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特表2023-545858動力電池加熱回路、システム、制御方法及び電力消費機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】動力電池加熱回路、システム、制御方法及び電力消費機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/615 20140101AFI20231024BHJP
   B60L 58/27 20190101ALI20231024BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20231024BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20231024BHJP
   H02P 27/06 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
H01M10/615
B60L58/27
B60L9/18 J
B60L58/12
H02P27/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524153
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 CN2022085823
(87)【国際公開番号】W WO2023010878
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/110708
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】黄孝▲鍵▼
(72)【発明者】
【氏名】但志▲敏▼
(72)【発明者】
【氏名】高▲錦▼▲鳳▼
(72)【発明者】
【氏名】黄津
【テーマコード(参考)】
5H031
5H125
5H505
【Fターム(参考)】
5H031KK06
5H125AA01
5H125AC12
5H125BB02
5H125BC19
5H125BC21
5H125DD02
5H125EE25
5H125EE27
5H125FF16
5H505AA16
5H505CC04
5H505DD03
5H505HB01
5H505LL43
(57)【要約】
本出願の実施例は、動力電池加熱回路、システム、制御方法及び電力消費機器を提供し、この動力電池加熱回路は、少なくとも一つの組電池を含む給電モジュールと、給電モジュールと接続され、M相アーム回路を含むインバータモジュールであって、アーム回路が組電池と並列に接続され、Mが3の偶数倍であるインバータモジュールと、M個の巻線を有するモータを含む駆動モジュールであって、M個の巻線がそれぞれアーム回路のM相アームと一対一に対応して接続される駆動モジュールと、アーム回路と接続され、アーム回路における少なくとも三相アームの上アーム、及び残りのアームのうちの相数が同じであるアームの下アームをいずれもオンにするように制御し、給電モジュール、インバータモジュール及び駆動モジュールに交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成させる制御モジュールとを含む。本出願は、従来の多相モータをベースとして、給電モジュールの電池を迅速に加熱することを実現することができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力電池加熱回路であって、
少なくとも一つの組電池を含む給電モジュールと、
前記給電モジュールと接続され、M相アーム回路を含むインバータモジュールであって、前記アーム回路が前記組電池と並列に接続され、Mが3の偶数倍であるインバータモジュールと、
M個の巻線を有するモータを含む駆動モジュールであって、前記M個の巻線がそれぞれ前記アーム回路のM相アームと一対一に対応して接続される駆動モジュールと、
前記アーム回路と接続され、前記アーム回路における少なくとも三相アームの上アーム、及び残りのアームのうちの相数が同じであるアームの下アームをいずれもオンにするように制御し、前記給電モジュール、前記インバータモジュール及び前記駆動モジュールに交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成させるための制御モジュールとを含む、ことを特徴とする動力電池加熱回路。
【請求項2】
前記モータは、六相対称モータを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の動力電池加熱回路。
【請求項3】
前記充電回路又は放電回路において、オンになる三相上アームとそれぞれ接続される三つの巻線の空間位相差は、120°であり、オンになる三つの下アームとそれぞれ接続される三つの巻線の空間位相差は、120°である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の動力電池加熱回路。
【請求項4】
動力電池加熱制御方法であって、
請求項1から3のいずれか1項に記載の動力電池加熱回路に用いられ、前記方法は、
イネーブル信号を送信し、アーム回路における少なくとも三相アームの上アーム、及び残りのアームのうちの相数が同じであるアームの下アームをいずれもオンにするように制御し、前記電池加熱回路の給電モジュール、インバータモジュール及び駆動モジュールに交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成させることを含む、ことを特徴とする動力電池加熱制御方法。
【請求項5】
予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することで、前記充電回路と放電回路を交互に切り替えるように前記インバータモジュールを制御する、ことを特徴とする請求項4に記載の動力電池加熱制御方法。
【請求項6】
予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することは、
予め設定される周波数で前記インバータモジュールに第一の加熱信号と第二の加熱信号を交互に送信することと、
前記第一の加熱信号によって前記アーム回路における少なくとも三相アームの上アーム、及び残りのアームのうちの相数が同じであるアームの下アームをいずれもオンにし、前記電池加熱回路の給電モジュール、インバータモジュール及び駆動モジュールに充電回路を形成させることと、
前記第二の加熱信号によって前記少なくとも三相アームの下アーム、及び前記残りのアームのうちの相数が同じであるアームの上アームをいずれもオンにし、前記電池加熱回路の給電モジュール、インバータモジュール及び駆動モジュールに放電回路を形成させることとを含む、ことを特徴とする請求項5に記載の動力電池加熱制御方法。
【請求項7】
前記駆動モジュールのモータは、六相対称モータを含み、
前記第一の加熱信号によって前記六相アーム回路における三相アームの上アーム、及び別の三相アームの下アームをいずれもオンにし、前記電池加熱回路の給電モジュール、インバータモジュール及び駆動モジュールに充電回路を形成させ、
前記第二の加熱信号によって前記六相アーム回路における前記三相アームの下アーム、及び前記別の三相アームの上アームをいずれもオンにし、前記電池加熱回路の給電モジュール、インバータモジュール及び駆動モジュールに放電回路を形成させ、
前記充電回路又は放電回路において、オンになる三相上アームとそれぞれ接続される三つの巻線の空間位相差は、120°であり、オンになる三つの下アームとそれぞれ接続される三つの巻線の空間位相差は、120°である、ことを特徴とする請求項6に記載の動力電池加熱制御方法。
【請求項8】
前記の、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することは、
組電池の充電状態値が予め設定される閾値以上であるかどうかを決定することと、
そうであれば、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することとを含む、ことを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の動力電池加熱制御方法。
【請求項9】
前記の、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することは、
前記モータの作動状態を取得することと、
前記モータの作動状態が非駆動状態であれば、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することとを含む、ことを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の動力電池加熱制御方法。
【請求項10】
前記の、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することは、
車両コントローラにより送信される制御信号を受信することと、
前記制御信号が前記動力電池を加熱することを指示すれば、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することとを含む、ことを特徴とする請求項5から9のいずれか1項に記載の動力電池加熱制御方法。
【請求項11】
前記の、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することは、
電池管理システムにより送信される要求データを受信することと、
前記要求データが前記動力電池が加熱条件を満たすことを指示すれば、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することとを含む、ことを特徴とする請求項5から10のいずれか1項に記載の動力電池加熱制御方法。
【請求項12】
前記組電池の温度が加熱停止条件を満たすかどうかを決定することであって、前記加熱停止条件が、前記組電池が予め設定される温度に達すること又は前記動力電池の温度上昇が異常であることを含むことと、
そうであれば、前記インバータモジュールに加熱停止信号を送信することであって、前記加熱停止信号によって前記インバータモジュールに前記充電回路又は放電回路を遮断させることとをさらに含む、ことを特徴とする請求項4から11のいずれか1項に記載の動力電池加熱制御方法。
【請求項13】
動力電池加熱システムであって、加熱コントローラと請求項1から3のいずれか1項に記載の動力電池加熱回路とを含み、前記加熱コントローラは、前記動力電池加熱回路に命令を送信することで、交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成するように前記動力電池加熱回路を制御するために用いられる、ことを特徴とする動力電池加熱システム。
【請求項14】
電力消費機器であって、請求項13に記載の動力電池加熱システムを含む、ことを特徴とする電力消費機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に関し、特に動力電池加熱回路、システム、制御方法及び電力消費機器に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー密度が高く、サイクル充電が可能であり、安全と環境保護などの利点を有するため、動力電池は、新エネルギー自動車、コンシューマエレクトロニクス、エネルギー貯蔵システムなどの分野に広く用いられる。
【0003】
しかしながら、低温環境で、動力電池の使用は、一定の程度で制限される。具体的には、動力電池は、低温環境での放電容量が大幅に低下し、且つ電池が低温環境で充電できない。特に六相モータ(又は相がより多いモータ)は、動力電池により提供される動力をより大きく必要とし、動力電池の充放電能力が制限される時に、六相モータ車両の体験感もより悪くなる。そのため、動力電池を正常に使用できるように、低温環境で動力電池を加熱する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本出願の実施例は、従来の多相モータをベースとして、給電モジュールの電池を迅速に加熱することを実現できる動力電池加熱回路、システム、制御方法及び電力消費機器を提供する。
【0005】
第一の態様によれば、本出願は、動力電池加熱回路を提供し、少なくとも一つの組電池を含む給電モジュールと、前記給電モジュールと接続され、M相アーム回路を含むインバータモジュールであって、前記アーム回路が前記組電池と並列に接続され、Mが3の偶数倍であるインバータモジュールと、M個の巻線を有するモータを含む駆動モジュールであって、前記M個の巻線がそれぞれ前記アーム回路のM相アームと一対一に対応して接続される駆動モジュールと、前記アーム回路と接続され、前記アーム回路における少なくとも三相アームの上アーム、及び残りのアームのうちの相数が同じであるアームの下アームをいずれもオンにするように制御し、前記給電モジュール、前記インバータモジュール及び前記駆動モジュールに交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成させるための制御モジュールとを含む。
【0006】
本出願の実施例の技術案では、インバータモジュールと接続される制御モジュールの設置によって、アーム回路における各相アームのオン又はオフを制御することによって、前記給電モジュール、前記インバータモジュール及び前記駆動モジュールに充電回路又は放電回路を形成させることができ、この充電回路又は放電回路が作動する時に、給電モジュールの組電池を流れる電流があり、組電池は、一定の内部抵抗を有し、一部の電流を消費し、電気エネルギーを熱エネルギーに変換することによって、熱を発生させて給電モジュールの組電池を加熱することができる。そして、組電池、特に六相モータ駆動システムの組電池に対して加熱を効果的に行うことができるように、本実施例は、制御モジュールによって、アーム回路における少なくとも三相アームの上アーム、及び残りのアームのうちの相数が同じであるアームの下アームをいずれもオンにするように制御し、前記給電モジュール、前記インバータモジュール及び前記駆動モジュールに交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成させることで、前記組電池に対して充放電を行い、このように、サイクル充放電の充放電回路を形成することができ、組電池の温度が正常な作動温度に達するまで組電池を加熱し続けることができ、それによって動力電池は、低温環境でも正常に使用することができ、動力電池の充放電能力が制限されることを回避し、顧客が冬に車両を使用する体験を大幅に向上させる。
【0007】
いくつかの実施例では、前記モータは、六相対称モータを含む。六相対称モータにおける三相巻線に流入又は流出する電流の大きさが常に同じであり、且つ電流方向が二つずつ対称であるため、合成電流を比較的に小さくすることができ、それによって比較的に小さい合成磁界を形成し、この加熱回路が作動する時に比較的に大きい雑音が発生することを回避することができる。
【0008】
いくつかの実施例では、前記充電回路又は放電回路において、オンになる三相上アームとそれぞれ接続される三つの巻線の空間位相差は、120°であり、オンになる三つの下アームとそれぞれ接続される三つの巻線の空間位相差は、120°である。充電回路又は放電回路において、オンになる三相上(下)アームとそれぞれ接続される三つの巻線の空間位相差は、120°であり、三相巻線に流入する(流出する)電流の空間位相差は、120°であり、三相空間が対称な巻線により合成される固定子磁界を零(約0~0.5T)に接近させることによって、この動力電池加熱回路を利用して動力電池を加熱する時に、固定子磁界とロータ磁界が互いに作用して発生した振動雑音を効果的に抑制することができる。同時に、同一のモータに属する複数の巻線に流入する電流の合成磁界を0~0.5Tに制御することによって、モータに運転を発生させず、さらにモータにおけるロータが発熱するという問題を解決することができ、それによって電池自己加熱の使用時間を延長する。
【0009】
第二の態様によれば、本出願は、動力電池加熱制御方法を提供し、この方法は、第一の態様に記載の動力電池加熱回路に用いられ、前記方法は、イネーブル信号を送信し、前記アーム回路における少なくとも三相アームの上アーム、及び残りのアームのうちの相数が同じであるアームの下アームをいずれもオンにするように制御し、前記電池加熱回路の給電モジュール、インバータモジュール及び駆動モジュールに交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成させることを含む。
【0010】
本出願の実施例の技術案では、制御モジュールによってアーム回路における少なくとも三相アームの上アーム、及び残りのアームのうちの相数が同じであるアームの下アームをいずれもオンにするように制御し、給電モジュール、インバータモジュール及び駆動モジュールに交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成させることで、組電池に対して充放電を行い、このように、サイクル充放電の充放電回路を形成することができ、組電池の温度が正常な作動温度に達するまで組電池を加熱し続けることができ、それによって動力電池は、低温環境でも正常に使用することができ、動力電池の充放電能力が制限されることを回避し、顧客が冬に車両を使用する体験を大幅に向上させる。
【0011】
いくつかの実施例では、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することで、前記充電回路と放電回路を交互に切り替えるように前記インバータモジュールを制御する。電池を長時間放電させ、電池を消費し、又はモータが長時間仕事をし、モータのロータが回転し又は固定子が発熱することを引き起こすという問題を回避する。
【0012】
いくつかの実施例では、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することは、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに第一の加熱信号と第二の加熱信号を交互に送信することと、前記第一の加熱信号によって前記アーム回路における少なくとも三相アームの上アーム、及び残りのアームのうちの相数が同じであるアームの下アームをいずれもオンにし、前記電池加熱回路の給電モジュール、インバータモジュール及び駆動モジュールに充電回路を形成させることと、前記第二の加熱信号によって前記少なくとも三相アームの下アーム、及び前記残りのアームのうちの相数が同じであるアームの上アームをいずれもオンにし、前記電池加熱回路の給電モジュール、インバータモジュール及び駆動モジュールに放電回路を形成させることとを含む。動力電池に対する効果的な加熱機能を実現することができるだけでなく、長時間充電又は放電によるエネルギー損失及び雑音を回避することもできる。
【0013】
いくつかの実施例では、前記駆動モジュールのモータは、六相対称モータを含み、前記第一の加熱信号によって前記六相アーム回路における三相アームの上アーム、及び別の三相アームの下アームをいずれもオンにし、前記電池加熱回路の給電モジュール、インバータモジュール及び駆動モジュールに充電回路を形成させ、前記第二の加熱信号によって前記六相アーム回路における前記三相アームの下アーム、及び前記別の三相アームの上アームをいずれもオンにし、前記電池加熱回路の給電モジュール、インバータモジュール及び駆動モジュールに放電回路を形成させ、前記充電回路又は放電回路において、オンになる三相上アームとそれぞれ接続される三つの巻線の空間位相差は、120°であり、オンになる三つの下アームとそれぞれ接続される三つの巻線の空間位相差は、120°である。同一のモータに属する複数の巻線に流入する電流の合成磁界を0~0.5Tに制御することによって、モータに運転を発生させず、さらにモータにおけるロータが発熱するという問題を解決することができ、それによって電池自己加熱の使用時間を延長する。
【0014】
いくつかの実施例では、前記の、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することは、組電池の充電状態値が予め設定される閾値以上であるかどうかを決定することと、そうであれば、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することとを含む。動力電池のSOCが予め設定される閾値よりも大きい時に、回路を流れる電流を交流電流に変調することができ、交流電流を利用して動力電池の内部抵抗により発熱することによって、動力電池を加熱し、加熱効率を向上させることができ、電池SOCが予め設定される閾値以下である時、即ち電池電力量が足りない時に、直流電流を利用して巻線に熱を発生させて動力電池を加熱し、電力量消費を低減させ、動力電池加熱システムの柔軟性を向上させることができる。
【0015】
いくつかの実施例では、前記の、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することは、前記モータの作動状態を取得することと、前記モータの作動状態が非駆動状態であれば、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することとを含む。モータの作動状態を判断することによって、モータが駆動状態にある時に動力電池を加熱し、さらに車両などの動力装置の性能に影響を与えることを防止することができる。
【0016】
いくつかの実施例では、前記の、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することは、車両コントローラにより送信される制御信号を受信することと、前記制御信号が前記動力電池を加熱することを指示すれば、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することとを含む。車両コントローラにより送信される制御信号を受信することによって、加熱モードに迅速に入り、動力電池をタイムリーに加熱することができる。
【0017】
いくつかの実施例では、前記の、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することは、電池管理システムにより送信される要求データを受信することと、前記要求データが前記動力電池が加熱条件を満たすことを指示すれば、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することとを含む。BMSにより送信される加熱要求を受信することによって、制御モジュールは、動力電池を加熱するように動力電池加熱システムをタイムリーに制御することができ、車両などの動力装置の使用に影響を与えることを回避する。
【0018】
いくつかの実施例では、前記方法は、前記組電池の温度が加熱停止条件を満たすかどうかを決定することであって、前記加熱停止条件が、前記組電池が予め設定される温度に達すること又は前記動力電池の温度上昇が異常であることを含むことと、そうであれば、前記インバータモジュールに加熱停止信号を送信することであって、前記加熱停止信号によって前記インバータモジュールに前記充電回路又は放電回路を遮断させることとをさらに含む。加熱停止信号を設定することによって、組電池の温度上昇が異常になり又は正常に作動する温度に達した後に加熱をタイムリーに停止することで、リソースの浪費を回避することができ、及び利用者のタイムリーな使用に有利である。
【0019】
第三の態様によれば、本出願は、動力電池加熱システムを提供し、前記システムは、加熱コントローラと第一の態様のいずれか1項に記載の動力電池加熱回路とを含み、前記加熱コントローラは、前記動力電池加熱回路に命令を送信することで、交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成するように前記動力電池加熱回路を制御するために用いられる。
【0020】
第四の態様によれば、本出願は、第三の態様に記載の動力電池加熱システムを含む電力消費機器を提供する。
【0021】
上記説明は、本出願の技術案の概要に過ぎず、本出願の技術的手段をより明瞭にするために、明細書の内容に従って実施することができ、且つ本出願の上記と他の目的、特徴と利点をより明らかに理解しやすくするために、以下では、特に本出願の具体的な実施の形態を挙げて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下では、本出願の実施例に使用される必要のある図面を簡単に紹介し、自明なことに、以下に記述された図面は、ただ本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】本出願の一実施例による動力電池加熱回路の概略的ブロック図である。
図2】本出願の一実施例による動力電池加熱回路の回路図(放電回路)である。
図3】本出願の一実施例による動力電池加熱回路の回路図(充電回路)である。
図4】本出願の一実施例による動力電池加熱シナリオでの制御方法フローチャートである。
図5】本出願の一実施例による加熱コントローラの概略的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、図面を結び付けながら本出願の技術案の実施例を詳細に記述する。以下の実施例は、本出願の技術案をより明瞭に説明するためのものに過ぎないため、例のみとして、これによって本出願の保護範囲を限定してはならない。
【0024】
特に定義されない限り、本明細書に使用されるすべての技術的と科学的用語は、本出願の技術分野に属する当業者によって一般的に理解される意味と同じであり、本明細書に使用される用語は、具体的な実施例を記述するためのものに過ぎず、本出願を限定することを意図しておらず、本出願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における用語である「含む」と「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。
【0025】
本出願の実施例の記述において、技術用語である「第一」、「第二」などは、異なる対象を区別するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示し又は指示される技術的特徴の数、特定の順序又は主従関係を暗黙的に明示すると理解されてはならない。本出願の実施例の記述において、特に明確に具体的に限定されない限り、「複数の」の意味は、二つ以上である。
【0026】
本明細書に言及された「実施例」は、実施例を結び付けて記述された特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも一つの実施例に含まれ得ることを意味している。明細書における各位置でのこのフレーズの出現は、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と互いに排他する独立した又は代替的な実施例でもない。当業者は、本明細書に記述された実施例が他の実施例と組み合わされることが可能であることを明示的かつ非明示的に理解することができる。
【0027】
本出願の実施例の記述において、用語である「及び/又は」は、ただ関連対象の関連関係の記述に過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えば、A及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの3つのケースを表してもよい。また、本明細書における文字である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0028】
本出願の実施例の記述において、用語である「複数の」は、二つ以上(二つを含む)を指し、同様に、「複数組」は、二組以上(二組を含む)を指し、「複数枚」は、二枚以上(二枚を含む)を指す。
【0029】
本出願の実施例の記述において、技術用語である「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などにより指示される方位又は位置関係は、図面に基づいて示される方位又は位置関係であり、本出願の実施例を容易に記述し且つ簡略化して記述するためのものに過ぎず、言及された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成して操作しなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本出願の実施例に対する限定として理解されてはならない。
【0030】
本出願の実施例の記述において、特に明確に規定、限定されていない限り、技術用語である「取り付け」、「繋がり」、「接続」、「固定」などの用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定的な接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体であってもよく、機械的な接続であってもよく、電気的な接続であってもよく、直接的な繋がりであってもよく、中間媒体による間接的な繋がりであってもよく、二つの素子内部の連通又は二つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本出願の実施例での具体的な意味を理解してもよい。
【0031】
時代の発展に伴い、新エネルギー自動車は、その環境保護性、低雑音、低使用コストなどの利点のため、巨大な市場見通しを有し、且つ省エネと汚染物質の排出削減を効果的に促進することができ、社会の発展と進歩に有利である。
【0032】
本出願は、動力電池の電気化学的特性のため、低温環境で、動力電池の充放電能力が大幅に制限され、顧客が冬に車両を使用する体験に深刻な影響を与えることに気付いた。特に六相モータ(又はより多い相のモータ)は、動力電池により提供される動力をより大きく必要とし、動力電池の充放電能力が制限される時に、六相モータ車両の体験感もより悪くなる。そのため、動力電池を正常に使用できるように、低温環境で動力電池を加熱する必要がある。
【0033】
動力電池の低温環境での充放電能力を向上させるために、本出願は、研究によって、動力電池を加熱する時に必要のないコストを増加させることを回避するために、モータ回路を利用して動力電池を加熱できることを発見した。具体的には、モータが作動プロセスにおいて熱を発生させ、車両冷却システムによってモータ巻線による熱を吸収してから、吸収された熱を動力電池に伝送し、動力電池を加熱することができる。しかしながら、モータ回路によって電池を加熱する時に、冷却システム自体が一部の熱を消費し、動力電池に対する加熱能力を大幅に低下させる。そして、電池動力の駆動システムとして、動力電池の充放電能力が大幅に制限される時に、そのモータに対する給電能力も低下し、モータ巻線による熱も大幅に低下し、動力電池に対する加熱作用も大幅に弱くなり、それによって動力電池を効果的に加熱することができない。
【0034】
以上の考慮に基づき、動力電池が低温環境で、充放電能力が大幅に制限され、顧客が冬に車両を使用する体験に深刻な影響を与えるという問題を解決するために、本出願は、鋭意研究の結果、動力電池加熱回路を設計しており、制御モジュールを設置し、且つこの制御モジュールとインバータモジュールのアーム回路との接続を設置することによって、前記アーム回路における少なくとも三相アームの上アーム、及び残りのアームのうちの相数が同じであるアームの下アームをいずれもオンにするように制御し、前記給電モジュール、前記インバータモジュール及び前記駆動モジュールに交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成させることができる。
【0035】
このような動力電池加熱回路を用い、インバータモジュールと接続される制御モジュールの設置によって、アーム回路における各相アームのオン又はオフを制御することによって、前記給電モジュール、前記インバータモジュール及び前記駆動モジュールに充電回路又は放電回路を形成させることができ、この充電回路又は放電回路が作動する時に、給電モジュールの組電池を流れる電流があり、組電池は、一定の内部抵抗を有し、一部の電流を消費し、電気エネルギーを熱エネルギーに変換することによって、熱を発生させて給電モジュールの組電池を加熱することができる。
【0036】
組電池、特に六相モータ駆動システムの組電池に対して加熱を効果的に行うことができるように、本実施例は、制御モジュールによって、アーム回路における少なくとも三相アームの上アーム、及び残りのアームのうちの相数が同じであるアームの下アームをいずれもオンにするように制御し、前記給電モジュール、前記インバータモジュール及び前記駆動モジュールに交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成させることで、前記組電池に対して充放電を行い、このように、サイクル充放電の充放電回路を形成することができ、組電池の温度が正常な作動温度に達するまで組電池を加熱し続けることができ、それによって動力電池は、低温環境でも正常に使用することができ、動力電池の充放電能力が制限されることを回避し、顧客が冬に車両を使用する体験を大幅に向上させる。
【0037】
本出願の実施例における動力電池は、リチウムイオン電池、リチウム金属電池、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池又はナトリウムイオン電池などであってもよいが、それらに限らず、ここで限定しない。規模から見ると、本出願の実施例における電池は、セル単体であってもよく、電池モジュール又は電池パックであってもよく、ここで限定しない。応用シナリオから見ると、電池は、自動車、汽船などの動力装置に用いられてもよいが、それらに限らない。例えば、動力自動車内に用いられてもよく、動力自動車のモータに給電し、電気自動車の動力源とする。電池はさらに、電気自動車における他の電力消費デバイスに給電し、例えば、車内空調、車載プレーヤーなどに給電してもよい。
【0038】
以下の実施例は、説明を容易にするために、本出願の一実施例の電力消費機器が新エネルギー自動車(動力自動車)であることを例にして説明する。
【0039】
駆動システムは、新エネルギー自動車のコア部材の一つであり、その駆動特性は、自動車走行の主な性能指標を決めている。新エネルギー自動車のモータ駆動システムは、主に電動機(即ちモータ)、モータコントローラ、様々な検出センサ及び給電モジュールなどの部分により構成される。モータは、電磁誘導原理を用いて運行する回転電磁機械であり、電気エネルギーを機械的エネルギーに変換することを実現するために用いられる。運行時に給電モジュールから電力を吸収し、機械システムに機械的パワーを出力する。
【0040】
動力電池が低温環境でも正常に使用できるように、本出願の実施例による動力電池加熱回路によって給電モジュールの組電池を加熱してもよい。
【0041】
本出願のいくつかの実施例に基づき、図1を参照し、且つさらに図2図3を参照すると、図1は、本出願のいくつかの実施例による動力電池加熱回路のモジュール化概略図であり、図2は、本出願のいくつかの実施例による動力電池加熱回路が放電回路を形成する構造概略図であり、図3は、本出願のいくつかの実施例による動力電池加熱回路が充電回路を形成する構造概略図である。本出願は、動力電池加熱回路を提供し、この回路は、給電モジュール210と、インバータモジュール220と、駆動モジュール230と、制御モジュール240とを含む。給電モジュール210は、少なくとも一つの組電池を含む。インバータモジュール220は、給電モジュール210と接続され、M相アーム回路を含み、且つアーム回路は、組電池と並列に接続され、Mは、3の偶数倍である。駆動モジュール230は、M個の巻線を有するモータを含み、M個の巻線は、それぞれアーム回路のM相アームと一対一に対応して接続される。制御モジュール240は、アーム回路と接続され、アーム回路における少なくとも三相アームの上アーム、及び残りのアームのうちの相数が同じであるアームの下アームをいずれもオンにするように制御し、給電モジュール210、インバータモジュール220及び駆動モジュール230に交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成させることで、組電池に対して充放電を行う。
【0042】
給電モジュール210について、動力電池を採用して実現し、少なくとも一つの組電池を含み、組電池は、複数の電池モジュールを含む集合であってもよく、複数のセルを含む電池モジュールであってもよい。
【0043】
インバータモジュール220について、様々なタイプのスイッチを採用して実現してもよい。例えば、インバータモジュール220は、モータ駆動システムにおける逆変換装置により実現されてもよく、ここで、逆変換装置は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)のアーム回路を採用して実現してもよい。具体的には、アーム回路のアームの数と駆動モジュール230における巻線の数は、同じであり、少なくとも六相である。例えば、駆動モジュール230は、六相モータを含み、アーム回路は、六相アームを含み、A相アームと、B相アームと、C相アームと、D相アームと、E相アームと、F相アームとを含んでもよく、二つのU相アームと、二つのV相アームと、二つのW相アームとを含んでもよい。ここで、各相アームは、いずれも上アームと下アームを有し、その上アームと下アームにスイッチユニットがそれぞれ設置される。
【0044】
駆動モジュール230について、具体的にアームと繋がるM相巻線を含んでもよい。ここで、複数の巻線は、同一の線に接続され、共通接続点を有し、且つ各巻線の共通接続点から離れる端は、それぞれ一相アームの上アームと下アームとの接続点と繋がる。
【0045】
制御モジュール240について、このインバータモジュール220に加熱信号(即ちイネーブル信号)を送信し、この加熱信号は、上アームと下アームのスイッチユニットを制御することができ、それによって上アーム又は下アームのオンオフを制御する。制御モジュール240は、車両コントローラ(Vehicle control unit、VCU)及び/又はモータコントローラ(Motor control unit、MCU)であってもよく、単独で設置され、充放電回路を形成するように上記アーム回路を制御するための専用のコントローラであってもよく、本実施例は、これに対して具体的に限定しない。
【0046】
組電池と、M相アームと、モータとは、並列に接続され、M相アームの上下アーム接続点は、それぞれM相モータのM相巻線と一対一に対応して接続され、制御モジュール240は、アーム回路の上下アームのオン又は遮断を制御することで、充電回路と放電回路を交互に切り替え、電流を給電モジュール210の内部に流し、それによって熱を発生させて給電モジュール210を加熱する。
【0047】
ここで、モータは、具体的に六相対称モータであってもよい。対称モータのM個の巻線の空間位相差が360°とMとの比であってもよい。そのため、この六相対称モータの6つの巻線の空間位相差は、60°である。
【0048】
単相巻線の起磁力は、空間において階段状で分布し、時間とともに電流の変化法則に従って交番する脈振動起磁力である。六相モータにおける六つの単相巻線の起磁力を重ね合わせると、六相巻線の合成磁界となる。合成磁界の数値が大きければ大きいほど、このモータの振動は、強くなり、振動雑音も大きくなる。
【0049】
六相対称モータを採用すると、それに応じて、インバータモジュール220のアーム回路も六相アームを含み、充電回路又は放電回路を形成する時に、制御モジュール240は、六相アームのうちのいずれか三相アームの上アームをオンにし、他の三相アームの下アームをオンにするように制御し、電流は、六つの巻線のうちの三つから入り、別の三つから出る。六相対称モータにとって、三相巻線に流入又は流出する電流の大きさが常に同じであり、且つ電流方向が二つずつ対称であるため、合成電流を比較的に小さくすることができ、それによって比較的に小さい合成磁界を形成し、この加熱回路が作動する時に比較的に大きい雑音が発生することを回避することができる。
【0050】
説明すべきこととして、駆動モジュール230は、六相モータに限定せず、さらに十二相モータ又は他の六相よりも大きいモータなどであってもよい。それに対応して、インバータモジュール220は、三相アーム又は六相アームを含んでもよい。そして、毎回オンになる上アームの数と下アームの数は、同じである。
【0051】
さらに、モータが六相対称モータである場合、充電回路又は放電回路において、オンになる三相上アームとそれぞれ接続される三つの巻線(第一の巻線と称されてもよい)の空間位相差は、120°であり、オンになる三つの下アームとそれぞれ接続される三つの巻線(第二の巻線と称されてもよい)の空間位相差は、120°である。
【0052】
充電回路又は放電回路において、オンになる三相上(下)アームとそれぞれ接続される三つの巻線の空間位相差は、120°であり、三相巻線に流入する(流出する)電流の空間位相差は、120°であり、三相空間が対称な巻線により合成される固定子磁界を零(約0~0.5T)に接近させることによって、この動力電池加熱回路を利用して動力電池を加熱する時に、固定子磁界とロータ磁界が互いに作用して発生した振動雑音を効果的に抑制することができる。同時に、同一のモータに属する複数の巻線に流入する電流の合成磁界を0~0.5Tに制御することによって、モータに運転を発生させず、さらにモータにおけるロータが発熱するという問題を解決することができ、それによって電池自己加熱の使用時間を延長する。
【0053】
以下では、図2図3を結び付けながら、本出願の実施例による動力電池加熱回路の回路図を詳細に記述する。
【0054】
図2に示すように、六相モータの六つの巻線は、それぞれ第一の巻線と第二の巻線に分けられてもよい、第一の巻線は、それぞれ六相モータにおける巻線311、巻線312及び巻線313であり、第二の巻線は、それぞれ六相モータにおける巻線314、巻線315及び巻線316である。六相アームは、アーム331-336を含んでもよく、ここで、アーム331、アーム332及びアーム333は、それぞれ第一の巻線における巻線311、巻線312及び巻線313と一対一に対応して接続される。アーム334、アーム335及びアーム336は、それぞれ第二の巻線における巻線314、巻線315及び巻線316と一対一に対応して接続される。
【0055】
具体的には、アーム331の上アーム3311と下アーム3312との接続点は、巻線311の一端と繋がり、アーム332の上アーム3321と下アーム3322との接続点は、巻線312の一端と繋がり、アーム333の上アーム3331と下アーム3332との接続点は、巻線313の一端と繋がり、アーム334の上アーム3341と下アーム3342との接続点は、巻線314の一端と繋がり、アーム335の上アーム3351と下アーム3352との接続点は、巻線315の一端と繋がり、アーム336の上アーム3361と下アーム3362との接続点は、巻線316の一端と繋がる。
【0056】
給電モジュール210、上アーム3311~3331、巻線311~313、巻線314~316及び下アーム3342~3362は、共同で放電回路を形成し、図2に示す通りである。同様に、給電モジュール210、下アーム3312~3332、巻線311~313、巻線314~316及び上アーム3341~3361は、共同で充電回路を形成し、図3に示す通りである。ここで、制御モジュール240の制御で、充電回路と放電回路は、周期的に交互にオンになる。
【0057】
図2図3に示す実施例では、電流が巻線311~313の三つの巻線に流入する間の空間位相差を120°に制御し及び電流が巻線314~316の三つの巻線から流出する間の空間位相差を120°に制御することによって、この六相モータの回路を利用して動力電池を加熱する時に、モータの振動雑音を効果的に抑制することができる。そして本出願の実施例による動力電池加熱システムがモータを運転させないため、モータにおけるロータが発熱するという問題を解決することができ、それによって電池自己加熱の使用時間を延長する。
【0058】
説明すべきこととして、巻線311~313は、入力巻線としてもよく、巻線314~316は、出力巻線としてもよい。代替できるように、巻線311~313は、出力巻線としてもよく、巻線314~316は、入力巻線としてもよい。巻線311~313に繋がる三相アームの上アームと巻線314~316に繋がる三相アームの下アームが同時にスイッチユニットのオン又は遮断を維持し、巻線311~313に繋がる三相アームの下アームと巻線314~316に繋がる上アームが同時にスイッチユニットのオン又は遮断を維持することを確保すれば、図2に示す放電回路と図3に示す充電回路を実現することができる。
【0059】
選択的に、図2図3に示す動力電池加熱回路において、給電モジュール210と並列に接続されるキャパシタCをさらに含み、それは、主に電圧の安定化とノイズ除去などの役割を果たす
【0060】
上記動力電池加熱回路と同じ思想に基づき、本出願の実施例は、上記の動力電池加熱回路に適用できる動力電池加熱制御方法をさらに提供し、この方法は、イネーブル信号を送信し、アーム回路における少なくとも三相アームの上アーム、及び残りのアームのうちの相数が同じであるアームの下アームをいずれもオンにするように制御し、電池加熱回路の給電モジュール210、インバータモジュール220及び駆動モジュール230に交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成させることを含む。
【0061】
ここで、イネーブル信号は、一般的には高レベル又は低レベルのデジタルシグナルであり、アーム回路におけるアームスイッチのオンオフを制御するために用いられ、例えば、高レベルは、アーム回路の上アームがオンになり、下アームが遮断されるように制御する場合、ある相アームが制御モジュール240により送信される高レベルイネーブル信号を受信した時に、この相アームの上アームは、オンになり、下アームは、遮断される。
【0062】
いくつかの本実施例では、制御モジュール240は、予め設定される周波数でインバータモジュール220における異なるアームに加熱信号を送信することで、充電回路と放電回路を交互に切り替えるようにインバータモジュール220を制御することができる。
【0063】
ここで、予め設定される周波数、即ち予め設定される単位時間ごとにインバータモジュール220における異なるアームに加熱信号を送信する回数は、二回の加熱信号を送信する時間間隔を限定するために用いられてもよく、つまり、制御モジュール240は、インバータモジュール220に加熱信号を送信する時に計時し始め、予め設定される時間間隔の後に、インバータモジュール220に加熱信号を再度送信する。そして、隣接する二回の加熱信号を異なるアームに送信することで、充電回路と放電回路を交互に切り替えるようにインバータモジュール220を制御する。
【0064】
この時間間隔が長すぎれば、電池を長時間放電させ、電池を消費し、さらに電池の放電効率を低減させる可能性がある。又はモータが長時間仕事をすることをもたらし、モータのロータが回転し又は固定子が発熱するという問題を引き起こす。この時間間隔が長すぎれば、電池を通過する電流が比較的に小さく、時間が短ければ、発生する熱が組電池を効果的に加熱するのにまだ足りないおそれがある。従って、本実施例は、制御モジュール240が予め設定される周波数でインバータモジュール220における異なるアームに加熱信号を送信するように設定し、この予め設定される周波数は、実際の状況に応じて具体的に選択することができ、それによって加熱信号を送信する時間間隔が短すぎ又は長すぎることを回避する。
【0065】
具体的には、制御モジュール240は、予め設定される周波数でインバータモジュール220に加熱信号を送信する時に、予め設定される周波数でインバータモジュール220に第一の加熱信号と第二の加熱信号を交互に送信することができる。第一の加熱信号によってアーム回路における少なくとも三相アームの上アーム、及び残りのアームのうちの相数が同じであるアームの下アームをいずれもオンにし、電池加熱回路の給電モジュール210、インバータモジュール220及び駆動モジュール230に充電回路を形成させる。第二の加熱信号によって少なくとも三相アームの下アーム、及び残りのアームのうちの相数が同じであるアームの上アームをいずれもオンにし、電池加熱回路の給電モジュール210、インバータモジュール220及び駆動モジュール230に放電回路を形成させる。
【0066】
ここで、第一の加熱信号と第二の加熱信号は、上記イネーブル信号と類似しており、いずれも高レベル又は低レベルのデジタルシグナルであってもよく、アーム回路におけるアームスイッチのオンオフを制御するために用いられ、例えば、高レベルは、アーム回路の上アームがオンになり、下アームが遮断されるように制御し、ある相アームが制御モジュール240により送信される高レベルイネーブル信号を受信した時に、この相アームの上アームは、オンになり、下アームは、遮断される。
【0067】
制御モジュール240は、上記予め設定される周波数でインバータモジュール220に第一の加熱信号と第二の加熱信号を送信し、それぞれアーム回路における該当するアームのオンオフを制御して、上記電池加熱回路の給電モジュール210、インバータモジュール220及び駆動モジュール230に、該当する周波数で、充電回路と放電回路を交互に形成させ、動力電池に対する効果的な加熱機能を実現することができるだけでなく、長時間充電又は放電によるエネルギー損失及び雑音を回避することもできる。
【0068】
上記駆動モジュールのモータが六相対称モータである場合に、具体的には、第一の加熱信号によって六相アーム回路における三相アームの上アーム、及び別の三相アームの下アームをいずれもオンにし、電池加熱回路の給電モジュール210、インバータモジュール220及び駆動モジュール230に充電回路を形成させる。第二の加熱信号によって六相アーム回路における三相アームの下アーム、及び別の三相アームの上アームをいずれもオンにし、電池加熱回路の給電モジュール210、インバータモジュール220及び駆動モジュール230に放電回路を形成させる。そして、充電回路又は放電回路において、オンになる三相上アームとそれぞれ接続される三つの巻線の空間位相差は、120°であり、オンになる三つの下アームとそれぞれ接続される三つの巻線の空間位相差は、120°である。
【0069】
充電回路又は放電回路において、オンになる三相上(下)アームとそれぞれ接続される三つの巻線の空間位相差は、120°であり、三相巻線に流入する(流出する)電流の空間位相差は、120°であり、三相空間が対称な巻線により合成される固定子磁界を零(約0~0.5T)に接近させることによって、この動力電池加熱回路を利用して動力電池を加熱する時に、固定子磁界とロータ磁界が互いに作用して発生した振動雑音を効果的に抑制することができる。同時に、同一のモータに属する複数の巻線に流入する電流の合成磁界を0~0.5Tに制御することによって、モータに運転を発生させず、さらにモータにおけるロータが発熱するという問題を解決することができ、それによって電池自己加熱の使用時間を延長する。
【0070】
いくつかの実施例では、予め設定される周波数でインバータモジュール220に加熱信号を送信し、組電池の充電状態値が予め設定される閾値以上であるかどうかを決定することと、そうであれば、予め設定される周波数でインバータモジュール220に加熱信号を送信することとを含んでもよい。
【0071】
充電状態値(State Of Charge、SOC)は、電池の一定の放電倍率で、残りの電力量と同じ条件での定格容量との比を指す。SOCは、電池管理システム(Battery Management System、BMS)の重要パラメータの一つであり、自動車全体の充放電制御ポリシーと電池のバランス作動の根拠でもある。しかしながら、リチウム電池自体構造の複雑性のため、その充電状態は、直接に測定することによって得られず、電池のいくつかの外部特性、例えば、電池の内部抵抗、温度、電流などの関連パラメータに基づき、関連する特性曲線又は計算式を利用してSOCに対する推定作動を完了することしかできない。
【0072】
本出願の実施例は、温度が比較的に低い動力電池を加熱するシナリオに用いられてもよい。例えば、動力電池を加熱することによって、動力電池の温度を上昇させ、組電池が正常に使用できる温度に達する具体的なシナリオに用いられてもよい。具体的には、本出願の実施例では、動力電池のSOCが予め設定される閾値よりも大きい時に、回路を流れる電流を交流電流に変調することができ、交流電流を利用して動力電池の内部抵抗により発熱することによって、動力電池を加熱し、加熱効率を向上させることができ、電池SOCが予め設定される閾値以下である時、即ち電池電力量が足りない時に、直流電流を利用して巻線に熱を発生させて動力電池を加熱し、電力量消費を低減させ、動力電池加熱システムの柔軟性を向上させることができる。
【0073】
選択的に、最初からインバータモジュール220を制御して、モータ回路を流れる電流を直流電流にし、且つ動力電池のSOCを周期的に決定してもよく、一旦動力電池のSOCが予め設定される閾値よりも大きいと決定すると、インバータモジュール220を制御して、モータ回路を流れる電流を交流電流にし、且つ交流電流を利用して動力電池の内部抵抗により発熱することによって、動力電池を加熱し、それによって加熱効率を向上させることができる。
【0074】
具体的には、空間ベクトル制御法(Space Vector Pulse Width Modulation、SVPWM)アルゴリズムを利用してモータ巻線における電流を直流電又は交流電に変調することができる。
【0075】
説明すべきこととして、モータ巻線に直流電流を流す時に、モータの径方向電磁力を減少させ、及びモータのロータの渦電流損失を低減させ、それによってロータの発熱量が低減される。そのため、モータ巻線に直流電流を流す時に、モータのロータの発熱量と電磁振動雑音を低減させる。
【0076】
いくつかの実施例では、予め設定される周波数でインバータモジュール220に加熱信号を送信することは、モータの作動状態を取得する処理と、モータの作動状態が非駆動状態である場合に、予め設定される周波数でインバータモジュール220に加熱信号を送信する処理とを含んでもよい。
【0077】
モータの作動状態を判断することによって、モータが駆動状態にある時に動力電池を加熱し、さらに車両などの動力装置の性能に影響を与えることを防止することができる。
【0078】
さらに、モータが非駆動状態にあり且つ動力電池加熱システムに故障がない時に、このインバータモジュール220に加熱信号を送信することができる。
【0079】
説明すべきこととして、本出願の実施例では、動力電池加熱システムに故障が存在することは、給電モジュール210、駆動モジュール230、制御モジュール240、インバータモジュール220及び熱伝導回路などのうちのいずれか一つに故障が発生することを指す。熱伝導回路に故障が発生することは、連通弁が壊れ、熱伝導回路における媒体が足りないなどの問題を含むが、それらに限らない。
【0080】
選択的に、シフト位置情報とモータ回転数情報を取得し、且つこれに基づいてモータが駆動状態にあるか非駆動状態にあるかを判断してもよい。具体的には、現在シフト位置がPレンジであり且つ車速が0であると判定する場合に、モータが非駆動状態にあることを表明し、現在シフト位置がPレンジでなく又は車速が0でないと判定する場合に、モータが駆動状態にあることを表明する。シフト位置情報とモータ回転数情報によって判断し、いずれか一つの条件を満たさない場合にモータ加熱信号を送信せず、車両が正常な走行状態で動力電池を加熱し、さらに車両性能に影響を与えることを防止する。
【0081】
いくつかの実施例では、予め設定される周波数でインバータモジュール220に加熱信号を送信することは、電池管理システムにより送信される要求データを受信することと、要求データが動力電池が加熱条件を満たすことを指示すれば、予め設定される周波数でインバータモジュール220に加熱信号を送信することとを含んでもよい。
【0082】
BMSにより送信される加熱要求を受信することによって、制御モジュールは、動力電池を加熱するように動力電池加熱システムをタイムリーに制御することができ、車両などの動力装置の使用に影響を与えることを回避する。
【0083】
いくつかの実施例では、予め設定される周波数でインバータモジュール220に加熱信号を送信することは、車両コントローラにより送信される制御信号を受信することと、制御信号が動力電池を加熱することを指示すれば、予め設定される周波数でインバータモジュール220に加熱信号を送信することとを含んでもよい。
【0084】
本出願の実施例では、制御モジュール240は、車両コントローラ(Vehicle control unit、VCU)及び/又はモータコントローラ(Motor control unit、MCU)を含んでもよい。
【0085】
選択的に、車両コントローラがBMSにより送信される加熱要求を受信した時に、車両コントローラは、モータコントローラに制御信号を送信してもよく、この制御信号は、動力電池を加熱することを指示するために用いられ、即ちこの制御信号は、モータコントローラがインバータモジュール220に加熱信号を送信することを指示するために用いられる。例えば、モータコントローラは、完成車コントローラにより送信される制御信号を受信した後に、インバータモジュール220に第一の加熱信号を送信してもよく、この第一の加熱信号は、給電モジュール210、インバータモジュール220及び三つの第一の巻線と三つの第二の巻線の間に放電回路(又は充電回路)を形成するように、インバータモジュール220を制御するために用いられる。予め設定される時間間隔の後に、モータコントローラは、インバータモジュール220に第二の加熱信号を送信し、この第二の加熱信号は、給電モジュール210、インバータモジュール220及び三つの第一の巻線と三つの第二の巻線の間に充電回路(又は放電回路)を形成するように、インバータモジュール220を制御するために用いられ、この充電回路と放電回路における電流方向は、逆であり、電流は、順に三つの第一の巻線に流入してから、三つの第二の巻線から流出する。
【0086】
いくつかの実施例では、この動力電池加熱制御方法は、組電池の温度が加熱停止条件を満たすかどうかを決定することであって、加熱停止条件が、組電池が予め設定される温度に達すること又は動力電池の温度上昇が異常であることを含むことと、そうであれば、インバータモジュール220に加熱停止信号を送信し、加熱停止信号によってインバータモジュール220に充電回路又は放電回路を遮断させることとの処理をさらに含む。
【0087】
ここで、予め設定される温度は、組電池を再度加熱する時間を延長するために、組電池が正常に作動できる温度、正常に作動できる温度よりもやや高い最低温度に設定されてもよい。温度上昇異常は、昇温が速すぎ又は遅すぎることであってもよい。
【0088】
加熱停止信号を設定することによって、組電池の温度上昇が異常になり又は正常に作動する温度に達した後に加熱をタイムリーに停止することで、リソースの浪費を回避することができ、及び利用者のタイムリーな使用に有利である。
【0089】
以下では、それぞれ図2図3に示す動力電池加熱回路を例にし、本出願の実施例の動力電池加熱制御方法を詳細に記述し、図4は、この動力電池加熱制御方法の概略フローチャートを示し、図4に示すように、この制御方法は、以下のようなステップを含む。
【0090】
S601、BMSは、電池パックの温度、SOC、電圧信号及び電流信号などの電池パラメータを収集する。
【0091】
S602、BMSは、電池の各パラメータに基づいて加熱条件を満たすかどうかを判断し、満たせば、SOC状態に基づいて該当する加熱要求をVCUに送信し、例えば、VCUに予め設定される温度に加熱する時に必要な電力を送信する。
【0092】
S603、BMS又はVCUは、電池SOCが予め設定される閾値よりも大きいかどうかを判断する。
【0093】
S604、SOCが予め設定される閾値よりも大きければ、モータ回路を流れる交流電流による熱を利用して動力電池を加熱する。
【0094】
S605、SOCが予め設定される閾値以下であれば、モータ回路を流れる直流電流による熱を利用して動力電池を加熱する。
【0095】
S604の後に、VCUは、モータの現在の作動状態を読み取る。
【0096】
例えば、モータが駆動状態(即ち作動状態)にあれば、VCUは、駆動信号をモータコントローラに送信する。この時、モータコントローラは、インバータモジュール220に周期駆動信号を送信してアーム331~336の上アームと下アームがモータコントローラにより送信される周期駆動信号に基づいてスイッチオンの切り替えを行うように制御し、電池電流のインバータ制御を実現する。モータが非駆動状態にあれば、VCUは、制御信号をモータコントローラに送信する。この時、モータコントローラは、インバータモジュール220に第一の加熱信号と第二の加熱信号を送信し、アーム331~333の上アームとアーム334~336の下アーム、アーム331~333の下アームとアーム334~336の上アームが同時にスイッチのオンオフを維持するように交互に制御する。
【0097】
具体的には、アーム331~333の上アーム3311、3321及び3331とアーム334~336の下アーム3342、3352、3362がオンになり、アーム331~333の下アーム3312、3322及び3332とアーム334~336の上アーム3341、3351、3361が遮断される時に、この時、電池350は、放電し、放電回路は、350(+)→(3311/3321/3331)→(311/312/313)→(314/315/316)→(3342/3352/3362)→350(-)であり、電流状態は、図2に示す通りである。アーム331~333の下アーム3312、3322及び3332とアーム334~336の上アーム3341、3351、3361がオンになり、アーム331~333の上アーム3311、3321及び3331とアーム334~336の下アーム3342、3352、3362が遮断される時に、この時に電池350は、充電し、充電回路は、350(-)→(3312/3322/3332)→(311/312/313)→(314/315/316)→(3341/3351/3361)→350(+)であり、電流状態は、図3に示す通りである。
【0098】
S606、BMSは、組電池温度が異常であるかどうかを判断し、そうであれば温度上昇異常情報をVCUに送信し、VCUは、温度上昇異常情報をモータコントローラに転送し、加熱を停止する。
【0099】
S607、S606で温度上昇が異常でないと判断すれば、BMSは、組電池温度が要求に達するかどうかを判断し、要求に達すれば、VCUは、加熱停止情報をモータコントローラに転送し、加熱を停止し、そうでなければ、S604/S605及びS606を繰り返す。
【0100】
本出願の実施例による動力電池加熱制御方法は、制御モジュール240によって、アーム回路における少なくとも三相アームの上アーム、及び残りのアームのうちの相数が同じであるアームの下アームをいずれもオンにするように制御し、給電モジュール210、インバータモジュール220及び駆動モジュール230に交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成させることで、組電池に対して充放電を行い、このように、サイクル充放電の充放電回路を形成することができ、組電池の温度が正常な作動温度に達するまで組電池を加熱し続けることができ、それによって動力電池は、低温環境でも正常に使用することができ、動力電池の充放電能力が制限されることを回避し、顧客が冬に車両を使用する体験を大幅に向上させる。
【0101】
上記動力電池加熱回路と同じ思想に基づき、本出願の実施例は、動力電池加熱システムをさらに提供し、システムは、加熱コントローラと上記の動力電池加熱回路とを含み、加熱コントローラは、動力電池加熱回路に命令を送信することで、交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成するように動力電池加熱回路を制御するために用いられる。
【0102】
具体的には、この加熱コントローラは、上記車両コントローラであってもよく、動力電池加熱回路の制御モジュール240は、モータコントローラであってもよい。説明すべきこととして、この加熱コントローラは、単独で設置され、動力電池加熱回路に命令を送信することで、交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成するように動力電池加熱回路を制御するための専用のコントローラであってもよく、本実施例は、これに対して具体的に限定しない。
【0103】
本出願の実施例による動力電池加熱システムは、制御モジュールによって交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成するように動力電池加熱回路を制御することで、組電池に対して充放電を行い、このように、サイクル充放電の充放電回路を形成することができ、組電池の温度が正常な作動温度に達するまで組電池を加熱し続けることができ、それによって動力電池は、低温環境でも正常に使用することができ、動力電池の充放電能力が制限されることを回避し、顧客が冬に車両を使用する体験を大幅に向上させる。
【0104】
上記動力電池加熱回路と同じ思想に基づき、本出願の実施例は、上記のような動力電池加熱システムを含む電力消費機器をさらに提供する。
【0105】
本出願の実施例による電力消費機器について、その動力電池加熱システムは、制御モジュールによって交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成するように動力電池加熱回路を制御することで、組電池に対して充放電を行い、このように、サイクル充放電の充放電回路を形成することができ、組電池の温度が正常な作動温度に達するまで組電池を加熱し続けることができ、それによって動力電池は、低温環境でも正常に使用することができ、動力電池の充放電能力が制限されることを回避し、顧客が冬に車両を使用する体験を大幅に向上させる。
【0106】
選択的に、この電力消費機器は、動力自動車であってもよい。
【0107】
図5は、本出願の実施例の動力電池加熱回路の制御モジュール240の概略的ブロック図を示す。図5に示すように、制御モジュール240は、プロセッサ2420を含み、選択的に、制御モジュール240は、メモリ2410をさらに含み、ここで、メモリ2410は、命令を記憶するために用いられ、プロセッサ2420は、命令を読み取り且つ命令に基づいて前述した本出願の様々な実施例の方法を実行するために用いられる。
【0108】
当業者であれば意識できるように、本明細書に開示された実施例を結び付けて記述された各例のユニット及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、又はコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアの組み合わせで実現されることができる。これらの機能がハードウェア方式で実行されるかソフトウェア方式で実行されるかは、技術案の特定の応用及び設計拘束条件によるものである。当業者は、各特定の応用に対して異なる方法を使用して、記述された機能を実現することができるが、このような実現は、本出願の範囲を超えると考えられるべきではない。
【0109】
当業者であればはっきりと分かるように、記述の利便性および簡潔性のために、以上に記述されたシステム、装置とユニットの具体的な作動プロセスは、前述方法の実施例における対応するプロセスを参照すればよく、ここでこれ以上説明しない。
【0110】
本出願によるいくつかの実施例では、理解すべきこととして、掲示されたシステム、装置と方法は、他の方式によって実現されてもよい。例えば、以上に記述された装置の実施例は、例示的なものに過ぎず、例えば、ユニットの区分は、単なる論理的機能区分であり、実際に実現する時に、別の区分方式があってもよく、例えば、複数のユニット又はアセンブリは、別のシステムに結合されてもよく、又は統合されてもよく、又はいくつかの特徴が無視されてもよく、又は実行されなくてもよい。また、表示又は討論された同士間の結合又は直接的な結合又は通信接続は、いくつかのインターフェース、装置又はユニットによる間接的な結合又は通信接続であってもよく、電気的、機械的、又は他の形式であってもよい。
【0111】
分離部材として説明されたユニットは、物理的に分離されてもよく、又は分離されなくてもよく、ユニットとして表示された部材は、物理的ユニットであってもよく、又はそうではなくてもよく、一つの箇所に位置してもよく、又は複数のネットワークユニットに分布してもよい。実際の必要に応じてそのうちの一部又はすべてのユニットを選択して本実施例の方案の目的を実現することができる。
【0112】
また、本出願の各実施例における各機能ユニットが一つの処理ユニットに統合されてもよく、各ユニットが物理的に単独で存在してもよく、二つ以上のユニットが一つのユニットに統合されてもよい。
【0113】
機能がソフトウェア機能ユニットの形式で実現されかつ独立した製品として販売又は使用される場合、一つのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解を踏まえて、本出願の技術案は、実質には又は従来の技術に寄与した部分又は技術案の部分がソフトウェア製品の形式によって具現化されてもよい。コンピュータソフトウェア製品は、一つの記憶媒体に記憶され、一台のコンピュータ機器(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーク機器などであってもよい)に本出願の各実施例の方法の全部又は一部のステップを実行させるための若干の命令を含む。前述した記憶媒体は、Uディスク、モバイルハードディスク、リードオンリーメモリ(Read-Only Memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、磁気ディスク又は光ディスクなどの様々なプログラムコードを記憶可能な媒体を含む。
【0114】
以上は、本出願の具体的な実施の形態に過ぎず、本出願の保護範囲はこれに限らず、いかなる当業者が本出願に掲示された技術範囲内で容易に想到できる変化又は置き換えは、いずれも本出願の保護範囲内に含まれるべきである。そのため、本出願の保護範囲は、特許請求の保護範囲に準ずるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力電池加熱回路であって、
少なくとも一つの組電池を含む給電モジュールと、
前記給電モジュールと接続され、M相アーム回路を含むインバータモジュールであって、前記アーム回路が前記組電池と並列に接続され、Mが3の偶数倍であるインバータモジュールと、
M個の巻線を有するモータを含む駆動モジュールであって、前記M個の巻線がそれぞれ前記アーム回路のM相アームと一対一に対応して接続される駆動モジュールと、
前記アーム回路と接続され、前記アーム回路における少なくとも三相アームの上アーム、及び残りのアームのうちの相数が同じであるアームの下アームをいずれもオンにするように制御し、前記給電モジュール、前記インバータモジュール及び前記駆動モジュールに交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成させるための制御モジュールとを含む、ことを特徴とする動力電池加熱回路。
【請求項2】
前記モータは、六相対称モータを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の動力電池加熱回路。
【請求項3】
前記充電回路又は放電回路において、オンになる三相上アームとそれぞれ接続される三つの巻線の空間位相差は、120°であり、オンになる三つの下アームとそれぞれ接続される三つの巻線の空間位相差は、120°である、ことを特徴とする請求項1に記載の動力電池加熱回路。
【請求項4】
動力電池加熱制御方法であって、
請求項1から3のいずれか1項に記載の動力電池加熱回路に用いられ、前記方法は、
イネーブル信号を送信し、アーム回路における少なくとも三相アームの上アーム、及び残りのアームのうちの相数が同じであるアームの下アームをいずれもオンにするように制御し、前記電池加熱回路の給電モジュール、インバータモジュール及び駆動モジュールに交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成させることを含む、ことを特徴とする動力電池加熱制御方法。
【請求項5】
予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することで、前記充電回路と放電回路を交互に切り替えるように前記インバータモジュールを制御する、ことを特徴とする請求項4に記載の動力電池加熱制御方法。
【請求項6】
予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することは、
予め設定される周波数で前記インバータモジュールに第一の加熱信号と第二の加熱信号を交互に送信することと、
前記第一の加熱信号によって前記アーム回路における少なくとも三相アームの上アーム、及び残りのアームのうちの相数が同じであるアームの下アームをいずれもオンにし、前記電池加熱回路の給電モジュール、インバータモジュール及び駆動モジュールに充電回路を形成させることと、
前記第二の加熱信号によって前記少なくとも三相アームの下アーム、及び前記残りのアームのうちの相数が同じであるアームの上アームをいずれもオンにし、前記電池加熱回路の給電モジュール、インバータモジュール及び駆動モジュールに放電回路を形成させることとを含む、ことを特徴とする請求項5に記載の動力電池加熱制御方法。
【請求項7】
前記駆動モジュールのモータは、六相対称モータを含み、
前記第一の加熱信号によって前記六相アーム回路における三相アームの上アーム、及び別の三相アームの下アームをいずれもオンにし、前記電池加熱回路の給電モジュール、インバータモジュール及び駆動モジュールに充電回路を形成させ、
前記第二の加熱信号によって前記六相アーム回路における前記三相アームの下アーム、及び前記別の三相アームの上アームをいずれもオンにし、前記電池加熱回路の給電モジュール、インバータモジュール及び駆動モジュールに放電回路を形成させ、
前記充電回路又は放電回路において、オンになる三相上アームとそれぞれ接続される三つの巻線の空間位相差は、120°であり、オンになる三つの下アームとそれぞれ接続される三つの巻線の空間位相差は、120°である、ことを特徴とする請求項6に記載の動力電池加熱制御方法。
【請求項8】
前記の、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することは、
組電池の充電状態値が予め設定される閾値以上であるかどうかを決定することと、
そうであれば、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することとを含む、ことを特徴とする請求項5に記載の動力電池加熱制御方法。
【請求項9】
前記の、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することは、
前記モータの作動状態を取得することと、
前記モータの作動状態が非駆動状態であれば、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することとを含む、ことを特徴とする請求項5に記載の動力電池加熱制御方法。
【請求項10】
前記の、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することは、
車両コントローラにより送信される制御信号を受信することと、
前記制御信号が前記動力電池を加熱することを指示すれば、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することとを含む、ことを特徴とする請求項5に記載の動力電池加熱制御方法。
【請求項11】
前記の、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することは、
電池管理システムにより送信される要求データを受信することと、
前記要求データが前記動力電池が加熱条件を満たすことを指示すれば、予め設定される周波数で前記インバータモジュールに加熱信号を送信することとを含む、ことを特徴とする請求項5に記載の動力電池加熱制御方法。
【請求項12】
前記組電池の温度が加熱停止条件を満たすかどうかを決定することであって、前記加熱停止条件が、前記組電池が予め設定される温度に達すること又は前記動力電池の温度上昇が異常であることを含むことと、
そうであれば、前記インバータモジュールに加熱停止信号を送信することであって、前記加熱停止信号によって前記インバータモジュールに前記充電回路又は放電回路を遮断させることとをさらに含む、ことを特徴とする請求項4に記載の動力電池加熱制御方法。
【請求項13】
動力電池加熱システムであって、加熱コントローラと請求項1から3のいずれか1項に記載の動力電池加熱回路とを含み、前記加熱コントローラは、前記動力電池加熱回路に命令を送信することで、交互に切り替わる充電回路と放電回路を形成するように前記動力電池加熱回路を制御するために用いられる、ことを特徴とする動力電池加熱システム。
【請求項14】
電力消費機器であって、請求項13に記載の動力電池加熱システムを含む、ことを特徴とする電力消費機器。
【国際調査報告】