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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】醸造粕の混合物の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C12F 3/06 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
C12F3/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023515830
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2023-03-09
(86)【国際出願番号】 EP2021075001
(87)【国際公開番号】W WO2022053648
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】20195783.4
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522167401
【氏名又は名称】サーキュラー フード テクノロジー エーペーエス
【氏名又は名称原語表記】Circular Food Technology APS
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベウケル, カリン
(72)【発明者】
【氏名】リーマン アンデルセン, エビアイア・ボンド
(72)【発明者】
【氏名】コイル, エミル, ブール
【テーマコード(参考)】
4B128
【Fターム(参考)】
4B128AC06
4B128AG10
4B128AP04
4B128AP31
4B128AT20
(57)【要約】
本発明は、要求されたユーザ入力に対応する組成を有する醸造粕の混合物を調製する方法に関する。特に、本発明は、異なる栄養素含有量、風味及び色を有する醸造粕の異なる組成物から醸造粕の均一な混合物を調製する方法に関し、醸造粕の前記均一混合物は、ユーザの要求に対応する。さらに、本発明は、醸造粕の混合物、及び食品生産物における醸造粕の混合物の使用に関する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
要求されたユーザ入力に対応する組成を有する醸造粕の混合物を調製する方法であって、
-各貯蔵器(2)が、互いに独立して:
・一つ以上の栄養素、風味、及び色
を含む醸造粕を含む、複数の貯蔵器(2)を提供し;
-前記貯蔵器(2)中に存在する前記醸造粕の前記栄養素の含有量、風味、及び色の情報を保存するデータベース(7)を提供し;
-前記方法によって得られる醸造粕の混合物のユーザからの入力を受け取るように適合させた入力手段(8)を提供し;
-一つ以上の供給装置(3)であって、各々が計量装置(5)又は重み付けセルを含み、前記貯蔵器(2)から計量又は秤量された量の醸造粕を容器(4)へ供給して、醸造粕の混合物を形成するように適合させた前記供給装置(3)を提供し;
-前記データベース(7)から、前記貯蔵器(2)中に存在する前記醸造粕における前記栄養素含有量、風味、及び色の情報を読み出し、前記入力手段(8)から前記ユーザ入力のデータを読み出すように適合させたコントローラ(6)を提供すること
を含み、
-前記コントローラは、前記貯蔵器(2)から前記容器(4)へと供給される前記醸造粕の各々の量を前記ユーザ入力と前記データベースからの前記情報とに基づいて決定し;
-前記コントローラ(6)は、貯蔵器(2)から前記容器(4)へと供給される前記コントローラによって決定された醸造粕の計量又は秤量された量を前記容器(4)中に個々に供給するように一つ以上の供給装置(3)を制御するように適合させる、方法。
【請求項2】
ユーザから前記入力手段(8)への前記入力が、以下の入力群:要求される色、要求される風味、要求される栄養素含有量、要求される水分含量、要求される体積及び要求される粒径から選択される一つ以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、醸造粕における前記栄養素の含有量、風味、及び/又は色を分析するためのアナライザをさらに提供する、請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記貯蔵器(2)中の前記醸造粕が、醸造粕の固体フラクション及び醸造粕の液体フラクションの群から選択される、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記貯蔵器(2)中の前記醸造粕が、醸造粕の固体フラクションである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記貯蔵器(2)中の前記醸造粕が、醸造粕の液体フラクションである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
醸造粕の固体フラクション及び/又は醸造粕の液体フラクションが、少なくとも2種の異なる生醸造粕に由来する、請求項4~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記コントローラが、以下の要求されたユーザ入力:要求された色、要求された風味、要求された栄養素含有量、要求された水分含量及び要求された体積のうちの一つ以上に基づいて、前記1種以上の醸造粕の前記計量又は秤量された量を決定する、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記コントローラが、前記貯蔵器(2)中の1種以上の醸造粕における栄養素、香味化合物及び色の非互換性(incompability)データを保存するデータベースをさらに含むか、又は前記データベースへアクセスできる、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記貯蔵器(2)が、サイロ、容器、パウチ、サック、バッグ、パイプ、バスケット、ケトル等の群から選択される、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
食品生産物において使用するための醸造粕の混合物であって、前記混合物が2種以上の醸造粕を含み、前記2種以上の醸造粕が少なくとも2種の異なる生醸造粕に由来する、混合物。
【請求項12】
前記混合物が、醸造粕の固体フラクション及び醸造粕の液体フラクションの群から選択される醸造粕を含む、請求項11に記載の醸造粕の混合物。
【請求項13】
食品産業において使用される材料を調製するための、請求項11又は12に記載の醸造粕の混合物の使用。
【請求項14】
食品生産物におけるフィラー又はテクスチャー化剤としての請求項13に記載の醸造粕の混合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、要求されたユーザ入力に対応する組成を有する醸造粕の混合物を調製する方法に関する。特に、本発明は、異なる栄養組成、風味及び色を有する醸造粕の異なる組成物から醸造粕の均一な混合物を調製する方法に関し、醸造粕の前記均一混合物は、要求されたユーザ入力に対応する。さらに、本発明は、2種以上の醸造粕であって、少なくとも2種の異なる生醸造粕に由来する、2種以上の醸造粕を含む醸造粕の混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数年で、食品廃棄物を出さないことに注目が集まっているので、様々な食品生産物の調製から生じるサイドストリームや副産物の再利用が増加している。
【0003】
醸造粕(BSG)は、醸造業やウィスキー蒸留から生じる主な副産物である。BSGは、典型的には、麦芽汁製造後に固形部分として得られる大麦穀物殻を含む。現在、BSGは主に、ウシ、家禽及びブタ用の飼料などの、家畜用飼料として使用されている。しかしながら、醸造粕の栄養価、すなわちタンパク質や繊維含有量のために、ヒト用食品の製造で醸造粕を使用することについての関心が高まっている。
【0004】
例えば、BSGは、パン工業において、例えば、BSGを乾燥・粉砕し、通常の粉と混合することによって使用できることが知られている。
【0005】
しかしながら、様々な種類のビールやウィスキーの製造から得られるBSGは、色が異なり、風味(味と香り)も異なり、また栄養素含有量も異なる。さらに、BSGは、同じ種類のビール醸造から得られるものであっても、異なる醸造所や蒸留酒製造所から得られるものは、互いに異なる。ビールの醸造で異なる麦芽を使用することも、BSGの異なる色、風味及び栄養素含有量をもたらすパラメータであり、醸造所は、異なる供給業者の異なる麦芽を使用する可能性がある。醸造粕の色、風味及び栄養素含有量にばらつきがあると、例えば、異なるバッチのBSGを使用する場合、同じ栄養組成、風味及び色を有するBSGの粉を調製するのが困難になる。既知の技術は、同じ醸造所から、同じ種類のビールの調製から得られる醸造粕を使用することで、この問題を解決している。
【0006】
しかしながら、一つの醸造所のみからの、1種類のみのビールの製造から得られるBSGを使用することは、生産のアップスケールやグローバル化やカスタマイズが困難になるので、問題である。さらに、一つの醸造所のみからのBSGを使用すると、その一つの醸造所からの起こり得る供給の問題のために、BSG製品の製造におけるビジネスが被害を受けやすくなる可能性がある。例えば、醸造所が生産規模を変更し、それによって供給できるBSG量を変更すると、BSG製品の製造ビジネスに影響が及ぶであろう。さらに、一つの醸造所からのBSGに関して疑念が生じると、BSG製品に影響が及ぶであろう。
【0007】
したがって、異なる醸造粕(BSG)源からのBSG混合物を調製する方法であって、調製される混合物が栄養素含有量、風味及び色に関してある特定の基準/特性を有する方法が有利である。さらに、BSGがどの醸造所から供給されるものであっても、またBSGがどの種類のビール製造から得られるものであっても、要求されたユーザ入力に対応する栄養素含有量、色及び風味に関して均一な製品を得ることを可能にするBSGの混合物を調製できることは、有利となるであろう。
【0008】
さらに、一つの醸造所からの供給問題によるBSG製品の製造における制限を回避するために、いくつかの異なるBSG組成からBSGを含む製品(同じ栄養素含有量、風味及び色を有する)を調製できる必要がある。また、BSGが廃棄されるのを回避するために、醸造所からの全ての種類のBSGを使用する必要もある。
【0009】
特に、異なる生醸造粕、異なる醸造所、異なるビールの製造などに由来する醸造粕を使用することによって、独特で均一な風味、色、及び栄養組成を有する醸造粕から食品生産物を調製できる必要がある。さらに、食品産業で使用される粉又は液体などの食品生産物を調製するために使用される醸造粕の混合物を調製する、より効率的及び/又は信頼性の高い方法が有利となるであろう。
【発明の概要】
【0010】
したがって、本発明の目的は、要求されたユーザ入力に対応する組成を有する醸造粕の混合物を調製する方法を提供することに関する。別の目的は、醸造粕の異なる混合物を調製できるようにする方法であるが、異なる混合物が、色、風味、及び栄養素含有量に関して均一である方法を提供することである。したがって、本発明の目的は、異なる醸造粕の混合物を調製する方法であって、計量された量の醸造粕を供給して、要求されたユーザ入力に基づく混合物を得る方法を提供することである。さらに、本発明の目的は、醸造粕の混合物であって、少なくとも2種の異なる生醸造粕に由来する2種以上の醸造粕を含む混合物を提供することである。
【0011】
特に、本発明の目的は、異なる栄養組成、異なる色、及び異なる風味を有する、異なる醸造所からの醸造粕の上記問題を解決する、食品産業用材料の調製で使用される醸造粕の混合物を提供することである。本発明の目的は、BSGから均一な製品(すなわち、食品生産物)を調製することが可能になるように、醸造所から得られる異なる種類のBSGからBSGの均一な混合物を調製することである。
【0012】
したがって、本発明の一態様は、要求されたユーザ入力に対応する組成を有する醸造粕の混合物を調製する方法であって;
-複数の貯蔵器(2)であって、各貯蔵器(2)が、醸造粕であって、互いに独立して:
・一つ以上の栄養素、風味、及び色を含む醸造粕
を含む、複数の貯蔵器(2)を提供し;
-貯蔵器(2)中に存在する醸造粕の栄養素の含有量、風味、及び色の情報を保存するデータベース(7)を提供し;
-本方法によって得られる醸造粕の混合物のユーザからの入力を受け取るように適合させる入力手段(8)を提供し;
-一つ以上の供給装置(3)であって、各々が計量装置(5)又は重み付けセルを含み、貯蔵器(2)から計量又は秤量された量の醸造粕を容器(4)へ供給して、醸造粕の混合物を形成するように適合させた前記供給装置(3)を提供し;
-データベース(7)から、貯蔵器(2)中に存在する醸造粕における栄養素の含有量、風味、及び色の情報を読み出し、入力手段(8)からユーザ入力のデータを読み出すように適合させたコントローラ(6)を提供すること
を含み、
-前記コントローラは、前記貯蔵器(2)から前記容器(4)へと供給される前記醸造粕の各々の量を前記ユーザ入力と前記データベースからの情報とに基づいて決定し;
-前記コントローラ(6)は、貯蔵器(2)から容器(4)へと供給される前記コントローラによって決定された醸造粕の計量又は秤量された量を前記容器(4)中に個々に供給するように一つ以上の供給装置(3)を制御するように適合させている、
方法を提供することである。
【0013】
本発明の別の態様は、食品生産物において使用するための醸造粕の混合物を提供することであり、前記混合物は2種以上の醸造粕を含み、前記2種以上の醸造粕は、少なくとも2種の異なる生醸造粕に由来する。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、食品産業で使用される材料を調製するための本発明による醸造粕の混合物の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ビール醸造における醸造粕調製プロセスの模式的外観を示す。
図2】要求されたユーザ入力に対応する醸造粕の混合物を調製する方法が各貯蔵器の供給装置を提供する、本発明の方法の一実施形態で使用される技術的特徴の外観を示す。
図3】貯蔵器がバスケットに入れられたバッグであり、方法が貯蔵器に移動可能に接続できる一つの供給装置を提供する、本発明の方法の一実施形態で使用される技術的特徴の外観を示す。
図4】様々な醸造粕における色と繊維含有量との間の相関関係を示す。
図5】様々な醸造粕における色とタンパク質含有量との間の相関関係を示す。
図6】様々な醸造粕における色と脂肪含有量との間の相関関係を示す。
図7】様々な醸造粕における色と炭水化物含有量との間の相関関係を示す。
図8A】a)バターのような汗臭いキャラメル風味(2,3-ブタンジオンで測定)である風味をy軸、b)色(EBC)をx軸にして、全領域の色に関しての様々な醸造粕(BSG)のプロットを示す。
図8B】2,3-ブタンジオンによって定義される風味と色(EBC)に関する様々なBSGのプロットを示す。ただし、この図は明色(10より低いEBC色)のBSGにのみ着目している。
図9】a)チョコレート風味(ブタナール2-メチルで測定)である風味をy軸、b)色(EBC)をx軸にして、全領域の色に関しての様々な醸造粕(BSG)のプロットを示す。
図10】ブタナール3-メチルの含有量(チョコレート、ナッツ風味、葉物風味、ココア風味)と色(EBC)とに関する醸造粕の様々な液体フラクションのプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を以下でより詳細に説明する。
【0017】
定義
本発明をさらに詳細に論じる前に、以下の用語及び表現法をまず定義する。
【0018】
別段の定義がない限り、本明細書中で使用されるすべての科学技術用語は、当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。
【0019】
「醸造粕」(BSG)という語は、ビールの醸造や、穀物、米及びトウモロコシから酒を蒸留するプロセス、すなわち、ウィスキー蒸留から得られる副産物を指す。しかしながら、BSGは、穀物、トウモロコシ、米又はサトウキビが酒を調製する出発物質として使用される、他の種類の酒の調製から得ることもできる。一例は、発酵させた穀物からのウォッカの蒸留である。他の例は、発酵させたサトウキビからのラム又はサトウキビ若しくは米からのアラックの蒸留である。BSGは、醸造及び蒸留プロセスにおいて麦芽製造及びマッシングの後に得られる不溶性固体である。
【0020】
「生醸造粕」という用語は、本発明の文脈では、醸造所又は蒸留酒製造所から直接得られるBSGを指し、調理されたオートミール又は湿らせたおがくずに類似した粘稠性を有する非流動性製品であり、穀物床(grain bed)と呼ばれる場合もある。
【0021】
ビールの醸造は、僅かな材料しか必要とせず、典型的には、4つのステップ又は相、つまり、麦芽製造ステップ、マッシングステップ、発酵ステップ及び発酵後ステップに分けることができる。しかしながら、経費の削減が必要であるか、又は別の風味が必要な場合、麦芽製造ステップを省くことができる。ウィスキー蒸留にも麦芽製造及びマッシングが含まれる。図1では、ビール醸造において醸造粕を調製するプロセスの模式的外観を示す。
【0022】
ビール醸造における麦芽製造ステップでは、大麦粒を水に浸し、これにより、様々な酵素(麦芽製造酵素)の発生が可能になる時点まで、成長又は発芽させる。発生するか又は添加される酵素は、アミラーゼ、プロテアーゼ、及び他の酵素である。これらの酵素は、細胞壁及びタンパク質マトリックスを分解することによって、オオムギ胚乳の構造を改変する。大麦粒の発芽及び出芽の後、酵素の発芽及び発生を停止するキルニング(kilning)ステップに大麦粒を供する。キルニングステップは、ほとんどの場合、熱処理を含む。キルニングプロセスは、大麦粒を焙煎する。
【0023】
マッシングステップ中に、酵素が放出され、デンプンやタンパク質などの高分子の加水分解に使用される。マッシングステップでは、大麦麦芽を粉砕し、水と混合し、続いて段階的に加熱して、デンプン及びタンパク質を、次の発酵プロセスで基質として機能するサブユニットに分解する。麦芽製造プロセス中に香味成分が強められると考えられる。段階的加熱は、麦芽製造ステップにおいて合成された様々な酵素が様々な温度で最適な活性を有するためである。マッシングステップの最後に、熱処理を行って酵素を失活させる。
【0024】
発酵前に、マッシュから得られる不溶性固体をろ過によって除去して、麦芽汁と呼ばれるマッシュ液を得る。麦芽汁はビール製造における発酵プロセスのために使用され、ここで、除去された不溶性固体は醸造粕と呼ばれる。本発明の文脈において、醸造所から直接得られるこの醸造粕は、生醸造粕と呼ばれる。
【0025】
図1において、ろ過ステップ後に得られる醸造粕は生醸造粕である。図1はまた、生醸造粕を圧搾してBSGの液体フラクションとBSGの固体フラクションとを得る方法の一例も示す。
【0026】
したがって、生醸造粕(生BSG)は、ビールの醸造や酒の蒸留の際の麦芽汁製造後に得られた不溶性残渣である。生BSGは、穀物固形分、不溶性タンパク質、炭水化物、及び他の材料を含み、生BSGの主な固体成分は、麦芽の果皮(husk pericarp)及び種皮であり、これらはリグニン、セルロース、ヘミセルロース、脂質及びタンパク質の宝庫である。これらの成分のうち、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンは乾物含量のほぼ50%を占める。生BSGはまた、多量の水も含むが、水分含量はBSGを供給する醸造所によって大きく異なる可能性がある。生BSGでは、約60~85重量%は水であり、約15~40重量%は固形物である。生BSG中の水分含量は約15重量%の自由水を含み、残りの水(約85重量%)は穀物材料中に吸収され、したがって、自由流動性ではない。
【0027】
生BSGは、タンパク質及び繊維の重要な供給源である。生BSGは、乾燥物質の15~25重量%の範囲のタンパク質含量を含み得る。生BSGはまた、約40~60重量%の乾物含量などの多量の食物繊維も含む。
【0028】
「醸造粕の固体フラクション」という用語は、本発明の文脈では、液体を除去した後の生醸造粕の固体部分を指す。さらに、「醸造粕の液体フラクション」という用語は、本発明の文脈では、固体を除去した後の生醸造粕の液体部分を指す。「醸造粕の固体フラクション」及び「醸造粕の液体フラクション」は、生醸造粕を、圧搾、遠心分離、又はろ過プロセスなどの分離プロセスにかけることによって得ることができ、固体から液体を分離できる。
【0029】
本発明の文脈では、「生BSG」という語は、固体フラクションと液体フラクションとに分離されていない、醸造又は蒸留業界から得られるBSGを指す。生BSGは、麦芽汁とBSGとを得るためにマッシュをろ過した後に得られるBSGである。
【0030】
本発明の文脈において、「BSG」という用語は「醸造粕」の略称であり、したがって、「BSG」と「醸造粕」は同じものを指し、交換可能に使用できる。さらに、「BSG」という用語は、任意の形態のBSGを含み、したがって、生BSG、BSGの固体フラクション、BSGの液体フラクション又はBSGの任意の他のフラクション、例えば、BSGのタンパク質フラクション、BSGの繊維フラクション又は他の種類のフラクションの両方を対象とする。
【0031】
したがって、「BSG」という用語は、固体タイプのBSG、例えば、乾燥させ粉砕して粉にしたBSG又はBSGのフラクションを含む。さらに、「BSG」という用語は、液体タイプのBSG、例えば、UHT処理されたBSGの液体フラクションを含むBSGの液体フラクションを含む。「UHT」という用語は、当業者に通常理解されるような超高温での熱処理を指す。
【0032】
本発明の一実施形態では、BSGの固体フラクションは、機械的処理の使用により生BSGを液体フラクションと固体フラクションとに分離することによって得られる。分離は、例えば、スクリュープレス、フィルタープレス、遠心分離機、デカンター又は膜ろ過の使用によるものであり得る。生BSGのBSG液体フラクション及び固体フラクションへの分離プロセスはまた、サイブ(sive)等でのろ過によるものであってもよい。BSGの固体フラクション及び液体フラクション中の栄養素及び風味化合物は必ずしも同じであるとは限らない。BSGの固体フラクションは、ある栄養素及び風味化合物をある特定の量で含み、一方、BSGの液体フラクションは他の栄養素及び他の風味化合物を含み得る。BSGの液体フラクションはまた、固体フラクションにおいてと同じ栄養素及び風味化合物も含み得るが、異なる量である。例えば、BSGの固体フラクションは、多量のタンパク質及び繊維を含む。
【0033】
醸造粕は異なる栄養素を含む。「栄養素」という用語は、本発明の文脈では、栄養価を有する醸造粕中に存在する成分を指す。栄養素の例は、タンパク質、炭水化物、脂質、繊維、ビタミン、ミネラル、灰分、アレルゲン、酸化防止剤(例えば、フェノール又はポリフェノール)である。
【0034】
本発明で使用される醸造粕は、一つ以上の栄養素を含み、前記一つ以上の栄養素は、タンパク質、炭水化物、脂質、繊維、ビタミン、ミネラル、灰分、アレルゲン及び酸化防止剤の群から選択される。
【0035】
本発明の内容において、「繊維」という用語は、可溶性繊維又は不溶性繊維の両方を指す。可溶性繊維は水中に溶けやすく、胃腸系で分解してゲル状物質になるが、不溶性繊維は水に溶解せず、胃腸系中で変化しないままである。不溶性繊維はまた、難消化性炭水化物又はプレバイオティクスとも呼ばれ、本発明の文脈では、不溶性繊維(プレバイオティクス)は、哺乳類の消化器系で消化されにくい炭水化物を指す。
【0036】
「脂質」という用語は、本発明の文脈では、BSG中に存在する任意の種類の脂質又は脂肪酸、例えば、限定されるものではないが、遊離脂肪酸、モノグリセリド、トリグリセリド、リン脂質及び糖脂質を含む。遊離脂肪酸は、例えば、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸又は多価不飽和脂肪酸であってよい。
【0037】
「灰分」という用語は、食品サンプル中の有機物の着火又は完全酸化のいずれかの後に残存する無機物を指す。灰分はまた、残存するミネラルも含む可能性がある。
【0038】
醸造粕は、醸造粕源によって、異なる栄養素の含有量を含み、異なる色及び風味を有することが知られている。
【0039】
したがって、例えば、繊維、非繊維炭水化物、タンパク質及び脂質の量は様々である。さらに、醸造粕の色は、醸造粕源によって変わる。色は暗さが異なる可能性があり、例えば、スタウトの醸造から得られるBSGは、典型的には暗色を有し、ピルスナーの醸造から得られるBSGは明色を有する。風味化合物も、醸造粕源によって変わる。異なるビールを製造すると、異なる風味及び色を有する醸造粕が得られる。さらに、異なる醸造粕は異なる栄養素の含有量を含む。
【0040】
食品産業で使用される、醸造粕からの粉又は液体などの醸造粕からの食品生産物を調製する場合、何千もの異なる粉又は液体は不可能であるが、いくつかの粉/液体を定義しなければならない。さらに、醸造粕から粉又は液体を商品化する場合、均一性は必須である。消費者が、どの醸造粕が使用されるかによって変わる製品ではなく、毎回同じ製品を受け取ることが重要である。いかなる時も消費者はパラメータ:色、風味、及び栄養素含有量に関して同じ製品を受け取る必要がある。しかしながら、異なる醸造所から、異なる種類のビールの製造から得られるBSGは、色、風味、及び栄養素含有量が異なるので、これまでのところ大規模な工業生産製品に組み込まれたBSG粉又は液体はない。
【0041】
BSGから均一な粉又は液体を提供することは、本発明者等の知る限り、同じ醸造所からのBSGの使用、同じ麦芽を使用する製造及び一種類の酒、例えば、ビール又はウィスキーの製造から得られるBSGの使用のみによって以前に解決されている。
【0042】
本発明者等は、醸造粕は、栄養素の含有量、風味及び色(暗さ)に関して分析できるので、得ようとする粉の特徴に応じて特定量の異なる醸造粕を混合することによって均一な製品を調製できることを見出した。異なる醸造粕源が提供されたとしても、そのような均一な製品を得ることができる。
【0043】
本発明の文脈において、「均一な製品」又は「同じ製品」を論じる場合、5%のばらつきを含んで重量(g/100g)単位で同じ栄養素含有量を有する製品を対象とする。したがって、ユーザ入力が20g/100gのタンパク質含有量を有するBSGの混合物を得ることである場合、19~21g/100gのタンパク質含有量を有するBSGの混合物は許容され、「均一」とみなされる。
【0044】
要求されたEBC色は、要求されたユーザ入力が10以下のEBC色である場合、ばらつきが40%で許容可能かつ「均一」とみなされる。したがって、要求されたEBC色が5の場合、3~7のEBC色の範囲が許容可能であることがわかる。しかしながら、要求されたEBC色が10を超える場合、許容可能かつ均一とみなされるばらつきは、20%以内のばらつきでなければならない。したがって、ユーザ入力がEBC色20のBSGの混合物を要求する場合、EBC色16~24の混合物が「均一」かつ許容可能であるとみなされる。
【0045】
本発明の文脈において、「栄養素の含有量」という用語は、重量又は体積単位の栄養素の量を指す。
【0046】
さらに、「組成を有する醸造粕の混合物」における「組成」という用語は、前記組成/混合物の栄養素の量、色、及び風味を指す。「混合物」という用語は、複数のBSGを混合することによって調製される組成物を指す。
【0047】
さらに、本発明者等は、醸造粕の色と、繊維、タンパク質及び脂肪含有量との間に相関関係があることを見出した。例えば、本発明者らは、醸造粕の色が暗いほど、繊維の含有量、タンパク質、及び脂肪含有量が低いことを見出した。しかしながら、醸造粕の色が暗いほど、カロリーが高くなり、また炭水化物含有量も高くなる。
【0048】
また、異なる醸造粕は、異なる風味、すなわち、異なる味と異なる香り化合物とを有する。「風味」という用語は、本発明の文脈では、味と匂い(臭気)の複合効果を指し、一方、「香り」という用語は、臭気/匂いのみを指す。さらに、「風味」という用語は、一つ以上の香味化合物を含むことを指す。
【0049】
醸造所(例えば、ビールの製造)及び蒸留(例えば、ウィスキーの製造)中の様々な要因が異なる風味や色につながる。例えば、麦芽製造プロセス中、すなわち、焙煎中、温度及び/又は圧力などのプロセスパラメータは、得られる風味や色に関与する。さらに、マッシングプロセス中の様々な条件(時間、温度)又は醸造中に使用される様々なレシピが、様々な風味や色につながる。
【0050】
一種以上の醸造粕における栄養素の含有量、風味、及び色の「情報」は、データベースに保存され、BSGを受け取ったときにデータベースに提供し入力することができるか、又は栄養素の含有量、風味、及び色の情報は、BSGを分析することによって得ることができる。
【0051】
「計量又は秤量された量の醸造粕を供給する」という表現を使用する場合、計量又は秤量された量の醸造粕を提供し、混合して、醸造粕の混合物を作製することを包含する。
【0052】
ユーザ入力は、得ようとする醸造粕の混合物の入力であり得る。例えば、ユーザ入力は、得ようとする醸造粕のある特定の色、若しくはある特定の風味、若しくはある特定の栄養素含有量、又はそれらの組み合わせを指す。ユーザ入力は、例えば、量又は繊維及び/又はタンパク質に関連し得る。ユーザ入力は、パラメータ/条件の組み合わせ、例えば、ある特定の色とある特定の栄養素含有量との組み合わせに基づく要求であってよい。
【0053】
本発明のシステムの一実施形態において、一種以上の醸造粕の計量又は秤量された量は、以下の要求されたユーザ入力の群:要求された色、要求された風味、要求された栄養素含有量、要求された水分含量、要求された体積及び要求された粒径から選択される一つ以上に基づいて決定される。要求された栄養素含有量は、例えば、要求された繊維含有量、要求されたタンパク質含有量、要求された脂質含有量、要求されたアレゲン(allegen)含有量、要求された酸化防止剤含有量、及び必須アミノ酸の要求された含有量の一つ以上であってよい。要求された風味は、要求された味及び/又は要求された匂いであってよい。特に、ユーザ入力は醸造粕の混合物の要求された風味に関する。しかしながら、ユーザ入力はまた、一つ以上の栄養素の所望の含有量であってもよい。
【0054】
本発明の一態様において、醸造粕(BSG)は、生BSG、BSGの固体フラクション、BSGの液体フラクション又はBSGの任意の他のフラクションなどの任意の種類のBSGであってよい。「BSG」は、液体形態又は固体形態のいずれかであってよい。すなわち、例えば、乾燥し、粉砕して粉にしたBSG又はBSGのフラクションであってよい。
【0055】
本発明の好ましい実施形態において、使用される醸造粕は醸造粕の固体フラクションである。さらなる実施形態において、醸造粕の固体フラクションは、15~70重量%、好ましくは20~60%、例えば、22~50%の水分含量を有する。生醸造粕の水分含量は、典型的には約80%である。
【0056】
本発明のさらなる実施形態において、醸造粕は乾燥形態、好ましくは粉末又は顆粒、例えば、醸造粕の乾燥固体フラクションである。しかしながら、醸造粕を乾燥させる方法は、本発明の限定であってはならない。BSGの固体フラクションなどの醸造粕は、噴霧乾燥、凍結乾燥、流動床乾燥又は赤外線乾燥などの当該技術分野で公知の任意の方法によって乾燥できる。本発明のさらなる実施形態では、醸造粕の固体フラクションを乾燥し、粉砕する。
【0057】
本発明の方法:
要求されたユーザ入力に対応する組成を有する醸造粕の混合物を調製する方法に関連する技術的特徴を概略的に示す図2を参照すると、図2は、一例として、本発明の方法で提供される技術的特徴を示す。本発明は、図2に示される実施形態に限定されるべきではない。
【0058】
本発明の方法は、醸造粕の混合物を調製する方法である。BSGの混合物を調製するために供給される個々のBSGの量は、ユーザ入力に対応する醸造粕の均一な混合物を提供するように計量または秤量される。
【0059】
本方法は、複数の貯蔵器2を提供し、各貯蔵器2は醸造粕を含む。貯蔵器2は、広く理解され、BSGを保存するのに適したあらゆる種類の貯蔵器を対象とするものである。貯蔵器は、したがって、あらゆる種類の容器を対象とし得るか、又はBSGを保存し、輸送するためのパイプを対象とし得る。しかしながら、一実施形態では、貯蔵器は、サイロ、容器、パウチ、サック、バッグ、パイプ、バスケット、ケトルなどの群から選択される。一実施形態では、貯蔵器はサイロである。別の実施形態では、貯蔵器はバッグ又はサックである。
【0060】
貯蔵器2中の醸造粕は、互いに独立して、一つ以上の栄養素、風味及び色を含む。
【0061】
本方法はまた、貯蔵器2中に存在する醸造粕の栄養素の含有量、風味及び色の情報を保存するデータベース7も提供する。さらに、本方法は、本方法によって得られる醸造粕の混合物のユーザからの入力を読み取るように適合させた入力手段(8)を提供する。
【0062】
本方法は、一つ以上の供給装置3をさらに提供し、各供給装置は計量装置5又は重み付けセルを含み、前記供給装置5は、貯蔵器2中の計量又は秤量された量の醸造粕を貯蔵器2から容器4に供給して、醸造粕の混合物を形成するように適合させる。
【0063】
図2に示す実施形態は、各貯蔵器2の供給装置3を提供するが、単一の供給装置3を適用してもよく、この場合、前記単一の供給装置3は、単一の貯蔵器2に交互に(順番に)接続されるように適合させる。そのような単一の供給装置の実施形態を図3に示す。いくつかの貯蔵器を接続するそのような単一の供給装置の実施は、例えば、カルーセルのように、次の貯蔵器へ移動する前の時点で一つの貯蔵器に移動可能に接続された供給装置であり得る。カルーセルは、制御された方法で回転可能であり、したがって、供給装置3は、選択された貯蔵器2の開口部の下でカルーセル(carrousel)の回転により配置できる。
【0064】
本方法はまた、貯蔵器2中に存在する醸造粕における栄養素の含有量、風味及び色の情報をデータベース7から読み出し、入力手段からユーザ入力のデータを読み出すように適合させたコントローラ6も提供する。
【0065】
供給装置が選択された貯蔵器の開口部の下に配置されると、コントローラ6は、貯蔵器から出る流れを調節するシャットオフバルブを、開いて醸造粕が供給装置に投入されるように制御する。貯蔵器2から出る醸造粕の流れは、貯蔵器2を振動させることによって任意に補助される重力によって提供されて、貯蔵器中の醸造粕をほぐし、貯蔵器から出る流れを容易にできる。貯蔵器2から出る醸造粕の流れは、一実施形態では、押出機によって補助することもできる。醸造粕の量は、シャットオフバルブの開放時間及び/又は容器4及びその含有量を重くするために配置された重み付けセルによって決定できる。供給装置3はまた、ユーザ入力に対応して供給される醸造粕を受け取るために、一つの貯蔵器から次の貯蔵器へと手動で移動される単一の供給装置であってもよい。
【0066】
本発明による方法は、特定のデザインの供給装置に限定されるべきではなく、したがって、供給装置は任意の形態をとることができる。供給装置の機能は、供給装置3が、貯蔵器2から容器4へと計量又は秤量された量の醸造粕を供給することである。図2の好ましい実施形態では、供給装置3は、貯蔵器2中の醸造粕を受け取るために一方の遠位端で貯蔵器2中に開口し、他方の遠位端は容器4中に開口しているパイプを含む。システムの一実施形態において、遠位端は、容器2の上方に配置された漏斗型コレクタ中に開口し得る。漏斗型コレクタは、汚染物質の取り込みを回避するための蓋を含んでいてもよい。
【0067】
図3に示すように、提供された一つ以上の供給装置3はソックレット(socklet)9を含んでいてもよく、その中に貯蔵器2が密封係合し得る。ソックレット9は、典型的には、貯蔵器がソックレット9中に配置されると、貯蔵器のシールを破って開ける鋭利な要素(不図示)を含む。供給装置3は、貯蔵器2中の醸造粕を受け取るために一方の遠位端でソックレット中に開口し、他方の遠位端は容器4中に開口しているチューブ又はパイプをさらに含む。
【0068】
提供される一つ以上の供給装置3は、好ましくは、醸造粕を計量するための計量ポンプの形態の計量装置5を含んでもよい。計量装置は、例えば、典型的には物質を計量する、スクリューフィーダ、押出機、ガス駆動の流動化装置(fluidifier)の群から選択できる。本発明に関連して適用可能な他の計量装置5としては、典型的には液体物質を計量するための、体積測定装置が挙げられる。
【0069】
体積を測定するための装置は、本方法によって得られる醸造粕の混合物が醸造粕の液体フラクションの混合物である本発明の実施形態に特に関連する。
【0070】
供給装置3中に配置された計量装置5の代替として、複数の貯蔵器2のうちの一つ以上を重くするか、又は容器4を重くするために重み付けセルを配置してもよい。貯蔵器2の重量の減少又は容器4の重量の増加を用いて、貯蔵器2から供給された醸造粕の量を決定できる。そのような重み付けセルはまた、計量装置5と組み合わせて使用して、貯蔵器2中に存在する醸造粕の量の確認及び/又はそのような量の記録の維持をすることができ、後者は、貯蔵器が空又はほぼ空で、交換が必要であることを知らせるために使用できる。
【0071】
多くの場合、貯蔵器2から容器4へ供給される醸造粕は撹拌する必要がある。したがって、本発明の一実施形態では、システム1は供給された醸造粕を撹拌するための撹拌装置を含む。そのような撹拌装置は、醸造粕が貯蔵器2から供給された時に撹拌されるように、例えば、容器4中で動作するように適用される攪拌器であってよい。撹拌装置はまた、漏斗型コレクタ中にあってもよいが、これには、醸造粕が貯蔵器2から漏斗型コレクタへ同時に供給される必要があり、必ずしもそうとは限らない。醸造粕が順次供給される場合、撹拌装置は、容器4を振動させるバイブレータであってもよいし、又は容器中に配置された攪拌器であってもよい。あるいは、撹拌装置は、容器中に配置される二軸押出機などのスクリュー押出機であってもよい。
【0072】
本方法はまた、得ようとする醸造粕の混合物の特徴に関連するユーザからの入力を受け取るように適合させた、グラフィカルユーザインターフェースなどの入力手段8も提供する。ユーザからの入力はニーズに応じて変わる可能性がある。貯蔵器2から供給される醸造粕の量を決定するユーザの入力は、例えば、得られる醸造粕の混合物の特定のタンパク質含有量、得られる醸造粕の混合物の繊維含有量、アレルゲン含有量、又は酸化防止剤含有量などの、醸造粕の混合物中に存在することが望まれる一つ以上の栄養素の含有量に関する可能性がある。あるいは、ユーザ入力は、得ようとする醸造粕の混合物の色又は風味に関連する可能性がある。ユーザ入力はまた、出力の体積、水分含量又は粒径に関連する可能性がある。
【0073】
したがって、一実施形態では、要求されたユーザ入力は、要求された色、要求された風味(味及び/又は匂い)、要求された栄養素含有量、要求された体積、又は要求された水分含量からなる群から選択される。
【0074】
要求された栄養素含有量は、例えば、要求されたタンパク質含有量、要求された炭水化物含有量、要求された脂質含有量、要求された繊維含有量、要求されたアレルゲン含有量、要求された酸化防止剤含有量及び要求された必須アミノ酸含有量のうちの一つ以上であり得る。
【0075】
本発明の一実施形態において、本方法は、計量又は秤量された量の2種以上の醸造粕を貯蔵器2から供給して、醸造粕の混合物を調製する。好ましくは、2種以上の醸造粕は、少なくとも2種の異なる生醸造粕に由来する。さらに、貯蔵器2中の醸造粕は、好ましくは、醸造粕の固体フラクション及び醸造粕の液体フラクションの群から選択される。好ましくは、醸造粕の固体フラクション及び/又は醸造粕の液体フラクション、少なくとも2種の異なる生醸造粕に由来する。
【0076】
ユーザ入力はまた、得ようとする醸造粕の混合物の風味、例えば、香り化合物及び/又は味物質に関連する可能性がある。したがって、要求されたユーザ入力は、要求された風味、例えば、ニュートラルな風味、キャラメル、チョコレート、コーヒー、サワー、フレッシュ、大麦、パン、コク味、シリアル、ファド(fad)、かんきつ類、マイルド、穀物倉、マイルドグリーン(mild grean)(キュウリ)、クリーム、ハチミツ、ビスケット、マーマレード、麦芽風-汗、タフィー、スイート、ビター、カカオ、ローストアーモンド、フルーティー、マイルドフルーティー(例えば、アブリコット(abricot))、干し草、パン風、ウッドスモーク、燻製、クローブ、ヘーゼルナッツ、レーズン、バニラ、ミント、ココア、アーモンド、エタノール、ベンゼン、野生のラディッシュ、キャベツ、チーズ、グリーンチーズ、ブルーチーズ、オイリー、焦げ、グリーングラス、シャープなアルデヒド、刺激性、及びフーゼルの群から選択される風味に関連するユーザ入力である可能性がある。好ましい実施形態では、風味は、ニュートラルな風味、キャラメル風味、チョコレート風味、コーヒー風味、サワー風味、及びフレッシュ風味の群から選択される。
【0077】
一部の風味は悪い風味として認識される可能性がある。したがって、ユーザ入力は、一部の風味が混合物又は醸造粕中で少量でなければならない可能性がある。悪い風味を有するとして認識される可能性がある風味は、エタノール、ベンゼン、野生のラディッシュ、キャベツ、チーズ、オイリー、焦げ、グリーングラス、シャープなアルデヒド、刺激性、及びフーゼルである。
【0078】
BSGにおけるある特定の風味は、香り化合物を測定することによるか、又は官能分析(sensoric analysis)によって検出できる。
【0079】
例えば、キャラメル風味を有する醸造粕は、2,3-ブタンジオンがバターのようなクリーミーなスイートキャラメル風味(香り)を有することを特徴とするため、高い含有量の2,3-ブタンジオンを有することによって特徴づけられる。本発明の文脈において、醸造粕の混合物の「キャラメル風味」という用語は、例えば、GC-MS分析で検出される総面積単位の少なくとも1.5%面積単位の量で2,3-ブタンジオンを含む混合物によって定義できる。「面積単位パーセンテージ」という用語は、クロマトグラフィーで広く使用される標準化された半定量的尺度であり、したがって、当業者がこの用語によって通常理解するものに対応する。したがって、GC-MSからの「面積単位パーセンテージ」という用語は、GC-MSクロマトグラム中の全ピークの合計面積のパーセンテージとして表されるピーク下の面積である。
【0080】
本発明の実施形態において、ユーザ入力は要求されたキャラメル風味に関する。キャラメル風味は、醸造粕の混合物中に存在する多量の2,3ブタンジオンとして理解される。一実施形態では、要求されたユーザ入力は、2,3ブタンジオンの含有量が、GC-MSにおいて検出された合計面積単位の少なくとも1.5%の面積単位、好ましくは検出された合計面積単位の少なくとも2%の面積単位であることであり得る。本発明のさらなる実施形態において、ユーザ入力は、2,3ブタンジオンの含有量が、検出された合計面積単位の2%~5%の面積単位、好ましくは検出された合計面積単位の2%~4%の面積単位の範囲内であることである。本発明の一例では、ユーザ入力は、2,3ブタンジオンの含有量が、例えば、検出された合計面積単位の2%~4%の面積単位であり、明褐色はEBC色3~5に対応するということである。
【0081】
醸造粕の風味の別の例は「チョコレート風味」である。チョコレート風味は、多量の化合物ブタナール2-メチルを有することにより特徴づけられる。要求されたユーザ入力がチョコレート風味を得ることに関するものである場合、ブタナール2-メチルの含有量が、GC-MS分析において検出された合計面積単位の少なくとも2%の面積単位、好ましくは合計面積単位の少なくとも3%の面積単位、例えば合計面積単位の少なくとも4%の面積単位であることに対応する。本発明のさらなる実施形態において、チョコレート風味の要求されたユーザ入力は、ブタナール2-メチルの含有量が、合計面積単位の2~14%の面積単位、好ましくは合計面積単位の3~12%の面積単位の範囲であることに対応する。
【0082】
GC-MSによって測定される他の化合物(アルデヒド、ケトン、酸、アルコール、硫黄成分等)は、ある特定の風味と関連付けることができ、本発明は、任意の特定の化合物の含有量に限定されない。検出され、風味と関連付けることができる他の化合物の例は、限定されるものではないが、(1R)-2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト-2-エン;1-ブタノール、2-メチル-;1-ブタノール、3-メチル-;1-ヘプタノール;1-ヘキサノール;1-ペンタノール;1-プロパノール;1-プロパノール、2-メチル-;2,3-ブタンジオン;2-ブタノン;2-フランカルボキシアルデヒド、5-メチル-;2-ヘキサノンン、4-メチル-;2-ノネン-1-オール、(E)-2-オクタノン;2-オクテン-1-オール、(E)-;3(2H)-フラノン、ジヒドロ-2-メチル-;3-カレン;酢酸、メチルエステル;アセトン;ベンズアルデヒド;ベンゼン、(2-メチルプロピル)-;ベンゼン、ペンチル-;ベンゾフラン、2-メチル-;ブタナール;ブタナール、3-メチル-;ブタンニトリル、3-メチル-;クレオソール;硫化ジメチル;エタノン、1-(2-フラニル)-;酢酸エチル;フラン、2,5-ジメチル-;フラン、2-メチル-;フラン、2-ペンチル-;フルフラール;ヘプタナール;ヘキサナール;ヘキサンニトリル;イソプロピルアルコール;ペンタナール;プロパナール、2-メチル-;ピラジン、エチル-;ピラジン、メチル-;ピリジン;チオフェン;2-ブタノン;イソプロピルアルコール;2,3-ペンタンジオン;ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、6,6-ジメチル-2-メチレン-、(1S)-;ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、6,6-ジメチル-2-メチレン-、(1S)-;シクロプロパンエタノール;D-リモネン;2-ノネナール、(E)-;o-シメン;シクロヘキセン、1-メチル-4-(1-メチルエチリデン)-;アセトイン;2-プロパノン、1-ヒドロキシ-;シクロプロパンエタノール;テトラデカン;3-オクテン-2-オン、(E)-;2,4-ヘプタジエナール、(E,E)-;1-ヘキサノール、2-エチル-;2,4-ヘプタジエナール、(E,E)-;3,5-オクタジエン-2-オン、(E,E)-;カンフェン;パロモマイシン;ブチロラクトン;アセトフェノン;2-フランメタノール;ベンジルアルコールであってよい。
【0083】
ある特定の風味と関連する化合物の含有量は、本発明の文脈では、ガスクロマトグラフィー-質量分析法(GC-MS)によって測定されるが、他の方法の使用によって測定してもよい。GC-MSは、ガスクロマトグラフィー及び質量分析法の特徴を組み合わせて試験サンプル内の様々な物質を同定する分析法である。本発明の文脈で風味化合物の含有量を測定するために使用されるGC-MSは:カリフォルニア州パロアルトのAgilent Technologies製のTriple-Axis検出器を有する5975C VL MSDと接続されたGC-MS、7890A GCシステムであった。
【0084】
BSGにおける風味は、GC-MSにおいて特定の化合物の情報を使用することによって測定できる以外に、官能分析によっても測定できる。例えば、サワー風味又はフレッシュ風味を有することによって特徴づけられる醸造粕は、官能パネルを用いた官能分析によって示すことができる。さらに、BSGの香りは、BSGを調製するために使用される麦芽の香りを分類する「The Weyermann(登録商標)Malt Aroma Wheel(登録商標)」を使用することによって決定できる。The Weyermann(登録商標)Malt Aroma Wheel(登録商標)は全ての麦芽を香りに関して分類する。本発明の文脈では、BSGの風味を説明するために風味インジケータを使用する。BSGの風味インジケータは、Weyermann(登録商標)Malt Aroma Wheel(登録商標)に基づく加重平均である。例えば、Weyermannによると0.49の風味を有する30%の麦芽A、Weyermannによると0.52の風味を有する30%の麦芽B及びWeyermannによると0.62の風味を有する40%の麦芽Cを使用してBSGが作製される場合、BSGの風味インジケータ(加重平均)は0.55である。風味インジケータの数値が大きいほど、BSGの風味は強い。
【0085】
GC-MS又はWeyermann(登録商標)Malt Aroma Wheel(登録商標)に基づく風味インジケータを使用することによる風味の決定は、本発明の限定とみなされるべきではなく、単に風味を決定する異なる方法であるにすぎない。さらに、GC-MSによって決定される風味と、Weyermann(登録商標)Malt Aroma Wheel(登録商標)に基づく風味インジケータとの間には相関関係がある。
【0086】
醸造粕の色は、非常に明るい褐色から暗褐色までさまざまであり、様々な方法で測定できる。BSGの色を測定する一例は、色単位EBC(European Brewery Convention)を使用することによる。EBCは、技術的方法で測定されたビールの色を指す。EBC法は定量的であり、430nmの波長で分光光度計中に配置されたキュベット中のサンプル(希釈BSG)の色を測定することを含む。EBC色は:EBC=25×D×A430によって決定され、式中、Dはサンプルの希釈係数であり、A430は1cmキュベット中、430ナノメーターでの吸光度である。
【0087】
明色を有するBSGは0~20の範囲のEBCを有し、非常に明るい色は3~5などの5以下のEBCを有する。暗色を有するBSGは50EBCを超える範囲のBSGを有する。したがって、要求されたユーザ入力は、ある特定の色(暗/明)又はEBCによって測定される色の範囲であり得る。したがって、本発明の一実施形態では、要求されたユーザ入力は要求されたEBC色である。例えば、ユーザ入力は、3~7のEBC色(明色)又は16~24のEBC色(中程度の褐色)又は57~63(暗褐色)又は100超のEBC色(非常に暗色)に関するものであり得る。色はまた、Natural Color System(NCS)、Sikkens色分け、又はRAL色システム(ReichsausschuB fur Leiferbedingungen)などの他の方法によっても測定できる。
【0088】
要求されたユーザ入力は、得られる醸造粕の出力混合物の体積も含み得る。ある得って位の体積がユーザによる入力である場合、貯蔵器(2)に由来する醸造粕の量は、醸造粕の最終混合物の所望の体積によって決定される。
【0089】
したがって、貯蔵器2から供給される醸造粕の量は、ユーザ入力並びに貯蔵器2中の醸造粕の栄養素の含有量、風味及び/又は色に基づいて決定される。貯蔵器2中の醸造粕は、典型的には、それらの栄養素含有量、風味(味と匂い)及び色について分析される。貯蔵器中の醸造粕の既知の栄養素の含有量、風味及び色並びに要求されたユーザ入力に基づいて、個々の貯蔵器2から供給される醸造粕の量を決定できる。
【0090】
本方法はまたコントローラも提供する。コントローラ6は、データベース7から貯蔵器2中に存在する醸造粕における栄養素の含有量、風味及び色の情報を読み出し、入力手段8からユーザ入力のデータを読み出すように適合させる。コントローラ6は、貯蔵器2から容器4へと供給される醸造粕の各々の量を決定する。さらに、コントローラ6は、貯蔵器2から容器4へと供給されるコントローラによって決定された醸造粕の計量又は秤量された量を容器4中に個々に供給するように一つ以上の供給装置3を制御するように適合させている。したがって、供給される醸造粕の実際の量が決定されると、コントローラ6は、これらの量が貯蔵器2から容器4へと移動されるように、供給装置の動作を制御する。供給装置は、例えば、供給装置によって供給される量を制御する計量装置5を含み得る。
【0091】
方法1はさらに、貯蔵器2中の醸造粕の栄養素の含有量、風味(例えば、風味化合物の含有量)及び色の値を保存するデータベース7を提供できるか、またはデータベース7にアクセスできる。データベースは、例えば、スプレッドシートであり得る。
【0092】
そのようなデータベースを使用する場合、貯蔵器2から供給される実際の量の決定は、コントローラ6によって実施され、コントローラ6が、データベース7から、醸造粕における栄養素の量、色及び風味を読み出すために好適なソフトウェア命令によって適合させることを含む。醸造粕における栄養素の量、色及び風味がコントローラ6によって認識されると、コントローラは、ユーザ入力に対応する貯蔵器2から供給される醸造粕の量を決定する。データは、コントローラのメモリに保存できるか、又は通信ネットワークを介してアクセス可能なリモートサーバーに保存させてもよい。リモートデータ回収システムの場合、本方法は、外部ネットワークとのデータ交換を可能にする通信モジュール(例えば、wifi、モデム、イーサネットなど)を提供する。コントローラ6は、典型的には、データや命令を保存するメモリと協働するプログラム可能なプロセッサである。本発明の一実施形態において、プロセッサは、ユーザからの入力に基づいて貯蔵器2から供給される醸造粕の量を算出するためのアルゴリズムを含む。
【0093】
本発明の方法は、コンピュータで実施される方法として特徴づけることができる。
【0094】
前述のように、ユーザによる入力は、得られる醸造粕の混合物の風味又は色に関連するものであり得る。例えば、得ようとする醸造粕の混合物のユーザ入力は、以下のいずれかであり得る:
-フレッシュ及びサワー風味、又は
-チョコレート風味
-キャラメル風味
-コーヒー風味
-ニュートラルな風味
【0095】
そのような場合、コントローラは、例えば、貯蔵器2中の様々な醸造粕の風味化合物の値を保存するデータベースを調べることによるか、又はBSGの醸造で使用される麦芽のWeyermannのアロマホイールに基づいた風味の情報を保存するデータベースを調べることによって、風味を特徴づける風味化合物にユーザ入力を変換する。同様に、コントローラは、例えば、色、明色又は暗色のユーザ入力を、例えば、貯蔵器2中の様々な醸造粕の色スケールの値を保存するデータベースを調べることによって、必要とされる色スケール(例えば、EBC色スケーリング、Sikkens色分け、又は別の色スケーリング方法によって)に変換する。
【0096】
好ましい実施形態では、例えば、所与の色が所与の栄養素の含有量に応答することをシステムが学習できるように機械学習が実施される。機械学習は、限定されるものではないが、Microsoft Cognitive Toolkit(CNTK)などの人工知能エンジン(AIE)、Azure Machine Learningなどのクラウドソリューション、または二つの組み合わせの使用によって実行できる。そのような実施形態や他の実施形態では、当初は、複数の醸造粕の栄養素の含有量、色及び風味の情報に基づいてAIEに学習させる。このように、例えば、BSGの色に基づいて栄養素含有量をある特定の統計的精度で認識するようにAIEに学習させる。しかしながら、教師なし学習も採用できる。システムは、例えば、BSGの色と栄養素含有量との間の相関関係がある点で学習させることができる。例えば、暗色は、繊維やタンパク質含有量は低いが、炭水化物含有量は高いことに対応することを、システムに学習させることができる。また、明褐色が高いタンパク質及び繊維含有量に対応することをシステムに学習させることができる。システムに、例えば、ある特定のビールの醸造(同じ麦芽を使用)から得られ、ある特定の醸造所から得られるBSGの、色、風味、栄養素又はこれらの組み合わせなどを認識するように学習させるなど、他の方法で学習させることができる。
【0097】
ユーザ入力に基づいて、コントローラ6は、データベースからの決定ステップを行い、その結果、醸造粕の混合物は、例えば:
20重量%の量の醸造粕A
75重量%の量の醸造粕B
5重量%の量の醸造粕C
を含むはずである。
【0098】
これらの値が決定されると、供給装置3は、例えば、計量装置5又は重み付けセルを使用して、これらの量が貯蔵器2から供給されるように制御される。
【0099】
一実施形態では、本方法はさらに、醸造粕の栄養素の含有量、風味及び/又は色を分析するアナライザを提供するか若しくはアナライザにアクセスできるか、又は栄養素の量、風味及び色の値を受け取るように適合させる。アナライザはまた、固体形態であるBSG、例えば、BSG粉の水分含量又は粒径も分析できる。アナライザは、様々なパラメータを分析するのに適した一つのアナライザ(analysr)であってもよいし、又は各々がパラメータを分析する複数のアナライザであってもよい(パラメータとは、栄養素(nutritent)、風味及び色と理解される)。
【0100】
醸造粕は、以下について分析することができる:
-官能試験、GCMS又はWeyermann’s Malt Aromaコーディングの使用による風味(香り及び味の両方)
-色(極明色、明色、暗色、極暗色)
-栄養素含有量
-水分含量
-粒径
【0101】
固体及び粉砕された醸造粕の粒径は、例えば、どの種類のビール/ウィスキーが醸造されるかに応じて変わる可能性がある。固体、粉砕されたBSG(BSG粉)の粒径が異なると、粉の機能性が異なる。したがって、所望の機能特性をもたらす粒径を有するBSG粉の混合物を得ることは、重要なパラメータであり得る。
【0102】
本発明による方法はまた、非互換性(incompability)データを保存するデータベースも提供できる。非互換性データは、貯蔵器2中の一種以上の醸造粕の栄養素、風味及び色のものであり得る。例えば、暗色BSGは、繊維、タンパク質及び脂質の含有量が低い。したがって、醸造粕の混合物が暗色であり、かつ高い繊維含有量を有することに関連するユーザ入力はあり得ない。
【0103】
さらに、ある種のBSGは、ある種のBSG混合物の調製で使用するのに適さない。例えば、明褐色であり、ニュートラルな風味を有するBSG混合物をユーザ入力が要求する場合、ある種のBSGは、ニュートラルな風味には適さない強い風味のために混合物又はBSGの調製に決して使用してはならない。非互換性データを保存するデータベースは、一部のBSGがある種の混合物の調製に適さないことに関するデータを保存する。
【0104】
本発明の一実施形態において、システムは、システムの衛生化のための衛生化手段をさらに含む。衛生化手段は、例えば、無菌状態が提供されるように、照射、消毒液、水蒸気又は温水、ウェットブラスティング、ドライブラスティング又は他の衛生化手段を提供することができる。
【0105】
好適なドライブラスティングは、例えば、ドライアイスブラスティングであってよい。
【0106】
醸造粕の混合物:
本発明の一態様では、食品生産物で使用するための醸造粕の混合物が提供され、混合物は、少なくとも2種の異なる生醸造粕に由来する2種以上の醸造粕を含む。
【0107】
前述のように、異なる醸造所又は異なる種類のビール若しくはウィスキーの製造から得られる生BSGは異なる栄養素含有量、色及び風味を有する。したがって、BSGを含む製品は、今日では、一つの生BSGに由来するBSGを使用して調製されるだけである。しかしながら、本発明者等は、この度、驚くべきことに、異なる生BSG源からの2以上のBSGを混合することにより、栄養素含有量、風味及び色が均一なBSGの混合物を調製する方法を見出した。したがって、本発明の方法により、2以上の生BSGに由来するBSGの混合物の調製が可能になる。
【0108】
本発明の一実施形態において、醸造粕の混合物は、醸造粕の固体フラクション及び醸造粕の液体フラクションの群から選択される醸造粕を含む。
【0109】
使用:
醸造粕の混合物は、例えば、食品産業で使用される材料の調製のために使用できる。材料は、例えば、パン工業で使用される粉であってもよいが、材料は他の食品産業で使用されてもよい。
【0110】
本発明のシステム又は方法によって得られるBSGの混合物は、一実施形態では、飲料の調製でも使用できる。
【0111】
醸造粕から調製される粉は、原則としてあらゆる食品生産物に使用できる。BSGからの粉は、タンパク質及び/又は繊維含有量の増加が望まれるベーカリー製品に特に有用である。例えば、醸造粕から調製された粉を、例えば、パン、ピザ、ピタ、ペストリー、パンケーキ、クレープ、ワッフル用の生地の調製で使用できる。BSG粉から作製されたパンは、従来の小麦粉の使用と比較して、風味が向上することに加えて、テクスチャーも向上する。さらに、BSG粉から作製したパンは、小麦粉で作製したパンよりも長期間水分を維持できる。
【0112】
醸造粕の混合物はまた、食品生産物中のフィラー又はテクスチャー化剤(texturizing agent)としても使用できる。例えば、醸造粕の混合物は、肉製品(meat produces)(すなわち、ソーセージ、パテ)、ソース、グレービー、ソーセージ、スナック、クリスプ、パスタにおいてフィラー又はテクスチャー化剤として使用できる。また、植物性肉代替品などの植物性食品生産物を作製するためにBSGの混合物を使用することも可能である。
【0113】
さらに、醸造粕の混合物は、特に、液体形態である場合、飲料、液体朝食、かゆ、デザート、ヨーグルト、ソース及びスープの調製で使用できる。
【0114】
飲料は、例えば、スムージー、シェーク、ジュース、チョコレートミルク、植物性ミルク、ショット、シリアルミルク又はアイスティー様ドリンクの群から選択することができる、本発明はこれらの種類の飲料のいずれにも限定されるべきではない。一例では、飲料は、醸造粕の混合物とショウガとで作られたジンジャーショットである。デザートは、例えば、プディング、フロマージュ、ムース、アイスクリーム、シャーベット、ソルベ、アイスミルク、アイスウォーターなどのいずれかであり得る。
【0115】
本発明の態様のうちの一つの文脈で記載される実施形態及び特徴はまた、本発明の他の態様にも適用されることに留意されたい。
【0116】
本出願で引用されたすべての特許及び非特許文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0117】
次に本発明を以下の非限定的な実施例でさらに詳細に説明する。
【実施例
【0118】
実施例1-醸造粕における色と栄養素含有量との相関関係
様々な醸造粕の色と栄養素含有量との相関関係を分析した。特定の特徴を有する醸造粕の混合物を得ようとする場合、如何にして異なる醸造粕を混合できるかを見出すためにこの分析を実施した。
【0119】
10種の異なる醸造粕を、色(色は、EBC色スケールを使用することによって測定した)、タンパク質含有量、繊維含有量、脂肪含有量及び炭水化物含有量を測定することによって分析した。測定したデータを、色(EBC)と、栄養素、タンパク質、繊維、炭水化物及び脂肪との間の相関関係を示す図4~7に示す。
【0120】
EBC色は、醸造粕がどの程度明るい/暗いかの測定量である。測定された値が高いほど、色は暗くなる。EBC色は、ビールの醸造で使用される麦芽のEBC色スケールを使用して決定した。
【0121】
脂肪含有量は、栄養素を分析するALS Global社のNMRによって測定した。
【0122】
タンパク質含有量は、ALS Global社のDumas Levco Nitrogen法によって測定した。
【0123】
炭水化物含有量は、ALS Global社のCouncil Directive 90/496//EECを使用して測定した。
【0124】
分析した10種の異なる醸造粕は、異なる種類のビールの製造からの、異なる醸造所から受け取った、乾燥し粉砕された醸造粕の固体フラクションであった。10種の異なる醸造粕を、BSG1、BSG2、BSG3、BSG4、BSG5、BSG6、BSG7、BSG8、BSG9及びBSG10と呼ぶ。BSGの固体で粉砕されたサンプル(smaple)を分析前に水で希釈した。
【0125】
図4は、示された異なる醸造粕のEBC色(暗さ)と繊維含有量との間の相関関係を示す。醸造粕のEBC色が高いほど(暗いほど)、繊維含有量は少ないことが観察される。
【0126】
図5は、図4に示すのと同じ10種の醸造粕のタンパク質含有量とEBC色(暗さ)との間の相関関係を示す。醸造粕のEBC色が高いほど(暗いほど)、タンパク質含有量は少ないことが観察される。
【0127】
図6は、同じ10種の醸造粕の脂肪(脂質)含有量とEBC色(暗さ)との間の相関関係を示す。醸造粕のEBC色が高いほど(暗いほど)、脂肪含有量は少ないことが観察される。しかしながら、図6はまた、ある種のビールの製造から得られる醸造粕が非常に高い脂肪含有量を有する可能性がある一方で、より低い脂肪含有量を有する他の種類の醸造粕よりも高いEBC色を有する(より暗い)ことも示す。
【0128】
図7は、同じ10種の醸造粕の炭水化物含有量とEBC色(暗さ)との間の相関関係を示す。しかしながら、図7は、醸造粕のEBC色が高いほど、炭水化物含有量が高いことを示す。
【0129】
実施例2-醸造粕における色と風味化合物との相関関係
様々な種類のビールの製造又は例えばウィスキーの蒸留から得られる醸造粕も、様々な風味を有し、したがって様々な量の様々な風味化合物も有し得る。風味化合物2,3-ブタンジオンは、例えば、キャラメル風味と相関し、ブタナール、2-メチルはチョコレート風味と相関する。
【0130】
図8A及び8Bは、2,3-ブタンジオンの含有量(キャラメル風)と色(EBC)との間の相関関係を様々な醸造粕について示す。分析した醸造粕は、乾燥し粉砕された醸造粕の固体フラクションであり、実施例1においてと同じである。
【0131】
図8A及び8Bはさらに、ユーザ入力が5より低いEBC色を有する色などの明色を有するキャラメル風味を得ることに関連する場合、どの醸造粕が醸造粕の混合物での使用に適しているかを示す。図8Bは、図8AでEBC色が10より低いものである。ユーザからの入力が、キャラメル風味を有し、明るい色(EBC5未満)である醸造粕の混合物に関する場合、醸造粕BSG29、BSG26、及びBSG06がキャラメル風味の+2%の濃度を有するので供給すべきであり、BSG30(8Aを参照)もキャラメル風味の2%超の濃度を有するが、このBSGはEBCが>50であり、したがって、色が非常に暗く、ユーザ入力に適用可能でないことをシステムが認識するような、非互換性データの情報が、データベースには含まれる。
【0132】
キャラメル風味を有し、明色を有する醸造粕の混合物の一例は、表1に記載するような100gあたりの栄養素含有量を有する。
【0133】
【表1】
【0134】
図9には、ブタナール、2-メチルの含有量(チョコレート)と色(EBC)との間の相関関係を様々な醸造粕について示す。分析した醸造粕は、乾燥し粉砕された醸造粕の固体フラクションである。
【0135】
図9はさらに、ユーザ入力が6%のブタナール2-メチル濃度を有するチョコレート風味と約80のEBC色を有する色などの中程度の暗色とを得ることに関連する場合、どの醸造粕が醸造粕の混合物での使用に適しているかを示す。ユーザからの入力が、コーヒー及びココア風味を有し、暗色(EBC80未満)である醸造粕の混合物に関連する場合、醸造粕BSG30及びBSG16を混合できるが、BSG1とBSG28との混合が、同じユーザ入力を達成するための別の組み合わせであり得ることをシステムが認識するような非互換性データがデータベースには含まれる。
【0136】
チョコレート風味を有する醸造粕の混合物(固体フラクション)の一例は、表2に記載する100g当たりの栄養素含有量を有する:
【0137】
【表2】
【0138】
図10は、ブタナール-3メチルの含有量(チョコレート、ナッツ風味、葉物風味、ココア風味)及び色(EBC)に関する醸造粕(brewer’s spent)の様々な液体フラクションのプロットを示す。図10は、BSGの色(EBC)とチョコレート風味(ブタナール-3-メチル含有量によって測定)との間に相関関係があることを示す。したがって、非常に暗い色(EBC)を有するBSGは、ブタナール-3-メチルの含有量も高い。
【0139】
実施例3-様々な醸造粕の官能評価
【0140】
味及び香りの官能評価を様々な醸造粕で行った。分析した醸造粕は、乾燥し粉砕された醸造粕の固体フラクションである。6人の試験パネルを使用した。試験者は訓練を受けており、サンプルは試験パネルに対して無作為に与えられた。
【0141】
官能評価から、表3に示す情報が観察された。
【0142】
【表3】
【0143】
実施例4-明褐色でニュートラルな味と高いタンパク質含有量を要求する特定のユーザ入力に対応する醸造粕の混合物の調製
【0144】
この実施例は、如何にして3つの異なるBSG混合物を異なるBSGから調製して、明褐色でニュートラルな味と高いタンパク質含有量を有するBSG混合物を得ることができるかを示す。
【0145】
要求されたユーザ入力は:
-ニュートラルな風味(10%のばらつきを含む)である0.55の風味インジケータ
-非常に明るい褐色である5~7のEBC色
-21g/100gのタンパク質含有量(5%のばらつきを含む、すなわち、20~22g/100g)
【0146】
EBC色は、醸造粕がどの程度明るい/暗いかの測定量である。測定された値が高いほど、色は暗くなる。EBC色は、ビールの醸造で使用される麦芽のEBC色スケールを使用して決定した。
【0147】
タンパク質含有量は、ALS Global社のDumas Levco Nitrogen法によって測定した。風味インジケータは、Weyermann(登録商標)Malt Aroma Wheel(登録商標)を使用してBSGにおいて使用される麦芽の風味の加重平均に基づく。ニュートラルな味は0.55の風味インジケータ(±10%)を有している。
【0148】
8種の異なるBSGを提供し(表4を参照)、各々は、タンパク質含有量、EBC色、及び風味インジケータを使用して測定した風味を有する。
【0149】
【表4】
【0150】
8種の異なるBSGは、要求されたユーザ入力につながる複数の組み合わせで混合できる。以下は、異なるBSGのパーセンテージが要求されたユーザ入力の基準を有するBSG混合物をもたらす3つの例である。混合された量(重量/体積)は、得ようとする要求された量の混合物に依存する。
【0151】
3種の異なるBSG:70重量%のBSG31、15重量%のBSG35、15重量%のBSG38を使用した混合物1。このBSG混合物の結果、風味インジケータ0.55、EBC色5.8、及びタンパク質含有量21.6g/100gを有する混合物が得られる。
【0152】
3種の異なるBSG:40重量%のBSG32、40重量%BSG34、及び20重量%のBSG37を使用した混合物2。このBSG混合物の結果、風味インジケータ0.54、EBC色5.3、及びタンパク質含有量21.5g/100gを有する混合物が得られる。
【0153】
4種の異なるBSG:50重量%のBSG33、10重量%のBSG34、20重量%のBSG36及び20重量%のBSG38を使用した混合物3。このBSG混合物の結果、風味インジケータ0.55、EBC色6.7、及びタンパク質含有量21.3g/100gを有する混合物が得られる。
【0154】
実施例5-特定のユーザ入力に対応する醸造粕の混合物の調製
この実施例は、如何にしてBSG混合物を異なるBSGから調製して、
i)中程度の褐色、高いタンパク質含有量、及び高い繊維含有量
ii)暗褐色、高いタンパク質含有量、及び高い繊維含有量
を有するBSG混合物を得ることができるかを示す。
【0155】
本実施例はまた、混合物i)及びii)の各々につながるBSGの三つの異なる組み合わせも示す。
【0156】
混合物i)の要求されたユーザ入力は:
-中程度の褐色であるEBC色20(20%のばらつきが許容される。すなわち、EBC16~24が許容される)
-18.5g/100gのタンパク質含有量(5%のばらつきを含む。すなわち、17.8~19.4g/100g)
-61g/100gの繊維含有量((5%のばらつきを含む。すなわち、58~64g/100g)
混合物ii)の要求されたユーザ入力は:
-暗褐色であるEBC色コード60(10%のばらつきが許容される。すなわち、EBC54~66が許容される)
-19/100gのタンパク質含有量(5%のばらつきを含む。すなわち、18~20g/100g)
-57g/100gの繊維含有量(5%のばらつきを含む。すなわち、54~60g/100g)
【0157】
EBC色及びタンパク質含有量は実施例4で述べたように測定し、繊維含有量はAOAC法985.29を使用して測定した。
【0158】
13種の異なるBSGを提供し(表5を参照)、各々は繊維含有量、タンパク質含有量、及びEBC色を有する。
【0159】
【表5】
【0160】
13種の異なるBSGは、要求されたユーザ入力につながる複数の組み合わせで混合できる。以下は、BSG混合物における全ての結果が、混合物i)の要求されたユーザ入力の基準を有することを示す三つの例を示す。
【0161】
3種の異なるBSG:40重量%のBSG37、30重量%のBSG38、30重量%のBSG42を使用する混合物1。このBSG混合物の結果、EBC色18.7、タンパク質含有量19.2g/100g、及び繊維含有量61.6g/100gを有する混合物が得れる。
【0162】
4種の異なるBSG:10重量%のBSG33、20重量%のBSG37、30重量%のBSG40及び30重量%のBSG42を有する混合物2。このBSG混合物の結果、EBC色23.4、タンパク質含有量18.5g/100g、及び繊維含有量61.2gを有する混合物が得られる。
【0163】
2種の異なるBSG:50重量%のBSG37及び50重量%のBSG42を使用する混合物3。このBSG混合物の結果、EBC色22.5、タンパク質含有量17.9g/100g及び食物繊維含有量61.8g/100gを有する混合物が得られる。
【0164】
以下は、BSG混合物における全ての結果が、混合物ii)の要求されたユーザ入力の基準を有することを示す三つの例を示す。
【0165】
2種の異なるBSG:20重量%のBSG42及び80重量%のBSG45を使用する混合物1。
このBSG混合物の結果、EBC色64.5、タンパク質含有量19.1g/100g、及び繊維含有量58.1g/100gを有する混合物が得られる。
【0166】
3つの異なるBSG:20重量%のBSG40、40重量%のBSG44及び40重量%のBSG45を使用する混合物2。このBSG混合物により、EBC色63.1、タンパク質含有量18.9g/100g、及び繊維含有量56.2gを有する混合物が得られる。
【0167】
3つの異なるBSG:20重量%のBSG41、20重量%のBSG44及び60%のBSG45を使用した混合物3。このBSG混合物により、63.7のEBC色、18.1g/100gのタンパク質含有量及び56.1g/100gの食物繊維含有量を有する混合物が得られる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-10-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる栄養組成、風味及び色を有する異なる組成の醸造粕から醸造粕の混合物を調製する方法であって、前記醸造粕の混合物は、要求されたユーザ入力に対応する組成を有するものであり、前記方法は;
-複数の貯蔵器(2)であって、各貯蔵器(2)が、互いに独立して:
・一つ以上の栄養素、風味、及び色を含む醸造粕
を含む、複数の貯蔵器(2)を提供し;
-前記貯蔵器(2)中に存在する前記醸造粕の前記栄養素含有量、風味、及び色の情報を保存するデータベース(7)を提供し;
-前記方法によって得られる醸造粕の混合物のユーザからの入力を受け取るように適合させた入力手段(8)を提供し、ここで、前記入力手段(8)に対するユーザからの前記入力が、要求された色、要求された風味、要求された栄養素含有量の群から選択される一つ以上である;
-各々が計量装置(5)又は重み付けセルを含む一つ以上の供給装置(3)を提供し、ここで、前記供給装置(3)は、前記貯蔵器(2)から計量又は秤量された量の前記醸造粕を容器(4)へ供給して、醸造粕の混合物を形成するように適合させる;
-前記データベース(7)から、前記貯蔵器(2)中に存在する前記醸造粕における前記栄養素の含有量、風味、及び色の情報を読み出し、前記入力手段(8)から前記ユーザ入力のデータを読み出すように好適なソフトウェア命令によって適合させたコントローラ(6)を提供し、ここで、前記コントローラ(6)は、データ及び命令を保存するメモリと協働するプログラム可能なプロセッサであり、前記栄養素の量、色及び/又は風味が前記コントローラ6によって認識されたら、前記使用入力に対応して前記貯蔵器(2)から供給される前記醸造粕量を決定する
ことを含み、
-前記コントローラは、前記貯蔵器(2)から前記容器(4)へと供給される前記醸造粕の各々の前記量を前記ユーザ入力と前記データベースからの前記情報とに基づいて決定し;
-前記コントローラ(6)は、貯蔵器(2)から前記容器(4)へと供給される前記コントローラによって決定された醸造粕の計量又は秤量された量を前記容器(4)中に個々に供給するように一つ以上の供給装置(3)を制御するように適合されている、方法。
【請求項2】
前記方法が、醸造粕における前記栄養素含有量、風味、及び/又は色を分析するためのアナライザをさらに提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記貯蔵器(2)中の前記醸造粕が、醸造粕の固体フラクション及び醸造粕の液体フラクションの群から選択される、請求項1~2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記貯蔵器(2)中の醸造粕が醸造粕の固体フラクションである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記貯蔵器(2)中の前記醸造粕が醸造粕の液体フラクションである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
醸造粕の固体フラクション及び/又は醸造粕の液体フラクションが少なくとも2種の異なる生醸造粕に由来する、請求項3~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記コントローラが、以下の要求されたユーザ入力:要求された色、要求された風味、要求された栄養素含有量の一つ以上に基づいて、前記一種以上の醸造粕の前記計量又は秤量された量を決定する、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記コントローラが、前記貯蔵器(2)中の前記一種以上の醸造粕における栄養素、香味化合物及び色の非互換性(incompability)データを保存するデータベースをさらに含むか又は前記データベースにアクセスできる、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記貯蔵器(2)が、サイロ、容器、パウチ、サック、バッグ、パイプ、バスケット、及びケトルの群から選択される、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【国際調査報告】