(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】ボロン酸エステル及びこれを含むコーティング
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20231024BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20231024BHJP
C09D 109/00 20060101ALI20231024BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/63
C09D109/00
C09D175/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523588
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 MY2021050088
(87)【国際公開番号】W WO2022086317
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】PI2020005484
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
(31)【優先権主張番号】PI2020005777
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】502431124
【氏名又は名称】ペトロリアム ナシオナル ベルハッド(ペトロナス)
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サムスディン モード シャムスル ファリド
(72)【発明者】
【氏名】アバ ノーファラー ダイアナ
(72)【発明者】
【氏名】ザカリア ムズダリファー
(72)【発明者】
【氏名】リオン コク フーン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーレイ ラッセル
(72)【発明者】
【氏名】デソウザ マンディー
(72)【発明者】
【氏名】エム ヌール アズミ
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CA021
4J038DG001
4J038JC02
4J038JC37
4J038MA14
4J038NA01
4J038NA03
4J038PA20
4J038PB06
(57)【要約】
本発明は、(i)本明細書に開示される式(I)のボロン酸エステルと、(ii)エラストマーとを含むコーティングであって、(i)及び(ii)が、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(PTMP)及び3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール(DODT)を用いて硬化される、コーティングに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)式(I):
【化1】
(式中、
R
1は、C
1~C
12炭素原子の任意選択的に置換されたアルキレン架橋であり、ここで、1つ以上の炭素原子は、O、N又はSによって置換され得;
R
2は、アルケン又はエポキシドであり;
R
3は、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロアリール又は任意選択的に置換されたカルボシクリルであり;及び
R
4は、アルケン、エポキシド、-R
5-アルケン又は-R
5-エポキシドであり、R
5は、C
1~C
12炭素原子の任意選択的に置換されたアルキレン架橋であり、ここで、1つ以上の炭素原子は、O、N又はSによって置換され得る)
で表される化合物と;
(ii)エラストマーと
を含むコーティングであって、(i)及び(ii)が、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(PTMP)及び3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール(DODT)を用いて硬化される、コーティング。
【請求項2】
前記エラストマーが、ポリイソブチレン、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリブタジエン、飽和ゴム、不飽和ゴム及び熱可塑性エラストマーからなる群から選択される、請求項1に記載のコーティング。
【請求項3】
前記エラストマーがポリウレタンであり、前記ポリウレタンが、
i.環状脂肪族イソシアネート又は環状脂肪族ジイソシアネートと;
ii.ポリオールと;
iii.鎖延長剤と
の反応生成物を含む、請求項1又は2に記載のコーティング。
【請求項4】
前記環状脂肪族ジイソシアネートが、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,4-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,6-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサヒドロキシリレンジイソシアネート及びオクタヒドロ-1,5-ナフタレンジイソシアネートからなる群から選択される、請求項3に記載のコーティング。
【請求項5】
前記ポリオールが、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(テトラヒドロフラン)及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3又は4に記載のコーティング。
【請求項6】
前記ポリオールが約400g/mol~約1500g/molの分子量を有する、請求項5に記載のコーティング。
【請求項7】
前記鎖延長剤が、一般式HO-(CH
2)
n-OH(式中、nは、2~5の整数である)で表されるものである、請求項3~6のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項8】
前記ポリウレタンが、式(IIA)又は(IIIA):
【化2】
(式中、R
6、R
7及びR
8は、独立して、任意選択的に置換された炭素環式基であり;
m1は、1~3の整数であり;
m2は、1を超える整数であり;及び
q1は、1を超える整数である)
で表される繰り返し単位を含む、請求項3~7のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項9】
R
6、R
7及びR
8が、任意選択的に置換されたシクロヘキシルである、請求項7に記載のコーティング。
【請求項10】
前記ポリウレタンが、式(IIB)又は(IIIB):
【化3】
(式中、m1は、1~3の整数であり;及び
m2は、1を超える整数であり;及び
q1は、1を超える整数である)
で表される繰り返し単位を含む、請求項3~8のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項11】
R
3が、任意選択的に置換されたC
6~C
10アリールである、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
R
1が、C
1~C
6炭素原子の任意選択的に置換されたアルキレン架橋であり、ここで、1つ以上の炭素原子がOによって置換され得、及びR
2がC
2アルケンである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
R
1が、C
1~C
6炭素原子の任意選択的に置換されたアルキレン架橋であり、ここで、1つ以上の炭素原子がOによって置換され得、及びR
2がエポキシドである、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
-R
1-R
2が、
-(CH
2)
pO-(CH
2)
q(CH=CH
2)又は
-(CH
2)
p-エポキシド
で表され、p及びqが、独立して1~6の整数である、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
-R
3-R
4が、-フェニル-アルケン、又は-フェニル-エポキシドである、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
以下の化合物:
【化4】
からなる群から選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
(i)以下の式:
【化5】
で表される化合物と;
(ii)式(IIB)又は(IIIB):
【化6】
(式中、m1は、3であり;
m2は、4~20の整数であり;
q1は、1を超える整数である)
で表される繰り返し単位を含むポリウレタンと
を含むコーティングであって、
(i)及び(ii)が、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(PTMP)及び3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール(DODT)を用いて硬化される、コーティング。
【請求項18】
前記式(I)の化合物の前記エラストマーに対する比が4:1~1:4の範囲である、請求項1~17のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項19】
水分の存在下で自己修復剤として機能することが可能である、請求項1~18のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載のコーティング中に形成される亀裂を自己修復する方法であって、前記亀裂が水分に曝露されることで、前記亀裂の両側に位置するヒドロキシ基間でエステル化を誘発し、少なくとも部分的に前記亀裂の縁を共に接合させる、方法。
【請求項21】
前記亀裂の縁が少なくとも80%、共に接合される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記水分が大気中の水分である、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
室温で行われる、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
請求項1~19のいずれか一項に記載のコーティングを含むパイプライン。
【請求項25】
請求項1~19のいずれか一項に記載のコーティングを合成する方法であって、
(a)請求項1に記載の式(I)の化合物、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(PTMP)、3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール(DODT)、エラストマー、および光開始剤を含む混合物を調製するステップと;
(b)ステップ(a)の前記混合物を硬化させるステップと
を含む方法。
【請求項26】
前記エラストマーが、
i.環状脂肪族イソシアネート又は環状脂肪族ジイソシアネートと;
ii.ポリオールと;
iii.鎖延長剤と
の反応生成物である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記エラストマーが、請求項8又は10に記載の式(IIA)、(IIB)、(IIIA)又は(IIIB)で表される繰り返し単位を含む、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
ステップ(b)が熱硬化、レドックス硬化、又はUV硬化を含む、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ステップ(b)が、前記混合物にUV光を少なくとも1時間照射することを含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
(c)ステップ(b)の生成物を少なくとも1日間乾燥させるステップ
をさらに含む、請求項25~29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ボロン酸エステル及びそれを含むコーティングに関する。このコーティングは、その自己修復特性によって、石油及びガス産業の保護防食コーティングとして有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
石油及びガス産業は、世界最大の経済セクターの1つであり、種々の形態の石油及び石油化学製品を得るために、これらの天然ガス及び原油の掘削、輸送、保管、加工及び精製が必要となる。燃料は、重要なエネルギー源の1つである。さらに、これらの石油化学製品は、農薬、医薬品、肥料、溶剤及びプラスチックなどの別の化学物質を製造するための材料の主要な供給源となるため、多くの産業にとって重要である。
【0003】
石油及びガス産業は、燃料の需要及び価格における現在の不安定さ並びに厳しい環境規制のため、コストの削減、効率の向上並びに生産性及び環境フットプリントの改善を含む大きい課題に直面している。これらの成果を実現するために、石油及びガス産業では、その主要な問題の1つである腐食に取り組む必要がある。
【0004】
パイプライン、設備、接続、管材料及びプロセスシステムなどの石油及びガスのインフラストラクチャーの腐食は、金属の保全性並びに石油及びガスのプロセスの性能に大きい影響を与える。腐食によってピットが形成され、機械効率が低下して、最終的に漏れが生じることがある。したがって、石油及びガスのインフラストラクチャーの腐食により、製造コスト及び環境フットプリントが増加し、効率が低下し、生産量が減少する。
【0005】
石油及びガス産業が直面する長期曝露及び過酷な条件(例えば、高温、塩分及び湿度並びに汚染物質、砂、及びダストの存在)により、腐食過程がさらに加速し、これらの金属のインフラストラクチャーの寿命が短くなる。これらの金属のインフラストラクチャーの摩耗及び引裂は、二酸化炭素(CO2)、硫化水素(H2S)及び水(H2O)などの腐食性要素の存在下でも不可避となる。
【0006】
これらの金属のインフラストラクチャーを保護し、腐食を回避するための方法として、例えば犠牲コーティング又は保護コーティングの塗布、化学処理の実施及び腐食防止剤の添加等、いくつかの方法が存在する。最も費用対効果の高い解決策の1つは、保護コーティングを塗布することである。当該コーティングは、金属基材上に追加的なバリアを形成するために、広く使用されている。コーティング組成物の幾つかの例としては、ポリシロキサン、エポキシ、ポリマー、リン酸エステル及びボロン酸エステルなどの化合物の使用が挙げられる。
【0007】
追加的な保護コーティングが塗布されると、それにより金属基材が腐食性要素から保護され、金属のインフラストラクチャーの寿命が長くなる。しかし、塗布された保護コーティングは、輸送及び取り付け中の環境及び機械的衝撃により、傷が生じ、永久的に損傷することがある。コーティングが損傷すると、金属が露出し、腐食が発生することがある。
【0008】
また、石油及びガス産業が直面する長期曝露及び過酷な条件において、保護コーティング組成物の品質及び物性は、安定性や、堅牢性及び耐久性があまり高くないことがある。コーティングの分解及び劣化が起こる可能性があり、その結果として金属を腐食から保護できなくなる場合がある。
【0009】
腐食を防止し、状態を修正するために、保護コーティングの修復又は完全な再塗布が必要となる。これらを行うにしても、内部及び/又は外部の腐食を迅速に確認し、有効なメンテナンスを行うことは、非常に困難である。さらに、メンテナンスプロセスは、費用がかかり、煩雑である。現場(オフショア条件)での修復の品質は、工場内又はより制御された環境中で行われる修復と同程度にならない場合もある。
【0010】
金属基材上のコーティングをタイムリーかつ有効に修復しないと、持続的な損傷が腐食性媒体を急速に取り込む導管を形成し、最終的にコーティングの早期破壊、漏出、生産量のロス、及び機器の停止につながり得る。
【0011】
石油及びガス産業とは別に、金属基材に対する腐食の問題は、別の工業用途でも明白である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、前述の1つ以上の短所を克服するか、少なくとも改善する保護コーティング組成物を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様によると、
(i)式(I):
【化1】
(式中、
R
1は、C
1~C
12炭素原子の任意選択的に置換されたアルキレン架橋であり、ここで、1つ以上の炭素原子は、O、N又はSによって置換され得;
R
2は、アルケン又はエポキシドであり;
R
3は、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロアリール又は任意選択的に置換されたカルボシクリルであり;及び
R
4は、アルケン、エポキシド、-R
5-アルケン又は-R
5-エポキシドであり、R
5は、C
1~C
12炭素原子の任意選択的に置換されたアルキレン架橋であり、ここで、1つ以上の炭素原子は、O、N又はSによって置換され得る)
で表される化合物と;
(ii)エラストマーと
を含むコーティングであって、(i)及び(ii)が、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(pentaerythritol tetrakis(3-mercaptoptopionate))(PTMP)及び3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール(DODT)を用いて硬化される、コーティングが提供される。
【0014】
有利なことに、コーティングは、自己修復性コーティングであり得る。自己修復機構は、有利なことに、周囲環境からだけで活性化される内在的な修復機構であり得る。さらに有利なことに、自己修復性コーティングは、何度も修復可能な自己修復材料であり得る。
【0015】
さらに有利なことに、コーティング中のエラストマーは、高弾性を有することができ、コーティング中におけるその存在は、傷や亀裂の粘弾性「スプリングバック」を通じてさらなる修復をもたらし、上記修復をさらに改善することができる。
【0016】
さらなる一態様によると、本開示のコーティング中に形成される亀裂を自己修復する方法であって、前記亀裂が水分に曝露されることで、前記亀裂の両側に位置するヒドロキシ基間でエステル化を誘発し、少なくとも部分的に前記亀裂の縁を共に接合させる、方法が提供される。
【0017】
別の一態様によると、本開示のコーティングを含むパイプラインが提供される。
【0018】
別の一態様によると、本開示のコーティングを合成する方法であって、
(a)本開示の式(I)の化合物、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(PTMP)、3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール(DODT)、エラストマー、および光開始剤を含む混合物を調製するステップと;
(b)ステップ(a)の前記混合物を硬化させるステップと
を含む方法が提供される。
【0019】
定義
特に本明細書で定義されなければ、本明細書で用いられる科学用語及び技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。一般に、本明細書に記載の化学と関連して用いられる命名法及び本明細書に記載の化学技術は、当技術分野で周知であり、一般に用いられるものである。
【0020】
文脈が別のことを必要とするか又は逆のことに特に言及するのでなければ、単数形の整数、ステップ又は要素として本明細書に記載された整数、ステップ又は要素は、単数及び複数、両方の、整数、ステップ又は要素を明確に包含する。
【0021】
本開示で使用される、「アルキル」という用語は、その意味において、1~20個の炭素原子、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個の炭素原子を有する一価(「アルキル」)及び二価(「アルキレン」)の直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族基を含む。例えば、アルキルという用語は、メチル、エチル、1-プロピル、イソプロピル、1-ブチル、2-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、アミル、1,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、4-メチルペンチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、1,2,2-トリメチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコデシルなどを含むが、これらに限定されない。アルキル基は、任意選択的に置換され得る。
【0022】
本開示で使用される、「アリール」という用語又は「芳香族基」などの変化形は、6~10個の炭素原子を有する芳香族炭化水素の一価(「アリール」)及び二価(「アリーレン」)の単核残基、多核残基、共役残基又は縮合残基を意味する。このような基としては、例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナントレニルなどが挙げられる。アリール基は、任意選択的に置換され得る。
【0023】
本開示で使用される、本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は、約5~約14個の環原子、好ましくは約5~約10個の環原子を含み、1つ以上の環原子が炭素以外の元素、例えば窒素、酸素又は硫黄の単独又は組み合わせである、芳香族の単環式又は多環式の環系を意味する。「ヘテロアリール」は、前述の定義のアリールに縮合した前述の定義のヘテロアリールも含み得る。適切なヘテロアリールの非限定的な例としては、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、ピリドン(N置換ピリドンを含む)、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、オキシインドリル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、イミダゾ[2,1-b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4-トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。「ヘテロアリール」という用語は、例えば、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリルなどの部分飽和ヘテロアリール部分も意味する。ヘテロアリール基は、任意選択的に置換され得る。
【0024】
本開示で使用される、「炭素環」という用語又は「炭素環式環」などの変形は、その意味において、あらゆる安定な3、4、5、6若しくは7員の単環式若しくは二環式又は7、8、9、10、11、12若しくは13員の二環式若しくは三環式を含み、これらのいずれも飽和、部分不飽和又は芳香族であり得る。「炭素環」という用語は、その意味において、シクロアルキル基、シクロアルケニル基及びアリール基を含む。このような炭素環の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロオクチル、[3.3.0]ビシクロオクタン、[4.3.0]ビシクロノナン、[4.4.0]ビシクロデカン(デカリン)、[2.2.2]ビシクロオクタン、フルオレニル、フェニル、ナフチル、インダニル、アダマンチル又はテトラヒドロナフチル(テトラリン)が挙げられるが、これらに限定されない。特に指定されなければ、好ましい炭素環は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル及びインダニルである。炭素環は、任意選択的に置換され得る。
【0025】
本開示で使用される、「アルコキシ」という用語は、酸素に単結合したアルキル基を意味する。
【0026】
本開示で使用される、「エポキシド」という用語は、1つの酸素原子及び2つの炭素原子を含む、3員の環又は環式環を意味する。
【0027】
本開示で使用される、用語「任意選択的に置換された」という用語は、この用語で言及される基が非置換であり得るか、又は示される原子の通常の価数を超えず、置換によって安定な化合物が得られることを条件として、水素以外の1つ、2つ、3つ若しくはそれを超える数の基によって置換され得ることを意味する。このような基は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、ニトロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アリールアルコキシ、アルキルチオ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルコキシ、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルオキシ、アルキルスルホニルアルキル、アリールスルホニル、アリールスルホニルオキシ、アリールスルホニルアルキル、アルキルスルホンアミド、アルキルアミド、アルキルスルホンアミドアルキル、アルキルアミドアルキル、アリールスルホンアミド、アリールカルボキサミド、アリールスルホンアミドアルキル、アリールカルボキサミドアルキル、アロイル、アロイルアルキル(aroyl4alkyl)、アリールアルカノイル、アシル、アリール、アリールアルキル、アルキルアミノアルキル、基RxRyN-、RxOCO(CH2)m、RxCON(Ry)(CH2)m、RxRyNCO(CH2)m、RxRyNSO2(CH2)m又はRxSO2NRy(CH2)m(ここで、Rx及びRyのそれぞれは、独立して、水素若しくはアルキルから選択されるか、又は適切なRxRyは、炭素環式環若しくは複素環式環の一部を形成し、mは、0、1、2、3又は4である)、基RxRyN(CH2)p-又はRxRyN(CH2)pO-(ここで、pは、1、2、3又は4である)であり得;置換基がRxRyN(CH2)p-又はRxRyN(CH2)pOである場合、Rxと、その基の(CH2)p部分の少なくとも1つのCH2とは、カルボシクリル基又はヘテロシクリル基を形成することもでき、Ryは、水素、アルキルであり得る。
【0028】
本開示で使用される、「ポリマー」という用語は、モノマーとしても知られる多くの小さい繰り返し単位を含む大型化合物を意味する。例えば、ポリマーという用語は、合成ポリマー、例えばプラスチック、樹脂、ポリスチレン、ゴム、テフロン、ポリエチレン、ナイロン、ネオプレンポリカーボネート及びポリウレタンを含むが、これらに限定されない。
【0029】
本開示で使用される、「エラストマー」という用語は、弾性特性を有するあらゆるポリマーを意味する。
【0030】
本開示で使用される、「自己修復」という用語は、外部の支援又は人間の介入なしに材料の損傷を自発的に修復又は補修する、材料に組み込まれた能力を意味する。
【0031】
「実質的に」という単語は、「完全に」を排除するものではなく、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まなくてよい。必要に応じて、「実質的に」という単語は、本発明の定義から除外され得る。
【0032】
特に明記されなければ、「含んでいる(comprising)」及び「含む(comprise)」という用語並びにそれらの文法的変形は、記載の要素を含むが、追加的な記載されない要素も含むことができるように、「制限のない」又は「包括的な」言葉を表すことが意図される。
【0033】
本開示で使用される、配合物の成分の濃度に関連する「約」という用語は、典型的には、記載の値の±5%、より典型的には記載の値の±4%、より典型的には記載の値の±3%、より典型的には記載の値の±2%、さらにより典型的には記載の値の±1%、さらにより典型的には記載の値の±0.5%を意味する。
【0034】
本開示全体にわたり、特定の実施形態は、範囲形式で開示される場合がある。範囲形式での記述は、単に好都合で簡潔なためであり、開示される範囲への確固たる限定として解釈すべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の記述は、特に開示される全ての可能な部分的範囲及びその範囲内の個別の数値を有すると見なすべきである。例えば、1~6などの範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの特に開示される部分的範囲並びにその範囲内の個別の数、例えば1、2、3、4、5及び6を有すると見なすべきである。これは、範囲の幅とは無関係に適用される。
【0035】
特定の実施形態は、本明細書で広く一般的に記述される場合もある。一般的な開示の範囲内のより狭い種及び亜属の分類のそれぞれも本開示の一部を形成する。これは、実施形態の一般的記述を含み、切り取られた材料が特に本明細書に記載されるかどうかとは無関係に、その属から素材が除去される条件又は消極的な限定を有する。
【0036】
添付の図面は、開示される実施形態を示し、これらは、開示される実施形態の原理を説明する役割を果たす。しかしながら、図面は、単に説明を目的として設計されており、本発明の限定を規定するものとして設計されたものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明のコーティング中に存在するポリマーネットワークを示す。
【
図2】本発明のコーティング中の自己修復機構を示す。
【
図3】(a)本発明のコーティングで被覆された基材のスクラッチ後、及び(b)修復後の顕微鏡プロフィルメーター(profilemeter)試験画像を示す。
【
図4】(a)非自己修復層で被覆された基材、及び(b)本発明のコーティングで被覆された基材の、スクラッチ後の耐食塩噴霧試験の比較を示す。
【
図5】(a)本発明のコーティングを有しない金属基材、及び(b)本発明のコーティングを有する金属基材について観察した腐食の顕微鏡画像を示す。
【
図6】本発明のコーティングで被覆された基材のスクラッチ直後及び24時間後の、傷画像及び顕微鏡プロフィルメーター試験の比較を示す。
【
図7A】
図7A(チャート)及び
図7B(棒グラフ)は、スクラッチなしの対照試料、スクラッチありの対照試料、及び本発明のコーティングで被覆された試料の3つの電気化学的インピーダンス分光法(EIS)の結果を示す。
【
図8】イソシアネート基がポリウレタン中に存在するが、ポリウレタン-ボロン酸エステル(PU-BE)ネットワーク中に存在しないことを示すフーリエ変換赤外スペクトル(FTIR)である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1を参照すると、
図1は、本発明のコーティング中に存在するネットワークを示す。このポリマーネットワークは、ポリウレタン(PU)とボロン酸エステル(BE)とのブレンドであって、ボロン酸エステルとポリウレタンとの間にある程度共有結合が存在する、相互侵入ポリマーネットワーク(IPN)と半相互侵入ポリマーネットワーク(SIPN)との組み合わせである。
【0039】
図2を参照すると、
図2は、本発明のコーティング中の自己修復機構を示す。間隙又は亀裂が、(1)に示すように、ボロン酸エステルネットワークを損傷することがある。間隙又は亀裂は、ボロン酸エステルどうしの結合を破壊する。(2)に示すように、水分(2a)の存在下では、亀裂の端部に位置するボロン酸エステルの加水分解が起こり、遊離ヒドロキシル基が露出する。遊離ヒドロキシル基の再エステル化が起こってボロン酸エステル基が再形成され、それにより亀裂が閉じる(3)。ボロン酸エステルポリマーネットワークの固有の自己修復特性は、ボロン酸エステルを形成するためのボロン酸基及びジオール基の可逆的な化学反応と、環境中の水分の存在とに依拠している。表面の加水分解、続くエステル化によってコーティングの自己補修が起こる。有利なことに、当該自己修復機構は、1回限りの修復機構ではない。この可逆的な化学反応により、コーティングの自己補修が可能となる。
【0040】
図3~5で用いたコーティングは、ボロン酸エステル及びポリウレタンを1:1の比率で含む。
【0041】
図3は、本発明のコーティングで被覆された基材上の傷の顕微鏡プロフィルメーター試験画像を示し、(A)スクラッチ直後の画像、及び(B)48時間後の画像である。
図3Bに示されるように、傷の深さが大幅に減少し、傷の端部が封止されており、本発明の自己修復機構を裏付けている。
【0042】
同様に、
図4に(a)非自己修復層で被覆された基材、及び(b)本発明のコーティングで被覆された基材に対する、スクラッチ後の耐食塩噴霧試験の比較を示す。
図4に示すように、本発明のコーティングで被覆される基材は、腐食がはるかに少ないことを示している。
【0043】
図5は、(A)自己修復コーティングを有しない金属基材、及び(B)50%BE-50%PUの自己修復性コーティングを有する金属基材の腐食の顕微鏡画像である。金属基材を被覆する自己修復層がない場合の
図5Aでは、金属基材の端部の深い腐食線、及び腐食によって生じる深く大きい沿面距離(creepage)が見られる。他方で、
図5Bは、さらなる腐食の発生を防止するために、腐食線に沿って金属基材が50%BE-50%PUの自己修復性コーティングで被覆されていることを示す。
【0044】
図6は、本発明の自己修復層で被覆された基材のスクラッチ直後(0時間)及びスクラッチから24時間後の傷の画像と、顕微鏡プロフィルメーター試験および計算後の深さとを示す。
図6は、コーティングが自己修復され、スクラッチによって形成された亀裂/間隙が埋まることによって、擦り傷が生じた表面の深さが228μmから32μmまで変化することを示す。
【0045】
本発明は、ボロン酸エステルとポリマーとを含む自己修復性コーティング組成物の提供を目的とするものである。本発明は、金属基材のタイムリーかつ有効な修復が可能となり、腐食性媒体の急速な取り込み及び早期のコーティングの破壊を防止する、石油及びガス産業のための保護防食コーティングの提供も目的とするものである。
【0046】
本発明は、石油及びガス産業が直面する過酷なオフショア条件(例えば、高温及び高湿度)に適した、良好な耐久性、形状及び安定性を有するコーティング組成物に関する。これは、腐食に対する保護コーティングとして機能するだけではなく、優れた修復性も示し、高い耐久性並びにより高い機械的強度及び剛性を有する。有利なことにこれにより、金属インフラストラクチャーの寿命が増加し、維持費が減少し、労力が減少する。
【0047】
一態様では、本開示は、
(i)式(I):
【化2】
(式中、
R
1は、C
1~C
12炭素原子の任意選択的に置換されたアルキレン架橋であり、ここで、1つ以上の炭素原子は、O、N又はSによって置換され得;
R
2は、アルケン又はエポキシドであり;
R
3は、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロアリール又は任意選択的に置換されたカルボシクリルであり;及び
R
4は、アルケン、エポキシド、-R
5-アルケン又は-R
5-エポキシドであり、R
5は、C
1~C
12炭素原子の任意選択的に置換されたアルキレン架橋であり、ここで、1つ以上の炭素原子は、O、N又はSによって置換され得る)
で表される化合物と;
(ii)エラストマーと
を含むコーティングであって、(i)及び(ii)が、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(PTMP)及び3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール(DODT)を用いて硬化される、コーティングを提供する。
【0048】
有利なことに、エラストマーは高弾性を有することができ、コーティング中でのその存在は、傷や亀裂の粘弾性「スプリングバック」を通じて(開示される化学に基づく修復機構に加えて)さらなる修復をもたらし、修復性をさらに高めることができる。
【0049】
開示されるコーティング中のボロン酸エステルにエラストマーを加えることで、単純で簡便なポリマーネットワークによる相乗効果が得られる。このポリマーネットワークは、エラストマーと、式(I)で表されるボロン酸エステルとのブレンドであって、ボロン酸エステルとエラストマーとの間にある程度の共有結合が存在する、相互侵入ポリマーネットワーク(IPN)又は半相互侵入ポリマーネットワーク(SIPN)の組み合わせである。エラストマーとボロン酸エステルとの間のバランス、及び共有結合と非共有結合とのバランスが、機械的及び熱的性質と修復特性との最適なバランスに寄与する。コーティングは、優れた自己修復性、高い機械的強度及び剛性、並びにより良好な耐久性を示す。コーティング組成物は、腐食に対する保護層として機能し、金属のインフラストラクチャーの寿命を延長させる。
【0050】
エラストマーは、ポリイソブチレン、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリブタジエン、飽和ゴム、不飽和ゴム、及び熱可塑性エラストマーからなる群から選択され得る。
【0051】
エラストマーは、ポリウレタンであり得、このポリウレタンは、
i.環状脂肪族イソシアネート又は環状脂肪族ジイソシアネートと;
ii.ポリオールと;
iii.鎖延長剤と
の反応混合物を含むか又はそれからなる。
【0052】
有利なことに、炭素環式環から合成されたポリウレタンは、芳香族イソシアネート(例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI))又は直鎖脂肪族イソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI))から合成されたポリウレタンよりも高い弾性を有する。有利には、環状脂肪族イソシアネート又は環状脂肪族ジイソシアネートから合成されたポリウレタンの高弾性は、傷や亀裂の粘弾性「スプリングバック」を通じて、(開示される化学に基づく修復機構に加えて)さらなる修復をもたらし、修復性をさらに高めることができる。
【0053】
ポリウレタンは、環状脂肪族ジイソシアネートから合成され得る。環状脂肪族ジイソシアネートは、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,4-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,6-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサヒドロキシリレンジイソシアネート及びオクタヒドロ-1,5-ナフタレンジイソシアネートからなる群から選択され得る。
【0054】
ポリオールは、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(テトラヒドロフラン)及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0055】
ポリオールは、約400g/mol~約1500g/molの分子量を有することができる。ポリオールは、約400g/mol~約1500g/mol、約450g/mol~約1500g/mol、約500g/mol~約1500g/mol、約550g/mol~約1500g/mol、約600g/mol~約1500g/mol、約650g/mol~約1500g/mol、約700g/mol~約1500g/mol、約750g/mol~約1500g/mol、約800g/mol~約1500g/mol、約850g/mol~約1500g/mol、約900g/mol~約1500g/mol、約950g/mol~約1500g/mol、約1000g/mol~約1500g/mol、約1050g/mol~約1500g/mol、約1100g/mol~約1500g/mol、約1150g/mol~約1500g/mol、約1200g/mol~約1500g/mol、約1250g/mol~約1500g/mol、約1300g/mol~約1500g/mol、約1350g/mol~約1500g/mol、約1400g/mol~約1500g/mol、約1450g/mol~約1500g/mol、約400g/mol~約1450g/mol、約400g/mol~約1400g/mol、約400g/mol~約1350g/mol、約400g/mol~約1300g/mol、約400g/mol~約1250g/mol、約400g/mol~約1200g/mol、約400g/mol~約1150g/mol、約400g/mol~約1100g/mol、約400g/mol~約1050g/mol、約400g/mol~約1000g/mol、約400g/mol~約950g/mol、約400g/mol~約900g/mol、約400g/mol~約850g/mol、約400g/mol~約800g/mol、約400g/mol~約750g/mol、約400g/mol~約700g/mol、約400g/mol~約650g/mol、約400g/mol~約600g/mol、約400g/mol~約550g/mol、約400g/mol~約500g/mol、約400g/mol~約450g/mol若しくは約400g/mol、約425g/mol、約450g/mol、約475g/mol、約500g/mol、約525g/mol、約550g/mol、約575g/mol、約600g/mol、約625g/mol、約650g/mol、約675g/mol、約700g/mol、約725g/mol、約750g/mol、約775g/mol、約800g/mol、約825g/mol、約850g/mol、約875g/mol、約900g/mol、約925g/mol、約950g/mol、約975g/mol、約1000g/mol、約1025g/mol、約1050g/mol、約1075g/mol、約1100g/mol、約1125g/mol、約1150g/mol、約1175g/mol、約1200g/mol、約1225g/mol、約1250g/mol、約1275g/mol、約1300g/mol、約1325g/mol、約1350g/mol、約1375g/mol、約1400g/mol、約1425g/mol、約1450g/mol、約1475g/mol、約1500g/mol又はそれらの間のあらゆる値若しくは範囲の分子量を有することができる。
【0056】
鎖延長剤は、一般式HO-(CH2)n-OH(式中、nは、2~5の整数である)で表される。nは、2、3、4又は5であり得る。
【0057】
ポリウレタンは、式(IIA)又は(IIIA):
【化3】
(式中、R
6、R
7及びR
8は、任意選択的に置換されたシクロアルキル基であり;
m1は、1~3の整数であり;
m2は、1を超える整数、好ましくは4~20の整数であり;
q1は、1を超える整数である)
の繰り返し単位を含むか又はそれからなる。
【0058】
R6、R7及びR8は、独立して、任意選択的に置換されたシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルから選択され得る。R6、R7及びR8は、独立して、メチル、エチル及びプロピルなどの1つ以上のアルキル基によって置換され得る。
【0059】
m1は、整数1、2又は3であり得る。m2は、整数2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25であり得る。
【0060】
ポリウレタンは、式(IIB)又は(IIIB):
【化4】
(式中、m1は、1~3の整数であり;
m2は、1を超える整数、好ましくは4~20の整数であり;及び
q1は、1を超える整数である)
の繰り返し単位を含むか又はそれからなる。
【0061】
ポリウレタンは、式(IV):
【化5】
(式中、
m1は、3であり;
m2は、1を超える整数、好ましくは4~20の整数であり;
q1は、1を超える整数であり;
q2は、1を超える整数である)
のポリウレタンであり得る。
【0062】
式(I)の化合物において、R3は、任意選択的に置換されたC6~C10アリールであり得る。R3は、C6、C7、C8、C9又はC10アリールであり得る。
【0063】
式(I)の化合物において、R1は、C1~C6炭素原子の任意選択的に置換されたアルキレン架橋であり得、ここで、1つ以上の炭素原子は、Oによって置換され得、及びR2は、C2アルケンである。アルキレン架橋は、C1、C2、C3、C4、C5又はC6炭素原子を有し、ここで、1つ以上の炭素原子は、Oによって置換され得る。
【0064】
式(I)の化合物において、R1は、C1~C6炭素原子の任意選択的に置換されたアルキレン架橋であり得、1つ以上の炭素原子は、Oによって置換され得、R2は、エポキシドである。アルキレン架橋は、C1、C2、C3、C4、C5又はC6炭素原子を有し、ここで、1つ以上の炭素原子は、Oによって置換され得る。
【0065】
式(I)の化合物において、-R1-R2は、
-(CH2)pO-(CH2)q(CH=CH2)又は
-(CH2)p-エポキシド
であり得、p及びqは、独立して、1~6の整数である。「p」及び「q」は、独立して、1、2、3、4、5又は6であり得る。
【0066】
式(I)の化合物において、-R3-R4は、-フェニル-アルケン又は-フェニル-エポキシドであり得る。
【0067】
式(I)の化合物は、以下の化合物:
【化6】
から選択され得る。
【0068】
コーティングは、
(i)以下の化合物:
【化7】
からなる群から選択される化合物と、
(ii)ポリウレタンであって、
a.環状脂肪族イソシアネート又は環状脂肪族ジイソシアネート;
b.ポリオール;および
c.鎖延長剤;
の反応生成物を含むポリウレタンと
を含み得、(i)及び(ii)は、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(PTMP)及び3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール(DODT)を用いて硬化される。
【0069】
コーティングは、
(i)以下の化合物:
【化8】
からなる群から選択される化合物と、
【0070】
(ii)ポリウレタンであって、式(IIA)又は(IIIA):
【化9】
(式中、R
6、R
7及びR
8は、任意選択的に置換されたシクロアルキル基であり;
m1は、1~3の整数であり;
m2は、1を超える整数、好ましくは4~20の整数であり;
q1は、1を超える整数である)
の繰り返し単位を含むポリウレタンと
を含み得、(i)及び(ii)は、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(PTMP)及び3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール(DODT)を用いて硬化される。
【0071】
コーティングは、
(i)以下の化合物:
【化10】
からなる群から選択される化合物と、
【0072】
(ii)ポリウレタンであって、式(IIB)又は(IIIB):
【化11】
(式中、m1は、1~3の整数であり;
m2は、1を超える整数、好ましくは4~20の整数であり;
q1は、1を超える整数である)
の繰り返し単位を含むポリウレタンと
を含み得、(i)及び(ii)は、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(PTMP)及び3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール(DODT)を用いて硬化される。
【0073】
コーティングは、
(i)以下の化合物:
【化12】
からなる群から選択される化合物と、
(ii)ポリウレタンであって、式(IV):
【化13】
(式中、m1は、3であり;
m2は、1を超える整数、好ましくは4~20の整数であり;
q1は、1を超える整数であり;
q2は、1を超える整数である)
のポリウレタンと
を含み得、(i)及び(ii)は、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(PTMP)及び3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール(DODT)を用いて硬化される。
【0074】
コーティング中において、式(I)の化合物のエラストマーに対する比は、4:1~1:4の範囲であり、好ましくは1:1であり得る。
【0075】
コーティングは、水分の存在下で自己修復剤として機能することが可能であり得る。この水分は、大気中の水分であり得る。
【0076】
本開示は、コーティング中に形成され得る亀裂を自己修復する方法であって、前記亀裂が水分に曝露されることで、前記亀裂の両側に位置するヒドロキシ基間でエステル化を誘発し、少なくとも部分的に前記亀裂の縁を共に接合させる、方法にも関する。亀裂の縁は、80%以上、共に接合され得る。水分は、大気中の水分であり得る。この方法は、室温で行われ得る。
【0077】
本開示は、コーティングを含むパイプライン又はあらゆる基材にも関する。
【0078】
本開示は、コーティングを合成する方法であって、
(a)請求項1の式(I)の化合物、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(PTMP)、3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール(DODT)、エラストマー、および光開始剤を含む混合物を調製するステップと;
(b)ステップ(a)の混合物を硬化させるステップと
を含む方法にも関する。
【0079】
ステップ(b)は、熱硬化、レドックス硬化又はUV硬化を含み得る。
【0080】
ステップ(b)は、混合物に紫外(UV)光を少なくとも10分間照射することを含む。混合物は、少なくとも約10分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、約60分間又はそれらの間のあらゆる値若しくは範囲で照射され得る。
【0081】
方法は、
(c)ステップ(b)の生成物を少なくとも1日にわたって乾燥させるステップ
もさらに含み得る。
【0082】
ボロン酸エステルとポリウレタンとを含む、本開示のコーティング組成物は、相互侵入ポリマーネットワーク(IPN)又は半相互侵入ポリマーネットワーク(SIPN)を形成することができる。IPNは、架橋構造を形成し、それらのポリマーは、分子規模で少なくとも部分的に絡み合うが、必ずしも互いに共有結合するものではなく、化学結合を切断しなければ分離することができない。SIPNを見分けるための重要な特徴としては、架橋ネットワークの少なくとも1つのポリマーが線状又は分岐構造を有し、これが、化学結合を切断することなく除去又は分離できることである。ポリウレタンなどの弾性ポリマーをコーティング組成物中のボロン酸エステル化合物に加えることで、IPN構造又はSIPN構造が形成され、高い強度、剛性及び耐久性が最終的にコーティング組成物に付与される。
【0083】
石油及びガス産業における耐食用途及び保護コーティングのための開示されるコーティング組成物の使用。本開示のコーティング組成物は、自己修復機構によって金属基材を腐食から保護する。
【0084】
開示されるコーティング組成物の固有の自己修復特性は、ボロン酸エステルジエンを形成するボロン酸基とジオール基との可逆的な化学反応に基づいている。コーティングが損傷すると、亀裂内に存在する水又は大気中の水分によって加水分解が誘発され、続いてエステル化が起こってボロン酸エステルが形成される。これは、1回限りの修復機構ではない。この可逆的な化学反応により、毎回コーティングを自身で修復することができ、当該可逆的な化学反応は、室温において高湿度条件で相互侵入ネットワーク又は半相互侵入ポリマーネットワークを再生することができる。
【0085】
本開示には、上記コーティング組成物で被覆された金属基材がある。自己修復特性を有するこの被覆された金属基材では、金属基材のタイムリーかつ有効な補修が可能であり、腐食性媒体の急速な取り込み及び早期のコーティングの破壊を防止することができる。これにより、金属基材が腐食から保護され、石油及びガスインフラストラクチャーの寿命が比較的長くなる。
【実施例】
【0086】
特定の実施例を参照することにより、本発明の非限定的な例及び比較例をさらに詳細に説明するが、これらは、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0087】
材料
ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(PTMP)(>95%)は、Sigma Aldrich社から入手した。
3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール(DODT)(95%)は、Sigma Aldrich社から入手した。
2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)(99%)は、Sigma Aldrich社から入手した。
ビニルフェニルボロン酸(>95%)は、Boron Molecular Pty Limitedから入手した。
ポリ(テトラヒドロフラン)(PTHF)(MW=650)は、Sigma Aldrich社から入手した。
イソホロンジイソシアネート(IPDI、98%)は、Sigma Aldrich社から入手した。
【0088】
[実施例1a]
実施例1a:ジエン官能基を有するボロン酸エステルの調製
【化14】
4-(アリルオキシ)メチル)-2-(4-ビニルフェニル-1,3,2-ジオキサボロラン(VPBE)を以下のように調製した。ビーカー中、4-ビニルフェニルボロン酸(48.8g、330mmol)及び3-アリルオキシ-1,2-プロパンジオール(39.6g、300mmol)を、平底フラスコ中のモレキュラーシーブ(4Å、50g)を加えた乾燥ジクロロメタン(400mL)中において室温で12時間撹拌した。モレキュラーシーブ(乾燥剤)を加えて、溶液中の水を除去し、それにより反応が完了するまで促進させた。次に、溶液を濾過し、濃縮して、無色から淡黄色の液体を得た。収率は、約85%である。
【0089】
[実施例1b]
実施例1b:エポキシ官能基を有するボロン酸エステルの調製
【化15】
4メチルグリシジルエーテル2フェニルオキシランジオキサボロランを以下のように調製した。実施例1aで得た4-(アリルオキシ)メチル)-2-(4-ビニルフェニル-1,3,2-ジオキサボロラン(VPBE、2.45グラム、0.01mol)及び10mLのジクロロメタン(DCM)を、機械的撹拌機及びN
2を有する2口丸フラスコ中に加えた。このフラスコを氷水浴中に入れ、メタ-クロロ過安息香酸(m-CPBA、2.59グラム、0.015mol)を3回に分けてゆっくり加えた。m-CPBAの添加終了後、反応を約0℃(C)で4時間維持した。その後、フラスコを室温まで暖め、8時間維持した。混合物を濾過した。濾液を飽和チオ硫酸ナトリウム溶液で洗浄し、続いて重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。溶媒を除去した後、最終生成物を得た。
【0090】
[実施例2]
実施例2:ポリウレタンの調製
【化16】
2つのステップによって式(IV)のポリウレタンを合成した。最初に、ポリ(テトラヒドロフラン)(PTHF)(ソフトセグメントジオールとして)をイソホロンジイソシアネート(IPDI)と、DMF中において、触媒としてのジブチルスズジラウレートの存在下で反応させることにより、ビス-イソシアネート末端プレオリゴマーを合成した。この溶液にエチレングリコール(EG)を鎖延長剤として加えて、合成を完了させた。
【0091】
DMFは、溶媒として使用し、水を除去する前にモレキュラーシーブ4Aを用いて乾燥させた。イソシアネートのヒドロキシ基に対する比率は、1.05~1.5で変動させることができる。PTHF:EG=1:1である。
【0092】
機械的撹拌機を取り付けて乾燥させたガラス容器中のPTHF(9.425g、14.5mmol)を油浴中において減圧下で約100℃に1.5時間加熱して水分を除去し、次に70℃まで冷却した。ヒドロキシル基に対するイソシアネートを基準として種々の量のイソホロンジイソシアネート(IPDI)、及びDMF(15mL)中に溶解させたジブチルスズジラウレート(DBTDL、2000ppm)を、容器中に滴下して(30分間かけて)加えた。窒素雰囲気下で2時間撹拌した後、15mlのDMF中のエチレングリコール(0.899g、14.5mmol)を加え、2時間撹拌した。
【0093】
[実施例3]
実施例3:コーティング組成物の調製
【化17】
スキーム2を参照し、所定の重量(VPBE:チオールのモル比=1:1、DODT:PTMP:50:50)の4-((アリルオキシ)メチル)-2-(4-ビニルフェニル)-1,3,2-ジオキサボロラン(VPBE)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(PTMP)及び3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール(DODT)と、光開始剤の2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA、1重量%)との混合物を調製した。使用した反応物の量は、表1に示される。
【化18】
【0094】
混合物を数分間にわたって混合し、撹拌してDMPAを溶解させ、次に実施例2で調製した20%、30%、40%、50%又は80%のポリウレタンを加えた。次に、この溶液をシリコン金型、炭素鋼及びスライドガラス中に注入し、UV光又はSuntester(350W/m2、300nm~800nm)下で1時間硬化させた。次に、試料を空気中において室温で少なくとも2日間乾燥させた。このポリマーネットワークは、ポリウレタン(PU)とボロン酸エステル(BE)とのブレンドであり、ボロン酸エステルとポリウレタンとの間にある程度共有結合が存在する、相互侵入ポリマーネットワーク(IPN)と半相互侵入ポリマーネットワーク(SIPN)との組み合わせである。このネットワークは、PTMP、DODT及びポリウレタン間のチオール-イソシアネートクリック反応によって形成されるチオール-イソシアネート-エン三元ネットワークを含む。
【0095】
合成されたポリウレタンの末端基は、イソシアネートである。チオール-イソシアネート及びチオール-エンは、クリックケミストリーによって反応し、ポリウレタン、VPBE、PTMP、及びDODTが開始剤と混合されると、チオール-イソシアネート-エン三元ネットワークが得られる。
図8を参照すると、FTIRは、ポリウレタン中には、イソシアネート基(2200cm
-1)が存在するものの、ポリウレタン-ボロン酸エステルネットワークは、イソシアネート基を含まないことを示している。これは、イソシアネートが反応してネットワークを形成することを示している。
【0096】
【0097】
[実施例4]
実施例4:BE:PUコーティングの組成及び特性
【表2】
【0098】
上の表2に示されるように、ボロン酸エステル(BE)のみのネットワークは、低い機械的性質、例えば2MPa未満の引張応力を示す。さらに、これらは、不十分な接着性及び耐久性を有する。このため、これらは、実際の用途に適していない。
【0099】
本発明者らは、ボロン酸エステルネットワークにポリウレタンなどのエラストマーを加えることにより、驚くべきことに、BE:PU=1:1のブレンドの場合に引張強度が1.93MPaから4.26MPaまで大幅に改善され、侵食性の環境により十分に耐えることができることを見出した。化学的な修復機構に加えて、エラストマーによって付与される高弾性により、粘弾性の「傷や亀裂のスプリングバック」による追加的な修復が得られ、修復がさらに改善される。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本開示のコーティング組成物は、ボロン酸エステル及びエラストマーを含む。有利なことに、コーティング中のこのボロン酸エステル及びエラストマーの組み合わせは、自己修復性を特徴とする。あらゆる外部の支援又は人間の介入なしに自発的な補修が行われる。それは、腐食に対する保護層として機能するだけでなく、優れた修復も示し、高い耐久性並びに高い機械的強度及び剛性も有する。
【0101】
したがって、有利なことに、本開示のコーティング組成物は、石油及びガス産業が直面する長期間の曝露及び過酷な条件下において安定、堅牢、且つ高い耐久性を有し、石油及びガスインフラストラクチャーのための耐食性かつ自己修復性のコーティングとして有用である。
【0102】
本開示のコーティングは、コーティングをタイムリーかつ有効に補修することから、さらなる腐食及び損傷から金属基材を保護することが可能であり得る。有利なことに、これにより、金属インフラストラクチャーの寿命が長くなり、メンテナンスのコスト及び労力が少なくなる。
【0103】
本発明の種々の他の修正形態及び適応形態は、本発明の意図及び範囲から逸脱することなく、上記の本開示を読むことで当業者に明らかになり、このような全ての修正形態及び適応形態は、添付の請求項の範囲に入ることが意図される。
【国際調査報告】