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特表2023-545734熱的に安定したルテニウム前駆体組成物及びルテニウム含有膜の形成方法
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  • 特表-熱的に安定したルテニウム前駆体組成物及びルテニウム含有膜の形成方法 図1a
  • 特表-熱的に安定したルテニウム前駆体組成物及びルテニウム含有膜の形成方法 図1b
  • 特表-熱的に安定したルテニウム前駆体組成物及びルテニウム含有膜の形成方法 図1c
  • 特表-熱的に安定したルテニウム前駆体組成物及びルテニウム含有膜の形成方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】熱的に安定したルテニウム前駆体組成物及びルテニウム含有膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/18 20060101AFI20231024BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20231024BHJP
   C07F 15/00 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
C23C16/18
C23C16/455
C07F15/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521347
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(85)【翻訳文提出日】2023-04-06
(86)【国際出願番号】 KR2021013991
(87)【国際公開番号】W WO2022080803
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0131063
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514183215
【氏名又は名称】ユーピー ケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】コ,ウォンヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジン シック
(72)【発明者】
【氏名】キム,デ‐ヨン
【テーマコード(参考)】
4H050
4K030
【Fターム(参考)】
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB91
4H050AB99
4K030AA11
4K030AA14
4K030AA18
4K030BA01
4K030HA01
4K030JA05
4K030JA09
4K030JA10
4K030LA15
(57)【要約】
本願は、熱安定性の高い膜形成用ルテニウム前駆体化合物、前記ルテニウム前駆体化合物を含む膜形成用前駆体組成物、及び前記膜形成用前駆体を利用してルテニウム-含有膜を形成する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化Iで表される、ルテニウム前駆体化合物。
【化1】
前記化Iにおいて、
~Rは、それぞれ独立に、水素;置換又は非置換の線状又は分枝状のC1-10アルキル基;又は、置換又は非置換のC3-10シクロアルキル基であり、
前記アルキル基又はシクロアルキル基が置換される場合、線状又は分枝状のC1-3アルキル基に置換されるものである。
【請求項2】
、R、R及びRのうち1つ以上が置換又は非置換の線状又は分枝状のC1-10アルキル基;又は、置換又は非置換のC3-10シクロアルキル基である、請求項1に記載のルテニウム前駆体化合物。
【請求項3】
前記ルテニウム前駆体化合物は、下記化合物より選択されるものである、請求項1に記載のルテニウム前駆体化合物。
(p-cymene)[CH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[MeCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[EtCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[PrCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[PrCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[BuCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[BuCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[secBuCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[BuCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)(CHCH=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(MeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(EtMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(PrMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(PrMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(BuMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(BuMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(secBuMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(BuMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(CH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(MeCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(EtCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(PrCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(PrCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(BuCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(BuCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(secBuCH=CHCH=CHCHCH)Ru、及び(p-cymene)(BuCH=CHCH=CHCHCH)Ru。
【請求項4】
前記ルテニウム前駆体化合物は、下記化合物より選択されるものである、請求項1に記載のルテニウム前駆体化合物。
【化2】
【請求項5】
下記化Iで表されるルテニウム前駆体化合物を含む、膜形成用前駆体組成物。
【化3】
前記化Iにおいて、
~Rは、それぞれ独立に、水素;置換又は非置換の線状又は分枝状のC1-10アルキル基;又は、置換又は非置換のC3-10シクロアルキル基であり、
前記アルキル基又はシクロアルキル基が置換される場合、線状又は分枝状のC1-3アルキル基に置換されるものである。
【請求項6】
、R、R及びRのうち1つ以上が置換又は非置換の線状又は分枝状のC1-10アルキル基;又は、置換又は非置換のC3-10シクロアルキル基である、請求項5に記載の膜形成用前駆体組成物。
【請求項7】
前記ルテニウム前駆体化合物は、下記化合物より選択される1つ以上を含むものである、請求項5に記載の膜形成用前駆体組成物。
(p-cymene)[CH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[MeCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[EtCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[PrCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[PrCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[BuCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[BuCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[secBuCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[BuCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)(CHCH=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(MeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(EtMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(PrMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(PrMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(BuMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(BuMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(secBuMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(BuMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(CH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(MeCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(EtCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(PrCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(PrCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(BuCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(BuCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(secBuCH=CHCH=CHCHCH)Ru、及び(p-cymene)(BuCH=CHCH=CHCHCH)Ru。
【請求項8】
前記ルテニウム前駆体化合物は、下記化合物より選択される1つ以上を含むものである、請求項5に記載の膜形成用前駆体組成物。
【化4】
【請求項9】
前記膜は、ルテニウム金属膜、ルテニウム-含有酸化膜、ルテニウム-含有窒化膜、ルテニウム-含有炭化膜、及びこれらの組み合わせより選択される1つ以上のものである、請求項5に記載の膜形成用前駆体組成物。
【請求項10】
アンモニア、窒素、ヒドラジン、及びジメチルヒドラジンより選択される1つ以上の窒素源をさらに含む、請求項5に記載の膜形成用前駆体組成物。
【請求項11】
水蒸気、酸素、及びオゾンより選択される1つ以上の酸素源をさらに含む、請求項5に記載の膜形成用前駆体組成物。
【請求項12】
下記化Iで表されるルテニウム前駆体化合物を含む膜形成用前駆体組成物を利用してルテニウム-含有膜を形成することを含む、ルテニウム-含有膜形成方法。
【化5】
前記化Iにおいて、
~Rは、それぞれ独立に、水素;置換又は非置換の線状又は分枝状のC1-10アルキル基;又は、置換又は非置換のC3-10シクロアルキル基であり、
前記アルキル基又はシクロアルキル基が置換される場合、線状又は分枝状のC1-3アルキル基に置換されるものである。
【請求項13】
前記膜形成用前駆体組成物に含まれるルテニウム前駆体化合物は、下記化合物より選択される1つ以上を含むものである、請求項12に記載のルテニウム-含有膜形成方法。
【化6】
【請求項14】
前記ルテニウム-含有膜は、化学気相蒸着法又は原子層蒸着法によって蒸着されるものである、請求項12に記載のルテニウム-含有膜形成方法。
【請求項15】
前記膜形成用前駆体組成物が加熱して気化する過程において、前記膜形成用前駆体組成物に含まれる1つ以上のルテニウム前駆体化合物の組成が維持されるものである、請求項14に記載のルテニウム-含有膜形成方法。
【請求項16】
前記ルテニウム-含有膜は、常温~400℃の温度範囲で形成されるものである、請求項12に記載のルテニウム-含有膜形成方法。
【請求項17】
前記ルテニウム-含有膜は、1nm~500nmの厚さ範囲で形成されるものである、請求項12に記載のルテニウム-含有膜形成方法。
【請求項18】
前記ルテニウム-含有膜は、縦横比が1~100で、幅が10nm~1μmである凹凸(溝)を含む基材上に形成されるものである、請求項12に記載のルテニウム-含有膜形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、熱安定性の高い膜形成用ルテニウム前駆体化合物、前記ルテニウム前駆体化合物を含む膜形成用前駆体組成物、及び、前記膜形成用前駆体を利用してルテニウム-含有膜を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ルテニウム(Ru)金属は、銅(Cu)、タングステン(W)、コバルト(Co)のように電気をよく通すため、半導体素子の配線材料として使用されることができる。半導体素子の集積化が進行されて金属配線の幅が細くなるほど、前記金属配線の抵抗が増加することになる。半導体素子の配線にルテニウム金属を使用する場合、前記金属配線の幅が40nm以下のように非常に細いときに、銅又はコバルトに比べて抵抗がより少し増加するため、前記ルテニウム(Ru)金属は、次世代配線材料として研究されつつある。次世代半導体素子の配線に必要とされる細い溝をルテニウム金属で満たすためには、化学蒸着法(CVD;chemical vapor deposition)又は原子層蒸着法(ALD;atomic layer deposition)のように気体状態のルテニウム化合物を基板表面に供給してルテニウム金属膜を形成するのが有利である。
【0003】
上記目的として、CVD又はALDにおいて使用することのできる幾つかのルテニウム前駆体組成物が知られている。但し、半導体素子の製造にあたり前記ルテニウム(Ru)金属を使用するためには、前駆体組成物を気化させる温度で組成が変化しない熱的に安定したルテニウム前駆体組成物が要求される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】L.G.Wen et al.,『Ruthenium metallization for advanced interconnects』,2016 IEEE International Interconnect Technology Conference/Advanced Metallization Conference(IITC/AMC),doi:10.1109/iitc-amc.2016.7507651,2016.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、熱安定性の高い膜形成用ルテニウム前駆体化合物、前記ルテニウム前駆体化合物を含む膜形成用前駆体組成物、及び、前記膜形成用前駆体を利用してルテニウム-含有膜を形成する方法を提供しようとする。
【0006】
しかしながら、本願が解決しようとする課題は、上記に言及した課題に限定されるものではなく、言及されていない他の課題は、以下の記載から通常の技術者にとって明確に理解できるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1の側面は、下記化Iで表される、ルテニウム前駆体化合物を提供する。
【化1】
前記化Iにおいて、R~Rは、それぞれ独立に、水素;置換又は非置換の線状又は分枝状のC1-10アルキル基;又は、置換又は非置換のC3-10シクロアルキル基であり、前記アルキル基又はシクロアルキル基が置換される場合、線状又は分枝状のC1-3アルキル基に置換されるものである。
【0008】
本願の第2の側面は、第1の側面によるルテニウム前駆体化合物を1つ以上含む、膜形成用前駆体組成物を提供する。
【0009】
本願の第3の側面は、第1の側面によるルテニウム前駆体化合物を含む膜形成用前駆体組成物を利用してルテニウム-含有膜を形成することを含む、ルテニウム-含有膜形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
熱安定性の低いRu前駆体組成物の場合、気化する間に異性質体の組成の割合が変わるのに対し、本願の具現例によれば、本願のルテニウム前駆体組成物を利用するルテニウム-含有膜形成方法は、気化させた前駆体組成物の組成が使用中に変化しないため、一定な特性のルテニウム膜を形成するのに有利であり、半導体素子の製造工程にあたり使用することができる。
【0011】
本願の具現例によれば、表面にパターン(溝)のある基材、多孔性基材、又は、プラスチック基材上においても多様な温度範囲で、数nm~数μm厚さのルテニウム-含有膜を均一に形成することができる。
【0012】
本願の具現例によれば、本願のルテニウム前駆体組成物を利用するルテニウム-含有膜は、適用用途に応じて様々に応用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1a】反応ガスとして使用する酸素(O)及び窒素(N)気体をそれぞれ70sccm:140sccmの混合割合で使用し、この場合に形成されたルテニウム-含有膜の透過電子燎微鏡(TEM;Transmission Electron Microscope)のイメージである。
図1b】反応ガスとして使用する酸素(O)及び窒素(N)気体をそれぞれ100sccm:100sccmの混合割合で使用し、この場合に形成されたルテニウム-含有膜の透過電子燎微鏡(TEM;Transmission Electron Microscope)のイメージである。
図1c】反応ガスとして使用する酸素(O)及び窒素(N)気体をそれぞれ200sccm:0sscmの混合割合で使用し、この場合に形成されたルテニウム-含有膜の透過電子燎微鏡(TEM;Transmission Electron Microscope)のイメージである。
図2】オージェ電子分光法(Auger electron spectroscopy)で測定したRu膜厚による膜の組成を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、添付した図面を参照しながら、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本願の具現例及び実施例を詳しく説明する。ところが、本願は様々な異なる形態に具現されることができ、ここで説明する具現例及び実施例に限定されるものではない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明とは関係ない部分は省略しており、明細書全体に亘って類似した部分に対しては類似した図面符号を付けている。
【0015】
本願の明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているという場合、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。
【0016】
本願の明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているという場合、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0017】
本願の明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0018】
本明細書において使用される程度の用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造及び物質許容誤差が提示される場合、その数値で、又はその数値に近接した意味として使用され、本願の理解を助けるために、適確であるか絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。
【0019】
本願の明細書全体において使用される程度の用語「~するステップ」又は「~のステップ」は、「~のためのステップ」を意味するものではない。
【0020】
本願の明細書全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ(たち)」の用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群より選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであり、前記構成要素からなる群より選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0021】
本願の明細書全体において、「A及び/又はB」の記載は、「A又はB、あるいはA及びB」を意味する。
【0022】
本願の明細書全体において、「アルキル」又は「アルキル基」という用語は、1~12個の炭素原子、1~10個の炭素原子、1~8個の炭素原子、又は1~5個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基、及びこれらの全ての可能な異性質体を含む。例えば、前記アルキル又はアルキル基は、メチル基(Me)、エチル基(Et)、n-プロピル基(Pr)、iso-プロピル基(Pr)、n-ブチル基(Bu)、iso-ブチル基(Bu)、tert-ブチル基(tert-Bu、Bu)、sec-ブチル基(sec-Bu、secBu)、n-ペンチル基(Pe)、iso-ペンチル基(isoPe)、sec-ペンチル基(secPe)、tert-ペンチル基(Pe)、neo-ペンチル基(neoPe)、3-ペンチル基、n-ヘキシル基、iso-ヘキシル基、ヘプチル基、4,4-ジメチルペンチル基、オクチル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、及びこれらの異性質体などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0023】
本願の明細書全体において、「膜」という用語は、「膜」又は「薄膜」を意味する。
【0024】
以下では、本願の具現例を詳しく説明するが、本願がこれに限定されるものではない。
【0025】
本願の第1の側面は、下記化Iで表される、ルテニウム前駆体化合物を提供する。
【化2】
前記化Iにおいて、R~Rは、それぞれ独立に、水素;置換又は非置換の線状又は分枝状のC1-10アルキル基;又は、置換又は非置換のC3-10シクロアルキル基であり、前記アルキル基又はシクロアルキル基が置換される場合、線状又は分枝状のC1-3アルキル基に置換されるものである。
【0026】
本願の一具現例において、R、R、R及びRのうち1つ以上が置換又は非置換の線状又は分枝状のC1-10アルキル基;又は、置換又は非置換のC3-10シクロアルキル基であっても良い。本願の一具現例において、前記ルテニウム化合物は、R、R、R及びRの全てが水素である場合を除いても良い。
【0027】
本願の一具現例において、前記線状又は分枝状のC1-10アルキル基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、neo-ペンチル基、3-ペンチル基、n-ヘキシル基、iso-ヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、neo-ヘキシル基、n-ヘプチル基、iso-ヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、neo-ヘプチル基、n-オクチル基、iso-オクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、neo-オクチル基、n-ノニル基、iso-ノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、neo-ノニル基、n-デシル基、iso-デシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、neo-デシル基、及びこれらの異性質体からなる群より選択されるものを含んでいても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、前記線状又は分枝状のC1-10アルキル基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はiso-プロピル基であっても良い。
【0028】
本願の一具現例において、前記C3-10シクロアルキル基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、及びこれらの異性質体からなる群より選択されるものを含んでいても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、前記C3-10シクロアルキル基は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、又はシクロヘプチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0029】
本願の一具現例によるルテニウム化合物は、(p-cymene)[CH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[MeCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[EtCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[PrCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[PrCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[BuCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[BuCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[secBuCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[BuCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)(CHCH=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(MeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(EtMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(PrMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(PrMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(BuMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(BuMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(secBuMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(BuMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(CH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(MeCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(EtCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(PrCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(PrCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(BuCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(BuCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(secBuCH=CHCH=CHCHCH)Ru、及び(p-cymene)(BuCH=CHCH=CHCHCH)Ruより選択されるものであっても良いが、これに限定されるものではない。
【0030】
本願の一具現例において、前記ルテニウム前駆体化合物は、下記化1~化3より選択されるものであっても良い。
【化3】
【0031】
本願の第2の側面は、第1の側面によるルテニウム前駆体化合物を1つ以上含む、膜形成用前駆体組成物を提供する。
【0032】
本願の第1の側面と重複する部分については詳細な説明を省略しているが、本願の第1の側面について説明した内容は、本願の第2の側面においてその説明が省略されているとしても同様に適用され得る。
【0033】
本願の一具現例において、R、R、R及びRのうち1つ以上が置換又は非置換の線状又は分枝状のC1-10アルキル基;又は、置換又は非置換のC3-10シクロアルキル基であっても良い。本願の一具現例において、前記ルテニウム化合物は、R、R、R及びRの全てが水素である場合を除いても良い。
【0034】
本願の一具現例において、前記線状又は分枝状のC1-10アルキル基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、neo-ペンチル基、3-ペンチル基、n-ヘキシル基、iso-ヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、neo-ヘキシル基、n-ヘプチル基、iso-ヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、neo-ヘプチル基、n-オクチル基、iso-オクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、neo-オクチル基、n-ノニル基、iso-ノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、neo-ノニル基、n-デシル基、iso-デシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、neo-デシル基、及びこれらの異性質体からなる群より選択されるものを含んでいても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、前記線状又は分枝状のC1-10アルキル基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はiso-プロピル基であっても良い。
【0035】
本願の一具現例において、前記C3-10シクロアルキル基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基及びこれらの異性質体からなる群より選択されるものを含んでいても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、前記C3-10シクロアルキル基は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、又はシクロヘプチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0036】
本願の一具現例において、前記膜形成用前駆体組成物は、下記ルテニウム前駆体化合物のうち1つ以上を含む混合物であっても良い。
【0037】
(p-cymene)[CH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[MeCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[EtCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[PrCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[PrCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[BuCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[BuCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[secBuCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)[BuCH=C(CH)CH=C(CH]Ru、(p-cymene)(CHCH=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(MeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(EtMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(PrMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(PrMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(BuMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(BuMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(secBuMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(BuMeC=CH-CH=CHCH)Ru、(p-cymene)(CH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(MeCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(EtCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(PrCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(PrCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(BuCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(BuCH=CHCH=CHCHCH)Ru、(p-cymene)(secBuCH=CHCH=CHCHCH)Ru、及び(p-cymene)(BuCH=CHCH=CHCHCH)Ru
【0038】
本願の一具現例において、前記ルテニウム前駆体化合物は、下記化合物より選択される1つ以上を含んでいても良い。
【化4】
【0039】
本願の一具現例において、前記膜は、ルテニウム金属膜、ルテニウム-含有酸化膜、ルテニウム-含有窒化膜、ルテニウム-含有炭化膜、及びこれらの組み合わせより選択される1つ以上であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0040】
本願の一具現例において、前記ルテニウム-含有酸化膜又は前記ルテニウム-含有窒化膜は、半導体及び非半導体、ディスプレイ素子において、その適用用途に応じて様々に応用されても良いが、これに限定されるものではない。
【0041】
本願の一具現例において、前記膜形成用前駆体組成物は、アンモニア、窒素、ヒドラジン、及びジメチルヒドラジンより選択される1つ以上の窒素源をさらに含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0042】
本願の一具現例において、前記膜形成用前駆体組成物は、水蒸気、酸素、及びオゾンより選択される1つ以上の酸素源をさらに含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0043】
本願の第3の側面は、第1の側面によるルテニウム前駆体化合物を含む膜形成用前駆体組成物を利用してルテニウム-含有膜を形成することを含む、ルテニウム-含有膜形成方法を提供する。
【0044】
本願の第1の側面及び第2の側面と重複する部分については詳細な説明を省略しているが、本願の第1の側面及び第2の側面について説明した内容は、本願の第3の側面においてその説明が省略されているとしても同様に適用され得る。
【0045】
本願の一具現例において、前記膜形成用前駆体組成物に含まれるルテニウム前駆体化合物は、下記化合物より選択される1つ以上を含んでいても良い。
【化5】
【0046】
本願の一具現例において、前記ルテニウム-含有膜は、化学気相蒸着法(CVD;chemical vapor deposition)又は原子層蒸着法(ALD;atomic layer deposition)により蒸着されても良いが、これに限定されるものではない。
【0047】
本願の一具現例において、前記膜形成用前駆体組成物が加熱して気化する過程において、前記膜形成用前駆体組成物に含まれる1つ以上のルテニウム前駆体化合物の組成が維持されても良い。本願の一具現例において、前記膜形成用前駆体組成物が加熱して気化する過程において、前記膜形成用前駆体組成物に含まれる1つ以上のルテニウム前駆体化合物の組成が約70%以上、約80%以上、約90%以上、又は約95%以上維持されても良い。
【0048】
本願の一具現例において、前記ルテニウム-含有膜は、有機金属化学気相蒸着法(MOCVD;metalorganic chemical vapor deposition)又は原子層蒸着法(ALD)により蒸着されても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、化学気相蒸着法又は原子層蒸着法は、本技術分野において公知の蒸着装置、蒸着条件、及び1つ以上の追加反応気体などを利用して行われても良いが、これに限定されるものではない。
【0049】
本願の一具現例において、前記ALD及びCVD方法において利用される反応気体としては、水素(H)気体、アンモニア(NH)気体、酸素(O)気体、又はオゾン(O)気体など半導体工程で使用する気体を使用してルテニウム-含有膜を形成しても良いが、これに限定されるものではない。例えば、前記ALD及びCVD方法において水素気体及び/又はアンモニア気体を使用して膜を形成する場合、不純物が少なく含まれたルテニウム-含有膜を形成することができる。例えば、酸素気体又はオゾン気体を使用して膜を形成する場合、ルテニウム酸化物膜を形成することができるが、これに限定されるものではない。
【0050】
本願の一具現例において、前記ルテニウム-含有膜形成方法は、蒸着チャンバ内に位置した基材上にルテニウム前駆体化合物を含む膜形成用前駆体組成物を気体状態で供給して、基材の表面にルテニウム-含有膜を形成することを含むが、これに限定されるものではない。
【0051】
本願の一具現例において、前記ルテニウム-含有膜は、常温~約400℃の温度範囲で形成されても良いが、これに限定されるものではない。例えば、前記ルテニウム-含有膜は、常温~約400℃、常温~約350℃、常温~約300℃、常温~約250℃、常温~約200℃、常温~約150℃、常温~約100℃、約100℃~約400℃、約100℃~約350℃、約100℃~約300℃、約100℃~約250℃、約100℃~約200℃、約100℃~約150℃、約150℃~約400℃、約150℃~約350℃、約150℃~約300℃、約150℃~約250℃、約150℃~約200℃、約200℃~約400℃、約200℃~約350℃、約200℃~約300℃、約200℃~約250℃、約250℃~約400℃、約250℃~約350℃、約250℃~約300℃、約300℃~約400℃、約300℃~約350℃、又は約350℃~約400℃の温度範囲で形成されても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、前記ルテニウム-含有膜は、約200℃~約400℃、又は約300℃~約400℃の温度範囲で形成されても良い。
【0052】
本願の一具現例において、前記ルテニウム-含有膜は、約1nm~約500nmの厚さ範囲で形成されても良いが、適用用途に応じて様々に応用されても良く、これに限定されるものではない。例えば、前記ルテニウム-含有膜は、約1nm~約500nm、約1nm~約400nm、約1nm~約300nm、約1nm~約200nm、約1nm~約100nm、約1nm~約50nm、約1nm~約40nm、約1nm~約30nm、約1nm~約20nm、約1nm~約10nm、約10nm~約500nm、約10nm~約400nm、約10nm~約300nm、約10nm~約200nm、約10nm~約100nm、約10nm~約50nm、約10nm~約40nm、約10nm~約30nm、約10nm~約20nm、約20nm~約500nm、約20nm~約400nm、約20nm~約300nm、約20nm~約200nm、約20nm~約100nm、約20nm~約50nm、約20nm~約40nm、約20nm~約30nm、約30nm~約500nm、約30nm~約400nm、約30nm~約300nm、約30nm~約200nm、約30nm~約100nm、約30nm~約50nm、約30nm~約40nm、約40nm~約500nm、約40nm~約400nm、約40nm~約300nm、約40nm~約200nm、約40nm~約100nm、約40nm~約50nm、約50nm~約500nm、約50nm~約400nm、約50nm~約300nm、約50nm~約200nm、約50nm~約100nm、約100nm~約500nm、約100nm~約400nm、約100nm~約300nm、約100nm~約200nm、約200m~約500nm、約200nm~約400nm、約200nm~約300nm、約300nm~約500nm、約300nm~約400nm、又は約400nm~約500nmの厚さ範囲で形成されても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、前記ルテニウム-含有膜は、約1nm~約50nmの厚さ範囲で形成されても良い。
【0053】
本願の一具現例において、前記ルテニウム-含有膜は、通常のシリコン半導体ウェハ、化合物半導体ウェハ、及びプラスチック基板(PI、PET、PES、及びPEN)より選択される1つ以上の基材上に形成されても良いが、これに限定されるものではない。また、孔や溝のある基材を使用しても良く、表面積の広い多孔質の基材を使用しても良いが、これに限定されるものではない。さらに、互いに異なる2種類以上の基材が接触又は連結されている基材に同時にあるいは順次に基材全体又は一部に対して前記ルテニウム-含有膜が形成されても良いが、これに限定されるものではない。
【0054】
本願の一具現例において、前記ルテニウム-含有膜は、縦横比が約1~約100で、幅が約10nm~約1μmである凹凸(溝)を含む基材上に形成されても良いが、これに限定されるものではない。凹凸(溝)は、孔(hole)又は溝(trench)の形状であっても良い。例えば、前記縦横比は、約1以上、約10以上、約30以上、約50以上、約1~約100、約1~約90、約1~約80、約1~約70、約1~約60、約1~約50、約1~約40、約1~約30、約1~約20、約1~約10、約10~約100、約10~約90、約10~約80、約10~約70、約10~約60、約10~約50、約10~約40、約10~約30、約10~約20、約20~約100、約20~約90、約20~約80、約20~約70、約20~約60、約20~約50、約20~約40、約20~約30、約30~約100、約30~約90、約30~約80、約30~約70、約30~約60、約30~約50、約30~約40、約40~約100、約40~約90、約40~約80、約40~約70、約40~約60、約40~約50、約50~約100、約50~約90、約50~約80、約50~約70、約50~約60、約60~約100、約60~約90、約60~約80、約60~約70、約70~約100、約70~約90、約70~約80、約80~約100、約80~約90、又は約90~約100であっても良いが、これに限定されるものではない。また、例えば、前記幅は、約10nm~約1μm、約10nm~約900nm、約10nm~約800nm、約10nm~約700nm、約10nm~約600nm、約10nm~約500nm、約10nm~約400nm、約10nm~約300nm、約10nm~約200nm、約10nm~約100nm、約10nm~約90nm、約10nm~約80nm、約10nm~約70nm、約10nm~約60nm、約10~約50nm、約10nm~約40nm、約10nm~約30nm、約10nm~約20nm、約20nm~約1μm、約20nm~約900nm、約20nm~約800nm、約20nm~約700nm、約20nm~約600nm、約20nm~約500nm、約20nm~約400nm、約20nm~約300nm、約20nm~約200nm、約20nm~約100nm、約20nm~約90nm、約20nm~約80nm、約20nm~約70nm、約20nm~約60nm、約20nm~約50nm、約20nm~約40nm、約20nm~約30nm、約30nm~約1μm、約30nm~約900nm、約30nm~約800nm、約30nm~約700nm、約30nm~約600nm、約30nm~約500nm、約30nm~約400nm、約30nm~約300nm、約30nm~約200nm、約30nm~約100nm、約30nm~約90nm、約30nm~約80nm、約30nm~約70nm、約30nm~約60nm、約30~約50nm、約30nm~約40nm、約40nm~約1μm、約40nm~約900nm、約40nm~約800nm、約40nm~約700nm、約40nm~約600nm、約40nm~約500nm、約40nm~約400nm、約40nm~約300nm、約40nm~約200nm、約40nm~約100nm、約40nm~約90nm、約40nm~約80nm、約40nm~約70nm、約40nm~約60nm、約40~約50nm、約50nm~約1μm、約50nm~約900nm、約50nm~約800nm、約50nm~約700nm、約50nm~約600nm、約50nm~約500nm、約50nm~約400nm、約50nm~約300nm、約50nm~約200nm、約50nm~約100nm、約50nm~約90nm、約50nm~約80nm、約50nm~約70nm、約50nm~約60nm、約100nm~約1μm、約100nm~約900nm、約100nm~約800nm、約100nm~約700nm、約100nm~約600nm、約100nm~約500nm、約100nm~約400nm、約100nm~約300nm、約100nm~約200nm、約200nm~約1μm、約200nm~約900nm、約200nm~約800nm、約200nm~約700nm、約200nm~約600nm、約200nm~約500nm、約200nm~約400nm、約200nm~約300nm、約300nm~約1μm、約300nm~約900nm、約300nm~約800nm、約300nm~約700nm、約300nm~約600nm、約300nm~約500nm、約300nm~約400nm、約400nm~約1μm、約400nm~約900nm、約400nm~約800nm、約400nm~約700nm、約400nm~約600nm、約400nm~約500nm、約500nm~約1μm、約500nm~約900nm、約500nm~約800nm、約500nm~約700nm、約500nm~約600nm、約600nm~約1μm、約600nm~約900nm、約600nm~約800nm、約600nm~約700nm、約700nm~約1μm、約700nm~約900nm、約700nm~約800nm、約800nm~約1μm、約800nm~約900nm、又は約900nm~約1μmであっても良いが、これに限定されるものではない。
【0055】
本願の一具現例において、前記膜形成用前駆体組成物に含まれる本発明のルテニウム前駆体化合物は、低い密度、及び高い熱安定性に起因し、原子層蒸着法又は化学気相蒸着法の前駆体として使用してルテニウム-含有膜を形成することができ、特に、表面にパターン(溝)がある基材、多孔性基材、又はプラスチック基材上にも常温~約400℃、約200℃~約400℃、又は約300℃~約400℃の温度範囲で、数nm~数μmの厚さのルテニウム-含有膜を均一に形成することができる。
【0056】
本願の一具現例において、前記ルテニウム-含有膜形成方法は、反応チャンバ内に基材を収容した後、搬送ガス又は希釈ガスを使用して前記ルテニウム前駆体化合物を基材上に移送し、常温~約400℃、又は約200℃~約400℃の広範囲の蒸着温度でルテニウム-含有酸化薄膜又は窒化薄膜を蒸着することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0057】
本願の一具現例において、前記搬送ガス又は希釈ガスは、アルゴン(Ar)、窒素(N)、ヘリウム(He)又は水素(H)より選択される1つ以上の混合ガスを使用することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0058】
本願の一具現例において、前記ルテニウム前駆体化合物を基材上に伝達する方式としては、前駆体を搬送ガスを利用して強制的に気化させるバブリング(Bubbling)方式、常温で液状で供給し気化器を介して気化させる液状供給方式(LDS;Liquid Delivery System)、及び前駆体の蒸気圧を利用して直接供給する蒸気圧流量コントローラ(VFC;Vapor Flow Controller)方式を含む様々な供給方式が適用されても良く、蒸気圧の高い場合は、VFC方式を使用することができ、蒸気圧の低い場合は、容器を加熱して気化させるバイパス(Bypass)方式を使用することができる。前記ルテニウム前駆体化合物をバブラー容器又はVFC容器に入れて、約0.1torr~約10torr、常温~約100℃の温度範囲で搬送ガスを利用するバブリング又は高い蒸気圧を利用して搬送するチャンバ内へ供給する方式を使用することができる。最も好ましくは、前記ルテニウム前駆体化合物を常温で液状で供給し、気化器を介して気化させるLDS方式を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0059】
本願の一具現例において、前記ルテニウム前駆体化合物を気化させるためにアルゴン(Ar)又は窒素(N)ガスで搬送したり、熱エネルギー又はプラズマを利用したり、又は基板上にバイアスを印加することがさらに好ましいが、これに限定されるものではない。
【0060】
本願の一具現例において、前記蒸着温度が常温~約400℃、又は約200℃~約400℃であることは、メモリ素子及びロジッグ素子、ディスプレイ素子に適用可能な工程温度が広いため、様々な分野への適用可能性が高い。また、ルテニウム-含有酸化薄膜又は窒化薄膜のフィルム特性が異なっていて、広い温度範囲で使用可能なルテニウム前駆体化合物が必要とされるため、常温~約400℃、又は約200℃~約400℃の蒸着温度範囲で蒸着が行われることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0061】
本願の一具現例において、前記ルテニウム-含有膜の蒸着時にルテニウム-含有酸化膜を形成する場合、反応ガスとして、水蒸気(HO)、酸素(O)、酸素プラズマ、(O Plasma)、酸化窒素(NO、NO)、酸化窒素プラズマ(NO Plasma)、窒化酸素(N)、過酸化水素水(H)、及びオゾン(O)より選択される1つ又は2つ以上の混合物を使用することが好ましい。ところが、これに限定されるものではない。
【0062】
本願の一具現例において、前記ルテニウム-含有膜の蒸着時にルテニウム-含有窒化膜を蒸着するために、反応ガスとして、アンモニア(NH)、アンモニアプラズマ(HN Plasma)、ヒドラジン(N)、窒素プラズマ(N Plasma)を使用することが好ましい。ところが、これに限定されるものではない。
【0063】
以下、本願の実施例を通じて本発明をより具体的に説明するが、下記実施例は本願の理解を助けるために例示するだけであり、本願の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0064】
<実施例1>(p-Cymene)(2,4-Dimethyl-1,3-pentadiene)Ruの製造:[CHCH(CH][CH=C(CH)CH=C(CH]Ru
【化6】
火炎乾燥した1000mのLシュレンク(Schlenk)フラスコにおいて、[RuCl(p-cymene)]88.5g(0.144mol)と、NaCO91.8g(0.867mol)とを、2-プロパノール400mLに混合して懸濁液を製造し、前記懸濁液に2,4-ジメチル-1,3-ペンタジエン(2,4-dimethyl-1,3-pentadiene)25g(0.260mol)をゆっくり添加し、前記混合液を12時間還流させた後、反応を完結した。前記反応が完了してから、減圧下において溶媒及び揮発性副反応物を除去した後、n-ヘキサン500mLを利用して抽出した。n-ヘキサン抽出物をセライト(Celite)パッドとガラスフリット(frit)とを介して濾過した後、修得した濾過液を減圧下において溶媒を除去し、減圧下において蒸留して、前記化2で表されるオレンジ色の液体化合物[(p-cymene)(2,4-dimethyl-1,3-pentadiene)Ru]52.2g(収率50.1%)を修得した。
沸騰点:92℃(0.3torr)
密度:1.25g/mL(25℃)
【0065】
H-NMR(400MHz、C、25℃):δ4.981(d、1H、[CH CH(CH]-Ru)、δ4.656(d、1H、[CH CH(CH]-Ru)、δ4.596(d、1H、[CH CH(CH]-Ru)、δ4.384(s、1H、[CH=C(CH)C=C(CH]-Ru)、δ4.359(d、1H、[CH CH(CH]-Ru)、δ2.431(q、1H、[CH(CH]-Ru)、δ1.933(s、3H、[C CH(CH]-Ru)、δ1.878(s、1H、[C =C(CH)CH=C(CH]-Ru)、δ1.824(s、3H、[CH=C(C )CH=C(CH]-Ru)、δ1.533(s、1H、[C =C(CH)CH=C(CH]-Ru)、δ1.479(s、3H、[CH=C(CH)CH=C(C ]-Ru)、δ1.264(s、3H、[CH=C(CH)CH=C(C )2]-Ru)、δ1.186(m、6H、[CHCH(C ]-Ru)
【0066】
<実施例2>(p-cymene)(2,4-hexadiene)Ruと(p-cymene)(1,3-hexadiene)Ruとの混合組成物の製造:[CHCH(CH](CHCH=CH-CH=CHCH)Ru+[CHCH(CH](CH=CHCH=CHCHCH)Ru
【化7】
火炎乾燥した1000mLシュレンクフラスコにおいて、[RuCl(p-cymene)]30g(0.048mol)とNaCO30.5g(0.288mol)とを2-プロパノール400mLに混合して懸濁液を製造し、前記懸濁液に2,4-ヘキサジエン(2,4-hexadiene)16.6g(0.192mol)をゆっくり添加し、前記混合液を40時間還流させた後、反応を完結した。前記反応が完了してから、減圧下において溶媒及び揮発性副反応物を除去した後、n-ヘキサン500mLを利用して抽出した。n-ヘキサン抽出物をセライト(Celite)パッドとガラスフリット(frit)とを介して濾過した後、得られた濾過液を減圧下において溶媒を除去し、減圧下において蒸留して前記化3で表されるオレンジ色の液体混合物[(p-cymene)(2,4-hexadiene)Ruと(p-cymene)(1,3-hexadiene)Ruとの組成物]22g(収率62.8%)を修得した。
【0067】
前記液体のNMRスペクトルから、これが(p-cymene)(2,4-hexadiene)Ruと(p-cymene)(1,3-hexadiene)Ruとが6:4の割合で混じった混合物であることが分かった。
【0068】
Ru中心金属に配位した二重結合炭素に結合した水素が別の炭素に移動する異性化反応(isomerization reaction)が知られている[Y.M.Wuu et al,Inorganic Chemistry 1988,27(17)、3039~3044,doi:10.1021/ic00290a028]。このような異性化反応によって原料として使用していた2,4-hexadieneの一部が1,3-hexadineに変わったものと推定される。2つの異性質体は沸騰点がほぼ同一であり、減圧蒸留の後にも6:4の割合が維持された。
沸騰点:86℃(0.3torr)
密度:1.32g/mL(25℃)
H-NMR(700MHz、C、25℃)
【0069】
異性質体1.化2:(p-cymene)(2,4-hexadiene)Ru、[CHCH(CH](CHCH=CH-CH=CHCH)Ru
δ4.668(m、4H、[CH CH(CH](CHCH=CH-CH=CHCH)Ru)、δ4.330(m、2H、[CHCH(CH](CHCH=C-C=CHCH)Ru)、δ2.338(m、1H、[CH(CH](CHCH=CH-CH=CHCH)Ru)、δ2.013(s、3H、[C CH(CH](CHCH=CH-CH=CHCH)Ru)、δ1.371(d、6H、[CHCH(CH](C CH=CH-CH=CHCH)Ru)、δ1.147(d、6H、[CHCH(C ](CHCH=CH-CH=CHCH)Ru)、δ0.739(m、2H、[CHCH(CH](CH=CH-CH=CHCH)Ru)
【0070】
異性質体2.化3:(p-cymene)(1,3-hexadiene)Ru、[CHCH(CH](CH=CHCH=CHCHCH)Ru
δ4.983(m、1H、[CH CH(CH](CH=CHCH=CHCHCH)Ru)、δ4.835(m、2H、[CH CH(CH](CH=CHCH=CHCHCH)Ru)、δ4.727(m、1H、[CH CH(CH](CH=CHCH=CHCHCH)Ru)、δ4.603(m、1H、[CHCH(CH](CH=CCH=CHCHCH)Ru)、δ4.418(m、1H、[CHCH(CH](CH=CHC=CHCHCH)Ru)、δ2.302(m、1H、[CH(CH](CH=CHCH=CHCHCH)Ru)、δ1.969(s、3H、[C CH(CH](CH=CHCH=CHCHCH)Ru)、δ1.758(d、1H、[CHCH(CH](C =CHCH=CHCHCH)Ru)、δ1.703(m、1H、[CHCH(CH](CH=CHCH=CHC CH)Ru)、δ1.401(m、1H、[CHCH(CH](CH=CHCH=CHC CH)Ru)、δ1.120(t、3H、[CHCH(CH](CH=CHCH=CHCH )Ru)、δ1.098(m、6H、[CHCH(C ](CH=CHCH=CHCHCH)Ru)、δ0.726(m、1H、[CHCH(CH](CH=CHCH=CCHCH)Ru)、δ0.194(d、1H、[CHCH(CH](C =CHCH=CHCHCH)Ru)
【0071】
<実験例1>実施例1によるRu前駆体組成物の熱安定性の評価
密閉されたステンレススチール容器4つに実施例1において合成したRu前駆体化合物(化1)を含む組成物をそれぞれ2gずつ入れて、110℃及び120℃で7日、14日、及び28日それぞれ加熱した。
【0072】
加熱前のNMRと加熱後のNMRとを測定し、それぞれの純度を下記表1に示した。28日加熱後にも純度はほとんど変わっておらず、新規なNMRピークが現われなかった。したがって、実施例1のRu前駆体組成物[(p-cymene)(2,4-dimethyl-1,3-pentadiene)Ru]を110℃及び120℃に加熱して気化させる間に分解することなく一定の割合を維持することが確認できる。
【0073】
【表1】
【0074】
<実験例2>実施例2によるRu前駆体組成物の熱安定性の評価
密閉されたステンレススチール容器4つに実施例2において合成したRu前駆体組成物[(p-cymene)(2,4-hexadiene)Ru(化2)と(p-cymene)(1,3-hexadiene)Ru(化3)との混合物]をそれぞれ2gずつ入れて、110℃及び120℃で7日及び14日それぞれ加熱した。
【0075】
加熱前のNMRと加熱後のNMRとを測定した異性質体の割合を下記表2に示した。14日加熱後にも異性質体の割合がほとんど変わっておらず、新規なNMRピークも現われなかった。したがって、実施例2の前記Ru前駆体組成物を110℃及び120℃にそれぞれ加熱して気化させる間に異性質体の割合が一定であることが確認できる。
【0076】
【表2】
【0077】
熱安定性の低いRu前駆体組成物の場合、気化する間に異性質体の組成の割合が変わるのに対し、本発明のRu前駆体組成物は、加熱して気化させる間に組成の割合が一定に維持される。
【0078】
<実験例3>(p-cymene)(2,4-dimethyl-1,3-pentadiene)Ruを使用したルテニウム膜の蒸着
実施例1の方法により製造された(p-cymene)(2,4-dimethyl-1,3-pentadiene)Ru化合物でなった前駆体組成物を使用して、プラズマを利用した原子蒸着法(PEALD;Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition)工程によりRu金属膜を形成した。Ru前駆体組成物は、ステンレススチール材質の容器に入れて、100℃温度に加熱し、200sccmの流速でアルゴン搬送ガス(Ar carrier gas)を流して気化したRu前駆体組成物をPEALD反応器に供給した。その際、PEALD反応器の工程圧力は、1torr~1.2torrに維持した。300℃に加熱したシリコンウェハのピースを基質に使用して、PEALD工程を進行した。酸素と窒素との混合気体を供給する度に200WのRF電力をパルスで印加して発生した(O+N)プラズマを反応気体として使用した。Ru前駆体組成物の供給10秒、Ar気体のパージ(purge)10秒、(O+N)プラズマ反応気体の供給10秒、Ar気体のパージ10秒でなったALD供給周期を200回繰り返した。
【0079】
反応ガスとして使用する酸素(O)及び窒素(N)気体の混合の割合を70sccm:140sccm、100sccm:100sccm、及び200sccm:0sscmと異ならせて調節し、それぞれの場合に形成されたRu膜の面抵抗を測定し、膜の厚さを透過電子燎微鏡(TEM;Transmission Electron Microscope)で測定して計算した比抵抗を下記表3に示した。また、オージェ電子分光法(Auger electron spectroscopy)により測定した厚さによる膜の組成を図2に示した。
【0080】
【表3】
【0081】
上記の実験結果、膜厚が約150Å~400Å、比抵抗が約20μΩ・cm~約30μΩ・cmと電気伝導度の良好なRu金属膜が形成されたことが分かる。
【0082】
上述した本願の説明は例示のためのものであり、本願の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本願の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるはずである。それゆえ、上記した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は分散して実施されても良く、同様に、分散したものと説明されている構成要素も結合された形態で実施されても良い。
【0083】
本願の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態が本願の範囲に含まれると解釈されなければならない。
図1a
図1b
図1c
図2
【国際調査報告】