(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】調整可能で急速解放機能を有する、正圧式の電子デバイスホルダ用のシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
F16M 13/02 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
F16M13/02 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524105
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 US2021055829
(87)【国際公開番号】W WO2022087119
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513181366
【氏名又は名称】ナイト・アイズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100134636
【氏名又は名称】金高 寿裕
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【氏名又は名称】小磯 貴子
(72)【発明者】
【氏名】アデルマン,グレゴリー,エム.
(57)【要約】
電子デバイスを保持するためのシステムは、表面を有する本体部を備える。このシステムはさらに、当該表面に対して略垂直な保持面をそれぞれ有する第1把持プレートと第2把持プレートを備える。このシステムは更に、第1アームおよび第2アームを備え、第1アームおよび第2アームは、回転移動可能であり、第1把持プレートおよび第2把持プレートが直線的に移動可能であるように、第1および第2の把持プレートと相互接続され、第1把持プレートおよび第2把持プレートは共に移動するように、ばね駆動され、第1アームおよび第2アームが共に移動すると第1把持プレートおよび第2把持プレートが離れるように構成され、第1および第2の把持プレートは電子デバイスを保持するよう相補形状を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスを保持するためのシステムであって、
表面を有する本体部と、
前記表面に対して略垂直な保持面をそれぞれ有する第1把持プレートと第2把持プレートと、
第1アームおよび第2アームと、を備え、
前記第1アームおよび前記第2アームは、前記第1アームおよび前記第2アームが回転移動可能であり、かつ前記第1把持プレートおよび前記第2把持プレートが直線的に移動可能となるように、前記第1把持プレートおよび前記第2の把持プレートと相互接続され、
前記第1把持プレートおよび前記第2把持プレートは共に移動するようにばね駆動され、
前記第1アームおよび前記第2アームが共に移動すると前記第1把持プレートおよび前記第2把持プレートが離れるように構成され、
前記第1の把持プレートおよび第2の把持プレートは前記電子デバイスを保持するよう相補形状を有する、
システム。
【請求項2】
前記第1把持プレートは、前記第1アームおよび前記第2アームに取り付けた第1ブラケットを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1アームおよび前記第2アームがそれぞれ第1回転軸および第2回転軸で取り付けられ、前記第1ブラケットは、前記第1回転軸から第1径方向距離で前記第1アームに取り付けられ、前記第2回転軸から第2径方向距離で前記第2アームに取り付けられる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1ブラケットは、ポストインスロットシステムを介して前記第1アームおよび前記第2アームに取り付けられる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2ブラケットは、前記第1回転軸から前記第2径方向距離で前記第1アームに取り付けられ、前記第2回転軸から第1径方向距離で前記第2アームに取り付けられ、前記第2ブラケットは、ポストインスロットシステムを介して前記第1アームおよび前記第2アームに取り付けられる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2ブラケットおよび前記第1ブラケットは、前記第1回転軸の反対側の位置でそれぞれ前記第1アームと相互接続する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1アームおよび前記第2アームは、歯車装置を介して相互接続される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1アームおよび前記第2アームはばね留めされており、それによって前記第1把持プレートおよび前記第2把持プレートがばね駆動される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1ブラケットおよび前記第2ブラケット、前記歯車装置、および前記ポストインスロットシステムが、前記第1アームおよび前記第2アームの回転運動を、前記第1把持プレートおよび前記第2把持プレートの直線進退運動に変換する、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記本体部に磁気相互接続装置が搭載される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記本体部に円筒形の取付け装置が搭載される、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記円筒形の取付け装置がストラップおよび突起取り付け機構を備える、請求項11に記載の取付けシステム。
【請求項13】
前記円筒形の取付け装置が、前記円筒形の取付け装置を回転させるように曲がる板ばねを備える、請求項12に記載の取付けシステム。
【請求項14】
前記第1回転軸および前記第2回転軸は、前記第1把持プレートおよび前記第2把持プレートの移動方向に沿う直線上に位置する、請求項3に記載の取付けシステム。
【請求項15】
前記第1回転軸および前記第2回転軸は、互いに離間している、請求項14に記載の取付けシステム。
【請求項16】
電子デバイスの取付けシステムであって、
電子デバイスを把持するための把持領域であって、第1把持プレートと第2把持プレートとの間に把持力をもたらすためにばね留めされている把持領域と、
同時に押されたときに前記把持領域の把持力を解放するよう構成されている第1解放レバーおよび第2解放レバーであって、前記第1解放レバーが第1中央回転軸に取り付けられ、前記第2解放レバーが第2中央回転軸に取り付けられる、第1解放レバーおよび第2解放レバーと、
を備える取付けシステム。
【請求項17】
前記第1把持プレートと前記第2把持プレートは、平面内で進退運動する、請求項16に記載の取付けシステム。
【請求項18】
前記第1解放レバーと第2解放レバーは回転するように移動し、前記第1解放レバーと第2解放レバーの回転運動は、前記第1解放レバーと第2の解放レバーとの間の歯車装置と、前記第1把持プレートと前記第2把持プレート用の第1摺動ブラケットと第2摺動ブラケットとを介して、前記第1の把持プレートと前記第2の把持プレートの単一平面移動に変換され、
前記第1把持プレートと前記第2把持プレートはそれぞれ、第1位置で前記第1の解放レバーと第2の解放レバーのうちの第1のレバー、および、第2位置で前記第1解放レバーおよび第2解放レバーのうちの第2のレバーに取り付けられる、請求項17に記載の取付けシステム。
【請求項19】
前記第1解放レバーの前記第1位置は、前記第1中央回転軸から第1距離にあり、前記第2解放レバーの前記第2位置は、前記第2中央回転軸から同じく第1距離にある、請求項18に記載の取付けシステム。
【請求項20】
前記第1解放レバーおよび第2解放レバーは内側に回転して前記第1把持プレートおよび前記第2把持プレートを解放する、請求項19に記載の取付けシステム。
【請求項21】
電子デバイスを取り付ける方法であって、
保持システムを提供する工程であって、前記保持システムは、
表面を有する本体部と、
前記表面に対して略垂直な保持面をそれぞれ有する第1把持プレートと第2把持プレートと、
第1アームおよび第2アームと、を備え、
前記第1アームおよび前記第2アームは、前記第1アームおよび前記第2アームが回転移動可能であり、かつ前記第1把持プレートおよび前記第2把持プレートが直線的に移動可能となるように、前記第1把持プレートおよび前記第2の把持プレートと相互接続され、前記第1把持プレートおよび前記第2把持プレートは共に移動するようにばね駆動され、前記第1アームおよび前記第2アームが共に移動すると前記第1把持プレートおよび前記第2把持プレートが離れるように構成され、前記第1の把持プレートおよび第2の把持プレートは前記電子デバイスを保持するよう相補形状を有する、前記保持システムを提供する工程と、
前記第1アームおよび前記第2アームを共に押す工程と、
前記電子デバイスを前記第1把持プレートと前記第2把持プレートとの間に挿入する工程と、
前記第1アームおよび前記第2アームを解放する工程と、を備える方法。
【請求項22】
前記第1アームおよび前記第2アームを共に押す工程と、
前記第1把持プレートと前記第2把持プレートとの間の前記電子デバイスを取り外す工程と、
前記第1アームおよび前記第2アームを解放する工程と、をさらに備える請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
スマートフォン等の電子デバイスが、いたるところで消費者により使用されている。ユーザはスマートフォンをどこにでも携行し、どこにいても常に身につけている。但し、スマートフォン(または他の電子機器)を、スマートフォンをユーザが持っておく必要のないハンズフリーホルダ等の構造体に取りつけることが望ましいことがある。本開示において、電子デバイスという用語を使用するが、タブレット等の他のデバイスまたは任意の他の電子デバイスを、本明細書に記載のシステムと共に使用してもよい。様々な解決策があるものの、様々な大きさの電子デバイスをしっかりと保持し、保持した電子デバイスをすばやく解放することができるホルダとすることが望ましい。
【発明の概要】
【0002】
一実施形態では、電子デバイスを保持するためのシステムは、表面を有する本体部を備える。このシステムはさらに、本体部表面に対して略垂直な保持面をそれぞれ有する第1把持プレートと第2把持プレートを備える。このシステムは更に、第1アームおよび第2アームを備え、第1アームおよび第2アームは、回転移動可能であり、第1把持プレートおよび第2把持プレートが直線的に移動可能であるように、第1および第2の把持プレートと相互接続され、第1把持プレートおよび第2把持プレートは共に移動するように、ばね駆動され、第1アームおよび第2アームが共に移動すると第1把持プレートおよび第2把持プレートが離れるように構成され、第1および第2の把持プレートは電子デバイスを保持するよう相補形状を有する。あるいは、第1把持プレートは、第1アームおよび第2アームに取り付けた第1ブラケットを備える。別の代替例では、第1アームおよび第2アームがそれぞれ第1回転軸および第2回転軸で取り付けられ、第1ブラケットは、第1回転軸から第1径方向距離で第1アームに取り付けられ、第2回転軸から第2径方向距離で第2アームに取り付けられる。ある代替例では、第1ブラケットは、ポストインスロットシステムを介して第1アームおよび第2アームに取り付けられる。別の代替例では、第2ブラケットは、第1回転軸から第2径方向距離で第1アームに取り付けられ、第2回転軸から第1径方向距離で第2アームに取り付けられ、第2ブラケットは、ポストインスロットシステムを介して第1アームおよび第2アームに取り付けられる。あるいは、第2ブラケットおよび第1ブラケットは、第1回転軸の反対側の位置でそれぞれ第1アームと相互接続する。別の代替例では、第1アームおよび第2アームは、歯車装置を介して相互接続される。あるいは、第1アームおよび第2アームはばね留めされており、それによって第1把持プレートおよび第2把持プレートがばね駆動される。別の代替例では、第1および第2ブラケット、歯車装置、およびポストインスロットシステムが、第1アームおよび第2アームの回転運動を、第1把持プレートおよび第2把持プレートの直線進退運動に変換する。あるいは、本体部に磁気相互接続装置が搭載される。別の代替例では、本体部に円筒形の取付け装置が搭載される。あるいは、円筒形の取付け装置がストラップおよび突起取り付け機構を備える。別の代替例では、円筒形の取付け装置が、円筒形の取付け装置を回転させるように曲がる板ばねを備える。あるいは、第1回転軸および第2回転軸は、第1把持プレートおよび第2把持プレートの移動方向に沿う直線上に位置する。別の代替例では、第1回転軸および第2回転軸は、互いに離間している。
【0003】
一実施形態において、電子デバイス用の取付けシステムであって、電子デバイスを把持するための把持領域を備え、把持領域は、第1把持プレートと第2把持プレートとの間に把持力をもたらすためにばね留めされている把持領域である。この取付けシステムはさらに、第1および第2解放レバーを備え、第1および第2解放レバーは、第1および第2解放レバーを一緒に押すと、把持領域の把持力を解放するよう構成し、第1解放レバーは第1中央回転軸に取り付けられ、第2解放レバーは第2中央回転軸に取り付けられる。ある代替例では、第1把持プレートと第2把持プレートは、平面内で進退運動する。あるいは、第1および第2解放レバーは回転するよう移動し、第1および第2解放レバーの回転運動は、第1解放レバーと第2解放レバーとの間の歯車装置と、第1把持プレートおよび第2把持プレート用の第1および第2摺動ブラケットとを介して第1および第2の把持プレートの単一平面移動に変換され、第1把持プレートおよび第2把持プレートはそれぞれ、第1位置で第1および第2の解放レバーのうちの第1のレバーと、第2位置で第1および第2解放レバーのうちの第2のレバーとに取り付けられる。別の代替例では、第1解放レバーの第1位置は、第1中央回転軸から第1距離にあり、第2解放レバーの第2位置は、第2中央回転軸から同じく第1距離にある。あるいは、第1および第2解放レバーは内側に回転して、第1把持プレートおよび第2把持プレートを解放する。
【0004】
一実施形態では、電子デバイスを取り付ける方法であって、保持システムを提供する工程を備える。保持システムは、表面を有する本体部を備える。保持システムはさらに、本体部表面に対して略垂直な保持面をそれぞれ有する第1把持プレートと第2把持プレートを備える。保持システムはさらに、第1アームおよび第2アームであって、回転移動可能であり、第1把持プレートおよび第2把持プレートが直線的に移動可能であるように、第1および第2の把持プレートと相互接続され、第1把持プレートおよび第2把持プレートは共に移動するように、ばね駆動され、第1アームおよび第2アームが共に移動すると第1把持プレートおよび第2把持プレートが離れるように構成され、第1および第2の把持プレートは電子デバイスを保持するよう相補形状を有する。この方法はさらに、第1アームおよび第2アームを共に押す工程を備える。この方法はさらに、電子デバイスを第1把持プレートと第2把持プレートとの間に挿入する工程を備える。この方法はさらに、第1アームおよび第2アームを解放する工程を備える。ある代替例では、この方法はさらに、第1アームおよび第2アームを共に押す工程を備える。この方法はさらに、第1把持プレートと第2把持プレートとの間の電子デバイスを取り外す工程を備える。この方法はさらに、第1アームおよび第2アームを解放する工程を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】デバイスホルダの一実施形態の正面斜視図である。
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【
図9】デバイスホルダの一実施形態の正面斜視図である。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書では、特定の用語を便宜上使用するが、調整可能で急速解放機能を有する正圧式電子デバイスホルダ(デバイスホルダ)用のシステム及び方法の各実施形態を限定するものとしてこれらの用語を解釈すべきではない。図面において、いくつかの図で同じ参照番号が使用されるが、同じ要素を指定するためのものである。デバイスホルダは、スマートフォン、タブレット、および通常ユーザの方に向いた画面を有する他の電子デバイスなどのさまざまな電子デバイス用に設計される。スマートフォンおよびタブレットといった電子デバイスが、このデバイスホルダとともに最も一般的に使用されるが、デバイスホルダを支える背面を有し、デバイス等の製品の側面周辺を閉じる締め具(clamp)によって通常保持され得る、多種多様な電子デバイス等の製品に取り外し可能に取り付けるよう各実施形態を設計してもよい。
【0023】
多くの実施形態では、デバイスホルダは2つの旋回軸(pivot point)を備える。これらを回転軸と呼ぶ場合もある。2つの旋回軸を備えることにより、デバイスホルダはハンドレバーを備えることができ、ハンドレバーの動きは人の手の人間工学的範囲内に留まりつつも、締め具のX軸範囲は電話機の幅の範囲に十分対応出来る範囲となる。さらに、各レバーの上端部のY軸の動きが最小限に抑えられるが、これは、デバイスが適度なレベルの複雑さを維持するために必要である。レバーの上端部のY軸の動きが大きくなってしまうと、レバーのX軸の動きを締め具に変換しつつ、Y軸の動きを補正することが難しくなってしまう。同じことが、締め具(そのフレーム)がレバーの端部と相互接続するレバーの下端部にも当てはまる。すなわち、両端のハンドルが完全に開いた位置で十分近接していて人の手で各ハンドルを握り締めることができ、所望の大きさのデバイスすべてに対応するために必要な範囲を各締め具が移動できるように、デバイスのハンドレバーを位置決めする必要がある。ハンドレバー(レバー130、135)が2つの旋回軸を備えることにより、所与のY軸運動に関する締め具(把持プレート110、115)のより大きな直線運動が可能となる。いくつかの実施形態では、ハンドレバーが2つの旋回軸を備えることにより、単一の旋回軸を有するデュアルレバーシステムと比較して、同等のY軸範囲内で締め具の直線運動を2倍にすることができる。
【0024】
旋回軸の間を離して設定することで、レバーアームの長さを適度に保ちながら、(締め具とレバーアームとの)接続点の回転運動がX軸方向(締め具の移動方向)で優位である範囲で、レバーの回転運動を締め具の水平運動に変換することができる。ある角度のコサインは単位円上の端点のx値に等しいので、コサイン関数によってこのことを説明できる。締め具の水平方向の動きをx軸とみなした場合、各レバーが1/2πラジアンの位置にあるとき、コサイン関数は0となる。1/2πから1/4πまたは3/4πラジアンのいずれかまでで、x軸移動の大部分が発生する(1/4πのコサインは約0.7であるため、1/2πから1/4πラジアンまでで、x軸移動の約70パーセントがすでに発生している)。デバイスマウントの実施形態におけるレバーおよび締め具は、スマートフォンに対応するように配置されており、スマートフォンは通常、デバイスホルダの全幅および高さに比例した同様の本体幅および高さを有する(実際には、おそらくスマートフォンの幅と長さの2倍弱、およびおそらく1.5倍弱の幅と長さのマウント(デバイスマウントなど)をユーザは希望するので、ほぼ同じスケールとなる。デバイスホルダの幅と長さを無限にし、それに伴うレバーアームの長さを無限にすることが実際に可能であれば、径方向の回転を1/2πラジアン近くに維持するのは簡単であろう)。いくつかの実施形態において本明細書で把持プレートと名付ける、電話機を載せる実際のプレートに関して、このプレートは予想されるスマートフォンの幅よりわずかに小さく、予想されるスマートフォンの高さより通常小さくなる。通常のスマートフォンの最小幅に対応するために、各レバーを1点に取り付けると、レバーはすでにX軸から1/2π回転して1/4πラジアン(45度)近く回転している(言い換えれば、Y軸から1/4πラジアン(45度)ずれている)。レバーの相互接続点の追加移動は、主にy軸方向になる。0から1/4πラジアンまでおよび3/4πからπラジアンまでの値のコサインは、概してx軸方向の絶対移動量が小さいためである。したがって、各レバーアームを離す方向にすることで、レバーアームはy軸と平行に近い位置(1/2πラジアン回転)でスタートするが、スマートフォンの予想される最小幅に対応する。この場合、本明細書に記載の多くの実施形態のように、レバーアームの回転は、主にこの開始位置から締め具のx軸方向の移動に変換され、装置の有用性とレバーアームを握りしめる際の有効性が最大化する。
【0025】
もう1つの特徴は、2つのレバーの間の歯車装置である。2つの旋回軸を含めることで、多くの構成でこの歯車装置が可能となる。歯車装置と2つの旋回軸とが、レバーと締め具との機械的な同期を保つように機能する。さらに、締め具用の線形ガイド/軌道が不要となる(ガイドがあると公差や摩擦の問題が発生するため、有利である)。最後に、締め具とデバイスとを常に中央に保つことができる(当然、他の機能/止め具(stops)を追加する必要はない)。
【0026】
多くの実施形態では、締め具をレバーアームの上に積み重ね、上下に取り付ける。締め具の下脚を互いに重ねることで、旋回軸の両側にある各レバーに締め具を取り付けることができる。旋回軸の両側の各レバー上のこれら2つの取り付け箇所により、締め具の安定性と強度が大幅に向上する。さらに、各レバーは旋回軸の下側で約2倍の長さがあるため、レバーの端部を押すのに必要な力と比較して、レバー端部での移動距離が約2倍になる。つまり、デバイスにかかる締め力は、各レバーを握りしめるのに必要な力の約2倍となる。さらに、多くの実施形態では、デバイスホルダは、設計において定荷重ばね(クロックスプリングとも呼ばれる)を使用し、締め範囲全体にわたって比較的平坦な/一定の力曲線を実現する。これらのばねが圧縮されるとこの力は増加するが(ただし、他の種類のばねほどではない)、より大きな保持力が必要である、より大きく/より重いデバイスでは締め力も増加するため、このことは望ましいことであり得る。
【0027】
図1は、デバイスホルダ100の一実施形態を示す正面斜視図である。デバイスホルダ100は通常、中央ハウジング105を備える。中央ハウジング105は、様々な大きさの電子デバイス(スマートフォンなど)を保持するためにデバイスホルダ100の調整を可能にする、調整機構、張力機構、およびロック機構を備える。中央ハウジング105の両側には、把持プレート110、115が配置される。把持プレート110、115が、内部把持領域120を備えてもよい。いくつかの実施形態において、把持領域が圧縮性材料で構成されてもよい。把持領域120は、図示のような輪郭であってもよく、または材料の圧縮性が高まると材料によってもたらされる摩擦も増加するような他の様式であってもよい。把持領域120は、TPR(熱可塑性ゴム)40ショアAオーバーモールドであってもよい。把持領域120は、TPR(熱可塑性ゴム)5~100ショアAオーバーモールドであってもよい。あるいは、シリコン、ゴム等の材料を使用してもよい。同様に、中央ハウジング105上のプレート領域125も同様に把持材料を含むか、単に平らであってもよい。把持プレート110、115は、平らであっても、角度が付いていても、電子デバイスを相補的に保持するような輪郭であってもよい。デバイスホルダ100はさらに、解放レバー130、135を備える。これらのレバーを内側に押すと、把持プレート110、115が互いに離れて外側に拡がる。レバー130、135を解放すると、把持プレート110、115が互いの方へと跳ね返る(正圧)。このようにしてプレートの間にある電子デバイスは把持される一方、レバー130、135を介して簡単に解放することができる。
【0028】
図2は、デバイスホルダ100の正面図である。
図3は、デバイスホルダ100の背面図である。この図では、取付け用のディスク310が示されている。取付け用のディスク310は、外枠320、磁石330、および高摩擦材料340を備える。磁性体を有する球体上にこの取付け用ディスクを置くことで、ユーザが望むようにデバイスを配置し、回転させ、位置決めすることができる。いくつかの実施形態において、磁気ディスクは米国特許第8,602,376号に開示されたようなものであり、この特許を参照により本明細書に組み込む。さらに、ネジ350を使用してデバイスを一緒に保持する。その他にも様々な手法によりデバイスを一緒に保持してもよい。
【0029】
図4は、デバイスホルダ100の左側面図である。
図5は、デバイスホルダ100の右側面図である。
図6は、デバイスホルダ100の上面図である。
図7は、デバイスホルダ100の底面図である。
図8は、デバイスホルダ100の分解図である。この図では、装置の内部構造が示される。把持プレート110、115は、摺動ブラケット710、780に取り付ける。摺動ブラケット710、780は、摺動ブラケット710、780の背面側から突出する柱状部材(ポスト(post))715、721を備える。さらに、ブレース(brace)720は、補強領域(bracing area)785に寄りかかって、補強領域785がブレース720に寄りかかった状態から摺動ブラケット710に沿って摺動できるよう設計する。レバー130、135も図示されている。レバー130、135は、柱状部材(ポスト)715、721とそれぞれ嵌合するための開口725、730を備える。開口725、730は、長穴(スロット)状であって、柱状部材(ポスト)715、721が長穴(スロット)内で上下に摺動できるようになっている。このようにして、レバー摺動ブラケット710、780は、レバー130、135の径方向の反対側の位置で両方のレバー130、135に取り付けられる。各アームの径方向の動きが、把持プレート110、115の進退運動と、開口725、730内の柱状部材(ポスト)715、721の摺動とに変換される。さらに、摺動ブラケット780は、図示しない柱状部材(ポスト)721を備える。摺動ブラケットは、摺動ブラケット710上の対応する領域に寄りかかって、その領域に対して摺動する補強領域785を備える。このようにして、レバー130、135の動きが、把持プレート110、115の位置に影響を与える。さらに、レバー130、135は、レバー130、135が一体となって動くようにする歯車装置740を備える。この積層配置は安全であると考えられる。レバー130、135はそれぞれ、ばね745を介してばね留めされている。この形状により、いくつかの実施形態では、把持プレートがもたらす締め力は、レバーを動かすのに必要な力の2倍となり得る。各ばね745は、隆起開口部750上であってレバー130、135の穴の内側に配置する。多くの実施形態では、ばね745は定荷重ばね又はクロックスプリングである。これらのばねによってもたらされるばね力は比較的一定である。隆起開口部750およびレバー130、135は、ばねキャッチ755、760を備え、各ばね745のキャッチポイントがばねキャッチを押すことで、レバー130、135に張力を与えることができる。背面770は、ネジにより前面プレート領域125に取り付け、デバイスを一緒に保持する。このように、把持プレート110、115を介して一定の張力を加える装置を提供するための設計がなされ、レバー130、135をまとめて引くことでこの張力を解放することができる。さらに、レバー130、135に把持プレート110、115の上部および下部取り付け箇所を設けることで、把持プレート同士が一体となって進退運動し、レバーの回転運動が面内双方向の運動に変換される。多くの実施形態では、この回転運動の変換は、一方のレバーアームを第1摺動ブラケットの上部および下部に取り付け、もう一方のレバーアームを第2摺動ブラケットの一箇所にのみ取り付けることによって達成される。遠方すなわち遠位レバーアームに取り付ける第1ブラケットの部分は、近傍レバーアームに取り付ける部分よりも著しく大きい。近傍レバーアームの上部と遠方すなわち遠位レバーアームの下部とが、第1レバーアームの方向と一致して動く。当然ながら、上、下、近傍、遠方という用語は、図面に示される向きに関連する相対的な用語を意味するにすぎず、そのように解釈されるべきである。
【0030】
さらに、
図17は、把持領域120を取り外した状態のデバイスホルダ100を示す図である。把持領域120を取り外すことで、内部の部品の組み立て方が見えるようになる。ここでは、隆起開口部750とばねキャッチ755がどのようにばね745を捕らえるかが示されている。さらに、レバー摺動ブラケット710、780がレバー130、135上でどのように配置されるかが見える。この相互接続に基づいて、レバー130、135が回転方向に移動すると、レバー摺動ブラケット710、780の対応する部分がどのように一体となって移動するかを見ることができる。背面770の内部に向かってデバイスを見下ろした場合に、レバー摺動ブラケット710がレバー摺動ブラケット780の上に位置し、両者がレバー130、135の上にあることも分かる。この図は、バックストラップシステムを除いて、デバイスホルダ900にも共通である。
【0031】
図9は、背面磁気部がバックストラップシステム910に置き換えられたデバイスホルダ900の代替実施形態を示す図である。代替案として、多くの異なるホルダ/装置を装置の背面部分に組み込んでもよい。いくつかの代替案では、これは、磁気背面のバックストラップシステムの代わりに、ハンドル、スタンド、またはストラップであってもよい。さらに、代替案として、手首に装着するまたはブレスレットシステムのものもあり、装置を装着することができる。さらに、代替案として、通気口に取り付けたり、(接着剤を介して)表面に接着したり、吸盤を使用して窓等の表面に貼り付けたりするスタンドシステムを備えてもよい。さらに、スタンドを設けてもよく、また、いくつかの代替例では、柔軟なアームを設けてデバイスホルダの背面に取り付けてもよい。デバイスホルダは、任意の可能な取り付けおよび保持システムに統合されるか、またはそれを備えてもよい。バックストラップシステム910は、ハンドルバーなどの円筒形の物体にストラップで固定するように設計する。本システムにおける装置のその他の点は、基本的に同じである。
図10は、デバイスホルダ900の正面図である。
図11は、デバイスホルダ900の背面図である。
図12は、デバイスホルダ900の左側面図である。
図13は、デバイスホルダ900の右側面図である。
図14は、デバイスホルダ100の上面図である。
図15は、デバイスホルダ900の底面図である。
【0032】
図16は、デバイスホルダ900の分解図である。この図では、デバイスの内部構造が見える。把持プレート110、115は、摺動ブラケット710、780に取り付ける。摺動ブラケット710、780は、摺動ブラケット710、780の背面側から突出する柱状部材(ポスト(post))715、721を備える。さらに、ブレース(brace)720は、補強領域(bracing area)785に寄りかかって、補強領域785がブレース720に寄りかかった状態から摺動ブラケット710に沿って摺動できるよう設計する。レバー130、135も図示されている。レバー130、135は、柱状部材(ポスト)715、721とそれぞれ嵌合するための開口725、730を備える。開口725、730は、長穴(スロット)状であって、柱状部材(ポスト)715、721が長穴(スロット)内で上下に摺動できるようになっている。このようにして、レバー摺動ブラケット710、780は、レバー130、135の径方向の反対側の位置で両方のレバー130、135に取り付けられる。各アームの径方向の動きが、把持プレート110、115の進退運動と、開口725、730内の柱状部材(ポスト)715、721の摺動とに変換される。さらに、摺動ブラケット780は、図示しない柱状部材(ポスト)721を備える。摺動ブラケットは、摺動ブラケット710上の対応する領域に寄りかかって、その領域に対して摺動する補強領域785を備える。このようにして、レバー130、135の動きが、把持プレート110、115の位置に影響を与える。さらに、レバー130、135は、レバー130、135が一体となって動くようにする歯車装置740を備える。歯車装置740は、レバーと把持プレートを機械的に同期させるもので、レバーと把持プレートのための軌道の必要がなくなり、把持プレート(クランプ)を中心に保つことができる。レバー130、135はそれぞれ、ばね745を介してばね留めされている。各ばね745は、隆起開口部750上であってレバー130、135の穴の内側に配置する。隆起開口部750およびレバー130、135は、ばねキャッチ755、760を備え、各ばね745のキャッチポイントがばねキャッチを押すことで、レバー130、135に張力を与えることができる。背面770は、ネジにより前面プレート領域125に取り付け、デバイスを一緒に保持する。このように、把持プレート110、115を介して一定の張力を加える装置を提供するための設計がなされ、レバー130、135をまとめて引くことでこの張力を解放することができる。さらに、レバー130、135に把持プレート110、115の上部および下部取り付け箇所を設けることで、把持プレート同士が一体となって進退運動し、レバーの回転運動が面内双方向の運動に変換される。多くの実施形態では、この回転運動の変換は、一方のレバーアームを第1摺動ブラケットの上部および下部に取り付け、もう一方のレバーアームを第2摺動ブラケットの一箇所にのみ取り付けることによって達成される。遠方すなわち遠位レバーアームに取り付ける第1ブラケットの部分は、近傍レバーアームに取り付ける部分よりも大幅に大きい。近傍レバーアームの上部と遠方すなわち遠位レバーアームの下部とが、第1レバーアームの方向と一致して動く。当然ながら、上、下、近傍、遠方という用語は、図面に示される向きに関連する相対的な用語を意味するにすぎず、そのように解釈されるべきである。
【0033】
さらにこの図では、バックストラップシステム910を分解した様子を見ることができる。このシステムは、円筒形の物体を包み込むように設計されている。このシステムは、ゴム引き等の高摩擦材料でできた摩擦ディスク1610を備える。摩擦ディスク1610は、相補形状を有するスロット1660内で本体部1620と連動する。本体部1620は、ゴム引きベルト部1650の穴と嵌合するよう設計された突起部(prong)1625を備える。ネジ1630は、ネジ付きインサート1655と協働して、バックストラップシステム910の部品をまとめて保持する。ネジ1630は実際には、全ての部品を挟むようにストラップホルダ1645の反対側に嵌め込まれる。ばね1635によって、摩擦ディスク、背面770、および本体部1620の摩擦が動きに抵抗するのに十分であるように、組み立てられたときにバックストラップシステム910に圧力および張力を提供する。同時に、ばね1635が圧縮されて、装置が背面770に対して回転する可能性がある。多くの実施形態では、ばね1635は波状皿ばねであってもよい。バックストラップシステム910はさらに、部品の相互接続を補助するボス1640を備える。動作中、
図12および
図14に示すように、ゴム引きベルト部分1650が本体部1620の開口を通して巻き付けられ、次いでゴム引きベルト部分1650の穴が突起1625上に配置される。本体部1625がさらに、デバイスの取付け摩擦を増加させる高摩擦領域410あるいはゴム引きまたは柔軟な材料を含んでもよい。ベルト部分1650は伸縮性を有するように作られているため、ベルト部分1650と高摩擦領域410との間に配置された円筒形または他の不規則な形状の物体に張力がかかる。
【0034】
デバイスホルダの多くの実施形態では、電子デバイスを把持するための把持領域が提供される。この把持領域はばね留めされており、2つの把持プレートの間に置かれた物体に把持力を与える。把持領域の把持力を解放する2つの解放レバーが設けられる。把持プレートは、単一平面内で進退運動する。解放レバーは回転するように動く。デバイスホルダは、解放レバーの回転運動を把持プレートの単一平面運動に変換するように設計する。これは、アーム間の歯車装置と、第1のアームの第1位置と第2のアームの第2位置とに取り付けた把持プレートのうちの1つの摺動ブラケットとによって達成される。各アームは、中央回転軸を有する。第1アーム上の第1位置は、中央回転軸から第1の距離にある。第2アームの第2位置は、中央回転軸から同じ第1の距離にある。第1アームおよび第2アームが回転すると、第1アームおよび第2アームが反対方向に回転するため、第1および第2のアームによって把持プレートが同じ方向に引っ張られるが、変換された単一平面の動きは同じ方向である。取り付け位置では、アームの回転運動の平面/直線運動への変換を補正するために、柱状部材(ポスト)が長穴(スロット)内で摺動できるように、ポストインスロット配置を使用する。さらに、デバイスホルダの背面側にさまざまな相互接続機構があってもよい。これには、図示した磁気システムおよび図示した円筒形の相互接続システムに加え、締め具、磁石、マジックテープ(登録商標)(Velcro)、スナップ式システム、圧入システム、接着剤、およびその他の締結具(ネジ、ボルトなど)を含むが、これらに限定されない。
【0035】
特定の実施形態について前述の詳細な説明において詳しく記載し、添付の図面に図示されているが、当業者には、本開示の全体的な教示およびその広範な発明的概念に照らして、それらの詳細に対する種々の修正および代替案が開発され得ることが理解されるであろう。したがって、本開示の範囲は、本明細書に開示された特定の実施例および実装に限定されるものではなく、添付の請求項およびそのあらゆる均等物によって定義されるその精神および範囲内での変更に及ぶことが意図されていると理解すべきである。
【国際調査報告】