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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】密閉断熱タンク
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/02 20190101AFI20231024BHJP
   F17C 3/06 20060101ALI20231024BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20231024BHJP
   F17C 3/04 20060101ALI20231024BHJP
   B67D 9/00 20100101ALN20231024BHJP
【FI】
B65D90/02 B
F17C3/06
B63B25/16 F
F17C3/04 D
B67D9/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521509
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2023-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2021077925
(87)【国際公開番号】W WO2022074226
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】2010371
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】エリー ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】デルトル ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】ローレン ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】プルニエ ラファエル
【テーマコード(参考)】
3E083
3E170
3E172
【Fターム(参考)】
3E083BB20
3E170AA08
3E170AA09
3E170AB29
3E170BA10
3E170DA02
3E170LA06
3E170VA07
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172BA06
3E172BB02
3E172BB12
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD01
3E172CA10
3E172CA21
3E172CA22
3E172CA32
3E172DA13
3E172DA23
(57)【要約】
本発明は、液化ガスを貯蔵する密閉断熱タンクの壁(1)に関し、壁(1)は、少なくとも1つの断熱バリア(6)と、断熱バリア(6)に固定され、密閉断熱タンク内に収容された液化ガスと接触するように構成された1つの密閉メンブレン(8)とを備え、断熱バリア(6)は互いに平行な行及び列に並置された断熱パネル(7)を備え、各断熱パネル(7)は、密閉メンブレン(8)を支持する内面を有し、ブリッジング要素(26)によって、隣接する断熱パネル(7)と接続され、各ブリッジング要素(26)は2つの隣接する断熱パネル(7)にまたがって配置されるとともに、2つの隣接する断熱パネル(7)のうちの一方の内面の縁部に形成された凹部(25)と2つの隣接する断熱パネル(7)のうちの他方の内面の縁部に形成された凹部(25)とに固定されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを貯蔵する密閉断熱タンクの壁(1)であって、
少なくとも1つの断熱バリア(6)と、
前記断熱バリア(6)に固定され、前記密閉断熱タンク内に収容された前記液化ガスと接触するように構成された1つの密閉メンブレン(8)と、を備え、
前記断熱バリア(6)は、互いに平行な行及び列に並置された断熱パネル(7)を備え、
各前記断熱パネル(7)は、前記密閉メンブレン(8)を支持する内面を有し、ブリッジング要素(26)によって、隣接する前記断熱パネル(7)と接続され、
各前記ブリッジング要素(26)は2つの隣接する前記断熱パネル(7)にまたがって配置され、前記2つの隣接する前記断熱パネル(7)の一方の前記内面と前記2つの隣接する前記断熱パネル(7)の他方の前記内面とに固定され、
前記断熱パネル(7)には、それぞれ前記壁の厚さ方向に形成された緩和スロット(24)が設けられており、
各前記ブリッジング要素(26)は、前記断熱パネル(7)の縁部と、前記縁部に隣接しかつ前記縁部に平行な前記緩和スロット(24)のうちの1つとの間で、前記断熱パネル(7)のうちの1つに固定される、壁(1)。
【請求項2】
前記ブリッジング要素(26)は金属プレートである、請求項1に記載の壁(1)。
【請求項3】
各前記ブリッジング要素(26)は、前記2つの隣接する前記断熱パネル(7)の一方の前記内面に形成された凹部(25)と、前記2つの隣接する前記断熱パネル(7)の他方の前記内面に形成された凹部(25)とに固定される、請求項1又は2に記載の壁(1)。
【請求項4】
前記ブリッジング要素(26)のうちの少なくとも1つは、中央部分(41)と、前記中央部分(41)の2つの端部にそれぞれ配置された2つの折れ曲がり縁部(42,43)とを備え、
各折れ曲がり縁部(42;43)は、前記凹部(25)の1つの中にあるそれぞれの溝(44,45)内に設置され、
前記溝は、長さが、前記折れ曲がり縁部(42,43)の幅よりも大きく、
2つの前記溝のうちの少なくとも一方(44)は、前記凹部(25)が形成された前記断熱パネル(7)の隣接する前記縁部に対して角度α1だけ、前記壁の前記厚さ方向と直交する平面内で傾斜している、請求項3に記載の壁(1)。
【請求項5】
前記2つの溝のうちの他方(45)は、前記溝(45)を囲む前記凹部(25)が形成された前記断熱パネル(7)の隣接する前記縁部に対して角度α2だけ、前記壁の前記厚さ方向と直交する平面内で傾斜しており、
前記角度α1及びα2は、互いに反対の方向を有する方向づけられた角度である、請求項4に記載の壁(1)。
【請求項6】
前記角度α1及びα2は、5°から10°の値である、請求項5に記載の壁(1)。
【請求項7】
各金属プレートが、前記2つの隣接する前記断熱パネル(7)のそれぞれの前記凹部(25)の1つにそれぞれ固定された2つの金属取付プレート(27)に溶接されている、請求項3~6のいずれか一項に記載の壁(1)。
【請求項8】
各金属プレートが、前記2つの隣接する前記断熱パネル(7)の各々の前記凹部(25)の1つにリベット止めされている、請求項3に記載の壁(1)。
【請求項9】
前記密閉メンブレン(8)は、前記金属プレートのうちの少なくともいくつかに溶接されている、請求項2~8のいずれか一項に記載の壁(1)。
【請求項10】
前記密閉メンブレン(8)は金属シート(16)を備え、
各前記金属シート(16)は、前記金属プレートのうちの少なくともいくつかと整列して配置された縁部(20,21,22,23)であって、隣接する金属シート(16)における被重なり縁部又は重なり縁部にそれぞれ溶接される重なり縁部又は被重なり縁部をそれぞれ形成する縁部(20,21,22,23)を有し、
各前記被重なり縁部は、当該被重なり縁部の位置と一致する位置にある前記金属プレートのうちの少なくとも1つにさらに溶接されている、請求項9に記載の壁(1)。
【請求項11】
前記断熱パネル(7)は、平行六面体形状を有するとともに、第1の方向に平行な2つの第1の縁部と、前記第1の方向に垂直な第2の方向に平行な2つの第2の縁部とを有し、
前記金属シート(16)は、
前記第1の方向に平行な2つの第1の縁部(20,21)であって、前記断熱パネル(7)の前記第1の縁部の寸法と等しいか又はその整数倍である寸法を有する2つの第1の縁部(20,21)と、
前記第2の方向に平行な2つの第2の縁部(22,23)であって、前記断熱パネル(7)の前記第2の縁部の寸法と等しいか又はその整数倍である寸法を有する2つの第2の縁部(22,23)と、を備え、
前記金属シート(16)の前記第1の縁部(20,21)は、前記金属プレートのうちのいくつかに沿って位置するように、前記断熱パネル(7)の前記2つの第1の縁部のうちの少なくともいくつかに沿って延在し、
前記金属シート(16)の前記第2の縁部(22,23)は、前記金属プレートのうちのいくつかに沿って位置するように、前記断熱パネル(7)の前記第2の縁部のうちの少なくともいくつかに沿って延在する、請求項10に記載の壁(1)。
【請求項12】
前記金属シート(16)の前記2つの第1の縁部(20,21)は、前記金属シート(16)が前記金属プレートのうちのいくつかを完全に覆うように、前記断熱パネル(7)の前記第1の縁部の整数倍の寸法を有し、
前記金属シート(16)は、プラグ溶接(28)によって又は透過型溶接によって、前記完全に覆われた前記金属プレートに溶接されている、請求項11に記載の壁(1)。
【請求項13】
前記ブリッジング要素(26)は、前記密閉メンブレン(8)の支持の連続性を保証するよう、前記断熱パネル(7)の前記内面と同一平面上にある、請求項1~12のいずれか一項に記載の壁(1)。
【請求項14】
前記ブリッジング要素(25)は、前記断熱パネル(7)の前記内面を越えて前記密閉メンブレン(8)に向かって突出する、請求項1~13のいずれか一項に記載の壁(1)。
【請求項15】
前記密閉メンブレン(8)は、互いに垂直な2つの一連のコルゲーションを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の壁(1)。
【請求項16】
前記断熱パネル(7)の前記緩和スロット(24)は、前記密閉メンブレン(8)の前記2つの一連のコルゲーションのコルゲーション(17,18)の各々に対向して形成されている、請求項15に記載の壁(1)。
【請求項17】
前記断熱パネル(7)の内側シートは、複数の凹部(25)をそれぞれ有する4つの縁部を有し、
前記凹部(25)は、各前記緩和スロット(24)の両側に配置されている、請求項15又は16に記載の壁(1)。
【請求項18】
前記断熱パネル(7)の緩和スロットの数及び深さは、前記壁の前記厚さ方向に直交しかつ前記断熱パネル(7)の行及び列にそれぞれ平行である第1の方向及び第2の方向における前記断熱パネルの引張剛性が、それぞれ、前記第1の方向及び前記第2の方向における前記ブリッジング要素の前記剛性よりも低くなるように設定される、請求項1~17のいずれか一項に記載の壁(1)。
【請求項19】
前記緩和スロット(24)は、前記壁の前記厚さ方向の深さが60mmより大きい、請求項18に記載の壁(1)。
【請求項20】
前記断熱パネルは、各々、
前記断熱パネル(7)の前記内面に形成され、前記断熱パネル(7)の2つの対向する第1の縁部(20,21)に平行な第1の一連の緩和スロットと、
前記断熱パネル(7)の前記内面に形成され、前記断熱パネル(7)の2つの対向する第2の縁部(20,21)に平行な第2の一連の緩和スロットと、を備え、
前記緩和スロット(24)は、前記壁の前記厚さ方向の深さが、80mmから150mm、好ましくは115mmから150mmである、請求項1~19のいずれか一項に記載の壁(1)。
【請求項21】
前記2つの一連の緩和スロットのうちの少なくとも一方は、少なくとも中央緩和スロットと、前記中央緩和スロットの両側に延在する2つの縁部緩和スロットとを有し、
前記中央緩和スロットの深さは、前記2つの縁部緩和スロットの各々の深さよりも大きい、請求項20に記載の壁(1)。
【請求項22】
前記緩和スロット(24)は、前記断熱パネル(7)の前記内面に形成され、
前記断熱パネル(7)は、外側緩和スロット(39)をさらに備え、
前記外側緩和スロット(39)は、前記内面に形成された前記緩和スロット(24)に平行に前記断熱パネル(7)の外面に形成されているとともに、前記外側緩和スロット(39)に垂直な方向において、前記内面に形成された前記緩和スロットと交互に配置されている、請求項1~21のいずれか一項に記載の壁(1)。
【請求項23】
前記密閉メンブレン(8)は一次密閉メンブレンであり、前記断熱バリア(6)は一次断熱バリアであり、
前記壁(1)は、
支持構造(4)に保持される二次断熱バリア(2)と、
前記二次断熱バリア(2)に固定され、前記二次断熱バリア(2)と前記一次断熱バリアとの間に配置される二次密閉メンブレン(5)と、をさらに備える、請求項1~22のいずれか一項に記載の壁(1)。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の壁(1)を備える、密閉断熱タンク。
【請求項25】
船体(72)と、前記船体内に配置される請求項24に記載の密閉断熱タンク(71)と、を備える、流体を輸送するための船(70)。
【請求項26】
請求項25に記載の船(70)と、
前記船の前記船体内に設置された前記密閉断熱タンク(71)を、浮体式の又は陸上の貯蔵設備(77)に接続するように配置された断熱パイプライン(73,79,76,81)と、
前記浮体式の又は陸上の貯蔵設備から前記船の前記密閉断熱タンクへ、あるいは前記船の前記密閉断熱タンクから前記浮体式の又は陸上の貯蔵設備へ、前記断熱パイプラインを介して流体を送るためのポンプと、備える、流体を移送するための移送システム。
【請求項27】
請求項25に記載の船(70)に対する積み込み及び積み降ろしをするための方法であって、
流体は、浮体式の又は陸上の貯蔵設備(77)から前記船の密閉断熱タンク(71)へ、あるいは前記船の密閉断熱タンク(71)から浮体式の又は陸上の貯蔵設備(77)へ、断熱パイプライン(73,79,76,81)を介して運ばれる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば-50℃から0℃までの温度の液化石油ガス(LPGとも称される)を輸送する又は大気圧で約-163℃で液化天然ガス(LNG)を輸送するためのタンクなどの、液化ガスを貯蔵及び/又は輸送するための密閉断熱タンクの分野に関する。
【0002】
これらのタンクは陸上の又は浮体式の構造に設置することができる。浮体式の構造の場合、タンクは、液化ガスの輸送又は浮体式の構造を推進させるための燃料として使用される液化ガスの収容を意図して構成することができる。
【背景技術】
【0003】
支持構造に保持されるタンク壁を備える密閉断熱タンクが従来技術から知られており、タンク壁は、密閉断熱タンクの外側から内側に向かって、厚さ方向に、支持構造上に保持される二次断熱バリアと、二次断熱バリア上に保持された二次密閉メンブレンと、二次密閉メンブレン上に保持された一次断熱バリアと、一次断熱バリア上に保持されたコルゲート一次密閉メンブレンとを備える。そのような密閉断熱タンクは、とりわけ、特に船などの浮体式の構造に搭載されて液化天然ガス(LNG)などの液化ガスの輸送に使用される。
【0004】
複数のコルゲートシートを組み立てることによって一次密閉メンブレンを製造することは知られており、そのコルゲーションは有利には互いに直角に延在する。コルゲーションは一次密閉メンブレンに一定の柔軟性を与え、これにより一次密閉メンブレンは、熱的及び機械的応力、特にタンク内に貯蔵された液化ガスによって生成される応力や支持構造の変形に関連する応力の影響下で変形可能となっている。一次密閉メンブレンは一次断熱バリアの断熱パネル上に固定される。
【0005】
出願人は、上記のタイプのタンクでは一次密閉メンブレンのコルゲーションに均一な応力がかからないことに注目した。特に、一次断熱バリアは不連続の、つまり互いに並置された断熱パネルで構成されているため、膨張の影響下やタンク内に貯蔵されている液化ガスによって生じる熱的及び機械的応力の影響下で支持構造が変形する際の振る舞いが均一でない。したがって、出願人は、第1の断熱パネルに固定された第1の固定要素と第2の断熱パネルに固定された第2の固定要素とにまたがるゾーンに位置するコルゲーションが、他のコルゲーションよりも高い応力を受けることに注目した。ここで、特に一次密閉メンブレンの寿命を最適化するためには、一次密閉メンブレンのコルゲーション間に応力ができるだけ均一に分散されるようにすることが重要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の背景にある一つの発想は、一次密閉メンブレンが受ける応力がより均一に分散される密閉断熱タンクを提供するというものである。
【0007】
一実施形態において、本発明は液化ガスを貯蔵する密閉断熱タンクの壁に関し、この壁は、少なくとも1つの断熱バリアと、断熱バリアに固定され、密閉断熱タンク内に収容された液化ガスと接触するように構成された1つの密閉メンブレンとを備え、断熱バリアは互いに平行な行及び列に並置された断熱パネルを備え、各断熱パネルは密閉メンブレンを支持する内面を有し、ブリッジング要素によって、隣接する断熱パネルと接続され、各ブリッジング要素は2つの隣接する断熱パネルにまたがって配置され、2つの隣接する断熱パネルの一方の内面と2つの隣接する断熱パネルの他方の内面とに固定され、断熱パネルには、それぞれ壁の厚さ方向に形成された緩和スロットが設けられており、各ブリッジング要素は、断熱パネルの縁部と、縁部に隣接しかつ縁部に平行な緩和スロットとの間で断熱パネルのうちの1つに固定される。
【0008】
したがって、ブリッジング要素は断熱パネル間の機械的接続を提供し、これによって断熱パネルの表面に平行な平面内でのこれらパネルの相互分離が制限又は防止される。
【0009】
有利には、断熱パネルが互いに分離するのを防ぐために断熱パネルは変形可能である必要があり、したがって断熱パネルの剛性は、変形を引き起こす要素、すなわちブリッジング要素の剛性よりも低い必要がある。ここで、緩和スロットがあることで断熱パネルの剛性はブリッジング要素の剛性よりも低くなる。したがって、ブリッジング要素は断熱パネルを変形させる。したがって、上記特徴は支持構造の変形が一次断熱バリアにわたってより均一に分散することに貢献する。したがって、応力がより均一に密閉メンブレンのコルゲーションにかかることとなる。
【0010】
実施形態によれば、そのようなタンク壁は以下の特徴のうちの1つ以上を備えることができる。
【0011】
一実施形態では、ブリッジング要素は金属プレートである。これにより、断熱パネルを変形させることができるように断熱パネル間のロバストな機械的接続を提供することが可能となる。
【0012】
一実施形態では、各ブリッジング要素は、2つの隣接する断熱パネルのうちの一方の内面に形成された凹部と、2つの隣接する断熱パネルのうちの他方の内面に形成された凹部とに固定される。
【0013】
一実施形態では、ブリッジング要素のうちの少なくとも1つは、中央部分と、中央部分の2つの端部にそれぞれ配置された2つの折れ曲がり縁部とを備え、各折れ曲がり縁部は、凹部の1つの中にあるそれぞれの溝内に設置され、溝は長さが折れ曲がり縁部の幅よりも大きく、2つの溝のうちの少なくとも一方は、凹部が形成された断熱パネルの隣接する縁部に対して角度α1だけ壁の厚さ方向と直交する平面内で傾斜している。そのような構成は、たとえ一次パネルの間の間隔e1がその公称値に対応していなくても断熱パネル又は金属取付プレートの内面に存在する溝の中に折れ曲がり縁部を設置することができるという点で有利であり、これは、決められた公差範囲内にとどまる限りそうである。したがってこの構成により、断熱パネル間の間隔e1が公称値と異なる場合でも、ブリッジング要素のシンプルで迅速かつ正確な位置決めが可能となる。
【0014】
一実施形態では、2つの溝のうちの他方は、この溝を囲む凹部が形成された断熱パネルの隣接する縁部に対して角度α2だけ、壁の厚さ方向と直交する平面内で傾斜しており、角度α1及びα2は互いに反対の方向を有する方向づけられた角度である。
【0015】
一実施形態では、角度α1及びα2は、5°から10°の値である。
【0016】
一実施形態では、角度α1及びα2は同じ値である。
【0017】
一実施形態では、角度α1及びα2並びに溝の長さは、1mmから10mm、例えば3mm程度の、断熱パネル間の間隔e1に対する公差範囲をカバーすることが可能であるようなものである。
【0018】
一実施形態では、各溝が、凹部のうちの1つに固定された金属取付プレートに形成される。
【0019】
別の実施形態では、各溝が、凹部のうちの1つの底部を画定する断熱パネルのゾーンに形成される。このようにして、金属取付プレートを省くことができる。
【0020】
一実施形態では、ブリッジング要素の中央部分は、締結具、例えばネジによって2つの断熱パネルに固定されている。代替的な実施形態では、あるいは追加で、ブリッジング要素は、溝が形成された金属取付プレートに溶接される。一実施形態では、ブリッジング要素と金属取付プレートとの間の溶接は、ブリッジング要素の中央部分の縁部に沿っている。
【0021】
一実施形態では、一次パネルの1つの同じ縁部に沿って延在する溝は、一次パネルの前記縁部に対して、一方の方向及び他方の方向に、交互に傾斜している。
【0022】
一実施形態では、各折れ曲がり縁部は、隣接する断熱パネルの縁部に対して、当該折れ曲がり縁部が設置される溝の傾斜と同じ傾斜を有する。
【0023】
一実施形態では、各凹部は、断熱パネルのうちの1つの縁部と、この縁部に隣接しかつ平行な緩和スロットのうちの1つとの間に配置される。
【0024】
一実施形態では、各金属プレートは、2つの隣接する断熱パネルの凹部の1つにそれぞれ固定された2つの金属取付プレートに溶接されている。したがって、作業場において金属取付プレートを断熱要素に固定することができるので、ブリッジング要素の固定はシンプルであり、したがって、ブリッジング要素はタンクの組み立て中に、とりわけ密閉メンブレンのシートを互いに溶接するための溶接器具であってタンクの製造を担当する作業者が十分操作を理解している溶接器具といった、すでにタンク内になければならない溶接器具を用いて固定することができる。
【0025】
別の実施形態では、各金属プレートは2つの隣接する断熱パネルの各々の凹部の1つにリベット止めされている。これによってもブリッジング要素のシンプルな固定が提供される。
【0026】
一実施形態では、密閉メンブレンは金属プレートのうちの少なくともいくつかに溶接されている。したがって、ブリッジング要素は2つの機能、すなわち、一方では断熱パネル間の機械的接続を提供し、他方では密閉メンブレンを断熱バリアに固定するという機能を果たす。
【0027】
一実施形態では、密閉メンブレンは金属シートを備え、各金属シートは、金属プレートのうちの少なくともいくつかと整列して配置された縁部であって、隣接する金属シートにおける被重なり縁部又は重なり縁部にそれぞれ溶接される重なり縁部又は被重なり縁部をそれぞれ形成する縁部を有し、各被重なり縁部は、当該被重なり縁部の位置と一致する位置にある金属プレートのうちの少なくとも1つにさらに溶接されている。
【0028】
一実施形態では、断熱パネルは平行六面体形状を有するとともに、第1の方向に平行な2つの第1の縁部と、第1の方向に垂直な第2の方向に平行な2つの第2の縁部とを有し、金属シートは、第1の方向に平行な2つの第1の縁部であって、断熱パネルの第1の縁部の寸法と等しいか又はその整数倍である寸法を有する2つの第1の縁部と、第2の方向に平行な2つの第2の縁部であって、断熱パネルの第2の縁部の寸法と等しいか又はその整数倍である寸法を有する2つの第2の縁部と、を備え、金属シートの第1の縁部は、金属プレートのうちのいくつかに沿って位置するように、断熱パネルの2つの第1の縁部のうちの少なくともいくつかに沿って延在し、金属シートの第2の縁部は、金属プレートのうちのいくつかに沿って位置するように、断熱パネルの第2の縁部のうちの少なくともいくつかに沿って延在する。
【0029】
一実施形態では、金属シートの2つの第1の縁部は、金属シートが金属プレートのうちのいくつかを完全に覆うように、断熱パネルの第1の縁部の整数倍の寸法を有し、金属シートは、プラグ溶接によって又は透過型溶接によって、当該完全に覆われた金属プレートに溶接されている。
【0030】
一実施形態では、ブリッジング要素は、密閉メンブレンの支持の連続性を保証するよう、断熱パネルの内面と同一平面上にある。
【0031】
別の実施形態では、ブリッジング要素は、有利には3mm未満、例えば1.2mmから3mmの量だけ断熱パネルの内面を越えて、密閉メンブレンに向かって突出する。
【0032】
一実施形態では、密閉メンブレンは互いに垂直な2つの一連のコルゲーションを有する。
【0033】
一実施形態では、断熱パネルの緩和スロットは、密閉メンブレンの2つの一連のコルゲーションの各コルゲーションに対向して形成されている。そのような緩和スロットにより、ブリッジング要素によって断熱パネルが変形し、したがって断熱バリアがより均一に変形するように、断熱パネルの剛性を低下させることが可能となる。
【0034】
一実施形態では、断熱パネルの緩和スロットの数及び深さは、壁の厚さ方向に直交しかつ断熱パネルの行及び列にそれぞれ平行である第1の方向及び第2の方向における断熱パネルの引張剛性が、それぞれ、第1の方向及び第2の方向におけるブリッジング要素の剛性よりも低く、有利には3倍以上低くなるように設定される。
【0035】
ある有利な実施形態では、スロットの深さは、支持構造の変形の影響下で様々なスロットが可能な限り最も均一に開くように定められ、したがってコルゲーションが可能な限り最も均一に変形することとなる。
【0036】
一実施形態では、緩和スロットは、壁の厚さ方向の深さが60mmより大きい。
【0037】
一実施形態では、各断熱パネルには、断熱パネルの内面に形成され、断熱パネルの2つの対向する第1の縁部に平行な第1の一連の緩和スロット、例えば3つのスロットと、断熱パネルの内面に形成され、断熱パネルの2つの対向する第2の縁部に平行な第2の一連の緩和スロット、例えば3つのスロットと、が設けられている。
【0038】
一実施形態では、緩和スロットは、壁の厚さ方向の深さが、80mmから150mm、好ましくは115mmから150mmである。
【0039】
一実施形態では、2つの一連の緩和スロットのうちの少なくとも一方は、少なくとも中央緩和スロットと、中央緩和スロットの両側に延在する2つの縁部緩和スロットとを有し、中央緩和スロットの深さは、2つの縁部緩和スロットの各々の深さよりも大きい。
【0040】
一実施形態では、緩和スロットは断熱パネルの内面に形成され、断熱パネルは外側緩和スロットをさらに備え、外側緩和スロットは、内面に形成された緩和スロットに平行に、断熱パネルの外面に形成されているとともに、外側緩和スロットに垂直な方向において、内面に形成された緩和スロットと交互に配置されている。換言すると、各外側緩和スロットは、外側緩和スロットに垂直な方向において、内面に形成された2つの緩和スロット間に配置されている。
【0041】
一実施形態では、外側緩和スロットは深さが60mmよりも大きく、例えば115mmから150mmである。
【0042】
一実施形態では、各断熱パネルは、断熱パネルの2つの中央軸の各々をそれぞれ通過する2つの緩和スロットを有する。
【0043】
一実施形態では、緩和スロットは一定の間隔だけ互いに離れている。
【0044】
一実施形態では、緩和スロット同士は、これら緩和スロットに平行なコルゲーション間の間隔に対応する間隔だけ離れている。
【0045】
一実施形態では、断熱パネルの内側シートは、複数の凹部をそれぞれ有する4つの縁部を有し、凹部は、各緩和スロットの両側に配置されている。
【0046】
一実施形態では、密閉メンブレンは一次密閉メンブレンであり、断熱バリアは一次断熱バリアであり、前記壁は、支持構造に対して保持される二次断熱バリアと、二次断熱バリアに固定され、二次断熱バリアと一次断熱バリアとの間に配置される二次密閉メンブレンと、をさらに備える。
【0047】
一実施形態では、本発明は、上に記載した壁を備える密閉断熱タンクに関する。
【0048】
上述の実施形態の1つによるタンクは、例えばLNGを貯蔵するための地上貯蔵設備の一部を成してもよく、又は沿岸若しくは沖合の浮体式構造物、特にエタン若しくはメタンタンカー船、浮体式貯蔵再石灰化設備(FSRU)、浮体式生産貯蔵積出設備(FPSO)などに設置されてもよい。浮体式構造の場合、タンクは浮体式構造の推進用の燃料の役割をする液化天然ガスを収容するように構成されてもよい。
【0049】
一実施形態では、本発明は、二重船体などの船体と船体内に配置される上記密閉断熱タンクとを備える、流体を輸送するための船に関する。
【0050】
一実施形態では、本発明はまた、そのような船に対する積み込み及び積み降ろしをするための方法を提供し、流体は、浮体式の又は陸上の貯蔵設備から船の密閉断熱タンクへ、あるいは船の密閉断熱タンクから浮体式の又は陸上の貯蔵設備へ、断熱パイプラインを介して運ばれる。
【0051】
一実施形態では、本発明はまた、流体を移送するための移送システムを提供し、このシステムは、上に記載した船と、船の船体内に設置された密閉断熱タンクを浮体式の又は陸上の貯蔵設備に接続するように配置された断熱パイプラインと、浮体式の又は陸上の貯蔵設備から船の密閉断熱タンクへ、あるいは船の密閉断熱タンクから浮体式の又は陸上の貯蔵設備へ、断熱パイプラインを介して流体を送るためのポンプと、備える。
【0052】
本発明は、添付の図面を参照し、単なる説明のため非限定的な例として示される本発明の複数の特定の実施形態の以下の説明を読むことで、よりよく理解され、また、他の目的、詳細、特徴及び利点がよりはっきりと明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】タンク壁の多層構造の概略断面図である。
図2】タンク壁の部分切り取り図である。
図3】一次密閉メンブレンのコルゲート金属シートの斜視図である。
図4図2のタンク壁の一次断熱バリアを上から見た部分図である。
図5】別の実施形態によるタンク壁の切り取り上面図である。
図6】一実施形態による一次アンカー装置の部分断面図である。
図7】液化天然ガスを貯蔵するためのタンクと、このタンクに対して積み込み/積み降ろしをするためのターミナルとを有する船の切り取り概略図である。
図8】一実施形態による凹部、ブリッジング要素及び金属プレートの詳細を示す上から見た図である。
図9】一実施形態によるブリッジング要素の斜視図である。
図10】別の実施形態による凹部、ブリッジング要素及び金属プレートの詳細を示す上から見た図である。
図11】別の実施形態による一次断熱要素及びブリッジング要素の概略図である。
図12】別の実施形態による一次断熱バリア及び一次密閉メンブレンの断面図である。
図13】別の実施形態による一次断熱バリア及び一次密閉メンブレンの断面図である。
図14】別の実施形態による一次断熱要素及びブリッジング要素の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
慣例により、「外側」及び「内側」との用語は、タンクの外側及び内側を参照して、1つの要素の別の要素に対する相対位置を定義するために使用される。
【0055】
図1は、液化ガスを貯蔵するための密閉断熱タンクの壁1の多層構造を模式的に示す。各壁1は、タンクの外側から内側に向かって、支持構造4に固定される二次パネル3を備える二次断熱バリア2と、二次断熱バリア2に載置された二次密閉メンブレン5と、二次密閉メンブレン5に載置され二次パネル3に固定された一次パネル7を備える一次断熱バリア6と、一次断熱バリア6に載置され、タンク内に収容された液化ガスと接触するように構成された一次密閉メンブレン8とを備える。
【0056】
支持構造4は、特に、船の船体又は二重船体によって形成され得る。支持構造4は、タンクの全体形状を画定する複数の壁を備え、通常は多面体形状である。
【0057】
図2に関連して、二次断熱バリア2は複数の二次パネル3を備えることが分かる。二次パネル3は、不図示の二次アンカー装置によって支持構造4に固定される。二次パネル3は平行六面体の全体形状を有し、互いに平行な二次的な列に配置されている。例として、図示の実施形態では、二次パネル3は、外側シート10と内側シート11との間に挟まれた断熱ポリマー発泡体層9を有する。外側シート10及び内側シート11は、例えば合板からなり、断熱ポリマー発泡体層9に結合されている。断熱ポリマー発泡体は、特に、ポリウレタン系ポリマー発泡体、オプションでガラス繊維強化されたものであってもよい。上記の二次パネル3の構造は一例として記載されたものである。また、別の実施形態では、二次パネル3は、別の全体構造、例えば、国際公開第2012/127141号パンフレットに記載の構造に採用することもできる。また、二次パネル3は、例えば、内部に仕切りを有し、断熱パッキンで充填された平行六面体の木箱からなる。別の実施形態では、二次断熱バリア2は二次パネル3を備え、二次パネル3は、タンク内のどこに配置されるかによって、例えば上述の2つの構造などの少なくとも2つの異なるタイプの構造を備える。
【0058】
図2に部分的に示されている二次密閉メンブレン5は、2つの平行な上方に折られた縁部を有する金属ストレーキ12の連続的な層を含む。ストレーキ12は、それらの上方に折られた縁部によって、二次パネル3の内側シート11に形成された溝に収容された平行な溶接支持体に溶接される。ストレーキ12は、例えば、インバー(登録商標)から、すなわち、膨脹係数が通常1.2×10-6/Kから2×10-6/Kである鉄とニッケルの合金から作製される。また、膨脹係数が通常7×10-6/Kから9×10-6/Kである鉄とマンガンの合金を用いることも可能である。別の実施形態では、金属メンブレンはコルゲーションを有し、例えば、ストレーキと同じ合金から製造されてもよい。
【0059】
さらに、一次断熱バリア6は、図5に関連して後述するように、一次アンカー装置によって二次断熱バリア2に固定される複数の一次パネル7を備える。一次パネル7は直方体の全体形状を有し、互いに平行な列に配置されている。
【0060】
一次パネル7は、二次パネル3の構造と同様の多層構造を有していてもよい。したがって、図示の実施形態では、一次パネル7は、壁1の厚さ方向に、順に、例えば合板からなる外側シート13と、断熱ポリマー発泡体層14と、例えば合板からなる内側シート15とを含む。断熱ポリマー発泡体層14は、例えば、ポリウレタン系発泡体、オプションでガラス繊維強化されたものであってもよい。上記の一次パネル7の構造は一例として記載されたものである。
【0061】
図示の実施形態では、外側シート13及び内側シート15は正方形の形状である。換言すれば、一次パネル7は同じ寸法の4つの縁部を有する。
【0062】
図2に示されるように、一次パネル7の外側シート13には、二次密閉メンブレン5のストレーキ12の上方に折られた縁部を受け入れる溝が設けられている。
【0063】
さらに、一次密閉メンブレン8は、複数のコルゲート金属シート16(その1つが図3に示される)を組み立てることで得られるものである。コルゲート金属シート16は、例えば、ステンレス鋼又はアルミニウムから作製される。各コルゲート金属シート16は、2つの互いに垂直な一連のコルゲーション17,18を有する。コルゲーション17,18は平面部19によって互いに分離されている。この実施形態では、コルゲーション17,18は連続的であり、互いに交差する。不図示の変形例では、コルゲーション17,18の各々は、平面部が散在するコルゲーション部分を有する。そのため、コルゲーションは不連続である。有利には、コルゲーション部分は互いに交差しない。
【0064】
コルゲート金属シート16は長方形であり、したがって、互いに平行な2つの対向する第1の縁部20,21と、互いに平行でかつ2つの第1の縁部20,21に垂直な2つの対向する第2の縁部22,23とを有する。コルゲート金属シート16は、好ましくは、幅寸法及び長さ寸法が、コルゲーション間の間隔の全体値又は整数倍であり、また、一次パネル7の寸法の整数倍でもある。
【0065】
したがって、図2に示される実施形態では、2つの第1の縁部20,21の長さは一次パネル7の辺の長さの3倍に実質的に等しく、一方、第2の縁部22,23の長さは一次パネル7の辺の長さに実質的に等しい。
【0066】
一次パネル7の内側シートは緩和スロット24を有し、緩和スロット24は、各々、一次密閉メンブレン8の各コルゲーション17,18に対向して延在する。緩和スロット24は、各一次パネル7の縁部に沿って複数の縁部ゾーンを画定する。緩和スロット24は内側シート15を貫通し、一次パネル7の断熱ポリマー発泡体層14を通って壁の厚さ方向に延在する。有利には、緩和スロット24の深さ及びその数は、壁の厚さ方向に直交しかつ一次パネル7の縁部に平行な方向における一次パネル7の引張剛性が、対応する方向におけるブリッジング要素26の引張剛性よりも小さくなるように決定される。したがって、緩和スロット24は、有利には、60mmより大きい深さ、好ましくは115mmから150mmの深さを有する。一例として、一次パネル7は230mmの厚さを有し、一方、緩和スロット24は115mmの深さを有する。上記の値の範囲は、好ましくは、110kg/mから150kg/m、より具体的には130kg/mの密度のポリウレタン系発泡体から作製された断熱ポリマー発泡体層14を有する一次パネル7に対応する。例えば150kg/mから210kg/mのより高密度な発泡体の場合、緩和スロット24の深さは、有利には、上記の値の範囲に対応する深さよりも大きく、例えば、210kg/mの発泡体の場合には130kg/mの発泡体と比べて40%大きい。緩和スロット24の深さと発泡体の密度の関係は、有利には線形関係である。
【0067】
図2及び図4に示された実施形態では、各一次パネル7は、第1の方向に平行に延びる3つのコルゲーション17と、第1の方向に垂直な第2の方向に平行に延びる3つのコルゲーション18とに対向する。また、各一次パネル7は、第1の方向に平行に延び、各々が各コルゲーション17の1つに対向して配置された3つの緩和スロット24と、第2の方向に平行に延び、各々がコルゲーション17,18の一方に対向して配置された3つの緩和スロット24とを備える。したがって、一次パネル7は、それぞれ前記断熱パネル7の2つの中央軸の各々を通過する、すなわち、断熱パネル7の2つの縁部に平行で断熱パネル7を2つの等しい部分に分割する軸を通過する2つの緩和スロットを備える。
【0068】
したがって、緩和スロット24は、当該緩和スロット24に平行なコルゲーション17,18間の間隔に対応する間隔だけ離隔している。しかしながら、一次パネル7の縁部のうちの1つに隣接する緩和スロット24は、各々、当該緩和スロット24に平行なコルゲーション間の間隔の実質的に半分に対応する距離だけ前記縁部から離隔している。
【0069】
一次パネル7の内側シート15は、一次密閉メンブレン8のための支持面を画定する。一次パネル7は、それらの縁部のそれぞれに沿って、図2及び図4に示される凹部25を有し、凹部25はブリッジング要素26を受け入れるように構成され、各緩和スロット24の両側に配置される。換言すれば、一次パネル7の縁部に沿って緩和スロット24によって画定される各縁部ゾーンは凹部25を有する。
【0070】
ブリッジング要素26は、各々、少なくとも2つの隣接する一次パネル7にまたがって配置され、2つの隣接する一次パネル7間のギャップに架かっている。各ブリッジング要素26は、2つの隣接する一次パネル7の一方の凹部25の中に固定される端部と、2つの隣接する一次パネル7の他方の凹部25の中に固定される別の端部とを備えている。したがって、ブリッジング要素26は、前記断熱パネルの相互分離を防止する、一次パネル7間の機械的接続を提供する。これは、緩和スロット24の存在と組み合わせることで、支持構造4の変形を一次断熱バリア6にわたってより均一に分散させるように寄与し、したがって、一次密閉メンブレン8により均一に応力が加わることを可能にする。
【0071】
ブリッジング要素26を固定するために、各凹部25は、凹部25の内部で内側シート15に固定される金属取付プレート27を備えている。金属取付プレート27は、例えば、一次パネル7の内側シート15に、接着及び/又は例えばリベットのような締結具を用いることによって固定される。さらに、ブリッジング要素26は、金属取付プレート27に溶接される金属プレートである。
【0072】
ブリッジング要素26は、一次要素7の内側シート15の内面と同一平面上にある。これを達成するために、図示の実施形態では、凹部25の深さは、金属取付プレート27とブリッジング要素26の厚さの合計に等しいか、又は実質的に等しい。したがって、ブリッジング要素26は一次密閉メンブレン8の支持において連続性を保証することができる。
【0073】
一次密閉メンブレン8のコルゲート金属シート16は、その縁部20,21,22,23に沿って重ね溶接される。さらに、コルゲート金属シート16は一次断熱バリア6に固定される。
【0074】
図2に示される実施形態では、コルゲート金属シート16は、ブリッジング要素26を形成する金属プレートのいくつかに固定される。それを達成するために、コルゲート金属シート16の縁部20,21,22,23は、各々、一次パネル7の縁部のいくつかに沿って配置され、ブリッジング要素26に沿って配置されている。
【0075】
一実施形態では、隣接する第2のコルゲート金属シート16の縁部20,22が重なるように構成された第1のコルゲート金属シート16の縁部21,23は、例えばスポット溶接を用いて、ブリッジング要素26に溶接され、次いで、第1のコルゲート金属シート16の縁部21,23に重なる第2のコルゲート金属シート16の縁部20,22は、有利にはフィレット溶接として、第1のコルゲート金属シート16の縁部20,22に連続的に溶接される。
【0076】
不図示の一実施形態では、一次パネル7の縁部は凹部25の外側において熱保護ストリップを有し、熱保護ストリップは、コルゲート金属シート16の溶接線に対向して配置され、コルゲート金属シート16をそれらの縁部20,21,22,23に沿って互いに溶接する作業中に、一次パネル7、及び特に断熱ポリマー発泡体層14を、これらを損傷しやすい温度から保護することを目的としている。
【0077】
コルゲート金属シート16の縁部20,21が一次パネル7の縁部の寸法の3倍に実質的に等しい長さを有する実施形態の場合のように、コルゲート金属シート16の縁部の寸法が一次パネル7の縁部の寸法のほぼ整数倍である縁部20,21をコルゲート金属シート16が有する場合、コルゲート金属シート16は、オプションの実施形態において、それらによって完全に覆われるブリッジング要素26に溶接される。それを達成するために、図2に図示される実施形態では、コルゲート金属シート16はプラグ溶接部28を用いてブリッジング要素26に固定されている。これを達成するために、コルゲート金属シート16は、図示の実施形態ではスロットの形態の少なくとも1つの貫通孔を有し、この貫通孔は、前記ブリッジング要素26に沿って前記コルゲート金属シート16の平面部に形成される。前記貫通孔は、各々、一次密閉メンブレン8とブリッジング要素26の間の接続を行うために溶接材料で満たされる。あるいは、コルゲート金属シート16によって覆われるブリッジング要素26にコルゲート金属シート16を固定するために採用される方法は、透過型溶接、即ち、フィラー材を用いないレーザ源を用いる溶接である。
【0078】
図5に示される別の実施形態では、各コルゲート金属シート16は、その縁部20,21,22,23が一次パネル7の縁部に対してオフセットされるように、複数の一次パネル7にまたがって配置されている。したがって、2つの隣接する一次パネル7間の接合部に位置する、したがってブリッジング要素26の1つに沿ったコルゲート金属シート16の縁部の部分のみが、前記ブリッジング要素26に溶接される。
【0079】
その結果、コルゲート金属シート16の縁部20,21,22,23の他の部分は図5に示される熱保護要素29に沿うこととなる。熱保護要素29は、例えば、アルミニウムのシート、又は少なくとも1つのガラス繊維マットに関連付けられた少なくとも1つのアルミニウム箔を含む複合フィルムから形成される。熱保護要素29は、有利には、一次パネル7の内側シート15に形成されたボア内に収容され、コルゲート金属シート16の縁部20,21,22,23に沿う2つの緩和スロット24間の各ギャップ内に配置される。熱保護要素29は、一次パネル7の内側シート15に接着及び/又はステープルで固定される。熱保護要素29は、コルゲート金属シート16をその縁部20,21,22,23に沿って互いに溶接する作業中に、一次パネル7、特にその断熱ポリマー発泡体層14を、それらを損傷しやすい温度から保護する。
【0080】
別の実施形態では、図5に示された熱保護要素29が、一次パネル7の内側シート15に形成されたボア内に収容された金属取付プレートに置き換えられており、金属取付プレートに、隣接するコルゲート金属シート16の縁部が重ねられるコルゲート金属シート16の縁部が、例えばスポット溶接又はフィレット溶接を用いて溶接される。
【0081】
図8は、一実施形態による凹部25、ブリッジング要素26及び金属プレート27を詳細に示す。この実施形態では、各金属プレート27は、凹部25のうちの1つに、4つのリベット(そのうちの2つが図8に示されている)によって固定されている。図示されているように、ブリッジング要素26の端部は、凹部25の端部から、ブリッジング要素26の前記端部が金属プレート27に溶接されることを可能にする金属プレート27の表面を露出させるのに十分なスペースだけ離隔している。
【0082】
図9に示される別の実施形態では、各ブリッジング要素26は、プラグ溶接を用いて2つの金属プレート27の各々に固定される。これを達成するために、ブリッジング要素26は、例えば図9のスロットの形態の2つの貫通オリフィス38を有し、貫通オリフィス38にはブリッジング要素26と2つの各金属プレート27の間の接続を行うための溶接材料が充填される。
【0083】
図10は、別の変形実施形態による凹部25、ブリッジング要素26及び金属プレート27を詳細に示す。この変形実施形態では、一次パネル7の角部に形成された凹部25と、この凹部25に受け入れられた金属プレート27とが、それぞれ、一次パネル7の内面に対する対角線に沿う向きに配されている。さらに、隣接する4つの一次パネル7にそれぞれ属する4つの金属プレート27に固定されたブリッジング要素26は八角形の形状とされている。
【0084】
不図示の実施形態では、金属プレート27は省略され、ブリッジング要素26は凹部25の内側にリベットで直接固定されている。
【0085】
図11は別の実施形態を示す。この実施形態では、ブリッジング要素26は断熱パネルの内面と同一平面上に存在せず、かつブリッジング要素26は同一平面上にない。ブリッジング要素26は、一次パネル7の内面に形成された凹部25内に固定された金属プレート27に溶接された2つの端部を備える。ブリッジング要素26の2つの端部は、一次パネル7の内面のわずかに上方に、例えば1.2mmから3mmの量だけ突出する。これにより、一次密閉メンブレン8の振る舞いにあまり大きな影響を与えることなく金属プレート27にブリッジング要素26を溶接することが容易になる。さらに、図示の実施形態では、ブリッジング要素26は、前記ブリッジング要素26の2つの端部の平面内に延在しない中央部分であって、2つの隣接する一次パネル7の間に形成されたギャップ内に突出する中央部分を備える。
【0086】
図6に示されるように、一次パネル7はその角部に切り欠き30を有しており、その外側シート13がその断熱ポリマー発泡体層14及び内側シート15を越えて延在している。したがって、外側シート13は、一次パネル7の角部において、一次アンカー装置33の押さえ板32と直接又は間接的に協働するよう構成されたベアリングゾーン31を形成する。さらに、図示の実施形態では、ブロック34が外側シート13に追加され、前記ブロック34はベアリングゾーン31の形状に類似した形状を有し、押さえ板32と協働して一次パネル7を固定する。各一次アンカー装置33は、4つの隣接する一次パネル7の角部にそれぞれ属する4つのベアリングゾーン31と協働する。各一次アンカー装置33は、二次パネル3の1つから突出するスタッド35と、スタッド35の端部に固定され、かつ、隣接する4つの一次パネル7の4つのベアリングゾーンを支えてこれらを二次断熱バリア2に押し付ける押さえ板32とを備えている。押さえ板32は、スタッド35に装着されるボアを有する。押さえ板32を固定するように、ナット36がスタッド35のネジ付き端部と係合する。さらに、1つの有利な実施形態によれば、ナット36と押さえ板32との間においてスタッド35に弾性ベルビルワッシャが装着され、それによって、一次パネル7が二次断熱バリア2に弾性的に固定される。
【0087】
スタッド35はベース37に固定され、ベース37自体は二次パネル3の内側シート11に固定される。これを達成するために、ベース37は、例えば、スタッド35の相補的ネジ付き端部と係合するネジ山を備える。さらに、二次パネル3の内側シート11は、ベース37が収容される切り欠きを有する。切り欠きは、段付きの肩部を作るように、第1の直径の内側セクションと、第1の直径よりも大きい第2の直径の外側セクションとを有する。ベース37は、切り欠きの形状を相補する形状を有する。したがって、ベース37の内面は、二次密閉メンブレン5を支持する平坦な支持面を形成するように、二次パネル3の内側シート11の内面と同一平面上にある。さらに、ベース37は、その内側セクションよりも大きな直径の外側セクションを有し、ベース37の外側セクションが切り欠きの肩部に当接する。また、ベース37は、二次パネル3に結合される。
【0088】
また、スタッド35は、二次密閉メンブレン5に形成されたオリフィスを密閉状態で通過する。
【0089】
図12に示される実施形態では、一次パネル7は、一次パネル7の外面に開口する緩和スロット39も備えるという点で、上に記載した一次パネルとは異なる。有利には、一次パネル7は、一次パネルの2つの対向する第1の縁部と一次パネル7の2つの対向する第2の縁部とにそれぞれ平行な2つの一連の緩和スロット39も備える。この図に示すように、緩和スロット39は、コルゲーション17,18に対向して配置されておらず、2つの平行なコルゲーション17,18の中間に配置されている。したがって、緩和スロット39は、緩和スロット24と交互になるように配置される。緩和スロットの深さは、60mm超、好ましくは115mmから150mm、例えば115mm程度である。
【0090】
図13に示される実施形態では、緩和スロット24はすべて同じ深さを有するわけではない。具体的には、緩和スロット24の深さは一次パネル7の中心に向かって増大し、その縁部に向かって減少する。換言すれば、中央緩和スロットは、中央緩和スロットの両側に延在する2つの縁部緩和スロットの深さよりも大きい深さを有する。これにより、各一次断熱パネル7内において応力がより良好に分布するという効果が得られ、一次密閉メンブレン8のコルゲーション17,18がさらに均一に応力を受けることができるようになる。例として、縁部緩和スロットの深さが80mmで、中央緩和スロットの深さが115mmであってもよい。別の例では、縁部緩和スロットの深さが115mmで、中央緩和スロットの深さが150mmであってもよい。
【0091】
図14は別の実施形態によるブリッジング要素26を示す。これまでの実施形態と同様に、ブリッジング要素26を固定するために、各凹部25は金属取付プレート27を備えている。金属取付プレート27は、例えば、金属取付プレート7に形成されたオリフィス40を貫通するリベット又はネジのような不図示の締結具によって、一次パネル7に固定される。
【0092】
ブリッジング要素26は、中央部分41と、2つの金属取付プレート27の各々に形成された溝44,45内にそれぞれ設置される2つの折れ曲がり縁部42,43とを備える。ブリッジング要素26は、例えば、1mmから2mmの程度の厚さの曲げられたシート金属で作製される。
【0093】
一実施形態では、一次パネル7の凹部25の各々は、対応する金属取付プレート27の溝44,45と同じ形状で、かつ同じ向きを向く不図示の溝を有する。したがって、ブリッジング要素26の折れ曲がり縁部42,43は、凹部25に形成された溝にも設置される。
【0094】
2つの金属取付プレート27の溝44,45のうちの少なくとも一方は傾斜しており、すなわち、縁部47,48を支持する一次パネル7の隣接する縁部47,48に対して平行に形成されているのではなく、当該縁部47,48に対して、厚さ方向に直交する平面内において、角度α1,α2だけ傾斜している。図14に示される有利な実施形態では、両方の金属取付プレート27の溝44,45は、各一次パネル7の隣接する縁部47,48に対して角度α1,α2だけそれぞれ傾斜している。角度α1及びα2は、互いに反対の方向を有する方向づけられた角度である。さらに、好ましくは、角度α1及びα2は同一の値を有する。
【0095】
ブリッジング要素26の各折れ曲がり縁部42,43は、溝44,45のうちの1つに挿入することができるようにするために、中央部分26の平面に垂直な平面であって、隣接する一次パネル7の縁部47,48に対して自身が設置される傾斜した溝44,45と同じ角度α1及びα2だけ傾斜している平面内に延在する。
【0096】
さらに、溝44,45は長さが折れ曲がり縁部42,43の幅よりも大きく、これにより、溝44,45の内部での折れ曲がり縁部42,43の位置決めのためのある程度のクリアランスを作り出すようにされている。
【0097】
このような構成は、たとえ一次パネル7間の間隔e1がその公称値に対応していない場合であっても金属取付プレート27の溝42,43の中に折れ曲がり縁部42,43を設置することができるという点で有利であり、これは、決められた公差範囲内にとどまる限りそうである。したがって、図14では、隣接する2つの一次パネル7の間の間隔e1がその公称値よりも大きい場合、折れ曲がり縁部42,43は、溝44,45の右側端部よりもその左側端部に近くなる。逆に、図14に示すように、折れ曲がり縁部42,43は、間隔e1がその公称値未満である場合、溝44,45の左側端部よりも右側端部に近くなる。
【0098】
有利には、溝44,45内での折れ曲がり縁部42,43の位置決めのための角度α1及びα2並びにクリアランスは、1mmから10mm、例えば3mm程度の公差範囲をカバーすることが可能であるようなものである。有利には、公差範囲は、間隔e1の公称値を中心としたものである。
【0099】
凹部25は、有利には、深さが、金属取付プレート27の厚さとブリッジング要素26の中央部分41の厚さとの合計に実質的に等しい深さを有し、これによって、一次密閉メンブレン8の支持の連続性を保証するように、ブリッジング要素26の中央部分41を一次パネル7の内面と同一平面上に位置させることができる。
【0100】
ブリッジング要素26は一次パネル7に固定されており、これにより、溝44,45内の折れ曲がり縁部42,43の相対位置が固定され、折れ曲がり縁部42,43が溝44,45から外れることが回避されるようになっている。これを達成するために、図示の実施形態では、ブリッジング要素26の中央部分41がオリフィス49を備え、オリフィス49は、ブリッジング要素26を一次パネル7に固定するためのネジ又はリベットのような不図示の締結具を受け入れるよう構成されている。代替的に又はこれに加えて、ブリッジング要素26は金属取付プレート27に溶接されている。その場合、ブリッジング要素26は、好ましくは、中央部分41の縁部に沿って金属取付プレート27に溶接される。
【0101】
有利には、溝44,45及び折れ曲がり縁部42,43の表面仕上げは、ブリッジング要素26を一次パネル7に固定する締結具に加えられるせん断力を制限するように粗くなっている。
【0102】
不図示の一実施形態では、一次パネル7のうちの1つの同じ縁部47に沿って延在する金属取付プレート27の溝44は、一次パネル7の前記縁部47に対して、一方向に及び次いで他方向に、交互に傾斜している。換言すれば、縁部47に沿った2つの隣接する金属取付プレート27の溝44の傾斜は逆にされ、これにより、一次パネル7間の間隔e1が公称値よりも大きいとき、一方の金属取付プレート27の溝44に設置された1つのブリッジング要素26がこの溝44の右側端部により近く、他方の金属取付プレート27の溝44に設置された別のブリッジング要素26がこの溝44の左側端部により近くなるようになっている。
【0103】
不図示の別の実施形態は、一次パネル7が金属取付プレート27を有さないという点で図14に関連して上で記載された実施形態とは異なり、これにより、ブリッジング要素26の取り付けをさらに簡単にすることができる。したがって、ブリッジング要素26の折れ曲がり縁部42,43は、一次パネル7の凹部25に形成された傾斜した溝内に直接設置される。凹部25に形成された傾斜した溝は、特に一次パネル7の隣接する縁部47,48に対する傾斜に関して、上で記載した溝44,45と同様の特徴を有する。さらに、凹部25の深さは、ブリッジング要素26の中央部分41の厚さと実質的に等しく、これにより、ブリッジング要素26の中央部分41を一次パネル7の内面と同一平面上にあるようにすることができる。
【0104】
図7を参照すると、メタン運搬船70の切り取り図は、船の二重船体72に組み込まれた略角柱形状の密閉断熱タンク71を示す。タンク71の壁は、タンク内に収容されたLNGと接触するよう構成された一次密閉メンブレン8と、一次密閉メンブレン8と船の二重船体72との間に配置された二次密閉メンブレン5と、一次密閉メンブレン8と二次密閉メンブレンとの間及び二次密閉メンブレンと二重船体72との間にそれぞれ配置された2つの断熱バリアとを備える。
【0105】
それ自体周知の方法によって、船のアッパーデッキに配置された積み込み/積み降ろしパイプライン73は、適切なコネクタを用いて、タンク71から又はタンク71にLNGの貨物を移送するための沿海又は港ターミナルに接続することができる。
【0106】
また図7は、積み込み/積み降ろしステーション75、海中パイプ76及び陸上設備77を備える沿海ターミナルの例を示す。積み込み/積み降ろしステーション75は、可動アーム74及び可動アーム74を支えるタワー78を備える固定海上設備である。可動アーム74は、積み込み/積み降ろしパイプライン73に接続可能な断熱可撓ホース79の束を支持する。方向付け可能な可動アーム74は、全サイズのメタン運搬船に適している。非図示の接続パイプはタワー78の内部に延びる。積み込み/積み降ろしステーション75は陸上設備77から船70へ又は船70から陸上設備77への積み込み及び積み降ろしを可能にする。陸上設備77は、液化ガス貯蔵タンク80と、海中パイプ76によって積み込み/積み降ろしステーション75に接続された接続パイプ81とを備える。海中パイプ76は、積み込み/積み降ろしステーション75と陸上設備77との間で例えば5kmなどの長距離にわたって液化ガスを輸送することを可能とし、これにより積み込み/積み降ろし作業中に船70を陸地から長距離離れた位置に維持することができる。
【0107】
液化ガスの輸送に必要な圧力を生成するために、船70に搭載されたポンプ、及び/又は陸上設備77に備わるポンプ、及び/又は積み込み/積み降ろしステーション75に備わるポンプが使用される。
【0108】
本発明について複数の具体的な実施形態に関して記載したが、本発明はこれらに限定されず、記載したものと技術的に同等のすべての手段及びこれらの組み合わせも本発明の範囲に含まれる限り備えることは明らかである。
【0109】
特許請求の範囲において、括弧内に記載された参照符号は何れも特許請求の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
【0110】
本発明について複数の具体的な実施形態に関して記載したが、本発明はこれらに限定されず、記載したものと技術的に同等のすべての手段及びこれらの組み合わせも本発明の範囲に含まれる限り備えることは明らかである。
【0111】
特に、上では2つの断熱バリア及び2つの密閉メンブレンを備えるタンクを記載したが、本発明はそのような多層構造に制限されず、例えばただ1つの断熱バリアとただ1つの密閉メンブレンを備えてもよい。
【0112】
「有する」、「備える」又は「含む」との動詞及びその活用形の使用は、特許請求の範囲に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。
【0113】
特許請求の範囲において、括弧内に記載された参照符号は何れも特許請求の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
図1
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【国際調査報告】