(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】4族金属元素-含有化合物、これを含む前駆体組成物、およびこれを用いた薄膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07F 7/00 20060101AFI20231025BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20231025BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
C07F7/00 A CSP
C07F7/00 Z
H01L21/316 X
H01L21/31 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515700
(86)(22)【出願日】2021-09-06
(85)【翻訳文提出日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 KR2021012037
(87)【国際公開番号】W WO2022055201
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0114508
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519350498
【氏名又は名称】ハンソル ケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANSOL CHEMICAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】7-8F, 513, Teheran-ro, Gangnam-gu, Seoul 06169, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヒョン-キ
(72)【発明者】
【氏名】パク, チョル-ワン
(72)【発明者】
【氏名】ムン, キ-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】シン, エ-スル
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ウン-ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ソク, チャン-ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】パク, チュン-ウ
【テーマコード(参考)】
4H049
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4H049VN05
4H049VN06
4H049VN07
4H049VP01
4H049VQ35
4H049VR22
4H049VR52
4H049VR54
4H049VS35
4H049VU31
4H049VV02
5F045AA06
5F045AA15
5F045AB31
5F045AC07
5F045AC11
5F045AC12
5F045AD06
5F045AD07
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5F058BF04
5F058BF27
5F058BF29
5F058BF30
5F058BF37
(57)【要約】
本発明は、熱的安定性に優れた新規4族金属元素-含有化合物、前記化合物を含む前駆体組成物、および前記前駆体組成物を用いた薄膜の製造方法に関する。本発明による新規4族金属元素-含有化合物および前記化合物を含む気相蒸着前駆体組成物は、熱的安定性に優れ、広い温度範囲で薄膜蒸着が可能であり、熱損失による残留物が少なくて工程上の副反応を防止できる。また、本発明による気相蒸着前駆体組成物は、均一な薄膜蒸着が可能であり、これによる優れた薄膜物性の確保が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物:
【化1】
前記化学式1において、
Mは、4族金属元素の中から選択されたいずれか1つであり、
R
1~R
4は、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換の炭素数1~6の線状または分枝状、飽和または不飽和炭化水素基であり、
R
5およびR
6は、それぞれ独立して、炭素数1~4の線状または分枝状アルキル基、炭素数1~4のジアルキルアミン基、または炭素数1~4のアルコキシ基である。
【請求項2】
前記Mは、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)またはチタン(Ti)であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1~1-9のいずれか1つで表されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物:
【化1-1】
【化1-2】
【化1-3】
【化1-4】
【化1-5】
【化1-6】
【化1-7】
【化1-8】
【化1-9】
前記化学式1-1~1-6において、Meは、メチル基である。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物を含む、気相蒸着前駆体組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の気相蒸着前駆体組成物を用いて4族金属元素-含有薄膜を形成するステップを含む、薄膜の製造方法。
【請求項6】
前記4族金属元素-含有薄膜を形成するステップは、基板上に前記気相蒸着前駆体組成物をチャンバに導入するステップを含む、請求項5に記載の薄膜の製造方法。
【請求項7】
前記薄膜の製造方法は、原子層蒸着法(Atomic Layer Deposition、ALD)または化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition、CVD)を含む、請求項5に記載の薄膜の製造方法。
【請求項8】
前記4族金属元素-含有薄膜は、ジルコニウム-含有薄膜、ハフニウム-含有薄膜、またはチタン-含有薄膜である、請求項5に記載の薄膜の製造方法。
【請求項9】
反応ガスとして酸素-含有供給源、窒素-含有供給源、炭素-供給源、ケイ素-供給源、および還元剤の中から選択されたいずれか1つ以上を注入するステップをさらに含む、請求項5に記載の薄膜の製造方法。
【請求項10】
前記反応ガスは、水素(H
2)、水(H
2O)、酸素(O
2)、オゾン(O
3)、アンモニア(NH
3)、ヒドラジン(N
2H
4)およびシラン(Silane)の中から選択されたいずれか1つ以上である、請求項9に記載の薄膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱的安定性に優れた4族金属元素-含有化合物、前記化合物を含む前駆体組成物、および前記前駆体組成物を用いた薄膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の核心構造であるMOSFET(metal-odxide-semiconductor field effect transisteor)のゲート構造に使用されるゲート酸化膜(ゲート誘電膜)は、本来の素材であるケイ素酸化物(silicon oxide)の素子集積化によって薄い酸化膜によるリーク電流の増加、ゲート空乏層の形成といったデメリットがある。静電容量は、キャパシタ絶縁膜の比誘電率および電極の面積に比例し、厚さに反比例する。したがって、高誘電率物質を使用しながら、薄膜の厚さは減少させずに静電容量を上昇する方法として、スタック(stack)型構造を有するキャパシタに変化した。これによる技術的要求は、一定比率のアスペクト比を有する構造内に電極層と誘電体層を均一な厚さに薄膜形成させることにある。このような要求を解消すべく、100nm工程から高誘電物質としてAl2O3を採用すると同時に薄膜の段差被覆性を確保するための工程として原子層蒸着(ALD)技術が導入された。80nm以下の微細工程に入るに伴い、高誘電率のオキシド素材が要求され、これによってジルコニウムまたはハフニウムを含む酸化膜(ZrO2、HfO2など)が産業界にて使用されている。
【0003】
ジルコニウム酸化膜の主要前駆体として使用されている物質は、TEMAZ(Tetrakis Ethyl Methyl Amino Zirconium)とCpTDMAZ(Cyclopentadienyl tris-dimethylamino zirconium)などがある。TEMAZの場合、単斜晶系、三斜晶系結晶構造のジルコニウム酸化膜を形成し、280℃以上で急激な前駆体の分解現象によって段差被覆性を確保できないという限界がある。CpTDMAZ前駆体は、シクロペンタジエニル(cyclopentadienyl)基を活用して金属イオンとπ結合により強く結合し、熱によるβ、γ水素除去反応を抑制するために、ジメチルアミノ(dimethylamino)基を導入することにより、300℃までALD工程を実現できる前駆体である。このため、30nm工程からはTEMAZの代わりにCpTDMAZに前駆体を変更して使用されている。しかし、CpTDMAZも、310℃以上における急激な前駆体の分解がデメリットとして確認されている。
【0004】
一方、大韓民国公開特許第10-2012-0105070号および第10-2014-0078534号などにおいて、ジルコニウムなどの4族金属元素を含有する化合物および4族金属元素-含有薄膜に関する内容を開示しているが、化合物の構造によって熱安定性の確保および薄膜蒸着均一性の向上に限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国公開特許第10-2012-0105070号
【特許文献2】大韓民国公開特許第10-2014-0078534号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、原子層蒸着法(Atomic Layer Deposition、ALD)または化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition、CVD)に適用可能な新規4族金属元素-含有化合物およびこれを含む気相蒸着前駆体組成物を提供しようとする。
【0007】
特に、熱的安定性に優れ、広い温度範囲で薄膜蒸着が可能であり、熱損失による残留物が少なくて工程上の副反応を防止でき、物性に優れた薄膜を均一に蒸着できる気相蒸着前駆体組成物を提供することを目的とする。
【0008】
しかし、本願が解決しようとする課題は以上に言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は以下の記載から通常の技術者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の一側面は、下記化学式1で表される化合物を提供する:
【0010】
【0011】
前記化学式1において、Mは、4族金属元素の中から選択されたいずれか1つであり、
R1~R4は、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換の炭素数1~6の線状または分枝状、飽和または不飽和炭化水素基であり、
R5およびR6は、それぞれ独立して、炭素数1~4の線状または分枝状アルキル基、炭素数1~4のジアルキルアミン基、または炭素数1~4のアルコキシ基である。
【0012】
本願の他の側面は、前記化合物を含む、気相蒸着前駆体組成物を提供する。
【0013】
本願のさらに他の側面は、前記気相蒸着前駆体組成物を用いて4族金属元素-含有薄膜を形成するステップを含む、薄膜の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明による新規4族金属元素-含有化合物および前記化合物を含む気相蒸着前駆体組成物は、熱的安定性に優れ、広い温度範囲で薄膜蒸着が可能であり、熱損失による残留物が少なくて工程上の副反応を防止できる。
【0015】
また、本発明による気相蒸着前駆体組成物は、均一な薄膜蒸着が可能であり、これによる優れた薄膜物性の確保が可能である。
【0016】
前記のような物性は、原子層蒸着法に適した前駆体を提供し、これを蒸着した薄膜の製造によりゲート誘電体物質への適用を期待可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本願の実施例1によるジルコニウム前駆体(ZEA)および比較例1によるジルコニウム前駆体(ZAC)の熱分解特性を比較した熱重量分析(Thermogravimetric Analysis、TGA)グラフである。
【
図2】本願の実施例2、3および5によるハフニウム前駆体(HEA、HEAMおよびHGEA)と比較例2によるハフニウム前駆体(HAC)の熱分解特性を比較した熱重量分析(TGA)グラフである。
【
図3】本願の実施例4によるチタン前駆体(TEAM)の熱重量分析(TGA)グラフである。
【
図4】本願の製造例1において、前駆体の注入時間によるジルコニウム酸化膜の蒸着率を示すグラフである。
【
図5】本願の製造例2において、酸化剤の注入時間によるジルコニウム酸化膜の蒸着率を示すグラフである。
【
図6】本願の製造例3において、工程温度によるジルコニウム酸化膜の蒸着率を示すグラフである。
【
図7】本願の製造例4において、前駆体の注入時間および工程温度によるハフニウム酸化膜の蒸着率を示すグラフである。
【
図8】本願の製造例5において、酸化剤の注入時間によるハフニウム酸化膜の蒸着率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本願の実施形態および実施例を詳細に説明する。しかし、本願は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施形態および実施例に限定されない。
【0019】
本願明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これはある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0020】
本願明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0021】
また、本願明細書全体において、「~するステップ」または「~のステップ」は、「~のためのステップ」を意味しない。
【0022】
本願明細書全体において、用語「アルキル」は、1~6個の炭素原子を有する線状または分枝状アルキル基、好ましくは、1~4個の炭素原子を有する線状または分枝状アルキル基、およびこれらのすべての可能な異性体を含む。例えば、前記アルキル基としては、メチル基(Me)、エチル基(Et)、n-プロピル基(nPr)、iso-プロピル基(iPr)、n-ブチル基(nBu)、tert-ブチル基(tBu)、iso-ブチル基(iBu)、sec-ブチル基(secBu)、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、neo-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、およびこれらの異性体などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
本願明細書全体において、用語「4族金属元素」は、周期律表の第4族に属する化学元素を意味するもので、Zr、Hf、またはTiを含むことができる。
【0024】
本願明細書全体において、用語「Cp」は、-C5H4で表現され、「シクロペンタジエニル(cyclopentadienyl)基」の略語を意味する。
【0025】
以下、添付した図面を参照して、本願の実施形態および実施例を詳細に説明する。しかし、本願がこのような実施形態および実施例と図面に制限されるものではない。
【0026】
本発明は、原子層蒸着法または化学気相蒸着法に適用可能であり、反応性、揮発性および熱的安定性に優れた新規4族金属元素-含有化合物、前記4族金属元素-含有化合物を含む気相蒸着前駆体組成物、前記前駆体組成物を用いた薄膜の製造方法、および前記前駆体組成物で製造された4族金属元素-含有薄膜に関する。
【0027】
本願の一側面は、下記化学式1で表される化合物を提供する:
【0028】
【0029】
前記化学式1において、Mは、4族金属元素の中から選択されたいずれか1つであり、好ましくは、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)またはチタン(Ti)であり、R1~R4は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~6の線状または分枝状、飽和または不飽和炭化水素基であり;R5およびR6は、それぞれ独立して、炭素数1~4の線状または分枝状アルキル基、炭素数1~4のジアルキルアミン基、または炭素数1~4のアルコキシ基である。
【0030】
好ましくは、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1~4の線状または分枝状アルキル基であり、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素または炭素数1~4の線状または分枝状アルキル基であり、R5およびR6は、それぞれ独立して、炭素数1~4の線状アルキル基または炭素数1~4の線状ジアルキルアミン基である。
【0031】
本願の一実施形態において、前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1~1-9のいずれか1つで表されることが好ましい。
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
前記化学式1-1~1-6において、Meは、メチル基である。
【0042】
本発明による化合物は、4族金属元素を中心金属とするアミノキレート化合物であって、反応性および揮発性に優れ、比較的低い温度で精製可能という利点がある。
【0043】
本願の一実施形態において、前記化学式1で表される化合物は、常温で液状であってもよい。原子層蒸着(ALD)において、反応物は、揮発性が高く、物質が安定していなければならず、反応性が高くなければならない。原子層蒸着法(ALD)は、反応原料をそれぞれ分離して供給する方式としたサイクル(cycle)蒸着時、表面反応によって単層(monolayer)以下の薄膜が成長し、基板上に吸着された反応原料のリガンドは、後に供給される他の反応原料と化学反応により除去される。原子層蒸着のために反応物の前駆体化合物を加熱する時に、液状の場合、固体状に比べて反応速度および工程においてはるかに有利であり得る。
【0044】
本願の他の側面は、前記化合物を含む、気相蒸着前駆体組成物を提供する。
【0045】
本発明による気相蒸着前駆体組成物は、本発明による前記4族金属元素-含有化合物について記述された内容をすべて適用可能であり、重複する部分については詳細な説明を省略したが、その説明が省略されたとしても同一に適用可能である。
【0046】
本願の一実施形態において、前記気相蒸着は、原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)または化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)を含むことができ、前記化学気相蒸着は、有機金属化学気相蒸着(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、MOCVD)を含むことができる。
【0047】
本願のさらに他の側面は、前記気相蒸着前駆体組成物を用いて4族金属元素-含有薄膜を形成するステップを含む、薄膜の製造方法および前記方法で製造された4族金属元素-含有薄膜を提供する。
【0048】
本発明による薄膜の製造方法は、本発明による4族金属元素-含有化合物およびこれを含む前駆体組成物について記述された内容をすべて適用可能であり、重複する部分については詳細な説明を省略したが、その説明が省略されたとしても同一に適用可能である。
【0049】
本願の一実施形態において、前記4族金属元素-含有薄膜を形成するステップは、基板上に前記気相蒸着前駆体組成物をチャンバに導入することを含むことができ、前記気相蒸着前駆体をチャンバに導入するステップは、物理吸着、化学吸着、または物理および化学吸着するステップを含むことができる。
【0050】
本願の一実施形態において、前記薄膜の製造方法は、本発明の気相蒸着前駆体組成物と反応ガスを順次に導入する原子層蒸着法(Atomic Layer Deposition、ALD)と、本発明の気相蒸着前駆体と反応ガスを継続的に注入して成膜する化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition、CVD)とをすべて含むことができる。
【0051】
より具体的には、前記蒸着法は、有機金属化学気相蒸着(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、MOCVD)、低圧化学気相蒸着(Low Pressure Chemical Vapor Deposition、LPCVD)、パルス化化学気相蒸着法(P-CVD)、プラズマ強化原子層蒸着法(PE-ALD)、またはこれらの組み合わせを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0052】
本願の一実施形態による4族金属元素-含有薄膜の製造方法は、基板の1つ以上の表面を反応チャンバに提供するステップと、前記4族金属元素-含有化合物を含む前駆体組成物を前記反応チャンバに導入するステップと、反応ガスを前記反応チャンバに導入するステップとを含むことができ、ここで、気相蒸着によって前記基板の1つ以上の表面上に4族金属元素-含有薄膜を形成させることができるが、これに限定されるものではない。
【0053】
また、前記4族金属元素-含有薄膜は、4族金属元素-含有酸化膜、窒化膜、酸窒化膜、炭化膜または炭窒化膜を含むものであってもよく、具体的には、ジルコニウム、ハフニウム、またはチタンの酸化膜、窒化膜、酸窒化膜、炭化膜または炭窒化膜であってもよい。
【0054】
本願の一実施形態において、前記反応ガスは、酸素-含有供給源、窒素-含有供給源、炭素-供給源、ケイ素-供給源、還元剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを含むことができる。
【0055】
より具体的には、水素(H2)、水(H2O)、酸素(O2)、オゾン(O3)、アンモニア(NH3)、ヒドラジン(N2H4)およびシラン(Silane)の中から選択されたいずれか1つ以上を反応ガスとして使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0056】
具体的には、4族金属元素-含有酸化物薄膜を蒸着するために、反応ガスとして水(H2O)、酸素(O2)およびオゾン(O3)を使用することができ、4族金属元素-含有窒化物薄膜を蒸着するために、反応ガスとしてアンモニア(NH3)またはヒドラジン(N2H4)を使用することができる。
【0057】
また、4族金属元素-含有薄膜を蒸着するために、反応ガスとして水素(H2)を使用することができ、4族金属元素-含有シリサイド薄膜を蒸着するために、反応ガスとしてシラン類の化合物を使用することができる。
【0058】
さらに、基板上に前駆体の移動を補助したり、反応器の内部が蒸着に適切な圧力を有するようにし、かつ、反応器内に存在する不純物などを外部に放出させるために、反応ガスの供給前後に反応器内にアルゴン(Ar)、窒素(N2)、またはヘリウム(He)などの不活性気体をパージングする工程が追加的に行われる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は本発明をさらに具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0060】
合成例1:N1,N2-di-tert-butylpropane-1,2-diamineの合成
【0061】
タート-ブチルアミン(tBuNH2)2211.2mL(21.04mol)をメチレンクロライド(Methylene chloride、MC)4Lに溶解させた。前記溶液に、2-ブロモイソブチリルブロミド(2-Bromopropanoyl bromide)1,000g(4.67mol)をMC1Lに溶解させた溶液を低温でゆっくり添加した後、室温で2時間撹拌した。前記溶液にソジウムヒドロキシド(NaOH)374.08g(9.35mol)を添加した後、還流コンデンサを用いて20時間還流反応させた。反応終了後、溶液に水を入れてMCで抽出した後、減圧下で溶媒および残りのtBuNH2を除去して、白色固体のN-タート-ブチル-2-(タート-ブチルアミノ)プロパンアミド[N-(tert-butyl)-2-(tert-butylamino)propanamide]709g(収率:76.0%)を得た。
【0062】
リチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH4)672.03g(17.7mol)を低温でテトラヒドロフラン(Tetrahydrofurane、THF)4Lに懸濁させた後、前記合成された固体をTHF1Lに溶解させた溶液を低温でゆっくり添加した。以後、前記懸濁液を還流コンデンサを用いて1日間還流反応させた。反応終了後、低温で水を入れてMCで抽出し、減圧下で溶媒を除去して、透明な橙色液体を得た。前記透明な橙色液体を減圧精製して、無色の液体である下記化学式2のN1,N2-ジ-タート-ブチルプロパン-1,2-ジアミン(N1,N2-di-tert-butylpropane-1,2-diamine)590.0g(収率:89%)を得た。
【0063】
【0064】
沸点(b.p.): 42℃ @ 0.2torr (bath基準)
1H-NMR(C6D6): δ1.046 ((CH
3)3CNHCH(CH
3)CH2NHC(CH
3)3, m, 21H),
δ2.277 ((CH3)3CNHCH(CH3)CH
2NHC(CH3)3, m, 1H),
δ2.414 ((CH3)3CNHCH(CH3)2CH2NHC(CH3)3, m, 1H),
δ2.653 ((CH3)3CNHCH(CH3)2CH
2NHC(CH3)3, m, 1H).
【0065】
合成例2:N1,N2-di-tert-butyl-2-methylpropane-1,2-diamineの合成
【0066】
タート-ブチルアミン(tBuNH2)1,431g(19.57mol)をメチレンクロライド(Methylene chloride、MC)4Lに溶解させた。前記溶液に、2-ブロモプロパノイルブロミド(2-Bromopropanoyl bromide)1,000g(4.34mol)をMC1Lに溶解させた溶液を低温でゆっくり添加した後、室温で2時間撹拌した。前記溶液にソジウムヒドロキシド(NaOH)374.08g(9.35mol)を添加した後、還流コンデンサを用いて20時間還流反応させた。反応終了後、溶液に水を入れてMCで抽出した後、減圧下で溶媒および残りのtBuNH2を除去して、白色固体のN-タート-ブチル-2-(タート-ブチルアミノ)プロパンアミド[N-(tert-butyl)-2-(tert-butylamino)-2-methylpropanamide]741g(収率:79.4%)を得た。
【0067】
リチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH4)655.07g(17.3mol)を低温でテトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran、THF)4Lに懸濁させた後、前記合成された固体をTHF1Lに溶解させた溶液を低温でゆっくり添加した。以後、前記懸濁液を還流コンデンサを用いて1日間還流反応させた。反応終了後、低温で水を入れてMCで抽出し、減圧下で溶媒を除去して、透明な橙色液体を得た。前記透明な橙色液体を減圧精製して、無色の液体である下記化学式3のN1,N2-ジ-タート-メチルブチルプロパン-1,2-ジアミン(N1,N2-di-tert-butyl-2-methylpropane-1,2-diamine)604.0g(収率:85%)を得た。
【0068】
【0069】
沸点: 40℃ @ 0.2torr (bath基準)
1H-NMR(C6D6): δ1.049 ([(CH
3)3CNHC(CH3)2CH2NHC(CH3)3], s, 9H)
δ1.179 ([(CH3)3CNHC(CH
3)2CH2NHC(CH3)3], s, 6H),
δ1.183 ([(CH3)3CNHC(CH3)2CH2NHC(CH
3)3], s, 9H),
δ2.341 ([(CH3)3CNHC(CH3)2CH
2NHC(CH3)3], s, 2H).
【0070】
実施例1:N1,N2-di-tert-butylpropane-1,2-diamine-Zr-(NMe2)2(ZEA)の合成
【0071】
フラスコ1に、ジルコニウムクロライド(ZrCl4)3.74g(0.016mol)にヘキサン20mLを入れて、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(TDMA-Zr)4.3g(0.016mol)をヘキサン10mLに溶かした溶液を低温で添加した後、室温で18時間撹拌した。
【0072】
フラスコ2に、前記合成例1で製造されたN1,N2-ジ-タート-ブチルプロパン-1,2-ジアミン[N1,N2-di-tert-butylpropane-1,2-diamine]6g(0.032mol)をヘキサン20mLに溶解させ、ノルマルブチルリチウム(nBuLi)25mL(0.064mol)を低温でゆっくり添加した後、室温で18時間撹拌した。
【0073】
前記フラスコ1に前記フラスコ2の溶液を低温でゆっくり添加した後、室温で18時間撹拌した。反応物をフィルタし、減圧下で溶媒を除去して、透明な橙色液体を得た。得られた液体を減圧精製して、淡黄色液体である下記化学式1-1の(N1,N2-ジ-タート-ブチルプロパン-1,2-ジアミノ)-ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム[(N1,N2-di-tert-butylpropane-1,2-diamino)-bis(dimethylamino)Zr]9g(収率:77%)を得た。
【0074】
【0075】
Molecular Weight: 363.70
沸点(b.p.): 100℃ @ 0.2torr (bath基準)
1H-NMR(C6D6): δ1.159 ([(CH
3)3CNCH(CH3)CH2NC(CH
3)3]-Zr-[N(CH3)2]2, d, 18H),
δ1.564 ([(CH3)3CNCH(CH
3)CH2NC(CH3)3]-Zr-[N(CH3)2]2, d, 3H),
δ2.858 ([(CH3)3CNCH(CH3)CH
2NC(CH3)3]-Zr-[N(CH3)2]2, d, 1H),
δ3.066 ([(CH3)3CNCH(CH3)CH2NC(CH3)3]-Zr-[N(CH
3)2]2, d, 12H),
δ3.309 ([(CH3)3CNCH(CH3)CH2NC(CH3)3]-Zr-[N(CH3)2]2, m, 1H),
δ3.988 ([(CH3)3CNCH(CH3)CH
2NC(CH3)3]-Zr-[N(CH3)2]2, dd, 1H).
【0076】
実施例2:N1,N2-di-tert-butylpropane-1,2-diamine-Hf-(NMe2)2(HEA)の合成
【0077】
フラスコ1に、ハフニウムクロライド(HfCl4)44.9g(0.14mol)にヘキサン300mLを入れて、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム(TDMAHf)50g(0.14mol)をヘキサン100mLに溶かした溶液を低温で添加した後、室温で18時間撹拌した。
【0078】
フラスコ2に、前記合成例1によって製造されたN1,N2-ジ-タート-ブチルプロパン-1,2-ジアミン(N1,N2-di-tert-butylpropane-1,2-diamine)52g(0.28mol)にヘキサン50mlに溶解させ、ノルマルブチルリチウム(nBuLi)225mL(0.56mol)を低温でゆっくり添加した後、室温で18時間撹拌した。
【0079】
前記フラスコ1に前記フラスコ2の溶液を低温でゆっくり添加した後、室温で18時間撹拌した。反応物をフィルタし、減圧下で溶媒を除去して、透明な橙色液体を得た。得られた液体を減圧精製して、淡黄色液体である下記化学式1-2の(N1,N2-ジ-タート-ブチルプロパン-1,2-ジアミノ)-ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム[(N1,N2-di-tert-butylpropane-1,2-diamino)-bis(dimethylamino)Hf]78g(収率:61%)を得た。
【0080】
【0081】
Molecular Weight: 450.96
沸点:98℃ @ 0.2torr (bath基準)
1H-NMR(C6D6): δ1.141 ([(CH
3)3CNCH(CH3)CH2NC(CH
3)3]-Hf-[N(CH3)2]2, d, 18H),
δ1.537 ([(CH3)3CNCH(CH
3)CH2NC(CH3)3]-Hf-[N(CH3)2]2, d, 3H),
δ2.914 ([(CH3)3CNCH(CH3)CH
2NC(CH3)3]-Hf-[N(CH3)2]2, d, 1H),
δ3.079 ([(CH3)3CNCH(CH3)CH2NC(CH3)3]-Hf-[N(CH
3)2]2, d, 12H),
δ3.423 ([(CH3)3CNCH(CH3)CH2NC(CH3)3]-Hf-[N(CH3)2]2, m, 1H),
δ3.941 ([(CH3)3CNCH(CH3)CH
2NC(CH3)3]-Hf-[N(CH3)2]2, dd, 1H).
【0082】
実施例3:N1,N2-di-tert-butylpropane-1,2-diamine-Hf-Me2(HEAM)の合成
【0083】
フラスコ1に、前記実施例2で製造されたN1,N2-di-tert-butylpropane-1,2-diamine-Hf-(NMe2)2 20g(0.063mol)およびトルエン100mLを入れて、トリメチルシリルクロライド(TMS-Cl)14.95g(0.138mol)を低温で添加した後、室温で18時間撹拌した。反応物をフィルタし、中間体であるHEA-Cl2を得た。
【0084】
フラスコ2に、反応物HEA-Cl2 14.3g(0.033mol)およびトルエン100mLを入れて、低温でメチルリチウムソリューション36mLを添加後、室温で18時間撹拌した。反応物をフィルタし、減圧下で溶媒を除去して、透明な橙色液体を得た。得られた液体を減圧精製して、淡黄色液体である下記化学式1-8の(N1,N2-ジ-タート-ブチルプロパン-1,2-ジアミン)-ビス(メチル)ハフニウム[N1,N2-di-tert-butylpropane-1,2-diamine-Hf-Me2]11g(収率:58%)を得た。
【0085】
【0086】
Molecular Weight: 392.88
沸点: 80℃ @ 0.4torr (bath基準)
1H-NMR(C6D6): δ0.130 ([(CH3)3CNCH(CH3)CH2NC(CH3)3]-Hf-(CH
3)2, s, 6H),
δ1.185 ([(CH
3)3CNCH(CH3)CH2NC(CH
3)3]-Hf-(CH3)2, d, 18H),
δ1.390 ([(CH3)3CNCH(CH
3)CH2NC(CH3)3]-Hf-(CH3)2, d, 3H),
δ2.805 ([(CH3)3CNCH(CH3)CH
2NC(CH3)3]-Hf-(CH3)2, d, 12H),
δ3.480 ([(CH3)3CNCH(CH3)CH2NC(CH3)3]-Hf-(CH3)2, m, 1H),
δ3.905 ([(CH3)3CNCH(CH3)CH
2NC(CH3)3]-Hf-(CH3)2, dd, 1H).
【0087】
実施例4:N1,N2-di-tert-butylpropane-1,2-diamine-Ti-Me2(TEAM)の合成
【0088】
フラスコ1に、チタンクロライド(TiCl4)25.0g(0.13mol)にトルエン200mLを低温で撹拌した。
【0089】
フラスコ2に、前記合成例1によって製造されたN1,N2-ジ-タート-ブチルプロパン-1,2-ジアミン(N1,N2-di-tert-butylpropane-1,2-diamine)24.6g(0.13mol)をトルエン50mLに溶解させ、トリエチルアミン(Tri-Ethylamnine)40.4mL(0.29mol)を低温でゆっくり添加した後、室温で18時間撹拌した。反応物をフィルタして、中間体であるTEA-Cl2を得た。
【0090】
フラスコ3に、反応物TEA-Cl2 10.0g(0.033mol)およびトルエン100mLを入れて、低温でメチルリチウムソリューション45.4mLを添加後、室温で18時間撹拌した。反応物をフィルタし、減圧下で溶媒を除去して、透明な橙色液体を得た。得られた液体を減圧精製して、透明な液体である下記化学式1-9の(N1,N2-ジ-タート-ブチルプロパン-1,2-ジアミノ)-ビス(メチル)チタン[(N1,N2-di-tert-butylpropane-1,2-diamino)-bis(methyl)Ti]7.1g(収率:60%)を得た。
【0091】
【0092】
Molecular Weight: 262.26
沸点: 90℃ @ 0.4torr (bath基準)
1H-NMR(C6D6): δ0.580 ([(CH3)3CNCH(CH3)CH2NC(CH3)3]-Ti-(CH
3)2, s, 3H),
δ0.620 ([(CH3)3CNCH(CH3)CH2NC(CH3)3]-Ti-(CH
3)2, s, 3H),
δ1.310 ([(CH3)3CNCH(CH
3)CH2NC(CH3)3]-Ti-(CH3)2, d, 3H),
δ1.355 ([(CH
3)3CNCH(CH3)CH2NC(CH
3)3]-Ti-(CH3)2, d, 18H),
δ2.675 ([(CH3)3CNCH(CH3)CH
2NC(CH3)3]-Ti-(CH3)2, d, 1H),
δ3.350 ([(CH3)3CNCH(CH3)CH2NC(CH3)3]-Ti-(CH3)2, m, 1H),
δ3.930 ([(CH3)3CNCH(CH3)CH
2NC(CH3)3]-Ti-(CH3)2, dd, 1H).
【0093】
実施例5:N1,N2-di-tert-butyl-2-methylpropane-1,2-diamine-Hf-(NMe2)2(HGEA)の合成
【0094】
フラスコ1に、ハフニウムクロライド(HfCl4)44.9g(0.14mol)にヘキサン300mLを入れて、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム(TDMA-Hf)50g(0.14mol)をヘキサン100mLに溶かした溶液を低温で添加した後、室温で18時間撹拌した。
【0095】
フラスコ2に、前記合成例2によって製造されたN1,N2-ジ-タート-メチルブチルプロパン-1,2-ジアミン(N1,N2-di-tert-butyl-2-methylpropane-1,2-diamine)56.1g(0.28mol)にヘキサン50mLに溶解させ、ノルマルブチルリチウム(nBuLi)225mL(0.56mol)を低温でゆっくり添加した後、室温で18時間撹拌した。
【0096】
前記フラスコ1に前記フラスコ2の溶液を低温でゆっくり添加した後、室温で18時間撹拌した。反応物をフィルタし、減圧下で溶媒を除去して、透明な橙色液体を得た。得られた液体を減圧精製して、淡黄色液体である下記化学式1-5の(N1,N2-ジ-タート-ブチル-2-メチルプロパン-1,2-ジアミノ)-ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム[(N1,N2-di-tert-butyl-2-methylpropane-1,2-diamino)-bis(dimethylamino)Hf]78g(収率:61%)を得た。
【0097】
【0098】
Molecular Weight: 464.99
沸点: 111℃ @ 0.4torr (bath基準)
1H-NMR(C6D6): δ1.180 ([(CH
3)3CNC(CH3)2CH2NC(CH3)3]-Hf-[N(CH3)2]2, s, 9H),
δ1.280 ([(CH3)3CNC(CH3)2CH2NC(CH
3)3]-Hf-[N(CH3)2]2, s, 9H),
δ1.400 ([(CH3)3CNC(CH
3)2CH2NC(CH3)3]-Hf-[N(CH3)2]2, s, 6H),
δ3.070 ([(CH3)3CNC(CH3)2CH2NC(CH3)3]-Hf-[N(CH
3)2]2, s, 12H),
δ3.110 ([(CH3)3CNC(CH3)2CH
2NC(CH3)3]-Hf-[N(CH3)2]2, s, 2H).
【0099】
実験例1:気相蒸着ジルコニウム前駆体の特性分析
【0100】
本実験例では、
図1~3に示すように、前記製造された実施例1~5の気相蒸着前駆体の特性分析のために、熱重量分析(TGA)、重量が半分に減少する温度[T
1/2]、熱分析後の残留物をそれぞれ測定し、その結果を下記表1にまとめた。
【0101】
具体的には、前記実施例1(ZEA)で製造された気相蒸着前駆体の特性分析を実施するに際して、比較例1[CpTDMAZ(Cyclopentadienyl Tris(dimethylamino)Zirconium;ZAC)]を対照群に設定し、実施例2(HEA)、実施例3(HEAM)および実施例5(HGEA)で製造された気相蒸着前駆体の特性分析を実施するに際して、比較例2[CpTDMAH(Cyclopentadienyl Tris(dimethylamino)Hafnium;HAC)]を対照群に設定した。
【0102】
【0103】
アミノキレート化合物は、前駆体として多く使用する化合物であって、反応性と揮発性に優れている。このため、本実施例では、ジメチル(Diemthyl)を有するアルキルチェーン(alkyl chain)を活用して中心金属(ジルコニウムまたはハフニウム)にキレート構造で前駆体を合成した。既存の前駆体のうち、比較例として使用されたCpTDMAZおよびCpTDMAHと類似の温度で精製される特徴があり、揮発性にも優れていることが期待できる。本実施例では、ジアミン系の有機リガンドを活用して前駆体を確保し、中心金属を変形させて物性の変化を比較分析した。したがって、N1,N2-di-tert-butylpropane-1,2-diamine Zr(NMe2)2およびN1,N2-di-tert-butylpropane-1,2-diamine Hf(NMe2)2を合成し、これらの物性を確認した。本実施例で合成された新規ジルコニウム化合物およびハフニウム化合物は、液体化合物として比較的低い温度で精製可能であった。
【0104】
製造例1:原子層蒸着法(ALD)を用いたジルコニウム酸化膜の製造1
【0105】
実施例2で合成されたジルコニウム化合物を前駆体として用いて、原子層蒸着法(ALD)によりジルコニウム酸化膜を製造した。本製造例に使用された前駆体の温度は90℃に維持した。基板はボロンドープされたPタイプのシリコンウエハを用いた。酸化剤としてはオゾンを使用し、オゾンの濃度は144g/m3であり、125sccmの酸素気体で発生した。不活性気体のアルゴンは、パージと前駆体のキャリアを目的として使用した。パージアルゴンの流量は500sccmであり、キャリアアルゴンの流量は10sccmである。
【0106】
(前駆体X秒注入)-(前駆体パージアルゴン10秒注入)-(酸化剤3秒注入)-(酸化剤パージアルゴン10秒注入)を順次に進行させ、これを1サイクルとした。前駆体の供給において、前記X秒は1秒~7秒とし、工程温度は260℃とし、200サイクルでジルコニウム酸化膜を蒸着した。
【0107】
図4に示すように、前駆体の注入が1秒から7秒に増加することにより、蒸着率が0.92Å/cycleから1.17Å/cycleに増加した。
【0108】
製造例2:原子層蒸着法(ALD)を用いたジルコニウム酸化膜の製造2
【0109】
前駆体パージアルゴンの注入時間、酸化剤パージアルゴンの注入時間、工程温度、サイクル数は製造例1と同一に維持し、前駆体の注入時間を5秒に固定し、酸化剤の注入時間を1秒~5秒としてジルコニウム酸化膜を蒸着した。
【0110】
図5から確認できるように、酸化剤の注入時間が1秒から5秒に増加したにもかかわらず、蒸着率が1.11Å/cycleで一定であった。これは注入時間1秒で酸化剤の自己制限反応(self-limited reaction)が起こることを意味する。
【0111】
製造例3:原子層蒸着法(ALD)を用いたジルコニウム酸化膜の製造3
【0112】
前駆体パージアルゴンの注入時間、酸化剤パージアルゴンの注入時間、サイクル数は製造例1および製造例2と同一に維持し、前駆体の注入時間と酸化剤の注入時間をそれぞれ5秒と3秒に固定し、工程温度を220℃~320℃としてジルコニウム酸化膜を蒸着した。
【0113】
図6に示すように、工程温度220℃~280℃では蒸着率が1.10Å/cycle~1.25Å/cycleを維持するのに対し、300℃では1.33Å/cycleの蒸着率を示し、工程温度を320℃に増加させると、蒸着率はより一層増加して1.67Å/cycleの結果を示した。
【0114】
原子層蒸着法(ALD)で工程温度に関係なく蒸着率が一定の区間をALDウィンドウ(window)というが、前記結果は、実施例1によって合成された前駆体が220℃~280℃のALD windowを示すことを意味する。一方、300℃以上では工程温度と蒸着率が比例して増加するが、これはCVDと類似の領域である。
【0115】
製造例4:原子層蒸着法(ALD)を用いたハフニウム酸化膜の製造1
【0116】
実施例2によって合成されたハフニウム化合物を前駆体として用いて、原子層蒸着法(ALD)によりハフニウム酸化膜を製造した。本製造例に使用された前駆体の温度は80℃に維持した。基板の種類と酸化剤の種類、オゾンの濃度、パージおよびキャリアアルゴンの流量は製造例1と同一である。
【0117】
(前駆体X秒注入)-(前駆体パージアルゴン40秒注入)-(酸化剤5秒注入)-(酸化剤パージアルゴン10秒注入)を順次に進行させ、これを1サイクルとした。前駆体の供給において、Xは5秒~15秒とし、工程温度は240℃~260℃とし、200サイクルでハフニウム酸化膜を蒸着した。
【0118】
図7に示すように、工程温度240℃で前駆体の注入が5秒から15秒に増加することにより、蒸着率が0.88Å/cycleから1.03Å/cycleに増加した。工程温度250℃と260℃ではそれぞれ0.87Å/cycleから1.08Å/cycleに、0.89Å/cycleから1.10Å/cycleに増加した。
【0119】
製造例5:原子層蒸着法(ALD)を用いたハフニウム酸化膜の製造2
【0120】
前駆体パージアルゴンの注入時間、酸化剤パージアルゴンの注入時間、サイクル数は製造例4と同一に維持し、前駆体の注入時間を15秒、工程温度は250℃に固定し、酸化剤の注入時間を1秒~5秒としてハフニウム酸化膜を蒸着した。
【0121】
図8から確認できるように、酸化剤の注入時間が1秒から5秒に増加したにもかかわらず、蒸着率が1.07Å/cycleで一定であった。これは前記製造例2で言及したのと同じく、注入時間1秒で酸化剤の自己制限反応(self-limited reaction)が起こることを意味する。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明による新規4族金属元素-含有化合物および前記化合物を含む気相蒸着前駆体組成物は、熱的安定性に優れ、広い温度範囲で薄膜蒸着が可能であり、熱損失による残留物が少なくて工程上の副反応を防止できる。
【0123】
また、本発明による気相蒸着前駆体組成物は、均一な薄膜蒸着が可能であり、これによる優れた薄膜物性の確保が可能である。
【0124】
前記のような物性は、原子層蒸着法に適した前駆体を提供し、これを蒸着した薄膜の製造によりゲート誘電体物質への適用を期待可能にする。
【国際調査報告】