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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】可撓性経皮的神経刺激デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/04 20060101AFI20231024BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
A61N1/04
A61N1/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523204
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-04-17
(86)【国際出願番号】 US2021071954
(87)【国際公開番号】W WO2022094525
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/108,261
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリック ジョン ハーゼノール
(72)【発明者】
【氏名】ジェーン マリー ヒューズ
(72)【発明者】
【氏名】ノエル ゴーティエ
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053BB23
4C053BB36
4C053JJ03
4C053JJ04
4C053JJ11
4C053JJ14
4C053JJ15
4C053JJ25
(57)【要約】
本開示は、尿意切迫を低減するための可撓性経皮的神経刺激デバイスに関する。本明細書に記載のデバイスは、着用中にユーザの快適性及びデバイスの機能性を維持しながら、ユーザの脛骨神経を刺激するためにユーザによる適切な設置を可能にするように設計される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにおける尿意切迫を低減するための経皮的神経刺激デバイスであって、前記デバイスが、長手方向中心線と、横方向中心線と、前記横方向中心線の両側上に位置決めされた少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域と、前記少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域を接続する少なくとも1つの高運動ゾーン適合ブリッジと、を備え、前記少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域のうちの1つ以上が、身体側表面及び外向き表面を有する回路基板と、前記回路基板の前記外向き表面の上に重なる少なくとも1つの構成要素と、前記回路基板の前記身体側表面の上に重なる少なくとも1つの電極と、電源と、を備え、前記少なくとも1つの構成要素、前記少なくとも2つの電極、及び前記電源が、少なくとも1つの神経刺激信号を発生させるために互いに電気的に接続されており、前記少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域が、前記高運動ゾーン適合ブリッジによって電気的に接続されており、好ましくは、前記経皮的神経刺激デバイスが、廃棄可能である、経皮的神経刺激デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの高運動ゾーン適合ブリッジの最大幅対前記少なくとも1つの高運動ゾーン適合ブリッジの最大厚さの比が、約100:1~約10:1、好ましくは、約90:1~約15:1、より好ましくは、約80:1~約20:1である、請求項1に記載の経皮的神経刺激デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの高運動ゾーン適合ブリッジの前記身体側表面の面積対前記デバイスの前記身体側表面の面積の比が、約1:100~約1:3、好ましくは、約1:90~約1:5、より好ましくは、約1:80~約1:10である、請求項1又は2に記載の経皮的神経刺激デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの高運動ゾーン適合ブリッジの最大幅対前記デバイスの最大幅の比が、約1:1~約1:20、好ましくは、約1:2~約1:10、より好ましくは、約1:3~約1:5である、請求項1~3のいずれか一項に記載の経皮的神経刺激デバイス。
【請求項5】
前記デバイスが、内側足関節上の設置のために、好ましくは、脛骨神経を刺激するために内果に近接する設置のために、成形され、かつ構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の経皮的神経刺激デバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの高運動ゾーン適合ブリッジが、足関節の背屈及び底屈に対応するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の経皮的神経刺激デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの高運動ゾーン適合ブリッジが、足関節の内反及び外反に対応するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の経皮的神経刺激デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの高運動ゾーン適合ブリッジの前記身体側表面が、接着剤を実質的に含まない、請求項1~7のいずれか一項に記載の経皮的神経刺激デバイス。
【請求項9】
接着剤が、デバイスの前記身体側表面上に配設されており、前記少なくとも1つの高運動ゾーン適合ブリッジの前記身体側表面上に配設された前記接着剤の剥離強度が、前記少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域の前記身体側表面上に配設された前記接着剤の剥離強度未満である、請求項1~8のいずれか一項に記載の経皮的神経刺激デバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの構成要素が、電気刺激発生器、マイクロコントローラ、振幅変調器、メモリ、信号活性化装置、及び送信機/受信機からなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の経皮的神経刺激デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも2つの電極が、前記デバイスの前記長手方向中心線に沿って位置決めされている、請求項1~10のいずれか一項に記載の経皮的神経刺激デバイス。
【請求項12】
前記デバイスの前記身体側表面積が、約500mm~約9000mmである、請求項1~11のいずれか一項に記載の経皮的神経刺激デバイス。
【請求項13】
前記デバイスの最大厚さが、約0.10mm~約15mmである、請求項1~12のいずれか一項に記載の経皮的神経刺激デバイス。
【請求項14】
前記デバイスが、約1g~約30gの重量である、請求項1~13のいずれか一項に記載の経皮的神経刺激デバイス。
【請求項15】
前記2つ以上の低運動ゾーン適合領域及び前記高運動ゾーン適合ブリッジが、一体型回路基板を備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の経皮的神経刺激デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、尿意切迫を低減するための可撓性経皮的神経刺激デバイスに関する。本明細書に記載のデバイスは、着用中にユーザの快適性及びデバイスの機能性を維持しながら、ユーザの脛骨神経を刺激するためにユーザによる適切な設置を可能にするように設計される。
【背景技術】
【0002】
尿意切迫は、多くの人々に影響を及ぼす、よく見られる状態である。尿意切迫は、人が制御することができない突然の排尿の衝動であり、漏れのアクシデントにつながり得る。尿意切迫を患っている人々の数は、尿意切迫を抱えて生活している多くの人々が、その状態について医療提供者に話すか、又はその状態を治療するために助けを求めたりしていないので、考えられているよりも多数である可能性が高い。その状態を恥ずかしく思う者もいれば、尿意切迫のための治療法は一切ないと信じるために、その状態について話し合ったり、助けを求めたりしない者もいる。
【0003】
尿意切迫の管理は、多くの場合、流体のスケジュール、定時排尿、及び人の骨盤底を使用する膀胱保持技法などの行動戦略から始まる。これらの行動戦略が十分に役立たない場合、薬剤が利用可能である。しかしながら、多くの人々は、薬剤を服用することをためらい、薬剤は、望ましくない副作用を有し得る。別の治療は、医師による神経刺激装置の外科的な埋め込みを必要とし、女性の場合、電気刺激治療が、膣内プローブを介して施されることも、膣内又は会陰に装着されることもある。これらの治療は、特に長期間使用されるとき、施すことが困難であるか、又は使用者にとって不快となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それゆえ、非侵襲的であり、有効であり、使用者自身によって(医療専門家を含む別の人からの支援なしに)適用することができ、目立ちにくく、処方箋なしで利用可能である尿意切迫用治療が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ユーザにおける尿意切迫を低減するための経皮的神経刺激デバイスに関し、本デバイスは、長手方向中心線と、横方向中心線と、横方向中心線の両側上に位置決めされた少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域と、少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域を接続する少なくとも1つの高運動ゾーン適合ブリッジと、を備え、少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域のうちの1つ以上は、身体側表面及び外向き表面を有する回路基板と、回路基板の外向き表面の上に重なる少なくとも1つの構成要素と、回路基板の身体側表面の上に重なる少なくとも1つの電極と、電源と、を備え、少なくとも1つの構成要素、少なくとも2つの電極、及び電源は、少なくとも1つの神経刺激信号を発生させるために互いに電気的に接続され、少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域は、高運動ゾーン適合ブリッジによって電気的に接続される。
【0006】
本開示はまた、本明細書に記載のデバイスを使用する尿意切迫を治療する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ヒトの足関節の解剖学的構造の内側図である。
図2】足関節の動的ゾーン及び静的ゾーンを示すヒトの足関節の内側図である。
図3】本開示による経皮的神経刺激デバイスの上面図である。
図4】本開示による経皮的神経刺激デバイスの回路基板の上面図である。
図5】本開示による経皮的神経刺激デバイスの回路基板の底面図である。
図6】本開示による分解された経皮的神経刺激デバイスの図である。
図7A】本開示による経皮的神経刺激デバイスの分解図である。
図7B】本開示による経皮的神経刺激デバイスの分解図である。
図7C】本開示による経皮的神経刺激デバイスの分解図である。
図7D】本開示による経皮的神経刺激デバイスの分解図である。
図8A】本開示による屈曲する経皮的神経刺激デバイスの分解図である。
図8B】本開示による屈曲する経皮的神経刺激デバイスの分解図である。
図9A】ユーザの左足関節に付着した本開示による経皮的神経刺激デバイスを示す。
図9B】ユーザの左足関節に付着した本開示による経皮的神経刺激デバイスを示す。
図9C】ユーザの左足関節に付着した本開示による経皮的神経刺激デバイスを示す。
図9D】ユーザの左足関節に付着した本開示による経皮的神経刺激デバイスを示す。
図9E】ユーザの左足関節に付着した本開示による経皮的神経刺激デバイスを示す。
図10】本開示による経皮的神経刺激デバイスのブロック図である。
図11A】足関節及び足の運動を示す。
図11B】足関節及び足の運動を示す。
図11C】足関節及び足の運動を示す。
図11D】足関節及び足の運動を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ある要素が、別の要素に「接続されている」、又は「結合されている」、又は「電気通信している」、又は「電気的に接続されている」として言及されるとき、その要素は、他の要素に直接接続され、直接結合され、直接電気通信し、若しくは直接電気的に接続され得、又は介在要素が存在してもよいことが理解されるであろう。対照的に、ある要素が、別の要素に「直接接続されている」、又は「直接結合されている」、又は「直接電気通信している」、又は「直接電気的に接続されている」として言及される場合、介在要素は存在しない。
【0009】
本明細書において使用される際、「可撓性」という用語は、破断することなく、面内であろうと面外であろうと、繰り返し屈曲し、湾曲し、捻転し、撓み、及び/又は回転することが可能であることを意味する;柔軟。
【0010】
本明細書において使用される際、「一体型構造」は、別個の部品を互いに接合することによって製作されることとは対照的に、単一部品で製作される製造物品又はその構成要素を意味する。
【0011】
本明細書において使用される際、「身体側表面」は、使用時に着用者の皮膚に面する表面である。
【0012】
本明細書において使用される際、「外向き表面」は、身体側表面から離れて面する表面である。
【0013】
本明細書において使用される際、「接着剤を実質的に含まない」という用語は、説明された表面積の約40%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約2.5%未満、約1%未満、又は約0%が、その上に配設された接着剤を有することを意味する。
【0014】
本明細書において使用される際、「一体」は、製造物品の部分に適用されるとき、対象部分間に接合部、継ぎ目、又は材料境界がないことを意味する。
【0015】
理解を容易にするために、可能な場合、類似又は同一の参照番号が、図に共通する類似又は同一の要素を指定するために使用される。デバイスの身体側表面及びデバイスの外向き表面は、それぞれ、参照番号80及び90で識別される。非一体型デバイスの場合、回路基板10などのデバイスを構成する材料又は部品はまた、身体側表面及び外向き表面を有し得る。簡略化のために、回路基板10の身体側表面及び外向き表面は、回路基板の底面図及び上面図を示す、図4及び図5における、デバイス80及び90と同じ参照番号でそれぞれ識別される。同様に簡略化のために、デバイスを構成する全ての材料又は部品の身体側表面及び外向き表面は、図において符号付けされておらず、デバイスの部品の身体側表面は、使用中に着用者の皮膚に面し、デバイスの部品の外向き表面は、身体側表面から離れて面することが理解される。
【0016】
本開示は、経皮的電気神経刺激を介して、ユーザ、好ましくは、ヒトのユーザにおける尿意切迫を治療するための電気刺激又は活性化デバイスに関する。本明細書に記載のデバイスは、ユーザの脛骨神経を刺激するために、ユーザによる適切な設置を可能にするように、可撓性、小型、軽量、かつ直感的であるように成形される。既存の経皮的電気神経刺激デバイスに対する本デバイスの利点は以下のものである:ユーザがより快適に装着できる、医療専門家又は他の人の支援なしにユーザが容易かつ直感的に適用できる;動作するのに必要な電力が少ない;全体的により薄型であり、ユーザの皮膚表面などの、表面上の設置面積がより小さい;よりコンパクトである;目立ちにくい;離散型である;部品が少なく、製造すること又は組み立てることがより容易である;電力、通信、刺激、及び任意選択的に感知が統合される;安価である;廃棄可能である;便利である;ワイヤが衣類に絡まない;少量の雨に強く、汗に強く、及び/又は防水性である;並びにユーザによって直接的に、又は記憶されたプログラムによって、スマートフォン又はフォブなどの遠隔デバイスからの刺激パラメータの制御を可能にする。本明細書に記載のデバイスは、非標的神経に影響を及ぼさずに、標的神経を効果的に活性化する。本明細書に記載のデバイスは、数日~数週間のサービス寿命を有することが予想される。本明細書に記載のデバイスは、廃棄可能性により求められる電源及び電池要件が小さい場合、廃棄可能であってもよい。
【0017】
本明細書に記載のデバイスは、脛骨神経300(図1)を刺激するために、内側足関節上の設置のために、好ましくは、内果に近接する設置のために、成形及び構成され得る。デバイスの電極の最適な位置決めエリアは、内果320(図1)に近接し、かつその後方にある、内側又は中心部に近い足関節(いずれかの足関節)上にあると考えられる。
【0018】
足関節及び足関節を取り囲むエリア(足関節を覆う皮膚及び足関節を取り囲むエリアを含む)は、運動中に、動的又は高運動ゾーン62、及び静的又は低運動ゾーン72a、72bを有することが既知である(図2)。重要なことに、足関節(内果320に近接し、かつその後方)上のデバイスのための最適な位置決めエリアは、動的ゾーン62及び静的ゾーン72a、72bの両方を含む。図2に示されるように、内果320は、概して、足関節の動的又は高運動ゾーン62であり、一方で内果320の上方及び下方は、足関節の静的又は低運動ゾーン72a、72bである。
【0019】
本明細書に記載のデバイスは、図3に示されるように、少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域70a、70bと、少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域70a、70bを接続する少なくとも1つの高運動ゾーン適合ブリッジ60とを備え得る。使用時、電極14a、14b(図5)を備え得る、少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域70a、70bは、図9A図9Eに示されるように、例えば、内果320のすぐ上方又は下方で、足関節の静的ゾーン72a、72bに付着させることができる。電極を足関節の静的ゾーン72a、72bに付着させることは、電極と皮膚との間のより良好でより信頼性のある接触を提供し得、このことが有効性の改善に寄与する。高運動ゾーン適合ブリッジ60は、足関節の動的ゾーン62と位置合わせされてもよく、例えば、内果320と位置合わせされてもよい。高運動ゾーン適合ブリッジ60を足関節の動的ゾーン62と位置合わせすることは、ユーザの足関節のより大きい可動性、したがって、デバイスの着用中のより大きい快適性を提供し得る。それゆえ、本明細書に記載のデバイスは、電極と皮膚との間の信頼できる接触を維持しながら、足関節の運動に適応することによって、有効性を含むことなく、着用中の改善された快適性を提供する。
【0020】
高運動ゾーン適合ブリッジ60は、少なくとも2つの電極を電気的に接続する、導電性材料を含み得る。導電性材料は、図4に示されるような回路基板10、又はワイヤであってもよい。高運動ゾーン適合ブリッジ60及び少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域70a、70bの各々は、ともに接合され、複数片の要素として構成される別個の片を構成してもよく、高運動ゾーン適合ブリッジ60及び少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域70a、70bの各々は、異なる材料又は同じ材料で作製される。代替的に、高運動ゾーン適合ブリッジ60及び少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域70a、70bは、一体型要素、例えば、プリント回路基板などの回路基板などの一体型回路基板10として構成されてもよい。
【0021】
高運動ゾーン適合ブリッジ60は、外向き表面90及び身体側表面80を有する回路基板を備えてもよく、回路基板の外向き表面90及び/又は身体側表面80は、その上に配設された接着剤、緩衝材料、及び/又はカバーを有し得る。好ましくは、高運動ゾーン適合ブリッジ60は、回路基板10を備えてもよく、回路基板10は、その外向き表面90上に配設されたカバーを有してもよい。少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域70a、70bの各々はまた、外向き表面90及び身体側表面80を有する回路基板を備えてもよく、回路基板の外向き表面90及び/又は身体側表面80は、その上に配設された接着剤、緩衝材料、及び/又はカバーを有してもよい。好ましくは、少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域は各々、回路基板10を備えてもよく、回路基板10は、その外向き表面90上に配設されたカバーを有してもよい。図7Aに示されるように、高運動ゾーン適合ブリッジ60及び少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域70a、70bは、好ましくは、一体型回路基板10として構成され、一体型カバー16が、一体型回路基板10の外向き表面90上に配設されて、回路基板を保護し、ユーザが回路基板10に接触することを防止する。カバー16は、外向き表面90及び身体側表面80を有してもよく、接着剤は、身体側表面80上に配設されてもよい(図示せず)。図7Aに示されるように、高運動ゾーン適合ブリッジ60の外向き表面90上に配設されたカバー16は、高運動ゾーン適合ブリッジ60よりも広くてもよく、又はカバーは、高運動ゾーン適合ブリッジ60と同じ幅を有してもよく、好ましくは、カバー16は、高運動ゾーン適合ブリッジ60よりも広い。
【0022】
高運動ゾーン適合ブリッジ60は、約5mm~約25mmの長さ、好ましくは、約5mm~約20mmの長さ、より好ましくは、約5mm~約15mmの長さであり得る。高運動ゾーン適合ブリッジ60の長さは、電極間の距離に応じて変動し得、標的神経における電気信号の有効性を最大化するように、及び/又は神経刺激デバイスの設置面積を最小限に抑えるように選択され得る。好ましくは、高運動ゾーン適合ブリッジ60の長さは、電極間の距離よりも長く、このことは、高運動ゾーン適合ブリッジ60が、足関節の内反、外反、背屈、及び底屈を含む足関節の運動に対応することを可能にし得る。
【0023】
高運動ゾーン適合ブリッジ60は、好ましくは、低運動ゾーン適合領域70a、70bと足関節の静的ゾーン72a、72bを覆う皮膚との間の接触に影響を及ぼすことなく、足関節の内反、外反、背屈、及び底屈に対応するように構成され得る(図11A図11D参照)。高運動ゾーン適合ブリッジ60は、約1mm~約20mm、又は約2mm~約15mm、好ましくは、約2mm~約10mm屈曲するか、又は湾曲するように構成され得る。高運動ゾーン適合ブリッジ60は、背屈に対応するために、約1mm~約10mm、好ましくは、2~7mm、及び/又は外反に対応するために、約0.1mm~6mm、好ましくは、0.1mm~4mm屈曲するか、又は湾曲するように構成され得る。
【0024】
高運動ゾーン適合ブリッジ60は、足関節の動的ゾーン62を覆う皮膚又は内果320を覆う皮膚に接着する場合もあれば、接着しない場合もある。高運動ゾーン適合ブリッジ60は、足関節の動的ゾーン62を覆う皮膚又は内果320を覆う皮膚とは独立して移動し得る。高運動ゾーン適合ブリッジ60は、皮膚から持ち上がるか、皮膚の上に浮くか、又は皮膚上を摺動し得る。高運動ゾーン適合ブリッジ60は、低運動ゾーン適合領域70a、70bとは独立して移動し得る。好ましくは、高運動ゾーン適合ブリッジ60は、足関節の動的ゾーン62を覆う皮膚に接着しないか、又は皮膚の1mm未満、又は0.5mm未満、好ましくは、0.25mm未満に接着する。高運動ゾーン適合ブリッジ60の身体側表面は、その上に配設された接着剤を有する場合もあれば、有しない場合もある。好ましくは、高運動ゾーン適合ブリッジ60の身体側表面は、実質的に接着剤を含まない。高運動ゾーン適合ブリッジ60の身体側表面積の約40%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約2.5%未満、約1%未満、又は約0%が、その上に配設された接着剤を有し得る。接着剤が、高運動ゾーン適合ブリッジ60の身体側表面上に配設される場合、高運動ゾーン適合ブリッジ60の身体側表面上に配設された接着剤の剥離強度は、低運動ゾーン適合領域70a、70bの身体側表面上に配設された接着剤の剥離強度未満であり得る。
【0025】
神経刺激デバイス
本明細書に記載の経皮的神経刺激デバイスは、一体型構造を有し得る。代替的に、経皮的神経刺激デバイスは、非一体型構造を有し得、1つ以上の別個の部品若しくは材料又はそれらの層から組み立てられ得る。非一体型デバイスに関して、デバイスを構成する材料のうちの1つ以上は、接着剤によってともに接合され得る。
【0026】
図3及び図7Dを参照すると、神経刺激デバイスは、2つの中心線、長手方向中心線100及び横断方向中心線110、並びに使用時に着用者の皮膚に面する身体側表面80、及び身体側表面から離れて面する外向き表面90を有し得る。非一体型デバイスに関して、デバイスを構成する材料はまた、使用時に着用者の皮膚に面する身体側表面、及び身体側表面から離れて面する外向き表面を有する。
【0027】
図3図4、及び図5を参照すると、デバイスは、少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域70a、70b、及び少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域70a、70bを接続する少なくとも1つの高運動ゾーン適合ブリッジ60を備え得る。少なくとも2つの低運動ゾーン適合領域70a、70bは、回路基板10の外向き表面を覆う少なくとも1つの構成要素12と、回路基板の身体側表面を覆う少なくとも2つの電極14a、14bと、を有する回路基板10を備えることができ、少なくとも1つの構成要素12及び少なくとも2つの電極14a、14bは、少なくとも1つの神経刺激信号を発生させるために互いに電気的に接続される。
【0028】
回路基板10は、プリント回路基板(printed circuit board、PCB)であり得、これは剛性であっても可撓性であってもよい。PCBの表面を覆う構成要素12を有するPCBは、本明細書ではプリント回路基板アセンブリ(printed circuit board assembly、PCBA)と呼ばれ得る。本明細書において使用される際、プリント回路基板アセンブリ(PCBA)という用語は、剛性又は可撓性にかかわらず、導電経路のめっき及び電子部品の実装のためにPCBの1つ以上の側面の使用を含む。
【0029】
図7A図7Dは、本開示による、神経刺激デバイスの分解図を例解する。デバイスは、外向き表面及び身体側表面を有するカバー16と、発泡体又は緩衝剤22a、22bと、回路基板10と、回路基板10の外向き表面の上に重なる少なくとも1つの構成要素12(図4に示される)と、回路基板10の身体側表面の上に重なる少なくとも2つの電極14a、14bと、構成要素に通電するための回路基板10の外向き表面の上に重なる電源30と、を含み得、少なくとも1つの構成要素12、少なくとも2つの電極14a、14b、及び電源30は、少なくとも1つの神経刺激信号を発生させるために互いに電気的に接続され、接着剤24a、24b、26a、26bは、前述の材料のうちの2つ以上を互いに接合する。それゆえ、電源30は、外向きカバー16と回路基板10との中間に配設され得る。デバイスは、使用中にデバイスをユーザの皮膚に付着させるために、3Mから入手可能な様々なタイプの医療用接着剤などの皮膚適合性接着剤28a、28bを備え得る。皮膚適合性接着剤は、導電性である場合も、導電性でない場合もある。皮膚適合性接着剤は、実質的に非導電性であり得る。概して、皮膚適合性接着剤が非導電性である場合、高運動適合ブリッジ60は、少なくとも2つの電極14a、14bを電気的に絶縁する。皮膚適合性接着剤は、ヒドロゲルであり得る。導電性接着剤20a、20b、好ましくは、ヒドロゲルは、電極14a、14bの身体側表面上に配設され得る。外部カバー16は、その身体側表面上に配設された接着剤を有し得る。
【0030】
回路基板10の外向き表面の上に重なる少なくとも1つの構成要素12(図4に示される)は、構成要素が互いに電気的に接続されている限り、任意の構成で配置され得る。構成要素12は、回路基板10の可撓性を最大化するように配置され得る。構成要素12は、以下により詳細に記載される。接着剤26a、26bは、回路基板10の下に、かつ電極14a、14bの身体側表面上に配設された任意選択的な皮膚適合性の非導電性接着剤28a、28b又は導電性接着剤20a、20bの上に配設され得る。
【0031】
図7A図7Dは、発泡体22a、22bを回路基板10に接合する接着剤24a、24bと、カバー16を回路基板10に接合する接着剤26a、26bと、を示す。任意の従来の接着材料は、デバイス内で使用され得る。好適な接着剤は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタンを含む、プラスチック材料、不織布材料、シリコーン、アクリル、ヒドロゲル、又はラテックスから作製され得る。不織材料を形成する際の使用に好適なポリマー材料としては、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、エチレン酢酸ビニル、エチレンメタクリレート、上記材料のコポリマーなどが挙げられる。
【0032】
感圧性接着剤が、この目的に対して十分に機能することが概して見出されている。接着剤は、連続的であっても断続的であってもよい。例えば、接着剤は、ストリップ状に、又は特定の層の表面全体にわたって塗布され得る。接着剤は、噴霧、印刷、キスコーティング、及び直接スロットコーティングを含むがこれらに限定されない、任意の好適な方法を介して塗布され得る。
【0033】
取り外し可能な剥離ライナ18a、18bは、使用前に導電性接着剤20a、20b、電極14a、14b、及び任意選択的な非導電性接着剤を保護するために、導電性接着剤20a、20bの下に配設され得る(図7A図7D参照)。剥離ライナは、一体型剥離ライナであってもよく、又は示されるように、二片の剥離ライナ18a、18bであってもよい。二片の剥離ライナは、デバイスが、ユーザによってより容易に位置決めされ、付着されることを可能にし得る。概して、取り外し可能な剥離ライナ18a、18bの厚さは、約0.05mm~0.20mmの範囲内であり得る。取り外し可能な剥離ライナ18a、18bの選択は、使用される導電性接着剤のタイプに依存し得る。取り外し可能な剥離ライナ18a、18bは、ポリマーシート又はポリマーでコーティングされた紙若しくは布を含み得る。取り外し可能な剥離ライナ18a、18bは、導電性接着剤20a、20bに対して弱い接着力を有してもよく、それにより、導電性接着剤20a、20b又は電極14a、14bを損傷することなく、使用前に導電性接着剤20a、20bから容易に取り外すことを可能にする。剥離ライナ18a、18bに対して典型的に使用されるポリマーの例は、シリコーン及びポリエチレンである。代替的に、剥離ライナ18a、18bをコーティングするために、ポリマーの代わりにワックスを使用してもよい。
【0034】
外向きカバー16は、プラスチック材料(射出成形、ブロー成形、熱成形など)、コート紙若しくは非コート紙、無孔フィルム、多孔質フィルム、織布材料、不織繊維材料、又はこれらの組み合わせを含み得る。外向きカバー16は、通気性である場合も、通気性でない場合もある。外向きカバー16は、液体不透過性であり得る。外向きカバー16はまた、伸縮性、伸張性、弾性的伸張性、又はエラストマー性であり得る。外向きカバー16は、蒸気透過性であっても、液体不透過性であってもよい。外向きカバー16は、印刷に好適であり得る。
【0035】
発泡体又は緩衝材料22a、22bの追加は、電源30及び/又は回路基板10を緩衝することによって、デバイスをより快適に着用させることができる。緩衝材料22a、22bは、外向きカバー16の下に、かつ回路基板10の上に配設され得る。デバイスは、緩衝材料22a、22bを回路基板10に接合するための接着剤24a、24bを更に備え得、接着剤24a、24bは、緩衝材料22a、22bの下に、かつ回路基板10の上に配設され得る。任意の従来の緩衝材料が、デバイス内で使用されてもよい。緩衝材料は、セルロース繊維(例えば、木材パルプ繊維)、他の天然繊維、合成繊維、織布又は不織布シート、スクリム網又は他の安定化構造体、超吸収性材料、発泡体、バインダー材料など、並びにこれらの組み合わせを含み得る。好適な緩衝材料としては、概して、エアフェルトと呼ばれる粉砕木材パルプ、クレープセルロースワッディング、ヒドロゲル形成ポリマーゲル化剤などの超吸収性ポリマーを含む吸収性ゲル化材料、化学的に堅固化、改質、若しくは架橋されたセルロース繊維、コフォームを含むメルトブローポリマー、捲縮ポリエステル繊維を含む合成繊維、薄紙の包装紙及び薄紙積層体を含む薄紙、毛管繊維、吸収性発泡体、吸収性スポンジ、合成ステープルファイバー、ピートモス、若しくは任意の同等の材料、又はこれらの組み合わせなどの、幅広い範囲の材料から製造されてもよい。
【0036】
デバイスは、デバイスのサイズ及び設置面積を最小限に抑えるように、例えば、全体的により薄型であるように、及び/又はユーザの皮膚の表面上の設置面積をより小さくするように設計され得る。電極は、様々な構成で配置され得る。電極間の距離は、(上述したように)神経刺激デバイスの設置面積を最小限に抑えるように選択され得る。
【0037】
ここで図10を参照すると、図10は、尿意切迫を治療するための経皮的神経刺激デバイスの概略的なブロック図である。図10に見られるように、尿意切迫を治療するためのデバイス100は、電極14、及び電極14と電気通信する電源30を含み得る。デバイスが活性化されるとき、電極14は、電源30からエネルギーを引き出し、標的神経を刺激するために好適な強度の電場を発生させる。活性化は、所定の時間に、ユーザアクション(例えば、デバイス100上のボタンを押下すること、デバイスと有線又は無線通信する遠隔活性化デバイスを使用すること)によって、又はバイオフィードバックを使用して、開始され得る。図10に見られるように、デバイスは、電気刺激発生器40、信号活性化装置34、マイクロコントローラ36、送信機/受信機32、アンテナ(図示せず)、及び発光素子(図示せず)からなる群から選択された、1つ以上の構成要素を含み得る。
【0038】
電気刺激発生器40(また電気パルス発生器とも称される)は、電気刺激、好ましくは、標的神経を刺激するように構成されるか、又は適合された電気刺激を発生させる。電極14が発生器40から刺激を受信するとき、電極14は、電源30、例えば、電池からエネルギーを引き出し、標的神経を刺激するのに好適な強度の電界を発生させる。電場は、標的神経と交差するか、又は重複し得る。電場は、その活動電位を誘発することによって神経を刺激し、神経にその経路に沿って信号を送信させ得る。電気刺激発生器40は、テキサス州ダラスのTexas Instrumentsによって型番NE555で販売されているものなど、任意の好適なタイプのものであり得る。
【0039】
信号活性化装置34は、電気刺激発生器40と有線又は無線通信し得、電気刺激発生器40は、信号活性化装置34から命令を受信し、電気刺激発生器40及び信号活性化装置34は、電源30と電気通信する。信号活性化装置34は、1回だけオンにされるように構成された単回使用の活性化装置であってもよく、又は信号活性化装置は、複数回使用の活性化装置であってもよい。信号活性化装置34は、押しボタンスイッチなどのスイッチであり得る。信号活性化装置は、デバイス上のボタンであり得、又は信号活性化装置は、遠隔であり得(図10に示されるように)、無線デバイスの場合、例えば、信号活性化装置は、フォブ上のボタンであり得る。遠隔信号活性化装置は、それ自体の電源(図示せず)を有し得る。
【0040】
デバイスはまた、Texas Instrumentsによって販売されている、名称On-Semi MC1496を有する変調器などの、電気刺激発生器と電気通信する振幅変調器38を含み得る。変調器は、電極14に送信される変調された波形を発生させ、電極14は、同様にして、変調された波形を標的神経に適用する。
【0041】
図10に見られるように、デバイス100は、回路基板10と、電池などの電源30と、電気刺激発生器40と、を含み得る。電気刺激発生器40は、電源30に電気的に接続され、電源30によって給電される。デバイス100は、データ処理、通信、及び記憶などの機能を実施し得る、制御ユニット又はマイクロコントローラ36を含み得る。メモリは、情報及び制御ユニット(図示せず)によって実行される命令を記憶するために含まれ得る。メモリは、ランダムアクセスメモリ(random access memory、「RAM」)、読取り専用メモリ(read only memory、「ROM」)、磁気ディスク若しくは光ディスクなどの静的記憶装置、又は任意の他のタイプのコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせから構成することができる。マイクロコントローラ36は、デバイスのローカル機能を制御するソフトウェアを実行し得る。マイクロコントローラ36は、デバイスから遠隔であってもよく、例えば、制御ユニットは、携帯電話、ラップトップ、タブレット、キーフォブなどの専用ハードウェアデバイス、又はいくつかの他の手持ちデバイス(図示せず)内に位置付けられ得る。デバイスはまた、任意選択的に、無線外部通信のための送信機/受信機32、及び/又は、限定されるものではないが、機械的運動及び圧力、温度、湿度、化学並びに位置センサなどの1つ以上のセンサ(図示せず)を含み得る。センサは、デバイスから遠隔であってもよく、例えば、センサは、膀胱に近接する皮膚に接着され、膀胱内の体積又は圧力を検出し得る。デバイスはまた、任意選択的に、アンテナ(図示せず)を含み得る。デバイスはまた、デバイスがオンになったことを示す光信号を発生させるための、LEDなどの発光素子(図示せず)を含み得る。
【0042】
少なくとも1つの電極は、アノードであり、少なくとも1つの電極は、カソードであり、電流は、アノードからカソードに流れる。刺激は、典型的には、20~125mA又は約25~約100mA(約500オーム)の電流を伴う、約1~約150Hz又は約10~約75Hzの周波数の方形波を含む、電圧調節波の列であり得る。刺激は、所望されるときに、ユーザによって開始されてもよく、又は時限スケジュールに従ってプログラムされてもよく、又は任意選択的に、ユーザのいくつかの生体測定を監視するセンサによって検出された事象に応答して開始されてもよい。電極14は、任意選択的に、身体から電気信号を収集して、身体機能に関するデータを提供し得る。
【0043】
好適な電極14は、乾燥電極及び浮遊電極の両方を含み、好ましくは、浮遊電極である。乾燥電極は、皮膚と直接接触するが、一方で浮遊電極は、電極と皮膚との間の化学的インターフェースとして導電性接着剤を使用する。導電性接着剤は、電極14とユーザの皮膚との間に信頼性の高い電気的相互接続を形成し得、デバイスをユーザの皮膚の表面に付着させることに役立ち得る、例えば、自己接着性ヒドロゲル電極である。電極14は、金属、導電性ポリマー、導電性薄膜、導電性炭素、又はこれらの組み合わせを含むことができる。導電性接着剤は、典型的には、ヒドロゲルである。1つのかかる浮遊電極は、Rhythmlink(登録商標)によって販売されるSticky Pad(商標)Surface電極として市販されている。TENS Pros Premium(登録商標)TENS Stim Electrodesは、別の例である。導電性接着剤は、デバイスをより薄型にするために、可能な限り薄くすることができる。導電性接着剤は、約0.5mm~約3.0mm、好ましくは、約0.5mm~約1.2mmの厚さの範囲であり得る。導電性接着剤は、ヒドロゲルであり得、ヒドロゲルの厚さは、約0.5mm~約3.0mm、好ましくは、約0.5mm~約1.2mmであり得る。好適なヒドロゲルは、最大で約200オーム-cm~約1200オーム-cm、好ましくは、約340オーム-cm~約1000オーム-cmの体積抵抗率を有し得る。かかる市販のヒドロゲルの1つは、AxelGaard AG625として入手可能である。
【0044】
表1は、2つのパラメータ、周波数及び持続時間に対して測定された治療当たりのパルス数を示す。周波数は、Y軸上に示され、持続時間は、X軸上に示される。表1を参照すると、20Hzの周波数設定及び10秒の持続時間は、200のパルスを生成する。
【0045】
【表1】
電源30は、最大10.0ボルト、最大8.0ボルト、最大6.0ボルト、最大5.0ボルト、最大4.0ボルト、又は最大3.0ボルトの公称電圧を提供する低電圧電源であり得る。電源30は、電池であり得る。異なる形状及びサイズの電池が使用されてもよく、電池の形状及びサイズは、経皮的神経刺激デバイスの形状及びサイズに少なくとも部分的に基づいて、選択され得る。好適な電池には、アルカリ電池、銀電池、亜鉛空気電池、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、オキシ水酸化ニッケル電池、及び水銀電池が挙げられる。電池は、印刷可能な電池、ボタン電池、又は任意の他の一般的な電池であり得る。電池は、再充電可能であっても、ユーザによって交換可能であってもよい。代替的に、電池は、(例えば、恒久的に取り付けられるなど)ユーザによって交換可能でない場合がある。デバイスは、使用前にデバイスが活性化するのを防止するための絶縁体として作用する電池絶縁プルタブ(20)を含み得、電池絶縁プルタブがユーザによって取り外されるまで、デバイスは給電され得ない。
【0046】
電池は、約1000ミリアンペアアワー(mAh)未満又は約1mAh~約1000mAh、好ましくは、約1mAh~約500mAh、より好ましくは、約1mAh~約100mAh、更により好ましくは、約1mAh~約50mAhの容量を有し得る。
【0047】
無線制御
ユーザは、遠隔無線フォブ及び/又は携帯電話などの他のタイプの遠隔無線デバイス、並びにBluetooth(登録商標)などの通信プロトコルを使用して、神経刺激デバイスを制御し得る。遠隔無線デバイスは、制御ユニットを含み、神経刺激デバイス及び/又は第2の遠隔無線デバイス(例えば、携帯電話及びフォブ)に命令を送信し得る。遠隔信号活性化装置又は遠隔制御ユニットなどの、デバイス自体から遠隔である構成要素を有する神経刺激デバイスに関して、デバイスは、遠隔構成要素とのペアリングを必要とし得る。
【0048】
Bluetooth(登録商標)などの通信プロトコルを使用して、遠隔信号送信機/受信機42(又は送受信機、例えば、Bluetooth(登録商標)信号送受信機)は、無線遠隔ネットワーク接続性を有する神経刺激デバイスと通信し得る。神経刺激デバイスはまた、インターネット又は外部コンピュータネットワークと通信し得、例えば、神経刺激デバイスは、機能の監視又は分析のために使用データを外部コンピュータネットワークに送信し得る。
【0049】
神経刺激デバイス及び遠隔送信機/受信機のペアリングは、ボタン又は同様の入力を通して命令することができる。デバイス内の制御ユニットは、搭載信号送信機/受信機が、遠隔デバイス内の送信機/受信機とペアリングされることを命令され得る。又は、ユーザによってデバイス内の電池絶縁タブが取り外されると、デバイスは、ペアリングモードに入り得る。遠隔送信機/受信機は、ペアリングモードに入り得、ペアリングに同意するようにユーザに合図し得る。ユーザは、例えば、デバイス上のボタンを押下することによって、ペアリングに同意し、ペアリングを開始し得る。ユーザへの合図は、デバイス振動、デバイスの照明、又は音を含み得る。
【0050】
寸法
デバイスは、約30g未満、好ましくは、約1g~約30g、より好ましくは、約5g~約20g、更により好ましくは、約2g~約15gの重量であり得る。デバイスの身体側表面の面積は、約500mm~約9000mm、好ましくは、約750mm~約4100mm、より好ましくは、約750mm~約3500mmの範囲であり得る。デバイスの身体側表面積対電極の身体側表面積の合計の比は、約1.1:1~約5:1、好ましくは、約1.25:1~約4:1、より好ましくは、約1.5:1~約3:1であり得る。デバイスは、約0.1cm~約15cm、好ましくは、約0.5cm~約10cm、より好ましくは、1cm~約5cmの最大厚さを有し得る。厚さは、任意の数の既知の方法を使用して測定され得る。デバイスは、約0.5cm~約5cm、好ましくは、約1cm~約3cm、より好ましくは、約1.5cm~約2cmの範囲の最大幅(W)を有し得る。デバイスは、約1cm~約10cm、好ましくは、約1cm~約5cmの範囲の長さ(L)を有し得る(図3)。
【0051】
高運動ゾーン適合ブリッジ60は、約0.1cm~約0.5cm、好ましくは、約0.1cm~約0.4cmの範囲の最大幅(W)を有し得る。高運動ゾーン適合ブリッジ60は、約0.1cm~約10cm、又は約0.1cm~約5cm、又は約0.1cm~約3cm、又は約0.1cm~約1cm、好ましくは、約0.1cm~約0.5cmの範囲の長さ(L)を有し得る(図4)。高運動ゾーン適合ブリッジ60は、約0.01cm~約1cm、好ましくは、約0.01cm~約0.05cmの最大厚さ(図示せず)を有し得る。厚さは、任意の数の既知の方法を使用して測定され得る。高運動ゾーン適合ブリッジ60の身体側表面の面積は、約0.1mm~約2cm、好ましくは、約0.5cm~約1cm、より好ましくは、約0.2cm~約0.7cmの範囲であり得る。
【0052】
高運動ゾーン適合ブリッジの最大幅(W)対高運動ゾーン適合ブリッジの最大厚さの比は、約100:1~約10:1、好ましくは、約90:1~約15:1、より好ましくは、約80:1~約20:1であり得る。高運動ゾーン適合ブリッジの身体側表面の面積対デバイスの身体側表面の面積の比は、約100:1~約3:1、好ましくは、約90:1~約5:1、より好ましくは、約80:1~約10:1である。ブリッジの最大幅(W)対デバイスの最大幅(W)の比は、約20:1~約1:1、好ましくは、約10:1~約2:1、より好ましくは、約5:1~約3:1である。
【0053】
適切な電極位置決め
尿意切迫を治療及び/又は管理するための本明細書に記載のデバイスの有効性は、脛骨神経300を刺激するための、ユーザの身体上の適切な場所における電極の適切な位置決めに依存し得る。電極の適切な位置決めがなければ、ユーザは、完全な利益を得ることができず、場合によっては、デバイスからいずれの利益も得ることができない。
【0054】
脛骨神経300は、脛骨に沿って足に入る坐骨神経の枝である。足関節において、脛骨神経300は、皮膚の表面に比較的近い。脛骨神経300が皮膚に近い場所において電極を位置決めすることは、皮膚に近い神経を刺激するのに必要とされる電池電力が少なくて済むので、デバイス自体をより小型かつ軽量にすることを可能にする。また、足関節内に他の(標的とされていない)神経がほとんどなく、発生した電界が標的とされていない神経に影響を及ぼす可能性が低くなる。
【0055】
電極は、種々の方法で足関節上に位置決めされ得るが、全ての位置が等しく有効又は効率的であるわけではない。例えば、脛骨神経300が足関節の側部上の皮膚に近接していないので、足関節の側部上に電極のうちの1つ以上を位置決めすることは好ましくない。また、足関節の側部上に位置決めすることは、疼痛神経を活性化する可能性がある。足関節の上方に電極を位置決めすることは、脛骨神経300が足関節の上方の筋肉によって覆われ、神経を活性化するためにより多くのエネルギーが必要とされるので、好ましくない。足の上部又は下部に電極を位置決めすることは、脛骨神経300が足の中で分岐し、この場所で活性化することをより困難にするため、好ましくない(また、かかる位置決めは、歩行又は起立中に不快感を引き起こす可能性がある)。また、電極は、脛骨神経300の経路を横切って横方向に、又は脛骨神経300の経路に沿って軸方向に位置決めされ得る。電極が神経にわたって横方向に配置される場合、神経を刺激するためにより多くの電池電力が必要とされ得る。電極は、好ましくは、電極によって発生する電場が脛骨神経300と交差するか又は重複するように、神経に沿って軸方向に配置される(図9A図9Eに示されるとおり)。電極の最適な位置決めエリアは、内果320に近接し、かつその後方にある、内側又は中心部に近い足関節(いずれかの足関節)上にあると考えられる。
【0056】
電極が足関節上の所望の場所に位置決めされるようにデバイスを付着させる場所をユーザに通信することは、困難であり得る。デバイスを適切に付着させるための文書、イラスト、又は配向マークを含む説明は、デバイス自体に、デバイスの包装内に、又はデバイスの包装上に含まれ得る。しかしながら、ユーザは、例えば、包装を配設するとき、説明書を読まずに配設するか、又は単に説明書を無視する可能性がある。電極が足関節上の所望の場所において位置決めされるように、デバイスを付着させる場所をユーザに通信するための効果的な方法は、足関節上の1つ以上の解剖学的目印を選択することと、デバイスの形状に解剖学的目印を補完させることと、を含み得る。足関節上の解剖学的目印を選択すること、及び目印を補完又は完成させるようにデバイスの形状を設計することで、ユーザがデバイスを付着させることをより直感的なものにすることができる。好適な解剖学的目印は、図1に見られるように、アキレス腱310、踵330、アーチ340、内果320、外果(図示せず)、又はこれらの組み合わせを含む。アーチ340及び/又は内果320が好ましい。内果320が最も好ましい。足関節上のこれらの解剖学的目印は、突き出ており、ユーザが視覚又は触覚によって識別することがかなり容易である。
【0057】
形状
足関節の側部及び縁部は、概して、非線形である。本明細書の文脈内で使用される場合、「非線形」という用語は、直線ではなく、様々な曲線のいずれかを表す。そのため、本明細書に記載のデバイスは、少なくとも1つの非線形縁部を有し得、これは、本明細書に記載の解剖学的目印のうちの1つ、好ましくは、内果320の非線形縁部と位置合わせされるか、又は実質的に位置合わせされ得る。内果320は、足関節の内側上の円形の突起である。本明細書の文脈内で使用される際、円は、その円周である1つの縁部を有する。図9A図9Eに示されるように、デバイスの非線形縁部は、内果320に対して凹状であり、内果320の後方であり得る。すなわち、非線形縁部は、内果320の後方境界(又は後方縁部)の周りで曲がる可能性がある。
【0058】
アセンブリ
非一体型デバイスの場合、デバイスを構成する材料は、組み立てられた物品を構築及び構成するための当技術分野で既知の従来の技法を使用して組み立てられ得る。図6は、本開示による分解された経皮的神経刺激デバイスを示す。
【0059】
カモフラージュ
本明細書に記載の経皮的神経活性化デバイスは、デバイスをより目立ちにくくし、より離散的にするためにカモフラージュされ得る。カモフラージュすることは、デバイスの色をユーザの肌の色調に一致させること、デバイスの色をユーザの衣服に一致させること、又はブリスターパッドなどのあまりユーザの気に障らないものとしてデバイスを偽装することを含む。カモフラージュすることはまた、デバイスをアクセサリ又は入れ墨のように見せるために、非常にカラフルで明るいデバイス又はカラフルなデザインを有するデバイスを含んでもよい。
【0060】
尿意切迫を治療する方法
尿意切迫を治療するための方法は、本開示による経皮的神経刺激デバイスを提供する工程と、ユーザ、好ましくは、尿意切迫を経験しているユーザの内側足関節にデバイスを付着させる工程と、ユーザの脛骨神経を刺激するようにデバイスを活性化させる工程と、を含み得る。
【0061】
使用説明書
デバイスを適切に位置合わせし、付着させるための文書、イラスト、又は配向マークを含む説明書は、デバイス自体に、デバイスの包装内に、又はデバイスの包装上に含まれ得る。デバイスの適切な位置決めに関して、電極が足関節上の所望の場所において位置決めされるように、デバイスを適切に付着させるためにユーザと通信する効果的な方法は、足関節上の1つ以上の解剖学的目印を選択することと、デバイスの形状に解剖学的目印を補完させるか、又は完成させることと、によるものである。足関節上の適切な解剖学的目印を選択し、次いで目印を補完又は完成するようにデバイスの形状を設計することによって、ユーザが適切に付着させることを直感的なものにするデバイスが提供される。好適な解剖学的目印は、図1に見られるように、アキレス腱310、踵330、アーチ340、内果320、外果(図示せず)、又はこれらの組み合わせを含む。アーチ340及び/又は内果320が好ましい。内果320が最も好ましい。足関節上のこれらの解剖学的目印は、突き出ており、ユーザが視覚又は触覚によって識別することがかなり容易である。
【0062】
デバイスの構成要素及びデバイスを動作させるためのプロトコルを含む、多数の好適な神経刺激デバイスが、米国特許出願第15/912,058号及び米国特許第10,016,600号において説明されており、それらの両方は、参照により、本明細書に組み込まれる。ユーザが自身の足関節に容易かつ適切に設置できるように成形及び構成された神経刺激デバイスが、米国特許出願第2019/0117974号に記載されている。
【0063】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0064】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本出願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0065】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
【国際調査報告】