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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】車両熱管理システム及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/24 20190101AFI20231025BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20231025BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20231025BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20231025BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20231025BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20231025BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
B60L58/24
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/6563
B60K11/04 G
B60H1/22 671
B60H1/22 651A
B60H1/22 611C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518323
(86)(22)【出願日】2021-09-18
(85)【翻訳文提出日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 CN2021119447
(87)【国際公開番号】W WO2022057936
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】202022094143.7
(32)【優先日】2020-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(72)【発明者】
【氏名】リエン、イーボー
(72)【発明者】
【氏名】ヂョン、イリン
(72)【発明者】
【氏名】リン、フーピン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、チュンフェン
(72)【発明者】
【氏名】リン、ファンファン
【テーマコード(参考)】
3D038
3L211
5H031
5H125
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3D038AC22
3L211AA11
3L211BA51
3L211DA95
3L211DA96
5H031KK08
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC19
5H125CD06
5H125CD09
5H125FF24
5H125FF27
(57)【要約】
車両熱管理システム及び電気自動車であって、車両熱管理システムは第1の熱管理システム(10)及び高圧システムに用いる第2の熱管理システム(20)を備え、第2の熱管理システム(20)は放熱器(25)、熱交換器(21)及び廃熱利用分岐(27)を備え、廃熱利用分岐(27)に相互連通されたポンプ(23)及び高圧システムを流れる高圧システム冷却分岐(22)が設置され、熱交換器(21)のクーラント液出口が廃熱利用分岐(27)の入口に連通され、廃熱利用分岐(27)の出口は選択可能に熱交換器(21)のクーラント液入口に直接連通されるか、又は放熱器(25)を介して熱交換器(21)のクーラント液入口に連通され、第1の熱管理システム(10)はコンプレッサ(11)及び直接冷却装置が設置された電池パック(12)を備え、コンプレッサ(11)の出口が電池パック(12)の直接冷却装置の第1の口(121)に連通され、電池パック(12)の直接冷却装置の第2の口(122)が第1のスロットル分岐(91)を介して熱交換器(21)の冷媒入口に連通され、熱交換器(21)の冷媒出口がコンプレッサ(11)の入口に連通される。該システムは電池パックを冷却や加熱する配管配置を簡素化させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両熱管理システムであって、第1の熱管理システム(10)及び高圧システムに用いる第2の熱管理システム(20)を備え、前記第2の熱管理システム(20)は放熱器(25)、熱交換器(21)及び廃熱利用分岐(27)を備え、前記廃熱利用分岐(27)に相互連通されたポンプ(23)及び高圧システムを流れる高圧システム冷却分岐(22)が設置され、前記熱交換器(21)のクーラント液出口が前記廃熱利用分岐(27)の入口に連通され、前記廃熱利用分岐(27)の出口は選択可能に前記熱交換器(21)のクーラント液入口に直接連通されるか、又は前記放熱器(25)を介して前記熱交換器(21)のクーラント液入口に連通され、
前記第1の熱管理システム(10)はコンプレッサ(11)及び直接冷却装置が設置された電池パック(12)を備え、前記コンプレッサ(11)の出口が前記電池パック(12)の直接冷却装置の第1の口(121)に連通され、前記電池パック(12)の直接冷却装置の第2の口(122)は第1のスロットル分岐(91)を介して前記熱交換器(21)の冷媒入口に連通され、前記熱交換器(21)の冷媒出口が前記コンプレッサ(11)の入口に連通される、ことを特徴とする車両熱管理システム。
【請求項2】
前記第1の熱管理システムは、双方向膨張アセンブリを更に備え、前記コンプレッサ(11)の出口は選択可能に前記熱交換器(21)の冷媒の入口及び前記電池パック(12)の直接冷却装置の第1の口(121)の少なくとも1つに連通され、
前記コンプレッサ(11)の出口は、第1の分岐(80)を介して前記熱交換器(21)の冷媒入口に連通されるとともに、第1の流通分岐(81)を介して前記電池パック(12)の直接冷却装置の第1の口(121)に連通され、前記電池パック(12)の直接冷却装置の第1の口(121)はさらに第3の流通分岐(83)を介して前記コンプレッサ(11)の入口に連通され、前記電池パックの直接冷却装置の第2の口(122)が前記双方向膨張アセンブリによって前記熱交換器(21)の冷媒の入口に一方向に連通され、前記熱交換器(21)の冷媒出口は双方向膨張アセンブリによって前記電池パックの直接冷却装置の第2の口(122)に一方向に連通される、ことを特徴とする請求項1に記載の車両熱管理システム。
【請求項3】
前記双方向膨張アセンブリは双方向膨張弁(66)、第1の逆止弁(61)及び第2の逆止弁(62)を含み、前記双方向膨張弁(66)は前記直接冷却装置の第2の口(122)に連通され、前記第1の逆止弁(61)が前記双方向膨張弁(66)に連通して前記直接冷却装置の第2の口(122)から前記熱交換器(21)の冷媒入口への第1の一方向スロットル分岐を形成し、前記第2の逆止弁(62)が前記双方向膨張弁(66)に連通して前記熱交換器の冷媒出口から前記直接冷却装置の第2の口(122)への第2の一方向スロットル分岐を形成する、ことを特徴とする請求項2に記載の車両熱管理システム。
【請求項4】
前記双方向膨張アセンブリ(50)は、第4の逆止弁(51)、第5の逆止弁(52)、第6の逆止弁(53)、第7の逆止弁(55)及び一方向膨張弁(54)を備え、前記第4の逆止弁(51)が前記第6の逆止弁(53)に連通して前記直接冷却装置の第2の口(122)から前記熱交換器(21)の冷媒入口への第1の通路を形成し、前記第5の逆止弁(52)が前記第7の逆止弁(55)に連通して前記熱交換器(21)の冷媒出口から前記直接冷却装置の第2の口(122)への第2の通路を形成し、前記第4の逆止弁(51)の出口部と前記第5の逆止弁(52)の出口部はいずれも前記一方向膨張弁(54)の入口に連通され、前記第6の逆止弁(53)の入口部と前記第7の逆止弁(55)の入口部はいずれも前記一方向膨張弁(54)の出口に連通されることにより、第1の通路は第1の一方向スロットル分岐として形成され、第2の通路は第2の一方向スロットル分岐として形成される、ことを特徴とする請求項2に記載の車両熱管理システム。
【請求項5】
前記第1の熱管理システム(10)は、車内凝縮器(13)を更に備え、前記車内凝縮器(13)が前記第1の分岐(80)に設置され、前記車内凝縮器(13)の入口が前記コンプレッサ(11)の出口に連通され、前記車内凝縮器(13)の出口と前記熱交換器(21)の冷媒入口との間に第2のスロットル分岐(92)が設置される、ことを特徴とする請求項2に記載の車両熱管理システム。
【請求項6】
前記第1の熱管理システム(10)は、膨張開閉弁(65)を更に備え、前記膨張開閉弁(65)の内部に通流流路及びスロットリング流路を有し、前記膨張開閉弁(65)は開閉弁として使用されるとき、その内部の前記通流流路が導通され、前記膨張開閉弁(65)が膨張弁として使用されるとき、その内部の前記スロットリング流路が導通され、
前記膨張開閉弁(65)が前記第1の分岐(80)に設置され、前記膨張開閉弁(65)の入口が前記車内凝縮器(13)の出口に連通され、前記膨張開閉弁(65)の出口が前記熱交換器(21)の冷媒入口に連通され、前記第2のスロットル分岐(92)は膨張開閉弁(65)のスロットリング通路を備える、ことを特徴とする請求項5に記載の車両熱管理システム。
【請求項7】
前記第1の熱管理システム(10)は、車内蒸発器(17)を更に備え、前記熱交換器(21)の冷媒出口は第3のスロットル分岐(93)を介して前記車内蒸発器(17)の入口に連通され、前記車内蒸発器(17)の出口は第3の一方向分岐(631)を介して前記コンプレッサ(11)の入口に連通され、前記第3の一方向分岐(631)に第3の逆止弁(63)が設置される、ことを特徴とする請求項1に記載の車両熱管理システム。
【請求項8】
前記熱交換器(21)の冷媒出口は第2の流通分岐(82)を介して前記コンプレッサ(11)の入口に連通され、前記第2の流通分岐(82)に第2の開閉弁(72)が設置され、前記第3のスロットル分岐(93)に電子膨張弁(67)が設置される、ことを特徴とする請求項7に記載の車両熱管理システム。
【請求項9】
前記電池パック(12)は電池モジュール及び直接冷却装置を備え、前記直接冷却装置は冷媒をガイドするための複数の冷却配管を備え、複数の前記冷却配管は前記電池モジュールの表面に敷設される、ことを特徴とする請求項1に記載の車両熱管理システム。
【請求項10】
前記第1の熱管理システム(10)は、加熱器(15)を更に備え、前記加熱器(15)は、前記車内凝縮器(13)を通過する、車内を暖房するための空気を加熱するように構成される、ことを特徴とする請求項5に記載の車両熱管理システム。
【請求項11】
前記第2の熱管理システム(20)は、ファン(26)を更に備え、前記ファン(26)は前記放熱器(25)と対向して設置され、前記放熱器(25)の放熱を促進する、ことを特徴とする請求項1に記載の車両熱管理システム。
【請求項12】
電気自動車であって、請求項1-11のいずれか一項に記載の車両熱管理システム(100)を備える、ことを特徴とする電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気自動車のエアコン分野に関し、具体的には車両熱管理システム及び電気自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
車両、特に電動車両やハイブリッド車両では、電動車両やハイブリッド車両の走行距離、耐用年数、利用可能な電力を確保するために、常に適切な温度で動作するように車両のパワーバッテリを温度管理する必要がある。関連技術において、電池パックを加熱するための電池熱交換回路が設けられており、該電池熱交換回路には、クーラント液を加熱するためのPTCと、クーラント液の循環を促進するためのポンプと、電池パックに設けられて電池パックと熱交換するための熱交換器とが設けられている。回路内のPTCによって回路内のクーラント液を加熱して電池を加熱し、電池パックの熱交換器内のクーラント液とエアコンシステム内のクーラント液との熱交換によって電池を冷却し、電池を冷却する場合には回路内のPTCをシャットダウンする。このような余分に設計された電池熱交換回路を通じて電池パックを熱管理するシステムは、配管の配置が複雑で、部品が多く、コストが高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、電池パックを冷却や加熱するための配管配置を簡素化し、コストを低減することができる車両熱管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本開示は車両熱管理システムを提供し、該車両熱管理システムは第1の熱管理システム及び高圧システムに用いる第2の熱管理システムを備え、前記第2の熱管理システムは放熱器、熱交換器及び廃熱利用分岐を備え、前記廃熱利用分岐に相互連通されたポンプ及び高圧システムを流れる高圧システム冷却分岐が設置され、前記熱交換器のクーラント液出口が前記廃熱利用分岐の入口に連通され、前記廃熱利用分岐の出口は選択可能に前記熱交換器のクーラント液入口に直接連通されるか、又は前記放熱器を介して前記熱交換器のクーラント液入口に連通され、
前記第1の熱管理システムは、コンプレッサ、及び直接冷却装置が設置された電池パックを備え、前記コンプレッサの出口が前記電池パックの直接冷却装置の第1の口に連通され、前記電池パックの直接冷却装置の第2の口が第1のスロットル分岐を介して前記熱交換器の冷媒入口に連通され、前記熱交換器の冷媒出口が前記コンプレッサの入口に連通される。
【0005】
上記技術的手段は、以下の技術的効果を少なくとも達成することができる。
電池パックに直接冷却装置が設置されるので、直接冷却装置によって冷媒と電池パックとの間の熱交換を完成することにより、電池パックに追加の熱交換器及び追加の熱交換器に連通された、電池パックを冷却するための配管を配置する必要がなく、電池パックを加熱や冷却する配管配置を簡素化し、コストを低減させる。直接に冷媒で電池パックを熱交換し、熱交換の効率が高くて、外部環境の影響を受けず、高温環境でも低温環境でも、電池パックは適切な温度範囲内で動作することができ、電池パックの充放電効率を向上させ、航続距離を長くし、電池パックの耐用年数を長くし、電池パックの安全性を確保する。
【0006】
本開示の他の様態によれば、上記の任意の一項に記載の車両熱管理システムを備える電気自動車を提供する。
【0007】
本開示の他の特徴及び利点を下記の発明を実施するための形態で詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面は本開示のさらなる理解を提供するためのものであり、明細書の一部を構成するものであり、以下の発明を実施するための形態とともに本開示を説明するために使用されるが、本開示の制限を構成するものではない。
【0009】
図1】本開示の1つの実施形態の車両熱管理システムの循環回路の概略図であり、ここで、破線の矢印で廃熱利用分岐を示す。
図2】本開示の他の実施形態の第2の熱管理システムの循環回路の概略図であり、ここで、破線の矢印で廃熱利用分岐を示す。
図3】本開示の他の実施形態の車両熱管理システムの循環回路の概略図である。
図4a】電池パック加熱-高圧システム廃熱利用モードでの車両熱管理システムの循環回路の概略図である。
図4b】本開示の1つの実施形態の電池パック加熱-高圧システム廃熱+外部環境エネルギーモードでの車両熱管理システムの循環回路の概略図である。
図5a】本開示の1つの実施形態の電池パック加熱、車室暖房-高圧システム廃熱利用モードでの車両熱管理システムの循環回路の概略図である。
図5b】本開示の1つの実施形態の電池パック加熱、車室暖房-高圧システム廃熱+外部環境エネルギーモードでの車両熱管理システムの循環回路の概略図である。
図6】本開示の1つの実施形態の電池パック冷却モードでの車両熱管理システムの循環回路の概略図である。
図7】本開示の1つの実施形態の車室冷却モードでの車両熱管理システムの循環回路の概略図である。
図8】本開示の1つの実施形態の電池パック冷却、車室冷却モードでの車両熱管理システムの循環回路の概略図である。
図9】本開示の1つの実施形態の車両熱管理システムの膨張開閉弁の断面図である。
図10】本開示の1つの実施形態の車両熱管理システムの電池パックの自己加熱装置の制御原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して、本開示の具体的な実施形態について詳細に説明する。本明細書に記載の具体的な実施形態は、本開示を説明および解釈するためだけのものであり、本開示を制限するためのものではないことを理解されたい。
【0011】
本開示において、反対の説明がない場合、使用された「上流、下流」などの方向性のある単語は、冷媒の流れ方向を説明するためのものであり、具体的には、冷媒に向かう流れ方向は下流であり、冷媒から背離する流れ方向は上流であり、「内側、外側」は対応するコンポーネントプロファイルの内側と外側を指す。
【0012】
本開示において、電気自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車を含んでも良い。図1は本開示の1つの実施形態による車両熱管理システム100の構造概略図である。図1に示すように、該システムは、HVAC(暖房換気及び空調、Heating Ventilation and Air Conditioning)アセンブリ及びダンパ機構(未図示)を含んでも良い。ここで、ダンパ機構は車内蒸発器17及び車内凝縮器13を導通するために使用され得るダクトを備える。
【0013】
電池パック12を冷却や加熱する配管を簡素化するために、本開示の1つの実施形態において、図1に示すように、車両熱管理システム100を提供し、第1の熱管理システム10及び高圧システムに用いる第2の熱管理システム20を備える。第2の熱管理システム20は放熱器25、熱交換器21及び廃熱利用分岐27(図1及び図2における破線の矢印で示される)を備え、廃熱利用分岐27に相互連通されたポンプ23及び高圧システムを流れる高圧システム冷却分岐22が設置され、熱交換器21のクーラント液出口が廃熱利用分岐27の入口に連通され、廃熱利用分岐27の出口は選択可能に第4の流通分岐84を介して熱交換器21のクーラント液入口に直接連通されるか又は放熱器25を介して熱交換器21のクーラント液入口に連通される。廃熱利用分岐27に設置されたポンプ23は第2の熱管理システム20全体に循環の動力を提供する。第2の熱管理システム20は、方向切換弁24を更に備え、廃熱利用分岐27の出口は、該方向切換弁24によって、選択可能に熱交換器21のクーラント液入口に直接連通されるか又は放熱器25を介して熱交換器21のクーラント液入口に連通されることを達成する。
【0014】
第1の熱管理システム10は、コンプレッサ11及び直接冷却装置が設置された電池パック12を備え、コンプレッサ11の出口が電池パック12の直接冷却装置の第1の口121に連通され、電池パック12の直接冷却装置の第2の口122が第1のスロットル分岐91を介して熱交換器21の冷媒入口に連通され、熱交換器21の冷媒出口がコンプレッサ11の入口に連通される。
【0015】
本開示において、ポンプ23、熱交換器21及び高圧システム冷却分岐22の上下流の順序は限定されず、例えば図1に示すように、クーラント液の流動方向に沿って高圧システム冷却分岐22、熱交換器21及びポンプ23は順次配置され、又は、図2に示すように、クーラント液の流動方向に沿って熱交換器21、高圧システム冷却分岐22、及びポンプ23は順次配置され、又は、クーラント液の流動方向に沿ってポンプ23、熱交換器21及び高圧システム冷却分岐22は順次配置され、又は、クーラント液の流動方向に沿って冷却分岐22、ポンプ23及び熱交換器21は順次配置されるなどが挙げられる。本開示において、説明の便宜上、図1に示す配置態様を例として説明する。
【0016】
上記の技術的手段において、高圧システムは、モータ、モータコントローラ及びスリーインワン充配電ユニットなどの高電圧で動作するデバイスを含む。これらのデバイスは高電圧で作動するので、作動するとき、大量の熱が発生する。熱交換器21には4つの入出口があり、それぞれ冷媒を流通させるための冷媒入口及び冷媒出口、クーラント液を流通させるためのクーラント液入口及びクーラント液出口である。
【0017】
本開示における「放熱器25」は熱交換器の機能を果たし、外部環境と熱を交換することができる。車両熱管理システム100は加熱を行う必要がある場合、該放熱器25は外部環境の熱を吸収することができ、車両熱管理システム100は冷却を行う必要がある場合、該放熱器25は外部環境へ熱を放散することができる。
【0018】
コンプレッサ11の損壊を防止するために、本開示における車両熱管理システム100は、気液分離器を更に備え、気液分離器の出口がコンプレッサ11の入口に連通され、コンプレッサ11の入口と連通する必要があるすべての分岐はすべて先に気液分離器を通過した後コンプレッサ11に入る必要がある。このように、冷媒はまず気液分離器を通過して気液分離を行い、分離された気体はさらにコンプレッサ11に還流し、これにより液冷媒が圧縮機11に入って圧縮機11を損壊することを防止することによって、コンプレッサ11の耐用年数を長くして、ヒートポンプ空調システム全体の効率を向上させる。
【0019】
上記の第2の熱管理システム20において、方向切換弁24の切り換えによって、クーラント液の流路を改変して、そのクーラント液が放熱器25を通過するかどうかを決定し、これにより第2の熱管理システム20は、高圧システム廃熱利用モード、高圧システム廃熱+外部環境エネルギーモードの2つの作動モードを含む。外部環境エネルギーモードにおいて、外部環境から熱を吸収する必要があるとき、外部環境エネルギーを吸収するモードに属し、外部環境に熱を放出する必要がある場合、外部環境にエネルギーを放出するモードに属する。
【0020】
第2の熱管理システム20が高圧システム廃熱利用モードにある場合、図4aを参照して、クーラント液の流動経路は、ポンプ23-方向切換弁24(a口がb口に連通される)-高圧システム冷却分岐22-熱交換器21のクーラント液入口-熱交換器21のクーラント液出口-ポンプ23である。この動作モードでは、クーラント液が高圧システムを流れるとき高圧システムにおけるデバイスの熱を吸収し、そして、熱交換器21に戻って熱交換器21を流れる冷媒と熱交換し、冷媒の温度を昇温する。
【0021】
第2の熱管理システム20が高圧システム廃熱+外部環境エネルギーモード(外部環境エネルギーを吸収するモード、外部環境にエネルギーを放出する)にある場合、図4bを参照して、クーラント液の流動経路は、ポンプ23-方向切換弁24(a口がc口に連通される)-放熱器25-高圧システム冷却分岐22-熱交換器21のクーラント液入口-熱交換器21のクーラント液出口-ポンプ23である。
【0022】
外部環境エネルギーを吸収するモードでは、ポンプ23から流出されたクーラント液は放熱器25を流れるとき環境での熱を吸収し、そして、高圧システムを流れるとき高圧システムにおけるデバイスの熱を続いて吸収し、そして、熱交換器21に戻って熱交換器21を流れる冷媒と熱交換し、冷媒の温度を昇温する。第2の熱管理システム20における熱源を追加することによって、外部環境に吸収された熱と高圧システムから吸収された熱を重ね合わせ、吸収された熱がより多くなり、これによって冷媒がクーラント液から吸収できる熱はより多くなり、車両全体のエネルギー利用率を向上させる。
【0023】
外部環境へ熱を放出するモードでは、ポンプ23から流出されたクーラント液が放熱器25を流れるとき外部環境に熱を放出し、そして、高圧システムを流れるとき続いて高圧システムと熱を交換し、そして、熱交換器21に戻って熱交換器21を流れる冷媒と熱交換し、これにより冷媒の温度を低減させる。
【0024】
1つの実施形態において、電池パック12の具体的な加熱需要に応じて第2の熱管理システム20のモードを選択し、高圧システムの廃熱が電池パック12を規定温度まで加熱するのに十分である場合、第2の熱管理システム20は高圧システムの廃熱利用モードにあり、高圧システムの廃熱が電池パック12を規定温度まで加熱するのに十分ではない場合、第2の熱管理システム20が高圧システム廃熱+外部環境エネルギーモードにある。他の実施形態において、他の需要に応じて第2の熱管理システム20のモードを設定してもよいことを理解することができる。
【0025】
上記の技術的手段により、環境温度が低く、電池パック12を加熱するとき、図4a及び図4bに示すように、このとき、第1の熱管理システム10が電池パック12加熱モードにあり、第2の熱管理システム20が高圧システム廃熱利用モード又は高圧システム廃熱+外部環境エネルギーモードにある。電池パック12加熱モードにおいて冷媒の循環回路は、コンプレッサ11-電池パック12の直接冷却装置の第1の口121-電池パック12の直接冷却装置の第2の口122-第1のスロットル分岐91-熱交換器21-気液分離器-コンプレッサ11である。具体的な過程において、電動コンプレッサ11が作動し冷媒を圧縮し始める場合、コンプレッサ11から流出されたのは高温高圧の気体冷媒であり、高温高圧の気体冷媒が電池パック12の内部の直接冷却装置に流入して、大量の熱を放出して電池パック12と熱交換し、熱交換後の中温高圧の冷媒は第1のスロットル分岐91によってスロットリングして降圧された後低温低圧の液体になり、その後、熱交換器21に入り、熱を吸収し、熱を吸収した後の高温低圧の冷媒が気液分離器を介してコンプレッサ11に戻って、次の循環に入る。
【0026】
高圧システム冷却分岐22は高圧システムを流れる場合、高圧システムと熱交換し、高圧システムでの熱を吸収し、高圧システムの熱を吸収したクーラント液は、熱交換器21を流れるとき、該熱交換器21を流れる冷媒と熱交換し、これにより高圧システムから吸収された熱を冷媒に伝達し、これにより該回收された熱を用いて電池パック12を加熱し、高圧システムの廃熱を効果的に利用し、高圧システムでのデバイスを降温すると同時に該熱を利用して電池パック12を加熱することができ、エネルギー利用率を向上させ、エアコンを用いて電池パック12を加熱する必要がなく、このため、車室内を暖房するためのエアコンシステムのエネルギー効率を向上させることができる。
【0027】
そして、電池パック12に直接冷却装置が設置されるので、直接冷却装置によって冷媒と電池パック12との間の熱交換を完成し、これにより電池パック12に追加の熱交換器及び追加の熱交換器に連通された、電池パック12を冷却するための配管を配置する必要がなく、電池パック12を加熱や冷却する配管配置を簡素化し、コストを低減させる。冷媒を直接用いて電池パック12と熱交換し、熱交換効率が高く、外部環境の影響を受けず、高温環境でも低温環境でも、電池パック12は適切な温度範囲内で動作することができ、電池パック12の充放電効率を向上させ、航続距離を長くし、電池パック12の耐用年数を長くし、電池パック12の安全性を確保する。
【0028】
電池パック12に対する加熱冷却効率を向上させるために、本開示の1つの実施形態において、電池パック12は、電池モジュール及び直接冷却装置を備え、直接冷却装置は、冷媒をガイドするための複数の冷却配管を含み、複数の冷却配管は電池モジュールの表面に敷設される。直接冷却装置は、電池を冷却するとき熱を電池モジュールから冷媒に伝達するか、又は、電池を加熱するとき、熱を冷媒から電池モジュールに伝達するように構成される。直接冷却装置は、電池パック12のみを冷却することができることに限定されず、直接冷却装置における冷媒の温度が電池パック12の温度よりも高いとき、この場合、直接冷却装置は電池パック12を加熱し、直接冷却装置における冷媒の温度が電池パック12の温度よりも低いとき、この場合、直接冷却装置は電池パック12を冷却する。
【0029】
なお、本開示において、電池パック12は、電池パック12の筐体及び該電池パック12の筐体内に設置された複数の電池モジュールを含んでも良く、直接冷却装置は電池パック12の筐体内に設置されるとともに複数の電池モジュールと密着する。このように、冷媒は直接冷却装置を流れ、直接冷却装置が複数の電池モジュールと密着することにより、冷媒が電池モジュールと直接熱交換することができ、熱交換効率を向上させる。
【0030】
選択可能に、本開示の1つの実施形態において、熱交換器21はプレート式熱交換器21であり、プレート式熱交換器21は、ある波形形状を有する一連の金属プレートを積層してなる高効率熱交換器21である。様々なプレートの間に薄い長方形の通路が形成され、プレートによって熱交換を行う。プレート式熱交換器21は、高い熱交換効率、小さな熱損失、コンパクトで軽い構造、小さなフットプリント、幅広い用途、および長い耐用年数の特性を有する。同じ圧力損失の場合、その熱伝達率はチューブ式熱交換器21より3~5倍高く、占有面積はチューブ式熱交換器21の3分の1であり、熱回収率は90%以上と高いので、車両上のスペースを必要以上に占有することはない。
【0031】
電池パック12の温度が高すぎる場合、電池パック12を冷却するために、本開示の1つの実施形態において、図1に示すように、第1の熱管理システムは、双方向膨張アセンブリ50を更に備え、コンプレッサ11の出口は選択可能に第1の分岐80を介して熱交換器21の冷媒入口に連通されるか、及び/又は、第1の流通分岐81を介して電池パック12の直接冷却装置の第1の口121に連通される。つまり、コンプレッサ11の出口は選択可能に熱交換器21の冷媒入口及び電池パック12の直接冷却装置の第1の口121の少なくとも1つに連通される。電池パック12の直接冷却装置の第2の口122は双方向膨張アセンブリ50を介して熱交換器21の冷媒入口に一方向に連通され、熱交換器21の冷媒出口は第2の流通分岐82を介してコンプレッサ11の入口に連通される。電池パック12の直接冷却装置の第1の口121はさらに第3の流通分岐83を介してコンプレッサ11の入口に連通される。電池パック12の直接冷却装置の第2の口122が熱交換器21の冷媒入口と一方向に連通され、電池パック12を冷却するときコンプレッサ11の出口から流出された冷媒が電池パック12に直接流れることを防止することができる。
【0032】
選択可能に、本開示の1つの実施形態において、第3の流通分岐83に第3の開閉弁73が設置され、第3の開閉弁73は、電池パック12での冷媒の流れ方向が電池パック12の直接冷却装置の第2の口122から第1の口121へ流れる方向である場合、開にするように構成される。
【0033】
上記の技術的手段によって、電池パック12の温度が高すぎて、電池パック12を冷却する必要がある場合、図6を参照して、この場合、第1の熱管理システム10は電池パック12冷却モードにあり、第2の熱管理システム20は高圧システム廃熱+外部環境へエネルギーを放出するモードにあり、このとき、放熱器25の役割は、外部環境へ大量の熱を放出することである。冷媒の循環回路は、コンプレッサ11-第1の分岐80-熱交換器21-双方向膨張アセンブリ50-電池パック12の直接冷却装置の第2の口122-電池パック12の直接冷却装置の第1の口121-気液分離器-コンプレッサ11である。電池パック12の温度が高いとき、電動コンプレッサ11が作動し始め、コンプレッサ11からの高温高圧の気体冷媒が熱交換器21に流入して、熱交換器21でのクーラント液と熱交換し、大量の熱を放出し、熱交換後の低温冷媒が双方向膨張アセンブリ50によってスロットリングして降圧された後電池パック12に入り、電池パック12の熱を吸収し、熱を吸収した後の高温冷媒が気液分離器を介してコンプレッサ11に戻って、次の循環に入る。該回路における双方向膨張アセンブリは冷媒の流動方向を制御する役割を果たし、特に電池パック12加熱モードにおいて電池パック12の第2の口122から流出された冷媒がコンプレッサ11に直接戻ることを防止する。
【0034】
また、双方向膨張アセンブリ50を合理的に設置することによって電池パック12を加熱や冷却するとき同一の分岐を利用することができ、配管中の冷媒の流動方向を変えるだけで、配管を追加して設置する必要がなく、さらに配管の配置を簡素化する。
【0035】
選択可能に、1つの実施形態において、該第3の開閉弁73及び下記の第1の開閉弁71と第2の開閉弁72などの開閉弁は電磁弁であってもよい。なお、他の実施形態において、第1の開閉弁71、第2の開閉弁72、第3の開閉弁73などの開閉弁は開閉機能を実現できる弁であればどのようなものであってもよいが、本開示はこれに限定するものではなく、例えば方向切換弁24などであってよい。本開示の下記に示す他の開閉弁(例えば、第1の開閉弁71、第2の開閉弁72)は電磁弁又は開閉作用を発揮する他の弁であってもよいが、本開示はこれに限定するものではなく、以下では説明を省略する。
【0036】
本開示において、コンプレッサ11から流出された冷媒は選択可能に電池パック12又は第1の分岐80を通過し、該冷媒の流動方向を制御することができるために、本開示の1つの実施形態において、図1に示すように、第1の分岐80に膨張開閉弁65が設置され、第1の流通分岐81に第1の開閉弁71が設置される。
【0037】
膨張開閉弁65と第1の開閉弁71との共同制御によって、コンプレッサ11から流出された冷媒の流動方向を制御することができる。具体的には、第1の開閉弁71を開にするとともに膨張開閉弁65を閉にするとき、コンプレッサ11からの冷媒は電池パック12のみに流れて、電池パック12のみを加熱することができる。第1の開閉弁71を閉にするとともに膨張開閉弁65を開にするとき、コンプレッサ11からの冷媒が第1の分岐80(車内凝縮器13が設置される)のみに流れて、車室内のみを加熱することができる。第1の開閉弁71を開にするとともに膨張開閉弁65を開にするとき、コンプレッサ11からの冷媒がそれぞれ電池パック12及び車内凝縮器13に流れ、これにより車室を加熱すると同時に電池パック12を加熱する。このため、膨張開閉弁65と第1の開閉弁71との共同制御によって、コンプレッサ11の出口が選択可能に電池パック12の直接冷却装置の第1の口121に連通されるか、及び/又は第1の分岐80に連通されることを実現する。
【0038】
本開示において、双方向膨張アセンブリ50の具体的な構造は限定されず、必要に応じて設置されることができる。ここで、1つの実施形態において、図1に示すように、双方向膨張アセンブリ50は双方向膨張弁66、第1の逆止弁61及び第2の逆止弁62を備える。双方向膨張弁66が冷却装置の第2の口122に直接連通され、第1の逆止弁61が双方向膨張弁66と連通して直接冷却装置の第2の口122から熱交換器21の冷媒入口へ流れる第1の一方向スロットル分岐を形成する。第2の逆止弁62が双方向膨張弁66と連通して熱交換器21の冷媒出口から直接冷却装置の第2の口122へ流れる第2の一方向スロットル分岐を形成する。第1の一方向スロットル分岐は、上記の第1のスロットル分岐91及び第1の一方向分岐611を含み、第2の一方向スロットル分岐は第2の一方向分岐621及び上記の第1のスロットル分岐91を含む。
【0039】
該双方向膨張アセンブリ50によって、電池パック12を加熱するとき、冷媒が第1の通路に沿って電池パック12の直接冷却装置の第2の口122から熱交換器21の冷媒入口へ流れ、電池パック12を冷却するとき、冷媒は第2の通路に沿って熱交換器21の冷媒出口から電池パック12の直接冷却装置の第2の口122に流れる。このため、双方向膨張アセンブリ50を合理的に設置することにより電池パック12を加熱や冷却するとき、同じ分岐を利用することができ、配管を追加して設置する必要がなく、さらに配管の配置を簡素化する。
【0040】
図1に示す実施例において、第1の逆止弁61は第1の一方向分岐611を形成し、第2の逆止弁は第2の一方向分岐621を形成し、双方向膨張弁66の所在する配管は第1のスロットル分岐91を形成する。第2の一方向分岐621は熱交換器21の冷媒出口から流出された冷媒のみが電池パック12の直接冷却装置の第2の口122に流入することを可能にし、第1の一方向分岐611は、電池パック12の直接冷却装置の第2の口122から流出された冷媒のみが熱交換器21の冷媒入口に流入することを可能にする。このような一方向導通方式は、様々な方式で実現されることができる。本開示の1つの実施形態において、逆止弁によってこのような一方向導通の方式を実現する。他の代替実施形態では、一方向分岐に制御可能な開閉弁を設置してもよく、該開閉弁は、冷媒の流動方向が正確である場合のみ開けられる。下記に記載の第3の一方向分岐631も少なくとも以上の2種の方式で実現されてもよく、つまり、逆止弁を設置すること、又は制御可能な開閉弁を設置することによって実現されてもよい。
【0041】
双方向膨張アセンブリ50の他種の実施形態として、図3に示すように、双方向膨張アセンブリ50は、第4の逆止弁51、第5の逆止弁52、第6の逆止弁53、第7の逆止弁55及び一方向膨張弁54を含み、第4の逆止弁51が第6の逆止弁53に連通されることにより、直接冷却装置の第2の口122から熱交換器21の冷媒入口への第1の通路を形成し、第5の逆止弁52が第7の逆止弁55と連通されることによって、熱交換器21の冷媒出口から直接冷却装置の第2の口122への第2の通路を形成し、第4の逆止弁51の出口部と第5の逆止弁52の出口部とはいずれも一方向膨張弁54の入口に連通され、第6の逆止弁53の入口部と第7の逆止弁55の入口部とはいずれも一方向膨張弁54の出口に連通される。このように、第1の通路は第1の一方向スロットル分岐として形成され、第2の通路は第2の一方向スロットル分岐として形成され、第1の一方向スロットル分岐は順次導通された第4の逆止弁51、一方向膨張弁54及び第6の逆止弁53を含み、第2の一方向スロットル分岐は順次導通された第5の逆止弁52、一方向膨張弁54及び第7の逆止弁55を含む。
【0042】
車両の車室の暖房を実現するために、本開示の1つの実施形態において、図1に示すように、第1の熱管理システム10は、車内凝縮器13を更に備え、車内凝縮器13が第1の分岐80に設置され、車内凝縮器13の入口がコンプレッサ11の出口に連通され、車内凝縮器13の出口と熱交換器21の冷媒入口との間に第2のスロットル分岐92が設置される。
【0043】
車内凝縮器13を設置することによって、車両熱管理システム100は車室暖房モードをさらに実現することができ、このとき、図5a、5bに示すように、冷媒の循環回路は、コンプレッサ11-車内凝縮器13-熱交換器21-気液分離器-コンプレッサ11である。
【0044】
車両熱管理システム100はさらに電池パック12加熱、車室暖房モードを実現することができ、このとき、図5a、5bに示すように、冷媒の循環回路は、コンプレッサ11-車内凝縮器13、電池パック12-熱交換器21-気液分離器-コンプレッサ11である。
【0045】
車室を暖房するとき、1つの実施形態において、車室及び/又は電池パック12の具体的な加熱需要に応じて第2の熱管理システム20のモードを選択し、高圧システムの廃熱が車室及び/又は電池パック12を所定の温度に加熱するのに十分である場合、第2の熱管理システム20が高圧システム廃熱利用モードにあり、高圧システムの廃熱が車室及び/又は電池パック12を所定の温度に加熱するのに十分ではない場合、第2の熱管理システム20が高圧システム廃熱+外部環境エネルギーモードにある。なお、他の実施形態において、他の需要に基づいて、第2の熱管理システム20のモードを設定してもよい。
【0046】
車室が暖房を必要としない場合、例えば上記の電池パック12加熱、冷却モード又は下記の車室冷房モードである場合、このとき、ダンパ機構は、風が車内凝縮器13を通過しないように制御し、風が通過しないので、車内凝縮器13内において熱交換を行わなく、該車内凝縮器13は流路としてのみ使用される。
【0047】
本開示の1つの実施形態において、図1に示すように、第1の熱管理システム10は、膨張開閉弁65を更に備え、膨張開閉弁65の内部には通流流路及びスロットリング流路を備え、膨張開閉弁65が開閉弁として使用される場合、その内部の通流流路が導通され、膨張開閉弁65が膨張弁として使用される場合、その内部のスロットリング流路が導通される。
【0048】
膨張開閉弁65が第1の分岐80に設置され、膨張開閉弁65の入口が車内凝縮器13の出口に連通され、膨張開閉弁65の出口が熱交換器21の冷媒入口に連通される。
【0049】
本開示において、膨張開閉弁65は膨張弁機能及び開閉弁機能を同時に有する弁であり、開閉弁と膨張弁との集積と見なされてもよい。以下、膨張開閉弁65の例示的な実施形態を提供する。
【0050】
熱交換器21によって車室を加熱するとき、該膨張開閉弁65は膨張弁として使用され、コンプレッサ11からの高温高圧の冷媒は膨張開閉弁65の内部のスロットリング流路によってスロットリングして降圧された後、熱交換器21に提供される。電池パック12冷却モードにある場合、該膨張開閉弁65は開閉弁として使用され、コンプレッサ11から流出された冷媒は膨張開閉弁65の内部の通流流路を介して熱交換器21に提供され、そして、電池パック12へ流れる。コンプレッサ11から流出された冷媒は第1の分岐80を流れる必要があるとき、膨張開閉弁65を開にする。コンプレッサ11から流出された冷媒が電池パック12のみに直接流れる場合(例えば電池パック12のみを加熱する場合)、膨張開閉弁65を閉にする。これにより第1の分岐80を閉にすることによって、コンプレッサ11から流出された冷媒がすべて電池パック12の所在する分岐に流入する。
【0051】
図9に示すように、上記に記載の膨張開閉弁65は弁体500を含んでもよい。ここで、該弁体に入口、出口及び入口と出口との間を連通する内部流路が形成され、内部流路に第1のバルブコア503及び第2のバルブコア504が取り付けられ、第1のバルブコア503は入口501と出口502とを直接連通又は切断し、第2のバルブコア504は入口501と出口502とをオリフィス505によって連通又は切断する。
【0052】
第1のバルブコア503による「直接連通」とは、弁体500の入口501から入る冷媒が第1のバルブコア503を越えて内部流路を通して影響を受けることなく弁体500の出口502に直接流れることを意味する。第1のバルブコア503による「切断」とは、弁体500の入口501から入る冷媒が第1のバルブコア503を越えることができず、内部流路を通して弁体500の出口502へ流れることができないことを意味する。第2のバルブコア504による「オリフィスによって連通」とは、弁体500の入口501から入る冷媒が第2のバルブコア504を越えてオリフィス505でスロットリングされた後弁体500の出口502に流れることができることを意味する。第2のバルブコア504による「切断」とは弁体500の入口501から入る冷媒が第2のバルブコア504を越えることができず、オリフィス505を通過して弁体500の出口502に流れることができないことを意味する。
【0053】
このように、第1のバルブコア503及び第2のバルブコア504を制御することにより、本開示の膨張開閉弁65によって入口501から入る冷媒が少なくとも以下の3つの状態を実現することができる。つまり、1)切断状態、2)第1のバルブコア503を越えた直接連通状態、及び3)第2のバルブコア504を越えたスロットリング連通状態である。
【0054】
ここで、高温高圧の液体冷媒がさらにオリフィス505によってスロットリングされた後、低温低圧の霧状の液圧冷媒になり、冷媒の蒸発のための条件を作ることができ、つまり、オリフィス505の断面積が出口502の断面積よりも大きく、且つ第2のバルブコア504を制御することによって、オリフィス505の開度を調整して、オリフィス505を流れる流量を制御し、冷媒が少なすぎることによる冷房不足を防止し、そして、過剰な冷媒によるコンプレッサ内のウォーターハンマー現象を防止する。つまり、第2のバルブコア504と弁体500とを組み合わせることにより膨張開閉弁65が膨張弁の機能を有することができる。
【0055】
このように、同じ弁体500の内部流路に第1のバルブコア503及び第2のバルブコア504が取り付けられることにより、入口501及び出口502の開閉制御及び/又はスロットリング制御機能を実現し、構造が簡単で、製造および取り付けが容易であり、且つ本開示による膨張開閉弁65は熱管理システムに適用される場合、膨張開閉弁65には開閉弁及び膨張弁が集積されるので、従来の技術において並列に配置する2つの分岐(1つの流通分岐及び1つのスロットル分岐)を少なくとも配置する必要があることに比べて、膨張開閉弁65を流れる1つの分岐のみを配置すればよい。配管の接続を簡素化し、熱管理システムのオイルリターンをより助長し、熱管理システム全体の冷媒チャージを削減し、コストを削減できる。
【0056】
弁体500の内部取付構造の一例として、図9に示すように、弁体500は、内部流路を形成する弁座、及び該弁座に取り付けられた第1の弁箱511と第2の弁箱512を備え、第1の弁箱511に第1のバルブコア503を駆動するための第1の電磁駆動部521が取り付けられ、第2の弁箱512に第2のバルブコア504を駆動するための第2の電磁駆動部522が取り付けられ、第1のバルブコア503は第1の弁箱511から弁座510内の内部流路まで延伸し、第2のバルブコア504は第2の弁箱512から弁座510内の内部流路まで延伸する。
【0057】
ここで、第1の電磁駆動部521(例えば電磁コイル)のオン/オフを制御することによって第1のバルブコア503の位置を容易に制御することができ、さらに入口501と出口502の直接連通又は切断を制御する。第2の電磁駆動部522(例えば電磁コイル)のオン/オフを制御することによって第2のバルブコア504の位置を容易に制御することができる。これにより入口501と出口502がオリフィス505と連通するかどうかを制御する。言い換えれば、弁体500内には、入口501及び出口502を共用する電子膨張弁及び電磁弁が並列に取り付けられ、このため、膨張開閉弁の開閉及び/又はスロットリングの自動化制御を実現することができ、且つ配管方向を簡素化する。
【0058】
膨張開閉弁65の代替実施形態として、第1の分岐80に膨張弁を設置してもよく、且つ該膨張弁に開閉弁が並列に設置される。冷媒をスロットリングする必要がない場合、膨張弁を閉にし、該開閉弁を開にすることにより、冷媒が該開閉弁の所在する分岐を直接流れて、冷媒をスロットリングする必要がある場合、膨張弁を開にして開閉弁を閉にすることにより、冷媒は該膨張弁の所在する第1の分岐80を流れる。
【0059】
車両の車室の冷房を実現するために、本開示の1つの実施形態において、図1に示すように、第1の熱管理システム10は、車内蒸発器17を更に備え、熱交換器21の冷媒出口が第3のスロットル分岐93を介して車内蒸発器17の入口に連通され、車内蒸発器17の出口が第3の一方向分岐631を介してコンプレッサ11の入口に連通され、第3の一方向分岐631に第3の逆止弁63が設置される。該第3の逆止弁63は、車内蒸発器17の出口から流出された冷媒のみをコンプレッサ11に戻すことを可能にする。
【0060】
車内蒸発器17を設置することによって、車両熱管理システム100はさらに各種の車室冷房モードを実現することができる。このとき、図7-8に示すように、第2の熱管理システム20は高圧システム廃熱+外部環境へエネルギーを放出するモードにあり、このとき、放熱器25の役割は外部環境へ大量の熱を放出することである。
【0061】
このとき、ダンパ機構によって、風が車内凝縮器13を通過しないように制御し、該車内凝縮器13は流路としてのみ使用され、車内凝縮器13の出口から流出された高温高圧の冷媒が膨張開閉弁65の流通分岐を介して熱交換器21に入って熱交換を行い、低温高圧になる冷媒は第3のスロットル分岐93での電子膨張弁67によってスロットリングして降圧された後、低温低圧の冷媒になり、車内蒸発器17に入って蒸発して熱を吸収し、これにより車両の車室の温度を低下させる。車室冷房モードでは、第1の開閉弁71を閉にし、第2の開閉弁72を閉にする。冷媒の循環回路は、コンプレッサ11-車内凝縮器13(熱交換を行わない)-膨張開閉弁65の通流流路-熱交換器21-第3のスロットル分岐93(電子膨張弁67)-車内蒸発器17-第3の一方向分岐631-気液分離器-コンプレッサ11である。
【0062】
本開示において、熱交換器21から流出された冷媒は選択可能に電池パック12を流れるか、又はコンプレッサ11又は車内蒸発器17に戻る。該冷媒の流動方向を制御することができるために、本開示の1つの実施形態において、図1に示すように、第2の流通分岐82に第2の開閉弁72が設置され、第3のスロットル分岐93に電子膨張弁67が設置される。
【0063】
双方向膨張アセンブリを設置すること、第3のスロットル分岐93に電子膨張弁67を設置するとともに第2の流通分岐82に第2の開閉弁72を設置すること、及び双方向膨張弁66、電子膨張弁67及び第2の開閉弁72で共同に制御することによって、熱交換器21の出口から流出された冷媒の具体的な流動方向を制御することができ、これにより熱交換器21の出口から流出された冷媒は選択可能に電池パック12、車内蒸発器17又はコンプレッサ11のうちの少なくとも1つに流れる。
【0064】
車室の暖房能力をさらに向上させるために、図1に示すように、第1の熱管理システム10は、加熱器15を更に備え、加熱器15は、車内凝縮器13を通過する、車内を暖房するための空気を加熱するように構成される。該加熱器15は空気加熱器15(APTC)であってよい。車内凝縮器13によって流れる冷媒を凝縮するとき放出された熱が空気を必要な温度に加熱するのに十分ではない場合、加熱器15をオンにして、加熱器15によりさらに空気を加熱し、車室の暖房需要を満たす。
【0065】
放熱器25の放熱を高速化し、放熱効果を向上させるために、本開示の1つの実施形態において、図1に示すように、第2の熱管理システム20は、ファン26を更に備え、ファン26が放熱器25と対向して設置され、放熱器25の放熱を促進する。第2の熱管理システム20が高圧システム廃熱+外部環境エネルギーモードにあるとともに、外部環境へ熱を放散する必要がある場合、ファン26をオンにし、放熱速度を加速する。
【0066】
電池パック12の加熱効果を増加するために、本開示の1つの実施形態において、図10に示すように、電池パック12は電池モジュールの発熱量を増加するための自己加熱装置(未図示)を備える。自己加熱装置は、コントローラ、第1のモータ電気制御回路101及び第2のモータ電気制御回路102を備え、第1のモータ電気制御回路101と第2のモータ電気制御回路102はそれぞれ電池パック12に電気的に接続され、コントローラはそれぞれ第1のモータ電気制御回路101及び第2のモータ電気制御回路102に電気的に接続され、コントローラは、第1の制御モードで動作しているとき、第1のモータ電気制御回路101を制御して電池パック12を複数回充放電させて、電池パック12に対する加熱を達成し、且つ第2のモータ電気制御回路102を制御してトルクを出力させるように構成される。
【0067】
本実施例の自己加熱装置は第1のモータ電気制御回路101、第2のモータ電気制御回路102、第1のエネルギー貯蔵モジュール及びコントローラを備え、コントローラは第1の制御モードで動作しているとき、コントローラが第1のモータ電気制御回路101における第1のモータインバータを制御することによって、電池パック12、第1のモータインバータ、第1のモータ巻線を第1の電池パック加熱回路として形成し、第1の電池パック加熱回路によって電池パック12の内部抵抗を加熱し、同時に第2のモータ電気制御回路102における第2のモータインバータを制御し、第2のモータ電気制御回路102に動力を出力させ、電池パック12の加熱とモータの駆動との協働が実現されるように構成される。そして、第1のモータ電気制御回路101を用いて加熱し、第2のモータ電気制御回路102を用いて駆動することにより、モータ駆動回路におけるモータ巻線とモータインバータの過度の損失を回避し、回路中のデバイスの耐用年数を延ばす。
【0068】
第1の電池パック加熱回路は電池発振加熱回路モジュールによって実現される。電池発振加熱回路は電池パックの高周波交互充放電を実現することができ、該回路には、複数のエネルギー貯蔵素子及びスイッチング素子を更に備える。電池パックの温度が加熱開始閾値に達するとき、電池パックは、貯蔵素子との間で交互に充放電することで、電池パック自体の低温抵抗値が高いという特徴を利用して、電池パックの自己加熱を実現する。エネルギー貯蔵素子はコンデンサ、インダクタンスなどを含み、電池パックとエネルギー貯蔵素子との交互充放電周波数はスイッチング素子によって実現される。
【0069】
電池パック12を加熱する他の実施形態として、電池パック12は電池モジュールの発熱量を増加させるための電熱膜(未図示)を含んでもよい。電熱膜は電池モジュールに被覆されて、電池モジュールに熱を提供することに用いられる。電熱膜は、例えば通電後に発熱する半透明ポリエステルフィルムであってもよく、導電性の特殊インク、金属キャリアテープを絶縁ポリエステルフィルム間に加工して、熱圧着することなどによって製造される。作動するとき、電熱膜を発熱体として使用し、熱を放射の形で空間に送り込むことで、加熱対象物が熱を得、これにより温度を上昇させる。電熱膜は純粋な抵抗回路であるため、その変換効率は高く、僅かな損失を除いて、ほとんどの電力は熱エネルギーに変換されて、電池パック12を加熱する。
【0070】
電池パック12に自己加熱装置を設置することによって、自己加熱装置に上記の冷媒を流れる熱交換装置を組み合わせることによって、電池パック12の発熱効果を大幅に高めることができ、電池の昇温速度を向上させることができる。同時に、設置された自己加熱装置によって電池パック12を加熱することに伴って高圧システムには多量の熱が発生し、高圧システムの廃熱を利用することによりエネルギー利用率を向上させることができる。
【0071】
本開示は、上記の車両熱管理システム100を備える電気自動車をさらに提供する。該電気自動車は純電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車などを含んでもよい。
【0072】
以上、図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示は上述した実施形態における具体的な内容に限定されるものではなく、本開示の技術的思想の範囲内において、本開示の技術的思想に様々な簡単な変形が可能であり、これらの簡単な変形はいずれも本開示の保護範囲に属する。
【0073】
なお、上述した具体的な実施形態において述べた各具体的な技術的特徴は、矛盾なく、任意の適切な方法で組み合わせることができ、不要な重複を避けるため、本開示では、可能な様々な組み合わせ方法については別途説明しない。
【0074】
また、本開示の様々な異なる実施形態を任意に組み合わせてもよく、本開示の思想に反しない限り、同様に本開示の内容とみなされるべきである。
【0075】
本開示は、2020年9月21日に中国特許庁に提出された、出願番号が202022094143.7で、発明の名称が「車両熱管理システム及び電気自動車」である中国特許出願の優先権を主張し、その全部の内容は、援用により本願に組み込まれる。
【0076】
(付記)
(付記1)
車両熱管理システムであって、第1の熱管理システム(10)及び高圧システムに用いる第2の熱管理システム(20)を備え、前記第2の熱管理システム(20)は放熱器(25)、熱交換器(21)及び廃熱利用分岐(27)を備え、前記廃熱利用分岐(27)に相互連通されたポンプ(23)及び高圧システムを流れる高圧システム冷却分岐(22)が設置され、前記熱交換器(21)のクーラント液出口が前記廃熱利用分岐(27)の入口に連通され、前記廃熱利用分岐(27)の出口は選択可能に前記熱交換器(21)のクーラント液入口に直接連通されるか、又は前記放熱器(25)を介して前記熱交換器(21)のクーラント液入口に連通され、
前記第1の熱管理システム(10)はコンプレッサ(11)及び直接冷却装置が設置された電池パック(12)を備え、前記コンプレッサ(11)の出口が前記電池パック(12)の直接冷却装置の第1の口(121)に連通され、前記電池パック(12)の直接冷却装置の第2の口(122)は第1のスロットル分岐(91)を介して前記熱交換器(21)の冷媒入口に連通され、前記熱交換器(21)の冷媒出口が前記コンプレッサ(11)の入口に連通される、ことを特徴とする車両熱管理システム。
【0077】
(付記2)
前記第1の熱管理システムは、双方向膨張アセンブリを更に備え、前記コンプレッサ(11)の出口は選択可能に前記熱交換器(21)の冷媒の入口及び前記電池パック(12)の直接冷却装置の第1の口(121)の少なくとも1つに連通され、
前記コンプレッサ(11)の出口は、第1の分岐(80)を介して前記熱交換器(21)の冷媒入口に連通されるとともに、第1の流通分岐(81)を介して前記電池パック(12)の直接冷却装置の第1の口(121)に連通され、前記電池パック(12)の直接冷却装置の第1の口(121)はさらに第3の流通分岐(83)を介して前記コンプレッサ(11)の入口に連通され、前記電池パックの直接冷却装置の第2の口(122)が前記双方向膨張アセンブリによって前記熱交換器(21)の冷媒の入口に一方向に連通され、前記熱交換器(21)の冷媒出口は双方向膨張アセンブリによって前記電池パックの直接冷却装置の第2の口(122)に一方向に連通される、ことを特徴とする付記1に記載の車両熱管理システム。
【0078】
(付記3)
前記双方向膨張アセンブリは双方向膨張弁(66)、第1の逆止弁(61)及び第2の逆止弁(62)を含み、前記双方向膨張弁(66)は前記直接冷却装置の第2の口(122)に連通され、前記第1の逆止弁(61)が前記双方向膨張弁(66)に連通して前記直接冷却装置の第2の口(122)から前記熱交換器(21)の冷媒入口への第1の一方向スロットル分岐を形成し、前記第2の逆止弁(62)が前記双方向膨張弁(66)に連通して前記熱交換器の冷媒出口から前記直接冷却装置の第2の口(122)への第2の一方向スロットル分岐を形成する、ことを特徴とする付記2に記載の車両熱管理システム。
【0079】
(付記4)
前記双方向膨張アセンブリ(50)は、第4の逆止弁(51)、第5の逆止弁(52)、第6の逆止弁(53)、第7の逆止弁(55)及び一方向膨張弁(54)を備え、前記第4の逆止弁(51)が前記第6の逆止弁(53)に連通して前記直接冷却装置の第2の口(122)から前記熱交換器(21)の冷媒入口への第1の通路を形成し、前記第5の逆止弁(52)が前記第7の逆止弁(55)に連通して前記熱交換器(21)の冷媒出口から前記直接冷却装置の第2の口(122)への第2の通路を形成し、前記第4の逆止弁(51)の出口部と前記第5の逆止弁(52)の出口部はいずれも前記一方向膨張弁(54)の入口に連通され、前記第6の逆止弁(53)の入口部と前記第7の逆止弁(55)の入口部はいずれも前記一方向膨張弁(54)の出口に連通されることにより、第1の通路は第1の一方向スロットル分岐として形成され、第2の通路は第2の一方向スロットル分岐として形成される、ことを特徴とする付記2に記載の車両熱管理システム。
【0080】
(付記5)
前記第1の熱管理システム(10)は、車内凝縮器(13)を更に備え、前記車内凝縮器(13)が前記第1の分岐(80)に設置され、前記車内凝縮器(13)の入口が前記コンプレッサ(11)の出口に連通され、前記車内凝縮器(13)の出口と前記熱交換器(21)の冷媒入口との間に第2のスロットル分岐(92)が設置される、ことを特徴とする付記2に記載の車両熱管理システム。
【0081】
(付記6)
前記第1の熱管理システム(10)は、膨張開閉弁(65)を更に備え、前記膨張開閉弁(65)の内部に通流流路及びスロットリング流路を有し、前記膨張開閉弁(65)は開閉弁として使用されるとき、その内部の前記通流流路が導通され、前記膨張開閉弁(65)が膨張弁として使用されるとき、その内部の前記スロットリング流路が導通され、
前記膨張開閉弁(65)が前記第1の分岐(80)に設置され、前記膨張開閉弁(65)の入口が前記車内凝縮器(13)の出口に連通され、前記膨張開閉弁(65)の出口が前記熱交換器(21)の冷媒入口に連通され、前記第2のスロットル分岐(92)は膨張開閉弁(65)のスロットリング通路を備える、ことを特徴とする付記5に記載の車両熱管理システム。
【0082】
(付記7)
前記第1の熱管理システム(10)は、車内蒸発器(17)を更に備え、前記熱交換器(21)の冷媒出口は第3のスロットル分岐(93)を介して前記車内蒸発器(17)の入口に連通され、前記車内蒸発器(17)の出口は第3の一方向分岐(631)を介して前記コンプレッサ(11)の入口に連通され、前記第3の一方向分岐(631)に第3の逆止弁(63)が設置される、ことを特徴とする付記1に記載の車両熱管理システム。
【0083】
(付記8)
前記熱交換器(21)の冷媒出口は第2の流通分岐(82)を介して前記コンプレッサ(11)の入口に連通され、前記第2の流通分岐(82)に第2の開閉弁(72)が設置され、前記第3のスロットル分岐(93)に電子膨張弁(67)が設置される、ことを特徴とする付記7に記載の車両熱管理システム。
【0084】
(付記9)
前記電池パック(12)は電池モジュール及び直接冷却装置を備え、前記直接冷却装置は冷媒をガイドするための複数の冷却配管を備え、複数の前記冷却配管は前記電池モジュールの表面に敷設される、ことを特徴とする付記1に記載の車両熱管理システム。
【0085】
(付記10)
前記第1の熱管理システム(10)は、加熱器(15)を更に備え、前記加熱器(15)は、前記車内凝縮器(13)を通過する、車内を暖房するための空気を加熱するように構成される、ことを特徴とする付記5に記載の車両熱管理システム。
【0086】
(付記11)
前記第2の熱管理システム(20)は、ファン(26)を更に備え、前記ファン(26)は前記放熱器(25)と対向して設置され、前記放熱器(25)の放熱を促進する、ことを特徴とする付記1に記載の車両熱管理システム。
【0087】
(付記12)
電気自動車であって、付記1-11のいずれか一つに記載の車両熱管理システム(100)を備える、ことを特徴とする電気自動車。
【符号の説明】
【0088】
100-車両熱管理システム、10-第1の熱管理システム、11-コンプレッサ、12-電池パック、121-第1の口、122-第2の口、13-車内凝縮器、15-加熱器、17-車内蒸発器、20-第2の熱管理システム、21-熱交換器、22-高圧システム冷却分岐、23-ポンプ、24-方向切換弁、25-放熱器、26-ファン、27-廃熱利用分岐、50-双方向膨張アセンブリ、51-第4の逆止弁、52-第5の逆止弁、53-第6の逆止弁、54-一方向膨張弁、55-第7の逆止弁、61-第1の逆止弁、611-第1の一方向分岐、62-第2の逆止弁、621-第2の一方向分岐、63-第3の逆止弁、631-第3の一方向分岐、65-膨張開閉弁、66-双方向膨張弁、67-電子膨張弁、71-第1の開閉弁、72-第2の開閉弁、73-第3の開閉弁、80-第1の分岐、81-第1の流通分岐、82-第2の流通分岐、83-第3の流通分岐、84-第4の流通分岐、91-第1のスロットリング分岐、92-第2のスロットリング分岐、93-第3のスロットリング分岐、500-弁体、501-入口、502-出口、503-第1のバルブコア、504-第2のバルブコア、505-オリフィス、510-弁座、511-第1の弁箱、512-第2の弁箱、521-第1の電磁駆動部、522-第2の電磁駆動部、101-第1のモータ電気制御回路、102-第2のモータ電気制御回路。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】