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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】硬化接着剤組成物及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 24/00 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
A61L24/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525955
(86)(22)【出願日】2021-10-11
(85)【翻訳文提出日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 IB2021059298
(87)【国際公開番号】W WO2022090842
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/198,569
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】コラク アタン,セムラ
(72)【発明者】
【氏名】ファーンホースト,グラント ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ヴォセン,ヴァル
(72)【発明者】
【氏名】ラスムセン,ジェラルド ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ディジオ,ジェイムズ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ハルメス,アビゲイル ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AC04
4C081CA151
4C081EA02
(57)【要約】
多剤型硬化性組成物、多剤型硬化性組成物を組み合わせて反応させることによって形成される硬化組成物、及び硬化組成物を提供する方法が記載される。多剤型硬化性組成物は、少なくともA剤及びB剤を含有する。A剤はオキサルアミド含有化合物を含有し、B剤は誘導体化ポリエチレンイミンを含有する。硬化組成物は、組織接着剤としての使用に適した接着剤である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも250グラム/モルの分子量を有し、少なくとも2つの下記式のオキサルアミド基
【化1】
[式中、Rはヒドロカルビルであり;Rは、水素又はヒドロカルビルである]
を有する、オキサルアミド含有化合物を含むA剤と、
b)ポリエチレンイミンとグリシジルエーテルの反応生成物を含む誘導体化ポリエチレンイミンを含み、前記誘導体化ポリエチレンイミンが、式(VI)のモノマー単位
【化2】
[式中、Rは、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールであり;各アスタリスク(*)は、前記誘導体化ポリエチレンイミンの別のモノマー単位への結合部位である]
を含むB剤と、を含む、多剤型硬化性組成物。
【請求項2】
前記オキサルアミド含有化合物が式(II)の化合物
【化3】
[式中、Rはヒドロカルビルであり;Rは、水素又はヒドロカルビルであり;Rは、ヒドロカルビレンであり;qは1~10の範囲の整数である]
である、請求項1に記載の多剤型硬化性組成物。
【請求項3】
が、アルキレン、アルケニレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである、請求項2に記載の多剤型硬化性組成物。
【請求項4】
が、アルキル、アリール、アラルキル又はアルカリールであり;Rが、水素、アルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールである、請求項1~3のいずれか一項に記載の多剤型硬化性組成物。
【請求項5】
前記誘導体化ポリエチレンイミンが、式(V)及び/又は式(VII)のモノマー単位
【化4】
【化5】
[式中、Rは、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキルであり;各アスタリスク(*)は、前記誘導体化ポリエチレンイミンの別のモノマー単位への結合部位である]
を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の多剤型硬化性組成物。
【請求項6】
前記誘導体化ポリエチレンイミン中のモノマー単位の総モル数を基準として、前記誘導体化ポリエチレンイミン中のモノマー単位の10モルパーセント~25モルパーセントが、式(VI)及び/又は式(VII)のモノマー単位
【化6】
【化7】
[式中、Rは、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキルであり;各アスタリスク(*)は、前記誘導体化ポリエチレンイミンの別のモノマー単位への結合部位である]
である、請求項1~5のいずれか一項に記載の多剤型硬化性組成物。
【請求項7】
A剤及び/又はB剤が、少なくとも4個の炭素原子を有するカルボン酸を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の多剤型硬化性組成物。
【請求項8】
前記カルボン酸が脂肪酸である、請求項7に記載の多剤型硬化性組成物。
【請求項9】
前記カルボン酸が、A剤中に、A剤の総重量を基準として0.01重量パーセント~10重量パーセントの量で存在する、請求項7又は8に記載の多剤型硬化性組成物。
【請求項10】
A剤が第1の粘度(V1)を有し、B剤が第2の粘度(V2)を有し、前記第2の粘度(V2)が0.1(V1)~10(V1)の範囲にある、請求項1~9のいずれか一項に記載の多剤型硬化性組成物。
【請求項11】
B剤の前記誘導体化ポリエチレンイミン中の第一級アミノ基の、A剤中のオキサルアミド含有化合物に対するモル比が、0.75~3.5の範囲にある、請求項1~10のいずれか一項に記載の多剤型硬化性組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の多剤型硬化性組成物の硬化反応生成物を含み、接着剤である、硬化組成物。
【請求項13】
前記接着剤が、ASTM法D882-2018を用いて20パーセント~80パーセントの範囲の破断点伸び率を有し、且つ/又はASTM法F2458-05を用いて少なくとも2ニュートンの閉鎖強度を有する、請求項12に記載の硬化組成物。
【請求項14】
前記接着剤が組織接着剤である、請求項12又は13に記載の硬化組成物。
【請求項15】
前記接着剤が創傷閉鎖接着剤である、請求項12~14のいずれか一項に記載の硬化組成物。
【請求項16】
硬化組成物を提供する方法であって、
a)少なくとも250グラム/モルの分子量を有し、少なくとも2つの下記式のオキサルアミド基
【化8】
[式中、Rはヒドロカルビルであり;Rは水素又はアルキルである]
を有する、オキサルアミド含有化合物を含むA剤組成物を準備すること又は得ることと、
b)ポリエチレンイミンとグリシジルエーテルの反応生成物を含む誘導体化ポリエチレンイミンを含むB剤組成物であって、前記誘導体化ポリエチレンイミンが、式(VI)のモノマー単位
【化9】
[式中、Rは、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールであり;各アスタリスク(*)は、前記誘導体化ポリエチレンイミンの別のモノマー単位への結合部位である]
を有するB剤組成物を準備すること又は得ることと、
c)A剤をB剤と組み合わせて反応混合物を形成することと、
d)前記反応混合物を硬化させて、接着剤である硬化組成物を形成することと
を含む、方法。
【請求項17】
A剤をB剤と組み合わせることが、A剤及びB剤を別々のシリンジに入れること、A剤及びB剤を前記別々のシリンジから分注すること、並びにA剤をB剤と混合チャンバ内で組み合わせて前記反応混合物を形成することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記反応混合物を硬化させる前に、前記混合チャンバから前記反応混合物を排出することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
排出することが、前記反応混合物を組織表面に適用することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
排出することが、前記反応混合物を開放創傷に適用して前記創傷を閉鎖することを含む、請求項18又は19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ステープル及び縫合糸は、手術又は緊急治療室環境において創傷閉鎖のために一般的に使用される。ステープル及び縫合糸は、大きな創傷及び/又は高張力の創傷の閉鎖に必要であり得るが、より小さな創傷の閉鎖のために、組織接着剤を単独で、又は内部若しくは深部縫合糸と組み合わせて使用することに対する関心が高まっている。組織接着剤は、ステープル及び縫合糸などの機械的デバイスに勝るいくつかの利点を提供することができる。例えば、組織接着剤は、痛みが少なく、より良好な美容結果をもたらすことができ、更なる感染に対する微生物バリアを提供することができ、迅速に適用することができる。
【0002】
いくつかの既存の組織接着剤は、低粘度を有し、創傷床の内側又は外側のいずれかの望ましくない場所に浸出し得るシアノアクリレートを含有する。更に、シアノアクリレートは細胞毒性である傾向があり、ゆっくりと硬化する傾向があり、それらの過剰な硬化発熱により皮膚火傷を引き起こす可能性がある。更に、硬化接着剤は曲がらない傾向があり、通常、可撓性が必要とされる領域に使用することができない。
【発明の概要】
【0003】
多剤型硬化性組成物、多剤型硬化性組成物から調製される硬化組成物、及び硬化組成物を提供する方法が記載される。硬化組成物は接着剤であり、組織接着剤としての使用に適している。多剤型硬化性組成物は、通常、高い粘度及び組み合わされたときに低い硬化発熱を伴う迅速な硬化などの望ましい属性を有する。硬化組成物は、良好な機械的強度と接着強度の組み合わせを実現しながら、可撓性及び生体適合性である傾向がある。
【0004】
第1の態様では、多剤型硬化性組成物が提供される。多剤型硬化性組成物は、オキサルアミド(oxalamido)含有化合物を含むA剤と、誘導体化ポリエチレンイミンを含むB剤とを含む。A剤中のオキサルアミド含有化合物は、少なくとも250グラム/モルの分子量を有し、少なくとも2つの下記式のオキサルアミド基
【化1】
[式中、Rはヒドロカルビルであり、Rは水素又はヒドロカルビルである]
を有する。B剤中の誘導体化ポリエチレンイミンは、ポリエチレンイミンとグリシジルエーテルの反応生成物を含有し、誘導体化ポリエチレンイミンは、式(VI)のモノマー単位を他のモノマー単位と共に含有する。
【化2】
式(VI)において、Rは、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールであり、各アスタリスク(*)は、別のモノマー単位(すなわち、ポリマー鎖中の任意のモノマー単位)への結合部位である。
【0005】
第2の態様では、第1の態様に記載の多剤型硬化性組成物の硬化反応生成物を含む硬化組成物が提供される。硬化組成物は、典型的に、組織接着剤としての使用に適した接着剤である。
【0006】
第3の態様では、硬化性組成物を提供する方法が記載される。この方法は、A剤組成物を準備すること又は得ること及びB剤組成物を準備すること又は得ることを含む。A剤組成物は、少なくとも250グラム/モルの分子量を有し、少なくとも2つの下記式のオキサルアミド基
【化3】
[式中、Rはヒドロカルビルであり、Rは水素又はヒドロカルビルである]
を有するオキサルアミド含有化合物を含む。B剤組成物は、ポリエチレンイミンとグリシジルエーテルの反応生成物を含む誘導体化ポリエチレンイミンを含む。誘導体化ポリエチレンイミンは、式(VI)のモノマー単位を他のモノマー単位と共に含有する。
【化4】
式(VI)において、基Rは、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールである。各アスタリスク(*)は、誘導体化ポリエチレンイミンの別のモノマー単位(すなわち、ポリマー鎖中の任意のモノマー単位)への結合部位である。この方法は、A剤をB剤と組み合わせて反応混合物を形成し、次いで反応混合物を硬化させて接着剤である硬化組成物を形成することを更に含む。
【0007】
本明細書で使用する場合、用語「a」、「an」、及び「the」は、用語「少なくとも1つの」と互換的に使用される。
【0008】
X及び/又はZという表現などにおける用語「及び/又は」は、Xのみ、Zのみ、又はXとZの両方を意味する。
【0009】
用語「アルキル」は、アルカンの基である一価の基を指し、直鎖、分枝、環状、二環式又はこれらの組み合わせである基を含む。別段の指示がない限り、アルキル基は、典型的に、1個~30個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1個~20個の炭素原子、1個~10個の炭素原子、1個~6個の炭素原子、1個~4個の炭素原子、又は1個~3個の炭素原子を含有する。分枝及び環状アルキル基は少なくとも3個の炭素原子を有し、二環式アルキル基は典型的に少なくとも7個の炭素原子を有する。例示的なアルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、イソブチル、t-ブチル、イソプロピル、n-オクチル、n-ヘプチル、エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボルニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0010】
用語「アルキレン」は、アルカンの二基である二価の基を指し、直鎖、分枝、環状、二環式、又はこれらの組み合わせである基を含む。別段の指示がない限り、アルキレン基は、典型的に、1個~30個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルキレン基は、1個~20個の炭素原子、1個~10個の炭素原子、1個~6個の炭素原子、又は1個~4個の炭素原子を有する。分枝及び環状アルキレン基は少なくとも3個の炭素原子を有し、二環式アルキレン基は典型的に少なくとも7個の炭素原子を有する。例示的なアルキレン基としては、メチレン、エチレン、1,3-プロピレン、1,2-プロピレン、1,4-ブチレン、1,4-シクロヘキシレン、及び1,4-シクロヘキシルジメチレンが挙げられる。
【0011】
用語「アルケニル」は、アルケンの基である一価の基を指し、直鎖、分枝、環状、二環式又はこれらの組み合わせである基を含む。別段の指示がない限り、アルケニル基は、典型的に、2個~30個の炭素原子、2個~20個の炭素原子、2個~10個の炭素原子、2個~6個の炭素原子、又は2個~4個の炭素原子を有する。分枝及び環状アルケニル基は少なくとも3個の炭素原子を有し、二環式アルキレン基は典型的に少なくとも7個の炭素原子を有する。1つ又は複数の炭素-炭素二重結合が存在する。
【0012】
用語「アルケニレン」は、アルケンの二基である二価の基を指し、直鎖、分枝、環状、二環式、又はこれらの組み合わせである基を含む。別段の指示がない限り、アルケニレン基は、典型的に、2個~30個の炭素原子、2個~20個の炭素原子、2個~10個の炭素原子、2個~6個の炭素原子、又は2個~4個の炭素原子を有する。分枝及び環状アルケニレン基は、少なくとも3個の炭素原子を有し、二環式アルケニレン基は、典型的に少なくとも7個の炭素原子を有する。1つ又は複数の炭素-炭素二重結合が存在する。
【0013】
用語「芳香族」は、典型的に3~40個の炭素原子又は3~30個の炭素原子を有する芳香族基又は化合物を指す。芳香族基又は化合物は、炭素環式であり、ヘテロ原子(O、N、又はS)のうちの1つ以上を含有する複素環式であり得る。芳香族環は、1つの環を有し得るか、又は各々が炭素環式若しくは複素環式である複数の縮合環を有し得る。
【0014】
用語「アリール」は、芳香族及び炭素環である一価の基を指す。アリールは、少なくとも1つの芳香環を有する。任意に、芳香環は、芳香環に縮合された1つ以上の更なる炭素環を有し得る。任意の更なる環は、不飽和、飽和、又は芳香族であってもよい。別段の指示がない限り、アリール基は、典型的に、6個~30個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アリール基は6個~20個、6個~18個、6個~16個、6個~12個、又は6個~10個の炭素原子を有する。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントリル、及びアントラシルが挙げられる。
【0015】
用語「アリーレン」は、芳香族且つ炭素環式である、二価の基を指す。アリーレンは、少なくとも1つの芳香環を有する。任意に、芳香環は、芳香環に縮合された1つ以上の更なる炭素環を有し得る。任意の更なる環は、不飽和、飽和、又は芳香族であってもよい。特に明記しない限り、アリーレン基は、多くの場合、6個~20個の炭素原子、6個~18個の炭素原子、6個~16個の炭素原子、6個~12個の炭素原子、又は6個~10個の炭素原子を有する。
【0016】
用語「アラルキル」は、(例えば、ベンジル基におけるように)アリール基で置換されたアルキル基である一価の基を指し、アラルキル基は、アリールに結合したアルキレンであると考えることができる。別段の指示がない限り、アルキル(又はアルキレン)部分は、多くの場合、1個~10個の炭素原子、1個~6個の炭素原子、又は1個~4個の炭素原子を有し、アリール部分は、多くの場合、6個~20個の炭素原子、6個~18個の炭素原子、6個~16個の炭素原子、6個~12個の炭素原子、又は6個~10個の炭素原子を有する。
【0017】
用語「アルカリール」は、(例えば、トリル基におけるように)アルキル基で置換されたアリールである一価の基を指し、アルカリールは、アルキルに結合したアリーレンであると考えることができる。別段の指示がない限り、アルキル部分は、多くの場合、1個~10個の炭素原子、1個~6個の炭素原子、又は1個~4個の炭素原子を有し、アリール(又はアリーレン)部分は、多くの場合、6個~20個の炭素原子、6個~18個の炭素原子、6個~16個の炭素原子、6~12個の炭素原子、又は6個~10個の炭素原子を有する。
【0018】
用語「ヒドロカルビル」は、水素及び炭素原子のみを含有し、飽和、部分不飽和、又は芳香族であり得る、一価の基を指す。
【0019】
用語「ヒドロカルビレン」は、水素及び炭素原子のみを含有し、飽和、部分不飽和、又は芳香族であり得る、二価の基を指す。
【0020】
用語「組織」は、哺乳動物組織を指し、皮膚及び全ての深部組織を含む。
【0021】
用語「室温」は、22℃~25℃の温度を指す。
【0022】
端点による数の範囲の記述は、端点、その範囲内の全ての数を含み(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5を含む)、その範囲内の任意の範囲を含む。
【発明を実施するための形態】
【0023】
組み合わされ硬化して硬化組成物を形成することができる多剤型硬化性組成物が提供される。多剤型硬化性組成物は、少なくともA剤及びB剤を含有する。A剤はオキサルアミド含有化合物を含有し、B剤は誘導体化ポリエチレンイミンを含有する。オキサルアミド含有化合物と誘導体化ポリエチレンイミンは、組み合わされると、縮合反応を経て硬化組成物を形成する。
【0024】
硬化組成物は、典型的に接着剤である。接着剤が組織接着剤として使用される場合、A剤とB剤の両方は、通常、比較的疎水性であるように選択される。疎水性成分は、血液又は他の体液などの水性流体の存在下で膨潤を防止するのに有利であり得る。更に、A剤とB剤の両方が類似の疎水性を有する場合、これらは、典型的に、より容易に組み合わせられ、混合されて、接着性組織としての使用に望ましい特性を有する接着剤を生じ得る。
【0025】
A剤
硬化性組成物は、少なくとも2つの下記式のオキサルアミド基
【化5】
[式中、Rはヒドロカルビルであり、Rは水素又はヒドロカルビルである]
を有するオキサルアミド含有化合物を含むA剤を含む。R及びRに適したヒドロカルビル基は、少なくとも1個の炭素原子、少なくとも2個の炭素原子、少なくとも4個の炭素原子、少なくとも6個の炭素原子、又は少なくとも7個の炭素原子、且つ最大12個以上の炭素原子、最大10個の炭素原子、最大8個の炭素原子、最大6個の炭素原子、又は最大4個の炭素原子を有する。
【0026】
多くのオキサルアミド基において、Rはアルキル、アリール、アラルキル又はアルカリールであり、Rは水素、アルキル、アリール、アラルキル又はアルカリールである。好適なアルキル基は、多くの場合、1個~10個の炭素原子、1個~6個の炭素原子、又は1個~4個の炭素原子を有する。好適なアリール基は、典型的に、6個~10個の炭素原子を有し、多くの場合、フェニルである。好適なアラルキル基は、多くの場合、6個~10個の炭素原子を有するアリール基(例えば、フェニル)及び1個~10個の炭素原子を有するアルキレン基を有する。アラルキルは、多くの場合、ベンジルである。好適なアルカリール基は、多くの場合、6個~10個の炭素原子を有するアリーレン基(例えばフェニレン)及び1個~10個の炭素原子を有するアルキル基を有する。アルカリールは、多くの場合、トリルである。ほとんどの実施形態では、Rは、水素又はアルキルであり、Rは、アルキル又はアリールである。
【0027】
オキサルアミド含有化合物は、少なくとも2つのオキサルアミド基を有する。これらの基の数は、例えば、2つ、3つ、又は4つであり得る。多くの実施形態では、オキサルアミド含有化合物は、2つのオキサルアミド基を有し、式(II)のものである。
【化6】
式(II)において、基Rはヒドロカルビルであり、基Rは水素又はヒドロカルビルであり、基Rはヒドロカルビレンである。変数qは、典型的に、1~10の範囲の整数である。
【0028】
式(II)のオキサルアミド含有化合物は、反応スキームAに示すように、式(I)のオキサレート化合物と式(III)のジアミンとの縮合反応によって調製することができる。反応スキームAは、反応物及び生成物を示す。
【0029】
反応スキームA
【化7】
【0030】
式(III)のジアミンと反応する式(I)のオキサレートは、例えば、式R-OHのアルコールをオキサリルジクロリドと反応させることにより調製され得る。式(I)のオキサレートは市販されており、ジメチルオキサレート、ジエチルオキサレート、ジ-n-ブチルオキサレート、ジ-tert-ブチルオキサレート、ジイソプロピルオキサレート、ジプロピルオキサレート、ジペンチルオキサレート、tert-ブチルエチルオキサレート、tert-ブチルメチルオキサレート、ビス(4-メチルベンジル)オキサレート、イソブチルオクタン-2-イルオキサレート、ジベンジルオキサレート、及びビス(フェニル)オキサレートを含むが、これらに限定されない。
【0031】
式(III)のジアミンは、ヒドロカルビレンR基を含有する。この基は、多くの場合、オキサルアミド含有化合物に疎水特性、可撓性、及び靭性を付与するために選択される。基Rは、多くの場合、少なくとも6個の炭素原子、少なくとも8個の炭素原子、少なくとも10個の炭素原子、少なくとも12個の炭素原子、少なくとも16個の炭素原子、少なくとも18個の炭素原子、少なくとも20個の炭素原子、又は少なくとも30個の炭素原子、且つ最大60個の炭素原子、最大55個の炭素原子、最大50個の炭素原子、最大45個の炭素原子、最大40個の炭素原子、又は最大36個の炭素原子を有する。ヒドロカルビレンは、飽和、部分不飽和、又は芳香族であることができ、直鎖、分枝、環状、又はこれらの組み合わせである基を含むことができる。ヒドロカルビレンは、多くの場合、アルキレン、アルケニレン(alkenene)、アリーレン、又はこれらの組み合わせから選択される。
【0032】
式(III)のいくつかの例示的なジアミンは、5個~30個の炭素原子を有する。例としては、2-メチルペンタン-1,5-ジアミン、1,3-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、4,4'-メチレンビスシクロヘキシルアミン、m-キシレンジアミン、p-キシレンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデンジメチルアミン(Oxea,Dallas,Texから商品名TCD DIAMINEで入手可能)、ジアミノシクロヘキサン、4,4'-トリメチレンジピペリジン、ビス(アミノエチル)ベンゼン、メチレンジアニリン、フェニレンジアミン、ジアミノナフタレン、及びトルエンジアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
多くの実施形態では、式(III)の化合物は、30個より多い炭素原子を有する。より多くの炭素原子を有する式(III)の化合物は、多くの場合、より大きな疎水特性、増加した可撓性、増加した靭性、又はそれらの組み合わせを最終硬化組成物に付与することができる。硬化組成物が組織接着剤である場合、体液の存在下で膨潤する可能性が低いので、増加した疎水特性が望ましい場合がある。30個より多い炭素原子を有する式(III)の例示的な化合物としては、通常36個の炭素原子を含有する、ダイマージアミンが挙げられる。ダイマージアミンは、典型的にジカルボン酸である、ダイマー酸から調製することができる。ダイマー酸は、不飽和脂肪酸、例えばトール油から誘導されたものを二量化することによって調製することができる。ダイマー酸をアンモニア又はアミンと反応させ、続いて還元してダイマージアミンを調製することができる。好適なダイマージアミンは、Croda Inc.(Edison,NJ,USA)から商標名PRIAMINEで市販されている。
【0034】
式(I)のオキサレート化合物対式(III)のジアミンの当量比を使用して、式(II)中の変数qの値及びA剤の粘度を制御することができる。いくつかの実施形態では、オキサレート化合物対ジアミンの当量比は、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、又は少なくとも10である。ジアミンに対して大過剰のオキサレート化合物を有することは、qが1に等しい式(II)のオキサルアミド含有化合物の形成に有利に働く傾向がある。
【0035】
式(II)のオキサルアミド含有化合物は、多くの場合、異なる量の鎖延長(すなわち、異なるq値)を有する化合物の混合物である。多くの実施形態では、qは、混合物中のオキサルアミド含有化合物の大部分について1に等しい。いくつかの実施形態では、変数qは、混合物中のオキサルアミド含有化合物の少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%について1に等しい。重量パーセントは、オキサルアミド含有化合物の混合物の総重量を基準とする。A剤の粘度をB剤の粘度とより厳密に一致させる必要がある場合、混合物中にqが1より大きいいくつかのオキサルアミド含有化合物を含めることを使用して、粘度を調整する(典型的には粘度を増加させる)ことができる。
【0036】
異なるR基を有する式(II)の異なるオキサルアミド含有化合物の混合物をA剤に含めることができる。例えば、ダイマージアミンから形成された第1のオキサルアミド含有化合物を、6個~30個の炭素原子を有するジアミンから形成された第2のオキサルアミド含有化合物と組み合わせることができる。このことは、例えば、A剤の粘度を調節して(典型的には粘度を低下させて)、より厳密にB剤の粘度に一致させるために行うことができる。
【0037】
式(II)のオキサルアミド含有化合物を調製するために使用される任意の過剰なオキサレート化合物は、好ましくは、A剤のオキサルアミド含有化合物とB剤の誘導体化ポリエチレンイミンとの反応の前に除去される。例えば、A剤は、典型的に、A剤中の反応性成分の総重量を基準として、0重量パーセント~5重量パーセントの式(I)のオキサレート化合物を含有する。いくつかの実施形態では、A剤中のオキサレート化合物の量は、A剤中の反応性成分の総重量を基準として、4重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、0.5重量パーセント以下、且つ少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.5重量パーセント、又は少なくとも1重量パーセントである。用語「反応性成分」は、B剤中の誘導体化ポリエチレンイミンと反応することができるこれらの化合物を指す。
【0038】
更に、オキサルアミド含有化合物を形成するために使用される縮合反応のアルコール副生成物(R-OH)は、典型的に、オキサルアミド含有化合物とポリエチレン誘導体との反応の前に除去される。アルコールは、当該分野で周知の技術を使用して、過剰のオキサレート化合物と同時に除去され得る。例えば、両方の化合物は、約150℃に設定された真空オーブン内で除去することができる。
【0039】
多くの実施形態では、アルコールR-OHの量は、A剤の総重量を基準として0重量%~5重量%の範囲の量で存在する。存在する場合、アルコールの量は、多くの場合、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、又は0.5重量%以下、且つ少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%である。
【0040】
A剤の粘度を低下させてB剤の粘度により厳密に一致させる必要がある場合、任意の非反応性有機溶媒をA剤に添加することができる。好適な非反応性有機溶媒は、典型的に、室温(例えば、20℃~25℃)及び大気圧で揮発性である。本明細書で使用するとき、非反応性有機溶媒に関して「揮発性」とは、それが通常の温度及び圧力で急速に蒸発し得ることを意味する。例えば、1滴の計量液滴(metric drop)(1/20mL、50μL)の揮発性溶媒は、これらの条件下で、5分以内、4分以内、3分以内、又は2分以内、又は1分以内、又は30秒以内、又は15秒以内に完全に蒸発する。
【0041】
好適な任意の非反応性有機溶媒としては、種々の揮発性非極性溶媒、極性溶媒、非プロトン性溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。例示的な揮発性非極性溶媒としては、揮発性直鎖、分枝、及び環状アルカン、例えば、プロパン、イソブタン、(例えば、加圧下の)液体ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油蒸留物、シクロヘキサン、及びイソオクタンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な揮発性極性溶媒としては、エタノール及びイソプロパノールが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な揮発性非プロトン性溶媒としては、揮発性アセテート(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、及びプロピレングリコールジアセテート)、揮発性ケトン(例えば、アセトン及びメチルエチルケトン)、及び揮発性エーテル(例えば、ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、及びジプロピレングリコールジメチルエーテル)が挙げられるが、これらに限定されない。更に、二酸化炭素などの揮発性ガスを使用することもできる。
【0042】
A剤は、A剤の総重量を基準として、0重量%~5重量%の任意の非反応性有機溶媒を含有することができる。例えば、存在する場合、非反応性有機溶媒の量は、多くの場合、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、又は0.5重量%以下、且つ少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%である。いくつかの実施形態では、A剤は、非反応性有機溶媒を含まないか、又は実質的に含まない。A剤中の非反応性有機溶媒に関して使用される場合、用語「実質的に含まない」は、A剤の総重量を基準として、0.1重量パーセント未満、0.05重量パーセント未満、又は0.01重量パーセント未満のこれらの化合物を含有するA剤組成物を指す。
【0043】
いくつかのA剤組成物には、任意に水が含まれていてもよい。その量は、A剤の総重量を基準として0重量%~5重量%の範囲内であり得る。例えば、存在する場合、その量は、最大5重量%、最大4重量%、最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、又は最大0.5重量%、且つ少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%であり得る。いくつかの実施形態では、A剤は、水を含まないか、又は実質的に含まない。A剤中の水に関して使用される場合、用語「実質的に含まない」は、A剤の総重量を基準として、0.1重量パーセント未満、0.05重量パーセント未満、又は0.01重量パーセント未満の水を含有するA剤組成物を指す。
【0044】
なお更に、A剤は、典型的に、シロキサンセグメントを有するオキサルアミド含有化合物を含まないか、又は実質的に含まない。そのような化合物に関して使用される場合、用語「実質的に含まない」は、A剤中のオキサルアミド含有化合物の総重量を基準として、0.1重量パーセント未満、0.05重量パーセント未満、又は0.01重量パーセント未満を意味する。
【0045】
いくつかの実施形態では、A剤は、A剤の総重量を基準として、少なくとも85重量パーセントのオキサルアミド含有化合物を含有する。例えば、A剤は、A剤の総重量を基準として、少なくとも90重量パーセント、少なくとも92重量パーセント、少なくとも94重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、少なくとも96重量パーセント、少なくとも97重量パーセント、少なくとも98重量パーセント、又は少なくとも99重量パーセント、及び最大100重量パーセントのオキサルアミド含有化合物を含有することができる。A剤の残りは、多くの場合、オキサレート化合物、R-OH、任意の非反応性有機溶媒、水、又は他の任意の成分から選択される1つ以上の化合物を含む。
【0046】
B剤
硬化性組成物は、誘導体化ポリエチレンイミン(誘導体化PEI)を含むB剤を含む。誘導体化ポリエチレンイミンは、ポリエチレンイミンとグリシジルエーテルの反応生成物であり、他のタイプのモノマー単位に加えて式(VI)のモノマー単位を含有する。
【化8】
式(VI)において、基Rは、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールであり、各アスタリスク(*)は、誘導体化ポリエチレンイミンの別のモノマー単位への結合部位である。
【0047】
ポリエチレンイミン(PEI)は、直鎖、分枝、及び樹状ポリマーなどのいくつかの形態で市販されている。直鎖PEIは、ポリマー鎖末端に第一級アミノ基を有する第二級アミノ基を主に含有する。分枝PEIは、直鎖PEIよりも多くの第一級アミノ基を有する。分枝PEIは、アジリジンの開環重合によって合成することができる。分枝PEIは市販されているか、又は既知の方法によって製造可能である。PEI内の分枝の程度は、第一級アミノ基:第二級アミノ基:第三級アミノ基の相対モル比を決定する。分枝PEIは、多くの場合、PEI中のアミノ基の総モル数を基準として、約25モルパーセント~約50モルパーセントの第一級アミノ基、約25モルパーセント~約50モルパーセントの第二級アミノ基、及び約25モルパーセント~約50モルパーセントの第三級アミノ基を含有する。樹状PEIは通常、第一級及び第三級アミノ基のみを含有する。樹状PEIは市販されており、且つ/又は既知の方法によって製造可能である。分枝PEIは、多くの場合、グリシジルエーテルとの反応によって誘導体化PEIを形成するために使用される。
【0048】
誘導体化PEIは、式(IV)及び(V)のモノマー単位を有する分枝ポリエチレンイミンから形成することができ、式中、各アスタリスク(*)は、上で定義したとおりである。
【化9】
【化10】
【0049】
ポリエチレンイミンは、式(VIII)のグリシジルエーテル
【化11】
[式中、Rは、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールである]と反応する。アルキルR基は、通常、少なくとも4個の炭素原子、少なくとも6個の炭素原子、少なくとも8個の炭素原子、又は少なくとも10個の炭素原子、且つ最大30個の炭素原子、最大24個の炭素原子、最大20個の炭素原子、最大18個の炭素原子、最大16個の炭素原子、最大12個の炭素原子、最大10個の炭素原子、最大8個の炭素原子を有する。任意の好適なアリール、アラルキル、又はアルカリール基を使用することができるが、アリール基は多くの場合フェニルであり(すなわち、グリシジルエーテルはフェニルグリシジルエーテルである)、アラルキル基は多くの場合ベンジルであり(すなわち、グリシジルエーテルはベンジルグリシジルエーテルである)、アルカリール基は多くの場合トリルである(すなわち、グリシジルエーテルはトリルグリシジルエーテルである)。グリシジルエーテルとの反応は、誘導体化前のPEIと比較して、誘導体化PEIの疎水性を増加させる傾向がある。
【0050】
多くの実施形態では、式(VIII)のグリシジルエーテルは、アルキルグリシジルエーテル、例えば、n-ブチルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、又はこれらの混合物である。疎水性は、多くの場合、アルキルグリシジルエーテル中のより長いアルキル基Rを選択することによって増加させることができる。
【0051】
式(VIII)のグリシジルエーテルは、第一級アミノ基を有する式(IV)のポリエチレンイミンモノマー単位及び第二級アミノ基を有する式(V)のポリエチレンイミンモノマー単位の両方と反応することができる。反応は、式(VIII)中のエポキシ基の開環及びグリシジルエーテルの共有結合をもたらして、式(VI)及び/又は式(VI)と(VII)の両方のモノマー単位を有する誘導体化PEIを形成する。
【化12】
【化13】
式(VI)は、式(VIII)のグリシジルエーテルとPEI中の式(IV)のモノマー単位中の第一級アミノ基との反応から生じ、一方、式(VII)は、グリシジルエーテルとPEI中の式(V)のモノマー単位中の第二級アミノ基との反応から生じる。グリシジルエーテルは通常、第一級アミノ基とより容易に反応することができる。
【0052】
典型的には、十分なグリシジルエーテルを式(IV)及び/又は式(V)のモノマー単位と反応させて、誘導体化PEI中に10モルパーセント~25モルパーセントの式(VI)及び/又は式(VII)を提供する。この量は、誘導体化PEI中のモノマー単位の総モル数を基準とする。例えば、誘導体化PEI中の総モノマー単位の少なくとも10モルパーセント、少なくとも12モルパーセント、又は少なくとも15モルパーセント、且つ最大25モルパーセント、最大22モルパーセント、最大20モルパーセント、最大18モルパーセント、又は最大15モルパーセントは、式(VI)及び/又は式(VII)のモノマー単位である。モノマー単位の10モルパーセント未満が式(VI)及び/又は式(VII)のモノマー単位である場合、誘導体化PEIは十分に疎水性ではないことがある。好ましくは、一部の第一級アミノ基は、A剤におけるオキサルアミド含有化合物との後の反応のために未反応のままである。すなわち、好ましくは、誘導体化PEIは、式(IV)のモノマー単位を含有する。
【0053】
誘導体化PEIは、式(IV)、式(V)、式(VI)及び式(VII)のモノマー単位を含有することができる。式(IV)のモノマー単位の第一級アミノ基は、式(V)の第二級アミノ基よりも容易にグリシジルエーテルと反応する傾向があるので、誘導体化PEIは、通常、式(VII)よりも多くの式(VI)のモノマー単位を含有する。
【0054】
好適なポリエチレンイミンは、典型的に、室温で液体であるように選択され、好ましくは水に溶解しない。誘導体化に供される前のポリエチレンイミンは、多くの場合、600ダルトン(Da)~25,000ダルトン(Da)の範囲の数平均分子量を有する。例えば、数平均分子量は、少なくとも600Da、少なくとも800Da、少なくとも1000Da、少なくとも1200Da、少なくとも1500Da、少なくとも2000Da、少なくとも4000Da、少なくとも5000Da、又は少なくとも10,000Da、且つ最大25,000Da、最大20,000Da、最大15,000Da、最大12,000Da、最大10,000Daであり得る。数平均分子量は、例えば、ポリスチレン標準によるゲル浸透クロマトグラフィーを使用して測定することができる。
【0055】
ポリエチレンイミンの分子量は、多くの場合、B剤の粘度がA剤の粘度に比較的近くなるように選択される。B剤の粘度は、様々な方法で調整することができる。例えば、異なる誘導体化PEIの混合物がB剤に含まれ得る。混合物は、例えば、第1の誘導体化PEIと第2の誘導体化PEIとの混合物を含むことができ、第1の誘導体化PEIを形成するために使用されるPEIは、第2の誘導体化PEIを形成するために使用されるPEIよりも低い分子量を有する。第1の誘導体化PEI及び第2の誘導体化PEIの相対量は、B剤の粘度を調整するために変えることができる。
【0056】
B剤の粘度が高すぎる場合、少なくとも2つの第一級及び/又は第二級アミノ基を有し、且つ誘導体化PEIよりも低い粘度を有する、任意の第2のアミノ含有化合物を添加することによって、粘度を低下させることもできる。B剤に含まれ得る好適な任意の第2のアミン化合物としては、炭素原子数2~16の種々のアミン化合物、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、2-メチルペンタン-1,5-ジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、4,4'-メチレンビスシクロヘキシルアミン、m-キシレンジアミン、p-キシレンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ピペラジン、イソホロンジアミン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン、N,N'-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、トリス(2-アミノエチル)アミン、3,3'-ジアミノジプロピルエーテル、1,13-ジアミノ-4,7,10-トリオキサトリデカン、オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデンジメチルアミン(Oxea,Dallas,TXから商品名TCD DIAMINEで入手可能)が挙げられる。
【0057】
所望であれば、B剤は、硬化組成物の架橋を増加させるために、2つより多いアミノ基を有する任意の第2のアミノ含有化合物を含むことができる。このような化合物としては、例えば、トリス(2-アミノエチル)アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
【0058】
種々のポリマー材料も、任意の第2のアミノ含有化合物として使用することができる。これらの任意のポリマーの分子量は、多くの場合、誘導体化PEIの分子量よりも低い。ポリマーである好適な任意の第2のアミノ含有化合物としては、例えば、ポリアミノアミド、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、及びポリジアリルアミンが挙げられる。
【0059】
B剤は、多くの場合、B剤の総重量を基準として、0重量%~10重量%の任意の第2のアミノ含有化合物を含有する。例えば、この量は、最大10重量%、最大8重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、又は最大0.5重量%、且つ少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%であり得る。親水性の第2のアミン(例えば、エーテル基又はポリエーテル基を有するもの)が使用される場合、そのアミンは、多くの場合、B剤組成物全体が十分に疎水性のままであるように少量(例えば、最大5重量%、最大3重量%、又は最大1重量%)で使用される。いくつかの実施形態では、B剤は、第2のアミノ含有化合物を含まないか、又は実質的に含まない。B剤中の第2のアミノ含有化合物に関して使用される場合、用語「実質的に含まない」は、B剤の総重量に基づいて0.1重量パーセント未満、0.05重量パーセント未満、又は0.01重量パーセント未満の水を含有するB剤組成物を指す。
【0060】
B剤の粘度は、任意の非反応性有機溶媒の添加によっても低下させることができる。A剤で使用するために上述した同じ任意の非反応性有機溶媒を、B剤で使用することができる。B剤は、B剤の総重量を基準として、0重量%~5重量%の任意の非反応性有機溶媒を含有することができる。例えば、非反応性有機溶媒の量は、存在する場合、多くの場合、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、又は0.5重量%以下、且つ少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%である。いくつかの実施形態では、B剤は、非反応性有機溶媒を含まないか、又は実質的に含まない。B剤中の非反応性有機溶媒に関して使用される場合、用語「実質的に含まない」は、B剤の総重量に基づいて、0.1重量パーセント未満、0.05重量パーセント未満、又は0.01重量パーセント未満のこれらの化合物を含有する組成物を指す。
【0061】
いくつかのB剤組成物には、任意に水が含まれていてもよい。水は、例えば、グリシジルエーテルで誘導体化されたPEI中に存在してもよい。B剤中の水の量は、B剤の総重量を基準として0重量%~5重量%の範囲であり得る。例えば、存在する場合、この量は、最大4重量%、最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、最大0.5重量%、又は最大0.1重量%であり得る。いくつかの実施形態では、B剤は、水を含まないか、又は実質的に含まない。B剤中の参照水において使用される場合、用語「実質的に含まない」は、B剤の総重量を基準として、0.1重量パーセント未満、0.05重量パーセント未満、又は0.01重量パーセント未満の水を含有するB剤組成物を指す。
【0062】
B剤の粘度は、好ましくは、A剤の粘度に幾分か近い。2つの粘度が幾分か近い場合、2つの液剤は、混合チャンバに接続された二重シリンジを使用して、より容易に組み合わせられ、次いで、目的の場所に送達され得る。A剤が第1の粘度(V1)を有し、B剤が第2の粘度(V2)を有する場合、第2の粘度(V2)は、多くの場合、0.1(V1)~10(V1)の範囲である。粘度V2は、少なくとも0.1(V1)、少なくとも0.2(V1)、少なくとも0.5(V1)、少なくとも1(V1)、少なくとも2(V1)、且つ最大10(V1)、最大5(V1)、最大3(V1)、最大2(V1)、最大1(V1)、又は最大0.5(V1)であり得る。粘度は、例えば、実施例の節に記載の方法を用いて測定することができる。各A剤及びB剤の粘度は、多くの場合、5パスカル秒~50パスカル秒の範囲内である。
【0063】
いくつかの実施形態では、B剤は、B剤の総重量を基準として、少なくとも90重量パーセントの誘導体化PEIを含有する。例えば、B剤は、B剤の総重量を基準として、少なくとも92重量パーセント、少なくとも94重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、少なくとも96重量パーセント、少なくとも97重量パーセント、少なくとも98重量パーセント、又は少なくとも99重量パーセントの誘導体化PEIを含有する。B剤の残りは、多くの場合、第2のアミノ化合物、任意の非反応性有機溶媒、水、又は他の任意の成分から選択される1つ以上の化合物を含む。
【0064】
追加の任意の成分
任意成分は、A剤、B剤、又は更には追加のC剤に含まれ得る。A剤に添加される任意の成分は、典型的に、オキサルアミド含有化合物と反応しないように選択される。同様に、B剤に添加される任意の成分は、典型的に、誘導体化PEIと反応しないように選択される。
【0065】
組織接着剤としての硬化組成物の使用のために、A剤及び/又はB剤は、界面活性剤(例えば、非イオン性界面活性剤)、抗菌剤、抗酸化剤、接着促進剤、充填剤、染料などの任意の成分を含むことができる。非イオン性界面活性剤は、A剤及び/又はB剤の粘度を調整するため、及び/又はA剤とB剤との相溶性を改善するために、使用することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、脂肪酸は、A剤及び/又はB剤に添加される。A剤に添加される場合、カルボン酸は、選択されたカルボン酸及びカルボン酸の量に応じて、皮膚に対する硬化組成物の接着強度を増加させることができる。理論に束縛されるものではないが、カルボン酸は、組織表面に移動し、硬化性組成物及び/又は硬化組成物の組織表面への接着を促進し得る。組織表面へのより良好な接着は、接着強度の増強をもたらし得る。
【0067】
カルボン酸は、多くの場合、4個~24個の炭素原子を有し、飽和又は不飽和であり得る。カルボン酸は、例えば、少なくとも4個、少なくとも6個、少なくとも8個、少なくとも10個、又は少なくとも12個の炭素原子、且つ最大24個、最大20個、最大18個、最大16個、最大14個、又は最大12個の炭素原子を有することができる。より高い分子量を有するカルボン酸は、しばしば、より低い分子量を有するものよりも接着強度を増加させる傾向がある。いくつかの実施形態では、カルボン酸は脂肪酸である。
【0068】
好適なカルボン酸の例としては、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデセン酸、エイコサン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及びエルカ酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
使用されるカルボン酸の量は、接着強度に影響を及ぼす。その量は、多くの場合、それが添加される部分(すなわち、A剤又はB剤)の総重量に基づいて0.01重量パーセント~10重量パーセントである。例えば、この量は、少なくとも0.01重量パーセント、少なくとも0.05重量パーセント、少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.2重量パーセント、少なくとも0.3重量パーセント、少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、又は少なくとも2重量パーセント、且つ最大10重量パーセント、最大8重量パーセント、最大6重量パーセント、最大5重量パーセント、最大4重量パーセント、最大3重量パーセント、最大2重量パーセント、又は最大1重量パーセントであり得る。好ましい量は、カルボン酸の分子量によって変化し得る。
【0070】
硬化組成物
硬化組成物は、硬化性組成物の複数の剤を組み合わせることによって形成される。すなわち、A剤及びB剤に任意の追加剤を加えたものが組み合わされる。この組み合わせは、A剤中のオキサルアミド含有化合物の少なくとも2つのオキサルアミド基と、B剤中の誘導体化PEIの第一級及び第二級アミノ基との間の縮合反応をもたらす。多くの実施形態では、オキサルアミド含有化合物は、誘導体化PEIの第一級アミノ基(すなわち、式(IV)のモノマー単位)と優先的に反応する。硬化組成物は架橋されており、通常、接着剤である。
【0071】
硬化組成物は、典型的に、上記のようにA剤組成物を準備するか又は得て、上記のようにB剤組成物を準備するか又は得て、A剤をB剤と組み合わせて反応混合物を形成し、反応混合物を表面上に配置して硬化組成物を形成することによって形成される。A剤及びB剤は、A剤中のオキサルアミド含有化合物とB剤中の誘導体化PEIとの間の縮合反応に適した任意の条件下で反応して硬化組成物を形成することができる。いくつかの実施形態では、A剤及びB剤は、室温で組み合わされ、及び/又は人体の温度(例えば、約37℃)で硬化する。所望であれば、より高い温度を使用することができる。例えば、反応温度は、室温から最大100℃、最大80℃、最大60℃、最大50℃、又は最大40℃であり得る。A剤及びB剤は、窒素パージを必要とせずに周囲条件下で混ぜ合わされ得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、A剤とB剤は、混合及び/若しくは分注する方法並びに/又は当該技術分野において既知のデバイス、例えば、手動混合により、又は機械的混合デバイス、自動混合デバイス、静的混合デバイス、押出混合デバイス若しくはこれらの組み合わせを使用することにより、混ぜ合わされる。例えば、A剤は、マルチチャンバ型混合及び/又は分注デバイスの第1チャンバ(例えば、双筒型シリンジの第1筒)内に存在してよく、B剤は、マルチチャンバ型混合及び/又は分注デバイスの第2チャンバ(例えば、双筒型シリンジの第2筒)内に存在してよい。
【0073】
したがって、別の態様では、上述の多剤型硬化性組成物を含有するマルチチャンバ型混合及び/又は分注デバイスが提供される。A剤は、マルチチャンバ型混合及び/又は分注デバイスの第1チャンバ内に存在し、B剤は、マルチチャンバ型混合及び/又は分注デバイスの第2チャンバ内に存在する。特定の実施形態では、マルチチャンバ型混合及び/又は分注デバイスは、A剤が双筒型シリンジの第1筒内に存在し、B剤が双筒型シリンジの第2筒内に存在する多剤型硬化性組成物を含有する双筒型シリンジである。任意に、双筒型シリンジは、シリンジから供給時及び反応混合物(すなわち、混合組成物)を目的の位置に排出する前に、各筒の内容物を混合するための静的混合デバイスを含むか、又は静的混合デバイスに接続され得る。いくらかの硬化が混合デバイス内で起こり得るが、反応混合物は、典型的に、混合デバイスから排出されるときには依然として流体である。
【0074】
必須ではないが、A剤の容積は、多くの場合、B剤の容積と同じ又はほぼ同じになるように選択される。2つのシリンジの内容物は、反応混合物が目的の位置に配置される前に混ぜ合わせられる。
【0075】
オキサルアミド含有化合物は、誘導体化PEI中の第一級アミノ基と最も容易に反応するので、誘導体化PEIの量は、誘導体化PEI中の第一級アミノ基のモル数に基づく。B剤中の誘導体化PEIの第一級アミノ基対A剤中の式(I)のオキサルアミド含有化合物のモル比(すなわち、誘導体化PEI中の第一級アミノ基対オキサルアミド含有化合物のモル数のモル数)は、0.75~3.5の範囲である。モル比は、少なくとも0.75、少なくとも0.8、少なくとも0.9、少なくとも1.0、少なくとも1.2、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.8、少なくとも2.0、少なくとも2.2、又は少なくとも2.5、且つ最大3.5、最大3.4、最大3.2、最大3.0、最大2.8、最大2.6、最大2.5、最大2.4、最大2.2、最大2.0、最大1.8、最大1.6、又は最大1.5である。
【0076】
硬化組成物は、組織接着剤として使用することができる。別の言い方をすれば、A剤とB剤との混合組成物は、硬化のために哺乳動物組織の表面上に排出され得る。組織接着剤は、皮膚接着剤などの局所組織接着剤であってもよく、創傷を閉鎖するために使用されてもよい。例えば、組織接着剤は、創傷を閉鎖する際に縫合糸及びステープルに置き換えることができる。硬化組成物を形成するために使用される反応混合物は、組織上の所望の位置に正確に配置することができ、且つ他の表面に望ましくなく広がらないように、適切に高い粘度を有する。
【0077】
組織接着剤として使用するために、硬化組成物は、望ましくは、ASTM法D882-2018を用いて20パーセント~80パーセントの範囲である破断点伸び率を有する。破断点伸びが20パーセント未満である場合、硬化組成物は十分に可撓性ではない可能性がある。しかしながら、破断点伸びが80パーセントより大きい場合、硬化組成物は、創傷を効果的に閉鎖しない場合がある。破断点伸び率は、少なくとも20パーセント、少なくとも30パーセント、少なくとも40パーセント、又は少なくとも50パーセント、且つ最大80パーセント、最大60パーセント、又は最大50パーセントであり得る。
【0078】
組織接着剤として使用するために、硬化組成物は、望ましくは、ASTM法F2458-05を用いて、少なくとも2ニュートン、少なくとも2.5ニュートン、少なくとも3ニュートン、少なくとも3.5ニュートン、少なくとも4ニュートン、少なくとも4.5ニュートン、少なくとも5ニュートン、少なくとも5.5ニュートン、少なくとも6ニュートン、少なくとも6.5ニュートン、又は少なくとも7ニュートンの創傷閉鎖強度を有する。閉鎖強度が5ニュートン未満である場合、創傷閉鎖が非常に容易に開放される場合がある。
【0079】
A剤がB剤と反応する場合、縮合反応は比較的短時間で起こり、通常、比較的低い発熱をもたらす。すなわち、反応は、典型的に過剰な熱を発生せず、皮膚又はヒト組織上での使用によく適している。例えば、発熱は、典型的に40℃を超えず、硬化のための反応時間は、多くの場合、120秒未満、90秒未満、60秒未満、又は45秒未満である。
【0080】
組織接着剤としての使用に加えて、硬化組成物は、広範囲の材料を互いに接着させるために使用することができる。例えば、硬化組成物は、様々なポリマー材料を他のポリマー材料又はガラス、セラミック材料、金属材料などに接合するために使用することができる。
【実施例
【0081】
【表1】
【0082】
硬化性組成物のA剤の調製例
調製例1:PRIAMINE 1075のビス-オキサミン酸エチルエステル
ジエチルオキサレート(54.5g、373mmol)を250mLの三つ口フラスコに添加し、メカニカルスターラー(約700rpmに設定したスターラー)を用いて周囲温度で撹拌した。シリンジポンプを使用して、PRIAMINE 1075(50.0g、93.3mmol)を2時間かけてフラスコに滴下した。PRIAMINE 1075の添加後、混合物を周囲温度で更に2時間撹拌した。淡黄色の液体をアルミニウムパンに移した。パンを真空オーブン(50mm Hg、150℃に設定)に8時間入れて、エタノール副生成物及び未反応ジエチルオキサレートを除去した。得られたPRIAMINE 1075のビス-オキサミン酸エチルエステルを淡黄色の粘性油状物として得た。
【0083】
調製例2:2-メチルペンチレン-ビス-オキサミン酸エチルエステル
【化14】
ジエチルオキサレート(252g、1720mmol)を500mLの三つ口フラスコに添加し、メカニカルスターラーを用いて周囲温度で激しく撹拌した。2-メチルペンタン-1,5-ジアミン(50.0g、430mmol)を、シリンジポンプを用いて2時間かけてフラスコに滴下した。2-メチルペンタン-1,5-ジアミンの添加後、淡黄色混合物を周囲温度で更に2時間撹拌した。反応混合物をアルミニウムパンに移し、真空オーブン(50mmHg、150℃に設定)内で8時間濃縮して、エタノール副生成物及び未反応ジエチルオキサレートを除去した。得られた2-メチルペンチレン-ビス-オキサミン酸エチルエステルを明黄色の粘性液体として得た。
【0084】
調製例3:調製例1にDEO(5重量%)を添加した。
調製実施例1で調製したPRIAMINE 1075のビス-オキサミン酸エチルエステル(19g)及びジエチルオキサレート(1.0g)を50mLスクリューキャップバイアルに添加した。バイアルに蓋をし、ボトルローラーを用いて内容物を周囲温度で2時間混合して、均質な液体を得た。
【0085】
調製例4:調製例1にヘキサン酸(10重量%)を添加した。
調製例1で調製したPRIAMINE 1075のビス-オキサミン酸エチルエステル(18.0g)及びヘキサン酸(2.0g)を30mLスクリューキャップバイアルに添加した。バイアルに蓋をし、ボトルローラーを用いて内容物を周囲温度で一晩混合して、均質な液体を得た。
【0086】
調製例5:調製例1にオクタン酸(5重量%)を添加した。
調製実施例1で調製したPRIAMINE 1075のビス-オキサミン酸エチルエステル(19.0g)及びオクタン酸(1.0g)を30mLスクリューキャップバイアルに添加した。バイアルに蓋をし、ボトルローラーを用いて内容物を周囲温度で一晩混合して、均質な液体を得た。
【0087】
調製例6:調製例1にオクタン酸(2.5重量%)を添加した。
調製例1で調製したPRIAMINE 1075のビス-オキサミン酸エチルエステル(19.5g)及びオクタン酸(0.5g)を30mLスクリューキャップバイアルに添加した。バイアルに蓋をし、ボトルローラーを用いて内容物を周囲温度で一晩混合して、均質な液体を得た。
【0088】
調製例7:調製例1にオクタン酸(1重量%)を添加した。
調製実施例1で調製したPRIAMINE 1075のビス-オキサミン酸エチルエステル(14.85g)及びオクタン酸(0.15g)を30mLスクリューキャップバイアルに添加した。バイアルに蓋をし、ボトルローラーを用いて内容物を周囲温度で一晩混合して、均質な液体を得た。
【0089】
調製例8:調製例1に1-オクタノール(2.5重量%)を添加した。
調製例1で調製したPRIAMINE 1075のビス-オキサミン酸エチルエステル(14.62g)及び1-オクタノール(0.38g)を30mLスクリューキャップバイアルに添加した。バイアルに蓋をし、ボトルローラーを用いて内容物を周囲温度で一晩混合して、均質な液体を得た。
【0090】
調製例9:調製例1に1,2-オクタンジオール2.5重量%を添加した。
調製例1で調製したPRIAMINE 1075のビス-オキサミン酸エチルエステル(14.62g)及び1,2-オクタンジオール(0.38g)を30mLのスクリューキャップバイアルに添加した。バイアルに蓋をし、ボトルローラーを用いて内容物を周囲温度で一晩混合して、均質な液体を得た。
【0091】
調製例10:調製例1にデカン酸(2.5重量%)を添加した。
調製例1で調製したPRIAMINE 1075のビス-オキサミン酸エチルエステル(14.62g)及びデカン酸(0.38g)を30mLスクリューキャップバイアルに添加した。バイアルに蓋をし、ボトルローラーを用いて内容物を周囲温度で一晩混合して、均質な液体を得た。
【0092】
調製例11:調製例1にデカン酸(1重量%)を添加した。
調製例1で調製したPRIAMINE 1075のビス-オキサミン酸エチルエステル(14.85g)及びデカン酸(0.15g)を30mLスクリューキャップバイアルに添加した。バイアルに蓋をし、ボトルローラーを用いて内容物を周囲温度で一晩混合して、均質な液体を得た。
【0093】
調製例12:調製例1に2-ヘプチルウンデカン酸(2.5重量%)を添加した。
調製例1で調製したPRIAMINE 1075のビス-オキサミン酸エチルエステル(19.5g)及び2-ヘプチルウンデカン酸(0.5g)を30mLスクリューキャップバイアルに添加した。バイアルに蓋をし、ボトルローラーを用いて内容物を周囲温度で一晩混合して、均質な液体を得た。
【0094】
調製例13:調製例1に2-ヘプチルウンデカン酸(1重量%)を添加した。
調製例1で調製したPRIAMINE 1075のビス-オキサミン酸エチルエステル(19.8g)及び2-ヘプチルウンデカン酸(0.2g)を30mLスクリューキャップバイアルに添加した。バイアルに蓋をし、ボトルローラーを用いて内容物を周囲温度で一晩混合して、均質な液体を得た。
【0095】
調製例14:調製例1にイソステアリン酸(2.5重量%)を添加した。
調製例1で調製したPRIAMINE 1075のビス-オキサミン酸エチルエステル(19.5g)及びイソステアリン酸(0.5g)を30mLスクリューキャップバイアルに添加した。バイアルに蓋をし、ボトルローラーを用いて内容物を周囲温度で一晩混合して、均質な液体を得た。
【0096】
調製例15:調製例1にイソステアリン酸(1重量%)を添加した。
調製例1で調製したPRIAMINE 1075のビス-オキサミン酸エチルエステル(19.8g)及びイソステアリン酸(0.2g)を30mLスクリューキャップバイアルに添加した。バイアルに蓋をし、ボトルローラーを用いて内容物を周囲温度で一晩混合して、均質な液体を得た。
【0097】
調製例16:調製例1にオレイン酸(2.5重量%)を添加した。
調製例1で調製したPRIAMINE 1075のビス-オキサミン酸エチルエステル(19.5g)及びオレイン酸(0.5g)を30mLスクリューキャップバイアルに添加した。バイアルに蓋をし、ボトルローラーを用いて内容物を周囲温度で一晩混合して、均質な液体を得た。
【0098】
調製例17:調製例1にオレイン酸(1重量%)を添加した。
調製例1で調製したPRIAMINE 1075のビス-オキサミン酸エチルエステル(19.8g)及びオレイン酸(0.2g)を30mLスクリューキャップバイアルに添加した。バイアルに蓋をし、ボトルローラーを用いて内容物を周囲温度で一晩混合して、均質な液体を得た。
【0099】
硬化性組成物のB剤の調製例
B剤化合物を、PEI化合物の総モルアミン含量(PEI 1モル当たりの第一級、第二級、及び第三級アミンの合計)に基づいて調製した。PEI 600及びPEI 1200についての総モルアミン含量値を表2に示す。平均PEI分子量(MW)を43.04g/mol(-CN-)のPEI繰り返し単位分子量で割ることによって、各分子量についての総モルアミン含量値を得た。Holycross and Chai in Macromolecules,2013,46,pages 6891-6897に記載されている13C-NMR手順を使用して、各PEIのアミン含量(第一級、第二級及び第三級)を決定した。各PEI試料をDOに溶解させ、インバースクライオプローブを備えたBruker AVANCE 600MHz NMR分光計(Bruker Corporation,Billerica,MA)を使用してNMRスペクトルを取得した。13C T1実験を行って、0.7秒以下のT1値を有する全ての共鳴を決定した。7秒の再循環遅延を定量に使用した。結果を表2に報告する。
【表2】
【0100】
調製例18:n-ブチルグリシジルエーテル変性PEI 1200(変性PEI中10mol%のアミン)
PEI 1200(LOXANOL MI 6721、50g、PEI 1200中の総アミン含量1166.6mmol)及びn-ブチルグリシジルエーテル(15.1g、116mmol)を4オンスジャーに添加した。ジャーに蓋をし、周囲温度で28時間回転させて、n-ブチルグリシジルエーテル変性PEIを無色の粘性液体として得た。反応物の化学量論に基づいて、PEI 1200中の総アミン含量の10mol%を、n-ブチルグリシジルエーテルと反応させることによって変性した。
【0101】
調製例19:n-ブチルグリシジルエーテル変性PEI 1200(変性PEI中15mol%のアミン)
PEI 1200(LOXANOL MI 6721、50g、PEI 1200中の総アミン含量1166.6mmol)及びn-ブチルグリシジルエーテル(22.8g、175mmol)を4オンスジャーに添加した。ジャーに蓋をし、周囲温度で28時間回転させて、n-ブチルグリシジルエーテル変性PEIを無色の粘性液体として得た。反応物の化学量論に基づいて、PEI 1200中の総アミン含量の15mol%を、n-ブチルグリシジルエーテルと反応させることによって変性した。
【0102】
調製例20:オクチル/デシルグリシジルエーテル変性PEI 1200(変性PEI中10mol%のアミン)
PEI 1200(15g、PEI 1200中の総アミン含量350mmol)及びオクチル/デシルグリシジルエーテル(7.1g、35mmol)を250mL丸底フラスコに添加した。混合物を40℃で12時間撹拌して、オクチル/デシルグリシジルエーテル変性PEIを無色の粘性液体として得た。反応物の化学量論に基づいて、PEI 1200中の総アミン含量の10mol%を、オクチル/デシルグリシジルエーテルと反応させることによって変性した。
【0103】
調製例21:オクチル/デシルグリシジルエーテル変性PEI 1200(変性PEI中15mol%のアミン)
PEI 1200(15g、PEI 1200中の総アミン含量350mmol)及びオクチル/デシルグリシジルエーテル(10.5g、52.5mmol)を250mL丸底フラスコに添加した。混合物を40℃で12時間撹拌して、オクチル/デシルグリシジルエーテル変性PEIを無色の粘性液体として得た。反応物の化学量論に基づいて、PEI 1200中の総アミン含量の15mol%を、オクチル/デシルグリシジルエーテルと反応させることによって変性した。
【0104】
調製例22:オクチル/デシルグリシジルエーテル変性PEI 1200(変性PEI中20mol%のアミン)
PEI 1200(15g、PEI 1200中の総アミン含量350mmol)及びオクチル/デシルグリシジルエーテル(14.0g、70mmol)を250mL丸底フラスコに添加した。混合物を40℃で12時間撹拌して、オクチル/デシルグリシジルエーテル変性PEIを無色の粘性液体として得た。反応物の化学量論に基づいて、PEI 1200中の総アミン含量の20mol%を、オクチル/デシルグリシジルエーテルと反応させることによって変性した。
【0105】
調製例23:オクチル/デシルグリシジルエーテル変性PEI 600(変性PEI中10mol%のアミン)
PEI 600(15g、PEI 600中の総アミン含量350mmol)及びオクチル/デシルグリシジルエーテル(7.1g、35mmol)を250mL丸底フラスコに添加した。混合物を40℃で12時間撹拌して、オクチル/デシルグリシジルエーテル変性PEIを無色の粘性液体として得た。反応物の化学量論に基づいて、PEI 600中の総アミン含量の10mol%を、オクチル/デシルグリシジルエーテルと反応させることによって変性した。
【0106】
調製例24:オクチル/デシルグリシジルエーテル変性PEI 600(変性PEI中15mol%のアミン)
PEI 600(15g、PEI 600中の総アミン含量350mmol)及びオクチル/デシルグリシジルエーテル(10.5g、52.5mmol)を250mL丸底フラスコに添加した。混合物を40℃で12時間撹拌して、オクチル/デシルグリシジルエーテル変性PEIを無色の粘性液体として得た。反応物の化学量論に基づいて、PEI 600中の総アミン含量の15mol%を、オクチル/デシルグリシジルエーテルと反応させることによって変性した。
【0107】
調製例25:オクチル/デシルグリシジルエーテル変性PEI 600(変性PEI中20mol%のアミン)
PEI 600(15g、PEI 600中の総アミン含量350mmol)及びオクチル/デシルグリシジルエーテル(14.0g、70mmol)を250mL丸底フラスコに添加した。混合物を40℃で12時間撹拌して、オクチル/デシルグリシジルエーテル変性PEIを無色の粘性液体として得た。反応物の化学量論に基づいて、PEI 600中の総アミン含量の20mol%を、オクチル/デシルグリシジルエーテルと反応させることによって変性した。
【0108】
調製例26:2-エチルヘキシルグリシジルエーテル変性PEI 1200(変性PEI中10mol%のアミン)
PEI 1200(LOXANOL MI 6721、45g、PEI 1200中の総アミン含量1050mmol)及び2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(19.5g、104mmol)を4オンスジャーに添加した。ジャーに蓋をし、周囲温度で28時間回転させて、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル変性PEIを無色の粘性液体として得た。反応物の化学量論に基づいて、PEI 1200中の総アミン含量の10mol%を、2-エチルヘキシルグリシジルエーテルと反応させることによって変性した。
【0109】
調製例27:2-エチルヘキシルグリシジルエーテル変性PEI 1200(変性PEI中15mol%のアミン)
PEI 1200(50g、PEI 1200中の総アミン含量1166.6mmol)及び2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(32.6g、175mmol)を250mL丸底フラスコに添加した。混合物を40℃で12時間撹拌して、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル変性PEIを無色の粘性液体として得た。反応物の化学量論に基づいて、PEI 1200中の総アミン含量の15mol%を、2-エチルヘキシルグリシジルエーテルと反応させることによって変性した。
【0110】
調製例28:2-エチルヘキシルグリシジルエーテル変性PEI 600(変性PEI中15mol%のアミン)
PEI 600(50g、PEI 600中の総アミン含量1166.6mmol)及び2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(32.6g、175mmol)を250mL丸底フラスコに添加した。混合物を40℃で12時間撹拌して、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル変性PEIを無色の粘性液体として得た。反応物の化学量論に基づいて、PEI 600中の総アミン含量の15mol%を、2-エチルヘキシルグリシジルエーテルと反応させることによって変性した。
【0111】
調製例29:ドデシル/テトラデシルグリシジルエーテル変性PEI 1200(変性PEI中15mol%のアミン)
PEI 1200(75g、PEI 1200中の総アミン含量1750mmol)及びドデシル/テトラデシルグリシジルエーテル(67.3g、260mmol)を250mL丸底フラスコに添加した。混合物を40℃で12時間撹拌して、ドデシル/テトラデシルグリシジルエーテル変性PEIを無色の粘性液体として得た。反応物の化学量論に基づいて、PEI 1200中の総アミン含量の15mol%を、ドデシル/テトラデシルグリシジルエーテルと反応させることによって変性した。
【0112】
調製例30:ドデシル/テトラデシルグリシジルエーテル変性PEI 600(変性PEI中15mol%のアミン)
PEI 600(75g、PEI 600中の総アミン含量1750mmol)及びドデシル/テトラデシルグリシジルエーテル(32.6g、260mmol)を250mL丸底フラスコに添加した。混合物を40℃で12時間撹拌して、ドデシル/テトラデシルグリシジルエーテル変性PEIを無色の粘性液体として得た。反応物の化学量論に基づいて、PEI 600中の総アミン含量の15mol%を、ドデシル/テトラデシルグリシジルエーテルと反応させることによって変性した。
【0113】
調製例31:グリシジルヘキサデシルエーテル変性PEI 1200(変性PEI中10mol%のアミン)
PEI 1200(30g、PEI 1200中の総アミン含量700mmol)及びグリシジルヘキサデシルエーテル(20.9g、70mmol)を250mL丸底フラスコに添加した。混合物を40℃で12時間撹拌して、グリシジルヘキサデシルエーテル変性PEIを白色固体として得た。反応物の化学量論に基づいて、PEI 1200中の総アミン含量の10mol%を、グリシジルヘキサデシルエーテルと反応させることによって変性した。
【0114】
調製例32:グリシジルヘキサデシルエーテル変性PEI 1200(変性PEI中15mol%のアミン)
PEI 1200(30g、PEI 1200中の総アミン含量700mmol)及びグリシジルヘキサデシルエーテル(31.3g、105mmol)を250mL丸底フラスコに添加した。混合物を40℃で12時間撹拌して、グリシジルヘキサデシルエーテル変性PEIを白色固体として得た。反応物の化学量論に基づいて、PEI 1200中の総アミン含量の15mol%を、グリシジルヘキサデシルエーテルと反応させることによって変性した。
【0115】
調製例33:グリシジルヘキサデシルエーテル変性PEI 1200(変性PEI中20mol%のアミン)
PEI 1200(30g、PEI 1200中の総アミン含量700mmol)及びグリシジルヘキサデシルエーテル(41.8g、140mmol)を250mL丸底フラスコに添加した。混合物を40℃で12時間撹拌して、グリシジルヘキサデシルエーテル変性PEIを白色固体として得た。反応物の化学量論に基づいて、PEI 1200中の総アミン含量の20mol%を、グリシジルヘキサデシルエーテルと反応させることによって変性した。
【0116】
調製例34:2-エチルヘキシルグリシジルエーテル変性PEI 1200(変性PEI中15mol%のアミン)と2-エチルヘキシルグリシジルエーテル変性PEI 600(変性PEI中15mol%のアミン)の混合物
2-エチルヘキシルグリシジルエーテル変性PEI 1200(調製例27に従って調製した、変性PEI中15mol%のアミン)を、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル変性PEI 600(調製例28に従って調製した、変性PEI中15mol%のアミン)と1:1(体積/体積)で混合した。
【0117】
調製例の粘度測定
ペルチェプレート鋼、25mmの5.739°コーンプレートを備えたTA Instruments社製AR-G2 Rheometer(TA Instruments,New Castle,DE)を使用して、硬化性組成物のA剤及びB剤の調製例のせん断粘度測定値を決定した。0.1/秒~100/秒の範囲の速度でのせん断流掃引を用いて、試料を23℃で分析する。せん断粘度(パスカル・秒)値を表3及び4に報告する。
【表3】
【表4】
【0118】
実施例1~4
実施例1.硬化接着剤組成物
インライン静的ミキサーを備えた双筒式シリンジを使用して、1:1の体積/体積比でA剤及びB剤成分を最初に押し出すことによって、硬化接着剤組成物試料を調製した。A剤成分を一方の筒に装填し、B剤成分を他方の筒に装填した。4mmの先端を有する1mLの3M口腔内シリンジ(製品番号71506、3M Company,St.Paul,MN)を使用した。押出し全体を通じて約0.2mL/秒~0.3mL/秒の一定流量を維持した。シリンジ先端から出る混合試料の最初の100マイクロリットルを廃棄して、流頭で起こり得る人為的要素を回避した。
【0119】
得られた混合組成物を、50×10×0.125mmの個々の長方形ウェルを含むテフロン型に入れた。ウェルからの最終接着剤組成物の剥離を容易にするために、3M Silicone Lubricant 08897(3M Company)の薄いコーティングでウェルを前処理した。過剰量の混合組成物(典型的に0.4mL~0.6mL)を各ウェルに添加し、カミソリの刃の縁を使用して組成物の表面を平滑化した。個々のウェルを、3M Silicone Lubricant 08897の薄いコーティングで処理された顕微鏡スライドガラスで覆った。組成物が金型充填中に自由に流動するように、プロセスを20秒未満で完了した。
【0120】
組成物の硬化が起こるように、混合組成物を少なくとも5分間維持した。ガラススライドを取り出し、硬化接着剤組成物の長方形のストリップを型から取り出した。余分な材料が縁部に沿って存在する場合、カミソリの刃を使用して切り取った。
【0121】
以下の手順に従って、硬化接着剤組成物ストリップから機械的引張試験用の試験試料を調製した。各硬化ストリップをシリコーン剥離ライナーのシート(約5.1cm×25.4cm)上に置いた。長さ約12.5mmの3M Double Coated Urethane Foam Tape 4016(3M Company)の個々の片を接着して、硬化接着剤組成物ストリップの各端部の上面及び底面の両方を被覆し、ストリップの約25mm(長さ方向)がフォームテープ部分の間で被覆されないままになるようにした。続いて、各発泡体部分の表面をマスキングテープで覆って、引張試験中の把持を改善した。
【0122】
100Nロードセルを備えたInstron 6800試験機(Instron Company,Norwood,MA)を使用して、試験チャンバ(30℃及び湿度25±5%)内で引張試験を行った。装置及び試験試料を、試験前に少なくとも30分間、試験チャンバ内で平衡化させた。
【0123】
材料特性試験をASTM D882-18(2018)「Standard Test Method for Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting」のガイドラインに従って行った。グリップ間の間隔を25±1mmに設定し、グリップを試験試料の発泡体部分に取り付けた。0.05Nのプレテンションを適用し、グリップを破損点まで50mm/分の速度で引き離した。移動距離及び測定負荷を記録した。破損を、試験試料の破損又は降伏として定義した。試験結果を6回の試験(n=6)の平均として表5に報告する。
【0124】
最大負荷を、破損時のロードセル読み取り値(ニュートン(N)の単位で報告)として決定した。
【0125】
等式Aに従って硬化接着剤組成物の伸び率を決定した。式中、L2は、破損又は降伏点におけるグリップ間分離距離であり、L1は、初期グリップ間分離距離である。
式A:
【数1】
【0126】
硬化接着剤組成物の引張強度(M)を、10%伸びでの接線係数として計算した(式B)。式Bにおいて、F10%は10%伸びでのロードセル読み取り値であり、wは試料の幅であり、hは試料の厚さである。試験後、サンプルの厚さを、デジタルキャリパーを用いて0.01mm単位で測定した。
式B:
【数2】
【表5】
【0127】
実施例2.硬化時間及び最大硬化温度(発熱温度)決定
硬化性組成物のA剤及びB剤成分を、インライン静的ミキサーを備えた双筒型シリンジを使用して、1:1の体積/体積比で押し出した。A剤成分を一方の筒に装填し、B剤成分を他方の筒に装填した。4mmの先端を有する1mLの3M口腔内シリンジ(製品番号71506、3M Company)を使用した。押出し全体を通じて約0.2mL/秒~0.3mL/秒の一定流量を維持した。シリンジ先端から出る混合試料の最初の100マイクロリットルを廃棄して、流頭で起こり得る人為的要素を回避した。残りの材料を直ちにガラスバイアルに押し出し、IKA 3378000 ETS-D5プログラム可能温度プローブ(IKA Works,Inc.,Wilmington,NC)を混合組成物に浸漬した。プローブが組成物中に浸漬されるとすぐにタイマーをスタートさせて、浸漬から最高温度に達するまでの時間を記録した。最高温度を最大硬化温度(発熱温度)として記録した。最高温度に到達する時間を硬化時間として記録した。結果を3回の試験(n=3)の平均として表6に報告する。
【表6】
【0128】
実施例3.硬化接着剤組成物を用いた創傷閉鎖
創傷閉鎖試料を、ヨークシャーブタの背中又は腹からの皮膚を使用するASTM F2458-05(2015)「Standard Test Method for Wound Closure Strength of Tissue Adhesives and Sealants」に従って調製した。新たに採取した皮膚を4℃で冷蔵し、採取から10日以内に使用するか、又は-20℃で凍結した。皮膚が予め凍結されていた場合、試験前日に4℃で一晩解凍した。脂肪層を#10刃のメスを用いて切除し、上部表皮層を60グリットサンドペーパーを用いて削り取った。
【0129】
長方形のストリップ(幅25mm、長さ約100mm)をバルク皮膚から切除し、続いて150mM NaClを含むpH 7.4の1倍リン酸生理食塩水緩衝液に浸したガーゼに巻き込み、プラスチックバッグに密封し、37℃で60分間インキュベートして再水和させた。再水和後、皮膚ストリップを、脂肪層を下に向けて滑らない表面上に配置し、低リントワイプ(KIMWIPESブランドワイプ、Kimberly-Clark Corporation,Irving,TX)で皮膚表面を軽くたたくことによって乾燥させた。各皮膚のストリップを2つの等しい切片(25×50mm)に切断し、鉗子を使用して切断線に沿って接近させて、外科的切開を表す創傷界面を作製した。創傷界面に隣接する真皮領域を清浄にし、純イソプロパノールで脱脂し、乾燥させた。硬化性組成物(0.3mL~0.5mL)を、使い捨てカミソリの刃の縁部を使用して、洗浄した皮膚表面に適用した。適用時に、硬化性組成物を、切開部全体及び切開線から5mm延在する各切片の皮膚表面を覆うように分配した。硬化性組成物を少なくとも5分間硬化させた。次いで、各皮膚試料を湿ったガーゼで優しく再び包み、プラスチック袋に密封し、試験チャンバ(30℃及び湿度25±5%に維持した)に移した。
【0130】
創傷閉鎖試験を、ASTM F2458-05(2015)に従って100Nロードセルを備えたInstron 6800試験機器を使用して、試験チャンバ内で実施した。装置及び試験試料を、試料試験前に少なくとも30分間、試験チャンバ内で平衡化させた。
【0131】
皮膚試料の各端部の切片(それぞれ長さ約25.4mm)を60グリットのサンドペーパー片の間に挟んで、試験中の把持性を高め、滑りを防止した。Instron装置のグリップをサンドペーパー部分に取り付け、50mm/分の速度で切開線に垂直な方向に引き離した。負荷が0.5Nを超えたときに、試験データ(移動距離及び負荷)を収集した。実験は、測定された負荷の減少によって証明されるように、創傷閉鎖完全性が(接着剤の引き裂き又は皮膚からの接着剤の剥離のいずれかによって)破られたときに終了した。記録されたデータから最大負荷(上述)を決定し、創傷閉鎖強度(N)として報告した。試験した硬化接着剤組成物のセットについての創傷閉鎖強度を、5回の試験(n=5)の平均として表7に報告する。ヨークシャーブタの腹からの皮膚を全ての試験に使用した。
【表7】
【0132】
実施例4.硬化接着剤組成物を用いた創傷閉鎖
硬化接着剤組成物の追加のセットを用いて、実施例3に記載したものと同じ手順を繰り返した。創傷閉鎖強度を、5回の試験(n=5)の平均として表8に報告する。ヨークシャーブタの背中からの皮膚試料を全ての試験に使用した。
【表8】
【手続補正書】
【提出日】2023-04-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
組織接着剤としての使用に加えて、硬化組成物は、広範囲の材料を互いに接着させるために使用することができる。例えば、硬化組成物は、様々なポリマー材料を他のポリマー材料又はガラス、セラミック材料、金属材料などに接合するために使用することができる。
本願発明は以下の態様を包含する。
(1)a)少なくとも250グラム/モルの分子量を有し、少なくとも2つの下記式のオキサルアミド基
【化15】
[式中、R はヒドロカルビルであり;R は、水素又はヒドロカルビルである]
を有する、オキサルアミド含有化合物を含むA剤と、
b)ポリエチレンイミンとグリシジルエーテルの反応生成物を含む誘導体化ポリエチレンイミンを含み、前記誘導体化ポリエチレンイミンが、式(VI)のモノマー単位
【化16】
[式中、R は、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールであり;各アスタリスク(*)は、前記誘導体化ポリエチレンイミンの別のモノマー単位への結合部位である]
を含むB剤と、を含む、多剤型硬化性組成物。
(2)前記オキサルアミド含有化合物が式(II)の化合物
【化17】
[式中、R はヒドロカルビルであり;R は、水素又はヒドロカルビルであり;R は、ヒドロカルビレンであり;qは1~10の範囲の整数である]
である、項目1に記載の多剤型硬化性組成物。
(3)R が、アルキレン、アルケニレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである、項目2に記載の多剤型硬化性組成物。
(4)R が、アルキル、アリール、アラルキル又はアルカリールであり;R が、水素、アルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールである、項目1~3のいずれかに記載の多剤型硬化性組成物。
(5)前記誘導体化ポリエチレンイミンが、式(V)及び/又は式(VII)のモノマー単位
【化18】
【化19】
[式中、R は、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキルであり;各アスタリスク(*)は、前記誘導体化ポリエチレンイミンの別のモノマー単位への結合部位である]
を更に含む、項目1~4のいずれかに記載の多剤型硬化性組成物。
(6)前記誘導体化ポリエチレンイミン中のモノマー単位の総モル数を基準として、前記誘導体化ポリエチレンイミン中のモノマー単位の10モルパーセント~25モルパーセントが、式(VI)及び/又は式(VII)のモノマー単位
【化20】
【化21】
[式中、R は、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキルであり;各アスタリスク(*)は、前記誘導体化ポリエチレンイミンの別のモノマー単位への結合部位である]
である、項目1~5のいずれかに記載の多剤型硬化性組成物。
(7)A剤及び/又はB剤が、少なくとも4個の炭素原子を有するカルボン酸を更に含む、項目1~6のいずれかに記載の多剤型硬化性組成物。
(8)前記カルボン酸が脂肪酸である、項目7に記載の多剤型硬化性組成物。
(9)前記カルボン酸が、A剤中に、A剤の総重量を基準として0.01重量パーセント~10重量パーセントの量で存在する、項目7又は8に記載の多剤型硬化性組成物。
(10)A剤が第1の粘度(V1)を有し、B剤が第2の粘度(V2)を有し、前記第2の粘度(V2)が0.1(V1)~10(V1)の範囲にある、項目1~9のいずれかに記載の多剤型硬化性組成物。
(11)B剤の前記誘導体化ポリエチレンイミン中の第一級アミノ基の、A剤中のオキサルアミド含有化合物に対するモル比が、0.75~3.5の範囲にある、項目1~10のいずれかに記載の多剤型硬化性組成物。
(12)項目1~11のいずれかに記載の多剤型硬化性組成物の硬化反応生成物を含み、接着剤である、硬化組成物。
(13)前記接着剤が、ASTM法D882-2018を用いて20パーセント~80パーセントの範囲の破断点伸び率を有し、且つ/又はASTM法F2458-05を用いて少なくとも2ニュートンの閉鎖強度を有する、項目12に記載の硬化組成物。
(14)前記接着剤が組織接着剤である、項目12又は13に記載の硬化組成物。
(15)前記接着剤が創傷閉鎖接着剤である、項目12~14のいずれかに記載の硬化組成物。
(16)硬化組成物を提供する方法であって、
a)少なくとも250グラム/モルの分子量を有し、少なくとも2つの下記式のオキサルアミド基
【化22】
[式中、R はヒドロカルビルであり;R は水素又はアルキルである]
を有する、オキサルアミド含有化合物を含むA剤組成物を準備すること又は得ることと、
b)ポリエチレンイミンとグリシジルエーテルの反応生成物を含む誘導体化ポリエチレンイミンを含むB剤組成物であって、前記誘導体化ポリエチレンイミンが、式(VI)のモノマー単位
【化23】
[式中、R は、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールであり;各アスタリスク(*)は、前記誘導体化ポリエチレンイミンの別のモノマー単位への結合部位である]
を有するB剤組成物を準備すること又は得ることと、
c)A剤をB剤と組み合わせて反応混合物を形成することと、
d)前記反応混合物を硬化させて、接着剤である硬化組成物を形成することと
を含む、方法。
(17)A剤をB剤と組み合わせることが、A剤及びB剤を別々のシリンジに入れること、A剤及びB剤を前記別々のシリンジから分注すること、並びにA剤をB剤と混合チャンバ内で組み合わせて前記反応混合物を形成することを含む、項目16に記載の方法。
(18)前記反応混合物を硬化させる前に、前記混合チャンバから前記反応混合物を排出することを更に含む、項目17に記載の方法。
(19)排出することが、前記反応混合物を組織表面に適用することを含む、項目18に記載の方法。
(20)排出することが、前記反応混合物を開放創傷に適用して前記創傷を閉鎖することを含む、項目18又は19に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも250グラム/モルの分子量を有し、少なくとも2つの下記式のオキサルアミド基
【化1】
[式中、Rはヒドロカルビルであり;Rは、水素又はヒドロカルビルである]
を有する、オキサルアミド含有化合物を含むA剤と、
b)ポリエチレンイミンとグリシジルエーテルの反応生成物を含む誘導体化ポリエチレンイミンを含み、前記誘導体化ポリエチレンイミンが、式(VI)のモノマー単位
【化2】
[式中、Rは、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールであり;各アスタリスク(*)は、前記誘導体化ポリエチレンイミンの別のモノマー単位への結合部位である]
を含むB剤と、を含む、多剤型硬化性組成物。
【請求項2】
前記オキサルアミド含有化合物が式(II)の化合物
【化3】
[式中、Rはヒドロカルビルであり;Rは、水素又はヒドロカルビルであり;Rは、ヒドロカルビレンであり;qは1~10の範囲の整数である]
である、請求項1に記載の多剤型硬化性組成物。
【請求項3】
が、アルキレン、アルケニレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである、請求項2に記載の多剤型硬化性組成物。
【請求項4】
が、アルキル、アリール、アラルキル又はアルカリールであり;Rが、水素、アルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールである、請求項1~3のいずれか一項に記載の多剤型硬化性組成物。
【請求項5】
前記誘導体化ポリエチレンイミンが、式(V)及び/又は式(VII)のモノマー単位
【化4】
【化5】
[式中、Rは、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキルであり;各アスタリスク(*)は、前記誘導体化ポリエチレンイミンの別のモノマー単位への結合部位である]
を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の多剤型硬化性組成物。
【請求項6】
B剤の前記誘導体化ポリエチレンイミン中の第一級アミノ基の、A剤中のオキサルアミド含有化合物に対するモル比が、0.75~3.5の範囲にある、請求項1~のいずれか一項に記載の多剤型硬化性組成物。
【請求項7】
請求項1記載の多剤型硬化性組成物の硬化反応生成物を含み、接着剤である、硬化組成物。
【請求項8】
硬化組成物を提供する方法であって、
a)少なくとも250グラム/モルの分子量を有し、少なくとも2つの下記式のオキサルアミド基
【化8】
[式中、Rはヒドロカルビルであり;Rは水素又はアルキルである]
を有する、オキサルアミド含有化合物を含むA剤組成物を準備すること又は得ることと、
b)ポリエチレンイミンとグリシジルエーテルの反応生成物を含む誘導体化ポリエチレンイミンを含むB剤組成物であって、前記誘導体化ポリエチレンイミンが、式(VI)のモノマー単位
【化9】
[式中、Rは、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールであり;各アスタリスク(*)は、前記誘導体化ポリエチレンイミンの別のモノマー単位への結合部位である]
を有するB剤組成物を準備すること又は得ることと、
c)A剤をB剤と組み合わせて反応混合物を形成することと、
d)前記反応混合物を硬化させて、接着剤である硬化組成物を形成することと
を含む、方法。
【国際調査報告】