(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】カラーフィードバックに基づくマスタバッチ送給制御のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20231024BHJP
C09D 17/00 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
B29C45/76
C09D17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521333
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(85)【翻訳文提出日】2023-05-22
(86)【国際出願番号】 US2021053170
(87)【国際公開番号】W WO2022076260
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520141612
【氏名又は名称】アムパセト コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リーゲルマン, バディム
(72)【発明者】
【氏名】マルガリット, イーライ
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン, ダニエル
【テーマコード(参考)】
4F206
4J037
【Fターム(参考)】
4F206AL16
4F206AP20
4F206AR20
4F206JA07
4F206JD01
4F206JF02
4F206JF06
4F206JF23
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4F206JP14
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4F206JP30
4F206JQ88
4F206JQ90
4J037AA15
4J037AA21
4J037AA22
4J037FF03
(57)【要約】
製造部品を生産するために、原料と混合され、処理機械の中に給送される、マスタバッチの濃度を調節することによって、製造部品のカラーを標的カラーに合致させるために、製造部品の生産において、カラーマスタバッチ送給率を制御するためのシステムおよび方法が、提供される。カラーマスタバッチ送給率の制御は、インライン製造部品の光学スペクトル性質、標的カラーを有する既知の基準部品、およびカラーマスタバッチ送給率を計算および調節するためのアルゴリズムに基づく。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造部品の生産におけるカラーマスタバッチ送給率を制御するための方法であって、
a)いかなる着色添加剤も伴うことなく、前記製造部品の原料に基づいて、製造部品の光学スペクトル性質を決定することと、
b)前記製造部品への適用のための標的カラーの光学スペクトル性質を決定することと、
c)前記標的カラーの前記光学スペクトル性質に対する前記製造部品の前記光学スペクトル性質の関係に基づいて、少なくとも1つの顔料制御パラメータを決定することと、
d)前記原料およびカラーマスタバッチを備える混合材料から、前記製造部品を生産するために、前記現在の顔料送給率を用いて、前記製造部品の生産を実行することであって、前記カラーマスタバッチは、第1のマスタバッチ送給率において、前記原料と混合するために送給される、ことと、
e)前記混合された材料から生産される前記製造部品のカラーが、前記標的カラーと合致するかどうかを決定するために、前記混合された材料から生産される前記製造部品の光学スペクトル性質を査定することと
を含み、
前記混合された材料から生産される前記製造部品の前記カラーが、前記標的カラーと合致すると決定される場合、第1の顔料送給率において送給される前記カラーマスタバッチを用いて、前記製造部品の後続の生産工程を実施することに進み、
前記混合された材料から生産される前記製造部品の前記カラーが、前記標的カラーと合致しない場合、前記少なくとも1つの顔料制御パラメータに基づいて、前記顔料送給率を調節し、前記製造部品のカラーが、前記標的カラーと合致すると決定されるまで、ステップ(d)およびステップ(e)を繰り返す、方法。
【請求項2】
ステップ(a)における、前記製造部品の光学スペクトル性質を決定することは、前記製造部品の明度性質および彩度性質を決定することを含み、
ステップ(b)における、前記標的カラーの光学スペクトル性質を決定することは、前記標的カラーの明度性質および彩度性質を決定することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(c)における、前記顔料制御パラメータの選択は、前記製造部品と前記標的カラーとの前記明度性質および彩度性質の比較に基づく、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記製造部品および前記標的カラーの前記明度性質の比較は、前記製造部品の明度値を、閾値明度として設定することと、前記標的カラーの明度値が、前記閾値明度よりも高いかまたは低いかを決定することとを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記標的カラーの明度が、前記閾値明度より低いとき、前記顔料制御パラメータとして、顔料分率の単位あたりの明度変化率dL/dc(%)を選択し、
前記標的カラーの明度が、前記閾値明度より高いとき、前記製造部品と前記標的カラーとの前記彩度性質の比較に基づいて、顔料制御パラメータを選択する、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
明度性質の比較に基づいて、前記顔料制御パラメータとして、色素の単位あたりの明度変化率dL/dc(%)を選択するとき、顔料濃度に対する負の相関の制御パラメータとして、前記顔料制御パラメータdL/dc(%)を設定する、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記製造部品と前記標的カラーとの前記彩度性質の比較に基づいて、顔料制御パラメータを選択することは、閾値彩度として、前記標的カラーの彩度値を設定することと、前記製造部品の彩度値が、前記閾値彩度よりも高いかまたは低いかを決定することとを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記製造部品の彩度が、前記彩度閾値より高いとき、前記顔料制御パラメータとして、顔料分率の単位あたりの彩度変化率dC/dc(%)を選択し、
前記製造部品の彩度が、前記彩度閾値より低いとき、前記顔料制御パラメータとして、顔料分率の単位あたりの明度変化率dL/dc(%)を選択する、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
彩度性質の比較に基づいて、前記顔料制御パラメータとして、色素の単位あたりの彩度変化率dC/dc(%)を選択するとき、顔料濃度に対する正の相関の制御パラメータとして、前記顔料制御パラメータdC/dc(%)を設定する、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
彩度性質の比較に基づいて、前記顔料制御パラメータとして、色素の単位あたりの明度変化率dL/dc(%)を選択するとき、顔料濃度に対する正の相関の制御パラメータとして、前記顔料制御パラメータdL/dc(%)を設定する、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(c)における、顔料制御パラメータを選択した後、前記選択された顔料制御パラメータを、少なくとも1つの適合曲線値によって正規化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(d)に先立って、より高い顔料濃度におけるカラー飽和を考慮するために、前記選択された顔料制御パラメータをオフセットするための事前に定義されたオフセットパラメータを設定することをさらに含み、前記オフセットパラメータは、前記混合された材料から生産される前記製造部品のカラーが、前記標的カラーと合致しないことが、ステップ(e)において決定されるとき、前記カラーマスタバッチ送給率の低減を引き起こすために、前もって決定される、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
フィードバック制御ループから不安定性を排除するために、前記顔料制御パラメータに関する制限を設定することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(a)における、前記製造部品の光学スペクトル性質を決定することは、いかなる着色添加剤を伴わない原料から、製造部品を生産することと、
分光計を用いて、前記製造部品の前記光学スペクトル性質を測定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(a)における、前記製造部品の光学スペクトル性質を決定することは、混合システムのコントローラのメモリ内に記憶される事前に記録されたテーブル形式のデータから、前記製造部品の前記光学スペクトル性質を推定することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(b)における、前記標的カラーの前記光学スペクトル性質を決定することは、分光計を用いて、前記標的カラーを有する基準部品の前記光学スペクトル性質を測定することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(b)における、前記標的カラーの前記光学スペクトル性質を決定することは、混合システムのコントローラのメモリ内に記憶される事前に記録されたテーブル形式のデータから、前記標的カラーの前記光学スペクトル性質を推定することを含む、
請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用材料処理機の中への添加剤材料の分注のためのシステムおよび方法に関する。具体的には、本発明は、その中にカラーマスタバッチが、添加される、製造部品のスペクトル性質のインライン測定に基づいて、着色添加剤材料(カラーマスタバッチ)の送給を最適化するためのシステムおよび方法、およびインライン測定に基づいた、カラーマスタバッチ送給の制御を開示する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは、現在のところ、一見したところ、無限の数の製品の製造のための選定材料である。これらの製品は、様々な産業プロセス、例えば、射出成型、吹出成型、押出成型、および3D印刷によって生産される。これらの機械は、小さなビーズ、着色剤、および他の添加剤(例えば、紫外線防止剤)の形態で、概して、ポリマー(一般的に、業界内では、樹脂、原料、または未加工物と称される)の混合物である材料流から、製造部品を生産する。混合された材料流における、着色剤および他の添加剤は、通常、マスタバッチ、粉末、または濃縮液体として供給される。マスタバッチは、顔料および/または添加剤を加熱し、担体樹脂内にそれをカプセル化し、次いで、担体樹脂を冷却し、それを大量の顆粒に切断することによって、生産プロセスに先立って生産される、顔料および/または添加剤の濃縮された混合物である。
【0003】
プラスチック製品の製造において着目される標的性質の中でもとりわけ、標的カラーの正確かつ信頼可能な生産は、とりわけ、困難である。従来、プラスチック製品は、顔料の濃縮された混合物を伴うマスタバッチ(カラーマスタバッチ)を、そのプラスチック製品を形成するための原料の中に送給することによって作製されるカラーを伴って形成され、最終的な製造部品の正確な色合は、原料の中に送給されるカラーマスタバッチの組成および量に依存する。システムの持続的に正確な制御は、標的カラーを確実に、かつ一貫して獲得するために、プラスチック部品の生産全体を通して要求される。
【0004】
原料の中に送給されるカラーマスタバッチの量と最終製品の結果として生じるカラーとの間の相関は、複数のパラメータの関数であり、カラーマスタバッチの放出に対する調節を通して、結果として生じるカラーの正確かつ効率的な制御は、困難なタスクである。当該技術の現在の状態では、最終プラスチック製品において、標的カラーを達成するために、カラーマスタバッチの放出を制御するためのシステムは、各一意の設定に特有の精密な較正を伴う、複雑な設定を要求する。例えば、従来のシステムは、概して、製造部品の意図される幾何学形状および表面性質、製造部品を形成する際に使用されることになる原料のタイプ、および製造部品を着色する際に使用されることになる具体的な顔料、および各顔料の濃度に関する詳細を要求する。
【0005】
標的カラーを伴うプラスチック部品の生産への現在のアプローチは、所定のカラー調合(顔料のタイプおよびそれらの相対濃度)、または別個の顔料の送給率パラメータにわたる制御を伴う、原料に添加されることになる各顔料の濃度を評価するためのカラー合致ソフトウェアの使用を含む。別のアプロ―チは、試行錯誤式のものであり、本場合では、変動する顔料濃度を伴う試用サンプルを生産するために、試運転が、前もって実施され、種々の試運転サンプルの結果として生じる色合を測定し、次いで、測定されたデータを使用し、後続の生産工程を制御するために、経験的な設定点を決定し、制御パラメータをフィードバックする。
【0006】
これまでに使用された方法は、それらの実践的な実用性において限定される。具体的な顔料調合は、常時、入手可能である、または別様に生産プラントに開示されるとは限らない。試行錯誤アプローチは、概して、それらが、労働集約的であり、必然的に、無駄な材料および時間を結果としてもたらすため、望ましくなく、これはさらに、生産プラントが、いくつかの異なる生産部品間および/または共通の生産部品のカラーバリエーション間で急速に変更させているときに複雑化される。
【0007】
カラーマスタバッチの適切な顔料パラメータを決定する際の前述の欠陥に加えて、さらなる複雑性が、プラスチック部品の生産のための原料の中へのカラーマスタバッチの正確な送達において生じる。従来のプラスチック処理システムは、原料と混合するためのマスタバッチの標的量を正確に分注するために、体積測定送給機および/または重量測定送給機を使用し、1つまたはそれを上回るそのような送給機は、一般的に、システムの注入口のスロート区分に配設される。これらの送給機タイプは両方とも、欠点を有する。
【0008】
体積測定送給機は、事前に定義された体積のマスタバッチを混合機の中に放出することによって動作する。これらの送給機は、スクリュの回転速度に基づいて、マスタバッチの分注体積を容易に較正するために、送給スクリュとともに併用され得るという点において、単純性という利点を提供する。しかしながら、体積測定送給機は、体積測定単独への依拠が、例えば、マスタバッチの別個のサイクルが、密度、顆粒サイズ、または他の重量改変パラメータにおいて、相互に変動するとき、連続的サイクルにおいて放出されるマスタバッチの実際の重量において、大きな相違を結果として容易にもたらし得るため、単純性のために、正確度を侵害する。
【0009】
重量測定送給機は、概して、その測定された重量に基づいて、マスタバッチを放出することによって動作する。これは、典型的には、計量機構および制御システムをマスタバッチ送給スクリュに追加し、放出されたマスタバッチの正確な重量を周期的に測定することによって行われる。制御システムは、次いで、測定された重量および所定の設定点との間の差異を使用し、設定点によって定義される正確な量において、通常、時間あたり質量の単位または原料の割合の観点において、マスタバッチの放出を制御するための誤差信号を決定し得る。重量測定送給機は、概して、体積測定送給機と比較して、より高い正確度を提供し得、これは、改良された材料効率およびマスタバッチの節約を結果としてもたらす。重量測定送給機の実施例は、米国第5,103,401号(Johnson)、米国第6,688,493B2号(Margalit)、および米国第6,966,456B2号(Margalit)に開示されており、そのそれぞれの内容および開示全体が、本明細書に組み込まれる。
【0010】
体積測定送給機および重量測定送給機は両方とも、両方の送給機タイプが、経験的な設定点(例えば、所定の体積または重量)に基づいて、マスタバッチを放出するように動作するという点において、欠陥を提示し、これは、所定の設定点によって適正に考慮されない、マスタバッチまたはベース樹脂の1つまたはそれを上回る他の性質における相違に基づいて、標的外の性質を有する、下流混合物を結果として容易にもたらし得る。
【0011】
当技術分野におけるこれまでに提供された進歩にもかかわらず、最新技術をなおもさらに進歩させ、正確かつ確実に一貫した標的カラーを伴う、プラスチック製品の製造を改良するために、プラスチック生産システムに対する改良の必要性が、依然として存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
製造部品の生産における、カラーマスタバッチ送給率を制御するための方法は、
a)いかなる着色添加剤も伴うことなく、製造部品の原料に基づいて、製造部品の光学スペクトル性質を決定するステップと、
b)製造部品への適用のための標的カラーの光学スペクトル性質を決定するステップと、
c)標的カラーの光学スペクトル性質に対する製造部品の光学スペクトル性質の関係に基づいて、少なくとも1つの顔料制御パラメータを決定するステップと、
d)原料およびカラーマスタバッチを備える混合材料から、製造部品を生産するために、現在の顔料送給率を用いて、製造部品の生産を実行するステップであって、カラーマスタバッチは、第1のマスタバッチ送給率において、原料と混合するために送給される、ステップと、
e)混合された材料から生産される、製造部品のカラーが、標的カラーと合致するかどうかを決定するために、混合された材料から生産される、製造部品の光学スペクトル性質を査定するステップと
を含み、
混合された材料から生産される、製造部品のカラーが、標的カラーと合致すると決定される場合、第1の顔料送給率において送給される、カラーマスタバッチを用いて、製造部品の後続の生産工程を実施するステップに進み、
混合された材料から生産される、製造部品のカラーが、標的カラーと合致しない場合、少なくとも1つの顔料制御パラメータに基づいて、顔料送給率を調節し、製造部品のカラーが、標的カラーと合致すると決定されるまで、ステップ(d)およびステップ(e)を繰り返す。
【0013】
ステップ(a)における、製造部品の光学スペクトル性質を決定するステップは、製造部品の明度性質および彩度性質を決定するステップを含み、これは、いかなる着色添加剤も伴わない原料から、製造部品を生産するステップと、分光計を用いて、製造部品の光学スペクトル性質を測定するステップ、または混合システムのコントローラのメモリ内に記憶される、事前に記録されたテーブル形式のデータから、製造部品の光学スペクトル性質を推定するステップとを含んでもよい。
【0014】
ステップ(b)における、標的カラーの光学スペクトル性質を決定するステップは、標的カラーの明度性質および彩度性質を決定するステップを含み、これは、分光計を用いて、標的カラーを有する基準部品の光学スペクトル性質を測定するステップ、または混合システムのコントローラのメモリ内に記憶される、事前に記録されたテーブル形式のデータから、標的カラーの光学スペクトル性質を推定するステップを含んでもよい。
【0015】
ステップ(c)における、1つまたはそれを上回る顔料制御パラメータの選択は、製造部品と標的カラーとの明度性質および彩度性質の比較に基づく。製造部品と標的カラーとの明度性質の比較は、製造部品の明度値を、閾値明度として設定するステップと、標的カラーの明度値が、閾値明度よりも高いか、または低いかを決定するステップとを含む。製造部品と標的カラーとの彩度性質の比較は、標的カラーの彩度値を、閾値彩度として設定するステップと、製造部品の彩度値が、閾値彩度よりも高いか、または低いかを決定するステップとを含む。
【0016】
標的カラーの明度が、閾値明度より低いとき、明度Lは、顔料濃度に対する負の相関を伴う、顔料制御パラメータとして選択される。標的カラーの明度が、閾値明度より高いとき、顔料制御パラメータは、製造部品と標的カラーとの彩度性質の比較に基づいて、選択される。
【0017】
製造部品の彩度が、彩度閾値より高いとき、彩度Cは、顔料濃度に対する正の相関を伴う、顔料制御パラメータとして設定される。製造部品の彩度が、閾値彩度より低いとき、明度Lは、顔料濃度に対する正の相関を伴う、顔料制御パラメータとして設定される。
【0018】
全てのカラーに関する送給率制御パラメータの単一のセットを有効にするためには、正または負のCまたはL誤差(基準部品と測定された部品との間の値の差異)のいずれかである、制御パラメータを正規化する必要性が存在する。顔料制御パラメータが、ステップ(c)において選択された後、顔料制御パラメータは、Cにおける一定の変化が、制御パラメータの同様の変化を結果としてもたらすような方法で、少なくとも1つの適合曲線値によって正規化される。標的カラーの標的顔料濃度よりも高い顔料濃度を伴って開始されるであろう、生産工程を実行するとき、事前に定義されたオフセットパラメータが、より高い顔料濃度におけるカラー飽和を考慮するために、選択された顔料制御パラメータをオフセットするために設定され、オフセットパラメータは、混合された材料から生産される、製造部品のカラーが、標的カラーと合致しないことが、ステップ(e)において決定されるとき、カラーマスタバッチ送給率の低減を引き起こすために、前もって決定される。顔料制御パラメータはさらに、フィードバック制御ループからの不安定性を排除するために、所定の限界値によって限定される。
【0019】
前述の概要および以下の詳細な説明は両方とも、単に例示的かつ説明的であり、請求されるように、本発明のさらなる解説を提供することが意図される。付随の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、本発明の実施形態を図示し、説明とともに、本発明の原理を解説する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明のさらなる特徴および利点が、下記に説明される図面と関連して提供される、以下の詳細な説明から確認されることができる。
【0021】
【
図1】
図1は、本発明による、射出成型機のための、組み合わせられた色測定および重量測定添加剤送給機システムを図式的に示す。
【
図2a】
図2aは、例示的原料および顔料タイプのための顔料濃度の増加量に関する、La
*b
*色座標のカラー3D図を示す。
【
図2b】
図2bは、例示的原料および顔料タイプのための顔料濃度の増加量に関する、La
*b
*色座標のa
*値およびb
*値のカラー図を示す。
【
図2c】
図2cは、例示的原料および顔料タイプのための顔料濃度の増加量に関する、La
*b
*色座標の彩度(C)値および明度(L)値のカラー図を示す。
【
図3a】
図3aは、増加する顔料濃度に関する、La
*b
*色座標の明度(L)値および彩度(C)値を示す。
【
図3b】
図3bは、顔料濃度とともに変動する、明度(L)値および彩度(C)値を示す。
【
図4】
図4a-4bは、3つの異なる顔料に関して、明度(L)値および彩度(C)値対ベース樹脂との混合物における顔料の分率を示す。
【
図5】
図5a-5bは、添加される顔料を伴わないベース樹脂から作製される3つの異なる部品に関して、明度(L)値および彩度(C)値対混合物における顔料の分率を示す。
【
図6】
図6は、多くの異なる顔料およびそれらの混合物から結果として生じる様々なカラーに関して、増加される顔料に伴う、彩度の変化を示す。
【
図7】
図7a-7bは、多くの異なる顔料およびそれらの混合物から結果として生じる、様々なカラーに関して、添加された顔料に伴う彩度(C)値および明度(L)値対基準カラーの彩度値の変化を示す。
【
図8a】
図8a-8bは、閾値彩度C
0と閾値明度L
0とのそれらの関係によって群に分割された、多くの異なる顔料およびそれらの混合物から結果として生じる、様々なカラーに関して、顔料が添加されるにつれた、彩度(C)値および明度(L)値における変化を示す。
【
図8b】
図8a-8bは、閾値彩度C
0と閾値明度L
0とのそれらの関係によって群に分割された、多くの異なる顔料およびそれらの混合物から結果として生じる、様々なカラーに関して、顔料が添加されるにつれた、彩度(C)値および明度(L)値における変化を示す。
【
図9-1】
図9a-9dは、
図8からのデータの投影図を示し、最適な顔料制御パラメータが、閾値彩度値C
0と閾値明度値L
0とのそれらの関係によって分割された、各カラー群に関して識別される。
【
図9-2】
図9a-9dは、
図8からのデータの投影図を示し、最適な顔料制御パラメータが、閾値彩度値C
0と閾値明度値L
0とのそれらの関係によって分割された、各カラー群に関して識別される。
【
図10】
図10a-10bは、標的顔料濃度よりも低い顔料濃度から開始するときの、制御プロセスおよび顔料制御パラメータに伴う関連するカラーパラメータにおける変化を示す。
【
図11】
図11a-11bは、標的顔料濃度よりも高い顔料濃度から開始するときの、制御プロセスおよび顔料制御パラメータに伴う関連するカラーパラメータにおける変化を示す。
【
図12】
図12は、マスタバッチ送給率を制御するための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
以下の開示は、付随の図面に示される実施例を参照して、本発明を議論するが、本発明をそれらの実施例に限定するものではない。
【0023】
本明細書に提供される、あらゆる実施例、または例示的用語(例えば、「等(such as)」)の使用は、単に、本発明をより深く解明することが意図され、別様に請求されない限り、本発明の範囲に限定をもたらすことはない。本明細書内の用語は、任意の請求されない要素を、本発明の実践にとって不可欠である、または別様に必須であるものとして示すものとして、解釈されるべきではない。文脈上、明白ではない限り、
【0024】
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、別様に文脈上明白に示されない限り、複数の指示物を含む。別様に文脈によって指示されない限り、用語「または(or)」は、包括的な「または(or)」として理解されるべきである。「第1(first)」、「第2(second)」、「第3(third)」等の用語は、複数のデバイスまたは要素を説明するために使用されるとき、別個のデバイスの相対的なアクション、位置付け、および/または機能を伝達するためにのみ、そのように使用され、そのようなデバイスまたは要素のための具体的な順序、またはそのようなデバイスまたは要素の任意の具体的な数量または順位付けのいずれも強制しない。
【0025】
用語「実質的に(substantially)」は、任意の性質または状況に対して本明細書で使用されるように、識別された性質または状況から著しく逸脱しないように十分に小さい偏差の程度を指す。所与の状況において許容可能な偏差の正確な程度は、当業者によって理解されるであろうように、具体的な文脈に依存するであろう。
【0026】
用語「約(about)」または「約(approximately)」の使用は、個別の文脈において当業者によって理解されるであろうように、記述された値または範囲を上回るおよび/または下回る値を説明することが意図される。いくつかの事例では、これは、約+/-10%の範囲内の値を網羅してもよい。他の事例では、約+/-5%の範囲内の値が網羅されてもよい。さらなる他の事例では、約+/-2%の範囲内の値が、網羅されてもよい。なおもさらなる事例では、これは、約+/-1%の範囲内の値を網羅してもよい。
【0027】
用語「~を備える(comprises)」および/または「~を備える(comprising)」は、本明細書で使用されるとき、記述される特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を規定するが、本明細書に指示されない限り、または別様に文脈によって明確に矛盾しない限り、1つまたはそれを上回る他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはその群の存在または追加を除外しないことが理解されるであろう。
【0028】
本明細書の値の範囲の列挙は、別様に指示されない限り、記述される範囲内にある各別個の値を個別に参照するための省略表現としての役割を果たし、範囲の終点と、範囲内の各別個の値と、全体的な範囲によって包含される全ての中間範囲とを含み、それぞれが、本明細書で個々に列挙される場合と同様に、本明細書に組み込まれる。
【0029】
別様に指示されない限り、または文脈によって明確に矛盾しない限り、本明細書に説明される方法は、任意の中間ステップを伴わない、または開示されるステップの間に差し挟まれる1つまたはそれを上回るさらなるステップを伴う、開示される精密な順序、開示されるステップが、開示される正確な順序以外の順序で実施される状態、1つまたはそれを上回るステップが、同時に実施される状態、1つまたはそれを上回る開示されるステップが、省略される状態を含む、任意の好適な順序で実行される、個々のステップを伴って実施されることができる。
【0030】
本明細書では、用語「マスタバッチ」は、1つまたはそれを上回る顔料等の着色添加剤材料を含有する、添加剤材料の送給流を指す。以下の開示は、用語「マスタバッチ(masterbatch)」および「カラーマスタバッチ(color masterbatch)」の変化形を同義的に使用し得るが、本明細書で参照される全てのマスタバッチが、着色添加剤を含むであろうが、また、付加的な非着色添加剤も含み得ることが理解されるであろう。
【0031】
本明細書では、用語「送給機構(feeding mechanism)」およびその変化形は、ある量の材料流(例えば、マスタバッチ流、原料流、混合された材料流等)を送給するための機構を指し、限定ではないが、スクリュと、オーガと、ベルトコンベヤと、振動撹拌機と、同等物とを含み得る。
【0032】
本明細書では、用語「処理機(processing machine)」およびその変化形は、材料流から製造部品を生産するための任意の機械を指し、限定ではないが、射出成型機と、吹出成型機と、押出成型機と、3D印刷機とを含み得る。
【0033】
本発明は、製品製造ラインにおけるカラーマスタバッチの制御された送給を通して、製造部品の色素を制御するためのシステムおよび方法を含む。本発明のシステムおよび方法は、概して、製造部品のスペクトル性質のインライン測定、製造部品の測定されたスペクトル性質と基準部品のスペクトル性質との比較、比較結果からの制御パラメータ(例えば、顔料制御パラメータ)の決定、および決定された制御パラメータに基づく1つまたはそれを上回る送給機構の制御に基づいて動作する。
【0034】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、製造部品および基準部品の無較正微分測定を実施するための分光計を組み込むものを含み、それによって、制御パラメータに基づいて、システムの調節を前もって要求することなく、製造部品の顔料制御を有効にする。そのような分光器、およびマスタバッチ送給制御において、それを動作させる方法は、第WO2015/118535号(Regelman, et al.)に開示されており、その開示および内容全体が、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0035】
図1は、本発明による、重量測定添加剤混合システム100を図式的に示す。システム100は、製造部品40を生産するための処理機30と組み合わせて示されている。システム100において、コントローラ10が、製造部品40を生産するための混合された材料流をもたらすために、原料ホッパ21から分注される、原料流と混合するために、マスタバッチをスロート区分22の中に送達するための送給機構14を制御するために使用される。原料流と混合させるステップに先立って、マスタバッチは、マスタバッチ容器11からマスタバッチホッパ12の中に引き出され、そこで、重量減算式天秤13を用いて計量される。原料流の中へのマスタバッチの分注は、混合された材料流を、次いで、混合された材料を使用し、製造部品40を生産する、処理機30に送達する、送給機構23(例えば、送給スクリュ)の動作と同期される。
【0036】
システム100は、大きなバルク体積流、または小さな離散体積流のいずれかで、原料流の中へのマスタバッチの送達を制御するために使用されてもよく、これは、本質的に一列において、1つずつ、マスタバッチの個々のペレットを分注するステップを含んでもよい。マスタバッチの離散体積流を分注するとき、個々のマスタバッチペレットの最小限の重量に起因して、単一のサイクルにおいて、送給機構を通して送給される、離散部分を計量することは、大抵の場合、非実践的である。離散部分を計量するステップはさらに、システム100自体の動作からの振動、および他の近傍システムの動作からの振動、および周囲の環境内の雑音等の干渉によって、複雑化される。システム100は、重量減算式天秤13とコンピュータ10との間で、閉ループフィードバック動作を使用することによって、そのような干渉を補償し、重量減算式動作を通して、送給機構14によって分注される、離散部分の重量を制御する。これは、所与の時間間隔にわたって、所定の重量を伴うマスタバッチの量を分注するために、マスタバッチホッパ12内の複数の分注された離散部分を、重量減算式天秤13を用いて計量し、測定された重量を分注された離散部分の数によって除算し、送給機構14のモータを制御することによって行われる。
【0037】
本発明によるシステムは、クベルカムンク(K-M)放射伝達モデルの使用を通して、所与の濃度のカラーマスタバッチの添加から結果として生じるであろう、製造部品のカラーを予測し得る。K-Mモデルによると、反射R(λ)および透過T(λ)等の製造部品のスペクトル性質は、製造部品を生産するための顔料および原料の両方の吸光k(λ)係数および散乱s(λ)係数、および製造部品の厚さに依存する。
【0038】
製造部品を生産するために使用される材料が、個別の吸光係数および散乱係数k
0(λ)およびs
0(λ)を有する原料とともに、個別の吸光係数および散乱係数k(λ)およびs(λ)を伴う複数の顔料の混合物であると仮定すると、混合された材料の結果として生じる添加剤の吸光K(λ)および散乱S(λ)は、以下のように表され得る。
【化1】
式中、c
1、c
2、...、c
nは、個々の添加剤材料の濃度であり、c
0は、ベース原料の濃度である。
【0039】
K-Mモデルによると、無限に厚い材料の光学スペクトルに関する、反射(R
∞)および透過(T
∞)は、以下のように表される。
【化2】
有限の厚さの材料に対する、反射(R
0)および透過(T
0)は、以下のように表される。
【化3】
式中、zは、物理的厚さDに基づいた、材料の光学的厚さであり、以下のように表される。
【化4】
【0040】
反射(R0)および透過(T0)性質は、参照することによって本明細書に組み込まれる、第WO2015/118535号(Regelman, et al.)に開示されるもの等の色座標変換の周知のプロセスに従って、色座標(例えば、xyY、Lab、Luv、HSV、sRGB、XYZ等)に変換されてもよい。
【0041】
図2a-2cは、プラスチック製造部品の生産において使用され得る、材料混合物に関する、La
*b
*モデル結果の実施例を示し、本事例では、顔料黄色14およびTiO
2の等価分率と混合される、ポリプロピレンベース樹脂である。これらのモデルでは、個々のデータ点は、円点「○」によって表され、黒色(0)と白色(100)との間の明度(L)と、緑色(-)と赤色(+)と間のカラーチャネルを測定する、緑色-赤色スケール(a
*)と、青色(―)と黄色(+)との間のカラーチャネルを測定する、青色-黄色スケール(b
*)と、色素の鮮明性を表す、彩度(c)と、全体的な顔料濃度(c)とに基づいてマッピングされる。これらの図内の連続的な円点はそれぞれ、顔料の0.01%の差異を表す。
【0042】
図2aは、La
*b
*色座標の3次元カラー図を示す。飽和が、生じ、顔料濃度における連続的な変化毎の色合において、比較的より少ない変化が、観察される、より高い顔料濃度
【化5】
と比較して、低い顔料濃度
【化6】
では、顔料濃度(c)における連続的変化毎の製造部品の色合において、比較的実質的な変化が観察される。
図2bは、
図2aのLa
*b
*色座標に対応する、カラースケールa
*およびb
*のカラー図を示し、
図2cは、
図2aのLa
*b
*色座標に対応する、明度(L)値および彩度(C)値のカラー図を示す。
図2b-
図2cに示されるように、カラーパラメータは、顔料濃度(c)とともに、非線形かつ非単調に変動し、色合、ベース樹脂、および顔料濃度毎に特有の係数によって正規化される、制御パラメータを使用しない場合、顔料送給率を制御するための顔料制御パラメータとしてのそれらの直接使用を非実践的なものにする。
【0043】
図3aは、
図2に示される実施例からの増加する顔料濃度c(%)に関するLa
*b
*色座標の明度(L)値および彩度(C)値を示し、
図3bは、
図3aのデータに関して、顔料濃度率c(%)の単位あたり明度(L)における変化および彩度(C)における変化として、対応する明度および彩度の傾き値(一次微分係数)を示す。本実施例では、明度(L)および彩度(C)は両方とも、顔料濃度c(%)における変化に同様に応答し、両方とも、顔料濃度が、増加するにつれて、明度および彩度が両方とも、増加するという点において、顔料濃度における変化に対して正の相関を表示し(
図3a)、両方とも、付加的な顔料が、より低い顔料濃度において添加されるとき、比較的大きな変化を表示し、付加的な顔料が、より高い顔料濃度において添加されるとき、比較的より小さな変化を表示する(
図3b)。
【0044】
図3a-3bに示されるもの等の事例では、製造部品の生産において顔料濃度をもたらすためのカラーマスタバッチの送給率は、正の相関を伴う、顔料制御パラメータとして、明度(L)または彩度(C)のいずれかを使用することによって制御され、マスタバッチ送給率に対する増加が、明度および彩度を増加させ、マスタバッチ送給率に対する減少が、明度および彩度を減少させるであろうことを意味し得る。しかしながら、以下の実施例において議論されるように、明度または彩度のいずれかが、製造部品の顔料を制御するための他のものよりも有効であり得る事例が、存在し得、相関符号は、具体的な色合に依存するであろう。
【0045】
第1の事例では、比較的飽和された濃度(厚さ数mmを有する部品において、c>1%)を伴う、鮮やかな色合(例えば、橙色)に関しては、混合物の彩度値は、比較的低くあり得、「明るい」顔料の連続的な添加が、彩度値を大幅に増加させ得る。そのような事例では、彩度は、正の相関を伴う、カラーマスタバッチの分注を制御するための顔料制御パラメータとして、使用されてもよい。しかしながら、第2の事例では、白色顔料に関しては、彩度値が、顔料濃度にかかわらず、ゼロ近傍であり続け得るが、明度値は、顔料の連続的な添加に伴って、大幅に増加し得る。そのような事例では、明度は、正の相関を伴う、カラーマスタバッチの分注のための顔料制御パラメータとして、使用されてもよい。
【0046】
別の実施例では、明度値(L=30)を伴う、顔料を実質的に有しない、純粋な樹脂原料から生産されることになる比較的不透明な部品への濃緑色顔料の添加に関する事例が、存在し得る。そのような実施例では、濃緑色顔料の連続的な添加は、彩度値に対する適度な変化をもたらし得るが、ある顔料濃度を超過することに応じて、相関における可能性として考えられる変化を伴う。例えば、初めは、顔料の連続的な添加は、彩度に対する増加を結果としてもたらし得るが、ある顔料濃度に到達した後、顔料のさらなる添加は、次いで、彩度に対する減少を結果としてもたらし得る。これはまた、濃緑色顔料が、連続的に添加されるにつれて、製造部品が、より暗くなり、明度が、持続的かつ急速に減少されるであろう事例でもあり得る。そのような事例では、明度は、カラーマスタバッチの分注を制御するための顔料制御パラメータとして使用され得るが、負の相関を伴い、顔料濃度が、増加するにつれて、明度が、減少し、顔料濃度が、減少するにつれて、明度が、増加するであろうことを意味する。
【0047】
図4a-4bは、3つの異なる顔料が、ベース樹脂に添加される、3つの実施例からのデータを示し、顔料濃度(c)における変化への明度(L)および彩度(C)の依存関係の観察を伴う。これらの図では、直線401は、顔料黄色14(50%)+TiO
2(50%)の第1の混合物に対応する。直線402は、顔料黄色17の第2の混合物に対応する。直線403は、顔料緑色7に対応する。再度、明度(L)および彩度(C)に対する比較的大きな変化は、概して、より低い顔料濃度における顔料の添加に伴って観察されるが、より高い顔料濃度における顔料の添加は、比較的より小さな変化をもたらす。
【0048】
混合物401に関しては、顔料濃度における変化に対して、明度(L)および彩度(C)の両方の正の相関が、観察され(
図4a-
図4b)、顔料濃度が、増加するにつれて、明度および彩度は両方とも、増加する。したがって、混合物401に関しては、明度または彩度のいずれかが、マスタバッチ送給を制御するための正の顔料制御パラメータ(例えば、正の相関を伴う、制御パラメータ)としての役割を果たし得る。混合物402に関しては、明度(L)と顔料濃度との間に、本質的に中立的な相関が、観察され、顔料濃度が、増加するにつれて、明度における変化は、実質的に伴わない(
図4a)が、ほぼ正の相関が、彩度(C)と顔料濃度との間に見られ、顔料濃度が、増加するにつれて、彩度も、増加する(
図4b)。したがって、混合物402に関しては、彩度は、マスタバッチ送給を制御するための正の顔料制御パラメータとして、好ましくあり得る。混合物403に関しては、明度(L)と顔料濃度との間に、負の相関が、観察され、顔料濃度が、増加するにつれて、明度は、減少し(
図4a)、彩度と顔料濃度との間には、可変的な相関が見られ(
図4b)、顔料濃度が、増加するにつれて、彩度は、最初に増加するが、続いて、顔料濃度が、増加するにつれて、減少する。したがって、混合物403に関しては、明度は、マスタバッチ送給を制御するための負の顔料制御パラメータ(例えば、負の相関を伴う、制御パラメータ)として、好ましくあり得る。
【0049】
図5a-5bは、濃緑色顔料の(対数スケール上の)濃度の変化への明度(
図5a)および彩度(
図5b)の依存性に関する付加的な試験データを示す。本実施例では、3つの場合501、502、503は、それぞれにおいて生産される製造部品が、添加される顔料が不在の場合、異なる明度(L)を有するという点において、相互に異なる。理論によって拘束されるわけではないが、原料のタイプまたはグレード、および製造部品の幾何学形状または表面粗度における変化は、別個の場合の間の明度の差異を考慮し得ると考えられる。それにもかかわらず、これらの場合501、502、503から、明度(L)および彩度(C)の挙動が、異なり、いくつかの事例では、非単調であることが明白である。これは、明度(L)および彩度(C)における変化が、カラーマスタバッチを通して添加される顔料にだけではなく、いかなる着色添加剤も伴わない原料から結果として生じるであろう、製造部品のベースカラーにも依存することを示す。
【0050】
明度および彩度の挙動をより深く理解するために、いくつかの顔料が、試験され、全体的な顔料濃度を増加させるために、ベース樹脂への顔料の連続的な添加から結果的に生じる、明度(L)および彩度(C)における変化を評価した。下記の表Iは、本試験のために選択された顔料を列挙する。
【表1】
【0051】
試験は、表Iから選択された顔料の組み合わせを混合することによって行われ、各混合は、0%(顔料1のみ)~100%(顔料2のみ)の範囲の顔料2の割合に基づいて、顔料1対顔料2の比が、変動される、いくつかのバリエーションにおいて行われた。下記の表IIは、試験された顔料の組み合わせを列挙し、そのそれぞれが、0%~100%の完全な比率範囲にわたって試験された。
【表2】
【0052】
これらの試験では、顔料濃度の変化に基づく、明度(L)および彩度(C)に対する結果として生じる変化率dL/dc(%)およびdC/dc(%)は、それぞれ、約c=1%の顔料濃度c(%)において評価された。
図6は、顔料濃度dL/dc(%)の差異に基づいて、表IIのいくつかの別個の混合を採択する、標的カラーに関する、明度および彩度の差異を示し、顔料濃度c(%)の変動は、公称c=1%の付近である。x軸およびy軸は、1%の添加された顔料を伴う、基準部品の明度(L)および彩度(C)である。
【0053】
上記に議論されるように、明度または彩度のいずれかにおける有意かつ単調な変化(例えば、顔料濃度との観察可能かつ一貫した正または負の相関)が存在する実施例では、そのようなスペクトル性質のいずれかが、正または負のいずれかの顔料制御パラメータとして、カラーマスタバッチ送給率を制御するための顔料制御パラメータとして使用されてもよい。しかしながら、明度または彩度のいずれかにおける有意ではないおよび/または非単調な変化が存在する実施例(例えば、顔料濃度との判別不能、中立的、または可変的な相関)では、そのような特性を表示するスペクトル性質は、カラーマスタバッチ送給率を制御するための顔料制御パラメータとしての使用にとって好適ではないであろう。その場合、顔料濃度、例えば、好適ではないdL/dc(%)およびdC/dc(%)特性に基づいて、明度または彩度のいずれかの間に容認可能な相関が欠如する顔料(または顔料の組み合わせ)を用いて、製造部品を生産することが必要とされるときに、問題が、生じる。特に、そのような顔料を用いて部品を生産するとき、標的カラーを正確かつ確実に獲得するために、適切な率において、カラーマスタバッチの送給を制御することは、不可能ではないにしても、困難である。可能性として考えられるが、大抵の場合、変動する顔料濃度および/または数値シミュレーション結果を伴う、一連の較正部品に基づいて、カラー、原料、および部品の表面タイプ毎に、制御パラメータおよび正規化係数を手動で選択することは、単に、非実践的である。
【0054】
図7a-7bは、基準カラーの彩度(C)に対してのみであるが、
図6と同一のデータを示し、
図7aは、基準彩度(C)に対する彩度変化率dC/dc(%)を示し、
図7bは、基準彩度(C)に対する明度変化率dL/dc(%)を示す。
【0055】
図7a-7bに見られるように、約20より高い(C>約20)彩度値は、具体的な顔料にかかわらず、ほぼ常時、正の彩度傾きdC/dc(%)と、正の明度傾きdL/dc(%)とを有する一方、約25に等しい、またはそれよりも高い(C≧約25)彩度値は、一貫して、正の彩度傾きdC/dc(%)と、正の明度傾きdL/dc(%)とを有する。したがって、彩度値(C>約20)、好ましくは、(C>約25)を伴う顔料に関しては、彩度値(C)は、顔料制御パラメータとして使用され得る。しかしながら、顔料制御パラメータは、顔料制御パラメータにおける変化が、任意の顔料に関する制御変数の同様の変化を結果としてもたらすであろうように、具体的な顔料から独立していることが好ましい。これは、幅広い顔料との併用にとって好適である、制御変数値をもたらすように、彩度傾きdC/dc(%)に関する適合曲線701/702および明度傾きdL/dc(%)に関する適合曲線703/704等の曲線を適合させることによって、制御変数を正規化(除算)することによって達成され得る。
【0056】
約20よりも低い(C<約20)彩度値を有する顔料に関しては、多くの場合、彩度傾きdC/dc(%)および明度傾きdL/dc(%)の両方において、比較的小さな変化が見られる。したがって、彩度値(C<約20)を伴う顔料を使用するとき、焦点は、彩度傾きdC/dc(%)または明度傾きdL/dc(%)における小さな変化の面積の上に置かれる。1つのそのような実施例が、
図8a-8bに示されており、これは、
図6と同一のデータを図示するが、それぞれ、dC/dc(%)軸およびdL/dc(%)軸上の縮小されたスケールを横断している。これらの図内のデータは、閾値彩度(C
0)と閾値明度(L
0)とのそれらの関係に基づいて、4つの別個の群に分割される。C
0値およびL
0値は、正または負のdC/dc(%)値またはdL/dc(%)値が、適用可能である、面積を区別するように、代表的なデータに基づいて経験的に選択される。
【0057】
図9a-9dは、同一のデータの2D投影図を示すが、x軸およびy軸において、彩度、彩度傾きdC/dc(%)、明度、および明度傾きdL/dc(%)の異なる組み合わせでマッピングされている。これらの図はまた、下記にさらに議論されるであろうように、閾値彩度(C
0)値と閾値明度(L
0)値とのそれらの関係によって分割される、顔料群毎に、最適な顔料制御パラメータを示す。
【0058】
図8-9に示される例示的なデータでは、添加された顔料を伴わない、純粋なベース樹脂から作製される、製造部品の明度(L)は、約30(L約30)である。したがって、本実施例では、明度閾値は、(L
0=30)に設定され、彩度閾値は、前述の観察に基づいて、公称値(C
0=20)に設定される。再度、C
0値は、正または負のdC/dc(%)値が、適用可能である、面積を区別するために、経験的に選択される。
【0059】
これに伴って、光学スペクトルデータは、下記の表IIIに示されるように、4つのカテゴリに分割され得、カテゴリ毎に、好ましい顔料制御パラメータの識別を伴う。
【表3】
【0060】
好ましい顔料制御パラメータは、以下の3つの指針によって解説されるように、所定の明度閾値(L0)および彩度閾値(C0)の値に対して、明度(L)値および彩度(C)値に基づいて、各シナリオにおいて識別され得る。
【0061】
[1]彩度閾値よりも高い彩度(C>C0)と、明度閾値よりも高い明度(L>L0)とを伴う、製造部品を生産するとき、常時、正である、実質的な彩度傾きdC/dc(%)が存在する。そのような事例では、彩度傾きdC/dc(%)は、顔料制御パラメータとして使用され得、正規化後に、正の相関を伴う。
【0062】
[2]彩度閾値より低い彩度(C<C0)と、明度閾値より高い明度(L>L0)とを伴う、製造部品を生産するとき、常時、正である、実質的な明度傾きdL/dc(%)が存在する。そのような事例では、明度傾きdL/dc(%)は、これらの彩度/明度条件を満たす、最も実践的に使用される顔料に関する顔料制御パラメータとして使用され得、正規化後に、正の相関を伴う。
【0063】
[3]明度閾値より低い明度(L<L0)を伴う、製造部品を生産するとき、常時、負である、実質的な明度傾きdL/dc(%)が存在する。そのような事例では、明度傾きdL/dc(%)は、彩度値(C)にかかわらず、本明度条件を満たす、最も実践的に使用される顔料に対する顔料制御パラメータとして使用され得、正規化後に、負の相関を伴う。
【0064】
理論によって拘束されるわけではないが、ベース樹脂の色合に類似するカラーを結果としてもたらす、基材と顔料との組み合わせを用いて製造部品を生産するとき等、表IIIに述べられるルールから逸脱されることが必要とされる、希有な事例が存在し得、これは、例えば、ぼんやりした灰色がかったカラーで製造部品を生産するときに、生じ得る。
【0065】
図10a-10bは、0.38%の標的顔料濃度における黄色顔料を用いて製造部品を生産するための制御プロセスの実施例を示し、本プロセスは、0.13%の開始顔料濃度において開始される。
図10aは、顔料濃度対送給機構の体積によって除算されたショット(機械サイクル)数を示し、これは、システムの動作に対する変更と製造部品のカラーとの間に遅延を引き起こす。
図10bは、dE1002(WO第2015/118535号から公知であるように、CIEDE2000規格に基づいた色差)、明度傾き(dL)1004、彩度傾き(dC)1005、および制御信号1003における変化を示す。制御信号1003は、正規化されるように、顔料およびベース樹脂の明度および彩度条件に応じて、dL/dc(%)またはdC/dc(%)によって計算される。制御信号1003は、フィードバックループからの不安定性を回避するように、所定の値(
図10bに示される例示的な場合では、5)に限定される。所与の実施例において選択される限界値は、スクリュの体積、送給機までの距離、および送達管の体積等から生じる、待ち時間等、特定のプロセスに関するプラントパラメータに依存するであろう。
【0066】
図11は、0.38%の標的顔料濃度における黄色顔料を用いて製造部品を生産するための制御プロセスの別の実施例を示し、本プロセスは、0.63%の開始顔料濃度において開始される。
図11aは、顔料濃度対混合機構の体積によって除算されたショット(機械サイクル)数を示し、これは、システムの動作に対する変更と製造部品のカラーとの間に遅延を引き起こす。
図11bは、dE1002、明度傾き(dL)1004、彩度傾き(dC)1005、および制御信号1003における変化を示す。
【0067】
ある事例では、高い顔料濃度から開始することは、
図3aに示されるもの等のカラー飽和を引き起こし得、
図3bに示されるもの等の非常に低い明度傾きdL/dc(%)値および彩度傾きdC/dc(%)値を伴う。そのような事例では、顔料濃度は、実際、標的カラーを生産するために要求される、最小濃度よりもはるかにより高くあり得、送給率は、したがって、(例えば、事前に設定される基準顔料に基づいて)標的カラーと一致する最小顔料濃度を達成するために、低減され得る。これは、dL/dc(%)またはdC/dc(%)のフィードバックが、カラーマスタバッチ送給に対する変更を要求することなく、標的カラーを達成するための最小顔料濃度までの増加をもたらすまで、所定の数量だけ、顔料濃度を繰り返し低減させることによって、行われ得る。
【0068】
過剰に高い顔料濃度が、最小顔料濃度を達成するために、繰り返し低減されることになる事例では、明度傾きdL/dc(%)または彩度傾きdC/dc(%)が、最小顔料濃度までそれを押し上げるまで、システムが、顔料濃度を持続的に減少させるであろうように、小さな負のオフセット値dc
0が、各低減において、制御信号1003に追加されてもよく、オフセットは、顔料濃度が、承認される許容誤差内に留まることを確実にするために、色合の偏差を補正する役割を果たす。
図11aは、そのような場合のための正しい制御プロセスを図示する。
【0069】
図12は、本発明による、製造部品を生産する例示的な方法を図示する。生産工程を開始する前に、最初に、生産工程において生産されることになる、製造部品が識別され、また、生産工程内で生産される製造部品に標的カラーを適用する際の参照として使用するために、標的顔料濃度を伴う、標的カラーを有する基準部品もまた、識別されるであろう。
【0070】
ステップS1では、生産開始前の製造部品の光学スペクトル性質が、製造部品を生産するための原料として使用されるであろうベース樹脂に対して、いかなる着色添加剤も導入することなく、決定されるであろう。光学スペクトル性質の決定は、いかなる着色添加剤も伴わずに生産される、製造部品の生産開始前サンプルの実際の測定を通して、例えば、システム100の動作を通して、または、例えば、製造部品を生産するための前回の生産工程、または製造部品を生産する試行運転からの事前に記録されたデータからの事前に確立された情報に基づく推定を通して行われてもよい。代替として、光学スペクトル性質は、シミュレーションソフトウェアから取得されてもよい。
【0071】
ステップS2では、製造部品への適用のための標的カラーの光学スペクトル性質が、決定される。光学スペクトル性質の決定は、基準部品の実際の測定を通して、例えば、システム100の動作を通して、または、例えば、テーブル形式のデータから選択されたカラーの性質に関する、事前に記録されたデータからの事前に確立された情報に基づく推定を通して行われてもよい。再度、光学スペクトル性質は、代替として、シミュレーションソフトウェアから取得されてもよい。
【0072】
ステップS3では、生産開始前の製造部品と基準部品との光学スペクトル性質の比較が、行われる。特に、生産開始前の製造部品の明度値は、明度閾値L0として設定され、基準部品の明度値は、明度閾値L0より高いか、低いかのいずれかであるものとして査定されるであろう。加えて、彩度閾値C0は、使用されることになる具体的な顔料の物理学に基づいて設定されるが、好ましくは、閾値C0は、約C0=20に設定される。
【0073】
ステップS4では、顔料制御パラメータが、次いで、生産開始前の製造部品と基準部品との光学スペクトル性質の比較に基づいて選択されるであろう。顔料制御パラメータは、彩度傾きdC/dc(%)および明度傾きdL/dc(%)のうちの1つから選択され、標的顔料濃度に対する正または負の相関を伴う。本選択は、上記の表IIIからの行列に従って行われるであろう。
【0074】
ステップS5では、選択された顔料制御パラメータが、既知の(計算または測定された)dL/dc(%)およびdC/dc(%)対カラーパラメータ(例えば、彩度または明度)を適合させることから取得される、所定の値Nによって正規化される。正規化後、N*dL/dc(%)またはN*dC/dc(%)は、全てのカラーに関して、実質的に一定であるであろう。
【0075】
ステップS6では、標的顔料濃度よりも高い顔料濃度において分注される、カラーマスタバッチから開始するために、生産工程が、始動されるであろう場合、選択された顔料制御パラメータをオフセットするための事前に定義されたオフセットパラメータを設定する。オフセットパラメータは、製造部品にカラーを適用することに成功する、カラーマスタバッチ送給率が、到達されたと、システム100が、決定するときまで、カラーマスタバッチ送給率における持続的な低減をトリガするであろう値に設定されるべきである。
【0076】
ステップS7では、所定の限界値をカラーマスタバッチの供給を制御するための制御信号に設定し、所定の限界は、尤度を低減させる値、好ましくは、制御ループの不安定性を排除する値に設定され、所定の限界の具体的な値は、特定のプロセスに関する1つまたはそれを上回るプラントパラメータに基づいて選択される。
【0077】
ステップS8では、原料としてのベース樹脂を含む混合物と、選択された顔料制御パラメータに基づいて、第1の色素濃度において分注される、カラーマスタバッチの量とを用いて、製造部品を製造するための生産工程を実行する。
【0078】
ステップS9では、直近の生産工程から製造部品の光学スペクトル性質を査定し、標的顔料濃度と合致する、その製造部品の顔料濃度を決定する。
【0079】
ステップS10では、直近の製造部品の顔料濃度が、標的顔料濃度と合致する場合、同一のカラーマスタバッチ送給率を含む、直近の生産工程において使用された同一の制御を用いて、後続の生産工程を継続する。直近の製造部品の顔料濃度が、標的顔料濃度と合致しない場合、顔料制御パラメータに基づいて、カラーマスタバッチ送給率を調節し、調節されたカラーマスタバッチ送給率を用いて、次の生産工程を実行し、制御ループを実行し、ステップS8-S10を繰り返す。
【0080】
本発明は、特定の実施形態を参照して説明されるが、前述の開示が、例示的実施形態のみに対処すること、発明の範囲が、開示される実施形態に限定されないこと、および本発明の範囲が、添付の請求項およびその同等物において定義されるように、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される実施例に対する種々の変更および修正を含む、付加的な実施形態を網羅し得ることは、当業者に理解されるであろう。
【0081】
例えば、前述の開示は、顔料制御が、カラーマスタバッチに対して行使される、実施例を参照して、本発明を議論するが、本発明がまた、顔料が、粉末または液体等の他の方法を通して導入される事例においても、顔料制御に対して適用可能であることが理解されるであろう。本発明はまた、他の非顔料添加剤に対する制御にも適用可能であり、他のそのような添加剤の送給率は、そのような添加剤の濃度をそのスペクトル性質と相関させることによって、同様の方式で制御されることが、さらに理解されるであろう。
【0082】
本発明の開示を理解または完了するために必要とされる範囲において、本明細書に述べられる、全ての刊行物、特許、および特許出願は、それぞれが、個々にそのように組み込まれた場合と同様に、同一の範囲まで、参照することによって本明細書に明示的に組み込まれる。いかなる許諾権も、明示的または黙示的を問わず、本明細書に組み込まれるいかなる特許にも付与されない。
【0083】
本発明は、本明細書に図示される例示的実施形態に限定されないが、代わりに、添付の請求項によって特徴付けられ、これは、本開示の範囲をいかようにも限定しない。
【国際調査報告】