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特表2023-545798水不溶性送達キャリアと口腔ケア活性剤を含む固体親水性粒子とを含む口腔ケア物品
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  • 特表-水不溶性送達キャリアと口腔ケア活性剤を含む固体親水性粒子とを含む口腔ケア物品 図1A
  • 特表-水不溶性送達キャリアと口腔ケア活性剤を含む固体親水性粒子とを含む口腔ケア物品 図1B
  • 特表-水不溶性送達キャリアと口腔ケア活性剤を含む固体親水性粒子とを含む口腔ケア物品 図2A
  • 特表-水不溶性送達キャリアと口腔ケア活性剤を含む固体親水性粒子とを含む口腔ケア物品 図2B
  • 特表-水不溶性送達キャリアと口腔ケア活性剤を含む固体親水性粒子とを含む口腔ケア物品 図3
  • 特表-水不溶性送達キャリアと口腔ケア活性剤を含む固体親水性粒子とを含む口腔ケア物品 図4
  • 特表-水不溶性送達キャリアと口腔ケア活性剤を含む固体親水性粒子とを含む口腔ケア物品 図5A
  • 特表-水不溶性送達キャリアと口腔ケア活性剤を含む固体親水性粒子とを含む口腔ケア物品 図5B
  • 特表-水不溶性送達キャリアと口腔ケア活性剤を含む固体親水性粒子とを含む口腔ケア物品 図5C
  • 特表-水不溶性送達キャリアと口腔ケア活性剤を含む固体親水性粒子とを含む口腔ケア物品 図6
  • 特表-水不溶性送達キャリアと口腔ケア活性剤を含む固体親水性粒子とを含む口腔ケア物品 図7
  • 特表-水不溶性送達キャリアと口腔ケア活性剤を含む固体親水性粒子とを含む口腔ケア物品 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】水不溶性送達キャリアと口腔ケア活性剤を含む固体親水性粒子とを含む口腔ケア物品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20231024BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q11/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521960
(86)(22)【出願日】2021-09-22
(85)【翻訳文提出日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 US2021051395
(87)【国際公開番号】W WO2022086663
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】63/093,513
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/093,518
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/093,523
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/093,529
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/093,536
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】20206910.0
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】ポール、アルバート、セーゲル
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤンス、ラジャイア
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB411
4C083AB412
4C083AC011
4C083AC461
4C083AC462
4C083AC681
4C083AC682
4C083AD071
4C083AD072
4C083BB55
4C083CC41
4C083EE32
4C083EE33
4C083EE34
4C083EE35
4C083EE37
4C083FF04
(57)【要約】
口腔内で使用するためのストリップの形態の物品。物品は、少なくとも1つの口腔ケア用活性剤を含む固体親水性粒子を含む水不溶性送達キャリアを含み、(i)少なくとも約20重量部の固体親水性粒子(20)が約100重量部の水に溶解し、かつ/又は(ii)固体親水性粒子(20)が水中で少なくとも約50%膨潤する。活性剤としては、漂白剤、抗菌剤、抗歯石剤、治癒剤、抗カリエス剤、象牙質脱感作剤、麻酔剤、抗真菌剤、冷却剤、抗炎症剤、選択的H-2アンタゴニスト、栄養剤、エリスリトール、プロバイオティクス、フッ化物イオン源、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔ケア物品(10)であって、
a)第1の表面(14)を形成する長さ(L)及び幅(W)を有し、前記第1の表面(14)から第2の表面(16)まで延びる厚さ(T)を有し、平均厚さ(T)が約3mm未満である、ストリップの形態の固体水不溶性送達キャリア(12)と、
b)漂白剤、治癒剤、抗歯石剤、抗カリエス剤、抗菌剤、象牙質脱感作剤、麻酔剤、抗真菌剤、冷却剤、抗炎症剤、選択的H-2アンタゴニスト、栄養剤、エリスリトール、プロバイオティクス、フッ化物イオン源、歯のホワイトニング剤、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む口腔ケア用活性剤を含む固体親水性粒子(20)であって、
少なくとも約20重量部の前記固体親水性粒子(20)が、約100重量部の水に溶解し、及び/又は前記固体親水性粒子(20)が、水と接触すると体積及び/又は重量が少なくとも約50%増加し、前記固体親水性粒子(20)が、水と接触すると前記活性剤を放出する、固体親水性粒子(20)と
を含み、
前記固体親水性粒子(20)が、前記固体水不溶性送達キャリア(12)内に配置され、埋め込まれており、前記固体親水性粒子(20)が、前記水不溶性送達キャリア(12)の、i)前記第1の表面(14)の少なくとも部分的に下に、かつii)前記第1の表面(14)の少なくとも部分的に、表面に又は上に、配置されており、前記固体親水性粒子(20)の表面積の約10%超が、前記水不溶性送達キャリア(12)の前記第1の表面(14)に配置され、前記水不溶性送達キャリア(12)を取り囲む外部環境に曝露されている、口腔ケア物品(10)。
【請求項2】
前記固体親水性粒子(20)の表面積の約20%超、好ましくは約30%超が、前記水不溶性送達キャリア(12)の前記第1の表面(14)に配置され、前記水不溶性送達キャリア(12)を取り囲む外部環境に曝露されている、請求項1に記載の口腔ケア物品(10)。
【請求項3】
前記固体親水性粒子(20)の体積の約50%超、好ましくは約75%超、好ましくは約95%超、最も好ましくは100%が、前記水不溶性送達キャリア(12)の前記第1の表面(14)の下又は表面に配置されている、請求項1又は2に記載の口腔ケア物品(10)。
【請求項4】
第1の表面(14)における前記活性剤の濃度が、約1マイクログラム/cm2~約10000マイクログラム/cm2の範囲、好ましくは約10マイクログラム/cm2~約5000マイクログラム/cm2の範囲、より好ましくは約50マイクログラム/cm2~約3000マイクログラム/cm2の範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載の口腔ケア物品(10)。
【請求項5】
前記固体親水性粒子(20)の数平均等価直径又は体積平均等価直径が、約0.001マイクロメートル~約5000マイクロメートル、好ましくは約0.01マイクロメートル~約2000マイクロメートル、最も好ましくは1マイクロメートル~約1000マイクロメートルの範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載の口腔ケア物品(10)。
【請求項6】
前記水不溶性送達キャリア(12)及び/又は前記物品(10)の前記平均厚さ(T)を、前記固体親水性粒子(20)の数平均等価直径又は体積平均等価直径で割った比が、約0.001~約1000、好ましくは約0.01~約100、より好ましくは約0.1~約10である、請求項1~5のいずれか一項に記載の口腔ケア物品(10)。
【請求項7】
前記水不溶性送達キャリア(12)又は前記物品(10)の前記平均厚さ(T)が、3mm未満、好ましくは約0.01mm~約3mmの範囲、より好ましくは約0.1mm~約2.0mmの範囲、より好ましくは約0.15mm~約1.0mmの範囲である、請求項1~6のいずれか一項に記載の口腔ケア物品(10)。
【請求項8】
前記水不溶性送達キャリア(12)が、単層であり、及び/又は歯列弓の形態に成形されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔ケア物品(10)。
【請求項9】
前記物品(10)が、単位用量物品及び/又は取り外し可能物品である、請求項1~8のいずれか一項に記載の口腔ケア物品(10)。
【請求項10】
前記水不溶性送達キャリア(12)が、(i)ASTM法D1321-16aによって測定して、約0.1~約100、好ましくは約0.5~約50、より好ましくは約1~約10の針稠度値、及び/又は(ii)ASTM D937-07によって測定して、約10未満、好ましくは約1~約9、より好ましくは約5未満の円錐貫入稠度値、及び/又は(iii)ASTM D127-08によって測定して、約60℃~約120℃、好ましくは約70℃~約110℃、より好ましくは約80℃~約100℃、より好ましくは約90℃~約100℃の液滴融点、及び/又は(iv)ASTM D2923-95で測定して、50g/cm超、好ましくは約75g/cm~約1000g/cm、好ましくは約100g/cm~約750g/cm、より好ましくは約200g/cm~約500g/cmの曲げ剛性、を有する材料を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の口腔ケア物品(10)。
【請求項11】
前記水不溶性送達キャリア(12)が、ワックス、ポリマー、又はこれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記ワックスがマイクロクリスタリンワックスを含み、かつ/又は前記ポリマーがポリエチレンを含み、好ましくは、前記水不溶性送達キャリア(12)がマイクロクリスタリンワックス又はワックスとポリマーとの組み合わせである、請求項1~10のいずれか一項に記載の口腔ケア物品(10)。
【請求項12】
前記固体親水性粒子(20)が、水と接触すると、少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%膨潤する、請求項1~11のいずれか一項に記載の口腔ケア物品(10)。
【請求項13】
少なくとも約30重量部の前記固体親水性粒子(20)が、約100重量部の水に溶解し、好ましくは少なくとも約50重量部、より好ましくは少なくとも約70重量部、更により好ましくは少なくとも約80重量部の前記固体親水性粒子が、約100重量部の水に溶解する、請求項1~12のいずれか一項に記載の口腔ケア物品(10)。
【請求項14】
前記漂白剤が、過酸化水素とポリビニルピロリドン(PVP)ポリマーとの複合体、過酸化尿素、及びこれらの混合物、好ましくは過酸化水素とポリビニルピロリドン(PVP)ポリマーとの複合体、過酸化尿素、及びこれらの混合物、好ましくは過酸化水素とポリビニルピロリドン(PVP)ポリマーとの複合体からなる群から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の口腔ケア物品(10)。
【請求項15】
前記活性剤の総濃度が、前記物品(10)の約0.001重量%~約25重量%、好ましくは約0.01重量%~約15重量%、より好ましくは約0.01重量%~約3重量%、より好ましくは約0.01重量%~約0.09重量%、より好ましくは0.1重量%未満である、請求項1~14のいずれか一項に記載の口腔ケア物品(10)。
【請求項16】
口腔へ健康上の効果をもたらすことに使用するため、好ましくは、カリエス、歯垢、歯石及び染みの低減及び/又は除去、歯茎の健康促進、虫歯の予防及び治療、口臭の改善、漂白の促進、抗菌作用の提供、及び/又はこれらの組合せに使用するための、請求項1~15のいずれか一項に記載の口腔ケア物品(10)。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の口腔ケア物品(10)と、約200nm~約1700nmの範囲内の1つ以上の波長を有する電磁放射線を少なくとも1つの歯に向けることができる電磁放射線源と、を含み、好ましくは、前記電磁放射線源が、約400nm~約500nm、より好ましくは約425nm~約475nm、より好ましくは約445nm~約465nmの範囲の電磁放射線を放射し、好ましくは、前記電磁放射線が、約175mW/cm2~約225mW/cm2の範囲の前記水不溶性送達キャリア(12)の外面に衝突する、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内での使用に適した、水不溶性送達キャリアと口腔ケア用活性剤を含む固体親水性粒子とを含む口腔ケア物品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市場には、様々な美容用活性物質及び/又は治療用活性物質を歯及び口腔に送達する歯科用製品が存在する。このような製品の例としては、例えば、ポリホスフェート又はフッ化物といった口腔ケア活性物質を送達するための歯磨剤製品などの、ブラッシング補助剤、口臭除去剤又は抗菌活性物質を含有するマウスウォッシュ、及び歯に漂白活性物質を送達するためのホワイトニングストリップが挙げられる。歯及び口腔の粘膜表面に美容的効果及び治療的効果をもたらす便利かつ安価な方法として、例えば、ホワイトニング組成物がストリップに塗布され、その後歯に塗布されて、歯とホワイトニング物品との間の持続的な接触を達成する歯科用ホワイトニングストリップの使用が認識されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
口腔状態の治療又は改善、特に歯のホワイトニング又はフッ化物の適用のための上記の既知のアプローチにもかかわらず、性能の向上、例えば、ホワイトニング速度の増大、漂白有効性の向上、抗菌作用の向上、フッ化物保持度の向上、歯の過敏症の減少、及び/又は口腔軟組織の刺激の減少のいずれをも伴う製品を提供する必要性が、依然として存在している。これらの問題を解決するために、従来は、物品中の活性剤の濃度を増やすなどの試みがなされてきた。しかし、このアプローチには問題が生じる可能性がある。使用者は、増大した活性剤の量を使用することに伴い得る、過敏及び/又は刺激敏感性の増大を経験する場合がある。したがって、特に歯をホワイトニングするための、口腔状態を処置するための上記の周知のアプローチにもかかわらず、漂白有効性の向上、ホワイトニング速度の増大、歯の過敏症の減少、及び/又は口腔軟組織の刺激の減少を伴う製品を提供する必要性が、依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、
a)第1の表面を形成する長さ及び幅を有し、第1の表面から第2の表面まで延びる厚さを有し、好ましくは約3mm未満の平均厚さを有する、ストリップの形態の固体水不溶性送達キャリアと、
b)漂白剤、治癒剤、抗歯石剤、抗カリエス剤、抗菌剤、象牙質脱感作剤、麻酔剤、抗真菌剤、冷却剤、抗炎症剤、選択的H-2アンタゴニスト、栄養剤、エリスリトール、プロバイオティクス、フッ化物イオン源、歯のホワイトニング剤、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む口腔ケア用活性剤を含む固体親水性粒子と、を含み、
(i)少なくとも約20重量部の固体親水性粒子が約100重量部の水に溶解し、かつ/又は(ii)固体親水性粒子が水と接触すると少なくとも約50%の体積及び/又は重量を増加させ、
固体親水性粒子が水と接触すると活性剤を放出し、固体親水性粒子が、固体水不溶性送達キャリア中に配置され、埋め込まれており、固体親水性粒子が、固体疎水性送達キャリアの、i)第1の表面の少なくとも部分的に下に、かつii)第1の表面の少なくとも部分的に、表面に又は上に、配置されており、固体親水性粒子の表面積の約10%超が、水不溶性送達キャリアの第1の表面に配置され、水不溶性送達キャリアを取り囲む外部環境に曝露されている、口腔ケア物品に関する。固体水不溶性送達キャリアは、ASTM D937-07によって測定されるように、好ましくは10未満の円錐貫入稠度値を有する材料を含み得る。
【0005】
本物品は、歯及び/又は口腔に口腔ケア用活性剤を直接適用することにより、口腔に健康、治療又は美容上の効果をもたらすために使用することができる、又は上記効果をもたらす方法で使用することができる。好ましくは、本発明の物品は、カリエス、歯垢、歯石及び染みの減少及び/又は除去、歯茎の健康の増進、虫歯の予防及び治療、口臭の改善、漂白の促進、抗菌作用の提供、及び/又はこれらの組み合わせのために使用することができる。
【0006】
物品は、例えば、電磁放射線源などの活性剤の有効性を増加させるための装置と共に、キットとして提供され得る。
【0007】
物品は、物品を使用するための説明書と共に更に提供され得る。
【0008】
物品は、歯又は口腔に直接取り付けられる。すなわち、接着機能又は取り付け機構は、物品、例えば水不溶性送達キャリア自体によって直接提供することができる。例えば、物品は、任意選択で、適用されると物品が口腔軟組織と重なり、活性剤で達成される効果のために歯の表面のより多くを利用できるようにする十分なサイズであり得る。物品は、物品と歯を含む口腔表面との間の物理的干渉又は機械的インターロックにより、口腔に取り付けてよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】環境と接触し得る固体親水性粒子20を含む丸みを帯びた角部を有するストリップ形態の物品10の斜視図である。
図1B】第1の表面14におけるより多数の粒子20を示す。
図2A図1Aの物品10の切断線2-2に沿った断面図である。
図2B図1Bの物品10の切断線2-2に沿った断面図である。
図3】歯22に取り付けられた物品10を示す断面平面図である。
図4】歯22に取り付けられた物品10を示す、図3の切断線4-4に沿った歯の断面立面図である。
図5A】ノッチ18(図5C)を含む歯科用トレイ(図5B)に形成されたストリップ形態の物品10の写真画像である。
図5B】ノッチ18(図5C)を含む歯科用トレイ(図5B)に形成されたストリップ形態の物品10の写真画像である。
図5C】ノッチ18(図5C)を含む歯科用トレイ(図5B)に形成されたストリップ形態の物品10の写真画像である。
図6】埋め込まれた固体親水性粒子20を含む水不溶性送達キャリア12として使用可能なワックスのシートの写真画像である(実施例IV-A)。
図7】埋め込まれた固体親水性粒子20を含む水不溶性送達キャリア12として使用可能なワックスのシートの顕微鏡画像である(実施例IV-A)。
図8】歯の表面に向かって電磁放射線を送達するためのデバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
口腔ケア用活性剤は、固体親水性粒子として提供され、水不溶性送達キャリアと組み合わされて本明細書に開示されるような口腔ケア物品を形成する場合、口腔ケア物品の重量に対して比較的低い濃度で有効であり得ることが見出されている。本発明の口腔ケア物品は、物品の約0.01重量%~約50重量%、好ましくは約0.1重量%~約30重量%、好ましくは約0.1重量%~約25重量%、好ましくは約0.1重量%~約15重量%、又は好ましくは約0.3重量%~約10重量%の、口腔ケア用活性剤を含む固体親水性粒子であって、水に可溶性であり、水と接触すると膨潤し、かつ水又は水を含む液体と接触すると活性剤を放出する、固体親水性粒子を含み得る。
【0011】
固体親水性粒子は、水不溶性送達キャリアの上又は中に配置され、その中に埋め込まれることによって、本発明の口腔ケア物品を形成する。固体親水性粒子は、少なくとも1つの口腔ケア用活性剤を含み、固体親水性粒子が埋め込まれているので、水不溶性送達キャリアの第1の表面における活性剤の濃度は、第2の表面における活性剤の濃度よりも高くてもよい。少なくとも1つの口腔ケア用活性剤の例は、治癒剤、抗歯石剤、抗カリエス剤、抗菌剤、象牙質脱感作剤、麻酔剤、抗真菌剤、冷却剤、抗炎症剤、選択的H-2アンタゴニスト、栄養剤、エリスリトール、プロバイオティクス、フッ化物イオン源、親水性漂白剤、歯のホワイトニング剤、又はこれらの組み合わせを含み、漂白剤、抗菌剤、及び/又は抗カリエス剤が好ましい。理論に束縛されることを望むものではないが、物品が歯の表面、好ましくは第1の表面と接触すると、好ましくは水不溶性送達キャリアに埋め込まれ得る固体親水性粒子が、歯の表面上の親水性バイオフィルムに口腔ケア活性剤を送達すると考えられる。これにより、活性剤の総濃度が低くなり、歯のホワイトニング、抗菌及び/又は抗カリエス効果などの活性有効性を高めることができる。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「送達キャリア」は、固体親水性粒子から歯の表面などの表面に活性物質を送達するために使用されるストリップの形態の材料を含む。本明細書で使用される送達キャリアは、平坦であってもよいし、例えば歯列弓の形状などの三次元形状に予め形成されていてもよい。「送達キャリア」の材料は、口腔に適合し、使用者にとって快適で水不溶性である必要がある。水不溶性送達キャリアのための例示的な材料としては、ワックス、ポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0013】
「疎水性」及び「親水性」という用語は、一般的な知識に従って本明細書で使用される。用語「親水性」は、水及び他の極性物質に引き付けられる物体、物品、分子、化合物、実体に対して使用される。したがって、用語「疎水性」は、水及び他の極性物質に引き付けられない、かつ/又は水及び他の極性物質に反発しない物体、物品、分子、化合物、実体に対して使用される。
【0014】
用語「ストリップ」は、本明細書で使用する場合、1)その最も長い寸法長さが、一般に、その幅よりも大きい、及び2)その幅が、一般に、その厚さよりも大きい材料を含む。ストリップは、長方形、アーチ形、湾曲形、半円形であり得、口腔の軟組織の刺激を回避するために丸みを帯びた角部を有し得る。本発明で使用する場合、「丸みを帯びた角部」とは、鋭角又は鋭点、例えば、135°以下の1つ以上の角度がないことを意味する。加えて、ストリップは、例えば歯列弓のような三次元的な形状に曲げたり成形したり、又はこれらを組み合わせることができる。ストリップは、固体、テクスチャー加工、剛性、成形可能、変形可能、永久変形可能、又はこれらの組み合わせであり得る。本発明において有用なストリップは、口腔内に適合するように適切に形成され得る。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「口腔ケア物品」は、口腔内で使用するための、好ましくは口腔内の歯に使用するための製造物品を指す。口腔ケア物品は、好ましくは、少なくとも1つの活性剤を含む固体親水性粒子と組み合わされた固体水不溶性送達キャリアを含む。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「単位用量物品」は、一度使用したらその後廃棄される物品を意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「取り外し可能物品」は、使用後に口腔から取り外される物品を意味する。
【0018】
用語「スティック型製品」は、本明細書で使用するとき、処理される表面に適用さたときにその構造的一体性及び形状を保持する、分配容器内に保持された、見かけ上硬い固体材料のバーである物品を指す。スティックの一部が表面にわたって引かれると、スティック物品のフィルムが表面に転写される。例としては、リップクリーム及び口紅が挙げられる。スティック型製品は、通常、数回使用されるため、本明細書で使用される単位用量物品とみなすことはできない。更に、スティック型製品の一部が表面を横切って引っ張られると、スティック組成物のフィルムが表面に移動し、これは概ね、使用後に口腔から取り外されず、かつ/又は取り外し可能ではない。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「成形可能」は、水不溶性送達キャリア及び/又は物品の材料が、使用者によって適用されたときに歯列弓の一般的な形状に適合することを意味する。「成形可能」である水不溶性送達キャリアの例としては、厚さ約0.51mm、幅約22mm、及び長さ約62mmのストリップに切断された鋳造ワックス透明シート24ゲージ(Freeman Manufacturing Company,Ohio,USAによって供給される参照番号114009)が挙げられる。
【0020】
本明細書で使用される「ワックス」という用語は、室温で疎水性かつ固体である有機化合物、例えば高級アルカンを意味する。ワックスは、好ましくは、ASTM法D127-08によって測定される約60℃~約120℃、好ましくは約70℃~約110℃、より好ましくは約80℃~約100℃、より好ましくは約90℃~約100℃の液滴融点、及び/又はASTM法D1321-16aによって測定される約0.1~約100、好ましくは約0.5~約50、より好ましくは約1~約10の針貫入稠度値、及び/又はASTM法D937-07によって測定される約10未満、好ましくは約1~約9、より好ましくは約5未満の円錐貫入稠度値を有し得る。
【0021】
本明細書で使用する場合、用語「針貫入稠度値」は、10分の1ミリメートルでの、質量、時間、及び温度の固定条件下で標準針が試料に貫入するであろう深さを意味する。針貫入稠度値は、ASTM法D1321-16aに従って測定される。
【0022】
本明細書で使用する場合、用語「円錐貫入稠度値」は、10分の1ミリメートルでの、質量、時間、及び温度の固定条件下で標準円錐が試料に貫入するであろう深さを意味する。円錐貫入稠度値は、ASTM法D937-07に従って測定される。
【0023】
本明細書で使用される場合、「粒子」という用語は、別個の固体物質である。固体粒子は、個々の原子又は分子よりも大きな寸法を有し、典型的には、その最大寸法はサブミクロンから約5ミリメートルである。粒子は、離散粒子の凝集体に凝集されてもよい。
【0024】
本明細書で使用する「固体親水性粒子」という用語は、水に可溶性であり、かつ/又は水と接触すると膨潤し(体積及び/又は重量が増加し)、かつ/又は水と接触すると活性剤を放出する固体粒子である。加えて、固体親水性粒子は、水不溶性送達キャリアに不溶性である。固体親水性粒子は、水と接触すると固体親水性粒子から放出される口腔ケア用活性剤を含む。例えば、固体親水性粒子は、活性剤として、漂白剤、抗菌剤及び/又は抗カリエス剤を含み得る。活性剤が放出される場合、活性剤は、液体中に溶解した気体、液体、又は固体であってもよい。固体親水性粒子は、例えば、水、水溶性溶媒、アルコール、カーボポール、ポリアルキレングリコール、湿潤剤、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコール、並びにこれらの混合物などの、水溶性、水混和性、又はこれらの組み合わせである成分を更に含んでもよい。これらの成分が固体親水性粒子に添加されるか又は存在する場合、物品中の固体親水性粒子の割合は、これらの成分を除外することによって計算される。水不溶性又は水不混和性充填剤が固体親水性粒子に添加される場合、物品中の固体親水性粒子の割合は、これらの充填剤を除外することによって計算される。
【0025】
本明細書で使用する場合、用語「不混和性」又は「不溶性」は、100重量部の第2の物質中に1重量部未満の物質が溶解することを意味する。
【0026】
本明細書で使用する場合、用語「可溶性」は、100重量部の第2の物質中に溶解することができる物質の最大数の重量部である。
【0027】
本明細書で使用される「埋め込まれた」又は「埋め込まれた粒子」という用語は、当該固体粒子が、固体水不溶性送達キャリアの、i)表面の少なくとも部分的に下に、かつii)当該表面の少なくとも部分的に、表面に又は上に、配置されることを意味する。埋め込まれた粒子の例としては、ワックスシート、例えば鋳造ワックス透明シート24ゲージ(Freeman Manufacturing Company,Ohio,USAによって供給される参照番号114009)の表面に、例えば625 PSIで60秒間プレスされた固体親水性粒子が挙げられる。
【0028】
本明細書で使用される「活性剤」という用語は、口腔ケア効果をもたらす固体親水性粒子中に存在する成分である。例えば、活性剤は、漂白剤、抗菌剤及び/又は抗カリエス剤を含み得る。
【0029】
本明細書で使用するとき、用語「漂白剤」は、漂白又はホワイトニング効果を提供する活性剤である。例えば、過酸化尿素を固体親水性粒子として使用する場合、過酸化尿素の過酸化水素構成成分は漂白剤である。同様に、過酸化水素とポリビニルピロリドン(PVP)ポリマーとの複合体を固体親水性粒子として使用する場合、過酸化水素とポリビニルピロリドン(PVP)ポリマーとの複合体の過酸化水素構成成分は、漂白剤である。
【0030】
本発明で使用するとき、「安全かつ有効な量」とは、健全な医学/歯学的判断の範囲内で、治療すべき状態を有意に(よい方向に)改変する、又は所望の効果をもたらすのには十分多いが、重篤な副作用を(妥当な利点/危険比にて)回避できるだけ少ない、構成成分の量を意味する。構成成分の安全かつ有効な量は、処置される特定の症状、処置される患者の年齢及び身体状態、症状の重さ、処置期間、併用療法の性質、用いられる特定の形態、並びに構成成分に適用する特定の溶媒により、変化し得る。
【0031】
本明細書で使用するとき、「活性物質の所望の効果を達成するのに十分な時間」とは、活性物質を含む物品が参加者によって使用若しくは着用され得るか、又は参加者が、活性物質を含む物品を1回の適用当たり約10秒~約24時間、好ましくは約1分~約2時間、最も好ましくは約5分~約1時間使用若しくは着用するように指示され得ることを意味する。処置は、1日約1回~1日約10回、好ましくは1日約1回~1日約5回、最も好ましくは1日約1回~1日約3回適用され得る。処置は、約1日~約8週間、好ましくは約1日~約4週間、最も好ましくは約1日~約1週間適用され得る。更に、所望の効果を達成するための処置の長さ、例えば歯の漂白は、指定の期間の間持続し得、例えば、約1日~約6ヶ月又は継続的に、必要に応じて繰り返されてもよい。適用の最適な持続時間及び頻度は、所望の効果、処置される任意の病態の重症度、使用者の健康及び年齢、並びに同様の留意事項に依存する。
【0032】
粒子の、用語「等しい寸法」とは、本明細書で使用するとき、粒子と同一の体積を有する球体の寸法を意味する。
【0033】
本明細書で使用される全ての割合及び比率は、特に指示がない限り、物品の重量%(重量%)である。本明細書で言及される成分の百分率、比率、及びレベルは、特に指示がない限り、成分の実際の量に基づき、かつ市販製品として成分に組み合わされている場合がある溶媒、充填剤、又は他の物質を含まない。
【0034】
特に明記しない限り、本明細書で言及される測定は全て約23℃(すなわち、室温)で行われる。
【0035】
本明細書で有用な「活性物質及び他の成分」は、美容的及び/若しくは治療的効果、又はそれらが要求される作用形態若しくは機能により、本明細書において分類又は記載されてよい。しかしながら、本明細書で有用な活性物質及び他の成分が、場合によっては、2つ以上の美容的及び/又は治療的効果をもたらす、あるいは2つ以上の作用形態で機能又は作用してよい、と理解すべきである。したがって、本明細書における分類は便宜上実施されるものであり、成分を、列挙される具体的に規定した機能又は作用に制限しようとするものではない。
【0036】
用語「経口で受容可能な」は、口腔内にて使用するのに好適な1つ以上の相溶性のある固体若しくは液体賦形剤、又は希釈剤を含む。用語「相溶性」は、本明細書で使用する場合、構成成分が、物品の安定性及び/又は有効性を実質的に低下させるような方式で相互作用することなく、混合され得ることを意味する。
【0037】
口腔ケア物品
本明細書に開示される口腔ケア物品は、少なくとも1つの口腔ケア用活性剤を含む固体親水性粒子と組み合わされた固体水不溶性送達キャリアを含み、該固体親水性粒子は、水不溶性送達キャリアの上又は中に配置され、好ましくは埋め込まれている。活性剤は、例えば、漂白剤、抗菌剤又は抗カリエス剤であり得る。固体親水性粒子は、(i)少なくとも約20重量部の固体親水性粒子(20)が約100重量部の水に溶解する比較的高い溶解度、及び/又は(ii)固体親水性粒子(20)が水中で少なくとも約50%膨潤する比較的高い膨潤性を有する。固体親水性粒子並びに水不溶性送達キャリアの成分及び特性は、物品から活性剤を容易に最適に放出できるように選択される。
【0038】
本明細書に開示される物品は、好ましくは、水不溶性送達キャリアに埋め込まれた少なくとも1つの口腔ケア活性剤を含む固体親水性粒子と組み合わされた固体疎水性及び固体水不溶性送達キャリアを含み得る。
【0039】
本明細書に開示される物品は、好ましくは、水不溶性送達キャリアに埋め込まれた少なくとも1つの口腔ケア活性剤を含む固体親水性粒子と組み合わされた固体熱可塑性水不溶性送達キャリアを含み得る。理論に束縛されることを望むものではないが、本物品を歯の表面と接触させると、固体親水性粒子が活性剤を表面の親水性バイオフィルムに送達すると考えられる。可能性のある正味効果は、歯の処置効果が、処置される歯の表面に接触した後のみに開始されるということである。これは、親水性活性剤が環境の影響から保護され、それにより、使用時までだけでなく使用中も、物品の水不溶性送達キャリアによって安定化され得ることを意味する。したがって、効果が歯の表面に適用されることができ、また親水性活性剤、例えば、漂白剤、抗菌剤又は抗カリエス剤は、使用中の口腔環境から潜在的に遮断されることができる。したがって、活性剤の有効性を高め得る、及び/又は促進し得る。
【0040】
理論に束縛されることを望むものではないが、本発明は、物品の部分的疎水性及び部分的親水性の性質により、歯又は歯茎表面などの口腔表面への親水性活性剤の送達を改善することができる。送達の改善からもたらされる推進力故に、活性剤は、歯の表面に向かって推進され得る。したがって、驚くほど低い総量の活性剤が使用されるにもかかわらず、活性剤の速度の増大及び/又は有効性の増大が、達成され得る。したがって、本発明は、所与の総濃度、例えば、約25重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、約3重量%未満、約1重量%未満、約0.1重量%未満、又はそれ未満の口腔ケア用活性剤において、驚くほど高いレベルの治療有効性をもたらすことができ、したがって、先行技術の適用と比較して、同程度の有効性を得るためにより少ない適用を必要とし得るか、又は同程度の有効性を得るためにより低い濃度を必要とし得る。理論に束縛されることを望むものではないが、本発明の物品によってもたらされる高い有効性の理由の一部は、水不溶性送達キャリアと歯を含む口腔表面との間の物理的干渉若しくは機械的インターロックによって口腔に物品を取り付けることができる、又は物品が歯に対して自己接着性若しくは自己持続性であり、唾液若しくは他の液体中で洗い流されることに耐性があるからではないかと考えられている。これにより、歯表面又は口腔内などの口腔表面と接触している漂白剤、抗菌剤又は抗カリエス剤などの活性剤を長期間にわたって維持することができ、したがって、高い有効性がもたらされる。口腔内の表面は湿っているので、口腔に対して接着性又は持続性のある物質は、一般に、親水性であることは注目に値する。また、いくつかの製品形態、特にスティック型製品が、口腔内の表面に物品を接着させるために添加された持続性剤を必要とする場合があることも注目すべきである。しかし、本発明の物品及び/又は本発明の水不溶性送達キャリアは、水不溶性送達キャリアと歯を含む口腔表面との間の物理的干渉若しくは機械的インターロックによって口腔に取り付けることができること、又は接着剤(例えば、水分によって活性化されると粘着性になる親水性粒子、若しくは親水性液体)、又は持続性剤を添加しなくても、歯表面などの口腔内の表面に自己接着性若しくは自己持続性であることが見出されている。添加された親水性接着剤又は親水性持続性剤を使用せずに接着性又は持続性を達成することは、唾液又は他の液体中で洗い流されにくい物品を作製するのに役立ち得るため、すなわち、より有効性が高くなるため、特に有用である。これは、添加された親水性接着剤又は添加された親水性持続性剤を使用せずに接着性又は持続性を達成することにより、疎水性構成成分(洗い流されにくい)の濃度を増加させること、及び/又は親水性構成成分(洗い流されやすい)の濃度を減少させることが可能になり得るためである。反直感的に、これは、物品の持続性を増加させるのに役立つ可能性があり、高濃度の口腔ケア活性剤又は漂白剤が歯表面又は口腔内などの口腔表面と長時間接触し、これが結果として、高い有効性につながる。したがって、好ましくは、本発明の物品及び/又は本発明の水不溶性送達キャリアは、添加された接着剤を実質的に含まなくてもよく、好ましくは、添加された親水性接着剤(例えば、水分によって活性化されると粘着性になる親水性粒子)又は添加された親水性持続性剤を実質的に含まなくてもよく、より好ましくは、添加された親水性液体接着剤(例えば、グリセリン)を実質的に含まなくてもよい。好ましくは、本発明の物品及び/又は本発明の水不溶性送達キャリアは、水不溶性送達キャリアと歯を含む口腔表面との間の物理的干渉若しくは機械的インターロックによって口腔に取り付けることができる、又は歯の表面などの口腔に自己接着性若しくは自己持続性である。
【0041】
また、いくつかの製品形態、特にスティック型製品は、スティック型製品中に捕捉された活性物質又は過酸化物の放出を改善するために、追加の活性物質放出剤又は追加の過酸化物放出剤を必要とし得ることも注目に値する。一般に、活性物質放出剤又は過酸化物放出剤は、水が物品に浸透することを可能にし、活性物質又は過酸化物が浸出することを可能にする水分補給チャネルを物品中に提供し得る、親水性水溶性若しくは水膨潤性ポリマー、又は親水性液体である。追加の過酸化物放出剤は、水に接触すると生成され得る微小気泡の結果として疎水性マトリックスを破壊するのに役立ち得、この破壊は、過酸化水素などのホワイトニング剤又は口腔ケア活性剤の放出を増強することができる。しかし、本発明の物品は、好ましくは自己放出型である(例えば、活性物質放出剤又は過酸化物放出剤を添加しなくても活性物質又は過酸化物を放出する)。
【0042】
歯の表面上における物品の保持力は、水不溶性送達キャリアが、過酸化物などの活性物質を分解することが可能な、唾液による希釈及び唾液の酵素に影響を受けない際に、向上し得る。なお更に、水不溶性送達キャリアは、歯を脱水させず、ポリカルボン酸などの親水性接着剤を含有する多数の親水性物品により生成された水の外方向への流動を発生させる。水不溶性送達キャリアは歯を脱水しないので、漂白有効性などの驚くほど高濃度の活性有効性を発揮しながらも、歯の知覚過敏驚くほど低く済む。
【0043】
水不溶性送達キャリアは、更なる利点を提供し得る。例えば、水不溶性送達キャリアは、水不溶性送達キャリアにおいて可溶性である成分のための、安定したマトリックスを表し得る。例えば、通常、口腔ケア物品にて使用される多くの香料成分は、水不溶性送達キャリアにおいて可溶性である。すなわち、香料成分は、口腔ケア物品中の親水性活性剤、例えば漂白剤の影響から保護され得る。歯の表面における物品の使用中に、水不溶性送達キャリアの少なくとも一部は、粘膜などの口腔軟組織に向けて位置し、それによって、水不溶性送達キャリアに存在する香料化合物などの成分を口腔へと提示することができる。例えば、香料成分は、固体親水性粒子及び任意の香料成分が水不溶性送達キャリアの反対側に位置し、口腔に独立して放出できるように、好ましくは水不溶性送達キャリアの第2の表面に位置することができる。水不溶性送達キャリアは、唾液による希釈などの、口腔からのいずれかの影響に対して、漂白剤などの活性剤を保護し得る。保護効果はまた、歯の表面それ自体に適用されてよく、水不溶性送達キャリアは、歯の表面により強い水和を提供する。
【0044】
スティック型製品は、口腔内で繰り返し使用されるため、潜在的な汚染又は生物膜の蓄積に起因して、不衛生となり得ることに注目すべきである。唾液又は水分は、口腔内で使用されるとスティック型製品に浸透し得、これは、活性剤、使用間の保管中に特に過酸化物などの漂白剤を劣化させ得、この劣化は、唾液中に存在する酵素によって更に促進され得る。更に、この劣化は、口腔内の唾液又は水分と直接接触するスティック型製品の先端において最も顕著であり得、スティック型製品が使用される次の時点で有効性の低下をもたらし得る。この「接触-劣化-接触」サイクルは、スティック型製品が使用されるたびに繰り返され得、最初の適用後常にではないとしてもほとんどの適用で、有効性の低下がもたらされ得る。
【0045】
本発明の物品は、一度使用したらその後廃棄される単位用量形態で提供され得ることは注目に値する。この単位用量形態は、スティック型製品を含む他の製品形態と比較して、いくつかの利点、例えば、1)一度使用したら廃棄されるため、衛生的な保護水準が高いこと、2)単位用量形態により、用量毎に予め測定された用量の活性剤(例えば、漂白剤)が提供されるため、使用する製品の量を推測(これは、製品に慣れていない消費者にとっては混乱したり、プレッシャーを与える可能性もある)する必要がないこと、3)固体親水性粒子を物品全体に分布させることができるため、過剰処置又は過少処置されるスポットを最小限に抑えることができること、4)活性剤(例えば、漂白剤)が使用時まで環境又は口腔に曝露されないため、活性剤(例えば、漂白剤)の効力をより長い期間維持することができることなどを提供することができる。
【0046】
別の態様において、本発明の物品は、使用後に口腔から取り外すことができる。これは、スティック型製品とは対照的に、使用者が、処置期間が完了した後に残った活性剤(例えば、漂白剤)を全て除去して廃棄することができる。本発明の物品は単層であり得る。
【0047】
水不溶性送達キャリア
本明細書に開示される物品は、少なくとも1つの口腔ケア活性剤を含む、好ましくは埋め込まれた固体親水性粒子を有する固体水不溶性送達キャリアを含む。水不溶性送達キャリア又は物品は、水不溶性送達キャリアと歯を含む口腔表面との間の物理的干渉又は機械的インターロックによって口腔に取り付けることができる。例えば、水不溶性送達キャリア又は物品は、適用されると、水不溶性送達キャリアが口腔軟組織と重なり、より多くの歯の表面を治療に利用できるようにするのに十分なサイズであり得る。水不溶性送達キャリア又は物品の基本形態は、互いに厚さによって分離された第1及び第2の表面を形成する長さ及び幅を有するストリップである。加えて、水不溶性送達キャリア又は物品の基本形態はまた、所望の口腔表面に接触するのに適した任意の形状又はサイズ、例えば歯列弓の形態に形成することもできる。更に、水不溶性送達キャリアは単層であり得る。
【0048】
当該第1の表面の形態は、実質的に平坦であってもよく、中に埋め込まれ得る埋め込まれた固体親水性粒子による不規則性を有していてもよく、例えば歯列弓若しくは歯の形状などの三次元形状に成形されていてもよく、又はこれらの組み合わせであってもよい。概して、水不溶性送達キャリア又は物品の第1の表面及び第2の表面は、サイズ及び形状が類似しており、互いに隣接しているか又は入れ子状であり、好ましくは約3mm以下の平均距離だけ離れている。例えば、水不溶性送達キャリア又は物品の第1の表面と第2の表面との間の平均距離は、約0.01mm~約3mm、好ましくは約0.1mm~約2mm、又はより好ましくは約0.15mm~約1mmであり得る。
【0049】
水不溶性送達キャリア又は物品の基本形態は、長さ、幅、及び厚さを有するストリップである。水不溶性送達キャリア又は物品の長さは、約35mm~約100mm、好ましくは約40mm~約90mm、より好ましくは約50mm~約80mmの範囲であり得る。水不溶性送達キャリア又は物品の幅は、約3mm~約30mm、好ましくは約5mm~約25mm、より好ましくは約15mm~約25mmの範囲であり得る。
【0050】
理論に束縛されることを望むものではないが、水不溶性送達キャリア又は物品の平均厚さは、物品が、1)使用中に快適であること、及び/又は2)使用中にcm2当たり有効量の口腔ケア用活性剤を放出することを確実にするための要因となり得る。具体的には、所与の活性剤%について、水不溶性送達キャリア又は物品の平均厚さが小さすぎる場合、活性剤は、第1の表面の広い面積にわたって広がり、その結果、cm2当たりの活性剤の送達レベルが低くなり、有効性が低下する可能性がある。対照的に、水不溶性送達キャリア又は物品の平均厚さが大きすぎる場合、物品は、嵩張りすぎて使用中に快適でなくなる可能性がある。水不溶性送達キャリア又は物品の平均厚さは、0.01mm~約3mm、好ましくは約0.1mm~約2mm、より好ましくは約0.15mm~約1mm、最も好ましくは約0.25mm~約0.75mmの範囲であり得る。本発明の物品は単層であり得る。
【0051】
水不溶性送達キャリアは、約200nm~約1700nmの波長を有する電磁放射線に対して透明又は半透明であり得る。
【0052】
理論に束縛されることを望むものではないが、水不溶性送達キャリアの液滴融点は、物品が、1)保管中に融解しないか又は粘着性にならないこと、及び/又は2)使用中に有効量の活性剤を放出することを確実にするための要因となり得る。具体的には、水不溶性送達キャリアの液滴融点が低すぎる場合、物品は保管中に融解したり、粘着性になったりする可能性がある。対照的に、水不溶性送達キャリアの液滴融点が高すぎる場合、物品は使用中に有効量の活性剤を放出しない可能性がある。例えば、適切な水不溶性送達キャリアの液滴融点は、約60℃~約120℃、好ましくは約70℃~約110℃、より好ましくは約80℃~約100℃、及びより好ましくは約90℃~約100℃の範囲であり得る。
【0053】
理論に束縛されることを望むものではないが、水不溶性送達キャリアの針貫入稠度値は、物品が、1)保管中に粘着性にならないこと、及び/又は2)使用中に有効量の活性剤を放出することを確実にするための要因となり得る。具体的には、水不溶性送達キャリアの針貫入稠度値が高すぎる場合、物品は保管中に粘着性になる可能性がある。対照的に、水不溶性送達キャリアの針貫入稠度値が低すぎる場合、物品は使用中に有効量の活性剤を放出しない可能性がある。水不溶性送達キャリアの針貫入稠度値は、約0.1~約100、好ましくは約0.5~約50、最も好ましくは約1~約10の範囲であり得る。
【0054】
理論に束縛されることを望むものではないが、水不溶性送達キャリアの円錐貫入稠度値は、物品が、1)保管中に粘着性にならないこと、及び/又は2)使用中に有効量の活性剤を放出することを確実にするための要因となり得る。具体的には、水不溶性送達キャリアの円錐貫入稠度値が高すぎる場合、物品は保管中に粘着性になる可能性がある。対照的に、水不溶性送達キャリアの円錐貫入稠度値が低すぎる場合、物品は使用中に有効量の活性剤を放出しない可能性がある。水不溶性送達キャリアの円錐貫入稠度値は、約10未満、好ましくは約1~約9、最も好ましくは約5未満であり得る。
【0055】
本発明の水不溶性送達キャリア又は物品は、成形可能であり得る。成形可能であることにより、水不溶性送達キャリアを歯列弓の形又は歯の表面輪郭に成形することが可能になり得る。歯の表面への最適な適合により、1)活性剤の効果的な放出、及び/又は2)使用中の快適さを感じることが可能になる。好ましくは、永久変形は、着用者によって加えられる最小の垂直力下で起こり、好ましくは、水不溶性送達キャリア又は物品は、約250,000パスカル未満の圧力下で永久変形を介して歯の形状に実質的に適合する。
【0056】
本発明の水不溶性送達キャリアは剛性であり得る。水不溶性送達キャリア又は物品の剛性は、1)適用中の取り扱い及び正確な位置決めが容易であること、及び/又は2)使用中に所与の形状を維持することを確実にするための要因となり得る。曲げ剛性は、材料のストリップの厚さ、幅、及び材料弾性率の組み合わせの関数である、材料特性である。後述の試験は、ストリップ及びシートの剛性を測定するための方法である。この方法は、水平ビームの端部に取り付けられたひずみ計を使用することにより、試料の曲げ耐性を決定する。ビームの反対側の端部は、試料が静置された際に、試料のストリップに対して押下して、ストリップの一部を水平の台における垂直の溝内へと押し込む。ひずみ計へと配線されたマイクロアンペア計は、偏向力の観点から較正される。試料の剛性は、マイクロアンペア計から直接読み取られ、かつ試料ストリップの幅のセンチメートル当たりのグラムとして表示される。具体的には、水不溶性送達キャリア又は物品の曲げ剛性が高すぎる場合、成形できず、歯の表面での成形中に破損する可能性がある。対照的に、水不溶性送達キャリア又は物品の曲げ剛性が低すぎる場合、適用中の取り扱い及び正確な位置決めが容易でない可能性がある。水不溶性送達キャリアの曲げ剛性は、ASTM D2923-95によって測定して、50g/cmより大きくてもよく、好ましくは、水不溶性送達キャリアの曲げ剛性は、60g/cmより大きく、より好ましくは約75g/cm~約1000g/cm、より好ましくは約100g/cm~約750g/cm、より好ましくは約200g/cm~約500g/cmであり得る。
【0057】
本発明の水不溶性送達キャリアは疎水性である。本発明の水不溶性送達キャリアは、好ましくは、ワックス、ポリマー又はこれらの組み合わせを含み得る。ワックスは熱可塑性であり得る。水不溶性送達キャリアに使用できる適切なワックスは、マイクロクリスタリンワックス、又はワックスとポリマーとの組み合わせを含み得る。マイクロクリスタリンワックスの例としては、Sonneborn(Parsippany,NJ)、Crompton(Witco)からのMultiwaxシリーズが挙げられ、これらには、Multiwax835、Multiwax440、Multiwax180、及びそれらの混合物が含まれる。水不溶性送達キャリアを形成するために組み合わされ得る適切なポリマーは、例えば、ポリエチレンであり得る。ポリエチレンの例としては、ASTM D-1321下で、それぞれ約98.5及び約90.0の透過値を有する、Honeywell 25 Corp.(Morristown,NJ)により作製されたA-C 1702又はA-C 6702、Baker Hughesからの、ポリエチレンPerformaleneシリーズが挙げられ、これには、Baker Hughes Inc.(Houston,TX)からの、ポリエチレンPerformalene 400が挙げられる。例えば、ポリマーの重量パーセントをワックスの重量パーセントで割った比は、約0.01~約100、約0.1~約10、約0.5~約2であり得る。本発明の水不溶性送達キャリアの好ましい例は、ワックスであり、最も好ましくは、Freeman Manufacturing Company,Ohio,USAによって供給される鋳造ワックス、例えば、以下の表に列挙されるもの、又はこれらの組み合わせである。
【0058】
【表1】
これらのワックスシートは成形可能であり、手の圧力下で歯列弓又は歯の形状に容易に適合する。
【0059】
本明細書で使用する場合、送達システムは接着手段を含んでよく、これにより、送達システムは、口腔表面、特に歯への接着が可能である。本接着手段は、本明細書の本発明の物品により提供されてよい、又は本接着手段は、本明細書の物品から独立して提供されてよい(例えば、本接着手段は、本明細書の物品から分離した相であってもよく、物品はまた、接着剤手段を有してもよい)。水不溶性送達キャリアは、器具、化学溶媒若しくは薬品、又は過剰の摩擦を適用することなく、口腔表面から容易に取り除かれてよい。
【0060】
水不溶性送達キャリアは、水不溶性送達キャリア自体によって提供される接着手段及び/又は取り付けによって、口腔表面上の所定の位置に保持され得る。例えば、水不溶性送達キャリアを延伸させ、口腔軟組織へと取り付け、接着させることができる。加えて、物品を口腔軟組織へと取り付けることができる水不溶性送達キャリアの部分に、接着剤を適用してもよい。水不溶性送達キャリアはまた、水不溶性送達キャリアと歯を含む口腔表面との間の物理的干渉又は機械的インターロックにより、口腔に取り付けてよい。加えて、水不溶性送達キャリアは、国際公開第03/015656号に開示されるように、本明細書における本発明の物品から独立した接着手段により、所定の位置に保持されてよい。
【0061】
好適な接着手段が、当業者に周知である。接着手段が存在する場合、これは、接着剤により提供され、接着剤は、材料を歯の表面又は口腔表面のある表面に接着させるために使用され得る、任意の接着剤であってもよい。好適な接着剤としては、皮膚、歯茎及び粘膜付着性接着剤が挙げられるが、これらに限定されず、またこれらは、口腔ケア活性物質及び/又は漂白剤が効果を発揮するために、口腔環境の湿気、化学物質、及び酵素に長い間耐え得るものでなければならないが、後に溶解及び/又は生物分解できてもよい。好適な接着剤は、例えば、水溶性ポリマー、疎水性及び/又は非水溶性ポリマー、感圧性及び感湿性接着剤、例えば、口内の水分、化学物質、又は酵素などの影響の下で、口内環境に接触すると粘着性になる乾燥接着剤を含み得る。好適な接着剤としては、天然ガム、合成樹脂、天然ゴム又は合成ゴム、「増粘剤」に関して上で列挙したガム及びポリマー、及び既知の粘着テープにて使用される種類の種々のその他の粘着性物質が挙げられ、これらは、米国特許第2,835,628号から周知である。
【0062】
固体親水性粒子
本物品は、安全かつ有効な量の固体親水性粒子を含む。固体親水性粒子は、本明細書に開示される口腔ケア用活性剤を含む。例えば、物品中の固体親水性粒子の量は、物品の約0.01重量%~約50重量%、好ましくは約0.1重量%~約30重量%、最も好ましくは約0.2重量%~約25重量%であり得る。
【0063】
固体親水性粒子は、本発明の水不溶性送達キャリアに不溶性である。しかし、驚くべきことに、固体親水性粒子の水への溶解度、水と接触して膨潤する能力、及び/又は水と接触して口腔ケア用活性剤を放出する能力が、物品の有効性に影響を与えることが見出されている。例えば、少なくとも約20、約25、約30、約40、約50、約60、約70、又は約80重量部の固体親水性粒子が、約100重量部の水に溶解してもよく、好ましくは、少なくとも約30重量部の固体親水性粒子が、約100重量部の水に溶解してもよく、より好ましくは50重量部、より好ましくは70重量部、更により好ましくは80重量部の固体親水性粒子が、約100重量部の水に溶解してもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、固体親水性粒子の影響が可溶性であればあるほど、それらの有効性は高くなり得る。より高い溶解度を有する粒子は、水不溶性送達キャリアから歯の表面により効果的に送達され、それによって、例えば漂白などの意図される有効性を高めることができる。物品の有効性に影響を与える固体親水性粒子の別のパラメータは、膨潤性であり得る。例えば、固体親水性粒子は、水と接触すると、少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%又は約80%膨潤することができ、好ましくは固体親水性粒子は、水と接触すると、少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%膨潤することができる。理論に束縛されることを望むものではないが、水と接触した際に固体親水性粒子から口腔ケア用活性剤を放出する能力は、固体親水性粒子の水中での膨潤性及び/又は溶解度に依存し得ると考えられる。固体親水性粒子を水和し、活性成分を放出するために、上顎前歯の前面上で利用可能な水の量は、口腔の残りの部分と比較して少ない。これは、上顎前歯の前面が、笑うときに最も視認可能な歯であるため、特に漂白にとって重要であり得る。したがって、水中への固体親水性粒子の可溶性、水との接触時に膨潤するその能力、及び/又は水の接触時に口腔ケア活性剤を放出する能力は、「笑ったときの歯」(上顎前歯の前面)上での物品の有効性に過度に影響を及ぼし得る。
【0064】
個々の固体親水性粒子のサイズは、口腔/局所刺激を減少させる要因、又は漂白剤が使用される場合の漂白有効性などの意図される効果を増加させる要因となり得る。理論によって制限されるものではないが、固体親水性粒子のサイズが大きすぎる場合、高濃度の口腔ケア用活性剤にさらされる口腔表面/局所的な表面/歯表面に大型のスポットをもたらす場合があり、引き続いて、口腔の/局所的な過敏、及び/又は歯の過敏症をもたらす場合がある。例えば、固体親水性粒子の数平均等価直径又は体積平均等価直径は、約0.001マイクロメートル~約5000マイクロメートル、好ましくは約0.01マイクロメートル~約2000マイクロメートル、最も好ましくは1マイクロメートル~約1000マイクロメートルであり得る。固体親水性粒子の数平均等価直径又は体積平均等価直径は、Malvern Panalytical Ltd.(例えば、Malvern Mastersizer 3000粒径分析装置)又はHoriba Ltd.(例えば、レーザーベースの粒径分析装置)からのものなどの、当技術分野で公知の方法及び装置に従って測定することができる。
【0065】
一態様では、本発明の物品は、固体水不溶性送達キャリア中に埋め込まれた固体親水性粒子を含む。固体親水性粒子が埋め込みによって水不溶性送達キャリア中に含まれる場合、固体親水性粒子は、水不溶性送達キャリア中への埋め込みプロセス中に平坦化され得る。一態様では、粒子は、埋め込みプロセス中に不規則な円盤状の形状にプレスされ得る。それによって、外部環境に曝露される固体親水性粒子の表面積(例えば、水不溶性送達キャリアの第1の表面における固体親水性粒子の表面積)を増加させることができ、活性物質がより多く放出され、有効性がより高くなる可能性がある。水不溶性送達キャリアの厚さが大きすぎる場合、この正の効果は負の影響を受ける可能性がある。一態様では、驚くべきことに、水不溶性送達キャリア及び/又は物品の平均厚さを固体親水性粒子の数平均等価直径又は体積平均等価直径で割った比が、口腔ケア活性剤の有効性を高めるのに役立ち得ることが見出された。例えば、水不溶性送達キャリア及び/又は物品の平均厚さの、固体親水性粒子の数平均等価直径又は体積平均等価直径に対する比は、約0.001~約1000、約0.01~約100、又は約0.1~約10であり得る。
【0066】
固体親水性粒子が水不溶性送達キャリアに埋め込まれている物品において、埋め込まれた粒子の構成(例えば、形状又は位置)は、1)保管、輸送又は取り扱い中に埋め込まれた粒子が水不溶性送達キャリアから分離しないこと、及び/又は2)使用中に埋め込まれた粒子が有効量の漂白剤を放出することを確実にするための要因となり得る。具体的には、固体親水性粒子が水不溶性送達キャリアに埋め込まれている物品において、埋め込まれた粒子の大部分(例えば、約50%超)が水不溶性送達キャリアの表面上にあるように埋め込まれた粒子が構成されている場合、保管、輸送又は取り扱い中に埋め込まれた粒子は、水不溶性送達キャリアから分離する可能性がある。更に、埋め込まれた粒子の大部分が水不溶性送達キャリアの表面上に突出している場合、表面の粗さを増加させ(例えば、外観又は質感がサンドペーパーに類似している)、消費者が使用する前であっても、敏感な口腔組織に不快感をもたらす印象を与えたり、適用中又は使用中に敏感な口腔組織に突き刺さって不快感を引き起こす可能性さえある。これに関して、埋め込まれた固体親水性粒子の体積の約50%未満、好ましくは約40%未満、好ましくは約30%未満、好ましくは約20%未満が、水不溶性送達キャリアの表面上に配置されることが好ましい。
【0067】
更に、埋め込まれた粒子の大部分(例えば50%超)が水不溶性送達キャリアの表面下にあり、外部環境に直接曝露されないように埋め込まれた粒子が構成されている場合、有効量の漂白剤を放出しない可能性がある。一態様では、驚くべきことに、固体親水性粒子が水不溶性送達キャリアに埋め込まれている物品において、埋め込まれた粒子は、1)埋め込まれた粒子の大部分が水不溶性送達キャリアの表面下にあり、2)埋め込まれた粒子の表面の大部分が外部環境に直接曝露されるように構成され得ることが見出された。この直観に反した性質の構成により、1)埋め込まれた粒子が水不溶性送達キャリアから分離するのを阻害し、2)埋め込まれた粒子から有効量の漂白剤を放出することができる。例えば、水不溶性送達キャリアの表面に粒子を分散させ、高圧で(例えば、油圧プレスにおいて、2つのローラー間で、又はローラーと硬質表面との間で)粒子を水不溶性送達キャリア中にプレスすることによって、粒子を水不溶性送達キャリアに埋め込む場合、1)粒子の大部分が表面の下に配置され、2)粒子自体が水不溶性送達キャリアの表面又は表面付近で少なくとも部分的に平坦化される可能性があり、その結果、粒子の表面の大部分が外部環境に直接曝露され、有効量の漂白剤の放出がもたらされる。
【0068】
固体親水性粒子が水不溶性送達キャリアに埋め込まれている物品では、1)埋め込まれた粒子の体積の約50%超、好ましくは約75%超、好ましくは約95%超、最も好ましくは100%が、水不溶性送達キャリアの表面下又は表面に配置され得る、及び/又は2)埋め込まれた粒子の表面積の約10%超、好ましくは約20%超、好ましくは約30%超が、水不溶性送達キャリアの表面に配置され、それによって水不溶性送達キャリアを取り囲む外部環境に直接曝露される。
【0069】
固体親水性粒子のサイズ、固体水不溶性送達キャリアの厚さ、又は適用される圧力は、埋め込まれた粒子の構成(例えば、形状又は位置)に影響を与える可能性がある。固体親水性粒子は、水不溶性送達キャリアの表面に粒子を分散させ、少なくとも約50ポンド/平方インチ(PSI)、好ましくは少なくとも約500PSI、好ましくは少なくとも約5000PSI、最も好ましくは少なくとも約50,000PSI、又は約50PSI~約50,000PSI、好ましくは約50PSI~約5000PSI、最も好ましくは約500PSI~約5000PSIの圧力で粒子を水不溶性送達キャリアにプレスすることによって、水不溶性送達キャリアに埋め込むことができる。
【0070】
固体親水性粒子1つ当たりの口腔ケア活性剤は、固体親水性粒子の約1重量%~約95重量%、好ましくは約10重量%~約50重量%、最も好ましくは約15重量%~約40重量%であり得る。
【0071】
驚くべきことに、本発明において意図される効果を達成するために必要とされる口腔ケア活性剤の濃度は、驚くほど低く、例えば、以前の市販製品において通常使用された活性剤の濃度よりも低いことが見出された。例えば、口腔ケア活性剤の濃度は、約0.001%~約25%、好ましくは約0.01%~約15%、より好ましくは約0.01%~約10%、より好ましくは約0.01%~約5%、より好ましくは約0.01%~約3%、より好ましくは約0.01%~約0.09%、及び最も好ましくは0.1%未満であり得る。
【0072】
本発明の物品は、本明細書に開示されるようないくつかの異なる口腔ケア用活性剤を含み得る。活性剤の中には、活性剤規制上の要件から、その濃度が規制及び/又は制限される場合がある。例えば、漂白剤が活性剤として使用される場合、活性剤の適切な濃度は、意図される効果に従って計算されるだけでなく、規制要件を満たさなければならない。例えば、活性剤としての漂白剤の好適な総濃度は、約0.01%~約0.1%、約0.1%未満、約0.01%~約0.099995%、約0.01%~約0.095%、約0.05%~約0.09%であり得る。固体親水性粒子によって提供される漂白剤は、本明細書に開示される物品において非常に低い濃度で使用された場合であっても有効であり得る。より高い濃度の漂白剤、例えば物品の最大約15重量%が規制要件を満たす場合、活性剤としての漂白剤の総濃度は、物品の15重量%未満、好ましくは約0.1重量%~約10重量%、最も好ましくは約0.5重量%~約3重量%であり得る。活性剤の濃度は、約0.001%~約25%、好ましくは約0.01%~約10%、より好ましくは約0.01%~約3%、より好ましくは約0.01%~約0.09%、最も好ましくは0.1%未満であり得る。
【0073】
一態様では、理論に束縛されることを望むものではないが、極めて低濃度の口腔ケア活性剤によってもたらされる驚くほど高い有効性は、処理を必要とする表面に口腔ケア活性剤を直接送達することによって達成され得ると考えられている。したがって、概して、治療される口腔の表面と接触することが意図される物品の表面である第1の表面における口腔ケア活性剤の濃度を測定することができる。例えば、第1の表面における少なくとも1つの口腔ケア活性剤の濃度は、本明細書で特定される方法に従って測定して、約1マイクログラム/cm2~約10000マイクログラム/cm2、好ましくは約10マイクログラム/cm2~約5000マイクログラム/cm2、最も好ましくは約50マイクログラム/cm2~約3000マイクログラム/cm2の範囲であり得る。
【0074】
固体親水性粒子が埋め込みによって水不溶性送達キャリアに導入される場合、概ね第1の表面と反対側にある物品の第2の表面における口腔ケア活性剤の濃度は、第1の表面における濃度よりも著しく低くなる可能性がある。例えば、第2の表面における少なくとも1つの口腔ケア活性剤の濃度は、本明細書で特定される方法に従って測定される場合、約0.001マイクログラム/cm2~約500マイクログラム/cm2、好ましくは約0.01マイクログラム/cm2~約200マイクログラム/cm2、最も好ましくは約0.1マイクログラム/cm2~約100マイクログラム/cm2であり得る。
【0075】
固体親水性粒子が埋め込みによって水不溶性送達キャリアに導入される場合、本明細書に規定される手順に従って測定される、第1の表面における口腔ケア活性剤又は漂白剤の濃度を第2の表面における口腔ケア活性剤又は漂白剤の濃度で割った比は、1を超える、好ましくは約2~約10000、好ましくは約2~約1000、及び好ましくは約2~約100であり得る。一態様では、驚くべきことに、固体親水性粒子が水不溶性送達キャリア中に不均一に位置する場合、例えば、処置される口腔の表面と接触することが意図される物品の表面ではより多くの数があり、向こう側の表面ではより少ない数である場合、更により良好な有効性結果が達成され得ることが見出された。したがって、cm2当たりの固体親水性粒子の数は、使用中の口腔/局所刺激を減少させ、歯の過敏症を減少させ、及び/又は有効性を増加させるための要因となり得る。理論に束縛されることを望むものではないが、不均一な分布は、意図された作用部位に口腔ケア活性剤を集中させ、それによって口腔ケア活性剤の量と、意図されない、時には負の副作用を低減する。したがって、固体親水性粒子のサイズ又は数が大きすぎると、高濃度の口腔ケア活性剤にさらされる口腔/局所/歯の表面に大きなスポットが生じる可能性があり、その結果、口腔/局所刺激及び/又は歯の過敏症が生じる可能性があり、固体親水性粒子のサイズ又は数が小さすぎる場合、有効性が低くなりすぎる可能性がある。第1の表面におけるcm2当たりの固体親水性粒子の数は、少なくとも5、好ましくは約5~約10000、好ましくは約10~約1000、又は約10~約100であり得る。固体親水性粒子が埋め込みによって水不溶性送達キャリアに導入される場合、第2の表面における固体親水性粒子の数は、第1の表面における数よりも少なくてもよい。例えば、第2の表面におけるcm2当たりの固体親水性粒子の平均数は、最大で200、好ましくは約0.01~約100、最も好ましくは1~約10であり得る。
【0076】
口腔ケア用活性剤
本発明の物品は、安全かつ有効な量の少なくとも1つの口腔ケア用活性剤を含み、例えば、固体親水性粒子は、安全かつ有効な量の1つ以上の口腔ケア活性剤を含み、かつ/又は1つ以上の追加の活性剤を、固体親水性粒子とは別に水不溶性送達キャリアに添加することができる。適切な口腔ケア活性剤としては、概ね口腔内での使用が安全であると考えられ、口腔の全体的な外観及び/又は健康に変化をもたらす任意の材料が挙げられる。例えば、適切な口腔ケア活性物質としては、1種以上の漂白剤、歯のホワイトニング剤、治癒剤(複数可)、抗結石剤(複数可)、フッ化物イオン源、抗菌剤(複数可)、再石灰化剤c、象牙質脱感作剤(複数可)、麻酔剤(複数可)、抗真菌剤(複数可)、冷却剤、抗炎症剤(複数可)、選択的H-2アンタゴニスト(複数可)、抗カリエス剤(複数可)、栄養剤(複数可)、エリスリトール、プロバイオティクス、エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)を含むレゾルビン、並びにドコサペンタエン酸(DPA)クルパノドン酸、レゾルビンD’s RvD1(7S,8R,17S-トリヒドロキシ-DHA)、RvD2(7S,16R,17S-トリヒドロキシ-DHA)、RvD3(4S,7R,17S-トリヒドロキシ-DHA)、RvD4(4S,5,17S-トリヒドロキシ-DHA)、RvD5(7S,17S-ジヒドロキシ-DHA)、及びRvD6(4S,17S-ジヒドロキシ-DHA)、及びレゾルビンE’s:RvE1(5S,12R,18R-トリヒドロキシ-EPA)、18S-Rv1(5S,12R,18S-トリヒドロキシ-EPA)、RvE2(5S,18R-ジヒドロキシ-EPA)、及びRvE3(17R,18R/S-ジヒドロキシ-EPA)、トラネキサム酸、グリシン、レチノール、アミノ酸、例えばヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、システイン、グルタミン、チロシン、グリシン、オルニチン、プロリン、及びセリンなど、ペプチド、アミノ酸のカルシウム塩、並びにペプチド、ナイアシンアミド、ヒト成長因子、及びこれらの混合物及び/又は組み合わせが挙げられてもよい。固体親水性粒子は、直接使用時に、それが適用される口腔表面を損なうことなく意図された効果が促進される濃度で、少なくとも1つの口腔ケア活性剤を含有し得る。これらの活性物質が対処する口腔状態の例としては、歯の外見及び構造変化、例えば、カリエス、歯垢、歯石及び染みの減少及び/又は除去、抗菌作用の提供、虫歯の予防及び治療、歯茎の炎症及び/又は出血、粘膜の傷、損傷、潰瘍、アフタ性潰瘍、単純疱疹、歯の膿瘍の治療、並びに上記の状態及び細菌の増殖などのその他の原因からもたらされる口臭の除去及び息の改善が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
例えば、口腔ケア活性剤は、治癒若しくは再生プロセスを促進又は増強する、治癒剤であってもよい。このような治癒剤は、ヒアルロン酸又はその塩、グルコサミン又はその塩、アラントイン、クルクミン、Dパンテノール、ナイアシンアミド、エラグ酸、フラボノイド(フィセチン、ケルクチン(querctin)、ルテオリン、アピゲニンを含む)、ビタミンE、ユビキノン、又はこれらの混合物を含んでもよい。
【0078】
口腔ケア活性剤は、1つ以上の抗炎症剤であり得、その例としては、アセチルサリチル酸、ケトロラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、アセトアミノフェン、アセチルサリスチル酸、ステロイド、ケトロラク、ナプロキセン、ケトプロフェン、ピロキシカム及びメクロフェナム酸等の非ステロイド性抗炎症剤、バルデコキシブ、セレコキシブ及びロフェコキシブなどのCOX-2阻害剤、並びにこれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。存在する場合、抗炎症剤は、一般に、物品の約0.001重量%~約5重量%を含む。
【0079】
口腔ケア活性剤は、ラクトバシラス・ロイテリATCC55730、Lactobacillus salivarius strain TI12711(LS 1)、Lactobacillus paracasei ADP-1、Streptococcus salivarius K12、Bifidobacterium DN-173 010、L.paracasei株(pro-t-action(商標))の濾液、S.Oralis KJ3,S.rattus JH145,S.uberis KJ2、Lactobacillus,reuteri Prodentis、Lactobacillus salivarius LS1、Lactobacillus paracasei、Lactobacillus paracasei ADP1、Streptococcus salivarius M18、K12、又はBLIS K12及びBLIS M18、Bacillus Amyloliquefaciens、Bacillus Clausii、Bacillus Coagulans、Bacillus Subtilis、Bacillus subtilis:E-300、Bifidobacterium Animalis、Bifidobacterium B6、Bifidobacterium Bifidum、Bifidobacterium Breve(Bb-03)、Bifidobacterium DN-173 010、Bifidobacterium GBI30 6068、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium Lactis、Bifidobacterium lactis Bb-12、Bifidobacterium Longum、Bifidobacterium Thermophilum、Enterococcus Faecalis、Enterococcus Faecium、Enterococcus Faecium NCIMB10415、Enterococcus LAB SF 68、Lactobacilli reuteri ATCC55730及びATCC PTA5289、Lactobacilli reuteri ATCC55730及びATCC PTA5289(10:1)、Lactobacillus Acidophilus、Lactobacillus acidophilus ATCC4356及びBifidobacterium bifidum ATCC29521、Lactobacillus acidophilus、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium lactis、Lactobacillus Brevis、Lactobacillus Casei(亜種、Casi)、Lactobacillus casei Shirota、Lactobacillus Confusus、Lactobacillus crispatus YIT12319、Lactobacillus Curvatus、Lactobacillus Delbrueckii Ssp.Bulgaricus PXN39、Lactobacillus Fermentum、Lactobacillus fermentum YIT12320、Lactobacillus Gasseri、Lactobacillus gasseri YIT12321、Lactobacillus Helveticus、Lactobacillus Johnsonii、Lactobacillus Kimchii、Lactobacillus Lactis L1A、Lactobacillus Paracasei(Lpc37)、Lactobacillus paracasei GMNL-33、Lactobacillus Pentosus、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus Plantarum、Lactobacillus Protectus、Lactobacillus Reuteri、Lactobacillus reuteri ATCC55730、Lactobacillus reuteri SD2112(ATCC55730)、Lactobacillus Rhamnosus(GG)、Lactobacillus rhamnosus GG、Lactobacillus rhamnosus GG、L.rhamnosus LC705、Propionibacterium freudenreichii ssp、shermanii JS、Lactobacillus rhamnosus L8020、Lactobacillus rhamnosus LB21、Lactobacillus Salivarius、Lactobacillus salivarius WB21、Lactobacillus Sporogenes、Lactococcus Lactis Ssp Diacetylactis、Lactococcus Lactis Ssp.Lactis、Pediococcus Acidilactici、Pediococcus Pentosaceus、Saccharomyces Boulardii、Saccharomyces Cerevisiae、Strep.uberis KJ2sm、Strep.oralis KJ3sm、trep.rattus JH145、Streptococcus mitis YIT12322、Streptococcus Oralis KJ3、Streptococcus Rattus JH145、Streptococcus Salivarius(BLIS K12、又はBLIS M18)、Streptococcus salivarius K12、Streptococcus Thermophilus、Streptococcus Uberis KJ2、Thermus thermophiles、Weissella cibaria CMS2、Weissella cibaria CMS3、及びWeissella cibaria CMU、から選択される、1つ以上のプロバイオティクスを含み得る。
【0080】
本発明の物品においてプロバイオティクスを使用することで、カリエス及び歯垢の減少、歯茎の健康の促進、衛生の向上、及びホワイトニングの促進などの、肯定的な口腔内の衛生効果を促進することができる。物品におけるプロバイオティクスの有効性は、例えば、次の1種以上:唾液のミュータンスレンサ球菌レベルの低下、歯肉溝液の減少、歯肉下の歯垢による歯周病(C.直筋、及びP.歯肉炎)の減少、酵母数の減少、口腔カンジダ有病率の減少、口腔の揮発性硫黄化合物(volatile sulfur compound、VSC)レベルの低減、並びにTNF-α及びIL-8の生成の低減、を測定することによって、決定することができる。理論によって制限されるものではないが、上記の1つ以上の肯定的な口腔衛生効果は、口腔内の特定の種類の細菌を除去する又は減少させる細菌毒素の生成を介して達成されてよい、と考えられており、更に、上記の1つ以上の肯定的な口腔衛生効果は、衛生問題をもたらし得る生物膜又は粘着性の堆積物の生成若しくは溶解/緩みを抑制する、1種以上の酵素の細菌生成を介して、達成されてよい。
【0081】
例えば、少なくとも1つの抗歯石剤が、本明細書に開示される物品において使用され得る。抗結石剤はまた、ポリホスフェート及びその塩、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)及びその塩、ポリオレフィンスルホネート及びその塩、ポリビニルホスホネート及びその塩、ポリオレフィンホスホネート及びその塩、ジホスホン酸及びその塩、ホスホノアルカンカルボン酸及びその塩、ポリホスホネート及びその塩、ポリビニルホスホネート及びその塩、ポリオレフィンホスホネート及びその塩、ポリペプチド、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができ、前述の塩は、通常、アルカリ金属塩である。例えば、ピロホスフェート、ポリホスフェート、ポリホスホネート及びこれらの混合物などの抗歯石剤もまた、例えば漂白剤が活性剤として使用される場合、固体の親水性口腔ケア活性剤に対して安定化効果を示し得る。
【0082】
抗歯石剤は、例えばポリホスフェートであり得る。ポリホスフェートは一般に、主に直鎖構造に配置された2つ以上のホスフェート分子を含むと理解されているが、いくつかの環状誘導体が存在する場合もある。直鎖ポリホスフェートは(X POに対応し、式中、nは約2~約125であり、好ましくは、nは4超であり、またXは、例えば、ナトリウム、カリウム等である。(X POに関して、nが少なくとも3である場合に、ポリホスフェートはガラス質の特性を有する。これらのホスフェートに関する対イオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、C~Cアルカノールアンモニウム及びその塩混合物であってもよい。ポリホスフェートは、一般に、カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、及びそれらの混合物などの、全体的に又は部分的に中和された水溶性アルカリ金属塩として用いられる。無機ポリホスフェート塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)トリポリホスフェート、テトラポリホスフェート、二酸ジアルキル金属(例えば、二ナトリウム)、一酸トリアルキル金属(例えば、三ナトリウム)、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム、及びアルカリ金属(例えば、ナトリウム)ヘキサメタホスフェート、及びそれらの混合物が挙げられる。テトラポリホスフェートよりも大きいポリホスフェートは、通常、商業的にSodaphos(n≒6)、Hexaphos(n≒13)、ガラスH(n≒21)、及びこれらの混合物と知られる、FMC Corporationにより製造されるようなものなどの、非晶質ガラス状材料として発生する。本発明の物品中のポリホスフェートの濃度は、好ましくは、物品の約1.5重量%~約10重量%、例えば約2重量%~約10重量%、より好ましくは約6重量%~約10重量%であり得る。
【0083】
本物品に有用であり得るピロリン酸塩としては、アルカリ金属ピロリン酸塩、ジ-、トリ-及びモノ-ピロリン酸カリウム又はピロリン酸ナトリウム、ジアルカリ金属ピロリン酸塩、テトラアルカリ金属ピロリン酸塩、及びそれらの混合物が挙げられる。例えば、ピロリン酸塩は、ピロリン酸三ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム(Na)、ピロリン酸二カリウム、ピロリン酸四ナトリウム(Na)、ピロリン酸四カリウム(K)、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよく、ピロリン酸四ナトリウムが好ましい。ピロリン酸四ナトリウムは、無水塩形態若しくは十水和物形態、又は本発明の物品中、固形形態で安定している任意の他の種であってもよい。本塩は固体粒子形態であり、これは、塩の粒径が、好ましくは、審美的に許容可能であり、かつ使用中速やかに可溶するのに十分に小さい結晶状態及び/又は非晶質状態であってもよい。本発明の物品中のピロリン酸塩の濃度は、物品の約1.5重量%~約10重量%、例えば約2重量%~約10重量%、より好ましくは約3重量%~約8重量%であり得る。限定されないが、ポリホスフェート及びピロホスフェートを含むホスフェート源は、Kirk & Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Fourth Edition,Volume 18,Wiley-Interscience Publishers(1996)685~707頁により詳細に記載されている。
【0084】
ポリオレフィンホスホネートとしては、オレフィン基が2個以上の炭素原子を含有するものが挙げられる。ポリビニルホスホネートとしては、ポリビニルホスホン酸が挙げられる。ジホスホネート及びその塩としては、アゾシクロアルカン-2,2-ジホスホン酸及びその塩、アゾシクロアルカン-2,2-ジホスホン酸及びその塩のイオン(アルカン部分が、5、6、又は7個の炭素原子を有し、窒素原子が非置換であるか、又は、低級アルキル置換基、例えばメチルを送達するようなものなど)、アザシクロヘキサン-2,2-ジホスホン酸、アザシクロペンタン-2,2-ジホスホン酸、N-メチル-アザシクロペンタン-2,3-ジホスホン酸、EHDP(ヒドロキシエタン-1,1、-ジホスホン酸)、AHP(アザシクロヘプタン-2,2-ジホスホン酸、a.k.a.1-アザシクロヘプチリデン-2,2-ジホスホン酸)、エタン-1-アミノ-1,1-ジホスホネート、ジクロロメタンジホスホネートなどが挙げられる。ホスホノアルカンカルボン酸、又はそのアルカリ金属塩としては、それぞれが酸、又はアルカリ金属塩である、PPTA(ホスホノプロパントリカルボン酸)、PBTA(ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸)が挙げられる。
【0085】
抗菌抗歯垢剤は、本発明の適切な口腔ケア活性剤として使用することができ、そのような薬剤としては、限定されないが、トリクロサン、フムロン、アドフムロン、コフムロン、ポストフムロン(posthumulone)、プレフムロン(prehumulon)、及びそれらの組み合わせを含むホップアルファ酸、又はルプロン、アドルプロン、コルプロン、及びそれらの組み合わせを含むホップベータ酸などのホップ抽出物からのホップ酸、米国特許第3,506,720号及び欧州特許出願第0,251,591号のThe Merck Index,11th ed.(1989),pp.1529(entry no.9573)に記載の5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-フェノール、クロルヘキシジン(メルクインデックス、2090号)、アレキシジン(メルクインデックス、222号)、ヘキセチジン(Merck Index、4624号)、サンギナリン(Merck Index、8320号)、塩化ベンザルコニウム(Merck Index、1066号)、サリチルアニリド(Merck Index、8299号)、臭化ドミフェン(Merck Index、3411号)、塩化セチルピリジニウム(cetylpyridinium chloride、CPC)(Merck Index、2024号)、塩化テトラデシルピリジニウム(tetradecylpyridinium chloride、TPC)、N-テトラデシル-4-エチルピリジニウム塩化物(N-tetradecyl-4-ethylpyridinium chloride、TDEPC)、オクテニジン、デルモピノール、オクタピノール、及び他のピペリジノ誘導体;ココミジルプロピルベタイン、ココミジルグルタミン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、GTF阻害剤、ポビドンヨウ素デルモピノール、プロポリス、フタル酸及びその塩、モノパーサル酸並びにその塩及びエステル、ステアリン酸アスコルビル、オレイルサイコシン、アルキル硫酸塩が挙げられ得るが、これらに限定されない。物品は、抗菌有効量の精油、ハーブ抽出物、及びこれらの組み合わせ、例えば、シトラル、ゲラニアール、ローズマリー抽出物、茶抽出物、モクレン抽出物、ユーカリプトールゲラニオール、カルバクロール、シトラル、ヒノキチオール、カテコール、メチルサリシレート、エピガロカテキンガレート、エピガロカテキン、没食子酸、ミスワク抽出物、シーバックソーン抽出物、並びにメントール、ユーカリプトール、チモール、及びメチルサリシレートの組み合わせ;抗菌性金属及びその塩;例えば、亜鉛イオン、錫イオン、銅イオン、及び/又はこれらの混合物を提供するようなもの;ビスビグアニド、又はフェノール、オーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、及びメトロニダゾルなどの抗生物質、並びに上記の抗菌抗歯垢剤並びに/又は鵞口瘡カンジダ処置のためのようなものなどの抗真菌剤の類縁体及びその塩を含み得る。存在する場合、これらの活性剤は、概して、安全かつ有効な量、例えば本発明の物品の約0.1重量%~約5重量%で存在する。
【0086】
別の態様では、抗カリエス剤は、本発明の物品に好適な口腔ケア活性剤であり得る。抗カリエス剤は、フッ化物、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化チタン、フッ化水素酸、アミンフッ化物、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、グルコン酸第一スズ、銅塩、塩化銅、グリシン酸銅、塩化亜鉛、乳酸亜鉛、クエン酸亜鉛、リン酸亜鉛、ヨウ化ナトリウム(ssodium iodide)、ヨウ化カリウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、非晶質リン酸カルシウム、結晶質リン酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、シュウ酸、シュウ酸二カリウム、モノナトリウムモノカリウムオキサレート、カゼインホスホペプチド、カゼインホスホペプチド被覆ヒドロキシアパタイト、米国特許第5,735,942号に開示されているもののようなSiO、CaO、NaO、P、CaF、B、KO、MgOのうちの1つ以上を含有するバイオガラスからなる群から選択することができる。存在する場合、本物品は、本明細書に開示される物品中に約50ppm~10,000ppm、好ましくは約100~3000ppmのフッ化物イオンを提供する。
【0087】
ミネラルなどの栄養素は、歯及び歯の表面を改善する可能性があり、したがって、本明細書に開示される物品と共に適切な口腔ケア活性剤として使用することができる。好適なミネラルは、例えば、カルシウム、リン、フッ化物、亜鉛、マンガン、カリウム、及びこれらの混合物である。これらのミネラルは、例えば、Drug Facts and Comparisons(loose leaf drug information service),Wolters Kluer Company(St.Louis,Mo.)、(著作権)1997,pp10-17に開示されている。
【0088】
漂白剤
固体親水性粒子は、口腔ケア活性剤として漂白剤を含んでもよく、好ましくは、過酸化水素の付加体若しくは複合体、又は過酸化水素の前駆体として過酸化水素を送達してもよい。親水性漂白剤粒子の例としては、歯の色を変える、又は増白する、漂白効果、染み漂白効果、染み除去効果、染みの色を変える効果、若しくは任意のその他の効果を提供する薬剤が挙げられる。例えば、親水性漂白剤粒子は、過酸化物ラジカルの供給源を含む。親水性漂白剤粒子は、過酸化物、金属塩化物、過炭酸塩、ペルオキシ酸、過硫酸塩、その場で前述の化合物を形成する化合物、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。過酸化物化合物の例としては、過酸化尿素(過酸化カルバミド又は尿素過酸化水素付加物としても知られる)、及びこれらの混合物を挙げることができる。金属塩化物の例としては、塩化カルシウム、亜塩素酸バリウム、塩化マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、及びこれらの混合物を挙げることができる。親水性漂白剤粒子の例としては、次亜塩素酸塩(金属次亜塩素酸塩など)を挙げることができる。過硫酸塩の例としては、ペルオキシ一硫酸の塩、ペルオキシジサルフェート、及びこれらの混合物が挙げられ得る。過硫酸塩及び次亜塩素酸塩の例としては、ナトリウム、カルシウム、カリウム、及び他の金属の対応する塩が挙げられる。好ましい固体親水性漂白剤粒子の例としては、過酸化水素とポリビニルピロリドン(PVP)ポリマー(ペルオキシドンとしても知られている)との複合体、過酸化尿素、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されず、過酸化水素とポリビニルピロリドン(PVP)ポリマーとの複合体が最も好ましい。
【0089】
したがって、本明細書に開示される物品は、固体親水性粒子中に存在する過酸化水素などの活性剤の重量パーセント濃度の、物品全体中に存在する口腔ケア活性剤の重量パーセント濃度に対する高い比をもたらす。これは、固体親水性粒子に含まれる活性剤の重量パーセント濃度が高いことと、成形品全体に含まれる活性剤の重量パーセント濃度が比較的低いこととが相まってもたらされる。理論に束縛されるものではないが、過酸化水素を含む本発明の態様では、見かけ上矛盾したパラメータの驚くべき組み合わせは、たとえ、歯の表面に送達された過酸化水素の全体の濃度又は量が低い場合であっても、高推進力を伴い、過酸化水素を歯の表面に送達する。結果として、高い推進力が、驚くほど高いレベルの漂白有効性及び/又は漂白速度を送達し、一方で、歯の表面に送達される低い総濃度又は低量の漂白剤は、歯の知覚過敏を低減させるのに役立ち得る。例えば、固体親水性粒子中に存在する口腔ケア活性剤の重量パーセント濃度の、物品全体中に存在する口腔ケア活性剤の重量パーセント濃度に対する比は、約2~約50000、好ましくは約3~約10000、最も好ましくは約5~約1000であり得る。
【0090】
本発明の口腔ケア活性剤は、水不溶性送達キャリアの保護効果により、分解に対して安定化され得る。口腔ケア活性剤のための更なる安定化剤は、本明細書に開示されるように物品中に存在され得る。口腔ケア活性剤、例えば漂白剤は、物品による分解に対して更に安定化され得る。したがって、安定化剤を本発明の物品へと添加してもよい。好適な安定化剤は、例えば、オルト-リン酸、リン酸水素ナトリウムなどのホスフェート、ピロホスフェート、オルガノホスホネート、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン-N,N’-二酢酸、エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸、スズ酸カリウム、スズ酸ナトリウム、第一スズ塩、亜鉛塩、サリチル酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、及びそれらの組み合わせである。例えば、本明細書に開示されているようなリン酸塩、好ましくはピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸、PO(PO2)PO3(式中、n=2~30)の塩、リン酸、ガントレッズ(gantrez)、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、塩化亜鉛、リン酸亜鉛、酸化亜鉛を含む亜鉛塩、デキストラナーゼ(dextransess)、キシラナーゼ、プロテアーゼなどの酵素、ビスホスホネートなどのホスホネート、EDTA、カルシウムナトリウムEDTA、クエン酸塩、クエン酸、シュウ酸、シュウ酸塩などのキレート剤、ポリマー(米国特許出願第16/216,329号に開示されているものなど)、PVP、ポリアクリル酸(カーボポール)、ポリアクリレート、第一スズ塩、第二スズ塩によって生じる、歯石防止効果など、追加の口腔ケア効果を示す安定化剤が使用され得る。安定化剤は、物品の約0.0000001重量%、0.000001重量%、又は0.00001重量%~約0.00001重量%、0.0001重量%、又は0.01重量%の量で、本発明の物品中に存在し得る。例えば、安定化剤は、固体親水性粒子の約0.0001重量%、又は0.01重量%~約0.01重量%、0.1重量%、又は約1重量%の量で、本発明の物品中に存在し得る。
【0091】
安定化剤はまた、キレート剤を含み得る。キレート剤は、銅、鉄及び/又はマンガンキレート剤、又はそれらの混合物であり得る。好適なキレート剤は、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチルホスホン酸)、エチレンジアミン-N’N’-二コハク酸、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエタンジ(メチレンホスホン酸)、及びそれらの任意の組み合わせから選択され得る。好適なキレート剤は、エチレンジアミン-N’N’-二コハク酸(ethylene diamine-N’N’-disuccinic acid、EDDS)、ヒドロキシエタンジホスホン酸(hydroxyethane diphosphonic acid、HEDP)、又はそれらの混合物から選択され得る。安定化剤は、エチレンジアミン-N’N’-二コハク酸、又はその塩を含み得る。エチレンジアミン-N’N’-二コハク酸は、S,Sエナンチオマー形態であり得る。安定剤は、4,5-ジヒドロキシ-m-ベンゼンジスルホン酸二ナトリウム塩、グルタミン酸-N,N-二酢酸(glutamic acid-N,N-diacetic acid、GLDA)及び/又はその塩、2-ヒドロキシピリジン-1-オキシド、Trilon P(商標)(BASF(Ludwigshafen,Germany)から入手可能)を含み得る。適切なキレート化剤は、1-ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)、N,N-ジカルボキシメチル-2-アミノペンタン-1,5-二酸、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸、及びその塩、並びにそれらの任意の組み合わせなどの、炭酸カルシウム結晶成長阻害剤でもあり得る。安定剤は、ヒドロキサム酸又は対応する塩、例えばココヒドロキサム酸(Axis House RK 853)などのヒドロキサメートキレート剤を含み得る。
【0092】
本明細書に開示される物品は、任意の追加成分を含み得る。例えば、水不溶性送達キャリアの第2の側、例えば向こう側から放出されることを意図した、更なる任意成分が物品中に存在し得る。例えば冷却剤、減感剤、麻酔剤及び/又は味覚性改善剤及び/又は審美性改善剤、例えば着香剤などを、本発明の物品において任意成分として、例えば物品の約0.001重量%~約10重量%、好ましくは約0.1重量%~約1重量%の濃度で使用することができる。冷却剤、減感剤、及び麻酔剤は、漂白剤などの活性剤によって引き起こされる刺痛、灼熱痛などの、潜在的な負の知覚を減少させ得る。カルボキサミド、メントール、ケタール、ジオール、及びこれらの混合物を含むがこれらに限定されない多種多様な材料を冷却剤として使用することができる。本物品中の任意の冷却剤は、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド(「WS-3」として知られている)、N,2,3-トリメチル-2-イソプロピルブタナミド(「WS-23」として知られている)、メントール、3-1-メントキシプロパン-1,2-ジオール(「TK-10」として知られている)、メントングリセロールアセタール(MGAとして知られている)、メンチルラクテート(フレスコラート(登録商標)として知られている)、及びそれらの混合物などの、パラメンタンカルボキシアミド剤であり得る。本明細書で使用する場合、用語メントール及び用語メンチルは、これらの化合物の右旋性及び左旋性の異性体、並びにこれらのラセミ混合物を含む。減感剤又は抗痛剤としては、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ゴールナット、アサルム、クベビン、ガランガ根、黄岑、リアングミアンゼン、白しなどの天然ハーブを挙げることができるが、これらに限定されない。好適な麻酔剤としては、ベンゾカイン、リドカイン、クローブの芽の油、及びエタノールが挙げられる。
【0093】
好適な着香剤としては、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、クローブバッド油、メントール、アネトール、メチルサリチレート、ユーカリプトール、1-メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、パセリ油、オキサノン、α-イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、桂皮、バニリン、チモール、リナロオール、ケイ皮アルデヒドグリセロールアセタール(CGAとして知られている)、及びそれらの混合物が挙げられる。着香剤が存在する場合、概ね物品の約0.01重量%~約10重量%、例えば約1重量%~約5重量%、より好ましくは約1.5重量%~約2重量%の濃度で使用される。
【0094】
本発明の物品は、任意選択で、スクラロース、スクロース、グルコース、サッカリン、デキストロース、レブロース、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、フルクトース、マルトース、キシリトール、サッカリン塩類、タウマチン、アスパルテーム、D-トリプトファン、ジヒドロカルコン類、アセスルファム塩類及びシクラメート塩類、特にシクラミン酸ナトリウム及びサッカリンナトリウム、並びにそれらの混合物を含む、甘味剤を含み得る。存在する場合、物品は、物品の約0.1重量%~約10重量%、例えば約0.1重量%~約1重量%のこれらの薬剤を含有する。
【0095】
本発明の物品には、任意選択で、染料、顔料、着色剤、及びそれらの混合物が含まれて、物品に色の付いた外観を与え得る。顔料及び/又は着色剤を、本明細書の物品へと添加することの利点は、着色された物品により適用範囲が容易に確認できる故に、使用者の歯を均等かつ完全に覆っているかどうかを使用者が確認することを可能にする、ということである。着色剤は、漂白された歯の色と同様の色を提供し得る。本明細書で有用な着色剤は活性剤と安定であり、かつこれらは安全であると認識されている。本明細書で任意に使用される染料、顔料及び着色剤の濃度は、物品の約0.001重量%~約15重量%、例えば約0.01重量%~約10重量%、より好ましくは約0.1重量%~約5重量%の範囲である。
【0096】
一態様では、通常は互いに相容れない2つ以上の口腔ケア活性剤を、本発明の同じ物品に別々に組み合わせることができる。したがって、固体水不溶性送達キャリアは、このような相容れない活性剤の分離を維持することができる。例えば、本発明は、物品の漂白有効性を更に改善する追加の口腔ケア活性剤と組み合わせた活性剤として親水性漂白剤を含み得る。例としては、水と接触させたときにpHを増加させる駆動力を提供し得る、追加の口腔ケア活性物質と組み合わせた漂白剤が挙げられる。具体的には、例としては、固体水不溶性送達キャリア中の重炭酸ナトリウム(重曹)と別個に組み合わされた過酸化物を含む固体親水性粒子が挙げられる。接触している場合、過酸化物及び重曹は互いに対して反応性であり、本発明の固体水不溶性送達キャリアに別々に添加された場合、使用するまで互いに分離して維持することができる。理論に束縛されることを望まないが、通常は互いに不適合である2つ以上の親水性口腔ケア活性剤の粒子が、水不溶性送達キャリア中で互いに実質的に分離された状態に保たれ、この分離はミクロのスケールであっても不適合を最小化又は排除することができると仮定している。更に、親水性口腔ケア剤の1つの粒子が、例えば口腔内での使用時に水分と接触すると、粒子の構成成分が少なくとも部分的に溶解又は膨潤し、他の口腔ケア剤の粒子の構成成分と直接接触し得るものと仮定される。しかしながら、これは、主に口腔内での使用時に起こり得、使用前に物品中で起こることは最小限であるか、全く起こらない。したがって、本発明の物品は、通常は互いに不適合である2つ以上の口腔ケア活性剤を含んでもよい。
【0097】
口腔ケア活性剤が本発明の固体親水性粒子に組み込まれることが望ましいが、口腔ケア活性剤は、典型的には、比較的低い水溶解度(例えば、約20重量部未満、好ましくは約15重量部未満の固体粒子が約100重量部の水に溶解する)を有する固体粒子として提供され、このような口腔ケア活性剤は、好適な溶媒(例えば、水、グリセリンなど)に可溶化され、次いで、固体親水性粒子(例えば、PVP固体親水性粒子)に組み込まれ、次いで、口腔ケア活性剤を含む得られた固体親水性粒子が本発明の口腔ケア物品に組み込まれ得る。
【0098】
口腔ケア活性剤が本発明の固体親水性粒子に組み込まれることが望ましいが、口腔ケア活性剤は典型的には液体材料として提供され、このような口腔ケア活性剤を固体親水性粒子(例えば、PVP固体親水性粒子)に組み込むことができ、次いで、口腔ケア活性剤を含む得られた固体親水性粒子を本発明の口腔ケア物品に組み込むことができる。
【0099】
識別表示
本発明の口腔ケア物品は、物品の使用者が物品の正しい側を使用者の歯に適用するのを助けるための識別表示を更に含み得る。使用者は、好ましくは、(本明細書に記載されるような)物品の第1の表面を使用者の歯に適用し、一方、第2の表面は使用者の歯から離れる方向に向く。識別表示は、単語、ロゴ、商標、商品名などの形態であり、口腔ケア物品自体の表面上又は口腔ケア物品の包装上に印刷又はエンボス加工することができる。識別表示はまた、物品の第1の表面を物品の第2の表面とは異なる色に着色することを含み得る。したがって、一態様では、口腔ケア物品は、物品の第1の表面を物品の第2の表面から区別する、好ましくは視覚的に区別するための識別表示を更に含む。
【0100】
漂白有効性
例えば、漂白剤が口腔ケア活性剤として使用される場合、本明細書に開示される臨床プロトコルに従って測定され、-Δbとして計算される本発明の物品の漂白有効性は、少なくとも約0.25、好ましくは少なくとも約0.5、より好ましくは少なくとも約1.0、更により好ましくは少なくとも約1.5、更により好ましくは少なくとも約2、更により好ましくは少なくとも約2.5、更により好ましくは少なくとも約3、更により好ましくは少なくとも約3.5、及び更により好ましくは少なくとも約4であり得る。一般に、本明細書にて開示されるように臨床プロトコルに従って測定され、-Δbとして算出される少なくとも0.25の黄色度の変化は、注目すべきものである。
【0101】
漂白剤が活性剤として使用される場合、例えば、本発明は、本明細書にて開示される臨床プロトコルに従って測定され、物品全体中に存在する漂白剤の重量パーセントに対して-Δbとして算出される、漂白有効性の著しく高い比率をもたらし得る。例えば、物品の3重量%の漂白剤を含有する物品を有する1.5の-Δbは、本明細書にて開示されるような臨床プロトコルに従って測定され、かつ0.5の物品全体中に存在する漂白剤の重量パーセントに対して-Δbとして算出される、漂白有効性の比率をもたらし得ることが見出されてきた。漂白剤が活性剤として使用される場合、例えば、物品全体中に存在する活性剤の重量パーセントに対する本発明の漂白有効性(本明細書にて開示される臨床プロトコルに従って測定され、-Δbとして算出される)の比率は、少なくとも約2.5、好ましくは少なくとも約5、より好ましくは少なくとも約10、更により好ましくは少なくとも約15であってよい。
【0102】
漂白剤が活性剤として使用される場合、例えば、本発明は、1)本物品に起因する可能性があったか又はおそらく起因した口腔刺激を報告した、若しくはそのような口腔刺激を有すると観察された参加者の分率に対する本発明の漂白有効性(本明細書にて開示されるように臨床プロトコルに従って測定され、-Δbとして算出される)の驚くほど高い比率、2)本明細書に開示される臨床プロトコルに従って測定され、本物品に起因する可能性があったか又はおそらく起因した歯の知覚過敏を報告した参加者の分率に対して-Δbとして算出される、著しく高い漂白有効性の比率をもたらす、又は3)本明細書に開示される臨床プロトコルに従って測定され、歯の知覚過敏を報告した、又は口腔刺激を報告した、又は本物品に起因する可能性があったか又はおそらく起因した口腔刺激が観察された参加者の分率に対して-Δbとして算出される、著しく高い漂白有効性の比率をもたらす。
【0103】
漂白剤が活性剤として使用される場合、例えば、本明細書に開示される臨床プロトコルに従って測定され、-Δbとして計算される本発明の漂白有効性の、本発明に起因する可能性があるか又はおそらく起因する、歯の過敏症、口腔刺激若しくはその両方を報告する参加者、又は歯の過敏症、口腔刺激若しくはその両方を有することが観察される参加者の割合に対する比は、少なくとも少なくとも約6、より好ましくは少なくとも約8、より好ましくは少なくとも約10、より好ましくは少なくとも約15、より好ましくは少なくとも約20、より好ましくは少なくとも約25、更により好ましくは少なくとも約50であり得る。
【0104】
臨床プロトコル
以下の臨床プロトコルを使用して、活性剤として漂白剤を含む口腔用組成物の漂白有効性を測定する。約1%未満の漂白剤を有する口腔用組成物を試験する場合、臨床実験を完了させるために、処置グループ当たり17~25人の参加者を必要とし、また少なくとも約1%の漂白剤を有する口腔用組成物を試験する場合、8~25人の参加者を必要とする。必要とされる参加者は、全ての測定可能な面部位を有する、4つの天然の上顎部門歯を有していなければならない。参加者のグループの平均ベースラインLは、71~76でなければならず、また、参加者のグループの平均ベースラインbは、13~18でなければならない。加えて、上顎前歯の不正咬合、テトラサイクリン、フッ素沈着、若しくは低石灰化により引き起こされる重篤又は異型の内因性着色、上顎前歯の顔側表面上の歯冠又は再建のある参加者、メラノーマの病歴を自身で報告している参加者、現在喫煙又はタバコの使用がある参加者、軽度の刺激感応性又は色素沈着皮膚疾患を有する参加者、歯の刺激敏感性を自身で報告している参加者、又は以前に専門の処置を用いて、薬局窓口での処方箋なしのキット若しくは治験製品により歯のホワイトニングを行ったことのある参加者は、本試験から除外される。参加者は、Crest Cavity Protectionの練り歯磨き及びOral-B Indicatorの軟性手動式歯ブラシ(両方とも、Proctor & Gamble(Cincinnati,OH,USA)からのもの)を提供されて、慣習的な様式にて、日に2回、使用する。
【0105】
参加者は歯ブラシ(Team Technolosies,Ind.(Morristown,TN,USA)からの「Anchor 41房束白色歯ブラシ」)を使用して、口腔用組成物で処置される前に、水を使用して30秒間自分の歯を磨く。各参加者の上顎前歯を口腔用組成物で1日1回60分間処置する。評価される口腔用組成物が半固体ゲルである場合、上顎前歯に適用する前に、0.6g~0.8gの口腔用組成物を、66mm×15mmのサイズ及び約0.01mm~約0.02mmの厚さの透明な可撓性ポリエチレンのフィルムにわたって適用する。評価される口腔用組成物が固体物品である場合、物品は上顎前歯に直接適用される。
【0106】
口腔用組成物を電磁放射線と共に使用した場合、
1)口腔用組成物による処置の50分後に、電磁放射線を、上顎前歯の前面に向かって10分間適用し、
2)電磁放射線を、口腔用組成物を通して上顎前歯に向け、
3)水不溶性送達キャリアは、少なくとも約90%の、400nm~500nmの電磁放射線を透過させることができる必要があり、かつ
4)図8にて示すように、455nmのピーク強度波長を有する4つの高電力LED(Thorlabs(Newton,NJ,USA)からの、モデル番号M455F1)に接続した4本の光ファイバーケーブル(Thorlabs(Newton,NJ,USA)からの、モデル番号M71L01)を介して、電磁放射線を送達する。4つのLEDは、1000mAにて作動し、それぞれLEDドライバ及びハブ(Thorlabs(Newton,NJ,USA)からの、モデル番号DC4104及びDC4100-ハブ)を使用している。4本の光ファイバーケーブルの出口端部は、透明なマウスピースの後方に取り付けられて、水不溶性送達キャリアの外面に対して電磁放射線を再現可能に位置付けるのに役立つ。4本の光ファイバーケーブルの出口端部は、マウスピースの出口表面から約7mm離れており、電磁放射線が透明のマウスピースを通過する。マウスピースの咬合棚部は、電磁放射線が上顎前歯に向かって通過する透明の窓部が7.4mmの高さとなるようにオフセットされている。また、電磁放射線が上顎前歯に向かって通過する透明な窓部は、端から端(湾曲を含まない)まで直線的に測定して、40mmの長さである。光ファイバーケーブルの出口端部は、光ファイバーケーブルから出る電磁放射線の円錐体が、図8で示すように、電磁放射線が上顎前歯に向かって通過する透明な窓部内で中央となるように、位置付けられかつ角度付けられている。また、4本の光ファイバーケーブルの出口端部は、電磁放射線の円錐体が、図8で示すように、電磁放射線が上顎前歯に向かって通過する透明な窓部の長さに対して離間配置されるように、離間配置される。電磁放射線が上顎前歯に向かって通過する、透明な窓部の出口表面において出る電磁放射線の各円錐体の中央軸線において測定された、445nm~465nmの電磁放射線の強度は、本明細書で開示した方法により測定された際に、約175mW/cm~約225mW/cmとなる必要がある。
【0107】
口腔用組成物による60分間の処置が完了したら、半固体ゲルの場合はポリエチレンフィルムを除去し、固体物品の場合は物品を取り外す。この処置は、1%未満の漂白剤を有する口腔用組成物に関して最小7日間、また少なくとも約1%の漂白剤を有する口腔用組成物に関して最小3日間、日に1回適用される。
【0108】
約1%未満の漂白剤を含む口腔用組成物については7回目の処置の翌日、及び少なくとも約1%以上の漂白剤を含む口腔用組成物については3回目の処置の翌日に、口腔用組成物による処置後による歯の色の変化を、下記の手順を使用して測定する。
【0109】
偏光フィルタを装着したレンズを有するデジタルカメラ(アダプタ付きNIKON55mmマイクロNIKKORレンズ搭載、Canon Inc.,(Melville,NY)からの、カメラモデル番号CANON EOS 70D)を使用して、歯の色を測定する。ライト系は、(ガラスレンズを通して光が外部へと出る、そのガラスレンズのうち1つの外側円形表面の中央から測定して)約30cm離れて配置された、150ワット、24V電球モデル番号(Xenophotモデル番号HL X64640)を装着し、45度にて照準される、Dedoライト(モデル番号DLH2)により提供され、これにより、光路が、カメラの焦点面の前面において、約36cmの頤レストの垂直平面で交差する。各ライトは、偏光フィルタ(Lee 201フィルタ)、及び遮断フィルタ(Rosco(Stamford,CT,USA)からの、Rosco 7 mil、Thermashieldフィルタ)を有する。
【0110】
光路の交差点において、光照射野における再現可能な再位置決めのための、固定された頤レストが取り付けられる。カメラは2つのライトの間に位置付けられ、これにより、その焦点面が、頤レストの垂直面から約36cmとなる。歯の色の測定を開始することに先立って、色基準を撮影して較正設定点を確立する。最初に、マンセルN8グレー基準を撮影する。グレーのRGB値が200となるように、カメラの白バランスを調節する。色基準が撮影されて、色チップの標準RGB値を得る。色基準及びグレー基準(Munsell Color、X-riteの部門(Grand Rapids,MI,USA)から)を、以下に列挙する。各色基準を、マンセル命名法にて標識した。色基準の格子を作成するために、それらを次の様式にて配置させることができる。これにより、複数の色基準を、色基準の格子により撮影された単一の画像に含めることが可能になる。
【0111】
【表2】
【0112】
【表3】
【0113】
【表4】
【0114】
ベースラインの歯の色に関して、参加者は、歯ブラシ(Team Technologies,Inc.(Morristown,TN,USA)からの「Anchor 41剛毛白歯ブラシ」)を使用して、水により自分の歯を磨いて、自分の歯から食物の破片を取り除く。次いで、各参加者は、(Washington Scientific Camera Company(Sumner,WA,USA)からの、A&B Deburring Company(Cincinnati,OH,USA)の艶消しマット仕上げで処理された)口角鉤を使用して頬を引き広げ、参加者の歯の顔側表面を照射する。各参加者は、上顎部門歯の切歯端が下顎部門歯の切歯端に接触するように、自分の歯を噛み合わせるように指示される。参加者は、次いで、カメラ視野の中央において、光路の交差点にて、頤レスト上に位置付けられて、歯の画像が捉えられる。全ての参加者が撮像された後、画像解析ソフトウェア(Media Cybernetics,Inc.(Silver Spring,MD)により製造されたOptimas)を使用して画像が処理される。中央の4つの門歯が隔離されて、歯の平均RGB値が抽出される。
【0115】
参加者がホワイトニング製品を使用した後であるが、参加者の歯の画像を捉えることに先立って、システムをベースライン構成に設定して、前述したように較正する。較正後、各参加者は、以前、参加者が同一の物理的位置にいることを確実にしたように、歯の配向を含む事前処理画像として、同一の手順を使用して第2回目の撮像をされる。画像解析ソフトウェアを用いて画像を処理して、中央の4つの上顎切開体の平均RGB値を得る。全ての画像のRGB値は、次いで、RGB値及び色標準における色チップのL値を使用して、CIE L色空間内へとマッピングされる。色標準における色チップのL値は、Photo Research Inc.(LA)からのPhoto ResearchSpectraScan PR650を使用して、前面歯列のデジタル画像を捕獲するために記載された同一の照明条件を使用して測定される。PR650は、カメラとして、色標準格子からの同一の距離に位置付けられる。各先端部は、製造者取扱説明書による較正後に、Lに関して、個別に測定される。次いで、回帰方程式を使用して、以下のように、RGB値がL値へと変換される。
=25.16+12.02(R/100)+11.75(G/100)-2.75(B/100)+1.95(G/100)
=-2.65+59.22(R/100)-50.52(G/100)+0.20(B/100)-29.87(R/100)
+20.73(G/100)+8.14(R/100)-9.17(G/100)+3.64[(B/100)[R/100]
=-0.70+37.04(R/100)+12.65(G/100)-53.81(B/100)-18.14(R/100)
+23.16(G/100)(B/100)+4.70(R/100)-6.45(B/100)
、a、及びbのためのRは、>0.95でなければならない。各研究は、その独自の方程式を有するべきである。
【0116】
これらの方程式は、一般に、歯の色領域(60<L<95、0<a<14、6<b<25)における有効な変換である。各参加者の画像セットからのデータは、次いで、ホワイトニング製品の効果の評価に使用されるL、a、及びb、-aの標準法における変化の観点から、ホワイトニングの性能を評価するために使用される。約1%未満の漂白剤を有する口腔用組成物の評価の場合は、Lにおける変化は、ΔL=L 7回の処置翌日-L ベースラインとして定義され、正の変化は明るさにおける改善を示し、aにおける変化(赤-緑のバランス)は、Δa=a 7回の処置翌日-a ベースラインとして定義され、負の変化は赤味がより少ない歯を示し、bにおける変化(黄-青のバランス)は、Δb=b 7回の処置翌日-b ベースラインとして定義され、負の変化は、歯の黄色味がより少なくなっていることを示す。少なくとも約1%以上の漂白剤を有する口腔用組成物の評価の場合は、Lにおける変化は、ΔL=L 3回の処置後-L ベースラインとして定義され、正の変化は明るさにおける向上を示し、aにおける変化(赤-緑のバランス)は、Δa=a 3回の処置後-a ベースラインとして定義され、負の変化は赤味がより少ない歯を示し、bにおける変化(黄-青のバランス)は、Δb=b 3回の処置後-b*ベースラインとして定義され、負の変化は、歯の黄色味がより少なくなっていることを示す。-Δbは、漂白有効性の主要な測定値として使用される。全体の色の変化は、方程式ΔE=(ΔL*2+Δa*2+Δb*21/2により計算される。
【0117】
ホワイトニング製品を使用した後、CIEラボ色空間における色の変化を、所与の方程式に基づいて、各参加者に関して計算することができる。
【0118】
本発明の物品の調製
本発明は更に、口腔ケア物品の製造方法であって、(i)第1の表面を形成する長さ及び幅を有し、第1の表面から第2の表面まで延びる厚さを有し、好ましくは平均厚さが約3mm未満である、ストリップの形態の固体水不溶性送達キャリアを準備する工程と、(ii)口腔ケア活性剤を含む固体親水性粒子を固体水不溶性送達キャリアの第1の表面に、好ましくは固体水不溶性送達キャリア及び固体親水性粒子の総重量に対して約0.01%~約15%の濃度で、適用する工程と、(iii)固体親水性粒子を固体水不溶性送達キャリアの第1の表面に押し込み、好ましくは押し込むことによって固体親水性粒子を固体水不溶性送達キャリアに埋め込む工程と、を含む、方法に関する。
【0119】
一態様では、粒子は、少なくとも約50ポンド/平方インチ(PSI)、好ましくは少なくとも約500PSI、好ましくは少なくとも約5000PSI、最も好ましくは少なくとも約50,000PSIの圧力下で固体水不溶性送達キャリアの第1の表面に押し込まれる。
【0120】
一態様では、固体親水性粒子は、固体水不溶性送達キャリアの第1の表面にのみ適用される(すなわち、固体親水性粒子は、固体水不溶性送達キャリアの第2の表面には適用されない)。
【0121】
鋳造ワックス透明シート24ゲージ(Freeman Manufacturing Company,Ohio,USAによって供給される参照番号114009)などの市場に存在する材料を、本発明の水不溶性送達キャリアとして使用することができる。
【0122】
固体親水性粒子は、例えば、以下の任意の適切な手順によって水不溶性送達キャリア中に押し込む又は埋め込むことができる:
1.固体親水性粒子を、水不溶性送達キャリア上にふるい分けするか、又は堆積し、特定の圧力で特定の時間、例えば、625PSIで60秒間、油圧プレスでプレスして、固体親水性粒子を水不溶性送達キャリアに埋め込むことができる。次に、材料を適切な形状、例えばストリップに切断することができる。
2.固体親水性粒子を、水不溶性送達キャリア上にふるい分け又は堆積し、特定の圧力又は間隙でニップローラーを介してプレスし、固体親水性粒子を水不溶性送達キャリアに埋め込むことができる。
3.感光体ドラム(例えば、コロナワイヤ及びレーザーと組み合わせて)を使用して、固体親水性粒子を所望の量で引き付ける選択的表面電荷を得ることができる。次いで、感光体ドラムを使用して、水不溶性送達キャリア上に固体親水性粒子を堆積させ、次いで、ニップローラー間を通過させて固体親水性粒子を水不溶性送達キャリアに埋め込むことができる。
4.水不溶性送達キャリアの表面を、(例えば、熱気流を介して)少なくとも部分的に溶融してもよく、直後に、固体親水性粒子を、当該部分的に溶融した表面上にふるい分けするか、又は堆積することができる。次に、水不溶性送達キャリアを(例えば周囲空気への曝露によって)冷却して、当該溶融した水不溶性送達キャリアを固体親水性粒子の少なくとも一部の周りで再凝固して、水不溶性送達キャリア中に埋め込むようにすることができる。
【0123】
本発明は更に、口腔ケア物品の製造方法に関するものであり、固体親水性粒子を、例えば、以下の任意の適切な手順によって水不溶性送達キャリア内に配置することができる:
1.水不溶性送達キャリアの材料を、少なくとも部分的に溶融又は軟化することもでき、固体親水性粒子を、混合又は混練によって、当該部分的に溶融又は軟化した材料内に組み込むことができる。次に、材料を冷却又は固化させ、適切な形態、例えばストリップに成形することができる。
2.また、水不溶性送達キャリアを固体親水性粒子の上に繰り返し折り畳み、それを油圧プレスで圧縮してシート状に戻すことによって、固体親水性粒子を水不溶性送達キャリアの材料内に組み込むこともできる。次いで、材料を適切な形態、例えばストリップに成形することができる。
3.水不溶性送達キャリアの材料を、可塑性になるまで、例えば、約50℃で加温することによって軟化させることができる。可塑性の温度で、例えば、一軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、z-ブレードミキサー、又は粘性材料を加工するのに適した同様の装置において、固体親水性粒子と混合することができる。次いで、プラスチック製水不溶性送達キャリアと固体親水性粒子との混合物を、押出成形、射出成形、熱成形などの従来の形状形成技術によって、ストリップ又はトレイなどの適切な形態に成形することができる。
4.水不溶性送達キャリアの材料を、例えば80℃で溶融して、その後、従来の混合装置を使用して固体親水性粒子と混合することができる。次に、溶融した混合物を、鋳造又は射出成形などの従来の形状形成技術によって、ストリップ又はトレイなどの好適な形態に成形することができる。
【0124】
本発明の口腔ケア物品は、単位用量物品及び/又は取り外し可能物品であり得る。単位用量物品及び/又は取り外し可能物品の好適な例としては、例えば漂白剤などの少なくとも1つの口腔ケア活性剤を含む固体親水性粒子と組み合わせた鋳造ワックス透明シート24ゲージ(Freeman Manufacturing Company,Ohio,USAによって供給される参照番号114009)が挙げられ、a)厚さ約0.51mm、幅約22mm、長さ約62mmのストリップに切断されるか、又はb)歯科用トレイに予め形成される。「単位用量物品」又は「取り外し可能物品」ではない製品の例としては、スティック型製品(例えば、リップクリーム及び口紅)が挙げられる。これは、スティック型製品が概ね単回使用製品でもなく、概ね口腔から取り外される製品でもないためである。
【0125】
ここで図面を参照すると、図1Aは、本明細書に開示される固体水不溶性送達キャリア12中の固体親水性粒子20によって提供される活性剤を歯及び口腔に送達するための口腔ケア物品10を示す。水不溶性送達キャリア12は、ストリップ形態であり、約50~約80mmの幅W及び約15~25mmの長さLを有する表面を含む。水不溶性送達キャリア12のバルクは、約0.15~約1.0mmの平均厚さTを有する。図1Aの水不溶性送達キャリア12は、実質的に平坦であり、丸みを帯びた角部を有し得るストリップ形態に成形される。適切なストリップは、厚さ約0.51mm、幅約22mm、長さ約62mmのストリップに切断された鋳造ワックス透明シート24ゲージ(Freeman Manufacturing Company,Ohio,USAによって供給される参照番号114009)であり得る。固体親水性粒子20は、溶融プロセスによって水不溶性送達キャリア12に含まれ、一部は表面近くに位置し、かつ/又はそれらの一部は環境と直接接触する可能性がある。
【0126】
図1Bは、本明細書に開示される水不溶性送達キャリア12中の固体親水性粒子20によって提供される活性剤を歯及び口腔に送達するための物品10の別の実施形態を示す。図1Bの水不溶性送達キャリア12は、丸みを帯びた角部を有するストリップ形態である。ストリップは、約50~約80mmの幅W及び約15~25mmの長さLを有する第1の表面14と、水不溶性送達キャリア12の反対側の第2の表面16とを含む。第1の表面14及び第2の表面16は、約0.15~約1.0mmの平均厚さTを有する水不溶性送達キャリア12のバルクによって間隔を空けて配置されている。適切なストリップは、厚さ約0.51mm、幅約22mm、長さ約62mmのストリップに切断された鋳造ワックス透明シート24ゲージ(Freeman Manufacturing Company,Ohio,USAによって供給される参照番号114009)であり得る。固体親水性粒子20は、固体親水性粒子20の少なくとも一部が第1の表面14の近くに位置するように、かつ/又はそれらの一部が環境と直接接触することができるように、かつ/又は第1の表面14からわずかに突出することができるように、図1Bの水不溶性送達キャリア12に埋め込まれる。第1の表面14とは対照的に、第2の表面16は、固体親水性粒子20をほとんど又は全く示さない。
【0127】
図1A及び1Bに示される物品10に使用される固体親水性粒子20は、それが接触する表面の外観又は構造の所望の変化に影響を与える又はもたらすことができる口腔ケア活性剤を含有するか、又はそれ自体が口腔ケア活性剤であり得る。前述のように、代表的な口腔ケア活性剤としては、過酸化水素、過酸化カルバミド、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、ピロリン酸、クロルヘキシジン、ポリリン酸塩、トリクロサン、酵素、及びこれらの混合物が挙げられる。外観及び構造変化の例としては、汚れの漂白、汚れの除去、フッ素リン灰石を形成するための再石灰化、歯垢除去、及び歯石の除去が挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
図2Aは、図1Aに示される水不溶性送達キャリア12の切断線2-2に沿った断面図を示す。それによって、固体親水性粒子20が水不溶性送達キャリア12のバルク内に不規則に分布していることが分かる。固体親水性粒子20はまた、水不溶性送達キャリア12の表面の近くに位置してもよく、又は環境と接触され得る。
【0129】
図2Bは、図1Bに示される水不溶性送達キャリア12の切断線2-2に沿った断面図を示す。これにより、第1の表面14における固体親水性粒子20の濃度は、埋め込みプロセスによって生成された水不溶性送達キャリア12の第2の表面16における固体親水性粒子20の濃度よりも高いことが分かる。図2Bに示される物品において、第2の表面16は、固体親水性粒子20をほとんど含まない。
【0130】
図3及び図4は、複数の隣接する歯22の歯の表面に適用された本発明の物品10を示す。物品10は、成形後又は成形前に歯の表面に適用することができる(図3)。例えば、物品10は、図3に示されるように、歯22の形状に少なくとも部分的に適合するように、水不溶性送達キャリア12を成形するのに十分な力で歯に適用され得る。複数の隣接する歯22が、隣接する軟組織24に埋め込まれている(図4)。隣接する軟組織24は、本明細書では歯牙構造を取り囲む軟組織として定義され、これには、乳頭、辺縁歯肉、歯肉溝、歯肉間、並びにパレット上の歯肉歯槽粘膜接合部までの、及びこれを含む、舌側及び頬側表面上の歯肉歯茎構造が含まれる。図3及び図4の両方において、物品10は好ましくはストリップの形態である。物品10の水不溶性送達キャリア12の材料は、歯22の起伏のある表面及び隣接する軟組織24に適合することができるような少なくとも50g/cmの厚さ及び曲げ剛性を有することができる。したがって、水不溶性送達キャリア12は、口腔表面の輪郭を形成するのに十分な柔軟性を有し得、表面は複数の隣接する歯22であり、物品10は大きな圧力なしで適用され得る。物品10の水不溶性送達キャリア12に好適な材料は、鋳造ワックス(Freeman Manufacturing Company,Ohio,USAによって供給される参照番号114009)であり得る。
【0131】
水不溶性送達キャリア12は、固体親水性粒子20によって提供される口腔ケア活性剤に対する保護バリアとして機能する。これは、装着者の舌、唇、及び唾液の消耗などによる、活性剤の浸出又は浸食を防止する。これにより、固体親水性粒子20が、目的の時間、例えば数分~数時間の間、口腔の歯の表面22に作用することが可能である。
【0132】
図5Aは、幅約22mm、長さ約62mmのストリップに切断された鋳造ワックス透明シート24ゲージ(Freeman Manufacturing Company,Ohio,USAによって供給される参照番号114009)の写真画像である。当該ストリップは、水不溶性送達キャリア12として直接使用することができ、又は水不溶性送達キャリア12は、歯科用トレイに形成される(図5B及び5C)。水不溶性送達キャリア12の第1の表面14は、使用中に歯の表面に面する歯科用トレイの内側に位置する。第2の表面16は、使用中に軟組織及び舌に面する歯科用トレイの外側に位置する。水不溶性送達キャリア12は、ノッチ18を有する(図5C)又は有さない(図5B)歯科用トレイ形態に形成することができる。
【0133】
図6は、埋め込まれた固体親水性粒子20を含む水不溶性送達キャリア12として使用可能な鋳造ワックス(Freeman Manufacturing Company,Ohio,USAによって供給される参照番号114009)のシートの(実施例IV-Aの)写真画像である。図7は、同じ実施例(IV-A)の顕微鏡画像(倍率4倍)を示す。
【0134】
口腔ケア物品の使用方法
本発明は更に、本発明の口腔ケア物品を使用する方法に関する。口腔ケア物品は、歯科専門家による歯科オフィスの消費者の歯に適用することができ、又は消費者が自宅で使用することができる。概して、推奨される処置期間は、口腔ケア活性剤の所望の効果を達成するのに十分な時間、例えば所望の程度の漂白を達成するのに十分な時間である。
【0135】
本発明の実施では、使用者は、口腔ケア活性剤を含有してホワイトニングなどの所望の効果を得るための本明細書における物品を、1つ以上の歯に適用する。物品は、任意の好適な補助手段でも、指でも適用することができる。本明細書の物品は、歯に適用されたときにほとんど目立たないことが好ましい場合がある。所望の時間が経過した後、残留物は歯の表面から容易に除去することができる。一般に、本発明の物品を適用する前に歯を準備する必要はない。例えば、使用者は、本発明の物品を適用する前に歯をブラッシングして口をすすぐことを選択することができるが、適用前に口腔表面を洗浄したり、乾燥させたり、唾液や水で過度に湿潤させたりする必要がない。
【0136】
上述の物品及び送達システムは、1.本発明の物品、及び2.使用説明書を含むキット、又は、1.本発明の物品、及び2.使用説明書を含むキットに組み合わせることができる。歯が電磁放射線により照射され得る場合、キットは、適切な波長の電磁放射線源及び使用のための説明書を更に含んでよく、これにより、キットは、便利なものとして消費者に使用され得る。
【0137】
任意の電磁放射線処理
本明細書に開示される物品、例えば、口腔ケア活性剤として漂白剤を含む物品は、歯をホワイトニング/漂白する、及び/又は歯の表面からの染みの除去に使用してもよい。漂白有効性は、好適な波長の電磁放射線を少なくとも1つの歯に向かって方向付けることにより、更に増大してよい。このような電磁放射線を提供するのに適した装置が、図8にて示される。固体親水性粒子20によって提供される活性剤の有効性を電磁放射線によって増大させることができる場合、電磁放射線は、本明細書に開示されるように物品10に適用される。例えば、約455nmのピーク強度波長を有する電磁放射線は、活性剤が過酸化物などの漂白剤又はホワイトニング剤である場合、漂白有効性を高めることができる。
【0138】
好適な波長は、歯の最大吸収帯及び/又は漂白される歯の着色に対応する、全ての波長であってもよい。例えば、物品は、約200nm~約1200nmの範囲の1つ以上の波長を伴う電磁放射線により、放射されてよい。電磁放射線は、少なくとも1つの歯に向けられてよい。例えば、2つ以上の歯が照射されてもよい。例えば、電磁放射線は、約400nm~約500nm、好ましくは約425nm~約475nm、最も好ましくは約445nm~約465nmの範囲の波長でピーク強度を有していてもよく、又は電磁放射線のピーク強度波長は、染みが最も電磁放射線を吸収する波長に類似していてもよい。電磁放射線は、物品の一部又は全体的な着用時間の間、又は物品が歯から取り外された後、少なくとも1つの歯に向けられてもよい。電磁放射線は、少なくともホワイトニングのために十分な時間、又は活性剤の所望の項かを達成するのに十分な時間、例えば、少なくとも約1分間、少なくとも約5分間、又は少なくとも約10分間にわたって適用されてもよい。米国特許出願公開第2013/0295525号に開示された手順を使用して、電磁放射線を適用してもよい。本明細書に開示された物品は、好ましくは、少なくとも1つの歯に適用され、また第1の期間、少なくとも1つの歯上に維持され、第1の期間後、電磁放射線は、少なくとも第2の期間、少なくとも1つの歯に向かって方向付けられてよく、第1の期間は、第1及び第2の期間の総持続期間の50%超、好ましくは80%の持続期間を有し、また最終的に、物品は、少なくとも1つの歯から取り除かれる。
【0139】
好適な電磁放射線源としては、表題「臨床プロトコル」の項目において、本明細書にて記載される電磁放射線源が挙げられる。
【0140】
本明細書にて記載された物品は、約400nm~約500nmの波長を伴う電磁放射線に対して透明又は半透明であってよい。例えば、本明細書に開示される物品は、約0.05mm~約2mm、好ましくは約0.1mm~約1.0mmの範囲、より好ましくは約0.25mm~約0.75mmの範囲の平均厚さで適用される場合、分光光度計で測定して、約400nm~約500nmの電磁放射線の約10%、約20%、又は約30%~約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は約100%が通過することを可能にする。
【0141】
約400~約500nmの波長範囲で、歯の表面又は水不溶性送達キャリアの外面に当たる電磁放射線は、本明細書に規定する手順に従って測定して、約5mW/cm2~約500mW/cm2、好ましくは約10mW/cm2~約300mW/cm2、最も好ましくは約175mW/cm2~約250mW/cm2の強度の範囲であり得る。
【0142】
電磁放射線の強度を測定するための手順
先端において余弦修正器(Ocean OpticsからのOP 200-2-UV-VIS)を有するUV-VIS200マイクロメートル光ファイバーケーブルに接続された分光計(Ocean OpticsからのUSB2000+)を使用して、電磁放射線の強度を測定することができる。分光計は、分光計のソフトウェア(Ocean OpticsからのOceanview 1.3.4)を実行するコンピュータに接続されている。光ファイバーケーブルの先端部は、光強度が測定される位置における光源に向かって指し示すように、保持される。検出器の表面において収集された光子は、光ファイバーケーブルを介して電荷結合デバイス(charge-coupled device in the spectrometer、CCD)へと案内される。CCDは、200nm~1100nmの各波長にて、事前決定された期間の間にCCDに到着する光子の数を数え、かつソフトウェアアルゴリズムを使用して、これらの光子の数を分光放射照度(mW/cm/nm)へと変換する。分光放射照度は、ソフトウェアにより、200nm~1100nmにて統合されて、吸収射照度(mW/cm)を得るが、これは、200nm~1100nmの電磁放射線の強度である。ソフトウェアにより、分光放射照度は、400nm~500nmに統合されて、ソフトウェアにより、吸収射照度(mW/cm)を得るが、これは、400nm~500nmの電磁放射線の強度である。
【0143】
消費者の利便性のために、本明細書にて記載された物品は、本明細書にて記載された物品、好適な波長にて電磁放射線を放出する任意の電磁放射線源、及び使用説明書を含むキットとして提供されてよい。
【0144】
本発明の物品は、ヒト及び他の動物(例えば、ペット、動物若しくは家畜)両方の適用に有用である。
【実施例
【0145】
以下の非限定的な実施例I-A、II-A、II-B、II-C、II-D、II-E、III-A、III-B、III-C、IV-A、V-A、VI-A、及びVI-Bは、本発明の範囲内の好ましい物品を更に記載する。これらの実施例には、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更が可能である。全ての実験は、特に指示がない限り、室温(room temperature、RT)及び大気圧にて実施された。
【0146】
これらの実施例(及び比較例II-A)を、1)鋳造ワックスシートを秤量し、2)固体親水性粒子(過酸化水素とポリビニルピロリドン、過酸化尿素、又は過炭酸ナトリウムとの複合体)を鋳造ワックスシート上に、425マイクロメートル開口部を有するUSA Standard Testing Sieve No.40を通してふるい分けし、3)ワックスシート及び粒子を2枚の紙と非粘着性剥離ライナーとの間に挟み、4)その挟んだものを油圧プレスに入れ、625psiの圧力を60秒間加え、5)粒子が埋め込まれたワックスシートを取り出し、それを秤量して、埋め込まれた粒子の重量を計算することによって作製した。これらのシートは、口腔内での使用に適した形状及びサイズ、例えば幅約22mm及び長さ約62mmに切断することができる。
【0147】
【表5】
鋳造ワックスシート26ゲージ、参照番号114010、平均厚さ約0.39mm、約10cm×約10cm平方、Freeman Manufacturing Company,Ohio,USAから供給
鋳造ワックスシート24ゲージ、参照番号114009、平均厚さ約0.51mm、約10cm×約10cm平方、Freeman Manufacturing Company,Ohio,USAから供給
Peroxydone K-30、Ashland Global Specialty Chemicals Inc.(Covington,KY)から。水100部当たりの溶解度は40部超(ポリビニルピロリドンポリマーK-30上の供給元からの製品データシートに提供される情報から推定)。425マイクロメートルの開口部を有する米国標準試験ふるい(USA Standard Testing Sieve)第40号でふるいにかける。供給業者からの情報によると、約17%~20%(中央値18.5%)のH2O2を含有する。
【0148】
【表6】
鋳造ワックスシート26ゲージ、参照番号114010、平均厚さ約0.39mm、約10cm×約10cm平方、Freeman Manufacturing Company,Ohio,USAから供給
鋳造ワックスシート24ゲージ、参照番号114009、平均厚さ約0.51mm、約10cm×約10cm平方、Freeman Manufacturing Company,Ohio,USAから供給
Peroxydone K-30、Ashland Global Specialty Chemicals Inc.(Covington,KY)から。水100部当たりの溶解度は40部超(ポリビニルピロリドンポリマーK-30上の供給元からの製品データシートに提供される情報から推定)。425マイクロメートルの開口部を有する米国標準試験ふるい(USA Standard Testing Sieve)第40号でふるいにかける。供給業者からの情報によると、約17%~20%(中央値18.5%)のH2O2を含有する。
【0149】
【表7】
鋳造ワックスシート24ゲージ、参照番号114009、平均厚さ約0.51mm、約10cm×約10cm平方、Freeman Manufacturing Company,Ohio,USAから供給
尿素過酸化水素付加物、Alfa Aesar(Ward Hill,MA)からの、カタログ番号L13940。供給元からの安全データシート1リットル当たり20℃で800グラムの水への溶解度(水100部当たり80部)。425マイクロメートルの開口部を有する米国標準試験ふるい(USA Standard Testing Sieve)第40号でふるいにかける。2020年9月22日付のウィキペディアによれば、約35.4%のH2O2を含有する。
【0150】
比較例
【0151】
【表8】
【0152】
【表9】
鋳造ワックスシート24ゲージ、参照番号114009、平均厚さ約0.51mm、約10cm×約10cm平方、Freeman Manufacturing Company,Ohio,USAから供給
過炭酸ナトリウム、カタログ番号A16045、Alfa Aesar(Ward Hill,MA)から。水への溶解度は150グラム/リットル(水100重量部当たり15重量部)(Wikipediaからの情報、2018年5月21日付)。約32.5%のH2O2を含有すると計算される。425マイクロメートルの開口部を有する米国標準試験ふるい(USA Standard Testing Sieve)第40号でふるいにかける。
【0153】
漂白有効性
本明細書で規定するex-vivo手順に従って測定された、実施例I-A(電磁放射線による)対比較例I-A(電磁放射線による)漂白有効性を表1に列挙する。
【0154】
【表10】
【0155】
表1は、実施例I-Aがより少ない漂白剤%(2.77%対9.5%)を有していたとしても、実施例I-Aが比較例I-Aに対して同程度(-Δbが2.9対2.8)の黄色度の低減(-Δb)をもたらしたことを示す。これらの結果は、実施例I-A(ワックス送達キャリアに埋め込まれたPVP-過酸化物の粒子)が比較例I-A(水性ポリマーゲルに溶解したH2O2)に対して、比較例I-Aの漂白剤%が1/3未満であるにもかかわらず、驚くほど同程度の有効性を持つことを明確に示している。これらの結果は、ワックス送達キャリア中に埋め込まれた口腔ケア活性剤として漂白剤を含む固体親水性粒子が有効性に対して驚くほど大きな影響を及ぼすことを明確に実証している。
【0156】
本明細書に規定するex-vivo手順に従って測定された実施例III-A、III-B、及びIII-C(3つ全てのバッチから採取された試料)(電磁放射線による)並びに比較例I-A(電磁放射線による)の漂白有効性を表2に列挙する。
【0157】
【表11】
【0158】
表2は、3回の処置後の実施例III-A、III-B及びIII-Cが、1回の処置後の比較例I-A(2.19対2.8)と比較して、たとえ実施例III-A、III-B及びIII-Cがより少ない漂白剤%(約0.1%対9.5%)を有していたとしても、黄色度においてわずかに少ない減少(-Δb)しかもたらさなかったことを示す。具体的には、これらの結果は、3回の処置後の実施例III-A、III-B、及びIII-Cが、驚くべきことに、1回の処置後の実施例I-Aの黄色度の約78%の低減をもたらしたことを示しており、これは、実施例III-A、III-B、及びIII-Cが比較例I-Aの約1%の漂白剤%しか有していなかったので、更に驚くべきことである。これらの結果は、実施例III-A、III-B、及びIII-C(ワックス送達キャリアに埋め込まれたPVP-過酸化物の粒子)が、非常に低濃度の漂白剤%であっても驚くほど高い有効性を有することを明確に実証しており、これは、敏感な歯を有する人々、又は過酸化物%に非常に厳しい制限がある地域において特に好適であり得る。これらの結果は、ワックス送達キャリア中に埋め込まれた活性剤として漂白剤を含む固体親水性粒子が有効性に対して驚くほど大きな影響を及ぼすことを明確に実証している。
【0159】
本明細書に規定するex-vivo手順に従って測定された実施例II-E(電磁放射線による)及び比較例II-A(電磁放射線による)の漂白有効性を表3に列挙する。
【0160】
【表12】
【0161】
表3は、実施例II-Eが、比較例II-A(3.8対2.4)と比較して、両方の物品が同じ濃度の漂白剤%(約3%)を有していても、58%大きい黄色度の減少(-Δb)をもたらしたことを示す。具体的には、これらの結果は、100重量部の水に対して40重量部を超える溶解度を有する固体親水性粒子(PVP-過酸化物)で作製された物品(実施例II-E)が、100重量部の水に対してわずか15重量部の溶解度しか有さない固体親水性粒子(過炭酸ナトリウム)で作製された物品(比較例II-A)に対して、両組成物が同じ濃度のH2O2(約3%)を有するにもかかわらず、驚くほど高い有効性があること明らかに実証している。これらの結果は、固体親水性粒子の溶解度が漂白有効性に驚くほど大きく影響することを明らかに実証している。
【0162】
本明細書に規定するex-vivo手順に従って測定された実施例II-E(電磁放射線による)及び実施例I-A(電磁放射線による)の漂白有効性を表4に列挙する。
【0163】
【表13】
【0164】
表4は、実施例II-Eが、実施例I-A(3.8対2.9)と比較して、両方の物品が同じ濃度の漂白剤%(約3%)を有していても、31%大きい黄色度の減少(-Δb)をもたらしたことを示す。具体的には、これらの結果は、0.51mmの平均厚さを有する水不溶性送達キャリアを用いて作製された物品(実施例II-E)が、わずか0.39mmの平均厚さを有する水不溶性送達キャリアを用いて作製された物品(実施例I-A)に対して、両方の組成物が同じ濃度のH2O2(約3%)を有していたとしても、驚くほど高い有効性があることを明確に実証している。これらの結果は、水不溶性送達キャリアの平均厚さが漂白有効性に驚くほど大きな影響を与えることを明確に示している。
【0165】
表面における漂白剤の濃度
本明細書に規定する手順に従って測定された実施例II-A、II-B、II-C、及びII-D(4つ全てのバッチから採取された試料)の、第1の表面の第2の表面に対する漂白剤の濃度を表5に列挙する。
【0166】
【表14】
【0167】
表5は、第1の表面における漂白剤の濃度が、第2の表面における漂白剤の濃度よりも高いことを示す(1304マイクログラム/cm2対82マイクログラム/cm2)。これらの結果はまた、第1の表面における漂白剤の濃度を第2の表面における漂白剤の濃度で割った比が約16であり、比が1よりも大きいことを示している。これらの結果は、より多くの口腔ケア活性剤又は漂白剤を、それらが最も必要とされる表面に送達する本発明の驚くべき能力を明確に実証する。
【0168】
本明細書で規定する手順に従って測定した実施例VI-A及びVI-B(両方のバッチから採取した試料)の、第1の表面の第2の表面に対する漂白剤の濃度を表6に列挙する。
【0169】
【表15】
【0170】
表6は、第1の表面における漂白剤の濃度が、第2の表面における漂白剤の濃度よりも高いことを示す(1457マイクログラム/cm2対43マイクログラム/cm2)。これらの結果はまた、第1の表面における漂白剤の濃度を第2の表面における漂白剤の濃度で割った比が約34であり、比が1より高いことを示している。これらの結果は、より多くの口腔ケア活性剤又は漂白剤を、それらが最も必要とされる表面に送達する本発明の驚くべき能力を明確に実証している。
【0171】
実施例II-A、II-B、II-C、及びII-D(4つのバッチ全てから採取した試料)の表面、並びに比較例I-Aの表面における漂白剤の濃度を、本明細書に規定する手順に従って測定し、表7に列挙する。
【0172】
【表16】
【0173】
表7は、実施例II-A、II-B、II-C及びII-Dが、比較例I-Aに対して、より少ない漂白剤%(約3%対約9.5%)を有していたにもかかわらず、表面でより高い漂白剤濃度(1304マイクログラム/cm2対670マイクログラム/cm2)を有することを示す。具体的には、これらの結果は、実施例II-A、II-B、II-C及びII-Dが、比較例I-Aの1/3未満の漂白剤%を有していたにもかかわらず、比較例I-Aの約2倍の表面漂白剤濃度を有していたことを示している。これらの結果は、漂白剤が最も必要とされる表面に、より多くの口腔ケア活性剤又は漂白剤を送達する本発明の驚くべき能力を明確に示している。
【0174】
表面の固体粒子の数
本明細書に規定する手順に従って計数された実施例V-Aの第1の表面及び第2の表面における固体粒子の数を表8に列挙する。
【0175】
【表17】
【0176】
表8は、実施例V-Aの第1の表面におけるcm2当たりの固体粒子の数が、第2の表面におけるcm2当たりの固体粒子の数よりも多いことを示す(cm2当たり24.6対1)。これらのデータは、実施例V-Aの第1の表面におけるcm2当たりの粒子数を第2の表面におけるcm2当たりの粒子数で割った比が約24.6であり、これは比が1を上回ることを示している。
【0177】
漂白有効性を測定するためのex-vivo手順
1.ヒトの門歯の前面から、円盤(直径7.2~7.8mm x 厚さ1.2mm ~1.3mm)を切り取る。前面はそのままにして、歯から切り取った舌側面を平らにする。ガラス瓶において、USP規格条件を満たす15~20mlの水中に、少なくとも18時間、歯盤を保管する。これを合計12本の歯に繰り返す。
2.手持ち式分光光度計Konica Minolta 700dを使用して、標準白色背景(デジタル及びフィルム写真撮影に使用される白色基準カード、例えば、DGK Color Tools製のDGK-XL X000B1R417)上に個別に配置された各歯盤の前面のベースラインL及びbを測定する。Konica Minolta 700d分光光度計を直径約6.3mmの開口で使用し、観察者の角度を2度に設定し、光源を5003Kの昼光色温度に設定し、鏡面反射を排除する。これらの測定中に歯盤中の水分濃度を制御するために、直径約19mmの円盤を、厚さ約0.01mm~約0.02mmの透明な可撓性ポリエチレンフィルムから切断し、水から取り出したらすぐに歯盤上に置き、このポリエチレン盤を通してL値及びb*値を測定する。1日につき3回を1セットとして、3日に分けて測定する。ガラス製バイアルにおいて、USP規格を満たす15~20mLの水に歯盤を入れて、3回の測定毎に少なくとも18時間保管する。3日全てにわたって、各歯盤について平均ベースラインL及びbを計算する。
3.各歯盤を評価される組成物で個々に処理する。組成物が固体物品である場合、a)歯盤を水から取り出し、まだ湿っている間に歯盤の前面上に物品を置き、b)物品に短時間圧力を加えて、物品が歯の上に位置決めされるのをシミュレートする。組成物が半固体ゲルである場合、a)歯盤を水から取り出し、約0.04グラム~約0.05グラムのゲルを、歯盤とポリエチレン盤(厚さ約0.01mm~約0.02mmの透明な可撓性ポリエチレンフィルムから切り取った直径約19mm)との間に挟み、b)ポリエチレン盤に短時間圧力を加えて、歯に適用されるゲルをシミュレートする。この歯盤+物品又は歯盤+ゲル+ポリエチレン盤のこのサンドイッチを、約34℃のオーブン内に入れ(上顎前歯の前面の状態をシミュレートするために)約60分間置く。
4.組成物を電磁放射線と共に使用した場合、
・組成物による処置の50分後に、電磁放射線を、歯盤の前面に向かって10分間適用する。
・物品を通して、又はゲル+ポリエチレン盤を通して、歯盤の前面に電磁放射線を向ける。
・455nmのピーク強度波長を伴う高電力LED(Thorlabs(Newton,NJ,USA)からの、モデル番号M455F1)に接続した光ファイバーケーブル(Thorlabs(Newton,NJ,USA)からの、モデル番号M71L01)を介して、電磁放射線を送達する。LEDは、LED Driver(モデル番号DC2100、又はDC4100-HUBとペアであるDC4104、Thorlabs(Newton,NJ,USA)を用いて1000mAで作動させる。光ファイバーケーブルの出口端部は、ストリップの外表面に対して電磁放射線を再現可能に位置付けるのに役立つように取り付けられる。光ファイバーケーブルの出口端は、歯の表面から約7mm離れている。この距離における電磁放射線の円錐の中心軸で測定される400nm~500nmの電磁放射線の強度は、本明細書に開示される方法によって測定される場合、約175mW/cm~約225mW/cmである必要がある。
・この放射線は、歯盤毎に約10分間適用される。
5.組成物による60分の処置が完了すると、残留組成物をペーパータオル及び水を使用して歯盤から除去する。
6.各処置の後、ガラス瓶において、USP規格条件を満たす15~20mLの水中に、少なくとも18時間、歯盤を保管する。
7.最後の処置の18時間(又はそれ以上)後に、歯盤について先に規定した手順を使用して、各歯盤の処置後のb*を個々に測定する。これをその後3日間行い、歯盤毎に3日間全てで平均化する。
8.各歯盤について、bの変化(黄-青のバランス)をΔb=b 処置後-b ベースラインとして計算し、負の変化は、歯盤の黄色が少なくなったことを示す。-Δbは、漂白有効性の主要な測定値として使用される。全ての歯盤にわたる黄色度の平均減少(-Δb)を計算する。
【0178】
活性剤を含む水不溶性送達キャリア(すなわち、物品)の表面における口腔ケア活性剤の濃度を測定するための手順
口腔ケア活性剤を含む水不溶性送達キャリア(すなわち、物品)の表面における口腔ケア活性剤の濃度は、以下の手順に従って測定される。
1. 直径約19mmの盤を物品から切り取り、その重量を記録する。
2. 0.425g+/-0.003gの水を小さいプラスチック製の秤量ボートに秤量する。
3. 一対のピンセットを用いて、試験される表面が水と接触するように盤を水の上に置く。水が盤の周囲に届き、盤の上に流れ出ないことを確認する。
4. 2分後、盤を取り出し、垂直に保持して秤量ボートに5秒間滴下する。
5. 口腔ケア活性剤の%について水をアッセイする。
6. 添加された水の元の量(0.425g)に基づいて、水中の口腔ケア活性剤の総マイクログラムを計算する。これを水と接触した盤の表面積(cm2)で割る。この値(マイクログラム/cm2)は、試験された盤の表面における口腔ケア活性剤の濃度である。
7. 合計24枚の盤に対して工程1~6を実行し、24個全ての値を平均する。この平均値(マイクログラム/cm2)は、試験された表面における物品の口腔ケア活性剤の濃度である。
【0179】
上記の手順を検証するために、比較例I-Aの第1の表面(ゲル表面)における過酸化水素の濃度を測定し、550マイクログラム/cm2~800マイクログラム/cm2であることを実証する必要がある。
【0180】
口腔ケア活性剤を含む水不溶性送達キャリア(すなわち、物品)の表面における粒子の数を計数する手順
口腔ケア活性剤を含む水不溶性送達キャリア(すなわち、物品)の表面における粒子の数は、以下の手順に従って測定される。
1. 物品からそれぞれ1cm×1cmの24個の正方形を切り取る。
2. 各正方形において顕微鏡を用いて表面の粒子の数を数える。
3. 24個の正方形全てにわたって表面で計数された粒子数を平均する。これは、その表面における粒子数/cm2である。
【0181】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0182】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は出願、及び本出願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含めて、本明細書に引用される全ての文書は、明示的に除外又は限定されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文書の引用も、それが本明細書で開示又は特許請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは任意の他の参考文献と組み合わせて、そのような発明を教示、示唆、若しくは開示していることを認めるものではない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が優先されるものとする。
【0183】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができることは当業者には明白であろう。したがって、添付の特許請求の範囲において、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を網羅することが意図される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
【国際調査報告】