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特表2023-545806分散機能を有する重合体、ポリカルボン酸セメント分散剤、その製造方法及び使用
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  • 特表-分散機能を有する重合体、ポリカルボン酸セメント分散剤、その製造方法及び使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】分散機能を有する重合体、ポリカルボン酸セメント分散剤、その製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/04 20060101AFI20231024BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20231024BHJP
   C04B 24/26 20060101ALI20231024BHJP
   C04B 24/42 20060101ALI20231024BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
C08F220/04
C08F290/06
C04B24/26 B
C04B24/26 D
C04B24/26 E
C04B24/26 F
C04B24/42 Z
C04B24/26 Z
C04B28/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522522
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 CN2021112586
(87)【国際公開番号】W WO2022078046
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】202011092106.0
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515078501
【氏名又は名称】チャイナ ペトロレウム アンド ケミカル コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CHINA PETROLEUM & CHEMICAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】No.22 Chaoyangmen North Street, Chaoyang District, Beijing, 100728 China
(71)【出願人】
【識別番号】523052649
【氏名又は名称】シノペック ペトロレウム エンジニアリング テクノロジー リサーチ インスティテュート カンパニー, リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SINOPEC PETROLEUM ENGINEERING TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE CO., LTD
【住所又は居所原語表記】SINOPEC Science and Technology Research Center, No.197 Baisha Road, Changping District, Beijing 102206, China
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】ミャオ,シァ
(72)【発明者】
【氏名】ヂョウ,シーミン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ハオグァン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,グァングォ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,リーシュアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チーチュン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ムー
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シァオジン
(72)【発明者】
【氏名】ゼン,ミン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,ジィアン
(72)【発明者】
【氏名】リー,シァオジィアン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,シュェポン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,ハオヤー
【テーマコード(参考)】
4G112
4J100
4J127
【Fターム(参考)】
4G112MD01
4G112PB28
4G112PB29
4G112PB31
4G112PB41
4G112PC03
4J100AB07P
4J100AE18Q
4J100AE26Q
4J100AJ02P
4J100AJ08P
4J100AJ09P
4J100AM21P
4J100AP01P
4J100AP16R
4J100BA08Q
4J100BA56P
4J100BA71R
4J100BA72R
4J100BA77R
4J100CA05
4J100DA01
4J100DA09
4J100FA03
4J100FA04
4J100FA19
4J100JA67
4J127AA04
4J127BA041
4J127BA051
4J127BB021
4J127BB101
4J127BB221
4J127BC021
4J127BC131
4J127BD221
4J127BF171
4J127BG141
4J127BG362
4J127CA02
4J127CB012
4J127CB121
4J127CB201
4J127CC151
4J127CC352
4J127EA07
4J127FA52
(57)【要約】
本発明は分散機能を有する重合体、その製造方法及びセメント分散剤としての使用を提供する。該重合体は構造単位aと、構造単位bと、構造単位cと、を含有し、前記構造単位aは不飽和ポリエーテルに由来し、前記構造単位bは不飽和酸及び/又はその塩及び/又はその酸無水物に由来し、前記構造単位cは重合性基を含有する炭素数5以上のシラン及び/又はシロキサンに由来し、構造単位a、構造単位b及び構造単位cのモル比が1:(1~20):(0.01~0.5)であり、前記重合体の重量平均分子量が20000~90000である。従来技術と比較して、本発明による重合体及び分散剤は、高い酸使用量を確保して分散性を高く保つとともに、ポリカルボン酸の凝結遅延性を大幅に低減させ、特に120℃よりも高い高温でも凝結遅延性がない。また、本発明による分散剤は他の外添の添加剤との配合性に優れている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散機能を有する重合体であって、
構造単位aと、構造単位bと、構造単位cと、を含有し、前記構造単位aは不飽和ポリエーテルに由来し、前記構造単位bは不飽和酸及び/又はその塩及び/又はその酸無水物に由来し、前記構造単位cは重合性基を含有する炭素数5以上のシラン及び/又はシロキサンに由来し、構造単位a、構造単位b及び構造単位cのモル比が1:(1~20):(0.01~0.5)であり、
前記重合体の重量平均分子量が20000~90000であることを特徴とする重合体。
【請求項2】
前記構造単位a、構造単位b及び構造単位cのモル比が1:(4~12):(0.05~0.3)であり、前記重合体の重量平均分子量が25000~55000である請求項1に記載の重合体。
【請求項3】
前記重合性基は炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、エポキシ基のうちの1種又は複数種であり、好ましくは、前記構造単位cは式(I)で表される構造を有する請求項1又は2に記載の重合体。
【化1】
(式(I)中、R、R、R、R’、及びR’は、それぞれ独立して、H、C1~C4のアルキル基から選択され、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、C1~C4のアルキル基又はアルコキシ基から選択され、nは5~25の整数であり、
さらに好ましくは、R、R、R、R’、及びR’は、それぞれ独立して、H、C1~C2のアルキル基から選択され、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基から選択され、nは8~18の整数である。)
【請求項4】
前記シラン及び/又はシロキサンは7-オクテニルトリメトキシシラン、ビニールドデシルトリメトキシシラン、ビニールヘキサデシルトリメトキシシラン、ビニールオクタデシルトリメトキシシランのうちの少なくとも1種である請求項1~3のいずれか1項に記載の重合体。
【請求項5】
櫛状構造を有し、
好ましくは、ランダム共重合体であって、DSCピークが単ピークである請求項1~4のいずれか1項に記載の重合体。
【請求項6】
前記不飽和ポリエーテルは式(2)で表される構造を有し、
好ましくは、前記不飽和ポリエーテルは、メチルアリルポリオキシエチレンエーテル、メチルアリルポリオキシプロピレンエーテル、イソペンテニルポリオキシエチレンエーテル及びイソブテニルポリオキシエチレンエーテルから選択される少なくとも1種である請求項1~5のいずれか1項に記載の重合体。
【化2】
(式(2)中、
Eは炭素数2~4のアルキレン基を表し、
FはE以外の炭素数2~4のアルキレン基を表し、
及びRは、それぞれ独立して、H又は炭素数1~5のアルキル基、好ましくはメチル基を表し、
は炭素数1~4のアルキル基を表し、
Yは炭素数1~5のアルキレン基を表し、
pは0~200の整数、好ましくは20~140を表し、
qは0~200の整数、好ましくは20~140を表し、
p+q>10好ましくはp+q≧40である。)
【請求項7】
前記不飽和酸は、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、ビニルリン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸及びプロペニルスルホン酸から選択される少なくとも1種である請求項1~6のいずれか1項に記載の重合体。
【請求項8】
120℃以上の温度における増粘指数が1.5以下、好ましくは1~1.35であり、110℃、24hの圧縮強度指数が0.8以上、好ましくは0.95~1.1、より好ましくは1.0~1.1であり、85℃におけるコンシステンシー係数が0.8以下、好ましくは0.4~0.75であり、85℃における液性指数nが0.6以上、好ましくは0.7~0.95であるポリカルボン酸セメント分散剤。
【請求項9】
150℃における増粘指数が0.95~1.5、好ましくは0.98~1.2である請求項8に記載のポリカルボン酸セメント分散剤。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか1項に記載の重合体を含有し、該ポリカルボン酸セメント分散剤の全量に対して、重合体の含有量は10~90重量%、好ましくは20~40重量%である請求項8又は9に記載のポリカルボン酸セメント分散剤。
【請求項11】
溶液重合の条件で、開始剤の存在下、モノマー混合物を水にて重合反応させるステップを含むポリカルボン酸セメント分散剤の製造方法であって、
前記モノマー混合物はモノマーAと、モノマーBと、モノマーCと、を含有し、前記モノマーAは不飽和ポリエーテルであり、前記モノマーBは不飽和酸及び/又はその酸無水物及び/又はその塩であり、前記モノマーCは重合性基を含有する炭素数5以上のシラン及び/又はシロキサンであり、前記モノマー混合物において、前記モノマーA、モノマーB及びモノマーCのモル比が1:(1~20):(0.01~0.5)であり、重合条件は得られた重合体の重量平均分子量を20000~90000にすることを特徴とする製造方法。
【請求項12】
前記重合性基は炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、エポキシ基のうちの1種又は複数種であり、好ましくは、前記シランカップリング剤は式(I)で表される構造を有する請求項11に記載の方法。
【化3】
(式(I)中、R、R、R、R’、及びR’、は、それぞれ独立して、H、C1~C4のアルキル基から選択され、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、C1~C4のアルキル基又はアルコキシ基から選択され、nは5~25、好ましくは8~18の整数である。)
【請求項13】
前記モノマーA、モノマーB及びモノマーCのモル比が1:(4~12):(0.05~0.3)である請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記不飽和ポリエーテルは式(2)で表される構造を有し、
好ましくは、前記不飽和ポリエーテルは、メチルアリルポリオキシエチレンエーテル、メチルアリルポリオキシプロピレンエーテル、イソペンテニルポリオキシエチレンエーテル及びイソブテニルポリオキシエチレンエーテルから選択される少なくとも1種である請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【化4】
(式(2)中、
Eは炭素数2~4のアルキレン基を表し、
FはE以外の炭素数2~4のアルキレン基を表し、
及びRは、それぞれ独立して、H又は炭素数1~5のアルキル基、好ましくはメチル基を表し、
は炭素数1~4のアルキル基を表し、
Yは炭素数1~5のアルキレン基を表し、
pは0~200の整数、好ましくは20~140を表し、
qは0~200の整数、好ましくは20~140を表し、
p+q>10好ましくはp+q≧40である。)
【請求項15】
前記不飽和酸は、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、ビニルリン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸及びプロペニルスルホン酸から選択される少なくとも1種である請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記重合反応の条件は、温度が40~80℃、好ましくは50~70℃であること、時間が1~10時間、好ましくは2~5時間であることを含む請求項11~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記開始剤は、アスコルビン酸、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム及び亜ジチオン酸ナトリウムから選択される少なくとも1種であり、
好ましくは、前記開始剤の含有量は前記モノマー混合物の全量の0.1~1重量%を占める請求項11~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記重合反応は酸化剤及び/又は連鎖移動剤の存在下で行われ、
前記酸化剤は、オキシドール、過酢酸、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウムから選択される少なくとも1種であり、
及び/又は、前記連鎖移動剤は、チオグリコール酸及び/又は3-メルカプトプロピオン酸から選択される請求項11~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
請求項11~18のいずれか1項に記載の方法で製造されたポリカルボン酸セメント分散剤。
【請求項20】
請求項1~7のいずれか1項に記載の重合体、請求項8~10及び請求項19のいずれか1項に記載のポリカルボン酸セメント分散剤の、セメンチング用セメントスラリーにおける使用であって、好ましくは、120℃以上の高温井における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は2020年10月13日に提出された中国特許出願202011092106.0の利益を主張しており、当該出願の内容は引用によりここに組み込まれている。
【0002】
本発明はセメンチングの技術分野に関し、具体的には、分散機能を有する重合体、ポリカルボン酸セメント分散剤、その製造方法及びセメントセメンチングにおけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
セメンチング作業では、ケーシングと立坑の間の環状空間にセメントスラリーを圧送する必要があり、圧送されたセメントスラリーには良好な流動性が求められるが、実際の施工では、特に高温、高圧、複雑な井戸のセメンチング施工において、セメンチングのニーズに合わせるために、例えば凝結遅延剤、逸水抑制剤、密度向上剤、ラテックス材料など、多くの添加剤や混和材をセメントスラリーに添加する必要があり、その結果として、スラリーの流動性が悪くなり、圧送が困難になる。そのため、一定の水セメント比の条件下で、セメントスラリーの粘度が低下し、流動性が向上し、低速での乱流注入が可能となるように、セメントスラリーに分散剤を添加することが必要となることが多い。
【0004】
現在、中国の国内外の油井セメントスラリー分散剤は主にスルホン化アルデヒドケトン重縮合物分散剤であり、70年代に登場して以来、油田で広く使用されているが、油井セメントの他の助剤の発展や環境保護基準の更なる向上に伴い、このような分散剤の欠点が明らかになった。1、新規助剤と配合できない。2、複雑な粒子(ラテックス、ゴム粒子など)を添加したセメントスラリーに対して、その分散効率が低い。3、その原料にホルムアルデヒドが含まれており、現在は生産が制限されている。
【0005】
現在、ポリカルボン酸系減水剤は建築業界で一般的に使用されており、ポリカルボン酸系減水剤の特許も主に建築業界に保有されている。近年、油井セメントの業界でも、スルホン化アルデヒドケトン重縮合物分散剤の代わりにポリカルボン酸系分散剤の導入が試みられている。しかし、建築業界のポリカルボン酸減水剤は耐熱性、配合性の問題により、油井セメントの業界に直接使用できない。油井セメントの業界を対象としたポリカルボン酸系分散剤(建築業界では減水剤となっている)の特許は多くないが、ポリカルボン酸系分散剤は高温耐性の問題のほか、油井セメント専用の凝結遅延剤、逸水抑制剤、早強剤などに配合できないという問題も解決されにくいためである。現在、中国国外のポリカルボン酸系分散剤は耐えられる温度が一般的に120℃より低く、しかも所定の逸水抑制剤と一緒に使用する必要がある。そのため、実際の生産には、既存のスルホン化アルデヒドケトン重縮合物分散剤の代わりに、耐高温で、高効率で、環境に優しく、配合性の良いポリカルボン酸系分散剤が期待される。
【0006】
CN105754045Aは、シランカップリング剤変性ポリカルボン酸減水剤及びその製造方法を開示しており、製造の上限温度が45℃であることが全ての実施例において言及されている。具体的なステップは以下のとおりであり、原料の部数は重量部である。1)ポリエーテルマクロモノマー350部を反応容器に入れ、アクリル酸を5~15部加えて均一に撹拌した後、二重結合含有シランカップリング剤を0.5~5部加えて、明らかな塊状物や片状物がない溶液になるまで撹拌し、前記ポリエーテルマクロモノマーは、メチルアリルポリオキシエチレンエーテル、イソペンテニルアルコールポリオキシエチレンエーテル、変性イソペンテニルアルコールポリオキシエチレンエーテルの1種又は複数種である。2)ステップ1)で得られた溶液に、酸化剤2.5~6部、開始剤2.5~3.5部、マイクロモノマー20~37部を撹拌しながら順次滴下し、マイクロモノマー溶液の滴下時間を1~4時間とし、前記マイクロモノマーは、アクリル酸、メタクリルスルホン酸ナトリウム、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸の1種又は複数種である。3)ステップ2)の溶液を1~2h熟成させた後、液アルカリを加えて中和し、pHを6に安定化し、さらに二重結合を含まないシランカップリング剤を1~3部加えて均一に撹拌する。この特許出願により製造された減水剤は、反応温度が高くないことと、使用する小分子に2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を使用していることから、分散能力が高くない。
【0007】
CN107245131Aは、アミノポリエーテル末端基をシリル化してスランプロス低減型ポリカルボン酸減水剤を製造する方法を開示しており、シランカップリング剤、ポリエーテル系化合物、不飽和カルボン酸系モノマーなどを主な反応原料とし、ポリカルボン酸減水剤は、まず加水分解し、次いでウィリアムソンエーテル化し、縮合し、次いで共重合する方法により製造され、すなわち、ハロゲン化シランカップリング剤が先に加水分解され、ポリエーテル系化合物とウィリアムソンエーテル化反応を起こし、エーテル化物とアルケニルシランカップリング剤加水分解物とが縮合した後、縮合生成物が不飽和ポリオキシエチレンエーテル、分子量調整剤及び不飽和カルボン酸系モノマーを開始剤の作用の下でラジカル共重合反応させることにより、シランカップリング剤変性ポリエーテル側鎖を複数有するポリカルボン酸減水剤が製造される。しかし、この製造方法は複雑である。
【0008】
CN108250370Aは、ポリカルボン酸及びセメントにおけるその使用を開示しており、このポリカルボン酸は不飽和ポリエーテル系モノマー、不飽和カルボン酸系モノマー、機能性モノマーなどを主な反応原料としており、その中で、機能性モノマーとしては、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが記載されているが、その使用量はポリエステルモノマーのモル比で0~5、好ましくは0.5~4であり、油井セメントの高温使用環境下で、この好ましい添加量のシラン合成ポリカルボン酸を油井セメントスラリーに添加すると、高温(70~150℃、特に120℃以上)で使用すると、凝結実験で凝結曲線が膨らんでしまい、酷い場合には使用不能となる。
【0009】
文献「シラン官能基含有ポリカルボン酸減水剤のセメントスラリーの流動性と力学特性への影響」(孔祥明ら、ケイ酸塩学報、第42巻第5号、2014年5月)では、KH570、アクリル酸(AA)モノマー、マクロモノマーHPEGを用いてラジカル重合によりシラン変性ポリカルボン酸減水剤を合成し、セメントモルタルの強度発現に与える影響を評価した。この減水剤はスランプ保持性、適応性が悪く、しかもHPEGは夏季に変質しやすく、保存しにくい。
【0010】
そのため、分散性が良く、凝結が遅延しない分散剤が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術に存在する上記の問題に対して、本発明は、耐高温性、優れた分散能力及び大幅に低下させた凝結遅延性を有し、特に120℃よりも高い高温でも凝結遅延性がなく、120~180℃の条件では他の油井セメント添加剤と配合して使用される場合に優れた分散能力を有し、しかも、原料、生産や使用が環境にやさしく、スルホン化アルデヒドケトン重縮合物分散剤では効率が低く、汚染が深刻で、ポリカルボン酸系分散剤では耐熱性が劣るという欠点を解決する新規油井セメント分散剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1態様は、
分散機能を有する重合体であって、
構造単位aと、構造単位bと、構造単位cと、を含有し、前記構造単位aは不飽和ポリエーテルに由来し、前記構造単位bは不飽和酸及び/又はその塩及び/又はその酸無水物に由来し、前記構造単位cは重合性基を含有する炭素数5以上のシラン及び/又はシロキサンに由来し、構造単位a、構造単位b及び構造単位cのモル比が1:(1~20):(0.01~0.5)であり、前記重合体の重量平均分子量が20000~90000である重合体を提供する。
【0013】
本発明の第2態様は、
溶液重合の条件で、開始剤の存在下、モノマー混合物を水にて重合反応させるステップを含むポリカルボン酸セメント分散剤の製造方法であって、
前記モノマー混合物はモノマーAと、モノマーBと、モノマーCと、を含有し、前記モノマーAは不飽和ポリエーテルであり、前記モノマーBは不飽和酸及び/又はその酸無水物及び/又はその塩であり、前記モノマーCは重合性基を含有する炭素数5以上のシラン及び/又はシロキサンであり、前記モノマー混合物において、前記モノマーA、モノマーB及びモノマーCのモル比が1:(1~20):(0.01~0.5)であり、重合条件は得られた重合体の重量平均分子量を20000~90000にする製造方法を提供する。
【0014】
本発明の第3態様は、前述重合体又は前述方法で製造された分散剤の、セメンチング用セメントスラリーにおける使用を提供する。
【発明の効果】
【0015】
従来技術と比較して、本発明による重合体及び分散剤は、疎水性長鎖を有するシロキサン(例えば炭素原の長さが5~25)により、高い酸使用量を確保して分散性を高く保つとともに、ポリカルボン酸の凝結遅延性を大幅に低減させ、特に120℃よりも高い高温でも凝結遅延性がなく、また、本発明による分散剤は他の外添の添加剤との配合性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1で製造された重合体のゲルクロマトグラフィー分析図である。
図2】実施例1で製造された重合体の赤外スペクトルである。
図3】実施例1で製造された重合体の核磁気共鳴水素スペクトルである。
図4】実施例1で製造された重合体の熱重量分析図である。
図5】実施例1で製造された重合体のDSCスペクトルである。
図6】実施例1で製造された分散剤の表3のセメントスラリーにおける150℃での増粘リニアチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書で開示される範囲の端点及び任意の値は、この正確な範囲又は値に限定されず、これらの範囲又は値はこれらの範囲又は値に近い値を含む値と理解されるべきである。数値範囲の場合、各範囲の端点値の間、各範囲の端点値と個々のポイント値の間、及び個々のポイント値の間は、互いに組み合わされて1つ又は複数の新しい数値範囲を得ることができ、これらの数値範囲は、本明細書で具体的に開示されるものとみなされるべきである。
【0018】
本発明の第1態様は、
分散機能を有する重合体であって、
構造単位aと、構造単位bと、構造単位cと、を含有し、前記構造単位aは不飽和ポリエーテルに由来し、前記構造単位bは不飽和酸及び/又はその塩及び/又はその酸無水物に由来し、前記構造単位cは重合性基を含有する炭素数5以上のシラン及び/又はシロキサンに由来し、構造単位a、構造単位b及び構造単位cのモル比が1:(1~20):(0.01~0.5)であり、前記重合体の重量平均分子量が20000~90000である重合体を提供する。
【0019】
本発明では、前記重合性基は所定の条件で他のモノマーと結合反応を起こし得る各種の基、例えば炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、エポキシ基のうちの1種又は複数種であってもよい。
【0020】
好ましくは、前記シラン及び/又はシロキサンは式(I)で表される構造を有する。
【化1】
(式(I)中、R、R、R、R’、及びR’は、それぞれ独立して、H、C1~C4のアルキル基から選択され、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、C1~C4のアルキル基又はアルコキシ基から選択され、nは5~25の整数、好ましくは8~18の整数である。)
【0021】
本発明に使用されるシラン及び/又はシロキサンは不飽和二重結合を含む炭素数7以上のシラン又はシロキサンであり、ここで、nは8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25であってもよい。
【0022】
本発明では、C1~C4のアルキル基はメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基であってもよい。
【0023】
本発明では、C1~C4のアルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基であってもよい。
【0024】
本発明に使用されるシラン及び/又はシロキサンは、例えばビニールオクタデシルトリメトキシシラン(すなわち、式(I)中、nは18、下同)、ビニールヘキサデシルトリメトキシシラン、ビニールテトラデシルトリメトキシシラン、ビニールドデシルトリメトキシシラン、ビニールデシルジメトキシシラン、ビニールオクチルジメトキシシラン、7-オクテニルトリメトキシシラン、ビニールヘキシルジメトキシシラン、ビニールオクタデシルジメトキシシラン、ビニールヘキサデシルジメトキシシラン、ビニールテトラデシルジメトキシシラン、ビニールドデシルジメトキシシラン、ビニールデシルジメトキシシラン、ビニールオクチルジメトキシシラン、ビニールヘキシルジメトキシシラン、ビニールオクタデシルトリメチルシラン、ビニールヘキサデシルトリメチルシラン、ビニールテトラデシルトリメチルシラン、ビニールドデシルトリメチルシラン、ビニールデシルトリメチルシラン、ビニールオクチルトリメチルシラン、ビニールヘキシルトリメチルシラン、ビニールオクタデシルジメチルシラン、ビニールヘキサデシルジメチルシラン、ビニールテトラデシルジメチルシラン、ビニールドデシルジメチルシラン、ビニールデシルジメチルシラン、ビニールオクチルジメチルシラン、ビニールヘキシルジメチルシラン、プロペニルオクタデシルトリメトキシシラン、プロペニルヘキサデシルトリメトキシシラン、プロペニルテトラデシルトリメトキシシラン、プロペニルドデシルトリメトキシシラン、プロペニルデシルジメトキシシラン、プロペニルオクチルジメトキシシラン、プロペニルヘキシルジメトキシシラン、プロペニルオクタデシルジメトキシシラン、プロペニルヘキサデシルジメトキシシラン、プロペニルテトラデシルジメトキシシラン、プロペニルドデシルジメトキシシラン、プロペニルデシルジメトキシシラン、プロペニルオクチルジメトキシシラン、プロペニルヘキシルジメトキシシラン、プロペニルオクタデシルトリメチルシラン、プロペニルヘキサデシルトリメチルシラン、プロペニルテトラデシルトリメチルシラン、プロペニルドデシルトリメチルシラン、プロペニルデシルトリメチルシラン、プロペニルオクチルトリメチルシラン、プロペニルヘキシルトリメチルシラン、プロペニルオクタデシルジメチルシラン、プロペニルヘキサデシルジメチルシラン、プロペニルテトラデシルジメチルシラン、プロペニルドデシルジメチルシラン、プロペニルデシルジメチルシラン、プロペニルオクチルジメチルシラン、プロペニルヘキシルジメチルシランのうちの1種又は複数種であってもよい。
【0025】
本発明では、前記構造単位aは不飽和ポリエーテルに由来するとは、不飽和ポリエーテルの二重結合が開いて重合してなる構造単位モードを意味する。残りは同様である。
【0026】
本発明では、前記重合体の重量平均分子量が好ましくは25000~55000である。重量平均分子量はGPC方法によって測定される。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記構造単位a、構造単位b及び構造単位cのモル比が1:(4~12)(0.05~0.3)である。
【0028】
本発明の重合体においては、シラン及び/又はシロキサンの使用量が小さいので、使用量が大きい場合に発生し得るシリル基やシロキシ基の架橋を効果的に回避し、これによって、本発明の重合体がセメント分散剤として使用される場合、セメントスラリーの増粘を効果的に防止できる。
【0029】
本発明では、前記構造単位a、構造単位b及び構造単位cの存在やそれらのモル含有量は赤外分光法とH-NMRを組み合わせた方法によって測定され得る。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記重合体は櫛状構造を有する。櫛状構造とは、炭素-炭素二重結合が重合してなる構造を骨格構造とし、各構造単位と炭素-炭素二重結合とが連結された構造が櫛歯のような垂れ下がり構造となるものである。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記重合体はランダム共重合体である。本発明の重合体がランダム共重合体であることは該重合体のDSCが単ピークであることにより確認できる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記不飽和ポリエーテルは式(2)で表される構造を有する。
【化2】
(式(2)中、
Eは炭素数2~4のアルキレン基、例えばエチレン基-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCH(CH)-、-CHC(CH-、-CH(CH)CH(CH)-を表し、
FはE以外の炭素数2~4のアルキレン基を表し、
及びRは、それぞれ独立して、H又は炭素数1~5のアルキル基、好ましくはメチル基を表し、
はC1~C4のアルキル基を表し、
Yは炭素数1~5のアルキレン基を表し、
pは0~200の整数、好ましくは20~140を表し、
qは0~200の整数、好ましくは20~140を表し、
p+q>10好ましくはp+q≧40である。)
【0033】
本発明では、炭素数1~5のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基であってもよい。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記不飽和ポリエーテルは、メチルアリルポリオキシエチレンエーテル(HPEG)、メチルアリルポリオキシプロピレンエーテル、イソペンテニルポリオキシエチレンエーテル(TPEG)及びイソブテニルポリオキシエチレンエーテルから選択される少なくとも1種である。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記不飽和カルボン酸は式(II)で表される構造を有する。
【化3】
(式(II)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、C1~C6アルキル基及び-COOHから選択され、Xは(CHであり、nは0、1、2、3、4、5又は6である。)
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によれば、「不飽和酸又はその塩又はその酸無水物」とは、不飽和酸、又は不飽和酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩若しくは不飽和酸の酸無水物である。好ましくは、前記不飽和酸は、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、ビニルリン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸及びプロペニルスルホン酸から選択される少なくとも1種である。
【0037】
本発明では、重合体中の各構造単位の含有量及び重合体の構造特徴は従来技術における常法によって測定されてもよく、特徴付けは例えば赤外分光法、核磁気、ゲルクロマトグラフィー、TGA-DSCなどによって行われる。具体的には、例えば、赤外分光分析法では、3442cm-1及び1110cm-1は不飽和ポリエーテルモノマー(例えばTPEG)の-OH及び-C-O-C-に対応し、2882cm-1は-CHに対応し、1593cm-1は不飽和酸(例えばアクリル酸)の-COO-に対応し、1465cm-1及び2882cm-1は長直鎖シラン及び/又はシロキサンの長鎖中の-CH-に対応し、1347cm-1は-Si-C-に対応し、1100cm-1は-C-O-又は-Si-O-に対応し、また、1645~1620cm-1の間には吸収ピークがないことは「-C=C-」が残っていないことを示す。水素核磁気スペクトルにおける各位置のピークの面積によって、各構造単位の含有量及び長直鎖シラン及び/又はシロキサンの長鎖中の-CH-の数の定量化が可能となる。
【0038】
熱重量(TGA)分析においては、ピークに対応する温度が重合体の熱安定性を表す。
【0039】
重合体の分子量及びその分布はゲルクロマトグラフィー(GPC)分析によって測定される。
【0040】
上記の重合体はセメント分散剤として機能することができ、セメントスラリーの性能は分散剤の使用量を調整することにより最良になり、該ポリカルボン酸セメント分散剤は120℃以上の温度における増粘指数が1.5以下、好ましくは1~1.35であり、110℃、24hの圧縮強度指数は0.8以上、好ましくは0.95~1.1、より好ましくは1.0~1.1であり、85℃におけるコンシステンシー係数は0.8以下、好ましくは0.4~0.75であり、85℃における液性指数nは0.6以上、好ましくは0.7~0.95である。本発明による重合体は、セメント分散剤として使用される場合、120℃では制御可能な凝結遅延性及び他の添加剤との配合性を有するだけではなく、温度が高いほど、凝結遅延制御性に優れ、増粘時間が短く、例えば150℃における増粘指数は0.95~1.5、好ましくは0.98~1.2に達し得るので、高温作業環境に特に適している。
【0041】
本発明では、増粘指数とは、セメント分散剤を添加した後のセメントペーストとセメント分散剤を添加する前のセメントペーストの増粘時間の比である。ここで、セメントペーストは各種のセメンチング用セメントと水とを混合して得たスラリーであってもよい。
【0042】
本発明では、増粘時間、コンシステンシー係数K、液性指数n及び圧縮強度はすべてGB/T 19139-2003標準に準じて測定される。
【0043】
上記のデータから明らかなように、本発明による重合体は、ポリカルボン酸セメント分散剤として使用される場合、高温ではほぼ凝結遅延性を備えず、このため、様々な用途のニーズを満たすことができ、例えば、セメンチング、一般的な建築など、凝結遅延を必要とする又は凝結遅延を必要としないセメントの適用場面に適用できる。
【0044】
好ましくは、該ポリカルボン酸セメント分散剤の全量を基準にして、重合体の含有量は10~90重量%、好ましくは20~40重量%である。ここで、ポリカルボン酸セメント分散剤の全量は重合反応に用いられる溶媒の量を含む。
【0045】
好ましくは、該ポリカルボン酸セメント分散剤の固形分に対して、重合体の含有量は90重量%以上、好ましくは95重量%以上である。
【0046】
本発明の第2態様は分散剤の製造方法を提供し、該方法は、溶液重合の条件で、開始剤の存在下、モノマー混合物を水にて重合反応させるステップを含み、前記モノマー混合物はモノマーAと、モノマーBと、モノマーCと、を含有し、前記モノマーAは不飽和ポリエーテルであり、前記モノマーBは不飽和酸であり、前記モノマーCは重合性基を含有する炭素数5以上のシラン及び/又はシロキサンであり、前記モノマー混合物において、前記モノマーA、モノマーB及びモノマーCのモル比が1:(1~20):(0.01~0.5)であり、重合条件は得られた重合体の重量平均分子量を20000~90000、好ましくは25000~55000にする。
【0047】
前記モノマーA、モノマーB及びモノマーCのモル比が1:(4~12):(0.05~0.3)である。
【0048】
モノマーA、モノマーB及びモノマーCについては、以上で説明したため、ここでは詳しく説明しない。
【0049】
本発明では、前記シランカップリング剤は本分野における常法を参照して製造することができ、例えば、まず、式(I’)で表される構造を有するグリニャール試薬とテトラクロロシランとを反応させて長鎖クロロシランを得て、次に、得た長鎖クロロシランをアルコール分解して、本発明のシランカップリング剤を得る。ここで、シランカップリング剤の製造条件は特に限定がなく、本発明のニーズを満たせばよい。
【化4】
式(I’)中、R、R、R、R’、R’、R、R、R及びnは式(I)の定義と同じである。又は、長鎖クロロシランとグリニャール試薬(炭化水素基ハロゲン化マグネシウム(R-MgX))とを反応させることにより得られ、例えばCl(CH16SiH(CH+HC=CH-CHMgCl → HC=CH-CH-(CH16SiH(CH+MgCl反応により対応する長鎖シランを得る。
【0050】
該長鎖シランは自作されてもよいが、具体的な反応条件は当業者に公知のことであるため、ここでは詳しく説明しない。特に断らない限り、本発明の実施例に使用されるシランカップリング剤は上記の公知方法により製造される。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記重合反応条件は、温度が40~80℃、好ましくは50~70℃であること、時間が1~10時間、好ましくは2~8時間であることを含む。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記開始剤は、オキシドール-アスコルビン酸(酸化剤-還元剤)、亜硫酸水素ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム及び亜ジチオン酸ナトリウムから選択される少なくとも1種であり、前記酸化剤は、オキシドール、過酢酸、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウムから選択される少なくとも1種である。好ましくは、前記オキシドールの濃度が25~35重量%である。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記開始剤の含有量は前記モノマー混合物の全量の0.01~2重量%、好ましくは0.1~1重量%である。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記重合反応は連鎖移動剤の存在下で行われる。前記連鎖移動剤の使用量は特に限定されず、本発明のニーズを満たせばよく、例えば、前記連鎖移動剤の含有量は前記モノマー混合物の全量の0.01~2重量%である。
【0055】
本発明では、前記連鎖移動剤は、チオグリコール酸及び/又は3-メルカプトプロピオン酸から選択される。
【0056】
本発明では、前記重合反応後にさらなる後処理を行わずに、重合後の材料(溶媒含有)をそのままセメントスラリー分散剤として使用することができる。ただし、関連する構造の特徴付けを行う際には、特徴付けの要件に応じて重合体について対応する精製処理を行ってもよい。
【0057】
本発明の好ましい実施形態によれば、自己重合及び爆発的重合を防止し、櫛状構造をより均一且つ規則的にするために、本発明の方法の具体的な操作は、酸化剤を含有する溶液、不飽和酸又はその塩又はその酸無水物を含有する溶液、シランカップリング剤(重合性基を含有する炭素数5以上のシラン及び/又はシロキサン)、開始剤と連鎖移動剤を含有する溶液をそれぞれ不飽和ポリエーテルの溶液に同時に滴下し、重合の条件で重合反応させることを含む。
【0058】
本発明では、滴下方式を採用する場合、上記の重合反応時間は滴下時間を含み、つまり、重合反応時間は滴下開始から起算する。好ましくは、重合をより十分に行うために、材料の滴下が完了した後、保温反応を0.5~1.5時間持続する。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態によれば、不飽和酸及び/又はその塩及び/又はその酸無水物を含有する溶液の滴下時間は2~4時間であり、前記シランカップリング剤と不飽和ポリエーテルの溶液の滴下時間は2~4時間であり、開始剤と連鎖移動剤を含有する溶液と不飽和ポリエーテルの溶液の滴下時間は2.5~4.5時間である。
【0060】
本発明では、酸化剤を含有する溶液において、酸化剤の濃度は9~40重量%である。
【0061】
本発明では、不飽和酸及び/又はその塩及び/又はその酸無水物を含有する溶液において、不飽和酸及びその塩と酸無水物の溶液の総濃度は2~80重量%である。
【0062】
本発明では、開始剤と連鎖移動剤を含有する溶液において、開始剤の濃度は1~10重量%、連鎖移動剤の濃度は1~10重量%、好ましくは2~6重量%である。
【0063】
本発明では、不飽和ポリエーテルの溶液において、不飽和ポリエーテルの濃度は10~60重量%である。
【0064】
本発明では、酸化剤を含有する溶液、不飽和酸及び/又はその塩及び/又はその酸無水物を含有する溶液、開始剤と連鎖移動剤を含有する溶液、不飽和ポリエーテルモノマーの溶液における溶媒は水であってもよい。
【0065】
本発明のより好ましい実施形態によれば、前記方法は、
(1)不飽和ポリエーテルと脱イオン水を反応釜に加えて、均一になるまで十分に撹拌するステップと、
(2)昇温をはじめ、50~70℃に昇温すると、反応終了まで保温するステップと、
(3)酸化剤又は開始剤を脱イオン水に加えて、均一に撹拌した後、反応釜に加えるステップと、
(4)還元剤又は開始剤と連鎖移動剤との混合水溶液を調製するステップであって、還元剤又は開始剤と連鎖移動剤を脱イオン水に加えて、十分に撹拌して溶解するステップと、
(5)不飽和酸及び/又はその塩及び/又はその酸無水物の水溶液を調製するステップであって、不飽和酸及び/又はその塩及び/又はその酸無水物を脱イオン水に加えて、十分に撹拌して溶解するステップと、
(6)不飽和酸及び/又はその塩又は及び/又はその酸無水物の水溶液、シラン及び/又はシロキサンと、開始剤と連鎖移動剤との混合水溶液とを同時に滴下し、最初の2種類の材料を2~4時間滴下し、開始剤と連鎖移動剤との混合水溶液の滴下時間を2.5~4.5時間とするステップと、
(7)滴下終了後、さらに0.5~1時間保温して撹拌し、降温して材料を排出するステップと、を含む。
【0066】
本発明は、さらに、上記の製造方法で製造される油井セメント分散剤を提供する。前記のように、本発明による分散剤は、優れた分散性及び低い凝結遅延性を有し、他の助剤と配合して、様々な場面に用いられて、各種の目的を達成できる。
【0067】
本発明では、前記分散剤の使用量は好ましくはセメントスラリーの重量の0.1~5%である。
【0068】
発明の効果
本発明の有益な効果は少なくとも以下のとおりである。
1、本発明による分散機能を有する重合体は、長直鎖シラン又はシロキサン構造単位を含有するので、アンカー部位を増やすとともに、同吸着量のカルボン酸による凝結遅延作用を低減させることができ、よって、分散剤として使用される場合、単にカルボン酸基を吸着基とした分散剤と比べて、優れた分散性及び大幅に低下させた凝結遅延性を有し、炭素数5未満の一般的な短鎖シランカップリング剤と比べて、凝結遅延性がより低下し、さらに凝結遅延がなく、他の助剤、例えば逸水抑制剤、凝結遅延剤によく配合できるという優位性がある。該分散剤はセメント粒子の凝集を効果的に防止し、セメントスラリーの流動性を改善することができ、適用温度が150℃まで達する。
2、本発明の分散剤はポリエーテルマクロモノマーを骨格とし、得られたポリカルボン酸系分散剤は櫛状構造であり、分散効率を顕著に高めるとともに、ポリエステルよりも高い温度に耐えられる。
3、本発明の重合体は、カルボン酸含有量をより高くすることができるので、分散剤として使用すると、分散効率を大幅に向上させることができ、疎水性長鎖がセメント粒子の表面にある水和膜の完全性を低下させることから、凝結遅延性を低下させ、カルボン酸の一部の代わりとして2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を使用することによりカルボン酸による凝結遅延性を低下させる従来の発明と比べて、本発明は、異なる技術的構想を利用してカルボン酸による分散効率と凝結遅延性が矛盾するという問題を解決する。
4、実験の結果、本発明の分散剤は、高温では凝結遅延性がより低く、さらに凝結遅延性がなく、例えばペースト自体の増粘時間と比べて、150℃での増粘時間は120℃での増粘時間からの差がより小さくなり、このことから、本発明の分散剤は高温環境で使用できる上に、高温での凝結遅延性がより低く、効果がより高い。
【0069】
本発明をより理解しやすくするために、以下、実施例を参照して本発明を詳細に説明するが、これらの実施例は説明的な役割を果たすにすぎず、本発明の適用範囲を限定するものではない。
【0070】
本発明に使用される原料は全て市販品である。
【実施例
【0071】
以下の実施例及び比較例では、重合体中の各構造単位の含有量はモノマー投入量によって決定され、具体的には、重合に実際に関与する各モノマーの投入比は未反応モノマーの含有量を測定することにより決定され、さらに重合体中の各構造単位の含有量は決定され、固形分は投入量から算出されるものであり、すなわち、固形分=溶媒を除く投入量(重量)/溶媒を含む投入量(重量)*100%である。実施例では、重合体のDSCスペクトルにおいて単ピークだけが出現することから、重合体は全てランダム共重合体であることが明らかとなっている。
【0072】
実施例1
丸底フラスコにTPEG 2400 100g(0.0417mol)と脱イオン水150gを加えて、撹拌して70℃まで加熱した。オキシドール1.5gを脱イオン水15gに加え、均一に撹拌したものを反応釜に加えた。アスコルビン酸0.7gと3-メルカプトプロピオン酸1gを脱イオン水17gに加えて、開始剤と連鎖移動剤との混合水溶液を調製した。アクリル酸(AA)37gを脱イオン水40gに加えてアクリル酸水溶液を調製した。開始剤と連鎖移動剤との混合水溶液、ビニールオクタデシルジメチルシラン5g、アクリル酸水溶液をそれぞれ丸底フラスコに同時に滴下し、蠕動ポンプによって制御して、アクリル酸水溶液とビニールオクタデシルジメチルシランの滴下を4時間かけて終了し、開始剤と連鎖移動剤との混合水溶液の滴下を4.5時間かけて終了した。全ての材料の滴下が終了した後、さらに0.5時間保温して撹拌し、実際の固形分が39.8重量%の高温型ポリカルボン酸油井セメント分散剤サンプルS1を調製した。
サンプルS1に対して構造特徴付けを行い、ここで、核磁気スペクトルには精製後のサンプルが使用された。
ゲルクロマトグラフィー分析(図1):重合体の重量平均分子量は35000である。
赤外分光法による測定(図2):ポリエーテルTPEG:3442cm-1及び1110cm-1は-OH及び-C-O-C-に対応し、2882cm-1は-CHに対応し、アクリル酸:1593cm-1は-COO-に対応し、長鎖シラン:1461cm-1及び2882cm-1は長直鎖の-CH-に対応し、1347cm-1は-Si-C-に対応し、1100cm-1は-C-O-C-又は-Si-O-Si-に対応し、二重結合は残っておらず、すなわち、1645~1620cm-1の間には-C=C-がない。
核磁気水素スペクトル(図3):0ppmでは特徴的なプロトン吸収ピークはシロキサンに対応し、0.74ppmは側鎖末端基-CHに対応し、1.20ppmは長鎖シランの-CH-に対応し、1.62ppm及び2.26ppmはそれぞれAAのメチル基及びメチン基に対応し、3.73ppmはTPEG中の-CH-CH-O-に対応し、4.69ppmは水ピークに対応する。
熱重量分析による測定(図4):295℃でのみ吸収ピークが出現し、このことから耐高温性に優れていることが示される。
DSCスペクトルでは、49.22℃では単ピークが出現し、このことから、該重合体はランダム共重合体であることが示される。
【0073】
実施例2
丸底フラスコにTPEG1500 100gと脱イオン水160gを加えて、撹拌して50℃に加熱した。オキシドール0.5gを脱イオン水5gに加え、均一に撹拌したものを反応釜に加えた。アスコルビン酸0.25gと3-メルカプトプロピオン酸0.2gを脱イオン水5.5gに加えて、開始剤と連鎖移動剤との混合水溶液を調製した。イタコン酸(IA)34.6gを脱イオン水34gに加えてイタコン酸水溶液を調製した。開始剤と連鎖移動剤との混合水溶液、ビニールオクチルトリメトキシシラン0.85g、イタコン酸水溶液をそれぞれ丸底フラスコに同時に滴下し、蠕動ポンプによって制御して、イタコン酸水溶液とビニールオクチルトリメトキシシランの滴下時間を2時間とし、開始剤と連鎖移動剤との混合水溶液の滴下時間を2.5時間とした。全ての材料の滴下が終了した後、さらに1時間保温して撹拌し、実際の固形分が39.7重量%の高温型ポリカルボン酸油井セメント分散剤サンプルS2を調製した。ゲルクロマトグラフィーによって測定した結果、重合体の重量平均分子量は29340であった。
【0074】
実施例3
丸底フラスコにHPEG 4000 100g(0.025mol)と脱イオン水140gを加えて、撹拌して65℃に加熱した。オキシドール0.9gを脱イオン水4.5gに加え、均一に撹拌したものを反応釜に加えた。アスコルビン酸0.35gと3-メルカプトプロピオン酸0.8gを脱イオン水11gに加えて、開始剤と連鎖移動剤との混合水溶液を調製した。アクリル酸(AA)14.4gを脱イオン水22gに加えて、アクリル酸水溶液を調製した。開始剤と連鎖移動剤との混合水溶液、ビニールオクタデシルジメチルメトキシシラン1.85g、アクリル酸水溶液をそれぞれ丸底フラスコに同時に滴下し、蠕動ポンプによって制御して、アクリル酸水溶液とビニールオクタデシルジメチルメトキシシランの滴下時間を3時間とし、開始剤と連鎖移動剤との混合水溶液の滴下時間を3.5時間とした。全ての材料の滴下が終了した後、さらに1時間保温して撹拌し、実際の固形分が39.6重量%の高温型ポリカルボン酸油井セメント分散剤サンプルS3を調製した。ゲルクロマトグラフィーによって測定した結果、重合体の重量平均分子量は31090であった。
【0075】
実施例4
アクリル酸(AA)37gを脱イオン水40gに加える代わりに、アクリル酸(AA)3gを脱イオン水74gに加えてアクリル酸水溶液を調製した以外、実施例1の方法に従って行った。実際の固形分が39.8重量%の油井セメント分散剤サンプルS4を調製した。ゲルクロマトグラフィーによって測定した結果、重合体の重量平均分子量は34222であった。
【0076】
実施例5
アクリル酸(AA)37gを脱イオン水40gに加える代わりに、アクリル酸(AA)62gを脱イオン水15gに加えてアクリル酸水溶液を調製した以外、実施例1の方法に従って行った。実際の固形分が39.8重量%の油井セメント分散剤サンプルS5を調製した。ゲルクロマトグラフィーによって測定した結果、重合体の重量平均分子量は36143であった。
【0077】
実施例6
ビニールオクタデシルジメチルメトキシシランを等モル量の7-オクテニルトリメトキシシランに変更した以外、実施例3の方式に従って行った。実際の固形分が39.6重量%の油井セメント分散剤サンプルS6を調製した。ゲルクロマトグラフィーによって測定した結果、重合体の重量平均分子量は33412であった。
【0078】
実施例7
ビニールオクタデシルジメチルメトキシシランの使用量が0.2gであった以外、実施例3の方式に従って行った。実際の固形分が39.5重量%の油井セメント分散剤サンプルS7を調製した。ゲルクロマトグラフィーによって測定した結果、重合体の重量平均分子量は35898であった。
【0079】
比較例1
ビニールオクタデシルジメチルメトキシシランの代わりに、等モル量のKH-570を使用した以外、実施例3の方式に従って行った。実際の固形分が39.8重量%の油井セメント分散剤比較サンプルD1を調製した。ゲルクロマトグラフィーによって測定した結果、重合体の重量平均分子量は32347であった。
【0080】
測定例
GB/T 19139-2003標準に準じてセメントスラリーを製造し、レオロジー性能、安定性、増粘時間、圧縮強度を評価し、技術指標を表1に示し、実施例1~7及び比較例1~2のサンプルの、異なるペースト系の場合の結果を表2、表3(分散剤の混合量はいずれもセメントの質量の0.5%を占め、実施例1で製造された重合体の、表3のセメントスラリーにおける150℃での増粘リニアチャートは図6に示される)及び表4に示し、ここでは、本発明の分散剤がポリカルボン酸系分散剤の高温での凝結遅延の欠陥を解決することを明らかにするために、増粘時間を比較する場合、測定温度を120℃と150℃とした。使用されるセメントは四川嘉華社製のG級セメメントであり、逸水抑制剤及び凝結遅延剤は中国石化石油工程技術研究院のSCF-180L逸水抑制剤及びSCR-3凝結遅延剤を購入し、ここで、逸水抑制剤は2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)系逸水抑制剤であり、凝結遅延剤は酸系凝結遅延剤であり、比較分散剤(比較例2)はドイツBASF社から購入した分散剤であり、該分散剤はポリカルボン酸系分散剤である。ペースト1の配合はセメント100重量部+水44重量部、ペースト2の配合はセメント100重量部+逸水抑制剤4重量部+水40重量部、ペースト3の配合はセメント450g+シリコン粉末225g+密度向上材料であるマンガン微粉末225g+逸水抑制剤31.5g+ナノ液体シリコン27g+ラテックス27g+凝結遅延剤14g+分散剤2.3g+現場の水200gである。
セメントスラリーの液性指数nはセメントスラリーのレオロジー性能を表すものであり、nが大きいほど、流動性が良好であり、コンシステンシー係数Kは流体の粘度を表すものであり、Kが大きいほど、粘度が高く、流動性が悪く、増粘指数は分散剤を添加したセメントスラリーの増粘時間(分間)と分散剤を添加していない空白セメントスラリーの増粘時間(分間)の比を表す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
表2、表3及び表4の評価結果から、本発明による分散剤は優れた分散性を有し、120℃を越えた場合凝結遅延がなく、逸水抑制剤、凝結遅延剤などの配合性に優れていることが分かった。
【0086】
以上は本発明の好ましい例に過ぎない。当業者にとっては、本発明による技術的啓示に基づいて、本分野の公知常識から、他の同等変形や改良を行うことができ、これらも本発明の特許範囲とみなすべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】