(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】エアロゾル供給デバイス
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20231024BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20231024BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521319
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2021078688
(87)【国際公開番号】W WO2022079285
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ロクトマン, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ビュロー, デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】シェリダン, ジェームズ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AC02
4B162AC22
4B162AC41
4B162AC50
4B162AD06
4B162AD23
(57)【要約】
エアロゾル供給デバイス(100)は、変動磁場を生成するための誘導コイル(216)と、エアロゾル化可能材料を含む物品(110)の少なくとも一部を受容する加熱チャンバ(202)と、基部(206)と、誘導コイルにより加熱可能な加熱要素(208)であり、基部(206)から加熱チャンバ(202)中に突き出て軸(A)を規定する、加熱要素(208)と、加熱要素(208)の温度を検知するための温度センサと、を有する加熱アセンブリ(200)と、を備え、温度センサが、加熱アセンブリ(200)の基部(206)において加熱要素(208)と接触して配置されるとともに、加熱チャンバ(202)から分離されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変動磁場を生成するための誘導コイルと、
加熱アセンブリと、
を備えたエアロゾル供給デバイスであって、
前記加熱アセンブリは、
エアロゾル化可能材料を含む物品の少なくとも一部を受容する加熱チャンバと、
基部と、
前記誘導コイルにより加熱可能な加熱要素であり、前記基部から前記加熱チャンバ中に突き出て軸を規定する、加熱要素と、
前記加熱要素の温度を検知するための温度センサであって、前記加熱アセンブリの前記基部において前記加熱要素と熱的接触して配置されるとともに、前記加熱チャンバから分離された前記温度センサと、を有する、エアロゾル供給デバイス。
【請求項2】
前記熱センサが、熱電対である、請求項1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項3】
前記熱センサを受容するセンサチャネルを前記基部に備えた、請求項1又は2に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項4】
前記センサチャネルが、前記加熱チャンバから分離された、請求項3に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項5】
前記センサチャネルが、前記加熱チャンバから流体的に隔離された、請求項4に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項6】
前記センサチャネルが、前記加熱要素の前記軸から半径方向にオフセットした、請求項3~5のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項7】
前記センサチャネルが、前記加熱アセンブリの外面から前記基部内へ半径方向に延びた、請求項3~6のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項8】
前記センサチャネルが、前記加熱アセンブリの外面から前記基部内へ軸方向に延びた、請求項3~6のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項9】
前記加熱チャンバと連通した空気通路を前記基部に備えた、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項10】
前記センサチャネルが、前記空気通路から分離された、請求項9に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項11】
前記センサチャネルが、前記空気通路から流体的に隔離された、請求項10に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項12】
前記空気通路の軸が、前記加熱要素の前記軸からオフセットした、請求項9~11のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項13】
前記空気通路が、前記基部を通って延びた単一の空気通路である、請求項9~12のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項14】
前記加熱要素が、固定部を前記基部に備え、前記センサチャネルが前記固定部と交差した、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項15】
前記温度センサが、前記サセプタの前記固定部と熱的接触した、請求項14に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項16】
前記デバイスハウジングの遠位端の開口から前記加熱アセンブリまで延びたデバイス空気通路をさらに備えた、請求項1~15のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項17】
前記少なくとも1つの誘導コイルが、別々にエネルギー供給可能な2つの誘導コイルを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項18】
前記加熱アセンブリが、前記デバイスハウジングにおいて取り外し可能に固定された、請求項1~17のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイスと、
前記エアロゾル供給デバイスの前記加熱アセンブリ内に受容された取り外し可能な物品と、
を備えたシステム。
【請求項20】
エアロゾル供給デバイス用の加熱アセンブリであって、
エアロゾル化可能材料を含む物品の少なくとも一部を受容する加熱チャンバと、
基部と、
前記基部から前記加熱チャンバ中に突き出て軸を規定する加熱要素であり、誘導コイルにより生成された変動磁場の侵入に応答して前記加熱に受容された前記物品の一部を加熱するように構成された、加熱要素と、
前記加熱要素の温度を検知するための温度センサと、
を備え、
前記温度センサが、前記加熱要素と熱的接触するとともに、前記加熱チャンバから分離された、加熱アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル供給デバイスに関する。また、本発明は、エアロゾル供給デバイス加熱アセンブリ、その形成方法、並びにエアロゾル供給デバイス及びエアロゾル生成材料を含む物品を備えたエアロゾル供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シガレット、シガー等の喫煙品は、使用中にタバコを燃焼させて、タバコ煙を生成する。燃焼なしに化合物を放出させる製品の創出によって、これらタバコを燃焼させる物品の代替物を提供しようとする試みがなされている。このような製品の例は、材料を燃焼させずに加熱することによって化合物を放出させる加熱デバイスである。この材料は、例えばタバコ又は他の非タバコ製品が考えられ、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一態様によれば、変動磁場を生成するための誘導コイルと、エアロゾル化可能材料を含む物品の少なくとも一部を受容する加熱チャンバと、基部と、誘導コイルにより加熱可能な加熱要素であり、基部から加熱チャンバ中に突き出て軸を規定する、加熱要素と、加熱要素の温度を検知するための温度センサと、を有する加熱アセンブリと、を備えたエアロゾル供給デバイスであって、温度センサが、加熱アセンブリの基部において加熱要素と熱的接触して配置されるとともに、加熱チャンバから分離された、エアロゾル供給デバイスが提供される。
【0004】
上記の一実施形態において、熱センサは、熱電対である。
【0005】
上記のいずれかの別の実施形態において、このエアロゾル供給デバイスは、熱センサを受容するセンサチャネルを基部に備える。
【0006】
上記のいずれかの別の実施形態において、センサチャネルは、加熱チャンバから分離されている。
【0007】
上記のいずれかの別の実施形態において、センサチャネルは、加熱チャンバから流体的に隔離されている。
【0008】
上記のいずれかの別の実施形態において、センサチャネルは、加熱要素の軸から半径方向にオフセットしている。
【0009】
上記のいずれかの別の実施形態において、センサチャネルは、加熱アセンブリの外面から基部内へ半径方向に延びている。
【0010】
上記のいずれかの別の実施形態において、センサチャネルは、加熱アセンブリの外面から基部内へ軸方向に延びている。
【0011】
上記のいずれかの別の実施形態において、このエアロゾル供給デバイスは、加熱チャンバと連通した空気通路を基部に備える。
【0012】
上記のいずれかの別の実施形態において、センサチャネルは、空気通路から分離されている。
【0013】
上記のいずれかの別の実施形態において、センサチャネルは、空気通路から流体的に隔離されている。
【0014】
上記のいずれかの別の実施形態において、空気通路の軸が加熱要素の軸からオフセットしている。
【0015】
上記のいずれかの別の実施形態において、空気通路は、基部を通って延びた単一の空気通路である。
【0016】
上記のいずれかの別の実施形態において、加熱要素は、固定部を基部に備え、センサチャネルが固定部と交差している。
【0017】
上記のいずれかの別の実施形態において、温度センサは、サセプタの固定部と熱的接触している。
【0018】
上記のいずれかの別の実施形態において、このエアロゾル供給デバイスは、デバイスハウジングの遠位端の開口から加熱アセンブリまで延びたデバイス空気通路を備える。
【0019】
上記のいずれかの別の実施形態において、少なくとも1つの誘導コイルは、別々にエネルギー供給可能な2つの誘導コイルを含む。
【0020】
上記のいずれかの別の実施形態において、加熱アセンブリは、デバイスハウジングにおいて取り外し可能に固定されている。
【0021】
本開示の一態様によれば、上記のいずれかに記載のエアロゾル供給デバイスと、エアロゾル供給デバイスの加熱アセンブリ内に受容された取り外し可能な物品と、を備えたシステムが提供される。
【0022】
本開示の一態様によれば、エアロゾル供給デバイス用の加熱アセンブリであって、エアロゾル化可能材料を含む物品の少なくとも一部を受容する加熱チャンバと、基部と、基部から加熱チャンバ中に突き出て軸を規定する加熱要素であり、誘導コイルにより生成された変動磁場の侵入に応答して加熱に受容された物品の一部を加熱するように構成された、加熱要素と、加熱要素の温度を検知するための温度センサと、を備え、温度センサが、加熱要素と熱的接触するとともに、加熱チャンバから分離された、加熱アセンブリが提供される。
【0023】
本発明の別の特徴及び利点については、本発明の好適な実施形態に関する以下の説明から明らかとなるであろうが、これは、添付の図面を参照しつつ、一例として示しているに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】一実施形態に係る、エアロゾル供給デバイスを示した図である。
【
図2】
図1のエアロゾル供給デバイスの断面図である。
【
図3】加熱アセンブリの一実施形態を示した図である。
【
図4】加熱アセンブリの別の実施形態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[詳細な説明]
本明細書において、用語「エアロゾル生成材料(aerosol generating material)」は、通常はエアロゾルの形態で、加熱時に揮発成分を与える材料を含む。エアロゾル生成材料には、任意のタバコ含有材料を含み、例えば、タバコ、タバコ派生物、拡張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数が挙げられる。また、エアロゾル生成材料としては、他の非タバコ製品も挙げられ、製品によっては、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。エアロゾル生成材料は、例えば固体、液体、ゲル、ワックス等の形態であってもよい。また、エアロゾル生成材料は、例えば材料の組み合わせ又は混合であってもよい。また、エアロゾル生成材料は、「喫煙材」として知られる場合もある。
【0026】
エアロゾル生成材料を加熱して当該エアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させることにより、通常はエアロゾル生成材料の燃焼(burn又はcombust)なく吸引可能なエアロゾルを形成する装置が知られている。このような装置は、「エアロゾル生成デバイス」、「エアロゾル供給デバイス」、「非燃焼加熱式デバイス」、「タバコ加熱製品デバイス」、又は「タバコ加熱デバイス」等として記載される場合がある。同様に、通常は液体の形態のエアロゾル生成材料(ニコチンを含む場合もあれば、含まない場合もある)を気化させる、いわゆるeシガレットデバイスが存在する。エアロゾル生成材料は、装置に挿入可能なロッド、カートリッジ、又はカセット等の一部の形態であってもよいし、一部として提供されるようになっていてもよい。
【0027】
エアロゾル供給デバイスは、エアロゾル生成材料を含む物品を受容して加熱することができる。これに関連して、「物品」は、使用時にエアロゾル生成材料を具備又は含有し、加熱されてエアロゾル生成材料及び任意選択として使用中の他の成分を揮発させるコンポーネントである。ユーザが物品をエアロゾル供給デバイスに挿入した後、当該エアロゾル生成デバイスが加熱されて、ユーザが後で吸引するエアロゾルが生成されるようになっていてもよい。物品は、例えば当該物品を受容するようにサイズ規定されたデバイスの加熱チャンバ内に配置されるように構成された予め定められたサイズであってもよいし、特定のサイズであってもよい。
【0028】
図1は、エアロゾル生成媒体/材料からエアロゾルを生成するエアロゾル供給デバイス100の一例を示している。概略として、デバイス100は、エアロゾル生成媒体を含む交換式物品110を加熱して、当該デバイス100のユーザが吸引するエアロゾル又は他の吸引可能媒体を生成するのに用いられるようになっていてもよい。
【0029】
デバイス100は、当該デバイス100の様々な構成要素を囲んで収容する(外カバー108を含む)ハウジング102を備える。デバイス100は、物品110を挿通して加熱アセンブリ200により加熱可能な開口104を一端に有する(
図2参照)。使用時、物品110は、加熱アセンブリ200に全部又は一部が挿入され、加熱アセンブリ200の1つ又は複数の構成要素により加熱されるようになっていてもよい。
【0030】
また、デバイス100は、ボタン又はスイッチ等、押された場合に当該デバイス100を動作させるユーザ操作可能な制御要素(図示せず)を具備していてもよい。例えば、ユーザは、スイッチの操作によって、デバイス100をオンするようにしてもよい。
【0031】
また、デバイス100は、コネクタ/ポート(図示せず)等、ケーブルを受容して当該デバイス100のバッテリを充電可能な電気的構成要素を備えていてもよい。例えば、コネクタは、USB充電ポート等の充電ポートであってもよい。いくつかの例において、コネクタは、上記の追加又は代替として、デバイス100とコンピュータデバイス等の別のデバイスとの間のデータの転送に用いられるようになっていてもよい。
【0032】
このデバイスは、動力源(図示せず)(例えば、充電式バッテリ又は非充電式バッテリ等のバッテリ)を備える。好適なバッテリの例としては、例えばリチウムバッテリ(リチウムイオンバッテリ等)、ニッケルバッテリ(ニッケルカドミウムバッテリ等)、及びアルカリバッテリが挙げられる。
【0033】
デバイス100は、一般的には生成されたエアロゾルをユーザが吸引可能な端部である近位端114と、当該デバイスの近位端114と反対端にある遠位端116と、を規定する。このデバイスは、加熱要素(
図2参照)により規定され、近位端114から遠位端116まで延びた軸Aをさらに規定する。
【0034】
図2は、線Xに沿った
図1のエアロゾル供給デバイスの断面図であって、加熱アセンブリ200の構成をより詳しく示している。
【0035】
加熱アセンブリ200は、交換式物品110がデバイス100の開口104を通じて挿入される加熱チャンバ202を備える。加熱チャンバ202は、近位端114の開口104から遠位端116に向かって軸方向に途中まで延びたチャンバ壁204により規定されている。図示の例において、チャンバ壁204は、軸Aの周りに環状であって、チャンバ202の大略円筒形状を規定する。
【0036】
加熱アセンブリ200は、チャンバ202及び壁204の軸方向遠位端すなわち下端で加熱チャンバ202の境界を示す基部206を備える。以下により詳しく説明する通り、基部206は、開口が形成された大略固体材料の部分を含む。基部206は、チャンバ壁204に接続されている。図示の例において、基部206及びチャンバ壁204は、一体的に形成されている。
【0037】
加熱アセンブリ200は、デバイス100に接続されていてもよいし、一体的に形成されていてもよい。或いは、加熱アセンブリ200は、開口104を介したデバイスからの取り出し及びデバイスへの挿入が可能であってもよく、また、如何なる既知の取り外し可能な手段によってデバイス100に固定されていてもよい。図示の例において、加熱アセンブリは、デバイスの対応する形状の凹部により受容される突起を備える。
【0038】
デバイス100は、当該デバイスの遠位端の開口122から加熱アセンブリ200まで延びて空気を加熱アセンブリ200に供給する空気通路120を備えていてもよい。
【0039】
基部206は、加熱チャンバ202の境界を示す基部206の表面から軸方向の遠位方向に延びた受容スロット214をさらに備える。図示の例において、受容スロット214は、軸Aの方向において大略矩形の断面を有する。図示の例において、受容スロットは、基部206に対して中心に配置されている。すなわち、基部206は、加熱チャンバ202の断面の中心として規定された中心点を半径方向の平面に含む。
【0040】
受容スロット214は、(後述の通り)対応する形状の構成要素が受容され得るように、加熱チャンバ202の断面積よりも小さな断面積を有する。
【0041】
加熱アセンブリ200は、チャンバ202及び基部206に一部が配設された加熱要素又はサセプタ208をさらに備える。サセプタ208は、デバイス100の遠位端から近位端の方向に、チャンバ202へ延びる方向の軸Xを規定する。サセプタ208は、ブレード210若しくは加熱部並びに固定部212を備える。固定部212は、例えば摺動締まり嵌めにて受容スロット214に受容・固定されることにより、サセプタ208を基部206に対して適所に保持する。固定部212は受容スロット214に完全に受容され、ブレード210は、サセプタ208が固定された固定部212及び基部206から近位方向に、加熱チャンバ202内へ軸方向且つ外方に延びている。以下に詳述する通り、サセプタ208の少なくとも一部には、鉄、ニッケル、又はコバルト等の強磁性材料を含むことにより、誘導によって加熱される。
【0042】
別の実施形態において、サセプタ208は、固定部212がマウント内に埋め込まれるように、基部206と一体的に形成されている。この構成は、例えば加熱アセンブリ200の射出成型により形成されるようになっていてもよい。
【0043】
ブレード210は、加熱チャンバ202内に配設されている。図示の例において、ブレード210は、チャンバ壁204から分離され、接触していない。図示の例において、ブレード210は、チャンバ202において、基部206の大略中心に配置されている。交換式物品110は、開口104を通じてデバイス100ひいてはチャンバ202に受容される場合、基部206に隣接するまで挿入可能である。サセプタ208のブレード210又は加熱部は、基部206から延びているため、挿入された交換式物品110に進入する。したがって、以下に詳述する通り、サセプタ208は、交換式物品110を内部から加熱し得る。
【0044】
図示の例において、ブレード210は、先端に向かって先細りする縁部により分離された2つの反対面を含む平坦なブレード形状を有する。平坦な表面が熱分布を改善する一方、縁部及び先端は、加熱チャンバ202に挿入された取り外し可能な物品110への容易な突き刺しを可能にする。図示していない代替例において、サセプタは、他の形状(例えば、ピン形状又はロッド形状)を有していてもよい。
【0045】
デバイス100は、1つ又は複数の誘導コイル216をさらに備える。コイルは、加熱アセンブリ200の軸方向長さの一部に沿ってチャンバ壁204の周りで螺旋状に延びることにより、加熱チャンバ202及び基部206を囲んでいる。
【0046】
コイル216は、動力源に接続されている。ユーザは、例えばユーザ操作可能な制御要素112によって、動力源がコイル216にエネルギーを供給するようにデバイス100を制御可能である。コイル216には、加熱チャンバ202に変動磁束を生成する交流電流によってエネルギーが供給される。変動磁束によって、サセプタ208及びブレード210の強磁性材料に電流が発生する。この電流によってブレード210が加熱され、これにより交換式物品110が内側から加熱されてエアロゾルが生成され、これをユーザが吸引可能となる。
【0047】
図示の例においては、別々にエネルギー供給されることで異なるレベルの磁束を提供した後、異なるレベルの加熱を与えるように構成された2つの誘導コイル216a、216bが存在する。図示の例において、2つのコイル216はそれぞれ、チャンバ202の軸方向長さのおよそ半分に沿って延びている。
【0048】
1つ又は複数の誘導コイル216a、216bは、導電材料により構成されている。本例において、誘導コイル216a、216bは、螺旋状に巻回されてヘリカルコイルを提供するリッツ線/ケーブルにより構成されている。リッツ線は、個別に絶縁され、一体的な撚り合わせによって単一のワイヤを構成する複数の個々のワイヤを備える。リッツ線は、導電体の表皮効果損を抑えるように設計されている。例示的なデバイス100において、インダクタコイル124は、断面が円形の銅リッツ線により構成されている。他の例において、リッツ線は、矩形等、他の形状の断面を有し得る。
【0049】
加熱チャンバ202に延入したサセプタ208のほか、このデバイスは、さらに付加的なサセプタを備えていてもよい。1つ又は複数の付加的なサセプタは、必要に応じて異なる構成であってもよいし、類似の構成であってもよい(例えば、ピン状、ブレード状、又はレセプタクル型等)。
【0050】
上述の通り、交換式物品110のエアロゾル生成材料をほとんど燃焼させることなく揮発させるのが望ましい。このため、サセプタ208の加熱温度を正確に制御することにより、交換式物品110に適用される温度を制御するのが望ましい。
【0051】
図3は、加熱アセンブリ200の一実施形態をより詳細に示した図である。上述の通り、サセプタ208の固定部212は、基部206に形成された受容スロット214に受容されている。基部206は、内部に形成されたセンサチャネル218をさらに備える。
【0052】
センサチャネル218は、基部206の半径方向外面220から延びている。センサチャネル218が半径方向内方へと基部206内へ延び、サセプタ208の固定部212と交差することによって、固定部212がセンサチャネル218に曝される。固定部212が受容スロット214に受容されている場合は、センサチャネルが受容スロット214と交差する。この構成により、サセプタ208の固定部212は、センサチャネル218を通じてアクセス可能である。センサチャネル218には熱センサ(図示せず)が配設され、サセプタ206と熱的接触している。いくつかの例において、この熱的接触には、熱センサとサセプタ206の一部との間の直接接触を含み得る。すなわち、熱センサの一部がサセプタの一部に直接接触する。図示の例において、熱センサは、サセプタ208の固定部212と直接接触している。
【0053】
図示の例において、センサチャネル218は、加熱アセンブリ200の外面の開口224から延びているため、熱センサをセンサチャネルに対して挿入又は取り出し可能であるとともに、熱センサとコントローラとの間の有線接続によって、温度の正確且つ高精度な測定を提供可能である。
【0054】
熱センサは、熱電対であって、特に直接接触したサセプタ208の温度の測定に特に有効である。図示の例において、センサチャネル218は、その延伸半径方向の断面が大略「W」字状であるため、熱電対型センサを小体積の基部206に収容可能である。
【0055】
使用時、熱センサは、サセプタ208の温度の測定、モニタリング、或いは検出を行う。熱センサは、デバイス100のコントローラ(図示せず)と連通して、温度データをコントローラに提供する。コントローラは、コイル216のエネルギー供給を制御可能であり、これによって温度が制御される。コントローラとしては、如何なる既知の種類も可能である(例えば、PIDコントローラ)。
【0056】
交換式物品110は、加熱された場合に、加熱チャンバ202に蓄積し得る残留副生成物を生成することが分かっている。残留副生成物は、特に熱センサ等の高感度な構成要素に望ましくない影響を及ぼし、熱センサの機能は、チャンバ202中の残留副生成物の蓄積によって損なわれ得ることがさらに分かっている。
【0057】
チャンバ202における残留副生成物に対する感度を抑えるため、センサチャネル218は、基部206に形成されることでキャビティから分離されている。センサチャネル218は、加熱チャンバ202から流体的に隔離されている。したがって、加熱チャンバ202に蓄積し得る残留物が熱センサから大きく分離されるため、残留物が熱センサに及ぼす影響が抑えられる。
【0058】
また、加熱アセンブリ200の基部206におけるセンサチャネル218の配置によれば、サセプタ208が加熱チャンバ202の中心に向かって配設され、壁204から分離されているにも関わらず、熱センサをサセプタに隣り合って配置可能となる。この配置によれば、熱センサによって、より正確且つ高精度な温度測定値を取得可能となる。センサチャネル218は、固定部212及び熱センサがともに収容され得るように、サセプタ208から半径方向にオフセットしている。
【0059】
図示のような特定の実施形態において、加熱アセンブリ200には、基部204に大略隣り合う位置で加熱チャンバ202に空気を供給する空気通路220が設けられている。図示の例において、空気通路220は、加熱アセンブリ200の基部204を通って軸方向に、開口222から加熱チャンバ202へ延びている。空気通路220及び加熱チャンバ202は、デバイスを通る空気流路を一体的に規定する。
【0060】
図示の例においては、基部206が空気通路220と受容スロット214との間の固体材料の領域を含むように、開口222がサセプタ208から半径方向に分離されている。この分離によって、受容スロット214には、サセプタ208を適所にしっかりと保持するための構造的完全性が与えられている。
【0061】
空気通路220が設けられている場合は、残留副生成物又は同様に望ましくない凝縮副生成物が空気通路220に入って、露出する構成要素に影響を及ぼす可能性があることが分かっている。このため、センサチャネル218は、加熱チャンバ202からの分離のほか、空気通路220からも分離するのが望ましいと考えられる。したがって、センサチャネル218は、空気通路220から流体的に隔離されている。この構成により、センサチャネル218は、残留物の考え得る影響からさらに保護される。
【0062】
図示の実施形態において、空気通路220は、基部206を通って中心から外れた位置に設けられている。すなわち、基部206が中心点を規定しており、空気通路220の開口222は、中心点から半径方向に分離されている。空気通路220は、センサチャネル218に対して、中心点の半径方向反対側にある。すなわち、基部206は、半径方向に分離された2つの概念的な半分の部分を規定し、一方の部分が空気通路220を含み、他方の部分がセンサチャンネル218を含む。
【0063】
空気通路の中心から外れた配置によって、センサチャネル218を基部206から分離しつつ、上述の通り、その反対側に設けることが可能となる。この構成によって、空気通路220及び熱センサの両者が分離されたまま、基部206に設けられ得る。空気通路220とセンサチャネル218との間の基部206の固体材料の領域は、空気通路220と熱センサとの間の障壁を効果的に提供する。
【0064】
図4は、デバイス100とともに用いられる加熱アセンブリ300の別の実施形態を示している。本実施形態は、
図1、
図2、及び
図3に関して記載のものと大略同じであり、基部306及び基部306から延びたサセプタ308を備えた加熱チャンバ302を含む。
【0065】
本実施形態においては、上記実施形態に関して記載の半径方向に延びたチャネルの代わりに、基部306を通って軸方向に延びたセンサチャネル318が設けられている。センサチャネル318は、上述の通り、サセプタ308の温度を検知する熱センサを受容する。センサチャネル318は、加熱アセンブリ300の外側下端(又は、遠位端)に開口324を備える。センサチャネル318は、開口324から上方又は近位方向へと軸方向に延び、加熱チャンバ302から軸方向に分離された位置で終端する。このため、基部304の材料の領域が加熱チャンバ302からセンサチャネル318を分離することから、センサチャネル318は、加熱チャンバ302から流体的に隔離されている。
【0066】
上記実施形態に関して記載の通り、チャネルは、加熱アセンブリ300の外部に開放されているため、熱センサをセンサチャネルに対して挿入又は取り出し可能であるとともに、熱センサとコントローラとの間の有線接続によって、温度の正確且つ高精度な測定を提供可能である。
【0067】
図示の実施形態においては、センサチャネル318がサセプタ308の固定部312と交差することによって、固定部312がセンサチャネル318に曝される。固定部212が受容スロット214に受容されている場合は、センサチャネルが受容スロット214と交差する。この構成により、サセプタ308の固定部312は、センサチャネル318を通じてアクセス可能である。センサチャネル218には熱センサ(図示せず)が配設され、サセプタ206と熱的接触している。図示の例において、熱センサは、サセプタ208の固定部212と直接接触している。したがって、熱センサは、固定部312との熱的接触によって、上述の通り、サセプタの温度を正確且つ高精度に測定可能である。
【0068】
一例において、サセプタ206は、大略L字状の固定部212を備えていてもよい。L字状の固定部は、ブレード208から延びた軸方向部と、軸方向部の反対端から延びた半径方向部と、を備える。熱センサは、例えばはんだ付けによって、半径方向部に取り付けられて熱的接触していてもよい。半径方向部を備えたL字状の固定部を設けることにより、組み立てが容易な堅牢且つコンパクトな様態で、熱センサを固定部に接続可能となり得る。
【0069】
上述の通り、軸方向に延びた空気通路320が中心から外れた位置に設けられている。センサチャネル318についても同様に、空気通路320から熱センサを分離して流体的に隔離しつつ、センサチャネル318及び空気通路320の両者が基部306中に設けられ得るように、空気通路320と反対の半径方向で、基部306において中心から外れた位置に配置されている。
【0070】
上記実施形態は、本発明の説明に役立つ実例として理解されるものとする。本発明の他の実施形態も考えられる。任意の一実施形態に関して記載の任意の特徴は、単独又は他の記載特徴との組み合わせで使用可能であり、また、実施形態のその他いずれか又はその任意の組み合わせの1つ又は複数の特徴との組み合わせで使用可能であることが了解されるものとする。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲に規定の上述していない同等物及び改良も採用可能である。
【国際調査報告】