(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】容易に交換可能なスクレーパ要素を有するスクレーパ
(51)【国際特許分類】
B65G 45/16 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
B65G45/16 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500055
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2021081412
(87)【国際公開番号】W WO2022112017
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】102020131558.9
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020131557.0
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522391855
【氏名又は名称】キル-フレッヒ,コルネリア
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】キール,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァインマン,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ハイドヒュース,ディルク
(57)【要約】
本発明は、コンベアベルト(12)用のスクレーパ(18)、同用のスクレーパモジュール(26,126)、それを備えるベルトコンベア(10)、及びスクレーパ(18)又はベルトコンベア(10)上のスクレーパ要素(42)を交換する方法に関する。本発明に係るスクレーパ(18)は、少なくとも一つのスクレーパモジュール(26,126)を含むシステムサポート(24)を備える。スクレーパモジュール(26,126)は、システムサポート(24)上に配置されたベース要素(32)及びコンベアベルト(12)に接触するスクレーパ要素(42)を有する。スクレーパ要素(42)の特に簡単な交換を可能にするために、スクレーパ要素(42)は、回転カップリングによってベース要素(32)に対して回転軸線(64)回りに回転可能に取り付けられる。回転カップリングは、スクレーパ要素(42)が固定角度範囲(68b)内の回転可能な位置にあるとき、スクレーパ要素(42)が回転軸線(64)の方向においてベース要素(32)に堅固に結合され、スクレーパ要素(42)が解放角度範囲(68a)内の回転可能な位置にあるとき、スクレーパ要素(42)がベース要素(32)から回転軸線(64)の方向(20)に解放され得る、ように形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアベルト(12)用のスクレーパであって、
少なくとも一つのスクレーパモジュール(26,126)を含むシステムキャリア(24)を備え、
前記スクレーパモジュール(26,126)は、前記システムキャリア(24)上に配置されたベース要素(32)と、前記コンベアベルト(12)に当接するためのスクレーパ要素(42)とを有し、
前記スクレーパ要素(42)は、前記ベース要素(32)に対して回転軸線(64)回りに回転カップリングで回転可能に取り付けられ、
前記回転カップリングは、
前記スクレーパ要素(42)が固定角度範囲(68b)内の回転位置にあるとき、前記スクレーパ要素(42)が、前記回転軸線(64)の方向において前記ベース要素(32)に堅固に結合され、かつ、
前記スクレーパ要素(42)が解放角度範囲(68a)内の回転位置にあるとき、前記スクレーパ要素(42)が、前記回転軸線(64)の方向において前記ベース要素(32)から取り外される得るように、形成されている、
ことを特徴とするスクレーパ。
【請求項2】
前記回転カップリングは、挿入開口部(62a)と係合要素(62b)を有し、前記係合要素(62b)は、前記解放角度範囲(68a)内の回転位置において前記挿入開口部(62a)を通して案内され、前記係合要素(62b)は、前記固定角度範囲(68b)内の回転位置において前記挿入開口部(62a)にロックされる、ように形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスクレーパ。
【請求項3】
前記係合要素(62b)は、挿入スリーブ(60)に挿入され得るシャフト(58)上に配置され、前記挿入開口部(62a)は、前記挿入スリーブ(60)内に形成され、
前記挿入開口部(62a)のリムは、前記挿入スリーブ(60)内に内側に向けて突出するように形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のスクレーパ。
【請求項4】
前記シャフト(58)又は前記挿入スリーブ(60)は、前記スクレーパ要素(42)に堅固に連結されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のスクレーパ。
【請求項5】
前記回転軸線(64)は、前記システムキャリア(24)に対して60°を超える角度(β)を有し、好ましくは少なくとも実質的に垂直に配置されている、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一つに記載のスクレーパ。
【請求項6】
前記固定角度範囲(68b)は、中間位置から始まり、少なくとも+/-30°を超えて広がる、
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか一つに記載のスクレーパ。
【請求項7】
前記回転カップリングは、前記挿入スリーブ(60)内に挿入され得るシャフト(58)を有し、
前記シャフト(58)及び/又は前記挿入スリーブ(60)の内側に隣接するための摩擦要素(66)が、前記シャフト(58)と前記挿入スリーブ(60)との間の相対移動を減衰させるために設けられている、
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一つに記載のスクレーパ。
【請求項8】
前記回転カップリングは、前記挿入スリーブ(60)内に挿入され得るシャフト(58)を有し、
前記シャフト(58)と前記挿入スリーブ(60)の内側との間をシールするためのシール要素(66)が設けられている、
ことを特徴とする請求項1ないし7いずれか一つに記載のスクレーパ。
【請求項9】
前記スクレーパモジュール(26,126)は、ジョイント(44)を有し、
前記スクレーパ要素(42)は、前記システムキャリア(24)に対して前記ジョイント(44)内で枢動可能である、
ことを特徴とする請求項1ないし8いずれか一つに記載のスクレーパ。
【請求項10】
バネ要素が、前記コンベアベルト(12)の方向において前記スクレーパ要素(42)に作用するために設けられている、
ことを特徴とする請求項9に記載のスクレーパ。
【請求項11】
前記スクレーパ要素(42)は、スクレーパーアーム(36)を介して前記ジョイント(44)に連結され、
前記回転カップリングは、前記スクレーパーアーム(36)に形成されている、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載のスクレーパ。
【請求項12】
ストッパ(48)が、前記スクレーパ要素(42)の枢動運動のためにが設けられている、
ことを特徴とする請求項9ないし11いずれか一つに記載のスクレーパ。
【請求項13】
請求項1ないし12いずれか一つに記載のスクレーパ(18,118)用のスクレーパモジュール(26,126)であって、
ベース要素(32)及びスクレーパ要素(42)を有し、前記スクレーパ要素(42)は、前記ベース要素(32)に対して回転軸線(64)回りに回転カップリングで回転可能に取り付けられ、
前記回転カップリングは、
前記スクレーパ要素(42)が固定角度範囲(68b)内の回転位置にあるとき、前記スクレーパ要素(42)が、前記回転軸線(64)の方向における移動に関して前記ベース要素(32)に堅固に結合され、かつ、
前記スクレーパ要素(42)が解放角度範囲(68a)内の回転位置にあるとき、前記スクレーパ要素(42)が、前記回転軸線(64)の方向において前記ベース要素(32)から取り外され得るように、形成されている、
ことを特徴とするスクレーパモジュール。
【請求項14】
コンベアベルト(12)と、
請求項1ないし12いずれか一つに記載のスクレーパ(18,118)を備え、
前記システムキャリア(24)は、前記コンベアベルト(12)に対して横切る方向に配列され、
前記スクレーパ要素(42)は、前記コンベアベルトに当接する、
ことを特徴とするベルトコンベア。
【請求項15】
請求項1ないし12いずれか一つに記載のスクレーパ(18,118)上又は請求項14に記載のベルトコンベア(10)上のスクレーパ要素(42)を交換する方法であって、
前記システムキャリア(24)は、前記スクレーパ要素(42)が前記解放角度範囲(68a)内の回転位置に回転され得るように前記コンベアベルト(12)から十分離れた位置にもたらされ、
前記スクレーパ要素(42)は、前記ベース要素(32)から取り外され、
前記解放角度範囲(68a)内の回転位置に位置付けられた新しいスクレーパ要素(42)が、前記ベース要素(32)に取り付けられ、前記固定角度範囲(68b)内の回転位置に回転させられる、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアベルトのスクレーパ、そのスクレーパモジュール、それを備えたベルトコンベア、及びスクレーパ要素を交換する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スクレーパの使用は、最も多様な搬送物を搬送するために配備されるベルトコンベアのコンベアベルトで知られている。走行中のコンベアベルトにスクレーパ要素を当てることで、ベルトに付着した搬送物が掻き落とされる。既知のスクレーパシステムは、コンベアベルトの走行方向を横切る方向に整列されたシステムキャリアを有し、そのシステムキャリア上に、スクレーパ要素を有する複数のスクレーパモジュールが配置されている。
【0003】
DE102013006821A1には、コンベアベルトの戻り領域用のモジュールから構成されるベルトスクレーパシステムが記載されている。システムキャリアは、コンベアベルトの走行方向を横切る方向に配置されている。複数のスクレーパモジュールがシステムキャリア上に隣り合って取り付けられている。スクレーパモジュールは、それぞれ、剥がすようにベルトに当接するスクレーパ薄片を保持する。
【0004】
WO95/19310には、コンベアベルトシステムにおいて、コンベアベルトから異物を掻き落とすための装置が記載されている。システムキャリアは、ベルトコンベア用のベアリングフレームに固定されている。薄片サポートに固定されたスクレーパ薄片を有するスクレーパ要素は、作動位置でベルトコンベアに剥離方式で当接するように配置される。スクレーパ要素は、捩じりバネジョイントを有し、薄片サポートは、ベルトコンベアに堅固に付着している障害物に遭遇したときに枢動して離れ、続いて作動位置に枢動して戻ることができるように、水平枢動軸線回りに枢動するバネ式の方法で案内される。薄片サポートは、ベルトウェビング(ベルト帯)に当接するスクレーパ薄片が自動的な回転によってベルトウェビングの輪郭に適合できるように、制限された回転角度の回転ベアリングによって、枢動可能に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE102013006821A1
【特許文献2】WO95/19310
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
作動中にコンベアベルトに当接するスクレーパ要素は、作動中にかなりの摩耗に晒されるため、定期的に交換する必要がある。スクレーパ、そのスクレーパモジュール、ベルトコンベア、及びスクレーパ要素を簡単に交換できるスクレーパ上のスクレーパ要素を交換する方法を提案することが目的と見なすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に係るスクレーパ、請求項13に係るそのためのスクレーパモジュール、請求項14に係るベルトコンベア、及び請求項15に係る方法によって達成される。従属請求項は、本発明の有利な実施形態に言及するものである。
【0008】
本発明に係るスクレーパは、システムキャリア上に、少なくとも一つのスクレーパモジュール、好ましくは複数のスクレーパモジュールを有する。各々のスクレーパモジュールは、システムキャリア上に配置された少なくとも一つのベース要素と、コンベアベルトと当接するために設けられた一つのスクレーパ要素とを含む。スクレーパ要素は、例えば、特にスクレーパがプレスクレーパとして、すなわち、コンベアベルトの撓みの領域に配置するために設けられる場合、柔軟な材料で作られたスクレーパブロックであることができる。スクレーパは、好ましくはコンベアベルトの戻り領域に配置することができる。スクレーパ要素は、より好ましくは、スクレーパエッジを有し、特に好ましくは金属、例えばカーバイドで作られたものである。スクレーパ要素は、好ましくは、皮を剥がすようにコンベアベルトに当接することができる。
【0009】
スクレーパモジュールのベース要素は、様々な方法でシステムキャリアに取り付けることができ、好ましくは取り外し可能である。特に好ましくは、クランプ保持装置によってシステムキャリアに取り付けられる。
【0010】
本発明によれば、スクレーパ要素は、回転軸線を中心に回転できるように、回転カップリング(回転継手)によってベース要素に対して取り付けられる。回転カップリングは、回転軸線に対するスクレーパ要素の回転位置に応じて、異なるカップリングが得られるように形成されており、ここでは固定角度範囲と称される角度範囲内の回転位置では、スクレーパ要素は、回転軸線の方向の動きに関して、スクレーパモジュールの残りの部分、つまり特にベース要素に堅固に結合され、一方、ここでは解放角度範囲と称される角度範囲内の回転位置では、スクレーパ要素は、回転軸線の方向において、スクレーパモジュールの残りの部分、つまり特にベース要素から取り外すことができる。
【0011】
したがって、回転カップリングは、回転軸線回りのスクレーパ要素の回転性を保証し、ベルト表面に対する位置合わせが可能になり、したがって、作動中に、スクレーパ要素が、コンベアベルトと良好に接触し、例えば、僅かな弛みのコンベアベルトの形状に沿うことができる。
【0012】
さらに、回転カップリングは、固定角度範囲で、回転軸線の方向の長手方向の動きに関して、固定されたカップリング(継手)を保証し、つまり、固定角度範囲内の回転位置において、スクレーパ要素は、実際に回転することができるが、ベース要素から取り外すことができない。スクレーパ要素が解放角度範囲内の回転位置をとるようにスクレーパ要素が回転している際には、対照的に、回転カップリングは、回転軸線の方向において、スクレーパ要素を取り外すことができるように、好ましくは引き抜くことができるように、スクレーパ要素を解放する。
【0013】
固定角度範囲及び解放角度範囲は、好ましくは、作動中、すなわちスクレーパ要素がコンベアベルトに当接している状態ではスクレーパ要素が常に固定角度範囲内にあり、解放角度範囲から十分な距離がありスクレーパ要素が十分な確実性で到達しないように、すなわち、コンベアベルトとの接触によってスクレーパ要素の解放角度範囲への回転が防止されるように、選択することができる。固定角度範囲は、例えば、スクレーパ要素の水平方向の整列又はシステムキャリアに平行なスクレーパ要素の整列が、固定角度範囲内、好ましくは少なくとも実質的に中央に位置するように選択することができる。この位置は、中間位置であると仮定することができ、その場合、固定角度範囲は、中間位置から始めて、好ましくは少なくとも+/-30°を超え、より好ましくは少なくとも+/-40°を超え、特に好ましくは、少なくとも+/-60°を超える。したがって、解放角度範囲は、特に好ましくは、通常予想される全ての作動位置で確実な結合が常に確保されるように、例えば90°+/-20°の回転軸線回りの強力な捩れ(回転)でのみ開始される。
【0014】
他方、スクレーパ要素は、保守目的で、解放角度範囲に到達するまで回転軸線回りに単に回転させることにより、ベース要素からしたがってシステムキャリアから、簡単な方法で取り外すことができる。そして、スクレーパ要素は、好ましくは、さらなる連結を解除する必要なく、回転軸線の方向に引き抜くことができる。
【0015】
その結果、非常に簡単な構造で実現できる容易に交換可能なスクレーパ要素を有するスクレーパが得られる。回転軸線回りの回転性は、二度、すなわち、一方では作動中にスクレーパ要素を整列させるために、他方ではスクレーパ要素を交換する場合にスクレーパ要素を取り外すために、使用される。スクレーパ要素は、好ましくは、工具なしに手動で回転され得る。
【0016】
交換、すなわち、例えば摩耗したスクレーパ要素を新しいスクレーパ要素と交換するために、古いスクレーパ要素を解放角度範囲まで回転させるだけで十分である(このため、予め、回転を可能にするために、スクレーパ要素がコンベアベルトから十分に離れた距離を持つ位置にシステムキャリアを移動させることが必要である)。そして、スクレーパ要素をベース要素から取り外すことができ、解放角度範囲内の回転位置に配置された新しいスクレーパ要素をベース要素に取り付ける、例えばベース要素に挿入することができ、その後、ロックするための固定角度範囲内の回転位置に回転させることができる。
【0017】
回転カップリング(回転接手)は、本発明による機能を果たすために様々な方法で実現することができる。好ましい実施形態によれば、それは、係合要素が、解放角度範囲内にある第1の回転位置において挿入開口部を通して案内され、固定角度範囲内にある第2の回転位置において挿入開口部にロックされるように形成された、係合要素及び挿入開口部を有する。挿入開口部及びそのリム(縁)は、ベース要素の一部であっても良いし、ベース要素に取り付けられていても良く、係合要素は、スクレーパ要素の側に設けられていても良いし、その逆であっても良い。
【0018】
係合要素は、特に好ましくは、挿入スリーブ内に挿入可能なシャフト上に配置することができ、その場合、挿入開口部は挿入スリーブ内に形成される。挿入開口部のリムは、挿入スリーブ内に内側に向けて突出するように形成されることができる。シャフトは、好ましくは、スクレーパ要素に連結され、例えばスクレーパ要素に対して堅固に動かないように取り付けられ、一方、挿入スリーブはベース要素に固定される。スクレーパ要素の回転性は、好ましくは、挿入スリーブ内でのシャフトの回転性によって保証される。好ましくは、シャフト及び/又は挿入スリーブ、及び特に好ましくは回転軸線が、スクレーパ要素のスクレーパエッジに対して少なくとも実質的に垂直に、又は、少なくとも45°を超える、好ましくは60°を超える角度βで延在(伸長)することができる。
【0019】
また、回転軸線は、好ましくは、システムキャリアに対して少なくとも実質的に垂直に、又は、少なくとも60°を超える角度βで配置される。したがって、上から又は下から視ると、回転軸線は、好ましくは、コンベアベルトの走行方向に対して少なくとも実質的に平行に延在する。側面から、すなわち、コンベアベルトの走行方向に対して水平かつ横断方向から視ると、回転軸線は、好ましい実施形態では、コンベアベルトの走行方向に対して、例えば0-35°の比較的小さい角度γを囲むことができる。しかしながら、回転軸線がコンベアベルトの走行方向に対してかなり急峻に、すなわち、より大きな角度γで配置される、代わりの有利な実施形態も考えられる。
【0020】
好ましい実施形態によれば、回転軸線回りのスクレーパ要素の回転は、例えば、重力のみがスクレーパ要素に作用している際に自由な回転が起こらないように、僅かに減衰されるか又は意図的に緩慢になっている。対照的に、回転カップリングは非常に滑らかに作動するため、スクレーパ要素がコンベアベルトと接触することによって生じる力の影響を受けている間は、スクレーパ要素の自由な回転と位置合わせが可能になる。狙いを定めた減衰又は緩慢さにより、スクレーパ要素の設置が容易になる。これは、望ましくない方法でこれを変更することなく、例えば手動で回転させることによって、スクレーパ要素の所望の位置合わせを事前に規定することができるからである。挿入スリーブに挿入可能なシャフトを有する回転カップリングの好ましい構成の場合、減衰は、例えば、シャフトと挿入スリーブ間の相対的な動き、特に回転を減衰させるために、シャフト及び/又はスリーブの内側に接触するために設けられた摩擦要素によってもたらされることができる。
【0021】
さらに、シャフト及び挿入スリーブを備えた回転カップリングの構成の好ましい場合において、シャフトと挿入スリーブの内側との間をシールするためのシール要素を設けて、汚染物質の侵入を回避することができる。シール要素は、好ましくは、例えばOリングとして、シャフトを完全に取り囲むことができる。特に、シーリング要素は、シャフトと挿入スリーブとの間における相対的移動の所望の減衰を達成するために利用することもできる。
【0022】
本発明のさらなる展開によれば、スクレーパモジュールは、システムキャリアに対してスクレーパ要素を枢動させることができるジョイントを有することができる。ジョイントの枢動軸線は、好ましくは、システムキャリアに対して少なくとも実質的に平行に整列させることができる。さらに好ましくは、ジョイントの枢動軸線は、回転カップリングの回転軸線に対して少なくとも実質的に垂直に又は少なくともそれに対して少なくとも60°の角度で整列される。スクレーパ要素をジョイント内で枢動させることにより、コンベアベルトとの可変接触を好ましくは達成することができ、障害物が通過できるようにするために、ジョイント内の枢動運動によってスクレーパ要素をベルト表面から枢動(旋回)させて離すことができる可能性が、特に好ましい。
【0023】
スクレーパ要素に対してコンベアベルトの方向に押圧力を加えるために、好ましくはバネ要素を設けることができる。したがって、スクレーパ要素とコンベアベルトとの弾性接触を達成することができる。このために、例えば、捩じりバネ、渦巻きバネ、引張バネ又は圧縮バネ等の任意のタイプのバネ要素を使用することが本質的に可能である。ジョイント内により好ましく配置されるゴム捩じりバネの使用が、特に好ましい。
【0024】
有利な実施形態によれば、ジョイント内のスクレーパ要素の枢動運動のためにストッパが設けられる。その結果、コンベアベルトの方向へのスクレーパ要素の移動を特に制限することができる。ストッパは、好ましくは、停止位置において、コンベアベルトの表面の方向に依然としてバイアス(付勢力)が存在するように配置される。
【0025】
スクレーパ要素は、好ましくは、スクレーパアームを介してジョイントに連結されることができ、回転カップリングは、スクレーパアーム上に形成される。
【0026】
請求項13に記載の発明に係るスクレーパモジュールは、説明されたスクレーパの一部として提供され、少なくともベース要素、スクレーパ要素、及び回転カップリングを含む。
【0027】
スクレーパが請求項14に記載の本発明に係るベルトコンベア配備される場合、システムキャリアは、コンベアベルトを横切る方向に整列され、スクレーパ要素又は好ましくは複数のスクレーパ要素が、コンベアベルトに当接する。
【0028】
本発明の実施形態は、図面を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第1実施形態に係る、コンベアベルト及びスクレーパを有するベルトコンベアの一部の斜視図を示す。
【
図1a】
図1における保持装置の拡大斜視図を示す。
【
図2】第1の実施形態に係る、コンベアベルト及びスクレーパを有するベルトコンベアの一部の斜視図を示す。
【
図3】
図1及び2におけるスクレーパの側面図である。
【
図4】
図1ないし
図3におけるスクレーパのスクレーパモジュールの上面図を示す。
【
図5】
図1ないし
図3におけるスクレーパのスクレーパモジュールの部分的に切り取られた側面図を示す。
【
図6】
図5中のA-A線でのスクレーパモジュールの断面図を示す。
【
図7】
図4及び5のスクレーパモジュールのスクレーパ要素が取り外された斜視図を示す。
【
図8a】システムキャリアの引き出し中における第1実施形態に係るスクレーパの部分の様々な位置の斜視図を示す。
【
図8b】システムキャリアの引き出し中における第1実施形態に係るスクレーパの部分の様々な位置の斜視図を示す。
【
図8c】システムキャリアの引き出し中における第1実施形態に係るスクレーパの部分の様々な位置の斜視図を示す。
【
図8d】システムキャリアの引き出し中における第1実施形態に係るスクレーパの部分の様々な位置の斜視図を示す。
【
図8e】システムキャリアの引き出し中における第1実施形態に係るスクレーパの部分の様々な位置の斜視図を示す。
【
図9a】引き出し補助具を使用するときの第1実施形態に係るスクレーパの斜視図を示す。
【
図9b】引き出し補助具を使用するときの第1実施形態に係るスクレーパの斜視図を示す。
【
図9c】引き出し補助具を使用するときの第1実施形態に係るスクレーパの斜視図を示す。
【
図11】第2実施形態に係る、コンベアベルト及びスクレーパを有するベルトコンベアの一部の斜視図を示す。
【
図12】
図11におけるスクレーパのシステムキャリアの上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1及び
図2は、第1実施形態において、屈曲ドラム14の周りで屈曲されるコンベアベルト12を有するベルトコンベア10の一部の斜視図を示す。屈曲ドラムのシャフトは、ベルト脚部(ベルトスカフォード)16に取り付けられており、ここではその一部のみが概略的に示されている。
【0031】
ベルトコンベア10においては、複数のスクレーパモジュール26を有するスクレーパ18は、システムキャリア24と、ベルト脚部16に取り付けるための保持装置20及び対向支持体(カウンターサポート)22と一緒に設けられている。
【0032】
保持装置20及び対向支持体22は、それぞれ、ベルト脚部16に固定されるか又はベルト脚部16の一部である取付部を有し、ここでは、それぞれ取付プレート28の形態をなす。保持プレート30の形態をなす保持要素は、いずれの場合も取付プレート28に取り付けられる。
【0033】
図示の実施形態において、システムキャリア24は、一定の円形断面をなすチューブ(管)である。保持プレート30は、それぞれ、システムキャリア24が回転可能に取り付けられるプラスチック製のスライドブッシュ33が挿入される円形リセスを有する。
【0034】
図3において、二つのスクレーパモジュール26が側面図で示されている。スクレーパモジュール26は、それぞれ、クランプ保持装置34においてシステムキャリア24に着脱自在に取り付けられたベース要素32を含む。スクレーパアーム36は、枢動軸線38を中心としてベース要素32に旋回可能に取り付けられている。スクレーパアーム36の端部には、それぞれ、スクレーパ要素42を有するスクレーパ要素ホルダ40が配置されている。
【0035】
例えば、
図2から分かるように、複数のスクレーパモジュール26が、システムキャリア24上に互いに隣り合って配置されている。システムキャリア24は、コンベアベルト12の幅方向、すなわちその進行方向に対して横方向(横切る方向)に延びている。第1実施形態において、互いに隣接して配置されたスクレーパモジュール26は、スクレーパ要素42が二つの千鳥状の列に配置されるように、短いスクレーパアーム36と長いスクレーパアーム36とを交互に有し、そこでは、コンベアベルトの走行方向で視て、二つの列のスクレーパ要素42の間の僅かな重なりが常に提供される。複数のスクレーパモジュール26は、その列がコンベアベルト12の幅全体に亘って少なくとも実質的に延在するように、互いに隣り合って配置される。
【0036】
ベルトコンベア10及びスクレーパ18の作動中において、スクレーパ要素42のスクレーパエッジは、
図3に示すように、例えばコンベアベルト12の戻り領域において、コンベアベルト12の表面に剥離させる(皮を剥がす)ように接触する。スクレーパ要素42は、コンベアベルト12の表面に対して弾性的に押し付けられる。これにより、異物及び付着した搬送物は、スクレーパ要素42によって走行中のコンベアベルト12から掻き取られる。
【0037】
図4及び
図5において、スクレーパモジュール26の一つがより詳細に示されている。そこに示されるように、ベース要素32とスクレーパアーム36との間にジョイント44が設けられ、スクレーパアーム36が枢動軸線38を中心に枢動できるようになっている。図示されるように、ジョイント44は、ベース要素32を取り囲むスターラップ(鐙金)46を含む。
【0038】
スクレーパアーム36にトルクを及ぼすゴム捩じりバネ(不図示)は、ジョイント44の内部で作用する。
【0039】
ベース要素32上には、ストッパ48として突出タブが設けられている。停止位置では、スターラップ46の一部がストッパ48に当接して、スクレーパアーム36が枢動軸線38を中心としてそれ以上旋回できないようになっている。ゴム捩じりバネは、ストッパの方向においてスクレーパアーム36に作用するように形成され、バネのバイアス(付勢力)48は、
図5に示される停止位置で優勢である。
【0040】
スクレーパモジュール26のそれぞれのバネの効果により、スクレーパ要素42は、コンベアベルト12の表面に押し付けられるが、作動中の対応する力の影響中にジョイント44内で枢動することによって、例えば、コンベアベルト12の表面上の動かない(変化のない)ベルトの損傷、隆起又は同様のもののために、バネの効果に逆らって枢動軸線38回りのスクレーパアーム36の対応する枢動移動によって、回避作動をとることができる。
【0041】
スクレーパ要素42の全体がコンベアベルト12に押し付けられるスクレーパ18全体のバイアス(付勢力)は、システムキャリア24の回転位置を特定することによって予め定められる。テンション(緊張力付加)装置50は、保持プレート30とシステムキャリア24との間の保持装置20上に設けられる。
【0042】
図1aは、保持装置20を拡大図で示している。システムキャリア24に取り付けられたクランプリングは、システムキャリア24から半径方向に突出するテンションアーム54を有し、テンションアーム54は、保持プレート30に固定して取り付けられたアタッチメントに対してテンションネジ56によりテンション(緊張力)をかけることができる。テンションネジ56を調整することにより、システムキャリア24を回転させることができ、スクレーパモジュール26のバネのバイアス(付勢力)を調整することができる。
【0043】
さらに、
図1及び
図1aに示されるように、プレート形状の支持要素80は、図示の実施形態では取付プレート28と保持プレート30との間に配置され、保持装置20の取付プレート28にさらに取り付けられている。支持要素80の形状及び機能は、
図8a-
図8d及び
図10に関して、以下でより詳細に説明される。
【0044】
スクレーパ18の作動中において、スクレーパ要素42は常に摩耗するので、定期的な点検と保守(メンテナンス)が必要となる。スクレーパ18は、ベルト脚部16への取り付けに関して、及びスクレーパ要素42のスクレーパモジュール26への取り付けに関して、特に簡単な方法でメンテナンスされるように設計されている。
【0045】
特に、
図4、
図5及び
図7から明らかなように、スクレーパアーム36は、互いに取り外し可能に固定される二つの要素、すなわち、スクレーパ要素ホルダ40に取り付けられたシャフト58と、ベース要素32に連結された、すなわち、ジョイント44のスターラップ46に固定されたスリーブ60とを含む。シャフト58はスリーブ60に挿入され(
図5)、ツイストロック62によってスクレーパアーム36の長手軸線64の方向に固定される。
【0046】
長手軸線64は、示された実施形態においては
図2及び
図3から明らかなように、コンベアベルト12の走行方向に平行な鉛直視で、システムキャリア24の長手軸線に対して、垂直、すなわち、角度βが90°(
図8eを参照)をなす方向に延びている。
図2及び
図3は、横から視た水平視(
図3)において、長手軸線64は、コンベアベルト12の走行方向に対して約9°の角度γをなす方向に延びている。示された実施形態における長手軸線64は、さらに、スクレーパ要素42の接触エッジに対して、垂直にすなわち角度δが90°で位置合わせされる(
図4を参照)。
【0047】
シャフト58は、長手軸線64を中心にスリーブ60内で自由に回転することができ、そのため、長手軸線64は回転軸線とも呼ばれる。しかしながら、シールリング66が設けられており、これは、一方ではシャフト58に対してスリーブ60の内部空間をシールし、他方ではスリーブ60の内側との接触による摩擦によって、スリーブ60に対するシャフト58の動きに一定の緩慢さ(鈍さ)を生じさせる。
【0048】
ツイストロック62は、スリーブ60の側において、スリーブ60の内部に突出するリム(枠部)を有すると共にその内部に配置された細長い窓62aを含み、又、シャフト58の側において、シャフト58の端部においてより小さい直径の延長部63に固定して取り付けられた細長い板状の係合要素62bを含む。
【0049】
図6の断面図から特に明らかなように、係合要素62b及び窓62aは、係合要素62bが窓62aと平行に位置合わせされたとき(点線で示されている)、窓62bを通して長手軸線64の方向に挿入することができ、一方、図示(実線)のように、窓62aのリム(縁)との平行整列に対して捩じれた位置でロックされる、ように形成されている。
【0050】
したがって、長手縦線64の軸線方向において、スリーブ60へのシャフト58の固定に関して、回転位置への依存が生じる。
【0051】
窓62aに平行な係合要素62bの位置(点線で表示)では、スクレーパ要素ホルダ40が取り付けられたシャフト58及びスクレーパ要素42は、解放角度範囲68a内の位置に位置する。解放角度範囲の回転位置では、ツイストロック62が解放され、シャフト58はスリーブ60に対して長手方向に自由に移動することができる。
【0052】
シャフト58がスリーブ60に対してさらに捩じられると、係合要素62bの端部が窓62aのリム(枠部)の背後に係合し、シャフト58がスリーブ60に対して長手方向に固定される。シャフト58の対応する位置は、ツイストロック62がロックされる固定角度範囲68b内にある。
【0053】
図示のように、解放角度範囲68aは、
図6中において点線で示された回転位置を中心としており、そこでは、コンベアベルト12に当接するために設けられたスクレーパ要素42のフロントエッジ(前縁)は、システムキャリア24の長手方向及びスクレーパモジュール26の枢動軸線38に対して90°に位置付けられる。対照的に、固定角度範囲68bは、これに対して90°回転されかつ
図6に実線で示される回転位置を中心とする。この回転位置では、スクレーパ要素42のスクレーパエッジは、システムキャリア24の長手方向及びジョイント44の枢動軸線38に対して平行に整列される。
【0054】
スリーブ60の内側でシャフト58が自由に回転できるため、それぞれのスクレーパ要素42は、コンベアベルト12と接触している間中、その輪郭に従って整列することができる。実際には、これは、ベルトの幅全体に亘って常に平坦ではなく、例えば端に向かって湾曲する。接触圧力により、スクレーパ要素ホルダ40は、スクレーパ要素42がコンベアベルト12の形状に追従するように、常に自身を調整する。
【0055】
しかしながら、解放角度範囲68a内にある回転位置は、どの作動位置においても達成されない。したがって、ツイストロック62は、スクレーパ要素42がコンベアベルト12と接触している間は固定角度範囲に常に留まり、それ故に、それぞれのスクレーパモジュール26のベース要素32への固定を確実にする。
【0056】
スクレーパ18及びスクレーパモジュール26での作業を可能にするために、特に、スクレーパ要素42、スクレーパ要素ホルダ40及びシャフト26を含むユニットを交換できるようにするために、スクレーパモジュール26が取り付けられたシステムキャリア42は、
図8a-
図8eに関して以下に説明するように、特に簡単な方法で取り外して横方向に引き出すことができる。
【0057】
したがって、保持装置20の側では、取付プレート28への保持プレート30の特定の取付け(アタッチメント)が設けられ、対向支持体(カウンターサポート)22の側では、保持プレート30の軸受ブッシュ33内のシステムキャリア24の軸受は、システムキャリア24がその長手方向に自由に移動できるように設けられている。
【0058】
図1aに示されるように、保持プレート30は、二つのプラグ連結70及びネジ連結72によって、保持装置20の取付プレート28に固定されている。プラグ連結70は、取付プレート28上に互いに距離を置いて平行に配置され、保持プレート30の孔に正確に嵌合して受け入れられる二つのボルトによって形成されている。プラグ連結70は、システムキャリア24の長手方向において、取付プレート28から保持プレート30を離脱させることによって取り外すことができる。
【0059】
二つのプラグ連結70の間に形成されたネジ連結72は、ボルトと平行に整列されたネジを含み、このネジで保持プレート30が取付プレート28に締結される。
【0060】
ベルトコンベア10及びスクレーパ18の作動のための作動位置では、保持プレート30は、ネジ連結72によって取付プレート28に固定される。
【0061】
作動(運転)が中断された場合、スクレーパ18を組立配置(アセンブリアレンジメント)に移すことによって、保守されるべきスクレーパ18の部品を引き出すことができる。ネジ連結72を緩め、システムキャリア24を長手方向に引っ張ることでプラグ連結70a,70bを引き続き取り外すことによって、保持プレート30を取付プレート28から取り外すことができる。このためにハンドル74が設けられている。
【0062】
図8aは、作動位置から始めて、先ずネジ連結72を解放することを示している。そして、保持プレート30が、システムキャリア24と共にその長手方向に取付プレート28から引き離されて、プラグ連結70a,70bが取り外される。
【0063】
既に述べたように、取付プレート28と保持プレート30との間の保持装置20は、支持要素80を含む。支持要素80は、
図8bから明らかなように、システムキャリア24の方向に延びると共にシステムキャリア24を部分的に囲むフック形状の保持部82を有し、それはリセス(凹部)86を画定する。保持部82及びリセス86は、図示のように、システムキャリア24の(この場合は丸い)外輪郭に対応する特定の部分において(この場合は丸い)内側輪郭を有する。保持部82は、作動位置においてすなわち保持プレート30が取付プレート28に固定されている場合に、システムキャリア24に接触せずに、そこから数ミリメートルの一定の距離を残すように、配置されている。保持部82の上方において、支持要素80は、システムキャリア24が通過する切り欠き84を有する。
【0064】
組立配置において、すなわち、ネジ連結72及びプラグ連結70a,70bの解放(
図8b)に続いて、システムキャリア24は、僅かに沈み、その後、リセス86内において、支持要素80の保持部82上に静止する。保持プレート30と取付プレート28との間の連結を取り外した後に、支持要素80はシステムキャリア24の保持を引き継ぐ。図示のように、支持要素80は、保持プレート28にそれ故にベルト脚部16に固定されている。
図10に示されるように、保持部82は、システムキャリア24を、リセス86において約135°の外周領域αに亘って包囲し、システムキャリア24が落下しないようにシステムキャリア24を下から支持する。
【0065】
さらなる過程で、システムキャリア24は、保持プレート30及びテンション装置50と一緒に、その長手軸線の方向に引き出される(
図8b)。その際、支持要素82は、システムキャリア24が落下しないようにシステムキャリア24を支持する。対向支持体(カウンターサポート)22の軸受ブッシュ33内でのシステムキャリア24の移動可能性により、それを特に容易に引き出すことが可能である。
【0066】
スクレーパモジュール26は、取付プレート28及び支持要素80を通過することができる。これは、切り欠き84を備えてシステムキャリア24を部分的にのみ包囲する保持部82のフック形状が、システムキャリア24が引き出されるときに、スクレーパモジュール26がベルト領域の外側の引き出し位置に移され得るように、十分な自由空間を残すためである。(
図8d)。したがって、スクレーパモジュール26は、衝突することなく、支持要素80及び取付プレート28の面の自由領域を通って案内され得る。支持要素80の切り欠き84は、自由領域の一部を形成する。
【0067】
引き出し位置において、スクレーパモジュール26は、容易にアクセス可能であり、又、点検及び保守が可能である。特に、磨耗したスクレーパ要素42は、上述のようにそれぞれのスクレーパモジュールのスクレーパ要素42,スクレーパ要素ホルダ40,及びシャフト58から構成されるそれぞれのユニットを取り外し、回転軸線64回りにそれらを捩じり、長手方向にそれらを分離し、その後同じ方法で新しい要素を取り付けることによって交換することができる。
【0068】
したがって、スクレーパ18の点検及び保守のプロセスが特に容易になる。図示の実施形態では、一つのネジ(ネジ連結72)を単純に緩めるだけで、システムキャリア24をスクレーパモジュール26と一緒に横方向に引き出すことが可能である。支持要素80によって提供される支持(サポート)により、これは一人で行うことができる。
【0069】
コンベアベルト12の側面に利用可能な十分なスペースがある場合は、引き出し補助具を使用してシステムキャリア24を引き出すことで、システムキャリア24の取り扱いをさらに容易にすることができる。この目的のために、
図9aに示すように、先ず、アダプタ76を横方向においてシステムキャリア24に取り付けてクランプするか又は他の方法で固定することができる。続いて、アダプタ76にチューブを取り付けることができ、このチューブは、引き出し補助具78として機能し、システムキャリア24の延長部に取り付けられる。引き出し補助具78によって、システムキャリア24は、特に支持要素80の保持部82上の支持に関して、特に良好に取り扱われることができる。
【0070】
第2実施形態に係るスクレーパ118が、
図11-
図14に示されている。第2実施形態に係るスクレーパ118は、多くの詳細において、第1実施形態に係るスクレーパ18に対応するため、相違点のみを以下により詳細に説明し、他の点については前述の説明を参照する。同じ参照符号は、実施形態同士の間で対応する要素を示す。
【0071】
説明し図示した第1実施形態に係るスクレーパ18の場合、スクレーパ要素42は二列に配置されているが、第2実施形態に係るスクレーパ118は、スクレーパモジュール126上にスクレーパ要素42の単一列の配置を含み、これらはそれぞれ同じ長さであり、システムキャリア24上で互いに隣り合って配置されている。
【0072】
図12から特に明らかなように、スクレーパ要素42のスクレーパエッジは、第1実施形態の場合のようにコンベアベルト12の横方向に一直線に整列されず、示された実施例において、約15°の角度で斜めに整列されている。しかしながら、スクレーパアーム36は、第1実施形態の場合のように、その長手軸線64と共にコンベアベルト12の長手方向に対して、すなわち、第1実施形態の場合のように90°の角度βで延在する。
【0073】
スクレーパ要素42は、スクレーパアーム36に対して約75°の角度δで斜めに取り付けられる。システムキャリア24上の隣接するスクレーパモジュール126は、コンベアベルト12の長手方向に視て、スクレーパ要素42の僅かな重なりが生じるように非常に接近して配置され、これにより、ベルト幅全体に亘ってスクレーパ効果を生じる。
【0074】
他の点では、第2実施形態に係るスクレーパ118は、構造及び機能に関して第1実施形態にかかるスクレーパ18と同一であり、すなわち、スクレーパ18と共通して、各々のスクレーパ118は、クランプ保持装置34内においてシステムキャリア24に取り外し可能に取り付けられたベース要素32と、枢動軸線38を中心に旋回可能に取り付けられると共にその端部にスクレーパ要素42を有するスクレーパ要素ホルダ40が配置されたスクレーパアーム36を含む。付勢された捩じりバネは、スクレーパ118の作動中に、スクレーパ要素42のスクレーパエッジがコンベアベルト12の表面12に剥離させるように接触し、異物(付着物)を掻き落とすために表面12に対して弾性的に押し付けられるようなトルクを与える。コンベアベルト12の表面に静止した障害物がある場合、スクレーパ要素42は、バネの作用に抗して枢動軸線38を中心とするスクレーパアーム36の枢動運動により、回避作動を行うことができる。
【0075】
図13は、第2実施形態について、横から見た水平図を示しており、そこから、コンベアベルト12の走行方向と長手軸線64との間の角度γを視ることができる。配置と設定に応じて、角度γは、例えば、0°から20°の間とすることができ、図示の実施形態では、角度γは約15°である。
【0076】
第2実施形態の場合も同様に、スクレーパアーム36は、スクレーパ要素ホルダ40に取り付けられたシャフト58を含み、このシャフトはスリーブ60に挿入され、その中において長手軸線64を中心に回転することができる。ツイストロック62によって、対応する位置合わせにおいて、すなわち、ベルト接点によって定義される通常位置からの回転で、シャフト58をスリーブ60から引き出すか又はスリーブに挿入できる、ことが保証される。
【国際調査報告】