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特表2023-545912エチレン/酸コポリマーを有するアクリル系接着剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】エチレン/酸コポリマーを有するアクリル系接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/00 20060101AFI20231025BHJP
   C09J 123/08 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
C09J133/00
C09J123/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516765
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(85)【翻訳文提出日】2023-03-14
(86)【国際出願番号】 US2021050242
(87)【国際公開番号】W WO2022060718
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】2009334
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】バインダー、ジョセフ ビー.
(72)【発明者】
【氏名】オザイル、セバン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】マロツキー、デイビッド エル.
(72)【発明者】
【氏名】プジャリ、サスワティ
(72)【発明者】
【氏名】ウール、イザベル
(72)【発明者】
【氏名】ヤーダブ、ビニタ
(72)【発明者】
【氏名】モグリア、ロバート エス.
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040DA071
4J040DF001
4J040JA03
4J040JB09
4J040KA38
4J040LA03
4J040LA08
(57)【要約】
本開示は、水性感圧接着剤組成物を対象とする。一実施形態では、水性感圧接着剤組成物は、(A)アクリル分散液であって、(i)-20℃未満のガラス転移温度(Tg)を有するアクリル系ポリマーと、(ii)界面活性剤と、の粒子から構成される、アクリル分散液を含む。水性感圧接着剤組成物はまた、(B)エチレン酸分散液であって、(i)3重量%~50重量%未満の酸コモノマー及び1g/10分~100g/10分のメルトインデックスを有するエチレン酸コポリマーの粒子と、(ii)分散剤又は中和剤のうちの少なくとも1つと、から構成される、エチレン酸分散液も含む。更に、水性感圧接着剤組成物を有する物品が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性感圧接着剤組成物であって、
(A) アクリル分散液であって、
(i)-20℃未満のガラス転移温度(Tg)を有するアクリル系ポリマーと、
(ii)界面活性剤と、の粒子を含む、アクリル分散液と、
(B)エチレン酸分散液であって、
(i)3重量%~50重量%未満の酸コモノマー及び1g/10分~100g/10分のメルトインデックスを有するエチレン酸コポリマーの粒子と、
(ii)分散剤又は中和剤のうちの少なくとも1つと、を含む、エチレン酸分散液と、を含む、水性感圧接着剤組成物。
【請求項2】
前記アクリル系ポリマーが、アクリル酸(AA)、ブチルアクリレート(BA)、エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、エチルアクリレート(EA)、メチルアクリレート(MA)、ブチルメタクリレート(BMA)、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート(MMA)、イソブチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ペンタデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、C12~C18アルキルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メタクリル酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のアクリル系モノマーを含む、請求項1に記載の水性感圧接着剤組成物。
【請求項3】
前記アクリル系ポリマーが、スチレン、ビニルエステル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーを含む、請求項2に記載の水性感圧接着剤。
【請求項4】
前記アクリル系ポリマーが、-80℃~-20℃のTgを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の水性感圧接着剤組成物。
【請求項5】
前記エチレン酸コポリマーが、エチレン及びアクリル酸コポリマー、エチレン及びメタクリル酸コポリマー、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の水性感圧接着剤組成物。
【請求項6】
前記エチレン酸コポリマーが、エチレン及びメタクリル酸コポリマーである、請求項5に記載の水性感圧接着剤組成物。
【請求項7】
前記エチレン酸コポリマーが、エチレン及びアクリル酸コポリマーである、請求項5に記載の水性感圧接着剤組成物。
【請求項8】
前記エチレン酸コポリマーの前記粒子が、0.05ミクロン~2.0ミクロンの体積平均粒径を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の水性感圧接着剤組成物。
【請求項9】
前記エチレン酸コポリマーが、
0.920g/cc~0.960g/ccの密度、
70℃~110℃の融点(Tm)、及び
48℃~95℃のビカット軟化点を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の水性感圧接着剤組成物。
【請求項10】
前記エチレン酸分散液が、
3重量%~50重量%の酸コモノマーを有する第1のエチレン酸コポリマーと、3重量%~50重量%の酸コモノマーを有する第2のエチレン酸コポリマーと、から構成される複合粒子であって、前記第2のエチレン酸コポリマーが前記第1のエチレン酸コポリマーとは異なる、複合粒子を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の水性感圧接着剤組成物。
【請求項11】
前記分散剤が、14~40個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、酸官能性を有するポリエチレン、酸官能性を有するポリプロピレン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の水性感圧接着剤組成物。
【請求項12】
水酸化物、カーボネート、炭酸水素、アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される中和剤を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の水性感圧接着剤組成物。
【請求項13】
(A)40重量%~99.8重量%の前記アクリル分散液と、
(B)10重量%~0.2重量%の前記エチレン酸分散液と、
(C)0重量%~50重量%の粘着付与剤と、を含み、
重量パーセントが、前記水性感圧接着剤組成物の総乾燥重量に基づく、請求項1~12のいずれか一項に記載の水性感圧接着剤組成物。
【請求項14】
物品であって、
第1の基材と、
前記第1の基材上の水性感圧接着剤組成物の層であって、前記水性感圧接着剤組成物が
(A)アクリル分散液であって、
(i)-20℃未満のガラス転移温度(Tg)を有するアクリル系ポリマーと、
(ii)界面活性剤と、の粒子を含む、アクリル分散液と、
(B)エチレン酸分散液であって、
(i)3重量%~50重量%未満の酸コモノマー及び1g/10分~100g/10分のメルトインデックスを有するエチレン酸コポリマーの粒子と、
(ii)分散剤又は中和剤のうちの少なくとも1つと、を含む、エチレン酸分散液と、を含む、水性感圧接着剤組成物の層と、を含む、物品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
感圧接着剤(「pressure sensitive adhesive、PSA」)は、圧力が加えられたときに被着体と結合する接着剤である。PSAは、例えば、熱、照射、又は化学反応によって活性化される接着剤とは異なる。典型的には、水性PSAは、エマルジョン又は分散液として基材に塗布され、次いで、液体キャリアを除去するために乾燥される。
【0002】
感圧接着剤は、典型的には、その接着性及びその凝集力によって特徴付けられる。接着性は、基材に対するPSAの剥離強度及び/又は粘着性によって示される。凝集力は、PSAの剪断抵抗によって示される。接着性と凝集力との間には逆の関係が存在し、それによって、高い接着性を有するPSAは低い凝集力を有し、低い接着性を有するPSAは高い凝集力を有する。
【0003】
しかしながら、ある種の接着剤用途では、高い接着性及び高い凝集力の両方が必要とされる。アクリル系PSAに粘着付与剤を添加して、接着性を向上させることが知られている。しかしながら、典型的には、粘着付与剤は、アクリル系PSAに添加されると凝集力を低下させる。したがって、当該技術分野では、接着性を低下させずに凝集力を高めたアクリル系PSAが必要であると認識されている。更に、粘着付与剤を使用せずに凝集力を低下させることなく接着性が増大したアクリル系PSA組成物の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、水性感圧接着剤組成物を提供する。一実施形態では、水性感圧接着剤組成物は、(A)アクリル分散液であって、(i)-20℃未満のガラス転移温度(Tg)を有するアクリル系ポリマーと、(ii)界面活性剤と、の粒子からなる、アクリル分散液を含む。水性感圧接着剤組成物はまた、(B)エチレン酸分散液であって、(i)3重量%~50重量%未満の酸コモノマー及び1g/10分~100g/10分のメルトインデックスを有するエチレン酸コポリマーの粒子と、(ii)分散剤又は中和剤のうちの少なくとも1つと、からなる、エチレン酸分散液も含む。更に、水性感圧接着剤組成物を有する物品が開示される。
【0005】
本開示は、物品を提供する。一実施形態では、物品は、第1の基材と、第1の基材上の水性感圧接着剤組成物の層と、を含む。水性感圧接着剤組成物は、(A)アクリル分散液であって、(i)-20℃未満のガラス転移温度(Tg)を有するアクリル系ポリマーと、(ii)界面活性剤と、の粒子から構成される、アクリル分散液から構成される。水性感圧接着剤組成物はまた、(B)エチレン酸分散液であって、(i)3重量%~50重量%未満の酸コモノマー及び1g/10分~100g/10分のメルトインデックスを有するエチレン酸コポリマーの粒子と、(ii)分散剤又は中和剤のうちの少なくとも1つと、からなる、エチレン酸分散液も含む。
【0006】
定義
元素周期表への任意の参照は、CRC Press,Inc.,1990-1991によって出版されたものへの参照である。この表での元素群への参照は、群に番号を付けるための新しい表記法によるものである。
【0007】
米国特許実務の目的のために、任意の参照される特許、特許出願又は公開の内容は、特に定義の開示(具体的に本開示で提供されるいずれの定義とも矛盾しない範囲)及び当該技術分野での一般知識に関して、参照によりそれらの全体が組み込まれる(又はその同等の米国版がそのように参照により組み込まれる)。
【0008】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値及び上限値を含む、下限値から上限値までの全ての値を含む。明示的な値(例えば、1又は2、又は3~5、又は6、又は7)を含有する範囲の場合、任意の2つの明示的な値の間のあらゆるサブ範囲が含まれる(例えば、上記の1~7の範囲は、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6などのサブ範囲を含む)。
【0009】
特に反対の記載がないか、文脈から暗示されるか、又は当該技術分野で慣習的でない限り、全ての部及びパーセントは、重量に基づき、全ての試験方法は、本開示の出願日時点で最新のものである。
【0010】
本明細書で使用するとき、「アクリル系モノマー」は、以下の構造(I):
【0011】
【化1】

[式中、Rは、ヒドロキシル基又はC~C18アルコキシ基であり、Rは、H又はCHである]を含有するモノマーである。アクリル系モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリレート、及びメタクリレートが挙げられる。
【0012】
本明細書で使用される「ブレンド」又は「ポリマーブレンド」という用語は、2つ以上のポリマーのブレンドである。そのようなブレンドは、混和性(分子レベルで相分離しない)であっても、そうでなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。このようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、及び当該技術分野において既知の他の方法から判定される、1つ以上のドメイン構成を含んでいても、含んでいなくてもよい。
【0013】
「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、並びに組成物の材料から形成された反応生成物及び分解生成物を指す。
【0014】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する」という用語、及びそれらの派生語は、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、任意の追加の成分、ステップ、又は手順の存在を除外することを意図しない。疑義を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて特許請求される全ての組成物は、特に反対の記載がない限り、ポリマーであるかその他であるかによらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる続く記述の範囲からあらゆる他の成分、ステップ、又は手順を除く。「からなる」という用語は、明確に描写又は列挙されていない任意の成分、ステップ、又は手順を除外する。「又は」という用語は、特に明記しない限り、列挙されたメンバーを個別に、並びに任意の組み合わせで指す。単数形の使用は複数形の使用を含み、その逆もまた同様である。
【0015】
「エチレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント(重量%)を超える重合エチレンモノマーを含有し、任意選択的に、少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。エチレン系ポリマーは、エチレンホモポリマー、及びエチレンコポリマー(エチレン及び1つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。「エチレン系ポリマー」及び「ポリエチレン」という用語は、同義的に使用され得る。
【0016】
「オレフィン系ポリマー」又は「ポリオレフィン」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセントを超える重合オレフィンモノマーを含有するポリマーであり、任意選択的に、少なくとも1つのコモノマーを含み得る。オレフィン系ポリマーの非限定的な例は、エチレン系ポリマーである。
【0017】
「ポリマー」は、同じタイプであるか又は異なるタイプであるかに関わらず、重合形態でポリマーを構成する複数の及び/若しくは繰り返しの「単位」又は「mer単位」を提供するモノマーを重合することによって調製される化合物である。したがって、一般的なポリマーという用語は、ただ1つのタイプのモノマーのみから調製されるポリマーを指すために通常用いられるホモポリマーという用語と、少なくとも2つのタイプのモノマーから調製されるポリマーを指すために通常用いられるコポリマーという用語と、を包含する。それはまた、例えば、ランダム、ブロックなどの全ての形態のコポリマーを包含する。「エチレン/α-オレフィンポリマー」及び「プロピレン/α-オレフィンポリマー」という用語は、それぞれ、エチレン又はプロピレンと、1つ以上の追加の重合性α-オレフィンモノマーとを重合することから調製された上述のコポリマーを示す。ポリマーは、多くの場合、1つ以上の特定のモノマー「で作製され」、特定のモノマー又はモノマータイプに「基づいて」、特定のモノマー含量を「含有する」などと称されるが、この文脈では、「モノマー」という用語は、特定のモノマーの重合残基を指し、非重合種を指すものではないと理解されることに留意されたい。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものとして言及される。
【0018】
「プロピレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合プロピレンモノマーを含有するポリマーであり、任意選択的に、少なくとも1つのコモノマーを含有し得る。プロピレン系ポリマーには、プロピレンホモポリマー、及びプロピレンコポリマー(プロピレン及び1つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)が含まれる。「プロピレン系ポリマー」及び「ポリプロピレン」という用語は、交換可能に使用され得る。好適なプロピレンコポリマーの非限定的な例としては、プロピレンインパクトコポリマー及びプロピレンランダムコポリマーが挙げられる。
【0019】
試験方法
接着性/粘着性試験:試料を、Federation Internationale des fabricants et transformateurs d’Adhesifs et Thermocollants(「FINAT」)試験方法No.2に従って、ステンレス鋼(「stainless steel、SS」)及び高密度ポリエチレン(「high density polyethylene、HDPE」)試験プレートの両方で試験する。凝集/剪断試験:ステンレス鋼板の剪断抵抗試験には、FINAT試験方法No.8を使用する。不良態様は、試験値の後に記録される:「AF」は接着不良を示す。「AFB」は、裏材、すなわち剥離ライナーからの接着不良を示す。「CF」は凝集不良を示す。「MF」は混合不良を示す。剥離接着試験。高密度ポリエチレン(HDPE)試験プレート上の90°での剥離強度試験では、FINAT試験方法No.2に従った。FINATは、自己接着ラベル産業の欧州協会である(Laan van Nieuw-Oost Indie 131-G,2593 BM The Hague,P.O.Box 85612,2508 CH The Hague,The Netherlands)。試験前に、試料ストリップを20分の滞留時間で試験プレートに適用した。
【0020】
密度を、ASTM D792、方法Bに従い測定する。結果を、1立方センチメートル当たりのグラム単位(g/cc)で記録する。
【0021】
示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)
示差走査熱量測定(DSC)を使用して、広範囲にわたる温度のポリマーの溶融、結晶化、及びガラス転移挙動を測定し得る。例えば、RCS(refrigerated cooling system、冷蔵冷却システム)及びオートサンプラを備えたTA Instruments Q1000DSCを使用して、この分析を実行する。試験中、50mL/分の窒素パージガス流量を使用する。各試料を約175℃で溶融圧縮して薄膜にし、次いで、溶融した試料を室温(約25℃)まで空冷する。3~10mg、直径6mmの試験片を冷却したポリマーから抽出し、秤量し、軽量アルミニウムパン(約50mg)内に置き、圧着して閉じる。次いで、その熱特性を決定するために分析を行う。
【0022】
試料の熱挙動は、試料温度を昇降させて熱流対温度のプロファイルを創出することにより決定する。まず、その熱履歴を除去するために、試料を180℃まで急速に加熱し、3分間等温で保持する。次に、試料を10℃/分の冷却速度で-40℃まで冷却し、-40℃で3分間等温で保持する。次いで、試料を10℃/分の加熱速度で180℃まで加熱する(これが「第2の加熱」勾配である)。冷却曲線及び第2の加熱曲線を記録する。冷却曲線は、ベースラインエンドポイントを結晶化の開始から-20℃までに設定することによって分析する。熱曲線は、ベースラインエンドポイントを-20℃から溶融終了までに設定することによって分析する。求められる値は、外挿融解開始点Tm及び外挿結晶化開始点Tcである。融解熱(H)(ジュール/グラム)、及び次の等式を使用して計算されるポリエチレン試料の結晶化度%:結晶化度%=((H)/292J/g)x100
【0023】
第2の加熱曲線から、融解熱(H)(融解エンタルピーとしても知られている)及びピーク融解温度を報告する。
【0024】
融点Tmは、まず融解転移の開始と終了との間にベースラインを引くことにより、DSC加熱曲線から求められる。次いで、融解ピークの低温側のデータに接線を引く。この線がベースラインと交差する箇所が、外挿融解開始点(Tm)である。これは、Bernhard Wunderlich,The Basis of Thermal Analysis,in Thermal Characterization of Polymeric Materials 92,277-278(Edith A.Turi ed.,2d ed.1997)に記載されているとおりである。
【0025】
ガラス転移温度Tgは、Bernhard Wunderlich,The Basis of Thermal Analysis,in Thermal Characterization of Polymeric Materials 92,278-279(Edith A.Turi ed.,2d ed.1997)に記載されているとおり、試料の半分が液体の熱容量を獲得したDSC加熱曲線から求められる。ガラス転移領域の下及び上からベースラインを引き、Tg領域を通して外挿する。試料の熱容量がこれらのベースラインの中間となる温度が、Tgである。
【0026】
ループタック(PSTC試験方法16)(Pressure Sensitive Tape Council、One Parkview Plaza,Suite 800,Oakbrook Terrace,IL 60101,USA)を以下のとおりに実施する。ループタック試験では、接着剤が基材に接触したときの初期接着性を測定する。接着剤ラミネートを、制御された環境(22.2~23.3℃(72~74°F)、相対湿度50%)にて少なくとも1日間コンディショニングした後に、試験を行う。幅2.54cm(1インチ)のストリップを切断し、折り返してループを形成し、接着面を露出させる。次に、それをINSTRON(商標)引張試験機のジョーの間に取り付け、下のジョーを基材に対して12インチ/分の速度で下げ、2.54cm×2.54cm(1インチ×1インチ)の接着剤の正方形領域が基材に1秒間接触するようにする。次に、接着剤を引き離し、接着剤を基材から引き離すピーク力を記録する。
【0027】
ASTM D1238(190℃/2.16kg)を使用してg/10分でのメルトインデックス(melt index、MI)(I2)を測定する。
【0028】
ASTM D1238(230℃/2.16kg)を使用してg/10分でのメルトフローレート(melt flow rate、MFR)を測定する。
【0029】
溶融粘度は、140℃でBrookfield粘度計モデル及びBrookfield RV-DV-II-Pro粘度計スピンドル31を使用して測定する。試料をチャンバに注入し、次にこれをBrookfield Thermoselに挿入し、所定の位置に固定する。試料チャンバは、スピンドルが挿入され、回転しているときに、確実にチャンバが回転しないようにするために、Brookfield Thermoselの底部に適合するノッチを底部に有する。試料(およそ8~10グラムの樹脂)を、溶融した試料が試料チャンバ上部の約1インチ下になるまで必要な温度まで加熱する。粘度計装置を下降させ、スピンドルを試料チャンバに浸す。粘度計のブラケットがThermosel上に揃うまで、下降を続けた。粘度計の電源を入れ、粘度計のrpm出力に基づいて、合計トルク容量の40~60パーセントの範囲内のトルク読み取りをもたらす剪断率で動作するように設定する。15分の間、毎分読み取り値を取得するか、又は値が安定するまで読み取り値を取得し、その時点での最終読み取り値を記録する。
【0030】
エマルジョン又は分散粘度は、25℃でBrookfield粘度計モデル及びBrookfield RV-DV-II-Pro粘度計スピンドル#2又は#3を使用して測定する。試料を広口カップに注ぎ、粘度計装置が下げられたときにスピンドルが分散液中に完全に沈むように十分な体積を注ぐ。粘度計のスイッチを入れ、12、30、又は60RPMの剪断速度で動作するように設定する。15分の間、読み取り値を監視するか、又は値が安定するまで読み取り値を監視し、その時点での最終読み取り値を記録する。
【0031】
分子量は、システム温度140℃で動作する3個の混合多孔度カラム(Polymer Laboratories 103、104、105、及び106)を備えたWaters 150℃高温クロマトグラフィーユニットでのゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、GPC)を使用して決定される。溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、それから試料の約0.3重量%溶液が注入のために調製される。流量は、1.0mL/分であり、注入サイズは、100マイクロリットルである。
【0032】
分子量の特定は、狭い分子量分布のポリスチレン標準(Polymer Laboratoriesから)をそれらの溶出体積と組み合わせて使用することにより推測される。同等のポリエチレン分子量は、(T.Williams & I.M.Ward,The Construction of a Polyethylene Calibration Curve for Gel Permeation Chromatography Using Polystyrene Fractions,6 J.Polymer Sci.Pt.B:Polymer Letter 621,621-624(1968)に記載されるように)ポリエチレン及びポリスチレンについて適切なマーク-ホーウィンク係数を使用して決定され、以下の式を導く:
Mポリエチレン=ax(Mポリスチレン)
この方程式では、a=0.4316及びb=1.0である。
【0033】
ポリマーの数平均分子量であるMnは、分子量に対する各分子量範囲内の分子数のプロットの相加平均として表される。実際には、これは全ての分子の総分子量を分子数で割ったものであり、以下の式に従って通常の方法で計算される。
Mn=Σn /Σn=Σw/Σ(w/M
(式中、
=分子量Mを有する分子の数
=分子量Mを有する材料の重量分率、及び
Σn=分子の総数。
【0034】
重量平均分子量であるMは、以下の式:M=Σw に従って通常の方法で計算され、式中、w及びMは、それぞれ、GPCカラムから溶出するi番目の画分の重量分率及び分子量である。これら2つの平均の比である分子量分布(molecular weight distribution、MWD又はM/M)は、分子量分布の幅を定義するために本明細書で使用される。
【0035】
ビカット軟化点は、ASTM D1525に従って決定される。
【0036】
体積平均粒径分析は、標準的な手順を使用して、Beckman Coulter LS13320レーザー光散乱粒径測定器(Beckman Coulter Inc.、Fullerton,California)により実施され、結果はミクロンで報告された。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示は、水性感圧接着剤組成物に関する。一実施形態では、水性感圧接着剤組成物は、(A)アクリル分散液であって、(i)-20℃未満のガラス転移温度(Tg)を有するアクリル系ポリマーと、(ii)界面活性剤とから構成される、アクリル分散液を含む。水性接着剤組成物はまた、(B)エチレン酸分散液を含む。エチレン酸分散液は、(i)エチレン酸コポリマー及び(ii)分散剤又は中和剤から構成される。エチレン酸コポリマーは、3重量%~50重量%未満の酸コモノマーを含有し、1g/10分~100g/10分のメルトインデックスを有する。エチレン酸コポリマーは、粒子の形態である。
【0038】
A.アクリル分散液
水性PSA組成物は、アクリル分散液を含む。「水性PSA組成物」という用語は、水が連続相である感圧PSA組成物すなわち、水性媒体を有する組成物である。アクリル分散液は、エチレン系ポリマーを除いて、1つ以上のアクリル系モノマー、界面活性剤、及び水を含む。界面活性剤は、乳化剤として作用し、疎水性であるアクリル系モノマーの液滴を、水性媒体全体に形成することを可能にする。次いで、開始剤が乳化混合物中に導入される。開始剤は、アクリル系モノマーの全て又は実質的に全てが重合するまで、水性媒体全体に分散したアクリル系モノマーと反応する。最終結果は、水性媒体中のアクリル系ポリマー粒子の分散液から構成されるアクリル分散液であり、アクリル系ポリマー粒子は、エチレン系ポリマーを除いて1つ以上のアクリル系モノマーサブユニットから構成される。
【0039】
アクリル系ポリマーは、-20℃未満、又は-80℃~-20℃、又は-70℃~-30℃、又は-60℃~-40℃のTg、及び100,000ダルトン超~10,000,000ダルトンのMwを有する。好適なアクリル系モノマーの非限定的な例としては、アクリル酸(acrylic acid、AA)、ブチルアクリレート(butyl acrylate、BA)、エチルヘキシルアクリレート(ethylhexyl acrylate、2-EHA)、エチルアクリレート(ethyl acrylate、EA)、メチルアクリレート(methyl acrylate、MA)、ブチルメタクリレート(butyl methacrylate、BMA)、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート(methyl methacrylate、MMA)、イソブチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ペンタデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、C12~C18アルキルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メタクリル酸、及びこれらの組み合わせが挙げられる。アクリル系モノマーに加えて、アクリル系ポリマーはまた、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate、2-HEA)、スチレン(styrene、STY)、ビニルエステル、酢酸ビニル、及びこれらの組み合わせなどのモノマーを含んでもよい。
【0040】
アクリル系分散液は、界面活性剤を含む。好適な界面活性剤の非限定的な例としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。アニオン性界面活性剤の例としては、スルホネート、カルボキシレート、及びホスフェートが挙げられるが、これらに限定されない。カチオン性界面活性剤の例としては、四級アミンが挙げられるが、これらに限定されない。非イオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシドを含むブロックコポリマー、及びエトキシル化アルコール、エトキシル化脂肪酸、ソルビタン誘導体、ラノリン誘導体、エトキシル化ノニルフェノール、又はアルコキシル化ポリシロキサンなどのシリコーン界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。好適な界面活性剤の市販の例としては、The Dow Chemical CompanyによりTERGITOL(商標)及びDOWFAX(商標)の商品名で販売されている界面活性剤、例えば、TERGITOL(商標)15-S-9及びDOWFAX(商標)2A1、並びにBASF SEによりDISPONILの商品名で販売されている製品、例えば、DISPONIL FES 77 IS及びDISPONIL FES 993が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
開始剤は、熱開始剤又は酸化還元系開始剤のいずれかであり得る。熱開始剤の例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸カリウムが挙げられるが、これらに限定されない。開始剤が酸化還元系開始剤である場合、還元剤は、例えば、アスコルビン酸、スルホキシレート、又はエリソルビン酸であり得るが、一方、酸化剤は、例えば、過酸化物又は過硫酸塩であり得る。
【0042】
一実施形態では、アクリル分散液は、以下の特性を有するアクリル系ポリマーの粒子を含む。
(i)2-EHA、MA、MMA、STY、2-HEA、AA、BA、EA、VA、及びBMAのうちのいずれかの組み合わせから選択される2つ以上のモノマーサブユニット、並びに
(ii)-60℃~-30℃のTg。
【0043】
一実施形態では、アクリル分散液は、以下の特性を有するアクリル系ポリマーの粒子を含む。
(i)2-EHA、EA、MMA、及びAAのモノマーサブユニット、並びに
(ii)-60℃~-30℃のTg。
【0044】
一実施形態では、アクリル分散液は、以下の特性を有するアクリル系ポリマーの粒子を含む。
(i)2-EHA、MMA、STY、2-HEA、AA、及びBAのモノマーサブユニット、並びに
(ii)-60℃~-30℃のTg。
【0045】
B.エチレン酸分散液
水性PSA組成物は、エチレン酸分散液を含む。エチレン酸分散液は、(i)エチレン酸コポリマーの粒子、(ii)分散剤又は中和剤、及び(iii)水を含む。エチレン酸コポリマーは、3重量%~50重量%未満のアクリル系コモノマーを有し、エチレン酸コポリマーは、1g/10分~100g/10分のメルトインデックスを有する。
【0046】
本明細書で使用される「エチレン酸コポリマー(ethylene acid copolymer)」(互換的に「EAC」と称される)は、エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量に基づいて、(a)エチレンと、(b)3重量%~50重量%未満の少なくとも1つのC~Cα,βエチレン性不飽和カルボン酸と、任意選択的に、(c)10重量%~30重量%の少なくとも1つのC~Cα,βエチレン性不飽和カルボン酸エステルとの共重合されたコモノマーを含む。
【0047】
α,β-エチレン性不飽和C~Cカルボン酸である成分(b)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸(トランス-ブテン酸)、イソクロトン酸(シス-ブテン酸)、ビニル酢酸、(E)-4-メトキシ-4-オキソ-ブタ-2-エン酸、(Z)-4-エトキシ-4-オキソ-ブタ-2-エン酸、ビニル乳酸、マレイン酸、2-メチルマレイン酸、若しくはアコニット酸、又はこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、C~Cα,βエチレン性不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、又はアクリル酸とメタクリル酸との組み合わせである。
【0048】
エチレン酸コポリマーは、任意選択的に、C~Cα,βエチレン性不飽和カルボン酸エステルである成分(c)を含んでもよい。C~Cα,βエチレン性不飽和カルボン酸エステル成分(c)が存在する場合、成分(c)は、α,β-不飽和ジカルボン酸と、1個の炭素原子~20個の炭素原子を有する一級、二級、及び/又は三級飽和一価アルコールとのモノエステル、又はいくつかの例では、ジエステルを含み得る。酸エステルは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、及び/若しくはイタコン酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、又は2-エチルヘキシルエステル、あるいはマレイン酸、フマル酸、若しくはシトラコン酸の対応するモノエステル又はジエステルであってもよい。
【0049】
アクリル酸及びメタクリル酸は、それぞれ以下の構造(II)及び構造(III)を有する。
【0050】
【化2】
【0051】
一実施形態では、EACは、(i)エチレン、(ii)3重量%~50重量%未満のアクリル酸コモノマー及び/又はメタクリル酸コモノマー、並びに(iii)任意選択的にターモノマーからなる。好適なターモノマーの非限定的な例としては、1つ以上のC~Cα-オレフィン、酢酸ビニル、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、及びアクリル酸ブチル、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。存在する場合、EAC中のターモノマーの量は、EACの総重量に基づく重量パーセントで、0重量%超~30重量%未満、又は1重量%~10重量%、又は3重量%~8重量%である。ターモノマーが存在する場合、(i)エチレンから誘導される単位、(ii)アクリル酸及び/又はメタクリル酸コモノマーから誘導される単位、並びに(iii)ターモノマーから誘導される単位の合計重量パーセントは、100重量%のEACに達することが理解される。
【0052】
一実施形態では、エチレン酸分散液は、(i)エチレン及び(ii)アクリル酸コモノマー又はメタクリル酸コモノマーからなるエチレンコポリマーであるEACの粒子を含む。
【0053】
一実施形態では、エチレン酸分散液は、(i)エチレン及び(ii)アクリル酸コモノマー又はメタクリル酸コモノマーからなるEACの粒子を含む。EACは、3重量%~50重量%未満、又は9重量%~30重量%、又は9重量%~25重量%、又は9重量%~20重量%のアクリル酸コモノマー又はメタクリル酸コモノマーを含有する。重量パーセントは、EACの総重量に基づく。EACの粒子は、アクリル分散液中に存在するアクリル系ポリマーの粒子とは異なることが理解される。
【0054】
一実施形態では、EACは、(i)エチレン及び(ii)3重量%~50重量%未満のアクリル酸コモノマー又はメタクリル酸コモノマーからなるエチレンコポリマーであり、EACは、(i)8.0キロダルトン(kDa)~30kDa、又は9kDa~25kDa、又は10kDa~20kDaの数平均分子量(Mn)、及び(ii)4.5kDa~100kDa、又は4.8kDa~50kDaの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0055】
EACは、1.0g/10分~100g/10分、又は5g/10分~95g/10分、又は10.0g/10分~95g/10分、又は50g/10分~95g/10分のメルトインデックス(MI)を有する。
【0056】
EACは、0.920g/cc~0.960g/cc、又は0.930g/cc~0.960g/cc、又は0.930g/cc~0.950g/ccの密度を有する。
【0057】
EACは、70℃~110℃、又は90℃~100℃、又は90℃~97℃、又は90℃~95℃の融点(Tm)を有する。
【0058】
EACは、48℃~95℃、又は55℃~95℃、又は60℃~70℃、又は60℃~65℃のビカット軟化点を有する。
【0059】
水性感圧性接着剤組成物は、10nm、又は25nm、又は50nm、又は80nm、又は100nm、又は250nm~500nm、又は750nm、又は800nm、又は1100nm未満の体積平均粒径を有するEACの粒子を有する。一実施形態では、組成物は、50nm~1000nm未満、又は75~900nm、又は80nm~800nmの体積平均粒径を有するEACの粒子を有する。
【0060】
一実施形態では、エチレン酸分散液は、(i)エチレン及び(ii))アクリル酸コモノマーからなり、かつ以下の特性のうちの1つ、いくつか、又は全てを有するEACの粒子を含む。
(i) 3重量%~20重量%、若しくは11重量%~15重量%のアクリル酸含有量、及び/又は
(ii) 7.5kDa~20kDa、若しくは9kDa~15.5kDaのMn、及び/又は
(iii) 約25.5kDa~約150kDa、若しくは45kDa~約95kDaのMw、及び/又は
(iv) 1g/10分~100g/10分のMI、及び/又は
(v) 50~1000nm、若しくは80nm~800nmの体積平均粒径、及び/又は
(vi) 0.930g/cc~0.950g/cc若しくは0.935g/cc~0.945g/ccの密度、及び/又は
(vii) 80℃~110℃、若しくは90℃~95℃の融点(Tm)、及び/又は
(viii) 55℃~95℃、若しくは60℃~65℃のビカット軟化点。
【0061】
一実施形態では、エチレン酸分散液は、(i)エチレン及び(ii)メタクリル酸コモノマーからなり、かつ以下の特性のうちの1つ、いくつか、又は全てを有するEACの粒子を含む。
(i) 3~20重量%、若しくは11~15重量%のメタクリル酸含有量、及び/又は
(ii) 8kDa~20kDa、若しくは9kDa~15kDaのMn、及び/又は
(iii) 4.5kDa~70kDa、若しくは4.5kDa~50kDaのMw、及び/又は
(iv) 1g/10分~100g/10分、若しくは50g/10分~95g/10分のMI、及び/又は
(v) 50~1000nm、若しくは80nm~800nmの体積平均粒径、及び/又は
(vi) 0.930g/cc~0.950g/cc若しくは0.935g/cc~0.945g/ccの密度、及び/又は
(vii) 90℃~110℃、若しくは90℃~95℃の融点(Tm)、及び/又は
(viii) 55℃~95℃、若しくは60℃~65℃のビカット軟化点。
【0062】
好適なEACの非限定的な例としては、The Dow Chemical Companyから入手可能なNUCREL(商標)、及びSK Globalから入手可能なPRIMACOR(商標)の商品名で販売されている製品が挙げられる。
【0063】
一実施形態では、水性感圧接着剤組成物は、水性感圧接着剤組成物の総乾燥重量に基づいて、0.1~25重量%、又は0.1~10重量%、又は0.2~6重量%、又は0.3~4重量%のEACを含む。
【0064】
一実施形態では、エチレン酸分散液は、第1のEAC及び第2のEACから構成される複合粒子を含み、第2のEACは第1のEACとは異なる。第2のEACは、異なるEAC特性(コモノマータイプ/含有量、Mn、Mw、MI、密度、Tm、及び/又はビカー軟化点)によって第1のEACとは「異なる」。第1のEAC及び第2のEACから構成される複合粒子は、0.05ミクロン~4.0ミクロン、又は0.1ミクロン~3.5ミクロン、又は0.75ミクロン~3.0ミクロンの体積平均粒径を有する。複合粒子中の第1のEAC対第2のEACの重量比は、エチレン酸分散液中に存在する全ての複合粒子の総重量に基づいて、90:10~10:90、又は75:25~25:75、又は60:40~40:60、又は50:50である。
【0065】
エチレン酸分散液は、分散剤及び/又は中和剤を含む。分散剤は、単独で、又は中和剤と組み合わせて存在してもよい。代替的に、中和剤は、単独で、又は分散剤と組み合わせて存在してもよい。
【0066】
一実施形態では、エチレン酸分散液は、分散剤を含む。分散剤は、EAC分散液中にある間、EACコポリマーにコロイド安定性を提供する。分散剤は、14~40個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、酸官能性を有するポリエチレン、酸官能性を有するポリプロピレン、及びこれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、分散剤は、14~40個の炭素原子、又は16~36個の炭素原子、又は18~24個の炭素原子を有し、かつ任意選択的に水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、及び/又はジメチルエタノールアミンなどの塩基で中和された、長鎖脂肪酸である。分散剤に好適な長鎖脂肪酸の非限定的な例としては、ラウリン酸(C12)、パルミチン酸(C16)、オレイン酸(C18)、ステアリン酸(C18)、アラキジン酸(C20)、エルカ酸(euricic acid)(C22)、ベヘン酸(C22)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0067】
一実施形態では、分散剤は、アニオン性界面活性剤である。分散剤に好適なアニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、ラウリルエーテルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、C14~C16アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム、及びThe Dow Chemical Companyから入手可能なDOWFAX(商標)2A1が挙げられる。
【0068】
一実施形態では、分散剤は、カチオン性界面活性剤である。分散剤に好適なカチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、ステアラミドプロピルジメチルアミンが挙げられる。
【0069】
一実施形態では、分散剤は、非イオン性界面活性剤である。分散剤に好適な非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)及びポリ(エチレングリコール)アルキルエーテルが挙げられる。
【0070】
一実施形態では、分散剤は、酸官能性を有するポリエチレン又はポリプロピレンである。酸官能性を有するポリエチレン又はポリプロピレンの非限定的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、又は無水マレイン酸とのエチレンコポリマーが挙げられる。一実施形態では、酸官能性を有するポリエチレン又はポリプロピレンは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、及び/又はジメチルエタノールアミンなどの塩基で中和される。
【0071】
一実施形態では、エチレン酸分散液は中和剤を含む。本明細書で使用するとき、「中和剤」は、酸-塩基反応においてEAC中の酸官能性と反応して塩を形成する塩基である。存在する場合、中和剤は、pHを制御し、かつ配合された感圧接着剤組成物に安定性を提供するために使用される。中和剤は、水性感圧接着剤組成物の総乾燥重量に基づいて、0重量%超~2重量%、又は0.1重量%~1.5重量%の量で存在する。
【0072】
一実施形態では、EACの中和は、モル基準で25%~200%、又はモル基準で50%~150%パーセント、又はモル基準で50%~120%、又は、モル基準で50%~110%パーセントである。好適な中和剤の非限定的な例としては、水酸化物、カーボネート、炭酸水素、アミン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0073】
好適な水酸化物の非限定的な例としては、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、及び水酸化ナトリウムが挙げられる。
【0074】
好適なカーボネートの非限定的な例としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、及び炭酸カルシウムが挙げられる。
【0075】
好適なアミンの非限定的な例としては、水性アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、モノ-n-プロピルアミン、ジメチル-nプロピルアミン、N-メタノールアミン、N-アミノエチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、N,N,N’N’-テトラキス(2-ヒドロキシルプロピル)エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、N,N’-エチレンビス[ビス(2-ヒドロキシプロピル)アミン]トルエン-p-スルホネート、又はモルホリン、ピペラジン、ピペリジンなどの環状アミン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0076】
C.粘着付与剤
一実施形態では、水性感圧接着剤組成物は、粘着付与剤を含む。好適な粘着付与剤には、ロジン酸をアルコール又はエポキシ化合物及び/又はその混合物でエステル化することにより得られるロジン酸及び/又はロジンエステルを含むロジン樹脂、非水素化脂肪族C樹脂、水素化脂肪族C樹脂、芳香族変性C樹脂、テルペン樹脂、水素化C樹脂、(メタ)アクリル樹脂、並びにこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。粘着付与剤として好適な(メタ)アクリル樹脂は、参考文献米国特許第4,912,169号、米国特許第2002/055587号、及び米国特許第9,605,188号に記載されている。水性感圧接着剤組成物は、水性感圧接着剤組成物の総乾燥重量に基づいて、0重量%超~50重量%、又は5重量%~40重量%、又は7重量%~30重量%、又は8重量%~15重量%の粘着付与剤を含有する。
【0077】
D.添加剤
水性感圧接着剤組成物は、1つ以上の任意選択の添加剤を更に含んでもよい。添加剤が存在する場合、好適な添加剤の非限定的な例としては、増粘剤、消泡剤、湿潤剤、機械的安定剤、顔料、充填剤、凍結融解剤、中和剤、可塑剤、接着促進剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0078】
一実施形態では、水性感圧接着剤組成物は、水性感圧接着剤組成物の総乾燥重量に基づいて、0重量%超~5重量%の増粘剤を含む。好適な増粘剤には、ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyからの市場で入手可能なACRYSOL(商標)、UCAR(商標)及びCELLOSIZE(商標)が含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
一実施形態では、水性感圧接着剤組成物は、水性感圧接着剤組成物の総乾燥重量に基づいて、0重量%超~2重量%の中和剤を含む。中和剤は、pHを制御し、かつ配合された感圧接着剤組成物に安定性を提供するために使用される。好適な中和剤には、アンモニア水、水性アミン、及び他の水性無機塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0080】
E.PSA組成物
水性PSA組成物は、
(A)40重量%~99.9重量%、又は93重量%~99.8重量%、又は95重量%~99.7重量%のアクリル系分散液、
(B)10重量%~0.1重量%、又は7重量%~0.2重量%、又は5重量%~0.3重量%のエチレン系ポリマー分散液、及び
(C)0重量%、又は0重量%超~50重量%、又は5重量%~40重量%、又は7重量%~30重量%、又は8重量%~15重量%の粘着付与剤を含有し、重量パーセントは、水性感圧接着剤組成物の総乾燥重量に基づく。成分(A)、(B)、及び(C)の合計乾燥重量は、100乾燥重量%に達することが理解される。
【0081】
F.物品
本開示は、物品を提供する。物品は、第1の基材と、第1の基材上の水性PSA組成物の層(以下、PSA層)と、を含む。水性PSA組成物は、本明細書で先に開示された任意の水性PSA組成物であって、アクリル分散液(A)であって、(i)-20℃未満のガラス転移温度(Tg)を有するアクリル系ポリマーと、(ii)界面活性剤と、の粒子から構成される、アクリル分散液(A)と、エチレン酸分散液(B)であって、(i)エチレン酸コポリマーの粒子及び(ii)分散剤又は中和剤から構成される、エチレン酸分散液(B)と、(C)任意選択の粘着付与剤と、を含む。エチレン酸コポリマーは、3重量%~50重量%、又は10重量%~20重量%、又は11重量%~15重量%の酸コモノマーを含有し、1g/10分~100g/10分のメルトインデックスを有する。
【0082】
一実施形態では、物品は、感圧接着剤物品である。本明細書で使用するとき、「感圧接着剤物品」は、感圧接着剤(PSA)が第1の基材に接着された物品であり、PSAは、「有効表面」を有し、有効表面は、第2の基材と接触するのに有効な露出表面である。「有効表面」は、本明細書で先に開示された任意の水性PSA組成物から構成される。PSAの利用可能な表面は、剥離材料と接触してもよいし、又は接触しなくてもよい。本明細書で使用するとき、「剥離材料」は、PSAが手で容易に除去されて有効表面を露出させることができるように、PSAと弱い結合を形成する材料である。
【0083】
物品は第1の基材を含む。第1の基材は、フィルム、セルロース系材料、織布、テープ、又は剥離ライナー、及びこれらの組み合わせである。
【0084】
一実施形態では、第1の基材はフィルムである。第1の基材に好適なフィルムの非限定的な例としては、プロピレン系ポリマーフィルム、エチレン系ポリマーフィルム、エチレン/プロピレンコポリマーフィルム、ポリエステルフィルム、ポリ(塩化ビニル)フィルム、金属化フィルム、ポリウレタンフォーム及びポリエチレンフォームなどのフォーム基材などのプラスチックフィルム(未延伸フィルム、又は一軸延伸フィルム、又は二軸延伸フィルム)、並びにアルミニウム箔又は銅箔などの金属箔が挙げられる。
【0085】
一実施形態では、第1の基材はセルロース系材料である。基材に好適なセルロース系材料の非限定的な例としては、紙(クラフト紙、クレープ紙、及び和紙など)、ラベル、並びに厚紙が挙げられる。
【0086】
一実施形態では、第1の基材は織布である。基材に好適な織布の非限定的な例としては、綿織布、短繊維織布、不織布(ポリエステル不織布など)、不織布上のビニル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0087】
一実施形態では、第1の基材は剥離ライナーである。剥離ライナーに好適な材料の非限定的な例としては、フルオロカーボンポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロ-エチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、クロロフルオロエチレン-フッ化ビニリデンコポリマーなど)、シリコーン処理された紙又はフィルム、並びに非極性ポリマー(例えば、エチレン系ポリマー及びプロピレン系ポリマーなどのオレフィン系樹脂などが挙げられる。
【0088】
一実施形態では、第1の基材(フィルム、セルロース系材料、織布、テープ、又は剥離ライナー)の厚さは、10ミクロン~10000ミクロン、又は10ミクロン~1000ミクロン、又は20ミクロン~500ミクロン、又は50ミクロン~100ミクロン、又は100ミクロン~200ミクロン、又は200ミクロン~500ミクロンである。
【0089】
PSA層は、水性PSA組成物を第1の基材の片面又は両面に塗布し、乾燥又は硬化させることにより形成される。水性PSA組成物は、本明細書で先に開示した任意の水性PSA組成物であり得る。PSA組成物の塗布には、コーター、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、カーテンコーター、スロットダイコーター、コンマコーター、ナイフコーターなどを用いることができる。一実施形態では、感圧接着剤層が塗布される基材の表面は、表面処理に供される。好適な表面処理の非限定的な例としては、プライマーコーティング、及び基材表面上へのPSA層の塗布前のコロナ放電処理が挙げられる。
【0090】
一実施形態では、基材表面上のPSA層の厚さは、1ミクロン~500ミクロン、又は10ミクロン~110ミクロン、又は30ミクロン~90ミクロン、又は1ミクロン~10ミクロン、又は10ミクロン~50ミクロンである。
【0091】
一実施形態では、物品は、多層PSA物品である。本明細書で使用するとき、「多層PSA物品」は、第1のPSA層が基材と接触し、第2のPSA層が第1のPSA層と接触するように、基材及び2つ以上のPSA層を含む。多層PSA物品は、追加のPSA層を含んでもよく、各追加のPSA層は、先行するPSA層と接触しており、PSA層は積み重ねられた様式で配置される。例えば、多層PSA物品は、第3のPSA層を含むことができ、第3のPSA層は、第2のPSA層と接触し、その上に積み重ねられている。多層PSA物品は、第4のPSA層を含むことができ、第4のPSA層は、第3のPSA層と接触し、その上に積み重ねられている。多層PSA物品は、第5のPSA層を含むことができ、第5のPSA層は、第4のPSA層と接触し、その上に積み重ねられている。多層PSA物品のPSA層のうちの少なくとも1つは、本明細書において先に開示された任意の水性PSA組成物から構成される。
【0092】
限定ではなく例として、ここで、本開示のいくつかの実施形態を、以下の実施例で詳細に説明する。
【実施例
【0093】
実施例で使用する材料を、以下の表1A及び1Bに提供する。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】

EMAA樹脂の総重量に基づくメタクリル酸コモノマーの重量パーセント
EAA樹脂の総重量に基づくアクリル酸コモノマーの重量パーセント
米国特許第2016/0145806(A1)号から得られたデータ。
【0096】
【表3】
【0097】
A.メルトインデックス(MI)-溶融粘度(Mv)の関係
190℃でのメルトインデックスは、Shenoy,A.V.Saini,D.R.;Nadkarni,V.M.Polymer 1983,24,722-728.からの計算に従って、140℃での溶融粘度から推定することができる。所与の温度、例えば、140℃におけるMIは、同じ温度における溶融粘度から以下のように推定することができる。
【0098】
【数1】

式中、MIは、g/10分で与えられ、ρは、g/cmでのポリマー密度であり、Lは、kgでのMI測定に使用される重量(典型的には2.16kg)であり、溶融粘度は、ポアズで与えられる。次に、上記参考文献においてShenoyらによって提供されたWilliams-Landel-Ferry方程式の形式の再構成を使用して、1つの温度MI(T)、例えば、190℃におけるMIを、別の温度MI(T)、例えば、140℃におけるMIから推定することができる。
【0099】
【数2】

式中、Tは、ポリマーガラス遷移温度+50Kである標準参照温度であり、Tは、MIが計算されるK単位の温度であり、Tは、MIが既知であるK単位の温度である。ポリマーのガラス転移温度が知られていない場合には、Foxの式を使用して成分モノマーのホモポリマーのガラス転移温度から推定することができる。
【0100】
【数3】

式中、Tは、所望のコポリマーの推定値Tであり、wは、所望のコポリマー中のi番目の成分モノマーの重量分率であり、Tg,Iは、i番目の成分モノマーのホモポリマーのガラス転移温度である。
【0101】
一例として、EAA Honeywell A-C 5120ポリマーの190℃でのMIは、140℃でのその溶融粘度(6ポアズ)、密度(0.93g/cm)、及び85%エチレンと15%アクリル酸とのコポリマーについて計算されたガラス転移温度から推定することができる。
【0102】
【表4】

推定されたモノマー組成、材料の総重量に基づく重量%
E-エチレン、VA-酢酸ビニル、AA-アクリル酸
【0103】
1.アクリル分散液の調製
A.アクリル分散液1
アクリル分散液1を、以下の手順に従って調製する。コンデンサー、メカニカルスターラー、温度制御された熱電対並びに開始剤及びモノマー用の入口を備えた4リットルの5つ口反応器に、540gの脱イオン(「deionized、DI」)水を供給し、穏やかな窒素流の下で87℃に加熱する。別の容器で、400gのDI水と、11.9gのDISPONIL FES 77と、5gのTERGITOL(商標)15-S-9と、4gの炭酸ナトリウムと、71.5重量%の2-エチルヘキシルアクリレート(「2-EHA」)、18.5重量%のエチルアクリレート(「EA」)、9重量%のメチルメタクリレート(「MMA」)、及び1重量%のアクリル酸(「AA」)から構成される2,024gのモノマー混合物と、を混合してモノマーエマルジョンを調製する。次に、32gのDI水中の、1.3gの炭酸ナトリウムと8.3gの過硫酸アンモニウム(開始剤としての「ammonium persulfate、APS」)との混合物の溶液を反応器に加える。炭酸ナトリウム及びAPSの溶液を添加した直後に、モノマーエマルジョンを反応器に供給する。供給は、80分間続行する。モノマーエマルジョンの添加が完了したら、反応混合物を60℃まで冷却した後、25分かけて2本の別個の供給物を介して、tert-ブチルヒドロペルオキシド(70%)(「tert-butyl hydroperoxide、t-BHP」)(23gのDI水中4.7g)及び28gのDI水中の2.8gのホルムアルデヒド亜硫酸水素ナトリウムの溶液を徐々に添加する。供給が完了したら、反応物を室温に冷却する。次いで、得られたアクリル分散液1を325メッシュ濾布を通して濾過して、その後の評価作業用の組成物を調製する。得られたアクリル分散液1は、71.5重量%の2-EHA/18.5重量%のEA/9重量%のMMA/1重量%のAAから構成されるアクリル系ポリマーを含み、-41℃のガラス転移温度を有する。重量パーセントは、アクリル系ポリマーの総乾燥重量に基づく。
【0104】
B.アクリル分散液2
アクリル分散液2は、The Dow Chemical Companyから入手可能なINVISU(商標)4100である。
【0105】
C.アクリル分散液3
アクリル分散液3は、The Dow Chemical Companyから入手可能なINVISU(商標)3000である。
【0106】
D.アクリル分散液4
90℃で270gの水を含有する半連続エマルジョン重合用に設定されたフラスコに、最初に13gの脱イオン水中のペルオキソ二硫酸ナトリウム(1.26g)を充填し、次に12%固形分で平均粒径60nmを有するアクリルポリマーの水性分散液からなる21.2gのシードを充填した。2分後、59.8gの脱イオン水中のペルオキソ二硫酸ナトリウム(3.79g)及びモノマーエマルジョンを含有する供給流の添加を開始し、90℃で120分間にわたって一定速度で継続した。モノマーエマルジョンは、表2に記載の質量割合の1250gのモノマー、30モルのエチレンオキシドによりエトキシル化されたラウリルアルコールの硫酸エステルナトリウム塩の水中の180gの33%濃度溶液、DOWFAX(商標)2A1の水中の5.6gの44%濃度溶液、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩のエタノール/水中の6.7gの75%濃度溶液、及び295gの脱イオン水からなっていた。モノマーエマルジョンの重量の半分を反応器に添加した後、26%の固形分で60nmの平均粒径のアクリルポリマーの水性分散液からなる72gのシードを1分以内に反応器に充填した。モノマーエマルジョン及び供給流を反応器に完全に添加した後、反応器温度を90℃に維持しながら、追加の35gの脱イオン水を添加した。次に、アンモニア(水中4.4%濃度の17.9g)を反応器に添加した。最後に、水中の8%tert-ブチルヒドロペルオキシドの溶液(23g)及び水中の10%ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートの溶液(19.5g)を、90℃で60分かけて一定速度で反応器に添加した。これらの供給流の完了後、反応器内容物を室温に冷却した。
【0107】
E.アクリル分散液5
メカニカルスターラーを備えたフラスコを使用して、0.51グラムのピロリン酸四ナトリウム、640グラムの脱イオン水、1.80グラムの無水硫酸ナトリウム、及び1.36グラムのアスコルビン酸から構成される初期水性充填物を、87℃まで加温する。次に、28.4グラムの19%濃度の過硫酸ナトリウム水溶液を、フラスコに注ぎ入れる。2.0時間にわたって、14.7グラムの50%濃度の水酸化ナトリウム水溶液、39.4グラムの12モルのエチレンオキシド水溶液でエトキシル化されたラウリルアルコールの30%濃度の硫酸エステルナトリウム塩溶液、21.2グラムの25.0%濃度のビニルスルホン酸ナトリウム水溶液、28.8グラムの22%濃度のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液、6.6グラムのイタコン酸、236グラムの水、321.2グラムのメタクリル酸メチル、55.2グラムのスチレン、1,592.4グラムの2-エチルヘキシルアクリレート、679.3グラムのアクリル酸エチル、及び14.4グラムのアクリル酸で構成されるエマルジョンが、フラスコに徐々に供給される。最初は、最初の5.0分間の追加速度は、毎分5.0グラムである。その後、この速度を、35分間にわたって、毎分25.0グラムまで着実に上昇させる。合計75分の供給時間後に、速度を、毎分35.0グラムまで上昇させる。エマルジョン供給の開始から、94グラムの11%濃度のペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液を、2.3時間にわたって一定速度で添加し、反応器温度を、85~87℃に維持する。
【0108】
供給が完了した後、約70℃で、2.76グラムの亜硫酸水素ナトリウム、1.8グラムのアセトン、及び44.4グラムの水の溶液と、同時に47.6グラムの5.5%濃度のtert-ブチルヒドロペルオキシド溶液を、45分間にわたってフラスコに分注する。感圧接着剤のコポリマー分散液は、70重量%の固形分で生成される。
【0109】
F.アクリル分散液6
メカニカルスターラーを備えたフラスコを使用して、1.34gのピロリン酸四ナトリウム、269gの脱イオン水、及び0.68gのアスコルビン酸で構成される充填物を86℃に温める。次に、水中の6.6%濃度の過硫酸ナトリウム28gをフラスコに注ぐ。4時間かけて、10%濃度の水酸化ナトリウム水溶液24.5g、水中30モルのエチレンオキシドでエトキシ化された33%濃度のラウリルアルコールの硫酸エステルナトリウム塩溶液30g、水中25.0%濃度のビニルスルホン酸ナトリウム溶液10.6g、水中44%濃度のDOWFAX(商標)2A1溶液5g、7モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたラウリルアルコール2.2g、水172g、スチレン27.6g、アクリル酸2-エチルヘキシル1,079.2g、酢酸ビニル55.2g、メタクリル酸メチル162g、及びアクリル酸7.2g、から構成されたエマルジョンをフラスコ中に徐々に分注する。開始時、最初の6分間の添加速度は1.42g/分である。その後、添加速度を、40分間にわたって7.1g/分に一定に上昇させる。エマルジョン供給開始から、水中5%濃度のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液148gを5時間にわたって一定速度で添加し、反応媒体を85~87℃に維持する。
【0110】
供給終了後、およそ70℃で、亜硫酸水素ナトリウム1.38g、アセトン0.9g、水22.2gの溶液と、同時に、tert-ブチルヒドロペルオキシドの5.5%濃度溶液23.8gを、60分にわたってフラスコに分注する。
【0111】
G.アクリル分散液7
炭酸ナトリウム(0.01%BOM、0.55g)を緩衝剤として、オーバーヘッド撹拌機、温度計、及び還流冷却器を備えた、窒素で掃引した水(518g)の96℃ケトル充填物に添加した。これに続いて、開始剤としての過硫酸アンモニウム(0.217%BOM、5.9g)、及び初期粒径を設定するためのプレフォームシード充填物(100nmの出発粒径、1.251%のBOM、70.79g)を添加した。モノマーエマルジョンの供給及び共供給を開始した。モノマーエマルジョンは、炭酸ナトリウム(0.02%のBOM、1.4g)、イタコン酸(0.2%、5.1g)、アクリル酸(0.8%のBOM、20.4g)、スルホコハク酸のエトキシ化アルコール半エステル二ナトリウム(0.17%、14.3g)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.21%のBOM、24.2g)、アクリル酸ブチル(71.1%のBOM、1818g)、メタクリル酸メチル(6.0%のBOM、152.8g)、スチレン(1.6%のBOM、40.8g)及び水(全モノマーエマルジョンの16.8%、4 1lg)からなり、75分間供給した。過硫酸アンモニウム(0.173%BOM、4.6g)の共供給物を75分間供給した。反応の温度を88~90℃に制御した。モノマーエマルジョン供給の途中で、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.235%BOM、26.5g)の切片をケトルに添加した。モノマーエマルジョンの添加が終了したら、その温度で保持した。15分後、ケトルを75℃に冷却し、希硫酸鉄(0.001%のBOM、0.03g)及びエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(0.001%のBOM、0.03g)をケトルに添加した。続いて、モノマーエマルジョンの供給及び共供給を開始した。モノマーエマルジョンは、1,1-ジホスホナトエタノール四ナトリウム(0.002%、0.1g)、酢酸(0.03%のBOM、0.6g)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.05%のBOM、5.3g)、アクリル酸ブチル(5%のBOM、127.8g)、メタクリル酸ブチル(15%のBOM、353.3g)、3-メチルメルカプトプロピオン酸(0.38%のBOM、9.8g)、及び水(105.7g)から20分間なっていた。1つの共供給物はt-ブチルヒドロペルオキシド(0.4%BOM、15.1g)からなり、50分間供給した。他の共供給物は、ヒドロキシメタンスルホン酸ナトリウム(0.24%BOM、8.1g)からなり、50分間供給した。モノマーエマルジョン供給の間、温度を74~76℃で制御した。モノマーエマルジョンが終了したら、バッチを65℃に冷却した。次いで、pH7が得られるまで、分散液を水酸化アンモニウムで中和した。中和後、バッチを35℃未満に冷却した。
【0112】
以下の表2は、アクリル分散液1~7についての特性を要約しており、成分量は、アクリル分散液の乾燥重量に基づく重量パーセントとして示されている。
【0113】
【表5】

アクリル分散液の乾燥重量に基づく重量%
【0114】
2.エチレン酸分散液の調製
450rpmで回転するBersdorf ZE25 48 L/D 25mm二軸スクリュー押出機(Kraus-Maffei Corporation、Florence KY,USA)を利用して、以下の手順に従って、水性エチレン酸分散液を調製した。EAC樹脂は、ブレンド組成物を制御するために、Schenck Mechatron減量供給機及びK-tron減量供給機を介して押出機の供給口に供給された。EAC樹脂を溶融ブレンドし、次いで、初期水性流(initial aqueous stream、IA)の存在下で乳化し、中和剤(水酸化カリウム(KOH)、アンモニア、又はジメチルエタノールアミン)で中和し、両方ともISCOデュアルシリンジポンプ(Teledyne Isco,Inc.、Lincoln NE,USA製)を使用して注入した。次いで、分散相を押出機の希釈及び冷却ゾーンへと運搬し、ここで、追加の希釈水をISCOデュアルシリンジポンプによって添加し、70重量パーセント未満の固形分レベル含有量を有する水性分散液を形成した。押出機のバレル温度は、140~150℃に設定した。エチレン酸分散液が押出機を出た後、それを更に冷却し、200μmのメッシュサイズのバグフィルタを介して濾過した。
【0115】
具体的な供給速度及び結果を以下の表3に示す。
【0116】
【表6】
【0117】
3.感圧接着剤組成物の調製
水性感圧接着剤組成物を以下のように配合した。全ての試料は、別途記載のない限り、実験室のドローダウンのために湿潤性を改善するため、全分散液に基づいて、Evonikから入手した0.3%(湿潤/湿潤)SURFYNOL 440湿潤剤(「440」)の湿潤剤が配合された。次いで、増粘剤(The Dow Chemical Company、Midland,Michiganから入手可能なACRYSOL(商標)DR-5500(「DR-5500」))を使用して、粘度を約600mPa*s(600cps)(Brookfield、RVDV、30rpm、63#)に調整し、水酸化アンモニウムを使用して最終pHを7.0~7.5に調整した。
【0118】
適切な撹拌下で、それぞれの表に示される用量レベル(アクリル分散液の総重量に基づく湿潤又は乾燥重量)に従って、アクリル分散液をエチレン酸分散液とブレンドした。
【0119】
4.PSA物品の調製
ラボドローダウン
ポリプロピレン(「polypropylene、PP」)フィルム(厚さ60ミクロン)をラミネート前にコロナ処理によって前処理した。水性PSA組成物の試料を剥離紙上にコーティングし、80℃で5分間乾燥させた。PPフィルムを水性感圧接着剤でコーティングされた剥離ライナー(「接着剤ラミネート」)でラミネートした。
【0120】
接着剤ラミネートを制御された環境(22.2~23.3℃(72~74°F)、相対湿度50%)で少なくとも1日間(24時間)コンディショニングした後、性能試験を実施した。
【0121】
Cheminstruments(510 Commercial Dr.,West Chester Township,OH 45014)から購入した高密度ポリエチレン(high density polyethylene、HDPE)パネルを、接着剤試験に使用する前に洗浄し、コンディショニングする。イソプロパノールに浸したリントフリーの非研磨布でパネルを拭き取って、前の試験からの接着剤残留物を除去する。表面を傷つけないように注意する。パネル表面がきれいに見えたら、イソプロパノールを使用して追加の拭き取りを行う。HDPEパネルを、22.2~23.3℃(72~74°F)、相対湿度50%で最低4時間であるが24時間以下にわたってコンディショニングする。
【0122】
5.PSA適用試験
性能試験は、接着剤ラミネート中の水性PSA組成物が完全に乾燥し、接着剤ラミネートを制御された環境(22.2~23.3℃、相対湿度:50%)の試験室で少なくとも一晩コンディショニングした後、場合によっては12kg重量下で120時間ほど経過した後に実施した。
【0123】
乾燥したPSAの組成を表4に提供する。乾燥したPSAを有する接着ラミネートについての剥離接着性、ループタック、及び剪断データを表5及び6に提供する。
【0124】
6.EMAA1を有する配合物の性能試験
EMAA1をアクリル分散液2と配合し、上述の方法に従ってPSA塗布試験を行った。
【0125】
【表7】

CS-比較試料、IE-本発明の実施例
【0126】
【表8】
【0127】
低いMIを有するEMAAコポリマー分散液を有するアクリル分散液1の配合物から調製されたPSA物品(ラミネート)について観察された90°HDPE剥離接着性(24時間)は、Cohesa 3050を有する試料(CS1)及びいずれの添加剤も有しない試料(CS2)のものよりも予想外に高い。
【0128】
低分子量及びより高いMIを有する配合物(Cohesa 3050エチレンアクリル酸分散液(CS1))は、本発明の各実施例IE1(4.1N/2.54cm)及びIE2(3.9N/2.54cm)よりもHDPEに対して低い接着性(低い90°HDPE剥離接着性、3.6N/2.54cm)を有する。これは、典型的には、高MIのEAAコポリマー分散液などの低分子量添加剤が、HDPE接着性を増加させるのに有利であるので、驚くべきことである。
【0129】
7.EMAA2及びEMAA3を有する配合物の性能試験
別の実験において、EMAA2及びEMAA3をアクリル分散液2と配合し、上述の方法に従ってPSA塗布試験を行った。
【0130】
【表9】

CS-比較試料、IE-本発明の実施例
【0131】
【表10】
【0132】
本発明の各実施例は、いくつかの点で、CS2よりもHDPEに対して高い接着性を有する。IE3は、CS2よりも高い20分での90°HDPE剥離接着性を有し、5.2N/2.54cm対4.7N/2.54cmである。IE4は、CS2よりも高いHDPE粘着性を有し、5.5N対5.0Nである。これは、高分子量及び低MIのEMAAコポリマー分散液がHDPE接着性を増加させるとは予想されないので、驚くべきことである。
【0133】
8.他のアクリル分散液を有するEMAA1を有する配合物の性能試験
混合を達成するために、適切な撹拌下で、それぞれの表に示される用量レベル(アクリル分散液の総重量に基づく湿潤重量)に従って、アクリル分散液をEMAA分散液とブレンドした。
【0134】
【表11】
【0135】
9.EMAA4、EMAA5、EMAA6、EAA1、及びEAA2を有する配合物の性能試験
別の実験では、EMAA 4、EMAA 5、EMAA 6、EAA 1、及びEAA 2をアクリル分散液2と配合し、上述の方法に従ってPSA塗布試験を行った。
【0136】
【表12】

CS-比較試料、IE-本発明の実施例
【0137】
【表13】
【0138】
本発明の各実施例は、20分の滞留時間又は24時間の滞留時間のいずれにおいても、CS2よりもHDPEに対して高い接着性を有する。IE13~16及びIE19~20は、20分でCS2よりも高い90°HDPE剥離接着性を有する。IE17及びIE18は、20分のCS2の90°HDPE剥離接着性を超えないが、より長い滞留時間では、それらは、24時間でより高い90°HDPE剥離接着性を有するCS2を超える。これは、高分子量及び低MIのEMAA又はEAAコポリマー分散液がHDPE接着性を増加させるとは予想されないので、驚くべきことである。
【0139】
EAA3を有する配合物の性能試験
別の実験において、EAA 3をアクリル分散液2と配合し、上述の方法に従ってPSA塗布試験を行った。
【0140】
【表14】

CS-比較試料、IE-本発明の実施例
【0141】
【表15】
【0142】
本発明の実施例IE21及びIE22は、2つの異なる装填レベルで、20分及び24時間での90°HDPE剥離接着性によって測定されるように、CS2よりもHDPEに対して高い接着性を有する。これは、高分子量及び低MIのEAAコポリマー分散液がHDPE接着性を増加させるとは予想されないので、驚くべきことである。
【0143】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態及び例示に限定されず、実施形態の一部、及び異なる実施形態の要素の組み合わせを含むそれらの実施形態の変更された形態を、以下の特許請求の範囲に該当する範囲で含むことが特に意図されている。
【国際調査報告】