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特表2023-545914喫煙物品及び喫煙物品を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】喫煙物品及び喫煙物品を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/17 20200101AFI20231025BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20231025BHJP
【FI】
A24D3/17
A24D1/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517358
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-05-11
(86)【国際出願番号】 EP2021078600
(87)【国際公開番号】W WO2022079234
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】20202049.1
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソリアーノ, ミグエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーラーン, テオ
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045AA41
4B045AB11
4B045AB16
4B045BB07
4B045BC01
4B045BC15
4B045BC16
4B045BC22
4B045BC25
(57)【要約】
本発明は、喫煙物品(1)の遠位端(1a)及び口側端(1b)のそれぞれのベース領域(2a、2b)を通る長手方向軸(L)を有する円筒形状(2)を備える喫煙物品(1)に関し、喫煙物品(1)は、遠位端(1a、1b)から口側端(1a、1b)まで以下の順序で続いて配置され、周方向ラッパー(4)内に少なくとも部分的に巻装される以下のセグメント(3)、a.たばこ又はたばこ由来の喫煙可能材料を備えるたばこセグメント(5)と、b.たばこセグメント(6)からフィルタセグメント(9)までの第1の流路(8)を有する冷却セグメント(6)と、c.冷却セグメント(6)から口側端(1b)までの第2の流路(10)を備えるフィルタセグメント(9)と、を備える。本発明は、フィルタセグメント(9)が、30μmの平均粒径を有するたばこ粒子と、たばこ粒子を分散させるための分散媒とを備えるたばこ製品(11)を備えることを特徴とする。本発明はまた、かかる喫煙物品を製造するための方法も含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品(1)の遠位端(1a)及び口側端(1b)のそれぞれのベース領域(2a、2b)を通る長手方向軸(L)を有する円筒形状(2)を備える喫煙物品(1)であって、前記喫煙物品(1)は、前記遠位端(1a)から前記口側端(1b)まで以下の順序で続いて配置され、周方向ラッパー(4)内に少なくとも部分的に巻装される以下のセグメント(3)、すなわち
a.たばこ又はたばこ由来の喫煙可能材料を備えるたばこセグメント(5)と、
b.前記たばこセグメント(5)からフィルタセグメント(9)までの第1の流路(8)を有する冷却セグメント(6)と、
c.前記冷却セグメント(6)から前記口側端(1b)までの第2の流路(10)を備える前記フィルタセグメント(9)と、を備え、
前記フィルタセグメント(9)は、30μmの平均粒径を有するたばこ粒子と、前記たばこ粒子を分散させるための分散媒とを備えるたばこ製品(11)を備えることを特徴とする、
喫煙物品(1)。
【請求項2】
前記フィルタセグメント(9)の少なくとも一部(12)が、前記第2の流路(10)が配置される貫通孔(14)を囲む内部側面領域(13)を有する中空円筒の形状を備え、前記第2の流路(10)がまた、前記長手方向軸(L)に対して平行であり、前記内部側面領域(13)が、前記たばこ製品(11)により少なくとも部分的に被覆されることを特徴とする、請求項1に記載の喫煙物品(1)。
【請求項3】
前記内部側面領域(13)と前記たばこ製品(11)との間に結合剤(18)が配置されることを特徴とする、請求項2に記載の喫煙物品(1)。
【請求項4】
前記フィルタセグメント(9)の少なくとも1つの部分が、内部容積を有するフィルタロッド(15)であり、前記たばこ製品(11)が、前記フィルタロッド(15)の前記内部容積内に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の喫煙物品(1)。
【請求項5】
前記たばこ製品(11)が、前記フィルタロッド(15)と同じ直径(d)を有する前記フィルタロッド(15)の少なくとも1つの円筒形状セクション(15a)内に均一に分散されることを特徴とする、請求項4に記載の喫煙物品(1)。
【請求項6】
前記たばこ製品(11)を備えず、前記フィルタロッド(15)と同じ直径(d)を有する前記フィルタロッド(15)の第2の円筒形状セクション(15b)が、前記たばこ製品(11)を備える前記第1のセクション(15a)と前記喫煙物品(1)の前記口側端(1b)との間に配置されることを特徴とする、請求項5に記載の喫煙物品(1)。
【請求項7】
前記フィルタセグメント(9)の少なくとも1つの部分が、内部容積を有するフィルタロッド(15)であり、前記たばこ製品(11)を備える少なくとも1つのスレッド(16)が、前記フィルタロッド(15)の第1の円筒形状セクション(15a)の前記内部容積内に配置され、前記第1の円筒形状セクション(15a)は、前記フィルタロッド(15)と同じ直径(d)を有することを特徴とする、請求項1に記載の喫煙物品(1)。
【請求項8】
前記スレッド(16)を備えず、前記フィルタロッド(15)と同じ直径(d)を有する前記フィルタロッド(15)の第2の円筒形状セクション(15b)が、前記スレッド(16)を備える前記第1のセクション(15a)と前記喫煙物品(1)の前記口側端(1b)との間に配置されることを特徴とする、請求項7に記載の喫煙物品(1)。
【請求項9】
喫煙物品(1)を製造するための方法であって、たばこ又はたばこ由来の喫煙可能材料を備えるたばこセグメント(5)と、第1の流路(8)を備える冷却セグメント(6)と、第2の流路(10)を備えるフィルタセグメント(9)とが、長手方向軸(L)上に所定の順序で続いて配置され(110)、周方向ラッパー(4)内に少なくとも部分的に巻装され(120)、それによって、それぞれ、前記たばこセグメント(5)が配置される遠位端(1a)及び前記フィルタセグメント(9)が配置される口側端(1b)である前記喫煙物品(1)のそれぞれのベース領域(2a、2b)を通る長手方向軸(L)を有する円筒形状を有する前記喫煙物品を形成し、前記第1の流路(6)は前記たばこセグメント(5)を前記フィルタセグメント(9)と接続し、前記第2の流路(10)は前記冷却セグメント(6)を前記口側端(1b)と接続する、方法において、
前記フィルタセグメント(9)を前記冷却セグメント(6)に隣接して配置する(110)前に、30μmの平均粒径を有するたばこ粒子と、前記たばこ粒子を分散させるための分散媒とを備えるたばこ製品(12)とが、前記フィルタセグメント(9)内に配置される(100)ことを特徴とする、
方法。
【請求項10】
前記フィルタセグメント(9)の少なくとも1つの部分(12)が、内部側面領域(13)を有する中空円筒の形状を備え、前記たばこ製品(11)が、被覆すること(102)によって前記内部側面領域(13)の少なくとも一部分に配置されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記前記内部側面領域(13)を前記たばこ製品(11)により被覆する(102)前に、前記フィルタセグメント(9)は、結合剤(18)により少なくとも部分的に被覆される(101)ことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記たばこ製品(11)が、噴霧(103)によって前記フィルタセグメント(9)の少なくとも一部分の前記フィルタ材料(17)上に配置され、前記フィルタ材料(17)が、続いて、前記冷却セグメント(6)に隣接して配置される(110)前記フィルタセグメント(9)中に後に形成される(104)ことを特徴とする方法。請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記たばこ製品が、スレッド(16)上に配置され(105、106)、前記スレッド(16)が続いて、前記冷却セグメント(6)に隣接して配置される(110)前記フィルタセグメント(9)中に後に形成される(104)、前記フィルタセグメント(9)の少なくとも一部分の前記フィルタ材料(17)上に配置される(107)ことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記たばこ製品(11)が、前記スレッド(16)を前記液体たばこ製品(11)に浸漬する(105)ことによって、前記スレッド(16)上に配置されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記たばこ製品(11)が、前記スレッド(16)上に前記液体たばこ製品(11)を噴霧する(106)ことによって、前記スレッド(16)上に配置されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、向上した味を含む喫煙物品、好ましくは加熱非燃焼式製品に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱非燃焼式製品において、たばこセグメントに含まれるたばこ又はたばこ由来の喫煙可能材料は、電気熱源により加熱される。たばこ又はたばこ由来の喫煙可能材料は、250℃まで加熱されることが好ましい。これらの温度において、材料は喫煙可能なエアロゾルを蒸発させ、これはその後ユーザによって吸入されてもよい。しかし、通常の紙巻たばこと比較して、加熱非燃焼式製品は、依然として味不足を含んでいる。従って、本発明の目的は、向上した味を有する加熱非燃焼式製品を提供することにある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
この目的は、喫煙物品の遠位端及び口側端のそれぞれのベース領域を通る長手方向軸を有する円筒形状を備える喫煙物品によって達成され、喫煙物品は、遠位端から口側端まで以下の順序で続いて配置され、周方向ラッパー内に少なくとも部分的に巻装される以下のセグメント、
- たばこ又はたばこ由来の喫煙可能材料を備えるたばこセグメントと、
- たばこセグメントからフィルタセグメントからの第1の流路を有する冷却セグメントと、
- 冷却セグメントから口側端までの第2の流路を備えるフィルタセグメントと、を備え、フィルタセグメントは、30マイクロメートルの平均粒径を有するたばこ粒子と、たばこ粒子を分散させるための分散媒とを備えるたばこ製品を備えることを特徴とする。
【0004】
フィルタセグメントは、喫煙物品の口側端に配置される。たばこ製品により、喫煙物品から発生したエアロゾルの香味を向上させることができる。たばこセグメントから発生するエアロゾルは、主に、グリコール残留水、蒸気、空気、及びニコチンを含む香味成分からなる。エアロゾルは、次いで、冷却セグメントを通過し、ここでエアロゾル温度がユーザによる吸入のために冷却される。エアロゾルは、次いで、たばこ製品を備えるフィルタセグメントを通過する。エアロゾルは、たばこ製品と相互作用し、たばこ製品に含まれるたばこ粒子からたばこ香味を放出し、採取する。この追加のたばこ香味料は、喫煙物品から得られる味覚体験を劇的に向上させる。フィルタセグメント内にたばこ製品を位置決めすることによって、製造の柔軟性が維持される。例えば、本発明とは別の他の喫煙物品を全く同じ機械で製造することが望ましい場合、同じたばこセグメント及び冷却セグメントに、異なるたばこ製品濃度、量を含む異なるフィルタセグメント、又は更にはたばこ製品を全く含まないフィルタセグメントを装備することが考えられる。
【0005】
たばこ製品中に30マイクロメートルの平均粒径を有するたばこ粒子を用いることによって、エアロゾルへの最適な味覚送出が達成される。30マイクロメートルの平均粒径により、エアロゾルへの味覚送出が最適化されることが見出された。粒子は、エアロゾルとたばこ粒子との効果的な相互作用のための大きな表面積を提供するのに十分同程度に小さい。一方、粒子は、フィルタ内に維持され、エアロゾル流によって運び去られない程度に十分大きい。30マイクロメートルの平均粒径により、標準的なフィルタ、好ましくはモノアセテートフィルタセクションを用いる場合に、それまでにフィルタセグメント内にたばこ粒子を収容することが可能である。従って、フィルタセグメント内にたばこ粒子を更に閉じ込める必要はない。
【0006】
たばこ粒子は、分散媒中に分散される。分散媒は、水、一価アルコール、多価アルコール、糖アルコール、糖類、及び/又は多価アルコールエステルを含むことが好ましい。多価アルコールという用語は、(とりわけ)グリセロール及びプロピレングリコールを含む。分散媒は、たばこ粒子と共に、たばこ製品がフィルタセグメント内に配置される前に、液体状又はペースト状のたばこ製品を形成する。たばこ製品中の分散媒含有量は、たばこ製品がフィルタセグメント内に配置された後の乾燥によって低減する可能性がある。
【0007】
別の実施形態によれば、フィルタセグメントの少なくとも1つの部分は、第2の流路が配置される貫通孔を囲む内部側面領域を有する中空円筒の形状を備え、第2の流路はまた、長手方向軸に対して平行であり、内部側面領域は、たばこ製品により少なくとも部分的に被覆される。
【0008】
この実施形態において、内部側面領域の少なくとも一部分上のたばこ製品は、第2の流路と直接接触している。このようにして、流路に沿って流れるエアロゾルと内部側面領域に配置されるたばこ製品との間の優れた相互作用が達成される。たばこ製品は、フィルタセグメントの少なくとも1つの部分の貫通孔の内部側面領域の一部分のみに被覆されることが好ましい。これは、たばこ製品によって被覆されないままである内部側面領域の他の部分も存在することを意味する。たばこ製品は、格子状及び/又はパターン状に内部側面領域の少なくとも一部分に配置されることも考えられる。これに関連して、格子状とは、内部側面領域上の単位面積当たりのたばこ粒子濃度が長手方向軸に沿って変化することを意味する。これは、喫煙物品の味プロファイルを修正及び向上させる更なる可能性を可能にする。
【0009】
別の実施形態によれば、内部側面領域とたばこ製品との間に結合剤が配置される。結合剤は、フィルタセグメントの内部側面領域へのたばこ製品の付着を向上させる。
【0010】
結合剤に加えて又はその代わりに、たばこ製品を追加媒体、好ましくは紙の上に配置し、次いでたばこ製品を担持する追加媒体をフィルタセグメントの中空円筒部の内部側面領域上に配置することも可能である。
【0011】
別の実施形態によれば、フィルタセグメントの少なくとも1つの部分は、内部容積を有するフィルタロッドであり、たばこ製品は、フィルタロッドの内部容積内に配置される。この場合、フィルタセグメントの少なくとも1つの部分は、円筒形状のフィルタロッドである。かかるフィルタロッドは、通常の標準的な紙巻たばこフィルタロッドに極めて類似している。たばこ製品をフィルタロッドの内部容積内に分散させることによって、エアロゾルとたばこ製品との極めて効果的な相互作用が可能である。特に、エアロゾル流路は、フィルタセグメントの内部容積全体を通して分散される。フィルタセグメントの内部容積内にたばこ製品を分散させることによって、エアロゾルは、たばこ製品に含まれるたばこ粒子の周囲を循環することができる。たばこ製品は、フィルタセグメントの材料内に均一に分散されることが好ましい。このようにして、たばこ製品は、フィルタセグメントの少なくとも1つの部分の材料内に配置される。
【0012】
別の実施形態によれば、たばこ製品は、フィルタロッドと同じ直径を有するフィルタロッドの少なくとも1つの円筒形状セクション内に均一に分散される。フィルタロッドの材料内のこの均一な分散により、たばこ製品に含まれるたばこ粒子の周囲のエアロゾルの先に説明した旋回が可能である。たばこ製品は、フィルタロッドの少なくとも1つの円筒形状セクションにのみ含まれることが好ましい。これは、たばこ製品が分散されないフィルタロッドの別のセクションが存在することを意味する。たばこ製品を備える少なくとも1つの円筒形状セクションの大きさを選択することによって、たばこ製品からエアロゾルに送出される香味の強さを選択することができる。
【0013】
別の実施形態によれば、たばこ製品を備えず、フィルタロッドと同じ直径を有するフィルタロッドの第2の円筒形状セクションが、たばこ製品を備える第1のセクションと喫煙物品の口側端との間に配置される。たばこ製品に含まれるたばこ粒子は、それが含まれるフィルタセクションにある特定の着色を与える。かかる着色は、消費者に好まれない可能性がある。従って、たばこ製品を備えないフィルタロッドの第2の円筒形状セクションを喫煙物品の口側端に直接配置することが有利である。このようにして、第2の円筒形状セクションは、たばこ製品によって着色されないが、その清潔な光学的印象を維持する。清潔な視覚的印象を有するこの第2の円筒形状セクションを口側端に直接配置し、第2の円筒形状セクションがフィルタロッドと同じ直径を有することによって、消費者は第2の円筒形状セクションのみを見ることができ、その一方で、第1のセクションはたばこ製品を備え、従って着色セクションは消費者の視界から隠される。
【0014】
別の実施形態によれば、フィルタセグメントの少なくとも1つの部分は、内部容積を有するフィルタロッドであり、たばこ製品を備える少なくとも1つのスレッドが、フィルタロッドの第1の円筒形状セクションの内部容積内に配置され、第1の円筒形状セクションは、フィルタロッドと同じ直径を有する。たばこ製品を備える少なくとも1本のスレッドは、フィルタセグメントの少なくとも1つの部分の材料に埋め込まれることが好ましい。また、フィルタセグメントの少なくとも1つの部分に2つ以上のスレッドを用いることも考えられる。たばこ製品を備えるスレッドの数を増加させることによって、エアロゾル中のたばこ製品の香味効果の強さを調節することができる。たばこ製品を備えるスレッドは、好ましくは、従来の紙巻たばこと比較して、加熱非燃焼式製品のはるかに冷たいエアロゾルと共に用いるのに適している。これは、たばこ製品の香味の温度依存揮発性によって達成される。所望の香味は、フィルタセグメントの第2の流路内のエアロゾルの温度よりも低い温度でたばこ製品から放出される。たばこ製品の香味は、室温で不揮発性であることが好ましい。このようにして、香味は、喫煙物品の使用中にのみ放出され、その実際に使用する前の喫煙物品の保管中に減少しない。
【0015】
別の実施形態によれば、スレッドを備えず、フィルタロッドと同じ直径を有するフィルタロッドの第2の円筒形状セクションが、スレッドを備える第1のセクションと喫煙物品の口側端との間に配置される。たばこ製品は、スレッドを暗色に着色する。フィルタロッドの第1のセクションに埋め込まれる場合、スレッドの端部は、フィルタロッドの第1のセクションの端部において可視となる可能性がある。第2の円筒形状セクションが喫煙物品の第1のセクションと口側端との間に配置されることにより、フィルタセクションの清潔で新品同様の光学的外観を達成することができる。第2の円筒形状セクションがフィルタロッドと同じ直径を有することにより、この第2の円筒形状セクションのみが口側端において消費者に可視となる。このようにして、スレッドの潜在的に好ましくない光学的外観が消費者の視界から隠される。この実施形態はまた、たばこセグメント及び/又は冷却セグメントが一方の側にあり、フィルタロッドの第2の円筒形状セクションが他方の側にあり、第1の円筒形状セクションのフィルタ材料がスレッドを周方向に囲む状態で、スレッドが喫煙物品内に完全に閉じ込められるため、保管中(喫煙物品の実際の使用前)のたばこ製品の香味損失を低減する。
【0016】
本発明の目的は、また、喫煙物品を製造するための方法であって、たばこ又はたばこ由来の喫煙可能材料を備えるたばこセグメントと、第1の流路を備える冷却セグメントと、第2の流路を備えるフィルタセグメントとが、長手方向軸上に所定の順序で続いて配置され、周方向ラッパー内に少なくとも部分的に巻装され、それによって、それぞれ、たばこセグメントが配置される遠位端及びフィルタセグメントが配置される口側端である喫煙物品のそれぞれのベース領域を通る長手方向軸を有する円筒形状を有する喫煙物品を形成し、第1の流路はたばこセグメントをフィルタセグメントと接続し、第2の流路は冷却セグメントを口側端と接続する、方法によっても達成される。方法は、フィルタセグメントを冷却セグメントに隣接して配置する前に、30マイクロメートルの平均粒径を有するたばこ粒子と、たばこ粒子を分散させるための分散媒とを備えるたばこ製品とが、フィルタセグメント内に配置されることを特徴とする。
【0017】
言い換えれば、たばこ製品は、喫煙物品の組み立て前にフィルタセグメント内に配置される。これは、フィルタセグメントの製造中、又はフィルタセグメントの製造後であるが喫煙物品内にフィルタセグメントを配置する前のどちらか一方において実施されてもよい。このようにして、製造方法は、たばこ製品を有するか又は有さないフィルタセグメントが喫煙物品内に配置されるかに関わらず、完全に柔軟なままである。また、フィルタセグメント内にたばこ製品を配置する追加の処理ステップが別個のステップで実行されるため、好ましくは加熱非燃焼式喫煙物品のための標準的な製造プロセスを用いて、本発明による喫煙物品を製造することができる。これは、本発明による喫煙物品の最も費用効果の高い製造方法を可能にする。
【0018】
別の実施形態によれば、フィルタセグメントの少なくとも1つの部分は、内部側面領域を有する中空円筒の形状を備え、たばこ製品は、被覆することによって内部側面領域の少なくとも一部分に配置される。たばこ製品は、フィルタセグメントの少なくとも1つの部分の製造中に、又はフィルタセグメントのこの部分の製造後に、内部側面領域上に被覆されることが好ましい。第1の代替例において、フィルタセグメントの1つの部分の材料は、平坦に置かれることが好ましく、後に内部側面領域となる材料の表面は、たばこ製品で被覆される。その後、被覆された材料は、中空円筒の形状に成形され、たばこ製品で少なくとも部分的に被覆される領域は、中空円筒の内部側面領域を形成する。他の代替例において、中空円筒の形状を備えるフィルタセグメントの1つの部分が最初に製造され、次にその内部側面領域がたばこ製品で被覆される。
【0019】
別の実施形態によれば、内部側面領域をたばこ製品により被覆する前に、フィルタセグメントは、結合剤により少なくとも部分的に被覆される。最初に内部側面領域を結合剤で被覆し、続いてそれをたばこ製品で被覆することによって、結合剤は内部側面領域表面とたばこ製品との間に配置される。再度、これは、フィルタセグメント自体の製造中、又はフィルタセグメントの製造後であるが喫煙物品の組み立て前に実施することができる。
【0020】
結合剤に加えて又はその代わりに、たばこ製品を追加媒体、好ましくは紙の上に配置し、次いでたばこ製品を担持する追加媒体をフィルタセグメントの中空円筒部の内部側面領域上に配置することも可能である。たばこ製品は追加媒体上に被覆されることが好ましい。この実施形態は、フィルタセグメントの既に形成された中空円筒部の内部側面領域上へのたばこ製品の配置を簡単にする。
【0021】
別の実施形態によれば、たばこ製品は、噴霧によってフィルタセグメントの少なくとも一部分のフィルタ材料上に配置され、フィルタ材料は、続いて、冷却セグメントに隣接して配置されるフィルタセグメント中に後に形成される。このようにして、フィルタセグメントの少なくとも一部分のフィルタ材料におけるたばこ製品の均一な分散が達成される。30マイクロメートルのたばこ粒径は、噴霧プロセスを可能にするのに十分小さい。これは、フィルタセグメントの所望の部分におけるたばこ製品の均一な分散を確実にする極めて簡単な方法である。
【0022】
別の実施形態によれば、たばこ製品は、スレッド上に配置され、スレッドは、続いて、冷却セグメントに隣接して配置されるフィルタセグメント中に後に形成されるフィルタセグメントの少なくとも一部分のフィルタ材料上に配置される。たばこ製品を備えるスレッドは、フィルタ材料をスレッドの周囲に巻回させることによってフィルタ材料上に配置されることが好ましい。代替として、フィルタ材料は、スレッドの周囲に巻かれてもよい。このようにして、フィルタ材料内にたばこ製品を備えるスレッドを配置することは極めて簡単である。冷却セグメントに隣接するフィルタセグメントの後続の配置は、フィルタセグメントにスレッドを配置する方法によって影響されない。このようにして、冷却セグメントに隣接するフィルタセグメントの配置は、標準的な製造機械により実施することができる。
【0023】
別の実施形態によれば、たばこ製品は、スレッドを液体たばこ製品に浸漬することによって、スレッド上に配置される。たばこ製品が喫煙粒子の任意の部分上に配置される前に、本発明によるたばこ製品は液体形態を含む。この液体形態は、たばこ製品に含まれるたばこ粒子を分散させるための分散媒によって生成される。喫煙物品の任意の表面にたばこ製品を適用した後、たばこ製品は、それぞれの表面上で乾燥させてもよい。このプロセスの間、分散媒は、部分的に蒸発することが好ましい。言い換えれば、これは、本発明によるたばこ製品が喫煙物品の任意の表面に適用される前に、それが完成した喫煙物品内に存在するよりも多い量の分散媒を含むことを意味する。液体たばこ製品で材料を噴霧又は被覆する先に説明した方法の他に、液体たばこ製品に材料を浸漬することも可能である。これは、たばこ製品をスレッド上に配置するのに最も有利なバージョンである。例えば、スレッドがフィルタセグメント内に配置される製造機械に向けて供給される場合に、スレッドが液体たばこ製品を含む槽を通って引き出されることが考えられる。このようにして、フィルタセグメント内にスレッドを配置するための機械が、たばこ製品を配置するために変更される必要はない。それはまた、たばこ製品をスレッド上に配置する極めて簡単な方法を示し、従って、最も費用効果が高い。
【0024】
別の実施形態によれば、スレッド上に液体たばこ製品を噴霧することによって、スレッド上に配置される。この実施形態は、先に説明した実施形態の代替例である。噴霧技術により、特定の長さのスレッド上に配置されるたばこ製品の量を製品仕様に従って適応させることができる。
【0025】
本発明の更なる利点、目的、及び特徴を、添付図面を参照して以下の説明において単なる一例として説明する。図面において、同様のコンポーネント及び異なる実施形態は、同じ参照符号を示す場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】喫煙物品1の全体図。
図2】フィルタセグメント9の一実施形態の詳細図。
図3】フィルタセグメント9の別の実施形態の詳細図。
図4】一実施形態による中空円筒部12の詳細図。
図5】中空円筒部12の一実施形態の断面図。
図6】フィルタセグメント9の3つの異なる実施形態の略図。
図7】フィルタセグメント9のフィルタロッド部15の2つの実施形態の詳細図。
図8】フィルタセグメント9の4つの異なる実施形態の略図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は喫煙物品1の全体図を示している。喫煙物品1は、図1に示すように、加熱非燃焼式製品である。喫煙物品1は、円筒形状2を備えている。円筒形状2は、長手方向軸Lに垂直に配置される2つのそれぞれのベース領域2a、2bを備える。長手方向軸Lに沿い、喫煙物品の遠位端1aから始まって、好ましくは3つのセグメント3が長手方向軸L上に連続して配置される。喫煙物品1の遠位端1aに直接配置される第1のセグメント3は、たばこセグメント5である。長手方向軸Lに沿って、たばこセグメント5の隣に、冷却セグメント6が配置されている。喫煙物品1の冷却セグメント6と口側端1bとの間には、フィルタセグメント9が配置されている。全てのセグメント3は、ラッパー4内に巻装されることが好ましい。ラッパー4により、セグメント3はそれぞれの位置に固定される。全てのセグメント3が、長手方向軸Lに平行に測定されるそれらの完全な長さでラッパー4に巻装されるものではないことが考えられる。喫煙物品1の遠位端1aに配置されるたばこセグメント5の遠位部分はラッパー4に巻装されず、遠位部分の下流に配置されるたばこセグメント5の一部のみがラッパーに巻装されることが好ましい。
【0028】
たばこセグメント5は、喫煙可能材料、好ましくは再生たばこを備える。この喫煙可能材料は、外部熱源、好ましくは遠位端1aからたばこセグメント5に挿入される加熱ブレードによって加熱される。喫煙可能材料は、たばこ材料及び適切な結合剤を含む。喫煙可能材料が外部熱源によって、好ましくは250℃まで加熱されると、結合剤は蒸発し、たばこセグメントに含まれるたばこ材料から香味物質及びニコチンを採取する。蒸発した結合剤は、香味材料及びニコチンと共に、吸入可能なエアロゾルを形成する。この吸入可能なエアロゾルは、次いで、冷却セグメント6を通って第1の流路8に沿って案内される。第1の流路8は、長手方向軸Lに対して平行に配置されている。冷却セグメント6において、吸入可能なエアロゾルは、消費者が吸入するのに安全であるよう冷却される。冷却セグメント6を出ると、吸入可能なエアロゾルは、第2の流路10に沿ってフィルタセグメント9を通って喫煙物品1の口側端1bに向かって案内される。フィルタセグメント9において、吸入可能なエアロゾルは、吸入可能なエアロゾルの味を向上させるよう濾過される。喫煙物品1の口側端1bに到達すると、吸入可能なエアロゾルは消費者に送出される。
【0029】
フィルタセグメント9はたばこ製品11を備えている。このようにして、フィルタセグメント9は2つの目的を果たす。第1の目的は、吸入可能なエアロゾルから任意の望ましくない香味物質を濾過して味を向上させることにある。第2の目的は、たばこ製品11との相互作用を介して吸入可能なエアロゾルの香味を高めることにある。フィルタセグメント9は、2つの異なる部分を備えている。第1の部分12は、中空円筒の形状を備え、従って、中空円筒部12と呼ばれる。この中空円筒部12は、冷却セグメント6に直接隣接して配置されている。第2の部分15は、フィルタロッドを備え、従って、フィルタロッド部15と呼ばれる。
【0030】
フィルタロッド部15は喫煙物品1の口側端1bに直接配置されている。フィルタロッド部15は、中空円筒部12と口側端1bとの間に配置されることが好ましい。たばこ製品11は、中空円筒部12及び/又はフィルタロッド部15のいずれかに配置することができる。図1に示す実施形態において、たばこ製品11は、中空円筒部12内に配置される。中空円筒部12は、内部側面領域13を有する貫通孔14を備える。たばこ製品11は、内部側面領域13に、又は内部側面領域13の少なくとも一部に配置されている。第2の流路10は、貫通孔14内に配置されている。従って、第2の流路10に沿って案内される吸入可能なエアロゾルは、たばこ製品11を備える内部側面領域13と直接接触している。
【0031】
図2は、フィルタセグメント9の別の実施形態を示している。この実施形態において、たばこ製品11はフィルタロッド部15内に配置される。図示の実施形態において、中空円筒部12はたばこ製品11を備えていないが、たばこ製品11を備えるフィルタロッド部15を、同様にたばこ製品11を備える中空円筒部12と組み合わせることが大いに考えられる。好ましい実施形態において、図1に示す実施形態の中空円筒部12は、図2に示す実施形態のフィルタロッド部15と組み合わされる。
【0032】
フィルタロッド部15は、その内部容積内にたばこ製品11を備えている。たばこ製品11に含まれるたばこ粒子は、フィルタロッド部15の内部容積内に均一に分散されることが好ましい。ここで図2に示す好ましい実施形態において、フィルタロッド部15は、第1の円筒形状セクション15a及び第2の円筒形状セクション15bを備えている。第1の円筒形状セクション15aは、中空円筒部12に直接配置され、その一方で、第2の円筒形状セクション15bは、第1の円筒形状セクション15aと口側端1bとの間に配置される。両円筒形状セクション15a、15bは、同じ直径dを備えることが好ましい。この直径dは、フィルタセグメントの直径でもあることが好ましい。
【0033】
第1の円筒形状セクション15aのみがたばこ製品11を備え、その一方で、第2の円筒形状セクション15bは任意のたばこ製品11を備えないことが好ましい。たばこ製品を備える第1の円筒形状セクション15aは、たばこ製品11に含まれるたばこに起因して、濃い茶色がかった色を有する。これとは対照的に、任意のたばこ製品11を含まない第2の円筒形状セクション15bは、変色を含まない。これは、第2の円筒形状セクション15bのみが口側端1bから消費者に可視であり、このようにして変色した第1の円筒形状セクション15aを消費者の視界から隠すため有利である。
【0034】
図3は、図2に示すフィルタセクション9の実施形態に対する代替であるフィルタセグメント9の一実施形態を示している。この実施形態において、たばこ製品11は、スレッド16を介して第1の円筒形状セクション15a内に配置される。各スレッド16はたばこ製品11で被覆されている。たばこ製品11を備えるスレッド16は、次いで、フィルタロッド部15の第1の円筒形状セクション15aの内部容積に組み込まれる。スレッド16を備えない第2の円筒形状セクション15bは、第1の円筒形状セクション15aと口側端1bとの間に配置されることが好ましい。このようにして、たばこ色スレッド16は消費者の視界から隠される。図2を参照して既に説明したように、この実施形態では、フィルタロッド部15に1つの円筒形状セクションのみを用いることも可能である。この場合、スレッド16は、フィルタロッド部15の1つの円筒形状セクションに組み込まれる。この実施形態において、スレッド16は、口側端から消費者に可視となる。
【0035】
スレッド16は、フィルタロッド部15の円筒形状セクション又は第1の円筒形状セクション(15a)の中心領域に配置されることが好ましい。中心領域は、長手方向軸(L)に沿って(第1の)円筒形状セクション(15a)と同じ長さを有し、中空円筒部12の貫通孔14の直径以下の直径を有する円筒形状領域として画成され、ここにおいて、中心領域は、(第1の)円筒形状セクション(15a)の円周に対して(第1の)円筒形状セクション(15a)内に同心円状に配置される。このようにして、第1及び第2の流路(8、10)に沿って、且つ中空円筒部12の貫通孔14を通って流れるエアロゾルは、たばこ製品11を担持するスレッド16に直接当たる。
【0036】
図4は、フィルタセグメント9の中空円筒部12の詳細図を示している。図4aは、中空円筒部12の斜視図を示し、その一方で、図4bは、長手方向Lに垂直な断面に沿って切断した中空円筒部12の断面図を示している。図4cは、長手方向Lに平行な断面に沿って切断した中空円筒部12の断面図を示している。図4a、b、及びcを概観すると、中空円筒部12の中空円筒の形状の性質が間近に迫っている。中空円筒部12の貫通孔14は、中空円筒部12の第1の端部12aから中空円筒部の第2の端部12bまで中空円筒部12を完全に貫通している。第2の流路10は、貫通孔14内に配置されている。流路10は、従って、中空円筒部12の第1の端部12aを第2の端部12bと流体的に接続する。言い換えれば、中空円筒部12は、第2の流路10を管状に囲んでいる。中空円筒部12の内部側面領域13は、少なくとも部分的にたばこ製品11により被覆される。このようにして、第2の流路10に沿って移動する任意の吸入可能なエアロゾルは、内部側面領域13の少なくとも1つの部分に堆積する任意のたばこ製品11と直接接触する。
【0037】
図5は、図4bに示す断面図の一拡大部分を示している。中空円筒部12の内部側面領域13が明確に見えている。内部側面領域13には、たばこ製品11が堆積している。好ましい実施形態において、結合剤18が、たばこ製品11と内部側面領域13との間に配置される。これは、最初に結合剤18が内部側面領域13の所望の部分又は内部側面領域13全体に堆積し、続いて、たばこ製品11が結合剤18の上に堆積することを意味する。第2の流路10は、図5の紙面を貫通している。第2の流路10に沿って流れるエアロゾルは、たばこ製品11と直接接触する。第2の流路10に沿って流れる任意の吸入可能なエアロゾルは、従って、直接的な相互作用を介してたばこ製品11から香味を採取することが可能になる。
【0038】
図6は、図6a及び6bにそれぞれ示す2つの異なる実施形態によるフィルタロッド部15の詳細図を示している。図6aは、先に説明した図2の実施形態と同様のフィルタロッド部15を示している。この実施形態において、たばこ製品11は、フィルタロッド部15のフィルタ材料17内に均一に分散される。図示のフィルタロッドは、完全なフィルタロッド部15として用いることができるか、又はフィルタロッド部15の第1の円筒形状セクション15aとしてのみ用いることができるかのどちらか一方である。後者の場合、別のフィルタロッド、即ち第2の円筒形状セクション15bを、図示の第1の円筒形状セクション15aの1つのベース領域に追加することになる。
【0039】
図6bは、図3に示す実施形態と同様の実施形態を示している。図示のフィルタロッドは、完全なフィルタロッド部15であるか、又は第1の円筒形状セクション15aのみであるかのどちらか一方である。それは、たばこ製品11を備えるスレッド16が埋め込まれるフィルタ材料17からなる。フィルタ材料17に埋め込まれるスレッド16の数は、吸入可能なエアロゾルに対するたばこ製品11の所望の味の影響に関して選択することができる。
【0040】
図6a及びbの両方の実施形態について、吸入可能なエアロゾルは、第2の流路10に沿ってフィルタロッド部15又は第1の円筒形状セクション15aを通って流れる。フィルタ材料17は、従って、エアロゾルの通過を可能にする多孔質材料である。多孔質フィルタ材料17を通って流れる場合、吸入可能なエアロゾルは、均一に分散されたたばこ製品11又はたばこ製品を備えるスレッド16のどちらか一方と接触する。両方の実施形態について、第2の流路10に沿って流れるエアロゾルとたばこ製品11との間の直接的な相互作用が可能である。このようにして、エアロゾルはたばこ製品11から香味を採取することができる。
【0041】
図7は、フィルタセグメント9の異なる部分のための3つの基本的な配置の可能性を示している。図7aは、最も単純な配置を示している。この配置において、フィルタセグメント9は、中空円筒部12及びフィルタロッド部15のみを備える。この実施形態において、中空円筒部12は、その第1の端部12aがフィルタセグメント9の上流端9aに直接配置される。上流とは、この文脈において、喫煙物品1の遠位端1aから口側端までの第2の流路10及びその流れ方向に関して、上流位置が基準位置よりも遠位端に近いことを意味する。中空円筒部12の第2の端部12bには、フィルタロッド部15が配置される。フィルタロッド部15は、中空円筒部12に直接隣接して配置される。第2の流路10に関して、フィルタロッド部15は、中空円筒部12の下流に配置される。フィルタロッド部15は、従って、口側端1bと中空円筒部12の第2の端部12bとの間に配置される。
【0042】
長手方向lに沿って測定されるフィルタセグメント9の全長l1は、好ましくは20mmである。好ましくは、長手方向Lに沿って測定される中空円筒部12の長さl2は、同様に長手方向Lに沿って測定されるフィルタロッド部15の長さl3よりも大きい。好ましくは、長さl2は、10~15mm、更により好ましくは12mmである。好ましくは、長さl3は5~10mmであり、更に好ましくは8mmである。この実施形態において、たばこ製品は、中空円筒部12又はフィルタロッド部15のどちらか一方、又はそれらの両方に配置することができる。中空円筒部12とフィルタロッド部15とを互いに取り付けるために、両部12、15は、ジョイントプラグラップ20に巻装されることが好ましい。プラグラップ20は、中空円筒部12及びフィルタロッド部15を中心として周囲に巻装されるラッパーである。
【0043】
図7bは、フィルタロッド部15が2つの異なる円筒形状セクションからなる実施形態を示している。フィルタロッド部15は、この場合、第1の円筒形状セクション15aと第2の円筒形状セクション15bとからなっている。第2の円筒形状セクション15bは、喫煙物品1の口側端1bに直接配置され、その一方で、第1の円筒形状セクション15aは、長手方向軸L上の中空円筒部12と第2の円筒形状セクション15bとの間に配置される。フィルタセグメント9の3つのコンポーネントは全て、プラグラップ20内に共に巻装されることが好ましい。
【0044】
フィルタセグメント9の長さl1は、好ましくは20mmである。長手方向軸Lに沿って測定される中空円筒部12の好ましい長さL2は、好ましくは10~15mm、更により好ましくは12mmである。好ましくは、フィルタロッド部15の長さl3は、5~10mmであり、更により好ましくは8mmである。長手方向軸Lに沿って測定される第2の円筒形状セクション15bの長さl5は、好ましくは1~2mm、より好ましくは1mmである。長手方向軸Lに沿って測定される第1の円筒形状セクション15aの長さl4は、好ましくは4~9mm、より好ましくは7mmである。この実施形態において、たばこ製品11は、第1の円筒形状セクション15a内のみに配置されるか、又は第1の円筒形状セクション15a及び中空円筒部12内に配置されるかのどちらか一方であることが好ましい。
【0045】
図7cは、フィルタセグメント9の第3の実施形態を示している。この実施形態において、中空円筒部12の長さl2は低減されている。中空円筒部12、より正確にはその第2の端部12bとフィルタロッド部15との間には、チャコールフィルタ19が配置されている。チャコールフィルタ19は、好ましくは6~8mm、より好ましくは7mmの、長手方向軸Lに沿って測定される長さl6を備えている。この場合に低減される長さl2は、好ましくは5~7mm、より好ましくは6mmである。フィルタロッド部15の長さl3は、好ましくは6~8mm、より好ましくは7mmである。図7cは、第1の円筒形状セクション15a及び第2の円筒形状セクション15bからなるフィルタロッド部15を示している。チャコールフィルタを、1つのセクションのみを備えるフィルタロッド部15と組み合わせることも考えられる。
【0046】
フィルタロッド部15が第1及び第2の円筒形状セクション15a、15bを備える図示した実施形態において、第1の円筒形状セクション15bの長さl4は好ましくは6mmであり、第2の円筒形状セクション15bの長さl5は好ましくは1mmである。この実施形態では、たばこ製品11を中空円筒部12内に配置することが可能ではあるが、たばこ製品11をフィルタロッド部15内に配置することが好ましい。フィルタロッド部15において、たばこ製品11はチャコールフィルタ19の下流に配置される。この構成は、チャコールフィルタ19が第2の流路10に沿って移動するエアロゾルから任意の不快な香味を除去することができるため好ましい。チャコールフィルタ19によってエアロゾルから不快な風味が除去された後、エアロゾルは、次いで、フィルタロッド部15内に配置されるたばこ製品11と相互作用することができ、それによってたばこ粒子からより好ましい香味を採取することができる。フィルタセグメント9の全ての部分、即ち、中空円筒部12、チャコールフィルタ19、及びフィルタロッド部15は、プラグラップ20内に共に巻装されることが好ましい。チャコールフィルタ19を備えるこの実施形態は、図6aに示すフィルタロッド部15又は第1の円筒形状セクション15a内に均一に分散されたたばこ製品と組み合わされるか、又は図6bに示すフィルタロッド部15又は第1の円筒形状セクション15a内に配置されるスレッド16と組み合わされることが好ましい。
【0047】
図8は、先に説明した実施形態のいずれかによる喫煙物品1を製造するための方法のフロー図を示している。第1のステップにおいて、たばこ製品11がフィルタセグメント9内に配置される100。この配置100は、以下に詳細に説明する幾つかの方法において行うことができる。たばこ製品9がフィルタセグメント9内に配置された100後、全てのセグメント3、即ち、たばこセグメント5、冷却セグメント6、及びフィルタセグメント9は、長手方向軸L上に配置される110。このステップに続いて、配置されたセグメント3をラッパー4内に巻装させる120。この時点で、喫煙物品1が完成する。
【0048】
フィルタセグメント9におけるたばこ製品11の配置100は、基本的に本方法の3つの異なる実施形態において実行することができる。選択された実施形態は、フィルタセグメント9内のたばこ製品11の所望の配置に依存する。本方法の第1の実施形態において、たばこ製品11は、フィルタセグメント9をたばこ製品11で被覆102することによってフィルタセグメント9内に配置される。本方法のこの実施形態は、たばこ製品11がフィルタセグメント9の中空円筒部12の内部側面領域13に配置される喫煙物品1の実施形態と組み合わせることが好ましい。被覆102は、中空円筒部12が製造された後に、中空円筒部12の内部側面領域13を被覆することによって実行することができるかのいずれかである。その代わりに、フィルタ材料17の表面をたばこ製品11で被覆し、その後、フィルタ材料17を中空円筒部12に形成することも可能であり、ここにおいて、被覆された表面は、中空円筒部12の内部側面領域13となるよう配置される。たばこ製品11による被覆102が行われる前に、たばこ製品11がその後に適用されるまさに同じ表面を結合剤18で被覆101することが可能である。
【0049】
中空円筒部12内にたばこ製品11を配置する代わりに、又はそれに加えて、フィルタロッド部15を形成し、最終的にフィルタ材料17から中空円筒部12も形成する前に、たばこ製品11をフィルタ材料17上に噴霧すること103によって、たばこ製品11をフィルタセグメント9内に配置することができる。本方法のこの実施形態において、たばこ製品11がフィルタロッド部15のフィルタ材料17上に噴霧される103前に、フィルタ材料17を結合剤18で被覆又は前処理すること101も考えられる。しかし、結合剤18による被覆101は、任意のステップである。
【0050】
フィルタセグメント9内にたばこ製品11を配置100する先に説明した方法の代わりに、又はそれに加えて、フィルタセグメント9が形成される104前に、フィルタ材料17内にたばこ製品11を備えるスレッド16を配置すること107も可能である。フィルタ材料17内にスレッド又は1本のスレッド16も配置する前に、スレッド16をたばこ製品11に浸漬する105か、又はスレッド16にたばこ製品11を噴霧する106かのどちらか一方によって、たばこ製品11はスレッド16上に配置される。浸漬105及び噴霧106の両方の選択肢は、スレッド16を結合剤18により被覆すること101が先行してもよい。
【0051】
フィルタセグメント9内にたばこ製品11を配置100する説明した方法の全ては、別々に又は組み合わせて実行されてもよい。
【0052】
たばこ製品11をフィルタセグメント9内に配置100した後、フィルタセグメント9の個々の部分、即ち、中空円筒形状セクション12、好ましくは第1及び第2の円筒形状セクション15a、15bを備えるフィルタロッド部15、及び好ましくはチャコールフィルタ19が、長手方向軸Lに沿って先の実施形態において説明した順序で配置される108。その後、フィルタ部は、プラグラップ20で巻装109されることが好ましい。この時点で、フィルタセグメント9は、他のセグメント3と共に長手方向軸Lに沿って続いて配置110されて、続いて、ラッパー4によって巻装120される。
【0053】
本出願人は、本明細書に開示する全ての特徴が、先行技術に鑑みて、個別に又は組み合わせて新規である限り、それらの特徴を本発明の本質的な特徴であるものとして特許請求する権利を保有する。更に、図面では、個別に有利であり得る特徴が記載されていることに留意されたい。当業者であれば、図に開示した特定の特徴が、この図から更なる特徴を取り入れなくても有利であり得ることを直ぐに認識するであろう。更に、当業者であれば、1つの又は様々な図に開示された多様な特徴の組み合わせから利点が発展し得ることを認識するであろう。
【符号の説明】
【0054】
1 喫煙物品
1a 遠位端
1b 口側端
2 円筒形状
2a、2b ベース領域
3 セグメント
4 ラッパー
5 たばこセグメント
6 冷却セグメント
8 第1の流路
9 フィルタセグメント
9a 上流端
9b 下流端
10 第2の流路
11 たばこ製品
12 中空円筒部
12a 第1の端部
12b 第2の端部
13 内部側面領域
14 貫通孔
15 フィルタロッド部
15a 第1の円筒形状セクション
15b 第2の円筒形状セクション
16 スレッド
17 フィルタ材料
18 結合剤
19 チャコールフィルタ
20 プラグラップ
L 長手方向軸
l1 フィルタセグメントの長さ
l2 中空円筒部の長さ
l3 フィルタロッド部の長さ
l4 第1の円筒形状セクションの長さ
l5 第2の円筒形状セクションの長さ
l6 チャコールフィルタの長さ
d 直径
100 フィルタセグメント内にたばこ製品を配置
101 結合剤で被覆
102 たばこ製品で被覆
103 たばこ製品で噴霧
104 フィルタセグメントを形成
105 たばこ製品でスレッドを浸漬
106 たばこ製品でスレッドに噴霧
107 スレッドを配置
108 フィルタ部を配置
109 プラグラップ内に巻装
110 セグメントを続いて配置
120 配置されたセグメントを巻装
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図8
【国際調査報告】