(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】関節用の外科手術用スペーサ装置
(51)【国際特許分類】
A61F 2/40 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
A61F2/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023515873
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 EP2021074717
(87)【国際公開番号】W WO2022053519
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】102020000021403
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515156197
【氏名又は名称】リマコーポレート・ソチエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】LIMACORPORATE S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Nazionale, 52 Villanova 33038 San Daniele del Friuli(UD), Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペーターソン、ポール
(72)【発明者】
【氏名】プレッサッコ、ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】ドッソ、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】デラ ヴェドヴァ、フランチェスコ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA11
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC16
(57)【要約】
本発明は、内部が中空であり、牽引された関節(1、2)への挿入のために構成された、略円筒状または略円錐台状の本体(101)であって、上記本体(101)が略平坦であり、上記関節(1、2)の第1の骨部分(1)に当接するように構成された第1の端面(102)と、略環状であり、上記第1の骨部分(1)の反対側の、上記関節(1、2)の第2の骨部分(2)に当接するように構成された第2の端面(103)であって、上記第2の端面(103)が、上記第2の骨部分(2)へのアクセスのための第1の開口(10)を有する、第2の端面(103)と、上記第1の端面(102)と上記第2の端面(103)との間の、間隔が空けられた三次元構造を維持するように構成された少なくとも1つの側面要素(104)であって、上記少なくとも1つの側面要素(104)が、上記本体(101)内部への側方からのアクセス、および、さらに、上記第1の開口(10)を介した、上記第2の骨部分(2)へのアクセスを可能にするように構成された第2の開口(20)を画定する、少なくとも1つの側面要素(104)とを備える、関節用の外科手術用スペーサ装置(100)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が中空で、牽引された関節(1、2)への挿入用に構成された、略円筒状または略円錐台状の本体(101)を備えた、関節用の外科手術用スペーサ装置(100)であって、
前記本体(101)が、
略平坦であり、前記関節(1、2)の第1の骨部分(1)に当接するように構成された第1の端面(102)と、
略環状であり、前記第1の骨部分(1)の反対側の、前記関節(1、2)の第2の骨面(2)に当接するように構成された第2の端面(103)であって、前記第2の端面(103)が、第2の骨部分(2)へのアクセスのための第1の開口(10)を有する、第2の端面(103)と、
前記第1の端面(102)と前記第2の端面(103)との間に、間隔が空けられた三次元構造を維持するように構成された少なくとも1つの側面要素(104)であって、前記少なくとも1つの側面要素(104)が、前記本体(101)内部への側方からのアクセス、および、さらに、前記第1の開口(10)を介した、前記第2の骨部分(2)へのアクセスを可能にするように構成された第2の開口(20)を画定する、少なくとも1つの側面要素(104)と
を備える、外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項2】
前記第1の端面(102)および前記第2の端面(103)は互いに平行でなく、前記第2の開口(20)の径方向で反対側の部分において、前記本体(101)の高さ方向での厚さを部分的に低減させるように傾斜し、よって、前記牽引された関節(1、2)への前記本体(101)の挿入を容易にするように、くさび形状を前記本体(101)に与える、請求項1に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項3】
前記第1の端面(102)は、前記第1の骨部分(1)からの器具(3)またはアンカの通過のために構成された孔(30)をさらに有する、請求項1または2に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項4】
前記本体(101)は、第1の半体(101a)および第2の半体(101b)に開放可能であり、
前記第1の半体(101a)は、前記第1の端面(102)の第1の部分、および前記第2の端面(103)の第1の部分を備え、前記第1の半体(101a)は、前記第2の開口(20)を含む前記少なくとも1つの側面要素(104)の第1の部分を備え、
前記第2の半体(101b)は、前記第1の端面(102)の第2の部分、および前記第2の端面(103)の第2の部分を備え、前記第2の半体(101b)は、前記第2の開口(20)の径方向で反対側の前記少なくとも1つの側面要素(104)の第2の部分を備えている、請求項1~3のいずれか1項に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項5】
前記第1の半体(101a)を前記第2の半体(101b)に回転可能に接続するように構成された少なくとも1つのヒンジまたは軸(107)を備える、請求項4に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのヒンジまたは軸(107)は、前記第1の端面(102)および/または前記第2の端面(103)に平行な少なくとも1つの平面に関して、前記第1の半体(101a)および前記第2の半体(101b)の相対回転のために構成されており、前記相対回転は好ましくは、少なくとも180°の相対回転である、請求項5に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項7】
前記本体(101)を形成するために、前記第1の半体(101a)および前記第2の半体(101b)を、隣接した状態に維持するように構成された機械式閉鎖部(108)をさらに備え、好ましくは、前記機械式閉鎖部(108)は、前記少なくとも1つのヒンジまたは軸(107)とは径方向で反対側の位置にある、請求項5または6に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項8】
前記外科手術用スペーサ装置(100)が、牽引された関節窩上腕関節(1、2)への挿入のために構成され、前記第1の骨部分(1)が上腕骨であり、前記第2の骨部分(2)が関節窩であり、前記第1の開口(10)は、関節窩を取り囲む大きさ、および、骨処理と、前記本体(101)を通過する、人工関節の関節窩コンポーネント(4)の移植とを可能にする大きさとされている、請求項1~7のいずれか1項に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項9】
前記関節(1、2)の牽引量を増加させるように、前記本体(101)の高さ方向での全厚さを増加させるために、前記第1の端面(102)において前記本体(101)に関連付けられた、略平坦な1つまたは複数のモジュール式シム(201;202)をさらに備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項10】
前記1つまたは複数のモジュール式シム(201;202)は、反対の面に、複数の溝(203)および複数のガイドピン(204)を有し、前記第1の端面(102)は複数の溝(105)をさらに備えており、前記溝(203;105)および前記ガイドピン(204)は、前記1つまたは複数のモジュール式シム(201;202)のその後の挿入をモジュール式に案内するように構成された、請求項9に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項11】
前記複数の溝(203;105)は互いに平行であり、前記複数のガイドピン(204)は、互いに対してオフセットされ、それぞれの溝(203;105)に順次係合するように構成された、請求項10に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項12】
前記溝(203;105)は、前記少なくとも1つの側面要素(104)の前記第2の開口(20)側となる一方側で開放している、請求項10または11に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項13】
前記1つまたは複数のモジュール式シム(201;202)は、前記本体(101)との安定した接触を維持するように構成された磁気結合手段(205)を備える、請求項9~12のいずれか1項に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項14】
前記1つまたは複数のモジュール式シム(201;202)は、中央の切欠(206)を有する、略C字形であり、前記第1の端面(102)において施された器具(3)またはアンカを取り囲むように構成された、請求項9~13のいずれか1項に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項15】
前記本体(101)はさらに、前記第2の開口(20)の反対側の位置において前記少なくとも1つの側面要素(104)において、内面に掛止手段(106)を備え、前記掛止手段(106)は、前記牽引された関節(1、2)への挿入のためのハンドル(5)に取り外し可能に結合するように構成された、請求項1~14のいずれか1項に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの側面要素(104)は、所定の距離をおいた状態に前記第1の端面(102)および前記第2の端面(103)を維持するように構成された厚さおよび/または周方向の延在長さを有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の外科手術用スペーサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は関節用の外科手術用スペーサ装置に関する。一般に、本発明は外科手術の分野において使用され得る器具に関する。
【0002】
本発明は特に、異なるタイプの関節窩コンポーネントを有する人工肩関節の移植の外科手術において特に有用である。以下の開示はその説明を簡素化するためにこの具体的な適用分野を参照して行われる。
【0003】
一般に、本発明が、関節の両端を、間隔が空けられた状態に維持するための、他のタイプの外科手術、たとえば股、膝、脊柱等の外科手術に適用され得ることを排除するものでない。
【背景技術】
【0004】
人工肩関節の分野では、人工関節、典型的には、リバース型人工関節または解剖学的人工関節を得るために、場合によっては、解剖学的人工関節からリバース型人工関節に変換するために、互いに組み合わせられ得る複数の要素からなる複数のモジュール式人工関節の利用が、既に普及している。
【0005】
いくつかの一般的に使用されている人工肩関節は、関節窩の実質的に中心において事前に得られた孔内に挿入された関節窩アンカの利用をもたらす。解剖学的人工関節の場合、ポリエチレンのインサートが通常、関節窩アンカ上に固定される一方、リバース型人工関節の場合、グレノスフィアと呼ばれる凸状関節窩コンポーネントが通常、関節窩アンカ上に固定される。
【0006】
人工肩関節を移植するためのいくつかのタイプの外科手術では、上腕骨頭において、内-外側方向に延在する上腕骨貫通孔を開けることがなされ、アクセスし、外科手術および移植を行うように、上腕骨頭と、肩甲骨の関節窩との間の関節窩-上腕骨クリアランスを確保することがなされている。
【0007】
この目的で、上腕骨頭と関節窩との間に、骨加工器具を挿入するためのスペースを確保するために、三角筋大胸筋切開により、挿入可能なリトラクタ器具を提供することが知られている。
【0008】
リトラクタ器具の一例は単純な外科手術用鉗子であるが、その操作効果は明らかに低い。
【0009】
米国特許出願公開第2019/216615号明細書は、人工肩関節の関節窩コンポーネントを移植するための具体的なリトラクタ外科手術器具について言及している。このようなリトラクタ外科手術器具は、上腕骨貫通孔を介したアクセスを可能にするために上腕骨頭に当接する第1の環状要素と、関節窩を自由な状態に維持するために烏口突起に当接する、略U字形で烏口突起を底側で囲む第2の要素とを有する。
【0010】
新たな困難は、外科医が人工関節コンポーネントの移植を可能にするように、安定した、および正確なやり方で関節窩上腕関節を牽引することである。
【0011】
従来技術では、一旦牽引された関節窩上腕関節の位置安定性を維持するのに、実際には、外科医に利用可能なスペースが突然低減し、患者の解剖学的構造、特に神経を損傷する危険性があるという問題が存在している。
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、従来技術の欠点を解消するような構造的および機能的特性を有する外科手術装置を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、人工関節移植の手術中の牽引された関節の位置の安定した、および正確な維持を可能にすることである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、人工関節移植の手術中の、外科医にとっての、関節領域へのより良好な可視性およびアクセスを可能にすることである。
【0015】
本発明の基礎をなす解決策の考えは、牽引された関節に侵入し、それをこのようにして手術の期間中、維持するように構成された外科手術用スペーサ装置であって、特に、たとえば関節窩の、および切除された上腕骨の、患者の解剖学的構造内に収まることができる外科手術用スペーサ装置を提供することである。
【0016】
有利には、外科手術用スペーサ装置の挿入は、関節の可視性を保証するために必要なスペース、および、さらに、単にではないが主に関節窩領域に対して、さらなる加工器具を挿入する可能性を生じさせる。
【0017】
そうした解決策の考えに基づけば、内部が中空で、牽引された関節への挿入用に構成された、略円筒状または略円錐台状の本体を備えた、関節用の外科手術用スペーサ装置が提供される。上記本体は、略平坦であり、上記関節の第1の骨部分に当接するように構成された第1の端面と、略環状であり、上記第1の骨部分の反対側の、上記関節の第2の骨面に当接するように構成された第2の端面であって、上記第2の端面が、第2の骨部分へのアクセスのための第1の開口を有する、第2の端面と、上記第1の端面と上記第2の端面との間に、間隔が空けられた三次元構造を維持するように構成された少なくとも1つの側面要素であって、上記少なくとも1つの側面要素が、上記本体内部への側方からのアクセス、および、さらに、上記第1の開口を介した、上記第2の骨部分へのアクセスを可能にするように構成された第2の開口を画定する、少なくとも1つの側面要素とを備える。
【0018】
それにより、牽引された関節に存在している同じ張力は、外科手術用スペーサ装置であって、その安定性が、それを所定の位置に維持するための外部要員を何ら必要とすることなく、保証される、外科手術用スペーサ装置を、介在させられた状態に維持する。
【0019】
よって、有利には、人工関節移植の手術中に、安定した、および正確に関節の位置を維持することが可能になる。
【0020】
さらに、有利には、関節領域に対する可視性およびアクセスが、人工関節移植の手術中に、手術を行う外科医にとって改善される。
【0021】
好ましくは、外科手術用スペーサ装置の上記第1の端面および上記第2の端面は互いに平行ではなく、上記第2の開口の径方向で反対側の部分において、くさび形状を与えるように傾斜している。有利には、上記牽引された関節への、上記本体の上記挿入がそれにより、容易にされる。
【0022】
好ましくは、上記本体の上記第1の端面は、有利には上記第1の骨部分との間の器具またはアンカの通過のために構成された孔をさらに備える。
【0023】
さらに、好ましくは、本発明による外科手術用スペーサ装置では、上記本体は、冠状面に沿った2つの部分に分けられる。有利には、2つの半体内に、上記本体の開放を可能にすることにより、本発明による外科手術用スペーサ装置の抜去が、最終的なインプラントが一旦配置されると、容易にされる。
【0024】
さらに、好ましくは、本発明による外科手術用スペーサ装置では、上記本体は、高さ方向での全厚さを増加させ、手術要件に基づいた、上記関節の牽引量を調節し、特に、増加させるように構成された1つまたは複数の略平坦なモジュール式シムに関連付けられ得る。
【0025】
有利には、本発明の好ましい実施形態による外科手術用スペーサ装置は、牽引された関節窩上腕関節への挿入のために構成され、および、上記第1の開口は、関節窩を取り囲む大きさ、および、骨処理と、人工関節の関節窩コンポーネントの移植とを可能にする大きさとされている。
【発明の効果】
【0026】
本発明のさらなる特徴および利点は、例示的で、限定されない目的で記載された以下の詳細な説明から、および、本明細書の一体的な部分を構成する請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明による外科手術用スペーサ装置の一実施形態の斜視図を示す。
【
図2】
図1の外科手術用スペーサ装置の上面図を示す。
【
図3】解剖学的構造内に挿入され、さらに、外科手術器具に関連付けられた、本発明による外科手術用スペーサ装置の斜視図を示す。
【
図4】
図3であって、外科手術用スペーサ装置を介して挿入された、人工肩関節の関節窩コンポーネントがそれに対して加えられた
図3の図を示す。
【
図5】本発明による外科手術用スペーサ装置のさらなる実施形態の斜視図を示す。
【
図6】モジュール式シムすべてが最終位置に設置された
図5の図を示す。
【
図7】本発明による外科手術用スペーサ装置のモジュール式シムの実施形態の側面図、背面図、内側面図を示す。
【
図8】解剖学的構造内に挿入された、
図6の外科手術用スペーサ装置の前面模式図を示す。
【
図9】外科手術器具にさらに関連付けられた、
図8の外科手術用スペーサ装置の前面模式図を示す。
【
図10】開放構成における、本発明による外科手術用スペーサ装置のさらなる実施形態の斜視図を示す。
【
図11】開放構成における、本発明による外科手術用スペーサ装置のなお、さらなる実施形態の斜視図を示す。
【
図12】閉鎖構成における、本発明による外科手術用スペーサ装置のなお、さらなる実施形態の斜視図を示す。
【
図14】単一片内に作られた、本発明による外科手術用スペーサ装置のさらなる実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
異なる図中、同様の要素は、同様の参照番号により示される。
【0029】
図1は、本発明による外科手術用スペーサ装置100の一実施形態の透視図を示す。
【0030】
外科手術用スペーサ装置100は、略円筒状または略円錐台状であり、かつ内部が中空の本体101を備える。
【0031】
さらに説明されるように、本体は、必要に応じて、一体構造であるもの、または、開放可能で、したがって、2つの半体に分けられるものという2つのバージョンで作成可能である。
【0032】
図1に例示された実施形態では、本体101は一体構造でないが、ヒンジまたは軸107まわりを回転可能であり、以下に説明される閉鎖部108により、閉鎖された状態に維持された第1の半体101aおよび第2の半体101bへと開放可能である。
【0033】
本体101は、さらに説明されるやり方で、牽引された関節への挿入のために構成される。
【0034】
本体101は、略平坦であり、関節の第1の骨部分に当接するように構成された第1の端面102を備える。
【0035】
本体101は、略環状であり、第1の骨部分の反対側の、関節の第2の骨部分に当接するように構成された第2の端面103をさらに備える。
【0036】
第2の端面103は、示されるように、略環状閉ループ要素を備える。すなわち、第2の端面103は、関節の第2の骨部分に当接するように構成された、閉鎖した王冠状の形状を有する。特に、第2の端面103の形状は、関節の第2の骨部分上に、できる限り均一に圧力を分散させるように構成される。
【0037】
第2の端面103は、さらに説明されるやり方での、第2の骨部分へのアクセスのための第1の開口10を有する。
【0038】
本体101は、第1の端面102と第2の端面103との間に、本体101の、間隔が空けられた三次元構造を維持するように構成された少なくとも1つの側面要素104をさらに備える。
【0039】
本実施形態では、少なくとも1つの側面要素104は、本体101を形成する第1の半体101aおよび第2の半体101bの間で分けられる。
【0040】
側面要素104は、本体101の中空の内部へのアクセスを与える第2の開口20を画定する。よって、第2の開口20は、本体101内部への側方からのアクセスを可能にし、第1のアクセス開口10を通った、第2の端面103における、第2の骨部分へのアクセスをさらに可能にするように構成される。
【0041】
すなわち、使用中の構成についての「前面」領域において、外科手術用スペーサ装置100は、側面要素104における開口、すなわち第2の開口20を有する。第2の開口20は、人工関節コンポーネントのその後の移植のために、関節スペースと、骨端、たとえば関節窩を加工するために必要な器具の挿入とを外科医が見ることを可能にする目的を有する。
【0042】
特に、本実施形態では、第1の半体101aは、第1の端面102の第1の部分、および第2の端面103の第1の部分を備え、第2の開口20を含む、少なくとも1つの側面要素104の第1の部分をさらに備える。一方、第2の半体101bは、第1の端面102の第2の部分、および第2の端面103の第2の部分を備え、第2の開口20の径方向反対側の、少なくとも1つの側面要素104の第2の部分をさらに備える。
【0043】
一般に、少なくとも1つの側面要素104は、所定の距離をおいた状態に第1の端面102および第2の端面103を維持するように構成された厚さ、および/または周方向の延在長さを有する。
【0044】
外科手術用スペーサ装置100の本体101を異なる視点で見ると、第1の端面102は、複数の小柱または少なくとも1つの接合壁により、略環状の第2の端面103から所定の距離をおいた状態に維持されていると言える。そのような複数の柱または接合壁により得られる壁全体は、特に、第2の端面103のリングの周囲の半分を上回る長さで延びる。
【0045】
さらに、上述されたように、第1の端面102が属する平面および略環状の第2の端面103が属する平面は、第2の開口20の径方向で反対側の部分においてくさび形状を与えるようにわずかに収束している。
【0046】
好ましくは、第1の端面102は、さらに説明されるやり方で、第1の骨部分からの器具またはアンカの通過のために構成された孔30をさらに有する。
【0047】
好ましくは、第2の開口20は、手術が関与する接合領域に対する幅広いアクセスを可能にするために、周方向で、側面要素104の、90°よりも大きい、好ましくは135°よりも大きい、さらに好ましくは160°よりも大きい角度セクタを占める。
【0048】
好ましくは、さらに、第2の開口20は、第1の端面102と第2の端面103との間で利用可能な高さ方向の全厚さを実質的に占有する。
【0049】
好ましくは、さらに、略環状の第2の端面103は、本体101の壁厚さに略等しい円形冠状の延長部を有しており、よって、関節の骨領域に対するアクセスを最大化する。
【0050】
特に、そうした角度セクタおよび/もしくは高さならびに/または厚さは、アクセスのしやすさと、外科手術用スペーサ装置が受ける負荷に耐える機械的な耐性との間の妥協点として、技術的な考慮点に基づいて決定される。
【0051】
図2は、外科手術用スペーサ装置100の上面図を示す。
【0052】
見られるように、好ましくは、第1の端面102および第2の端面103は互いに平行でないが、第2の開口20の径方向で反対側の部分において、特に、第2の半体101bにより特定された部分において、本体101の高さ方向での厚さを部分的に低減させるようにわずかに傾斜している。それにより、くさび形状が本体101に与えられ、本体101は、第1の半体101aおよび第2の半体101bに開放可能であることが想起される。このようなくさび形状は、本体101の第2の開口20の径方向で反対側の部分において、より薄く、牽引された関節への本体101の挿入を容易にする。
【0053】
使用中の構成に対する前/後平面において、本体101の円錐またはくさび形状は、関節への、たとえば牽引された関節窩上腕関節への、外科手術用スペーサ装置100の前進挿入を容易にする。
【0054】
好ましくは、外科手術用スペーサ装置100は、患者の具体的な解剖学的構造に対する正確な嵌合を保証するために異なる大きさで提供される。
【0055】
図3は、解剖学的構造1、2内に挿入され、さらに、外科手術器具3に関連付けられた外科手術用スペーサ装置100の斜視図を示す。
【0056】
上述したように、本体101は、牽引された関節内への挿入のために構成される。この例では、外科手術用スペーサ装置100は、第1の骨部分1が上腕骨であり、第2の骨部分2が関節窩である、牽引された関節窩上腕関節に挿入される。
【0057】
見られるように、第1の開口10は、骨処理と、本体101を通過する、人工関節の関節窩コンポーネントの移植とを可能にするように、部分2の関節窩を取り囲む大きさとされることが好ましい。
【0058】
好ましくは、上述されたように、第1の端面102は、第1の骨部分1からの器具3またはアンカの通過のために構成された孔30(図中、見えていない)を有する。
【0059】
さらに、孔30は、外科手術用スペーサ装置100と上腕骨1との間の相対移動を安定化させるための機能も有する。
【0060】
外科手術用スペーサ装置100の特定の目的は、その形状のために、関節窩の解剖学的構造2へ、および、切除された上腕骨1のうちの1つへのいずれにも適合可能な関節窩上腕関節1、2を牽引することである。前/後面において本体101を特徴付ける円錐テーパにより、いくつかの大きさで提供される外科手術用スペーサ装置100は、関節内に容易に位置決めされることが可能となり、その前進挿入によって、主に(それだけではないが)関節窩領域2用のさらなる加工器具の挿入の可能性に加えて、関節の視認性を保証するのに必要なスペースを生成する。
【0061】
前/後面および内/外面の両方における、外科手術用スペーサ装置100の有利な幾何学的形状は、関節に存在している張力が、それを所定の位置に維持するための外部要員を何ら必要とすることなく、その安定性を保証するようにする。
【0062】
図4は、
図3であって、外科手術用スペーサ装置100を通過して挿入される、人工肩関節の関節窩コンポーネント4がそれに対して加えられた
図3の図を示す。特に、人工肩関節の関節窩コンポーネント4は、前述された、本体101の第2の開口20を介して挿入される。
【0063】
説明したように、外科手術用スペーサ装置100の関節窩側は、略環状である第2の端面103を有し、第2の端面103は関節窩を取り囲み、よって、関節窩人工関節のその後の移植のための、関節窩の加工に必要な器具を使用する可能性を保証し得る。
【0064】
図5は、外科手術用スペーサ装置100のさらなる実施形態の斜視図を示す。
【0065】
外科手術用スペーサ装置100は、略平坦であり、第1の端面102において本体101に関連付けられた1つまたは複数のモジュール式シム(Shim)201、202をさらに備え得る。
【0066】
これらのモジュール式シム201、202は、関節の牽引量を増加させるように、外科手術用スペーサ装置100の本体101の高さ方向での全厚さを増加させるように構成される。
【0067】
図6は、
図5において、2つのモジュール式シム201および1つの終端モジュール式シム202すべてが最終位置に設置されたものを示す。
【0068】
さらに説明されるように、モジュール式シム201および202は、器具やアンカである任意の要素が外科手術用スペーサ装置100の孔30内に既に挿入されている場合に挿入を可能にする、1つの中央スリットまたは切欠206を備える。
【0069】
中央のスリット206により、関節に外科手術用スペーサ装置100を位置決めする前に、または、その工程の後に、実現された張力が、正しい位置で外科手術用スペーサ装置100の維持を可能にするようなものでない場合に、モジュール式シム201および202は挿入され得る。
【0070】
好ましくは、モジュール式シム201および202は、互いに異なる厚さを有し、限定されない例では、終端モジュラー式シム202は、他のモジュラー式シムよりも薄い厚さを有する。
【0071】
図7はそれぞれ、モジュール式シム201の側面図(a)、背面図(b)、および内側面図(c)を示す。
【0072】
好ましくは、複数のモジュール式シム201は、反対の面に、複数の溝203および複数のガイドピン204を備える。
【0073】
既に説明された第1の端面102は好ましくは、複数の溝105を備え、溝203または105と、ガイドピン204とは、1つまたは複数のモジュール式シム201のその後の挿入をモジュラー式に案内するように構成される。
【0074】
好ましくは、複数の溝203は、側面要素104の第2の開口20側となる一方側で開放している。
【0075】
好ましくは、それぞれの溝203は互いに平行である一方、それぞれの溝203に順次係合し、モジュール式シム201の挿入中の案内を改善するように、それぞれのガイドピン204は、溝203に対して互いにオフセットされている。
【0076】
当業者により理解されるように、終端モジュール式シム202の例では、略平滑な解剖学的構造との接触をもたらす端面を提供するように、溝203は設けられずに、ガイドピン204のみが設けられ得る。
【0077】
前述されたように、さらなるモジュール式シム201および/または202が、外科手術用スペーサ装置100の元の高さを修正し、よって、より大きい関節の牽引を保証するために、上腕骨側に加えられ得る。
【0078】
好ましくは、モジュール式シム201および/または202は、互いの間の、大局的には、本体101との安定した接触を維持するように構成された、ボタン磁石などの磁気結合手段205を備える。すなわち、磁石205は、解剖学的構造内の所望の位置決めが一旦得られると、外科手術用スペーサ装置100のモジュール式組立体の安定した結合を保証する。
【0079】
一般に、それぞれ中央の切欠206を有する、略C字形の1つまたは複数のモジュール式シム201および/または202は、第1の端面102において骨部分2に施された器具3またはアンカを取り囲むように構成される。
【0080】
図8は、牽引された関節窩上腕関節1、2の解剖学的構造に挿入された外科手術用スペーサ装置100の側方の模式図を示す。
【0081】
視認できるように、好ましくは、本体101は、第2の開口20の反対側の位置における側面要素104において、内面に掛止手段106をさらに備える。
【0082】
このような掛止手段106は、牽引された関節への外科手術用スペーサ装置100の挿入のためのハンドル(図示せず、以下で説明される)に取り外し可能に結合するように構成される。
【0083】
図9は、外科手術器具3および5にさらに関連付けられた外科手術用スペーサ装置100の前面模式図を示す。
【0084】
外科手術用スペーサ装置100は、手動で、または、手技中にその望ましくない取り外しを回避するために掛止手段106に引っ掛ける特定のハンドル5を用いて、関節窩上腕骨のスペース1、2内に位置決めされ得る。
【0085】
その挿入後、ハンドル5が存在している場合は取り外され、牽引された関節1、2において到達した張力が、外科手術用スペーサ装置100の安定性を保証し、解剖学的要素のアクセス性および可視性を是正するかが評価される。
【0086】
張力が十分でない場合、1つまたは複数のモジュール式シム201、202を加える必要性が評価される。
【0087】
外科手術用スペーサ装置100の挿入によって、人工関節移植の手術中に関節1、2の位置を安定し、正確に維持することが可能となる。
【0088】
さらに、中空の本体101、特定の第1の開口10および特定の第2の開口20が設けられた外科手術用スペーサ装置100により、関節領域1、2に対する可視性およびアクセスが人工関節移植の手術中に改善される。
【0089】
図10は、開放構造の外科手術用スペーサ装置100のさらなる実施形態の斜視図を示す。
【0090】
既に説明されたように、本体101は、第1の半体101aおよび第2の半体101bに開放可能である。第1の半体101aは、第1の端面102の第1の部分および第2の端面103の第1の部分を備え、そして、第2の開口20を含む、少なくとも1つの側面要素104の第1の部分を備える。第2の半体101bは、第1の端面102の第2の部分および第2の端面103の第2の部分を備え、そして、第2の開口20の径方向で反対側にある、少なくとも1つの側面要素104の第2の部分を備える。
【0091】
外科手術用スペーサ装置100は、第1の半体101aを第2の半体101bに回転可能に接続するように構成された少なくとも1つのヒンジまたは軸107を備える。特に、少なくとも1つのヒンジまたは軸107は、第1の端面102および/または第2の端面103に平行な少なくとも1つの平面上で、第2の半体101bに対する第1の半体101aの相対回転のために構成される。限定されるものでないが好ましくは、第1の半体101aは、第2の半体101bに対して少なくとも180°回転自在であり得る。
【0092】
外科手術用スペーサ装置100は、本体101を形成するために、第1の半体101aおよび第2の半体101bを、隣接した状態に維持するように構成された機械式閉鎖部108を備える。限定されないが好ましいこの例では、機械式閉鎖部108は、少なくとも1つのヒンジまたは軸107に対して径方向で反対側の位置にある。
【0093】
例示的な、限定されないこの例では、機械式閉鎖部108は、機械式接続により、第1の半体101aおよび第2の半体101bを掛止することを可能にし、半体101aが上方に移動し、半体101bに設けられた座110内部の上端に配置されたピボット109が挿入される。ピボット109が座110内に一旦挿入されると、半体101aは、半体101bに位置合わせされた状態で位置決めされ、半体101aのピボット109は、半体101bの特定の座110内に入り、ブロックされる。
【0094】
図11は、開放構造における外科手術用スペーサ装置100のさらに別の実施形態の斜視図を示す。
【0095】
例示的な、限定されないこの例では、機械式閉鎖部108は、異なる機械式接続により、第1の半体101aおよび第2の半体101bを、掛止することを可能にし、上記半体101aが回転し、半体101bに設けられた対応する座112に、半体101bの弾性要素111が挿入される。弾性要素111が上記座112に一旦挿入されると、半体101aは、半体101bに位置合わせされた状態で位置決めされ、それに拘束される。
【0096】
図12は閉鎖構成における、本発明による外科手術用スペーサ装置100のさらに他の実施形態の斜視図を示す一方、
図13は、
図12の外科手術用スペーサ装置100の断面図を示す。
【0097】
例示的な、限定されないこの例では、機械式閉鎖部108は、第1の半体101aおよび第2の半体101bを、
図10を参照して既に説明されたピボット109および座110を備える機械式接続を介して掛止することを可能にする。
【0098】
さらに、本体101を構築するために、安定して第1の半体101aおよび第2の半体101bを拘束することを補助するばねクランプ113が設けられている。
【0099】
外科手術用スペーサ100の開放構成は、一旦手術が終了し、関節窩インプラントが位置決めされると、関節1、2からのその取り外しを容易にし、よって、関節からの外科手術用スペーサ装置100の取り外し中の、関節窩インプラントによる、外科手術用スペーサ装置100の妨害の可能性を回避する。
【0100】
図14は、単一部材で作られており、よって、開放可能でない外科手術用スペーサ装置100のさらなる実施形態の斜視図を示す。
【0101】
関節窩移植による、外科手術用スペーサ装置100の取り外しに対して、かなり大きい妨害が生じない場合、略円筒状または円錐台状で、内部が中空の、単一部材で作られた本体101を提供することが可能である。
【0102】
本実施形態においても、既に説明されたものと同様に、本体101は、とりわけ、外科手術用スペーサ装置の構造を構築することを可能にする、第1の端面102、第2の端面103、および少なくとも側面要素104を備える。
【0103】
偶発的な要望を満たすために、当業者にとって、本発明のさらなる実現形態および修正形態が考えられることは明らかである。上記実施形態はしたがって、例示的な、限定されない目的のために提供されるものとして理解されるものである。
【0104】
たとえば、説明された実施形態において、少なくとも1つの側面要素104が、単一の連続した側面要素により、または、いずれにせよ、2つの半体101aおよび101bに属する連続した複数の側面要素により示されているとしても、一変形例では、互いに離間した複数の側面要素、たとえば、檻状の構造またはフレームを形成し、本体101の、間隔が空けられた三次元構造を維持するように構成された、柱状の、または離間した要素が使用され得る。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が中空で、牽引された関節(1、2)への挿入用に構成された、略円筒状または略円錐台状の本体(101)を備えた、関節用の外科手術用スペーサ装置(100)であって、
前記本体(101)が、
略平坦であり、前記関節(1、2)の第1の骨部分(1)に当接するように構成された第1の端面(102)と、
略環状であり、前記第1の骨部分(1)の反対側の、前記関節(1、2)の第2の骨
部分(2)に当接するように構成された第2の端面(103)であって、前記第2の端面(103)が、第2の骨部分(2)へのアクセスのための第1の開口(10)を有する、第2の端面(103)と、
前記第1の端面(102)と前記第2の端面(103)との間に、間隔が空けられた三次元構造を維持するように構成された少なくとも1つの側面要素(104)であって、前記少なくとも1つの側面要素(104)が、前記本体(101)内部への側方からのアクセス、および、さらに、前記第1の開口(10)を介した、前記第2の骨部分(2)へのアクセスを可能にするように構成された第2の開口(20)を画定する、少なくとも1つの側面要素(104)と
を備える、外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項2】
前記第1の端面(102)および前記第2の端面(103)は互いに平行でなく、前記第2の開口(20)の径方向で反対側の部分において、前記本体(101)の高さ方向での厚さを部分的に低減させるように傾斜し、よって、前記牽引された関節(1、2)への前記本体(101)の挿入を容易にするように、くさび形状を前記本体(101)に与える、請求項1に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項3】
前記第1の端面(102)は、前記第1の骨部分(1)からの器具(3)またはアンカの通過のために構成された孔(30)をさらに有する、請求項1または2に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項4】
前記本体(101)は、第1の半体(101a)および第2の半体(101b)に開放可能であり、
前記第1の半体(101a)は、前記第1の端面(102)の第1の部分、および前記第2の端面(103)の第1の部分を備え、前記第1の半体(101a)は、前記第2の開口(20)を含む前記少なくとも1つの側面要素(104)の第1の部分を備え、
前記第2の半体(101b)は、前記第1の端面(102)の第2の部分、および前記第2の端面(103)の第2の部分を備え、前記第2の半体(101b)は、前記第2の開口(20)の径方向で反対側の前記少なくとも1つの側面要素(104)の第2の部分を備えている、請求項1~3のいずれか1項に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項5】
前記第1の半体(101a)を前記第2の半体(101b)に回転可能に接続するように構成された少なくとも1つのヒンジまたは軸(107)を備える、請求項4に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのヒンジまたは軸(107)は、前記第1の端面(102)および/または前記第2の端面(103)に平行な少なくとも1つの平面に関して、前記第1の半体(101a)および前記第2の半体(101b)の相対回転のために構成されており、前記相対回転は好ましくは、少なくとも180°の相対回転である、請求項5に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項7】
前記本体(101)を形成するために、前記第1の半体(101a)および前記第2の半体(101b)を、隣接した状態に維持するように構成された機械式閉鎖部(108)をさらに備え、好ましくは、前記機械式閉鎖部(108)は、前記少なくとも1つのヒンジまたは軸(107)とは径方向で反対側の位置にある、請求項5または6に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項8】
前記外科手術用スペーサ装置(100)が、牽引された関節窩上腕関節(1、2)への挿入のために構成され、前記第1の骨部分(1)が上腕骨であり、前記第2の骨部分(2)が関節窩であり、前記第1の開口(10)は、関節窩を取り囲む大きさ、および、骨処理と、前記本体(101)を通過する、人工関節の関節窩コンポーネント(4)の移植とを可能にする大きさとされている、請求項1~7のいずれか1項に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項9】
前記関節(1、2)の牽引量を増加させるように、前記本体(101)の高さ方向での全厚さを増加させるために、前記第1の端面(102)において前記本体(101)に関連付けられた、略平坦な1つまたは複数のモジュール式シム(201;202)をさらに備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項10】
前記1つまたは複数のモジュール式シム(201;202)は、反対の面に、複数の溝(203)および複数のガイドピン(204)を有し、前記第1の端面(102)は複数の溝(105)をさらに備えており、前記溝(203;105)および前記ガイドピン(204)は、前記1つまたは複数のモジュール式シム(201;202)のその後の挿入をモジュール式に案内するように構成された、請求項9に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項11】
前記複数の溝(203;105)は互いに平行であり、前記複数のガイドピン(204)は、互いに対してオフセットされ、それぞれの溝(203;105)に順次係合するように構成された、請求項10に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項12】
前記溝(203;105)は、前記少なくとも1つの側面要素(104)の前記第2の開口(20)側となる一方側で開放している、請求項10または11に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項13】
前記1つまたは複数のモジュール式シム(201;202)は、前記本体(101)との安定した接触を維持するように構成された磁気結合手段(205)を備える、請求項9~12のいずれか1項に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項14】
前記1つまたは複数のモジュール式シム(201;202)は、中央の切欠(206)を有する、略C字形であり、前記第1の端面(102)において施された器具(3)またはアンカを取り囲むように構成された、請求項9~13のいずれか1項に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項15】
前記本体(101)はさらに、前記第2の開口(20)の反対側の位置において前記少なくとも1つの側面要素(104)において、内面に掛止手段(106)を備え、前記掛止手段(106)は、前記牽引された関節(1、2)への挿入のためのハンドル(5)に取り外し可能に結合するように構成された、請求項1~14のいずれか1項に記載の外科手術用スペーサ装置(100)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの側面要素(104)は、所定の距離をおいた状態に前記第1の端面(102)および前記第2の端面(103)を維持するように構成された厚さおよび/または周方向の延在長さを有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の外科手術用スペーサ装置。
【国際調査報告】