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特表2023-545887管状高分子電解質膜燃料電池スタック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】管状高分子電解質膜燃料電池スタック
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/2404 20160101AFI20231025BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20231025BHJP
   H01M 8/1004 20160101ALI20231025BHJP
   H01M 8/0247 20160101ALI20231025BHJP
   H01M 4/86 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
H01M8/2404
H01M8/10 101
H01M8/1004
H01M8/0247
H01M4/86 M
H01M4/86 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576101
(86)(22)【出願日】2022-08-08
(85)【翻訳文提出日】2022-12-09
(86)【国際出願番号】 KR2022011792
(87)【国際公開番号】W WO2023018152
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0107586
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509329800
【氏名又は名称】ソウル大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】SEOUL NATIONAL UNIVERSITY R&DB FOUNDATION
(71)【出願人】
【識別番号】521371991
【氏名又は名称】インスティチュート フォア ベーシック サイエンス
(71)【出願人】
【識別番号】517428355
【氏名又は名称】カンウォン ナショナル ユニバーシティ-インダストリー コーポレーション ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ヨン ウン
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ヨン フン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ウォン チャン
【テーマコード(参考)】
5H018
5H126
【Fターム(参考)】
5H018AA06
5H018AS02
5H018AS03
5H018DD05
5H018EE05
5H126AA02
5H126AA14
5H126AA22
5H126BB06
5H126FF02
5H126GG05
(57)【要約】
本発明は、円錐台筒状に形成されて互いに直列連結される複数の燃料電池ユニットを含み、前記燃料電池ユニットの両側のうち外径が相対的に小さい一方側が、隣接する燃料電池ユニットの両側のうち外径が相対的に大きい他方側に挿入されて前記燃料電池ユニットが互いに直列連結されることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円錐台筒状に形成されて互いに直列連結される複数の燃料電池ユニットを含み、
前記燃料電池ユニットの両側のうち外径が相対的に小さい一方側が、隣接する燃料電池ユニットの両側のうち外径が相対的に大きい他方側に挿入されて前記燃料電池ユニットが互いに直列連結されることを特徴とする、管状高分子電解質膜燃料電池スタック。
【請求項2】
前記燃料電池ユニットは、
円錐台筒状の集電層と、
前記集電層上に巻き取られ、アノード(Anode)電極に供給される気体又は液体を吸収するアノード拡散層と、
前記アノード拡散層上に巻き取られ、電解質膜、アノード電極及びカソード(Cathode)電極を含み、前記アノード拡散層から供給された気体又は液体を前記アノード電極でイオン化して前記電解質膜を介して前記カソード電極へ移動させる電極膜合体層と、
前記電極膜合体層上に巻き取られ、前記電解質膜を介して前記カソード電極へ供給されたイオンと化学反応する気体又は液体を吸収するカソード拡散層と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の管状高分子電解質膜燃料電池スタック。
【請求項3】
前記アノード拡散層は、前記集電層の両側のうち外径が相対的に小さい一方側から、外径が相対的に大きい他方側に前記集電層の一定範囲に巻き取られ、
前記電極膜合体層は、前記アノード拡散層の全範囲を含む超過範囲に巻き取られ、
前記カソード拡散層は、前記電極膜合体層の両側からそれぞれ一定間隔を隔てて形成された前記電極膜合体層の一定範囲に巻き取られることを特徴とする、請求項2に記載の管状高分子電解質膜燃料電池スタック。
【請求項4】
前記電解質膜は、
前記アノード拡散層及びカソード拡散層から供給された気体又は液体の化学反応を加速する触媒がコーティングされたことを特徴とする、請求項3に記載の管状高分子電解質膜燃料電池スタック。
【請求項5】
一燃料電池ユニットの電極膜合体層に含まれた電解質膜が、他の燃料電池ユニットの電極膜合体層に含まれた電解質膜と熱硬化によって互いに結合することにより、燃料電池ユニットが互いに直列連結されることを特徴とする、請求項4に記載の管状高分子電解質膜燃料電池スタック。
【請求項6】
前記燃料電池スタックは、
最後に連結される燃料電池ユニットのカソード拡散層上に巻き取られて外部装置と連結される末端集電層をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載の管状高分子電解質膜燃料電池スタック。
【請求項7】
前記集電層及び末端集電層は、メッシュ(Mesh)状に形成されたことを特徴とする、請求項6に記載の管状高分子電解質膜燃料電池スタック。
【請求項8】
前記アノード拡散層及びカソード拡散層は、
曲げ(Bending)可能な格子状のカーボンファイバー(Carbon Fiber)膜で形成されることを特徴とする、請求項7に記載の管状高分子電解質膜燃料電池スタック。
【請求項9】
前記燃料電池スタックは、
前記燃料電池スタックの一端に備えられ、隣接する燃料電池スタックを曲げ可能に連結する連結ユニットをさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の管状高分子電解質膜燃料電池スタック。
【請求項10】
前記連結ユニットは、曲げ可能な蛇腹管で形成されることを特徴とする、請求項9に記載の管状高分子電解質膜燃料電池スタック。
【請求項11】
前記連結ユニットの両側のうち外径が相対的に小さい一方側が、一燃料電池スタックの両側のうち外径が相対的に大きい一方側に挿入され、他の燃料電池スタックの両側のうち外径が相対的に小さい一方側が、前記連結ユニットの両側のうち外径が相対的に大きい他方側に挿入されることにより、前記連結ユニットが両燃料電池スタックを連結することを特徴とする、請求項10に記載の管状高分子電解質膜燃料電池スタック。
【請求項12】
前記連結ユニットの両側のうち外径が相対的に小さい一方側が挿入される一燃料電池スタックの集電層は、前記連結ユニットの蛇腹管形状と同じ形状に形成されることを特徴とする、請求項11に記載の管状高分子電解質膜燃料電池スタック。
【請求項13】
前記連結ユニットの電極膜合体層に含まれた電解質膜が、隣接した燃料電池ユニットの電極膜合体層に含まれた電解質膜と熱硬化によって互いに結合して連結されることを特徴とする、請求項12に記載の管状高分子電解質膜燃料電池スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状高分子電解質膜燃料電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の燃料電池は、エンドプレート(end plate)、バイポーラプレート(bipolar plate)、ガスケット(gasket)、MEA(membrane electrode assembly)などで構成されており、反応ガス及び生成された水(HO)の漏れを防ぐために密封されている。このうち、エンドプレートとバイポーラプレートは、燃料電池の総重量の60~80%、総体積の80%以上を占める。エンドプレートは、支持台の役割を果たすとともに、クランプ(clamp)の圧力を伝達する役割を果たし、剛性と厚さが重要な要素であってMEAの表面に均一な圧力を伝達するために体積及び重量を減らすのに限界がある。バイポーラプレートは、正極と負極に供給される各ガスの分離、反応物の通路として機能して重量減少に限界がある。したがって、柔軟で軽い燃料電池は、材料又は設計面からの接近を介して構成要素を単純化し、形状を変更する方式で実現することができる。設計面の変更が行われる場合、各パーツを固定させるクランプが必要であるか、或いはスタックを形成し難いという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、かかる問題点を解決するためのもので、その目的は、円錐台筒状の燃料電池ユニットの適用により容易な連結を可能とし、蛇腹管形状を適用して3D動きが可能な管状高分子電解質膜燃料電池スタックを提供することにある。
【0004】
本発明の技術的課題は上述したところに限定されず、上述していない別の技術的課題は以降の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための本発明の一実施形態による管状高分子電解質膜燃料電池スタックは、円錐台筒状に形成されて互いに直列連結される複数の燃料電池ユニットを含み、前記燃料電池ユニットの両側のうち外径が相対的に小さい一方側が、隣接する燃料電池ユニットの両側のうち外径が相対的に大きい他方側に挿入されて前記燃料電池ユニットが互いに直列連結されることを特徴とする。
【0006】
また、本発明による前記燃料電池ユニットは、円錐台筒状の集電層と、前記集電層上に巻き取られ、アノード電極に供給される気体又は液体を吸収するアノード拡散層と、前記アノード拡散層上に巻き取られ、電解質膜、アノード(Anode)電極及びカソード(Cathode)電極を含み、前記アノード拡散層から供給された気体又は液体を前記アノード電極でイオン化して前記電解質膜を介して前記カソード電極へ移動させる電極膜合体層と、前記電極膜合体層上に巻き取られ、前記電解質膜を介して前記カソード電極へ供給されたイオンと化学反応する気体又は液体を吸収するカソード拡散層と、を含むことができる。
【0007】
また、本発明による前記アノード拡散層は、前記集電層の両側のうち外径が相対的に小さい一方側から、外径が相対的に大きい他方側に前記集電層の一定範囲に巻き取られ、前記電極膜合体層は、前記アノード拡散層の全範囲を含む超過範囲に巻き取られ、前記カソード拡散層は、前記電極膜合体層の両側からそれぞれ一定間隔を隔てて形成された前記電極膜合体層の一定範囲に巻き取られることを特徴とする。
【0008】
また、本発明による前記電解質膜は、前記アノード拡散層及びカソード拡散層から供給された気体又は液体の化学反応を加速する触媒がコーティングされたことを特徴とする。
また、本発明による一燃料電池ユニットの電極膜合体層に含まれた電解質膜が、他の燃料電池ユニットの電極膜合体層に含まれた電解質膜と熱硬化によって互いに結合することにより、燃料電池ユニットが互いに直列連結されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明による前記燃料電池スタックは、最後に連結される燃料電池ユニットのカソード拡散層上に巻き取られて外部装置に連結される末端集電層をさらに含むことができる。
【0010】
また、本発明による前記集電層及び末端集電層は、メッシュ(Mesh)状に形成されたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明による前記アノード拡散層及びカソード拡散層は、曲げ(Bending)可能な格子状のカーボンファイバー(Carbon Fiber)膜で形成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明による前記燃料電池スタックは、前記燃料電池スタックの一端に備えられ、隣接する燃料電池スタックを曲げ可能に連結する連結ユニットをさらに含むことができる。
【0013】
また、本発明による前記連結ユニットは、曲げ可能な蛇腹管で形成されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明による前記連結ユニットの両側のうち外径が相対的に小さい一方側が、一燃料電池スタックの両側のうち外径が相対的に大きい一方側に挿入され、他の燃料電池スタックの両側のうち外径が相対的に小さい一方側が、前記連結ユニットの両側のうち外径が相対的に大きい他方側に挿入されることにより、前記連結ユニットが両燃料電池スタックを連結することを特徴とする。
【0015】
また、本発明による前記連結ユニットの両側のうち外径が相対的に小さい一方側が挿入される一燃料電池スタックの集電層は、前記連結ユニットの蛇腹管形状と同じ形状に形成されることを特徴とすることができる。
【0016】
また、本発明による前記連結ユニットの電極膜合体層に含まれた電解質膜が、隣接した燃料電池ユニットの電極膜合体層に含まれた電解質膜と熱硬化によって互いに結合して連結されることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態による管状高分子電解質膜燃料電池スタックは、円錐台筒状のユニットをベースとして積層しやすく、従来の燃料電池の構成品の数を減らし、部品を改善して小型軽量の燃料電池スタックを製作することができる。また、蛇腹管形状を適用して曲げることができ、燃料電池スタックの体積を減らすことができる。前記構造は、燃料電池だけでなく、同様の構造を持つ電気化学エネルギー貯蔵及び変換装置にも適用することができる。本燃料電池ユニットには、気体燃料だけでなく液体燃料も供給可能である。また、高分子電解質膜を用いた円錐台筒状のユニット構造、曲げ可能な連結ユニットの構造及びその管状スタック構造は、燃料電池だけでなく、水電解及びCO転換のための用途にも使用できる。
【0018】
本発明の効果は上述した効果に限定されず、上述していない別の効果は請求の範囲の記載から当業者には明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態による管状高分子電解質膜燃料電池スタックの構成を概略的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態による燃料電池ユニットの形成過程を概略的に示す図である。
図3】本発明の一実施形態による燃料電池ユニットの形状を概略的に示す図である。
図4】本発明の一実施形態による燃料電池スタックの形状を示す図である。
図5】本発明の一実施形態による燃料電池ユニットを連結した前後の出力値を比較して示す図である。
図6】本発明の一実施形態による第1集合層及び第2集合層の形状を示す図である。
図7】本発明の一実施形態によるアノード拡散層及びカソード拡散層の形状と、リジッド(Rigid)拡散層及びフレキシブル(Flexible)拡散層の出力値を比較して示す図である。
図8】本発明の一実施形態による連結ユニットの形状及び連結ユニットの曲げられた程度による出力値の変化を比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施し得る程度に本発明の好適な実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
実施形態を説明するにあたり、本発明の属する技術分野に広く知られている、本発明と直接関連のない技術内容については、説明を省略する。これは、不要な説明を省略することにより、本発明の要旨を不明確にすることなくより明確に伝達するためである。
【0022】
同様の理由で、添付図面において、一部の構成要素は誇張又は省略されているか、或いは概略的に示されている。さらに、各構成要素のサイズは実際のサイズを全的に反映するものではなく、各図中の同一又は対応する構成要素には同じ参照番号を付した。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態による管状高分子電解質膜燃料電池スタックの構成を概略的に示す図である。
【0024】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による管状高分子電解質膜燃料電池スタック10は、円錐台筒状に形成されて互いに直列連結される複数の燃料電池ユニット100を含み、前記燃料電池ユニット100の両側のうち外径が相対的に小さい一方側が、隣接する燃料電池ユニット100の両側のうち外径が相対的に大きい他方側に挿入されることにより、前記燃料電池ユニット100が互いに直列連結されることができる。
【0025】
前記燃料電池スタック10は、燃料電池スタック10の内部へ燃料を供給することができる。したがって、燃料供給のために別途の供給路を備えなくてもよい。
【0026】
前記燃料電池ユニット100は、円錐台筒状に形成され、別途のセパレートクランプ(Separate clamp)なしに、隣接する他の円錐台筒状の燃料電池ユニット100と結合することができる。したがって、前記燃料電池スタック10は、重量を軽くして製作することができる。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、前記燃料電池スタック10には、ガス燃料だけでなく、液体燃料も供給できる。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態による燃料電池ユニットの形成過程を概略的に示す図である。
【0029】
図2を参照すると、前記燃料電池ユニット100は、円錐台筒状の集電層110と、前記集電層110上に巻き取られ、アノード(Anode)電極に供給される気体又は液体を吸収するアノード拡散層120と、前記アノード拡散層120上に巻き取られ、電解質膜(図示せず)、アノード電極(図示せず)及びカソード(Cathode)電極(図示せず)を含み、前記アノード拡散層120から供給された気体又は液体を前記アノード電極でイオン化して前記電解質膜を介して前記カソード電極へ移動させる電極膜合体層130と、前記電極膜合体層130上に巻き取られ、前記電解質膜を介して前記カソード電極に供給されたイオンと化学反応する気体又は液体を吸収するカソード拡散層140と、を含むことができる。
【0030】
前記アノード拡散層120は、前記集電層110の両側のうち外径が相対的に小さい一方側から、外径が相対的に大きい他方側へ前記集電層110の一定範囲に巻き取られ、前記電極膜合体層130は、前記アノード拡散層120の全範囲を含む超過範囲に巻き取られ、前記カソード拡散層140は、前記電極膜合体層130の両側からそれぞれ一定間隔を隔てて形成された前記電極膜合体層130の一定範囲に巻き取られることができる。
【0031】
本発明の一実施形態による前記超過範囲は、前記アノード拡散層120の全範囲よりも超過する範囲であって、隣接する燃料電池ユニット100の電極膜合体層130に含まれた電解質膜と熱硬化によって互いに結合して連結される範囲であり得る。
【0032】
前記円錐台筒状の燃料電池ユニット100は、円錐台筒状の構造からなっており、前記電極膜合体層130へ燃料を均一に供給することができる。したがって、前記燃料電池スタック10は、支持台として機能するためのエンドプレート(End Plate)と、燃料を均一に供給するためのフローフィールド(Flow Field)が別途備えられなくてもよい。エンドプレートとフローフィールドが別途備えられないので、前記燃料電池スタック10の体積を小さく且つ前記燃料電池スタックの重量を軽くして製作することができる。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、前記電解質膜は、前記アノード拡散層及びカソード拡散層から供給された気体又は液体の化学反応を加速する触媒がコーティングされることができる。本発明の一実施形態による電極膜合体層130は、ナフィオン(Nafion)が電解質膜として使用できる。具体的には、ナフィオン211又はナフィオン212電解質膜が使用できる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、40wt.%のPt/C触媒がアノード及びカソード触媒(図示せず)として使用できる。触媒スラリー(Slurry)は、イソプロピルアルコール(Isopropyl Alcohol)、非電解水、5wt/%ナフィオンアイオノマー(Nafion Ionomer)溶液及び触媒を超音波処理によって形成することができる。触媒スラリーをナフィオン電解質膜の両面にスプレーコーティング(Spary Coating)法で塗布することができる。塗布された触媒は、常温で24時間以上乾燥させることができる。前記電解質膜の両面に塗布された触媒の密度は、0.3mgPt/cmに調節できる。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、前記集電層110は、扇形形状に裁断することができる。扇形形状の集電層110は、丸く巻いて溶接して円錐台形を形成することができる。
【0036】
その後、前記アノード拡散層120と触媒のコーティングされた前記電極膜合体層130が円錐台筒状の前記集電層110上に巻き取られることができる。次いで、180℃で加熱して前記電解質膜の接合部を接合することができる。その後、前記カソード拡散層140を形成することができる。
【0037】
図3は、本発明の一実施形態による燃料電池ユニットの形状を概略的に示す図である。
【0038】
図3を参照すると、上段の図は、前記燃料電池ユニット100の側面図であり得る。下段の図は、前記燃料電池ユニット100を平面に広げたときの展開図であり、これは扇形であり得る。
【0039】
前記燃料電池ユニット100の各部分は、下記の計算式によって導出できる。
【0040】
【数1】
【0041】
【数2】
【0042】
【数3】
【0043】
【数4】
【0044】
【数5】
【0045】
ここで、rは円錐台筒の狭い端の半径、rは円錐台筒の狭い端挿入部位の半径、tGDLはアノード拡散層120の厚さ又はカソード拡散層140の厚さ、tmembrancは電極膜合体層130の厚さ、tmetalは第1集合層110の厚さ、aは電極長さ、bは電極間の間隔、⌒cは円錐台筒の狭い端弧の長さ、⌒dは円錐台筒の狭い端挿入部位弧の長さ、⌒eは接合される部分弧の長さ、Dは円錐台筒の狭い端挿入部位までの扇形の半径、θは扇形の中心角であり得る。
【0046】
ここで、r、r、d及びDは、a、b及びcによって定められることができる。狭い側電極の長さ及び広い側電極の長さaは10mmであり得る。狭い側電極と広い側電極との間隔bは3mmであり得る。この間隔は、燃料電池ユニットの積層時に各燃料電池ユニットに含まれた電解質膜を接合する部分であり得る。狭い側弧の長さ⌒cは10mmであり得る。前記燃料電池ユニット100の円錐台筒状への形成のために接合される部分弧の長さ⌒eは1.5mmであり得る。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、一燃料電池ユニット100の集電層110と隣接する燃料電池ユニット100の集電層110との間で前記アノード拡散層120及びカソード拡散層140に割り当てられる間隔を、最初のアノード拡散層120及びカソード拡散層140の厚さよりも薄くして、前記一燃料電池ユニット100の集電層110と隣接する燃料電池ユニット100の集電層110との接触抵抗を減らすことができる。
【0048】
図4は、本発明の一実施形態による燃料電池スタックの形状を示す図である。
【0049】
図4を参照すると、一燃料電池ユニット100の電極膜合体層130に含まれた電解質膜が、他の燃料電池ユニット100の電極膜合体層130に含まれた電解質膜と熱硬化によって互いに結合することにより、燃料電池ユニットが互いに直列連結されることができる。具体的には、前記電解質膜を180℃で加熱して、隣接した燃料電池ユニット100に含まれた電解質膜と結合させて燃料が漏れないように密封することができる。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、前記燃料電池スタック10は、最後に連結される燃料電池ユニット100のカソード拡散層140上に巻き取られて外部装置と連結される末端集電層150をさらに含むことができる。図3を参照すると、前記末端集電層150は、広い側電極の長さaに相当する長さに形成されることができる。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、一つの前記燃料電池ユニット100の長さは23mmであり、重量は0.125gであり得る。2つの燃料電池ユニット100を連結したとき、長さは36mmであり、重量は0.22gであり得る。2つの前記燃料電池ユニット100を連結して燃料電池スタック10を形成する場合、長さは13mm増加し、重量は0.095g増加することが分かる。
【0052】
図5は、本発明の一実施形態による燃料電池ユニットを連結した前後の出力値を比較して示す図である。
【0053】
図5を参照すると、2つの燃料電池ユニット100を連結した燃料電池スタック10と5つの燃料電池ユニット100を連結した燃料電池スタック10のいずれも、単位体積当たりの出力値に大きな差がないことが分かる。したがって、前記燃料電池ユニット100を連結して前記燃料電池スタック10を形成すると、個別燃料電池ユニット100を複数並べたものよりも単位体積当たりの出力値が大きいことが分かる。
【0054】
図6は、本発明の一実施形態による第1集合層及び第2集合層の形状を示す図である。
【0055】
図6を参照すると、前記集電層110は、メッシュ状に形成されることができる。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、前記集電層110は、ステンレス鋼(stainless steel)で形成されることができる。
【0057】
本発明の一実施形態による前記集電層110及び末端集電層150は、ステンレス鋼で形成されることができる。前記集電層110及び末端集電層150は、50μmの厚さに形成されることができ、52%のオープン(Open)領域を有することができる。前記集電層110及び末端集電層150の最も厚いグリッド線(Grid Line)幅は110μmであり、シート抵抗は61.94mΩ/sq.であり得る。
【0058】
図7は、本発明の一実施形態によるアノード拡散層及びカソード拡散層の形状と、リジッド(Rigid)拡散層及びフレキシブル(Flexible)拡散層の出力値を比較して示す図である。
【0059】
図7を参照すると、前記アノード拡散層120及びカソード拡散層140は、曲げ可能な格子状のカーボンファイバー(Carbon Fiber)膜で形成されることができる。
【0060】
本発明の一実施形態による前記アノード拡散層120及びカソード拡散層140は、マイクロポーラス(Microporous)層及びカーボンペーパー(Carbon Paper)層を含むことができ、全厚さは210μmであり得る。前記カーボンペーパーに含まれたカーボンファイバー膜がプロッタプリンタ(Plotter Printer)によって格子方向に一定間隔離隔するように分離されて前記アノード拡散層120及びカソード拡散層140がフレキシブル(Flexible)になることができる。リジッド(Rigid)拡散層及びフレキシブル拡散層の比較結果、燃料電池出力値に大きな差がないことが分かる。
【0061】
図8は、本発明の一実施形態による連結ユニットの形状及び連結ユニットの曲げ程度による出力値の変化を比較して示す図である。
【0062】
図8を参照すると、本発明の一実施形態によれば、前記燃料電池スタック10は、前記燃料電池スタック10の一端に備えられ、隣接する燃料電池スタック10を曲げ可能に連結する連結ユニット200をさらに含むことができる。
【0063】
前記連結ユニット200は、曲げ可能な蛇腹管で形成されることができる。本発明の一実施形態によれば、前記連結ユニット200は、山及び谷で形成された蛇腹管形状であり得る。蛇腹管形状に沿って複数の三角形形状が当接する線同士が「山」と「谷」を成して折り畳まれることができる。図中の実線部分が「山」であり、破線部分が「谷」であり得る。「山」と「谷」に折り畳まれる部分以外の部分は、平面として残ることができる。本発明の一実施形態によれば、三角形の形状は、次の数式によって形成できる。
【0064】
【数6】
【0065】
【数7】
【0066】
【数8】
【0067】
【数9】
【0068】
【数10】
【0069】
【数11】
【0070】
【数12】
【0071】
【数13】
【0072】
ここで、Nは弧方向への単位体の個数、θは連結ユニット全体の扇形の中心角、θは単位体の遠い頂点までの扇形の中心角、θは単位体の近い頂点までの扇形の中心角、φは扇形の半径線から単位体までの角度、γは単位体の長手方向中心線(「谷」線)と向き合う頂点とがなす角度、αは扇形の半径線からφの角度をなす単位体の線(「山」線)と単位体の長手方向中心線(「谷」線)との角度、αは単位体内でのαの錯角、βは、γをなす単位体の線(「山」線)のうち、αに隣接する単位体の線(「山」線)と単位体の長手方向中心線(「谷」線)との角度、βは単位体内でのβの錯角であり得る。
【0073】
前記連結ユニット200の構造は、弧方向への単位体の個数Nと、γをなす単位体の線(「山」線)のうちαに隣接する単位体の線(「山」線)と単位体の長手方向中心線(「谷」線)との角度βに関連することが分かる。本発明の一実施形態によれば、弧方向への単位体の個数Nは6であり得る。アノード電極の周囲は20mmであり得る。γをなす単位体の線(「山」線)のうちαに隣接する単位体の線(「山」線)と単位体の長手方向中心線(「谷」線)との角度βは30°であり得る。扇形の半径線からφの角度をなす単位体の線(「山」線)と単位体の長手方向中心線(「谷」線)との角度αは29.46°であり得る。
【0074】
本発明の一実施形態によれば、連結ユニット200の構造は、前記燃料電池ユニット100と同じであり得る。前記連結部200の集電層110の両側のうち外径が相対的に小さい一方側から、外径が相対的に大きい他方側へ集電層110の一定範囲に蛇腹管形状が形成されることができる。前記アノード拡散層120は、前記蛇腹管形状が形成された集電層110の一定範囲に蛇腹管状に巻き取られることができる。前記電極膜合体層130は、前記アノード拡散層120の全範囲を含む超過範囲に蛇腹管状に巻き取られることができる。前記カソード拡散層140は、前記電極膜合体層130の両側からそれぞれ一定間隔離隔して形成された前記電極膜合体層130の一定範囲に蛇腹管状に巻き取られることができる。
【0075】
本発明の一実施形態によれば、前記連結ユニット200の両側のうち外径が相対的に小さい一方側が、一燃料電池スタック10の両側のうち外径が相対的に大きい一方側に挿入され、他の燃料電池スタック10の両側のうち外径が相対的に小さい一方側が、連結ユニット200の両側のうち外径が相対的に大きい他方側に挿入されることにより、前記連結ユニットが両燃料電池スタックを連結することができる。
【0076】
本発明の一実施形態によれば、前記連結ユニット200の両側のうち外径が相対的に小さい一方側が挿入される一燃料電池スタック10の集電層110は、前記連結ユニット200の蛇腹管形状と同じ形状に形成されることができる。前記連結ユニット200の電極膜合体層130に含まれた電解質膜が、隣接する燃料電池ユニット100の電極膜合体層130に含まれた電解質膜と熱硬化によって互いに結合して連結されることができる。
【0077】
本発明の一実施形態によれば、前記連結ユニット200が100%折れて90°の角度で曲げられたとき、前記燃料電池スタック10の発電出力は10%減少することができる。しかし、前記連結ユニット200が90°の角度で曲げられた状態で前記燃料電池スタック10が電子機器に適用される場合、従来の曲げられない燃料電池スタック10は、形態の制約により適用することができなかった小型電子機器にも、曲げられる前記燃料電池スタック10は適用可能である。曲げられる前記燃料電池スタック10の適用の際に、小型電子機器に適用できる燃料電池ユニット100の個数は、曲げられない前記燃料電池スタック10の適用時よりも多いことができる。したがって、前記小型電子機器に適用される燃料電池スタック10の発電出力は、曲げられる燃料電池スタック10の場合がさらに大きいことができる。
【0078】
本発明の一実施形態によれば、前記燃料電池スタック10には、気体燃料だけでなく、液体燃料も供給することができる。液体燃料供給の際には、75wt.%PtRu/C(Pt50wt/%、Ru25wt.%)の触媒がアノード触媒として使用できる。60wt.%Pt/C触媒がカソード触媒として使用できる。アノード触媒で塗布された触媒の密度は2mgPtRu/cmであり得る。カソード触媒で塗布された触媒の密度は1mgPt/cmであり得る。ナフィオン115が電解質膜として使用できる。
【0079】
本発明の一実施形態に係る管状高分子電解質膜燃料電池スタックは、円錐台筒状のユニットをベースとして積層しやすく、従来の燃料電池の構成品の数を減らし、部品を改善して小型軽量燃料電池スタックを製作することができる。また、蛇腹管形状を適用して曲げることができ、燃料電池スタックの体積を減らすことができる。前記構造は、燃料電池だけでなく、同様の構造を持つ電気化学エネルギー貯蔵及び変換装置にも適用することができる。本燃料電池ユニットには、気体燃料だけでなく、液体燃料も供給できる。また、高分子電解質膜を用いた円錐台筒状のユニット構造、曲げ可能な連結ユニットの構造、及びその管状スタック構造は、燃料電池だけでなく、水電解及びCO転換のための用途にも使用できる。
【0080】
一方、本明細書及び図面には本発明の好適な実施形態について開示しており、たとえ特定の用語が使用されたが、これは、単に本発明の技術内容を容易に説明し且つ発明の理解を助けるための一般的な意味で使用されたものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。ここに開示された実施形態の他にも、本発明の技術思想に基づいた他の変形例が実施可能であるのは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に自明であろう。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明によれば、円錐台筒状のユニットをベースとして積層しやすく、従来の燃料電池の構成品の数を減らし、部品を改善して小型軽量の燃料電池スタックを製作することができ、このような燃料電池だけでなく、同様の構造を持つ電気化学エネルギー貯蔵及び変換装置にも適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】