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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】エアロゾル生成デバイス
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/485 20200101AFI20231025BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20231025BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20231025BHJP
【FI】
A24F40/485
A24F40/20
A24F40/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516252
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(85)【翻訳文提出日】2023-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2021077468
(87)【国際公開番号】W WO2022074012
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】20200902.3
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライト, アレク
(72)【発明者】
【氏名】ローガン, アンドリュー ロバート ジョン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC41
4B162AC42
4B162AC50
(57)【要約】
エアロゾル生成デバイス(2)が開示される。エアロゾル生成デバイス(2)は、ハウジング(4)と、エアロゾル基材(8)を収容するように構成された加熱チャンバ(6)とを備える。加熱チャンバ(6)は、エアロゾル基材(8)を加熱してエアロゾルを生成させるよう動作可能である。第1の空気流路(10)は、空気をハウジング(4)における第1の空気入口(12)からエアロゾル生成デバイスの中に又はそれを通して輸送するように構成され、第1の空気流路(10)は、アパーチャ(16)を有するバルブ(14)を備え、アパーチャ(16)のサイズは、第1の空気流路(10)を通る空気流を変化させるように調整可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成デバイスであって、
ハウジングと、
エアロゾル基材を収容するように構成された加熱チャンバであって、前記加熱チャンバは、前記エアロゾル基材を加熱してエアロゾルを生成するように動作可能である、加熱チャンバと、
前記ハウジングにおける第1の空気入口から前記エアロゾル生成デバイスの中に又は前記エアロゾル生成デバイスを通して空気を輸送するように構成された第1の空気流路と、
を備え、
前記第1の空気流路は、アパーチャを有するバルブを備え、
前記アパーチャのサイズは、前記第1の空気流路を通る空気流を変化させるように調整可能である、エアロゾル生成デバイス。
【請求項2】
前記バルブは、前記アパーチャの前記サイズを温度の関数として調整するように構成されている、請求項1に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項3】
前記バルブは、前記アパーチャが常に少なくとも部分的に開いているように構成されている、請求項1又は2に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項4】
前記バルブは、閾値温度を下回ると前記アパーチャが閉じるように構成されている、請求項2の請求項1に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項5】
前記バルブは、前記アパーチャが位置する形状記憶合金を含み、前記形状記憶合金は、温度の関数として形状を変えて前記アパーチャの前記サイズを調整するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項6】
前記バルブは、前記形状記憶合金を取り囲む柔軟なリムを備え、前記柔軟なリムは、前記形状記憶合金の形状の変化に適応して膨張及び収縮するように構成されている、請求項5に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項7】
前記アパーチャは円形であり、前記アパーチャの半径は、前記第1の空気流路を通る前記空気流を変化させるために調整可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項8】
前記バルブは、前記第1の空気入口に位置する、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項9】
前記第1の空気入口は、前記エアロゾル基材のための挿入口にある、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項10】
前記第1の空気流路は、前記ハウジングにおける前記第1の空気入口から前記加熱チャンバまで空気を輸送するように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項11】
前記第1の空気流路は、前記ハウジングにおける前記第1の空気入口から前記エアロゾル生成デバイスを通して空気を輸送して、前記加熱チャンバから出現してくるエアロゾルと混合させるように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項12】
前記ハウジングにおける第2の空気入口から前記加熱チャンバまで空気を輸送するように構成されている第2の空気流路を更に備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項13】
アクチュエータを更に備え、前記アパーチャの前記サイズは、前記アクチュエータにより調整可能である、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項14】
前記アクチュエータは、
磁気アクチュエータ、
電気アクチュエータ、又は
電気機械アクチュエータ、のうちの1つを備える、請求項13に記載のエアロゾル生成デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成デバイスに関する。本開示は、詳細には、自己完結型且つ低温であり得る携帯型エアロゾル生成デバイスに適用可能である。そのようなデバイスは、タバコ又は他の好適なエアロゾル基材材料を、燃やすのではなく、伝導、対流、及び/又は放射によって加熱して、吸入のためのエアロゾルを発生させることができる。
【背景技術】
【0002】
(気化器としても知られる)リスク低減デバイス又はリスク修正デバイスの人気及び使用は、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ及び巻きタバコなど、従来のタバコ製品の使用を止めることを望む常習的喫煙者を支援するための補助として、ここ数年で急速に成長している。従来のタバコ製品においてタバコを燃焼させるのとは対照的に、エアロゾル化可能物質を加熱又は加温する様々なデバイス及びシステムが利用可能である。
【0003】
一般に利用可能なリスク低減デバイス又はリスク修正デバイスは、基材加熱式エアロゾル生成デバイス又は加熱非燃焼式(HNB)デバイスである。このタイプのデバイスは、湿った葉タバコ又は他の好適なエアロゾル化可能材料を典型的に含むエアロゾル基材(例えば消耗品)を、典型的には150℃~300℃の範囲の温度に加熱することによってエアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル基材を燃焼させたり又は燃やしたりするのではなく加熱することにより、ユーザが求める成分は含むが、燃焼及び燃やすことによる毒性及び発癌性のある副生成物は含まないエアロゾルが放出される。加えて、タバコ又は他のエアロゾル化可能材料を加熱することにより生成されるエアロゾルは、ユーザにとって不快となり得る、燃焼に起因し得る焦げた味又は苦味を典型的には含まない。
【0004】
しかしながら、このようなデバイスにおいて周知の問題は、ユーザ体験がタバコのそれを完全に模倣するわけではないことである。特に、HNBデバイスは、紙巻きタバコなどの従来のタバコ製品により提供される吸入経験とは異なる吸入経験を提供することが知られている。
【0005】
更には、HNBデバイスは、エアロゾル基材の通気において、より大きな柔軟性を提供することが望ましい。これは、デバイスのエアロゾル化特性及びユーザに提供される吸入経験をより的確に調整することを可能にするであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、これらの問題の1つ以上に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様によれば、エアロゾル生成デバイスが提供され、これは、ハウジングと、エアロゾル基材を収容するように構成された加熱チャンバであって、エアロゾル基材を加熱してエアロゾルを生成するように動作可能である、加熱チャンバと、空気をハウジングにおける第1の空気入口からエアロゾル生成デバイスの中に又はエアロゾル生成デバイスを通して輸送するように構成された第1の空気流路と、を備え、第1の空気流路は、アパーチャを有するバルブを備え、アパーチャのサイズは、第1の空気流路を通る空気流を変化させるように調整可能である。
【0008】
このように、エアロゾル生成デバイスの圧力低下は、アパーチャのサイズを増加又は減少させることにより必要に応じて調整できる。具体的には、アパーチャのサイズは、連続的な範囲にわたって調整されてもよい。これは、典型的には圧力低下が空気入口の寸法によって固定されている既知のデバイスとは異なる。したがって、デバイスのエアロゾル生成特性の制御に関して、より大きな柔軟性がもたらされ、圧力低下はエアロゾル生成セッション中に調整されて、紙巻きタバコなどの従来のタバコ製品の挙動を、より厳密に模倣できる。
【0009】
好ましくは、バルブは、アパーチャのサイズを温度の関数として調整するように構成されている。このように、圧力低下は、温度の変化に応答して調整できる。したがって、圧力低下はエアロゾル生成セッション中に(例えば、ユーザ入力を必要とせずに)変更することができ、アパーチャのサイズ、したがって圧力低下を、従来のタバコ製品の挙動を複製する形態で変更するように構成できる。更には、温度の関数としてサイズが変更されるアパーチャをバルブに設けることにより、一定の条件下で空気をエアロゾル生成システム内に誘導できる。例えば、HNBデバイス又は他のタバコ-蒸気デバイスでは、最初の3回のパフ(ユーザによる吸入)は、タバコ中の水の存在に起因して典型的には熱い。より高い温度で、より大きい開口面積を有し、より低い温度で、より小さい開口面積を有するように、アパーチャを調整するようにバルブを構成することにより、高温にて、より大きい流量の空気がシステムに入ることができ、この空気は、生成された、デバイスの最初の(例えば、3回の)パフ中に、熱い蒸気と混合することが可能である。
【0010】
好ましくは、バルブは、アパーチャが常に少なくとも部分的に開いているように構成されている。このように、バルブは、アパーチャのサイズを調整して圧力低下を変更するように構成されているが、アパーチャのサイズは常にゼロよりも大きい状態を維持している。すなわち、アパーチャは決して完全に閉じることはない。それゆえ、エアロゾル生成デバイスは、第1の空気流路を介して常に通気されているが、通気のレベルはバルブを使用して調整できる。
【0011】
好ましくは、バルブは、閾値温度を下回るとアパーチャが閉じるように構成されている。このように、閾値温度を下回ると、空気が第1の空気流路を介してエアロゾル生成デバイスに入ることが防止される。例えば、ユーザによるエアロゾル基材の最初の3回のパフ中にだけデバイス内に空気が入ることを可能にするように、バルブが構成されるように、閾値温度が選択されるか又は定められてもよい。
【0012】
好ましくは、バルブは、アパーチャが位置する形状記憶合金を含み、形状記憶合金は、温度の関数として形状を変えてアパーチャのサイズを調整するように構成されている。好ましくは、形状記憶合金は、二方向形状記憶合金である。一実施例では、アパーチャのサイズは、形状記憶合金への熱の制御された供給を提供することにより増加及び/又は減少されてもよい。別の実施例では、アパーチャのサイズは、ユーザ入力を必要とせずに、デバイスの温度の関数として(すなわち、加熱チャンバからの一般的な加熱効果の関数として)自動的に調整されてもよい。
【0013】
好ましくは、バルブは、形状記憶合金を取り囲む柔軟なリムを備え、柔軟なリムは、形状記憶合金の形状の変化に適応して膨張及び収縮するように構成されている。例えば、柔軟なリムは、形状記憶合金に関連するダイヤフラム又はゴム要素(例えば、シリコーン)であってもよい。このように、アパーチャのサイズを連続的な範囲にわたって調整することにより、エアロゾル生成デバイスに入る空気流を高感度で調整することを可能にするバルブが提供される。更には、柔軟なリムは、形状記憶合金の形状変化から生じる応力及び歪みに適応することが可能である。
【0014】
好ましくは、アパーチャは円形であり、アパーチャの半径は、第1の空気流路を通る空気流を変化させるために調整可能である。
【0015】
好ましくは、バルブは第1の空気入口に位置する。
【0016】
好ましくは、第1の空気入口は、エアロゾル基材用の挿入口に位置する。
【0017】
好ましくは、第1の空気流路は、空気をハウジングにおける第1の空気入口から加熱チャンバまで輸送するように構成されている。このようにして、アパーチャのサイズを調整することにより、加熱チャンバ内のエアロゾル基材の通気が調整されてもよい。
【0018】
好ましくは、第1の空気流路は、空気をハウジングにおける第1の空気入口からエアロゾル生成デバイスを通して輸送して、加熱チャンバから出現してくるエアロゾルと混合させるように構成されている。本発明のいくつかの実施例では、エアロゾル生成デバイスは、チャンバ内で生成されたエアロゾルをチャンバから吸入出口まで運ぶように構成された蒸気通路を備えてもよく、第1の空気流路は、第1の空気入口を蒸気通路に接続するように構成されており、その結果、蒸気通路において、ハウジングにおける第1の空気入口からの空気が加熱チャンバから出現するエアロゾルと混合する。いくつかの実施例では、エアロゾル生成デバイスは、マウスピースを備えてもよく、マウスピースには、蒸気通路及び吸入出口が設けられている。
【0019】
好ましくは、エアロゾル生成デバイスは、空気をハウジングにおける第2の空気入口から加熱チャンバまで輸送するように構成されている第2の空気流路を更に備える。このように、第1の空気流路は、補助的な空気流路として機能でき、追加の空気が必要に応じてエアロゾル生成デバイス内へと輸送されることを可能にしている。例えば、第1の空気流路は、エアロゾル生成セッションの初期段階(例えば、最初の3回のパフ)中の高温においてのみエアロゾル生成デバイス内へと空気を輸送してもよい(すなわち、バルブは開いている)のに対して、第2の空気流路は、全ての温度にわたってエアロゾル生成デバイス内へと空気を輸送するように構成されていてもよい。
【0020】
好ましくは、エアロゾル生成デバイスはアクチュエータを更に備え、アパーチャのサイズは、アクチュエータにより調整可能である。
【0021】
好ましくは、アクチュエータは、磁気アクチュエータ、電気アクチュエータ、又は電気機械アクチュエータのうちの1つを備える。
【0022】
ここで、図面を参照して本発明の実施形態を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態における、エアロゾル生成デバイスの概略断面図である。
図2A】第1のサイズを有するアパーチャを有するバルブを備えるエアロゾル生成デバイスの概略側面図である。
図2B】第2のサイズを有するアパーチャを有するバルブを備えるエアロゾル生成デバイスの概略側面図である。
図3A】第1の位置にあるバルブの具体的な実施形態を示す概略図である。
図3B】第2の位置にあるバルブの具体的な実施形態を示す概略図である。
図4】本発明の別の実施形態における、エアロゾル生成デバイスの概略断面図である。
図5A】本発明の別の実施形態における、エアロゾル生成デバイスの概略断面図である。
図5B図5Bの図に対して垂直な平面内におけるエアロゾル生成デバイスの別の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、ハウジング4と、エアロゾル基材8(例えば消耗品)を収容するための加熱チャンバ6とを備える、本発明の一実施形態によるエアロゾル生成デバイス2を示す。エアロゾル基材8は、マウス端部である第1の端部9と、反対側の第2の端部11とを備える。加熱チャンバ6は、エアロゾル基材8を加熱して、ユーザによる吸入のためのエアロゾル(蒸気とも称される)を生成させるように動作可能である。
【0025】
この実施例では、加熱チャンバ6は管状であり、タバコ又は他のエアロゾル生成材料の円筒状ロッドなどのエアロゾル基材8のロッドを収容するように構成されている。使用時、エアロゾル基材8のエアロゾル化可能な部分が加熱チャンバ6内に位置決めされるように、ユーザはハウジング4における挿入口7を通してエアロゾル基材8を挿入することができる。加熱チャンバ6の長さはエアロゾル基材8のロッドの長さより短く、その結果、エアロゾル基材8の一部分、特にフィルタマウス端部9が、ハウジング4における挿入口7を通って突出し(すなわち、加熱チャンバ6から出て)、ユーザの口に収容されることができる。
【0026】
当業者であれば、いくつかの代替的実施形態では、加熱チャンバ6は管状でなくてもよいことを理解するであろう。例えば、加熱チャンバ6は、立方体様、円錐状、半球状、又は他の形状の空洞として形成されてもよく、相補的に成形されたエアロゾル基材8を収容するように構成されてもよい。
【0027】
加熱チャンバ6は、電気エネルギーを熱に変換するのに好適な加熱材料(例えばステンレス鋼、チタン、ニッケル、ニクロム等)を含む1つ以上の加熱要素(図示せず)を備える。使用時、電力がバッテリ(図示せず)などの電源から1つ以上の加熱要素に供給されてもよく、その結果、1つ以上の加熱要素の温度が上昇し、熱エネルギーがエアロゾル基材8に伝達されて、ユーザによる吸入のためのエアロゾルが生成される。一実施例では、加熱チャンバ6は、エアロゾル基材8を取り囲んで加熱チャンバ6の壁を画定するか又は加熱要素の外壁上に取り付けられる薄膜加熱要素を備えてもよい。
【0028】
第1の空気流路10が、ハウジング4の外面にある空気入口12から加熱チャンバ6まで延びている。第1の空気流路は、外部環境から空気入口12を通して加熱チャンバ6まで空気を輸送するように構成されている。したがって、空気流路10は、空気を輸送し、加熱チャンバ6内に収容されたエアロゾル基材8に通気する。
【0029】
一実施例では、第1の空気流路10は、エアロゾル基材8を収容するときに通る挿入口7以外には、加熱チャンバ6内に空気を供給するための唯一のチャネルであってもよい。別の実施例では、エアロゾル生成デバイス2は、空気をハウジングにおける第2の空気入口から加熱チャンバ6まで輸送するように構成された第2の空気流路(図示せず)を備えてもよい。この場合、第1の空気流路10は、必要に応じて空気をエアロゾル生成デバイス2内へと輸送する補助チャネルとして機能してもよい。例えば、第1の空気流路10は、エアロゾル生成セッションの初期期間中などの高温においてのみ空気をエアロゾル生成デバイス2内に入れることを可能にするように構成されていてもよいのに対して、第2の空気流路は常に開いた状態であるように構成されていてもよい。
【0030】
第1の空気流路10は、第1の空気流路10を通って加熱チャンバ6内へと至る空気の流れを制御するように構成されたバルブ14(すなわち、調整可能な開口部材)を備える。この実施例では、バルブ14はハウジング4における空気入口12に位置しているが、当業者であれば、バルブ14が第1の空気流路10に沿った代わりの位置に位置していてもよいことを理解するであろう。
【0031】
図2A及び図2Bに更に示すように、バルブ14はアパーチャ16(すなわち、開口部、穴)を備える。アパーチャ16のサイズを制御して、第1の空気流路10内に入り第1の空気流路に沿って加熱チャンバ6内に入る空気の流れを調整してもよい。
【0032】
例えば、アパーチャ16のサイズを、(図2Aに示すような)第1のサイズから(図2Bに示すような)第2のサイズに増加させて、加熱チャンバ6内に入りエアロゾル基材8に至る空気の流れを増加させ、それにより圧力低下を減少させてもよい。逆に、アパーチャ16のサイズを、(図2Aに示すような)第2のサイズから(図2Bに示すような)第1のサイズに減少させて、加熱チャンバ6内に入りエアロゾル基材8に至る空気の流れを減少させ、それにより圧力低下を増加させてもよい。当業者であれば、図2A及び2Bに示すアパーチャ16のサイズは例示としてのみの役割を担い、アパーチャ16のサイズを変更することにより圧力低下を正確に制御できるように、サイズの連続的な範囲の全体にわたって変更されるように、アパーチャ16が制御されてもよいことを理解するであろう。
【0033】
この実施例では、アパーチャ16は円形であり、バルブ14の断面積を変化させるために、アパーチャ16の半径が変更される。しかしながら、アパーチャ16は、三角形、楕円形又は矩形などの代わりの形状で形成されてもよいことが理解されるであろう。
【0034】
バルブ14は作動可能要素18を更に備え、作動可能要素内にアパーチャ16が位置する。すなわち、作動可能要素18は、バルブ14内のアパーチャ16に対応する穴を画定する。特に、この実施例では、作動可能要素18は、リング状(例えばドーナツ、円環体)で形成される。作動可能要素は、必ず連続リング状で形成されてもよいが、一対の半円部分から形成されてもよい。
【0035】
作動可能要素18は、形状記憶合金、好ましくは二方向形状記憶合金を含む。例えば、作動可能要素18は、Ni-Ti、Cu-Al-Ni、Cu-Zn-Al、又は別の好適な形状記憶合金を含んでもよい。形状記憶合金は、形状記憶効果を呈し、その結果、形状記憶合金は、温度の関数として変形して(すなわち、相変換を経て)、作動可能要素18により画定されるアパーチャ16のサイズが調整される。
【0036】
一実施例では、作動可能要素18への熱の制御された供給を調整することにより、作動可能要素18の温度が変更されてもよい。例えば、作動可能要素18への熱の供給は、電子コントローラを使用して制御されてもよい。好都合にも、これにより、アパーチャ16のサイズを正確に制御することが可能になる。エアロゾル生成デバイス2内の圧力低下がアパーチャ16のサイズに依存するので、エアロゾル生成セッション中の圧力低下が従来のタバコ製品内での圧力低下を模倣するように、熱の供給が自動的に制御されてもよい。代わりに又は加えて、ユーザは、作動可能要素18への熱の供給を手動で制御することが可能であってもよい。これは、例えば、機械的手段(例えばスライダ、ソレノイド)を使用して実現されてもよく、及び/又は電子手段(例えばボタン、タッチスクリーン等)により起動されてもよい。したがって、ユーザは、エアロゾル生成セッション中の圧力低下を、個人的な選好に合うように制御することが可能である。
【0037】
別の実施例では、作動可能要素18の温度は、加熱チャンバ6により供給される(間接的な)加熱に応じて変更されてもよい。
【0038】
図2Aに示す)アパーチャ16の第1のサイズは、作動可能要素18が加熱されていない(例えば、作動可能要素18が室温である)状態に対応してもよい。(図2Bに示す)アパーチャ16の第2のサイズは、熱の制御された供給を使用して又は加熱チャンバ6からの間接的な加熱により作動可能要素18が加熱されている状態に対応してもよい。ここでも、当業者であれば、アパーチャ16の第1及び第2のサイズは限定的であることを意図しておらず、アパーチャ16のサイズは、連続的な温度範囲の全体にわたって連続的に変化するように構成されてもよいことを理解するであろう。
【0039】
有利には、温度の上昇に応答してアパーチャ16のサイズを増加させることにより、温度が上昇するにつれて加熱チャンバ6内への体積流量を増加させてもよい。それゆえ、エアロゾル生成セッションの高温期間中に、例えば、エアロゾル生成材料(例えばタバコ)中の残存水分に起因して典型的には熱い、エアロゾル基材6の最初の(例えば3回の)パフ(ユーザによる吸入)中に、より大きな流量の冷気がエアロゾル基材8に供給されてもよい。反対に、温度の低下に応答してアパーチャ16のサイズを減少させることにより、温度が低下するにつれて加熱チャンバ6への体積流量を減少させてもよい。
【0040】
作動可能要素18は、アパーチャ16のサイズを、連続的な範囲の全体にわたって調整するように構成されている。すなわち、アパーチャ16は、アパーチャ16のちょうど2つのサイズの間で切り替わることに限定されない。一実施形態では、(第1の空気流路10を介する)加熱チャンバ6内への空気流が完全に遮断されることが決してないように、アパーチャ16は常に少なくとも部分的に開いた状態となるように構成されてもよい。代替的実施形態では、作動可能要素18は、閾値温度を下回るとアパーチャ16を閉じるように構成され、その結果、閾値温度を下回ると(第1の空気流路10を介する)加熱チャンバ6内への空気流が遮断される。
【0041】
バルブ14は、作動可能要素18を取り囲む柔軟なリム20を更に備える。柔軟なリム20は、作動可能要素18をハウジング4に接続し形状記憶要素18の形状変化に適応するように動作可能なダイヤフラムとして機能する。例えば、温度が上昇して作動可能要素18が膨張するにつれて、柔軟なリム20は圧縮されることになる。反対に、温度が低下して作動可能要素18が収縮するにつれて、柔軟なリム20は圧縮解除されることになる。換言すれば、作動可能要素18が柔軟なリム20に取り付けられているので、柔軟なリム20の移動により作動可能要素18の移動(変形)が容易になる。好都合にも、これは、バルブ12が位置しているハウジング4が、作動可能要素18の移動による応力を受けないことを意味する。柔軟なリム20は、(高温耐熱性の)シリコーンゴムなどのエラストマー材料を含んでもよい。
【0042】
代替的実施形態では、作動可能要素18は、形状記憶合金を含まなくてもよい。代わりに、作動可能要素18は、アクチュエータ(図示せず)により作動、移動、又は変形されて、アパーチャ16のサイズを調整してもよい。例えば、アクチュエータは、磁気、電気、又は電気機械(例えば、ソレノイド)アクチュエータであってもよい。
【0043】
図3A及び図3Bはそれぞれ、第1の位置及び第2の位置にある作動可能要素18の具体的な実施形態を示す。
【0044】
作動可能要素18は、円形リング22と、リング22の周辺部の周りにおいて間隔を空けた複数のヒンジ連結された形状記憶合金プレート24とを備える。各形状記憶合金プレート24は、リング22の周りで一方の円周方向に隣接するパネル24の上に重なっており、リング24の周りで反対の円周方向に隣接する形状記憶合金プレート24の下に重なっている。第1の位置において、複数の形状記憶合金プレート24がドームの頂点にアパーチャ16を有するドーム形状を形成するように、各形状記憶合金プレート24は湾曲しており、アパーチャ16は、複数の形状記憶合金プレート24の縁部により画定されている。第1の位置は、作動可能要素18の低温位置に対応してもよい。
【0045】
作動可能要素18の高温位置に対応してもよい第2の位置では、各形状記憶合金プレート24は、各形状記憶合金プレート24が第1の位置に対して広がることがないように変形しており、すなわち、各形状記憶合金プレート24は、リング24に対して半径方向外向きに偏向している。形状記憶合金プレート24の偏向/変形は、温度により誘起される相変換(すなわち形状記憶効果)に起因して生じる。複数の形状記憶合金プレート24は、第1の位置におけるよりも大きいサイズを有するアパーチャ16を有するボウル形状を形成し、ここでも、アパーチャ16は、形状記憶合金プレート24の端部により画定されている。
【0046】
当業者であれば、複数の形状記憶合金プレート24が、温度の上昇に応答して第1の位置から第2の位置に移動してもよいこと、又は温度の低下に応答して第2の位置から第1の位置に移動してもよいことを理解するであろう。更には、当業者であれば、形状記憶合金プレート24は、第1の位置及び第2の位置に配置されることに限定されず、中間位置をとってもよいこと、又は更に変形してアパーチャ16のサイズを調整してもよいことを理解するであろう。
【0047】
図4は、本発明の別の実施形態によるエアロゾル生成デバイス26を示す。エアロゾル生成デバイス26の特徴は、エアロゾル生成デバイス26が、代替構造を有する第1の空気流路28を備えることと、ハウジング4における挿入口7に隣接して配置されたマウスピース32を更に備えることとを除いて、概ねエアロゾル生成デバイス2の特徴に対応する。
【0048】
第1の空気流路28は、ハウジング4の外面にある空気入口12からハウジング4の挿入口7に隣接する空気出口30まで延びている。第1の空気流路28は、空気を空気入口12から輸送しエアロゾル生成デバイス26を通し空気出口30から出して、加熱チャンバ6から出現するエアロゾルと混合させるように構成されている。第1の空気流路28に沿った空気流は、前述したように、バルブ12を使用して温度に応じて制御されてもよい。例えば、バルブ12の温度が上昇するにつれて、バルブ12はアパーチャ16のサイズを増加させてもよく、その結果、外部環境からの冷気のより大きな流れが挿入口7の近傍に供給されて、加熱チャンバ6内の挿入口7を通って出現する熱いエアロゾルと混合する。
【0049】
この実施形態では、エアロゾル基材8は、使用時にエアロゾル生成デバイス26内に完全に含まれている。したがって、使用時、エアロゾル基材8はユーザの口の中に収容されない(すなわち、エアロゾル基材8の末端部は、生成されたエアロゾルを吸入するためのマウスピースとして機能しない)。代わりに、ユーザは、空気出口30とハウジング7における穴とに隣接して位置決めされるマウスピース3を介してエアロゾルを吸入する。
【0050】
マウスピース32は、加熱チャンバ8内で生成されたエアロゾルをマウスピース32を通して吸入出口36に輸送するように構成された蒸気通路34を備える。蒸気通路34には、エアロゾルがハウジングにおける挿入口7を通して供給される。蒸気通路34もまた、第1の空気流路28を介して外部環境から供給された空気を収容するように構成されている。特に、蒸気通路34には、空気出口30を通して空気が供給され、空気流のレベルは、アパーチャ14のサイズにより決定される。このようにして、使用時に、蒸気通路34内で空気と蒸気とが混合され、ユーザは、第1の空気流路28を介して供給される空気と加熱チャンバ6から供給される蒸気との組合せを吸入する。
【0051】
当業者であれば、エアロゾル生成デバイス26の通気要件に応じて、空気出口30が代わりの位置に位置していてもよいことを理解するであろう。例えば、代替的実施形態では、第1の空気流路28はマウスピース32内へと延びていてもよい。他の実施例では、蒸気通路34はハウジング4内へと延びていてもよい。更には、第1の空気流路28は複数の空気流路に分かれていてもよく、その各々が空気を供給して、加熱チャンバ6から出現するエアロゾルと混合されてもよい。
【0052】
他の実施例で、エアロゾル生成デバイス2及び40がマウスピースを備えてよいことも理解されるであろう。
【0053】
図5A及び図5Bは、本発明の別の実施形態によるエアロゾル生成デバイス40を示す。図5A及び図5Bはそれぞれ、第1の断面平面における及び第2の垂直な断面平面におけるデバイス40を示す。図5Aを横断する破線は、図5Bの断面平面の位置を示す。
【0054】
エアロゾル生成デバイス40の特徴は、エアロゾル生成デバイス40が、代替構造を有する第1の空気流路42を備えることと、複数の係合部材44及び支持部材46を更に備えることとを除いて、概ねエアロゾル生成デバイス2の特徴に対応する。
【0055】
第1の空気流路42は、加熱チャンバ6の壁とエアロゾル基材8との間に画定された間隙により提供される。第1の空気流路42は、ハウジング4の外面にある挿入口7から、加熱チャンバ6に沿って、そして挿入口7の反対側にある加熱チャンバ6の長手方向端部48まで延びている。換言すれば、第1の空気流路42は、加熱チャンバ6内に収容されたエアロゾル基材8を取り囲むか又は少なく部分的に取り囲み、空気を外部環境からエアロゾル基材8に沿って、そしてエアロゾル基材8の第2の端部11まで輸送するように構成されている。
【0056】
空気入口12は挿入口7に位置し、より具体的には、空気入口12はハウジング4の外面に隣接する、挿入口7の外側部分に対応する。すなわち、空気入口12は、加熱チャンバ6内に収容されたエアロゾル基材8を取り囲むか又は少なくとも部分的に取り囲むリングとして形成されている。換言すれば、空気入口12は、エアロゾル基材8とハウジング4の外面との間に画定される間隙により提供される。
【0057】
この実施例では、バルブ14は空気入口12の下方に位置する。すなわち、バルブ14はハウジング4の外面に隣接して置かれてはいない。しかしながら、他の実施例では、バルブ14は空気入口12に、すなわちハウジング4の外面に隣接して、位置していてもよい。バルブ14は、アパーチャ16が、エアロゾル基材8を取り囲むか又は少なくとも部分的に取り囲むリング状アパーチャであることを除いて、前述した実施形態について説明したように作動する。換言すれば、アパーチャ16は、バルブ14とエアロゾル基材8と間の間隙により画定される。バルブ14は、エアロゾル基材8の周りで、加熱チャンバ6における挿入口7内への空気流を制限するように構成されている。
【0058】
複数の係合部材44が、加熱チャンバ6の壁とエアロゾル基材8との間に配置されている。この実施例では、加熱チャンバ6の周りで均等に間隔を空けた4つの係合部材44がある。しかしながら、係合部材44の数及び構成を変更してもよいことが理解されるであろう。係合部材44は、加熱チャンバ6の壁から離れるように延びて加熱チャンバ6内に収容されたエアロゾル基材8と係合するリブとして機能する。この係合部材44により、エアロゾル基材8が加熱チャンバ6の壁に接触することなく加熱チャンバ6内に保持され、それにより、エアロゾル基材8と加熱チャンバ6との間に、第1の空気流路42として機能する間隙が画定されることが確実になる。係合部材44はまた、エアロゾル基材8に圧縮力を提供するように機能することができ、これが、エアロゾル基材8への及び/又はエアロゾル基材8内での熱伝達を改善する。
【0059】
支持部材46が、挿入口7の反対側の、加熱チャンバ6の長手方向端部48に位置している。支持部材46は、マウス端部11が加熱チャンバ6の長手方向端部48から変位して離れるように、エアロゾル基材8の第2の端部11とインターフェースするように動作可能である。したがって、第1の空気流路42に沿って進行した空気が、エアロゾル基材8の第2の端部11を通ってエアロゾル基材8に入ることが可能である。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
【国際調査報告】