
図2に関して論じたように、ジップコード要素は、異なる師部移動性RNA由来及び/又は同じ師部移動性RNA由来であってもよい。さらに、各々のジップコード要素は、師部移動性RNA又は全長配列からのUTRであってもよい。非限定的な例として、師部移動性RNAは、GAI及び/又はKNOXである。非限定的な例として、師部特異的プロモーターはSUT1及び/又はSUC2である。
【0033】
[0041]
図3Bは、トランスジェニック組織におけるmRNA配列及び/又はタンパク質の検出を可能にし得る、単一のmRNA配列及び検出可能なマーカー317を含む発現コンストラクト300の例を例示している。検出可能なマーカーの非限定的な例には、β-グルクロニダーゼ(GUS)又はRFP若しくはYFPのような蛍光タンパク質レポーターが含まれる。
【0034】
[0042]様々な実施形態は、2020年10月7日に出願され、「キメラ植物を介したゲノム編集試薬の送達」と題された基礎となる仮出願である、米国仮出願第63/088,790号に従って実装され、その利益は請求され、参照により全体が本明細書に組み込まれる。仮出願で議論された実施形態は、特に断りのない限り、全体的な技術的開示、又は請求された発明のいずれかの部分を限定することをいかなる意味においても意図していない。
【0035】
[0043]本明細書で引用される刊行物及びそれらが引用される主題は、参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる。
【0036】
[0044]当業者は、本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用される様々な用語が、別段の指示がない限り、当技術分野における明白な意味を意味することを認識するであろう。本明細書で使用される用語「comprise(s);含む」、「include(s);含む」、「having;有する」、「has;有する」、「can;できる」、「contain(s);含む」、及びそれらの変形は、追加の行為又は構造の可能性を排除しないオープンエンドな移行句、用語、又は単語であることを意図している。単数形「a」、「and」及び「the」は、文脈が明確に別の指示をしない限り、複数の参照を含む。本開示は、明示的に記載されているか否かにかかわらず、本明細書に提示される実施形態又は要素を「含む」、「からなる」、及び「本質的にからなる」他の実施形態もまた企図する。
【0037】
[0045]上記の議論及び例示に基づいて、当業者は、本明細書に例示及び記載された例示的な実施形態及び用途に厳密に従うことなく、様々な実施形態に対して様々な修正及び変更を行うことができることを容易に認識するであろう。例えば、図に例示されるような方法は、本明細書の実施形態の1つ又は複数の態様を保持して、様々な順序で実行されるステップを含んでもよく、又はより少ないか、又はより多くのステップを含んでもよい。そのような修正は、特許請求の範囲に記載された態様を含む、本開示の様々な態様の真の趣旨及び範囲から逸脱するものではない。
【0038】
[0046]開示される方法及び組成物のために使用することができるか、それらと組み合わせて使用することができるか、それらの準備のために使用することができるか、又はそれらの生成物である材料、組成物、及び成分が開示される。これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループなどが開示されている場合、これらの化合物のあらゆる単一の組み合わせ及び順列への特定の言及が明示的に開示されていないことがあったとしても、様々な個々の組み合わせ及び集合的な組み合わせのそれぞれが具体的に企図されていることが理解される。この概念は、記載された方法のステップを含むがそれに限定されない本開示の全ての態様に適用される。したがって、任意の前述の実施形態の特定の要素を組み合わせたり、他の実施形態の要素に置き換えたりすることができる。例えば、実行可能な様々な追加のステップがある場合、これらの追加ステップの各々は、開示された方法の任意の特定の方法ステップ又は方法ステップの組み合わせで実行可能であり、そのような組み合わせ又は組み合わせのサブセットの各々は、特に企図され、開示されているものとみなされるべきであるものと理解される。さらに、本明細書に記載された実施形態は、本明細書の他の箇所に記載されたもの、又は当該技術分野で知られているものなどの任意の適切な材料を使用して実装することができることが理解される。
【実施例】
【0039】
実験的/より詳細な実施形態
[0047]実験的実施形態に関連して以下にさらに例示するように、ゲノム編集試薬はキメラ植物を介して送達することができる。上記の記載と一致して、R.リゾゲネス株及び植物源材料を以下のように調製した。実験の5~7日前に、所望のR.リゾゲネス株を、抗生物質を含む寒天培地でプレーティングした培地にストリークした。実験の当日まで、プレートをおよそ28℃でインキュベートした。実験の6日前に、50~100個のアサ種子をおよそ10mLの濃硫酸で表面滅菌し、滅菌水で2回洗浄した。種子を30%H2O2に20分間浸し、滅菌水で2回洗浄した。種子を一晩(例えば、およそ16~24時間)、穏やかに攪拌しながら(電動インバーターに置かれた円錐管又はロータリーシェーカー上の密閉ペトリ皿のいずれかで)滅菌水に浸した。翌日、水を除去し、浸した種子を30%過酸化水素でおよそ5分間もう一度洗浄した後、滅菌水で3回すすいだ。ピンセット及び実体顕微鏡を使用して、種皮及び胚乳を除去した後、胚をMS(Murashige&Skoog)培地プレートにプレーティングして、1プレートあたり最大5つの胚を播種した。プレートをパラフィルムで密封し、暗所に3日間置いた。プレートをさらに2日間、16/8時間の明/暗インキュベーター(75ルーメン、およそ23℃)に移した。
【0040】
[0048]毛状根を生成するためのアサ胚軸組織の感染は、以下のように行った。感染の5時間前に、白金耳量のプレートからの細菌を、およそ100μMのアセトシリンゴン(acetosyringone)を含むおよそ1mLの滅菌水に懸濁した。細菌懸濁液は、室温で暗所の実験室の引き出しに保管した。アサの実生をインキュベーターから取り出し、以下のステップを行った。実生全体に感染させるために、メスの先を使用して、幼根の上部からおよそ5~10mm上の各実生の胚軸に小さな傷をつけた。創傷直後に、およそ20μLの細菌懸濁液を傷に接種した。最低10分後、実生をアサ毛状根共培養培地に移した。プレートあたりの実生の数は、接種した実生が5つに制限された。プレートをパラフィルムで密閉し、一晩、暗所(およそ22℃~およそ23℃)に配置した。プレートを暗室から取り出し、さらに1日、16/8時間の明/暗インキュベーター(75ルーメン、およそ23℃)に移し、合計2日間の共培養を行った。
【0041】
[0049]全体の実生の場合、各実生を、およそ500mg/Lのセフォタキシム(cefotaxime)を含む個々のアサ毛状根培地プレートに移し、胚軸の以前に創傷した部分が培地に触れていることを確実するように注意を払った。フィトトレイズ(Phytotrays)(商標)を閉じて、2週間、明室に配置した。組織培養又は発根した穂木からの土壌で増殖した新しいシュート成長をサンプリングして、個々のゲノム編集系統を単離した。
【0042】
[0050]R.リゾゲネス及び感染溶液は、以下のように調製した。実験の5~7日前に、抗生物質を含むLB(Luria-Bertani)培地寒天プレートに所望のR.リゾゲネス株をストリークした。実験の当日まで、およそ28℃でプレートを逆さにしてインキュベートした。実験の前日、15mL滅菌培養チューブ内に入れた抗生物質を含むおよそ5mLのLB培地に単一コロニーを接種し、およそ28℃で、およそ16時間、およそ250rpmで振とう培養した。実験の当日、50mLの滅菌済み培養管に入れた抗生物質を含むおよそ50mLのLB培地に培養液の内容物を注ぎ、およそ28℃、およそ250rpmでO.D.600が0.5~0.6になるまで振とう培養した。およそ6000rpmでおよそ10分間の遠心分離によって細胞を収集し、最小グロース(Minimal Growth;MG)培地に再懸濁した。およそ1mLのR.リゾゲネス感染溶液を1.5mLチューブに分注し、感染のおよそ1時間前におよそ100μMのアセトシリンゴンを添加した。
【0043】
[0051]トランスジェニック毛状根キメラ植物の生産のためのダイズ穂木の調製及び感染は、以下のように行った。実験の2~3週間前に、250mLビーカーにおよそ100mLの漂白剤を入れた9Lデシケーターチャンバーに種子を入れて、ダイズ種子を滅菌した。およそ3.5mLの濃HCLをゆっくりと添加し、デシケーターチャンバーをおよそ16時間密閉して塩素ガス滅菌を行った。種子を使用する前に、塩素ガスを消散させた。種子を沈めて、種子のへそを下向きにすることによって、滅菌した種子をMS培地を有するフィタトレイズ(Phytatrays)(商標)に移した。16/8時間の明/暗(75ルーメン、およそ28℃)下にフィタトレイズ(商標)を配置した。実生がVC段階(栄養子葉)に達したら、滅菌メス及び無菌技術を用いて、全ての実生から子葉を除去した。実生の穂木は、胚軸断面を横切った子葉節の背軸方向のシュートを切除することによって調製し、切り込み端をR.リゾゲネス感染溶液に入れた。実生の穂木をおよそ23℃でおよそ15分間インキュベートした。感染した切り込み端を無菌濾紙にブロットし、切り込み端を培地表面のおよそ1.5cm下に沈めることにより、MS培地を含むフィタトレイズ(商標)に入れた。フィタトレイズ(商標)を閉じ、およそ28℃で16/8時間の明/暗(75ルーメン、およそ28℃)に2日間、配置した。およそ500mg/Lのセフォタキシム及びおよそ150mg/Lのチメンチン(timentin)及び植物選択剤と共にMS培地を含むフィタトレイズ(商標)に、切り込み端を培地表面のおよそ1.5cm下に沈めることにより、感染した穂木を移した。フィタトレイズ(商標)を閉じ、およそ28℃の暗所に2日間、配置した。新しいシュート成長をサンプリングし、組織培養又は土壌で発根した穂木から増殖させて、個々のゲノム編集系統を単離した。
【0044】
[0052]トランスジェニック毛状根キメラ植物の生産のためのジャガイモ穂木の調製及び感染は、以下のように行った。実験のおよそ3~4週間前に、組織培養ジャガイモ小植物体を、MMS(修飾したMurashige&Skoog)培地を含むマジェンタ(商標)ボックス内で、小植物体シュート先端及び無菌技術を使用して増殖させた。組織培養ジャガイモ小植物体を16/8時間の明/暗(75ルーメン、およそ23℃)に配置した。小植物体が5節段階に達すると、完全に出現した葉の根元から4番目の節までを取り除き、完全に出現した葉の単一の節及び頂端分裂組織を残した。ジャガイモ小植物体からの穂木の挿し木は、茎の断面を横切ることによって第4節の背軸方向のシュートを切除し、切り込み端をR.リゾゲネス感染溶液に入れることによって調製した。穂木の挿し木をおよそ23℃で、およそ15分間インキュベートした。感染した切り込み端を無菌濾紙にブロットし、切り込み端を培地表面のおよそ1.5cm下に沈めることにより、MS培地を含むフィタトレイズ(商標)に配置した。フィタトレイズ(商標)を閉じ、2日間、およそ28℃で、16/8時間の明/暗(75ルーメン、およそ28℃)に配置した。およそ500mg/Lのセフォタキシム及びおよそ150mg/Lのチメンチン及び植物選択剤と共にMS培地を含むフィタトレイズ(商標)に、切り込み端を培地表面のおよそ1.5cm下に沈めることによって、感染した穂木を移した。フィタトレイズ(商標)を閉じ、およそ28℃の暗所に2日間、配置した。新しいシュート成長をサンプリングし、組織培養又は土壌で発根した穂木から増殖させて、個々のゲノム編集系統を単離した。
【0045】
[0053]MS培地(フィタトレイズ(商標)又はプレート)を作成するために、以下のプロトコル及び容量を使用して、培地の1L溶液を作成した。
1600mlのddH2O;
10gのスクロース;
4.43gのMS基礎塩+ビタミン(Phytotech、M519);
溶液を1000mlのddH2Oで容量に合わせた;
KOHの滴定によりpHを5.7に調整した;
3.58gのGelzan(商標)(Phytotech、G3251);
培地を液体サイクルで25分間オートクレーブし、55℃に冷却し、フィタトレイ(Phytatray)(商標)又は100×25mmプレートあたり100mLを注いだ。
【0046】
[0054]MMS培地(マジェンタボックス(商標))を作成するために、以下のプロトコル及び容量を使用して、培地の1L溶液を作成した。
800mlのddH2O;
25gのスクロース;
4.43gのMS基礎塩+ビタミン(Phytotech、M519);
溶液を1000mlのddH2Oで容量に合わせた;
KOHの滴定によりpHを5.7に調整した;
7.5gの寒天(Phytotech、A296);
培地を液体サイクルで25分間オートクレーブした;
0.8mlのセフォタキシム(Cefotaxime)(250mg/ml);
0.1mlの6-BAP(1mg/ml);
培地を55℃に冷却し、マジェンタボックス(商標)(Sigma、V8505)あたり100mL注いだ。
【0047】
[0055](Luria-Bertani)(LB)培地(培養管)を作成するために、以下のプロトコル及び容量を使用して、培地の1L溶液を作成した。
600mlのddH2O;
25gのLB(シグマ:L3522);
溶液は、1000mlのddH2Oで容量を調整した;
培地は、液体サイクルで25分間オートクレーブした。
【0048】
[0056]LB寒天培地(プレート)を作成するために、以下のプロトコル及び容量を使用して、培地の1L溶液を作成した。600mlのddH2O;
25gのLB(シグマ:L3522);
15gの寒天(シグマ:A5306);
溶液は、1000mlのddH2Oで容量を調整した;
培地を液体サイクルで25分間オートクレーブし、55℃に冷却し、100×15mmプレートに注いだ。
【0049】
[0057]MG(最小グロース)塩(20X)を作成するために、以下のプロトコル及び容量を使用した。
700mlのddH2O;
20gのNH4Cl;
6gのMgSO4*7H2O;
3gのKCl;
0.2gのCaCl2;
50mgのFeSO4*7H2O;
溶液は、1000mlのddH2Oで容量を調整した;
【0050】
[0058]MG(最小グロース)緩衝液(20X)を作成するために、以下のプロトコル及び容量を使用して1Lの培地を形成した。
700mlのddH2O;
60gのK2HPO4;
20gのNaH2PO4;
溶液は、100mlのddH2Oで容量を調整した。
【0051】
[0059]液体寒天培地を作成するために、以下のプロトコル及び容量を使用して1Lの培地を形成した。
700mlのddH2O;
5gのグルコース;
溶液は、1000mlのddH2Oで容量を調整した;
50mlの20x MG塩;
50mlの20X MG緩衝液;
培地を液体サイクルで25分間オートクレーブした。
【0052】
[0060]プレート寒天培地を作成するために、以下のプロトコル及び容量を使用して1Lの培地を形成した。
700mlのddH2O;
5gのグルコース;
溶液は、1000mlのddH2Oで容量を調整した;
50mlの20x MG塩;
50mlの20X MG緩衝液;
15gの寒天(シグマ:A5306);
培地を液体サイクルで25分間オートクレーブし、55℃に冷却し、100×15mmプレートに注いだ。
【0053】
[0061]アサの毛状根培地(フィタトレイズ(商標))を作成するために、以下のプロトコル及び容量を使用した。
800mlのddH2O;
30gのスクロース(Phytotech:S9378);
4.43gのMS基礎塩+ビタミン(フィトテック:M519);
溶液は、1000mlのddH2Oで容量を調整した;
KOHの滴定によりpHを5.8に調整した;
6gのアガロース(Phytotech:A6013);
培地を液体サイクルで25分間オートクレーブし、55℃に冷却し、フィタトレイ(商標)あたり100mLを注いだ。
【0054】
[0062]アサの毛状根共培養培地(プレート)を作成するために、以下のプロトコル及び容量を使用して1Lの培地を作成した。
800mlのddH2O;
30gのスクロース(Phytotech:S9378);
4.43gのMS基礎塩+ビタミン(Phytotech:M519);
溶液は、1000mlのddH2Oで容量を調整した;
KOHの滴定によりpHを5.8に調整した;
6gのアガロース(Phytotech:A6013);
培地を液体サイクルで25分間オートクレーブし、55℃に冷却し、100×25mmプレートあたり50mLを注いだ。
【0055】
[0063]
図4A及び4Bは、本開示と一致する、ジャガイモにおけるトランスジェニック毛状根の成長を例示している。特には、
図4Aは、
図3Aに関して議論したように、TALENを発現するジャガイモにおけるトランスジェニック毛状根の蛍光画像を例示している。トランスジェニック組織は、黄色蛍光タンパク質(YFP)として例示されている。
図4Bは、TALENを発現するジャガイモのトランスジェニック毛状根の蛍光画像及び白色光画像を例示している。トランスジェニック組織は、黄色蛍光タンパク質(YFP)として例示されている。
【0056】
[0064]
図5A及び5Bは、本開示と一致する、アサにおけるトランスジェニック毛状根の成長を例示している。特には、
図5Aは、
図3Aに関して議論したように、TALENを発現するアサのトランスジェニック毛状根の蛍光画像を例示している。トランスジェニック組織は、黄色蛍光タンパク質(YFP)として例示されている。
図5Bは、TALENを発現するアサのトランスジェニック根の蛍光画像及び白色光画像を例示している。トランスジェニック組織は、黄色蛍光タンパク質(YFP)として例示している。
【0057】
[0065]
図6は、本開示と一致する、トランスジェニック毛状根を有するキメラアサ植物を例示している。特には、
図6は、アサにおける毛状根を、TALENを使用せずに成長させ、mRNA及び/又はタンパク質の動きを示すために、GUSマーカーを使用した対照実験の結果を例示している。
図6に例示されるように、TALENを使用しない場合、マーカーのmRNA及び/又はタンパク質は毛状根の組織に統合され、植物の下部が青色に染色された。赤い矢印で識別される染色のいくつかのスポットは、アサ植物の葉へのマーカーmRNA及び/又はタンパク質の最小限の動きを示している。
【0058】
[0066]
図7は、本開示と一致する、トランスジェニック毛状根を有するキメラジャガイモ植物を例示している。特には、
図7は、ジャガイモの毛状根を、TALENを使用せずに成長させ、mRNA及び/又はタンパク質の動きを示すために、GUSマーカーを使用した対照実験の結果を例示している。
図7に例示するように、TALENを用いない場合は、マーカーmRNA及び/又はタンパク質が毛状根の組織に統合され、その結果、植物の下部に青色の染色が生じた。赤い矢印で識別される染色のいくつかのスポットは、アサ植物の葉へのマーカーmRNA及び/又はタンパク質の最小限の動きを示している。
【0059】
[0067]
図8A及び8Bは、本開示と一致する、キメラジャガイモ植物組織から得られたゲル電気泳動の結果を例示している。特には、
図8Aは、TALENを保有するR.リゾゲネスにさらされた植物から得られたゲル電気泳動の結果を例示しており、
図8Bは、8Aで使用されたが対照18S遺伝子を検出したサンプルから得られたゲル電気泳動の結果を例示している。
【0060】
[0068]
図8Aに例示するように、列は、キメラ植物のシュート先端の3つのサンプルをサンプリングしたもの(すなわち、「シュート先端」の下の列1、2、及び3)、トランスジェニック毛状根の3つのサンプルをサンプリングしたもの(すなわち、「根」の下の列1、2、及び3)、プラスミドの2つのサンプルをサンプリングしたもの(すなわち、「プラスミド」の下の列1及び2)、TALENを保有するR.リゾゲネスを含まない野生型植物の4つのシュート先端サンプルをサンプリングしたもの(すなわち、「野生型」の下の列1、2、3、及び4)、水の対照を使用したもののように分割された。
図8Aに例示するように、全てのシュート先端、全ての根、及びプラスミドには、TALEN配列に対応する、420塩基対での結果が含まれる。対照的に、野生型の植物と水の結果には420塩基対のシグナルが含まれていないが、これは、TALEN配列が野生型の組織又は水に存在していないことを示している。これらの結果は、本明細書で議論した例に従って、TALENを保有するR.リゾゲネスに宿主植物を感染させることによって、キメラ植物を生成できることを確証している。
【0061】
[0069]
図8Bは、別の対照実験からのゲル電気泳動の結果を例示している。列は、キメラ植物のシュート先端の3つのサンプルをサンプリングしたもの(すなわち、「シュート先端」の下の列1、2、及び3)、トランスジェニック毛状根の3つのサンプルをサンプリングしたもの(すなわち、「根」の下の列1、2、及び3)、野生型植物の4つのシュート先端サンプルをサンプリングしたもの(すなわち、「野生型」の下の列1、2、3、及び4)のように分割された。
図8Bで使用される植物組織サンプルは、8Aで使用されたものと同じであり、サンプリングされた全ての植物組織は、植物全体に渡って見られる18S遺伝子を保有している。18S遺伝子は、RT-PCRにおいて使用されるRNAサンプルの陽性対照として機能した。その結果、各サンプルは493塩基対で結果を示し、同等のRNA品質を持っていた。
図8A及び8Bに例示される結果の組み合わせは、TALENを含む発現コンストラクトを保有するR.リゾゲネスにより、mRNA及び/又はタンパク質が、本明細書で議論されるようなキメラ植物のトランスジェニック毛状根からシュート先端に移動することが可能になることを実証する。
【0062】
[0070]
図9は、本開示と一致するトランスジェニック毛状根の発生を例示している。特に、
図9は、赤い矢印によって示される、創傷部位で毛状根を形成し始めている全体のアサ実生の例を例示している。
【0063】
[0071]
図10は、本開示と一致する、キメラジャガイモ植物のシュート先端から得られたデータを例示している。特には、
図10は、キメラ植物のシュート先端におけるゲノム編集の倍増を例示している。最初の列(左から)は、CsPL007_Nos.THCキメラアサが、野生型アサに対して、シュート先端でのTHC遺伝子のゲノム編集で、8.27倍の増加を実証したことを例示しており、及び2番目の列は、CsPL007_Ubi3.THCキメラアサが、野生型アサに対して、シュート先端でのTHC遺伝子のゲノム編集で、3.05倍の増加を実証したことを例示している。3番目の列は、CsPL007_35S.PDSキメラアサが、野生型アサに対して、シュート先端でのPDS遺伝子のゲノム編集で、5.50倍の増加を実証したことを例示しており、4番目の列は、CsPL007_Nos.PDSキメラアサが、野生型アサに対して、シュート先端でのPDS遺伝子のゲノム編集で、7.67倍の増加を実証したことを例示しており、及び5番目の列は、CsPL007_Ubi3.PDSキメラアサが、野生型アサに対して、シュート先端でのPDS遺伝子のゲノム編集で、2.14倍の増加を実証したことを例示している。6番目の列は、StRR_Nos.PDSのキメラジャガイモが、野生型ジャガイモに対して、シュート先端でのPDS遺伝子のゲノム編集で、1.82倍の増加を実証したことを例示している。
【国際調査報告】