(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】バルブを備えた眼球内ドレナージチューブ
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
A61F9/007 160
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521565
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(85)【翻訳文提出日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 US2021054631
(87)【国際公開番号】W WO2022081609
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518224358
【氏名又は名称】ニュー ワールド メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クーンツ、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ポーティアス、エリック
(72)【発明者】
【氏名】モール、ジェーソン
(72)【発明者】
【氏名】マンスール、カーリド
(57)【要約】
眼球内ドレナージデバイスが提供される。眼球内ドレナージデバイスは、眼の前眼房からの房水の増加したドレナージを提供するドレナージチューブを含む。自己除去式デバイスが、ドレナージチューブの中に配設されている。自己除去式デバイスは、身体からの凝固物または房水の中の破片からの詰まりに応答して、ドレナージチューブの中の増加した流体流路を提供する。眼球内ドレナージデバイスを製造する方法、および、眼球内ドレナージデバイスを眼の中へ挿入する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼球内ドレナージデバイスであって、前記眼球内ドレナージデバイスは、
流体流路を画定する内部表面を含むドレナージチューブと;
自己除去式デバイスであって、前記自己除去式デバイスは、前記ドレナージチューブの中に、前記流体流路を横切って配設されており、前記自己除去式デバイスは、流路開口部を含み、前記流路開口部は、前記自己除去式デバイスが非応力状態にあるときに、選択された流体フロー圧力を提供するように構成されている、自己除去式デバイスと
を含む、眼球内ドレナージデバイス。
【請求項2】
前記自己除去式デバイスは、膜である、請求項1に記載の眼球内ドレナージデバイス。
【請求項3】
前記膜は、
前記流路開口部として構成されている流路孔であって、前記流路孔は、前記膜の中央に配設されている、流路孔と;
複数のフラップであって、それぞれのフラップは、前記流路孔から前記ドレナージチューブの前記内部表面に向けて半径方向に延在する前記膜の中の2つのスリットによって画定されている、複数のフラップと
を含む、請求項2に記載の眼球内ドレナージデバイス。
【請求項4】
前記膜は、1つのフラップの少なくとも一部分が、前記膜の上の増加した流体圧力に応答して前記流体流路の下流方向に移動し、それによって、前記流路開口部のサイズを増加させるように構成されている、請求項3に記載の眼球内ドレナージデバイス。
【請求項5】
前記膜は、
複数のフラップであって、それぞれのフラップは、前記膜の中央から前記ドレナージチューブの前記内部表面に向けて半径方向に延在する前記膜の中の2つのスリットによって画定されている、複数のフラップと;
前記フラップのうちの1つまたは複数の中に配設されている流路孔であって、前記流路孔の組み合わせは、前記非応力状態において前記流路開口部として構成されている、流路孔と
を含む、請求項2に記載の眼球内ドレナージデバイス。
【請求項6】
前記膜は、1つのフラップの少なくとも一部分が、前記膜の上の増加した流体圧力に応答して前記流体流路の下流方向に移動し、それによって、前記流路開口部のサイズを増加させるように構成されている、請求項5に記載の眼球内ドレナージデバイス。
【請求項7】
前記膜は、前記膜の中に配設されている1つまたは複数のスリットであって、それぞれのスリットは、流体が流れることができる所定の開口面積を有しており、前記スリットの前記開口面積の組み合わせは、前記非応力状態において前記流路開口部として構成されている、1つまたは複数のスリットを含む、請求項2に記載の眼球内ドレナージデバイス。
【請求項8】
前記膜は、膜の少なくとも一部分が、前記膜の上の増加した流体圧力に応答して前記流体流路の下流方向に膨らみ、それによって、少なくとも1つのスリットの前記開口面積のサイズを増加させ、したがって、前記流路開口部を増加させるように構成されている、請求項7に記載の眼球内ドレナージデバイス。
【請求項9】
前記膜は、
前記ドレナージチューブの前記内部表面に連結されている連結部分と;
前記連結部分に接続されているフラップであって、前記フラップの外側周囲部および前記ドレナージチューブの前記内部表面は、三日月形状のエリアとして前記流路開口部を画定している、フラップと
を含む、請求項2に記載の眼球内ドレナージデバイス。
【請求項10】
前記膜は、前記フラップの少なくとも一部分が、前記膜の上の増加した流体圧力に応答して、前記流体流路の下流方向に移動し、それによって、前記三日月形状のエリアのサイズを増加させ、したがって、前記流路開口部を増加させるように構成されている、請求項9に記載の眼球内ドレナージデバイス。
【請求項11】
前記膜は、前記連結部分および前記フラップの一部分を横切って配設されている少なくとも1つの構造的部材をさらに含み、前記少なくとも1つの構造的部材は、移動に対する前記フラップの増加した抵抗を提供するように構成されている、請求項9に記載の眼球内ドレナージデバイス。
【請求項12】
前記ドレナージチューブは、2つの対向する漏斗形状の端部部分を含み、前記自己除去式デバイスは、流路孔を有する可撓性の接続部分を含み、前記流路孔は、前記可撓性の接続部分の中央を通して配設されている、請求項1に記載の眼球内ドレナージデバイス。
【請求項13】
前記可撓性の接続部分は、前記可撓性の接続部分の上の増加した流体圧力に応答して、半径方向に外向きに膨らみ、それによって、前記流路孔のサイズを増加させるように構成されている、請求項12に記載の眼球内ドレナージデバイス。
【請求項14】
前記自己除去式デバイスは、前記対向する漏斗形状の端部部分の間に配設されている1つまたは複数の球根状部分であって、可撓性の接続部分が、前記1つまたは複数の球根状部分のそれぞれのそれぞれの側に配設されている、1つまたは複数の球根状部分を含む、請求項12に記載の眼球内ドレナージデバイス。
【請求項15】
前記可撓性の接続部分は、前記眼球内ドレナージデバイスの流体圧力降下の99パーセント以上を提供する絞り部分であり、前記絞り部分の直径は、所定の流体圧力降下を実現するために、前記絞り部分の長さに基づいてサイズ決めされることができる、請求項12に記載の眼球内ドレナージデバイス。
【請求項16】
前記ドレナージチューブは、
上流流路と;
下流流路と;
前記上流流路および前記下流流路の接合部によった画定される流路孔と;
前記ドレナージチューブの下流端部に配設されているストップ部材と;
前記ストップ部材を通して配設されている退出流路と
を含む、請求項1に記載の眼球内ドレナージデバイス。
【請求項17】
前記自己除去式デバイスは、前記下流流路の中に配設されているバルブであり、前記バルブは、
前記流路孔に隣接して配設されている円錐形状部分と;
スプリングであって、前記スプリングの一方の端部は、前記円錐形状部分に接続されており、前記スプリングの他方の端部は、前記ストップ部材と係合している、スプリングと
を含む、請求項16に記載の眼球内ドレナージデバイス。
【請求項18】
前記バルブの前記円錐形状部分は、前記円錐形状部分の上の増加した流体圧力に応答して下流に移動し、それによって、前記スプリングを圧縮するように構成されている、請求項17に記載の眼球内ドレナージデバイス。
【請求項19】
前記バルブは、房水流体が、前記流路孔を通って、前記円錐形状部分の外部表面の周りに流れ、前記スプリングの中央部分を通って、前記退出流路から出て行くことを可能にするように構成されている、請求項17に記載の眼球内ドレナージデバイス。
【請求項20】
前記自己除去式デバイスは、バルブであり、前記バルブは、
バルブ膜と;
前記バルブ膜の中央に配設されている流路孔であって、前記バルブ膜は、バルブ膜の上の増加した流体圧力に応答して下流に膨らみ、それによって、前記流路孔のサイズを増加させるように構成されている、流路孔と
を含む、請求項1に記載の眼球内ドレナージデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2020年10月14日に出願された「INTRAOCULAR DRAINAGE TUBE WITH VALVE」という標題の米国仮特許出願第63/091,695号の利益を主張し、その文献の開示は、すべての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、概して、眼球内ドレナージデバイスに関し、とりわけ、閉塞を除去するためのバルブを有する眼球内ドレナージチューブに関する。
【背景技術】
【0003】
房水は、典型的に、角膜の縁部における小柱網を介して眼の前眼房から排出する。状況によっては、房水の過剰生産、または、房水のドレナージの低減は、眼球内圧力を増加させる可能性があり、それは、不快感を引き起こし、および/または、視神経を損傷させる可能性がある。眼球内ドレナージデバイスは、とりわけ、緑内障患者のために、前眼房からの房水のドレナージの増加を提供するために使用される。しかし、いくつかの典型的な眼球内ドレナージデバイスは、非常に小さな直径を有するチューブを有しており、それは、眼球内ドレナージデバイスの挿入の後の身体の治癒、および/または、房水の中の破片に起因して、凝固物または詰まりにさらされる。いくつかの典型的な眼球内ドレナージデバイスは、詰まりの問題を軽減しようとして大きな直径ドレナージチューブを有している。したがって、外科的介入を必要とすることなく、望ましい流体フローを回復させるために血栓または破片を除去することができる小さな直径の流路またはドレナージチューブを有する眼球内ドレナージデバイスを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つまたは複数の実施形態において、眼球内ドレナージデバイスは、流体流路を画定する内部表面を含むドレナージチューブと、自己除去式デバイスであって、自己除去式デバイスは、ドレナージチューブの中に、流体流路を横切って配設されており、自己除去式デバイスは、流路開口部を含み、流路開口部は、自己除去式デバイスが非応力状態にあるときに、選択された流体フロー圧力を提供するように構成されている、自己除去式デバイスとを含む。
【0005】
先述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的で説明的なものであり、特許請求されているような本開示のさらなる説明を提供することを意図しているということが理解されるべきである。
【0006】
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれており、また、本明細書の中に組み込まれており、本明細書の一部を構成しており、添付の図面は、本開示の実施形態を図示しており、説明とともに、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の態様による、例示的な眼球内ドレナージデバイスの斜視図である。
【
図2】本開示の態様による、
図1の眼球内ドレナージデバイスの別の斜視図である。
【
図3】本開示の態様による、
図1の眼球内ドレナージデバイスの正面図である。
【
図4】本開示の態様による、例示的な眼球内ドレナージデバイスの正面図である。
【
図5】本開示の態様による、例示的な眼球内ドレナージデバイスの正面図である。
【
図6】本開示の態様による、例示的な眼球内ドレナージデバイスの斜視図である。
【
図7】本開示の態様による、例示的な眼球内ドレナージデバイスの斜視図である。
【
図8】本開示の態様による、例示的な眼球内ドレナージデバイスの斜視図である。
【
図9】本開示の態様による、
図8の眼球内ドレナージデバイスの側面図である。
【
図10】本開示の態様による、
図8の眼球内ドレナージデバイスの正面図である。
【
図11】本開示の態様による、例示的な眼球内ドレナージデバイスの断面側面図である。
【
図12】本開示の態様による、例示的な眼球内ドレナージデバイスの断面側面図である。
【
図13】本開示の態様による、
図12の眼球内ドレナージデバイスの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
下記に記載されている詳細な説明は、主題の技術のさまざまな構成を説明しており、主題の技術が実践され得る唯一の構成を表すことを意図していない。詳細な説明は、主題の技術の徹底的な理解を提供する目的のための具体的な詳細を含む。したがって、寸法は、特定の態様に関して、非限定的な例として提供されている。しかし、主題の技術はこれらの具体的な詳細なしに実践され得るということが、当業者に明らかになることとなる。いくつかの場合において、主題の技術の概念を曖昧にすることを回避するために、周知の構造およびコンポーネントは、ブロック図の形態で示されている。
【0009】
本開示は、主題の技術の例を含み、添付の特許請求の範囲を限定しないということが理解されるべきである。ここで、主題の技術のさまざまな態様は、特定のしかし非限定的な例にしたがって開示されることとなる。本開示において説明されているさまざまな実施形態は、異なる方式およびバリエーションにおいて実施されることができ、また、所望の用途または実装形態にしたがって実施され得る。
【0010】
正常な眼圧は、緑内障のない人々に関して、12~22mmHgの範囲にある。上記に議論されているように、緑内障を患う患者に関して、房水の過剰生産、または、房水のドレナージの低減は、眼球内圧力(IOP: intraocular pressure)を増加させる可能性があり、それは、不快感を引き起こし、および/または、視神経を損傷させる可能性がある。したがって、緑内障患者にとって、典型的な生物学的な房水流量は、おおよそ水銀柱12mmの範囲において理想的な圧力降下を有する可能性がある。IOPが低過ぎる場合には(たとえば、水銀柱6mmよりも低い)、低眼圧状態になる危険性があり、その場合には、眼の構造が本質的に崩壊し、その眼において失明を結果として生じさせる可能性がある。他方では、IOPが一貫して高過ぎる(たとえば、水銀柱14mmよりも高い)か、または、水銀柱18mmを上回るスパイクを有する場合にも、眼における劣化および失明の危険性がある。したがって、最適な眼の健康を維持するためには、水銀柱8~14mmの範囲にあるIOPが望ましい。
【0011】
緑内障などのような眼疾患に関して、たとえば、房水のドレナージ不足は、上記に議論されている望ましくない高い圧力範囲へと圧力を増加させる。眼球内ドレナージデバイス(たとえば、ドレナージチューブ)は、房水フローを改善するチューブを提供することによって、この圧力を緩和するために使用されることができる。したがって、ドレナージチューブが所望の房水フローを維持することが非常に望ましい。しかし、ドレナージチューブが凝固物または破片に起因して部分的にまたは完全に遮断される場合には、眼の中の房水フローが低減され、それによって、圧力を増加させる。ドレナージチューブに伴う凝固物および破片の詰まりの問題を克服するために、本開示は、自己除去式デバイス(たとえば、リリーフ特徴、変形エレメント)を有する眼球内ドレナージデバイスを提供する。自己除去式デバイスは、増加した流体経路(たとえば、増加した内径、増加したフローパターン、バルブ)を提供することによって、凝固物または破片に起因する圧力の高まりに応答し、そして、それは、ドレナージチューブを通る増加した流体フローを提供し、したがって、房水圧力を所望の圧力範囲に回復させる。
【0012】
ここで、より詳細に図面を参照すると、図面において、同様の参照番号は、いくつかの図の間で同様のまたは対応するエレメントを指しており、ドレナージチューブ30を有する眼球内ドレナージデバイス20が、
図1に示されている。ドレナージチューブ30は、外径ODを有する外側表面32と、内径IDを有する内側表面34とを有している。
【0013】
本開示の態様によれば、
図2および
図3に示されているように、眼球内ドレナージデバイス20は、ドレナージチューブ30の内径IDの中に配設されている自己除去式デバイス40を含む。自己除去式デバイス40は、内径IDを横切って配設されている膜42を含む。膜42は、ドレナージチューブ30と一体的に形成されることができ、または、それは、ドレナージチューブ30の中へ挿入される別個のコンポーネントであることが可能である。膜42は、流路孔44と、スリット46と、スリット46によって画定されるフラップ48とを含む。いくつかの態様では、膜42は、内径IDにわたって一貫した厚さ(たとえば、1mm)を有することが可能である。いくつかの態様では、膜42は、所定の半径方向の厚さを有することが可能であり、ここで、膜42は、流路孔44の近くにおいてより薄くなっており(たとえば、1mm)、ドレナージチューブ30の内側表面34の近くにおいてより厚くなっている(たとえば、2mm)。
【0014】
流路孔44は、流路孔44を通る房水フローが、自由に流れる条件下において、所望の圧力範囲(たとえば、水銀柱8~14mm)の中にあるように、サイズ決めおよび/または形状決めされることができる。内径IDおよび/または流路孔44が、凝固物または破片に起因して、部分的にまたは完全に妨害される場合には、流体圧力が、膜42の上に高まることとなる。膜42の上の増加した流体圧力は、フラップ48のうちの少なくとも1つが流体フローの下流方向に開くかまたは移動することを引き起こし、したがって、流路孔44を超えるようにまたはそれよりも大きくなるように流体流路を増加させる。増加した流体流路は、ドレナージチューブ30を通る房水のより大きなフローを可能にし、同様に、血栓または破片が通り抜けるためのより大きな開口部を可能にし、したがって、ドレナージチューブ30を通る妨害物を除去する。妨害物を除去した後に、流体圧力は、初期の流体圧力レベルに戻ることが可能であり、フラップ48は、初期の配向/位置に戻り、したがって、流路孔44を通る所望の流体流量に戻ることが可能である。
【0015】
本開示の態様によれば、
図4に示されているように、眼球内ドレナージデバイス20は、ドレナージチューブ30の内径IDの中に配設されている自己除去式デバイス50を含む。自己除去式デバイス50は、内径IDを横切って配設されている膜52を含む。膜52は、ドレナージチューブ30と一体的に形成されることができ、または、それは、ドレナージチューブ30の中へ挿入される別個のコンポーネントであることが可能である。膜52は、複数の流路孔54と、スリット56と、スリット56によって画定されるフラップ58とを含む。いくつかの態様では、膜52は、内径IDにわたって一貫した厚さ(たとえば、1mm)を有することが可能である。いくつかの態様では、膜52は、所定の半径方向の厚さを有することが可能であり、ここで、膜52は、流路孔54の近くにおいてより薄くなっており(たとえば、1mm)、ドレナージチューブ30の内側表面34の近くにおいてより厚くなっている(たとえば、2mm)。
【0016】
流路孔54は、流路孔54の組み合わせを通る合計の房水フローが、自由に流れる条件下において、所望の圧力範囲(たとえば、水銀柱8~14mm)の中にあるように、サイズ決めおよび/または形状決めされることができる。内径IDおよび/または流路孔54のうちの1つもしくは複数が、凝固物または破片に起因して、部分的にまたは完全に妨害される場合には、流体圧力が、膜52の上に高まることとなる。膜52の上の増加した流体圧力は、フラップ58のうちの少なくとも1つが流体フローの下流方向に開くかまたは移動することを引き起こし、したがって、流路孔54自身によって提供されるものを超えるようにまたはそれよりも大きくなるように流体流路を増加させる。増加した流体流路は、ドレナージチューブ30を通る房水のより大きなフローを可能にし、同様に、血栓または破片が通り抜けるためのより大きな開口部を可能にし、したがって、ドレナージチューブ30を通る妨害物を除去する。妨害物を除去した後に、流体圧力は、初期の流体圧力レベルに戻ることが可能であり、フラップ58は、初期の配向/位置に戻り、したがって、流路孔54を通る所望の流体流量に戻ることが可能である。
【0017】
本開示の態様によれば、
図5に示されているように、眼球内ドレナージデバイス20は、ドレナージチューブ30の内径IDの中に配設されている自己除去式デバイス60を含む。自己除去式デバイス60は、内径IDを横切って配設されている膜62を含む。膜62は、ドレナージチューブ30と一体的に形成されることができ、または、それは、ドレナージチューブ30の中へ挿入される別個のコンポーネントであることが可能である。膜62は、1つまたは複数のスリット64を含む。いくつかの態様では、膜62は、内径IDにわたって一貫した厚さ(たとえば、1mm)を有することが可能である。いくつかの態様では、膜62は、所定の半径方向の厚さを有することが可能であり、ここで、膜62は、膜62の中心に向けてより薄くなっており(たとえば、1mm)、ドレナージチューブ30の内側表面34の近くにおいてより厚くなっている(たとえば、2mm)。
【0018】
スリット64は、スリット64の組み合わせを通る合計の房水フローが、自由に流れる条件下において、所望の圧力範囲(たとえば、水銀柱8~14mm)の中にあるように、サイズ決めおよび/または形状決めされることができる。内径IDおよび/またはスリット64のうちの1つもしくは複数が、凝固物または破片に起因して、部分的にまたは完全に妨害される場合には、流体圧力が、膜62の上に高まることとなる。膜62の上の増加した流体圧力は、膜62が流体フローの下流方向に膨らむかまたは移動することを引き起こし、したがって、スリット64が広がることを引き起こし、スリット64自身によって提供されるものを超えるようにまたはそれよりも大きくなるように流体流路を増加させる。増加した流体流路は、ドレナージチューブ30を通る房水のより大きなフローを可能にし、同様に、血栓または破片が通り抜けるためのより大きな開口部を可能にし、したがって、ドレナージチューブ30を通る妨害物を除去する。妨害物を除去した後に、流体圧力は、初期の流体圧力レベルに戻ることが可能であり、スリット64は、初期の配向/位置に戻り、したがって、スリット64を通る所望の流体流量に戻ることが可能である。
【0019】
本開示の態様によれば、
図6に示されているように、眼球内ドレナージデバイス20は、ドレナージチューブ30の内径IDの中に配設されている自己除去式デバイス70を含む。自己除去式デバイス70は、内径IDを横切って配設されている膜72を含む。膜72は、ドレナージチューブ30と一体的に形成されることができ、または、それは、ドレナージチューブ30の中へ挿入される別個のコンポーネントであることが可能である。膜72の連結部分74が、ドレナージチューブ30の内側表面34に連結されることができ、一方では、膜72の残りの部分は、フラップ76として構成されている。フラップ76は、ドレナージチューブ30の内径IDよりも小さい直径を有しており、したがって、フラップ76の外側周囲部と内径34との間に配設されている三日月形状の流路78を形成している。いくつかの態様では、膜72は、内径IDにわたって一貫した厚さ(たとえば、1mm)を有することが可能である。いくつかの態様では、膜72は、所定の半径方向の厚さを有することが可能であり、ここで、膜72は、フラップ76に関してより薄くなっており(たとえば、1mm)、連結部分74に関してより厚くなっている(たとえば、2mm)。
【0020】
フラップ76は、三日月形状の流路78を通る合計の房水フローが、自由に流れる条件下において、所望の圧力範囲(たとえば、水銀柱8~14mm)の中にあるように、サイズ決めおよび/または形状決めされることができる。内径IDおよび/または三日月形状の流路78が、凝固物または破片に起因して、部分的にまたは完全に妨害される場合には、流体圧力が、膜72の上に高まることとなる。膜72の上の増加した流体圧力は、フラップ76が流体フローの下流方向に移動することを引き起こし、したがって、三日月形状の流路78が広がることを引き起こし、流体流路を増加させる。増加した流体流路は、ドレナージチューブ30を通る房水のより大きなフローを可能にし、同様に、血栓または破片が通り抜けるためのより大きな開口部を可能にし、したがって、ドレナージチューブ30を通る妨害物を除去する。妨害物を除去した後に、流体圧力は、初期の流体圧力レベルに戻ることが可能であり、フラップ76は、初期の配向/位置に戻り、したがって、自己除去式デバイス70を通る所望の流体流量に戻ることが可能である。
【0021】
本開示の態様によれば、
図7に示されているように、自己除去式デバイス70は、構造的部材79(たとえば、歯)を含むことが可能であり、構造的部材79は、膜72に連結されているか、または、膜72と一体的に形成されている。構造的部材79は、フラップ76に所望の剛性を提供するようにサイズ決めおよび形状決めされることができる。たとえば、フラップ76は、1mmの厚さを有することが可能であり、構造的部材79は、2~3mmの厚さを有することが可能である。したがって、構造的部材79を備えたフラップ76は、移動するために、
図6に示されている構造的部材79を備えないフラップ76よりも高い流体フロー圧力を必要とする可能性がある。
【0022】
本開示の態様によれば、
図8~
図10に示されているように、眼球内ドレナージデバイス80は、球根状部分84によって接続された対向する漏斗形状の端部部分82を含み、それは、眼球内ドレナージデバイス80にダンベル形状を提供している。可撓性の接続部分86が、漏斗形状の端部部分82と球根状部分84との間に配設されている。流路孔88が、可撓性の接続部分86のそれぞれの中に配設されており、ここでは、流路孔88および可撓性の接続部分86の組み合わせが、自己除去式デバイス89を形成している。動作時に、房水流体は、フロー矢印Fによって示されているように、
図9の眼球内ドレナージデバイス80の中で左から右へ流れる。
【0023】
流路孔88は、流路孔88の組み合わせを通る合計の房水フローが、自由に流れる条件下において、所望の圧力範囲(たとえば、水銀柱8~14mm)の中にあるように、サイズ決めおよび/または形状決めされることができる。流路孔88のうちの1つまたは複数が、凝固物または破片に起因して、部分的にまたは完全に妨害される場合には、流体圧力が、可撓性の接続部分86のうちの1つまたは複数の上に高まることとなる。増加した流体圧力は、可撓性の接続部分86が流体フローから半径方向に膨れ出るかまたは移動することを引き起こし、したがって、流体流路孔88の直径を増加させ、また、流体流路を増加させる。増加した流体流路は、眼球内ドレナージデバイス80を通る房水のより大きなフローを可能にし、同様に、血栓または破片が通り抜けるためのより大きな開口部を可能にし、したがって、眼球内ドレナージデバイス80を通る妨害物を除去する。妨害物を除去した後に、流体圧力は、初期の流体圧力レベルに戻ることが可能であり、流体流路孔88は、それらの初期の直径に戻り、したがって、眼球内ドレナージデバイス80を通る所望の流体流量に戻ることが可能である。
【0024】
本開示の態様によれば、眼球内ドレナージデバイス80は、可撓性の接続部分86の数の相応の減少または増加とともに、1つだけの球根状部分84を有するか、または、3つ以上の球根状部分84を有することが可能である。本開示の態様によれば、眼球内ドレナージデバイス80は、球根状部分84を有さないことが可能であり、対向する漏斗形状の端部部分82が、単一の可撓性の接続部分86によって接続されるようになっており、砂時計形状を結果として生じさせる。本開示の態様によれば、眼球内ドレナージデバイス80において、漏斗形状の端部部分82の最も広い部分の内径は、約300ミクロンであることが可能であり、非応力状態(たとえば、静止位置(膨張されていない))における流路孔88の内径は、約30ミクロンであることが可能である。
【0025】
本開示の態様によれば、
図11に示されているように、眼球内ドレナージデバイス90は、流路孔94を有するドレナージチューブ92を含む。上流流路91は、流路孔94の上流側に配設されており、下流流路93は、流路孔94の下流側に配設されている。上流流路91および下流流路93のそれぞれは、流路孔94において狭くなる切頭円錐形状の形状を有することが可能である。バルブ96は、流体フロー孔94の下流に配設されている。バルブ96は、円錐形状部分97を有することが可能であり、円錐形状部分97の狭い部分が流体フロー孔94の隣に配設された状態になっている。また、バルブ96は、スプリング98を含み、スプリング98は、一方の端部において円錐形状部分97に連結されており、他方の端部においてストップ部材99に連結されているかまたはそれと係合されている。ストップ部材99は、退出流路95を含む。
【0026】
動作時に、房水流体は、矢印Fによって示されているように、
図11の眼球内ドレナージデバイス90の中で左から右へ流れる。スプリング98の非応力状態において(たとえば、スプリング98が完全に伸長されている)、円錐形状部分97は、流体フロー孔94を完全にまたは部分的に遮断し、したがって、流体フローを防止するかまたは制限することが可能である。流体圧力が円錐形状部分97の上に高まるとき、円錐形状部分97は、フロー方向Fに移動するように強制され、スプリング98が圧縮される。スプリング98のこの応力(たとえば、圧縮された)状態において、流体は、円錐形状部分97の周りを流れ、スプリング98の内部チャネルを通り、退出流路95から出て行く。
【0027】
本開示の態様によれば、バルブ96の円錐形状部分97の上に軸線方向溝部97aを提供することによって、および/または、下流流路93の少なくとも一部分に沿ってドレナージチューブ92の内部表面の上に軸線方向溝部93aを提供することによって、異なる流体流量が提供されることができる。そのような溝部は、流路孔94の付近に増加した流路面積を提供し、したがって、スプリング98の非応力状態において少なくとも最小の流体フロー(たとえば、スプリング98を移動させることなく、増加した流体フロー)を可能にする。本開示の態様によれば、眼球内ドレナージデバイス90は、Oリングを含むことも可能である。たとえば、円錐形状部分97は、円錐の上に埋め込まれたOリングを有することが可能である。本開示の態様によれば、円錐形状部分97は、軟質材料から形成されることができ、スプリングは、NiTiなどのような金属から形成されることができる。
【0028】
本開示の態様によれば、
図12および
図13に示されているように、眼球内ドレナージデバイス100は、内部流路101と、内部流路101を横切って配設されているバルブ106とを有するドレナージチューブ102を含む。バルブ106は、流路孔104を含み、流体フローは、フロー矢印Fによって示されている方向になっている。バルブ106は、静脈スタイルのバルブであることが可能であり、静脈スタイルのバルブは、ドレナージチューブ102の内部表面103に隣接して約2の厚さを有しており、流路孔104の近くにおいて約1の厚さへとテーパー付きになっている。本開示の態様によれば、バルブ106は、非応力状態において所望の圧力範囲(たとえば、水銀柱8~14mm)の中の所望のフローを可能にし、血栓または破片を除去するために増加した流体フローを提供するためにバルブが開くこととなるクラッキング圧力を有する、任意の望ましいバルブであることが可能である。たとえば、バルブ106は、本開示の態様によれば、ダックビルバルブまたは逆止バルブであることが可能である。
【0029】
本開示の態様によれば、望ましい標準的な流体フロー圧力(たとえば、12mmの圧力降下)は、眼球内ドレナージデバイスの絞り部分の長さおよび直径をサイズ決めすることによって提供されることができる。たとえば、眼球内ドレナージデバイスは、約10mmの合計長さを有する砂時計形状(たとえば、眼球内ドレナージデバイス80)を有することが可能であり、ここでは、チューブの制限部分(たとえば、中央部分)は、眼球内ドレナージデバイスの抵抗/圧力降下の大部分(たとえば、99%以上)を提供する。ここで、制限的な中央の部分のいずれかの側における眼球内ドレナージデバイスの長さは、抵抗/圧力降下に影響を与えない。したがって、本開示の態様によれば、流体フローに対する抵抗は、眼球内ドレナージデバイスの単一の制限部分から来る可能性があり、ここでは、制限部分の長さおよび直径は、以下の例に示されているように、水銀柱12mmの所望の圧力降下を実現するために変化されることができる。
たとえば、絞り部が、長さに関して~1mmである場合には、直径は、~30ミクロンになることとなる。
たとえば、絞り部が、長さに関して~2mmである場合には、直径は、~35ミクロンになることとなる。
たとえば、絞り部が、長さに関して~3mmである場合には、直径は、~39ミクロンになることとなる。
たとえば、絞り部が、長さに関して~4mmである場合には、直径は、~42ミクロンになることとなる。
たとえば、絞り部が、長さに関して~5mmである場合には、直径は、~44ミクロンになることとなる。
たとえば、絞り部が、長さに関して~0.8mmである場合には、直径は、~28ミクロンになることとなる。
たとえば、絞り部が、長さに関して~0.6mmである場合には、直径は、~26ミクロンになることとなる。
たとえば、絞り部が、長さに関して~0.4mmである場合には、直径は、~24ミクロンになることとなる。
たとえば、絞り部が、長さに関して~0.2mmである場合には、直径は、~20ミクロンになることとなる。
たとえば、絞り部が、長さに関して~0.1mmである場合には、直径は、~17ミクロンになることとなる。
本開示の態様によれば、絞り部(たとえば、制限部分)の長さが短くなればなるほど、絞り部の直径も同様に小さくなる。本開示の態様によれば、より短い絞り部の長さは、眼球内ドレナージデバイスの構築のフレキシビリティー、膨張性、および閉塞の解除をより容易にすることが可能である。
【0030】
本開示の態様によれば、上述の眼球内ドレナージデバイスのいずれかは、単一の一体的なデバイスとして製造されるか、または、一緒に組み立てられる別個のコンポーネントとして製造されることができる。たとえば、単一の一体的なデバイスは、成形プロセスによって製造されることができ、成形プロセスでは、眼球内ドレナージデバイスが、内部スペースまたは流路孔を生成させるためにピン(たとえば、中間で嵌合する2つのコアピン(それぞれの端部から1つずつ))を使用しながら、中実の本体部として成形される。別の例として、眼球内ドレナージデバイスの本体部またはドレナージチューブは、1つのコンポーネントとして形成されることができ、自己除去式デバイスは、別個のコンポーネントとして形成されることができ、それに関して、自己除去式デバイスは、自己除去式デバイスの変形なしに、本体部/ドレナージチューブの中へ挿入されるかまたは押し込まれるようにするために、より硬い材料および/またはプロセスから形成されることができる。本開示の態様によれば、上述の眼球内ドレナージデバイスの任意のコンポーネントは、シリコン(たとえば、軟質チューブ)、プラスチック(たとえば、軟質チューブの中への挿入のための自己除去式デバイス)、疎水性のポリウレタン、疎水性のアクリル、および形状記憶プラスチックなどを含む材料から製造されることができる。
【0031】
本開示の態様によれば、上述の眼球内ドレナージデバイスのいずれかは、ab externoプロセスまたはab internoプロセスのいずれかによって、眼の中に外科的に植え込まれることができる。ab externoプロセスは、眼の外側結膜を解剖すること、前眼房の中へドレナージチューブを挿入する(たとえば、突き刺す)こと、ドレナージチューブを適切な場所に縫合すること、および、結膜を再接近させて縫合して閉じることを含むことが可能である。ここで、ドレナージチューブの端部は、眼の内部(たとえば、前眼房)に進入する唯一のエレメントである。他方では、ab internoプロセスは、眼球内ドレナージデバイスを医療器具(たとえば、インサーター)の中へ設置すること、インサーターを眼の中へ挿入すること、および、眼の内部(たとえば、前眼房)の中へドレナージチューブを突き通すこと、または、眼の内部の中にドレナージチューブを堆積させることを含むことが可能である。ドレナージチューブの流出端部は、患者の鼻の隣の眼の側部の近くに設置されることができる。プレートを有する眼球内ドレナージデバイスを挿入するための外科的手順は、眼の外部表面を解剖することと、外部表面の中へプレートを挿入することと、ドレナージチューブを眼の内部の中へ挿入することと、ドレナージチューブを結紮すること、眼の外部表面がプレートの周りで治癒して外部の眼の材料の中にプレートを閉じ込めるようにするために2~3週間待つことと、背圧が流体フローを開始させるようにドレナージチューブをほどくこととを含むことが可能である。
【0032】
1つまたは複数の実施形態において、眼球内ドレナージデバイスは、流体流路を画定する内部表面を含むドレナージチューブと;自己除去式デバイスであって、自己除去式デバイスは、ドレナージチューブの中に、流体流路を横切って配設されており、自己除去式デバイスは、流路開口部を含み、流路開口部は、自己除去式デバイスが非応力状態にあるときに、選択された流体フロー圧力を提供するように構成されている、自己除去式デバイスとを含む。
【0033】
本開示の態様において、自己除去式デバイスは、膜である。本開示の態様において、膜は、流路開口部として構成されている流路孔であって、流路孔は、膜の中央に配設されている、流路孔と;複数のフラップであって、それぞれのフラップは、流路孔からドレナージチューブの内部表面に向けて半径方向に延在する膜の中の2つのスリットによって画定されている、複数のフラップとを含む。本開示の態様において、膜は、1つのフラップの少なくとも一部分が、膜の上の増加した流体圧力に応答して流体流路の下流方向に移動し、それによって、流路開口部のサイズを増加させるように構成されている。本開示の態様において、膜は、複数のフラップであって、それぞれのフラップは、膜の中央からドレナージチューブの内部表面に向けて半径方向に延在する膜の中の2つのスリットによって画定されている、複数のフラップと;フラップのうちの1つまたは複数の中に配設されている流路孔であって、流路孔の組み合わせは、非応力状態において流路開口部として構成されている、流路孔とを含む。
【0034】
本開示の態様において、膜は、1つのフラップの少なくとも一部分が、膜の上の増加した流体圧力に応答して流体流路の下流方向に移動し、それによって、流路開口部のサイズを増加させるように構成されている。本開示の態様において、膜は、膜の中に配設されている1つまたは複数のスリットであって、それぞれのスリットは、流体が流れることができる所定の開口面積を有しており、スリットの開口面積の組み合わせは、非応力状態において流路開口部として構成されている、1つまたは複数のスリットを含む。本開示の態様において、膜は、膜の少なくとも一部分が、膜の上の増加した流体圧力に応答して流体流路の下流方向に膨らみ、それによって、少なくとも1つのスリットの開口面積のサイズを増加させ、したがって、流路開口部を増加させるように構成されている。本開示の態様において、膜は、ドレナージチューブの内部表面に連結されている連結部分と;連結部分に接続されているフラップであって、フラップの外側周囲部およびドレナージチューブの内部表面は、三日月形状のエリアとして流路開口部を画定している、フラップとを含む。
【0035】
本開示の態様において、膜は、フラップの少なくとも一部分が、膜の上の増加した流体圧力に応答して、流体流路の下流方向に移動し、それによって、三日月形状のエリアのサイズを増加させ、したがって、流路開口部を増加させるように構成されている。本開示の態様において、膜は、連結部分およびフラップの一部分を横切って配設されている少なくとも1つの構造的部材をさらに含み、少なくとも1つの構造的部材は、移動に対するフラップの増加した抵抗を提供するように構成されている。本開示の態様において、ドレナージチューブは、2つの対向する漏斗形状の端部部分を含み、自己除去式デバイスは、流路孔を有する可撓性の接続部分を含み、流路孔は、可撓性の接続部分の中央を通して配設されている。本開示の態様において、可撓性の接続部分は、可撓性の接続部分の上の増加した流体圧力に応答して、半径方向に外向きに膨らみ、それによって、流路孔のサイズを増加させるように構成されている。
【0036】
本開示の態様において、自己除去式デバイスは、対向する漏斗形状の端部部分の間に配設されている1つまたは複数の球根状部分であって、可撓性の接続部分が、1つまたは複数の球根状部分のそれぞれのそれぞれの側に配設されている、1つまたは複数の球根状部分を含む。本開示の態様において、可撓性の接続部分は、眼球内ドレナージデバイスの流体圧力降下の99パーセント以上を提供する絞り部分であり、絞り部分の直径は、所定の流体圧力降下を実現するために、絞り部分の長さに基づいてサイズ決めされることができる。本開示の態様において、ドレナージチューブは、上流流路と;下流流路と;上流流路および下流流路の接合部によった画定される流路孔と;ドレナージチューブの下流端部に配設されているストップ部材と;ストップ部材を通して配設されている退出流路とを含む。本開示の態様において、自己除去式デバイスは、下流流路の中に配設されているバルブであり、バルブは、流路孔に隣接して配設されている円錐形状部分と;スプリングであって、スプリングの一方の端部は、円錐形状部分に接続されており、スプリングの他方の端部は、ストップ部材と係合している、スプリングとを含む。
【0037】
本開示の態様において、バルブの円錐形状部分は、円錐形状部分の上の増加した流体圧力に応答して下流に移動し、それによって、スプリングを圧縮するように構成されている。本開示の態様において、バルブは、房水流体が、流路孔を通って、円錐形状部分の外部表面の周りに流れ、スプリングの中央部分を通って、退出流路から出て行くことを可能にするように構成されている。本開示の態様において、自己除去式デバイスは、バルブであり、バルブは、バルブ膜と;バルブ膜の中央に配設されている流路孔であって、バルブ膜は、バルブ膜の上の増加した流体圧力に応答して下流に膨らみ、それによって、流路孔のサイズを増加させるように構成されている、流路孔とを含む。
【0038】
開示されているプロセスの方法におけるブロックの任意の特定の順序または階層は、例示的なアプローチの図示であるということが理解される。設計または実装形態の好みに基づいて、プロセスにおけるブロックの特定の順序または階層は再配置されることができるということ、または、すべての図示されているブロックが実施されることができるということが理解される。いくつかの実装形態において、ブロックのいずれかは、同時に実施されることができる。
【0039】
本開示は、任意の当業者が本明細書で説明されているさまざまな態様を実践することを可能にするために提供されている。本開示は、主題の技術のさまざまな例を提供しており、主題の技術は、これらの例に限定されない。これらの態様に対するさまざまな修正例は、当業者に容易に明らかになることとなり、本明細書で規定されている一般的な原理は、他の態様にも適用され得る。
【0040】
単数形でのエレメントへの言及は、具体的にそのように述べられていない限り、「唯一の」を意味することを意図しているのではなく、「1つまたは複数の」を意味することを意図している。具体的にそうでないことを述べられていない限り、「いくつかの」という用語は、「1つまたは複数の」を指す。男性の代名詞(たとえば、彼の)は、女性および中性(たとえば、「彼女の」および「その」)を含み、その逆もまた同様である。見出しおよび小見出しは(それらがある場合には)、単に便宜のために使用されており、本発明を限定しない。
【0041】
「例示的な」という言葉は、「例または図示としての役割を果たす」ということを意味するように、本明細書で使用されている。「例示的な」として本明細書で説明されている任意の態様または設計は、必ずしも、他の態様または設計を上回る好適なまたは有利なものとして解釈されるべきではない。1つの態様では、本明細書で説明されているさまざまな代替的な構成および動作は、少なくとも均等物であると考えられ得る。
【0042】
本明細書で使用されているように、一連の項目に先行する「の少なくとも1つ」という語句は(項目のいずれかを分離するために「または」という用語を伴う)、リストのそれぞれの項目ではなく、全体としてリストを修飾する。「の少なくとも1つ」という語句は、少なくとも1つの項目の選択を必要とするのではない。むしろ、この語句は、項目のうちの任意の1つの少なくとも1つ、および/または、任意の組み合わせの少なくとも1つ、および/または、項目のそれぞれの少なくとも1つを含む意味を許容する。例として、「A、B、またはCの少なくとも1つ」という語句は、Aのみ、Bのみ、もしくは、Cのみ;または、A、B、およびCの任意の組み合わせを指すことが可能である。
【0043】
「態様」などのような語句は、そのような態様が主題の技術に必須であるということ、または、そのような態様が主題の技術のすべての構成に適用されることを暗示しているのではない。ある態様に関する開示は、すべての構成、または、1つもしくは複数の構成に適用することが可能である。ある態様は、1つまたは複数の例を提供する場合がある。ある態様などのような語句は、1つまたは複数の態様を指す可能性があり、その逆もまた同様である。「実施形態」などのような語句は、そのような実施形態が主題の技術に必須であるということ、または、そのような実施形態が主題の技術のすべての構成に適用されることを暗示しているのではない。ある実施形態に関する開示は、すべての実施形態、または、1つもしくは複数の実施形態に適用することが可能である。ある実施形態は、1つまたは複数の例を提供する場合がある。そのような実施形態という語句は、1つまたは複数の実施形態を指す可能性があり、その逆もまた同様である。「構成」などのような語句は、そのような構成が主題の技術に必須であるということ、または、そのような構成が主題の技術のすべての構成に適用されることを暗示しているのではない。構成に関する開示は、すべての構成、または、1つもしくは複数の構成に適用することが可能である。ある構成は、1つまたは複数の例を提供する場合がある。そのような構成という語句は、1つまたは複数の構成を指す可能性があり、その逆もまた同様である。
【0044】
1つの態様では、別段の記述がない限り、本明細書(以下に続く特許請求の範囲を含む)において記述されているすべての測定値、値、レーティング、位置、大きさ、サイズ、および他の仕様は、概算であり、正確ではない。1つの態様では、それらは、それらが関連する機能、および、それらが関連する技術分野において慣習的な機能と一貫する合理的な範囲を有することを意図している。
【0045】
開示されているステップ、動作、またはプロセスの特定の順序または階層は、例示的なアプローチの図示であるということが理解される。設計の好みに基づいて、ステップ、動作、またはプロセスの特定の順序または階層は再配置され得るということが理解される。ステップ、動作、またはプロセスのうちのいくつかは、同時に実施され得る。ステップ、動作、またはプロセスのうちのいくつかまたはすべては、ユーザーの介入なしに、自動的に実施され得る。添付の方法の請求項は、もしある場合には、サンプル順序において、さまざまなステップ、動作、またはプロセスのエレメントを提示しており、提示されている特定の順序または階層に限定されることを意味していない。
【0046】
当業者に知られているか、または、当業者に後に知られることになる、本開示の全体を通して説明されているさまざまな態様のエレメントに対するすべての構造的なおよび機能的な均等物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれており、特許請求の範囲によって包含されることを意図している。そのうえ、本明細書で開示されているものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公衆に提供されたものであることを意図していない。請求項のエレメントは、そのエレメントが「のための手段(means for)」という語句を使用して明示的に記載されていない限り、または、方法の請求項の場合には、そのエレメントが「のためのステップ(step for)」という語句を使用して記載されていない限り、米国特許法第112条(f)の規定の下で解釈されるべきではない。そのうえ、「含む(include)」または「有する」などの用語が使用されている範囲において、そのような用語は、請求項の中の移行句として用いられるときに「含む(comprise)」が解釈されるように、「含む(comprise)」という用語と同様の様式で、包括的であることを意図している。
【0047】
発明の名称、背景技術、発明の概要、図面の簡単な説明、および、本開示の要約は、これによって本開示に組み込まれており、制限的な説明としてではなく、本開示例示目的の例として提供される。特許請求の範囲または意味を限定するものとして使用されることとならないという理解の下で、それは提出される。加えて、詳細な説明において、説明は例示目的の例を提供しているということ、および、本開示を合理化する目的のためにさまざまな特徴がさまざまな実施形態において一緒にグループ化されているということが理解され得る。この開示の方法は、特許請求されている主題が、それぞれの請求項の中に明示的に記載されているものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、単一の開示されている構成または動作のすべての特徴よりも少ないものにある。以下の特許請求の範囲は、これによって詳細な説明の中へ組み込まれており、それぞれの請求項は、別個の特許請求されている主題として自立している。
【0048】
特許請求の範囲は、本明細書で説明されている態様に限定されることを意図しているのではなく、特許請求の範囲の文言と一貫する完全な範囲を与えられており、すべての法的な均等物を包含することを意図している。それにもかかわらず、請求項のいずれも、米国特許法第101条、第102条、または第103条の要件を満たすことができない主題を包含することを意図しておらず、それらはそのように解釈されるべきでもない。
【国際調査報告】