(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】動作の一貫した滑らかさを有する医療器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/28 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
A61B17/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523578
(86)(22)【出願日】2021-10-18
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2021078822
(87)【国際公開番号】W WO2022084256
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】102020127497.1
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スベン バーセルメス
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー ルスダウ
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン スターク
(72)【発明者】
【氏名】マーカス ケネカット
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160AA12
4C160GG08
4C160MM32
(57)【要約】
本発明は医療器具(1)に関し、医療器具(1)は、第1支持面(6)を持つ第1軸受部(4)を有する第1器具分岐部(2)と、第2支持面(7)を持つ第2軸受部(5)を有する第2器具分岐部(3)と、を備え、第1支持面(6)は第2支持面(7)に対し、第1器具分岐部(2)が枢動軸(11)を中心として第2器具分岐部(3)に対して旋回可能であるようにそれがスライド式に枢動できるよう、平坦に乗り、第1軸受部(4)および/または第2軸受部(5)は枢動軸(11)の領域において、関連する支持面(6、7)を備える端面を持つ肩部(12)または肩要素を有し、前記肩部または肩要素は関連する軸受部(4、5)に対して、医療器具(1)の枢動軸(11)の方向において、外側に段差づいており、その結果、関連する支持面(6、7)は関連する軸受部(4、5)に対して外側に段差づいている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具(1)であって、
少なくとも一つの第1軸受面(6)を有する第1軸受部(4)を有する第1器具分岐部(2)と、
少なくとも一つの第2軸受面(7)を有する第2軸受部(5)を有する第2器具分岐部(3)と、を備え、
前記少なくとも一つの第2軸受面(7)上には前記第1軸受面(6)が平坦に枢動スライド式に載置され、そして前記第1器具分岐部(2)が前記第2器具分岐部(3)に対して枢動軸(11)を中心に枢動可能であり、
前記第1軸受部(4)及び/又は前記第2軸受部(5)は、前記枢動軸(11)の領域において、関連する前記軸受面(6、7)を備える前面を有する肩部又は肩要素を有し、
前記肩部又は肩要素は、関連する前記軸受部(4、5)に対して前記医療器具(1)の前記枢動軸(11)方向において、外側にオフセットしており、従って、関連する前記軸受面(6、7)は、関連する前記軸受部(4、5)に対して外側にオフセットしていることを特徴とする、医療器具(1)。
【請求項2】
前記第1軸受面(6)及びその上に載置される前記第2軸受面(7)は、前記第1器具分岐部(2)の前記第2器具分岐部(3)とのスライド枢動運動中に、その相対運動の全動作範囲において動作の滑らかさを均一に維持するために、互いの上に載置される二つの前記軸受面(6、7)の接触面(K)の面積が各相対的向きにおいて同じサイズであるように、構成され、相互に関連付けられることを特徴とする、請求項1に記載の医療器具(1)。
【請求項3】
前記第1軸受面(6)及び/又は前記第2軸受面(7)は、回転対称に形成され、特に円形の外径を有する円形又は環状であり、特に、その全面において、それぞれの相対的な向きにおいてそれぞれ他方の前記軸受面(6、7)上にあり、前記接触面(K)を形成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の医療器具(1)。
【請求項4】
前記第1軸受部(4)及び/又は前記第2軸受部(5)は、前記軸受面(6)を肩部又は肩要素として形成する平坦な前面を有する、特に円筒形又は中空円筒形の台座(12)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項5】
少なくとも一つの前記肩部は、関連する前記器具分岐部(2)上に一体的に形成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項6】
前記医療器具(1)は、プッシュスルー構成を有し、
前記プッシュスルー構成においては、
前記第1軸受部(4)がプッシュスルー部の形態のオス軸受部であり、
前記第2軸受部(5)が通路開口部(8)を有するプッシュスルーボックスの形態のメス軸受部であり、
前記オス軸受部は、前記メス軸受部の前記通路開口部(8)を通って係合し、前記オス軸受部は、前記メス軸受部の二つの対向する前記軸受面(7)に対して前記オス軸受部の二つの互いに外を向いた前記軸受面(6)を接触させて枢動可能にスライドする、請求項1から5のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項7】
前記オス軸受部(4)は二つの円筒形又は中空円筒形の台座(12)を有しており、
前記台座(12)は、互いから離れる方向へ向き、互いに対して同軸に配置され、平坦な前面を有しており、
前記前面は、互いに離れる方向へ向き、互いに対応するとともに対向するメス軸受面(7)に当接する、前記オス軸受部(4)の二つの前記軸受面(6)を形成することを特徴とする、請求項6に記載の医療器具(1)。
【請求項8】
前記医療器具(1)は、外科用クランプ又は外科用鉗子であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項9】
前記第1軸受面(6)及び/又は前記第2軸受面(7)は、その円周の周りに丸みを帯びた縁部を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項10】
前記枢動軸(11)の方向における前記肩部又は前記肩要素の足から始まる前記肩部又は前記肩要素の高さは、最小0.1mm及び/又は最大1mm、特に好ましくは最小0.3mm及び/又は最大0.6mmであり、及び/又は
前記枢動軸(11)の方向における前記第1軸受部(4)と前記第2軸受部(5)との間の間隙の高さは、最小0.1mm及び/又は最大1mm、特に好ましくは最小0.3mm及び/又は最大0.6mmであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項11】
前記第1軸受面(6)及び/又は前記第2軸受面(7)は、少なくとも0.5cm
2及び/又は最大で5cm
2の面積を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項12】
前記第1軸受面及び/又は前記第2軸受面の粗さRaは、1μm未満とすることができ、好ましくはRa0.4μm未満とすることができることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療/医療技術、特に外科用、器具に関し、外科用器具は、少なくとも一つの第1軸受面/走行面/スライド面を有する第1軸受部を有する第1器具分岐部と、少なくとも一つの第2軸受面/走行面/スライド面を有する第2軸受部を有する第2器具部分岐と、を有し、少なくとも一つの第2軸受面上には第1軸受面が平坦に枢動スライド式に載置され/当接し/互いに寝て、そして第1器具分岐部が第2器具分岐部に対して枢動軸を中心に枢動可能である。
【背景技術】
【0002】
互いに枢動可能な二つの器具分岐部を有する外科用クランプなどの医療器具は通常、枢動接合部(pivot joint)として作用するプッシュスルー式留めの形態の軸受構成を有し、この枢動接合部では、オスプッシュスルー部がメスプッシュスルーボックス内に収容され、二つの分岐部の二つの直接当接する軸受面上における閉クランプ位置、及び開位置に枢動スライド式に枢動可能である。これらの軸受面は互いに直接上下に重なっており、通常、軸受部全体にわたって平坦であるか、又はわずかな角度で外側へ傾斜している。プッシュスルー式留めは小さなクリアランス、並びに鋭利な又は明確に角度のついた内側角部又は縁部を有しており、それら内側角部又はエッジは、医療器具が開閉される際、それぞれに対向し、直接的に隣接する軸受面をこすり、並びにこの軸受面のエッジをこすっていく。一方では、接触する縁部の長さは開動作又は閉動作中に変化し、他方では軸受面間のクリアランスは等しくないか、又は増大する。その結果、相対運動の動作範囲において、動作の滑らかさが異なることに伴う不均一な動作が生じる。特に、器具分岐部の互いに対する相対的な向き/開き位置に応じて、器具の分岐部間の摩擦又は摩擦力が変化し、その結果、不均一な動作が生じる。このような不均一な動作という影響は例えば、閉位置の増加に伴ってより高い閉鎖力を必要とする外科用はさみにおいてみられる。
【0003】
例えば、米国特許第3,459,187号は、互いに対して枢動可能なプッシュスルー構成の二つの器具分岐部を有する外科用クランプの形態の医療器具を開示している。枢動接合領域では、オスのプッシュスルー部がメスのプッシュスルーボックスを貫通し突出し、後者(プッシュスルーボックス)の内壁の全表面にあたっている状態で収まっている。開運動及び閉運動の間、オス軸受部及びメス軸受部は、摩擦しながら互いに対してスライドする。従って、器具分岐部が互いに対して枢動可能に配置されるとき、動作の滑らかさは変化する。
【0004】
国際公開第2018/166989号公報は、互いに対して枢動可能な二つの器具分岐部を有する付加製造された外科用クランプを開示している。一方の器具分岐部は、ガイド突起部を有し、ガイド突起部は、他方の器具分岐部の方へ立ち上がり、器具分岐部の枢動位置決めのために他方の器具分岐部内にある対応して形成された円弧状の凹部と係合する。また、この外科用クランプでは、動作の滑らかさは特に、クランプが閉位置から開かれるとき、動作の範囲において変化する。また、開状態での部品の安定性は比較的低く、取り扱いを誤ると破損しやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は従来技術の欠点を回避するか、又は少なくとも軽減することであり、特に、動作の全範囲にわたって、又は器具分岐部のそれぞれの相対的な向きにおいて、特に動作の均一な滑らかさを維持する医療器具を提供することである。さらに、製造及び生産、特に組み立て工程は、単純化されるはずである。本発明の別の目的は、目に見える軸受面上の引っ掻き傷などの製造に関連する表面欠陥を最小限に抑えることである。加えて、洗浄性即ち滅菌性が改善されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般的な医療機器における本発明の目的及びねらいは、本発明に従って、請求項1の特徴によって解決される
【0007】
従って、基本的に、本発明は、枢動軸の領域又は枢動軸の周りにおける、(少なくとも一つの)第1軸受面及び/又は(少なくとも一つの)第2軸受面が、医療器具の枢動軸の方向において、つまり、第2軸受面又は第1軸受面に向かって、その(残りの)軸受部に対して外側に凹んでいる/外側にオフセットされていることを提供する。この構成により、特に一方の側の軸受面を全体として具体的に画定する突出部が形成され、肩部/隆起部又は肩要素/隆起要素による隆起を介して互いに対向する軸受部の(残りの)壁面間に(小さい)間隙を形成する。結果として、枢動軸の周りのオフセットした軸受面のみが対応する反対側の軸受面と直接接触するので、後者(反対側の軸受面)は特別に構成され、例えば、特に良好に機械加工され、ピ枢動-スライド用のために準備されてもよい。この軸受面の特に高い表面品質は、局所的な機械加工によって作り出すことができる。軸受部の残りの部分/一部に生じる間隙のために、生産関連で生じる互いに異なるクリアランスは、もはや関係なくなり、影響もなく、その結果、動作範囲全体における動作又は動作の滑らかさが、相対運動全体にわたって、一様であり一定の動作へさらに調和又は近似される。従って、オフセット部分又はオフセット要素を有する構成はより一層均一な動作を保証し、構成要素の安定性を高め、特に軸受部に沿って一定のままであるクリアランスを通して電気化学処理中の毛管現象を最適化する。軸受面が関連する軸受部に対して外側にオフセットされているか、又は即ち、軸受部に対して他方の器具分岐部に向かって(外側に)突出し、そして枢動スライド接触面を他方の器具分岐部に向かって形成するという器具の特別な設計により、この軸受面は特に高い表面品質を局所的に(特に軸受部の残りの表面に対して)達成するように、特別に機械加工することができる。限定された、幾何学的に正確に画定された枢動-スライド軸受面は医療器具の簡単で効率的な製造を、可能にするとともに達成する。
【0008】
特に、肩部又は肩要素は、医療器具の残りの部分と比較して、肩部又は肩要素の、特に軸受面の材料の異なる特性を達成するために熱処理されてもよい。
【0009】
また、特に肩部又は肩要素、特に軸受面は例えば摩擦及び摩耗を局所的に低減するために、表面処理され、好ましくは表面硬化及び/又は窒化及び/又はリン酸化されてもよい。好ましくは、局所的に高い表面品質を有する費用効率の高い製造を達成するために、肩部又は肩要素、特に軸受面のみが表面処理される(及び器具の残りの部分は表面処理されない)。
【0010】
さらに、特に肩部又は肩要素、特に軸受面は、硬化されてもよく、軸受部の残りの部分よりも、特に医療器具の残りの部分よりも高い硬度を有してもよい。
【0011】
好ましくは、肩部又は肩要素はまた、特にポリマー、特にフルオロポリマー、及び/又はPEEK及び/又はチタンを用いて、軸受面を形成する生体適合性コーティングを有してもよい。
【0012】
特に、第1軸受部及び第2軸受部の両方が、その前面がそれぞれ軸受面を形成する肩部又は肩要素を有する場合、均一な枢動運動のために特に粗さが少ないことを保証するため、これらのみに特別な機械加工を施さなければならない。両方の前面が平坦でもある場合、ごくわずかな凹凸しかない均一な表面を達成することができる。軸受面への、対応する特殊な機械加工による製造はより単純であり、より費用効率が高く、器具の人間工学をさらに改善することができる。
【0013】
そのような構成は、より高い機械的負荷支持能力、プロセス信頼性の高い機械製造、製造における機械化又は自動化の程度の増加、及び付随してより良好な洗浄特性という利点をもたらす。クリアランスのわずかな増加はまた、追加の丸みを帯びた縁部などのさらなる構造的調整のための空間を作り出す。最適化された洗浄結果は、軸受部の対向する「内面」の間に配置され、特に同じままでいる間隙又はクリアランスによっても達成される。電気化学的機械加工も最適化される。
【0014】
従って、本発明によれば、第1軸受部及び/又は第2軸受部は枢動軸の領域において、関連する軸受面を備えるか又は形成する前面を有する肩部又は肩要素を有し、前記肩部又は肩要素は、関連する軸受部に対して医療器具の枢動軸の方向において、外側に凹んでいる/突き出ている/オフセットしている/突出している、又は突き出しており、関連する、特に全体の軸受面も、関連する軸受部に対して外側にオフセットされている。特に、少なくとも第1軸受部は枢動軸の領域において、少なくとも一つの肩部又は前面を有する肩要素を有し、特に、第1軸受面を形成し、前記肩部又は肩要素は枢動軸の方向において第1軸受部に対して外側にオフセットされており、その結果、第1軸受面は第1軸受部に対して第2軸受面に向かって外側にオフセットされている。
【0015】
「枢動-スライド」という語は二つの軸受面がそれらの平面上で互いにスライドし、枢動軸の周りで互いに対して枢動運動を行うことを意味する。これは、例えば、第1の平面(壁)表面が第2の平面(壁)表面上に直接、例えば水平に載置され、これらの二つの表面が枢動-スライド方式で互いに載置されるように、互いに対して回転されるときに生じる。
【0016】
前面は他の軸受面上に平らに載るために、他の軸受部又は他方の軸受面に向かって突出する肩部又は肩要素の側である。前面の少なくとも一部が軸受面を形成する。特に、枢動軸は、前面に対して垂直である。従って、前面は軸受部から離れる方向を向いているか、又は軸受部から離れる方向に(外側へ)指している。
【0017】
「枢動軸の領域における」という表現は肩部又は肩要素が枢動軸の周りの領域に、従って特に軸受部の中央、中央部分に配置されることを定義する。一方、軸受部の側方部分(即ち、枢動軸の領域の外側)は、肩部又は肩要素を有していない。第1軸受部及び第2軸受部は、互いに離間しており、従って、軸受面として機能しない。
【0018】
用語「オフセット」は軸受面と軸受部の残りの部分との間に、枢動軸の方向においてオフセットがあることを定義する。上部プラトー/プラットフォーム/隆起面が地面からオフセットされた面を形成するプラトー、プラットフォーム、又は隆起と同様に、軸受面は、軸受部のベース面に対してオフセットしている。
【0019】
プリアンブルとともに独立して請求され得る本発明のさらなる態様によれば、第1軸受面及びその上に載置される第2軸受面は、第1器具分岐部の第2器具分岐部とのスライド相対枢動運動中に、相対運動の全動作範囲において動作の滑らかさを均一に維持するために、互いの上に載置される二つの軸受面の接触面の面積が各相対的向き/相対的位置において同じ(サイズ)であるように構成され、相互に相関付け/関連付けられる。従来技術とは対照的に、医療器具の技術的構成及び互いに上下に重なる軸受面は、二つの軸受面の接触面の表面積、即ち、相対的な各向きにおいて、互いに直接上下にある二つの対向する軸受面の表面積を変化させず、これは、一定の摩擦力をもたらし、その結果、動作の一定の滑らかさをもたらす。軸受面の対応するマッチングを伴うそのような構成により、軸受面間の接触面は、あらゆる位置において同じである。これは、移動領域全体に沿って均一な動作を保証し、構成要素の安定性を増加させる。一定の接触面(支持面)により、全ての(開)位置において同じ摩擦力が保たれる。移動領域全体における相対的向きという用語は、閉位置と最大開位置との間の二つの器具分岐部の任意の可能な相対的位置決め又は位置を指す。
【0020】
有利な実施形態は、従属請求項において請求され、特に以下に説明される。
【0021】
特に、少なくとも第1軸受部は少なくとも一つのオフセットされた第1軸受面を有し、このオフセットされた第1軸受面は、開位置又は相対的な向きにかかわらず、第2軸受面と一貫して大きな接触面を有する。これは、医療器具の全動作領域にわたって、特に均一な動作の滑らかさをもたらし、これはまた、良好な洗浄特性を有し、製造が容易である。
【0022】
好ましい実施形態によれば、第1軸受面全体が、任意の相対的な向きで第2軸受面上に完全に載置されてもよい。(少なくとも一つの)第1軸受面は、(少なくとも一つの)第2軸受面上に常に完全に支持されるので、接触面のサイズは変化せず、動作の滑らかさは同じままである。その結果、第1軸受面は、ユーザの視野に入らないのである。言い換えれば、少なくとも第1軸受部は、第2軸受面に対する二つの分岐部の開位置にかかわらず、サイズが一定である接触面を有するような第1軸受面を有する。特に、第1軸受面全体が、任意の相対的な向きで第2軸受面全体に載っている。特に、第1軸受面及び/又は第2軸受面は、「閉鎖面」又は接触面の不可視部分に限定され、器具分岐部のどの(相対的)位置においても視野に入らない。
【0023】
好ましくは、第1軸受面及び/又は第2軸受面が平面であってもよく、即ち、一つの平面内にあってもよい。これは、特に簡単な製造及び良好な枢動-スライド特性をもたらす。
【0024】
さらなる好ましい実施形態によれば、第1軸受面及び/又は第2軸受面は回転対称に形成されてもよく、特に、円形外径を有する円形又は環状であって、特に、その全面において、動作の全範囲の各相対的向きにおいてそれぞれ他方の軸受面上にあり、接触面を形成してもよい。特に、枢動軸の周りに同心円状に配置された軸受面の円形構成に起因して、円周縁部は枢動運動中の移動方向に対して接線方向であり、その結果、円周縁部による影響、特に摩擦の影響が最小限に抑えられる。従って、それぞれの相対的な向きにおいて同じ摩擦力が存在し、特に、軸受面に接触する構成要素の縁部は存在しない。そのため、対向する隣接する軸受面は、軸受部全体にわたって概して平ら、特に平坦であることができる。一つの軸受面(少なくとも一つの側)の円形構成により、摩擦力、従って動作の滑らかさが均等に保たれる。
【0025】
特に、少なくとも一つの第1軸受面及び/又は少なくとも一つの第2軸受面は連続面を有するため、接触面も連続面を形成する。このようにして、追加の摩擦の影響が最小限に抑えられ、特に、構成要素の安定性を高めるために、それぞれの軸受面のサイズが最大化される。
【0026】
本発明の一態様によれば、第1軸受部及び/又は第2軸受部は、軸受面を肩部又は肩要素として形成する平坦な前面を有する段差部/台座、特に円筒形又は中空円筒形の段差部/台座を備えてもよい。特に、(段差部の基部から始まる枢動軸の方向における)円筒形又は中空円筒形の段差部/台座の外径と段差部の高さ及び、従って関連する軸受面との比は、10:1~200:1、好ましくは50:1~100:1である。平らで平坦なプラトーと同様に、平坦な前面が軸受面を形成する。好ましくは、段差部にはクリアランス孔(clearance hole)が同心円状に形成されてもよい。
【0027】
一実施形態によれば、肩部は、関連する軸受部、特に関連する器具分岐部上/とともに一体的に形成されてもよい。この種の一体的な製造は更なる隙間及び間隙を予防し、これは、洗浄特性を更に改善し、部品の安定性を高める。また、別個の製造及び組み立てが必要とされないので、製造プロセスも簡略化される。
【0028】
さらなる好ましい実施形態によれば、医療器具は、プッシュスルー構成/プッシュスルー式留めを有してもよく、プッシュスルー構成/プッシュスルー式留めにおいては、第1軸受部がプッシュスルー部の形態のオス軸受部であり、第2軸受部が通路開口部を有するプッシュスルーボックスの形態のメス軸受部であり、オス軸受部はメス軸受部の通路開口部を通って係合し、オス軸受部は、メス軸受部の二つの対向する軸受面に対してオス軸受部の二つの互いに外を向いた軸受面/サポート面/当接面を接触させて枢動可能にスライドする。プッシュスルー構成は特に安定しており、製造が容易であり、かつ洗浄又は即ち滅菌が容易である。
【0029】
好ましくは、オス軸受部は二つの円筒形又は中空円筒形の台座を有してもよく、台座は、互いから離れる方に面し、互いに対して同軸に配置され、平坦な前面を有しており、前面は、互いに離れる方に面する、オス軸受部の二つの第1(オス)軸受面を形成する。このようなオス部の両側の構成は、両側の動作の均一な滑らかさに寄与すると同時に、部品の安定性及び洗浄性を高める。
【0030】
一実施形態によれば、二つの軸受面は、他方の軸受面の一つの面のみが常に一方の軸受面上に縁なしで載るように構成され、互いに整合される。言い換えれば、特に、軸受面又は接触面は、いずれの相対的な向きにおいても、縁部に干渉されない。さらに言い換えれば、いずれの相対的な向きにおいても、構成要素の縁部は軸受面に接触しない。これにより、動作の滑らかさがさらに均一になる。
【0031】
本発明の一態様によれば、医療器具は、外科用クランプ又は外科用鉗子であってもよい。外科用クランプ又は鉗子では、動作の一貫した滑らかさは特に関心が高いところである。
【0032】
さらなる実施形態によれば、第1軸受面及び/又は第2軸受面は、その外周周り/外側に/輪郭に丸みを帯びた縁部/面取り部を有してもよい。これは、部品の安定性を高め、製造プロセスを単純化し、外周部における一定の摩擦力を保証し、これにより一貫した動きを保証する。
【0033】
好ましくは、枢動軸の方向における肩部又は肩要素の足から始まる肩部又は肩要素の高さは最小0.1mm及び/又は最大1mm、特に好ましくは最小0.3mm及び/又は最大0.6mmであってもよい。代替的に又は追加的に、枢動軸11の方向における第1軸受部と第2軸受部との間の間隙の高さは最小0.1mm及び/又は最大1mm、特に好ましくは最小0.3mm及び/又は最大0.6mmであってもよい。
【0034】
特に、第1軸受部の肩部は、第2軸受部の肩部と同一である。従って、対称構造が提供され、製造もまた、肩部の一つの実施形態のみに調整することができる。
【0035】
好ましくは、第1軸受面及び/又は第2軸受面の粗さ/表面粗さRaは、1μm未満としてもよく、好ましくはRa0.4μm未満としてもよい。
【0036】
好ましくは、第1軸受面及び/又は第2軸受面は、少なくとも0.5cm2及び/又は最大で5cm2の面積を有してもよい。好ましくは、枢動軸と同軸の貫通ボアの直径が肩部又は肩要素の外径の25%以下とすることができる。これにより、二つの軸受面の十分な支持面及び接触面が保証される。
【0037】
特に、第1軸受面及び/又は第2軸受面は、特に良好な軸受/走行特性を保証するための表面処理又はコーティングを有してもよい。例えば、肩部、従って軸受面も、良好な成形特性を有する高強度を達成するために、マルテンサイトなどの特殊な構造を有してもよい。軸受面はまた、低摩擦コーティングを有してもよい。
【0038】
本発明は、図面を用いて好ましい実施形態を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】好ましい実施形態の本発明による医療器具のオス軸受部の部分斜視図を示す。
【
図2】好ましい実施形態による医療器具の軸受部の部分上面図を示す。
【
図3】
図1及び
図2の医療器具の部分斜視図を示すが、この図は閉じられた器具分岐部と共に組み合わさった使用状態にある。
【
図4】
図3の医療器具の部分斜視図を示すが、この図では器具の分岐部が枢動して離れた状態である。
【
図5】従来技術によるプッシュスルー式留めを示す。
【
図6】従来技術によるプッシュスルー式留めを示す。
【0040】
図面は本質的に概略的なものであり、本発明の理解を助けることのみを意図している。
同一の要素には同一の参照符号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1から
図4は、外科用クランプの形態の好ましい実施形態の医療器具1を示す。
図1はそのオス器具分岐部2を示し、
図2から
図4は器具1の組み合わさった、使用できる状態であり、それにオス器具分岐部2及びそれに対し枢動可能なメス器具分岐部3の両方を示し、器具1は外科手術のために使用可能な状態であり、オス器具分岐部2及びメス器具分岐部3は、もはや互いから分離することができない状態である。
【0042】
オス器具分岐部2は、後/端側近位把持部/ハンドル部(ここでは図示せず)と、前側遠位クランプ部(ここでは図示せず)と、それらの間に配置された、平行六面体の形態のプッシュスルー部4の形態のオス軸受部とを有する。同様に、メス器具分岐部3は、把持部(図示せず)と、クランプ部(図示せず)と、メスプッシュスルーボックス5の形態でそれらの間に配置されたメス軸受部とを有する。軸受の目的のために、メスプッシュスルーボックス5はプッシュスルー/通路開口部8を有し、この開口部において、二つの互いに面する又は対向する平行な平坦な側面9が形成され、ここに側面にオスプッシュスルー部4が係合する。
【0043】
図2から
図4に示すように、二つの器具分岐部2、3はオス軸受部4側に形成されたオス軸受面/走行面6と、メス軸受部側に形成されたメス軸受面/走行面7とを介して軸受部4、5において枢動可能に平らに配置され、その結果、オス器具分岐部2はメス器具分岐部3に対して、クランプが完全に開いている最大開位置と、二つの前側クランプ部が互いにクランプされた状態で上下に配置される閉位置との相対位置間で枢動可能である。
【0044】
従来技術とは対照的に、
図1に拡大されて示されるオス軸受部4は、枢動軸11の方向における両側で互いに離れる方向に向き延在する中央軸受サブ領域10における肩部として、円形、円筒形、又はリング形状の段差部/台座12を有する。互いに離れる方向に向く両方の段差部12は互いに同軸であり、かつ、前側に同じ大きさの平面を有し、これらの平面はそれぞれ、オス軸受面6を形成し、互いに離れる方向に向いており、かつ、互いに平行である。枢動軸11の周りの、又は軸受面6がオフセットになっている枢動軸11と同心のこれらの二つの段差部12は、オスプッシュスルー部4(前側)面のこの部分のみが軸受面6として、対応するメス軸受面7と接触するという効果を有する(
図2参照)。平面軸受面6は軸受部4の残りの平面に対して平行であるが、それとは離間している。動作の均一な滑らかさは、軸受部4の残りの領域から所定の方法でオフセットされ、メス軸受面7と接触する軸受面6の領域によって達成される。
【0045】
図3及び
図4に示されるように、丸いオス軸受面6は二つの器具分岐部2、3のすべての相対位置又は相対的向きにおいて、常にメス軸受面7と完全に接触するので、オス軸受面6とメス軸受面7との間の接触面K(のサイズa)は常に同じである。その結果、二つの器具分岐部2、3の互いに対する動作の全範囲又は相対的な向きのそれぞれにおいて、動作が等しく表れ、動作の滑らかさが均一に維持される。加えて、軸受面6、7又は接触面Kは、いかなる相対的な向きにおいても、縁によって決して中断されず、これはまた、均一な動作を保証する。これは、一定の接触面K、特に、円形の外側輪郭を有するオフセットしたオス軸受面6の丸い形状に起因する。オス軸受面6は全ての相対的な向きにおいてメス軸受面7上に全体が位置し、決して視界に入らない。
【0046】
この点において、プッシュスルーボックス5の平行な側面/側壁9においては、側面9の中央又は中間面部分のみが円形のオス軸受面6と接触し、枢動-スライド運動のためにこれらの中央面部分のみがオス軸受面6上に載っているか、即ち、互いに対して寝た状態であることに留意されたい。その結果、もちろん、これらの表面部分のみがメス軸受面7を形成する。
【0047】
枢動運動、動作、及び清掃性をさらに改善するために、段差部12におけるオス軸受面6は、その円周又は径方向外周縁部において、円周方向に丸みを帯びた縁部/面取り部13を有する。さらに、丸みを帯びた段差部12は、プッシュスルー部と面一となり、かつ可能な最大の円形支持面又はオス軸受面6を形成するために、(径方向、即ち枢動軸の方向に垂直に)(外側)縁部まで、又はプッシュスルー部の全幅に沿って延びている。
【0048】
二つの段差部12はプッシュスルー部4の残りの部分とプッシュスルーボックス5との間のクリアランス又は間隙14を少しだけ増加させるために、オス器具分岐部2と一体に形成され、枢動軸11の方向において非常に小さい高さしか有していない。特に、段差部12の高さ、従って間隙14の高さは、枢動軸11の方向におけるプッシュスルー部4の厚さの少なくとも1%及び/又は最大で10%であってもよい。特に、段差部12は、オス器具分岐部2のプッシュスルー部4上の肩部として付加的に製造されてもよい。
【0049】
枢動軸11を中心とする位置的に固定された枢動軸受のために、オス器具分岐部2は、二つの段差部12の中心において又はそれらと同軸に、枢動軸11の方向にクリアランス孔/プッシュスルー軸/貫通ボア15を有する。メス軸受面7を中心とする平行側面9上の相補的な、好ましくは円筒形の対向する突起(図示せず)と組み合わせて、オス軸受部は、このようにクリアランス孔15に係合することによって枢動可能に取り付けられる。
【0050】
特に、オス軸受面6は動作の滑らかさを(わずかに)増減させるために、所定の粗さを有する。従って、粗さを使用して、動作の滑らかさを微調整することができる。代替的に又は追加的に、メス軸受面7は、所定の粗さを有してもよい。
【0051】
図5及び
図6は、比較のための従来技術によるプッシュスルー式留めを示す。これらでは、軸受面はオフセットされておらず、枢動運動中に、オス軸受面及びメス軸受面の接触面の面積サイズが変化する。その結果、動作の滑らかさも変化する。同様に、オス軸受部及びメス軸受部両方の縁部は対応する軸受面上をこすっていき、これがまた、動作の滑らかさを変化させる。
【0052】
先行技術とは対照的に、
図1から
図4に示される本発明による器具1では、円形のオフセット軸受面6を有する段差部12により、接触面Kの面積サイズは動作の一定の滑らかさのために常に同じままであり、軸受面6、7上に縁部が載ることはない。
【符号の説明】
【0053】
1:医療器具
2:オス器具分岐部(第1器具分岐部)
3:メス器具分岐部(第2器具分岐部)
4:オスプッシュスルー部(第1軸受部)
5:メスプッシュスルーボックス(第2軸受部)
6:オス軸受面(第1軸受面)
7:メス軸受面(第2軸受面)
8:通路開口部
9:平行側面
10:中央軸受サブ領域
11:枢動軸
12:段差部(肩部)
13:丸みのある縁部/面取り部
14:間隙
15:クリアランス孔
K:接触面
【手続補正書】
【提出日】2023-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器
具であって、
少なくとも一つの第1軸受
面を有する第1軸受
部を有する第1器具分岐
部と、
少なくとも一つの第2軸受
面を有する第2軸受
部を有する第2器具分岐
部と、を備え、
前記少なくとも一つの第2軸受
面上には前記第1軸受
面が平坦に枢動スライド式に載置され、そして前記第1器具分岐
部が前記第2器具分岐部に対して枢動
軸を中心に枢動可能であり、
前記第1軸受
部及び/又は前記第2軸受
部は、前記枢動
軸の領域において、関連する前記軸受
面を備える前面を有する肩部又は肩要素を有し、
前記肩部又は肩要素は、関連する前記軸受
部に対して前記医療器
具の前記枢動
軸方向において、外側にオフセットしており、従って、関連する前記軸受
面は、関連する前記軸受
部に対して外側にオフセットして
おり、前記第1軸受面及び/又は前記第2軸受け面は、円形外径を有する円形または環状に形成されていることを特徴とする、
医療器
具。
【請求項2】
前記第1軸受面及びその上に載置される前記第2軸受面は、前記第1器具分岐部の前記第2器具分岐部とのスライド枢動運動中に、その相対運動の全動作範囲において動作の滑らかさを均一に維持するために、互いの上に載置される二つの前記軸受面の接触面の面積が各相対的向きにおいて同じサイズであるように、構成され、相互に関連付けられることを特徴とする、請求項1に記載の医療器
具。
【請求項3】
前記第1軸受
面及び/又は前記第2軸受
面は、その全面において、それぞれの相対的な向きにおいてそれぞれ他方の前記軸受
面上にあり、前記接触
面を形成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の医療器
具。
【請求項4】
前記第1軸受
部及び/又は前記第2軸受
部は、前記軸受
面を肩部又は肩要素として形成する平坦な前面を有す
る台座を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の医療器
具。
【請求項5】
少なくとも一つの前記肩部は、関連する前記器具分岐
部上に一体的に形成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の医療器
具。
【請求項6】
前記医療器具は、プッシュスルー構成を有し、
前記プッシュスルー構成においては、
前記第1軸受部がプッシュスルー部の形態のオス軸受部であり、
前記第2軸受部が通路開口部を有するプッシュスルーボックスの形態のメス軸受部であり、
前記オス軸受部は、前記メス軸受部の前記通路開口部を通って係合し、前記オス軸受部は、前記メス軸受部の二つの対向する前記軸受
面に対して前記オス軸受部の二つの互いに外を向いた前記軸受
面を接触させて枢動可能にスライドする、請求項1から5のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項7】
前記オス軸受
部は二つの円筒形又は中空円筒形の台
座を有しており、前記台
座は、互いから離れる方向へ向き、互いに対して同軸に配置され、平坦な前面を有しており、前記前面は、互いに離れる方向へ向き、互いに対応するとともに対向するメス軸受
面に当接する、前記オス軸受
部の2つの前記軸受
面を形成することを特徴とする、請求項6に記載の医療器
具。
【請求項8】
前記医療器
具は、外科用クランプ又は外科用鉗子であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の医療器
具。
【請求項9】
前記第1軸受
面及び/又は前記第2軸受
面は、その円周の周りに丸みを帯びた縁部を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の医療器
具。
【請求項10】
前記枢動
軸の方向における前記肩部又は前記肩要素の足から始まる前記肩部又は前記肩要素の高さは、最小0.1mm及び/又は最大1m
mであり、及び/又は
前記枢動
軸の方向における前記第1軸受
部と前記第2軸受
部との間の間隙の高さは、最小0.1mm及び/又は最大1m
mであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の医療器
具。
【請求項11】
前記第1軸受
面及び/又は前記第2軸受
面は、少なくとも0.5cm
2及び/又は最大で5cm
2の面積を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の医療器
具。
【請求項12】
前記第1軸受面及び/又は前記第2軸受面の粗さRaは、1μm未満
であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の医療器
具。
【請求項13】
前記台座は、円筒形又は中空円筒形の台座である、請求項4に記載の医療器具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
先行技術とは対照的に、
図1から
図4に示される本発明による器具1では、円形のオフセット軸受面6を有する段差部12により、接触面Kの面積サイズは動作の一定の滑らかさのために常に同じままであり、軸受面6、7上に縁部が載ることはない。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
医療器具(1)であって、
少なくとも一つの第1軸受面(6)を有する第1軸受部(4)を有する第1器具分岐部(2)と、
少なくとも一つの第2軸受面(7)を有する第2軸受部(5)を有する第2器具分岐部(3)と、を備え、
前記少なくとも一つの第2軸受面(7)上には前記第1軸受面(6)が平坦に枢動スライド式に載置され、そして前記第1器具分岐部(2)が前記第2器具分岐部(3)に対して枢動軸(11)を中心に枢動可能であり、
前記第1軸受部(4)及び/又は前記第2軸受部(5)は、前記枢動軸(11)の領域において、関連する前記軸受面(6、7)を備える前面を有する肩部又は肩要素を有し、
前記肩部又は肩要素は、関連する前記軸受部(4、5)に対して前記医療器具(1)の前記枢動軸(11)方向において、外側にオフセットしており、従って、関連する前記軸受面(6、7)は、関連する前記軸受部(4、5)に対して外側にオフセットしていることを特徴とする、医療器具(1)。
(項目2)
前記第1軸受面(6)及びその上に載置される前記第2軸受面(7)は、前記第1器具分岐部(2)の前記第2器具分岐部(3)とのスライド枢動運動中に、その相対運動の全動作範囲において動作の滑らかさを均一に維持するために、互いの上に載置される二つの前記軸受面(6、7)の接触面(K)の面積が各相対的向きにおいて同じサイズであるように、構成され、相互に関連付けられることを特徴とする、項目1に記載の医療器具(1)。
(項目3)
前記第1軸受面(6)及び/又は前記第2軸受面(7)は、回転対称に形成され、特に円形の外径を有する円形又は環状であり、特に、その全面において、それぞれの相対的な向きにおいてそれぞれ他方の前記軸受面(6、7)上にあり、前記接触面(K)を形成することを特徴とする、項目1又は2に記載の医療器具(1)。
(項目4)
前記第1軸受部(4)及び/又は前記第2軸受部(5)は、前記軸受面(6)を肩部又は肩要素として形成する平坦な前面を有する、特に円筒形又は中空円筒形の台座(12)を備えることを特徴とする、項目1から3のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
(項目5)
少なくとも一つの前記肩部は、関連する前記器具分岐部(2)上に一体的に形成されることを特徴とする、項目1から4のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
(項目6)
前記医療器具(1)は、プッシュスルー構成を有し、
前記プッシュスルー構成においては、
前記第1軸受部(4)がプッシュスルー部の形態のオス軸受部であり、
前記第2軸受部(5)が通路開口部(8)を有するプッシュスルーボックスの形態のメス軸受部であり、
前記オス軸受部は、前記メス軸受部の前記通路開口部(8)を通って係合し、前記オス軸受部は、前記メス軸受部の二つの対向する前記軸受面(7)に対して前記オス軸受部の二つの互いに外を向いた前記軸受面(6)を接触させて枢動可能にスライドする、項目1から5のいずれか一項に記載の医療器具。
(項目7)
前記オス軸受部(4)は二つの円筒形又は中空円筒形の台座(12)を有しており、
前記台座(12)は、互いから離れる方向へ向き、互いに対して同軸に配置され、平坦な前面を有しており、
前記前面は、互いに離れる方向へ向き、互いに対応するとともに対向するメス軸受面(7)に当接する、前記オス軸受部(4)の二つの前記軸受面(6)を形成することを特徴とする、項目6に記載の医療器具(1)。
(項目8)
前記医療器具(1)は、外科用クランプ又は外科用鉗子であることを特徴とする、項目1から7のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
(項目9)
前記第1軸受面(6)及び/又は前記第2軸受面(7)は、その円周の周りに丸みを帯びた縁部を有することを特徴とする、項目1から8のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
(項目10)
前記枢動軸(11)の方向における前記肩部又は前記肩要素の足から始まる前記肩部又は前記肩要素の高さは、最小0.1mm及び/又は最大1mm、特に好ましくは最小0.3mm及び/又は最大0.6mmであり、及び/又は
前記枢動軸(11)の方向における前記第1軸受部(4)と前記第2軸受部(5)との間の間隙の高さは、最小0.1mm及び/又は最大1mm、特に好ましくは最小0.3mm及び/又は最大0.6mmであることを特徴とする、項目1から9のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
(項目11)
前記第1軸受面(6)及び/又は前記第2軸受面(7)は、少なくとも0.5cm
2
及び/又は最大で5cm
2
の面積を有することを特徴とする、項目1から10のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
(項目12)
前記第1軸受面及び/又は前記第2軸受面の粗さRaは、1μm未満とすることができ、好ましくはRa0.4μm未満とすることができることを特徴とする、項目1から11のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【国際調査報告】