(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】一軸鉄筋メッシュの製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/12 20060101AFI20231024BHJP
E04C 5/04 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
E04G21/12 105E
E04C5/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522474
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2021073907
(87)【国際公開番号】W WO2022073695
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】102020126584.0
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523130637
【氏名又は名称】ベーアーエム アーゲー
【氏名又は名称原語表記】BAM AG
【住所又は居所原語表記】Neugasse 43,9000 St.Gallen Switzerland
(71)【出願人】
【識別番号】523130648
【氏名又は名称】プログレス マシーネン アンド オートメーション アーゲー
【氏名又は名称原語表記】PROGRESS MASCHINEN & AUTOMATION AG
【住所又は居所原語表記】Julius-Durst-Strasse 100,32042 Brixen Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】ホイスラー,フランツ
(72)【発明者】
【氏名】シュツフレッサー,アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
2E164
【Fターム(参考)】
2E164AA01
2E164CB11
2E164CB29
(57)【要約】
本発明は、一軸鉄筋メッシュ、特に、各鉄筋がそれぞれワイヤー結束により各支持帯に固定された、静的荷重を主としない用途に適した一軸鉄筋メッシュを製造する装置および方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一軸鉄筋メッシュを製造する装置であって、
該装置が、鋼帯コンベア(1)と、鉄筋コンベア(3)と、複数の連結ユニット(6)とを有し、
該鋼帯コンベア(1)により、複数の支持帯(2)が間隔をあけて並列に配置されるように搬送され、
該鉄筋コンベア(3)により、個々の鉄筋(4)が該複数の支持帯(2)と交差するように該複数の支持帯(2)上に搬送されて、該支持帯(2)と該鉄筋(4)の交点(5)が形成され、個々の鉄筋(4)は、該複数の支持帯(2)に対して長軸方向に配置されることが好ましく、
各連結ユニット(6)が、各交点(5)に動作可能に配置され、各連結ユニット(6)が、結束ワイヤーコンベア(7)を有し、該結束ワイヤーコンベア(7)により、結束ワイヤー(8)が回転ユニット(9)内を通って供給され、
該回転ユニット(9)が、前記支持帯(2)とこれと交差する前記鉄筋(4)に対して移動可能で、該支持帯(2)と該鉄筋(4)によって規定される平面の片側に配置され、
前記連結ユニット(6)が、該平面の反対側に結束ワイヤーガイドユニット(10)をさらに有し、該結束ワイヤーガイドユニット(10)が、前記結束ワイヤーコンベア(7)によって送り込まれた結束ワイヤー(8)を供給方向とは反対の方向に摩擦により送り出して保持し、
前記回転ユニット(9)が、前記平面の片側に位置する2本の結束ワイヤーストランド(11)をねじり合わせて、これらを一定の長さに切断し、
前記回転ユニット(9)と前記結束ワイヤーガイドユニット(10)が互いに接近して閉じた状態になることで、ワイヤーループ()が形成され、前記支持帯(2)と前記鉄筋(4)が互いに押し付けられて、これらが該ワイヤーループにより連結される、装置。
【請求項2】
前記回転ユニット(9)が切断具(12)、特に刃(13)を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記支持帯(2)とこれと交差する前記鉄筋(4)を結束する、前記装置により切断された一定の長さのワイヤーが、前記平面に対して概ね直交する向きから前記平面に対して概ね平行な向きに前記装置によって曲げられる、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記ガイド(14)が、開口部(15)および/または凹部であり、好ましくは前記ガイド(14)が前記装置によってその場で作成される、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記開口部(15)が細長い穴(17)として形成されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
2つのガイド(14)間の端部間距離(A)が、連結される各鉄筋(4)の直径に応じて選択され、特に、該端部間距離(A)が、固定される前記鉄筋(4)の直径(D)より小さい、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
連結に必要な前記結束ワイヤー(8)の長さ(L)が、連結される各鉄筋(4)の直径に応じて変化する、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
一軸鉄筋メッシュを製造する方法であって、該一軸鉄筋メッシュが、複数の支持帯が間隔をあけて並列に配置され、該複数の支持帯に直交する向きに固定された複数の鉄筋が間隔をあけて並列に配置された一軸鉄筋メッシュであり、
a)間隔をあけて並列に配置された支持帯の長軸に直交するように鉄筋を供給することにより、各鋼帯と各鉄筋の複数の交点が形成される工程、
b)前記支持帯に前記鉄筋を押し付けることにより、両者を密着させる工程、
c)前記交点の領域に結束ワイヤーを供給して前記鋼帯と前記鉄筋を包囲することにより、2本の結束ワイヤーストランドが片面に形成される工程、および
d)前記結束ワイヤーを一定の長さに切断し、形成された前記2本の結束ワイヤーストランドをねじり合わせることにより、ねじり部が形成される工程
を含む方法。
【請求項9】
工程d)の後に、前記支持帯と前記鉄筋によって規定される平面内に、または該平面の方向に、前記ねじり部を曲げる工程e)が実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記鉄筋を前記支持帯に押し付ける工程b)が、工程c)および/もしくは工程d)の前、該工程中、または該工程後に実施される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
工程d)が、一定の長さに切断された前記結束ワイヤーの第2の自由端を曲げることを含む、請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記支持帯にガイドを導入する工程f)が実施される、請求項8~11のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一軸鉄筋メッシュ、特に静的荷重を主としない用途に適した一軸鉄筋メッシュを製造する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート構造では、引張力を吸収してコンクリートの圧縮強度を補う鋼体や棒鋼を用いてコンクリート部材の静的特性を改善することにより荷耐力を向上させている。これは、鋼体、異形棒鋼(鉄筋)や丸鋼を建設現場に個別に搬入し、手作業で織り込んだり、一軸または二軸の鉄筋メッシュを溶接して設置したり、特殊な形状のセグメントにしたりして行われる。一軸鉄筋メッシュは一方向、すなわち長手方向の引張力しか吸収できないため、鉄筋コンクリート部材1つにつき90°の角度をなす2つの一軸鉄筋メッシュが必要であり、これにより、各方向の引張力と曲げモーメントを吸収する。冷間成形または熱間成形された鉄筋は、通常、ねじれがなく、ほぼ円形の断面と斜め方向のリブを有する面を持ち、必要に応じて長手方向のリブを有する。鉄筋は長さが最大12m、直径が最大40mmのものが多いため、その重さは数百kgに達することがある。
【0003】
主に静的荷重に対しては、溶接による連結が古くから知られており、実績も十分にある。溶接一軸鉄筋メッシュは、建設現場で特に時間をかけずに敷設できるという点で、特に利点がある。また、対応する装置は、例えば、EP 0 862 958またはPCT/DE2009/000298により、以前から知られている。EP 0 862 958に記載の一軸鉄筋メッシュの製造用の装置は、メッシュ成形機への横方向の鉄筋供給を備える。既に製造された鉄筋は供給マガジンから取り出され、これから製造される鉄筋はコイルから引き出され、自動矯正・切断機として設計されたバー成形機によって真っ直ぐにされて一定の長さに切断される。メッシュ成形機に供給された鉄筋は、横位置決め装置によってメッシュの横方向に配置され、自動溶接機によって柔軟な支持帯に溶接される。一軸鉄筋メッシュの幅は最大15mで、直径や長さの異なる鉄筋で構成することができる。一定の幅を持つ薄い鋼帯を用いることにより、鉄筋の巻き出しの方向安定性がよくなる。鋼帯は幅が広いため直線安定性がよく、巻き出し後、鉄筋はあらかじめ計算・想定された位置に正確かつ安定的に配置される。
【0004】
しかし、溶接鉄筋メッシュは、土木工学や構造工学、建築工事で発生するような、静的荷重を主としない荷重を受ける鉄筋コンクリート部材や構造物にはあまり適していない。そのような鉄筋コンクリート部材としては、交通の流れから交互に荷重を受ける道路橋や鉄道橋で使用されるもの、波の作用を受ける洋上風力タービン、および突風や渦の離脱による動的励振を受けるタワー、マスト、高層ビルなどの構造物に使用されるものが挙げられる。また、主たる荷重が静的荷重ではない構造物としては、クレーンの滑走路、フォークリフトの天井、機械の基礎などの工業プラントのコンクリート部材が挙げられる。このような部材はいずれも、繰返し荷重を伴う永続的で高頻度の周期的な交番応力により、材料疲労が起こる可能性がある。この種の応力が、前述の部材や構造物の損傷の主な原因となっている。
【0005】
溶接継手では、材料の疲労挙動が主に溶接シームに局所的に集中するため、微細構造の変化や強いノッチ効果により、鋼材の疲労強度が大幅に低下するという問題があり、溶接継手は専門家の間で問題視されている。例えば、公知の溶接鉄筋メッシュや丸鋼は、静的荷重を主としない荷重下で使用すると、溶接部のノッチ効果により、Eurocode 2で規定される疲労強度を達成できず、棒鋼のWohler曲線を大きく下回る。そのため、動的荷重を受ける構造部材には、主に単一棒が使用されているが、単一棒は建設現場で細いワイヤーを使って手作業で手間と時間がかかる方法で連結しなければならず、コストがかさむ手動連結が原因で、動的荷重を受ける表面の製造は高コストである。その代わりに溶接鉄筋メッシュを使用すると、十分な材料の取り代が必要になるため、鋼材の使用量が大幅に増えることになる。
【0006】
EP 1 856 346 A1により、一軸鉄筋メッシュ製造用の装置が公知である。この装置は、上記と同じ原理で鉄筋を送り込むが、並列に配置された多数の平坦で柔軟な鋼帯の上に鉄筋を溶接するのではなく、鉄筋が、鉄筋の軸方向の複数の箇所でそれぞれ2本のワイヤーの間に挟まれてワイヤーがねじり合わされることにより固定される。この装置では、ねじり機によって、2本のワイヤーがきつくねじられ、ワイヤーストランドが作られる。ワイヤーストランドを構成する各ワイヤーは、送り込まれる鉄筋を包囲するように誘導され、形成されたワイヤーストランドの目の部分に鉄筋が固定される。すなわち、鉄筋の永久並列配置には、前述の無端状鋼帯の代わりに、その場で生成される無端状ワイヤーストランドが用いられる。この装置とこの方法の欠点としては、ワイヤーストランドと鉄筋の間の結束が十分に強くないため、一軸メッシュの鉄筋同士の位置が変化する恐れがあることと、一軸メッシュを建設現場で巻き出す際に方向安定性が極めて低いことが挙げられる。
【0007】
DE 44 36 610 A1では、鉄筋がワイヤーによってストリップに固定される装置が開示されており、1つのワイヤーコネクターは鉄筋の上、別のワイヤーコネクターはストリップの下に配置されている。第1のワイヤーコネクターからワイヤーが送り出され、第2のワイヤーコネクターの開いた偏向溝に入り、この偏向溝に入ったワイヤーが偏向されて、第1のワイヤーコネクターの漏斗状の穴へと戻される。第1のコネクターが数回転すると、ワイヤーの端が切断される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明の目的は、非静的荷重を主とする用途に適した一軸鉄筋メッシュを製造する装置および該一軸鉄筋メッシュを製造する方法を提供することである。
【0009】
装置に関する目的は、以下に説明する装置によって達成され、方法に関する目的は、以下に説明する方法によって達成される。
【0010】
本発明の装置は、鋼帯コンベアと、鉄筋コンベアと、複数の連結ユニットとを有し、該鋼帯コンベアにより、複数の支持帯が間隔をあけて並列に配置されるように搬送され、該鉄筋コンベアにより、個々の鉄筋が該複数の支持帯と交差するように該複数の支持帯上に搬送されて、該支持帯と該鉄筋の交点が形成され、個々の鉄筋は、該複数の支持帯に対して長軸方向に配置されることが好ましく、各連結ユニットは、各交点に動作可能に配置され、各連結ユニットは、結束ワイヤーコンベアを有し、該結束ワイヤーコンベアにより、結束ワイヤーが回転ユニット内を通って供給され、該回転ユニットは、前記支持帯とこれと交差する前記鉄筋に対して移動可能で、該支持帯と該鉄筋によって規定される平面の片側に配置され、該平面の反対側には結束ワイヤーガイドユニットがさらに備えられ、該結束ワイヤーガイドユニットは、前記結束ワイヤーコンベアによって送り込まれた結束ワイヤーを供給方向とは反対の方向に摩擦により送り出して保持し、前記回転ユニットは、前記平面の片側に位置する2本の結束ワイヤーストランドをねじり合わせて、これらを一定の長さに切断し、前記回転ユニットと前記結束ワイヤーガイドユニットは互いに接近して閉じた状態になることで、ワイヤーループが形成され、前記支持帯と前記鉄筋が互いに押し付けられて、これらが該ワイヤーループにより連結されることを特徴とする。よって、この装置を使用すると、結束ワイヤーがきっちりと誘導され、鉄筋と支持帯の間に生じ得る隙間を塞ぐ必要がないため、支持帯と鉄筋が正確な場所に配置され、精密かつ耐久性のある連結が達成されるという大きな利点がある。
【0011】
大きな利点として、幅が広く平坦で柔軟な支持帯、特に鋼帯に鉄筋が固定されることが挙げられる。鋼帯は、巻き出しの方向安定性がよく、材料の取り代や最高級鋼の使用を必要とせず、主たる荷重が静的荷重ではない構造部材に理想的に適している。鋼帯への鉄筋の固定は、本発明のワイヤーループにより行われる。支持帯と送り込まれた鉄筋の交点で両者を包囲する輪状のワイヤーループが、両者を圧力ばめにより連結することによって実現される。さらに、本発明によるワイヤー結束では、鉄筋、ひいては一軸メッシュに、エポキシコーティング鋼、亜鉛メッキ材、ステンレス鋼などの非溶接材を使用することも可能である。したがって、本発明の一軸鉄筋メッシュは、このような多様なワイヤーループを有する。鉄筋1本あたりのワイヤーループの数は、鉄筋が固定された交差する支持帯の数に対応しており、したがって、メッシュのn本の支持帯あたりn-x個のワイヤーループが存在し、xは0~n-2の間の数である。
【0012】
本発明の1つの構成において、前記装置が、前記回転ユニットの領域に切断具、特に刃、好ましくは固定刃を有する。結束ワイヤーが必要な長さまで送り込まれた後、回転ユニットは鉄筋から離れるように上方に移動し、結束ワイヤーは対応する形状の刃によって切断されると同時に、回転ユニットのさらなる移動と刃の抵抗により、回転ユニットの移動方向に対してほぼ反対方向に、特に最大180°まで曲げられる。このようにして作製された結束ワイヤーの曲がった自由端により、回転中の回転ユニットで、結束ワイヤーガイドから結束ワイヤーが抜け出るのを防ぐための抵抗が生じるため有利であり、その結果、支持帯と鉄筋との結束は、強固でしっかりしたものになる。
【0013】
前記支持帯とこれと交差する前記鉄筋を結束する、前記装置により切断された一定の長さのワイヤーが、前記平面に対して概ね直交する向きから、前記平面に対して概ね平行な向きに前記装置によって曲げられることにより、突出したワイヤー端による怪我のリスクが回避されるため有利である。大きな利点として、曲げた後のワイヤーループのワイヤー端は、巻き出し方向の鉄筋と支持帯を含む平面内にあるため、使用者との接触を防止できることが挙げられる。
【0014】
本発明の1つの構成において、前記支持帯が、前記結束ワイヤー用のガイド、特に開口部および/または凹部を有することは有利であり、好ましくは、該ガイドは、前記装置によりその場で作成される。このガイドにより、前記交点の周囲に誘導された位置不動の結束ワイヤーループが形成されるため、一軸鉄筋メッシュの巻き取り時または巻き戻し時などに、支持帯の曲げや座屈が生じた場合でも結束が緩まず、有利である。前記ガイドは、支持帯の穴(特に、細長い穴)、支持帯の端部領域の切り込み、またはその両方の組み合わせであってもよい。
【0015】
2つのガイド間の距離Aは、連結される各鉄筋の直径に応じて適宜選択される。特に、距離Aは、固定される前記鉄筋の直径よりも小さく、それにより、異なる直径の鉄筋であっても、常に強固な結束が得られることが大きな利点である。鉄筋の直径に合わせたウェブ幅にすることで、鉄筋のねじれを防ぐことができる。また、ウェブ幅は、鉄筋の直径よりも広くすることもできる。その場合は、鉄筋を包囲するような形になり、位置の安定化に好影響であると共に、強固な結束が得られる。
【0016】
本発明の1つの改良形態において、前記連結に必要な前記結束ワイヤー8の長さLは、連結される各鉄筋の直径に応じて変更される。これにより、結束ワイヤーの材料を節約できるだけでなく、形成されたワイヤーループのねじられた結束ワイヤー部分または自由端を常にできるだけ短く、つまり、できるだけ突出しないようにすることができる。
【0017】
複数の支持帯が間隔をあけて並列に配置され、該複数の支持帯に直交する向きに固定された複数の鉄筋が間隔をあけて並列に配置された一軸鉄筋メッシュを製造する本発明の方法は、
a)間隔をあけて並列に配置された支持帯の長軸に直交するように鉄筋を供給することにより、各鋼帯と各鉄筋の複数の交点が形成される工程、
b)前記支持帯に前記鉄筋を押し付けることにより、両者を密着させる工程、
c)前記交点の領域に結束ワイヤーを供給して前記鋼帯と前記鉄筋を包囲することにより、2本の結束ワイヤーストランドが片面に形成される工程、および
d)前記結束ワイヤーを一定の長さに切断し、前記2本の結束ワイヤーストランドをねじり合わせることにより、ねじり部が形成される工程
を含む。
【0018】
本発明の方法の1つの構成において、工程d)の後に、前記支持帯と前記鉄筋により規定される平面内に、または該平面の方向に、前記ねじり部を曲げる工程e)が実施される。
【0019】
本発明において、前記鉄筋を前記支持帯に押し付ける工程は、工程c)および/もしくは工程d)の前、該工程中、または該工程後に実施される。
【0020】
本発明の方法の1つの改良形態において、工程d)は、一定の長さに切断された前記結束ワイヤーの第2の自由端を曲げることを含む。
【0021】
本方法の1つの構成において、前記支持帯にガイドを導入する工程f)が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下、本発明について、例示的な実施形態の図を参照しながら、より詳細に説明する。ここで、同一の構成要素には同一の参照符号を付している。各図は以下の通りである。
【
図2】第1の状態にある本発明の装置の一実施形態を示した模式断面図である。
【
図3】第2の状態にある本発明の装置の一実施形態を示した模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、支持帯2(ここでは平坦で柔軟な鋼帯)と鉄筋4(ここでは棒状の鉄筋)の交点5の周りにある本発明の結束ワイヤーループを示したものである。支持帯2には、細長い穴17が見られ、細長い穴17同士の最短の端部間距離Aは、鉄筋4の直径Dより小さい。ここで、2つの細長い穴17は、結束ワイヤー8用の本発明のガイド14の一実施形態であり、開口部15の形態をしている。本発明の方法が実施されると、結束ワイヤー8は、2つの細長い穴17を通して誘導され、2本の結束ワイヤーストランド11がねじり合わされて、ねじり部18が形成される。本発明において、このねじり部18は曲げられるが、特に、支持帯2と鉄筋4が作る平面に対してほぼ平行に曲げられ、それにより、後でコンクリートから突出することを防ぎ、さらに使用者が怪我することを防ぐことができる。ここで、平面とは、厳密に数学的な2次元平面を意味するものではなく、支持帯2と鉄筋4とで形成される3次元平面を意味するものであると理解されたい。一軸鉄筋メッシュの支持帯2の幅は、該メッシュを安全な直線安定性で巻き出しできるように選択される。
【0024】
本発明において、鉄筋4は、直径が6mm~40mmのものから選択され、一軸鉄筋メッシュを構成する、並列に配置された鉄筋4間の距離は、一軸鉄筋メッシュの用途の要件に応じて自由に選択することができる。この選択は、長さ、位置、距離、直径、材質などに関してコンピュータ制御で最適化されたプランニングによって行われる。好ましくは、搬送安全性が確保されるように、隣接する2本の鉄筋4の間に最小限の距離が保たれている。
【0025】
細長い穴17の間にある支持帯2のウェブの端部間距離Aは、結束される鉄筋の直径Dに合わせて調整される。特に、端部間距離は、鉄筋の幅より小さいか、鉄筋の幅と同じである。これにより、支持帯2が、特に製造時に巻付けられる際に、曲げられたり、ねじれたりしても、結束が緩まないようになっている。端部間距離Aの寸法を適宜調整することにより、鉄筋4の直径Dが異なっても、常に強固な結束が得られる。また、鉄筋4の長軸に沿ったねじれも防ぐことができる。本発明において、この距離Aは、鉄筋の直径Dより大きくなるように選択されることもある。その場合は、鉄筋4を包囲するような形になり、位置の安定化に好影響であると共に、強固な結束が得られる。
【0026】
図2は、第1の動作状態にある本発明の一実施形態を示したものである。この動作状態において、鉄筋4は、既に複数の支持帯2上に供給されており、必要に応じて、支持帯に対して軸方向に配置されている。支持帯コンベア1および鉄筋コンベア3はそれぞれ、簡単に模式化されたものが示されており、交点5は図中の鉄筋4の下方に位置しており、丸みを帯びた結束ワイヤーガイドユニット10は交点5の下方に配置され、好ましくは支持帯2と鉄筋4を部分的に包囲している。結束ワイヤーコンベアユニット7が模式的に示されている。結束ワイヤーコンベアユニットにより、結束ワイヤー8が回転ユニット9を通って交点5の方向に送られる。本発明の連結ユニット6は、結束ワイヤーコンベア7と回転ユニット9と結束ワイヤーガイドユニット10という構成要素で構成されている。回転ユニット9は、U字型の本体を有し、その内部を通るように結束ワイヤー8が誘導される。
【0027】
この実施形態では、支持帯2は、模式的に示されたパンチングユニット19によって誘導され、このユニットによって、支持帯2に細長い穴17の形態のガイド14がその場で作成される。本発明において、ガイド14は、例えば、支持帯2の端部領域における三角形状または蟻溝状の凹部、特に、支持帯2の長軸に対して斜めに互いにオフセットされる凹部であってもよく、また、細長い穴とは異なる形状の開口部15とすることもできる。また、本発明において、製造時に既にガイド14が設けられている支持帯2が使用されることもある。
【0028】
表示されている動作状態は、連結前の状態である。ワイヤーループを形成するために、回転ユニット9と結束ワイヤーガイドユニット10は、互いに接近して閉じた状態になり、それにより、結束ワイヤー8が支持帯2と鉄筋4の交点5の下方にあるワイヤーガイドユニット10内に隙間なく送り込まれ、その後、供給された方向とは反対の方向に送り出される。送り出された後に固定される鉄筋4の直径Dに応じて特定の突出長さが選択される。
【0029】
図3は、堅く締められたワイヤーループを作ることで連結が行われる第2の動作状態を示したものである。回転ユニット9は、棒状断面よりも上方に持ち上げられている。ここでは、結束ワイヤーが、結束ワイヤー8の搬送方向から見て、回転ユニット9の手前に配置された切断具12としての刃13によって切断されている。このようにして形成された、好ましくは刃13の構造により形成されたワイヤーの第2の自由端は、同時に刃によって、好ましくは鉄筋2の方向へ曲げられる。回転ユニット9の回転中、ねじりによって突出したワイヤーの長さが短くなるためワイヤーが抜け出ることが想定されるが、この曲げられた端部により、ワイヤーが抜け出るのを防ぐための抵抗が生じる。そのため、結束が強固でしっかりとしたものになる。この抵抗に抗して回転することで、2本の結束ワイヤーストランド11がねじり合わされ、ねじれ部18が形成される。最終的には、この回転により、曲げられた端部は回転ユニット9の外に出る。強固な保持が解除され、鉄筋は自由な状態になる。本発明において、結束する際に、鉄筋と支持帯はさらに互いに押し付けられるため、緊密な位置に保持される。
【0030】
鉄筋がさらに搬送される際に、ねじり部18は突出しすぎないようにさらにねじられる。ねじりを加えない場合、結束部がコンクリートの上方に突出したり、怪我の原因となる可能性がある。
【符号の説明】
【0031】
1 支持帯コンベア
2 支持帯
3 鉄筋コンベア
4 鉄筋
5 交点
6 連結ユニット
7 結束ワイヤーコンベア
8 結束ワイヤー
9 回転ユニット
10 結束ワイヤーガイドユニット
11 結束ワイヤーストランド
12 切断具
13 刃
14 ガイド
15 開口部
16
17 細長い穴
18 ねじれ部
19 パンチングユニット
20 結束ワイヤー用通路
A 端部間距離
D 直径
【国際調査報告】